以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
本発明の一実施形態であるプリンタは、長尺状の感熱紙等をロール状に巻き取ることで形成されたロール紙から用紙を引き出し、その用紙に印字を行って印字済の用紙を切断するサーマルプリンタである。
図1は、本発明の一実施形態であるプリンタ1を正面右斜め上方から見た斜視図である。以下、プリンタ1の左右方向(図3における紙面に直交する方向)を幅方向と称することがある。
図1に示すように、プリンタ1は、電源や制御基板が内蔵されたベースシャーシ2と、ベースシャーシ2に固定された左右一対の本体フレーム3と、その本体フレーム3に回動自在に取り付けられた左右一対のカバーフレーム4とを備えている。このカバーフレーム4は、本体フレーム3に設けられたカバー支軸30を回転中心として回動させることができる。図1は、カバーフレーム4が本体フレーム3を閉じた閉状態を示している。図1に示す閉状態からカバーフレーム4を上方に回動することで、プリンタ1は開放状態になる。
図2は、図1に示すプリンタ1のカバーフレーム4を上方に回動した開放状態を示す斜視図である。
図2に示すカバーフレーム4には、プラテンローラ13、対向ユニット15、スタッカユニット17、上側搬送ガイド20が取り付けられている。これらのカバーフレーム4に取り付けられる部材のうち、対向ユニット15は、いわゆるオプションユニットであり、必要に応じてプリンタ1から取り外し、また取り付けることが可能である。図2は、対向ユニット15が取り付けられたプリンタ1を示している。プラテンローラ13、対向ユニット15、スタッカユニット17、上側搬送ガイド20は、カバーフレーム4が図2に示す開放状態にあるとき、カバーフレーム4とともに上方に回動している。
図3は、プリンタ1の主要構成部材をプリンタ1の側面から見た概略図である。
図3に示す本体フレーム3には、ダンパローラ11、印字ヘッド12、読取ユニット14、可動刃ユニット16、用紙退避部18、下側搬送ガイド19、ロール紙収容部21が取り付けられている。これらの本体フレーム3に取り付けられる部材のうち、読取ユニット14は、対向ユニット15とともに組として使用されるいわゆるオプションユニットであり、必要に応じてプリンタ1から取り外し、また取り付けることが可能である。図3は、読取ユニット14および対向ユニット15が取り付けられたプリンタ1を示している。この本体フレーム3に取り付けられた各部材とカバーフレーム4に取り付けられた各部材との間が、ロール紙Pから引き出された用紙P1が搬送される用紙経路22になる。ロール紙収容部21には、2つのコロ211が設けられている。ロール紙Pは、このコロ211の上に載置されることで回転自在に本体フレーム3の内部に収容されている。なお、本実施形態ではロール紙収納部に設けられた2つのコロ211でロール紙を支持しているが、コロ211は2つ以上設けてもよく、コロではなくベルトによってロール紙を支持してもよい。また、コロ211の代わりにペアローラ(2つのローラが隣りあうように配置されたローラ)を2組設置してロール紙を支持し、該ペアローラをロール紙の径や動きに応じて揺動可能に構成すれば、ロール紙を安定的に保持することも可能である。
以下、特に記載の無い限り、カバーフレーム4が閉状態にあるプリンタ1について説明する。印字ヘッド12は、発熱素子が複数配列されたサーマルヘッドである。この印字ヘッド12は、図3における左右方向に所定量移動可能に本体フレーム3に取り付けられている。プラテンローラ13は、用紙経路22を挟んで印字ヘッド12と対向する位置に配置されている。印字ヘッド12は、図示しないヘッドバネによってプラテンローラ13方向(図3における右方向)に常時付勢されている。プラテンローラ13は、自身の軸心を中心に回転可能にカバーフレーム4に取り付けられている。また、プラテンローラ13は、図示しない搬送モータによって駆動されることで、図3における時計回りの回転(以下、正回転と称する)と反時計回りの回転(以下、逆回転と称する)とを行う。ロール紙Pから引き出された用紙P1は、印字ヘッド12とプラテンローラ13との間に挟み込まれ、プラテンローラ13が正回転することで搬送方向に搬送される。また、用紙P1は、プラテンローラ13が逆回転することで搬送方向とは逆の反搬送方向に搬送される。すなわち、プラテンローラ13は、搬送ローラの一例に相当する。印字ヘッド12とプラテンローラ13の間に挟み込まれて搬送されている用紙P1に、印字ヘッド12の発熱素子によって熱を加えることで所望の印字が施される。この印字ヘッド12とプラテンローラ13との間で用紙P1が挟み込まれる位置が、印字ヘッド12による印字を行う印字位置Tになる。
印字ヘッド12よりも搬送方向上流側には、本体フレームに固定された下側搬送ガイド19が設けられている。また、カバーフレーム4には、上側搬送ガイド20が固定されている。下側搬送ガイド19と上側搬送ガイド20の間は、用紙P1の紙厚の2〜4倍程度の隙間が設けられている。ロール紙Pから引き出された用紙P1は、下側搬送ガイド19と上側搬送ガイド20によって案内されて印字ヘッド12とプラテンローラ13の間に導かれる。
下側搬送ガイド19と上側搬送ガイド20よりも搬送方向上流側には、上下方向に所定の移動範囲にわたって移動自在なダンパローラ11が設けられている。このダンパローラ11は、ダンパバネ111により常時上方に向けて付勢されている。ロール紙Pから引き出された用紙P1とダンパローラ11とが接触することで、ダンパローラ11との接触部分で用紙P1が上方に向けて付勢される。また、用紙P1が搬送方向に搬送されているときには、搬送されることによって生じる用紙P1の張力によりダンパバネ111の付勢力に抗してダンパローラ11が下方に押し下げられている。印字ヘッド12よりも搬送方向上流側にある用紙P1に多少の弛みが生じた場合、ダンパローラ11が上方に移動することでその弛みは吸収される。すなわち、ダンパローラ11は、弛み吸収手段の一例に相当する。また、ダンパバネ111は付勢手段の一例に相当する。ダンパローラ11により弛みが吸収された用紙P1は、用紙経路22を通過しながら搬送方向に搬送される。
ダンパローラ11の下方であって、用紙P1が搬送方向に搬送される際に通過する用紙経路22から外れた位置には用紙退避部18が設置されている。この用紙退避部18は、用紙P1が反搬送方向に搬送されたときに、用紙P1が送り込まれる用紙退避空間181を内部に有している。用紙P1が反搬送方向に搬送されたときの用紙P1の挙動については後に詳述する。
本体フレーム3には、読取ユニット14と可動刃ユニット16とのうちのいずれか一方のユニットが取り付けられる本体側取付部31が設けられている。この本体側取付部31には、本体側取付部31に取り付けられる読取ユニット14と可動刃ユニット16とを位置決めするための位置決め軸32が設けられている。図3は、本体側取付部31に読取ユニット14が取り付けられたプリンタ1を示している。
読取ユニット14は、印字ヘッド12によって印字が施された用紙P1の印字済部分を光学的に読み取る光学センサ140を備えている。また、読取ユニット14には、読取ユニット14を本体側取付部31に取り付ける際に取付位置の基準になる位置決め孔141が設けられている。この位置決め孔141は位置決め軸32にはめ込まれていることで、読取ユニット14は本体側取付部31に位置決めされている。また、読取ユニット14には、読取ユニット14を本体側取付部31に取り付けるための長ネジ81が貫通する貫通孔142が設けられている。読取ユニット14は、本体側取付部31に取り付けられることで、印字ヘッド12が設けられた位置の搬送方向下流側に配置されている。
読取ユニット14の上面は、可動刃ユニット16を積み重ねて取り付けるための可動刃ユニット取付部14aとなっている。この可動刃ユニット取付部14aには、可動刃ユニット16を位置決めするための図示しない位置決め軸が設けられている。可動刃ユニット16には図示しない位置決め孔が設けられている。その位置決め孔を読取ユニット14の位置決め軸にはめ込むことで、可動刃ユニット16は、読取ユニット14に積み重ねられた状態で可動刃ユニット取付部14aに位置決めされている。可動刃ユニット16は、本体側取付部31との間で読取ユニット14を挟んだ状態で、長ネジ81によって着脱自在に本体側取付部31に取り付けられている。長ネジ81を外すことで、読取ユニット14と可動刃ユニット16とを本体側取付部31から取り外すことができる。読取ユニット14に積み重ねられた状態で本体側取付部31に取り付けられることで、読取ユニット14の搬送方向下流側に可動刃ユニット16が配置されている。この可動刃ユニット16が可動刃ユニット取付部14aに位置決めされて読取ユニット14とともに本体側取付部31に取り付けられた位置が、第2の位置の一例に相当する。
また、可動刃ユニット16には可動刃161が設けられている。可動刃ユニット16が可動刃ユニット取付部14aに位置決めされて本体側取付部31に取り付けられていることで、可動刃161は本体フレーム3の所定位置に配置されている。
カバーフレーム4には、対向ユニット15とスタッカユニット17とのうちのいずれか一方のユニットが着脱自在に取り付けられるカバー側取付部41が設けられている。図3では、カバー側取付部41に対向ユニット15が取り付けられたプリンタ1を示している。このカバー側取付部41には、カバー側取付部41に取り付けられる対向ユニット15とスタッカユニット17とを位置決めするための突部42が設けられている。
上述したように、対向ユニット15は、読取ユニット14とともに組として使用されるオプションユニットである。印字ヘッド12が設けられた位置よりも搬送方向下流側であって、用紙経路22を挟んで読取ユニット14に対向する位置に対向ユニット15が配置されている。対向ユニット15には、対向ユニット15をカバー側取付部41に取り付ける際に取付位置の基準になる図示しない位置決め孔が設けられている。この位置決め孔を突部42にはめ込むことで、対向ユニット15がカバー側取付部41に位置決めされている。対向ユニット15は、ネジ83により着脱自在にカバー側取付部41に取り付けられている。このネジ83を外すことで、対向ユニット15をカバー側取付部41から取り外すことができる。
対向ユニット15は、図示しないコンタクトバネによって読取ユニット14側に付勢されたコンタクトローラ153を備えている。このコンタクトローラ153の幅方向両端部分の径は、幅方向中央部分の径よりも用紙P1の紙厚の2倍程度大きな径に形成されている。コンタクトバネによって付勢されることで、コンタクトローラ153の大径に形成されている幅方向両端部分が光学センサ140の幅方向両端部分と接触する。コンタクトローラ153の幅方向中央部分と光学センサ140の幅方向中央部分との間には用紙P1が通過する隙間が設けられている。なお、本実施形態では、コンタクトローラ153を用いたが、コンタクトローラ153の代わりに板状のコンタクトプレートを用いてもよい。
対向ユニット15の上面は、スタッカユニット17を積み重ねて取り付けるためのスタッカユニット取付部15aとなっている。このスタッカユニット取付部15aには、スタッカユニット17を位置決めするためのスタッカ用突部143が設けられている。スタッカユニット17には図示しない第1の位置決め孔が設けられている。また、スタッカユニット17には、スタッカユニット17をカバー側取付部41に位置決めするための図示しない第2の位置決め孔も設けられている。第1の位置決め孔が対向ユニット15のスタッカ用突部143にはめ込まれることで、スタッカユニット17は、対向ユニット15に積み重ねられた状態でスタッカユニット取付部15aに位置決めされている。また、スタッカユニット17は、ネジ84によって、スタッカユニット取付部15aに着脱自在に取り付けられている。このネジ84を外すことで、スタッカユニット17をスタッカユニット取付部15aから取り外すことができる。スタッカユニット17は、対向ユニット15に積み重ねられた状態でスタッカユニット取付部15aに取り付けられる。その結果、スタッカユニット17は対向ユニット15の搬送方向下流側に配置される。カバー側取付部41に取り付けられた対向ユニット15のスタッカユニット取付部15aに、このスタッカユニット17が取り付けられた位置が、第4の位置の一例に相当する。なお、対向ユニット15のスタッカ用突部143を、第2の位置決め孔に対応する位置に設けてもよい。このようにすれば、スタッカユニット17をスタッカユニット取付部15aに取り付けるときに第2の位置決め孔で位置決めでき、第1の位置決め孔は不要になる。
スタッカフレーム78の底板78aの上面には固定刃71が固定されている。スタッカユニット17がスタッカユニット取付部15aに位置決めされて対向ユニット15に取り付けられることで、所定位置に配置された可動刃161と用紙P1を挟んで対向する位置に固定刃71が配置される。この固定刃71の刃先と可動刃161の刃先の間が、印字ヘッド12によって印字が施された用紙P1の印字済部分を排出する排出口5になる。
スタッカユニット17は、上述した固定刃71と、押込部材の一例に相当する羽根車72と、角度保持機構73と、スタッカ側駆動力伝達機構74と、ガイド部材75と、押さえ部材76と、貯留部77と、スタッカフレーム78とを備えている。
羽根車72は、排出口5から排出された用紙P1の印字済部分の排出方向(ここでは上方向)に沿った軸心を回転中心としてスタッカフレーム78に回転自在に取り付けられている。この羽根車72は、軸部材720と、軸部材720から放射状に突出した4枚の羽根721と、軸部材720の上端部分に設けられた上側ラチェット歯車722と、軸部材720の下端部分に設けられた下側ラチェット歯車723とが一体成型された樹脂製の部材である。羽根車72は、排出口5の幅方向両端それぞれの近傍に1つずつ計2つ設けられている。固定刃71と可動刃161によって用紙P1の未排出部分から切り離された紙片P2は、羽根車72の回転によって紙片P2の厚み方向(図3における右側)に押し込まれる。
羽根車72が紙片P2を押し込む方向(以下、押込方向と称する)に、羽根車72から間隔をあけてガイド部材75が設けられている。羽根車72が紙片P2を押し込み終わる位置とガイド部材75との間隔が、紙片P2を重ねた状態で貯留する貯留部77になる。ガイド部材75は、貯留部77に重ねた状態で貯留されている貯留紙片P3のうち、押込方向最下流に位置する1枚目が立て掛けられる部材である。ガイド部材75は、スタッカフレーム78の底板78aから所定距離上方に離れた位置に配置されている。また、ガイド部材75は、幅方向に軸心を有するガイド部材支軸751を回転中心として回転可能にスタッカフレーム78に取り付けられている。ガイド部材75とスタッカフレーム78の間にはガイドバネ752が取り付けられている。ガイドバネ752によって、ガイド部材75は図3における反時計回りに常時付勢されている。多数枚の貯留紙片P3が貯留部77に貯留されると、その貯留紙片P3の重量によって、ガイド部材75は、ガイドバネ752に抗して図4における時計回りに回転する。この回転により、ガイド部材75の上側部分は押込方向に退避する。
図4は、貯留部77に多数枚の貯留紙片P3が貯留されたときのスタッカユニット17を示す側面図である。
押さえ部材76は、幅方向に軸心を有する押さえ部材支軸761を中心として回転自在にスタッカフレーム78に取り付けられている。この押さえ部材76の下面76aは、羽根車72よりも上方に排出された印字済部分を図4における右上方向に案内する案内面になる。この押さえ部材76は、自重で図4における時計回りに回転し、押込方向の最上流に位置する貯留紙片P3(以下、n枚目貯留紙片P3’と称する。なお、nは正の整数で、貯留紙片P3の枚数である。)と接触している。貯留部77に重ねられた貯留紙片P3は、押さえ部材76の自重によってガイド部材75側に押さえ付けられている。押さえ部材76がn枚目貯留紙片P3’と接する角度θは、押さえ部材76がn枚目貯留紙片P3’と接する位置で定まる。上述したように貯留紙片P3の枚数が増加するとガイド部材75の上側部分が押込方向に退避する。このため、押さえ部材76がn枚目貯留紙片P3’と接する角度θは、貯留紙片P3が増加しても所定の角度範囲で維持される。
羽根車72よりも上方に排出された印字済部分は、押さえ部材76の下面76aに案内されて押さえ部材76とn枚目貯留紙片P3’の間に入り込んでいく。押さえ部材76がn枚目貯留紙片P3’と接する角度θが大きくなりすぎると、排出されてきた印字済部分の先端が、n枚目貯留紙片P3’の表面と押さえ部材76との間に入り込めずに貯留部77で丸まってしまう虞がある。また、押さえ部材76がn枚目貯留紙片P3’と接する角度θが大きいとき、押さえ部材76は、図4における時計回りに大きく回動している。この大きく回動した状態では、押さえ部材76が貯留紙片P3を押さえる力が強くなる。このため、押さえ部材76とn枚目貯留紙片P3’の間に入り込んで排出されている印字済部分と、n枚目貯留紙片P3’との間に生じる摩擦力も強くなってしまう。この摩擦力によって、排出されてきた印字済部分の移動にn枚目貯留紙片P3’が追従し、n枚目貯留紙片P3’が持ち上がってしまう虞もある。
逆に押さえ部材がn枚目貯留紙片P3’に接する角度θが小さくなりすぎると、押さえ部材76の貯留紙片P3を押さえる力が小さくなり、貯留紙片P3は押込方向とは反対方向に膨らんだり倒れ込んでしまう虞がある。本実施形態では、押さえ部材76がn枚目貯留紙片P3’と接する角度θを所定の角度範囲に維持しているので、n枚目貯留紙片P3’の表面と押さえ部材76との間に排出されてくる印字済部分の先端をうまく導くことができる。また、押さえ部材76による貯留紙片P3を押さえる力が大きく変化してしまうことを抑制できる。なお、本実施形態では、ガイド部材75が回転する構成を挙げたが、ガイド部材75が押込方向に平行移動する構成としてもよい。
ガイド部材75とスタッカフレーム78の底板78aとの間には、押込方向に窪んだ窪み部781が形成されている。貯留紙片P3には、ロール紙Pの巻き方向に巻き癖が発生している場合がある。特にロール紙Pが強い力で巻かれていると、その巻癖は顕著に現れる。窪み部781は、貯留紙片P3の切断端部分(下端部分)を収納する空間である。貯留紙片P3が巻き癖によって押込部材側に大きく張り出してしまうと、その貯留紙片P3と羽根車72とが接触し、羽根車72の押し込み動作が阻害されてしまう。窪み部781を形成することで、巻き癖に沿った形状で貯留紙片P3の切断端部分を押込方向に突出させて収納できる。このため、貯留紙片P3が巻き癖によって押込部材側に大きく張り出してしまうことを抑制できる。また、排出口5から所定長排出された印字済部分は、n枚目貯留紙片P3’と接触しながら上方に排出されていく。この印字済部分が排出されていくとき、排出される印字済部分とn枚目貯留紙片P3’との間の摩擦力によりn枚目貯留紙片P3’に上方へ移動する力が働く。本実施形態では、ロール紙Pの巻癖によって、貯留紙片P3の窪み部781に収納された部分が側面視で鉤形になりやすい。貯留されているn枚目貯留紙片P3’の鉤形の部分が、押し込み方向下流側に貯留されている貯留紙片P3の鉤形の部分に引っかかることで、n枚目貯留紙片P3’が上方に移動してしまうことが抑制される。なお、スタッカフレーム78の底板78aの上面と、固定刃71の下面の間には、固定刃ガイド711が取り付けられている。この固定刃ガイド711は、搬送されてくる用紙P1を固定刃71と可動刃161の間に案内するものである。
図5は、羽根車72と角度保持機構73とを示す平面図である。なお、この図5には、スタッカフレーム78とガイド部材75も示されている。
図5に示すように、羽根車72の4枚の羽根721は、軸部材720から放射状に90度の間隔で突出している。その羽根721の上下方向の長さは、プリンタ1に設定されている貯留紙片P3の最小長さに対して半分以上の長さ(ここでは50mm)に形成されている。羽根車72は、排出口5の両端それぞれの近傍であって、排出口5よりも貯留部77側に設けられている(図3参照)。
角度保持機構73は、羽根車72を所定の力で一定の回転角度に保持する機構である。図5に示すように、角度保持機構73は、2つの羽根車72それぞれに対して左右対称に1つずつ設けられている。以下の説明では、図5における右側の角度保持機構73について説明し、左側の角度保持機構73については説明を省略する。スタッカフレーム78には、上下方向(図5においては紙面と直交する方向)に軸線を有する上側アーム支軸782が設けられている。角度保持機構73は、その上側アーム支軸782を回転中心として回転可能な上側アーム731と、その上側アーム731を図5における時計回りに回転させる方向に付勢する上側ラチェットバネ732と、検出スイッチ733とを備えている。
上側ラチェット歯車722は、4枚の羽根721に対してほぼ45度ずれた角度に配置された4つの上側歯部722aと、羽根721とほぼ同一角度に配置された4つの上側歯底部722bとを有する。また、上側アーム731は、上側ラチェット歯車722の上側歯底部722bに入り込む歯止め部731aが設けられている。上側ラチェット歯車722の上側歯底部722bに上側アーム731の歯止め部731aが入り込むことで、羽根車72の羽根721のうちの一枚が、幅方向内側(図6における左側)に最も突出した保持角度で保持される。この保持角度において、幅方向内側に最も突出した羽根721の突出端は、紙片P2の幅方向端縁よりも内側に位置している(図12(a)参照)。検出スイッチ733は、上側アーム731が保持角度にあることを検出するスイッチである。また、スタッカフレーム78には、排出されてきた印字済部分を案内する2つのリブ78bが設けられている。印字済部分は、幅方向内側に最も突出した羽根721とリブ78bによって案内されながら排出されていく。
図6は、可動刃ユニット16の内部に設けられた機構部品とスタッカ側駆動力伝達機構74とを示す平面図である。なお、この図6には、スタッカフレーム78とガイド部材75と固定刃71も示されている。
図6に示すように、可動刃ユニット16の内部には、可動刃161と、その可動刃161を往復移動させる駆動手段162と、後述する駆動力伝達機構70(図8参照)の一部を成すコの字型アーム163と、リンク支軸164とが設けられている。駆動手段162は、モータ165と、モータ165の出力軸に固定されたウォーム歯車166と、ウォーム歯車166に噛合したウォームホイール167と、リンク支軸164を回転中心としてウォームホイール167の回転によって揺動運動する揺動リンク168と、原点センサ169とを備えている。モータ165が回転すると、可動刃161は、固定刃71に向かう往動方向と固定刃71から離間する復動方向へ往復運動を行う。図6は、可動刃161が最も復動方向に退避した待機位置にある状態を示している。この待機位置にある可動刃161が往動方向に移動することで、用紙P1はその幅方向に沿って切断され、印字済部分が紙片P2として切り離される。原点センサ169は、可動刃161が待機位置にあることを検出するセンサである。コの字型アーム163は、2本の連結軸160によって可動刃161と連結されており、可動刃161とともに往復運動を行う。このコの字型アーム163の2つの先端部分(図6における上端部分)には、後述するジョイント741の連結孔741bに挿入される連結ピン163aが設けられている。なお、ユーザの安全面を考慮すると、用紙P1の切断中はカバーフレーム4が解放されない状態とするのが好ましい。用紙切断中のプリンタカバー4の解放を防止するために、コの字型アーム163にカバーフレーム4の解放を抑制するための凸部材を設置し、カバーフレーム4に凸部材と係合する凹部を設ける。コの字型アーム163が往動方向もしくは復動方向に移動している(つまり可動刃161が待機位置にない)時に凸部材は凹部に係合し、可動刃が待機位置にある時には凸部材と凹部の係合を解除する構成を採用することで、用紙P1の切断中はカバーフレーム4が解放されない構成を実現することができる。
スタッカ側駆動力伝達機構74は、コの字型アーム163を復動方向に移動させる駆動力を羽根車72に伝達して羽根車72を回転させる機構である。このスタッカ側駆動力伝達機構74は、2つの羽根車72それぞれに対して左右対称に1つずつ設けられている。以下の説明では、図6における右側のスタッカ側駆動力伝達機構74について説明し、左側のスタッカ側駆動力伝達機構74については説明を省略する。スタッカ側駆動力伝達機構74は、ジョイント741と、下側アーム742と、下側アーム支軸743と、ジョイントバネ744(図7参照)と、アームバネ745とを有する。また、スタッカ側駆動力伝達機構74は、連結フレーム740も備えている。この連結フレーム740は、図6における上下方向に移動可能にスタッカフレーム78に取り付けられており、図示しないバネによって常時図6における下方に付勢されている。この連結フレーム740には、スタッカ側駆動力伝達機構74を構成する各部材(741〜745)が取り付けられている。
下側アーム支軸743は、上下方向(図6においては紙面と直交する方向)に軸線を有し、連結フレーム740に固定されている。下側アーム742は、下側アーム支軸743を回転中心として回転可能に連結フレーム740に取り付けられている。下側アーム742には、下側ラチェット歯車723と噛み合う爪部742aが形成されている。下側ラチェット歯車723と爪部742aの噛み合いについては後で詳述する。また、下側アーム742は、アームバネ745によって爪部742aが幅方向内側に入り込む方向(時計回り)に回転するように常時付勢されている。ただし、下側アーム742は、連結フレーム740の規制部740aと接触することで所定角度以上には回転できないように規制されている。図6は、下側アーム742が規制部740aと接触して回転が規制された状態を示している。
図7は、図6における右側からスタッカ側駆動力伝達機構74を見た側面図であり、(a)はカバーフレーム4が閉状態にあるときの図である。
図7(a)に示すように、ジョイント741は、ジョイント支軸741aを中心として回転可能に連結フレーム740に取り付けられている。また、ジョイント741は、ジョイントバネ744によって図7(a)における反時計回りに常時付勢されている。ジョイント741には、連結孔741bが設けられている。カバーフレーム4が閉じた閉状態では、この連結孔741bにコの字型アーム163の連結ピン163aが挿入され、スタッカ側駆動力伝達機構74とコの字型アーム163とが連結状態となっている。
図7(b)はカバーフレーム4が開放状態から閉状態になる直前の状態を示す図である。
図7(b)に示すように、カバーが開状態にあるときは、ジョイント741はコの字型アーム163から離れ、スタッカ側駆動力伝達機構74とコの字型アーム163とは非連結状態になる。
図7(c)はジョイント741がコの字型アーム163の連結ピン163aから外れた状態を示す図である。
何らかの原因でスタッカ側駆動力伝達機構74の移動負荷が増大した状態でコの字型アーム163を移動させると、ジョイントバネ744の付勢に抗し、図7(c)における時計回りにジョイント741が回転する。この回転によりスタッカ側駆動力伝達機構74とコの字型アーム163とが図7(c)に示す非連結状態になる。すなわち、本実施形態におけるジョイント741は、伝達解除部の一例に相当する。ジョイント741が図7(c)における時計回りに回転することで、駆動手段162、スタッカ側駆動力伝達機構74、或いはコの字型アーム163が破損してしまうことを防止できる。なお、スタッカ側駆動力伝達機構74の移動負荷が増大する原因として、たとえば貯留紙片P3の貯留枚数が貯留部77の許容値を超え、貯留紙片P3と羽根車72とが接触して羽根車72の回転負荷が増加したことが考えられる。
ジョイント741には、誘導傾斜面741cが設けられている。この誘導傾斜面741cは、非連結状態となったコの字型アーム163を往動方向に移動させることで、ジョイント741を図7(c)における時計回りに回転させるための面である。
図7(d)はジョイント741の誘導傾斜面741cが連結ピン163aと接触している状態を示す図である。
非連結状態となったコの字型アーム163が復動方向に移動することで、図7(d)に示すようにコの字型アーム163とジョイント741の誘導傾斜面741cとが接触した状態になることがある。この状態からコの字型アーム163が往動方向に移動することで、図7(d)における時計回りにジョイント741が回転し、連結孔741bに連結ピン163aが挿入されて連結状態に復帰できる。
図8は、可動刃161を往復移動させる駆動手段162を駆動したときの駆動力伝達機構70と羽根車72の動きを示す平面図であり、(a)は可動刃161が往動方向に移動しているときの状態を示す図、(b)は可動刃161が最も往動方向に移動したときの状態を示す図、(c)は可動刃161が復動方向に移動しているときの状態を示す図である。図8(a)と図8(c)に記載した白抜きの矢印は、駆動力伝達機構70の移動方向を示している。なお、図8では、図6に示した2つの羽根車72のうち右側の羽根車72と、その羽根車72を回転させる駆動力伝達機構70を示している。また、この図8では、本来平面視では見えない下側ラチェット歯車723を記載しており、部品同士の重なりによって本来見えなくなる部分も説明のために記載している。
駆動力伝達機構70は、コの字型アーム163とスタッカ側駆動力伝達機構74とから構成される。この駆動力伝達機構70は、図6に示す駆動手段162が可動刃161を復動方向に移動させる駆動力を羽根車72に伝達して羽根車72を回転駆動させる機構である。図8に示すように、羽根車72の軸部材720の下端部分には、下側ラチェット歯車723が設けられている。下側ラチェット歯車723は、4枚の羽根721に対してほぼ45度ずれた角度に配置された4つの下側歯部723aと、羽根721とほぼ同一角度に配置された4つの下側歯底部723bとを有する。なお、下側ラチェット歯車723は、上側ラチェット歯車722と同一形状をしている。駆動手段162によって可動刃161が往復移動すると、駆動力伝達機構70も可動刃161とともに往復移動する。スタッカ側駆動力伝達機構74が往動方向に移動すると、下側アーム742が下側ラチェット歯車723と接触し、羽根車72を回転させようとする。しかし、羽根車72は、上述した角度保持機構73によって、所定の力で保持されている。このため、図8(a)に示すように、アームバネ745に抗して図8(a)における反時計回りに下側アーム742が回転し、駆動手段162による駆動力が羽根車72まで伝達されることを回避する。すなわち、本実施形態における下側アーム742は、伝達回避手段の一例に相当する。可動刃161を往動方向に移動させているときに、羽根車72に駆動力が伝達されないので、駆動手段162に加わる負荷を低減できる。また、排出されてきた印字済部分を可動刃161で切り離す負荷と羽根車72を回転させる負荷とが同時に駆動手段162にかかることがないので駆動手段162に加わる最大負荷も低減できる。
図8(b)に示す最も往動方向に移動した位置まで可動刃161と駆動力伝達機構70が移動した後は、可動刃161と駆動力伝達機構70は復動方向へ移動を開始する。復動方向の移動によって、図8(c)に示すように、下側アーム742の爪部742aが下側ラチェット歯車723の下側歯部723aと噛み合い、羽根車72は図8(c)における時計回りに回転する。さらに、コの字型アーム163が復動方向に移動して羽根車72がほぼ90度回転すると、下側アーム742の爪部742aと下側ラチェット歯車723の下側歯部723aとの噛み合いが解除される。そして、図5に示す上側アーム731の歯止め部731aが上側ラチェット歯車722の上側歯底部722bに入り込むことで、羽根車72は、90度回転した状態で保持される。羽根721は、90度毎に配置されているので、この状態でも羽根721のうちの一枚が幅方向内側に最も突出している。なお、下側アーム742は、図8(c)において時計回りに回転する反力を羽根車72から受けるが、連結フレーム740の規制部740aと接触しているので、図8(c)に示した角度以上に時計回りに回転することはない。
図9は、図3に示すプリンタの機能ブロック図である。この図9にはプリンタ1との間でデータなどを送受信するホストコンピュータ60も示されている。
プリンタ1は、プリンタ制御部51と、印字部52と、プリンタ記憶部53と、読取部54と、プリンタインタフェース(I/F)55とを備えている。プリンタ制御部51は、CPU(Central Processing Unit)によって構成され、プリンタ1全体の制御を行う部分である。印字部52は、用紙P1への印字と用紙P1の搬送を行う部分であり、具体的な機械構成としては、印字ヘッド12とプラテンローラ13が相当する。プリンタ記憶部53は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)によって構成された部分である。このプリンタ記憶部53には、印字を施すために必要な各種プログラムが記憶されている。また、このプリンタ記憶部53には、無効表示用のイメージデータも記憶されている。読取部54は、印字部52によって用紙P1に施された印字の内容を読み取る部分である。読取部54の具体的な機械構成としては、読取ユニット14が相当する。プリンタインタフェース55は、ホストコンピュータ60との間で各種のデータを送受信する部分である。ホストコンピュータ60から送信される印字する内容を表した印字データはプリンタインタフェース55を介してプリンタ1に受信される。また、読取部54によって読み取られた印字の内容を表す読取データは、プリンタインタフェース55を介してホストコンピュータ60に送信される。なお、図示しないが、プリンタ1には、排出口5から排出された印字済部分を用紙P1の未排出部分から切り離す切断部も含まれている。
ホストコンピュータ60は、ホスト制御部61と、ホスト記憶部62と、ホスト判定部63と、操作部64と、ホストインターフェース65とを備えている。ホスト制御部61は、ホスト記憶部62に記憶されているオペレーティングシステムやアプリケーションプログラムに従って動作し、各種情報処理を実行する部分である。ホスト記憶部62は、ROM、RAMやハードディスク装置によって構成された部分である。ホスト記憶部62には、ホスト制御部61によって実行されるプログラムが記憶されている。また、ホスト記憶部62は、印字する内容を表した印字データが記憶される部分でもある。ホスト判定部63は、ホスト記憶部62に記憶された印字データが表す内容と、プリンタ1から受信した読取データが表す内容とが一致するか否かを判定する部分である。操作部64は、ホストコンピュータ60の操作者がホストコンピュータ60に入力を行う部分である。ホストインターフェース65は、プリンタ1との間で各種のデータを送受信する部分である。
図10は、図3に示すプリンタの動作を表すフローチャートである。この図10には、ホストコンピュータ60の動作も示されている。図10の右側がプリンタ1の動作を示し、図10の左側がホストコンピュータ60の動作を示している。
ホストコンピュータ60を操作する操作者が印字を指示する操作を行うと、ホストコンピュータ60は、印字する内容を表した印字データと印字指令とをプリンタ1に送信する(ステップS1)。また、ホストコンピュータ60は、印字する内容を表した印字データをホスト記憶部62に記憶する。なお、ホストコンピュータ60が送信する印字データは、イメージデータであってもよくコマンドデータであってもよく、ホスト記憶部62に記憶する印字データとはデータ形式が異なるものであってもよい。また、ホストコンピュータ60は、読取ユニット14により読み取りを行う部位を指定する読取部位指令もプリンタ1に送信する。この読み取りを行う部位は、ホストコンピュータ60の操作者が任意に指定できる。たとえば、読み取りを行う部位は、印字する内容の中から指定した部位でもよく、用紙P1の領域で指定した部位でもよい。印字指令を受信したプリンタ1は、プラテンローラ13を逆回転させて用紙P1の先端部分が印字ヘッド12とプラテンローラ13の間の印字位置Tに到達するまで反搬送方向に用紙P1を搬送する。これは、用紙P1の先端部分の余白を少なくするためである。その後、プリンタ1は、プラテンローラ13を正回転させて用紙P1を搬送方向へ搬送する。また、プリンタ1は、ホストコンピュータ60から受信した印字データに基づいて、印字ヘッド12による印字を開始する(ステップS2)。読み取りが指定された部位の搬送方向下流側端部が光学センサ140とコンタクトローラ153の間に到達したら、読取ユニット14は、用紙P1に施された印字の内容を読み取り始める(ステップS3)。
そして、印字ヘッド12による印字と読取ユニット14による読み取りを行いながら用紙P1を搬送方向へ搬送し、用紙P1を排出口5から排出していく。排出口5から排出された印字済部分は、プラテンローラ13の正回転にともなって、幅方向内側に最も突出した位置にある羽根721とリブ78bとによって排出方向に案内されながら上方の押さえ部材76に向かって搬送されていく。用紙P1の羽根車72の上方まで到達した部分は、押さえ部材76の下面76aに案内されてガイド部材75方向に向かって搬送されていく。また、用紙P1のガイド部材75まで到達した部分は、ガイド部材75に沿って搬送されていく。
読み取りが指定された部位の読み取りが完了したら、プリンタ1は、読取ユニット14が読み取った印字の内容を表す読取データをホストコンピュータ60に送信する(ステップS4)。読取データを受信したホストコンピュータ60のホスト判定部63は、ホスト記憶部62に記憶された印字データが表す内容と読取データが表す内容とが一致するか否かを判定する(ステップS5)。
一致していないと判定した場合(ステップS5でNO)、ホストコンピュータ60は、無効印字指令をプリンタ1に送信する(ステップS6)。また、ホストコンピュータ60は、無効表示の印字(以下、無効印字と称する)を施す部位を指定する無効印字部位指令もプリンタ1に送信する。この無効印字を施す部位は、ホストコンピュータ60の操作者が任意に指定できる。たとえば、無効印字を施す部位は、印字する内容の中から指定した部位でもよく、用紙P1の領域で指定した部位でもよい。無効印字指令を受信したプリンタ1は、印字と搬送を一旦停止する。続いてプリンタ1は、無効印字を施す部位の搬送方向下流側端部が印字位置Tに到達するまで用紙P1を反搬送方向に搬送する(ステップS7)。
図11は、用紙P1を反搬送方向に搬送したときの用紙P1の挙動を示す概略図である。
上述したように、用紙P1が搬送方向に搬送されているときには、ダンパローラ11は、搬送されることによって生じる用紙P1の張力によりダンパバネ111の付勢力に抗して下方に押し下げられている。用紙P1が反搬送方向に搬送されると、ダンパローラ11は、印字ヘッド12よりも搬送方向上流側にある用紙P1の弛みを吸収しながら上方に移動する。ダンパローラ11が移動範囲の最も上方に移動した後も用紙P1が反搬送方向に搬送されつづけると、用紙P1の一部分には弛みが形成されていく。そして、その弛みは、最も上方に移動したダンパローラ11によって、ダンパローラ11の下方に設置された用紙退避空間181の方向に案内され、ループを形成しながら用紙退避空間181に収納されていく。図11は、ダンパローラ11が移動範囲の最も上方に移動し、ループ化した用紙P1の一部分が用紙退避空間181に収納された様子を示している。
図10に示すステップS7における用紙P1の反搬送方向への搬送が完了したら、プリンタ1は、プリンタ記憶部53から無効表示用のイメージデータを読み出し、用紙P1を搬送方向に搬送しながら無効印字部位指令で指定された部位に無効印字を施す(ステップS8)。そして、無効印字が完了したらステップS9に進む。なお、無効印字指令とともにホストコンピュータ60から無効表示用のイメージデータを受信し、そのイメージデータを指定された部位に印字してもよい。
ステップS5で一致していると判定した場合(ステップS5でYES)、ホストコンピュータ60は、そのまま待機する。プリンタ1は、印字と搬送を継続して印字が完了したらステップS9に進む。
ステップS9では、プラテンローラ13による用紙P1の搬送を継続し、用紙P1の印字済部分全てが排出口5から排出されたらプラテンローラ13を停止する。プラテンローラ13が停止した後、駆動手段162のモータ165を駆動し、可動刃161とともに駆動力伝達機構70を往動方向に移動させて排出口5から排出された印字済部分を未排出部分から切り離す(ステップS10)。さらにモータ165の駆動を継続することで往動方向に移動した可動刃161と駆動力伝達機構70は復動方向に移動する。駆動力伝達機構70の復動方向の移動により、下側アーム742の爪部742aが下側ラチェット歯車723の下側歯部723aと噛み合って羽根車72が回転する。この羽根車72の回転により、紙片P2を厚み方向に押し込んで貯留部77に貯留させる(ステップS11)。
図12は、羽根車72が回転することで紙片P2が厚み方向に押し込まれる様子を示す平面図であり、(a)は羽根車72が回転を開始する直前の状態を示す図、(b)は羽根車72が回転している途中の状態を示す図、(c)は羽根車72が回転を完了した状態を示す図である。なお、図12に記載する紙片P2は、羽根721によって押し込まれる部分を示している。また、図12の各図に記載した白抜きの矢印は、羽根車72の回転方向を示している。
図12(a)に示すように、回転を開始する前の羽根車72は、羽根721のうちの一枚が幅方向内側に最も突出した角度で保持されている。以下、この回転を開始する前に幅方向内側に最も突出した羽根721を回転前突出羽根721’と称する。また、回転前突出羽根721’の突出端は、紙片P2の幅方向端縁よりも内側に位置している。紙片P2は、回転前突出羽根721’よりも押込方向の上流側に位置している。図12(b)に示すように、羽根車72が回転すると、回転前突出羽根721’は、幅方向外側に移動していく。また、回転前突出羽根721’の反回転方向の90度の位置に存在する羽根721(以下、回転後突出羽根721’’と称する)が押込方向の上流側から紙片P2に向かって回転していく。そして、紙片P2は、回転後突出羽根721’’によって押込方向に押し込まれて貯留部77に移動していき、貯留部77に貯留されて貯留紙片P3となる。図12(c)に示すように、羽根車72が90度回転すると、回転前突出羽根721’は貯留紙片P3の用紙幅方向の外側に位置し、回転後突出羽根721’’は幅方向内側に最も突出した角度で保持される。
プリンタ1は、可動刃161が待機位置まで移動したことを原点センサ169により検出したらモータ165を停止する。そして、検出スイッチ733により、2つの上側アーム731それぞれが保持角度にあるか否かを検出する。保持角度にあれば処理を終了する。保持角度になければ、駆動手段162のモータ165を駆動し、可動刃161とともに駆動力伝達機構70を往復移動させて可動刃161を再度待機位置まで移動させる。そして、検出スイッチ733により、2つの上側アーム731それぞれが保持角度にあるか否かを再度検出する。保持角度にあれば処理を終了する。保持角度になければ、エラーを報知する。なお、保持角度にない場合は、スタッカ側駆動力伝達機構74とコの字型アーム163とが非連結状態になっている可能性が高い。保持角度にない場合に駆動力伝達機構70を一回往復移動させているのは、スタッカ側駆動力伝達機構74とコの字型アーム163を非連結状態から連結状態に復帰させることで、2つの上側アーム731を保持角度に回転させようとするためである。
図13は、用紙P1に施された印字内容の一例を示す概略図であり、(a)は、無効印字が施されていない印字内容の一例を示す概略図であり、(b)は、無効印字が施された印字内容の一例を示す概略図である。
図13(a)に示すように、ホスト記憶部62に記憶された印字データが表す内容と読取データが表す内容とが一致した場合は、無効印字が施されない。この一例では、文字、記号とバーコードが印字されている。図13(a)に対し、図13(b)では、バーコードに無効表示としての「VOID」の印字が施されている。この図13(b)は、用紙P1のうち読取ユニット14により読み取りを行う部位として、印字ヘッド12によって施された印字の内容全てが指定され、無効印字を施す部位としてバーコードが指定された場合の印字内容の一例である。印字の内容全てを読み取ってから判定を行っているため、図13(a)の印字内容全てを印字した上で無効印字が施される。
図13(c)は、無効印字が施された印字内容の他の例を示す概略図である。
図13(c)では、図13(b)の印字内容に対し、下側部分の印字が施されていない点が異なる。図13(c)は、用紙P1のうち読み取りを行う部位としてバーコードが指定され、無効印字を施す部位としてもバーコードが指定された場合の印字内容の一例である。本実施形態では、読み取りを行う部位と無効印字を施す部位とを、ホストコンピュータ60の操作者が任意に設定できるようにしている。また、プリンタ1では、指定された部位の読み取り完了後、すぐに読取データをホストコンピュータ60に送信(図10のステップS4参照)する。そして、ホストコンピュータ60ではホスト判定部63によって判定を行い、その結果を基にホストコンピュータ60から無効印字指令をプリンタ1に送信(図10のステップS6参照)している。そして、無効印字指令を受信したプリンタ1は、印字と搬送を即座に停止するので、図13(c)に示した印字内容のように、バーコード以降の不要な印字が施されることを防止している。このようにすることで、無効印字を施す際の反搬送方向への搬送距離、および反搬送方向への搬送の後に行われる搬送方向への搬送の距離が短くなり、反搬送方向への搬送および搬送方向への搬送の時間が短縮される。また、用紙P1に不要な印字が施されないため、用紙P1の無駄な消費が削減される。
なお、本実施形態では、指定された部位の読み取りが完了してから読取データをホストコンピュータ60に送信しているが、読み取り途中の所定の段階毎に読取データをホストコンピュータ60に送信してもよい。また、ホストコンピュータ60は、プリンタ1から送信された所定の段階毎の読取データを受信し、受信の都度ホスト判定部63による判定を行ってもよい。そして、受信の都度行う判定において一致していないと判定した場合、すぐにステップS6以降の処理を行っても良い。
本実施形態のプリンタからは、ホストコンピュータとの間でデータを送受信するインターフェースと、ロール紙から引き出された用紙を所定の搬送方向に搬送する搬送手段と、前記搬送手段によって搬送されている用紙に前記ホストコンピュータから受信したデータに基づいて印字を施す印字ヘッドと、前記印字ヘッドによって前記用紙に施された印字の内容を読み取る読取手段とを備え、前記インターフェースは、前記読取手段で読み取った内容を表した読取データを前記ホストコンピュータに送信し、該ホストコンピュータから無効印字指令データを受信するものであり、前記搬送手段は、前記インターフェースが前記無効印字指令データを受信したことに基づいて、前記用紙を前記搬送方向とは逆方向の反搬送方向に搬送するものであり、前記印字ヘッドは、用紙を反搬送方向に搬送することにより該印字ヘッドを通過した用紙の通過部位に無効であることを表す無効表示の印字を施すものであることを特徴とするプリンタといった発明思想を導きだすことができる。
また、本実施形態のプリンタからは、印字する内容を表した印字データを記憶する記憶手段と、ロール紙から引き出された用紙所定の搬送方向に搬送する搬送手段と、前記搬送手段によって搬送されている用紙に前記記憶手段に記憶されている印字データに基づいて印字を施す印字ヘッドと、前記印字ヘッドによって前記用紙に施された印字の内容を読み取る読取手段と、前記読取手段で読み取った内容が前記記憶手段に記憶されている印字データが表す内容に一致するか否かを判定する判定手段とを備え、前記搬送手段は、前記判定手段が不一致と判定したことに基づいて、前記用紙を前記搬送方向とは逆方向の反搬送方向に搬送するものであり、前記印字ヘッドは、反搬送方向に搬送することにより該印字ヘッドを通過した用紙の通過部位に無効であることを表す無効表示の印字を施すものであることを特徴とするプリンタといった発明思想も導き出すことができる。
図14は、図3のプリンタ1から読取ユニット14と対向ユニット15を取り外したプリンタ1’を示す概略図である。
図14に示すプリンタ1’では、可動刃ユニット16が、読取ユニット14が取り付けられていた本体側取付部31に着脱自在に取り付けられている。可動刃ユニット16は、可動刃ユニット16に設けられた位置決め孔が位置決め軸32にはめ込まれることで本体側取付部31に位置決めされている。この可動刃ユニット16は、ネジ85により着脱自在に本体側取付部31に取り付けられている。ネジ85を外すことで、可動刃ユニット16を本体側取付部31から取り外すことができる。可動刃ユニット16は、本体側取付部31に取り付けられることで、印字ヘッド12が設けられた位置の搬送方向下流側に配置されている。この可動刃ユニット16が本体側取付部31に位置決めされて本体フレーム3に取り付けられた位置が、第1の位置の一例に相当する。
また、図14に示すプリンタ1’では、対向ユニット15が取り付けられていたカバー側取付部41にスタッカユニット17が着脱自在に取り付けられている。スタッカユニット17に設けられた第2の位置決め孔に突部42がはめ込まれることで、カバー側取付部41にスタッカユニット17が位置決めされている。また、スタッカユニット17は、ネジ86により着脱自在にカバー側取付部41に取り付けられている。このネジ86を外すことで、スタッカユニット17をカバー側取付部41から取り外すことができる。スタッカユニット17は、カバー側取付部41に取り付けられることで、プラテンローラ13が設けられた位置の搬送方向下流側に配置されている。このスタッカユニット17がカバー側取付部41に取り付けられた位置が、第3の位置の一例に相当する。
図14に示すプリンタ1’では、可動刃ユニット16とスタッカユニット17を取り付ける位置が、図3に示すプリンタ1に対して変更されている。これは、可動刃161が排出されてきた印字済部分を未排出部分から切り離す切断位置C(排出口5がある位置と同位置)を、印字ヘッド12が印字を行う印字位置Tに近づけて配置するためである。切断位置Cと印字位置Tとが離れていると印字ヘッド12による印字が行われない余白が増えてしまう。印字開始前に用紙P1の先端部分が印字位置Tにくるまで用紙P1を反搬送方向に搬送することで余白は減らせるが、それでは印字開始までに時間がかかりスループットが低下してしまう。切断位置Cを印字位置Tに近づけて配置することで、余白を減少させることができる。或いは、反搬送方向に搬送する時間を削減してスループットの低下を抑制することができる。
可動刃ユニット16が本体側取付部31に取り付けられることで、印字位置T近傍の所定位置に可動刃161が配置される。また、スタッカユニット17がカバー側取付部41に取り付けられることで、印字位置T近傍の所定位置に配置された可動刃161と用紙P1を挟んで対向する位置に固定刃71が配置される。
次に、図3に示すプリンタ1から読取ユニット14と対向ユニット15を取り外し、図14に示すプリンタ1’に組み替える手順について説明する。先ず図3に示す長ネジ81を取り外し、可動刃ユニット16と読取ユニット14をプリンタ1から取り外す。また、ネジ84を取り外してスタッカユニット17をプリンタ1から取り外す。さらに、ネジ83を取り外して対向ユニット15をプリンタ1から取り外す。そして、可動刃ユニット16に設けられた位置決め孔を本体側取付部31に設けられた位置決め軸32にはめ込んで、図14に示すネジ85で可動刃ユニット16を本体側取付部31に取り付ける。また、スタッカユニット17に設けられた第2の位置決め孔をカバー側取付部41に設けられた突部42にはめ込んで、ネジ86でスタッカユニット17をカバー側取付部41に取り付ける。なお、図14に示すプリンタ1’から図3に示すプリンタ1に戻す場合は、上述した手順と逆の手順で組み替えを行う。
以上、説明したように本実施形態の構成によれば、反搬送方向に搬送された用紙P1が送り込まれてループ化する用紙退避空間181を設けているので、用紙P1を反搬送方向に搬送する距離が長くなっても紙詰まりや紙折れなどの不具合が生じることがない。たとえば、印字位置Tから排出口5までの距離よりも長い距離、用紙P1を反搬送方向に搬送させてもよい。また、ダンパローラ11は、用紙P1に生じた弛みを吸収するだけでなく、反搬送方向に搬送された用紙P1を用紙退避空間181の方向へ案内する案内部材としても作用する。このため、新たな部品を追加することなく、反搬送方向に搬送した用紙P1を確実に用紙退避空間181の方向に送り込むことができる。また、特にチケットや金券などをプリンタ1で印字する場合には、誤った印字が行われたままの貯留紙片P3が無効なものか否かをユーザが容易に判定できない状態でプリンタ1の機外に持ち出されることを可及的に防止したいといった要求がある。本実施形態では、ホスト記憶部62に記憶された印字データが表す内容と読取データが表す内容とが一致するか否かを判定し、一致しない場合は無効印字を施しているので、誤った印字が行われたままの貯留紙片P3が無効なものか否かをユーザが容易に判定できない状態でプリンタ1の機外に持ち出されてしまうことを防止できる。また、無効印字を施す部位を指定することができ、さらに、用紙P1を反搬送方向に搬送する距離が長くても不具合が生じないので、用紙P1における任意の部位に無効印字を行うことができる。また、ホストコンピュータ60に設けられたホスト記憶部62に判定用の印字データを記憶し、ホスト判定部63によって判定を行っているので、プリンタ1がホストコンピュータ60より印字データを受信する際に印字データが変化してしまった場合でも間違いのない判定が行える。
また、本実施形態によれば、駆動手段162が可動刃161を復動方向に移動させる駆動力で羽根車72を回転駆動するので、羽根車72を回転駆動する動力源を新たに設けなくても紙片P2を貯留部77に押し込むことができる。その上、印字済部分を可動刃161で切り離す負荷と羽根車72が紙片P2を押し込む負荷とを可動刃161の往動方向の移動と復動方向の移動とに分散させているので、駆動手段162に加わる最大負荷を低減することができる。さらに、可動刃161による切り離しが確実に完了した紙片P2を貯留部77に向けて押し込めるので、別の動力源を用いて羽根車72を回転させる場合に必要になる切り離し完了タイミングと押し込みタイミングとの調整を必要としない。また、用紙P1の印字済部分を排出口5から排出する際、回転前突出羽根721’によって、貯留部77に貯留された貯留紙片P3が排出口5まで移動することを防止できる。加えて、この回転前突出羽根721’によって、排出されている印字済部分を排出方向に案内することもできる。また、紙片P2を貯留部77に押し込む際、羽根車72を回転させるだけで、回転前突出羽根721’を紙片P2の押込方向から退避させつつ、回転後突出羽根721’’によって紙片P2を押し込むことができる。
また、本実施形態によれば、スタッカユニット17に固定刃71が固定されているので、固定刃71と貯留部77とを別々に取り付ける必要がなくなり、固定刃71と貯留部77をプリンタに組み付ける際の組立作業性が向上する。特に、固定刃71と貯留部77の取付位置を変更する場合には、スタッカユニット17を取り外して別の位置に取り付けるだけでよく、固定刃71と貯留部77との位置合わせが必要ないので組立作業性が顕著に向上する。また、本実施形態のプリンタ1によれば、読取ユニット14に可動刃ユニット取付部14aを設けているので、読取ユニット14と可動刃ユニット16とを積み重ね、これらのユニットを近接させて配置することが出来る。また、対向ユニット15にスタッカユニット取付部15aを設けているので、対向ユニット15とスタッカユニット17とを積み重ね、これらのユニットを近接させて配置することが出来る。読取ユニット14と可動刃ユニット16とを近接させ、対向ユニット15とスタッカユニット17とを近接させることで、読取ユニット14と対向ユニット15を設けたプリンタ1においても、切断位置Cと印字位置Tとが大きく離れた位置となることを抑制できる。これにより、余白を減らすために用紙P1を反搬送方向へ搬送するときの搬送距離を短くし、プリンタ1のスループットを向上させることができる。
次に、第2実施形態と第3実施形態のプリンタ1について順を追って説明する。以下の各実施形態の説明でも、これまで説明した構成要素の名称と同じ名称の構成要素には、これまで用いた符号と同じ符号を付して説明する。また、先の実施形態のプリンタ1の説明と重複する説明は省略することがある。
図15は、第2実施形態のプリンタ1の主要構成部材をプリンタ1の側面から見た概略図である。
先の実施形態では、用紙退避空間181をダンパローラ11の下方に設けたが、この第2の実施形態では、用紙退避空間181をプラテンローラ13の下方に設けている。プラテンローラ13は、印字ヘッド12との間に挟み込んだ用紙P1を、その挟み込んだ位置(印字位置Tと同位置)における接線方向(図15における上下方向)に送り出す。すなわち、プラテンローラ13が正回転しているときは、用紙P1を上方向に送り出す。また、プラテンローラ13が逆回転しているときは、用紙P1を下方向に送り出す。
本実施形態によれば、反搬送方向への用紙搬送時にプラテンローラ13が用紙P1を送り出す方向(ここでは下方)に用紙退避空間181を設けているので、反搬送方向に搬送された用紙P1を用紙退避空間181の方向に送り込んでループ化させることができる。
図16は、第3実施形態におけるプリンタ1の機能ブロック図である。この図16にはプリンタ1との間でデータを送受信するホストコンピュータ60も示されている。
この第3の実施形態では、印字する内容を表した印字データをプリンタ記憶部53に記憶する。また、図16に示すように、プリンタ判定部56をプリンタ1に設けている。このプリンタ判定部56は、プリンタ記憶部53に記憶された印字データが表す内容と、読取データが表す内容とが一致するか否かを判定するものである。なお、プリンタ記憶部53に記憶する印字データは、イメージデータであってもよくコマンドデータであってもよい。
図17は、第3実施形態におけるプリンタの動作を表すフローチャートである。
ホストコンピュータ60より送信された印字する内容を表した印字データと印字指令とを受信すると、プリンタ1は印字を開始する(ステップS21)。この実施形態では、プリンタ1は、ホストコンピュータ60から送信される読み取りを行う部位を指定する読取部位指令と無効印字を施す部位を指定する無効印字部位指令も受信する。また、ホストコンピュータ60から受信したデータに基づいて、印字する内容を表した印字データをプリンタ記憶部53に記憶する。印字を開始した後、読み取りが指定された部位の搬送方向下流側端部が光学センサ140とコンタクトローラ153の間に到達したら、読取ユニット14は、用紙P1に施された印字の内容を読み取り始める(ステップS22)。指定された部位の読み取りが完了したら、プリンタ判定部56は、読取ユニット14が読み取った印字の内容とプリンタ記憶部53に記憶された印字データが表す内容とが一致するか否かを判定する(ステップS23)。
プリンタ判定部56が一致していないと判定した場合(ステップS23でNO)、プリンタ1は、印字と搬送を一旦停止する。次いで、無効印字を施す部位の搬送方向下流側端部が印字位置Tに到達するまで用紙P1を反搬送方向に搬送する(ステップS24)。続いて、用紙P1を搬送方向に搬送しながら無効印字部位指令で指定された部位に無効印字を施す(ステップS25)。無効印字が完了したらステップS26に進む。ステップS23で一致していると判定した場合(ステップS23でYES)、プリンタ1は、印字と搬送を継続して印字が完了したらステップS26に進む。
ステップS26では、用紙P1の印字済部分全てが排出口5から排出されるまで搬送を行い、プラテンローラ13を停止する。その後、排出口5から排出された印字済部分を未排出部分から切り離す(ステップS27)。続いて、紙片P2を厚み方向に押し込んで貯留部77に貯留させる(ステップS28)。
なお、本実施形態では、指定された部位の読み取りが完了してからプリンタ判定部56による判定(ステップS23の処理)を行っているが、読み取り途中の所定の段階毎に判定を行ってもよい。そして、各段階毎の判定において一致していないと判定した場合、すぐにステップS24以降の処理を行ってもよい。
本実施形態によれば、プリンタ1にプリンタ判定部56を設けているので、先の実施形態に対し、ホストコンピュータ60とプリンタ1との間で行われる読取データおよび無効印字指令の送受信の負荷を軽減することができる。また、読取データをホストコンピュータ60に送信する必要がないため、読取データの送受信の不具合によって生じる誤判定を防止することができる。
本発明は上述の実施の形態に限られることなく特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変更を行うことが出来る。例えば、本実施形態では、読み取りを行う部位を指定する読取部位指令と無効印字を施す部位を指定する無効印字部位指令をホストコンピュータ60から受信したが、あらかじめプリンタ記憶部53に読み取りを行う部位と無効印字を施す部位を指定するデータを記憶させておいてもよい。さらに、読み取りを行う部位と無効印字を施す部位を指定する複数のデータをプリンタ記憶部53に記憶させておき、プリンタ1に設けられたディップスイッチなどで選択するようにしてもよい。また、本実施形態では、用紙P1を反搬送方向に搬送し、その後の搬送方向への搬送を行っている際に無効印字を施したが、反搬送方向に搬送している際に無効印字を施してもよい。また、ダンパローラ11は、上下方向に対して傾斜した角度に移動自在に設けてもよく、所定の回動軸に沿って回動自在に設けてもよい。また、本実施形態では、押込部材として羽根車72を用いたが、たとえば可動刃161の移動方向と平行かつ逆方向に移動する板状の押し込み片などの他の押込部材を用いてもよい。また、本実施形態では、羽根721を4枚設ける例を挙げたが、羽根721の枚数は1〜3枚でもよく、5枚以上であってもよい。また、本実施形態では、サーマル式の印字ヘッド12を用いたが、インパクトドット式などのその他の方式の印字ヘッドを用いてもよい。また、本実施形態では、固定刃71に向かって可動刃161が平行移動するいわゆるギロチン形カッタを用いたが、可動刃が回動移動するはさみ式カッタやピザ式カッタを用いてもよい。また、本実施形態では、プラテンローラ13を用いたが、板状のプラテンを用いてもよい。さらに、プラテンローラ13とは別に、モータによって回転駆動される搬送ローラを追加した構成としてもよい。また、本実施形態では、読取ユニット14、対向ユニット15、可動刃ユニット16、およびスタッカユニット17をネジ止めにより取り付けたが、はめ込み式など他の着脱可能な取付方法で取り付ける構成としてもよい。また、本実施形態では、可動刃ユニット16を取り付ける可動刃ユニット取付部14aを読取ユニット14に設けたが、可動刃ユニット取付部14aを本体フレーム3に設けてもよい。また、本実施形態では、スタッカユニット17を取り付けるスタッカユニット取付部15aを対向ユニット15に設けたが、スタッカユニット取付部15aをカバーフレーム4に設けてもよい。また、読取ユニット14をカバーフレーム4に取り付け、対向ユニット15を本体フレームに取り付ける構造としてもよい。さらに、可動刃ユニット16をカバーフレーム4に取り付け、スタッカユニット17を本体フレームに取り付ける構造としてもよい。なお、以上説明した各実施形態や変形例の記載それぞれにのみ含まれている構成要件であっても、その構成要件を他の実施形態や変形例に適用してもよい。