JP5816411B2 - 高強度、高弾性率および塑性加工性に優れたNiフリー生体用Co基合金およびステント - Google Patents
高強度、高弾性率および塑性加工性に優れたNiフリー生体用Co基合金およびステント Download PDFInfo
- Publication number
- JP5816411B2 JP5816411B2 JP2010067973A JP2010067973A JP5816411B2 JP 5816411 B2 JP5816411 B2 JP 5816411B2 JP 2010067973 A JP2010067973 A JP 2010067973A JP 2010067973 A JP2010067973 A JP 2010067973A JP 5816411 B2 JP5816411 B2 JP 5816411B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- alloy
- phase
- plastic workability
- elastic modulus
- mass
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C22—METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
- C22C—ALLOYS
- C22C19/00—Alloys based on nickel or cobalt
- C22C19/07—Alloys based on nickel or cobalt based on cobalt
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61F—FILTERS IMPLANTABLE INTO BLOOD VESSELS; PROSTHESES; DEVICES PROVIDING PATENCY TO, OR PREVENTING COLLAPSING OF, TUBULAR STRUCTURES OF THE BODY, e.g. STENTS; ORTHOPAEDIC, NURSING OR CONTRACEPTIVE DEVICES; FOMENTATION; TREATMENT OR PROTECTION OF EYES OR EARS; BANDAGES, DRESSINGS OR ABSORBENT PADS; FIRST-AID KITS
- A61F2/00—Filters implantable into blood vessels; Prostheses, i.e. artificial substitutes or replacements for parts of the body; Appliances for connecting them with the body; Devices providing patency to, or preventing collapsing of, tubular structures of the body, e.g. stents
- A61F2/82—Devices providing patency to, or preventing collapsing of, tubular structures of the body, e.g. stents
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61L—METHODS OR APPARATUS FOR STERILISING MATERIALS OR OBJECTS IN GENERAL; DISINFECTION, STERILISATION OR DEODORISATION OF AIR; CHEMICAL ASPECTS OF BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES; MATERIALS FOR BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES
- A61L27/00—Materials for grafts or prostheses or for coating grafts or prostheses
- A61L27/02—Inorganic materials
- A61L27/04—Metals or alloys
- A61L27/045—Cobalt or cobalt alloys
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61L—METHODS OR APPARATUS FOR STERILISING MATERIALS OR OBJECTS IN GENERAL; DISINFECTION, STERILISATION OR DEODORISATION OF AIR; CHEMICAL ASPECTS OF BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES; MATERIALS FOR BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES
- A61L31/00—Materials for other surgical articles, e.g. stents, stent-grafts, shunts, surgical drapes, guide wires, materials for adhesion prevention, occluding devices, surgical gloves, tissue fixation devices
- A61L31/02—Inorganic materials
- A61L31/022—Metals or alloys
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C22—METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
- C22C—ALLOYS
- C22C1/00—Making non-ferrous alloys
- C22C1/02—Making non-ferrous alloys by melting
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C22—METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
- C22F—CHANGING THE PHYSICAL STRUCTURE OF NON-FERROUS METALS AND NON-FERROUS ALLOYS
- C22F1/00—Changing the physical structure of non-ferrous metals or alloys by heat treatment or by hot or cold working
- C22F1/10—Changing the physical structure of non-ferrous metals or alloys by heat treatment or by hot or cold working of nickel or cobalt or alloys based thereon
Landscapes
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Metallurgy (AREA)
- Mechanical Engineering (AREA)
- Materials Engineering (AREA)
- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- Animal Behavior & Ethology (AREA)
- General Health & Medical Sciences (AREA)
- Public Health (AREA)
- Veterinary Medicine (AREA)
- Epidemiology (AREA)
- Inorganic Chemistry (AREA)
- Transplantation (AREA)
- Oral & Maxillofacial Surgery (AREA)
- Heart & Thoracic Surgery (AREA)
- Vascular Medicine (AREA)
- Biomedical Technology (AREA)
- Medicinal Chemistry (AREA)
- Dermatology (AREA)
- Physics & Mathematics (AREA)
- Thermal Sciences (AREA)
- Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
- Surgery (AREA)
- Cardiology (AREA)
- Materials For Medical Uses (AREA)
Description
このような要求を満足する生体用Co基合金としては、Co−20Cr−15W−10Niを主成分とする合金(ASTM規格F90)や、Co:30〜60%、Ni:4〜20%、Cr:13〜25%、C:0.3%以下、Si:2.0%以下、Mn:2.0%以下を含有する合金(特許文献1参照)等が知られている。
しかしながら、このNiは、塑性加工性を向上させるために添加されており、例えば、ステントに加工するために必要なチューブ加工などの高い塑性加工特性を与えるために必要な添加元素である。そのため、上記合金組成において、Niフリー化を行うと、塑性加工性等の特性が著しく低下してしまうという問題があった。
また、ステント用合金としては、ステントを体内へ導入する際に、X線透視下においてステントの位置を確認するために、高いX線視認性を有する材料が望まれている。しかし、ステントは細い血管内へ導入されるものであるので、チューブ状のステントの薄さは非常に薄く加工されるため、従来の合金組成では、X線視認性がまだ十分とは言えず、さらなるX線視認性の向上が求められている。
本発明の高強度、高弾性率および塑性加工性に優れたNiフリー生体用Co基合金は、Cr:5〜30質量%、W:5〜20質量%を含有するCo−Cr−W合金に、生体適合性を有し、かつ、該合金の積層欠陥エネルギーを上昇させる効果を有する合金元素としてTaを3質量%以下添加してなり、組織がγ相とε相からなり、前記ε相が前記γ相よりも少ないことを特徴とするものでも良い。
本発明の前記高強度、高弾性率および塑性加工性に優れたNiフリー生体用Co基合金は、Cr:5〜30質量%、W:5〜20質量%を含有するCo−Cr−W合金に、生体適合性を有し、かつ、該合金の積層欠陥エネルギーを上昇させる効果を有する合金元素としてFeを5〜20質量%添加してなり、組織がγ相とε相からなり、前記ε相が前記γ相よりも少ないことを特徴とするものでも良い。
本発明の前記高強度、高弾性率および塑性加工性に優れたNiフリー生体用Co基合金は、Cr:16〜25質量%、W:10〜15質量%を含有してなることが好ましい。
本発明の高強度、高弾性率および塑性加工性に優れたNiフリー生体用Co基合金は、前記Nbを1〜2質量%添加してなるものでもよい。
本発明の高強度、高弾性率および塑性加工性に優れたNiフリー生体用Co基合金は、前記Taを1〜2質量%添加してなるものでもよい。
本発明の高強度、高弾性率および塑性加工性に優れたNiフリー生体用Co基合金は、ヤング率が236.95〜265.8GPaであることが好ましい。
本発明の高強度、高弾性率および塑性加工性に優れたNiフリー生体用Co基合金は、伸びが13〜16%であることが好ましい。
本発明の高強度、高弾性率および塑性加工性に優れたNiフリー生体用Co基合金は、ステント用とすることもできる。
さらに、本発明は、上記高強度、高弾性率および塑性加工性に優れたNiフリー生体用Co基合金を用いてなるステントを提供する。
さらに、本発明の高強度、高弾性率および塑性加工性に優れたNiフリー生体用Co基合金は、Co−Cr−W合金に、NbまたはTaを3質量%以下添加してなる組成とすることにより、Co基合金の塑性加工性を向上させるだけでなく、弾性率、引張り強度と伸びを向上させることができる。また、本発明の高強度、高弾性率および塑性加工性に優れたNiフリー生体用Co基合金は、Nb、Taという高密度の元素が添加されていることにより、該合金のX線視認性を高めることが可能であり、ステント用合金として好適である。
また、本発明の高強度、高弾性率および塑性加工性に優れたNiフリー生体用Co基合金において、Nb、Taに替えてFeを5〜20質量%添加することによっても同等の作用効果を奏するNiフリー生体用Co基合金を提供できる。
本発明のステントは、本発明の高強度、高弾性率および塑性加工性に優れたNiフリー生体用Co基合金を用いてなることにより、Niアレルギーを惹起せず、かつ、弾性率、引張り強度が良好である。また、Nbおよび/またはTaが添加された本発明の生体用Co基合金より形成されることにより、よりX線視認性が良好なステントとすることができる。
以下に、本発明に至った材料科学的考察について説明する。
このNiは、Co基合金において、塑性加工性を向上させるために添加される材料である。これは、すなわち、Ni添加により、Co基合金のfcc(面心立方格子)構造のγ相が安定しており、加工の段階において、ひずみ誘起マルテンサイト相であるhcp構造のε相が発生しないので、冷間加工性に富むためであると考えられる。これに対し、Co−20Cr−15W−10Ni合金をNiフリー化すると、冷間加工性が著しく低下する理由は、Niが添加されないため、γ相の安定性が低下し、ε相が加工の初期から形成されるため、γ相とε相との界面に応力集中が発生して、これを起点とする破壊が生じるためであると考えられる。
そこで、塑性加工性に優れるfcc構造であるγ相を安定化させ、加工の段階でhcp構造であるひずみ誘起マルテンサイトε相が発生しないような合金組成とすることが重要であると考え、γ相からε相に相変態する合金系の積層欠陥エネルギー(SFE:Stacking Fault Energy)に着目してさらに検討を行った。
さらに、図11(a)の計算方法と同様にして、各種実用Co基合金についてSFEの温度変化を算出した結果が図11(b)である。図11(b)において、Co−29Cr−6Mo合金はASTM F75に規格される人工関節に使用されている合金であり、Co−30Ni−20Cr−10Mo合金はASTM F562に規格される生体用丸棒材料などの鋳造合金であり、Co−20Cr−15W−10NiはASTM F90に規格される生体用チューブ材料として応用される鋳造合金である。また、図11(b)には、SUS304オーステナイト系ステンレス鋼(Fe−30Ni−20Cr)および800H高ニッケル鋼(Fe−30Ni−20Cr)のThermo-Calc計算結果も併記した。
これらのCo基合金の中で、大きなSFEを有するCo−20Cr−15W−10Ni合金は、オーステナイトステンレス鋼など、Co合金以外の低SFE合金として分類される実用合金と同程度のSFEを有している。Co−20Cr−15W−10Niは、室温までγ相が安定に存在し、加工誘起マルテンサイトε相変態がほとんど起きないため、室温における塑性加工性に優れる合金であることが知られている。従って、SFEの大きなCo基合金は、塑性加工性に優れることを確認できた。
さらに、中程度の大きさのSFEを有するCo−20Cr−30Ni−10Mo合金に代表されるCo−Ni−Cr−Mo系合金は、高弾性、高強度を示すことが知られているが、Co−20Cr−15W−10Niよりは塑性加工性が劣り、Ni添加量が多くなると加工誘起マルテンサイト変態が抑制され冷間圧延などの塑性加工が可能となることが知られている。
以上の結果より、Co基合金において、SFEが高いものほど塑性加工性が向上するため、該Co基合金にSFEを向上させる効果がある元素を添加することが合金の塑性加工性を向上されるために有効であることがわかった。
これらの、合金元素の特定手法について、以下に説明する。
図12(a)は、Thermo-Calc (Thermo-Calc Software社製:ver.4.1.3.41,database:FE ver.6)を用いて、CoにNi、Cr、MoおよびFeを添加した時のγ→ε変態に伴うGibbsエネルギー変化ΔGγ→εの組成依存性を計算した結果である。図12(a)に示すように、CoにNiを添加するとΔGγ→εが上昇しており、Ni添加によりSFEが上昇することがわかる。これに対し、CoにCrを添加するとΔGγ→εは減少しており、Cr添加によるSFE上昇効果は無いことがわかる。また、CoにMoを添加すると、添加量30mol%まではΔGγ→εが低下するが、それ以上添加するとΔGγ→εが上昇している。しかし、実用性を考慮すると、生体用Co基合金にはMoは10mol%程度添加する場合が多く、10mol%程度の添加ではΔGγ→εは低下しているため、Mo添加ではSFEが低下すると考えられる。さらに、CoにFeを添加すると、添加量50mol%程度まではΔGγ→εが上昇しており、その上昇度合いはNiよりも大きくなっている。この結果より、CoへのFe添加により、Ni添加よりもさらにSFEを上昇させることができることがわかる。従って、CoにFeを添加することにより、ΔGγ→εを上昇させて、すなわち、SFEを上昇させて、該合金の塑性加工性を向上させることができる。
さらに、本発明において行った理論的考察により、その他の生体適合性を有する元素で、SFEを上昇させることができ、Co−Cr−W系合金の延性(塑性加工性)を改善するに効果を発揮する元素を同定することができる。
図1は、Co−20Cr−xW合金のThermo-Calc(Thermo-Calc Software社製:ver.4.1.3.41,database:FE ver.6)を用いた計算状態図である。図1に示すように、Wの含有量が20質量%未満の場合に、fcc構造のγ相が安定化されている。前述のように、WにはCo基合金のSFEを上昇させて塑性加工性を高める効果があることも考慮すると、Wの含有量は5〜20質量%が好ましく、10〜15質量%がさらに好ましい。Wの添加量が20質量%を超えると、μ相(Co7W6)やσ相(Co7Cr8)などが発生し、機械的特性が低下してしまう可能性がある。また、Wを添加することにより、合金中の密度、固溶強化を高めることができ、さらに、X線視認性も高めることができる。
図3(a)はCo−20Cr−10W−xNb合金のThermo-Calc計算状態図であり、図3(b)はCo−20Cr−15W−xNb合金のThermo-Calc計算状態図である。図3(a)および図3(b)に示すように、fcc構造のγ相が安定化され、加工段階における相変態が抑制されるため、Nbの添加量は3質量%以下が好ましく、1〜2質量%がより好ましい。Nbの添加量が3質量%を超えると、μ相(Co7W6)やLaves(W−Nb)などが発生し、機械的特性が低下してしまう可能性がある。
また、Co−Cr−W合金に対して、NbおよびTaを複合添加させる場合にも、合金元素の添加量を3質量%以下とすることにより、fcc構造のγ相が安定化されて、塑性加工性が良好となる。
なお、Co−Cr−W基合金に対して、Feに加えて、Nbおよび/またはTaを添加する場合、これらの合金元素の総添加量は、固溶性の観点から、6〜23質量%とすることが好ましい。
さらに、本発明の生体用Co基合金は、Co−Cr−W系合金に、Nb、TaまたはFeからなる群より選択される1種または2種以上を添加してなる組成とすることにより、Co基合金の塑性加工性を向上させるだけでなく、弾性率、引張り強度を向上させることができる。また、Nbおよび/またはTaという高密度の元素が添加されていることにより、該合金のX線視認性を高めることが可能であり、ステント用合金として好適である。
本発明のステントは、生体内の血管、胆管等の狭窄部に挿入し、管腔を拡張して管腔径を保持する為に使用されるものであり、上述の本発明の生体用Co基合金を用いてなることを特徴とする。図13は、本発明に係るステントの一例を示す概略斜視図である。図13に示すステント1は、フレーム1aにより径の拡縮変形可能に構成された円筒状の構造を有する。ステント1は、この円筒状構造を形成する側面に、略菱形の切欠部1bを複数有するメッシュ状の構造を有し、応力を加えることにより、その径を拡縮変形することが可能である。図13に示すステント1は、バルーン拡張型ステントであり、円筒状のステント1内部にバルーンカテーテルを固定した状態で、ステント1を目的部位に挿入後にバルーンの拡張により塑性変形させて、目的部位の内面に密着させて固定することができる。
図13においては、径の拡縮変形が可能なステント1のフレーム1aの形状として、メッシュ状のものを例示しているが、本発明はこの例に限定されるものではない。例えば、コイル状、多重螺旋状など、従来公知のステントの形状とすることができ、バルーン拡張型ステントであっても自己拡張型ステントであってもよい。
高周波真空誘導溶解炉にて、各元素を表2に示す成分組成で配合、溶解して合金溶湯とした。この合金溶湯を800PaのAr雰囲気下で、金属製鋳型に鋳込み、炉冷した。鋳塊サイズは、上部直径80mm、下部直径70mm、高さ120mm、質量6kgの円柱状とした。次に、凝固偏析を除去する目的で、Tokyo Vacuum社製の高温高真空炉を用いて、Ar雰囲気下で1220℃、10時間の均質化処理を鋳塊に施した後、室温まで炉冷することにより各合金を作製した。なお、均質化処理時の昇温速度は10℃/分、冷却速度は10℃/分とした。
得られた各サンプルについて、日本テクノプラス社製JE-RTを用いて、自由共振法によりヤング率測定を行った。結果を図5に示す。
図5の結果より、比較例4のCo−28Cr−6Mo合金は人工関節に使用されている合金であるが、そのヤング率は214.9GPaであった。これに対し、比較例1及び2のCo−20Cr−(10−15)W合金では、ヤング率が比較例4よりも向上しており、Wを添加することにより、高弾性率化することがわかる。また、Niが添加された比較例3の合金は、比較例1及び2の合金と比較して、ヤング率が低下していた。実施例1〜4の合金では、Co−Cr−W合金にNbを添加することにより、ヤング率が上昇しており、Nb添加が高弾性率化に寄与することが確認された。
室温で恒温鋳造後の実施例1、2、比較例1、2の合金について引張り試験を行った。結果を図6及び表3に示す。なお、試験条件は以下の通りである。
試験片 厚さ:1.0mm 幅:2.0mm
初期ひずみ速度:1.4×10−4S-1
標点間距離:11.5mm
試験機:インストロン社製、8562型引張試験機
以上の結果より、本発明に係る合金は、延性に優れ、塑性加工性が良好であることが確認された。
実施例1、2および比較例1の合金を1250℃で12時間の均一化熱処理を行った後に、各合金の組織を光学顕微鏡で観察した。各合金の光学顕微鏡組織写真を図7に示す。
図7に示すように、実施例1、2および比較例1の合金は、いずれも、等軸の300〜400μm程度の結晶粒径となっている。
また、同条件で均一化処理を行った実施例1、2および比較例1の合金について、X線回折装置(XRD)によりX線回折測定を行った。その結果を図8に示す。なお、図8において、(a)は比較例1のCo−20Cr−10W合金、(b)は実施例1のCo−20Cr−10W−1Nb合金、(c)は実施例2のCo−20Cr−10W−2Nb合金のX線回折図形である。
図8の結果より、比較例1のCo−20Cr−10W合金はhcp構造のε相のピークとfcc構造のγ相のピークとが混在する二相組織となっていた。これに対し、実施例1のCo−20Cr−10W−1Nb合金、および、実施例2のCo−20Cr−10W−2Nb合金では、ε相のピークが僅かに認められるが主な回折ピークはγ相のピークであった。この結果より、Co−Cr−W系合金へのNb添加は、γ相を安定化することが分かる。
図9に示すように、実施例1、2および比較例1の合金は、いずれも、50μm程度の微細な等軸の結晶粒組織となっている。
また、同条件で均一化熱処理後に恒温鋳造を行った実施例1、2および比較例1の合金について、X線回折装置(XRD)によりX線回折測定を行った。その結果を図10に示す。なお、図10において、(a)は比較例1のCo−20Cr−10W合金、(b)は実施例1のCo−20Cr−10W−1Nb合金、(c)は実施例2のCo−20Cr−10W−2Nb合金のX線回折図形である。
図10の結果より、比較例1のCo−20Cr−10W合金はhcp構造のε相のピークとfcc構造のγ相のピークとが混在する二相組織となっている。特にε相の割合がγ相に比べて高いことが分かる。これに対し、実施例1のCo−20Cr−10W−1Nb合金、および、実施例2のCo−20Cr−10W−2Nb合金では、ε相のピークが僅かに認められるが主な回折ピークはγ相のピークであった。この結果は、均一化熱処理まま材同様に、Co−Cr−W系合金へのNb添加がγ相を安定化することを強く示唆するものである。
Claims (10)
- Cr:5〜30質量%、W:5〜20質量%を含有するCo−Cr−W合金に、生体適合性を有し、かつ、該合金の積層欠陥エネルギーを上昇させる効果を有する合金元素としてNbを3質量%以下添加してなり、
組織がγ相とε相からなり、前記ε相が前記γ相よりも少ないことを特徴とする高強度、高弾性率および塑性加工性に優れたNiフリー生体用Co基合金。 - Cr:5〜30質量%、W:5〜20質量%を含有するCo−Cr−W合金に、生体適合性を有し、かつ、該合金の積層欠陥エネルギーを上昇させる効果を有する合金元素としてTaを3質量%以下添加してなり、
組織がγ相とε相からなり、前記ε相が前記γ相よりも少ないことを特徴とする高強度、高弾性率および塑性加工性に優れたNiフリー生体用Co基合金。 - Cr:5〜30質量%、W:5〜20質量%を含有するCo−Cr−W合金に、生体適合性を有し、かつ、該合金の積層欠陥エネルギーを上昇させる効果を有する合金元素としてFeを5〜20質量%添加してなり、
組織がγ相とε相からなり、前記ε相が前記γ相よりも少ないことを特徴とする高強度、高弾性率および塑性加工性に優れたNiフリー生体用Co基合金。 - Cr:16〜25質量%、W:10〜15質量%を含有してなる請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の高強度、高弾性率および塑性加工性に優れたNiフリー生体用Co基合金。
- 前記Nbを1〜2質量%添加してなることを特徴とする請求項1または請求項4に記載の高強度、高弾性率および塑性加工性に優れたNiフリー生体用Co基合金。
- 前記Taを1〜2質量%添加してなることを特徴とする請求項2または請求項4に記載の高強度、高弾性率および塑性加工性に優れたNiフリー生体用Co基合金。
- ヤング率が236.95〜265.8GPaであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の高強度、高弾性率および塑性加工性に優れたNiフリー生体用Co基合金。
- 伸びが13〜16%であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の高強度、高弾性率および塑性加工性に優れたNiフリー生体用Co基合金。
- ステント用である請求項1〜8のいずれか一項に記載の高強度、高弾性率および塑性加工性に優れたNiフリー生体用Co基合金。
- 請求項1〜8のいずれか一項に記載の高強度、高弾性率および塑性加工性に優れたNiフリー生体用Co基合金を用いてなることを特徴とするステント。
Priority Applications (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010067973A JP5816411B2 (ja) | 2010-03-24 | 2010-03-24 | 高強度、高弾性率および塑性加工性に優れたNiフリー生体用Co基合金およびステント |
EP11759420.0A EP2551363B1 (en) | 2010-03-24 | 2011-03-23 | Cobalt-based alloy for in-vivo use, and stent |
PCT/JP2011/056939 WO2011118615A1 (ja) | 2010-03-24 | 2011-03-23 | 生体用Co基合金およびステント |
CN201180015554.3A CN102803529B (zh) | 2010-03-24 | 2011-03-23 | 生物体用Co基合金和支架 |
US13/622,898 US9260769B2 (en) | 2010-03-24 | 2012-09-19 | Co-based alloys for biomedical applications and stent |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010067973A JP5816411B2 (ja) | 2010-03-24 | 2010-03-24 | 高強度、高弾性率および塑性加工性に優れたNiフリー生体用Co基合金およびステント |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2011202197A JP2011202197A (ja) | 2011-10-13 |
JP5816411B2 true JP5816411B2 (ja) | 2015-11-18 |
Family
ID=44673166
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2010067973A Expired - Fee Related JP5816411B2 (ja) | 2010-03-24 | 2010-03-24 | 高強度、高弾性率および塑性加工性に優れたNiフリー生体用Co基合金およびステント |
Country Status (5)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US9260769B2 (ja) |
EP (1) | EP2551363B1 (ja) |
JP (1) | JP5816411B2 (ja) |
CN (1) | CN102803529B (ja) |
WO (1) | WO2011118615A1 (ja) |
Families Citing this family (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE102008002471A1 (de) | 2008-06-17 | 2009-12-24 | Biotronik Vi Patent Ag | Stent mit einer Beschichtung oder einem Grundkörper, der ein Lithiumsalz enthält, und Verwendung von Lithiumsalzen zur Restenoseprophylaxe |
JP2013181190A (ja) * | 2012-02-29 | 2013-09-12 | Seiko Instruments Inc | 生体用Co基合金およびステント |
EP3138587B1 (en) * | 2012-04-26 | 2020-04-01 | Medtronic Vascular Inc. | Radiopaque enhanced cobalt alloy for stents |
EP2676686B1 (de) * | 2012-06-18 | 2015-04-08 | Biotronik AG | Stent aus einer Kobaltlegierung |
JP6399460B2 (ja) | 2016-09-30 | 2018-10-03 | 株式会社エフエムディ | 医療用ガイドワイヤ |
CN111485138B (zh) * | 2020-04-23 | 2021-07-23 | 中国科学院金属研究所 | 一种冷加工态钴基合金棒丝材的制备方法 |
CN113373383A (zh) * | 2021-03-31 | 2021-09-10 | 西安建筑科技大学 | 一种奥氏体Fe-Mn-Al-C轻质合金钢的成分优化设计方法 |
Family Cites Families (14)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US3223522A (en) * | 1963-01-31 | 1965-12-14 | John J Rausch | Chromium, tungsten cobalt base alloys containing additions of tantalum, titanium and niobium |
US3837838A (en) * | 1972-12-18 | 1974-09-24 | M Mohammed | High strength, ductile cobalt-base dental alloy |
US4229215A (en) * | 1979-06-22 | 1980-10-21 | Neoloy Products, Inc. | Non-precious stainless dental alloy |
US4255190A (en) * | 1979-10-25 | 1981-03-10 | Neoloy Products, Inc. | Essentially non-precious stainless dental alloy |
DE3319457C1 (de) * | 1983-05-28 | 1984-02-09 | Degussa Ag, 6000 Frankfurt | Kobaltlegierungen zur Herstellung von Zahnersatz |
JPS62146233A (ja) * | 1985-12-20 | 1987-06-30 | Mitsubishi Metal Corp | 歯科用Co基鋳造合金 |
AU2001283240A1 (en) * | 2000-08-10 | 2002-05-15 | Jeneric/Pentron, Incorporated | High expansion dental alloys |
US7357854B1 (en) * | 2002-08-19 | 2008-04-15 | Advanced Cardiovascular Systems, Inc. | Process for electropolishing a device made from cobalt-chromium |
DE10252776A1 (de) * | 2002-11-07 | 2004-07-22 | Dentaurum J.P. Winkelstroeter Kg | Dentalguss-Legierung |
WO2006054358A1 (ja) * | 2004-11-19 | 2006-05-26 | Iwate University | 生体用合金のNi微量不純物によるアレルギー毒性を無害化する方法 |
WO2007043687A1 (ja) * | 2005-10-11 | 2007-04-19 | Japan Science And Technology Agency | 加工性を改善した高強度Co基合金及びその製造方法 |
JP4840571B2 (ja) | 2005-12-16 | 2011-12-21 | 日本精線株式会社 | 樹脂材料補強用の微細金属帯材と、該帯材を用いてなる樹脂成形品及び医療製品 |
US8529710B2 (en) * | 2006-10-11 | 2013-09-10 | Japan Science And Technology Agency | High-strength co-based alloy with enhanced workability and process for producing the same |
JP5295104B2 (ja) | 2007-05-09 | 2013-09-18 | 独立行政法人科学技術振興機構 | ガイドワイヤ及びステント |
-
2010
- 2010-03-24 JP JP2010067973A patent/JP5816411B2/ja not_active Expired - Fee Related
-
2011
- 2011-03-23 EP EP11759420.0A patent/EP2551363B1/en not_active Not-in-force
- 2011-03-23 CN CN201180015554.3A patent/CN102803529B/zh not_active Expired - Fee Related
- 2011-03-23 WO PCT/JP2011/056939 patent/WO2011118615A1/ja active Application Filing
-
2012
- 2012-09-19 US US13/622,898 patent/US9260769B2/en not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
US9260769B2 (en) | 2016-02-16 |
EP2551363A4 (en) | 2014-07-02 |
WO2011118615A1 (ja) | 2011-09-29 |
JP2011202197A (ja) | 2011-10-13 |
CN102803529A (zh) | 2012-11-28 |
EP2551363B1 (en) | 2015-09-09 |
CN102803529B (zh) | 2016-04-06 |
US20130073028A1 (en) | 2013-03-21 |
EP2551363A1 (en) | 2013-01-30 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US7780798B2 (en) | Medical devices including hardened alloys | |
JP5816411B2 (ja) | 高強度、高弾性率および塑性加工性に優れたNiフリー生体用Co基合金およびステント | |
US8500787B2 (en) | Radiopaque markers and medical devices comprising binary alloys of titanium | |
US12150872B2 (en) | Radiopaque intraluminal stents | |
US9757224B2 (en) | Cobalt alloy for medical implants and stent comprising the alloy | |
JP2007516021A (ja) | 合金組成物及びこの合金組成物を含む機器 | |
WO2012068358A1 (en) | Radiopaque intraluminal stents comprising cobalt-based alloys containing one or more platinum group metals, refractory metals, or combinations thereof | |
JP2008111177A (ja) | 塑性加工性に優れる生体用Co基合金およびその製造方法 | |
EP2676685A1 (de) | Stent aus einer Eisenlegierung | |
JP7486228B2 (ja) | コバルトクロム合金部材の製造方法 | |
WO2014159743A1 (en) | Radiopaque intraluminal stents comprising cobalt-based alloys containing one or more platinum group metals, refractory metals, or combinations thereof | |
Herliansyah et al. | The effect of annealing temperature on the physical and mechanical properties of stainless steel 316L for stent application | |
EP2634277B1 (en) | Co-based alloy for living body and stent | |
JP6999934B2 (ja) | ステント用合金及びステント | |
EP4107303B1 (en) | Use of bioresorbable pseudoelastic fe-mn-x-y alloys for medical implants | |
US7794493B2 (en) | Magnetic resonance imaging compatibility alloy for implantable medical devices | |
EP4133117B1 (en) | Bioresorbable fe-mn-si-x alloys for medical implants | |
JPWO2020105570A1 (ja) | 医療用Pt−Co系合金 | |
US20240376574A1 (en) | Cobalt-chromium alloy member, method of producing the same, and device using the same | |
GB2630026A (en) | A strong and low-stiffness bio-compatible titanium alloy | |
Chu et al. | Porous NiTi Shape Memory Alloys Produced by Combustion Synthesis |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20130116 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20140114 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20140313 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20140408 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20140702 |
|
A911 | Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911 Effective date: 20140825 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20150928 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5816411 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313115 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |