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JP5792664B2 - 使用済活性炭の再生方法、賦活活性炭およびその製造方法 - Google Patents

使用済活性炭の再生方法、賦活活性炭およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、排水処理や浄水処理など水処理で使用される使用済活性炭の再生方法、賦活活性炭およびその製造方法に関するものである。
活性炭は石炭やヤシ殻等を原料とし、炭化後、賦活することで新品の活性炭(以下「新炭」ともいう)が得られる。活性炭は、石油ピッチ、石炭、コークスなどの鉱物系原料、木材、ヤシ殻等の果実殻などの植物系原料を炭化(熱処理)し、あるいはその熱処理に加えて賦活化して得られる。
活性炭吸着性能が低下した活性炭は活性炭吸着塔から排出されて、劣化炭(以下「使用済活性炭」ともいう)となる。使用済活性炭は乾燥、賦活再生工程を経て再生炭となり、再度、活性炭吸着装置に充填されて使用される。
新炭の原料由来や使用済活性炭に付着するアルカリ金属やアルカリ土金属類が炭化・賦活の際に金属酸化物になって新炭や使用済活性炭に存在する。活性炭中のこれら金属酸化物は、活性炭が水と接触することで徐々に水側に溶出して活性炭層を通過した活性炭処理水がアルカリ性を示す。
新炭や再生炭を塩酸など鉱酸で洗浄することで活性炭に含まれる酸化カルシウムや酸化マグネシウムなどのアルカリ金属酸化物や、炭酸カルシウムや炭酸マグネシウムなどの炭酸塩を除去する。更に活性炭に残留する塩酸を除去するための水洗をした後に新炭や再生炭のpH調製品として出荷される。
賦活方法は、大別して塩化亜鉛等の薬品を用いる薬品賦活法と、水蒸気、二酸化炭素等を用いるガス賦活法がある。一般的に薬品による賦活は、炭素材料と薬品の分離、分離後の薬品の処理等に問題があり、コストが高いという欠点がある。そのため、水蒸気等によるガス賦活法が多く採用されている。この水蒸気賦活を行うための装置としては、ロータリーキルン、流動賦活炉、多段流動炉等が用いられている。
図1と、図2で浄水高度処理フローを説明する。
図1は、活性炭を組み込んだ浄水高度処理フローの概略図である。
河川水や湖水を水道原水とし、ここへPACや硫酸バンドなどの無機凝集剤を添加して、凝集沈殿処理により懸濁物質や一部溶解性有機物や色度成分を除去する。その後、砂ろ過により凝集沈殿処理水に残留する懸濁物質や微細凝集フロックをろ過する。ろ過水を活性炭充填層に通水することで、溶解性有機物や中塩素処理で浄水処理工程時に生成するトリハロメタンなどを吸着除去する。活性炭の目的は上記有機物を吸着処理で除去することである。
この方式はGAC処理と呼ばれている。
図2は、生物活性炭を組み込んだ浄水高度処理フローの概略図である。
水道原水を凝集沈殿処理、砂ろ過後、ろ過水とオゾンを接触させて、水道原水の凝集沈殿処理で除去できない有機物や色度成分をオゾンの酸化力で酸化し、有機物の低分子化と脱色を行う。オゾン処理水を活性炭充填層に通水することで、残留有機物の吸着除去に加えて、活性炭表面に生息する微生物による生物分解と、水道原水のアンモニア性窒素の酸化(硝化)を行うことで、水道原水からアンモニア性窒素が除去される。アンモニア性窒素が除去されることにより、後段の塩素使用量削減や、浄水処理工程中での塩素による消毒副生成物であるトリハロメタンなどの有機塩素化合物の生成が抑制される。
この方式はBAC処理と呼ばれている。
図3は、工場等の製造工程で使用される用水の処理フローの概略図である。
用水処理での活性炭吸着塔への流入水、被処理水は、工業用水や河川水を凝集沈殿処理・砂ろ過処理したものや水道水である。活性炭による除去対象物質は残留塩素、かび臭、トリハロメタン前駆物質の有機物、色度成分などである。
活性炭の吸着性能が低下した活性炭は、装置から取り出されて、代わりに新炭または再生炭が充填される。活性炭吸着塔から取り出された使用済活性炭は、再生設備を有する工場で新炭の性能に近い状態まで再生される。
図4は、排水処理フローの概略図である。
排水の種類は、下水、し尿、浄化槽汚泥、各種工場排水、埋立地浸出水などである。
排水処理での活性炭の目的はCODや色度除去である。排水処理での活性炭吸着塔への流入水である被処理水は、排水を生物処理・凝集膜ろ過水や生物処理・凝集沈殿処理・砂ろ過処理したものや凝集膜ろ過水やMF膜ろ過水、SS濃度10mg/L以下の懸濁物質が少ない排水や製造工程水の回収水などである。図5に排水処理における活性炭処理フローの概略図を示す。
排水を凝集沈殿装置にて処理してSSやCODなど除去した後に、凝集沈殿処理水にリークする水酸化物などの粒子を砂ろ過などでろ過し、活性炭層の閉塞を防止したうえで活性炭吸着塔へ通水される。活性炭吸着塔からの活性炭処理水を放流したり、再利用水として場内などで利用する。
排水処理では活性炭吸着塔への通水のSVは1.0〜5h-1である。排水の活性炭処理対象成分の活性炭への吸着しやすさやその吸着量、また、活性炭処理水の水質要求、放流水基準値などよりSVが決定される。活性炭への吸着しにくく、吸着量が少なく、また、活性炭処理水の水質要求が厳しいほどSVを小さくして、被処理水と活性炭の接触時間を長くする必要がある。
図5で活性炭再生フローを説明する。
浄水場から搬入された使用済活性炭の含水率が約40質量%あり、このままでは再生できないので、乾燥温度100〜110℃、乾燥時間約30分間で乾燥することで水分除去を行う。乾燥方式は外熱式でも、乾燥用熱風を乾燥機に送り込み、気流乾燥方式でも良い。
乾燥した使用済活性炭は、800〜950℃で、60〜90分間、賦活再生を行う。賦活再生炉には水蒸気を導入し、水性ガス化反応(1式)
C+H2O→CO+H2 (1)
により、使用済活性炭の有機物の酸化や再生炭の細孔形成を行う。
賦活再生温度が高かったり、水蒸気量が多いと、ヨウ素吸着性能が高まるが、硬さが低下し、再生炭が脆くなり、使用中に強度不足で活性炭が粉化したり、細分化されるために活性炭吸着池には使用できない。
賦活再生された再生炭は篩分されて、所定の粒度に調整される。篩下の微細活性炭は、産業廃棄物として処分されたり土壌改良剤などに有効利用される。
粒度調整された再生炭は、灰分を含み、そのままでは活性炭処理水のpHが高くなるで、これを防止するために酸洗浄される。酸はその塩化物の溶解度が高い塩酸の使用が一般的である。酸洗浄後、再生炭に残留する酸を除去するために水道水で水洗される。湿潤状態で出荷する場合は、水洗して水切りしたままで出荷される。乾燥状態で出荷する場合には、水切りした再生炭を乾燥して所定の荷姿、フレコンや紙袋詰めにした後に、出荷される。
特許文献1に記載の方法は、炭素質原料からの新活性炭の製造方法であり、再生方法でない。新炭製造において、アルカリ金属水酸化物や湿潤状態の炭素質原料を使用する。
炭素質原料を炭化処理した炭化物1質量部に対して、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物を1質量部〜10質量部、水を1質量部〜50質量部混合してなるスラリーを、800〜900℃で、10〜30秒間加熱する活性炭の製造方法である。
800℃より低いと、賦活の進行が遅いため、活性炭は十分に賦活されず、充分な比表面積が得られない。一方、反応器の加熱温度が900℃より高い場合は賦活反応と同時に炭素質の硬化が進み、賦活反応により生成した細孔が塞がれるため、比表面積が低くなるとともに、得られる活性炭が脆くなる。
特許文献2に記載の方法は、炭素質原料からの新活性炭の製造方法であり、再生方法でない。炭素を含む材料にアルカリ金属化合物の賦活剤を乾燥状態で(乾式混合法)混合して熱処理し、洗浄することにより細孔構造が制御された活性炭を製造する方法である。この方法は、アルカリ金属化合物の賦活剤を用いる方法であり、細孔構造を制御する活性炭の製造方法である。得られる活性炭の比表面積や全細孔容量、ミクロ孔容積、平均細孔径は熱処理温度でも制御される。また、賦活剤にはアルカリ金属の炭酸水素塩や炭酸塩が含まれる。
特開2011−79705号公報 特開2001−122608号公報
従来技術の第一の課題について、再生炭の吸着性能を高めるには、賦活再生条件を厳しくすること、つまり賦活焼成温度を高めたり、水性ガス化反応に必要な水蒸気量の増加する必要がある。この条件では、再生炭の吸着性能の指標の1つであるヨウ素吸着性能を高めることができるが、再生炭の強度の指標である硬さが維持できず、活性炭吸着池に充填する固定床の活性炭には使用できない。また、再生炭が脆くなることから、機械的強度が弱く、再生工程で粉化が起こり、再生炭の粒度、粒径が規格値や仕様範囲からずれることがあり、更に再生炭の収量低下が発生するという課題があった。
使用済活性炭の再生において、再生炭の強度を維持しつつ吸着性能を高めるには、賦活再生後の活性炭に残留する無機物の除去が重要である。再生炭の吸着性能に関わる細孔など塞ぐ無機物の除去は重要である。
第二の課題について、焼成時の熱影響で、生成した鉄、マンガン、アルミニウムの酸化物が酸洗浄で除去できずに、再生炭に残留して、吸着性能を低下させるという課題があった。
賦活再生時に、熱により使用済活性炭に含まれる金属水酸化物は酸化物に、アルカリ土類金属は、酸化物と炭酸塩になる。
無機凝集剤の主成分であるアルミニウムイオンは、凝集沈殿処理工程で加水分解されて、水酸化アルミニウムになる。水酸化アルミニウムの大部分は、凝集沈殿処理や砂ろ過で除去されるが、一部は活性炭吸着工程で活性炭に捕捉除去される。また、無機凝集剤の主成分であるアルミニウムイオンは、その大部分が水酸化アルミニウムとなり不溶化されるが、不溶化されなかったアルミニウムイオンや不溶化した水酸化アルミニウムからの再溶出するアルミニウムイオンや凝集フロックにならない微細な水酸化アルミニウム粒子が凝集沈殿処理や砂ろ過を素通りして、活性炭表面で水酸化アルミニウムとして捕捉除去される。
鉄系無機凝集剤の主成分である第2鉄イオンもアルミニウムイオンと同様にその大部分は、凝集沈殿処理や砂ろ過で除去されるが、一部は活性炭吸着工程で活性炭に捕捉除去されたり、溶解性の第2鉄イオンは、活性炭で水酸化鉄として捕捉除去される。水道原水中の鉄の形態は、水酸化鉄、炭酸鉄、リン酸鉄、第2鉄イオン、第1鉄イオンであり、第2鉄イオン、第1鉄イオンは溶解性であるが、活性炭充填層内で水酸化物の形態になり捕捉される。
また、アルミニウム系無機凝集剤の不純物としての鉄イオンやマンガンイオンや鉄系無機凝集剤の不純物としてのアルミニウムイオンやマンガンイオンなどが活性炭吸着工程で活性炭に捕捉除去される。
鉄イオンとアルミニウムイオンは水酸化物の形態で、マンガンイオンは水酸化物または酸化物の形態(二酸化マンガン)で活性炭吸着工程で活性炭に捕捉される。
活性炭に捕捉された金属水酸化物は、賦活焼成で熱影響により酸化物にその形態が変化し、酸に難溶解性になる。
一般には、再生炭の酸洗浄はアルカリ金属酸化物や、アルカリ土類金属酸化物のような希薄な酸でも除去できるものが対象で、塩酸濃度は0.2〜1重量%である。
このような希薄な酸濃度では、上記の金属酸化物は除去できても、無機凝集剤や水道原水に起因し、鉄、マンガン、アルミニウムが賦活焼成時に生成するそれらの酸化物となり、これは酸に難溶解性である。これらを除去するには塩酸濃度を5重量%以上、洗浄液の温度を60℃以上で数時間の洗浄時間が必要である。
水酸化アルミニウム Al(OH)3 → 酸化アルミニウム:Al23
水酸化鉄 Fe(OH)3 → 酸化鉄:Fe23
二酸化マンガン MnO2(熱影響により酸による除去が困難になる)
賦活再生炭を酸洗浄して金属酸化物と炭酸塩を除去する。
従来の目的は、再生炭を充填した活性炭吸着装置からの活性炭処理水のpH上昇を防止するためである。
酸洗浄には、洗浄効果が高い塩酸が使用される。
塩酸量の添加率は、0.005〜0.05kg−HCl/kg−乾燥再生炭である。
塩酸濃度は、0.2〜0.5%wt/volである。塩酸洗浄液量は、1〜5m3/m3−乾燥再生炭である。尚、乾燥再生炭の重量は1m3当たり約450kgである。
アルカリ土類金属の酸化物と炭酸塩やアルカリ金属の酸化物と炭酸塩は、活性炭処理水にアルカリ分を供給するので、活性炭処理水のpHが上昇する。
炭酸塩やアルカリ金属酸化物やアルカリ土類金属酸化物は25℃以下の常温でも容易に酸洗浄で除去できるが、その他の金属酸化物、酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化マンガンは酸洗浄では除去できない。
使用済活性炭には水道原水に起因するカルシウムやマグネシウム塩や前処理工程で使用される無機凝集剤に起因する鉄、マンガン、アルミニウムの水酸化物が存在する。これが、焼成時の熱影響で、カルシウムやマグネシウムは酸化物や炭酸塩に、鉄、マンガン、アルミニウムは酸化物が生成する。
カルシウムやマグネシウム酸化物や炭酸塩は、アルカリ性であるために、酸洗浄工程で薄い塩酸濃度でも短時間で焼成後の再生炭から除去される。しかし、鉄、マンガン、アルミニウムの酸化物は、酸に難溶解性であるために塩酸濃度を高かめても、洗浄時間を長くしても、洗浄温度を高めても、それらを除去するのは難しい。
従来、スケールの組成分析法として、これら酸に難溶解性の金属酸化物の溶解には、アルカリ溶融法が採用されている。アルカリ溶融法は、そのアルカリ溶融生成物が、弱酸で容易に溶解できる。
酸化アルミニウム:Al23+アルカリ→Al2(OH)3、NaAlO2
酸化鉄:Fe23+アルカリ→Fe(OH)3
つまり、難溶解性の金属酸化物にアルカリ金属塩、主に炭酸ナトリウムと溶融することで、難溶解性の金属酸化物を酸に溶解しやすいアルカリ塩にできる。
また、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムの融点は、それぞれ870℃、850℃であるが、炭酸ナトリウムと炭酸カリウムの等モル混合物の融点は780℃である。炭酸ナトリウムと炭酸カリウムの等モル混合物の融点が低いために低い温度でアルカリ溶融ができる。 本発明は前記の従来技術の課題を解決するために、鋭意研究の結果、考案されたものであり、吸着性能の高い使用済活性炭の再生方法、賦活活性炭およびその製造方法を提供するものである。
1の発明は、水処理で使用した使用済活性炭を乾燥し、前記乾燥後の使用済活性炭を賦活再生し、前記賦活再生された賦活活性炭を酸洗浄・水洗いし、前記乾燥前または乾燥後の使用済活性炭に炭酸水素塩と、炭酸塩との少なくともいずれか一方を添加することで、再生炭を得ることを特徴とする使用済活性炭の再生方法である。
また、第1の発明は、前記乾燥前または乾燥後の使用済活性炭に、炭酸水素ナトリウムと炭酸水素カリウムとの混合物、または、炭酸ナトリウムと炭酸カリウムとの混合物、または、炭酸水素ナトリウムと炭酸カリウムとの混合物、または、炭酸ナトリウムと炭酸水素カリウムとの混合物を添加することが好ましい。
また、第1の発明は、前記使用済活性炭が高度浄水処理で使用されたものであることが好ましい。
第2の発明は、水処理で使用した使用済活性炭を乾燥する乾燥工程と、前記乾燥前または乾燥後の使用済活性炭に炭酸水素塩と、炭酸塩との少なくともいずれか一方を添加する添加工程と、前記乾燥後の使用済活性炭を賦活再生して賦活活性炭を得る賦活工程と、前記賦活再生された賦活活性炭を酸洗浄・水洗いする酸洗浄・水洗工程と、を備えたことを特徴とする賦活活性炭の製造方法である。
第3の発明は、第2の発明の前記賦活活性炭の製造方法によって得られることを特徴とする賦活活性炭である。
活性炭に捕捉された金属水酸化物は、賦活焼成での熱影響により金属酸化物にその形態が変化し、酸に難溶解性になる。
水酸化アルミニウム Al(OH) 3 → 酸化アルミニウム:Al 2 3
水酸化鉄 Fe(OH) 3 → 酸化鉄:Fe 2 3
二酸化マンガン MnO 2 (熱影響により酸による除去が困難になる)
つまり、賦活焼成前に、使用済活性炭に炭酸水素塩または炭酸塩を共存させることで賦活焼成での熱影響を受けて難溶解性の金属酸化物になるのを防止し、賦活焼成で酸に可溶の金属水酸化物または炭酸塩にする。
酸化アルミニウム:Al 2 3 +アルカリ→Al 2 (OH) 3 、NaAlO 2
酸化鉄:Fe 2 3 +アルカリ→Fe(OH) 3
二酸化マンガン:MnO 2 +アルカリ→Mn(OH) 4
この結果、本発明の作用・効果は以下の通りである。
(1)賦活再生後の活性炭に残留する金属酸化物を酸に可溶の金属水酸化物または炭酸塩にすることで、酸洗浄で容易に除去して、再生炭の強度を維持しつつ、再生炭のヨウ素吸着性能を高めることができる。
(2)酸に易溶解性の金属酸化物でき、酸洗浄における酸濃度を低く、洗浄時間の短縮ができ、また、後段の水洗も簡素化できる。
(3)活性炭の炭素骨格が損傷する過再生が防止でき、再生炭の硬さを高めることができる。
活性炭を組み込んだ浄水高度処理フローを示す概略図である。 生物活性炭を組み込んだ浄水高度処理フローを示す概略図である。 用水処理における活性炭処理フローを示す概略図である。 排水処理における活性炭処理フローを示す概略図である。 活性炭処理フローを示す概略図である。 本発明の活性炭処理フローを示す概略図である。 本発明の活性炭処理フローを示す別の概略図である。
本発明では炭酸水素塩および/または炭酸塩が使用される。炭酸水素塩および炭酸塩は特に限定されない。また、後に詳細に説明するように、2種類以上の炭酸水素塩および炭酸塩を混合して用いることが好ましい。またナトリウムの炭酸水素塩や炭酸塩と、カリウムの炭酸水素塩や炭酸塩を組み合わせて用いることが好ましい。
炭酸水素塩は、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどが使用できるが、安価な炭酸水素ナトリウムが好適である。炭酸塩は、炭酸ナトリウム(Na2CO3)や炭酸カリウム(K2CO3)などが使用できるが、安価な炭酸ナトリウムが好適である。一般に炭酸塩の溶解度が炭酸水素塩のそれより低く、水と接触させると、部分的に固化し、溶解が困難になる場合があるので、作業としては炭酸水素ナトリウムが好適である。
図6に本発明の再生方法のフローを例示する。湿潤状態の使用済活性炭と、炭酸水素塩および/または炭酸塩と混合して乾燥後、賦活再生する活性炭再生フローを説明する。
湿潤状態の使用済活性炭の含水率は特に限定されないが、例えば40質量%の含水率の使用済活性炭を処理することができる。後述する図7に示す本発明の再生方法においても同様である。
例えば、その含水率が約40質量%で湿潤状態の使用済活性炭と炭酸水素塩および/または炭酸塩を混合し、得られた混合物を乾燥する。湿潤状態で炭酸水素塩および/または炭酸塩を添加することで、炭酸水素塩および/または炭酸塩が、使用済活性炭の細孔内部まで浸透する。その後、炭酸水素塩および/または炭酸塩が添加された使用済活性炭を乾燥し、賦活焼成を行う。炭酸水素塩および/または炭酸塩共存下で賦活再生することで、酸洗浄で除去しにくい酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化マンガンの金属酸化物が、それらの炭酸塩や水酸化物等になり、酸洗浄で容易に除去できる形態にすることができる。また、炭酸水素塩および/または炭酸塩共存下で、炭酸カルシウムや炭酸マグネシウムのアルカリ土類の炭酸塩も同時に酸洗浄で除去される。
再生炭の篩分を行い、再生炭の酸洗浄・水洗工程、乾燥工程を経て製品化される。
炭酸水素塩または炭酸塩添加量は、乾燥使用済活性炭単位重量当たり0.005〜0.2kg−炭酸水素塩または炭酸塩/kg−乾燥使用済活性炭であることが好ましい。ここで「炭酸水素塩または炭酸塩」は、炭酸水素塩と炭酸塩との一方または両方を意味するものとする。
0.005kg−炭酸水素塩または炭酸塩/kg−乾燥使用済活性炭未満の場合、ヨウ素吸着性能が低くなる可能性がある。また、0.2kg−炭酸水素塩または炭酸塩/kg−乾燥使用済活性炭を超えると、再生炭と炭酸水素塩または炭酸塩の混合がうまくできない可能性があり、その場合、局部的に炭酸水素塩または炭酸塩の多い原料が賦活焼成炉に入るので炉の耐火煉瓦が損傷する可能性がある。また、その場合、酸洗浄用の塩酸使用量が多くなり、酸洗浄廃液の中和用アルカリ剤の使用量が増加する可能性がある。
炭酸水素塩は、熱分解される。
炭酸水素ナトリウムは、約270℃で以下のように熱分解して、炭酸ナトリウムと炭酸ガスに分解される。
2NaHCO3→Na2CO3+CO2+H2
炭酸水素カリウムについても熱分解して、炭酸カリウムと炭酸ガスに分解される。
2KHCO3→K2CO3+CO2+H2
結果的に炭酸水素ナトリウムや炭酸水素カリウムを使用しても賦活再生温度域で熱分解により炭酸ナトリウムや炭酸カリウムを生成する。
炭酸水素塩または炭酸塩の使い分けは、使用済活性炭が湿潤状態であれば、炭酸水素塩を使用することが好ましく、乾燥状態であれば炭酸水素塩や炭酸塩を使用することが好ましい。また、一般的に炭酸塩の方が吸湿性が高いので、ハンドリングとしては使用済活性炭の湿潤状態や乾燥状態を問わず炭酸水素塩は好適である。
炭酸ナトリウム、炭酸カリウムの融点は、それぞれ870℃、850℃であり、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムは800℃から1000℃までの賦活再生温度域で本発明の効果達成に変化はない。850℃以上で溶融し、溶融した炭酸ナトリウムや炭酸カリウムは再生炭の鉄を含む金属酸化物を酸に易溶解性物質に転換する。
図7に本発明の活性炭再生フローを例示する。使用済活性炭を乾燥して炭酸水素塩および/または炭酸塩との混合し、賦活再生する活性炭再生フローを説明する。
その含水率が約40質量%で、湿潤状態の使用済活性炭をまず乾燥し、乾燥後に炭酸水素塩および/または炭酸塩を混合し、その混合物を賦活再生する。
使用済活性炭の乾燥品と炭酸水素塩および/または炭酸塩との混合は、使用済活性炭の乾燥品が排出される乾燥機出口部において炭酸水素塩および/または炭酸塩を添加し、使用済活性炭の乾燥品と炭酸水素塩および/または炭酸塩との混合物をフレコンや貯槽に一旦貯留することで行うことができる。機械撹拌などで乾燥品と炭酸水素塩および/または炭酸塩とを混合すると、乾燥品が磨滅する場合があるので、混合方法としては好ましくない。
使用済活性炭の乾燥品と炭酸水素塩および/または炭酸塩の混合は、予め完全に行わなくてもよい。次工程の賦活再生炉における概ね前半部において、乾燥品と炭酸水素塩および/または炭酸塩とが流動して混合されるからである。
また、乾燥工程で、乾燥機に使用済活性炭と炭酸水素塩および/または炭酸塩を同時に添加し、乾燥機内で使用済活性炭と炭酸水素塩および/または炭酸塩との混合と、使用済活性炭の乾燥を同時に行うことができる。このような場合も、本発明の範囲内である。
その後、再生炭の篩分を行い、再生炭の酸洗浄・水洗工程、乾燥工程を経て製品化される。
炭酸水素塩および/または炭酸塩添加量の測定方法は、以下の方法が使用できるが、特に制限はない。
(1)破砕または粒状・球状活性炭の乾燥または湿潤試料(使用済活性炭の乾燥重量で)5gと純水200mlを密閉容器に入れて、その容器を100〜110℃で60分間オートクレーブで加熱処理して溶出液を調製する。冷却後、溶出液について、JIS K0102のpH4.8酸消費量(上水試験方法では総−アルカリ度、M−アルカリ度)を測定し、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸水素カリウムまたは炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムに換算する。
(2)次に、別に炭酸水素塩や炭酸塩を含まない上記湿潤試料(使用済活性炭)の乾燥減量を測定(JIS K1474による)し、上記の炭酸水素塩または炭酸塩添加量を乾燥活性炭重量あたり換算する。
再生炭の吸着性能を高めるには、賦活再生条件を厳しくすること、つまり賦活焼成温度を高める、水性ガス化反応に必要な水蒸気量の増加する必要がある。この条件では、再生炭の吸着性能の指標の1つであるヨウ素吸着性能を高めることができるが、再生炭の強度の指標である硬さが維持できず、活性炭吸着池に充填する固定床の活性炭には使用できない。また、再生炭が脆くなることから、機械的強度が弱く、再生工程で粉化が起こり、再生炭の粒度、粒径が規格値や仕様範囲からずれることがあり、更に再生炭の収量低下が発生する。
使用済活性炭の再生において、再生炭の強度を維持しつつ吸着性能を高めるには、賦活再生後の活性炭に残留する無機物の除去は重要である。再生炭の吸着性能に関わる細孔など塞ぐ無機物の除去は重要である。
使用済活性炭には水道原水に起因するカルシウムやマグネシウム塩や、前処理工程で使用される無機凝集剤に起因する鉄、マンガン、アルミニウムの水酸化物が存在する。これらは焼成時の熱影響で、カルシウムやマグネシウムは酸化物や炭酸塩を生成し、鉄、マンガン、アルミニウムは酸化物を生成する。
カルシウムやマグネシウム酸化物や炭酸塩は、アルカリ性であるために、酸洗浄工程で薄い塩酸濃度で短時間で焼成後の再生炭から除去される。しかし、鉄、マンガン、アルミニウムの酸化物は、酸に難溶解性であるために塩酸濃度を高めても、洗浄時間を長くしても、洗浄温度を高めても、それらを除去するのは難しい。
難溶解性の金属酸化物の溶解には、アルカリ溶融法が採用されている。つまり、難溶解性の金属酸化物を主に炭酸ナトリウムで溶融することで、難溶解性の金属酸化物を酸に溶解しやすいアルカリ塩や炭酸塩にできる。また、炭酸ナトリウムと炭酸カリウムの混合物(好ましくは等モル混合物)を使用することで、溶融温度を低下できる。
炭酸ナトリウムと炭酸カリウムの混合物(好ましくは等モル混合物)でも炭酸水素ナトリウムと炭酸水素カリウムの混合物(好ましくは等モル混合物)でも、炭酸水素ナトリウムと炭酸カリウムの混合物(好ましくは等モル混合物)でも炭酸ナトリウムと炭酸水素カリウムの混合物(好ましくは等モル混合物)でも任意の組合せでよい。
ナトリウム塩とカリウム塩との混合比率は、ナトリウム塩1モルに対してカリウム塩が0.9〜1.1モルが好ましい。ナトリウム塩1モルに対してカリウム塩が0.9モル未満やナトリウム塩1モルに対してカリウム塩が1.1モルを超えると、洗浄後の再生炭に鉄を含む金属酸化物の含有量が多くなる可能性があり、ヨウ素吸着性能が低下する可能性がある。
本発明の再生方法において、使用済活性炭を乾燥する方法は特に限定されず、例えば従来公知の方法を用いることができる。また、水蒸気賦活する方法も特に限定されず、例えば従来公知の方法を用いることができる。
本発明の再生方法において、使用済活性炭は水処理で使用したものであれば特に限定されないが、高度浄水処理で使用されたものであることが好ましい。前段での無機凝集剤の使用による活性炭への金属水酸化物の蓄積、活性炭使用年数の長期化による賦活焼成再生炭への金属酸化物の残留・酸洗浄での除去困難の理由で高度浄水処理に供された使用済活性炭を用いることが好ましい。
また、本発明は、水処理で使用した使用済活性炭を乾燥し、水蒸気賦活再生して賦活活性炭を得る、賦活活性炭の製造方法であって、乾燥前または乾燥後の使用済活性炭に炭酸水素塩および/または炭酸塩を添加する添加工程を備える、賦活活性炭の製造方法である。
また、本発明はこのような製法方法によって得られる賦活活性炭である。
<実施例1>
都市河川水を水道原水とし、これを無機凝集剤のPACで凝集沈殿、砂ろ過、オゾン接触後に生物活性炭処理設備によって処理するプロセスにおいて、活性炭吸着池から採取した、新炭充填後、約4年間経過した浄水高度処理用使用済活性炭(石炭系破砕炭のエバダイヤLG−20S、(旧)荏原エンジニアリングサービス株式会社製(現)水ing株式会社製))を実験に供した。
表1に使用済活性炭の性状と分析方法を示す。なお、以下の実施例および比較例において、分析方法は表1に示した方法と同様である。
また、以下において乾燥活性炭とは、乾燥状態の(または乾燥状態と仮定した場合の)使用済活性炭を意味するものとする。
Figure 0005792664
表1に示した含水率35質量%の使用済活性炭:2kgを、炭酸水素ナトリウム(和光純薬工業株式会社製、粉末品):0.1kg/kg−乾燥使用済活性炭と共に容量3リットルのビニル袋に入れて混合した。
次に、炭酸水素ナトリウムが添加された使用済活性炭をステンレス製のバットに入れて、100〜105℃で6時間乾燥した。そして、乾燥後の、炭酸水素ナトリウムが添加された使用済活性炭の約0.5kgを活性炭再生装置(株式会社マツボー製、電気外熱式ロータリーキルン式バッチ炉、キルン容積約10リットル)にセットし、約60分間で所定の賦活焼成温度まで昇温させた。賦活焼成温度を800〜1000℃、賦活焼成時間を30〜90分の範囲で変更し、窒素濃度99.999体積%の高純度窒素をガス流量10リットル/分で連続通気させた窒素雰囲気中で、水蒸気賦活再生した。なお、実施例での窒素ガスの使用は、実際の再生炉における活性炭再生時の低酸素状態を回分試験で模擬するためのものであり、本発明の技術が高純度窒素ガスの使用を前提としたものを意味するものではない。ここで賦活焼成温度に達した後に5ml/分で連続的に水分を炉内に供給し、再生炭を得た。
次に、賦活再生した再生炭をJIS標準篩(目開き0.85mm)でふるい、その篩上に残った再生炭約0.4kgから0.1kgを分取し、塩酸濃度1重量%の洗浄液量0.5リットルを30℃に調整したものを用いて30分間塩酸洗浄した(すなわち洗浄温度を30℃とし、洗浄時間を30分間として塩酸洗浄した)。塩酸洗浄後、乾燥使用済活性炭重量の5倍重量(約0.5リットル)の水道水(pH:7.3)で、3回水洗した。すなわち、塩酸洗浄後、活性炭を目開き0.3mmの篩に入れて約5分間水切りし、容量1リットルのポリエチレン製ビーカーに水切り後の活性炭と水道水0.5リットルを入れて、それらを緩やかにガラス棒で約5分間撹拌し、同様に水切りする操作を3回行った。水洗後の活性炭を水切りした後に、上記と同様の乾燥条件(すなわちステンレス製のバットに入れて、100〜105℃で6時間乾燥)で乾燥し、本発明の再生炭を得た。
表2に炭酸水素ナトリウム添加率を0.1kg/kg−乾燥使用済活性炭とした場合の再生炭の性状を示す。
Figure 0005792664
表2から、賦活焼成温度が高くなると、再生炭の硬さが低下する傾向があることがわかる。また、賦活焼成温度が低くなると、ヨウ素吸着性が回復し難くなる傾向があることがわかる。また、賦活焼成温度が900℃程度の場合に、再生炭の硬さが高く、さらにヨウ素吸着性の回復も良好であることがわかる。
上記では、炭酸水素ナトリウム添加率を0.1kg/kg−乾燥使用済活性炭とし、乾燥後に、賦活焼成温度を800〜1000℃、賦活焼成時間を30〜90分として処理したが、次に、同様の使用済活性炭:2kgに対して、炭酸水素ナトリウム添加率を0.005〜0.5kg/kg−乾燥使用済活性炭の範囲で変更し、賦活焼成温度を900℃、賦活焼成時間を30分とし、それ以外は上記と同様にして賦活再生、篩分け、酸洗浄、水洗、水切り、乾燥処理した。
表3に炭酸水素ナトリウム添加率を0.005〜0.5kg/kg−乾燥使用済活性炭とした場合の再生炭の性状を示す。
Figure 0005792664
次に、上記と同様に、炭酸水素ナトリウム添加率を0.1kg/kg−乾燥使用済活性炭とし、乾燥後に、賦活焼成温度を900℃、賦活焼成時間を30分として処理し、同様に水蒸気賦活再生処理した。そして、上記では、塩酸濃度1重量%を用いて洗浄温度を30℃、洗浄時間を30分間として塩酸洗浄したが、洗浄温度を30〜50℃、洗浄時間を30〜60分間の範囲内で変更し、それ以外は上記と同様にして水洗、水切り、乾燥処理した。
なお、3回目の水洗水のpHは、いずれの場合も6.1であった。
表4に洗浄温度および洗浄時間を変更した場合の再生炭の性状を示す。なお、カルシウム含有率およびマグネシウム含有率は、いずれも50mg/kg以下であった。
Figure 0005792664
次に、上記と同様に、炭酸水素ナトリウム添加率を0.1kg/kg−乾燥使用済活性炭とし、乾燥後に、賦活焼成温度を900℃、賦活焼成時間を30分として処理し、同様に水蒸気賦活再生処理した。そして、上記では、塩酸濃度1重量%を用いて洗浄温度を30℃、洗浄時間を30分間として塩酸洗浄したが、塩酸濃度を0.2〜3.0重量%の範囲で変更し、洗浄温度を40℃、洗浄時間を30分間とし、それ以外は上記と同様にして水洗、水切り、乾燥処理した。
なお、3回目の水洗水のpHは、いずれの場合も6.1であった。
表5に塩酸濃度を変更した場合の再生炭の性状を示す。なお、カルシウム含有率およびマグネシウム含有率は、いずれも50mg/kg以下であった。
Figure 0005792664
上記の結果より、実施例1における最適再生条件は、以下のとおりである。
炭酸水素ナトリウム添加率:0.1kg/kg−乾燥使用済活性炭
賦活焼成条件:賦活焼成温度900℃、賦活焼成時間30分間
塩酸洗浄条件:塩酸濃度1重量%、洗浄液量0.5リットル
洗浄温度40℃、洗浄時間30分間
また、上記の実施例1の結果より、焼成前に炭酸水素ナトリウムを使用済活性炭に含有させておくことで、酸洗浄による鉄、マンガン、アルミニウムの酸化物の除去効果が高く、酸に容易に溶解除去されるカルシウムやマグネシウム酸化物や炭酸塩と同様に、鉄、マンガン、アルミニウムの酸化物は、薄い塩酸濃度で短時間で焼成後の再生炭から除去されることがわかる。したがって、活性炭細孔内部の鉄、マンガン、アルミニウムの酸化物が除去されて、再生炭のヨウ素吸着性能が高まると考えられる。
<実施例2>
実施例1では炭酸水素ナトリウムを用いたが、実施例2では炭酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製、粉末品)を用いて、その他については、同様の実験を行った。すなわち、実施例2では、表1に示した含水率35質量%の使用済活性炭:2kgを、炭酸ナトリウムと共に容量3リットルのビニル袋に入れて混合した。ここで、炭酸ナトリウム添加率を0.005〜0.5kg/kg−乾燥使用済活性炭の範囲で変更した。そして、その後、実施例1の場合と同様に乾燥し、乾燥後の、炭酸ナトリウムが添加された使用済活性炭の約0.5kgを活性炭再生装置にセットし、賦活焼成温度を900℃、賦活焼成時間を90分とし、窒素濃度99.999体積%の高純度窒素をガス流量5リットル/kg−乾燥使用済活性炭/分で連続通気させた窒素雰囲気中で、水蒸気賦活再生した。ここで賦活焼成温度に達した後に10kg/kg−乾燥使用済活性炭で連続的に水分を炉内に供給し、再生炭を得た。次に、賦活再生した再生炭を実施例1と同様にJIS標準篩(目開き0.85mm)を用いてふるい、その篩上に残った再生炭約0.4kgから0.1kgを分取し、塩酸濃度1重量%の洗浄液量0.5リットルを用いて、洗浄温度を30℃、洗浄時間を30分間として塩酸洗浄した。そして、塩酸洗浄後、乾燥使用済活性炭重量の5倍重量(約0.5リットル)の水道水(pH:7.3)で、3回水洗した。すなわち、塩酸洗浄後、活性炭を目開き0.3mmの篩に入れて約5分間水切りし、容量1リットルのポリエチレン製ビーカーに水切り後の活性炭と水道水0.5リットルを入れて、それらを緩やかにガラス棒で約5分間撹拌し、同様に水切りする操作を3回行った。水洗後の活性炭を水切りした後に、上記と同様の乾燥条件で乾燥し、本発明の再生炭を得た。
表6に炭酸ナトリウム添加率を0.005〜0.5kg/kg−乾燥使用済活性炭とした場合の再生炭の性状を示す。
Figure 0005792664
<実施例3>
実施例1または実施例2では、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムを用いたが、実施例3では、炭酸水素ナトリウムと炭酸水素カリウムとの等モル混合物、または炭酸ナトリウムと炭酸カリウムとの等モル混合物を用い、その他については実施例1と同様の実験を行った。すなわち、以下のような実験を行った。
なお、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムは、いずれも和光純薬工業株式会社製の粉末品である。また、炭酸水素ナトリウムと炭酸水素カリウムとの等モル混合物とは、例えば、炭酸水素ナトリウム(分子量84)84gと炭酸水素カリウム(分子量100)100gの混合物である。また、炭酸ナトリウムと炭酸カリウムの等モル混合物とは、例えば、炭酸ナトリウム(分子量106)106gと炭酸カリウム(分子量138)138gの混合物である。
また、以下では、炭酸水素ナトリウムと炭酸水素カリウムとの等モル混合物、および炭酸ナトリウムと炭酸カリウムとの等モル混合物を、単に、等モル混合物ともいう。
実施例3では、初めに、表1に示した含水率35質量%の使用済活性炭:2kgを、等モル混合物と共に容量3リットルのビニル袋に入れて混合した。ここで、等モル混合物の添加率を0.005〜0.5kg/kg−乾燥使用済活性炭の範囲で変更した。そして、その後、実施例1と同様に乾燥し、乾燥後の、前記等モル混合物が添加された使用済活性炭の約0.5kgを活性炭再生装置にセットし、賦活焼成温度を900℃、賦活焼成時間を90分とし、窒素濃度99.999体積%の高純度窒素をガス流量10リットル/分で連続通気させた窒素雰囲気中で、水蒸気賦活再生した。また、実施例1と同様に、賦活焼成温度に達した後に5ml/分で連続的に水分を炉内に供給した。次に、賦活再生した再生炭を実施例1と同様にJIS標準篩(目開き0.85mm)を用いてふるい、その篩上に残った再生炭約0.4kgから0.1kgを分取し、塩酸濃度1重量%の洗浄液量0.5リットルを用いて、洗浄温度を30℃、洗浄時間を30分間として塩酸洗浄した。そして、塩酸洗浄後、実施例1と同様に水道水で水洗し、水切りし、乾燥して、本発明の再生炭を得た。
表7に炭酸水素ナトリウムと炭酸水素カリウムとの等モル混合物の添加率を0.005〜0.5kg/kg−乾燥使用済活性炭とした場合の再生炭の性状を示す。また、表8に炭酸ナトリウムと炭酸カリウムとの等モル混合物の添加率を0.005〜0.5kg/kg−乾燥使用済活性炭とした場合の再生炭の性状を示す。
Figure 0005792664
Figure 0005792664
表7および表8と、実施例1および実施例2とを対比すると、炭酸水素ナトリウムと炭酸水素カリウムとの等モル混合物を用いた場合、および炭酸ナトリウムと炭酸カリウムとの等モル混合物を用いた場合のいずれにおいても、単独使用と比較して、再生炭の鉄などの金属含有率を低くできることがわかる。これは、賦活焼成温度において炭酸水素ナトリウムと炭酸水素カリウムや、炭酸ナトリウムと炭酸カリウムにより酸に易溶解性の金属化合物に転換されたためと考えられる。
<実施例4>
実施例3では、炭酸水素ナトリウムと炭酸水素カリウムとを1:1のモル比で混合した等モル混合物、または炭酸ナトリウムと炭酸カリウムと1:1のモル比で混合した等モル混合物を用いたが、実施例4では、炭酸水素ナトリウムと炭酸水素カリウムとの混合比、および炭酸ナトリウムと炭酸カリウムとの混合比を変更し、その他については実施例3と同様とする実験を行った。なお、炭酸水素ナトリウムと炭酸水素カリウムとの混合物および炭酸ナトリウムと炭酸カリウムとの混合物の乾燥活性炭に対する添加率は、0.1kg/kg−乾燥使用済活性炭とした。
表9に上記の混合比を変更した場合の再生炭の性状を示す。
Figure 0005792664
表9より、炭酸水素ナトリウムと炭酸水素カリウムとの混合モル比、および炭酸ナトリウムと炭酸カリウムとの混合モル比は、いずれも概ね0.9:1.0が望ましく、これよりどちらかが多くなると(どちらかが少なくなると)再生炭の鉄などの金属含有率を高くなる傾向があることがわかる。
<実施例5>
実施例4では、炭酸水素ナトリウムと炭酸水素カリウムとの混合比、および炭酸ナトリウムと炭酸カリウムとの混合比を変更して実験を行ったが、実施例5では、炭酸水素ナトリウムと炭酸カリウムとの混合比、および炭酸ナトリウムと炭酸水素カリウムとの混合比を変更し、その他については実施例3および4と同様とする実験を行った。なお、炭酸水素ナトリウムと炭酸カリウムとの混合物および炭酸ナトリウムと炭酸水素カリウムとの混合物の乾燥活性炭に対する添加率は、実施例4と同様に0.1kg/kg−乾燥使用済活性炭とした。
表10に上記の混合比を変更した場合の再生炭の性状を示す。
Figure 0005792664
表10より、炭酸水素ナトリウムと炭酸カリウムとの混合モル比、および炭酸ナトリウムと炭酸水素カリウムとの混合モル比を変更した場合、実施例4と同様の結果が得られることがわかった。
<実施例6>
実施例1および実施例2では、使用済活性炭と、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムとを混合した後、乾燥したが、実施例6では、使用済活性炭を乾燥した後、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムと混合し、その他については同様の実験を行った。
すなわち、実施例6では、初めに、表1に示した含水率35質量%の使用済活性炭:2kgをステンレス製のバットに入れて、100〜105℃で6時間乾燥した。乾燥後の重量は1.3kgであった。そして、所定量の炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムと共に容量3リットルのビニル袋に入れて混合した。ここで、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムの添加率は0.05〜0.2kg/kg−乾燥使用済活性炭の範囲で変更した。そして、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムが添加された乾燥後の使用済活性炭の約0.5kgを活性炭再生装置にセットし、賦活焼成温度を900℃、賦活焼成時間を90分とし、窒素濃度99.999体積%の高純度窒素をガス流量10リットル/分で連続通気させた窒素雰囲気中で、水蒸気賦活再生した。また、同様に、賦活焼成温度に達した後に5ml/分で連続的に水分を炉内に供給した。次に、賦活再生した再生炭を実施例1と同様にJIS標準篩(目開き0.85mm)を用いてふるい、その篩上に残った再生炭約0.4kgから0.1kgを分取し、塩酸濃度1重量%の洗浄液量0.5リットルを用いて、洗浄温度を30℃、洗浄時間を30分間として塩酸洗浄した。そして、塩酸洗浄後、実施例1と同様に水道水で水洗し、水切りし、乾燥して、本発明の再生炭を得た。
表11に炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムの添加率を0.05〜0.2kg/kg−乾燥使用済活性炭とした場合の再生炭の性状を示す。
Figure 0005792664
<実施例7>
実施例6では、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムを用いたが、実施例7では、炭酸水素ナトリウムと炭酸水素カリウムとの等モル混合物、または炭酸ナトリウムと炭酸カリウムとの等モル混合物を用い、その他については同様の実験を行った。
表12に炭酸水素ナトリウムと炭酸水素カリウムとの等モル混合物、または炭酸ナトリウムと炭酸カリウムとの等モル混合物の添加率を0.05〜0.2kg/kg−乾燥使用済活性炭とした場合の再生炭の性状を示す。
Figure 0005792664
<比較例1>
使用済活性炭に炭酸水素ナトリウムを添加しないこと以外は、実施例1と同様の処理を行い、同様の評価を行う実験を行った。
表13に炭酸水素ナトリウム等を添加しないで処理した場合の再生炭の性状を示す。
Figure 0005792664
表13より、賦活焼成温度を上げることで再生炭のヨウ素吸着性能は高まるが、再生炭の硬さの低下や鉄などの金属含有量の減少が認められないことがわかる。また、アルカリ土類金属の含有量は50mg/kg以下で、酸洗浄で除去されていることがわかる。
<実施例8>
前述のように、実施例1〜7および比較例1では、都市河川水を水道原水とし、これを無機凝集剤のPACで凝集沈殿、砂ろ過、オゾン接触後に生物活性炭処理設備によって処理したが、このプロセスにおける砂ろ過から採取した砂ろ過処理水を用いて、実施例1〜7および比較例1におけるいくつかの再生炭のTOC平衡吸着量を測定した。具体的には、ボールミルを用いて、再生炭を75μm以下の粒径となるように微粉砕し、得られた粉末活性炭を2〜300mg/Lとなるように砂ろ過処理水に添加し、2時間接触混合し、その後、孔径45μmのMF膜でろ過し、そのろ過水のTOC濃度を測定した。そして、その結果から活性炭処理水TOC濃度1.0mg/LのTOC平衡吸着量を算出した。砂ろ過処理水はpH6.8、TOC2.5mg/Lであった。
表14に活性炭処理水TOC濃度1.0mg/LのTOC平衡吸着量を示す。
Figure 0005792664
<実施例9>
湖水を上水水源とし、これを無機凝集剤のPACで凝集沈殿、砂ろ過後に活性炭吸着処理するプロセスにおいて、活性炭吸着池から採取した、新炭充填後、約1.5年間経過した浄水高度処理用使用済活性炭(ヤシ殻系破砕炭のエバダイヤLG−10S、(旧)荏原エンジニアリングサービス株式会社製、(現)水ing株式会社製))を実験に供した。
表15に使用済活性炭の性状を示す。
Figure 0005792664
表15に示した使用済活性炭を用いて、実施例1および実施例2と同様の処理を行った。具体的には、初めに表15に示した含水率35質量%の使用済活性炭:2kgを、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムと共に容量3リットルのビニル袋に入れて混合した。ここで、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムの添加率を0.01〜0.1kg/kg−乾燥使用済活性炭の範囲で変更した。そして、その後、実施例1と同様に乾燥し、乾燥後の、前記炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムが添加された使用済活性炭の約0.5kgを活性炭再生装置にセットし、賦活焼成温度を900℃、賦活焼成時間を90分とし、窒素濃度99.999体積%の高純度窒素をガス流量10リットル/分で連続通気させた窒素雰囲気中で、水蒸気賦活再生した。また、実施例1と同様に、賦活焼成温度に達した後に5ml/分で連続的に水分を炉内に供給した。次に、賦活再生した再生炭を実施例1と同様にJIS標準篩(目開き0.85mm)を用いてふるい、その篩上に残った再生炭約0.4kgから0.1kgを分取し、塩酸濃度1重量%の洗浄液量0.5リットルを用いて、洗浄温度を30℃、洗浄時間を30分間として塩酸洗浄した。そして、塩酸洗浄後、実施例1と同様に水道水で水洗し、水切りし、乾燥して、本発明の再生炭を得た。
表16に炭酸水素ナトリウムまたは炭酸水素カリウムの添加率を0.01〜0.1kg/kg−乾燥使用済活性炭とした場合の再生炭の性状を示す。
Figure 0005792664
<実施例10>
実施例9では、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムを用いたが、実施例10では、炭酸水素ナトリウムと炭酸水素カリウムとの等モル混合物、または炭酸ナトリウムと炭酸カリウムとの等モル混合物を用い、その他については同様の実験を行った。
表17に炭酸水素ナトリウムと炭酸水素カリウムとの等モル混合物、または炭酸ナトリウムと炭酸カリウムとの等モル混合物の添加率を0.02〜0.1kg/kg−乾燥使用済活性炭とした場合の再生炭の性状を示す。
Figure 0005792664
<実施例11>
実施例9では、使用済活性炭と、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムとを混合した後、乾燥したが、実施例11では、使用済活性炭を乾燥した後、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムと混合し、その他については同様の実験を行った。
すなわち、実施例11では、初めに、表15に示した含水率35質量%の使用済活性炭:2kgをステンレス製のバットに入れて、100〜105℃で6時間乾燥した。乾燥後の重量は1.3kgであった。そして、所定量の炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムと共に容量3リットルのビニル袋に入れて混合した。ここで、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムの添加率は0.01〜0.1kg/kg−乾燥使用済活性炭の範囲で変更した。そして、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムが添加された乾燥後の使用済活性炭の約0.5kgを活性炭再生装置にセットし、賦活焼成温度を900℃、賦活焼成時間を90分とし、窒素濃度99.999体積%の高純度窒素をガス流量10リットル/分で連続通気させた窒素雰囲気中で、水蒸気賦活再生した。また、同様に、賦活焼成温度に達した後に5ml/分で連続的に水分を炉内に供給した。次に、賦活再生した再生炭を実施例1と同様にJIS標準篩(目開き0.85mm)を用いてふるい、その篩上に残った再生炭約0.4kgから0.1kgを分取し、塩酸濃度1重量%の洗浄液量0.5リットルを用いて、洗浄温度を30℃、洗浄時間を30分間として塩酸洗浄した。そして、塩酸洗浄後、実施例9と同様に水道水で水洗し、水切りし、乾燥して、本発明の再生炭を得た。
表18に炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムの添加率を0.01〜0.1kg/kg−乾燥使用済活性炭とした場合の再生炭の性状を示す。
Figure 0005792664
<実施例12>
実施例11では、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムを用いたが、実施例12では、炭酸水素ナトリウムと炭酸水素カリウムとの等モル混合物、または炭酸ナトリウムと炭酸カリウムとの等モル混合物を用い、その他については実施例11と同様の実験を行った。
表19に炭酸水素ナトリウムと炭酸水素カリウムとの等モル混合物、または炭酸ナトリウムと炭酸カリウムとの等モル混合物の添加率を0.02〜0.1kg/kg−乾燥使用済活性炭とした場合の再生炭の性状を示す。
Figure 0005792664
<比較例2>
使用済活性炭に炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムを添加しないこと以外は、実施例9と同様の処理を行い、同様の評価を行う実験を行った。
表20に炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムを添加しないで処理した場合の再生炭の性状を示す。
Figure 0005792664
表20から、賦活焼成温度が焼成温度800℃では、硬さが回復せず、焼成温度1000℃でも、硬さが低下し、再生炭が脆くなった。焼成温度800℃では、再生炭のヨウ素吸着性能の回復は難しかった。
<実施例13>
前述のように、実施例9〜12および比較例2では、湖水を上水水源とし、これを無機凝集剤のPACで凝集沈殿、砂ろ過後に活性炭吸着処理したが、このプロセスから採取した活性炭流入水(砂ろ過処理水)を用いて、実施例9〜12および比較例2におけるいくつかの再生炭のTOC平衡吸着量を測定した。具体的には、ボールミルを用いて、再生炭を75μm以下の粒径となるように微粉砕し、得られた粉末活性炭を2〜300mg/Lとなるように活性炭流入水に添加し、2時間、スターラーで混合し、その後、孔径45μmのMF膜でろ過し、そのろ過水のTOC濃度を測定した。そして、その結果から活性炭処理水TOC濃度1.0mg/LのTOC平衡吸着量を算出した。活性炭流入水(砂ろ過処理水)はpH6.8、TOC2.5mg/Lであった。
表21に活性炭処理水TOC濃度1.0mg/LのTOC平衡吸着量を示す。
Figure 0005792664
<実施例14>
し尿処理施設の活性炭吸着装置から採取した約3カ月経過した使用済活性炭(石炭系破砕炭のエバダイヤLG−20S、(旧)荏原エンジニアリングサービス株式会社製、(現)水ing株式会社製))を実験に供した。ここで、し尿処理施設は、し尿および浄化槽汚泥を生物処理し、無機凝集剤の液状硫酸アルミニウム(硫酸バンド、純度8%Al23製品)と有機高分子凝集剤で凝集沈殿、砂ろ過、活性炭処理する施設である。
表22に使用済活性炭の性状を示す。
Figure 0005792664
表22に示した使用済活性炭を用いて、実施例1および実施例2と同様の処理を行った。具体的には、初めに表22に示した含水率35質量%の使用済活性炭:2kgを、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムと共に容量3リットルのビニル袋に入れて混合した。ここで、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムの添加率を0.05〜0.2kg/kg−乾燥使用済活性炭の範囲で変更した。そして、その後、実施例1と同様に乾燥し、乾燥後の、前記炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムが添加された使用済活性炭の約0.5kgを活性炭再生装置にセットし、賦活焼成温度を900℃、賦活焼成時間を90分とし、窒素濃度99.999体積%の高純度窒素をガス流量10リットル/分で連続通気させた窒素雰囲気中で、水蒸気賦活再生した。また、実施例1と同様に、賦活焼成温度に達した後に5ml/分で連続的に水分を炉内に供給した。次に、賦活再生した再生炭を実施例1と同様にJIS標準篩(目開き0.85mm)を用いてふるい、その篩上に残った再生炭約0.4kgから0.1kgを分取し、塩酸濃度1重量%の洗浄液量0.5リットルを用いて、洗浄温度を30℃、洗浄時間を30分間として塩酸洗浄した。そして、塩酸洗浄後、実施例1と同様に水道水で水洗し、水切りし、乾燥して、本発明の再生炭を得た。
表23に炭酸水素ナトリウムまたは炭酸水素カリウムの添加率を0.05〜0.2kg/kg−乾燥使用済活性炭とした場合の再生炭の性状を示す。
Figure 0005792664
<実施例15>
実施例14では、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムを用いたが、実施例15では、炭酸水素ナトリウムと炭酸水素カリウムとの等モル混合物、または炭酸ナトリウムと炭酸カリウムとの等モル混合物を用い、その他については同様の実験を行った。
表24に炭酸水素ナトリウムと炭酸水素カリウムとの等モル混合物、または炭酸ナトリウムと炭酸カリウムとの等モル混合物の添加率を0.05〜0.2kg/kg−乾燥使用済活性炭とした場合の再生炭の性状を示す。
Figure 0005792664
<実施例16>
実施例14では、使用済活性炭と、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムとを混合した後、乾燥したが、実施例16では、使用済活性炭を乾燥した後、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムと混合し、その他については同様の実験を行った。
すなわち、実施例16では、初めに、表22に示した含水率35質量%の使用済活性炭:2kgをステンレス製のバットに入れて、100〜105℃で6時間乾燥した。乾燥後の重量は1.3kgであった。そして、所定量の炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムと共に容量3リットルのビニル袋に入れて混合した。ここで、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムの添加率は0.05〜0.2kg/kg−乾燥使用済活性炭の範囲で変更した。そして、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムが添加された乾燥後の使用済活性炭の約0.5kgを活性炭再生装置にセットし、賦活焼成温度を900℃、賦活焼成時間を90分とし、窒素濃度99.999体積%の高純度窒素をガス流量10リットル/分で連続通気させた窒素雰囲気中で、水蒸気賦活再生した。また、同様に、賦活焼成温度に達した後に5ml/分で連続的に水分を炉内に供給した。次に、賦活再生した再生炭を実施例1と同様にJIS標準篩(目開き0.85mm)を用いてふるい、その篩上に残った再生炭約0.4kgから0.1kgを分取し、塩酸濃度1重量%の洗浄液量0.5リットルを用いて、洗浄温度を30℃、洗浄時間を30分間として塩酸洗浄した。そして、塩酸洗浄後、実施例14と同様に水道水で水洗し、水切りし、乾燥して、本発明の再生炭を得た。
表25に炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムの添加率を0.05〜0.2kg/kg−乾燥使用済活性炭とした場合の再生炭の性状を示す。
Figure 0005792664
<実施例17>
実施例16では、炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムを用いたが、実施例17では、炭酸水素ナトリウムと炭酸水素カリウムとの等モル混合物、または炭酸ナトリウムと炭酸カリウムとの等モル混合物を用い、その他については同様の実験を行った。
表26に炭酸水素ナトリウムと炭酸水素カリウムとの等モル混合物、または炭酸ナトリウムと炭酸カリウムとの等モル混合物の添加率を0.02〜0.1kg/kg−乾燥使用済活性炭とした場合の再生炭の性状を示す。
Figure 0005792664
<比較例3>
使用済活性炭に炭酸水素ナトリウムおよび炭酸ナトリウムを添加しないこと以外は、実施例14と同様の処理を行い、同様の評価を行う実験を行った。
表27に炭酸水素ナトリウム等を添加しないで処理した場合の再生炭の性状を示す。
Figure 0005792664
表27より、焼成温度1000℃と高いと、ヨウ素吸着性能が高まるが、再生炭の硬さが減少することがわかる。焼成温度800℃では再生炭のヨウ素吸着性能の回復は難しかった。
<実施例18>
実施例14〜17および比較例3におけるし尿処理施設から採取した活性炭流入水を用いて、実施例14〜17および比較例3におけるいくつかの再生炭のCODMn平衡吸着量を測定した。具体的には、ボールミルを用いて、再生炭を75μm以下の粒径となるように微粉砕し、得られた粉末活性炭の10〜3000mg/Lを活性炭流入水に添加し、2時間接触混合し、その後、孔径45μmのMF膜でろ過し、そのろ過水のCODMn濃度を測定した。その結果から活性炭処理水CODMn濃度10mg/LのCODMn平衡吸着量を算出した。活性炭流入水である砂ろ過処理水はpH6.8、CODMn25.0mg/Lであった。
表28に活性炭処理水CODMn濃度10mg/LのCODMn平衡吸着量を示す。
Figure 0005792664

Claims (4)

  1. 水処理で使用した使用済活性炭を乾燥し、
    前記乾燥後の使用済活性炭を賦活再生し、
    前記賦活再生された賦活活性炭を酸洗浄・水洗いし、
    前記乾燥前または乾燥後の使用済活性炭に、以下(1)〜(4)のいずれかを添加することで、再生炭を得ることを特徴とする使用済活性炭の再生方法。
    (1)炭酸水素ナトリウムと炭酸水素カリウムとの混合物
    (2)炭酸ナトリウムと炭酸カリウムとの混合物
    (3)炭酸水素ナトリウムと炭酸カリウムとの混合物
    (4)炭酸ナトリウムと炭酸水素カリウムとの混合物
  2. 前記請求項1記載において、
    前記使用済活性炭が高度浄水処理で使用されたものであることを特徴とする使用済活性炭の再生方法。
  3. 水処理で使用した使用済活性炭を乾燥する乾燥工程と、
    前記乾燥前または乾燥後の使用済活性炭に、以下(1)〜(4)のいずれかを添加する添加工程と、
    前記乾燥後の使用済活性炭を賦活再生して賦活活性炭を得る賦活工程と、
    前記賦活再生された賦活活性炭を酸洗浄・水洗いする酸洗浄・水洗工程と、
    を備えたことを特徴とする賦活活性炭の製造方法。
    (1)炭酸水素ナトリウムと炭酸水素カリウムとの混合物
    (2)炭酸ナトリウムと炭酸カリウムとの混合物
    (3)炭酸水素ナトリウムと炭酸カリウムとの混合物
    (4)炭酸ナトリウムと炭酸水素カリウムとの混合物
  4. 前記請求項3記載において、
    前記賦活工程と前記酸洗浄・水洗工程との間に有し、賦活再生された賦活活性炭を所定の粒度に調整する篩分工程と、
    前記酸洗浄・水洗工程の後に有し、酸洗浄・水洗いされた賦活活性炭を乾燥する乾燥工程と、
    を備えたことを特徴とする賦活活性炭の製造方法。
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