以下に、図示するところに基づいて、この発明を説明するが、この発明による油圧緩衝器は、図示するところでは、車両たる二輪車の前輪側に設けられて、走行中の振動を吸収するフロントフォークとされる。
そして、このフロントフォークは、図1に示すように、車体側チューブ1と車輪側チューブ2とがテレスコピック型に連結されて伸縮可能とされるフォーク本体(符示せず)を有する。
そしてまた、このフォーク本体は、軸芯部に正立型に設定のダンパ(符示せず)を有し、このダンパが内に主となる減衰機構(符示せず)を有して、伸縮作動時に所定の減衰作用をなし、また、外に補助減衰機構10を有して、収縮作動時に所定の減衰作用をなす。
ちなみに、このフォーク本体にあっては、車体側チューブ1の下端部たる開口端部をシールケース部(符示せず)にして内周側部にシール部材、つまり、図2に示すところでは、オイルシール11およびダストシール12を有し、オイルシール11によってフォーク本体内からの作動油で代表される作動流体のフォーク本体外への漏出を阻止し、ダストシール12によって車輪側チューブ2の外周に付着したダストがフォーク本体内側、つまり、オイルシール11側に侵入することを阻止する。
また、このフォーク本体にあっては、車体側チューブ1の開口端部における内周側部に内周が車輪側チューブ2の外周に摺接する下方軸受13を有し、車輪側チューブ2の上端部の外周に外周が車体側チューブ1の内周に摺接する上方軸受21(図1参照)を有し、この両方の軸受13,21で車体側チューブ1に対する車輪側チューブ2の同芯性および摺動性を保障している。
なお、両方の軸受13,21と車体側チューブ1および車輪側チューブ2との間に画成される隙間が潤滑隙間Sとされ、この潤滑隙間Sに車輪側チューブ2に開穿された連通孔2a(図1参照)を介して車輪側チューブ2の内側からの作動流体が潤滑材として流入されることで、車体側チューブ1と車輪側チューブ2との間における潤滑性が保障される。
ところで、図示するフォーク本体は、内に懸架バネを有せずして、フォーク本体内のリザーバRに作動流体の流体面O(図1参照)を境にして形成されるエア室A(図1参照)におけるエア圧、つまり、フォーク本体が最伸長状態にあるときに大気圧以上となるエア圧のエア室Aへの封入で伸長方向に附勢されてなる。
それゆえ、このフォーク本体にあっては、伸長方向への附勢要素としての懸架バネを有しないから、その分フロントフォークにおける全体重量の軽減化に寄与する。
そして、フォーク本体にあっては、エア室Aにおけるエア圧に基づくエアバネ力に打ち勝って収縮作動し、また、エアバネ力で伸長作動し、このフォーク本体の伸縮作動に同期してダンパが伸縮作動する。
戻って、フォーク本体は、図1に示すところでは、車体側チューブ1が大径のアウターチューブからなり、車輪側チューブ2が小径のインナーチューブからなる倒立型に設定されている。
もっとも、この発明が意図するところからすれば、フォーク本体が倒立型に設定されるのに代えて、インナーチューブを車体側チューブ1にし、アウターチューブを車輪側チューブ2にする正立型に設定されても良い。
また、車輪側チューブ2の下端部は、図1に示すところでは、車輪側チューブ2の下端開口を閉塞するボトム部(符示せず)とされ、このボトム部の上端に後述するオイルロック機構6を構成するオイルロックケース62が着座される。
このとき、図示しないが、車輪側チューブ2の下端部とオイルロックケース62との間には適宜にシール部材が設けられて、両者間における液密性が保障される。
そして、同じく図示しないが、車体側チューブ1は、上端部にこの車体側チューブ1の上端開口を分離可能に閉塞するキャップ部材を有し、このキャップ部材は、その軸芯部に後述するダンパを構成するロッド4の上端部を分離可能に連結させる。
それゆえ、このフォーク本体にあっては、車体側チューブ1の上端部からキャップ部材を分離するとき、車体側チューブ1の下降が可能になり、キャップ部材に連結のダンパにおけるロッド4および車輪側チューブ2の上端部を露呈し得ることになり、たとえば、フォーク本体内に収容される作動流体の収容量、つまり、エア室Aを画成する流体面Oの高さ位置を調整することが可能になる。
一方、ダンパは、図1に示すように、車輪側チューブ2の軸芯部に立設されて下端側部材とされ内に作動流体を収容するシリンダ3と、車体側チューブ1の軸芯部に垂設されて上端側部材とされ図中での下端側たる先端側をシリンダ3内に出入自在に挿通させるロッド4と、シリンダ3内に摺動可能に挿入されロッド4の図中での下端部たる先端部(符示せず)に保持されてシリンダ3内に上方室R1および下方室R2を隔成するピストン5とを有してなる。
このとき、図示するところでは、ピストン5をロッド4の先端部に連結させるピストンナット(符示せず)が後述するオイルロック機構6におけるオイルロックピース61を構成するが、このことについては、後述する。
そして、このダンパにあって、シリンダ3は、図1中での上端部たるヘッド端部(符示せず)にロッドガイド31を有し、このロッドガイド31は、シリンダ3の上端開口を閉塞し、軸芯部にロッド4を貫通させる。
また、図示するところにあっては、ロッドガイド31の上端に後述する補助減衰機構10におけるネジ筒101を起立させ、このネジ筒101は、軸芯部にロッド4を挿通させる。
そしてまた、このシリンダ3にあっては、ロッドガイド31とその下方のシリンダ3における内周段部(符示せず)との間に環状に形成のバネホルダ32を有し、このバネホルダ32は、内周側配置とされてロッド4を巻くように設けられる伸び切りバネS1と、外周側配置とされてシリンダ3の内周に沿うように設けられるバランスバネS2とを吊持してなる。
なお、伸び切りバネS1の下端は、下方となるロッド4の外周に固定状態に保持されたバネ受41に、すなわち、図2に示すところでは、ロッド4に巻き付けられたスナップリング41aに担持されるバネ受41に対向する。
それに対して、図1に示すところにあって、バランスバネS2の下端には、環状に形成のバネシート33が保持され、このバネシート33が下方のピストン5の上端に、すなわち、図2に示すところでは、後述するピストン5における減衰機構を構成する部位に担持されるバネストッパ34に対向する。
それゆえ、伸び切りバネS1は、ロッド4がシリンダ3内を大きいストロークで上昇して最伸長状態になるときに、バネ受41の当接で収縮してバネ力を発揮し、ダンパの最伸長作動時における衝撃を緩和する。
そして、バランスバネS2は、ロッド4がシリンダ3内を大きいストロークで上昇して最伸長状態になるときに、バネシート33へのバネストッパ34の当接で収縮してバネ力、つまり、ダンパを収縮させる方向に附勢するバネ力を発揮する。
すなわち、図示するフロントフォークは、フォーク本体が最伸長状態にあるときにリザーバR内の気室Aに大気圧以上の気圧を封入して反力を具有させ、これによって、伸長方向に附勢されるから、フォーク本体が最伸長状態から収縮する所定のストローク領域内における反力をバランスバネS2で抑制することで、最伸長状態から所定のストローク領域における収縮作動時の反力を小さくすることが可能になる。
戻って、ロッドガイド31は、シリンダ3の上端開口を閉塞し、軸芯部にロッド4を貫通させるが、そのため、図3に示すように、下半部の内周側部に環状の凹陥部(符示せず)を有し、この凹陥部にバックアップ部材35を有してなる。
そして、このバックアップ部材35は、ロッドガイド31側部となる背面側部にOリングからなるシール35aを有してロッドガイド31との間における液密性を保障すると共に、内周に隣接されるブッシュ35bの内周をロッド4の外周に摺接させてロッド4に対する、つまり、ロッドガイド31のロッド4に対する摺動性を保障している。
そしてまた、ロッドガイド31は、同じく図3に示すように、上半部の内周側部に横向きに開口する環状溝(符示せず)を有し、この環状溝に内周がロッド4の外周に摺接するOリングからなるシール36を有して、ロッドガイド31とロッド4との間における液密性を保障している。
ところで、ダンパにあって、シリンダ3の下端部は、ボトム端部(符示せず)とされ、このボトム端部に後述するオイルロック機構6を構成するオイルロックケース62を設けて、シリンダ3の下端開口を閉塞する。
そして、このシリンダ3におけるオイルロックケース62を連結させるボトム端部のやや上方には、シリンダ3内たる下方室R2とシリンダ3外たるリザーバRとの連通を許容する連通孔3aを有してなる。
この連通孔3aについては、後述するピストン5における減衰機構の構成如何によって、作動流体が通過するときに減衰作用をなす、たとえば、オリフィスとされても良く、また、目立った減衰作用をなさない通孔とされても良い。
それゆえ、上記の連通孔3aを有するシリンダ3にあっては、シリンダ3内をピストン5が下降するダンパの収縮作動時に下方室R2で余剰となるロッド侵入体積分に相当する量の作動流体の上記の連通孔3aを介してのシリンダ3の外であるリザーバRへの流出を許容する。
そして、上記の連通孔3aを有するシリンダ3にあっては、シリンダ3内をピストン5が上昇するダンパの伸長作動時に下方室R2で不足することになるロッド退出体積分に相当する量の作動流体の下方室R2への、つまり、シリンダ3の外であるリザーバRからの下方室R2への流入を許容する。
なお、オイルロックケース62がシリンダ3のボトム端部に設けられることからすれば、上記したリザーバRからの下方室R2への作動流体の補充については、図1中に示すように、オイルロックケース62が逆止弁Cを有することで実現されるとしても良い。
すなわち、オイルロックケース62内からのリザーバRに向けての作動流体の通過を阻止するが、その逆となるリザーバRからの作動流体のオイルロックケース62内への流入を許容する逆止弁Cをオイルロックケース62に有するとしても良い。
この場合には、シリンダ3に設けられる連通孔3aがオリフィスとされて作動流体の通過を制限するときにも、ダンパの伸長作動時に下方室R2における作動流体の吸込み不足の不具合を招来させないことが可能になる利点がある。
ロッド4は、基本的には、シリンダ3内に摺動可能に挿入のピストン5を下端部たる先端部に連結させるものであれば足り、したがって、中実体で形成されても良く、また、図示しないが、中空体、つまり、パイプ体で形成されても良い。
そして、ロッド4がパイプ体で形成される場合には、中実体で形成される場合に比較して、重量を軽くしながら、曲げ強度を大きくすることが可能になり、また、ロッド4の内部にコントロールロッドを配在することが可能になり、このコントロールロッドを利用してコントロールバルブによる減衰機構における減衰作用の高低調整をなし得る点で有利となる。
ちなみに、上記のコントロールロッド自体もパイプ体からなることで、自身の重量の削減を可能にすると共に曲げ強度を向上させることなる。
また、コントロールバルブは、コントロールロッドの下端に後端が隣接されるが、制御部たる尖端部、つまり、先端部は、減衰機構を迂回してシリンダ3内の下方室R2と上方室R1とを連通するバイパス路中に配設される。
それゆえ、減衰機構中にバイパス路を設けると共にこのバイパス路中にコントロールバルブを設ける場合には、バイパス路を通過する作動流体の流量を多少でき、したがって、減衰機構における作動流体の通過流量を多少でき、減衰機構による減衰作用を高低調整できる。
なお、バイパス路中にコントロールバルブを設ける場合に、このコントロールバルブが高低調整することになる減衰作用は、後述する主たる減衰機構を構成するピストン5に配設の伸側減衰弁51あるいは圧側減衰弁52による減衰作用となる。
つまり、後述するように、この発明にあっては、主たる減衰機構の他に、補助減衰機構10を有するとするが、この主たる減衰機構の概念からすれば、上記のコントロールバルブは、この発明における主たる減衰機構を構成すると言い得る。
ピストン5は、図1に示すように、シリンダ3内に摺動可能に収装され、図2に示すところでは、ロッド4における先端部材44に介装されてシリンダ3内に上方室R1と下方室R2とを隔成する。
そして、このピストン5は、シリンダ3内を摺動して上方室R1と下方室R2との連通を許容するとき、所定の減衰作用をなす減衰手段を有し、この減衰手段は、図示するところでは、ピストン5に設けられた伸側減衰弁51(図2参照)および圧側減衰弁52を有してなる。
ところで、この発明にあっては、主たる減衰機構の他に、補助減衰機構10を有してなるが、図示するところでは、この主たる減衰機構がピストン5に設けられてなるとし、したがって、ピストン5に設けられた伸側減衰弁51および圧側減衰弁52がこの主たる減衰機構を構成することになる。
そして、図2に示すところでは、圧側減衰弁52は、積層環状リーフバルブからなり、ピストン5に開穿の圧側通路5aの下流側端を開放可能に閉塞し、伸側減衰弁51も積層環状リーフバルブからなり、ピストン5に開穿の伸側通路(図示せず)の下流側端を開放可能に閉塞する。
なお、ピストン5は、ピストンナット(符示せず)でロッド4の先端部に保持されるが、図示するところにあって、ピストンナットは、オイルロック機構6におけるオイルロックピース61を構成するとし、それゆえ、このピストンナットにあっては、ロッド4の先端部に螺合する部位がナット部(符示せず)とされ、また、オイルロックケース62に嵌り込む部位が先端部(符示せず)とされて、この先端部が実質的にオイルロックケースを構成する。
この観点からすると、オイルロックピース61における先端部については、図1に示すように、外周にシリンダ3の軸線方向に沿うテーパ61aが設けられるとしても良く、また、図2に示すように、目立ったテーパを有しないほぼ円柱状あるいは円柱状に形成されるとしても良い。
それゆえ、以上のように形成されたシリンダ3,ロッド4およびピストン5を有するダンパにあっては、シリンダ3内をピストン5が上昇する伸長作動時に、上方室R1の作動流体が主たる減衰機構を構成するピストン5に設けた伸側減衰弁51を介して下方室R2に流出し、所定の減衰作用がなされる。
そして、このとき、下方室R2で不足するロッド退出体積分に相当する量の作動流体がシリンダ3に開穿の連通孔3aを介してリザーバRから補充され、連通孔3aがオリフィスとされるとき、伸側の減衰作用がなされる。
また、このダンパにあっては、シリンダ3内をピストン5が下降する収縮作動時に、下方室R2の作動流体が主たる減衰機構を構成するピストンに設けた圧側減衰弁52を介して上方室R1に流入し、所定の減衰作用がなされる。
そして、このとき、下方室R2で余剰となるロッド侵入体積分に相当する量の作動流体が連通孔3aを介してリザーバRに流出され、連通孔3aがオリフィスとされるとき、圧側の減衰作用がなされる。
ちなみに、この発明における主たる減衰機構の概念からすれば、上記の連通孔3aは、これがオリフィスとされて所定の減衰作用をなす限りには、この発明における主たる減衰機構を構成すると言い得る。
また、前記したように、主たる減衰機構を構成する伸側減衰弁51および圧側減衰弁52を迂回するバイパス路にコントロールバルブを設けるとき、このコントロールバルブもこの発明における主たる減衰機構を構成すると言い得る。
オイルロック機構6は、図1に示すように、シリンダ3内に出入自在に挿通されるロッド4の先端部にピストン5を連結させるピストンナットからなるオイルロックピース61と、シリンダ3のボトム端部内に設けられるオイルロックケース62とからなる。
それゆえ、オイルロック機構6において、オイルロックピース61がロッド4の先端部にピストン5を連結させるピストンナットからなるから、図示しないが、オイルロック機構におけるオイルロックケースがシリンダのヘッド端部に設けられ、それゆえ、オイルロック機構におけるオイルロックピースが上方となるロッド4の基端部あるいは基端部近傍に単独で設けられる場合に比較して、ピストンナットとオイルロックピースとを別部品で形成させず、部品点数の削減を可能にする。
一方、このオイルロック機構6にあっては、オイルロックケース62がオイルロックピース61を導入させる開口を形成する開口端部の内周側部にシール手段(符示せず)を有してなる。
そして、このシール手段は、オイルロックピース61がオイルロックケース62内に嵌り込むようになるときにオイルロックケース62内に作動流体を閉じ込めると共に、オイルロックピース61がオイルロックケース62内から抜け出るときに下方室R2からの作動流体のオイルロックケース62内への流入を許容する。
このとき、シール手段は、オイルロックケース62の開口端部の内周側部に形成の環状溝(図示せず)と、この環状溝内に径方向およびロッド4の軸線方向となるオイルロックケース62における軸方向に移動可能に収装されて内周側へのオイルロックケース61の嵌り込みを許容する環状シール63(図1参照)とを有してなる。
そして、このシール手段において、図示しないが、環状シール63が下方室R2に対向する端面にこの環状シール63の内周側と外周側との連通を許容する切り欠きからなる通路(図示せず)を有すると共に、反対側となる端面が環状溝の側壁に着座するときこの環状シール63の内周側と外周側との連通を阻止してなる。
それゆえ、このオイルロック機構6において、オイルロックケース62がオイルロックピース61を導入させる開口を形成する開口端部の内周側部にシール手段を有するから、オイルロックピース61がオイルロックケース62内に嵌り込むようになるとき、オイルロックピース61とシール手段との間に出現する環状隙間をオイルロックケース62内からの作動流体が通過することになり、このときクッション効果が得られる。
そして、このオイルロック機構6において、オイルロックケース62がオイルロックピース61を導入させる開口を形成する開口端部の内周側部にシール手段を有するから、オイルロックピース61のオイルロックケース62内に嵌り込むときにシール手段がオイルロックケース62内に作動流体を閉じ込め、オイルロック機能が発揮されてオイルロックピース61がそれ以上オイルロックケース62内に嵌り込むことがなく、ダンパにおいて、つまり、フロントフォークにおいて底突きが回避される。
さらに、このオイルロック機構6において、オイルロックケース62内に嵌り込んだオイルロックピース61がオイルロックケース62内から抜け出るようになるとき、シール手段が環状溝の側壁から離座して下方室R2からの作動流体のオイルロックケース62内への流入を許容するから、オイルロックピース61がオイルロックケース62内から抜け出なくなるダンパの、つまり、フロントフォークの作動不能状態の招来を回避できる。
ところで、この発明にあっては、前記したように、主たる減衰機構の他に、補助減衰機構10を有してなる。
そして、この発明にあって、主たる減衰機構がピストン5に設けられる、つまり、ダンパ内に設けられるとしたのに対して、補助減衰機構10は、ダンパの外、すなわち、リザーバRに設けられる。
以下に説明すると、補助減衰機構10は、図1および図3に示すように、前記したネジ筒101、すなわち、シリンダ3が有するロッドガイド31の上端に筒状に形成されて起立し軸芯部にロッド4を挿通させるネジ筒101と、このネジ筒101に螺装されて回動するときロッド4の軸線方向、すなわち、上下方向に移動する環状板102とを有してなる。
そして、環状板102は、板厚を上下方向に貫通してこの環状板102の上下側の連通を許容する複数の通孔102aを有し、この複数の通孔102aを作動流体が通過するときに減衰作用がなされるとしている。
ちなみに、上記の通孔102aの形成に代えて、環状板102の外周とこれが対向する車輪側チューブ2の内周との間に作動流体の通過を許容する環状隙間S3を出現させ、この環状隙間S3を作動流体が通過するときに減衰作用がなされるとしても良く、この場合には、環状板102の形成にあって、通孔102aを設ける場合に比較して、部品形成を安価にできる点で有利となる。
なお、この補助減衰機構10にあっては、環状板102のネジ筒101に対する定着位置を固定するロックナット103がネジ筒101に螺装されて環状板102に隣接する。
それゆえ、この補助減衰機構10にあっては、作動流体の流体面Oの位置が環状板102の下方となるとき、所定の減衰作用をなす。
つまり、たとえば、フォーク本体が中立状態にあるときに、フォーク本体が収縮作動して環状板102の下方にある流体面Oが上昇し、作動流体が環状板102を言わば飲み込むような状態になるときには、環状板102が有する通孔102aを作動流体が通過することになり、このとき、所定の減衰作用がなされる。
そして、フォーク本体の収縮作動が比較すれば高速となる場合には、環状板102における通孔102aを作動流体が通過するとき、大きな抵抗を生じることになり、このときのエネルギーロスが減衰作用になる。
それゆえ、この補助減衰機構10にあっては、たとえば、環状板102の板厚、つまり、通孔102aの長さ、さらには、通孔102aの径などの設定が任意にされることで、ピストン5における減衰機構における減衰作用に加えて、さらなる効果的な減衰作用の実現を可能にし得ることになる。
その一方で、この補助減衰機構10を利用する際に、作動流体の流体面Oの位置を変更することで、減衰作用が発現されるタイミングを変更することが可能になる。
この補助減衰機構10にあって、減衰作用が発現されるタイミングを変更するについては、環状板102のネジ筒101への螺装位置を高低調整することでも可能になる。
つまり、この発明にあっては、補助減衰機構10に対する作動流体の流体面Oの位置を高低変更することと、補助減衰機構10における環状板102のネジ筒101に対する螺装位置を高低変更することとがいわゆる調整要素になり、したがって、たとえば、前記した特許文献1に開示の提案のように、絞り部材が固定配置とされ、調整要素が作動流体の流体面Oの位置だけとされる場合に比較して、より多岐になる調整を実践できることになる。
それゆえ、この発明にあっては、フォーク本体の伸縮作動時にダンパ内に設けられる主たる減衰機構で所定の主たる減衰作用をなし得ると共にダンパの外のリザーバRに設けられる補助減衰機構10で所定の補助となる減衰作用をなし得ることになり、油圧緩衝器における減衰作用の設定の自由度を増すことになる。
このとき、補助減衰機構10にあっては、リザーバRにおける環状板102の高さ位置、つまり、作動流体の流体面Oに対する環状板102の高さ位置を変更し得るから、作動流体の流体面Oの高さ位置を変更し得ることと併せると、多岐になる減衰作用をなすことを可能にする。
すなわち、たとえば、フォーク本体が中立状態にあるときに、フォーク本体が比較すれば低速で収縮作動して環状板102の下方にある流体面Oが比較すれば低速で上昇し、したがって、作動流体が環状板102と車輪側チューブ2との間の環状隙間S3を通過して、環状板102の上方に流入するようになり、環状隙間S3を作動流体が通過することで、所定の減衰作用がなされることになる。
そして、中立状態にあるフォーク本体が比較すれば高速で収縮作動して環状板102の下方にある流体面Oが比較すれば高速で上昇し、したがって、作動流体が環状板102に形成の通孔102aを言わば強制的に通過することになり、その分エネルギーロスが大きくなり、高い減衰作用を期待できることになる。
以上のように、この発明による油圧緩衝器にあっては、ダンパ内の主たる減衰機構のなす減衰作用に加えて、補助減衰機構10による補助の減衰作用を合成できるから、主たる減衰機構で保障し切れない減衰作用をなすことが可能になり車両におけるより好ましい乗り心地を得ることが可能になる。
すなわち、たとえば、ジャンプ後の二輪車が前輪から着地したり、走行中の二輪車が急制動したりして、フロントフォーク、つまり、フォーク本体が高速下に大きいストロークで収縮作動するときに、ダンパ内の主たる減衰機構の言わば能力を超える部分の減衰作用を補助減衰機構10に負担させることが可能なり、二輪車における乗り心地をより改善することが可能になる。
前記したところでは、補助減衰機構10の作動条件として、作動流体の流体面Oの位置が補助減衰機構10の下方にあるとしたが、この補助減衰機構10が機能するところを勘案すると、流体面Oの位置が補助減衰機構10の上方にある、つまり、補助減衰機構10が作動流体中にあるとしても、その機能するところは異ならないと言い得る。
また、前記したところでは、補助減衰機構10における環状板102を螺装させるネジ筒101がシリンダ3の上端から上方に起立するとしたが、これに代えて、図示しないが、ネジ筒101がダンパにおける上端側部材とされてリザーバRに露呈するロッド4の基端部あるいは基端部近傍から下方に向けて垂下されてなるとしても良く、この場合には、車体側チューブ1の上端部からキャップ部材を取り外して車体側チューブ1を下降させるときに、ネジ筒101およびこのネジ筒101に螺装される環状板102をすぐさま視界に入れることが可能になる点で有利となる。