JP5741639B2 - エアバッグ用原糸およびエアバッグ用原糸の製造方法 - Google Patents
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Description
最近では、環境意識の向上や車内の意匠性や他の部品との関係から、エアバッグ用基布にも軽量化、収納時のコンパクト性などの開発ニーズが高く、さらには低コスト化の要求も高まっている。
前述のようなニーズを解決するために、高い強力を維持しながら、軽量で耐圧性の高い縫合部を持ったエアバッグを提供するため、繊度が400dtex以下で、強度が8.85cN/dtex以上という高い強度を持ったマルチフィラメントを用いて、20番手以上の太さの縫い糸を用いて、運針数が4針/cm以上で縫い目間距離が2.2〜4mmである二列の縫い目により縫合されたエアバッグが提案されている。(例えば特許文献1参照)
しかし、特許文献1はエアバッグ用原糸として使用するナイロン66繊維の製造工程で発生する毛羽などに関する品位については記載されておらず、従来の製造方法から推測しても、品位要求の厳しいエアバッグ用原糸として満足できるレベルにはないものであった。毛羽の多いマルチフィラメントは、生産性が悪化し、最近高まっている低コスト要求を達成することができないという問題があった。
従来の高強度ナイロン66繊維を得る方法として、例えば特許文献2および3が挙げられる。
ゴム補強用のタイヤコード、ベルトコード、コンピューターリボン、エアバッグ基布等の各種産業用資材分野への利用に適した、毛羽の少ないポリアミド繊維の提供するため、一旦、巻取ることなく連続して2段階以上の多段延伸で延伸することにより、高強力ポリアミド繊維を製造するに際し、少なくとも第1段延伸後の引取りから第2段延伸の引取り、引渡しがロール上スリップ延伸であって、且つ、全延伸倍率の80%完了後の延伸の歪速度を300min-1 以下とするポリアミド繊維の製造方法が提案されている。(例えば特許文献2参照)
この製造方法により10.35〜10.97g/d(9.1〜9.7cN/dtex)の高強度ポリアミド繊維が得られることが記載されているが、歪速度(dV/dX)を300min−1以下とするために、表面祖度の粗い最終延伸前ローラを用い、糸をスリップ延伸させているためにローラの磨耗が激しく、安定生産性に問題があった。また、得られる糸の毛羽数は2〜17個/100万mであって、撚糸して用いられるタイヤコード用途では好適に使用できるものの、無撚りでかつ、高密度に製織するエアバッグ用繊維としては到底満足できるレベルではなかった。また、実施例で示された繊維は総繊維繊度1890デニール(2100dtex)であって、一般的なエアバッグ用繊維として用いられる総繊維繊度200〜500dtexの繊維の製造方法については開示されていない。さらに、得られた繊維について、伸度の記載がないものの、高強度化に伴い伸度は大きく低下するため、高速で製織される際にさらに毛羽が発生し、停台回数が増加し、生産性が低下するという問題があった。
また、高強力高伸度を兼ね備えた高タフネスのナイロン66繊維を提供するために、少なくとも95モル%がヘキサメチレンアジパミド単位からなり、硫酸相対粘度が3. 0以上のナイロン66繊維からなり、強度11.0g/d以上、伸度16%以上、沸騰水収縮率4.0%以下で、かつ規定の処理剤が繊維重量当り0.3〜2.0重量%付与されているナイロン66繊維が提案されている。(例えば特許文献3)
該文献の実施例によれば強度12〜12.8g/d(10.6〜11.3cN/dtex)、切断伸度18.9〜19.2%のナイロン66繊維を得られることが記載されているが、糸切回数は0.5〜0.62回/107mであって、毛羽数はこれより多量に発生するため、撚糸して用いられるタイヤコード用途では好適に使用できるものの、無撚りで用いられるエアバッグ用繊維としては満足できるレベルではなかった。また、実施例で示された繊維は総繊維繊度約1260デニール(1400dtex)であって、一般的なエアバッグ用繊維として用いられる総繊維繊度200〜500dtexの繊維の製造方法については開示されていない。
一方、ヘキサメチレンアジパミド成分が95〜80重量%とカプラミド成分が5〜20重量%からなる共重合ポリアミドで、原糸強度が9g/d以上、伸度18%以上で単繊維繊度が3.5デニール以上のポリアミド繊維を用いたエアバッグ用基布を用いることで、軽量かつ柔軟で収納性に優れ、機械的特性の優れたエアバッグ用基布に関する発明がされている。(例えば特許文献4参照)
しかし、得られた繊維の融点が低く、耐熱性に劣るという問題があった。
そこで、原糸強度が7.0〜12cN/dtexのポリアミド繊維および原糸強度が15cN/dtex以上のポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維、アラミド繊維などを混用し、収納性に優れ、かつ必要な基布強力を有するエアバッグ用基布の製造方法が発明されている。(例えば特許文献5参照)
しかし、原糸強度が15cN/dtex以上の繊維はいずれも高価なものであり、低コスト要求に応えることができないし、2種の繊維を混用し製織するため作業が煩雑となる問題があった。
CF=√(D1(dtex)×0.9)×S1(本/2.54cm)+√D2((dtex)x0.9)×S2(本/2.54cm)
式1=T1(N/cm)/D1(dtex)/S1(本/2.54cm)
式2=T2(N/cm)/D2(dtex)/S2(本/2.54cm)
ここで、
T1:タテ方向の引張強度(N/cm)
T2:ヨコ方向の引張強度(N/cm)
D1:タテ方向の総繊度(dtex)
D2:ヨコ方向の総繊度(dtex)
S1:タテ方向の織物密度(本/2.54cm)
S2:ヨコ方向の織物密度(本/2.54cm)
なお、本発明のエアバッグ用基布においては、
該マルチフィラメントの総繊度が400〜500dtexの範囲内であること、
該マルチフィラメントの単繊維繊度が1〜2dtexの範囲内であること、
カバーファクターが1600〜2200の範囲内であって、少なくとも片面に樹脂が被覆されてなること、
少なくとも片面に被覆されている樹脂の吐工量が5〜40g/m2の範囲内であること、
ASTM D4032:2002に基づく剛軟度が20N以下であること、
厚みが0.3mm以下であることがいずれも好ましい条件である。
また、本発明のエアバッグ用基布を構成する原糸においては、総繊度が200〜500dtex、単繊維繊度が1〜4dtex、強度が9.0cN/dtex以上又は9.0cN/dtexを超えること、伸度が20%以上であって、繊度斑が1.2%以下であるポリアミドマルチフィラメントから構成されていることが好ましい条件であり、その製造方法として、
ポリアミドを溶融紡糸により紡糸口金から押し出された繊維に200℃〜350℃に加熱した水蒸気を100〜400Pa付与した後、徐冷筒を通過させ、環状冷却装置を用いて冷却してから延伸することが好ましい条件であり、これらの条件を適用することによってさらに優れた効果を期待することができる。
本発明のエアバッグ用基布は、ポリアミドマルチフィラメントから成ることが必要である。ポリアミドマルチフィラメントを用いることで柔軟性が向上し、収納コンパクト性に優れる基布を得ることができる。ポリエステル系繊維では、現在の高速製織に適した毛羽の少ない高強度繊維を得ることはできないし、またエアバッグ用基布の耐熱性等の点でも劣ることになる。本発明のエアバッグ用基布を構成するマルチフィラメントは、耐衝撃性や耐熱性等に優れるポリヘキサメチレンアジパミド成分が95重量%以上であることが必要であり、97重量%以上であることが好ましい。ポリヘキサメチレンアジパミド成分が95重量%未満の場合には、ポリヘキサメチレンアジパミドの耐熱性が低下するため、好ましくない。ポリアミドマルチフィラメントには5重量%以下であれば共重合成分を含んでも良い。本発明で用いられる共重合成分としては、ε−カプロアミド、テトラメチレンアジパミド、ヘキサメチレンセバカミド、ヘキサメチレンイソフタルアミド、テトラメチレンテレフタラミド、およびキシリレンフタラミド等がある。固相重合によって高粘度化されたポリアミドチップには、必要に応じて耐候剤、耐熱剤、酸化防止剤等の添加剤を添加し、溶融紡糸することができる。添加剤は一部又は全部を重合時に添加してもよく、その他の方法で混合しても良い。また、ポリアミドチップ中には、アミノ末端基量の調整のため、ジアミンやモノカルボン酸等を含ませていてもいなくてもよく、適宜目的のアミノ末端基量となるよう調整すればよい。
本発明のエアバッグ用基布を構成するポリアミドマルチフィラメントに用いられるポリアミド樹脂の硫酸相対粘度は3.5以上であることが好ましく、3.6〜4.0であることがより好ましい。硫酸相対粘度が3.5未満である場合は、本発明のエアバッグ基布を構成する高強度・高伸度のポリアミドマルチフィラメントを得ることは困難となる。
エアバッグ用基布を構成する繊維に関しては、総繊度、単繊維繊度をともに小さくすることや、強度を上げることが長年に渡り検討され続けてきたが、本願発明のように総繊度200〜500dtexの範囲で1〜4dtexの単繊維繊度を有し、且つ強度9.0cN/dtex以上、伸度20%以上の高強度・高伸度のポリアミドマルチフィラメントが実際に開示された例はなく、このようなポリアミドマルチフィラメントを用いてエアバッグ用の布帛を構成した場合に具備される特性についても当然開示された例はない。これは、従来の検討では、単繊維繊度を小さくすることで基布の滑脱抵抗力・低通気性・柔軟性が向上するが、3〜4dtex程度まで単繊維繊度を小さくすると飽和する傾向にあったことに加え、単繊維繊度を小さくするに従い単糸本数が多くなり、冷却固化工程での単糸衝突によって融着が発生することで延伸工程における毛羽・糸切れが多発し、その結果生産性が低下し、得られたエアバッグ基布の品位も満足できるものではなかった。また、高強度のポリアミドマルチフィラメントを得るためには高延伸倍率を採用することが必要となり、従来のエアバッグ用繊維に用いられている4〜6dtexの単繊維繊度の繊維においても毛羽・糸切れが多発し、生産性が低下する問題があって、単繊維繊度が4dtex以下では更なる収率低下の問題があった。さらにポリアミドマルチフィラメントの高強度化に伴って伸度が低下するため、前述の通り製織工程における毛羽も増加し、織機の停台頻度も増加する問題を有していた。本発明者らは鋭意検討を重ね、総繊度が200〜500dtexの範囲で、1〜4dtexの単繊維繊度を有し、強度9.0cN/dtex以上、伸度20%以上の高強度・高伸度のポリアミドマルチフィラメントを安定して得る方法、および該マルチフィラメントから構成されたエアバッグ用基布が有する特性について検討し、本発明のエアバッグ用基布は従来のポリアミドマルチフィラメントを用いて得られた基布より低い織密度で製織しても、従来よりも低い繊度のポリアミドマルチフィラメントを選択しても、同等の基布強力、滑脱抵抗力、低通気性を得ることが可能となり、結果として柔軟性・薄地性・軽量性に優れることを究明したものである。
本発明のエアバッグ用基布のカバーファクター(CF)は1600〜2300であることが必要であり、好ましくは1700〜2100であり、さらに好ましくは1700〜2000である。また、基布の少なくとも片面に樹脂が被覆されている場合は1600〜2200であることが好ましく、さらに好ましくは1700〜2000である。カバーファクターをこの範囲とすることで、柔軟性、薄地性、軽量性に優れたエアバッグ用基布を得ることができる。
CFw=(Dw×0.9)1/2×Nw
CFf=(Df×0.9)1/2×Nf
本発明のエアバッグ用基布は下記式で表される値が0.030〜0.036N/本・dtexであることが必要であり、より好ましくは0.032〜0.036N/本・dtexである。
式1=T1(N/cm)/D1(dtex)/S1(本/2.54cm)
式2=T2(N/cm)/D2(dtex)/S2(本/2.54cm)
(ここで、
T1:タテ方向の引張強度(N/cm)
T2:ヨコ方向の引張強度(N/cm)
D1:タテ方向の総繊度(dtex)
D2:ヨコ方向の総繊度(dtex)
S1:タテ方向の織物密度(本/2.54cm)
S2:ヨコ方向の織物密度(本/2.54cm)
である。)
ここで、式1および式2はタテ方向のおよびヨコ方向の引張強度をタテおよびヨコ糸の総繊度と織物密度で除した値であり、総繊度が200〜500dtexの場合には、0.030〜0.036N/本・dtexの範囲であれば、従来のポリアミドマルチフィラメントで得られた基布に比べて、同等の引張強度を有しながら軽量性にも優れる基布、もしくは同等の重量であるが優れた引張強度を有する基布ということができる。0.030N/本・dtex未満の場合は、引張強力と軽量性の両立ができなかったり、同等の重量で優れた引張強度を有する基布を得ることができない。一方、0.036N/本・dtexより大きい基布を現在の技術で安定して製造することは困難である。
従来のポリアミドマルチフィラメントで得られた基布の場合、優れた引張強度を有する基布を得るためには、タテ方向およびヨコ方向の総繊度(D1、D2)またはタテ方向およびヨコ方向の織物密度(S1,S2)を大きくせざるを得ず、重量が重くなってしまう。また、軽量性に優れた基布を得るためには、タテ方向およびヨコ方向の総繊度(D1、D2)またはタテ方向およびヨコ方向の織物密度(S1,S2)を小さくせざるを得ず、引張強度が低下する。一方、本発明のエアバッグ用基布の場合は、原糸物性が優れているため、タテ方向のおよびヨコ方向の引張強度(T1、T2)が従来のマルチフィラメントで得られた基布と同等とした場合、タテ方向およびヨコ方向の総繊度(D1、D2)またはタテ方向およびヨコ方向の織物密度(S1,S2)を小さくすることができ、式1および式2の値は大きくなる。すなわち、十分な基布強力を有しながら軽量性に優れた基布を得ることができる。また、タテ方向およびヨコ方向の総繊度(D1、D2)またはタテ方向およびヨコ方向の織物密度(S1,S2)が従来のポリアミドマルチフィラメントで得られた基布と同等とした場合、原糸物性が優れているため、タテ方向のおよびヨコ方向の引張強度(T1、T2)が大きくなり、式1および式2の値は大きくなる。すなわち、重量が同等であっても、引張強度が優れた基布を得ることができる。
本発明のエアバッグ用基布の引張強力、伸度、引裂強力、滑脱抵抗、通気度などの機械的特性は、従来のエアバッグ用基布で開示されているものと大きな違いはない。従来のエアバッグ用基布との違いは、より小さな単繊維繊度、より大きなポリアミドマルチフィラメントの強度、そして、従来並のポリアミドマルチフィラメントの伸度を維持しているポリアミドマルチフィラメントを用いているため、従来のエアバッグ用基布よりも低い織密度で製織、または、低い繊度のポリアミド繊維を選択したにも拘らず、従来のエアバッグ用基布並みの機械特性を維持している点である。そして、低い織密度、または、低い繊度のポリアミドマルチフィラメントを選択したことにより、軽量性、薄地性、柔軟性を著しく改善したことにある。
水蒸気を付与された糸条は、円筒状の徐冷筒と円筒状の環状冷却装置を順次通過させることで冷却固化を完了させる。徐冷筒内径は環状冷却装置内径と同じにして、筒内の徐冷筒と環状冷却装置の接触箇所での空気流の乱れを防止することが好ましく、好ましくは30〜150mm、より好ましくは50〜100mm、さらに好ましくは50〜80mmの長さで筒内の雰囲気温度が250〜350℃であることが好ましく、さらに好ましくは275〜350℃である。この雰囲気温度となるように加熱した後、環状冷却装置を用いて冷却することが好ましい。徐冷筒を用いることで口金面の保温性を高めるとともに糸の変形を緩やかにすることで、高強度・高伸度ポリアミドマルチフィラメントを得ることができるが、徐冷筒の長さが前記範囲であると、ポリアミドマルチフィラメントの長手方向の太さ斑がより均一になる。単繊維繊度が1.5dtex未満の場合は、徐冷筒を使用せずに環状冷却装置を設置して、紡出糸条をより早く冷却させ始めることで糸長手方向の太さ斑が極端に悪化するのを防ぐこともできるが、その場合は、口金面を保温して高強度・高伸度のポリアミドマルチフィラメントを得るため、環状冷却装置の最上部から100mm以内の一定の長さで、100〜250℃の熱風を吹き出すようにすることが好ましい。
環状冷却装置による糸条の冷却においては、ポリアミドをガラス転移点まで十分に冷却できるように10〜50℃の冷却風を用いることが好ましい。環状冷却装置の基本構成は公知のものを用いればよい。例えば、多数の毛細管状の孔を有する多孔質の部材から筒体を構成し、冷却筒内部に送られた冷却風が冷却風の吹出箇所から糸条方向へ整流されつつ吹き出されるようにすればよい。また、冷却風速を調節するために、例えば、冷却筒エレメントのエア導入部にパンチング状のプレートやメッシュなど多孔質部材を設置することが好ましい。本発明のエアバッグ用基布を構成する高強度・高伸度な単糸細繊度のポリアミドマルチフィラメントを得るには、以下の特徴を有する構成とすることが好ましい。
また、該装置長手方向に対する冷却風の風速は不均一で、上部側風速VUを10〜30m/分、下部側風速VLを40〜80m/分とし、VUがVLより小さく、VL/VUが2〜3であることが好ましい。より好ましいVUとVLの範囲はそれぞれ15〜25m/分、50〜70m/分である。装置長手方向で少なくとも2段階の大きな風速比率変更を行い、前記風速範囲とすることで、糸長手方向の太さ斑が悪化することなく繊維物性を向上させることができる。特に上部側で徐冷効果を生み出すことによって、繊維のタフネス性が向上し、同一強度とした場合の伸度が2〜5%程度変化する。このような風速比率の変更に関しては、冷却風吹出し部の最上部から全長の10〜50%程度の位置で変更させることが好ましく、より好ましくは15〜45%である。その手段としては、冷却筒の外筒と多孔質部材からなる整流筒の間で、比率を変更したい位置にドーナツ状の多孔質部材を設置することで、該位置を境界に筒中の上下間にさらに差圧を与え、上下の風速を変更する手段や、冷却装置自体を2段構成としてそれぞれの筒内と大気圧との差圧を調節する手段などが考えられるが、いずれの方法を用いても問題はない。
従来の横吹出し冷却設備を用いて総繊度200〜500dtex、単繊維繊度2〜4dtexのポリアミドマルチフィラメントを製造しようとした場合は、紡出部での糸揺れが激しくなりすぎ、冷却風の風速を抑制する必要があり、さらに1〜2dtexでは冷却風の風速を下げたとしても単繊維同士の接触を抑えることができなかったのに対し、前記した本発明の方法では、糸条固化前の冷却風の風速を小さくしても冷却風と紡出糸条との距離が近いため、冷却不足とはならず、かつエアがぶつかりあって下降気流を形成し、冷却風の水平方向速度成分を大きく低下させることができるため、糸揺れを抑えながら製糸可能になるものと推察される。
その後、得られた冷却糸条は公知の方法で油剤を付与し、引き取りロールで引き取り、延伸した後巻き取ることができる。油剤は公知の油剤を用いることができるが、引き取りロール上での単糸巻き付きを抑制するために、その付着量は0.3〜1.5重量%が好ましく、さらに好ましくは0.5〜1.0重量%である。
また、糸条に付与する交絡は織機の種類や製織速度にあわせ適宜選択することができるが、本発明による方法であれば過度に交絡を施す必要はなく、15〜30個/mの交絡数が得られるように、交絡付与装置の種類や付与条件を変更すればよい。15個/mを大きく下回っても30個/mを上回っても、高次工程通過性は悪化する傾向となる。同様に交絡の強度も公知の範囲のものを用いればよい。
得られたポリアミドマルチフィラメントのショックセンサー毛羽数は、20個/千万m以下であることが好ましく、より好ましくは10個/千万m以下、さらに好ましくは5個/千万m以下である。この範囲であれば、毛羽発生による糸切れも抑制されるし、製織時の停台回数を抑えられ、生産性が向上する。
まず、前記した素材および総繊度、単繊維繊度を有するタテ糸を整経して織機にかけ、同様にヨコ糸の準備をする。かかる織機としては例えば、ウォータージェットルーム、エアージェットルームおよびレピアルームなどが使用可能である。中でも生産性を高めるためには、高速製織が比較的容易なウォータージェットルームを用いるのが好ましい。
製織においては、樹脂を塗布しない、ノンコートエアバッグ用基布として用いる場合には、タテ糸張力を120〜230cN/本に調整して行うことが好ましく、より好ましくは150〜200cN/本である。かかる範囲内にタテ糸張力を調整することで、基布を構成するマルチフィラメント糸の糸束中の単繊維間空隙を減少させることができ、したがって通気量を低減させることができる。また、ヨコ糸打ち込み後に、上記張力をかけられたタテ糸がヨコ糸を押し曲げることで、ヨコ糸方向の基布の組織拘束力を高め、基布の抗目ズレ性が向上し、エアバッグとして袋体を形成するときの縫製部分の目ズレによる空気漏れを抑えることができる。タテ糸張力が75cN/本以上であれば、タテ糸とヨコ糸との基布中での接触面積を増やすことができ、滑脱抵抗力が向上する。また、単繊維間空隙を減少させる効果が大きくなるため低通気性基布となり好ましい。また、230cN/本以下であれば、タテ糸が毛羽立たず製織性が良好となる。また、少なくとも片面に樹脂を塗布するコートエアバッグ用基布として用いる場合には、タテ糸張力を50〜100cN/本とすることが好ましい。かかる範囲内にタテ糸張力を調整することで、織機やタテ糸に掛かる負担を少なくすることができるため、ポリアミドマルチフィラメントが持っている強度を存分に引き出すことができるため、織密度を低減することが可能となる。
タテ糸張力を上記範囲内に調整する具体的方法としては、織機のタテ糸送り出し速度を調整する他、ヨコ糸の打ち込み速度を調整する方法が挙げられる。タテ糸張力が製織中に実際に上記範囲内となっているかどうかは、例えば織機稼動中に経糸ビームとバックローラーとの中間において、タテ糸一本当たりに加わる張力を張力測定器で測ることにより、確認することができる。
また、タテ糸開口における上糸の張力と下糸の張力とに10〜90%の差をつけることが好ましい。そうすることで、前述のタテ糸の曲がり構造が助長され、タテ糸とヨコ糸とが互いに強く押さえつけられて糸−糸間の摩擦抵抗力が大きくなり、滑脱抵抗力を向上させることができる。
また、上糸の張力と下糸の張力とに差をつける他の方法としては例えば、開口装置にカム駆動方式を採用し、上糸・下糸の片側のドエル角を他方よりも100度以上大きく取る方法もある。ドエル角を大きくした方が張力は高くなる。
(1)硫酸相対粘度:試料2.5gを96%濃硫酸25ccに溶解し、25℃恒温槽の一定温度下において、オストワルド粘度計を用いて測定した。
(2)総繊度:JIS L1013(1999) 8.3.1 A法により、所定荷重0.045cN/dtexで正量繊度を測定して総繊度とした。
(3)単繊維数:JIS L1013(1999) 8.4の方法で算出した。
(4)単繊維繊度:総繊度を単繊維数で除することで算出した。
(5)強度・伸度:JIS L1013 8.5.1標準時試験に示される定速伸長条件で測定した。試料をオリエンテック社製“テンシロン”(TENSILON)UCT−100を用い、掴み間隔は25cm、引張り速度は30cm/分で行った。なお、伸度はS−S曲線における最大強力を示した点の伸びから求めた。
(6)沸騰水収縮率:原糸をカセ状にサンプリングして、20℃、65%RHの温湿度調整室で24時間以上調整し、試料に0.045cN/dtex相当の荷重をかけて長さL0を測定した。次に、この試料を無緊張状態で沸騰水中に30分間浸漬した後、上記温湿度調整室で4時間風乾し、再び試料に0.045cN/dtex相当の荷重をかけて長さL1を測定した。それぞれの長さL0およびL1から次式により沸騰水収縮率を求めた。
沸騰水収縮率=[(L0−L1)/L0]×100(%)
(7)繊度斑:ツェルベガー・ウースター(Zellweger USTER)社製のウースター・テスター・モニターC(USTER TESTER MONITOR C)を用いてハーフ値を測定した。INEATモードを使用して、糸条速度25m/分にて125mの測定を行った。
(8)風速:KANOMAX社製アネモマスターを各測定点で冷却風吹出部に密着させ測定した。測定点は冷却風吹出部を構成する筒体の上端部より0、50、100mmの位置と100mm以上は100mm毎に筒体の下端部まで、それぞれ円周方向に90度ずつ角度を変え4点測定し、この4点の風速平均を冷却風吹出部上端部からの各距離での風速とした。次いで、上下風速を設備的対応で変更した場合は、該変更位置で上部側と下部側に線引きし、意図的な風速比率変更を行わない場合は、上端部より300mmの位置で上部側と下部側に線引きし、区間風速積分を各有効冷却長で除することによってVUとVLをそれぞれ求めた。
例えば、筒体上端部よりammの位置の風速をVa、冷却風吹出し長さをLとすると、350mmの位置で意図的に風速比率を変更させた場合の算出法は下記のとおりとなる。
VU=[50(V0+2V50+V100)+100(V100+V200)+150(V200+V300)]/2/350
VL=[150(V400+V500)+100(V500+V600)+・・・]/2/(L−350)
なお、・・・は600mm以降で最大測定点まで同様に計算して足しあわせることを意味する。
(10)織物厚さ:JIS L 1096:1999 8.5に則り、試料の異なる5か所について厚さ測定機を用いて、23.5kPaの加圧下、厚さを落ち着かせるために10秒間待った後に厚さを測定し、平均値を算出した。
タテ糸カバーファクター:CFw=(Dw×0.9)1/2×Nw
ヨコ糸カバーファクター:CFf=(Df×0.9)1/2×Nf
総カバーファクター :CF=CFw+CFf
(13)織物目付:JIS L 1096:1999 8.4.2に則り、20cm×20cmの試験片を3枚採取し、それぞれの質量(g)を量り、その平均値を1m2当たりの質量(g/m2)で表した。
E=[(L−100)/100]×100
E:破断伸度(%)、
L:切断時の標線間の距離(mm)。
(16)式1および式2:式1および式2はタテ方向のおよびヨコ方向の引張強度をタテおよびヨコ糸の総繊度と織密度で除して算出した。
式1=T1(N/cm)/D1(dtex)/S1(本/2.54cm)
式2=T2(N/cm)/D2(dtex)/S2(本/2.54cm)
(17)引裂強力:JIS K 6404:1999 4 6.試験方法B(シングルタング法)に準じ、長辺200mm、短辺76mmの試験片を織物のタテ、ヨコ、両方にそれぞれ5個の試験片を採取し、試験片の短辺の中央に辺と直角に75mmの切込みを入れ、引張試験機にてつかみ間隔75mm、引張速度200mm/minで試験片が引ききるまで引裂き、その時の引裂き荷重を測定した。得られた引裂き荷重のチャート記録線より、最初のピークを除いた極大点の中から大きい順に3点選び、その平均値をとった。最後にタテ方向及びヨコ方向のそれぞれについて、平均値を算出した。
(20)滑脱抵抗力
ASTM D6479−02に従って、基布サンプルの端から5mmの位置に目印をつけ、該位置に正確に針を刺し、測定した。
タテ方向の滑脱抵抗力は、ヨコ糸に沿ってピンを刺し、そのピンでヨコ糸をタテ糸方向に移動させるときの最大荷重を測定したものであり、ヨコ方向の滑脱抵抗力は、タテ糸に沿ってピンを刺し、そのピンでタテ糸をヨコ方向に移動させるときの最大荷重を測定したものである。
[実施例1〜10、参考例4]
液相重合で得られたナイロン66チップに酸化防止剤として酢酸銅の5重量%水溶液を添加して混合し、ポリマ重量に対し、銅として68ppm添加吸着させた。次に沃化カリウムの50重量%水溶液および臭化カリウムの20重量%水溶液をポリマチップ100重量部に対してそれぞれカリウムとして0.1重量部となるよう添加吸着させ、バッチ式固相重合装置を用いて固相重合させて硫酸相対粘度が3.8のナイロン66ペレットを得た。得られたナイロン66ペレットをエクストルーダーへ供給し、計量ポンプにより総繊度が表1および表2の糸条を2本得るように吐出量を調節して紡糸口金に配し、295℃で溶融紡糸した。各紡糸口金は、表1および表2に示す単繊維数の糸条を2糸条得ることのできる数、即ち表1および表2に示す単繊維数の2倍の吐出孔が直径0.22mmで3つの同心円上に配置され、最外周の吐出孔群を同心円状に結んだときの直径は、徐冷筒(加熱筒)および冷却筒の内径より14mm小さいものを用いた。糸条吐出面の下方50mmにはヒーターを併設した円状の水蒸気吹出し装置を設置し、直径2mmで深度が4mmの孔を均等間隔に12個有し、表1および表2に示した温度に加熱した水蒸気を表1および表2の圧力で斜め60℃方向に吹き出させた。さらに口金直下には350℃に加熱した表1および表2の長さの徐冷筒を設け、表1および表2の冷却風吹出し長さを有する円筒状の環状冷却装置を用いて、20℃の冷却風を冷却筒内と大気圧との差圧が表1および表2の値となるように加圧して送風し、紡出糸条を冷却固化せしめた。冷却筒の冷却風吹出部を構成する筒体としては、厚さ4.6mmで濾過精度40μmの孔を有するフェノール樹脂含浸セルロースリボンを螺旋状に巻き付け筒状に成形した富士フィルター製“フジボン”を用いた。また、冷却筒の冷却風吹出部の上端から350mmの位置に、筒内上下での冷却風の速度を変更させるようにドーナツ状で開口率22.7%のパンチングプレートを配置した。冷却固化された糸条には、次に平滑剤等を有する非水系油剤を付与し、紡糸引き取りローラに捲回し、紡出糸条を引き取った。引き続き、連続して糸条を延伸・熱処理ゾーンに供給し、直接紡糸延伸法によりナイロン66繊維を製造した。この際、最も回転速度の大きい延伸ローラの回転速度(以下、延伸速度)を3200m/分の一定速度とし、引取速度と延伸速度比で表される総合延伸倍率が表1および表2に示される値となるように引き取りローラの回転速度を調節した。
得られたナイロン66繊維の特性を表1および表2に示す。
弛緩ローラと交絡付与装置の間にショックセンサー式毛羽カウンターを設置し、107mあたりの毛羽数も同様に表1および表2に示す。
[比較例1〜4、参考例1〜3]
表2に示した硫酸相対粘度のチップを用い、計量ポンプにより総繊度が表2の糸条を2本得るように吐出量を調節して紡糸口金に配し、表2に示す単繊維数の糸条を2糸条得ることのできる数、即ち表2に示す単繊維数の2倍の吐出孔を有し、吐出孔間隔の最小値が7.5mmで千鳥配列となるように配列したものを用いた。1500mmの長さを有する横吹出し冷却装置から30m/分の冷却風を均一に吹き出させることによって、表2に示した延伸速度で2糸条得ることができるようにし、表2の条件でナイロン66繊維の製造を試みた以外は実施例1と同様にして行った。得られたナイロン66繊維の繊維物性および毛羽結果を表2に示した。
[比較例5]
延伸速度を2000m/分とし、3段延伸法を用いた以外は比較例1と同様に実施した。
実施例5のナイロン66繊維をタテ糸およびヨコ糸として用い、無撚りのまま、タテ糸の生機密度が57.5本/2.54cm、ヨコ糸の生機密度が58本/2.54cmの基布を製織した。
織機にはウォータージェットルームを用い、筬打ち部とフリクションローラーとの間にはバーテンプルを設置して基布を把持し、バックローラーと綜絞との間に、バックローラーから40cmの位置で、ワープラインから7cmタテ糸を持ち上げるようにガイドロールを取り付けた構成とした。
製織条件としては、製織時のタテ糸張力を150cN/本、織機停止時の上糸の張力を120cN/本、下糸の張力を169cN/本となるように調整し、織機回転数は500rpmとした。
[実施例12]
実施例7のナイロン66繊維をタテ糸およびヨコ糸として用い、無撚りのまま、タテ糸の生機密度が69.0本/2.54cm、ヨコ糸の生機密度が69.0本/2.54cmの基布を製織した。
織機にはウォータージェットルームを用い、筬打ち部とフリクションローラーとの間にはバーテンプルを設置して基布を把持し、バックローラーと綜絞との間にはガイドロールを配置しない構成とした。
製織条件としては、製織時のタテ糸張力を120cN/本、織機停止時の上糸の張力を120cN/本、下糸の張力を120cN/本となるように調整し、織機回転数は500rpmとした。
[実施例13]
実施例1のナイロン66繊維をタテ糸およびヨコ糸として用い、無撚りのまま、タテ糸の生機密度が49.0本/2.54cm、ヨコ糸の生機密度が49.0本/2.54cmの基布を製織した。
織機にはウォータージェットルームを用い、筬打ち部とフリクションローラーとの間にはバーテンプルを設置して基布を把持し、バックローラーと綜絞との間にはガイドロールを配置しない構成とした。
製織条件としては、製織時のタテ糸張力を180cN/本、織機停止時の上糸の張力を180cN/本、下糸の張力を180cN/本となるように調整し、織機回転数は500rpmとした。
[実施例14]
実施例2のナイロン66繊維をタテ糸およびヨコ糸として用い、無撚りのまま、タテ糸の生機密度が49.0本/2.54cm、ヨコ糸の生機密度が49.0本/2.54cmの基布を製織した。
織機にはウォータージェットルームを用い、筬打ち部とフリクションローラーとの間にはバーテンプルを設置して基布を把持し、バックローラーと綜絞との間にはガイドロールを配置しない構成とした。
製織条件としては、製織時のタテ糸張力を180cN/本、織機停止時の上糸の張力を180cN/本、下糸の張力を180cN/本となるように調整し、織機回転数は500rpmとした。
[実施例15]
実施例3のナイロン66繊維をタテ糸およびヨコ糸として用い、無撚りのまま、タテ糸の生機密度が54.5本/2.54cm、ヨコ糸の生機密度が55.5本/2.54cmの基布を製織した。
織機にはウォータージェットルームを用い、筬打ち部とフリクションローラーとの間にはバーテンプルを設置して基布を把持し、バックローラーと綜絞との間にはガイドロールを配置しない構成とした。
製織条件としては、製織時のタテ糸張力を170cN/本、織機停止時の上糸の張力を170cN/本、下糸の張力を170cN/本となるように調整し、織機回転数は500rpmとした。
[実施例16]
実施例1のナイロン66繊維をタテ糸およびヨコ糸として用い、無撚りのまま、タテ糸の生機密度が45.0本/2.54cm、ヨコ糸の生機密度が47.0本/2.54cmの基布を製織した。
織機にはウォータージェットルームを用い、筬打ち部とフリクションローラーとの間にはリングテンプルを設置して基布の耳部を把持し、バックローラーと綜絞との間にはガイドロールを配置しない構成とした。
製織条件としては、製織時のタテ糸張力を100cN/本、織機停止時の上糸の張力を100cN/本、下糸の張力を100cN/本となるように調整し、織機回転数は600rpmとした。
[実施例17]
実施例8のナイロン66繊維をタテ糸およびヨコ糸として用い、無撚りのまま、タテ糸の生機密度が49.0本/2.54cm、ヨコ糸の生機密度が51.0本/2.54cmの基布を製織した。
織機にはウォータージェットルームを用い、筬打ち部とフリクションローラーとの間にはリングテンプルを設置して基布の耳部を把持し、バックローラーと綜絞との間にはガイドロールを配置しない構成とした。
製織条件としては、製織時のタテ糸張力を100cN/本、織機停止時の上糸の張力を100cN/本、下糸の張力を100cN/本となるように調整し、織機回転数は600rpmとした。
[実施例18]
実施例7のナイロン66繊維をタテ糸およびヨコ糸として用い、無撚りのまま、タテ糸の生機密度が67.0本/2.54cm、ヨコ糸の生機密度が69.0本/2.54cmの基布を製織した。
織機にはウォータージェットルームを用い、筬打ち部とフリクションローラーとの間にはリングテンプルを設置して基布を把持し、バックローラーと綜絞との間にはガイドロールを配置しない構成とした。
製織条件としては、製織時のタテ糸張力を80cN/本、織機停止時の上糸の張力を80cN/本、下糸の張力を80cN/本となるように調整し、織機回転数は600rpmとした。
参考例2のナイロン66繊維をタテ糸およびヨコ糸として用い、表4に示す条件とした以外は実施例11と同様にしてエアバッグ用基布を製造した。
得られたエアバッグ用基布の特性を表4に示した。得られたエアバッグ用基布は、実施例8の基布に比べ、同等の機械特性を有しているが、軽量性、薄地性、柔軟性のいずれも劣るものであった。製織時の毛羽による停台回数は、1.2回/千mと量産に耐えうる製織状況であった。
[比較例7]
比較例3のナイロン66繊維をタテ糸およびヨコ糸として用い、表4に示す条件とした以外は実施例11と同様にしてエアバッグ用基布を製造した。
得られたエアバッグ用基布の特性を表2に示した。得られたエアバッグ用基布は、実施例8の基布に比べ、軽量性、薄地性、柔軟性は同等であったが、伸度が小さく、エアバッグ用基布としては、タフネス性がなく、エアバッグ展開時に破断してしまうおそれがあった。また、製織時の毛羽による停台回数は、19.2回/千mと生産効率を著しく悪化させたばかりか、欠点数が多く、エアバッグ用基布には適用できない規格外製品となった。
[比較例8]
比較例2のナイロン66繊維をタテ糸およびヨコ糸として用い、タテ糸の生機密度が52.5本/2.54cm、ヨコ糸の生機密度が54.5本/2.54cmとした以外は実施例14と同様にしてエアバッグ用基布を製造した。
得られたエアバッグ用基布の特性を表4に示した。得られたエアバッグ用基布は、実施例14の基布に比べ、引張強力が小さく、軽量性、薄地性、柔軟性のいずれも劣るものであった。また、製織時の毛羽による停台回数は38.5回/千mと、生産効率を著しく悪化させたばかりか、欠点数が多く、エアバッグ用基布には適用できない規格外製品となった。
[比較例9]
参考例3のナイロン66繊維をタテ糸およびヨコ糸として用い、タテ糸の生機密度が54.5本/2.54cm、ヨコ糸の生機密度が54.0本/2.54cmとした以外は実施例14と同様にしてエアバッグ用基布を製造した。
得られたエアバッグ用基布の特性を表4に示した。得られたエアバッグ用基布は、実施例14の基布に比べ、通気度以外は同等の機械特性を有しているが、軽量性、薄地性、柔軟性のいずれも劣るものであった。製織時の毛羽による停台回数は、3.5回/千mと、量産に耐えうる製織状況であった。
[比較例10]
参考例1のナイロン66繊維をタテ糸およびヨコ糸として用い、タテ糸の生機密度が54.5本/2.54cm、ヨコ糸の生機密度が54.0本/2.54cmとした以外は実施例14と同様にしてエアバッグ用基布を製造した。
得られたエアバッグ用基布の特性を表4に示した。得られたエアバッグ用基布は、実施例14の基布に比べ、同等の機械特性を有しているが、軽量性、薄地性、柔軟性のいずれも劣るものであった。製織時の毛羽による停台回数は、0.8回/千mと量産に耐えうる製織状況であった。
[比較例11]
参考例3のナイロン66繊維をタテ糸およびヨコ糸として用い、タテ糸の生機密度が49.5本/2.54cm、ヨコ糸の生機密度が51.0本/2.54cmとした以外は実施例16と同様にしてエアバッグ用基布を製造した。
得られたエアバッグ用基布の特性を表4に示した。得られたエアバッグ用基布は、実施例16の基布に比べ、同等の機械特性を有しているが、軽量性、薄地性、柔軟性のいずれも劣るものであった。製織時の毛羽による停台回数は、3.1回/千mと、量産に耐えうる製織状況であった。
[比較例12]
参考例1のナイロン66繊維をタテ糸およびヨコ糸として用い、タテ糸の生機密度が49.5本/2.54cm、ヨコ糸の生機密度が51.0本/2.54cmとした以外は実施例17と同様にしてエアバッグ用基布を製造した。
得られたエアバッグ用基布の特性を表4に示した。得られたエアバッグ用基布は、実施例17の基布に比べ、同等の機械特性を有しているが、軽量性、薄地性、柔軟性のいずれも劣るものであった。製織時の毛羽による停台回数は、0.4回/千mと量産に耐えうる製織状況であった。
[比較例13]
参考例2のナイロン66繊維をタテ糸およびヨコ糸として用い、タテ糸の生機密度が57.0本/2.54cm、ヨコ糸の生機密度が59.0本/2.54cmとした以外は実施例16と同様にしてエアバッグ用基布を製造した。
得られたエアバッグ用基布の特性を表4に示した。得られたエアバッグ用基布は、実施例16の基布に比べ、同等の機械特性を有しているが、軽量性、薄地性、柔軟性のいずれも劣るものであった。製織時の毛羽による停台回数は、0.5回/千mと量産に耐えうる製織状況であった。
Claims (3)
- ポリヘキサメチレンアジパミド成分が97重量%以上であり、総繊度が200〜500dtex、単繊維繊度が1〜4dtex、強度が9.0cN/dtexを超え、伸度が20%以上であって、繊度斑が1.2%以下であるポリアミドマルチフィラメントから構成されていることを特徴とするエアバッグ用原糸。
- ポリアミドマルチフィラメントの強度が9.15cN/dtex以上であることを特徴とする請求項1記載のエアバッグ用原糸。
- 請求項1または2に記載のエアバッグ用原糸の製造方法であって、ポリアミドを溶融紡糸により紡糸口金から押し出された繊維に200℃〜350℃に加熱した水蒸気を100〜400Pa付与した後、徐冷筒を通過させ、環状冷却装置を用いて冷却してから延伸することを特徴とするエアバッグ用原糸の製造方法。
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