第1の発明は、洗濯機本体と、有底円筒状に形成されたドラムと、前記ドラムを回転自在に内包し前記洗濯機本体内に揺動自在に弾性支持された水槽と、前記ドラムを回転駆動するモータと、前記ドラム、水槽、モータ等から成る振動系の水槽ユニットと、前記水槽ユニットと前記洗濯機本体とを固定する固定ボルトと、前記水槽に設けられ前記水槽ユニットの振動を検知できる加速度センサーと、前記水槽内に給水するための給水弁と、前記水槽内の水位を検知するための水位センサーと、前記モータの回転数を検知する回転速度検知部と、前記洗濯機本体の前面上部に配設され入力設定手段と表示手段を有する操作表示部と、前記モータ等を制御し、洗い、すすぎ、脱水等の一連の工程を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記固定ボルト外し忘れ診断を行う設置診断運転において、前記水槽内に所定水量の複数水位を設定し、それぞれの水位にて前記モータの回転制御を行ない、複数の水位における前記加速度センサーにて検知した前記水槽ユニットの振動値の差を閾値と比較して、前記固定ボルトが取り外されているか否かを判定することにより、輸送時の固定ボルトの取り外し忘れを精度良く検知することができ、設置後の運転での固定ボルトの外し忘れが原因で発生する脱水振動異常を未然に防止することができる。
第2の発明は、特に、第1の発明の制御部は、制御部は、固定ボルト外し忘れ診断を行う設置診断運転において、複数水位の最少水位を、ドラムに水が接しない水位と設定することにより、機体のバラツキを抑えた輸送時の固定ボルトの取り外し忘れの検知ができる。
第3の発明は、特に、第1または第2の発明の制御部は、制御部は、固定ボルト外し忘れ診断を行う設置診断運転において、モータの左右回転を行なって得られる複数水位毎の水槽ユニットの振動値で、一回転時の正側の最大絶対値と次回転時の負側の最大絶対値を積算していった第1の積算値から、一回転時の負側の最大絶対値と次回転時の正側の最大絶対値を積算していった第2の積算値を引いた値の複数水毎の最大値が、所定の閾値と比較して小さい場合、または、前記第1の積算値を回転制御回数で除した第1の平均値から、前記第2の積算値を回転制御回数で除した第2の平均値から引いた値の複数水毎の最大値が、所定の閾値と比較して小さい場合に、固定ボルト外し忘れと判定することにより、水槽の揺れを簡便かつ精度良く検知することができ、輸送時の固定ボルトの取り外し忘れを精度良く検知することができ、設置後の運転での固定ボルトの外し忘れが原因で発生する脱水振動異常を未然に防止することができる。
以下、発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。また、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における洗濯機の断面図である。
図1において、水槽ユニット176は、水槽182内にドラム178を回転自在に収納し、モータプーリ101、ベルト102、駆動プーリ103、回転軸179を介してドラム178を回転駆動するために水槽182の外底部に固定されたモータ181などで構成される。
水槽ユニット176は、軸心を洗濯機本体183内に傾斜して配設され、洗濯機本体183の上方より防振構造を有するサスペンション171によって宙づり状態に防振支持され、かつ下方には減衰防振ダンパー170にて洗濯機本体183の底部と接続され、洗濯機本体183内部で揺動自在に構成されている。
洗濯機本体183の前面部傾斜面には扉187を開閉自在に軸支し、使用者は扉187部よりドラム178内方に洗濯衣類を投入する。
ドラム178内には内周3等分にバッフル701が固定されており、洗い時にドラム178を回転すると洗濯衣類を掻き上げる効果を果たす。バッフル701により掻き上げられた洗濯衣類は、その後、重力によってドラム底部へ落ちる。ドラム式洗濯機では、その際に与えられるたたき力によって汚れが衣類から落ちる撹拌たたき洗いにより、衣類の洗浄が行われる。
洗濯機本体183の前面内方下面部に配設され、洗い、すすぎ、脱水等の一連の工程を制御するマイクロコンピュータ等で構成した制御部131は、扉187の上方に配した操作表示部189の入力設定手段135および表示手段136や、水槽182の上方外壁に設けられ水槽ユニット176の振動を検知する加速度センサー188と信号伝達を行うと共に、モータ181の回転制御等を行う。なお、加速度センサー188による水槽ユニット176の振動検知は、後述する固定ボルト185の外し忘れ検知にも利用される。
洗濯機本体183上部内方には給水弁27、水位センサー41(図2で後述)があり、給水弁27は、制御部131の制御によって水槽182内への給水を実施し、水位センサー41が所定の水位検知後、給水を停止する。水槽182下部には排水弁28があり、制御部131の制御によって開状態の時には水槽182内からの排水を実施する。制御部131は、給水弁27と排水弁28に対する制御指令により、洗いやすすぎ時には水槽182に水をため、脱水時には水槽182から水の排水を制御する。
加速度センサー188は、例えば半導体加速度センサーで構成し、1方向の加速度でなく前後左右上下等の多軸(2軸もしくは3軸)方向の加速度センサーで構成される。これは、実際の水槽ユニット176の振動は、必ずしも一方向に限定できないので、多軸の加速度センサーを用いて、精度の高い水槽182の動きを検知する為である。
また、水槽182の背面部に固定された固定金具175と、洗濯機本体183の背面部186とは、洗濯機輸送時は水槽ユニット176の揺動を防止する為の固定ボルト185で固定、保持されている。固定ボルト185は、輸送時のみに必要であり、洗濯機の据付設置時には取外されるものである。
図2は、本発明の実施の形態1におけるドラム式洗濯機のブロック回路図である。
図2において、商用電源20の交流電力を整流器21により整流し、チョークコイル22及び平滑コンデンサ23からなる平滑回路により平滑化された直流電力を駆動電力として、インバータ回路24によりモータ181を回転駆動する。
また、制御部131は、入力設定手段135から入力される運転指示、及び各検知手段により検知される運転状態の監視情報に基づいてモータ181の回転を制御し、負荷駆動部26により給水弁27、排水弁28、送風ファン12、ヒータ29の動作を制御すると共に、表示手段136により運転状態や制御状態を使用者に判るように表示信号を送信する。
さらに制御手段131は、機体バラツキ検出部200を有し、所定の複数の水位に対して、そのうちの少なくとも1つはドラムが水に接しない水位を設定し、その機体固有のバラツキ値を前記機体バラツキ検出部200に格納される。
モータ181は、3相巻線7a、7b、7cを有するステータと、2極の永久磁石を有するロータ(図示せず)とを備え、3つの位置検出素子30a、30b、30cを設けた直流ブラシレスモータとして構成され、スイッチング素子24a〜24fにより構成されたPWM制御インバータ回路24により回転制御される。
位置検出素子30a、30b、30cが検出するロータ位置検出信号は、マイクロコンピュータ等により構成された制御部131に入力される。このロータ位置検出信号に基づいて、駆動回路32によりスイッチング素子24a〜24fのオン/オフ状態をPWM制御することにより、ステータの3相巻線7a、7b、7cに対する通電を制御してモータ181を所要回転数で回転させる。
制御部131は、3つの位置検出素子30a、30b、30cの検出出力が入力される回転速度検知部33を有し、回転速度検知部33は、3つの位置検出素子30a、30b、30cのいずれかの信号の状態が変わることに応じてその周期を検出し、その周期よりモータ181の回転数を算出する。
なお、モータ181の回転速度検知部33の検知出力はドラム178の回転数に対応するので、以下の説明においてドラム178の回転数は、回転速度検知部33の検知出力により得られるものである。
水槽182に設けた加速度センサー188は、少なくとも水槽ユニット176の左右の方向の加速度を検知し、制御部131内に構成した加速度検知部39は、加速度センサー188からのデジタル信号もしくはアナログ信号にて得られる加速度データや、加速度データを変位演算部40で演算したデータから振動状態を判定して、工程の脱水制御や、後述する固定ボルト185の外し忘れ検知を行なう。
制御部131には、水槽182内の水圧を検知する水位センサー41からの信号が入力されており、制御部131内の水位検知部42にて水槽内の水位を算出する。
また、記憶手段190は、加速度データ、水位データなどを記憶し、報知手段191は、行程終了時の終了報知や異常発生時の異常報知などを行ない、使用者に知らせるものである。
図3は、本発明の実施の形態1におけるドラム式洗濯機の操作表示部である。
図3において、操作表示部189には、洗濯機に電源を投入する際に操作する電源入スイッチ135a、および電源を遮断する際に操作する電源切スイッチ135b、洗濯等の動作をスタートあるいは一時停止する際に操作するスタートスイッチ135cや、洗濯のみを運転するのか、乾燥のみを運転するのか、洗濯と乾燥の両方を運転するのかを選択する洗乾切換スイッチ135k、各運転コースを選択するコース選択スイッチ135j、更に洗い・すすぎ・脱水及び乾燥の各行程の詳細時間および運転するか否かを選択する個別時間設定スイッチ135f、135g、135h、および、その他設定スイッチ135d、135e等を有する入力設定手段135と、これらの入力設定手段135の操作にて設定される内容を表示させる表示手段136で構成される。
そして、使用者が電源入スイッチ135aをONして、表示手段136に表示されるメニューを見ながら、入力設定手段135の各スイッチを押して希望する運転コースを選択すると、表示手段136には、選択して設定された運転内容が点灯して文字や図形を浮かび上がらせる。図3の表示は、「おまかせ」コースを設定した時の例である。
なお、入力設定手段135の各スイッチ類を特別な操作をすると、例えば、個別時間設定スイッチ135hとコース選択スイッチ135jを同時に押した状態で、電源入スイッチ135aをONにするという操作をすると、後述する設置診断運転のモードを選択することができる。また、表示手段136は、その設置診断運転の診断状況や診断結果も表示して、設置者に分かり易くしている。
以上のように構成された洗濯機について、以下その動作、作用を説明する。
図4は本発明の実施の形態1におけるドラム式洗濯機の設置診断運転の基本のフローチャートである。
図4において、入力設定手段135にて設置診断運転モードが選択され開始する(ステップ300)と、まず、給水診断と固定ボルト外し忘れ診断を行なう(ステップ301)。
給水診断と固定ボルト外し忘れ診断では、まずステップ302にて給水弁27から水槽182内への給水が開始される。給水については、たとえば、複数の設定値を水位1(40mm)、水位2(80mm)、水位3(90mm)、水位4(100mm)に設定する。
ここで、水位は少ない状態で診断できたほうが経済的であるが、精度よく測定することが重要であり、複数段階の水位設定値での診断としている。さらに、その水位は、ある程度の負荷を与えての回転からの停止タイミングで加速度を測定することが、固定ボルト185の検知データとしてはその有無での差が大きいわけであるが、初期の機体のバラツキなどを測定データから除外することで、さらに精度のよいものとなるため、複数の水位のひとつをドラム178に水が接しない水位の水位1(40mm)を設定する。この水位1でのデータを他の水位と同様に測定し、そのデータを、他の水位のデータから減算することで、機体自体のバラツキを押さえることができる。図14は、水位が低くドラム178に接しない場合の加速度信号例であり、機体によって、若干ではあるが、データの差が見られる。
また、水位1(40mm)以外の複数の水位設定については、たとえば以下のように設定する。バッフル701はドラム178の内周に対して120度ずつ等間隔に3個固定されている。このバッフル701の一個がちょうど頂上となるようにドラム178の回転位置を決めた時、残り二個のバッフル701は下側の左右に配置される状態となる。給水時の中間の所定水位3は、この下側の二個のバッフル701が完全に水没するよりは低い水位で、かつドラム178が回転してバッフル701がもっとも低い位置となったときには水槽182にたまった水に対して作用反作用の力が働く程度には高い水位とする。ドラム178の内径が80cmとした場合、水位はドラム178の最も低い位置、つまりドラム178の後下角部位置から水面までが90mmの水位を中間の所定水位3とし、上下各10mmの、80mmを水位2に、100mmを水位4とする。
給水は、水位1からはじめ、その水位1(40mm)に達するまで継続される。ステップ303にて水位検知部42により水位1以上に達したことを検知すると、給水状態を診断する(ステップ304)。これは、給水関係のホース接続部の水漏れや、給水弁27からの給水状況、排水弁28の止水状況などを確認する診断であり、異常があれば(ステップ304のN)、ステップ316にて、以降の運転を停止すると共に、操作表示部189の表示手段136に異常を表示し、報知手段191にて報知する。給水状態が正常であれば(ステップ304のY)、ステップ305にて、固定ボルト検知動作1を実施する。固定ボルト検知動作は、各水位による水槽ユニット176の加速度データを検知、演算するもので、固定ボルト検知動作の詳細は図5にて後述する。
ステップ305にて固定ボルト検知動作1が終了すると、ステップ306にて水位2(80mm)まで給水し、その水位で固定ボルト検知動作2を行ない(ステップ307)、次にステップ308にて水位3(90mm)まで給水し、その水位で固定ボルト検知動作3を行なう(ステップ309)。
ステップ309にて固定ボルト検知動作3が終了すると、ステップ310にて水位4(100mm)まで給水し、その水位で固定ボルト検知動作4を行なう(ステップ311)。
そして、水位1,水位2,水位3、水位4での固定ボルト検知動作の実施が終了すると、まず、水位1(40mm)、水位2(80mm)、水位3(90mm)、水位4(100mm)のそれぞれに対して、水槽ユニット176の加速度データを演算し、ステップ312にて固定ボルト185の有無を判定する。判定方法については、後述する。
固定ボルト有りと判定された場合(ステップ312のN)は、ステップ316にて、以降の運転を停止すると共に、操作表示部189の表示手段136に異常を表示し、報知手段191にて報知する。固定ボルト185無しと判定された場合(ステップ312のY)は、ステップ313へ進んで、排水状態を診断する。
排水診断は、排水弁28の動作、排水関係のホース接続部の水漏れなどを確認する診断であり、ステップ314にて確認し、異常があれば(ステップ315のN)、ステップ316にて、以降の運転を停止すると共に、操作表示部189の表示手段136に異常を表示し、報知手段191にて報知する。排水状態が正常であれば(ステップ315のY)、設置診断を終了する。
ここで、設定水位を複数切り替えて測定をしているが、加速度センサー188の出力は水位によって変化する。図11は、固定ボルト検知動作の水位変化時の加速度信号グラフであり、水槽182の形状などによってその傾向が異なるが、図11のような場合について説明すると、水位80mmの設定に対してAの期間、90mmの場合がBの期間、100mmの設定がCの期間である。この条件では、固定ボルト185が固定されていない場合には、90mmと100mmの状態ではほとんど変化が無いが、80mmと90mmに対しては多少変化がある状態である。固定ボルト185が固定されている場合には、全体としてほぼ変化がない状態となる。また、図12は、ドラム内の水位と加速度信号レベルの関係図例で、3つの曲線は3つの機体を表すが、水槽182の形状やドラム178の形状、周囲温度、電圧などによって、測定データの傾向に違いがあることや、水位センサー41の水位にバラツキがあることなどがあり、水位が高ければ、高いデータが出るわけでもないことも実験データから得られている。
図5は、図4のステップ305、307、309,311の固定ボルト外し忘れ検知動作の詳細のフローチャートであり、図6は、固定ボルト検知動作時のドラムの動きを示す図、図7は、固定ボルト有りの場合の加速度信号の時間変化のグラフ、図8は、固定ボルト無しの場合の加速度信号の時間変化のグラフである。
図5において、ステップ400にて固定ボルト外し忘れ検知動作が開始された後、ステップ410にてモータ制御のためのパラメータの初期化を行う。
モータ制御のためのパラメータとしては、モータ181の回転方向がある。モータ回転制御の二回目以降が、直前の回転方向と逆方向の回転の場合、同方向の場合共に、固定ボルト185が固定されていない場合のほうが測定した加速度データの変化が大きいことがわかる。このうち、同方向に回転する際には、回転方向については、たとえば、図10は洗濯機の固定ボルトの配置例であるが、水槽ユニット176が製品に対して正面視の左右対称で固定されている場合(ポイントA,B,Cの位置で固定)にはどちらの回転方向でも問題ないと考える。万一、ポイントB,D,Eの位置で固定されていた場合、固定した場所に近い位置に水が移動したほうが、加速度センサー188が検知する加速度がより小さくなり、固定されていない場合には回転方向に影響なく加速度が発生するため、固定ボルト185の位置によって、その回転方向を設定することで、より確実な加速度から固定ボルトの有無を判定ができる。固定ボルト185の固定位置は、製品出荷前に制御部131に入力されており、それに合わせてモータ181のパラメータ初期化を行なう。
次に、ステップ401にてモータ起動制御を実施する。モータ181起動時はモータ181の回転が安定していないため、モータ181の位置検出素子30a、30b、30cの信号による回転数検知部33でのモータ回転速度が安定して得られない。そのため制御部131は駆動回路32によって、時間とともにモータ181に印可する電圧を上昇させるいわゆる電圧制御を実施する。
ステップ401によるモータ起動制御により、モータ181が起動して回転を始めると、位置検出素子30a、30b、30cからの信号が変化する。この変化により、モータ181の回転角度が所定の角度以上となったことをステップ402で検知すると、モータ181の起動制御を終了し、ステップ403のモータ回転数制御に移行する。ステップ403へ移行するモータ181の回転角度は、モータ回転によるドラム178の回転が開始されたと判断できる程度に大きく、かつ、出来るだけ早く回転数制御へ移行できるように小さくする必要があり、ドラム178の回転角度にして、10°〜45°程度とすると良い。
次にステップ403では、回転速度検知部33の値を目標とする回転数、例えば100rpmとなるようにモータ181の回転数制御を実施する。回転速度検知部33で検知される回転数が目標よりも低ければ駆動回路32からのモータ181への印可電圧を上昇させ、逆に高ければ印可電圧を下降させる。ここではモータ181への印可電圧を現在の回転数によって制御する単純な回転数制御方式としたが、これに限定されるものではない。たとえば、現在の回転数と、目標回転数とからいわゆるPI制御を実施して印可電圧を制御すればさらに回転数制御の精度が向上する。さらにモータに流れる電流の検知回路を追加し、いわゆるベクトル制御を実施してさらに回転数制御の精度を向上させても良い。
次にステップ404でモータ181を起動開始してからの時間を判定し、所定の時間が経過してない場合は、ステップ403に戻って所定の目標回転数でのモータ181の回転を継続させる。ステップ404でモータ181を動作させる時間が経過している場合は、ステップ405へ移行する。
ステップ405では、モータ181の回転を止めるためのブレーキ制御を実施する。ステップ403までで回転させていた方向と逆方向のトルクを発生させるように、駆動回路32を制御する。
このブレーキ制御の前までは、モータ181の回転によりドラム178が回転しており、ドラム178と、ドラム178の内部に固定されたバッフル701により、水槽182内の水が回転方向の向きに掻き上げられている。ステップ405でドラム178及びドラム178内部のバッフル701の動作が水槽182内で止まろうとする方向で制動をかけられることになるが、水槽182内の水にはまだ加速度が作用しており、掻き上げられる動きは継続しているため、水の動きに対してバッフル701が抵抗となって作用・反作用の関係が生じ、結果としてバッフル701が固定されたドラム178が回転方向に対して揺れることとなる。このドラム178の揺れはモータ181のブレーキ制御によって、モータ181を介して水槽182に伝わり、水槽ユニット176全体が回転方向に対して揺れることとなる。
ここで、固定ボルト185により、水槽ユニット176が背面部186で洗濯機本体183と固定されている場合には、水槽ユニット176の揺れは小さなものとなる。逆に固定ボルト185が無い場合には、水槽ユニット176は洗濯機本体183内部で揺動自在に構成されていることになるので、水槽ユニット176の揺れは固定ボルト185が有る場合と比較して大きいものとなる。
この水槽ユニット176の回転方向に対する揺れは、加速度センサー188に対して左右方向の加速度の変化として捉えられるので、ステップ406にて加速度センサー188からの水槽ユニット176の左右方向の加速度データを収集する。加速度データの収集は、加速度の正の最大値と負の最大値を収集時の加速度の値で更新することで実施される。
その後、ステップ407にてモータへのブレーキ制御を実施する時間が経過していない場合には、ステップ405に戻ってブレーキ制御を継続する。ブレーキ制御を実施する時間が経過した場合には、ブレーキ制御を終了して、ステップ411へと移行する。
ステップ411では、ステップ406と同様に加速度センサー188からの水槽ユニット176の左右方向の加速度データを収集し、その後、ステップ408へと移行する。
ステップ408ではモータ181に通電もブレーキ制御もしないoffの時間を判定して、所定の時間が経過すればステップ409へと移行して、一回のモータ動作の制御を終了する。所定の時間が経過していない場合には、ステップ411へ戻って加速度データの収集を繰り返す。
ステップ409でモータ回転制御が所定の回数を超えていない場合、ステップ410へ戻って、モータ回転制御を繰り返す。ステップ410でのモータ制御初期化では、直前の回転方向とは逆方向への回転となるようにモータ制御パラメータを設定する。ステップ409で所定の回数を超えていた場合は、ステップ412へ進んで、固定ボルト有無の判定用データ演算を実行する。
ここで、ステップ409により、所定の回数未満でのモータ制御時に収集した加速度データは利用しないこととなる。これは、固定ボルト検知動作開始の初期段階では、いくつかのばらつき要因が存在するために、安定した判定が困難であるからである。ばらつき要因としては、まず水槽182内の水位がある。モータ制御を開始すると、水槽182内の水は掻きあげられ、水槽182内の内壁に水がつくことにより、開始直後よりも徐々に水位が低下する。
次に、水槽182内のバッフル701の位置が変化する可能性がある。ドラム178が回転している状態からブレーキをかけた時の水流に対するバッフル701の作用反作用により揺れが発生することを検知するため、ブレーキをかける際のバッフル701の位置が変化すると、揺れの度合いもばらつくこととなる。
前述のとおり、水槽182内に給水した水位は、バッフル701二個を下側の左右均等の位置でドラム角度を固定した時に、バッフル701が水没するよりは低く設定している。そのため、図5で説明しているモータ回転制御を実施して、モータブレーキの動作終了後のモータoffの期間では、ドラム178にはバッフル701の間に挟まれた水がモータ動作中に掻きあげられた結果としての左右へのゆれが継続することになる。この水面の動きによりバッフル701は作用反作用により力を受けることになるが、モータ181はとまっているので、結果としてドラム178はバッフル701が水面に対して押し出されるように下側の左右均等の位置へと移動することとなる。図4のステップ305の固定ボルト検知動作実施を開始する時点ではバッフル701の位置がどこになるかは不定だが、モータ動作を繰り返すと、前記の効果により少しずつバッフル701の位置が水面に対して左右均等の位置へと移動していく。
なお、前述のようなモータoff期間での水面によるバッフル701への作用反作用による位置の移動は、あまり大きな移動となることは期待できない。そのため、前提として一回のモータ制御によるドラム178の回転角度をほぼ120度の整数倍となるようにして、回転前後でバッフル701の位置が大きく移動しないようにする必要がある。これにより、モータ制御およびその後のモータoff区間を繰り返すことによりバッフル701の位置が移動していく。本実施の形態では、ドラム178の回転角度をほぼ120度の整数倍とするために、モータ181のon時間、およびモータ回転数制御中の目標回転数を適切に設定することで、約120度や約240度の回転とするように制御する。具体的にはモータのon時間は0.8秒、モータ回転数制御中の目標回転数は100rpmとする。また、モータoff区間は、前回のモータ制御によってかきあげられた水の動きに同期するタイミングで次回のモータ制御を開始するために、本実施の形態では0.9秒と設定する。
以上のようにばらつき要因を低減させるために、初期のモータ制御時の加速度データは利用しない。本実施の形態では、18回分のデータを利用しないものとする。
次に、ステップ412では固定ボルト有無の判定用データ演算を実行する。回転方向を毎回変更する場合には、判定用データにはパラメータとして二つ用意する。一つはドラム178右回転時の正側の最大加速度の絶対値、次の左回転時の負側の最大加速度の絶対値を足し合わせていくパラメータAであり、もう一つは、逆に、ドラム右回転時の負側の最大加速度の絶対値、次の左回転時の正側の最大加速度の絶対値を足し合わせていくパラメータBである。正側の最大加速度、負側の最大加速度は前述のとおり、ステップ406、411にて収集した、一回のモータ制御でのブレーキ開始からモータoff区間の間の加速度センサー188の左右方向の信号である。
前記パラメータAは、ドラム178の回転方向が変わる毎に現れる加速度の絶対値の最大値を足し合わせることとなり、パラメータBはその逆方向の加速度の絶対値の最大値足し合わせることとなる。パラメータAとBをモータ制御ごとに収集される加速度データで演算していくことになるので、固定ボルト無しの場合はパラメータAがパラメータBよりも有意に大きな値となり、固定ボルトありの場合には固定ボルト無しの場合と比較して小さな値となる。なお、固定ボルト有無の判定用データ演算については、詳細を後述する。
ステップ412の後、ステップ413でモータ回転制御を実施した回数が所定の値以上の場合には固定ボルト検知動作を終了する。所定の値未満の場合には、ステップ410からのモータ制御初期化からモータ制御を繰り返し、固定ボルト検知用のパラメータAとBの演算を継続する。ステップ413での所定回数と、ステップ409での所定回数の間に相当するモータ制御の回数分にて演算が実施されることとなる。
そして、図5のステップ413が終了すると、固定ボルト外し忘れ検知動作1終了なら図4のステップ306へ、あるいは検知動作2終了ならステップ308へ、あるいは検知動作3終了ならステップ310へ、そして検知動作4終了ならステップ312へ移行し、設置診断を継続する。
ここで、図6は、固定ボルト検知動作時のドラムの動きを示す図であり、図6を使って、ドラム178の回転制御について補足説明する。
図6はドラム178を洗濯機前面から見た図である。ドラム178の内周には、バッフル701a、701b、701cが3つ120度間隔で固定されている。また、ドラム178を内包する水槽182にたまった水702の水面がドラム178内にある。加速度センサー188の左右方向とは、この図における左右方向と一致する。
図6の丸つき数字1から6で、ドラム178の右回転と左回転それぞれ一回ずつの回転制御を示した時間的変化を示している。図6の丸つき数字1は、ドラム178を右回転する回転制御を開始した際の図である。バッフル701aがドラム178の頂上にあって、ドラム178の内周時計回りにバッフル701b、701cがある。
図6の丸つき数字2は、図6の丸つき数字1からドラム178がちょうど120度右回転した後の図である。右回転への回転制御が継続している状態である。ドラム178が120度右回転した為、ドラム178の頂上にはバッフル701cがあり、ドラム178の内周時計回りにバッフル701a、701bがある。ドラム178の回転とバッフル701bによって水702が掻き上げられている。
図6の丸つき数字3は、図6の丸つき数字2からドラム178がさらに120度右回転し、ブレーキ制御を経て回転が停止した際の図である。右回転への回転制御開始時の図6の丸つき数字1と比較して、240度右回転してドラム回転が停止していることとなる。
図6の丸つき数字2と比較して、さらに水702が掻き上げられており、この水の動きと、バッフル701aとの作用反作用によりドラム回転方向の接線方向に対しての揺れが生じる。この揺れは、水槽182の上部に取り付けられた加速度センサー188の左右方向として検知されることとなる。水槽182の上部での右回転方向の接線方向とは右方向となる。そのため、加速度の方向を図中の右側を正とすると、右回転直後のブレーキで揺れる、最も絶対値として大きな加速度の方向は正方向となる。
図6の丸つき数字3の後、水702は主に重力によって引き戻され、左右への揺れを継続した後、元の水平な水面の状態へ移行しようとするが、その過程において、バッフル701aと701cを水面に対して均等な位置へと調整する働きをする。これにより、一回の回転制御によりドラムの回転角度が厳密に240度でなくとも、次の回転制御の開始時に、ドラムの回転位置が補正される。さらに、図6の丸つき数字1ではバッフル701aがちょうどドラムの頂上にある状態から動作開始することを前提として説明を行ったが、回転制御を繰り返すことにより、バッフルの位置が補正されて、前記前提が成立することとなる。
この後、図6の丸つき数字4、5にて逆方向である左回転へのドラム178の回転制御が実施された結果、図6の丸つき数字6の左回転への回転制御終了時のバッフル701aから701cの位置は、図6の丸つき数字1の位置と同じ状態へ復帰する。以降、回転制御が継続される場合は、図6の丸つき数字1からの動作が繰り替えされることとなる。
次に、回転方向を一定にした場合(回転角度が240度の状態)について説明する。時計回り方向の回転方向の場合には、上記丸つき数字1から240度の回転角度であれば、丸つき数字3になり、次の回転では丸つき数字2と変化する。逆に反時計方向での同一の回転方向は、丸つき数字4から丸つき数字6、5の順で変化することになる。
回転方向が逆の場合のデータのバラツキを抑えるための工夫として、水の条件を合わせることを行っている。一度回転した際に水が丸つき数字1から2になると、丸つき数字2の水の状態は、次の瞬間にはドラム178を動作させなかったら丸つき数字5の状態になり、次に丸つき数字2、5と状態を変えながら水平の状態になっていく。一度回転させたあと、次の回転については、反転させる場合には、その水に逆らわない状態で動作を行うように休止時間(上記説明では0.9秒)を設定している。つまり、丸つき数字1で240度動作させたあとの状態である丸つき数字3から4に水の状態が変化する状態で、ドラム178を回転させることで、ドラム178には常に一定の状態での負荷をかけるようにしている。丸つき数字5の状態で回転方向を反時計回りとした場合には、水に逆らって動作を行うことになり、水波の状態が不安定で同じ条件を作ることができなくなる。さらに加速度センサー188の出力が最大になる条件としては、負荷をかけた状態での所定の回転数が得られた際の停止状態直後であり、負荷をかける(ある程度の水位)ことも必要であることがいえる。
回転方向を一定にする場合においても、逆方向と同様に回転させる方向に水波が移動するタイミングで動作をさせることでよいが、水面が安定した、略一定状態になった状態で、同じ方向に動作をさせることでも安定したデータを得ることができ、同じ効果がえられる。逆方向回転においても、同じように略一定状態になってからの動作でもよい。
なお、図15は、水波を考慮せずにドラムを回転させた場合の加速度信号例であるが、回転ごとのデータのバラツキが非常に大きくなり、安定したデータとならないことがわかる。
以上、図6で説明したドラム回転制御によって、ドラム178のバッフル701の位置の初期状態によらず、回転制御ごとにばらつきを抑えた加速度センサー188での加速度の検知が行える。
図7は前述のように、固定ボルト有りの場合の加速度信号の時間変化のグラフ、図8は、固定ボルト無しの場合の加速度信号の時間変化のグラフであり、いずれも、縦軸の加速度の単位は重力加速度のGで、横軸は経過時間であり、4回分のモータ駆動分の動作に相当する時間を表示している。
図7と図8から、固定ボルト185の有無による加速度データの時間変化の差異を説明する。
まず、一回のモータ動作の制御において、加速度の絶対値の最大の値を比較すると、図7のデータよりも図8の固定ボルト185無しの方が大きいことがわかる。これは前述の通り、固定ボルト185によって水槽ユニット176が洗濯機本体183に固定されている場合は、固定ボルト185が無く洗濯機本体183内部で水槽ユニット176が揺動自在の場合と比較して揺れが小さいことによるものである。なお、一回のモータ動作の制御において、加速度の絶対値が最大の値を示すのは、ブレーキ制御をした直後である。
次に、加速度の絶対値が最大の値を示した後の加速度の変化であるが、図7の固定ボルト185有りの場合を見ると時間と共に徐々に減衰していく揺れを示しており、図8の固定ボルト185無しの場合はそれと比較して急激に減衰することがわかる。
これは、図7の固定ボルト185有りの場合は、水槽ユニット176が洗濯機本体183に固定されているため、防振機構であるサスペンション171や減衰防振ダンパー170はその効果を発揮せず、微少な洗濯機全体として揺れが継続しているものと考えられる。そのため、加速度の絶対値が最大の値を示した後、同じ方向への加速度の値の絶対値は最大の値と比較してもあまり変化は少ない。図8の固定ボルト無しの場合は、水槽ユニット176が揺動自在であり最初の揺れは大きいが、サスペンション171、減衰防振ダンパー170によって振動を減衰する効果によって急速に揺れが減衰するものと考えられる。そのため、加速度の絶対値が最大の値を示した後、同じ方向への加速度の値の絶対値は最大の値と比較すると急激に小さいものとなる。また、加速度の絶対値が最大になるタイミングでの加速度の方向は、モータ制御を繰り返すたびに逆方向の出力となっている。これは、モータ制御のたびに、ステップ410にてモータの回転方向を逆方向としているためである。図13は、ドラム同一回転方向時の加速度信号例であるが、このモータ制御を毎回同一方向に回転させることにした場合には、図のごとく、出力が同方向になる。
図9は、固定ボルト無しの場合の加速度信号の時間変化の模式図である。
図9を使って、固定ボルト185の有無の判定用データ演算について補足説明する。図9は、図5でのモータ制御の、p回目とp+1回目相当の場合について記載している。なお、p回目が右回転の制御としている。
図9で、水槽ユニット176の左右方向の加速度の値は、制御p回目期間でのブレーキ直後に、正側の最大の加速度Apに達し、その後、負側の最大の加速度Bpとなっている。また、制御p+1回目期間でのブレーキ直後に、負側の最大の加速度Ap+1に達し、その後、正側の最大の加速度Bp+1となっている。これらの加速度の値は、加速度センサー188の信号を加速度検知部39で検知され、図5の固定ボルト検知動作の説明中の、ステップ406とステップ411で収集される。
図5のステップ412での判定用データ演算にて演算する前述のパラメータAとパラメータBは、固定ボルト検知動作終了時点では、それぞれ数1、数2のように表される。
図6で説明したように、右回転でのモータ制御の期間に得られるブレーキ時に最も揺れる方向は、加速度の正方向となる。そのため、水槽ユニット176が固定ボルト185で固定されていない場合は、Apの絶対値はBpの絶対値よりも大きな値となる。逆に、左回転でのモータ制御の期間に得られるブレーキ時に最も揺れる方向は、加速度の負方向となり、Ap+1の絶対値はBp+1の絶対値よりも大きな値となる。
上記のように、任意回のモータ制御時に、ApとBpの絶対値は必ずApが大きいこととなるので、それらを合算したパラメータAとパラメータBの関係としては、パラメータAがパラメータBよりも大きな値となる。
図9の説明は固定ボルトが無い場合であったが、図7と図8のデータを見れば明確なように、固定ボルト有りの場合には、数1と数2で得られるパラメータAとパラメータBとの差は固定ボルト無しの場合と比較して小さいものとなる。
以上から、パラメータAとパラメータBとの差分を演算して、固定ボルト185の有無を判定することができることがわかる。そして、複数の水位を切り換えて、その水位毎に上記の処理を行う。
図5で説明した固定ボルト検知動作が終了し、図4のステップ312で行なう固定ボルト有無の判定について説明する。
これは、水位1の固定ボルト外し忘れ検知1で得たパラメータAとパラメータBの差分をP1とすると、水位2の固定ボルト外し忘れ検知2で得たパラメータAとパラメータBの差分P2からP1を引いてPS2とし、水位3の固定ボルト外し忘れ検知3で得たパラメータAとパラメータBの差分P3からP1を引いてPS3とし、水位4の固定ボルト外し忘れ検知4で得たパラメータAとパラメータBの差分P4からP1を引いてPS4とする。そして、PS2、PS3、PS4の値の最大値と所定の閾値と比較して、閾値よりも大きければ固定ボルト無しと判定し、閾値よりも小さければ固定ボルト有りと判定することができる。
なお、判定については、パラメータA,パラメータBの代わりに、パラメータA,パラメータBを左右反転回数で除して平均処理した値パラメータAX,パラメータBXを使用して、各水位でのその平均処理した値パラメータAX,パラメータBXの差分の最大値と、別途定めた閾値と比較して判定しても良い。
なお、本実施の形態では、ばらつき要因をさけるために動作開始から所定の回数まで判定用データを演算しないこととしたが、それに限定されるものではない。例えば、所定の時間を決め、その時間までは判定用データを演算しないようにしても同様の効果が得られる。
なお、本実施の形態では、動作開始時のバッフルの位置によるばらつきを抑制するために、モータ制御を繰り返して水面とバッフルの間の作用反作用によってバッフルの位置を所望の位置にするとしたが、これに限定されるものではない。例えば、モータに取り付けられた位置検出素子によってモータの回転位置を検出し、それに対応したドラムの回転位置を検出し、それに対応したバッフルの位置を推定し、動作開始時にまずバッフルの位置を所望の位置とするようにモータを回転させてもよい。もしくは、ドラムに回転センサーをとりつけ、直接ドラム位置を検出してバッフルの位置を特定して同様に動作開始時にバッフルの位置合わせを実施しても良い。
以上のように、本実施の形態においては、製品設置にまつわる複数機能の良否診断を行なう設置診断運転の、固定ボルト外し忘れ診断において、水槽内に所定水量の複数水位を設定し、それぞれの水位にてモータの回転制御を行ない、加速度センサーにて検知した水槽ユニットの振動値をもとに、固定ボルトが取り外されているか否かを判定することにより、輸送時の固定ボルトの取り外し忘れを精度良く検知することができ、設置後の運転での固定ボルトの外し忘れが原因で発生する脱水振動異常を未然に防止することができる。
また、設置診断運転の、固定ボルト外し忘れ診断において、複数水位の最少水位を、ドラムに水が接しない水位と設定することにより、機体のバラツキを抑えた輸送時の固定ボルトの取り外し忘れの検知ができる。
また、設置診断運転の、固定ボルト外し忘れ診断において、モータの左右回転制御を行なって得られる複数水位毎の水槽ユニットの振動値で、一回転時の正側の最大絶対値と次回転時の負側の最大絶対値を積算していった第1の積算値から、一回転時の負側の最大絶対値と次回転時の正側の最大絶対値を積算していった第2の積算値を引いた値の複数水毎の最大値が、所定の閾値と比較して小さい場合に、または、前記第1の積算値を回転制御回数で除した第1の平均値から、前記第2の積算値を回転制御回数で除した第2の平均値から引いた値の複数水毎の最大値が、所定の閾値と比較して小さい場合に、固定ボルト外し忘れと判定することにより、水槽の揺れを簡便かつ精度良く検知することができ、輸送時の固定ボルトの取り外し忘れを精度良く検知することができ、設置後の運転での固定ボルトの外し忘れが原因で発生する脱水振動異常を未然に防止することができる。