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JP5771161B2 - 球状セラミックス粒子の製造方法 - Google Patents

球状セラミックス粒子の製造方法 Download PDF

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JP5771161B2 JP2012043812A JP2012043812A JP5771161B2 JP 5771161 B2 JP5771161 B2 JP 5771161B2 JP 2012043812 A JP2012043812 A JP 2012043812A JP 2012043812 A JP2012043812 A JP 2012043812A JP 5771161 B2 JP5771161 B2 JP 5771161B2
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Description

本発明は、各種材料のフィラーとして有用な球状セラミックス粒子の製造方法に関する。
フィラーは、プラスチック、ゴム、塗料、繊維、紙、ガラス、金属等の基材に添加されるものであり、基材の物性を改善し、加工性や最終製造物の機能の向上に寄与する。なかでもセラミックス粒子は、物理化学特性が安定であり、フィラーとして種々検討されている。当該フィラーは、球状のものが流動性が高く充填性に優れているため、基材中のフィラーの含有量を上げやすく、結果としてフィラーの物性を基材に付与するのに優れた性能を有している。
また、従来使用されているシリカやアルミナよりも光拡散性、電気特性等が優れている2種以上の酸化物から形成された複酸化物をフィラーとして用いる技術が提案されている。
例えば、特許文献1には、Al又はMgOと、SiOとの総量が80重量%以上、Al又はMgOと、SiOの重量比〔(Al又はMgO)/SiO〕が0.1〜15、平均粒子径が0.01〜50μmであり、火炎溶融法で製造されたフィラーが開示されている。
また、特許文献2には、MgO及びAlを主成分として含有してなり、MgO/Al重量比率が0.05〜5、平均粒子径が0.5〜500μmであり、火炎溶融法で製造された球状セラミックス粒子が開示されている。
特開2007−39304 特開2008−162825
しかしながら、従来の製法では、当該複酸化物の原料粒子が含有する2種以上の酸化物の組成比と、得られる球状セラミックス粒子が含有する当該酸化物の組成比とが異なることがあった。この場合、所望の組成比を有する球状セラミックス粒子を得るためには、球状セラミックス粒子を製造する過程で減少する酸化物の種類及び量等を調査した上で、いずれかの酸化物の配合量を増やす等して原料粒子中の2種以上の酸化物の組成比を調整しなければならないことがあった。
また、原料粒子に含まれるいずれかの酸化物の配合量を多くした場合、球状セラミックス粒子を製造する過程で減少した分は無駄になり、歩留まりが悪くなる。
本発明は、上記課題を解決しようとするものであり、2種以上の酸化物で形成された複酸化物を含有する球状セラミックス粒子を得る製造方法において、原料粒子が含有する2種以上の酸化物の組成比との差が小さい球状セラミックス粒子が効率良く得られる、球状セラミックス粒子の製造方法を提供することを目的とする。
本願発明は、Al、MgO及びSiOから選ばれる少なくとも2種からなる複酸化物を主成分とし、平均粒子径が0.01〜20μmである原料粒子を用いて球状セラミックス粒子を製造する方法であって、下記工程(1)〜(3)を有する球状セラミックス粒子の製造方法である。
工程(1):上記原料粒子のスラリーを調製する工程
工程(2):上記工程(1)で得られたスラリーを溶融帯に噴霧する工程
工程(3):噴霧された上記スラリーに含まれる上記原料粒子を上記溶融帯で溶融させ球状化する工程
本発明によれば、2種以上の酸化物で形成された複酸化物を含有する球状セラミックス粒子を得る製造方法において、原料粒子が含有する2種以上の酸化物の組成比との差が小さい球状セラミックス粒子が効率良く得られる、球状セラミックス粒子の製造方法を提供することができる。
このような効果を奏する理由は定かではないが、以下のように考えられる。すなわち、2種以上の酸化物で形成された複酸化物を粉体で溶融帯に投入した場合、高温によって融点の比較的低い酸化物の過度の蒸発が起こり、その結果、原料粒子の組成比と得られる球状セラミックス粒子の組成比とが大きく異なることが考えられる。しかし、本発明のように、2種以上の酸化物で形成された複酸化物をスラリー状態で溶融帯に投入した場合、酸化物の蒸発潜熱がスラリー溶媒の気化により奪われるため、酸化物の過度の蒸発を抑制することができ、その結果、原料粒子が含有する2種以上の酸化物の組成比との差が小さい球状セラミックス粒子を得ることができると考えられる。
本実施形態における球状セラミックス粒子の製造方法は、Al、MgO及びSiOから選ばれる少なくとも2種からなる複酸化物を主成分とし、平均粒子径が0.01〜20μmである原料粒子を用いて球状セラミックス粒子を製造する方法において、下記工程(1)〜(3)を有する。
工程(1):上記原料粒子のスラリーを調製する工程
工程(2):上記工程(1)で得られたスラリーを溶融帯に噴霧する工程
工程(3):噴霧された上記スラリーに含まれる上記原料粒子を上記溶融帯で溶融させ球状化する工程
[原料粒子の調整]
上記原料粒子は、Al、MgO及びSiOから選ばれる少なくとも2種からなる複酸化物を主成分とする。本明細書において「Al、MgO及びSiOから選ばれる少なくとも2種からなる複酸化物を主成分とする」とは、原料粒子全体の成分中におけるAl、MgO及びSiOから選ばれる少なくとも2種からなる複酸化物の含有量が、合計量で80重量%以上、好ましくは90重量%以上、より好ましくは95重量%以上、さらに好ましくは100重量%であることをいう。原料粒子全体の成分中における上記複酸化物の含有量が80重量%以上であることにより、得られる球状セラミックス粒子の物理的性質が安定し、当該球状セラミックス粒子をフィラーとして用いた場合に、より少ない充填量で機能を十分に発現させることができる。
上記複酸化物としては、AlとSiOとの複酸化物であるムライト(化学式:3Al・2SiO)、MgOとSiOとの複酸化物であるフォルステライト(化学式:2MgO・SiO)、及びMgOとAlとの複酸化物であるスピネル(化学式:MgO・Al)が、フィラーとして樹脂の改質効果を十分に発現させることができるため好ましい。
また、本実施形態における球状セラミックス粒子の製造方法は、原料粒子がSiOを原料成分として含んでいる場合、すなわち、原料粒子の主成分がフォルステライト及び/又はムライトである場合に、特に顕著な効果を有する。これは以下のように考えられる。
SiOの融点(1720℃)及び沸点(2950℃)は、MgOの融点(2830℃)及び沸点(3600℃)、ならびにAlの融点(2013℃)及び沸点(2977℃)よりも低い。そのため、SiOを原料成分として含む原料粒子を粉体の状態で高温の溶融帯に投入した場合、SiOの蒸発量が他の酸化物の蒸発量よりも多くなることがある。この場合、原料粒子が含有する2種以上の酸化物の組成比と、得られる球状セラミックス粒子が含有する2種以上の酸化物の組成比とがさらに大きく異なる傾向が見られる。しかし、本実施形態における球状セラミックス粒子の製造方法では、原料粒子をスラリーの状態で溶融帯に噴霧することにより、比較的融点等が低いSiOの過度の蒸発を抑制することができるため、原料粒子が含有する2種以上の酸化物の組成比と、得られる球状セラミックス粒子が含有する2種以上の酸化物の組成比との差を小さくすることができる。
上記ムライトに含有されるAlとSiOとの重量比率(Al/SiO)は、当該ムライトの物理的化学的特性を発現させる観点から0.1〜17、好ましくは0.5〜10、より好ましくは1.0〜5.0、さらに好ましくは1.5〜3.5、よりさらに好ましくは2.0〜3.0である。
上記フォルステライトに含有されるMgOとSiOとの重量比率(MgO/SiO)は、当該フォルステライトの物理的化学的特性を発現させる観点から0.1〜17、好ましくは0.3〜10、より好ましくは0.5〜5.0、さらに好ましくは0.8〜2.5、よりさらに好ましくは1.0〜2.0である。
上記スピネルに含有されるMgOとAlとの重量比率(MgO/Al)は、当該スピネルの物理的化学的特性を発現させる観点から0.05〜5.0、好ましくは0.1〜4.0、より好ましくは0.15〜3.0、さらに好ましくは0.20〜1.0、よりさらに好ましくは0.25〜0.50である。
上記原料粒子の平均粒子径は、溶融帯での成分蒸発に伴う組成の変動をさらに抑える観点、及び得られる球状セラミックス粒子のフィラーとしての充填性を向上させる観点から0.01μm以上であり、0.1μm以上が好ましく、0.5μm以上がより好ましく、0.9μm以上がさらに好ましい。また、当該平均粒子径は、溶媒(後述)に対する分散性を確保する観点、球形度の高い球状セラミックス粒子を得る観点、及び少ない添加量で当該球状セラミックス粒子のフィラーとしての機能を発現させる観点から20μm以下であり、10μm以下が好ましく、8μm以下がより好ましく、7μm以下がさらに好ましい。これらの観点を総合すると、原料粒子の平均粒子径は0.01〜20μmであり、0.1〜10μmが好ましく、0.5〜8μmがより好ましく、0.9〜7μmがさらに好ましい。
なお、本明細書において、原料粒子の粒子径は実施例に記載の方法により測定する。また、本明細書において、平均粒子径はD50(体積基準の50%の中位粒子径)を意味し、実施例に記載の方法により測定する。
上記原料粒子のD90(体積平均粒度分布における90%通過粒子径)は、得られる球状セラミックス粒子のフィラーとしての充填性を向上させる観点から0.5μm以上が好ましく、1.0μm以上がより好ましく、1.5μm以上がさらに好ましく、2.0μm以上がよりさらに好ましい。また、当該D90は、得られる球状セラミックス粒子のフィラーとしての流動性を向上させる観点から40μm以下が好ましく、30μm以下がより好ましく、20μm以下がさらに好ましく、15μm以下がよりさらに好ましい。なお、本明細書において、D90は実施例に記載の方法により測定する。これらの観点を総合すると、原料粒子のD90は0.5〜40μmが好ましく、1.0〜30μmがより好ましく、1.5〜20μmがさらに好ましく、2.0〜15μmがよりさらに好ましい。
また、得られる球状セラミックス粒子の粒子径分布を狭くする観点から、D90をD50で割った値(D90/D50)が小さい方が好ましい。具体的には3以下が好ましく、2.5以下がより好ましい。
本実施形態における原料粒子の形状には特に制限はなく不定形状でかまわないが、得られる球状セラミックス粒子は、フィラーとしての流動性向上の観点から、球形度が0.95以上であることが好ましく、0.96以上であることがより好ましく、0.98以上であることがさらに好ましい。また、溶融帯中での滞留時間確保や溶融帯中で溶融し球状化を速やかに行う観点、及び粒子の粒度分布が狭く球形度の高い粒子を得る観点から、原料粒子の長軸/短軸比が9以下であるのが好ましく、4以下がより好ましく、2以下がさらに好ましい。なお、本明細書において、球形度ならびに長軸/短軸比は実施例に記載の方法により測定する。
本実施形態で使用する原料粒子は、後述するAl源、MgO源、SiO源等を用いて、混合法、沈殿法、ゾルゲル法、噴霧熱分解法、水熱法、CVD法等の方法により、目的とする原料の主成分の重量比率となるように調整することにより得ることができる。中でも特殊な装置や特定原料を必要としない混合法が好ましい。なお、混合法はAl源、MgO源、SiO源等を混合機で混合する混合工程、混合したものを焼成する焼成工程、焼成して得られたものを粉砕や分級により整粒する整粒工程を有する。
上記混合工程は、水スラリーによる湿式混合が好ましく、混合効率の向上の観点から、スラリー濃度は20〜80重量%が好ましく、40〜75重量%がより好ましく、50〜70重量%がさらに好ましい。当該混合工程における混合方法は、Al源、MgO源、SiO源等を粉砕しながら混合する方法が好ましく、具体的にはボールミルによる湿式混合がより好ましい。
上記焼成工程における焼成温度は、Al源、MgO源、SiO源等の反応性の観点から1000℃以上が好ましく、1200℃以上がより好ましく、1400℃以上がさらに好ましい。また、当該焼成温度は、生産性の観点から1800℃以下が好ましく、1700℃以下がより好ましく、1600℃以下がさらに好ましい。これらの観点を総合すると、焼成温度は1000〜1800℃が好ましく、1200〜1700℃がより好ましく、1400〜1600℃がさらに好ましい。
上記焼成工程における焼成時間は、Al源、MgO源、SiO源等の反応性の観点から1時間以上が好ましく、3時間以上さらに好ましく、6時間以上がより好ましい。また、当該焼成時間は、生産性の観点から、16時間以下が好ましく、12時間以下がより好ましく、10時間以下がさらに好ましい。これらの観点を総合すると、焼成時間は1〜16時間が好ましく、3〜12時間がより好ましく、6〜10時間がさらに好ましい。
上記整粒工程における粉砕方法は、ロールミル、ハンマーミル、ローラーミル、振動ミル、ボールミルなどがあるが、不純物の混入による着色を防止する観点から、ボールミルによる乾式粉砕が好ましい。
上記整粒工程における分級方法は、処理能力の観点から乾式分級が好ましい。乾式分級機としては、ふるい分け機やサイクロンのような空気分級機、回転ローターを供えたローター回転式の分級機があるが、原料粒子の粒度分布を狭くする観点から、ローター回転式空気分級機がより好ましい。
上記Al源としては、酸化アルミニウム(アルミナ)、水酸化アルミニウム、ベーマイト、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、塩化アルミニウム、アルミナゾル、アルミニウムイソプロポキシドなどのアルミニウムアルコキシド、ボーキサイト、バン土頁岩を挙げることができる。これらの中では比較的純度が高いものが容易に入手できる観点からアルミナが好ましい。
上記SiO源としては、珪石、珪砂、石英、クリストバライト、非晶質シリカ、長石、パイロフィライト、ヒュームドシリカ、珪酸エチル、シリカゲル等を挙げることができる。これらの中では比較的純度が高いものが容易に入手できる観点から珪石が好ましい。
上記MgO源としては、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、カンラン石、輝石ズン岩、蛇紋石、オリビン系鉱物等を挙げることができる。これらの中では比較的純度が高いものが容易に入手できる観点から水酸化マグネシウムが好ましい。
(A1+SiO)源としては、カオリン、バン土頁岩、ボーキサイト、雲母、シリマナイト、アンダルサイト、ムライト、ゼオライト、モンモリロナイト、ハイロサイト等を挙げることができる。
(MgO+SiO)源としては、フォルステライト、クリノエンスタタイト、エンスタタイト、カンラン石、輝石、ズン岩、蛇紋岩、玄武岩、オリビン系鉱物、タルク等を挙げることができる。
(Al+MgO)源としては、スピネル等を挙げることができる。
上述の原料はそれぞれ単独で、もしくは2種以上を混合して使用することができる。
[工程(1)]
工程(1)では、上記原料粒子のスラリー(以下、原料スラリーと称する)を調製する。
当該工程(1)において、上記原料スラリーの調製は公知一般の方法を用いて行うことができる。上記原料スラリーの調整の方法の一例としては、所定の粒子径の原料粒子を溶媒と混合して原料粒子のスラリーを得る方法が挙げられる。また、原料粉末を溶媒と混合し、湿式粉砕により所定粒子径に調整してスラリーを得る方法も例示できる。
上記溶媒は、燃焼、分解もしくは蒸発により気化するものであれば良いが、ハンドリング性やコストの面から水が好ましい。なお、粒子の分散性及び流動性を付与するために原料スラリーに分散剤を添加しても良い。
上記原料スラリー中の原料粒子の濃度(以下、原料スラリー濃度と称する)は、球状セラミックス粒子の生産性を向上させる観点から0.1重量%以上が好ましく、1重量%以上がより好ましい。また、当該濃度は、球状セラミックス粒子と原料粒子の組成比の差を小さくする観点、及び溶融中に粒子の一部が融着し合一化することを抑制してD50増加率(後述)及びD90増加率(後述)を小さくする観点から70重量%以下が好ましく、40重量%以下がより好ましく、20重量%以下がさらに好ましい。これらの観点を総合すると、原料スラリー濃度は、0.1〜70重量%が好ましく、1〜40重量%がより好ましく、1〜20重量%がさらに好ましい。
[工程(2)]
工程(2)では、上記原料スラリーを溶融帯に噴霧する。
当該工程(2)において、上記原料スラリーの溶融帯への噴霧は、公知の噴霧器、例えば二流体ノズル噴霧器、超音波噴霧器、回転円盤噴霧器等を用いて行われるが、量産性、分散性の観点から二流体ノズル噴霧器が好ましい。
二流体ノズル噴霧器によって上記原料スラリーを溶融帯に噴霧する場合、噴出する上記原料スラリーをミスト状に噴霧させるためにノズルより噴霧ガスを噴射させる。溶融帯を火炎溶融法(後述)によって形成する場合、当該噴霧ガスは、火炎生成に寄与する成分が好ましいことから、空気、酸素等の支燃性ガスが好ましく用いられるが、生産性を向上させる観点から、酸素がより好ましい。
上記原料スラリーの溶融帯への噴霧濃度は溶融帯の形成手段(後述)に応じて適宜変更する。一例としては、溶融帯を火炎溶融法(後述)によって形成する場合、原料粒子の充分な分散性を確保する観点から、当該スラリーの時間当たりの流量(kg/h)を、燃焼に用いられる可燃性ガスと支燃性ガスの時間当たりの流量及び噴霧に用いられる支燃性ガスの時間当たり流量の合計量(Nm/h)で割った値が0.01〜5kg/Nmであることが好ましく、0.05〜1kg/Nmであることがより好ましく、0.08〜0.50kg/Nmであることがさらに好ましく、0.10〜0.30kg/Nmであることがよりさらに好ましい。
[工程(3)]
工程(3)では、噴霧された原料スラリーに含まれるスラリーの溶媒を気化させながら、当該原料スラリーに含まれる原料粒子を溶融帯で溶融させ球状化する。
噴霧された原料スラリーに含まれる原料粒子を溶融し球状化するための溶融帯は、電気加熱方式、プラズマ加熱方式、可燃性ガスのバーナー燃焼方式等によって形成することができるが、量産性や製造コストの点で火炎燃焼方式(火炎溶融法)が好ましい。火炎溶融法によって溶融帯を形成する場合、火炎は、プロパン、ブタン、メタン、天然液化ガス、LPG等の可燃性ガスや重油、灯油、軽油、微粉炭等の燃料を空気又は酸素等の支燃性ガスと燃焼させることによって発生させる。これらの中では経済性と生産性の観点から、LPGと酸素が好ましい。
当該工程(3)において、原料粒子を溶融させる溶融帯の温度は、原料粒子を溶融球状化させる観点と、原料の蒸発による組成変動をさらに抑制する観点から、1700〜5000℃が好ましく、1700〜3000℃がより好ましく、1800〜2500℃がさらに好ましく、1900〜2200℃がよりさらに好ましい。
火炎溶融法によって溶融帯を形成する場合において、上記燃料の供給量は、球状セラミックス粒子の球形度を向上させる観点から、使用する燃料の種類に応じて適宜決められる。一例としては、当該燃料としてLPGを使用した場合、4〜16Nm/hが好ましく、6〜14Nm/hがより好ましく、8〜12Nm/hがさらに好ましい。
火炎溶融法によって溶融帯を形成する場合において、上記酸素の供給量は、球状セラミックス粒子の球形度を向上させる観点から、使用する燃料の種類によって適宜決められる。一例としては、上記燃料としてLPGを使用した場合、3〜100Nm/hが好ましく、10〜80Nm/hがより好ましく、20〜40Nm/hがさらに好ましい。
上記燃料の対酸素比(燃料/酸素)は、完全燃焼の観点から、容量比で0.1〜1.3が好ましく、0.2〜1.0がより好ましく、0.25〜0.50がさらに好ましく、0.30〜0.40がよりさらに好ましい。
火炎溶融法によって溶融帯を形成する場合、火炎発生装置は、高温の火炎を発生させる観点から、酸素・ガスバーナーを用いるのが好適である。特にバーナーの構造は限定するものではないが、特開平7−48118号公報、特開平11−132421号公報、特開2000−205523号公報又は特開2000−346318号公報で開示されているバーナーが好ましい。
以下、本発明を具体的に示す実施例等について説明する。なお、実施例等における評価項目は下記のようにして測定を行った。
[原料粒子及び球状セラミックス粒子の組成]
蛍光X線法(JIS R2216「耐火れんが及び耐火モルタルの蛍光X線分析法」)による元素分析を行って、Al、Mg、Siの各原子の組成を定量する。この結果より、Al、MgO及びSiOの量を算出し、組成比(重量比)を算出する。
[原料粒子及び球状セラミックス粒子の粒子径]
平均粒子径は、堀場製作所LA−920によるレーザー回折/散乱法で測定する。 また、体積分率で計算した累積体積頻度が粒子径の小さい方から計算して90%になる粒子径を90%径(D90)とした。
[原料粒子の長軸/短軸比]
走査型電子顕微鏡で撮影した原料粒子像のうち任意の1個の粒子の最長径(長軸)と、最長径の中点と直行する径(短軸)を計測し、〔最長径〕÷〔最長径の中点と直行する径〕を計算する。同様に50個の粒子について計算を行い、それぞれ得られた値の平均値を長軸/短軸比とする。
[球状セラミックス粒子の球形度]
球形度は、走査型電子顕微鏡で得られた像の粒子投影断面の面積及び該断面の周囲長を求め、次いで、〔粒子投影断面の面積と同じ面積の真円の円周長〕÷〔粒子投影断面の周囲長〕を計算し、任意の50個の粒子につき、それぞれ得られた値の平均値を球形度とする。
[原料粒子1及び2の製造例]
Al/SiO重量比が2.6となるよう、アルミナ(純度99.9%)と珪石粉(純度99.9%)を混合し、スラリー濃度60%の水スラリーに調製した。得られた水スラリーをボールミルで4時間混合し、ろ過し、乾燥した。得られた粉末を1500℃、8時間焼成した後、ボールミルで6時間乾式粉砕し、ローター回転式空気分級機で分級した。分級して得られた粗粉側を原料粒子1とし、微粉側を原料粒子2とした。原料粒子1及び原料粒子2の物性を表1に示す。
[原料粒子3及び4の製造例]
MgO/SiO重量比が1.3となるよう、水酸化マグネシウム(純度99.2%)と珪石粉(純度99.9%)を混合し、スラリー濃度60%の水スラリーに調製した。得られた水スラリーをボールミルで4時間混合し、ろ過し、乾燥した。得られた粉末を1500℃、8時間焼成した後、ボールミルで6時間乾式粉砕し、ローター回転式空気分級機で分級した。分級して得られた粗粉側を原料粒子3とし、微粉側を原料粒子4とした。原料粒子3及び原料粒子4の物性を表1に示す。
[原料粒子5及び6の製造例]
MgO/Al重量比が0.39となるよう、水酸化マグネシウム(純度99.2%)とアルミナ(純度99.9%)を混合し、スラリー濃度60%の水スラリーに調製した。得られた水スラリーをボールミルで4時間混合し、ろ過し、乾燥した。得られた粉末を1500℃、8時間焼成した後、ボールミルで6時間乾式粉砕し、ローター回転式空気分級機で分級した。分級して得られた粗粉側を原料粒子5とし、微粉側を原料粒子6とした。
Figure 0005771161
(実施例1)
上記製造例で得られた原料粒子1に水を加えて濃度15%の原料スラリーを調製した。次にLPG(プロパンガス)−酸素混合ガスバーナーを用いて、LPG10Nm/h、酸素25Nm/hの流量で燃焼させた火炎(2000℃)の中に、原料スラリーを5kg/hの流量で2流体ノズルより供給した。2流体ノズルの中心から原料スラリーが噴射され、その周囲から5Nm/hの量の酸素が噴出すことで原料スラリーを噴霧した。原料スラリーが5kg/hの供給量に対して全ガス流量が40Nm/hであったことから、原料スラリーの噴霧量(供給量)は0.125kg/Nmであった。以上のような製造条件で原料粒子1を球状化させ、実施例1の球状セラミックス粒子を得た。得られた球状セラミックス粒子の組成比を表2に、D50、D90、D50増加率、D90増加率及び球形度を表3に示す。
なお、D50増加率は、本実施形態の製造方法により得られた球状セラミックス粒子のD50が、原料粒子のD50から増加した割合を示す。D50増加率は小さいほうが好ましく、具体的には20%以下が好ましく、10%以下がより好ましく、5%以下がさらに好ましい。
また、D90増加率は、本実施形態の製造方法により得られた球状セラミックス粒子のD90が、原料粒子のD90から増加した割合を示す。D90増加率は小さいほうが好ましく、具体的には20%以下が好ましく、10%以下がより好ましく、5%以下がさらに好ましい。
上記D50増加率及び上記D90増加率は、以下の式により求めた。
D50増加率(%)=(球状セラミックス粒子のD50−原料粒子のD50)/原料粒子のD50×100
D90増加率(%)=(球状セラミックス粒子のD90−原料粒子のD90)/原料粒子のD90×100
Figure 0005771161
Figure 0005771161
(実施例2)
原料粒子3を用いた以外は、実施例1と同様の方法で製造を行い、表2、表3に示す物性を有する球状セラミックス粒子を得た。
(実施例3)
原料粒子5を用いた以外は、実施例1と同様の方法で製造を行い、表2、表3に示す物性を有する球状セラミックス粒子を得た。
(実施例4)
原料粒子2を用い、原料スラリー濃度を5%にした以外は、実施例1と同様の方法で製造を行い、表2、表3に示す物性を有する球状セラミックス粒子を得た。
(実施例5)
原料粒子4を用い、原料スラリー濃度を5%にした以外は、実施例1と同様の方法で製造を行い、表2、表3に示す物性を有する球状セラミックス粒子を得た。
(実施例6)
原料粒子6を用い、原料スラリー濃度を5%にした以外は、実施例1と同様の方法で製造を行い、表2、表3に示す物性を有する球状セラミックス粒子を得た。
(実施例7)
原料スラリー濃度を5%とすること以外は、実施例1と同様の方法で製造を行い、表2、表3に示す物性を有する球状セラミックス粒子を得た。
(実施例8)
原料スラリーの供給量を10kg/hとすること以外は実施例7と同様の方法で製造を行い、表2、表3に示す物性を有する球状セラミックス粒子を得た。
(比較例1)
上記製造例で得られた原料粒子1を粉体のまま、5Nm/hの酸素をキャリアガスとして用い、5kg/hの供給速度で、LPG(プロパンガス)−酸素混合ガスバーナーによりLPG10Nm/h、酸素25Nm/hの流量で燃焼させた火炎(2000℃)中に供給した。5kg/hの供給速度で、ガス合計量は40Nm/hであったことから、原料供給量は0.125kg/Nmであった。以上のような製造条件で原料粒子1を球状化させ、比較例1の球状セラミックス粒子を得た。得られた球状セラミックス粒子の組成比を表2に、D50、D90、D50増加率、D90増加率及び球形度を表3に示す。
(比較例2〜6)
原料粒子1を表2、3に示す原料粒子に代えた以外は、比較例1と同様の方法で製造を行い、表2、表3に示す物性を有する球状セラミックス粒子を得た。
表2から明らかなとおり、実施例1〜8の球状セラミックス粒子の組成比は、比較例1〜6よりも原料粒子の組成比からの変動が小さい。
また、表3に示すように、実施例1〜8は、比較例1〜6よりもD50増加率、D90増加率が小さいことから、原料粒子同士が融着し合一化することによる粗大粒子の生成が抑制できたと考えられる。なお、実施例4、5、6において、D90増加率がマイナス(原料よりも小さくなる)になるのは、長軸径と短軸径が異なる不定形の粒子が他粒子と合一化することなく球状化すると粒子径が小さくなるためである。

Claims (4)

  1. Al、MgO及びSiOから選ばれる少なくとも2種からなる複酸化物を主成分とし、平均粒子径が0.01〜20μmである原料粒子を用いて球状セラミックス粒子を製造する方法であって、下記工程(1)〜(3)を有する球状セラミックス粒子の製造方法。
    工程(1):前記原料粒子のスラリーを調製する工程
    工程(2):工程(1)で得られたスラリーを溶融帯に噴霧する工程
    工程(3):噴霧されたスラリーに含まれる前記原料粒子を前記溶融帯で溶融させ球状化する工程
  2. 前記工程(1)で得られるスラリー中の原料粒子の濃度が0.01重量%〜60重量%である、請求項1に記載の球状セラミックス粒子の製造方法。
  3. 原料粒子中のAl、MgO及びSiOの総含有量が80重量%以上である、請求項1又は2に記載の球状セラミックス粒子の製造方法。
  4. 前記溶融帯が火炎である、請求項1〜3いずれか1項に記載の球状セラミックス粒子の製造方法。
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