JP5709960B2

JP5709960B2 - 高周波放電点火装置

Info

Publication number: JP5709960B2
Application number: JP2013216943A
Authority: JP
Inventors: 裕一村本; 棚谷　公彦; 公彦棚谷
Original assignee: Mitsubishi Electric Corp
Current assignee: Mitsubishi Electric Corp
Priority date: 2013-10-18
Filing date: 2013-10-18
Publication date: 2015-04-30
Anticipated expiration: 2033-10-18
Also published as: JP2015078666A; DE102014202520B3; US20150108914A1; US9382894B2

Description

この発明は、主に内燃機関の運転に用いられる高周波放電点火装置に関するものである。

近年、環境保全、燃料枯渇の問題が提起されており、自動車業界においてもこれらへの対応が急務となっている。この対応の一例として、過給機を利用したエンジンダウンサイジング、軽量化により燃料消費量を飛躍的に改善する方法がある。

高過給状態になると、エンジン燃焼室内の圧力が燃焼を伴っていない状態でも非常に高くなり、この中では燃焼を開始するための火花放電を発生させることが困難になることが知られている。この理由の一つに、点火プラグの高圧電極とＧＮＤ電極の間（ギャップ）で絶縁破壊を引起すための要求電圧が非常に高くなり、点火プラグの絶縁碍子部の耐電圧値を超えてしまう点がある。この課題を解決するために、碍子部の耐圧を上げる研究がなされているが、実情では要求に対し十分な耐圧を確保することは困難であり、点火プラグのギャップ間隔を狭める手段をとらざるを得ない状況となっている。しかしながら、点火プラグのギャップを狭めると、今度は電極部による消炎作用の影響が大きくなり、始動性の低下、燃焼性の低下を引起す点に課題が発生してしまう。

この問題を解決するためには、消炎作用、つまり電極部に取られる熱エネルギーを上回るエネルギーを火花放電で与える、もしくは電極から少しでも遠いところで燃焼を引起す、といった回避手段が考えられ、例えば特許文献１に示すような点火装置が提案されている。

特許文献１に開示された点火装置は、従来の点火コイルにより点火プラグＧＡＰに火花放電を発生させ、この火花放電の経路にコンデンサによるミキサを介して高周波電流を流し込むことで高エネルギーの火花放電、かつ通常の火花放電よりも広範囲に拡がる放電プラズマを形成することを可能にする装置である。

特開２０１２−１１２３１０号公報

特許文献１に示された従来の点火装置は、高耐圧のコンデンサを介して点火プラグへ高周波電流を流し込むシステムであるが、使用する点火プラグの種類、火花放電時の点火プラグ周辺環境の変化により、点火プラグの火花放電の経路の放電維持の状態が変化し、安定して高周波電流が投入できないという課題を有している。

この発明は、従来の装置における前述のような課題を解決するためになされたもので、使用する点火プラグの変更、点火プラグ周辺環境の変化による火花放電の放電状態の変化が起こった際にも、安定して所望の高周波電流を火花放電経路に投入でき、効率良く大きな放電プラズマを形成することのできる高周波放電点火装置を提供することを目的するものである。

この発明に係わる高周波放電点火装置は、間隙を介して対向する高圧側第１の電極と接地側第２の電極とを有し、前記間隙に火花放電を発生して内燃機関の燃焼室内の可燃混合気を点火させる点火プラグと、高電圧を発生させ、発生させた高電圧を前記第１の電極に供給して前記間隙に火花放電の経路を形成させる火花放電経路生成装置と、交流電流の電圧を昇圧する昇圧装置と、前記昇圧装置を介し、前記間隙に形成された火花放電の経路に交流電流を供給する高周波電流供給装置とを備え、前記昇圧装置は、前記高周波電流供給装置の出力に接続されるインダクタと、前記インダクタと前記点火プラグの第２の電極と同電位となる接地間に接続され、前記インダクタと共振回路を構成するコンデンサＢと、前記インダクタと前記点火プラグの第１の電極との間に接続されるコンデンサＡと、により構成され、前記昇圧装置により、前記高周波電流供給装置の出力電圧を昇圧し、前記点火プラグへ高周波電流を投入可能なようにしたものである。

この発明の高周波放電点火装置によれば、大きな交流放電電流を安定して点火プラグの電極間に供給することで、効率良く高エネルギー放電を実現し、大きな放電プラズマを形成できるので、狭小ギャップの点火プラグを用いても始動性や燃焼性を損なうことがなくなり、高過給ダウンサイジングによる軽量化や高圧縮比化による熱効率の向上等を行うことができるようになり、従って、内燃機関の運転に利用する燃料を飛躍的に削減することが可能となり、ＣＯ_２の排出量を大きく削減し、環境保全に貢献することができる。

この発明の実施の形態１における高周波放電点火装置を示す構成図である。図１における昇圧装置の回路構成を示す高周波放電点火装置の構成図である。従来の点火装置を示す構成図である。

実施の形態１．
この発明による高周波放電点火装置は、火花放電経路生成装置で作る高電圧により点火プラグのギャップ間に火花放電を発生させ、加えて、火花放電経路に昇圧した大きな高周波電流を流し込むことで、点火プラグのギャップ間に大きな放電プラズマを形成させることに基づいて、点火プラグのギャップ間に安定して、高周波電流を流しこむことができる。

図３は、従来の、高周波電源を用いた点火装置のシステムを示し、点火プラグ１０１の火花放電の経路にコンデンサＣ（１２９）によるミキサを介して高周波電流を流し込む構成となっている。

火花放電の経路に、安定して高周波電流を流し込むためには、点Ｇに点火プラグ１０１の火花放電の放電維持電圧以上の電圧を印加する必要がある。点火プラグ１０１の火花放電の放電維持電圧は、使用する点火プラグの種類や火花放電時の点火プラグ周辺環境の変化により、値が変化する。そのため、安定して高周波電流を流し込むためには、点Ｇの電位を１０００Ｖ程度とする必要がある。

従来の点火装置において、点Ｇの電位を１０００Ｖ程度にするためには、高周波用電源電圧１３０の電圧を１０００Ｖ程度とする必要があり、スイッチング素子Ａ（１２２）とスイッチング素子Ｂ（１２３）に高耐圧な素子が必要となる。スイッチング素子Ａ（１２２）とスイッチング素子Ｂ（１２３）の耐圧を上げると、素子の損失が大きくなり、部品のサイズが大きくなり、かつ、素子のコストが上がるといったデメリットが出てくる。また、現在汎用の素子で、高速でスイッチングが可能な素子の耐圧は１０００Ｖ以下の耐圧であるため、１０００Ｖ以上の電圧を出力するためには、特殊なカスタム品を使用する必要がある。なお、図３におけるその他の回路要素の説明は図１で行う。

この問題を解消するこの発明の実施の形態１における高周波放電点火装置の構成図を図１に示す。図１において、高周波放電点火装置は、点火プラグ１０１と、火花放電経路を形成するために点火プラグ１０１に所定の高電圧を印加する点火コイル装置１０２（火花放電経路生成装置）と、火花放電経路に大きな放電プラズマを形成するために高周波電流を供給する高周波電源１１９と、高周波電源の出力電圧を昇圧する昇圧装置１２４とを備えている。

点火コイル装置１０２は、コア１１８を介して磁気的に結合された１次コイル１１１と２次コイル１１２、１次コイル１１１の通電を制御するスイッチング素子Ｃ（１１４）とスイッチング素子Ｃ（１１４）を駆動するためのドライバ装置Ａ（１１３）とを備えている。点火コイル装置１０２、即ち火花放電経路生成装置は、高電圧、例えば数１０ｋＶを発生するものであるが、高電圧を発生する回路であれば、別な形式のものでもよい。

高周波電源（高周波電流供給装置）１１９は、高周波電流を発生させるための、スイッチング素子Ａ（１２２）及びスイッチング素子Ｂ（１２３）と、スイッチング素子Ａ（１２２）とスイッチング素子Ｂ（１２３）を駆動するためのドライバ装置Ｂ（１１５）とを備えている。ドライバ装置Ｂ（１１５）はスイッチング素子Ａ（１２２）がオンのときスイッチング素子Ｂ（１２３）をオフさせ、スイッチング素子Ａ（１２２）がオフのときスイッチング素子Ｂ（１２３）をオンさせるように制御し、例えば、４ＭＨｚ以下のオンオフ周波数で制御される。

点火プラグ１０１は、第１の電極としての高圧電極１０１aと、高圧電極１０１ａに対
して所定の間隙である主プラグギャップを介して対向する第２の電極としての接地側外側電極１０１ｂを備えている。昇圧装置１２４の効果により、高周波電源１１９の出力電圧を昇圧できるため、高周波用電源電圧１３０を、例えば、直流８０Ｖ〜２００Ｖ以下程度に低くすることができる。これにより、高周波電源１１９に用いる素子として、汎用の安価な部品を使用することができる。

より具体的な高周波放電点火装置の構成例を、図２を用いて説明する。図２は、図１の昇圧装置１２４の構成を、コンデンサとインダクタから構成される共振回路とした、高周波放電点火装置の構成図である。共振回路は、インダクタ１１７とコンデンサＡ（１１６）とコンデンサＢ（１２１）から成り、インダクタ１１７とコンデンサＡ（１１６）の接続点にコンデンサＢ（１２１）の一端を接続し他端を接地している。

点火プラグ１０１の放電維持の状態に影響を受けない、コンデンサＢ（１２１）とインダクタ１１７の経路による共振現象により、点Ｈにおける電圧を１０００Ｖ程度に昇圧させ、その後、コンデンサＡ（１１６）を介して、点火プラグ１０１へ電圧印加を行うため、点火プラグ１０１へ、高い電圧を印加することでき、火花放電の経路に、安定して高周波電流を流し込むことが可能となる。また、コンデンサＡ（１１６）の、前段又は後段にインダクタを配置した構成でも、同様の効果を得ることができる。昇圧装置１２４は、システムの小型化や効率化のため点火コイル装置１０２と同一パッケージ２０１内に配置すると良い。

点火プラグ１０１の高圧電極１０１ａに接続される、コンデンサＡ（１１６）の容量は、５０ピコファラッド以下のものを選定すると良い。このコンデンサＡ（１１６）は点火コイル装置１０２の出力である誘導電流により充電される対象となるので、この容量値を大きくし過ぎると、前記誘導電流により、点火プラグ１０１のギャップ間の絶縁破壊電圧まで充電できず、火花放電経路を形成できなくなってしまうことがある。また、コンデンサＢ（１２１）は流れ込む電流を少なくして点火プラグ１０１への電流を多くするために、コンデンサＢ（１２１）の容量は、５０ピコファラッド以下のものを選定すると良い。

昇圧装置１２４を構成する共振回路の共振周波数は４ＭＨｚ以下の周波数にすると良い。これは、信頼性が高く安価な汎用スイッチング素子では４ＭＨｚ付近が動作の限界である。従って、信頼性が高く安価な汎用スイッチング素子を利用して高周波電源１１９を実現するためには、共振周波数を４ＭＨｚ以下とする必要があるためである。

このように構成された高周波放電点火装置は、内燃機関の運転を制御する運転制御部にドライバ装置Ａ（１１３）とドライバ装置Ｂ（１１５）がそれぞれ接続され、運転制御部から出力される制御信号に基づいて、内燃機関の運転状態に応じて点火制御される。ドライバ装置Ａ（１１３）に制御信号が印加されると、発生した高電圧が点火プラグ１０１に印加され、点火プラグ１０１に放電経路が生成される。ドライバ装置Ａ（１１３）に制御信号が印加された後、続いて、例えば５０μsec後にドライバ装置Ｂ（１１５）に制御信号が印加され、高周波電源１１９から昇圧装置１２４を介して発生した高周波電流が点火プラグ１０１に流れて、点火プラグ１０１に放電プラズマが形成される。
また、点火コイル装置（火花放電経路生成装置）１０２で発生させた高電圧は、昇圧装置１２４を介さないで点火プラグ１０１の第１の電極に供給されるため、回路構成が全体として簡単になる。

実施の形態１で用いる点火プラグ１０１は、第１の電極１０１ａと、第２の電極１０１ｂとの間に形成されたキャビティ内で放電に応じて生成されるプラズマを、第２の電極１０１ｂに設けられたオリフィスから外部に噴出するように構成されたプラズマジェットプラグを用いても良い。

また、点火プラグ１０１は、第１の電極１０１ａと第２の電極１０１ｂの間隔を１ミリメートル以下とすることにより、火花放電経路形成中の放電維持の電圧を低くすることができ、点火プラグ１０１への高周波電流の投入を、より安定して行うことができるようになる。

この発明の実施の形態１によれば、前述のように、点火プラグへ安定して高周波電流を投入できるようになり、効率良く大きな放電プラズマを形成できるようになるため、内燃機関の運転に利用する燃料を飛躍的に削減することが可能となり、ＣＯ_２の排出量を大きく削減し、環境保全に貢献することができる。この発明による高周波放電点火装置は、内燃機関を利用する自動車、二輪車、船外機、その他特殊機械などにも搭載され、燃料への着火を確実に行えるようになるので、内燃機関を効率良く運転できるようになり、燃料枯渇問題、環境保全に役立つものである。
なお、この発明は、その発明の範囲内において、実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。

１０１点火プラグ１０１ａ第１の電極（高圧電極）
１０１ｂ第２の電極（外側電極）１０２点火コイル装置
１１１１次コイル１１２２次コイル
１１３ドライバ装置Ａ１１４スイッチング素子Ｃ
１１５ドライバ装置Ｂ１１６コンデンサＡ
１１７インダクタ１１８コア
１１９高周波電源１２０ダイオード
１２１コンデンサＢ１２２スイッチング素子Ａ
１２３スイッチング素子Ｂ１２４昇圧装置
１２９コンデンサＣ１３０高周波用電源電圧
２０１パッケージ

Claims

間隙を介して対向する高圧側第１の電極と接地側第２の電極とを有し、前記間隙に火花放電を発生して内燃機関の燃焼室内の可燃混合気を点火させる点火プラグと、
高電圧を発生させ、発生させた高電圧を前記第１の電極に供給して前記間隙に火花放電の経路を形成させる火花放電経路生成装置と、
交流電流の電圧を昇圧する昇圧装置と、
前記昇圧装置を介し、前記間隙に形成された火花放電の経路に交流電流を供給する高周波電流供給装置とを備え、
前記昇圧装置は、前記高周波電流供給装置の出力に接続されるインダクタと、
前記インダクタと前記点火プラグの第２の電極と同電位となる接地間に接続され、前記インダクタと共振回路を構成するコンデンサＢと、
前記インダクタと前記点火プラグの第１の電極との間に接続されるコンデンサＡと、により構成され、
前記昇圧装置により、前記高周波電流供給装置の出力電圧を昇圧して、前記点火プラグへ高周波電流を投入可能なようにしたことを特徴とする点火装置。
前記コンデンサＡは、５０ピコファラド以下の容量値を有することを特徴とする請求項１記載の点火装置。
前記コンデンサＢは、５０ピコファラド以下の容量値を有することを特徴とする請求項１記載の点火装置。
前記昇圧装置は、４ＭＨｚ以下の共振周波数を有することを特徴とする請求項１，請求項２及び請求項３のいずれか１項に記載の点火装置。