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JP5672120B2 - 液浸用上層膜形成用組成物 - Google Patents

液浸用上層膜形成用組成物 Download PDF

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Description

本発明は、液浸上層膜形成用組成物に関し、詳しくは、液浸露光時にレジスト被膜を保護するための上層膜を形成するのに使用される液浸上層膜形成用組成物に関する。
集積回路素子の製造に代表される微細加工の分野においては、従来、化学増幅型レジストが利用されている。化学増幅型レジストでは、短波長の放射線(例えばエキシマレーザ)等の照射によって露光部で酸が発生され、その酸を触媒とする反応により、露光部と未露光部とにおいてアルカリ現像液に対する溶解速度の差を生じさせることで、基板上にレジストパターンが形成される。
このような化学増幅型レジストにおいて、更に微細なレジストパターンを形成する方法として、レンズとレジスト被膜との間を液浸媒体(例えば、純水やフッ素系不活性液体等)で満たして露光を行う液浸露光法(リキッドイマージョンリソグラフィ)の利用が拡大しつつある。この液浸露光法によれば、レンズの開口数(NA)の拡大が可能となり、またNAを拡大した場合であっても焦点深度が低下しにくく、しかも高い解像性が得られるといった利点がある。
液浸露光法によるレジストパターン形成では、レジスト被膜組成物の液浸媒体への溶出や、被膜表面に残存した液滴によるパターン欠陥を抑制するとともに、スキャンスピードの向上を図ることが要求されている。また、その要求を満足するための技術として、レジスト被膜と液浸媒体との間に保護膜を設けることが提案されている(特許文献1参照)。これら特許文献1では、非水溶性かつアルカリ可溶性の重合体を用いてレジスト被膜上に保護膜を形成し、これにより、液浸露光時には、保護膜が有する撥水性により、レジスト被膜組成物の溶出やパターン欠陥の抑制等を図るとともに、その後のアルカリ現像工程において保護膜を現像液に溶解させることで、レジスト被膜表面から保護膜を剥離するようにしている。また、特許文献1には、上記重合体の構成成分の一つとして、カルボキシル基を一つ有する繰り返し単位を用いることが開示されている。
国際公開第2009/41270号
しかしながら、上記従来の液浸用上層膜形成用組成物は、基板との密着性(ハガレ耐性)が十分でないという課題があった。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、基板との密着性(ハガレ耐性)に優れた液浸上層膜形成用組成物を提供することを目的とした。
本発明者らは、上記のような従来技術の課題を解決すべく鋭意検討した結果、複数のカルボキシル基を含む繰り返し単位を有する重合体成分を含む液浸上層膜形成用組成物を用いることによって、上記課題を解決可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、以下の液浸上層膜形成用組成物等が提供される。
[1]複数のカルボキシル基を含む繰り返し単位(a)を有する重合体成分(A)および溶剤(B)を含む液浸上層膜形成用組成物。
[2]複数のカルボキシル基を含む繰り返し単位が下記式(a1)である、前記[1]に記載の液浸上層膜形成用組成物。
(上記式(a1)中、Qは(m+1)価の有機基であり、Rは、それぞれ独立に水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示し、mは、2〜4の整数である。)
[3]前記式(a1)において、Qが、炭素数1〜10の(m+1)価の脂肪族炭化水素基、または炭素数3〜10の(m+1)価の脂環式炭化水素基である、前記[1]または[2]に記載の液浸上層膜形成用組成物。
[4]重合体成分(A)が、スルホ基を有する繰り返し単位(s)を有する、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の液浸上層膜形成用組成物
[5]重合体成分(A)が、フッ素原子を有する繰り返し単位(f)を有する、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の液浸上層膜形成用組成物。
[6]前記[1]〜[5]のいずれかに記載の液浸上層膜形成用組成物を用いて形成された液浸上層膜。
[7]基板上にフォトレジスト組成物を塗布してフォトレジスト膜を形成する工程(1)と、前記[1]〜[6]のいずれか一項に記載の液浸上層膜形成用組成物を前記フォトレジスト膜上に塗布して前記フォトレジスト膜上に上層膜を形成する工程(2)と、前記上層膜上に液浸媒体を配し、所定のパターンを有するマスクおよび液浸液体を通過させた露光光を、前記上層膜及び前記フォトレジスト膜に照射することによって、前記上層膜及び前記フォトレジスト膜を露光する工程(3)と、露光された前記上層膜及び前記フォトレジスト膜を現像液で現像する工程(4)と、を備えるレジストパターン形成方法。
本発明の液浸用上層膜形成用組成物(以下、単に「上層膜形成用組成物」ともいう。)によれば、特定の繰り返し単位を有する重合体成分を含む液浸上層膜形成用組成物を用いることで、基板との密着性(ハガレ耐性)に優れる。
以下、本発明を詳細に説明する。尚、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及びメタクリルを意味する。
本発明の液浸上層膜形成用組成物(以下、上層膜形成用組成物ともいう)は、重合体成分(A)および溶剤(B)を含み、重合体成分(A)が有する全繰り返し単位のうちの少なくとも一部として、複数のカルボキシル基を有する繰り返し単位(a)を有する。以下、本発明の液浸上層膜形成用組成物について詳しく説明する。
[重合体成分(A)]
[複数のカルボキシル基を有する繰り返し単位(a)]
本発明における重合体成分は、その全繰り返し単位の一部として、複数のカルボキシル基を有する繰り返し単位(a)(以下、「繰り返し単位(a)ともいう)を含んでいる。
複数のカルボキシル基を有する繰り返し単位としては、下記式(a1)で表される繰り返し単位を挙げることができる。
上記式(a1)中、Qは(m+1)価の有機基であり、Rは、それぞれ独立に水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示し、mは、2〜4の整数である。従って、繰り返し単位(a1)にはカルボキシル基が2〜4個導入される。
一般式(a1)中、Qは(m+1)価の有機基であり、炭素数1〜30の(m+1)価の有機基であることが好ましく、炭素数1〜20の(m+1)価の有機基であることがより好ましく、炭素数1〜10の(m+1)価の有機基であることがさらに好ましい。
炭素数1〜30の(m+1)価の有機基としては、炭素数1〜30の(m+1)価の炭化水素基、炭素数1〜30の(m+1)価のハロゲン化炭化水素基、ならびに酸素原子、硫黄原子および窒素原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を含む(m+1)価の有機基等を挙げることができる。
炭素数1〜30の(m+1)価の炭化水素基としては、炭素数1〜30の直鎖または分岐鎖の(m+1)価の炭化水素基、炭素数3〜30の(m+1)価の脂環式炭化水素基および炭素数6〜30の(m+1)価の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
前記炭素数1〜30の直鎖または分岐鎖の(m+1)価の炭化水素基としては、炭素数1〜20の直鎖または分岐鎖の(m+1)価の炭化水素基が好ましく、炭素数1〜10の直鎖または分岐鎖の(m+1)価の炭化水素基がより好ましい。前記炭素数1〜30の直鎖または分岐鎖の(m+1)価の炭化水素基の好適な具体例としては、例えばメタン、エタン、プロパン、ブタン、2−メチルプロパン、ペンタン、2−メチルブタン、2,2− ジメチルプロパン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン等の炭素数1〜20の鎖状炭化水素から水素原子を(m+1)個取り除いた構造を挙げることができる。
前記炭素数3〜30の(m+1)価の脂環式炭化水素基としては、炭素数3〜20の(m+1)価の脂環式炭化水素基が好ましく、炭素数3〜10の(m+1)価の脂環式炭化水素基がより好ましい。前記炭素数3〜30の(m+1)価の脂環式炭化水素基の好適な具体例としては、例えばシクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン等の炭素数3〜20の脂環式炭化水素から水素原子を(m+1)個取り除いた構造の炭化水素基を挙げることができる。
前記炭素数6〜30の芳香族炭化水素基としては、炭素数6〜20の(m+1)価の芳香族炭化水素基が好ましく、炭素数6〜10の(m+1)価の芳香族炭化水素基がより好ましい。前記炭素数6〜30の(m+1)価の脂環式炭化水素基の好適な具体例としては、ベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素から水素原子を(m+1)個取り除いた構造の炭化水素基等を挙げることができる。
炭素数1〜30の(m+1)価のハロゲン化炭化水素基としては、上述した炭素数1〜30の(m+1)価の炭化水素基の水素原子の一部または全部がフッ素原子などのハロゲン原子で置換された基を挙げることができる。
酸素原子を含む炭素数1〜30の(m+1)価の有機基としては、水素原子、炭素原子、および、酸素原子からなる有機基が挙げられ、中でも、エーテル結合、カルボニル基またはエステル基と、炭化水素基とからなる総炭素数1〜30の(m+1)価の有機基等を好ましく挙げることができ、総炭素数は1〜20であることが好ましく、1〜10であることがより好ましい。
硫黄原子を含む炭素数1〜30の(m+1)価の有機基としては、水素原子、炭素原子、および、硫黄原子からなる有機基が挙げられ、中でも、チオエーテル結合、チオカルボニル基またはチオエステル基と、炭化水素基とからなる総炭素数1〜30の(m+1)価の有機基等を好ましく挙げることができ、総炭素数は1〜20であることが好ましく、1〜10であることがより好ましい。
窒素原子を含む炭素数1〜30の有機基としては、水素原子、炭素原子、および、窒素原子からなる有機基が挙げられ、具体的には、イミダゾール、トリアゾール、ベンズイミダゾールおよびベンズトリアゾール等から水素原子を(m+1)個取り除いた構造の有機基が挙げられる。
酸素原子および窒素原子を含む炭素数1〜30の有機基としては、水素原子、炭素原子、酸素原子、および、窒素原子からなる有機基が挙げられ、具体的には、オキサゾール基、オキサジアゾール基、ベンズオキサゾール基およびベンズオキサジアゾール基等から水素原子を(m+1)個取り除いた構造の有機基が挙げられる。
上記一般式(a1)で表される繰り返し単位としては、下記一般式(a1−1)または(a1−2)で表される繰り返し単位を挙げることができる。
(上記式(a1−1)中、Qは、単結合または炭素数1〜30の(n1+2)価の炭化水素基を示し、Eは、単結合またはメチレン基であり、Rは、それぞれ独立に水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示し、n1は1または2である。上記式(a1−2)中、Qは、単結合または炭素数1〜10の2価の炭化水素基を示し、R、Rは、それぞれ独立して水素原子、フッ素原子又は炭素数1〜5の1価の炭化水素基であり、Rは、それぞれ独立に水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示し、aは、0又は1である。bは、0〜2の整数である。)
繰り返し単位(a1−1)の具体例としては、下記式のものを挙げることができる。
(上記式中、Rは、それぞれ独立に水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。)
繰り返し単位(a1−2)の具体例としては、下記式のものを挙げることができる。
(上記式中、Rは、それぞれ独立に水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。)
前記重合体成分(A)における繰り返し単位(a)の含有量は、重合体成分(A)が有する全繰り返し単位を100モル%として、通常、0.1〜30モル%であり、好ましくは0.5〜20モル%である。繰り返し単位(a)の含有量がある上記範囲であると、Blob欠陥を抑制でき、また、下地となるレジスト層に影響しにくく、さらに基板との密着性に優れる。
[スルホ基を有する繰り返し単位(s)]
本発明における重合体成分は、その全繰り返し単位の一部として、スルホ基を有する繰り返し単位(s)(以下、「繰り返し単位(s)ともいう)を含んでいる。
スルホ基を有する繰り返し単位としては、特に限定されるものではないが、下記一般式(S−1)または(S−2)で表される繰り返し単位を挙げることができる。
[一般式(S−1)及び(S−2)において、Rは、それぞれ独立に水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示し、Rs1は、それぞれ独立に単結合、炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状の2価の炭化水素基、炭素数4〜12の2価の脂環式炭化水素基、または炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基を示す。]
前記一般式(S−1)及び(S−2)における、Rs1の炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状の2価の炭化水素基としては、例えば、メチレン基、エチレン基;1,3−プロピレン基、1,2−プロピレン基等のプロピレン基;テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、1−メチル−1,3−プロピレン基、2−メチル−1,3−プロピレン基、2−メチル−1,2−プロピレン基、1−メチル−1,4−ブチレン基、2−メチル−1,4−ブチレン基、エチリデン基、プロピリデン基、2−プロピリデン基等を挙げることができる。
また、前記Rs1の炭素数4〜12の2価の脂環式炭化水素基としては、例えば、単環式炭化水素基、架橋環式炭化水素基等が挙げられる。
前記単環式炭化水素基としては、1,3−シクロブチレン基等のシクロブチレン基、1,3−シクロペンチレン基等のシクロペンチレン基、1,4−シクロヘキシレン基等のシクロヘキシレン基、1,5−シクロオクチレン基等のシクロオクチレン基等の炭素数4〜12のシクロアルキレン基等が挙げられる。
架橋環式炭化水素基としては、例えば、1,4−ノルボルニレン基、2,5−ノルボルニレン基等のノルボルニレン基、1,5−アダマンチレン基、2,6−アダマンチレン基等のアダマンチレン基等の炭素数4〜12の2〜4環式炭化水素基等が挙げられる。
また、前記Rs1の炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニレン基、トリレン基等のアリーレン基等が挙げられる。
これらの中でも、一般式(S−1)においては単結合、炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状の2価の炭化水素基、または炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基が好ましく、単結合、メチレン基またはフェニレン基が特に好ましい。一般式(S−2)においては炭素数1〜6の直鎖状または分岐状の2価の炭化水素基が好ましく、2−メチルプロパンー2,3−ジイル基が特に好ましい。
繰り返し単位(s)の具体例としては、下記式で表されるものを挙げることができる。
(上記式においてRは水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。)
前記重合体成分(A)における繰り返し単位(s)の含有量は、重合体成分(A)が有する全繰り返し単位を100モル%として、通常、1〜20モル%であり、好ましくは1〜10モル%である。繰り返し単位(s)の含有量がある上記範囲であると、Blob欠陥を抑制でき、また、下地となるレジスト層に影響しにくい。
[繰り返し単位(f)]
繰り返し単位(f)は、フッ素原子を有しており、具体的には、下記式(f−1)で表される繰り返し単位(f1)や、下記式(f−2)で表される繰り返し単位(f2)を挙げることができる。
(上記式(f−1)中、Rf1は2価の連結基であり、上記式(f−2)中、Rf2はフッ素原子を含有する炭素数1〜10の直鎖状若しくは分岐状の1価の炭化水素基又は炭素数3〜10の1価の脂環式炭化水素基である。Rは、それぞれ独立に水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。)
上記式(f−1)におけるRf1の2価の連結基としては、炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状の2価の炭化水素基や、炭素数4〜12の2価の脂環式炭化水素基を挙げることができ、上記式(3)のLで例示した具体例をそのまま適用できる。また、上記炭化水素基及び脂環式炭化水素基中のメチレン基(−CH−)は、酸素原子、カルボニル基、エステル基で置換されていてもよい。Rf1としては、炭素数1〜3の直鎖状若しくは分岐状の2価の炭化水素基、ノルボルネン骨格を含む2価の基、又はアダマンタン骨格を含む2価の基が好ましい。
繰り返し単位(f1)の具体例としては、下記式(f1−1)〜(f1−6)で表される繰り返し単位を挙げることができる。
(上記式中、Rは、それぞれ独立に水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。)
また、上記繰り返し単位(f2)としては、Rf2のフッ素原子を含有する1価の直鎖状若しくは分岐状の炭化水素基において炭素数2〜8のものか又は1価の脂環式炭化水素基において炭素数4〜8のものがより好ましい。
繰り返し単位(f−2)の具体例としては、下記式のものを挙げることができる。
(上記式中、Rは、それぞれ独立に水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。)
前記重合体成分(A)における繰り返し単位(f)の含有量は、重合体成分(A)が有する全繰り返し単位を100モル%として、好ましくは、50〜97モル%であり、より好ましくは60〜95モル%である。繰り返し単位(f)の含有量がある上記範囲であると、上層膜表面と水滴との接触角を良好にすることができ、特に後退接触角を高くすることができる。
また、本発明における重合体成分には、上記の繰り返し単位以外に、アルカリ現像液に対する溶解性を向上させる目的で、下記式(n−1)で表される繰り返し単位(n1)を含有させることもできる。
(式(n−1)中、Rn2は、炭素数1〜20のフルオロアルキル基である。Rn1は、上記式(f−1)のRf1と同義であり、Rは、それぞれ独立に水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。)
また、本発明における重合体成分には、上記の繰り返し単位以外に、例えば、撥水性を向上させる目的で、下記式(n−2)で表される繰り返し単位(n2)を含有させることができる。
[一般式(n−2)において、Rn3は炭素数1〜20の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基の有する水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された基を示し、Rは、それぞれ独立に水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。]
前記繰り返し単位(n2)を得るための単量体としては、下記式で表される化合物等が挙げられる。
また、本発明における重合体成分には、上記の繰り返し単位以外に、例えば、アルカリ現像液への溶解性を向上させる目的でカルボキシル基を一つ有する繰り返し単位を含有させたり、あるいは、重合体の分子量、ガラス転移点、溶媒への溶解性などを制御する目的で、酸の作用によって脱離可能な酸解離性基を有する繰り返し単位やそれ以外の繰り返し単位等を含有させたりすることができる。
カルボキシル基を一つ有する繰り返し単位としては、下記式(C−1)で表される繰り返し単位、下記式(C−2)で表される繰り返し単位、および下記式(C−3)で表される繰り返し単位から選ばれる少なくとも一種の繰り返し単位のいずれかを挙げることができる。
(上記一般式(C−1)〜(C−3)において、Rは、それぞれ独立に水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。Rc1及びRc2は、それぞれ独立に、炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状の2価の炭化水素基、炭素数4〜12の2価の脂環式炭化水素基、または炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基を示す。)
前記一般式(C−1)及び(C−2)における、Rc1及びRc2の炭素数1〜6の直鎖状または分岐状の2価の炭化水素基、炭素数4〜12の2価の脂環式炭化水素基、炭素数6〜12の2価の芳香族炭化水素基については、前記一般式(S−1)及び(S−2)のRs1における説明をそのまま適用することができる。
前記式(C−1)または(C−2)で表される繰り返し単位の具体例としては、下記式で表されるものを挙げることができる。
(上記各式において、Rは、それぞれ独立に水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。)
[重合体(A1)]
上記重合体成分中に重合体(A1)を含む場合、その重合体(A1)における繰り返し単位(a)の含有量は、重合体(A1)が有する全繰り返し単位を100モル%として、好ましくは1〜50モル%であり、より好ましくは3〜20モル%である。繰り返し単位(a)の含有量が1モル%以上であると、重合体(A1)の溶け残りが少なくなることで欠陥をより少なくすることができ、50モル%以下であると、重合体(A1)の親水性が高くなりすぎず、上層膜の撥水性をより良好にできる。
なお、重合体(A1)は、上記において、重合体成分中に含有されていてもよい繰り返し単位として例示したもののうち、繰り返し単位(a)以外の繰り返し単位を有していてもよい。具体的には、上記繰り返し単位(s)および上記繰り返し単位(f)などを挙げることができる。
重合体(A1)の含有量は、当該液浸上層膜形成用組成物に含有される重合体成分の全部を100質量%とした場合に、60〜95質量%であるのが好ましく、70〜90質量%であるのがより好ましい。重合体(A1)の含有量が60質量%以上であると、上層膜のアルカリ現像液への溶解速度をより高めることができ、上層膜の溶け残りに起因する欠陥をより少なくすることができる。また、95質量%以下であると、重合体成分中において、後述する重合体(A2)を含む場合において重合体(A2)の高撥水性を維持しやすく、上層膜において後退接触角を高く維持することができる。
[その他の重合体]
[重合体(A2)]
本発明の上層膜形成用組成物には、重合体(A1)とは別の重合体(以下、その他の重合体とも言う)として、重合体(A1)よりも撥水性が高い重合体(A2)を含んでいるのが好ましい。この場合、重合体(A2)が上層膜の表面に局在化しやすくなり、重合体(A2)が有する撥水性によって、上層膜表面と水滴との接触角を良好にすることができ、特に後退接触角を高くすることができる。一方、重合体(A1)については、レジスト被膜と上層膜との界面側に局在化しやすくなり、その界面において形成されるミキシング層の存在によって欠陥が抑制されるとともに、レジストの種類にかかわらず矩形状のレジスト形状を得ることができる(レジスト形状の依存性を低減できる)。また、重合体(A1)が繰り返し単位(c)を有する場合には、ミキシング層における現像液溶解性をより高めることができ、欠陥の抑制効果を一層高めることができる。
重合体(A2)は、フッ素原子の含有率(質量%)が重合体(A1)よりも高いのが好ましい。また、重合体(A2)は、上記繰り返し単位(f)を備えるものが好ましく、具体的には、(i)上記繰り返し単位(f1)の単独重合体、(ii)上記繰り返し単位(f1)と上記繰り返し単位(f2)との共重合体、(iii)(メタ)アクリル酸アルキルにおける重合性不飽和結合が開裂した繰り返し単位と、上記繰り返し単位(f1)との共重合体等を挙げることができる。より具体的には、例えば、メタクリル酸(1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−2−ヒドロキシ−4−ペンチル)エステル単独重合体、メタクリル酸(2,2,2−トリフルオロエチル)エステル・メタクリル酸(1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−2−ヒドロキシ−4−ペンチル)エステル共重合体、メタクリル酸(2,2,2−トリフルオロエチル)エステル・メタクリル酸(1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−2−ヒドロキシ−4−ペンチル)エステル共重合体、メタクリル酸ブチル・メタクリル酸(1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−2−ヒドロキシ−4−ペンチル)エステル共重合体、メタクリル酸ラウリル・メタクリル酸(1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−2−ヒドロキシ−4−ペンチル)エステル共重合体、メタクリル酸(1,1,1,3,3,3,−ヘキサフルオロ−2−プロピル)エステル・メタクリル酸(1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−2−ヒドロキシ−4−ペンチル)エステル共重合体等を挙げることができる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記重合体(A2)における上記繰り返し単位(f)の含有量は、重合体(A2)が有する全繰り返し単位を100モル%として、好ましくは10〜100モル%であり、より好ましくは20〜100モル%である。繰り返し単位(f)の含有量が10モル%以上であると、重合体(A2)のアルカリ現像液への溶解性が低くなりすぎず、溶け残り欠陥の抑制効果が高い。
重合体(A2)の含有量は、当該上層膜形成用組成物に含有される重合体成分(A)の全部を100質量%とした場合に、5〜40質量%であるのが好ましく、10〜30質量%であるのがより好ましい。上記範囲とすることにより、後退接触角を適度に高くすることができ、欠陥をより抑制できる。
また、上記重合体成分(A)は、その他の重合体として、上記重合体(A2)以外の重合体を含有していてもよい。具体的には、例えば、上記その他の重合体として、上記重合体(A2)と、フッ素原子含有率が重合体(A2)よりも低く重合体(A1)よりも高い重合体(A3)とを含有する形態を挙げることができる。重合体(A3)として具体的には、例えば、上記繰り返し単位(f1)などのアルカリ可溶性基と上記繰り返し単位(s)との共重合体(A3)を挙げることができる。
なお、本重合体成分は、「その他の重合体」を必ずしも含有している必要はなく、上記重合体(A1)単独で構成されていてもよい。
前記重合体成分(A)として含まれる各重合体を製造する方法は特に限定されないが、例えば、適宜選択された開始剤や連鎖移動剤の存在下、重合溶媒中で、対応する一以上のラジカル重合性単量体をラジカル重合することによって製造することができる。
前記重合溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールのアルキルエーテル類;エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等の多価アルコールのアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、ジアセトンアルコール等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル等のエステル類を挙げることができる。これらのなかでも、環状エーテル類、多価アルコールのアルキルエーテル類、多価アルコールのアルキルエーテルアセテート類、ケトン類、エステル類等が好ましい。尚、これらの溶剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記重合体成分(A)として含まれる各重合体の重量平均分子量(以下、「Mw」ともいう。)は、それぞれ、2,000〜100,000であることが好ましく、より好ましくは2,500〜50,000、更に好ましくは3,000〜20,000である。このMwが2,000未満である場合、上層膜としての耐水性及び機械的特性が著しく低くなるおそれがある。一方、100,000を超える場合、前記溶媒に対する溶解性が著しく悪くなるおそれがある。
また、各重合体のMwと数平均分子量(以下、「Mn」ともいう)との比(Mw/Mn)は、1〜5であることが好ましく、更に好ましくは1〜3である。尚、本明細書における「重量平均分子量」及び「数平均分子量」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定したポリスチレン換算による値である。
また、重合体成分(A)は、ハロゲンイオン、金属等の不純物が少ないほど好ましく、不純物を少なくすることにより、上層膜としての塗布性とアルカリ現像液への均一な溶解性を更に改善することができる。
更に、重合体成分(A)に含まれる重合体を精製する方法としては、例えば、水洗、液々抽出等の化学的精製法や、これらの化学的精製法と限外ろ過、遠心分離等の物理的精製法との組み合わせ等を挙げることができる。
本発明における重合体成分(A)は、放射線照射時に水等の液浸媒体(液浸液)に対して安定な上層膜(保護膜)、つまり耐水性が高い上層膜を形成可能であるとともに、レジストパターンの形成に際して使用される現像液に溶解し得る。ここで、「液浸液に対して安定」とは、本発明の上層膜形成用組成物を用いて形成された塗膜に対し、ノズルから水(例えば超純水)を所定時間(例えば60秒)吐出させた後、所定回転速度(例えば4,000rpm)で所定時間(例えば15秒間)振り切りによりスピンドライしたときの膜厚の変化率が、初期膜厚の3%以内であることを意味するものとする。
[溶剤]
また、本発明の上層膜形成用組成物には、重合体成分等を溶解することを目的として溶剤が含まれる。この溶剤は、レジスト被膜上に塗布する際に、フォトレジスト膜と過度のインターミキシングを生じる等といったリソグラフィ性能の劣化を生じることがほとんどないものを好適に使用することができる。
上記溶剤としては、例えば、1価アルコール類、多価アルコール類、多価アルコール類のアルキルエーテル類、多価アルコールのアルキルエーテルアセテート類、エーテル類、環状エーテル類、高級炭化水素類、ケトン類、エステル類、水等を挙げることができる。
具体的には、1価アルコール類としては、炭素数4〜10が好ましく、例えば、ブチルアルコール、ペンタノール等を挙げることができ、多価アルコール類としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール等を挙げることができ、多価アルコール類のアルキルエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等を挙げることができる。また、多価アルコールのアルキルエーテルアセテート類としては、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート等を挙げることができ、エーテル類としては、炭素数4〜10のアルキル鎖を有するものが好ましく、例えば、ジプロピルエーテル、ブチルメチルエーテル、ジイソアミルエーテル等を挙げることができ、環状エーテル類としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン等を挙げることができる。また、高級炭化水素類としては、例えば、デカン、ドデセン、ウンテカン等を挙げることができ、ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等を挙げることができ、エステル類としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等を挙げることができる。
これらの溶剤の中でも、1価アルコール類、エーテル類、環状エーテル類、多価アルコール類のアルキルエーテル類、多価アルコールのアルキルエーテルアセテート類、高級炭化水素類が好ましく、特に、炭素数4〜10の1価のアルコール類、及び炭素数4〜10のアルキル鎖を有するアルキルエーテル類の少なくともいずれかを有するものが好ましい。
また、本発明の上層膜形成用組成物には、塗布性、消泡性、レベリング性等を向上させる目的で界面活性剤等の添加剤を更に配合することもできる。
前記界面活性剤としては、例えば、全て商品名で、BM−1000、BM−1100(以上、BMケミー社製)、メガファックF142D、同F172、同F173、同F183(以上、大日本インキ化学工業社製)、フロラードFC−135、同FC−170C、同FC−430、同FC−431(以上、住友スリーエム社製)、サーフロンS−112、同S−113、同S−131、同S−141、同S−145(以上、旭硝子社製)、SH−28PA、同−190、同−193、SZ−6032、SF−8428(以上、東レダウコーニングシリコーン社製)、エマルゲンA−60、104P、306P(以上、花王社製)等の市販されているフッ素系界面活性剤を使用することができる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
この界面活性剤の配合量は、重合体(A)及び重合体(B)の合計量100質量部に対して、5質量部以下であることが好ましい。
[フォトレジストパターン形成方法]
次に、本発明のフォトレジストパターン形成方法の一実施形態について説明する。本発明のフォトレジストパターン形成方法は、基板上にフォトレジスト組成物を塗布してフォトレジスト膜を形成する工程(工程(1))と、上記フォトレジスト膜に、上述した上層膜形成組成物を塗布して上層膜を形成する工程(工程(2))と、この上層膜とレンズとの間に液浸媒体を配置し、上記液浸媒体と所定のパターンを有するマスクとを介して上記フォトレジスト膜及び上記上層膜に露光光を照射し、次いで現像することによってレジストパターンを得る工程(工程(3))と、を備えるものである。
このような工程を備えることにより、本発明のフォトレジストパターン形成方法は、露光波長、特に248nm(KrF)及び193nm(ArF)に対する十分な透過性を有し、フォトレジスト膜と殆どインターミキシングを起こすことなくフォトレジスト膜上に形成され、液浸露光時に、水などの媒体に極めて溶出し難く安定な被膜を維持し、高解像度のレジストパターンを形成可能でありつつ、十分に高い後退接触角を有する上層膜、即ち、通常のスキャンスピード(例えば、500mm/s)においてウォーターマーク欠陥やパターン不良欠陥の発生を効果的に抑制し、スキャンスピードが高速(例えば、700mm/s)であっても上記欠陥の発生を効果的に抑制することができる。
(工程(1))
工程(1)は、基板上にフォトレジスト組成物を塗布してフォトレジスト膜を形成する工程である。上記基板としては、通常、シリコンウェハ、アルミニウムで被覆したシリコンウェハ等が用いられる。フォトレジスト膜の特性を最大限に引き出すため、予め、基板の表面に有機系ないし無機系の反射防止膜を形成しておくことも好ましい形態の一つである(例えば、特公平6−12452号公報等を参照)。
フォトレジスト膜を形成する物質の種類は、特に制限されるものではなく、従来、フォトレジスト膜を形成するために用いられていた物質の中から、レジストの使用目的に応じて適宜選択して使用すればよい。但し、酸発生剤を含有する化学増幅型のレジスト材料、特に、ポジ型レジスト材料を用いることが好ましい。化学増幅型のポジ型レジスト材料としては、例えば、酸解離性基修飾アルカリ可溶性樹脂と、感放射線性酸発生剤とを必須成分として含有する感放射線性の樹脂組成物等を挙げることができる。このような樹脂組成物は、放射線照射(露光)により酸発生剤から酸が発生し、その発生した酸の作用によって、樹脂の酸性基(例えば、カルボキシル基)を保護していた酸解離性基が解離して、酸性基が露出する。なお、酸性基が露出することにより、レジストの露光部のアルカリ溶解性が高くなり、その露光部がアルカリ現像液によって溶解、除去され、ポジ型のレジストパターンを形成することができる。
フォトレジスト膜は、フォトレジスト膜を形成するための樹脂成分に溶剤を加えて、その全固形分濃度を0.2〜20質量%に調整した溶液を得、得られた溶液を、孔径30nm程度のフィルターでろ過することにより塗工液を調製し、この塗工液を、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の従来公知の塗布方法を用いて基板上に塗布することによって形成することができる。このフォトレジスト膜は、溶媒を揮発させるために予備焼成(以下「PB」と記す場合がある)を行ってもよい。なお、フォトレジスト膜の形成に際しては、塗工液は自ら調製してもよいし、市販のレジスト溶液を塗工液として使用してもよい。
(工程(2))
工程(2)は、フォトレジスト膜に、既に上述した上層膜形成組成物を塗布して上層膜を形成する工程である。この工程は、工程(1)で形成されたフォトレジスト膜の表面上に、上述した上層膜形成組成物を塗布し、好ましくは再度焼成することにより上層膜を形成する工程である。上層膜を形成することによって、液浸露光の際に液浸液がフォトレジスト膜と直接接触することが防止され、液浸液の浸透によってフォトレジスト膜のリソグラフィ性能が低下したり、フォトレジスト膜から溶出する成分により投影露光装置のレンズが汚染されたりする事態を効果的に防止することが可能となる。
上層膜の厚さは、λ/4m(但し、λ:放射線の波長、m:保護膜の屈折率)の奇数倍にできる限り近づけることが好ましい。フォトレジスト膜の上側界面における反射抑制効果が大きくなるためである。
(工程(3))
工程(3)は、上記上層膜とレンズとの間に液浸媒体を配置し、この液浸媒体と所定のパターンを有するマスクとを介して上記フォトレジスト膜及び上記上層膜に露光光を照射し、次いで現像することによってレジストパターンを得る工程である。
上記液浸媒体としては、通常、空気より屈折率の高い液体を使用する。具体的には、水を用いることが好ましく、純水を用いることが更に好ましい。なお、必要に応じて液浸液のpHを調整してもよい。この液浸媒体を介在させた状態で(即ち、露光装置のレンズとフォトレジスト膜との間に液浸媒体を満たした状態で)、所定のパターンを有するマスクを通して放射線を照射し、フォトレジスト膜を露光させる。
液浸露光の際に使用することができる放射線は、使用されるフォトレジスト膜や上層膜の種類に応じて適宜選択すればよく、例えば、可視光線;g線、i線等の紫外線;エキシマレーザ等の遠紫外線;シンクロトロン放射線等のX線;電子線等の荷電粒子線等の各種放射線を用いることができる。なかでも、ArFエキシマレーザ(波長193nm)またはKrFエキシマレーザ(波長248nm)を用いることが好ましい。また、放射線量等の露光条件は、感放射線性樹脂組成物の配合組成、添加剤の種類等に応じて適宜設定すればよい。
フォトレジスト膜の解像度、パターン形状、及び現像性等を向上させるために、露光後に焼成(PEB)を行うことが好ましい。その焼成温度は、使用される感放射線性樹脂組成物の種類等によって適宜調節されるが、通常、30〜200℃、好ましくは50〜150℃である。
露光後またはPEB後に現像を行い、必要に応じて洗浄すれば、所望のフォトレジストパターンを形成することができる。上層膜は、本発明の一実施形態である上層膜形成組成物によって形成されている。従って、この上層膜は、別途の剥離工程によって除去する必要はなく、現像中または現像後の洗浄中に容易に除去することができる。なお、現像に際しては、通常、アルカリ性の現像液を使用する。
現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、アンモニア、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノナン等のアルカリ性化合物を少なくとも一種溶解したアルカリ性水溶液を使用することが好ましい。なかでも、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド類の水溶液を好適に用いることができる。
現像液には、例えば、メタノール、エタノール等のアルコール類をはじめとする水溶性有機溶媒や、界面活性剤を適量添加することもできる。なお、上記のアルカリ性水溶液を用いて現像した場合は、通常、現像後に水洗する。なお、現像、または必要に応じた水洗後に適宜乾燥すれば、目的とするフォトレジストパターンを形成することができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例、比較例中の「部」及び「%」は、特に断らない限り質量基準である。また、各種物性値の測定方法、及び諸特性の評価方法を以下に示す。
[重合体の評価]
(1)分子量(Mw、Mn)測定方法
重合体(A1)〜(A3)のMw及びMnは、東ソー社製の高速GPC装置(型式「HLC−8120」)に東ソー社製のGPCカラム(商品名「G2000HXL」;2本、「G3000HXL」;1本、「G4000HXL」;1本)を用い、流量1.0ml/分、溶出溶剤テトラヒドロフラン、カラム温度40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した。
[合成例1]モノマー(a−1a)の合成
1,6−ヘキサンジオール 75gとp−トルエンスルホニルクロリド 30gを1リットルの反応フラスコに入れ、そこにTHF 300mlを加えた。トリエチルアミン 24gをゆっくりと滴下した後、室温で20時間攪拌した。反応終了後、エバポレーターを用いTHFを留去し、残渣を酢酸エチル500mlで抽出した後に、200mlの水で洗浄し、続いて有機層を200mlの飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。有機層を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=2/3)で精製を行い、上記式(a−1a−1)で表される化合物32.8g(収率:76%)を得た。
窒素雰囲気下、40%オイル含有の水素化ナトリウム 7.2gを1リットルの反応フラスコに入れ、そこに無水DMF 250mlを加えた。0℃にDMF溶液を冷やし、マロン酸ジ−t−ブチル 45gをゆっくりと滴下した後、40℃で3時間攪拌した。その後、室温で上記式(a−1a−1)で表される化合物32.5gをゆっくりと滴下し、30℃で15時間攪拌した。反応終了後、反応溶液に酢酸エチル400ml及び水300mlを加え水洗し、続いて有機層を300mlの飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。有機層を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=8/1及び2/1)で精製を行い、上記式(a−1a−2)で表される化合物33.3g(収率:84%)を得た。
窒素雰囲気下、上記式(a−1a−2)で表される化合物31.6gと トリエチルアミン 15.2gを1リットルの反応フラスコに入れ、そこにトルエン 300mlを加えた。0℃にトルエン溶液を冷やし、メタクリル酸クロライド 11gをゆっくりと滴下した後、室温で5時間攪拌した。反応終了後、反応溶液に酢酸エチル400ml及び水300mlを加え水洗し、続いて有機層を300mlの飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。有機層を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=8/1)で精製を行い、上記式(a−1a−3)で表される化合物31.7g(収率:83%)を得た。
上記式(a−1a−3)で表される化合物12.0gを300mlのナスフラスコに入れ、そこにトリフルオロ酢酸 50mlを加えた後、室温で10時間攪拌した。反応終了後、反応溶液にトルエン50mlを加え、エバポレーターを用いてトルエン及びトリフルオロ酢酸を留去した。残渣に再びトルエンを50ml加え、留去する手順を3回繰り返し行い、トリフルオロ酢酸を完全に取り除いた。その後、析出した白色固体をヘキサンで洗い、吸引ろ過をすることにより上記式(a−1a)で表される化合物(a−1a)7.8g(収率:92%)を得た。
[合成例2]モノマー(a−1b)の合成
窒素雰囲気下、クエン酸トリエチル 5.0g、 トリエチルアミン 3.7g、1,4−ジアザビシクロ〔2,2,2〕オクタン 0.6gを200mlの反応フラスコに入れ、そこにトルエン 100mlを加えた。0℃にトルエン溶液を冷やし、メタクリル酸クロライド 2.8gをゆっくりと滴下した後、室温で4時間攪拌した。反応終了後、反応溶液に酢酸エチル200ml及び水100mlを加え水洗し、続いて有機層を100mlの飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。有機層を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン/酢酸エチル=8/1)で精製を行い、上記式(a−1b−1)で表される化合物4.6g(収率:74%)を得た。
上記式(a−1b−1)で表される化合物4.0gを200mlのナスフラスコに入れ、そこにメタノール/水=5/1混合溶媒を30ml加えた。0℃に混合溶媒を冷やし、そこに10%水酸化リチウム水溶液を3g加えた後、0℃を保ったまま一時間攪拌した。反応終了後、エバポレーターを用い溶媒を留去。その後、残渣にトルエン100mlを加え、再び溶媒を留去する一連の操作を3回繰り返し行い、水を取り除いた。残渣を酢酸エチル/メタノール=8/1混合溶媒に溶解させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/メタノール=8/1)で精製を行い、上記式(a−1b)で表される化合物(a−1b)1.4g(収率:47%)を得た。
[合成例3]重合体(A1)の合成
前述の繰り返し単位(a)を得るために用いられる前述の化合物(a−1a)1.82g(4モル%)、前述の繰り返し単位(f)を得るために用いられる、単量体メタクリル酸(1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−2−ヒドロキシ−4−ブチル)エステル35.62g(81モル%)、及び開始剤[2,2’−アゾビス−(2−メチルプロピオン酸メチル)]1.56gをイソプロパノール40.00gに溶解させた単量体溶液を準備した。
一方、温度計及び滴下漏斗を備えた200mlの三つ口フラスコにイソプロパノール50gを投入し、30分間窒素パージした。窒素パージの後、フラスコ内をマグネティックスターラーで攪拌しながら、80℃になるように加熱した。
そして、滴下漏斗を用い、予め準備しておいた単量体溶液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に1時間反応を行い、前述の繰り返し単位(s)を得るために用いられる単量体[ビニルスルホン酸]2.55g(15モル%)のイソプロパノール溶液10gを30分かけて滴下した。その後、更に1時間反応を行った後、30℃以下に冷却して、共重合液を得た。
得られた前記共重合液を150gに濃縮した後、分液漏斗に移した。この分液漏斗にメタノール50gとn−ヘキサン600gを投入し、分離精製を実施した。分離後、下層液を回収した。この下層液をイソプロパノールで希釈して100gとし、再度、分液漏斗に移した。その後、メタノール50gとn−ヘキサン600gを前記分液漏斗に投入して、分離精製を実施し、分離後、下層液を回収した。回収した下層液を4−メチル−2−ペンタノールに置換し、全量を250gに調整した。調整後、水250gを加えて分離精製を実施し、分離後、上層液を回収した。回収した上層液は、4−メチル−2−ペンタノールに置換して樹脂溶液とした。溶剤置換後の試料の固形分濃度は、その樹脂溶液0.3gをアルミ皿にのせ、140℃に加熱したホットプレート上で1時間加熱した後の残渣の質量から算出し、その後の保護膜形成用組成物溶液の調製と収率計算に利用した。得られた樹脂溶液に含有されている共重合体の、Mwは10010、Mw/Mnは1.55であり、収率は75%であった。また、この共重合体に含有される、前述の化合物(a−1a)、メタクリル酸(1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−2−ヒドロキシ−4−ブチル)エステルに由来する繰り返し単位、及びビニルスルホン酸に由来する繰り返し単位の含有率は、5:93:2(モル%)であった。この共重合体を特定重合体(A1−1)とする。
合成例3と同様の方法を用いて、特定重合体(A1−2)〜(A1−6)、重合体(A’1−2)〜(A’1−3)を表1に示した組成にて合成した。得られた重合体の組成を表2に示す。
[合成例4]重合体(A2−1)の合成
2,2−アゾビス(2−メチルイソプロピオン酸メチル)13.85gをメチルエチルケトン13.85gに溶解させた混合溶液を準備した。
一方、温度計及び滴下漏斗を備えた2000mlの三つ口フラスコに、メタクリル酸(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル)エステル198.87g、メタクリル酸(1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−2−ヒドロキシ−4−ペンチル)エステル101.13g、及びメチルエチルケトン586.15gを投入し、30分間窒素パージした。窒素パージ後、フラスコ内をマグネティックスターラーで撹拌しながら75℃になるように加熱した。
そして、滴下漏斗を用い、予め準備しておいた混合体溶液を5分かけて滴下し、360分間熟成させた。その後、30℃以下に冷却して共重合液を得た。
次いで、得られた共重合液を600gに濃縮し後、分液漏斗に移した。この分液漏斗にメタノール193g、及びn−ヘキサン1542gを投入し、分離精製を実施した。分離後、下層液を回収した。回収した下層液にメチルエチルケトン117g、及びn−ヘキサン1870gを投入し、分離精製を実施した。分離後、下層液を回収した。更に回収した下層液にメタノール93g、メチルエチルケトン77g、及びn−ヘキサン1238gを投入し、分離精製を実施した。分離後、下層液を回収した。回収した下層液を4−メチル−2−ペンタノールに置換し、この溶液を蒸留水にて洗浄して再度4−メチル−2−ペンタノールに置換して重合体溶液とした。尚、前記4−メチル−2−ペンタノールに置換した後の試料(重合体溶液)の固形分濃度は、前記重合体溶液0.3gをアルミ皿に計量し、ホットプレート上で140℃×1時間加熱した後、前記重合体溶液の加熱前の質量と残渣(加熱後)の質量により算出した。この固形分濃度は、上層膜形成用組成物溶液の調製と収率計算に利用した。
得られた重合体溶液に含有されている共重合体の、Mwは10200、Mw/Mnは1.65であり、収率は65%であった。また、この共重合体に含有されるメタクリル酸(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロピル)エステルに由来する繰り返し単位、及びメタクリル酸(1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−2−ヒドロキシ−4−ペンチル)エステルに由来する繰り返し単位の含有率は、69.5:30.5(モル%)であった。この共重合体を重合体(A2−1)とする。
尚、重合体(A2−1)を用いて膜成形した際における水との後退接触角は82°であった。
[合成例5]重合体(A3−1)の合成
メタクリル酸(1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−2−ヒドロキシ−4−ペンチル)エステル46.95g(85モル%)、及び開始剤(2,2’−アゾビス−(2−メチルプロピオン酸メチル))6.91gをイソプロパノール100gに溶解させた単量体溶液を準備した。
一方、温度計及び滴下漏斗を備えた500mlの三つ口フラスコにイソプロパノール50gを投入し、30分間窒素パージした。窒素パージの後、フラスコ内をマグネティックスターラーで攪拌しながら、80℃になるように加熱した。
そして、滴下漏斗を用い、予め準備しておいた単量体溶液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、更に1時間反応を行い、ビニルスルホン酸3.05g(15モル%)のイソプロパノール溶液10gを30分かけて滴下した。その後、更に1時間反応を行った後、30℃以下に冷却して、共重合液を得た。
次いで、得られた共重合液を150gに濃縮した後、分液漏斗に移した。この分液漏斗にメタノール50gとn−ヘキサン600gを投入し、分離精製を実施した。分離後、下層液を回収した。この下層液をイソプロパノールで希釈して100gとし、再度、分液漏斗に移した。その後、メタノール50gとn−ヘキサン600gを前記分液漏斗に投入して、分離精製を実施し、分離後、下層液を回収した。回収した下層液を4−メチル−2−ペンタノールに置換し、全量を250gに調整した。調整後、水250gを加えて分離精製を実施し、分離後、上層液を回収した。次いで、回収した上層液は、4−メチル−2−ペンタノールに置換して重合体溶液とした。尚、前記4−メチル−2−ペンタノールに置換した後の試料(重合体溶液)の固形分濃度は、前記重合体溶液0.5gをアルミ皿に計量し、ホットプレート上で155℃に加熱したホットプレート上で30分間加熱した後、前記重合体溶液の加熱前の質量と残渣(加熱後)の質量により算出した。この固形分濃度は、上層膜形成用組成物溶液の調製と収率計算に利用した。
得られた重合体溶液に含有されている共重合体のMwは9760、Mw/Mnは1.51であり、収率は65%であった。また、この共重合体に含有される、メタクリル酸(1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−2−ヒドロキシ−4−ペンチル)エステルに由来する繰り返し単位、及びビニルスルホン酸に由来する繰り返し単位の含有率は、98:2(モル%)であった。この共重合体を重合体(A3−1)とする。
尚、重合体(A3−1)を用いて膜成形した際における水との後退接触角は69°であった。
合成例5と同様の方法を用いて、特定重合体(A3−2)を表1に示した組成にて合成した。得られた重合体の組成を表2に示す。
なお、表中、各単量体はそれぞれ下記のものを示す。
s−2:ビニルスルホン酸
c−a:2−((3−(メタクリロイルオキシ)プロポキシ)カルボニル)シクロヘキサンカルボン酸
f−1a:メタクリル酸(1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−2−ヒドロキシ−4−ブチル)エステル
f−1b:メタクリル酸(1,1,1−トリフルオロ−2−トリフルオロメチル−2−ヒドロキシ−4−ペンチル)エステル
f−2:メタクリル酸(1−トリフルオロメチル−2,2,2−トリフルオロエチル)エステル
[実施例1〜実施例18]
液浸用上層膜形成用組成物を上記実施例で得られた樹脂を用いて作製した。表1に示す樹脂の固形分4gおよび表1に示す溶媒(G)をそれぞれ表記した重量比で総量96gとなるように溶媒を加え2時間攪拌した後、孔径200nmのフィルターでろ過して溶液を調製した。なお、表1において、4−メチル−2−ペンタノール(以下、「G−1」)を、ジイソアミルエーテル(以下、「G−2」)をそれぞれ表す。表1において混合溶媒の場合の溶媒比は重量比を表す。得られた上層膜形成用組成物の評価を次に示す方法で行なった。結果を表3に示す。
[比較例1〜9]
表1に示す成分を用いる以外は実施例1と同様の手法にて、比較例1〜9の上層膜形成用組成物を得た。
[調製例]フォトレジスト組成物の調製
フォトレジスト膜を形成するためのフォトレジスト組成物を以下の方法により調製した。
[合成例4]フォトレジスト組成物用重合体(M)の合成例
下記化合物(M−1)53.93g(50モル%)、化合物(M−2)35.38g(40モル%)、化合物(M−5)10.69g(10モル%)を2−ブタノン200gに溶解し、更にジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)5.58gを投入した単量体溶液を準備し、100gの2−ブタノンを投入した500mlの三口フラスコを30分窒素パージした。窒素パージの後、反応釜を攪拌しながら80℃に加熱し、事前に準備した上記単量体溶液を滴下漏斗を用いて3時間かけて滴下した。滴下開始を重合開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合終了後、重合溶液は水冷することにより30℃以下に冷却し、2000gのメタノールへ投入し、析出した白色粉末をろ別した。ろ別された白色粉末を2度400gのメタノールにてスラリー上で洗浄した後、ろ別し、50℃にて17時間乾燥し、白色粉末の重合体を得た(74g、収率74%)。この重合体はMwが6900、Mw/Mn=1.70、13C−NMR分析の結果、化合物(M−1)、化合物(M−2)、化合物(M−3)に由来する各繰り返し単位の含有率が53.0:37.2:9.8(モル%)の共重合体であった。この重合体をアクリル系重合体(c)とする。尚、この重合体中の各単量体由来の低分子量成分の含有量は、この重合体100質量%に対して、0.03質量%であった。これを重合体(M)とする。
フォトレジスト膜を形成するためのフォトレジスト組成物(α)は、フォトレジスト組成物用重合体(M)100質量部、酸発生剤(C)としてトリフェニルスルホニウム・ノナフルオロ−n−ブタンスルホネート1.5質量部、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム・ノナフルオロ−n−ブタンスルホネート6質量部、酸拡散制御剤(D)としてR−(+)−(tert−ブトキシカルボニル)−2−ピペリジンメタノール0.65質量部を混合し、溶剤(E)としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート2900質量部、シクロヘキサノン120質量部、γ−ブチロラクトン100質量部を添加した後、孔径30nmのフィルターでろ過することにより調製した。
[評価]
実施例1〜18および比較例1〜9の上層膜形成用組成物について以下に示す各種評価を行った。評価結果を表3に示す。
(1)ハガレ耐性試験
基板として、HMDS処理をしていない8インチシリコンウェハを用いた。
前記基板上に、上層膜形成用組成物をCLEAN TRACK ACT8にて、スピンコートした後に90℃×60秒の条件でPBを行い、膜厚30nmの上層膜を得た。その後、CLEAN TRACK ACT8にて純水によるリンスを60秒間行い、振り切りによる乾燥を行った。
目視によりリンス後にエッジ部でハガレが観測された場合を「×」とし、ハガレが観測されない場合を「○」と評価した。その結果を表3に示す。
(2)欠陥性能(ウォーターマーク欠陥)
基板として、表面に膜厚77nmの下層反射防止膜(「ARC29A」、ブルワー・サイエンス社製)を形成した12インチシリコンウエハを用いた。なお、この下層反射防止膜の形成には、「CLEAN TRACK ACT12」(東京エレクトロン社製)を用いた。
前記基板上に、感放射線性樹脂組成物(α)を前記CLEAN TRACK ACT12にて、スピンコートした後にPB(90℃、60秒)膜厚120nmのフォトレジスト膜を得た。その後、フォトレジスト膜上に上層膜形成組成物溶液をスピンコートした後、PB(90℃、60秒)により膜厚30nmの塗膜(上層膜)を得た。次に、ArF投影露光装置(型番「S610C」、ニコン社製)にてNA=0.85、σ0/σ1=0.97/0.78、Azimuthの条件で、マスクパターンを介して露光を行った。この際、レジスト(フォトレジスト膜)上面と液浸露光機レンズとの間には液浸溶媒として純水を配置した。その後、PB(115℃、60秒)で焼成した後、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により、23℃で60秒間現像し、水洗し、乾燥して、ポジ型のレジストパターンを形成した。このとき、線幅100nmのライン・アンド・スペースパターン(1L1S)を1対1の線幅に形成する露光量を最適露光量とし、この最適露光量を感度とした。なお、この測長には走査型電子顕微鏡(「S−9380」、日立ハイテクノロジーズ社製)を用いた。
その後、線幅100nmのライン・アンド・スペースパターン(1L1S)上の欠陥性能を、KLA−Tencor社製の「KLA2810」を用いて測定した。具体的には、「KLA2810」にて測定された欠陥を、走査型電子顕微鏡(「S−9380」、日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて観察し、ArFエキシマレーザー液浸露光由来と予想されるウォーターマーク欠陥(water−mark欠陥)とバブル欠陥とを区別した。そして、それらの数を測定して欠陥性能とした。その結果を表3に示す。ウォーターマーク欠陥の評価は、検出されたウォーターマーク欠陥が50個未満の場合は「○」、50個以上100個未満の場合は「△」、100個を超えた場合は「×」とした。評価結果を表3に示す。なお、表3中、「ウォーターマーク欠陥」は本評価を示す。バブル欠陥の評価は、検出されたバブル欠陥が50個以下の場合は「○」、50個以上100個未満の場合は「△」、100個を超えた場合は「×」とした。評価結果を表3に示す。
(3)欠陥性能(ブリッジ欠陥)
前記基板上に、感放射線性樹脂組成物(α)を前記CLEAN TRACK ACT12にて、スピンコートした後にPB(90℃、60秒)膜厚120nmのフォトレジスト膜を得た。その後、フォトレジスト膜上に上層膜形成組成物溶液をスピンコートした後、PB(90℃、60秒)により膜厚30nmの塗膜(上層膜)を得た。次に、ArFエキシマレーザー液浸露光装置(型番「S610C」)にてNA=0.85、σ/σ=0.97/0.78、Azimuthの条件で、マスクパターンを介して露光を行った。この際、レジスト(フォトレジスト膜)上面と液浸露光機レンズとの間には液浸溶媒として純水を配置した。その後、PB(115℃、60秒)で焼成した後、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により、23℃で60秒間現像し、水洗し、乾燥して、ポジ型のレジストパターンを形成した。このとき、線幅100nmのライン・アンド・スペースパターン(1L1S)を1対1の線幅に形成する露光量を最適露光量とし、この最適露光量を感度とした。なお、この測長には走査型電子顕微鏡(「S−9380」、日立ハイテクノロジーズ社製)を用いた。
その後、線幅100nmのライン・アンド・スペースパターン(1L1S)上の欠陥性能を、KLA−Tencor社製の「KLA2810」を用いて測定した。具体的には、「KLA2810」にて測定された欠陥を、走査型電子顕微鏡(「S−9380」、日立ハイテクノロジーズ社製)を用いて観察し、ブリッジ欠陥を確認した。そして、それらの数を測定して欠陥性能とした。その結果を表6に示す。ブリッジ欠陥の評価は、検出されたブリッジ欠陥が50個未満の場合は「○」、50個以上100個未満の場合は「△」、100個を超えた場合は「×」とした。評価結果を表3に示す。なお、表3中、「ブリッジ欠陥」は本評価を示す。
表3から明らかなように、実施例1〜18の上層膜形成用組成物は、比較例1,4、5の組成物と比較して剥がれ耐性が良好かつウォーターマーク欠陥が少ないことを確認できた。また、比較例2の組成物と比較して剥がれ耐性が良好なことを確認できた。また、比較例3,8,9の組成物と比較してブリッジ欠陥が少ないことを確認できた。さらに、比較例6,7の組成物と比較してウォーターマーク欠陥を抑制できることを確認できた。
以上のことから本発明の上層膜形成用組成物によってウォーターマーク欠陥、ブリッジ欠陥を抑制かつハガレ耐性が良好な上層膜が得られることがわかった。
本発明の上層膜形成用組成物は、液浸露光に好適に使用可能な上層膜を形成することができ、今後、更に微細化が進行すると予想される半導体デバイスの製造工程において極めて好適に用いることができる。

Claims (6)

  1. 複数のカルボキシル基を含む繰り返し単位(a)を有する重合体成分(A)および溶剤(B)を含み、該繰り返し単位(a)が下記式(a1)である、液浸上層膜形成用組成物。


    (a1)

    (上記式(a1)中、Qは(m+1)価の有機基であり、Rは、それぞれ独立に水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示し、mは、2〜4の整数である。)
  2. 前記式(a1)において、Qが、炭素数1〜10の(m+1)価の脂肪族炭化水素基、または炭素数3〜10の(m+1)価の脂環式炭化水素基である、請求項1に記載の液浸上層膜形成用組成物。
  3. 重合体成分(A)が、スルホ基を有する繰り返し単位(s)を有する、請求項1又は2に記載の液浸上層膜形成用組成物
  4. 重合体成分(A)が、フッ素原子を有する繰り返し単位(f)を有する、請求項1〜のいずれかに記載の液浸上層膜形成用組成物。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載の液浸上層膜形成用組成物を用いて形成された液浸上層膜。
  6. 基板上にフォトレジスト組成物を塗布してフォトレジスト膜を形成する工程(1)と、
    請求項1〜のいずれか一項に記載の液浸上層膜形成用組成物を前記フォトレジスト膜上に塗布して前記フォトレジスト膜上に上層膜を形成する工程(2)と、
    前記上層膜上に液浸媒体を配し、所定のパターンを有するマスクおよび液浸液体を通過させた露光光を、前記上層膜及び前記フォトレジスト膜に照射することによって、前記上層膜及び前記フォトレジスト膜を露光する工程(3)と、
    露光された前記上層膜及び前記フォトレジスト膜を現像液で現像する工程(4)と、を備えるレジストパターン形成方法。
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