以下に、実施の態様について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本明細書で開示する発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。従って、本明細書の実施の形態及び実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の成膜装置について図面を参照して説明する。
図1は本実施の形態の成膜装置の断面概略図である。
図1に示す成膜装置は、隔壁605の内部に成膜室103を備え、隔壁605と成膜室103との間に空間606を有する。
はじめに、成膜室103を囲う隔壁605の構成について説明する。
隔壁605は空間606にガスを供給するためのガス導入手段107a、圧力調整手段107b、並びに搬入出口604aを備える。
隔壁605は成膜室103と大気との間に空間606を形成するために設けられる。隔壁605は大気に含まれる不純物を透過しなければ良く、例えば鉄、アルミニウム、ステンレス等の金属で構成されても良いし、または大気に含まれる不純物を透過しない十分な厚さや、透過防止膜(バリア膜)を持つ、可撓性を有する袋体を用いることができる。なお、大気に含まれる不純物としては、酸化物半導体層を成膜する場合は例えば水など、水素原子を含む化合物をその例に挙げることができる。
搬入出口604aは、被処理基板を隔壁605内に搬入及び搬出するための搬入出口である。搬入出口604aは開閉可能な扉を有し、基板を搬入出するときに扉を開いて隔壁605に開口部を形成する。搬入出口604aを開口することで、空間606の圧力が大気圧まで低下し、大気に含まれる不純物が空間606の封止ガスに拡散する恐れがある。従って、搬入出口604aの開口後は空間606の封止ガスを高純度なガスで充分置換し、例えば、水素原子を含む化合物の濃度を1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下とすることが好ましい。
圧力調整手段107bは、例えば圧力センサとバルブ及び排気ラインで構成されていて良く、内部の圧力が設定値よりも高い場合はバルブを開け、また内部の圧力が設定値よりも低い場合はバルブを閉じることにより圧力を調整できる。
ガス導入手段107aと圧力調整手段107bを用いて、空間606にアルゴンなどの希ガスからなる封止ガスを導入できる。この封止ガスには水素原子を含む化合物が含まれないことが望ましく、水素原子を含む化合物の濃度は1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下とすることが好ましい。
この封止ガスの一部は、成膜室103内の接続部や配管の継ぎ目などを介して、成膜室103の内部に漏洩(リーク)するが、リークする封止ガスの主たる成分はアルゴンなどの希ガスとなる。
また、隔壁605の接続部や配管の継ぎ目などを介して、大気中から空間606へ酸素や窒素、H2O等の水素原子を含む化合物が不純物として漏洩(リーク)するが、ガス導入手段107aと圧力調整手段107bを用いて、空間606の圧力を大気圧より大きくすることにより、その影響を抑制することができる。
次に、成膜室103について説明する。成膜室103は、被処理基板である基板110を保持するための基板保持部201、基板加熱手段203、基板回転手段205、ターゲット保持部に保持されたスパッタリング用ターゲット211、防着板212、メインバルブ213、及び搬入出口604b、を有する。なお、スパッタリング用ターゲット211と基板110の間にはシャッター(図示しない)が設けられている。また、電源209、ガス導入手段210、自動圧力制御装置215、及び排気手段217は、隔壁605の外部に配置され、配管等を用いて直接成膜室103へ接続されている。
排気手段217としては、例えばクライオポンプなどの排気手段を用いることが好ましい。酸化物半導体層を成膜する場合、膜中に混入する不純物の量を低く抑えることができるためである。
ガス導入手段210は、例えばマスフローコントローラ等で制御された電磁バルブ等を介してガス供給ラインに接続すればよい。マスフローコントローラを用いることにより、複数のガスの混合比が制御されたガスを成膜室103に導入できる。なお、成膜室103内に不純物が混入するのを防ぐため、成膜室103に導入するガスとしては高純度のガスを用いる。例えば、成膜室103内に導入されるこれらのガスは、装置内に導入される前にガス精製機により高純度化されたものを用いる。これにより、ガス中に含まれる水等の不純物を予め除去することができるため、装置内部にこれらの不純物が導入されるのを防ぐことができる。
基板保持部201は、基板110を保持する役割を有する。また、基板保持部201は、基板加熱手段203を備える。基板加熱手段203としては、例えば、抵抗発熱体などの発熱体からの熱伝導または熱輻射によって、被処理物を加熱する手段を用いてもよいし、ランプから発する光(電磁波)の輻射により被処理物を加熱する手段を用いてもよい。基板加熱手段203を設けることにより基板110を加熱しながら成膜を行うことができる。
基板回転手段205は基板110を回転できる。基板110を回転しながら成膜すると膜厚の均一性が高まるため好ましい。
防着板212は、成膜時に基板に付着しなかった成膜材料が、成膜室103の内壁に付着し、ゴミの発生原因となるのを防ぐ。防着板212の材料としては、鉄、アルミニウム、ステンレス等の金属を用いることができる。
なお、成膜室103は、基板保持部201周辺の壁面を加熱する手段(図示しない)を有していてもよい。定期的に成膜室の内壁を加熱し、内壁に吸着する不純物を脱離処理することで高真空を実現することができる。
搬入出口604bは被処理基板を成膜室103に搬入及び搬出するための搬入出口である。搬入出口604bは開閉可能な扉を有し、基板を搬入出するときに扉を開いて成膜室103に開口部を形成する。
なお、成膜室103は、基板110を成膜装置内に搬入するためのロードロック室と、ロードロック室から成膜室に基板を搬送するための搬送室とを備えていても良い。
次に、上述の、成膜室、搬送室、及びロードロック室を備えた成膜装置について説明する。
図7は、本実施の形態の成膜装置の側面概略図である。
図7に示す成膜装置100は、ロードロック室101、及び隔壁105を有し、隔壁105内には、ロードロック室101と連結された搬送室102と、搬送室102に連結された成膜室103が設けられ、それぞれの連結部にはそれぞれゲートバルブが設けられている。また、隔壁105と、搬送室102及び成膜室103との間には、空間106を有する。また、隔壁105は空間106にガスを導入するためのガス導入手段107aと圧力調整手段107bとを具備する。
ロードロック室101は、基板加熱手段を有する基板保持部109、排気手段222、及びガス導入手段(図示しない)を有する。なお、ロードロック室101は前記搬送室102に加えて、成膜装置の外部ともゲートバルブ104により隔てられている。
ロードロック室101は基板の搬入出を行う場所であると同時に、処理前の基板に対し予備加熱を行うことが可能である。またその内部は、排気手段222を用いて排気することができる。処理前の基板に対して、排気しながら予備加熱を行うことで基板に吸着した不純物を脱離し、排気することができる。なお、不純物としては、例えば水素、H2O等の水素原子を含む化合物や、炭素原子を含む化合物をその例に挙げることができる。予備加熱の温度は、室温以上600℃以下であれば良く、100℃以上400℃以下であることが特に好ましい。
搬送室102は搬送ロボット108、及び排気手段220を有し、基板110をロードロック室101と成膜室103との間で搬送を行うための受け渡し室の役割を有している。
搬送室102に設けられた排気手段220により、搬送室内を真空排気することが可能である。搬送室内を真空排気することにより、予備加熱によって不純物を除去した基板の搬送時における再汚染を抑制することができる。
隔壁105は上記隔壁605と同様の役割を果たす。また、同様に、空間106は、上記空間606と同様の役割を果たす。すなわち隔壁105は、隔壁105に設けられたガス導入手段107aと圧力調整手段107bにより、空間106内部に希ガスからなる封止ガスを導入して大気圧以上とすることができ、大気から空間106への不純物の混入を抑制する働きを有する。
搬送室102は成膜室103と同様に、隔壁105の内部に配置されている。従って前記成膜装置と同様、空間106にアルゴン等の希ガスからなる封止ガスを導入して大気圧以上とすることにより、搬送室102内の接続部や配管の継ぎ目などを介して、搬送室102の内部に漏洩(リーク)するガスの主たる成分はアルゴンなどの希ガスとなる。
次に、成膜装置100を用いてガラス基板上に酸化物半導体膜を形成する方法について説明する。本実施の形態では、成膜室103でスパッタリング法を用いて酸化物半導体膜を成膜する場合について説明する。しかし、その膜種は酸化物半導体膜に限らず、スパッタリング用ターゲット211を変更することなどにより酸化物絶縁膜や窒化物絶縁膜なども成膜可能である。
成膜装置100を用いることにより、酸化物半導体に主成分以外の不純物が極力含まれないように酸化物半導体を高純度化し、I型(真性)の酸化物半導体、又はI型(真性)に限りなく近い酸化物半導体にできる。すなわち、不純物を添加してI型化するのでなく、不純物を極力取り込まないことにより、高純度化されたI型(真性半導体)又はそれに近づけて酸化物半導体を成膜する。
高純度化された酸化物半導体中にはキャリアが極めて少なく(ゼロに近く)することができる。具体的には、キャリア濃度を1×1012/cm3未満、好ましくは1×1011/cm3未満まで抑制できる。また、高純度化された酸化物半導体中の水素濃度は、1×1016atoms/cm3未満である。
まず、隔壁105に設けられたガス導入手段107aを用いて、空間106に水素原子を含む化合物の濃度が1ppm以下のアルゴンからなる封止ガスを導入する。同時に圧力調整手段107bを用いて、空間106の圧力が大気圧以上になるように調整する。
なお、ここでは封止ガスとしてアルゴンを用いたが、必ずしもこれに限定されず、他の希ガスも用いることができる。
次に、搬送室102及び成膜室103内部を、それぞれに設けられた排気手段を用いて減圧する。
また、成膜室103の内壁に吸着する不純物を脱離処理するため、成膜室103の内壁を定期的に加熱処理してもよい。
次に、ロードロック室101と外部とを仕切るゲートバルブ104を開け、基板110をロードロック室101に搬入する。搬入後、ロードロック室101に接続された排気手段222を用いて室内を減圧すると共に、基板加熱手段を用いて基板110の予備加熱を行い、基板110に付着した不純物を脱離、排気する。
基板110に使用することができる基板に大きな制限はないが、バリウムホウケイ酸ガラスやアルミノホウケイ酸ガラスなどのガラス基板を用いる。
続いて、予備加熱を終えた基板110を、搬送ロボット108を用いて搬送室102を経由して成膜室103に搬入する。
まず、ロードロック室101と搬送室102を仕切るゲートバルブを開け、搬送ロボット108を用いて搬送室102に基板110を搬入し、上記ゲートバルブを閉じる。次いで搬送室102と成膜室103を仕切るゲートバルブを開け、同様に成膜室103に基板110を搬入する。
なお、基板110を搬出後、真空排気されたロードロック室101内部に希ガスを充填して大気圧以上としておいても良い。こうすることで、大気からロードロック室への不純物を含んだ大気成分の混入を抑制することができる。
基板110は、成膜室103内の基板保持部201に搬送される。基板保持部201にある基板ホルダ(図示しない)は、上下駆動機構によって上下に移動し、基板を固定することが可能である。なお、図7に示すように、フェイスダウン方式(基板の被成膜面が下を向いた状態で成膜する方式)を採用すると、基板110へのゴミの付着などを抑えることができるため、好ましい。
基板110を搬入後、搬送室102と成膜室103とを仕切るゲートバルブを閉じる。
成膜室103内の排気手段217、メインバルブ213、自動圧力制御装置215及びガス導入手段210を用いて成膜室103内の圧力を制御しながら、高純度のスパッタリング用のガスを導入し、スパッタリング法を用いて基板110に酸化物半導体膜を成膜する。
スパッタリングに用いる電源209は、DC(直流)であってもRF(高周波)のいずれを用いても良い。例えば、成膜室103において、絶縁膜を成膜する場合には、RF電源を用いたRFスパッタリング法を用いれば良く、金属からなる導電膜を成膜する場合には、DC電源を用いたDCスパッタリング法を用いれば良い。
成膜終了後、排気手段217を用いて成膜室103内を再び排気することにより、清浄な状態に保たれる。成膜後に成膜室103内が清浄な状態に保たれることで、成膜された酸化物半導体膜表面に吸着する不純物は効果的に低減される。
そして、搬入時と同様に搬送ロボット108を用いて、成膜処理を終えた基板110を成膜室103から搬送室102を経由してロードロック室101内の基板保持部109に搬入する。搬送室102とロードロック室101とを仕切るゲートバルブを閉じた後、ロードロック室101に設けられた排気手段222を用いてロードロック室101の内圧を大気圧とする。その後、ロードロック室101と外部とを仕切るゲートバルブ104を開け、基板110を取り出す。
以上の工程でガラス基板上に酸化物半導体膜が成膜される。
なお、ロードロック室101と搬送室102との間で基板110を搬送する際、それぞれの内部を希ガスで充填し、大気圧以上の同一の圧力とした状態で基板搬送を行っても良い。こうすることで、基板搬送時における大気からロードロック室101への、不純物を含んだ大気成分の混入を抑制することができる。
以上のように、本実施の形態の成膜装置は、搬送室及び成膜室と大気を隔てる隔壁によって設けられた、希ガスからなる封止ガスを導入可能な空間を有している。この空間に水素原子を含む化合物の濃度が1ppm以下の希ガスを主成分とする封止ガスを導入し、大気圧以上の圧力に調整することにより、水素原子を含む化合物が搬送室や成膜室へ混入することを防ぐことができる。
このような成膜装置を用いて酸化物半導体膜を成膜することで、酸化物半導体膜中及び、基板と酸化物半導体膜の界面に不純物が混入せず、水素濃度が十分に低減された高純度な酸化物半導体膜を形成することができる。例えばこのような高純度な酸化物半導体膜をトランジスタに適用することにより、オフ電流が低く、低消費電力のトランジスタを提供できる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の連続成膜装置について図面を参照して説明する。
図2は、本実施の形態の連続成膜装置の上面概略図である。
図2に示す連続成膜装置は、第1のロードロック室111、第2のロードロック室131、及び隔壁134を有する。さらに隔壁134内には、搬送室112、複数の成膜室(図2では、第1の成膜室113、第2の成膜室115、第3の成膜室117、第4の成膜室121、及び第5の成膜室127)、複数の加熱室(図2では、第1の加熱室119及び第2の加熱室123)、処理室125、基板待機室129、及び基板搬送手段133を有する。また、隔壁134と、搬送室112、複数の成膜室、複数の加熱室、処理室125、基板待機室129、及び基板搬送手段133との間には、空間135を有する。なお、図示しないが、本実施の形態の連続成膜装置は、装置の内壁を300℃以上に加熱する手段を有する。
第1のロードロック室111、搬送室112、複数の成膜室、複数の加熱室、処理室125、基板待機室129、及び第2のロードロック室131は、それぞれ排気手段1111〜1131を有する。これらの排気手段は、各室の使用用途に応じて適宜排気装置を選定すればよく、例えば、吸着型のポンプを備えた排気手段や、ターボポンプにコールドトラップを備えた排気手段等が挙げられる。特に、吸着型のポンプを備えることが好ましい。吸着型のポンプとしては、例えば、クライオポンプ、スパッタイオンポンプ、チタンサブリメーションポンプ等の、吸着手段を有するポンプが挙げられる。
本実施の形態では、処理前の基板を収納する基板ホルダを有する場所として、第1のロードロック室111、処理済みの基板を収納する基板ホルダを有する場所として、第2のロードロック室131を設けたが、本発明の一態様の成膜装置は、これに限らず、一室で基板の搬入出を行っても良い。
また図示しないが、第1のロードロック室111は基板加熱手段を有する。排気手段1111、及び基板加熱手段を併用し、排気しながら処理前の基板の予備加熱を行うことで、基板に付着した不純物を脱離、排気することができる。
搬送室112は、基板搬送手段133を用いて基板をある一室から他の一室に搬送する受け渡し室の役割を有している。本実施の形態の連続成膜装置は、2つの基板搬送手段を有する構成としたが、基板搬送手段は1つ以上の任意の数だけ設ければ良い。
加熱室(第1の加熱室119及び第2の加熱室123)は、基板を加熱する手段を備えている。本実施の形態の連続成膜装置は、2つの加熱室を有する構成としたが、加熱室は1つ以上の任意の数だけ設ければ良い。
処理室125は、酸素ラジカル処理を行うことができる場所である。酸素ラジカルは、酸素を含むプラズマ発生装置により供給されてもよいし、オゾン発生装置により供給されてもよい。供給された酸素ラジカル又は酸素を薄膜に照射することによって膜表面を改質することができる。また、処理室で行う処理は、酸素ラジカル処理に限定されない。連続成膜装置において、処理室は必要でなければ設けなくても良いし、複数設けても良い。
基板待機室129は、連続成膜の工程中の基板を待機させておくことができる場所である。基板待機室129は、冷却手段を有していても良い。冷却手段を有することで、基板待機室において、成膜等のために熱された基板を十分に冷却することができる。冷却は、ヘリウム、ネオン、アルゴン等を基板待機室129に導入して行っても良い。なお、冷却に用いる窒素、またはヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスに、水、水素など水素原子を含む化合物が含まれないことが好ましい。または、窒素、またはヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスの純度を、6N(99.9999%)以上、好ましくは7N(99.99999%)以上、(即ち不純物濃度を1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下)とすることが好ましい。連続成膜装置において、基板待機室は必要でなければ設けなくても良い。
本発明の一態様の連続成膜装置は、複数の成膜室を有する。図2の連続成膜装置は、5つの成膜室(第1の成膜室113、第2の成膜室115、第3の成膜室117、第4の成膜室121、及び第5の成膜室127)を有する構成としたが、成膜室の数はこれに限定されず、連続成膜する膜の数に合わせて適宜定めればよい。
成膜室で行う成膜は、スパッタリング法、真空蒸着法、プラズマCVD法など、目的とする膜の種類に応じて、種々の成膜方法を用いることができる。例えば、第1の成膜室113ではスパッタリング法により窒化珪素膜、第2の成膜室115ではスパッタリング法により酸化珪素膜、第3の成膜室117、及び第4の成膜室121ではスパッタリング法により酸化物半導体膜、及び第5の成膜室127ではスパッタリング法により導電膜がそれぞれ成膜できる。
次に、ロードロック室以外の各室(搬送室112、複数の成膜室、複数の加熱室、処理室125及び基板待機室129)を囲う、隔壁134の構成について説明する。
隔壁134はロードロック室以外の各室と大気との間に空間135を形成するために設けられる。隔壁134は大気に含まれる不純物を透過しなければ良く、例えば鉄、アルミニウム、ステンレス等の金属で構成されても良いし、または大気に含まれる不純物を透過しない十分な厚さや、透過防止膜(バリア膜)を持つ、可撓性を有する袋体を用いることができる。なお、大気に含まれる不純物としては、酸化物半導体膜を成膜する場合は例えば水など、水素原子を含む化合物をその例に挙げることができる。
図示しないが、隔壁134はガス導入手段と圧力調整手段を有する。
圧力調整手段は、例えば圧力センサとバルブ及び排気ラインで構成されていて良く、内部の圧力が設定値よりも高い場合はバルブを開け、また内部の圧力が設定値よりも低い場合はバルブを閉じることにより圧力を調整できる。
ガス導入手段と圧力調整手段を用いて、空間135にアルゴンなどの希ガスからなる封止ガスを導入できる。この封止ガスには水素原子を含む化合物が含まれないことが望ましく、水素原子を含む化合物の濃度は1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下とすることが好ましい。
この封止ガスの一部は、ロードロック室以外の各室内の接続部や配管の継ぎ目などを介して、ロードロック室以外の各室の内部に漏洩(リーク)するが、リークする封止ガスの主たる成分はアルゴンなどの希ガスとなる。
また、隔壁134の接続部や隔壁134に設けられた配管の継ぎ目などを介して、大気中から空間135へ酸素や窒素、H2O等の水素原子を含む化合物が不純物として漏洩(リーク)するが、ガス導入手段と圧力調整手段を用いて、空間135の圧力を大気圧より大きくすることにより、その影響を抑制することができる。
なお、図8に示すように、酸化物半導体膜を成膜する第3の成膜室117を隔壁134aで囲い、同様に第4の成膜室121を隔壁134bで囲う構成としてもよい。このような構成とすることで、成膜装置の大きさを図2の構成よりも小さくすることが可能となる。
以上のように、本実施の形態の成膜装置は、搬送室、成膜室、加熱室、処理室及び基板待機室と大気を隔てるようにして隔壁によって設けられた、希ガスからなる封止ガスを導入可能な空間を有している。この空間に水素原子を含む化合物の濃度が1ppm以下のガス、例えば希ガスを主成分とする封止ガスを導入し、大気圧以上の圧力に調整することにより、水素原子を含んだ化合物が搬送室、成膜室、加熱室、処理室及び基板待機室へ混入することを防ぐことができる。
このような連続成膜装置を用いて大気開放せずに酸化物半導体膜と、酸化物半導体膜に接する膜を連続して成膜処理を行うことで、酸化物半導体膜中、酸化物半導体に接する膜中、及びこれらの界面に水素原子を含む化合物が混入せず、水素原子濃度が十分に低減された高純度な酸化物半導体膜を積層することができる。また、当該積層膜を用いて半導体装置を作製することができる。例えばこのような高純度な酸化物半導体膜をトランジスタに適用することにより、オフ電流が低く、低消費電力のトランジスタを提供できる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態2に示した連続成膜装置を用いてボトムゲート型のトランジスタを作製する方法について図2乃至図4を用いて説明する。本実施の形態では、半導体層に酸化物半導体を用いたトランジスタを作製する方法について説明する。
本実施の形態で例示する半導体装置は、高純度化された酸化物半導体層を有する。実施の形態1又は2で例示する成膜装置を用いることにより、酸化物半導体に主成分以外の不純物が極力含まれないように酸化物半導体を高純度化し、I型(真性)の酸化物半導体、又はI型(真性)に限りなく近い酸化物半導体にできる。すなわち、不純物を添加してI型化するのでなく、不純物を極力取り込まないことにより、高純度化されたI型(真性半導体)又はそれに近づけて酸化物半導体を成膜する。従って、本実施の形態で作製するトランジスタは、高純度化及び電気的にI型(真性)化された酸化物半導体層を有する。
高純度化された酸化物半導体中にはキャリアが極めて少なく(ゼロに近く)することができる。具体的には、キャリア濃度を1×1012/cm3未満、好ましくは1×1011/cm3未満まで抑制できる。また、高純度化された酸化物半導体中の水素濃度は、1×1016atoms/cm3未満である。
実施の形態1又は2に例示する成膜装置を用いることで、酸化物半導体に含まれるキャリアを極めて少なく抑制できる。このような高純度化された酸化物半導体層をトランジスタのチャネル形成領域に適用することにより、オフ状態における電流値、所謂オフ電流を少なくすることができる。なお、オフ電流は少なければ少ないほど消費電力を低減できるため好ましい。
本実施の形態で例示するボトムゲート型のトランジスタ300の断面図を図3(A)に示す。トランジスタ300は、ゲート電極層303、第1のゲート絶縁層305、第2のゲート絶縁層307、高純度化された酸化物半導体層312、ソース電極層311a、ドレイン電極層311b、絶縁層313、及び保護絶縁層315を有する。
トランジスタ300を実施の形態2で例示する連続成膜装置を用いて作製する方法について、図4を用いて説明する。
まず、基板301上に導電膜を形成し、第1のフォトマスクを用いてレジストマスクを形成し、エッチングによりゲート電極層303を形成する(図4(A))。
基板301に使用することができる基板に大きな制限はないが、バリウムホウケイ酸ガラスやアルミノホウケイ酸ガラスなどのガラス基板を用いる。
なお、下地となる絶縁層を基板301とゲート電極層303との間に設けてもよい。当該絶縁層には、基板301からの不純物元素(例えばLi、Naなどのアルカリ金属、及びCaなどのアルカリ土類金属など)の拡散を防止する機能があり、窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜などから選ればれた一または複数の膜による積層構造により形成することができる。
ゲート電極層303を形成する導電膜の材料としては、モリブデン、チタン、クロム、タンタル、タングステン、アルミニウム、銅、ネオジム、スカンジウム等の金属材料またはこれらを主成分とする合金材料若しくは導電性酸化物を用いて、単層でまたは積層して形成することができる。
また、ゲート電極層に銅を用いる場合は、下地となる層にCu−Mg−Al合金を設け、その上に銅を形成する構成が好ましい。Cu−Mg−Al合金を設けることで、酸化膜などの下地と銅の密着性が高まる効果を奏する。
また、ゲート電極層に、インジウム錫酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの透光性を有する導電性材料を、適用することもできる。また、上記透光性を有する導電性材料と、上記金属元素の積層構造とすることもできる。
また、ゲート電極層とゲート絶縁層の間に、ゲート絶縁層に接する材料層を設けても良い。当該ゲート絶縁層に接する材料層としては、窒素を含むIn−Ga−Zn−O膜や、窒素を含むIn−Sn−O膜や、窒素を含むIn−Ga−O膜や、窒素を含むIn−Zn−O膜や、窒素を含むSn−O膜や、窒素を含むIn−O膜や、金属窒化膜(InN、ZnNなど)を用いることができる。これらの膜は5eV、好ましくは5.5eV以上の仕事関数を有し、トランジスタの電気特性のしきい値電圧をプラスにすることができ、所謂ノーマリーオフのスイッチング素子を実現できる。
例えば、窒素を含むIn−Ga−Zn−O膜を用いる場合、少なくとも酸化物半導体層より高い窒素濃度、具体的には7原子%以上のIn−Ga−Zn−O膜を用いる。
次に、実施の形態2に示した連続成膜装置(図2参照)を用いて、ゲート絶縁層、酸化物半導体膜、及び導電膜を大気にさらすことなく連続成膜する。
まず、隔壁134に設けられたガス導入手段を用いて、空間135に水素原子を含む化合物の濃度が1ppm以下のアルゴンからなる封止ガスを導入する。同時に圧力調整手段を用いて、空間135の圧力が大気圧以上になるように調整する。空間135の圧力を大気圧以上に調整することで、水素原子を含む化合物の、空間135への混入を抑制することができる。
なお、ここでは封止ガスとしてアルゴンを用いたが、必ずしもこれに限定されず、他の希ガスも用いることができる。
次に、あらかじめゲート電極層303が形成された基板301を連続成膜装置の第1のロードロック室111に搬入する。そして、排気手段1111を用いて第1のロードロック室111内を減圧する。さらに基板加熱手段を用いて基板301の予備加熱を行い、基板301に付着した不純物(例えば水素原子やH2Oなどの水素原子を含む化合物など)を脱離、排気する。
連続成膜装置において、基板301は、搬送室112を経由して、ある部屋から別の部屋まで搬送される。搬送室112内の圧力は、クライオポンプなどの排気手段1112を用いて、真空排気されている。なお、空間135をアルゴンで満たすことにより、搬送室112の内部に装置の接続部や配管の継ぎ目を介して漏洩(リーク)するガス中の不純物濃度が極めて低減されている。そのため、搬送室112内部は不純物が低減された、極めて清浄な状態にある。また、定期的に装置の内壁を加熱し、内壁に吸着する不純物を脱離処理することで高真空を実現できる。
基板301を、基板搬送手段133を用いて、第1の成膜室113に搬送する。次いで、クライオポンプなどの排気手段1113を用いて第1の成膜室113の内圧を制御しながら高純度のスパッタリング用のガスを導入し、スパッタリング法を用いて、基板301及びゲート電極層303上に第1のゲート絶縁層305となる窒化珪素膜を成膜する。成膜終了後に第1の成膜室113内は、排気手段1113を用いて再び排気され、第1の成膜室113内が清浄な状態に保たれる。成膜後に第1の成膜室113内が清浄に保たれることで、第1のゲート絶縁層305の膜中及び界面に含まれる不純物は効果的に低減される。
そして、基板301を第1の成膜室113から第2の成膜室115に搬送し、スパッタリング法を用いて第1のゲート絶縁層305上に酸化珪素膜を成膜して、第2のゲート絶縁層307を形成する。成膜前後において、第2の成膜室115内は、排気手段1115を用いて排気され清浄な状態に保たれる。
本実施の形態で作製する半導体装置に用いるI型化又は実質的にI型化された酸化物半導体は、界面準位及び界面電荷に対して極めて敏感であるため、酸化物半導体層とゲート絶縁層との界面は半導体装置の特性を制御する上で重要である。そのため高純度化された酸化物半導体に接する第2のゲート絶縁層307は、不純物や固定電荷を含まず、高品質な絶縁層であることが要求される。ここで、空間135をアルゴンで満たすことにより、第1の成膜室113及び第2の成膜室115の内部に、装置の接続部や配管の継ぎ目を介して漏洩(リーク)するガス中の不純物濃度が極めて低減されている。そのため、第1の成膜室113及び第2の成膜室115内部は不純物が低減された、極めて清浄な状態にある。このような成膜室内で積層された窒化珪素膜と酸化珪素膜は、不純物濃度が抑制されたゲート絶縁層として機能する。
本実施の形態では、ゲート絶縁層を、窒化珪素膜と酸化珪素膜の積層構造としたが、ゲート絶縁層はこれに限らず、窒化珪素膜、酸化珪素膜、酸化窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜、酸化アルミニウム膜等の単層又は積層構造とすることができる。後に形成する酸化物半導体層と接する層は酸化物絶縁膜を用いることが好ましい。ゲート絶縁層の形成方法としてはプラズマCVD法又はスパッタリング法等を用いることができるが、層中に水素が多量に含まれないようにするためには、スパッタリング法で成膜することが好ましい。ゲート絶縁層の厚さは特に限定されないが、例えば、10nm以上500nm以下とすることができる。
次に、基板301を、第2の成膜室115から第3の成膜室117に搬送し、第2のゲート絶縁層307上に、スパッタリング法を用いて、酸化物半導体膜309を成膜する。処理前後において、第3の成膜室117は排気手段1117を用いて真空排気されている。また、空間135をアルゴンで満たすことにより、装置の接続部や配管の継ぎ目を介して第3の成膜室117内部に漏洩(リーク)するガス中の不純物濃度が極めて低減されている。そのため、第3の成膜室117内部は不純物が低減された、極めて清浄な状態にある。成膜前後に清浄に保たれた成膜室で酸化物半導体膜309を成膜するため、酸化物半導体膜309に含まれる不純物は効果的に低減される。
酸化物半導体膜309に用いる酸化物半導体は、四元系金属酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn−O系酸化物半導体や、三元系金属酸化物であるIn−Ga−Zn−O系酸化物半導体、In−Sn−Zn−O系酸化物半導体、In−Al−Zn−O系酸化物半導体、Sn−Ga−Zn−O系酸化物半導体、Al−Ga−Zn−O系酸化物半導体、Sn−Al−Zn−O系酸化物半導体や、二元系金属酸化物であるIn−Zn−O系酸化物半導体、Sn−Zn−O系酸化物半導体、Al−Zn−O系酸化物半導体、Zn−Mg−O系酸化物半導体、Sn−Mg−O系酸化物半導体、In−Mg−O系酸化物半導体、In−Ga−O系酸化物半導体や、In−O系酸化物半導体、Sn−O系酸化物半導体、Zn−O系酸化物半導体などを用いることができる。また、上記酸化物半導体にInとGaとSnとZn以外の元素、例えばSiO2を含んでもよい。ここで、例えば、In−Ga−Zn−O系酸化物半導体とは、少なくともInとGaとZnを含む酸化物であり、その組成比に特に制限はない。また、InとGaとZn以外の元素を含んでもよい。
酸化物半導体膜は、非単結晶であり、且つ酸化物半導体膜全体が非晶質状態(アモルファス状態)ではない。酸化物半導体膜全体が非晶質状態(アモルファス状態)ではないため、電気特性が不安定な非晶質の形成が抑制される。
また、酸化物半導体膜309は、化学式InMO3(ZnO)m(m>0、且つmは自然数ではない)で表記される薄膜を用いることができる。ここで、Mは、Ga、Al、MnおよびCoから選ばれた一または複数の金属元素を示す。例えばMとして、Ga、Ga及びAl、Ga及びMn、またはGa及びCoなどがある。
また、酸化物半導体としてIn−Zn−O系の材料を用いる場合、用いるターゲットの組成比は、原子数比で、In:Zn=50:1〜1:2(モル数比に換算するとIn2O3:ZnO=25:1〜1:4)、好ましくはIn:Zn=20:1〜1:1(モル数比に換算するとIn2O3:ZnO=10:1〜2:1)、さらに好ましくはIn:Zn=15:1〜1.5:1(モル数比に換算するとIn2O3:ZnO=15:2〜3:4)とする。例えば、In−Zn−O系酸化物半導体の形成に用いるターゲットは、原子数比がIn:Zn:O=X:Y:Zのとき、Z>1.5X+Yとする。
本実施の形態では、In−Ga−Zn−O系酸化物ターゲットを用いてスパッタリング法により酸化物半導体膜309を成膜する。この段階での断面図が図4(B)に相当する。酸化物半導体膜309は、希ガス(代表的にはアルゴン)雰囲気下、酸素雰囲気下、又は希ガスと酸素の混合雰囲気下において形成することができる。
酸化物半導体膜309をスパッタリング法で作製するためのターゲットとしては、例えば、組成比として、In2O3:Ga2O3:ZnO=1:1:1[mol数比](すなわち、In:Ga:Zn=1:1:0.5[atom比])を用いることができる。また、他にも、In:Ga:Zn=1:1:1[atom比]、又はIn:Ga:Zn=1:1:2[atom比]の組成比を有するターゲットを用いてもよい。酸化物ターゲットの充填率は90.0%以上100%以下、好ましくは95.0%以上99.9%である。充填率の高い金属酸化物ターゲットを用いることにより、成膜した酸化物半導体膜は緻密な膜となる。また、ターゲットの純度は99.99%以上が好ましく、特にNa、Li等のアルカリ金属及びCaなどのアルカリ土類金属などの不純物は低減されているものが好ましい。
酸化物半導体膜309を成膜する際に用いるスパッタリング用のガスは水素、水、水酸基又は水素化物などの不純物が除去された高純度ガスを用いる。
成膜条件の一例としては、基板とターゲットの間との距離を100mm、圧力0.6Pa、直流(DC)電源0.5kW、酸素(酸素流量比率100%)雰囲気下の条件が適用される。なお、パルス直流電源を用いると、成膜時に発生する粉状物質(パーティクル、ごみともいう)が軽減でき、膜厚分布も均一となるために好ましい。減圧状態に保持された成膜室内に基板を保持し、基板温度を100℃以上600℃以下、好ましくは150℃以上450℃以下、より好ましくは200℃以上400℃以下とする。特に、250℃以上320℃以下の範囲が脱水化に好適である。基板を加熱しながら成膜することにより、成膜した酸化物半導体膜に含まれる不純物濃度を低減することができる。また、スパッタリングによる損傷が軽減される。
なお、酸化物半導体膜中に含まれる、Li、Naなどのアルカリ金属、及びCaなどのアルカリ土類金属などの不純物は低減されていることが好ましい。具体的には、SIMSにより検出されるLiが5×1015cm−3以下、好ましくは1×1015cm−3以下、Naが5×1015cm−3以下、好ましくは1×1015cm−3以下、Kは5×1015cm−3以下、好ましくは1×1015cm−3以下であることが好ましい。
アルカリ金属、及びアルカリ土類金属は酸化物半導体にとっては悪性の不純物であり、少ないほうがよい。特にアルカリ金属のうち、Naは酸化物半導体に接する絶縁膜が酸化物であった場合、その中に拡散し、Na+となる。また、酸化物半導体内において、金属と酸素の結合を分断し、あるいは結合中に割り込む。その結果、トランジスタ特性の劣化(例えば、ノーマリーオン化(しきい値の負へのシフト)、移動度の低下等)をもたらす。加えて、特性のばらつきの原因ともなる。このような問題は、特に酸化物半導体中の水素の濃度が十分に低い場合において顕著となる。したがって、酸化物半導体中の水素の濃度が5×1019cm−3以下、特に5×1018cm−3以下である場合には、アルカリ金属の濃度を上記の値にすることが強く求められる。
酸化物半導体膜309を成膜した後、酸化物半導体膜309に、酸化ラジカル処理を行うことが好ましい。本実施の形態では、処理室125で酸素ラジカル処理を行う。処理前後において、処理室125は排気手段1125を用いて真空排気されている。また、空間135をアルゴンで満たすことにより、処理室125内部に装置の接続部や配管の継ぎ目を介して漏洩(リーク)するガス中の不純物濃度が極めて低減されている。そのため、処理室125内部は不純物が低減された、極めて清浄な状態にある。
酸素ラジカルは、酸素を含むプラズマ発生装置により供給されてもよいし、オゾン発生装置により供給されてもよい。供給された酸素ラジカル又は酸素を薄膜に照射することによって膜表面を改質することができる。酸素ラジカル処理の代わりに、アルゴンと酸素のラジカル処理を行ってもよい。アルゴンと酸素のラジカル処理とは、アルゴンガスと酸素ガスを導入してプラズマを発生させて薄膜表面の改質を行うことである。
アルゴンと酸素のラジカル処理の一例について説明する。電界が印加され放電プラズマが発生している反応空間中のアルゴン原子(Ar)は、放電プラズマ中の電子により励起又は電離され、アルゴンラジカル(Ar*)やアルゴンイオン(Ar+)や電子となる。アルゴンラジカル(Ar*)はエネルギーの高い準安定状態にあり、周辺にある同種又は異種の原子と反応し、それらの原子を励起又は電離させて安定状態に戻ろうとして雪崩現象的に反応が発生する。その時に周辺に酸素があると、酸素原子(O)が励起又は電離され、酸素ラジカル(O*)や酸素イオン(O+)となる。その酸素ラジカル(O*)が被処理物である薄膜表面の材料と反応し、表面改質が行われる。なお、不活性ガスのラジカルは、反応性ガスのラジカルと比較して準安定状態が長く維持されるという特徴があり、そのためプラズマを発生させるのに不活性ガスを用いるのが一般的である。
次に、基板301を、第5の成膜室127に搬送し、酸化物半導体膜309上に、スパッタリング法を用いて、導電膜310を成膜する(図4(C))。処理前後において、第5の成膜室127は排気手段1127を用いて真空排気されている。また、空間135をアルゴンで満たすことにより、第5の成膜室127内部に装置の接続部や配管の継ぎ目を介して漏洩(リーク)するガス中の不純物濃度が極めて低減されている。そのため、第5の成膜室127内部は不純物が低減された、極めて清浄な状態にある。
導電膜の材料としては、例えば、Al、Cr、Cu、Ta、Ti、Mo、Wからから選ばれた元素、または上述した元素を成分とする合金か、上述した元素を組み合わせた合金等を用いることができる。また、Al膜、Cu膜などの金属膜の下側又は上側の一方または双方にTi膜、Mo膜、W膜などの高融点金属膜を積層させた構成としても良い。また、Al膜に生ずるヒロックやウィスカーの発生を防止する元素(Si、Nd、Scなど)が添加されているAl材料を用いることで耐熱性を向上させることが可能となる。また導電膜は、導電性の金属酸化物を用いて形成しても良い。導電性の金属酸化物としては酸化インジウム(In2O3)、酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム酸化スズ合金(In2O3−SnO2、ITOと略記する)、酸化インジウム酸化亜鉛合金(In2O3−ZnO)またはこれらの金属酸化物材料に酸化珪素を含ませたものを用いることができる。
次に、連続成膜処理が終了した基板301を当該連続成膜装置外で処理を行うため、第2のロードロック室131に搬送する。第2のロードロック室131の内圧を大気圧まで戻した後、基板を搬出する。
なお、連続成膜の工程中に、ある部屋から搬出された基板を、次の成膜や処理を行う部屋に搬入する前に別の場所で待機させる必要が生じた場合は、基板待機室129に基板を搬入すれば良い。基板待機室129は排気手段1129を用いて真空排気されている。また、空間135をアルゴンで満たすことにより、基板待機室129内部に装置の接続部や配管の継ぎ目を介して漏洩(リーク)するガス中の不純物濃度が極めて低減されている。そのため、基板待機室129内部は不純物が低減された、極めて清浄な状態にある。
次に、導電膜310上に第2のフォトマスクを用いてレジストマスクを形成し、エッチングにより不要な導電膜310、及び酸化物半導体膜309を除去する。次いで、第3のフォトマスクを用いて、酸化物半導体層のチャネル形成領域と重畳する導電膜をエッチングし、ソース電極層311a、及びドレイン電極層311bを形成する。なお、この段階の断面図を図4(D)に示す。
次いで、酸化物半導体層に第1の加熱処理を行う。この第1の加熱処理によって酸化物半導体層の脱水化または脱水素化を行うことができる。第1の加熱処理の温度は、400℃以上750℃以下、または400℃以上基板の歪み点未満とする。ここでは、加熱処理装置の一つである電気炉に基板を導入し、酸化物半導体層に対して窒素雰囲気下450℃において1時間の加熱処理を行い、酸化物半導体層312を得る。
なお、加熱処理装置は電気炉に限られず、抵抗発熱体などの発熱体からの熱伝導または熱輻射によって、被処理物を加熱する装置を用いてもよい。例えば、GRTA(Gas Rapid Thermal Anneal)装置、LRTA(Lamp Rapid Thermal Anneal)装置等のRTA(Rapid Thermal Anneal)装置を用いることができる。LRTA装置は、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリウムランプ、高圧水銀ランプなどのランプから発する光(電磁波)の輻射により、被処理物を加熱する装置である。GRTA装置は、高温のガスを用いて加熱処理を行う装置である。高温のガスには、アルゴンなどの希ガス、または窒素のような、加熱処理によって被処理物と反応しない不活性気体が用いられる。
例えば、第1の加熱処理として、650℃〜700℃の高温に加熱した不活性ガス中に基板を移動させて入れ、数分間加熱した後、基板を移動させて高温に加熱した不活性ガス中から出すGRTAを行ってもよい。
なお、第1の加熱処理においては、窒素、またはヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスに、水、水素などが含まれないことが好ましい。または、加熱処理装置に導入する窒素、またはヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスの純度を、6N(99.9999%)以上好ましくは7N(99.99999%)以上(即ち不純物濃度を1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下)とすることが好ましい。
また、第1の加熱処理で酸化物半導体層を加熱した後、同じ炉に高純度の酸素ガス、高純度のN2Oガス、又は超乾燥エア(露点が−40℃以下、好ましくは−60℃以下)を導入してもよい。酸素ガスまたはN2Oガスに、水、水素などが含まれないことが好ましい。または、加熱処理装置に導入する酸素ガスまたはN2Oガスの純度を、6N以上好ましくは7N以上(即ち、酸素ガスまたはN2Oガス中の不純物濃度を1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下)とすることが好ましい。酸素ガス又はN2Oガスの作用により、脱水化または脱水素化処理による不純物の排除工程によって同時に減少してしまった酸化物半導体を構成する主成分材料である酸素を供給することによって、酸化物半導体層を高純度化及び電気的にI型(真性)化する。
その後、再び第1のロードロック室111から基板301を搬入し、予備加熱を行った後、処理室125にて、N2O、N2、またはArなどのガスを用いたプラズマ処理を行い、露出している酸化物半導体層の表面に付着した吸着水などを除去してもよい。プラズマ処理を行った場合、大気に触れることなく、酸化物半導体層の一部に接する保護絶縁層となる絶縁層313を形成できる。
絶縁層313は、少なくとも1nm以上の膜厚とし、スパッタリング法など、絶縁層313に水、水素等の不純物を混入させない方法を適宜用いて形成することができる。絶縁層313に水素が含まれると、その水素の酸化物半導体層への侵入、又は水素による酸化物半導体層中の酸素の引き抜き、が生じ酸化物半導体層312のバックチャネルが低抵抗化(N型化)してしまい、寄生チャネルが形成されるおそれがある。よって、絶縁層313はできるだけ水素を含まない膜になるように、成膜方法に水素を用いないことが重要である。
絶縁層313の成膜は第1の成膜室113で行う。第1の成膜室113は排気手段1113を用いて真空排気されている。また、空間135をアルゴンで満たすことにより、成膜室内部に装置の接続部や配管の継ぎ目を介して漏洩(リーク)するガス中の不純物濃度が極めて低減されている。そのため、成膜室内部は不純物が低減された、極めて清浄な状態にある。
酸化物半導体層312に接して形成する絶縁層313は、水分や、水素イオンや、OH−などの不純物を含まず、これらが外部から侵入することを防ぐ無機絶縁膜を用いる。特に、酸化物絶縁膜を用いることが好ましい。代表的には酸化珪素膜、酸化窒化珪素膜、酸化アルミニウム膜、または酸化窒化アルミニウム膜などを用いる。
本実施の形態では、絶縁層313として膜厚200nmの酸化珪素膜を、スパッタリング法を用いて成膜する。成膜時の基板温度は、室温以上500℃以下とすれば良い。酸化珪素膜のスパッタリング法による成膜は、希ガス(代表的にはアルゴン)雰囲気下、酸素雰囲気下、または希ガスと酸素の混合雰囲気下において行うことができる。絶縁層313を、成膜する際に用いるスパッタリング用のガスは水素、水、水酸基又は水素化物などの不純物が除去された高純度ガスを用いることが好ましい。スパッタリング用ターゲットとしては、酸化珪素ターゲットまたは珪素ターゲットを用いることができる。例えば、珪素ターゲットを用いて、酸素を含む雰囲気下でスパッタ法により酸化珪素膜を形成することができる。
次いで、第2の加熱処理を第1の加熱室119にて行う。なお、第1の加熱室119は排気手段1119を用いて真空排気されている。また、空間135をアルゴンで満たすことにより、加熱室内部に装置の接続部や配管の継ぎ目を介して漏洩(リーク)するガス中の不純物濃度が極めて低減されている。そのため、加熱室内部は不純物が低減された、極めて清浄な状態にある。第2の加熱処理は不活性ガス雰囲気下、または酸素ガス雰囲気下で、好ましくは200℃以上400℃以下、例えば250℃以上350℃以下で行う。例えば、窒素雰囲気下で250℃、1時間の第2の加熱処理を行う。第2の加熱処理を行うと、酸化物半導体層の一部(チャネル形成領域)が絶縁層313と接した状態で加熱される。
以上の工程を経ることによって、酸化物半導体層に対して第1の加熱処理を行って水素、水分、水酸基又は水素化物(水素化合物ともいう)などの不純物を酸化物半導体層より意図的に排除し、かつ不純物の排除工程によって同時に減少してしまう酸化物半導体を構成する主成分材料の一つである酸素を供給することができる。よって、酸化物半導体層は高純度化及び電気的にI型(真性)化する。
絶縁層313上にさらに保護絶縁層315を形成してもよい。例えば、RFスパッタ法を用いて窒化珪素膜を形成する。RFスパッタ法は、量産性がよいため、保護絶縁層の成膜方法として好ましい。保護絶縁層は、水分などの不純物を含まず、これらが外部から侵入することをブロックする無機絶縁膜を用い、窒化珪素膜、窒化アルミニウム膜などを用いる。本実施の形態では、保護絶縁層315を、窒化珪素膜を用いて形成する。
絶縁層313の成膜時と同様に、保護絶縁層315を成膜する第1の成膜室113内は排気手段1113を用いて真空排気されている。また、空間135をアルゴンで満たすことにより、成膜室内部に装置の接続部や配管の継ぎ目を介して漏洩(リーク)するガス中の不純物濃度が極めて低減されている。そのため、成膜室内部は不純物が低減された、極めて清浄な状態にある。
以上の工程でトランジスタ300が形成される。なお、この段階の断面図を図4(E)に示す。
以上のように、実施の形態2で示した連続成膜装置を用いてトランジスタを作製することで、酸化物半導体層中、酸化物半導体に接する層中、及びこれらの界面に不純物が混入せず、水素原子濃度が十分に低減された高純度な酸化物半導体層を有するトランジスタを作製することができる。また、酸化物半導体層に接する層も不純物が低減されているため、酸化物半導体層は高純度に保たれる。本実施の形態で例示する方法を用いて作製する高純度な酸化物半導体層を有するトランジスタはオフ電流が低く、このトランジスタを用いることにより低消費電力の半導体装置を実現できる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、実施の形態2に示した連続成膜装置を用いて、実施の形態3で説明したトランジスタとは異なる構成を有するトランジスタを作製する方法について図2、図3、及び図5を用いて説明する。本実施の形態では、酸化物半導体層を用いた半導体装置を作製する方法について説明する。
本実施の形態で例示するボトムゲート型のトランジスタ400の断面図を図3(B)に示す。トランジスタ400は、ゲート電極層303、第1のゲート絶縁層305、第2のゲート絶縁層307、高純度化された酸化物半導体層308、ソース電極層314a、ドレイン電極層314b、絶縁層313、及び保護絶縁層315を有する。
トランジスタ400を実施の形態2で例示する連続成膜装置を用いて作製する方法について、図5を用いて説明する。まず、実施の形態3と同様の方法で、基板301上に導電膜を形成し、第1のフォトマスクを用いてレジストマスクを形成し、エッチングによりゲート電極層303を形成する。なお、この段階の断面図を図5(A)に示す。
次に、実施の形態2に示した連続成膜装置(図2参照)を用いて、ゲート絶縁層(第1のゲート絶縁層305、第2のゲート絶縁層307)及び酸化物半導体膜306を大気にさらすことなく連続成膜する。ゲート絶縁層及び酸化物半導体膜306の成膜は、実施の形態3と同様の方法で行えば良い。なお、この段階の断面図を図5(B)に示す。
次に、連続成膜装置外において、第2のフォトマスクを用いてレジストマスクを形成し、フォトリソグラフィ工程により酸化物半導体膜306を、島状の酸化物半導体層308に加工する。酸化物半導体層308を形成するためのレジストマスクは、インクジェット法で形成してもよい。レジストマスクをインクジェット法で形成するとフォトマスクを使用しないため、製造コストを低減できる。なお、この段階の断面図を図5(C)に示す。
なお、ここでの酸化物半導体膜306のエッチングは、ドライエッチングでもウェットエッチングでもよく、両方を用いてもよい。例えば、酸化物半導体膜306のウェットエッチングに用いるエッチング液としては、燐酸と酢酸と硝酸を混ぜた溶液などを用いることができる。また、ITO07N(関東化学社製)を用いてもよい。
次いで、酸化物半導体層に第1の加熱処理を行う。この第1の加熱処理によって酸化物半導体層の脱水化または脱水素化を行うことができる。第1の加熱処理の温度は、400℃以上750℃以下、または400℃以上基板の歪み点未満とする。ここでは、加熱処理装置の一つである電気炉に基板を導入し、酸化物半導体層に対して窒素雰囲気下450℃において1時間の加熱処理を行った後、大気に触れることなく、酸化物半導体層への水や水素の再混入を防ぎ、酸化物半導体層308を得る。
なお、加熱処理装置は電気炉に限られず、抵抗発熱体などの発熱体からの熱伝導または熱輻射によって、被処理物を加熱する装置を用いてもよい。例えば、GRTA(Gas Rapid Thermal Anneal)装置、LRTA(Lamp Rapid Thermal Anneal)装置等のRTA(Rapid Thermal Anneal)装置を用いることができる。LRTA装置は、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリウムランプ、高圧水銀ランプなどのランプから発する光(電磁波)の輻射により、被処理物を加熱する装置である。GRTA装置は、高温のガスを用いて加熱処理を行う装置である。高温のガスには、アルゴンなどの希ガス、または窒素のような、加熱処理によって被処理物と反応しない不活性気体が用いられる。
例えば、第1の加熱処理として、650℃〜700℃の高温に加熱した不活性ガス中に基板を移動させて入れ、数分間加熱した後、基板を移動させて高温に加熱した不活性ガス中から出すGRTAを行ってもよい。
なお、第1の加熱処理においては、窒素、またはヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスに、水、水素などが含まれないことが好ましい。または、加熱処理装置に導入する窒素、またはヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスの純度を、6N(99.9999%)以上好ましくは7N(99.99999%)以上(即ち不純物濃度を1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下)とすることが好ましい。
また、第1の加熱処理で酸化物半導体層を加熱した後、同じ炉に高純度の酸素ガス、高純度のN2Oガス、又は超乾燥エア(露点が−40℃以下、好ましくは−60℃以下)を導入してもよい。酸素ガスまたはN2Oガスに、水、水素などが含まれないことが好ましい。または、加熱処理装置に導入する酸素ガスまたはN2Oガスの純度を、6N以上好ましくは7N以上(即ち、酸素ガスまたはN2Oガス中の不純物濃度を1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下)とすることが好ましい。酸素ガス又はN2Oガスの作用により、脱水化または脱水素化処理による不純物の排除工程によって同時に減少してしまった酸化物半導体を構成する主成分材料である酸素を供給することによって、酸化物半導体層を高純度化及び電気的にI型(真性)化する。
また、酸化物半導体層の第1の加熱処理は、島状の酸化物半導体層に加工する前の酸化物半導体膜に行うこともできる。その場合には、第1の加熱処理後に、加熱処理装置から基板を取り出し、フォトリソグラフィ工程を行う。
なお、第1の加熱処理は、上記以外にも、酸化物半導体膜成膜後であれば、酸化物半導体層上にソース電極層及びドレイン電極層を積層させた後、あるいは、ソース電極層及びドレイン電極層上に絶縁層を形成した後に行っても良い。
また、ゲート絶縁層にコンタクトホールを形成する場合、その工程は酸化物半導体層に第1の加熱処理を行う前でも行った後に行ってもよい。
次に、第2のゲート絶縁層307及び酸化物半導体層308上に、スパッタリング法を用いて、導電膜を成膜する。そして、第3のフォトマスクを用いて導電膜上にレジストマスクを形成し、選択的にエッチングを行って、ソース電極層314a、及びドレイン電極層314bを形成する。なお、この段階の断面図を図5(D)に示す。
その後、N2O、N2、またはArなどのガスを用いたプラズマ処理を行い、露出している酸化物半導体層の表面に付着した吸着水などを除去してもよい。
そして、実施の形態2と同様の方法で、酸化物半導体層の一部に接する絶縁層313として酸化珪素膜を成膜し、絶縁層313上に保護絶縁層315として窒化珪素膜を成膜する。
次いで、不活性ガス雰囲気下、または酸素ガス雰囲気下で第2の加熱処理(好ましくは200℃以上400℃以下、例えば250℃以上350℃以下)を行う。例えば、窒素雰囲気下で250℃、1時間の第2の加熱処理を行う。第2の加熱処理を行うと、酸化物半導体層の一部(チャネル形成領域)が絶縁層313と接した状態で加熱される。
以上の工程でトランジスタ400が形成される。なお、この段階の断面図を図5(E)に示す。
以上のように、実施の形態2で示した連続成膜装置を用いてトランジスタを作製することで、酸化物半導体層中、酸化物半導体に接する層中、及びこれらの界面に不純物が混入せず、水素原子濃度が十分に低減された高純度な酸化物半導体層を有するトランジスタを作製することができる。また、酸化物半導体層に接するゲート絶縁層、導電層も不純物が低減されているため、酸化物半導体層は高純度に保たれる。本実施の形態で例示する方法を用いて作製する高純度な酸化物半導体層を有するトランジスタはオフ電流が低く、このトランジスタを用いることにより低消費電力の半導体装置を実現できる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、実施の形態2に示した連続成膜装置を用いて、実施の形態3、及び実施の形態4で説明した半導体装置とは異なる構成を有するトランジスタを作製する方法について図2、図3、及び図6を用いて説明する。本実施の形態では、特に、結晶領域を有する酸化物半導体層を用いたトランジスタを作製する方法について説明する。
本実施の形態で作製方法を説明するトランジスタの断面図を図3(C)に示す。トランジスタ500は、ゲート電極層303、第1のゲート絶縁層305、第2のゲート絶縁層307、第1の酸化物半導体層406、第2の酸化物半導体層408、ソース電極層411a、ドレイン電極層411b、絶縁層313、及び保護絶縁層315を有する。なお、第1の酸化物半導体層406、及び第2の酸化物半導体層408は結晶化している。
トランジスタ500を実施の形態2で例示する連続成膜装置を用いて作製する方法について、図6を用いて説明する。
まず、基板301上に導電膜を形成し、第1のフォトリソグラフィ工程により、ゲート電極層303を形成する。
次に、実施の形態2に示した連続成膜装置(図2参照)を用いて、第1のゲート絶縁層305、及び第2のゲート絶縁層307を形成する。なお、この段階の断面図を図6(A)に示す。
次に、基板301を、第2の成膜室115から第3の成膜室117に搬送し、第2のゲート絶縁層307上に、結晶領域を有する酸化物半導体膜を形成する。本実施の形態では酸化物半導体膜を2回に分けて成膜し、2回に分けて加熱処理を行う。このような成膜方法を適用することで、膜厚の厚い結晶領域、即ち、膜表面に垂直にc軸配向した結晶領域を有する酸化物半導体膜が形成できる。なお、このような方法を用いることで、下地部材の材料が酸化物、窒化物、金属など材料を問わず、酸化物半導体に結晶領域を形成することができる。
第1の酸化物半導体膜を、スパッタリング法を用いて成膜する。なお、第1の酸化物半導体膜を成膜する第3の成膜室117内は排気手段を用いて真空排気されている。また、アルゴンを主成分とした封止ガスで空間135を満たすことにより、成膜室内部に装置の接続部や配管の継ぎ目を介して漏洩(リーク)するガス中の不純物濃度は極めて低減される。そのため、成膜室内部は不純物が低減された、極めて清浄な状態にある。
第1の酸化物半導体膜に用いる酸化物半導体としては、実施の形態3に挙げた酸化物半導体を用いることができる。
第1の酸化物半導体膜は、のちに形成する第2の酸化物半導体膜を結晶成長させるための種として用いるため、結晶成長する厚さとすればよく、代表的には一原子層以上30nm以下、好ましくは2nm以上5nm以下でよい。第1の酸化物半導体膜の厚さを薄くすることで成膜処理及び加熱処理におけるスループットを高めることができる。
次に、基板301を、第3の成膜室117から第1の加熱室119に搬送し、第1の加熱処理を行い、第1の酸化物半導体膜の表面を含む領域に結晶領域(板状結晶を含む)を形成する。第1の加熱処理によって、表面を含む領域に結晶領域(板状結晶を含む)を有する第1の酸化物半導体膜405が形成される。(図6(B))。
第1の加熱処理は、窒素、酸素、希ガス、または乾燥空気の雰囲気下で行う。第1の加熱処理の温度は、450℃以上850℃以下、好ましくは550℃以上750℃以下とする。また、加熱時間は1分以上24時間以下とする。
第1の加熱室119は、室温以上850℃以下に加熱できる手段を有することが好ましい。
なお、第3の成膜室117が基板加熱手段を有している場合は、第1の酸化物半導体膜を加熱しながら成膜することで、結晶成長を促すことができる。成膜中に第1の酸化物半導体膜の結晶を成長させることで、第1の加熱処理を省略することができる。基板加熱条件としては、基板301を450℃以上850℃以下、好ましくは550℃以上750℃以下に加熱すればよい。
次に、基板を第1の加熱室119から第4の成膜室121に搬送し、第1の酸化物半導体膜よりも厚い第2の酸化物半導体膜を、スパッタリング法を用いて形成する。なお、第2の酸化物半導体膜を成膜する第4の成膜室121内は排気手段を用いて真空排気されている。また、空間135を、アルゴンを主成分とした封止ガスで満たすことにより、第4の成膜室121内部に装置の接続部や配管の継ぎ目を介して漏洩(リーク)するガス中の不純物濃度が極めて低減されている。そのため、第4の成膜室121内部は不純物が低減された、極めて清浄な状態にある。
第2の酸化物半導体膜に用いる酸化物半導体としては、実施の形態3に挙げた酸化物半導体を用いることができる。
第2の酸化物半導体膜の膜厚は、作製するデバイスによって最適な膜厚を実施者が決定すればよい。
第4の成膜室121が基板加熱手段を有している場合は、第2の酸化物半導体膜を加熱しながら成膜しても良い。
次に、基板301を、第4の成膜室121から第2の加熱室123に搬送し、第2の加熱処理を行う。なお、第2の加熱室123内は排気手段を用いて真空排気されている。また、空間135を、アルゴンを主成分とした封止ガスで満たすことにより、第2の加熱室123内部に装置の接続部や配管の継ぎ目を介して漏洩(リーク)するガス中の不純物濃度が極めて低減されている。そのため、第2の加熱室123内部は不純物が低減された、極めて清浄な状態にある。
第2の加熱処理は450℃以上850℃以下、好ましくは600℃以上700℃以下の温度で行う。第1の酸化物半導体膜405を結晶成長の種として、上方に結晶成長させ、第2の酸化物半導体膜の全体を結晶化させ、結果として膜厚の厚い結晶領域を有する第2の酸化物半導体膜407を形成する。なお、この段階の断面図を図6(B)に示す。
また、図6(B)、図6(C)、図6(D)、及び図6(E)に、結晶領域を有する第1の酸化物半導体膜405、及び結晶領域を有する第2の酸化物半導体膜407の界面を点線で示したが、第1の酸化物半導体膜405及び結晶領域を有する第2の酸化物半導体膜407の境界が判別できず、同一の層とみなせることもある。
また、第1の酸化物半導体膜405及び第2の酸化物半導体膜407を成膜した後に、第2の酸化物半導体膜407の表面に、酸化ラジカル処理を行う事が好ましい。本実施の形態では、処理室125で酸素ラジカル処理を行う。酸化ラジカル処理は実施の形態3と同様の方法で行うことができる。
次に、基板301を、第5の成膜室127に搬送し、第2の酸化物半導体膜407上に、スパッタリング法を用いて、導電膜409を成膜する。導電膜409は実施の形態3で示した導電膜310と同様の材料、方法を用いて形成することができる。よって、詳細については、実施の形態3の記載を参酌することができる。なお、この段階の断面図を図6(C)に示す。
そして、連続成膜が完了した基板301を第2のロードロック室131に搬送し、連続成膜装置から基板を搬出する。
次に、実施の形態3と同様の方法で、第2のフォトマスクを用いたフォトリソグラフィ工程及びエッチングにより、第1の酸化物半導体層406、第2の酸化物半導体層408、ソース電極層411a、及びドレイン電極層411bを形成する。なお、この段階の断面図を図6(D)に示す。
次いで、実施の形態3と同様の材料、方法で、絶縁層313として酸化硅素膜を形成し、保護絶縁層315として窒化硅素膜を成膜する。
以上の工程で、結晶領域を有する酸化物半導体層を用いたトランジスタ500を作製できる。なお、この段階の断面図を図6(E)に示す。
なお、本実施の形態では、2層の酸化物半導体膜を用いて結晶領域を有する酸化物半導体膜を形成する場合について説明したが、結晶領域を有する酸化物半導体膜が、単層でも、3層以上であっても良い。
単層の酸化物半導体膜を用いて結晶領域を有する酸化物半導体膜を成膜する場合は、例えば、第3の成膜室117において、酸化物半導体膜を形成し、第1の加熱室119において加熱処理を行えばよい。また、基板301を加熱し結晶化を促しながら成膜しても良い。また、処理室125において、成膜後の酸化物半導体膜に酸化ラジカル処理を行っても良い。
なお、結晶領域を有する酸化物半導体膜を、結晶領域を有する島状の酸化物半導体層に加工してから、その上に導電層を形成する工程を用いてトランジスタを作製する場合は、酸化物半導体層の形成を除いて実施の形態4に示した方法を適用することができる。よって、詳細については、実施の形態4の記載を参酌することができる。
以上のように、実施の形態2で示した連続成膜装置を用いてトランジスタを作製することで、酸化物半導体層中、酸化物半導体に接する層中、及びこれらの界面に不純物が混入せず、水素原子濃度が十分に低減された高純度な酸化物半導体層を有するトランジスタを作製することができる。また、酸化物半導体層に接するゲート絶縁層、導電層も不純物が低減されているため、酸化物半導体層は高純度に保たれる。本実施の形態で例示する方法を用いて作製する高純度な酸化物半導体層を有するトランジスタはオフ電流が低く、このトランジスタを用いることにより低消費電力の半導体装置を実現できる。