JP5684184B2 - 軽油組成物 - Google Patents
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Description
(1)パラフィン系基材を混合してなり、
硫黄分含有量が10質量ppm以下で、3環芳香族化合物、4環芳香族化合物および5環芳香族化合物の総含有量が600〜3000質量ppm、ベンゾアントラセン類の含有量が1.0〜10.0質量ppm、芳香族分の含有量が12〜20容量%であって、パラフィン分の含有量が35〜75容量%であり、
アミン系酸化防止剤の含有割合が2〜30mg/Lである
ことを特徴とする軽油組成物、
(2)硫黄分含有量が10質量ppm以下で、ベンゾアントラセン類の含有量が1.5〜15.0質量ppmであり、沸点範囲が170〜380℃である脱硫軽油留分10〜90容量%と、
硫黄分含有量が10質量ppm以下で、沸点範囲が140〜290℃である脱硫灯油留分4.9〜40容量%と、
パラフィン分の含有割合が90容量%以上であるパラフィン系基材5〜50容量%と、
アミン系酸化防止剤と
を混合してなる上記(1)に記載の軽油組成物、
(3)前記パラフィン系基材が、フィッシャー・トロプシュ反応または植物油の水素化処理により得られたものである上記(1)または(2)に記載の軽油組成物、
(4)前記アミン系酸化防止剤が、150℃における残存量が80質量%以上であって、かつ250℃における残存量が10質量%以下であるものである、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の軽油組成物、
を提供するものである。
本発明の軽油組成物は、パラフィン系基材を混合してなり、硫黄分含有量が10質量ppm以下で、3環芳香族化合物、4環芳香族化合物および5環芳香族化合物の総含有量が600〜3000質量ppm、ベンゾアントラセン類の含有量が1.0〜10.0質量ppm、芳香族分の含有量が12〜20容量%であって、パラフィン分の含有量が35〜75容量%であり、アミン系酸化防止剤の含有割合が2〜30mg/Lであることを特徴とするものである。
本発明の軽油組成物において、硫黄化合物の含有量が10質量ppm以下であることにより、排ガス後処理装置の触媒の被毒を抑制し、ディーゼルエンジンから排出されるサルフェート等の粒子状物質の量を低減することができる。
なお、本出願書類において、硫黄化合物の含有量は、JIS K 2541「原油及び石油製品−硫黄分試験方法」に準じて測定した値を意味する。
本発明の軽油組成物において、3環芳香族分と4環芳香族分と5環芳香族分の総含有量が上記範囲内にあることにより、排ガス性状の低下を抑制しつつ、過酷な条件下においても酸化安定性の低下を抑制することができる。
本発明者等の知見によれば、酸化安定性の向上効果は、同一含有量で比較すると、3環芳香族化合物よりも4環芳香族化合物の方が高く、4環芳香族化合物よりも5環芳香族化合物の方が高い。しかしながら、軽油組成物中の5環芳香族化合物の全含有量はごく僅かであるため、酸化安定性の向上効果に対する寄与度は4環芳香族化合物が支配的である。すなわち、3環芳香族化合物、4環芳香族化合物および5環芳香族化合物の総含有量に対する4環芳香族化合物の全含有量の比を上記範囲内に制御することにより、過酷な条件下においても酸化安定性の低下をより効果的に抑制することができる。
<活性アルミナ濃縮物の調製方法>
(1)活性アルミナ500gに対して測定試料1Lを通油して、活性アルミナに吸着成分を吸着させ、残りの成分はそのままカラムから流出させる。
(2)n−ヘプタン1Lを上記活性アルミナへ流し、上記吸着成分のうち飽和分を溶出させたn−ヘプタン溶液を得る。
(3)次いでメタノール500mLを上記活性アルミナへ流し、残存する吸着成分を全て溶出させたメタノール回収液を得る。
(4)上記メタノール回収液からメタノールを蒸発除去し、残留物をトルエンに溶解してトルエン溶液を得る。
(5)活性アルミナ50gに対し上記トルエン溶液を通油して、活性アルミナに吸着成分を吸着させ、残りの成分はそのままカラムから流出させる。
(6)トルエン500mLを上記50gの活性アルミナへ流し、吸着物を溶出、回収した後、トルエンを蒸発除去して活性アルミナ濃縮物を得る。
上記方法により、3環芳香族化合物の全含有量、4環芳香族化合物の全含有量および5環芳香族化合物の全含有量を、ppmオーダーで測定することが可能になる。
本発明者等の検討によれば、驚くべきことに、4環芳香族化合物のうち特にベンゾアントラセン類は酸化安定性の向上効果が高く、ベンゾアントラセン類の含有量が上記範囲内にあることにより、過酷な条件下においても酸化安定性の低下を特に効果的に抑制することができることを見出し、さらに、この抑制効果は、特定の酸化防止剤を所定量含む場合により顕著に発現し得ること、パラフィン系基材を軽油基材として用いた場合にも有効に発揮し得ることを見出して、本発明を完成するに至ったものである。
<活性アルミナ濃縮物の調製方法>
(i)活性アルミナ500gに対し、測定試料1Lを通油して、活性アルミナに吸着成分を吸着させ、残りの成分はそのままカラムから流出させる。
(ii)n−ヘプタン1Lを上記活性アルミナへ流し、上記吸着成分のうち飽和分を溶出させたn−ヘプタン溶液を得る。
(iii)メタノール500mLを上記活性アルミナへ流し、残存する吸着成分を全て溶出させたメタノール回収液を得る。
(iv)上記メタノール回収液からメタノールを蒸発除去し、残留物をトルエンに溶解してトルエン溶液を得る。
(v)活性アルミナ50gに対し、上記トルエン溶液を通油して、活性アルミナに吸着成分を吸着させ、残りの成分はそのままカラムから流出させる。
(vi)n−ヘプタン、トルエン、メタノールの混合溶媒4000mLを上記50gの活性アルミナへ流し、吸着物を溶出、回収した後、上記混合溶媒を蒸発除去して、活性アルミナ濃縮物を得る。
下記(a)〜(e−2)の順序に接続したカラムを使用する。
(a)1次カラム(LTM(Low Thermal Mass)用カラム) Agilent社製DB−1ms:長さ30m、内径0.25mm、膜厚0.25μm
(b)ガードカラム:長さ30cm、内径0.25mm
(c)ガードカラム:長さ30cm、内径0.1mm
(d)2次カラム(SGE社製BPX−50):長さ1.25m、内径0.1mm、膜厚0.1μm
(e−1)ガードカラム(TofMS(Time Of Flight−Mass Spectrometry)用ガードカラム):長さ57cm、内径0.1mm(トランスファライン21cm含む)
(e−2)ガードカラム(FID(Flame Ionization Detector)用ガードカラム):長さ34cm、内径0.1mm
昇温条件 :65℃で1分間保持→3℃/分間で昇温→150℃で保持→5℃/分間で昇温→310℃で保持(2次オーブン+10℃オフセット)
キャリアガス :ヘリウム、定圧モード、43.93psi(1.5mL/分間、65℃)
注入口温度 :310℃
注入量 :0.2μL、スプリット比 50:1
データ読み込み :200スペクトル/秒
モジュレーション時間:8秒
本発明の軽油組成物によれば、3環〜5環芳香族化合物の総含有量に対する4環芳香族化合物の含有量や5環芳香族化合物の含有量の比を高め、特にベンゾアントラセン類を所定量含有させることにより、軽油組成物の酸化安定性の低下をより効果的に低減することができる。
本発明の軽油組成物は、パラフィン系基材を混合してなるものであるので、パラフィン分の含有割合を上記範囲内に容易に制御することができる。
また、本発明の軽油組成物において、パラフィン系基材のパラフィン分の含有割合は90容量%以上が好ましく、95容量%以上がより好ましく、98容量%以上がさらに好ましい。
本発明の軽油組成物において、パラフィン系基材の含有量やパラフィン分の含有割合が上記範囲内にあることにより、軽油組成物中の硫黄含有量を容易に低減することができるとともに、抗酸化性物質の含有量を所望範囲に制御して、適正な性状を有する軽油組成物を容易に提供することができる。
<パラフィン分含有割合の測定方法>
(i)HPLCにより飽和分と芳香族分に分取し、分取した飽和分と芳香族分を下記(a)〜(f)の条件にてGC−FIDで定量する。
(ii)分取した飽和分と芳香族分を下記(g)〜(l)の条件にてGC−MS測定して平均マススペクトルを算出し、ASTM D2786に従って解析を行い、飽和分中のパラフィン分の含有割合を算出する。
(iii)上記(i)および(ii)で得られた結果より、試料中のパラフィン分の含有割合を算出する。
(a)カラム:長さ5m、内径0.53mm、膜厚2.65μm
(b)オーブン温度:40℃で2分間保持→10℃/分間で昇温→60℃で保持→20℃/分間で昇温→290℃で5分保持
(c)注入口温度:オーブン温度+3℃
(d)検出器:FID(320℃)
(e)キャリアガス:He 4kPa
(f)注入量:4μL
(g)カラム:長さ30m、内径0.25mm、膜厚0.25μm
(h)オーブン温度:40℃で1分間保持→10℃/分間で昇温→280℃で保持
(i)注入口温度:オーブン温度+3℃
(j)インターフェース温度:300℃
(k)キャリアガス:He 55kPa
(l)注入量:飽和分 0.5μL、芳香族分 1.5μL
なお、本出願書類において、硫黄化合物の含有量は、JIS K 2541「原油及び石油製品−硫黄分試験方法」に準じて測定した値を意味する。
なお、本出願書類において、セタン指数は、JIS K2280「石油製品−燃料油−オクタン価及びセタン価試験方法並びにセタン指数算出方法」に準じて測定した値を意味する。
なお、本出願書類において、パラフィン系基材の沸点範囲は、JIS K 2254「石油製品−蒸留試験法」に準じて測定された値を意味する。
これ等の植物油を水素化処理して得られるパラフィン系基材は、再生可能エネルギーとしてカーボンニュートラルな燃料用の基材であるとされており、二酸化炭素排出量削減の観点から好適に用いられる。
植物油を水素化処理する方法としては、特に制限されず、公知の方法を採用することができる。
本発明の軽油組成物において、飽和分含有量および芳香族分含有量が上記範囲内にあることにより、着火性を良好に維持し易くなるとともに、低温性能を良好に維持易くなる。
なお、本出願書類において飽和分含有量および芳香族分含有量は、JPI−5S−49−07「石油製品−炭化水素タイプ試験方法−高速液体クロマトグラフ法」に準じて測定した値を意味する。
なお、本出願書類においてセーボルト色は、JIS K 2580「石油製品−色試験方法」に準じて測定した値を意味する。
上記アミン系酸化防止剤として、具体的には、N,N’−ジ−セカンダリーブチル−パラフェニレンジアミン(N,N’−di−sec−butyl−p−phenylenediamine)等が挙げられる。
<測定条件>
測定装置 :(株)リガク製TG8120
測定温度範囲:室温〜350℃
昇温条件 :(1)室温→(2)3℃/分間で40℃まで昇温→(3)40℃で5分間保持→(4)10℃/分間で350℃まで昇温
測定雰囲気 :Air 200mL/min
測定用機 :Alパン
リファレンス:α―アルミナ
<各加熱温度における残存率(質量%)>
(各加熱温度における質量(g)/熱処理前の質量(g))×100
本発明の軽油組成物は、10容量%留出温度(T10)が170〜260℃であることが好ましく、180〜250℃であることがより好ましく、210〜230℃であることがさらに好ましい。
本発明の軽油組成物は、50容量%留出温度(T50)が260〜305℃であることが好ましく、265〜300℃であることがより好ましく、270〜289℃であることがさらに好ましい。
本発明の軽油組成物は、90容量%留出温度(T90)が295〜360℃であることが好ましく、310〜355℃であることがより好ましく、320〜350℃であることがさらに好ましい。
本発明の軽油組成物は、終点(EP)が300〜390℃であることが好ましく、325〜385℃であることがより好ましく、365〜380℃であることがさらに好ましい。
なお、本出願書類において、IBP、T10、T50、T90およびEPは、JIS K2254「石油製品−蒸留試験方法」に準じて測定した値を意味する。
なお、本出願書類において、15℃における密度は、JIS K2249「原油及び石油製品−密度試験方法及び密度・質量換算表」に準じて測定した値を意味する。
30℃における動粘度が上記範囲内にあることにより、ディーゼルエンジンで使用したときに噴霧状態を良好に保つことができる。
なお、本出願書類において、30℃における動粘度は、JIS K2283「原油及び石油製品−動粘度試験方法及び粘度指数算出方法」に準じて測定した値を意味する。
なお、本出願書類において、引火点は、JIS K2265「原油及び石油製品−引火点試験方法」に準じて測定した値を意味する。
なお、本出願書類において、セタン指数は、JIS K2280「石油製品−燃料油−オクタン価及びセタン価試験方法並びにセタン指数算出方法」に準じて測定した値を意味する。
また、本発明の軽油組成物としては、硫黄分含有量が10質量ppm以下で、ベンゾアントラセン類の含有量が1.5〜15.0質量ppmであり、沸点範囲が170〜380℃である脱硫軽油留分20〜80容量%と、硫黄分含有量が10質量ppm以下で、沸点範囲が140〜290℃である脱硫灯油留分9.9〜35容量%と、パラフィン分の含有割合が90容量%以上であるパラフィン系基材10〜45容量%と、アミン系酸化防止剤とを混合してなるものがより好適である。
さらに、本発明の軽油組成物としては、硫黄分含有量が10質量ppm以下で、ベンゾアントラセン類の含有量が1.5〜15.0質量ppmであり、沸点範囲が170〜380℃である脱硫軽油留分30〜70容量%と、硫黄分含有量が10質量ppm以下で、沸点範囲が140〜290℃である脱硫灯油留分10〜30容量%と、パラフィン分の含有割合が90容量%以上であるパラフィン系基材10〜40容量%と、アミン系酸化防止剤とを混合してなるものがさらに好適である。
また、パラフィン分の含有割合が90容量%以上であるパラフィン系基材の具体例や、アミン系酸化防止剤の具体例としては、パラフィン系基材やアミン系酸化防止剤の具体例として上述したものと同様のものを挙げることができる。
また、直接脱硫装置から得られる直接脱硫軽油留分、間接脱硫装置から得られる間接脱硫軽油留分等の脱硫軽油留分や、流動接触分解装置から得られる軽質サイクルオイル留分、およびこれ等の脱硫軽油留分留分や軽質サイクルオイル留分を常圧蒸留装置から得られる軽油留分と混合して更に脱硫処理した脱硫軽油留分等、通常軽油組成物の基材として使用されるものを適宜用いることができる。
また、上記軽油基材としては、得られる基材中のベンゾアントラセン類含有量、各芳香族化合物量、硫黄分含有量を監視しながら、反応温度、水素分圧、液空間速度、沸点範囲等を制御しつつ作製してなるものが好ましい。
脱硫軽油留分中の硫黄化合物の含有量が上記範囲内にあることにより、得られる軽油組成物中の硫黄化合物の含有量を容易に所望範囲に制御することができる。
軽油組成物の製法Aにおいて、3環芳香族分と4環芳香族分と5環芳香族分の総含有量が上記範囲内にあることにより、排ガス性状の低下を抑制しつつ、過酷な条件下においても酸化安定性の低下を抑制した軽油組成物を提供することができる。
脱硫軽油留分中のベンゾアントラセン類の含有量が上記範囲内にあることにより、得られる軽油組成物中のベンゾアントラセン類の含有量を容易に所望範囲に制御することができる。
なお、本出願書類において、15℃における密度は、JIS K2249「原油及び石油製品−密度試験方法及び密度・質量換算表」に準じて測定した値を意味する。
30℃における動粘度が上記範囲内にあることにより、得られる軽油組成物をディーゼルエンジンで使用したときに噴霧状態を良好に保つことができる。
なお、本出願書類において、30℃における動粘度は、JIS K2283「原油及び石油製品−動粘度試験方法及び粘度指数算出方法」に準じて測定した値を意味する。
なお、本出願書類において、セタン指数は、JIS K2280「石油製品−燃料油−オクタン価及びセタン価試験方法並びにセタン指数算出方法」に準じて測定した値を意味する。
なお、本出願書類において、引火点は、JIS K2265「原油及び石油製品−引火点試験方法」に準じて測定した値を意味する。
軽油組成物の製法Aにおいて、脱硫軽油留分の芳香族分の含有量は10〜28容量%であることが好ましく、12〜25容量%であることがより好ましく、15〜23容量%であることがさらに好ましい。
軽油組成物の製法Aにおいて、脱硫軽油留分の飽和分含有量および芳香族分含有量が上記範囲内にあることにより、得られた軽油組成物の着火性を良好に維持し易くなるとともに、低温性能を良好に保ち易くなる。
なお、本出願書類において飽和分含有量および芳香族分含有量は、JPI−5S−49−07「石油製品−炭化水素タイプ試験方法−高速液体クロマトグラフ法」に準じて測定した値を意味する。
脱硫灯油留分中の沸点範囲が上記範囲内にあることにより、得られる軽油組成物の引火点と動粘度を適切な範囲に維持することができる。
なお、本出願書類において、15℃における密度は、JIS K2249「原油及び石油製品−密度試験方法及び密度・質量換算表」に準じて測定した値を意味する。
なお、本出願書類において、引火点は、JIS K2265「原油及び石油製品−引火点試験方法」に準じて測定した値を意味する。
軽油組成物の製法Aにおいて、脱灯油油留分の芳香族分の含有量は10〜25容量%であることが好ましく、12〜23容量%であることがより好ましい。
軽油組成物の製法Aにおいて、脱硫灯油留分の飽和分含有量および芳香族分含有量が上記範囲内にあることにより、得られる軽油組成物の着火性を良好に維持し易くなるとともに、低温性能を良好に維持し易くなる。
なお、本出願書類において飽和分含有量および芳香族分含有量は、JPI−5S−49−07「石油製品−炭化水素タイプ試験方法−高速液体クロマトグラフ法」に準じて測定した値を意味する。
脱硫灯油留分の硫黄化合物の含有量が上記範囲内にあることにより、得られる軽油組成物中の硫黄分の含有量を容易に所望範囲に制御することができる。
なお、硫黄化合物量が10質量ppm以下である脱硫灯油留分は、通常、3環芳香族化合物や、ベンゾアントラセン類等の4環芳香族化合物や、5環芳香族化合物を含まない。
軽油組成物の製造方法Aにおいて、アミン系酸化防止剤は、得られる軽油組成物中に2〜30mg/L含まれるように混合し、3〜20mg/L含まれるように混合することが好ましく、5〜15mg/L含まれるように混合することがより好ましい。アミン系酸化防止剤の具体例は、上述したとおりである。
(1)軽油基材
軽油基材として、脱硫軽油留分ULGO−1〜ULGO−4および脱硫灯油留分UKERO−1を用意した。これ等の軽油基材は、それぞれ以下の方法で得られたものである。
原油を常圧蒸留装置で分留して得られた沸点範囲が219〜376℃の直留軽油留分に対して、Co、P、Moおよび有機酸を含有する触媒を用いて、反応温度350℃、水素分圧4.5MPa、液空間速度0.9h−1で、生成物のベンゾアントラセン類の含有量および硫黄分含有量が各々所定の範囲になるように、反応条件を調整しながら脱硫反応を行うことにより、沸点範囲が193〜372℃であるULGO−1を得た。
原油を常圧蒸留装置で分留して得られた沸点範囲が225〜368℃の直留軽油留分に対して、Co、P、Moおよび有機酸を含有する触媒を用いて、反応温度340℃、水素分圧6.5MPa、液空間速度0.7h−1で、生成物のベンゾアントラセン類の含有量および硫黄分含有量が各々所定の範囲になるように、反応条件を調整しながら脱硫反応を行うことにより、沸点範囲が205〜364℃であるULGO−2を得た。
原油を常圧蒸留装置で分留して得られた沸点範囲が234〜373℃の直留軽油留分に対して、Co、P、Moおよび有機酸を含有する触媒を用いて、反応温度340℃、水素分圧6.6MPa、液空間速度0.6h−1で、生成物のベンゾアントラセン類の含有量および硫黄分含有量が各々所定の範囲になるように、反応条件を調整しながら脱硫反応を行うことにより、沸点範囲が204〜369℃であるULGO−3を得た。
原油を常圧蒸留装置で分留して得られた沸点範囲が217〜372℃の直留軽油留分に対して、直接脱硫装置から得られた直接脱硫軽油留分をその含有割合が20容量%になるように混合したものを、Co、P、Moおよび有機酸を含有した触媒を用いて、反応温度350℃、水素分圧4.5MPa、液空間速度0.6h−1で、生成物のベンゾアントラセン類の含有量および硫黄分含有量が各々所定の範囲になるように、反応条件を調整しながら脱硫反応を行うことにより、沸点範囲が187〜369℃であるULGO−4を得た。
原油を常圧蒸留装置で分留して得られた沸点範囲が150〜268℃の直留灯油留分に対して、Co、P、Moおよび有機酸を含有した触媒を用いて、反応温度310℃、水素分圧4.4MPa、液空間速度8.5h−1で、生成物の硫黄分含有量が各々所定の範囲になるように、反応条件を調製しながら脱硫反応を行うことにより、沸点範囲が152〜266℃であるUKERO−1を得た。なお、UKERO−1の性状を表1に示す。
パラフィン系基材として、表2に示す性状を有するフィッシャー・トロプシュ反応により得られたGTL油であるパラフィンAを用意した。このパラフィン系基材の性状を表2に示す。
上記脱硫軽油留分ULGO−1〜ULGO−4、脱硫灯油留分UKERO−1およびパラフィン系基材を、表3に示す割合になるように配合することにより、それぞれ、実施例1〜実施例4に係る基材混合物および比較例1〜比較例5に係る基材混合物を得た。
また、上記各脱硫軽油留分、脱硫灯油留分、軽油組成物において、上述した方法によりベンゾアントラセン類の含有量を求めた。結果を表1、表4、表6に示す。
また、上記パラフィン系基材、脱硫軽油留分、軽油組成物において、上述した方法によりパラフィン分の含有割合を求めた。結果を表2、表4、表6に示す。
試験温度:100℃または140℃
試料量 :300ml
容器材質:ほう珪酸ガラス
容器容量:500ml
雰囲気 :酸素常圧密閉
光の有無:暗所
鋼片(SPCC):1×20×50mmを1枚
試験期間:20時間
上記誘導期間が長いとは、酸化安定性の低下の初期に酸素と反応しやすい物質が少なく、ラジカル連鎖反応による軽油組成物の劣化が起こりにくいことを意味し、また、上記貯蔵試験後のパーオキサイド量が少ないとは、長期に亘ってパーオキサイドが発生しにくく、パーオキサイドとなった軽油組成物成分の分解による酸の生成や、パーオキサイドとなった軽油組成物成分の重合によるガムおよびスラッジの生成が起こりにくいことを意味することから、実施例1〜実施例4で得られた軽油組成物は、いずれも酸化安定性に優れ、近年のディーゼルエンジンにおける過酷な条件下においても酸化安定性の低下を抑制し得るものであることが分かる。
また、表7より、実施例1〜実施例4で得られた軽油組成物は、エンジン試験での相対黒鉛濃度が低いことから、粒子状物質の発生を抑制する優れた燃焼性を示すものであることが分かる。
また、フェノール系酸化防止剤を配合した比較例3は、140℃の貯蔵試験後におけるパーオキサイド量が、アミン系酸化防止剤を配合した実施例4と比べてパーオキサイドが多量に生成しており、これは酸化防止剤の分解によると考えられる。
また、表7より、比較例5で得られた軽油組成物は、相対黒煙濃度が大幅に増加しており、粒子状物質の発生量を増加させる燃焼性が低いものであることが分かる。
Claims (4)
- パラフィン系基材を混合してなり、
硫黄分含有量が10質量ppm以下で、3環芳香族化合物、4環芳香族化合物および5環芳香族化合物の総含有量が600〜3000質量ppm、ベンゾアントラセン類の含有量が1.0〜10.0質量ppm、芳香族分の含有量が12〜20容量%であって、パラフィン分の含有量が35〜75容量%であり、
アミン系酸化防止剤の含有割合が2〜30mg/Lである
ことを特徴とする軽油組成物。 - 硫黄分含有量が10質量ppm以下で、ベンゾアントラセン類の含有量が1.5〜15.0質量ppmであり、沸点範囲が170〜380℃である脱硫軽油留分10〜90容量%と、
硫黄分含有量が10質量ppm以下で、沸点範囲が140〜290℃である脱硫灯油留分4.9〜40容量%と、
パラフィン分の含有割合が90容量%以上であるパラフィン系基材5〜50容量%と、
アミン系酸化防止剤と
を混合してなる請求項1に記載の軽油組成物。 - 前記パラフィン系基材が、フィッシャー・トロプシュ反応または植物油の水素化処理により得られたものである請求項1または請求項2に記載の軽油組成物。
- 前記アミン系酸化防止剤が、150℃における残存量が80質量%以上であって、かつ250℃における残存量が10質量%以下であるものである、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の軽油組成物。
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---|---|---|---|
JP2012070758A JP5684184B2 (ja) | 2012-03-27 | 2012-03-27 | 軽油組成物 |
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