JP5667536B2 - アクリル系熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
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機械的特性、特に靭性向上を目的として、特許文献1に、メタクリル系樹脂(A)とポリビニルアセタール樹脂(B)とを含有し、少なくともメタクリル系樹脂(A)が連続相を形成しており、アクリル系熱可塑性樹脂組成物のガラス転移温度のうち、メタクリル系樹脂(A)に起因するガラス転移温度(TgAP)が、メタクリル系樹脂(A)単独でのガラス転移温度(TgA)とポリビニルアセタール樹脂(B)単独でのガラス転移温度(TgB)との間の値を示す熱可塑性樹脂組成物が提案されている。この樹脂組成物は、透明性が高く、表面硬度に優れ、耐衝撃性や靱性などが良好である。
本発明の目的は、メタクリル系樹脂(A)とポリビニルアセタール樹脂(B)とを含有する熱可塑性樹脂組成物において、さらに、透明性及び色相に優れ、フィッシュアイなどの欠点が少なく、表面平滑性に優れる成形品やフィルムを、再現性良く、安定に作製しうる熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
さらに本発明のもう一つの目的は、該アクリル系熱可塑性樹脂組成物からなり、フィッシュアイなどの欠点が少なく、表面平滑性に優れる成形品、およびフィルム(本発明において「フィルム」とは、厚さが通常500μm以下のものを示す)を、再現性良く安定に提供することにある。
〔1〕メタクリル系樹脂(A)と、ポリビニルアルコール樹脂を炭素数4以下のアルデヒドを用いてアセタール化度65〜85モル%でアセタール化して得られるポリビニルアセタール樹脂(B)と、メタクリル系樹脂(A)およびポリビニルアセタール樹脂(B)の合計に対して1ppm以上200ppm以下のアセトアルデヒド(E1)と、メタクリル系樹脂(A)およびポリビニルアセタール樹脂(B)の合計に対して1ppm以上200ppm以下のブチルアルデヒド(E2)とを含有するアクリル系熱可塑性樹脂組成物。
〔2〕メタクリル系樹脂(A)およびポリビニルアセタール樹脂(B)の合計に対して100ppm以下の酢酸(F1)と、メタクリル系樹脂(A)およびポリビニルアセタール樹脂(B)の合計に対して100ppm以下のブタン酸(F2)とを、さらに含有する、〔1〕に記載のアクリル系熱可塑性樹脂組成物。
〔3〕アクリル系熱可塑性樹脂組成物におけるメタクリル系樹脂(A)に起因するガラス転移温度(TgAP)が、メタクリル系樹脂(A)単独でのガラス転移温度(TgA)とポリビニルアセタール樹脂(B)単独でのガラス転移温度(TgB)との間の値である、〔1〕または〔2〕に記載のアクリル系熱可塑性樹脂組成物。
〔4〕メタクリル系樹脂(A)とポリビニルアセタール樹脂(B)の質量比(A)/(B)が99/1〜51/49である、〔1〕〜〔3〕のいずれかひとつに記載のアクリル系熱可塑性樹脂組成物。
〔5〕ポリビニルアセタール樹脂(B)がポリビニルブチラール樹脂である、〔1〕〜〔4〕のいずれかひとつに記載のアクリル系熱可塑性樹脂組成物。
〔6〕前記〔1〕〜〔5〕のいずれかひとつに記載のアクリル系熱可塑性樹脂組成物からなる成形品、またはフィルム。
アクリル酸エステルとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、s−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、ミリスチルアクリレート、パルミチルアクリレート、ステアリルアクリレート、ベヘニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレートなどが挙げられる。アクリル酸エステルは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、アルキル基の炭素数が1〜8であるアルキルアクリレートが好ましい。
当該エチレン性不飽和単量体としては、1,3−ブタジエン、イソプレンなどのジエン系化合物;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、ハロゲンで核置換されたスチレン、1−ビニルナフタレン、4−メチルスチレン、4−プロピルスチレン、4−シクロヘキシルスチレン、4−ドデシルスチレン、2−エチル−4−ベンジルスチレン、4−(フェニルブチル)スチレンなどのビニル芳香族化合物;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのエチレン性不飽和ニトリル化合物;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、無水マレイン酸、マレイン酸イミド、モノメチルマレエート、ジメチルマレエートなどを挙げることができる。エチレン性不飽和単量体は1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明に用いられるメタクリル系樹脂(A)は、単量体が線状に連なって結合したものであっても良いし、分岐を有するものであっても良いし、環状構造を有するものであっても良い。
なお、ポリビニルアルコール樹脂の重合度(P)は、JIS−K6726に準じて測定される。すなわち、ポリビニルアルコール樹脂を完全に再けん化し、精製した後、30℃の水中で極限粘度[η](dl/g)を測定し、その値から数式(i)によって算出されるものである。
けん化反応時に使用可能な溶媒としては、メチルアルコール、酢酸メチル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。これらの溶媒の中でもメタノールが好ましい。使用される溶媒は含水率を調整されたものが好ましい。溶媒の含水率は、好ましくは0.001〜1質量%、より好ましくは0.003〜0.9質量%、さらに好ましくは0.005〜0.8質量%である。
炭素数4以下のアルデヒドとしては、ホルムアルデヒド(パラホルムアルデヒドを含む)、アセトアルデヒド(パラアセトアルデヒドを含む)、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒドなどが挙げられる。アルデヒドは1種単独でまたは2種類以上を組み合わせて用いてもよい。これらのアルデヒドのうち、製造の容易度および取り扱いの観点から、アセトアルデヒド(パラアセトアルデヒドを含む)、およびブチルアルデヒドが好ましい。
なお、ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度は、JIS K6728(1977年)等に記載の方法に則って決定することができる。
先ず、アセタール化されなかったビニルアルコール単位の質量比(l0)および酢酸ビニル単位の質量比(m0)を滴定によって求める。アセタール化されたビニルアルコール単位の質量比(k0)をk0=1−l0−m0によって算出する。これらから、アセタール化されなかったビニルアルコール単位のモル比(l)および酢酸ビニル単位のモル比(m)を計算し、k=1−l−mによって、アセタール化されたビニルアルコール単位のモル比(k)を算出する。
または、ポリビニルアセタール樹脂を重水素化ジメチルスルフォキサイドに溶解し、1H−MMR、または13C−NMRを測定して、アセタール化されなかったビニルアルコール単位のモル比(l)、ビニルエステル単位のモル比(m)およびアセタール化されたビニルアルコール単位のモル比(k)を算出する。ただし、k0+l0+m0=1、k+l+m=1である。
そして、 k/(k+l+m}×100 によって、アセタール化度を、算出する。
本発明に用いられるポリビニルアセタール樹脂(B)は、力学物性および耐熱性の観点から、ブチルアルデヒドでアセタール化されたビニルアルコール単位/アセトアルデヒドでアセタール化されたビニルアルコール単位のモル比が、好ましくは100/0〜20/80、より好ましくは80/20〜20/80である。このようなポリビニルアセタール樹脂(B)を用いることで、ポリビニルアセタール樹脂が、本来有している強度・弾性率や表面硬度、表面の平滑性、透明度などの特長を保持しつつ、力学物性および耐熱性に優れた成形品を得ることができる。当該ポリビニルアセタール樹脂(B)のブチラール化度は、65〜85モル%、好ましくは68〜83モル%、より好ましくは72〜80モル%である。ブチラール化度が上記範囲にあるポリビニルアセタール樹脂を用いると、力学特性、特に靭性に優れ、本発明のアクリル系熱可塑性樹脂組成物を容易に且つ安価に得ることができる。また、ブチラール化度が上記範囲にあるポリビニルアセタール樹脂を用いると、メタクリル系樹脂(A)の屈折率とポリビニルブチラールの屈折率との差が小さくなり、メタクリル系樹脂(A)の特長である透明性(高可視光線透過率・低ヘイズ)が保持されやすい。さらに、延伸した際、折り曲げた際、衝撃を受けた際および/または長時間湿熱条件下に置かれた際にほとんど白化しないという特長があらわれやすい。
精製方法は特に制限されず、脱液と洗浄を繰り返すなどの方法が通常用いられる。精製に用いられる液としては、水や、水にメタノールやエタノールなどのアルコールを加えた混合液などが挙げられる。中でも、ポリビニルアセタール樹脂を中和した後に、水とアルコール(メタノール、エタノールなど)との混合溶液で、pHが好ましくは6〜8、より好ましくは6.5〜7.5になるまで、脱液と洗浄を繰り返す方法が、アルデヒドまたは酸類を効率よく低減でき、ポリビニルアセタール樹脂を安定に製造することができる点で好ましい。水/アルコールの混合比率は、質量比で50/50〜95/5であることが好ましく、60/40〜90/10であることがより好ましい。水の割合が少なすぎると、ポリビニルアセタール樹脂の混合液中への溶出が多くなる傾向がある。水の割合が多すぎると、アルデヒドまたは酸類の除去効率が低下する傾向がある。
なお、熱可塑性樹脂組成物の相構造の観察は、例えば、ウルトラミクロトーム(RICA社製Reichert ULTRACUT−S)を用いて超薄切片を作製し、次いで四酸化ルテニウムで電子染色し、株式会社日立製作所製透過型電子顕微鏡H−800NAを用いて行なう。
さらに、本発明の好適な態様のアクリル系熱可塑性樹脂組成物は、温度60℃、湿度90%の条件下に、1500時間放置された前後におけるヘイズの変化(放置前のヘイズと放置後のヘイズとの差)が、1.0%未満である。
さらに好適な製法では、メタクリル系樹脂(A)とポリビニルアセタール樹脂(B)とを、樹脂温度140℃以上で溶融混練する際に、せん断速度100sec-1以上のせん断を印加する段階と、該せん断をせん断速度50sec-1以下にする段階とをそれぞれ少なくとも2回経ることが好ましい。また、揮発成分を除去するために、減圧して溶融混練することが好ましい。
溶融混練する際に熱可塑性樹脂組成物に与える剪断は、剪断速度として、好ましくは100sec-1以上、より好ましくは200sec-1以上である。
さらに、耐候性を向上させる目的で紫外線吸収剤を添加することができる。紫外線吸収剤の種類は特に限定されないが、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、または、トリアジン系のものが好ましい。紫外線吸収剤の添加量は、熱可塑性樹脂組成物に対して、通常0.1〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%であり、さらに好ましくは0.1〜2質量%である。
なお、本発明のアクリル系熱可塑性樹脂組成物に添加される上記添加剤は、熱可塑性樹脂組成物を製造する際に添加してもよいし、後述する成形の直前に添加してもよい。
積層フィルムに用いられる他の樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、トリアセチルセルロース等を挙げることができる。他の樹脂としては、フィルムの外観美の観点から、メタクリル系樹脂などの透明な樹脂が好ましい。
フィルムに傷がつきにくく、外観美が長く持続するという観点から、最外層に用いる樹脂材料は、表面硬度および耐候性が高いものが好ましく、例えば、メタクリル系樹脂又は本発明のアクリル系熱可塑性樹脂組成物が好ましい。
積層フィルムの製造方法は特に限定されないが、共押出し法により直接多層フィルムを製造する方法、単層で作製したフィルムを貼り合わせる方法などが挙げられる。
(重量平均分子量)
テトラヒドロフランを溶媒に用い、昭和電工株式会社製Shodex(商標)GPC SYSTEM11に、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー用カラムとしてShodex(商標)KF−806Lを繋ぎ、検出器としてShodex(商標)示差屈折率検出器RI−101を用いて測定した。試料溶液は、重合体を3mg精秤し、これを3mlのテトラヒドロフランに溶解し、0.45μmのメンブランフィルターでろ過することにより調製した。測定の際の流量は、1.0ml/分とし、ポリマーラボラトリーズ製標準ポリメタクリル酸メチルで作製した検量線に基づいて、ポリメタクリル酸メチル換算分子量として重量平均分子量(Mw)を算出した。
株式会社パーキンエルマージャパン製の加熱脱着装置「TurboMatrix300」を用いて発生させた揮発成分をアジレントテクノロジー株式会社社製のガスクロマトグラフ「GC−6890N」を用いてFID検出器により検出し、濃度既知の標準サンプルを用いて作成した検量線により、アセトアルデヒド(E1)、ブチルアルデヒド(E2)、酢酸(F1)、およびブタン酸(F2)の含有量を定量した。
ガスクロマトグラフ測定時の条件は、以下のとおりである。
サンプルの重量:5mg
サンプルを加熱する温度:150℃
サンプルを加熱する時間:5分間
キャリアガス:ヘリウム
キャリアガスの流量:60ml/分
損失正接(tanδ)の主分散のピーク温度(Tg)は、株式会社レオロジー製DVE RHEOSPECTOLER DVE−V4を用いて、長さ20mm×幅3mm×厚さ125μmの試験片を正弦波振動10Hz、昇温速度3℃/分により測定した。
株式会社日立ハイテクノロジーズ社製の分光光度計U−4100を用いて厚さ125μmのフィルムの波長380nm〜780nmにおける透過率を測定し、JIS R3106に従って算出した可視光線透過率を測定した。
JIS K7136に従い、厚さ125μmの試験フィルムで測定した。
株式会社日立ハイテクノロジーズ社製の分光光度計U−4100を用いて厚さ125μmのフィルムの波長380〜780nmにおける透過率を測定し、JIS Z8722に従ってXYZ値を求め、JIS K7105に従って黄色度(YI)を算出した。黄色度(YI)の値が小さいほど、溶融成形時の着色が少ないことを示す。
厚さ125μmのフィルムから、30cm×30cmの試験片を切り出し、この試験片中の0.05mm2以上のフィッシュアイの数を目視により数え、算出した(個/30cm×30cm)。
原子間力顕微鏡(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製SPI4000プローブステーションE−sweep環境制御ユニット)を用いて、表面の形状をDFMモードによって測定した。プローブはエスアイアイ・ナノテクノロジー社製SI−DF20(背面Al)を用いた。(試料測定に先立ち、ピッチ10μm、段差100nmの参照試料を測定し、装置のX軸、Y軸の測定誤差が10μmに対して5%以下、Z軸の誤差が100nmに対して5%以下であることを確認した。)
試料の観察領域は2μm×2μmとし、測定周波数を1.0Hzとした。スキャンライン数はX軸を512、Y軸を512とした。測定は25℃±2℃、湿度30±5%の大気環境で行った。得られた測定データを、装置に付属のデータ処理ソフトウェアにより解析し、平均面粗さRaを求めた。すなわち、装置の測定ソフトウェアの[ツール]メニューの[3次傾き補正]コマンドを選択し、成形品の傾きや大きなうねりの全面傾きを補正した後、[解析]メニューの[表面粗さ解析]コマンドを選択し、平均面粗さRaを得た。平均面粗さRaは、以下のように定義される。
※平均面粗さRa:基準面から指定面までの偏差の絶対値を平均した値。
この平均面粗さRaを成形品(フィルムや板)の両面(便宜上、A面およびB面とする)において異なる10箇所の領域でそれぞれ測定し、10箇所の平均面粗さRaの平均値を成形品表面の粗度とした。3次傾き補正は、測定した試料表面を3次の曲面で最小2乗近似によってフィッティングすることによって行い、試料の傾きおよびうねりの影響を排除するために行った。
メタクリル酸メチル単位91質量%およびアクリル酸メチル単位9質量%からなるメタクリル系樹脂(A−1)をバルク重合法により作製した。メタクリル系樹脂(A−1)は、重量平均分子量(Mw)が100,000、ガラス転移温度TgAが128℃であった。
表1に示す重合度およびけん化度を有するポリビニルアルコール樹脂を溶解した水溶液に、表1に示すアルデヒド化合物ならびに酸触媒としての塩酸を添加し、攪拌してアセタール化した。反応の進行に伴って樹脂粒子が析出した。公知の方法に従ってpH=6になるまでスラリーを洗浄し、次いでアルカリ性にした水性媒体中に撹拌懸濁させた、再びpH=7になるまで洗浄した。次いで、揮発分が1.0%になるまで乾燥することによって表1に示すポリビニルアセタール樹脂をそれぞれ得た。
また、それぞれのポリビニルアセタール樹脂に含まれているアセトアルデヒド(E1)、ブチルアルデヒド(E2)、酢酸(F1)、およびブタン酸(F2)の含有量を加熱脱着ガスクロマトグラフによって計測した。それらの結果を表1に示す。
メタクリル系樹脂(A−1)75部、およびポリビニルアセタール樹脂(B−1)25部を、東洋精機製LABO PLASTOMILL 2D30W2 二軸混練押出機を用いてシリンダー温度230℃、スクリュー回転数100rpmで混練し、アクリル系熱可塑性樹脂組成物を得た。押出機のダイ直前で測定した樹脂温度は260℃であった。該ペレットについて、アルデヒド類含有量、酸類含有量、およびガラス転移温度を測定した。それらの結果を表2に示す。
さらに、得られたアクリル系熱可塑性樹脂組成物のペレットを、東洋精機製LABO PLASTOMILL D2025を用いて押出成形することで、厚さ125μmのフィルムを作製した。
得られたフィルムの可視光線透過率、ヘイズ、色相、フィッシュアイ欠点、および表面平滑性(粗度)の評価を行った。それらの結果を表2に示す。
透明性良好であり、着色みられず、フィッシュアイ欠点の少ないフィルムを安定に作製することができた。また、表面平滑性の評価結果も良好であった。
表2および表3に示す処方に変えた以外は、実施例1と同じ方法にてアクリル系熱可塑性樹脂組成物ペレットを得た。さらに該ペレットを用いてフィルムを作製した。得られたペレットおよびフィルムの評価結果を表2及び表3に示す。
実施例1で得たアクリル系熱可塑性樹脂組成物に代えて、メタクリル系樹脂(A−1)のみからなる樹脂材料を用いた以外は、実施例1と同じ方法にてフィルムを作製した。
フィルム作製中、巻き取り工程において、ときどきフィルムに割れが発生し、長時間安定に巻き取るのが困難であった。
得られた小片フィルムの評価結果を表3に示す。
表3に示す処方に変えた以外は、実施例1と同じ方法にてアクリル系熱可塑性樹脂組成物ペレットを得た。さらに該ペレットを用いてフィルムを作製した。得られたペレットおよびフィルムの評価結果を表3に示す。
いずれもフィルムの黄変がみられ、フィッシュアイ欠点が増加する傾向がみられた。特に比較例3においては、揮発分由来と思われる欠点が多くみられた。
Claims (7)
- メタクリル系樹脂(A)と、
ポリビニルアルコール樹脂を炭素数4以下のアルデヒドを用いてアセタール化度65〜85モル%でアセタール化して得られるポリビニルアセタール樹脂(B)と、
メタクリル系樹脂(A)およびポリビニルアセタール樹脂(B)の合計に対して1ppm以上200ppm以下のアセトアルデヒド(E1)と、
メタクリル系樹脂(A)およびポリビニルアセタール樹脂(B)の合計に対して1ppm以上200ppm以下のブチルアルデヒド(E2)と
を含有するアクリル系熱可塑性樹脂組成物。 - メタクリル系樹脂(A)およびポリビニルアセタール樹脂(B)の合計に対して100ppm以下の酢酸(F1)と、
メタクリル系樹脂(A)およびポリビニルアセタール樹脂(B)の合計に対して100ppm以下のブタン酸(F2)とを、さらに含有する、請求項1に記載のアクリル系熱可塑性樹脂組成物。 - アクリル系熱可塑性樹脂組成物におけるメタクリル系樹脂(A)に起因するガラス転移温度(TgAP)が、メタクリル系樹脂(A)単独でのガラス転移温度(TgA)とポリビニルアセタール樹脂(B)単独でのガラス転移温度(TgB)との間の値である、請求項1または2に記載のアクリル系熱可塑性樹脂組成物。
- メタクリル系樹脂(A)とポリビニルアセタール樹脂(B)の質量比(A)/(B)が99/1〜51/49である、請求項1〜3のいずれかひとつに記載のアクリル系熱可塑性樹脂組成物。
- ポリビニルアセタール樹脂(B)がポリビニルブチラール樹脂である、請求項1〜4のいずれかひとつに記載のアクリル系熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1〜5のいずれかひとつに記載のアクリル系熱可塑性樹脂組成物からなる成形品。
- 請求項1〜5のいずれかひとつに記載のアクリル系熱可塑性樹脂組成物からなるフィルム。
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