JP5766023B2 - 溶着成形用プロピレン系樹脂組成物およびそれから得られる溶着成形体 - Google Patents
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Description
ただし、既存の樹脂からなる成形体を溶着による方法によって結合させた場合、樹脂の溶融時に溶けた樹脂の垂れが発生し、接着面にはみ出し(バリ)が生じてしまい、外観が悪くなる場合があった。また、成形体を溶着によって結合させた際の溶着面の強度が低い場合があった。
前記プロピレン系重合体の分子量分布を特定の範囲に制御することにより、当該重合体を含む溶着成形用樹脂組成物からなる樹脂部材を溶着成形体の一部材とすることで、当該溶着成形体の溶着部の強度および外観が向上することを見出した。
[1]ASTM D1238Eに準拠し、230℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレート(MFR)が、0.5g/10分以上、300g/10分以下
[2]室温n−デカンに不溶な部分(Dinsol)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.5以上、4.0以下
[3]室温n−デカンに不溶な部分(Dinsol)のZ平均分子量(Mz)と重量平均分子量(Mw)との比(Mz/Mw)が1.5以上、3.0以下
[4]プロピレン系重合体(A)全量における室温n−デカンに不溶な部分(Dinsol)の割合が、50重量%以上、100重量%以下
本発明の溶着成形用樹脂組成物は、フィラー(B)を、組成物全量100重量部に対して40重量部以下含むことができる。
さらに、本発明の溶着成形用樹脂組成物は、組成物全量100重量部に対して、フィラー(B)を40重量部以下、エラストマー(C)を40重量部以下、それぞれ含むことができる。
本発明の溶着成形体は、溶着成形用樹脂組成物を成形してなる樹脂部材を振動溶着成形法によって結合させて得られる態様であることが好ましい。
<溶着成形用樹脂組成物>
本発明の溶着成形用樹脂組成物は、プロピレン系重合体(A)を必須の構成成分とし、さらに、必要に応じてフィラー(B)、エラストマー(C)、その他の付加的成分が使用される。以下、それぞれの成分について具体的に説明する。
本発明に係る溶着成形用樹脂組成物の構成成分であるプロピレン系重合体(A)は、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン系ブロック共重合体から選ばれる。
[1]ASTM D1238Eに準拠し、230℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレート(MFR)が、0.5g/10分以上、300g/10分以下
[2]Dinsolの重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.5以上、4.0以下
[3]DinsolのZ平均分子量(Mz)と重量平均分子量(Mw)との比(Mz/Mw)が1.5以上、3.0以下
[4]プロピレン系重合体(A)全量におけるDinsolの割合が、50重量%以上、100重量%以下
以下、本発明におけるプロピレン系重合体(A)が備える要件[1]〜[4]について詳説する。
本発明におけるプロピレン系重合体(A)は、ASTM D1238Eに準拠し、230℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレート(MFR)が0.5g/10分以上、300g/10分以下である。
MFRの上限は、200g/10分が好ましく、50g/10分がより好ましく、10g/10分がさらに好ましい。
プロピレン系重合体(A)のMFRは、重合体製造時の重合触媒の種類や、反応条件、さらには、重合系内への水素の添加量により調整することができる。
プロピレン系重合体(A)のDinsolは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定値から求められる重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)の比であるMw/Mnが1.5以上、4.0以下である。
溶着強度の観点から、Mw/Mnの下限としては2.0が好ましく、2.5がより好ましい。Mw/Mnの上限としては3.5が好ましく、3.0がより好ましい。
プロピレン系重合体(A)のD insolのZ平均分子量(Mz)と重量平均分子量(Mw)との比(Mz/Mw)は、1.5以上、3.0以下である。
プロピレン系重合体(A)の、全量におけるDinsolの割合が、下限としては50重量%、好ましくは60重量%、より好ましくは70重量%、もっとも好ましくは80重量%であり、上限としては100重量%、好ましくは95重量%、より好ましくは90重量%である。
上記Dinsolの上限値として100重量%と規定しているが、これは、プロピレン系重合体(A)が製造時からDsolを含まない場合のほか、プロピレン系重合体を製造後、室温n−デカンに溶解し、Dsolを分離したのちのDinsol成分のみを使用する場合も想定したものである。
なお、プロピレン系重合体(A)のDinsolとDsolの合計量は100重量%である。
プロピレン系重合体(A)の製造方法は、当該プロピレン系重合体(A)が、上記の要件[1]〜[4]を同時に満たす限りにおいて何ら限定されるものではないが、通常はシクロペンタジエニル骨格を分子内に持つメタロセン化合物を含む重合触媒の存在下でプロピレンを単独重合、もしくはプロピレンとエチレンを共重合することによって製造する方法が挙げられる。
Qはハロゲン原子、炭化水素基、アニオン配位子、および孤立電子対で配位可能な中性配位子から選ばれ、
jは1〜4の整数であり、
Cp1およびCp2は、互いに同一かまたは異なっていてもよく、Mと共にサンドイッチ構造を形成することができるシクロペンタジエニル基または置換シクロペンタジエニル基である。ここで、置換シクロペンタジエニル基は、インデニル基、フルオレニル基、アズレニル基およびこれらが一つ以上の炭化水素基で置換された基も包含し、インデニル基、フルオレニル基、アズレニル基の場合はシクロペンタジエニル基に縮合する不飽和環の二重結合の一部ないし全部は水添されていてもよい。
また、Qはハロゲン、炭化水素基、アニオン配位子または孤立電子対で配位可能な中性配位子から同一または異なる組合せで選ばれる。
ハロゲンの具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、炭化水素基の具体例としては前述と同様のものなどが挙げられる。
前記の好ましい架橋メタロセン化合物としては、ジメチルメチレン(3−tert−ブチル−5−メチルシクロペンタジエニル)(3,6−ジtert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、1−フェニルエチリデン(4−tert−ブチル−2−メチルシクロペンタジエニル)(オクタメチルオクタヒドロジベンゾフルオレニル)ジルコニウムジクロリド、[3−(1’,1’,4’,4’,7’,7’,10’,10’−オクタメチルオクタヒドロジベンゾ[b,h]フルオレニル)(1,1,3−トリメチル−5−tert−ブチル−1,2,3,3a−テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライド等を例示することができる。
本発明に係る溶着成形用樹脂組成物の任意の構成要件であるフィラー(B)としては、タルク、硫酸マグネシウム繊維、ガラス繊維、炭素繊維、マイカ、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、リン酸アンモニウム塩、珪酸塩類、炭酸塩類、カーボンブラック等の無機フィラーと、木粉、セルロース、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、ケナフ繊維、竹繊維、ジュード繊維、米粉、澱粉、コーンスターチ等の有機フィラーとに大別される。
(タルク)
タルクは、含水ケイ酸マグネシウムを粉砕したものが用いられる。含水ケイ酸マグネシウムの結晶構造は、パイロフィライト型三層構造であり、タルクはこの構造が積み重なったものである。タルクとして、より好ましくは、含水ケイ酸マグネシウムの結晶を単位層程度にまで微粉砕した平板状のものである。
硫酸マグネシウム繊維は、その平均繊維長として、好ましくは5〜50μmであり、より好ましくは10〜30μmである。また、硫酸マグネシウム繊維の平均繊維径として、好ましくは0.3〜2μmであり、より好ましくは0.5〜1μmである。製品としては、宇部興産(株)「モスハイジ」などが挙げられる。
ガラス繊維としては、Eガラス(Electrical glass)、Cガラス(Chemical glass)、Aガラス(Alkali glass)、Sガラス(High strength glass)および耐アルカリガラスなどのガラスを溶融紡糸してフィラメント状の繊維にしたものを挙げることができる。該ガラス繊維は1mm以下の短繊維、1mm以上の長繊維の形態で組成物中に含まれる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物で使用される炭素繊維は、繊維径が2μmより大きく15μm以下であり、好ましくは3μm〜12μm、より好ましくは4μm〜10μmである。繊維径が2μm以下の場合、繊維の剛性が著しく低下し、15μmを超えると、繊維のアスペクト比(長さ(L)と太さ(D)の比:L/D)が低下してしまうため、剛性や耐熱性などの十分な補強効率が得られず好ましくない。ここで繊維径は、繊維を繊維方向に垂直に裁断し、その断面を顕微鏡観察して直径を計測し、100本以上の繊維の直径の数平均を算出することにより求めることができる。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物で使用される炭素繊維としては、上述の形状を満たせば、特に制限なく、従来公知の炭素繊維が使用できる。炭素繊維としては、例えば、ポリアクリロニトリルを原料としたPAN系炭素繊維や、ピッチを原料としたピッチ系炭素繊維などを例示することができる。これらの炭素繊維は、繊維原糸を所望の長さに裁断した、所謂チョップドカーボンファイバーとして用いることができ、また必要に応じて、各種サイジング剤を用いて収束処理されたものであっても良い。収束処理に用いるサイジング剤は、ポリプロピレン樹脂との溶融混練において融解する必要があるため、200℃以下で溶融するものであることが好ましい。
木粉としては、木材をカッターミルなどによって破断し、これをボールミルやインペラーミルなどにより粉砕して、微粉状にしたものなどが使用可能であり、その平均粒径は通常1〜200μm、好ましくは10〜150μmである。平均粒径が1μm未満のものは、取り扱いが困難であるうえに、特に木質系充填剤の配合量が多い場合は、樹脂への分散が悪いと、製造される木質樹脂発泡成形体に機械強度の低下が発生する。また、200μmより大きいと、成形品の均質性、平面性、機械的強度が低下する。
セルロースは、セルロース繊維と結晶セルロースが好適に使用される。
セルロース繊維は、純度が高い繊維であるのが好ましく、例えば、α−セルロース含量が80重量%以上の繊維であるのが好ましい。セルロース繊維などの有機繊維としては、平均繊維径0.1〜1000μmおよび平均繊維長0.01〜5mmを有する繊維が使用できる。
また、フィラー(B)は1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合せて使用することもできる。
本発明に係る溶着成形用樹脂組成物の任意の構成要件であるエラストマー(C)としては、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体(C−a)、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエンランダム共重合体(C−b)、水素添加ブロック共重合体(C−c)、その他弾性重合体、およびこれらの混合物などが挙げられる。
X(YX)n ・・・(x)
(XY)n ・・・(y)
Xはモノビニル芳香族化合物から得られる重合ブロック、Yは共役ジエンから得られる重合ブロックを示す。
溶着成形用樹脂組成物が上記エラストマー(C)成分を含むことにより、得られる溶着成形体の外観を維持しつつ、流動性を向上させることができ、衝撃性や振動溶着強度を含めた良好なバランスの溶着成形用樹脂組成物およびそれから得られる溶着成形体を得ることができる。
本発明の溶着成形用樹脂組成物中には、その目的、効果を大きく阻害しない範囲で、用途に応じて各種の添加剤、例えば、分散剤、滑剤、可塑剤、難燃剤、酸化防止剤、帯電防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、結晶化促進剤(増核剤)等の改質用添加剤、顔料、染料等の着色剤、カーボンブラック、酸化チタン等、公知の添加剤を添加することができる。
本発明の溶着成形用樹脂組成物は、上記要件[1]〜[4]を同時に満たすプロピレン系重合体(A)、および必要に応じてフィラー(B)、エラストマー(C)と、上述した他の成分を包含している。
本発明の溶着成形用樹脂組成物の、ASTM D1238Eに準拠し、230℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレート(MFR)は、0.5g/10分以上、300g/10分以下である。
MFRの上限は、200g/10分が好ましく、60g/10分がより好ましく、40g/10分がさらに好ましい。
本発明における溶着成形用樹脂組成物の調製方法は、溶融法、溶液法等、特に限定されないが、実用的には溶融混練方法が好ましい。溶融混練方法としては、熱可塑性樹脂について一般に実用されている溶融混練方法が適用できる。例えば、粉状または粒状の各成分を、必要であれば付加的成分の項に記載の添加物等と共に、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型ブレンダー等により均一に混合した後、一軸または多軸混練押出機、混練ロール、バッチ混練機、ニーダー、バンバリーミキサー等で混練することにより調製することができる。
本発明に係る溶着成形体は、上述の溶着成形用樹脂組成物からなる樹脂部材同士、もしくは、当該樹脂組成物からなる樹脂部材と他の樹脂(組成物)からなる樹脂部材とを溶着の方法によって結合させた成形体である。
(i)ASTM D1238Eに準拠し、230℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレート(MFR)が0.5g/10分以上、300g/10分以下
(ii)Mw/Mnが1.5以上、11.0以下
(iii)Mz/Mwが1.5以上、7.0以下
ここで、振動溶着法による成形体の成形方法としては、2つの樹脂部材を加圧(最大15kN)した状態で、周波数80〜260Hz、振幅1.5〜4.0mmの往復振動を片方の成形体に加え、成形体同士の接触面に摩擦熱を発生させて樹脂部材を溶融させて溶着させる手法が一般的に取られる。
実施例において用いたプロピレン系重合体(A)、溶着成形用樹脂組成物、および、溶着成形体の各種物性の測定方法、および使用した各種成分は、以下のとおりである。
(1)MFR(プロピレン系重合体(A)と溶着成形用樹脂組成物を測定)
ASTM D1238Eに準拠して、温度230℃、2.16kg荷重で測定した。
(2)分子量分布(プロピレン系重合体(A)のDinsolを測定)
ウォーターズ社製GPC−150C Plusを用い測定した。
(3)融点(Tm)(プロピレン系重合体(A)を測定)
示差走査熱量計(DSC、パーキンエルマー社製)を用いて下記の通り測定を行った。ここで、第3stepにおける吸熱ピークを融点(Tm)と定義した。
サンプルをアルミホイルで挟み、金型(厚さ:0.2mm)を用いて下記条件でプレス成形した。
成形温度:240℃(加熱温度240℃、予熱時間:7分)
プレス圧力:300kg/cm2
プレス時間:1分
プレス成形後、金型を氷水で室温付近まで冷却後、サンプルシートを得た。
得られたサンプルシートを下記測定容器に約0.4g封入し、下記測定条件でDSC測定を行った。
(測定容器)
アルミ製PAN(DSC PANS 10μl BO−14−3015)
アルミ製COVER(DSC COVER BO14−3003)
(測定条件)
第1step:30℃/分で240℃まで昇温し、10分間保持する
第2step:10℃/分で30℃まで降温する
第3step:10℃/分で240℃まで昇温する。
5g程度のポリマー試料(このときの正確な重量をaとする)を、n−デカン200mlと、試料量に対し約1%のBHT(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン)とともに、三角フラスコに入れ、145℃に加熱し、1時間撹拌溶解した。試料が完全に溶解したことを確認し、1時間放冷した。
分離したろ液にアセトンを加え約1リットルとし、1時間撹拌してn−デカン可溶分を析出させた。内容液が透明にならない場合はさらにアセトンを加え撹拌を続けた。吸引瓶とロート(325メッシュスクリーン)にて、析出物をろ過した。
n−デカン可溶分・不溶分は次式によって算出する。
n−デカン可溶分(%)=(b/a)×100
n−デカン不溶分(%)=100−(n−デカン可溶分(%))
a:ポリマー試料の重量(g)、b:n−デカン可溶分の回収量(g)
ISO Aタイプダンベルを用いてISO 527−1に準拠して試験速度50mm/minで温度23℃で試験した。
(6)引張り弾性率(溶着成形用樹脂組成物を測定)
ISO Aタイプダンベルを用いてISO 527−1に準拠して試験速度1mm/minで温度23℃で試験した。
(7)シャルピー衝撃強度(溶着成形用樹脂組成物を測定)
ISO Aタイプダンベルを用いてISO 179に準拠して温度23℃で試験した。
(8)溶融粘度(溶着成形用樹脂組成物を測定)
ISO 11443に準拠してL/D;40/1、温度220℃、せん断速度2.43×103(1/sec)で試験した。
下記実施例1および比較例1、2で製造した樹脂組成物を用いて成形した81×10×4mmの試験片(図1)と、プライムポリマー製プライムポリプロ(E−150GK)を用いて成形した64×13×3mmの試験片(図2)を、図3、図4に示すように、5mm×4mmにわたって重ね合わせ、振動溶着を行った。
(10)振動溶着外観(溶着成形体を測定)
振動溶着させた溶着部のはみ出し量(図7に示した「h」部分の高さ)を測定した。
(1)プロピレン系重合体(A)
以下のプロピレン系重合体をそれぞれ使用した。
(A1):プロピレン単独重合体(ホモPP)
MFR:3g/10min、Mw/Mn:2.8、Mz/Mw:2.1、Tm:157℃、n−デカン可溶部量:0.5重量%未満(測定検出限界以下;検出はするが誤差が大きいことに起因するため)
(A2):プロピレン単独重合体(ホモPP);プライムポリマー製プライムポリプロ(F113G)
MFR:3g/10min、Mw/Mn:5.6、Mz/Mw:3.5、Tm:162℃、n−デカン可溶部量:1.5重量%
(A3):プロピレン単独重合体(ホモPP)
MFR:3g/10min、Mw/Mn:11.1、Mz/Mw:7.0、Tm:161℃、n−デカン可溶部量:2.0重量%
上記プロピレン系重合体(A1)および(A3)については、下記製造例1および製造例3により製造された。
(i)固体触媒担体の製造
容量1リットル枝付フラスコにSiO2(AGCエスアイテック製サンスフェアH121)300gをサンプリングし、トルエン800mlを入れ、スラリー化した。
ここにアルベマール社製メチルアルミノキサン(以下、MAO)−トルエン溶液(10wt%溶液)を2830ml導入し、室温で30分間攪拌した。次いで1時間で110℃に昇温し、4時間反応を行った。反応終了後、室温まで冷却した。冷却後、上澄みトルエンを抜き出し、トルエンで、置換率が95%になるまで、置換を行った。ここで、置換率の定義としては、例えば、トルエン溶液中の上澄みトルエンを全体量の半分を抜き出し、抜き出した分と同じ量の新しいトルエンを加えた場合、置換率は50%とすることを言う。
グローブボックス内にて、容量5リットルの4つ口フラスコに[3−(1’,1’,4’,4’,7’,7’,10’,10’−オクタメチルオクタヒドロジベンゾ[b,h]フルオレニル)(1,1,3−トリメチル−5−tert−ブチル−1,2,3,3a−テトラヒドロペンタレン)]ジルコニウムジクロライドを2.0g秤取った。フラスコをグローブボックスの外に出し、トルエン0.46リットルと上記(i)で調製したMAO/SiO2/トルエンスラリー1.4リットルとを窒素下で加え、30分間攪拌し担持を行った。
前記(ii)で調製した固体触媒成分202g、トリエチルアルミニウム109ml、ヘプタン100リットルを内容量200リットルの攪拌機付きオートクレーブに導入し、内温15〜20℃に保ち、エチレンを2020g導入し、180分間攪拌しながら反応させた。
内容量58Lのジャケット付循環式管状重合器にプロピレンを30kg/h、水素を5NL/h、前記(iii)で製造した予備重合触媒スラリーを固体触媒成分として3.5g/h、トリエチルアルミニウム1.0ml/hを連続的に供給し、気相の存在しない満液の状態にて重合した。管状重合器の温度は30℃であり、圧力は3.1MPa/Gであった。
得られたスラリーの分散媒をガス化させ気固分離して、プロピレン系重合体(A1)を得た。
(i)固体触媒の製造
内容積2リットルの高速撹拌装置(特殊機化工業製(TKホモミクサーM型))を充分窒素置換した後、この装置に精製デカン700ml、市販塩化マグネシウム10g、エタノール24.2gおよび商品名レオドールSP−S20(花王(株)製ソルビタンジステアレート)3gを入れ、この懸濁液を撹拌しながら系を昇温し、懸濁液を120℃にて800rpmで30分撹拌した。
このようにして得られた固体状チタン触媒成分(α−1)の組成はチタン3.2質量%、マグネシウム17質量%、塩素57質量%、3,6−ジメチルシクロヘキサン1,2−ジカルボン酸ジイソブチル10.6質量%、シクロヘキサン1,2−ジカルボン酸ジイソブチル8.9質量%およびエチルアルコール残基0.6質量%であった。
前記(i)で調製した固体触媒成分170g、トリエチルアルミニウム43.6mL、ヘプタン170Lを内容量200Lの攪拌機付きオートクレーブに挿入し、内温12〜18℃に保ちプロピレンを1700g挿入し、70分間攪拌しながら反応させた。重合終了後、固体成分を沈降させ、上澄み液の除去およびヘプタンによる洗浄を2回行った。得られた前重合触媒を精製ヘプタンに再懸濁して、固体触媒成分濃度で1.0g/Lとなるよう、ヘプタンにより調整を行った。この前重合触媒は遷移金属触媒成分1g当たりポリプロピレンを10g含んでいた。
内容量500Lの攪拌器付きベッセル重合器に、プロピレンを130kg/h、前記(ii)で調製した触媒スラリーを遷移金属触媒成分として1.4g/h、トリエチルアルミニウム4.8mL/h、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン5.2mL/hを連続的に供給し、水素を気相部の水素濃度が1.2mol%になるように供給した。重合温度70℃、圧力3.1MPa/Gで重合を行った。
得られたスラリーの分散媒をガス化させ気固分離して、プロピレン系重合体(A3)を得た。
(B1):浅田製粉社製 微粉タルク(JM−209)
平均粒径4.2μm(平均粒径測定方法:レーザー回折法)
(3)エラストマー(C)
(C1):エチレンと1−ブテンとの共重合体ゴム(三井化学株式会社製 エチレン・1−ブテン共重合体;タフマー(商標)A−1050S(MFR:2g/10分))
プロピレン系重合体(A1)60重量部と、タルク(B1)20重量部と、エチレンと1−ブテンとの共重合体ゴム(C1)20重量部と、添加剤処方Irganox1010(商標)[フェノール系酸化防止剤、BASF社製]0.1重量部と、Irganox1076(商標)[フェノール系酸化防止剤、BASF社製]0.1重量部と、Irgafos168(商標)[リン系酸化防止剤、BASF社製]0.1重量部と、ステアリン酸カルシウム0.1重量部とを配合して、タンブラーで5分間混合した後、二軸混練機(日本製鋼所社製 TEX30α)にて180℃の設定温度で混練造粒することにより樹脂組成物を得た。
上記条件で成形した樹脂組成物からなる試験片および溶着成形体について、前述した各種測定法に従って各種測定を行った。評価結果を表1に示す。
プロピレン系重合体(A1)を、プロピレン系重合体(A2)とした他は、実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物について実施例1と同様の方法により試験片および溶着成形体を製造し、物性評価を行った。評価結果を表1に示す。
プロピレン系重合体(A1)を、プロピレン系重合体(A3)とした他は、実施例1と同様にして樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物について実施例1と同様の方法により試験片および溶着成形体を製造し、物性評価を行った。評価結果を表1に示す。
Claims (4)
- 下記[1]〜[4]の要件を満たすプロピレン系重合体(A)を40重量部以上と(組成物全量を100重量部とする)、フィラー(B)を、組成物全量100重量部に対して、3〜40重量部含む、溶着成形用樹脂組成物。
[1]ASTM D1238Eに準拠し、230℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレート(MFR)が、0.5g/10分以上、300g/10分以下、
[2]室温n−デカンに不溶な部分(Dinsol)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.5以上、4.0以下、
[3]室温n−デカンに不溶な部分(Dinsol)のZ平均分子量(Mz)と重量平均分子量(Mw)との比(Mz/Mw)が1.5以上、3.0以下、
[4]プロピレン系重合体(A)全量における室温n−デカンに不溶な部分(Dinsol)の割合が、50重量%以上、100重量%以下。 - 下記[1]〜[4]の要件を満たすプロピレン系重合体(A)を40重量部以上と(組成物全量を100重量部とする)、組成物全量100重量部に対して、フィラー(B)を15〜40重量部、エラストマー(C)を15〜40重量部、それぞれ含む、溶着成形用樹脂組成物。
[1]ASTM D1238Eに準拠し、230℃、2.16kg荷重で測定したメルトフローレート(MFR)が、0.5g/10分以上、300g/10分以下、
[2]室温n−デカンに不溶な部分(Dinsol)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.5以上、4.0以下、
[3]室温n−デカンに不溶な部分(Dinsol)のZ平均分子量(Mz)と重量平均分子量(Mw)との比(Mz/Mw)が1.5以上、3.0以下、
[4]プロピレン系重合体(A)全量における室温n−デカンに不溶な部分(Dinsol)の割合が、50重量%以上、100重量%以下。 - 請求項1または2に記載の溶着成形用樹脂組成物を成形してなる樹脂部材を含む溶着成形体。
- 振動溶着成形法によって得られる請求項3に記載の溶着成形体。
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