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JP5772630B2 - 回転機の制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、互いに相違する電圧値の電圧のそれぞれを印加する各別の電圧印加手段のそれぞれと回転機の端子との間を開閉するスイッチング素子を備える電力変換回路について、該電力変換回路を構成するスイッチング素子を操作することで、前記回転機を流れる電流、鎖交磁束およびトルクの少なくとも1つを有する制御量を制御する回転機の制御装置に関する。
この種の制御装置としては、たとえば下記特許文献1に見られるように、インバータのスイッチング素子のオン・オフによって規定されるスイッチングモードのそれぞれに応じた3相電動機を流れる電流をそれぞれ予測し、予測される電流と指令電流との偏差が最小となるスイッチングモードにてインバータを操作するいわゆるモデル予測制御を行うものが提案されている。これによれば、インバータの出力電圧に基づき予測される電流の挙動を最適化するようにインバータが操作されるため、過渡時における指令電流への追従性が三角波比較PWM制御によるものと比較して向上する。このため、モデル予測制御は、車載主機としてのモータジェネレータの制御装置等、過渡追従特性として特に高い性能が要求される用途にとっては、有用性が高いと考えられる。
特開2008−228419号公報
ただし、上記モデル予測制御を用いる場合、スイッチングモードの更新可能タイミングの都度、スイッチングモードを最適なものに変更することが可能であることから、スイッチングモードの切り替え頻度が高くなるおそれがある。
本発明は、上記課題を解決する過程でなされたものであり、その目的は、互いに相違する電圧値の電圧のそれぞれを印加する各別の電圧印加手段のそれぞれと回転機の端子との間を開閉するスイッチング素子を備える電力変換回路について、該電力変換回路を構成するスイッチング素子を操作することで、前記回転機を流れる電流、鎖交磁束およびトルクの少なくとも1つを有する制御量を制御する新たな回転機の制御装置を提供することにある。
以下、上記課題を解決するための手段、およびその作用効果について記載する。
発明は、互いに相違する電圧値の電圧のそれぞれを印加する各別の電圧印加手段のそれぞれと回転機の端子との間を開閉するスイッチング素子を備える電力変換回路について、該電力変換回路を構成するスイッチング素子を操作することで、前記回転機を流れる電流、鎖交磁束およびトルクの少なくとも1つを有する制御量を制御する回転機の制御装置において、前記制御量によって規定される多次元座標系において、前記スイッチング素子のそれぞれがオン状態であるかオフ状態であるかを示すスイッチングモードがゼロ電圧ベクトルに対応するものである状況下、前記制御量が変化する方向であるゼロ電圧時変化方向を有して且つ、該制御量の指令値に応じて定まる目標点を通る直線を規範直線とし、前記スイッチングモードが有効電圧ベクトルに対応するものである状況下、前記規範直線上に実際の制御量が到達するタイミングを予測する到達タイミング予測手段と、前記到達タイミング予測手段によって予測されるタイミングとなることを条件に、前記電力変換回路の実際の操作に用いるスイッチングモードをゼロ電圧ベクトルに対応するものに切り替える切替手段と、を備えることを特徴とする。
スイッチングモードがゼロ電圧ベクトルに対応するものである場合、制御量の変化速度が遅くなる傾向がある。このため、スイッチングモードがゼロ電圧ベクトルに対応するものに切り替えられる時点において制御量とその指令値との乖離が過度に大きくないなら、これらの乖離が過度に大きくなるまでに要する時間が長くなる。これは、制御量とその指令値との乖離が小さい限りスイッチングモードの切り替え要求が生じにくい状況下にあっては、スイッチングモードの切り替えまでに要する時間が長くなることを意味する。上記発明では、この点に鑑み、到達タイミング予測手段と切替手段とを備える。
すなわち、スイッチングモードをゼロ電圧ベクトルに対応するものに切り替えることで制御量を規範直線上で変化させることで、規範直線の設定によって制御量とその指令値との乖離度合いを操作することができる。
なお、本発明にかかる以下の代表的な実施形態に関する概念の拡張については、代表的な実施形態の後の「その他の実施形態」の欄に記載してある。
第1の実施形態にかかるシステム構成図。 同実施形態にかかるスイッチングモードを示す図。 同実施形態にかかるモデル予測制御の処理手順を示す流れ図。 同実施形態にかかるスイッチングモードの選択手法を示す図。 同実施形態にかかるスイッチングモードの切替手法を示す図。 同実施形態にかかる過渡時におけるモデル予測制御の処理手順を示す流れ図。 同実施形態の効果を示す図。 同実施形態の効果を示す図。 第2の実施形態にかかるモデル予測制御の処理手順を示す流れ図。 同実施形態の効果を示す図。 第3の実施形態にかかる切替処理の手順を示す流れ図。 上記各実施形態の変形例にかかるスイッチングモードの切り替えパターンを示す図。
<第1の実施形態>
以下、本発明にかかる回転機の制御装置を車載主機としての回転機の制御装置に適用した第1の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
図1に、本実施形態にかかる回転機(モータジェネレータ10)の制御システムの全体構成を示す。車載主機としてのモータジェネレータ10は、3相の永久磁石同期モータである。また、モータジェネレータ10は、突極性を有する回転機(突極機)である。詳しくは、モータジェネレータ10は、埋め込み磁石同期モータ(IPMSM)である。
モータジェネレータ10は、インバータINVを介して高電圧バッテリ12に接続されている。インバータINVは、スイッチング素子S¥p,S¥n(¥=u,v,w)の直列接続体を3組備えており、これら各直列接続体の接続点がモータジェネレータ10のU,V,W相にそれぞれ接続されている。これらスイッチング素子S¥#(¥=u,v,w;#=p,n)として、本実施形態では、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)が用いられている。そして、これらにはそれぞれ、ダイオードD¥#が逆並列に接続されている。
本実施形態では、モータジェネレータ10やインバータINVの状態を検出する検出手段として、以下のものを備えている。まずモータジェネレータ10の回転角度(電気角θ)を検出する回転角度センサ14を備えている。また、モータジェネレータ10の各相を流れる電流iu,iv,iwを検出する電流センサ16を備えている。さらに、インバータINVの入力電圧(電源電圧VDC)を検出する電圧センサ18を備えている。
上記各種センサの検出値は、図示しないインターフェースを介して制御装置20に取り込まれる。制御装置20では、これら各種センサの検出値に基づき、インバータINVを操作する操作信号を生成して出力する。ここで、インバータINVのスイッチング素子S¥#を操作する信号が、操作信号g¥#である。
上記制御装置20は、モータジェネレータ10のトルクをトルク指令値Trq*に制御すべく、インバータINVを操作する。詳しくは、トルク指令値Trq*を実現するための指令電流とモータジェネレータ10を流れる電流とが一致するように、インバータINVを操作する。すなわち、本実施形態では、モータジェネレータ10のトルクが最終的な制御量となるものであるが、トルクを制御すべく、モータジェネレータ10を流れる電流を直接の制御量として、これを指令電流に制御する。特に、本実施形態では、モータジェネレータ10を流れる電流を指令電流に制御すべく、スイッチングモードに応じたモータジェネレータ10の電流を予測し、インバータINVの実際のスイッチングモードを決定するモデル予測制御を行う。
上記スイッチングモードは、インバータINVを構成するスイッチング素子S¥#のそれぞれがオンであるかオフであるかを示すものであり、図2(a)に示される8通りのスイッチングモード0〜7からなる。例えば、低電位側のスイッチング素子Sun,Svn,Swnの全てがオン状態となるスイッチングモードがスイッチングモード0であり、高電位側のスイッチング素子Sup,Svp,Swpの全てがオン状態となるスイッチングモードがスイッチングモード7である。これらスイッチングモード0,7は、モータジェネレータ10の全相を短絡させるものであり、インバータINVからモータジェネレータ10に印加される電圧がゼロとなるものであるため、インバータINVの出力電圧ベクトルをゼロ電圧ベクトルとするものである。これに対し、残りの6つのスイッチングモード1〜6は、上側アームおよび下側アームの双方にオン状態となるスイッチング素子が存在する操作パターンによって規定されるものであり、インバータINVの出力電圧ベクトルを有効電圧ベクトルとするものである。
図2(b)に、各スイッチングモード0〜7のそれぞれに対応する電圧ベクトルV0〜V7を示す。電圧ベクトルV0〜V7は、スイッチングモード0〜7のそれぞれにおけるインバータINVの出力電圧ベクトルを示すものである。なお、図示されるように、スイッチングモード1,3,5のそれぞれに対応する電圧ベクトルV1,V3,V5がU相、V相、W相の正側にそれぞれ対応している。
ここで、モデル予測制御について詳述する。
先の図1に示す電流センサ16によって検出された実電流iu,iv,iwは、dq変換部22において、回転座標系の実電流id,iqに変換される。また、回転角度センサ14によって検出される回転角度(電気角θ)は、速度算出部24の入力となり、これにより、回転速度(電気角速度ω)が算出される。一方、指令電流設定部26は、トルク指令値Trq*を入力とし、dq座標系での指令電流id*,iq*を出力する。これら指令電流id*,iq*、実電流id,iq、電気角速度ωおよび電気角θは、モデル予測制御部30の入力となる。モデル予測制御部30では、これら入力パラメータに基づき、インバータINVのスイッチングモードを決定し、操作部28に出力する。操作部28では、入力されたスイッチングモードに基づき、上記操作信号g¥#を生成してインバータINVに出力する。
次に、モデル予測制御部30の処理の詳細について説明する。
モデル予測制御部30では、以下の式(c1),(c2)にて表現されるモデル式に基づき予測処理を行なうことで、スイッチングモードを決定する。
vd=R・id+Ldt・(did/dt)−ω・Lqs・iq …(c1)
vq=R・iq+Lqt・(diq/dt)+ω・Lds・id+ω・φ …(c2)
ここで、抵抗R、電機子鎖交磁束定数φ、d軸の定常インダクタンスLds、d軸の過渡インダクタンスLdt、q軸の定常インダクタンスLqs、q軸の過渡インダクタンスLqtを用いた。なお、上記の式(c1)、(c2)の導出については、本明細書の最後部の「備考欄」に与えてある。
また、上記dq座標系の電圧ベクトルVdq=(vd,vq)は、電圧ベクトルV0〜V7を、例えば上側アームがオンである場合を「VDC/2」として且つ下側アームがオンである場合を「−VDC/2」とすることで表現し、これをdq変換することで算出すればよい。この場合、例えば、電圧ベクトルV0は、(−VDC/2,−VDC/2,−VDC/2)となり、電圧ベクトルV1は、(VDC/2,−VDC/2,−VDC/2)となる。
図3に、本実施形態にかかるモデル予測制御の処理手順を示す。この処理は、たとえば所定周期で繰り返し実行される。また、この処理は、到達タイミング予測手段を構成する。
この一連の処理では、まずステップS10において、後述する処理によって設定されるスイッチングモードの更新タイミング直前であるか否かを判断する。そして、ステップS10において直前であると判断される場合、更新タイミング以降におけるスイッチングモードを決定する処理を行なう。
まず、ステップS12では、インバータINVの平均的な出力電圧ベクトルである平均電圧ベクトル(vda,vqa)を算出する。これは、上記の式(c1)、(c2)から過渡インダクタンスLdt,Lqtの項を除いた式に、現在の指令電流id*(n),iq*(n)を代入した以下の式(c3)、(c4)にて算出することができる。
vda=R・id*(n)−ω・Lqs・iq*(n) …(c3)
vqa=R・iq*(n)+ω・Lds・id*(n)+ω・φ …(c4)
そして、ステップS14では、平均電圧ベクトル(vda,vqa)に基づき、更新タイミング以降の3つのスイッチングモード(それらに対応する電圧ベクトルV(n+1),V(n+2),V(n+3))を決定する。ここでは、平均電圧ベクトル(vda,vqa)を挟む一対の有効電圧ベクトルを、電圧ベクトルV(n+1),V(n+2)とする。この際、一対の有効電圧ベクトルのうち、現在の電圧ベクトルからの変更によってスイッチング状態が切り替えられる端子数が「1」となる方を、電圧ベクトルV(n+1)とする。また、電圧ベクトルV(n+3)は、ゼロ電圧ベクトルのうち、電圧ベクトルV(n+2)からの変更によってスイッチング状態が切り替えられる端子数が「1」となる方とする。図4に、平均電圧ベクトル(vda,vqa)を挟む一対の有効電圧ベクトルが電圧ベクトルV1,V2である場合を例示する。
一方、先の図3に示すステップS16では、上記更新タイミング時における電流の予測値(予測電流ide(n+1),iqe(n+1))を算出する。
ここでは、特定のスイッチングモードが選択された際の電流の挙動が、以下の式(c5),(c6)によって表現されることを利用する。式(c5),(c6)は、上記の式(c1),(c2)の左辺を、瞬時電圧ベクトル(vd−vda,vq−vqa)と、平均電圧ベクトル(vda,vqa)との和とし、瞬時電圧ベクトル(vd−vda,vq−vqa)が、右辺の微分項と等しいとしたものである。
vd−vda=Ldt・(did/dt) …(c5)
vq−vqa=Lqt・(diq/dt) …(c6)
上記の式(c5),(c6)を離散化し、現在の電圧ベクトルV(n+1)と、現在の実電流id(n),iq(n)とを用いると、予測電流ide(n+1),iqe(n+1)は、以下の式(c7),(c8)にて表現される。
ide(n+1)={vd(n)−vda}・Ts1/Ldt+id(n)
…(c7)
iqe(n+1)={vq(n)−vqa}・Ts1/Lqt+iq(n)
…(c8)
そして、ステップS18では、電圧ベクトルV(n+1),V(n+2),V(n+3)のそれぞれに対応するスイッチングモードの採用時間Ts1,Ts2,Ts0を算出する。これら採用時間Ts1,Ts2,Ts0は、実電流id,iqを図5に示すように変位させるための操作量である。図5において、規範直線Lmは、スイッチングモードをゼロ電圧ベクトルに対応するものとした場合に実電流id,iqが変位する方向であるゼロ電圧時変化方向Dcv0を有して且つ、指令電流id*,iq*を通る直線である。ここで、規範直線Lmを、指令電流id*,iq*を通る直線としたのは、指令電流id*,iq*と実電流id,iqとの乖離を抑制するためである。
また、点A,Bは、いずれも規範直線Lm上の点であって且つ、指令電流id*,iq*との距離が等しい点である。これは、指令電流id*,iq*と実電流id,iqとの乖離を抑制しつつ、スイッチングモードをゼロ電圧ベクトルに対応するものとする期間を極力長くするための設定である。
こうした設定において、スイッチングモードを電圧ベクトルV(n+1)に対応するものとすることで、実電流id,iqを点C(D)に変化させ、スイッチングモードを電圧ベクトルV(n+2)に対応するものとすることで、実電流id,iqを点Bに変化させる。これにより、指令電流id*,iq*と実電流id,iqとの乖離を抑制しつつも、スイッチング状態の切り替え頻度を低減することができる。
すなわち、任意のスイッチングモードについて、指令電流id*,iq*との乖離が過度に大きくならない範囲で、そのスイッチングモードの採用期間を最長とするための設定は、次の場合である。すなわち、実電流id,iqの変化方向とは逆方向において指令電流id*,iq*との乖離が許容最大値となるタイミングで、その任意のスイッチングモードに切り替える場合である。一方、実電流id,iqの変化速度は、スイッチングモードがゼロ電圧ベクトルに対応するものとなることで小さくなる傾向がある。このため、スイッチングモードがゼロ電圧ベクトルに対応するものである場合に、その採用期間を最長とすることを優先することが、スイッチング状態の切り替え頻度を低減する上で最も有効である。このため、点Bとなることでスイッチングモードをゼロ電圧ベクトルに対応するものに切り替え、指令電流id*,iq*と実電流id,iqとの乖離が大きくなる点Aに実電流id,iqが到達するまでの時間を極力長くする。
以下、採用時間Ts1,Ts2,Ts0の算出方法について説明する。
図5に示す点Aは、上記(c5),(c6)を離散化することで、以下の式(c9),(c10)によって表現される。
idA=(−vda/Ldt)・(Ts0/2) …(c9)
iqA=(−vqa/Lqt)・(Ts0/2) …(c10)
一方、点Bは、点Aと、指令電流id*,iq*に対して対称な点であることから、以下の式(c11),(c12)によって表現される。
idB=(vda/Ldt)・(Ts0/2) …(c11)
iqB=(vqa/Lqt)・(Ts0/2) …(c12)
また、点C(D)は、電圧ベクトルV(n+1)=(vd(n+1),vq(n+1))と、電圧ベクトルV(n+1)への切り替え時の電流ide(n+1),iqe(n+1)とを用いることで、以下の式(c13),(c14)にて表現される。
idC
={vd(n+1)−vda}・Ts1/Ldt+ide(n+1) …(c13)
iqC
={vq(n+1)−vqa}・Ts1/Lqt+iqe(n+1) …(c14)
また、点Cと電圧ベクトルV(n+2)とを用いる場合、点Bは、以下の式(c15),(c16)によって表現される。
idB={vd(n+2)−vda}・Ts2/Ldt+idC …(c15)
iqB={vq(n+2)−vqa}・Ts2/Lqt+iqC …(c16)
ここで、上記の式(c11)および式(c15)の右辺が互いに等しく、また、上記の式(c12)および式(c16)の右辺が互いに等しいとして且つ、「Ts*=Ts0+Ts1+Ts2」とすることで、採用時間Ts1,Ts2,Ts0は、以下の式(c17)〜(c19)によって表現される。
Ts1={(CE−AG)Ts*+(DE−AH)}/(BE−AF) …(c17)
Ts2={(CF−BG)Ts*+(DF−BH)}/(BE−AF) …(c18)
Ts0=Ts*−(Ts1+Ts2) …(c19)
ただし、A〜Fは、以下の式によって表現される。
A=[{vd(n+2)−vda}/Ldt+vda/2Ldt]
B=[{vd(n+1)−vda}/Ldt+vda/2Ldt]
C=vda/2Ldt
D=id*−ide(n+1)
E=[{vq(n+2)−vqa}/Lqt+vqa/2Lqt]
F=[{vq(n+1)−vqa}/Lqt+vqa/2Lqt]
G=vqa/2Lqt
H=iq*−iqe(n+1)
ここで、目標時間Ts*は、指令電流id*,iq*および実電流id,iqとの乖離の最大値と、スイッチング周波数とを制御するための操作量である。本実施形態では、目標時間Ts*を固定値とすることで、特に、スイッチング周波数の変動の抑制を図る。もっとも、目標時間Ts*の設定に際して、モータジェネレータ10の運転領域にかかわらず、指令電流id*,iq*および実電流id,iqとの乖離の最大値が許容範囲から外れる事態を回避することができるとの条件は課している。
続くステップS20においては、採用時間Ts1,Ts2,Ts0について物理的に可能な解があるか否かを判断する。この処理は、制御量(実電流id,iq)とその指令値(指令電流id*,iq*)との乖離度合いが規定値を上回るか否かを判断するためのものである。すなわち、本実施形態では、解がないことを持って規定値を上回ると判断する。ちなみに、規定値を上回る状況は、たとえば、モータジェネレータ10に対する指令値の変化速度が規定値以上となったり(トルク指令値Trq*の変化速度が規定値以上となったり)、車輪に加わるトルクの変化速度が規定値以上となったりする過渡運転領域において生じうる。
そして、ステップS20において解が無いと判断される場合、過渡運転領域であるとして、ステップS22においてフラグFを「1」とし、この図3に示す処理とは別の過渡時用の処理を行なう。なお、ステップS10において否定判断される場合や、ステップS20において肯定判断される場合、さらにはステップS22の処理が完了する場合には、この一連の処理を一旦終了する。なお、ステップS20において肯定判断される場合には、ステップS14において決定されたスイッチングモードのそれぞれをステップS18によって算出された採用時間Ts1,Ts2,Ts0だけ採用する処理が先の図1に示した操作部28において行われる。このため、操作部28は、切替手段を構成する。
図6に、過渡運転領域におけるモデル予測制御の処理手順を示す。この処理は、フラグFが「1」となることを条件に所定の制御周期Tcでくり返し実行される。
この一連の処理では、まずステップS30において、スイッチングモードを様々に仮設定した場合に予測される電流(予測電流ide(n+2),iqe(n+2))と指令電流id*,iq*との乖離度合いが最も小さいスイッチングモードを、次回のスイッチングモード(電圧ベクトルV(n+1))に決定する。すなわち、本実施形態では、過渡運転領域においては、指令電流id*,iq*への追従性を優先する。なお、この処理は、本実施形態にかかる制御量予測手段、評価手段および決定手段を構成する。
詳しくは、この処理は、評価関数Jによる評価の最も高いスイッチングモードを最終的なスイッチングモード(電圧ベクトルV(n+1))とする。本実施形態では、指令電流ベクトルと予測電流ベクトルとの各成分の差が大きいほど評価が低くなる評価関数Jを用いてスイッチングモードを評価する。詳しくは、評価関数Jとして、評価が低いほど値が大きくなるものを採用する。具体的には、評価関数Jを、指令電流ベクトル(id*,iq*)と、予測電流ベクトル(ide,iqe)との差の2乗(内積値)に基づき算出する。これは、指令電流ベクトルと予測電流ベクトルとの各成分の偏差が正、負の双方の値となりえることに鑑み、値が大きいほど評価が低いことを表現するための一手法である。
なお、予測電流ide(n+2),iqe(n+2)は、仮設定されるスイッチングモードとしてから制御周期Tcが経過する時点の予測値とする。これは、仮設定されるスイッチングモードへの切り替えタイミングにおける予測電流ide(n+1),iqe(n+1)を、現在の実電流id,iqに基づき算出し、これを利用することで算出することができる。また、本実施形態では、仮設定されるスイッチングモードを、現在のスイッチングモードからのスイッチング状態の切り替え端子数が「1」以下となるものに制限する。
続くステップS32においては、以下の条件(a)、(b)の論理積が真であるか否かを判断する。
条件(a):予測電流ide(n+2),iqe(n+2)と指令電流id*,iq*との乖離度合いが許容範囲に入ること。具体的には、指令電流ベクトル(id*,iq*)と、予測電流ベクトル(ide,iqe)との差(edq(n+2))の内積値が閾値eth以下であることとすればよい。
条件(b):ゼロ電圧時変化方向Dcv0に直交して且つ、指令電流id*,iq*を通る直線に対して、ゼロ電圧時変化方向Dcv0側の領域に予測電流ide(n+2),iqe(n+2)が入ること。
この処理は、先の図3に示す処理に切り替える条件が成立するか否かを判断するためのものである。すなわち、条件(a)が成立することで、指令電流id*,iq*への追従性が確保されたと判断できる。また、条件(b)が成立することで、先の図5に示したように、有効電圧ベクトルに対応するスイッチングモードを2つ用いて、実電流id,iqを、規範直線Lmのうち指令電流id*,iq*に対してゼロ電圧時変化方向Dcv0とは逆方向に変化させることができると判断できる。
ステップS32において肯定判断される場合、ステップS34において、フラグFを「0」とする。そして、ステップS34の処理が完了する場合や、ステップS32において否定判断される場合には、この一連の処理を一旦終了する。
なお、フラグFがゼロに切り替えられる場合、ステップS30において決定されたスイッチングモード(電圧ベクトルV(n+1))が採用されるタイミングを、先の図3のステップS10の処理において肯定判断されるタイミングとすればよい。なお、この場合、ステップS10の処理において肯定判断されるタイミングにおける電圧ベクトルV(n)が例外的に有効電圧ベクトルとなり得る。
図7(a)に本実施形態の効果を、図7(b)の比較例と対比して示す。ここで、比較例は、現在のスイッチングモードを採用したと仮定した場合の予測電流ベクトル(ide,iqe)と指令電流ベクトル(id*,iq*)との差(edq(n+2))の内積値が閾値eth以下である場合には現在のスイッチングモードを継続し、そうでない場合には、先の図6のステップS30と同様の処理によってスイッチングモードを決定する処理を行なった場合である。図示されるように、本実施形態では、実電流id,iqがゼロ電圧時変化方向Dcv0に沿って変化する量が大きくなり、ゼロ電圧ベクトルが採用される時間が長くなっている。
図8(a)に本実施形態にかかる電流の誤差の絶対値を示し、図8(b)に比較例における電流の誤差の絶対値を示す。ここで、比較例は、上述したものにおいて、スイッチング周波数が本実施形態と同等となるように閾値ethを設定したものである。この場合、電流誤差の絶対値の平均値は、本実施形態の方が小さくなる。
<第2の実施形態>
以下、第2の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
上記実施形態では、採用時間Ts0,Ts1,Ts2の算出に際し、スイッチングモードを電圧ベクトルV(n+1),V(n+2),V(n+3)のそれぞれに対応するものとすることで、インバータINVの出力電圧が実際に電圧ベクトルV(n+1),V(n+2),V(n+3)となるものと仮定した。しかし、インバータINVの実際の出力電圧には、デッドタイムDTに起因した誤差が生じうる。そこで本実施形態では、モータジェネレータ10を流れる電流の極性に基づき、採用時間Ts0,Ts1,Ts2を補正する。
図9に、本実施形態にかかる採用時間Ts0,Ts1,Ts2の補正処理の手順を示す。この処理は、先の図3のステップS18の処理の完了後に行われる。なお、図9に示す処理は、デッドタイム補償手段を構成する。
この一連の処理では、まずステップS40において、先の図3のステップS14において決定された電圧ベクトルV(n+1),V(n+2),V(n+3)を順次指定するための変数jをゼロとする。続くステップS42においては、電圧ベクトルV(n+1+j)と電圧ベクトルV(n+j)とのそれぞれをU,V,W相の3次元座標系で表現した場合の差ベクトルの成分vu,vv,vwを算出する。ここで、電圧ベクトルの3次元座標系での表現は、たとえば上側アームがオンの場合に「VDC/2」として且つ、下側アームがオンの場合に「−VDC/2」とすればよい。ただし、以下の演算からわかるように、この表現において成分の絶対値の大きさ自体は重要ではなく、上側アームがオンのときに正の値となるとともに下側アームがオンのときに負の値となって且つ、それら値の絶対値を同一の値とする限り任意でよい。
続くステップS44においては、差ベクトルの成分vu,vv,vwのうちゼロでないものを特定することで、スイッチング状態が切り替えられる相xを特定する。続くステップS46においては、スイッチング状態が切り替えられる相xにおける差ベクトルの成分vxが正であって且つ、相xの電流ixが正であることと、スイッチング状態が切り替えられる相xにおける差ベクトルの成分vxが負であって且つ、相xの電流ixが負であることとについて、これら一対の条件の論理和が真であるか否かを判断する。この処理は、電圧ベクトルV(n+j)から電圧ベクトルV(n+1+j)への切り替えに際して、デッドタイムに起因した誤差が生じるか否かを判断するためのものである。
すなわち、スイッチング状態が切り替えられる相xの電流ixが正である場合、デッドタイムDTにおいて、下側アームのダイオードDxnを介して電流が流れる。このため、スイッチング状態が切り替えられる相xにおいて、下側アームのスイッチング素子Sxnのオンの状態から上側アームのスイッチング素子Sxpのオン状態へと切り替えられる場合(成分vxが正の場合)、電圧ベクトルV(n+j)の採用時間がデッドタイムDTだけ長くなり、電圧ベクトルV(n+1+j)の採用時間がデッドタイムDTだけ短くなるとみなせる。同様に、スイッチング状態が切り替えられる相xの電流ixが負である場合、デッドタイムDTにおいて、上側アームのダイオードDxpを介して電流が流れる。このため、スイッチング状態が切り替えられる相xにおいて、上側アームのスイッチング素子Sxpのオンの状態から下側アームのスイッチング素子Sxnのオン状態へと切り替えられる場合(成分vxが負の場合)、電圧ベクトルV(n+j)の採用時間がデッドタイムDTだけ長くなり、電圧ベクトルV(n+1+j)の採用時間がデッドタイムDTだけ短くなるとみなせる。
ステップS46において肯定判断される場合、ステップS48において、採用時間Ts(1+j)をデッドタイムDTだけ伸長補正し、採用時間Tsjを採用時間Tsjだけ短縮補正する。
この処理は、ステップS50において、変数jが2となるまで実行される(ステップS50,S52)。そして、変数jが2の場合について、ステップS46の処理等が完了すると、ステップS54において、採用時間Ts0によって、現在のスイッチングモードの採用時間Ts0を更新するとともに、採用時間Ts3によって、先の図3のステップS18において算出された採用時間Ts0を更新する。
図10(a)に、本実施形態の効果を示し、図10(b)に、比較例として、上記第1の実施形態の場合を示す。図示されるように、本実施形態では、電流誤差の中心値をほぼゼロとすることができる。これに対し、上記第1の実施形態の場合には、デッドタイム誤差に起因して、電流誤差の中心値がゼロから大きくずれる。
<第3の実施形態>
以下、第3の実施形態について、先の第1の実施形態との相違点を中心に図面を参照しつつ説明する。
本実施形態では、インバータINVの出力線間電圧の基本波振幅に応じてモデル予測手法を切り替える。
図11に、本実施形態にかかる上記切替処理の手順を示す。この処理は、たとえば所定周期で繰り返し実行される。
この一連の処理では、まずステップS60において、平均電圧ベクトル(vda,vqa)に基づき算出される変調率Mが、「2/√3」以下であるか否かを判断する。この処理は、先の第1の実施形態(図3)の処理を実行するか否かを判断するためのものである。ここで、「2/√3」は、インバータINVの出力線間電圧の基本波振幅がインバータINVの入力電圧(電源電圧VDC)を上回らない上限値である。インバータINVの出力線間電圧の基本波振幅をこれ以上上昇させる場合、出力線間電圧の瞬時値ではなく実効値を上昇させることとなる。そしてこの場合、ゼロ電圧ベクトルを使用しない期間が長くなるため、先の図3に示した処理を採用するのは不適切である。
上記ステップS30において肯定判断される場合、先の図3に示した処理を行なう。これに対し、ステップS60において否定判断される場合、ステップS64に移行する。ステップS64においては、スイッチングモードを様々に仮設定した場合に予測される電流(予測電流ide(n+2),iqe(n+2))と指令電流id*,iq*との乖離度合いが最も小さいスイッチングモードを、次回のスイッチングモード(電圧ベクトルV(n+1))に決定する。この処理は、先の図6のステップS30の処理と同様にして実行することができる。なお、この処理は、高変調率時操作手段を構成する。
なお、上記ステップS62,S64の処理が完了する場合、この一連の処理を一旦終了する。
<その他の実施形態>
なお、上記各実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
「目標点について」
上記各実施形態では、指令値(指令電流id*,iq*)に設定したが、これに限らない。たとえば指令値から僅かに離間させたものとしたとしても、制御量の制御性をほとんど低下させることなく、スイッチング状態の切替頻度等については、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、指令値と制御量との定常的な乖離を低減する目的で目標点を積極的に操作してもよい。すなわちたとえば、上記実施形態における3つのスイッチングモードが用いられる一周期よりも短い時間間隔で制御量とその指令値との差を入力とする積分要素を逐次更新することで、制御量とその指令値との定常的な乖離傾向を積分要素の出力値によって定量評価し、これを低減するように目標値を敢えて指令値からずらして設定してもよい。
「目標時間Ts*について」
これを固定値とするものに限らず、目標時間Ts*が制御量とその指令値との誤差の大きさを操作する操作量となり得ることに鑑み、これを可変操作してもよい。たとえば、トルク指令値Trq*の大きさに基づき可変設定してもよい。ここで、トルク指令値Trq*は、電流の大きさと相関を有する物理量である。このため、指令電流id*,iq*に対する実電流id,iqの誤差の割合を一定に制御する上では、トルク指令値Trq*に応じて目標時間Ts*を可変設定することが望ましい。またたとえば、電気角速度ωに応じて可変設定してもよい。ここでは、電気角速度ωが大きいほど、実電流id,iqの変化速度が小さくなることに鑑み、電気角速度ωが大きいほど目標時間Ts*を長くしてもよい。さらにたとえば、電源電圧VDCに応じて可変設定してもよい。ここでは、電源電圧VDCが大きいほど、実電流id,iqの変化速度が大きくなることに鑑み、電源電圧VDCが大きいほど目標時間Ts*を短くしてもよい。
「周期的なスイッチングモードの切替手法について」
平均出力電圧ベクトル(vda,vqa)とのなす角度が最小となる一対の有効電圧ベクトルに対応するスイッチングモードと、ゼロ電圧ベクトルに対応するスイッチングモードとを用いて周期的にスイッチングモードを切り替える手法としては、一対の有効電圧ベクトルに対応するスイッチングモードのそれぞれを1回ずつ用いるものに限らない。たとえば、スイッチングモードが有効電圧ベクトルV(n+2)に対応するものとされた後、有効電圧ベクトルV(n+1)に対応するものに再度切り替えてもよい。
特に、この際、図12に示すように、スイッチングモードが有効電圧ベクトルV(n+2)に対応するものとされている期間において、実電流id,iqが規範直前Lmを横切るようにすることも有効である。図12では、点Aにおいて、ゼロ電圧ベクトルに対応するスイッチングモードから一対の有効電圧ベクトルのうちの一方(電圧ベクトルV(n+1))に対応するスイッチングモードに切り替えている。また、点Bにおいて、一対の有効電圧ベクトルのうちの他方(電圧ベクトルV(n+2))に対応するスイッチングモードに切り替え、点Cにおいて、一対の有効電圧ベクトルのうちの一方(電圧ベクトルV(n+3))に対応するスイッチングモードに切り替えている。そして、点Dにおいて、ゼロ電圧ベクトルに対応するスイッチングモードに切り替えている。
これは、周知の三角波PWM処理における2相変調処理採用時のスイッチングモードの切り替えパターンに対応する。これに対し、上記実施形態(図5)の切り替えパターンは、2相変調処理を行なわない場合の三角波PWM処理におけるスイッチングモードの切り替えパターンに対応する。もっとも、それらスイッチングモードの切り替えパターンは対応するとはいえ、同一ではない。少なくとも三角波PWM処理においては、各相の指令電圧に等しいものがある場合、スイッチング状態の切り替え端子数が2となる状況が生じるのに対し、本実施形態ではそうした事態が確実に回避される。
なお、周期的に切り替えを行なうものに限らない。たとえば上記実施形態のように、ゼロ電圧ベクトルに対応するスイッチングモードから再度ゼロ電圧ベクトルに対応するスイッチングモードとするまでの間に、一対の有効電圧ベクトルに対応するスイッチングモードのそれぞれを1回ずつ用いるものと、一対の有効電圧ベクトルに対応するスイッチングモードの切り替えを2回行なうものとをランダムに採用してもよい。
また、スイッチング状態の切り替え端子数を制限しない場合、たとえば、任意の有効電圧ベクトルのうち都度ランダムに選択された2個または3個の有効電圧ベクトルを用いて、目標点よりもゼロ電圧時変化方向Dcv0とは逆方向の半直線上の任意の点に制御量を到達させるようにしてもよい。
「規範直線上の到達点について」
規範直線上での切替点が目標点に対して対称となるものに限らない。換言すれば、指令電流id*,iq*を原点Oとしたとき、点Oから点Aまでに要する時間と点Bから点Oまでに要する時間とを均一化するものに限らない。たとえば上記規範直線上の到達点を、目標点よりもゼロ電圧時変化方向Dcv0とは逆方向の半直線上の任意の点としてもよい。この場合であっても、ゼロ電圧ベクトルに対応するスイッチングモードの継続時間を長くする効果を奏することができる。もっとも、目標点に近似して且つそれよりもゼロ電圧時変化方向Dcv0側としたとしても、上記半直線上の任意の点とする場合に近い効果を得ることはできる。さらに、目標点を指令値に対してゼロ電圧時変化方向Dcv0とは逆方向の半直線上に設定し、目標点よりもゼロ電圧時変化方向Dcv0側の半直線に到達させるような制御を敢えて行なうようにしてもよい。ただし、この場合、目標点は、実際の制御量が追従することが所望される点とは相違することとなる。しかし、この場合、目標点をゼロ電圧時変化方向Dcv0に変位させることで、実際の制御量が追従することが所望される点に定義しなおすことはいつでも可能である。
「到達タイミング予測手段について」
上記実施形態では、ゼロ電圧ベクトルに対応するスイッチングモードから有効電圧ベクトルに対応するスイッチングモードへの切替タイミングより後の3つの切替タイミング(図5の点C(D),B,A)を1セットとして算出したが、これに限らない。たとえばゼロ電圧ベクトルに対応するスイッチングモードから有効電圧ベクトルに対応するスイッチングモードへの切替タイミングの後、別の有効電圧ベクトルへの切替タイミングより後の3つのタイミング(図5の点B,A,C(D))を1セットとして算出するものであってもよい。
平均出力電圧ベクトル(vda,vqa)とのなす角度が最小となる一対の有効電圧ベクトルに対応するものと、スイッチング状態の切り替え端子数が1つとなるゼロ電圧ベクトルに対応するものとを用いるものに限らない。たとえばサージを問題としないなら、ゼロ電圧ベクトルとして任意の一方に対応するものを採用することができる。
またたとえば、指令電流id*,iq*に対する許容誤差幅を設定しておき、実電流id,iqがこれから外れる場合、規範直線Lmと許容誤差幅との一対の交点のうち、平均出力電圧ベクトルと反対側の交点にもっとも近接した位置のうち許容誤差幅内で規範直線Lm上に到達させることのできる有効電圧ベクトルの複数組を選択するものであってもよい。もっとも、到達する位置は、有効電圧ベクトル同士の切替タイミングによっても依存するため、たとえば各有効電圧ベクトルに対応するスイッチングモードの採用時間が互いに等しい等の条件をつけることで選択処理を容易としてもよい。
「予測対象としての規範直線Lm上に到達するタイミングについて」
ゼロ電圧ベクトルに対応するスイッチングモードから有効電圧ベクトルに対応するスイッチングモードに切り替えられた後、規範直線Lm上に最初に到達するタイミングに限らないことについては、「周期的なスイッチングモードの切替手法について」の欄や図12に示したとおりである。
「制御量とのその指令値との乖離度合いが規定値を上回る判断について」
採用時間Ts1,Ts2,Ts0に解があるか否かによって判断するものに限らない。たとえばトルク指令値Trq*の変化速度が大きい場合であってもよい。また予測電流ide,iqeと指令電流id*,iq*との乖離度合いを常時算出し、乖離度合いが規定値以上となるか否かを常時判断するようにしてもよい。
「制御量とのその指令値との乖離度合いが規定値を上回る場合の制御について」
先の図6に例示したものに限らない。たとえば、先の図3に示した処理への復帰を以下のように行ってもよい。すなわち、ゼロ電圧時変化方向Dcv0に直交して且つ、指令電流id*,iq*を通る直線に対して、ゼロ電圧時変化方向Dcv0とは逆方向側の領域に実電流id,iqが入ることを条件にスイッチングモードをゼロ電圧ベクトルに対応するものに切り替え、その後、乖離度合いが許容上限値となるタイミング直前において先の図3のステップS10で肯定判断されるようにしてもよい。
「切替手段について」
採用時間Ts1,Ts2,Ts0が経過するタイミングで必ずスイッチングモードの切り替えを行なうものに限らない。たとえば、採用時間Ts1,Ts2,Ts0が経過するタイミングとなる旨の条件と、制御量と指令値との乖離度合いが規定値を上回るタイミングとなるとの条件との論理和が真となるタイミングにおいてスイッチングモードを切り替えるようにしてもよい。なお、ここでの制御量は実際の制御量(実電流id,iq)とすることが望ましいが、予測値(予測電流ide,iqe)としてもよい。
「デッドタイム補償手段について」
上記第2の実施形態(図9)では、採用時間Ts1,Ts2,Ts0の算出タイミングにおける実電流iu,iv,iwの極性に基づき、デッドタイム補償処理を行ったが、これに限らない。たとえば、先の図3に示す処理によって、一旦予測された採用時間Ts1,Ts2,Ts0に基づき、スイッチング状態の切替タイミングにおける電流を予測し、その極性を用いてデッドタイム補償処理を行ってもよい。
また、上記第2の実施形態(図9)において、補正対象を、先の図3のステップS18において算出された採用時間Ts1,Ts2,Ts0に限ってもよい。この場合、採用時間Ts1,Ts2,Ts0のうちいずれか1つをデッドタイムDTだけ伸長補正し、他の1つをデッドタイムDTだけ短縮補正する処理がなされることとなる。この際、電流の極性および電圧ベクトルの切り替えパターンとデッドタイム補正対象および補正量との関係を定めるマップを備え、これを用いてもよい。なお、このように採用時間Ts1,Ts2,Ts0のうち2つのみが補正対象となるのは、スイッチング状態の切り替え端子数を「1」に制限したことと関係している。
「平均出力電圧ベクトルの算出手法について」
たとえば、先の図3のステップS12において、指令電流id*,iq*に代えて、実電流id,iqを用いたり、予測電流ide.iqeを用いたりしてもよい。またたとえば、都度選択されるスイッチングモードに対応する電圧ベクトルをローパスフィルタ処理することで算出してもよい。さらにたとえば、ゼロ電圧ベクトルに対応するスイッチングモードが採用されている際の誤差ベクトルedqの変位に基づき算出してもよい。
加えて、予測電流ide(n+1),iqe(n+1)を制御周期Tc毎に算出するようにして且つ、1制御周期Tcにおける予測電流ide(n+1),iqe(n+1)の変化速度に基づき、上記の式(c5),(c6)を用いて算出してもよい。
「スイッチング状態の切替端子数について」
スイッチング状態の切り替え端子数が「1」以下となるものに限らないことについては、「到達タイミング予測手段について」の欄に記載したとおりである。この際、全てのスイッチングモードを採用可能としてもよいが、切替端子数がたとえば「2」以下となるものとしてもよい。
「制御量予測手段について」
次回のスイッチングモードに対応する電圧ベクトルV(n+1)によって生じる制御量のみを予測するものに限らない。たとえば、数制御周期先の更新タイミングにおけるインバータINVの操作による制御量まで順次予測するものであってもよい。
「決定手段について」
たとえば、上記第1の実施形態において、予測電流ide(n+2)と指令電流id*(n+2)との差の絶対値と、予測電流iqe(n+2)と指令電流iq*(n+2)との差の絶対値との加重平均処理値を、予測電流と指令電流との乖離度合いの評価対象とするパラメータとしてもよい。要は、乖離度合いが大きいほど評価が低くなることを定量化すべく、乖離度合いと評価パラメータとの間に正または負の相関関係があるパラメータによって定量化すればよい。
「高変調率時操作手段について」
上記第3の実施形態(図11のステップS64)に例示したものに限らず。たとえば、「制御量予測手段について」の欄や「決定手段について」の欄に記載した変形例を採用してもよい。もっとも、モデル予測制御を行なうものに限らず、たとえば過変調制御時に採用される矩形波制御手段等の周知のトルクフィードバック制御手段等であってもよい。
「高変調率時操作手段への切替について」
上記第3の実施形態(図11)では、インバータINVの出力線間電圧の基本波振幅が電源電圧VDCを上回ることで高変調率時操作手段に変更したがこれに限らない。たとえば、インバータINVの出力線間電圧の基本波振幅が電源電圧よりも低い所定値を超えることで高変調率時操作手段に変更してもよい。換言すれば、変調率Mが「2/√3」よりも小さい所定の変調率を上回ることで、高変調率時操作手段に変更してもよい。特に、上記の式(c5),(c6)からわかるように、制御量の変化速度の絶対値を最小とする電圧ベクトルがゼロ電圧ベクトルとなるのは、低変調率時である。すなわち、都度の電圧ベクトル(vd,vq)のノルムに対して、平均電圧ベクトル(vda,vqa)のノルムの方が小さくなる場合である。都度の電圧ベクトル(vd,vq)のノルムと平均電圧ベクトル(vda,vqa)との差が小さくなる場合、瞬時電圧ベクトル(vd−vda,vq−vqa)のノルムの方が平均電圧ベクトル(vda,vqa)のノルムよりも小さくなるため、制御量の変化速度の絶対値を最小とする電圧ベクトルが有効電圧ベクトルとなり得る。こうした観点からは、たとえば、瞬時電圧ベクトル(vd−vda,vq−vqa)のノルムの方が平均電圧ベクトル(vda,vqa)のノルムよりも小さくなる場合に、高変調率時操作手段に切り替えるようにしてもよい。
ここで、小さくなる場合とは、一対の有効電圧ベクトルが設定されている期間(60°の期間)におけるノルムの瞬時電圧ベクトルのノルムの平均値が平均電圧ベクトル(vda,vqa)のノルムよりも小さくなる場合とすることが望ましい。ただし、都度の瞬時電圧ベクトル(vd−vda,vq−vqa)のノルムと平均電圧ベクトル(vda,vqa)のノルムとの大小を比較してもよい。この場合、出力線間電圧の基本波振幅を示すパラメータ(変調率M等)と閾値とを比較する判断手段を備えることはない。しかしこの場合であっても、出力線間電圧の基本波振幅がある程度大きくなる場合に高変調率時操作手段に切り替えることとなる。なお、ここでの高変調率時操作手段としては、規範直線Lmを、その方向が特定の瞬時電圧ベクトル(vd−vda,vq−vqa)の方向と一致するように定義しなおして、制御量が規範直線Lmに到達することで、特定の有効電圧ベクトルに対応するスイッチングモードに切り替えるものであってもよい。
もっとも、瞬時電圧ベクトル(vd−vda,vq−vqa)のノルムの方が平均電圧ベクトル(vda,vqa)のノルムよりも小さくなる場合であっても、先の図3に示す処理を採用することによって、スイッチング状態の切替頻度を低減する効果はある。なぜなら、指令電流id*,iq*と実電流id,iqとの乖離を許容範囲内とするとの条件下、先の図5に示した切替パターンを採用するなら、ゼロ電圧ベクトルの採用期間を極力長くすることができるからである。
「制御量について」
指令値と予測値とに基づきインバータINVのスイッチングモードを決定するために用いる制御量としては電流に限らない。例えば、トルクおよび鎖交磁束としたり、鎖交磁束のみとしたりしてもよい。また例えば、トルクおよびd軸電流またはトルクおよびq軸電流等、トルクおよび電流であってもよい。ここで、制御量を電流以外とする場合等において、センサによる直接の検出対象を電流以外としてもよい。ただし、規範直線Lmを定義するための座標成分としては、d軸成分およびq軸成分の2成分からなるものとして且つ、d軸成分を鎖交磁束のd軸成分Φdまたは電流idとし、q軸成分を鎖交磁束のq軸成分Φqまたは電流iqとすることが望ましい。これは、鎖交磁束とdq軸上の電流との間に線形関係「Φd=Ldid+φ,Φq=Lqiq」があるため、上記実施形態からの変更が容易であるためである。なお、2次元座標系としては、回転座標系に限らず、たとえばαβ座標系であってもよい。ただし、この場合、規範直線Lmが電気角θに応じて回転する。
上記各実施形態では、回転機の究極の制御量(予測対象であるか否かにかかわらず、最終的に所望の量とされることが要求される制御量)を、トルクとしたが、これに限らず、例えば回転速度等としてもよい。
「回転機(モータジェネレータ10)について」
回転機としては、3相回転機に限らず、5相回転機等、4相以上の回転機であってもよい。
上記実施形態では、固定子巻線がスター結線されたものを想定したがこれに限らず、デルタ結線されたものであってもよい。この場合、回転機の端子と相とは一致しない。
回転機としては、埋め込み磁石同期機に限らず、表面磁石同期機や、界磁巻線型同期機等、任意の同期機であってよい。更に、同期機にも限らず、誘導モータ等、誘導回転機であってもよい。
回転機としては車両の主機として用いられるものに限らない。
「そのほか」
直流電圧源としては、高電圧バッテリ12に限らず、例えば高電圧バッテリ12の電圧を昇圧するコンバータの出力端子であってもよい。
互いに相違する電圧値の電圧のそれぞれを印加する各別の電圧印加手段と回転機の端子との間を開閉するスイッチング素子を備えて構成される電力変換回路としては、回転機の端子を直流電圧源の正極および負極のそれぞれに選択的に接続するスイッチング素子を備える直流交流変換回路(インバータINV)に限らない。例えば、多相回転機の各相に3つ以上の互いに相違する値の電圧のそれぞれを印加する電圧印加手段と回転機の端子との間を選択的に開閉するスイッチング素子を備えるものであってもよい。なお、回転機の端子に3つ以上の互いに相違する値の電圧のそれぞれを印加するための電力変換回路としては、例えば特開2006−174697号公報に例示されているものがある。
<備考>
上記の式(c1)、(c2)を導出について説明する。3相の電圧方程式は、uvw相の鎖交磁束Φu,Φv,Φwを用いた以下の式(c19)〜(c21)にて表現される。
vu=R・iu+(dΦu/dt) …(c19)
vv=R・iv+(dΦv/dt) …(c20)
vw=R・iw+(dΦw/dt) …(c21)
上記の式(c19)〜(c21)をdq変換することで、dq軸上の鎖交磁束Φd,Φqを用いた以下の式(c22),(c23)が得られる。
vd=R・id+(dΦd/dt)−ω・Φq …(c22)
vq=R・iq+(dΦq/dt)+ω・Φd …(c23)
上記の式の「dΦd/dt=(dΦd/did)・(did/dt)」において「dΦd/did=Ldt」と定義することで、d軸の過渡インダクタンスLdtを得ることができる。同様に、「dΦq/dt=(dΦq/diq)・(diq/dt)」において「dΦq/diq=Lqt」と定義することで、q軸の過渡インダクタンスLqtを得ることができる。また、「Φd=Lds・id+φ」とする定義することでd軸の定常インダクタンスLdsを得ることができ、「Φq=Lqs・iq」とする定義することでq軸の定常インダクタンスLdsを得ることができる。なお、ここで、d軸の鎖交磁束Φdにおいてd軸電流に比例しない定数項φは、永久磁石による鎖交磁束の項である。
上記過渡インダクタンスLdt,Lqtは、定常インダクタンスLds,Lqsと比較して小さい値となる。これは、電流が大きくなることで磁気飽和現象によって電流の増加に対する磁束の増加速度が小さくなるためである。なお、過渡インダクタンスLdt,Lqtや、定常インダクタンスLds,Lqsはモータジェネレータ10を流れる電流に応じて可変設定することが望ましい。
10…モータジェネレータ(回転機の一実施形態)、20…制御装置。

Claims (12)

  1. 互いに相違する電圧値の電圧のそれぞれを印加する各別の電圧印加手段のそれぞれと回転機の端子との間を開閉するスイッチング素子を備える電力変換回路について、該電力変換回路を構成するスイッチング素子を操作することで、前記回転機を流れる電流、鎖交磁束およびトルクの少なくとも1つを有する制御量を制御する回転機の制御装置において、
    前記制御量によって規定される多次元座標系において、前記スイッチング素子のそれぞれがオン状態であるかオフ状態であるかを示すスイッチングモードがゼロ電圧ベクトルに対応するものである状況下、前記制御量が変化する方向であるゼロ電圧時変化方向を有して且つ、該制御量の指令値に応じて定まる目標点を通る直線を規範直線とし、
    前記スイッチングモードが有効電圧ベクトルに対応するものである状況下、前記規範直線上に実際の制御量が到達するタイミングを予測する到達タイミング予測手段と、
    前記到達タイミング予測手段によって予測されるタイミングとなることを条件に、前記電力変換回路の実際の操作に用いるスイッチングモードをゼロ電圧ベクトルに対応するものに切り替える切替手段と、を備え、
    前記到達タイミング予測手段は、有効電圧ベクトルに対応する複数のスイッチングモードを用いて前記制御量を前記ゼロ電圧時変化方向とは逆方向に変位させた後、ゼロ電圧ベクトルに対応するスイッチングモードとすることで前記制御量を前記ゼロ電圧時変化方向に変位させる一連の処理におけるスイッチングモードの切替タイミングのうち、前記規範直線上に実際の制御量が到達するタイミングに加えて、該タイミングとは別の前記スイッチングモードの切替タイミングを予測するものであり、
    前記別の前記スイッチングモードの切替タイミングは、前記規範直線上に実際の制御量が到達するタイミングにおいて、前記実際の制御量が前記目標点よりも前記ゼロ電圧時変化方向とは逆方向の半直線上に到達する旨の制約を満たすタイミングに設定されることを特徴とする回転機の制御装置。
  2. 互いに相違する電圧値の電圧のそれぞれを印加する各別の電圧印加手段のそれぞれと回転機の端子との間を開閉するスイッチング素子を備える電力変換回路について、該電力変換回路を構成するスイッチング素子を操作することで、前記回転機を流れる電流、鎖交磁束およびトルクの少なくとも1つを有する制御量を制御する回転機の制御装置において、
    前記制御量によって規定される多次元座標系において、前記スイッチング素子のそれぞれがオン状態であるかオフ状態であるかを示すスイッチングモードがゼロ電圧ベクトルに対応するものである状況下、前記制御量が変化する方向であるゼロ電圧時変化方向を有して且つ、該制御量の指令値に応じて定まる目標点を通る直線を規範直線とし、
    前記スイッチングモードが有効電圧ベクトルに対応するものである状況下、前記規範直線上に実際の制御量が到達するタイミングを予測する到達タイミング予測手段と、
    前記到達タイミング予測手段によって予測されるタイミングとなることを条件に、前記電力変換回路の実際の操作に用いるスイッチングモードをゼロ電圧ベクトルに対応するものに切り替える切替手段とを備え、
    前記到達タイミング予測手段は、有効電圧ベクトルに対応する複数のスイッチングモードを用いて前記制御量を前記ゼロ電圧時変化方向とは逆方向に変位させた後、ゼロ電圧ベクトルに対応するスイッチングモードとすることで前記制御量を前記ゼロ電圧時変化方向に変位させる一連の処理におけるスイッチングモードの切替タイミングの全てを予測するものであることを特徴とする回転機の制御装置。
  3. 前記到達タイミング予測手段による予測対象となる切替タイミングのうち、前記規範直線上に実際の制御量が到達するタイミング以外のタイミングは、前記規範直線上に実際の制御量が到達するタイミングにおいて、前記実際の制御量が前記目標点よりも前記ゼロ電圧時変化方向とは逆方向の半直線上に到達する旨の制約を満たすタイミングに設定されることを特徴とする請求項記載の回転機の制御装置。
  4. 前記到達タイミング予測手段による予測対象となる切替タイミングのうち、前記規範直線上に実際の制御量が到達するタイミング以外のタイミングは、前記制御量が前記目標点を通過するタイミングから、ゼロ電圧に対応するスイッチングモードから有効電圧ベクトルに対応するスイッチングモードへの切替タイミングまでに要する時間間隔と、前記規範直線上に実際の制御量が到達するタイミングから前記制御量が前記目標点を通過するタイミングまでに要する時間間隔との一対の時間間隔について、それらを均一化する旨の制約を満たすタイミングに設定されることを特徴とする請求項または記載の回転機の制御装置。
  5. 前記有効電圧ベクトルに対応する複数のスイッチングモードは、前記電力変換回路の平均出力電圧ベクトルとのなす角度が最小となる一対の電圧ベクトルに対応するスイッチングモードであることを特徴とする請求項のいずれか1項に記載の回転機の制御装置。
  6. 前記有効電圧ベクトルに対応する複数のスイッチングモードの使用とは、前記一対の電圧ベクトルに対応する一対のスイッチングモードをそれぞれ1度ずつ用いることであることを特徴とする請求項記載の回転機の制御装置。
  7. 前記制御量を前記ゼロ電圧時変化方向とは逆方向に変位させる時間、および該時間の後のゼロ電圧ベクトルに対応するスイッチングモードとする時間の合計を目標時間とすることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の回転機の制御装置。
  8. 前記スイッチングモードを仮設定し、該仮設定されたスイッチングモードのそれぞれに応じた制御量に関する予測を行なう制御量予測手段と、
    該制御量予測手段による予測結果に基づき、前記制御量とその指令値との乖離が小さいほど該予測結果に対応するスイッチングモードの評価を高くする評価手段と、
    前記評価手段によって高い評価を受けたスイッチングモードを、前記電力変換回路の実際の操作に用いるスイッチングモードに決定する決定手段とを備え、
    前記制御量とその指令値との乖離度合いが規定値を上回る場合、前記決定手段によって決定されるスイッチングモードに基づき前記電力変換回路を操作することを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の回転機の制御装置。
  9. 前記到達タイミング予測手段は、前記スイッチングモードの切替時における前記回転機の各端子を流れる電流の極性に基づき、前記タイミングの予測を行なうデッドタイム補償手段を備えることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の回転機の制御装置。
  10. 前記目標点は、前記制御量の指令値であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の回転機の制御装置。
  11. 前記電力変換回路の出力線間電圧の基本波振幅が規定値を超える場合、前記到達タイミング予測手段および前記切替手段によらずに前記回転機の制御量を制御すべく、前記電力変換回路を操作する高変調率時操作手段を備えることを特徴とする請求項1〜1のいずれか1項に記載の回転機の制御装置。
  12. 前記電力変換回路は、前記回転機の端子を直流電圧源の正極および負極のそれぞれに選択的に接続するスイッチング素子を備える直流s交流変換回路であり、
    前記規定値は、前記直流電圧源の端子電圧以下の値に設定されることを特徴とする請求項1記載の回転機の制御装置。
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