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JP5630286B2 - ポリアミド樹脂の製造方法 - Google Patents

ポリアミド樹脂の製造方法 Download PDF

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JP5630286B2
JP5630286B2 JP2011010678A JP2011010678A JP5630286B2 JP 5630286 B2 JP5630286 B2 JP 5630286B2 JP 2011010678 A JP2011010678 A JP 2011010678A JP 2011010678 A JP2011010678 A JP 2011010678A JP 5630286 B2 JP5630286 B2 JP 5630286B2
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Description

本発明は、ペンタメチレンジアミンと脂肪族ジカルボン酸、またはその塩を主要構成成分とする単量体を重縮合する、ピペリジン含有量が少ない、高分子量ポリアミド樹脂の製造方法に関するものである。
ペンタメチレンジアミンは非石油原料として、医薬中間体などの合成原料や高分子原料として期待され、近年需要が高まっている。特許文献1、2にはペンタンメチレンジアミンを主要構成成分とするポリアミド樹脂が開示されている。溶融滞留安定性に優れるポリアミド樹脂を得るためには、原料のペンタメチレンジアミン中に含まれるピペリジン含有量を制御することが有効であることが示されている。また、重縮合反応時の最高到達温度を融点未満とすることで、ピペリジン含有量を低減できることが示されている。
特開2003−292612号公報 特開2003−292614号公報
しかしながら、重縮合反応時の最高到達温度がポリアミド樹脂の融点未満である場合、実用的に使用するために十分な分子量を有するポリアミド樹脂を製造することが困難であった。また、重合終了時はポリアミド樹脂が固化するため、工業的規模で製造を行った際には、ポリアミド樹脂を回収することが困難であった。本発明は、ペンタメチレンジアミンを主要構成成分とし、工業的に製造可能で、ピペリジン含有量の少ない、高分子量ポリアミド樹脂を提供することを課題とする。
本発明者等は、重縮合反応時にペンタメチレンジアミンの環化反応により生成するピペリジンは、特定温度下において系内に存在する水量に依存することを見出し、重縮合反応時に生成するピペリジンを低減するためには、低圧条件下で重合することが有効であることを見出し、本発明に到達した。
すなわち本発明は、
(i)ペンタメチレンジアミンと脂肪族ジカルボン酸、またはその塩を主要構成成分とする単量体を重縮合するポリアミド樹脂の製造方法であって、最高到達圧力を1.0MPa(10kg/cm)未満とし、ポリアミド樹脂の融点以上に加熱するポリアミド樹脂の製造方法であって、200℃以下の温度で、原料中の水含有量を40重量%以下に濃縮する工程を経由するポリアミド樹脂の製造方法、
(ii)ペンタメチレンジアミンと脂肪族ジカルボン酸、またはその塩を主要構成成分とする単量体を重縮合するポリアミド樹脂の製造方法であって、最高到達圧力を1.0MPa(10kg/cm )未満とし、ポリアミド樹脂の融点以上に加熱するポリアミド樹脂の製造方法であって、水含有量が10重量%以下の原料を出発原料とするポリアミド樹脂の製造方法、
(iii)ペンタメチレンジアミンと脂肪族ジカルボン酸、またはその塩を主要構成成分とする単量体を加熱重縮合して得られる、0.01g/mlとした98%硫酸溶液の25℃における相対粘度が2.6以上6.0以下、ピペリジン含有量が0.30×10−5mol/g以下であるポリアミド樹脂、
(iv)融点が200℃以上である(iii)に記載のポリアミド樹脂、
(v)脂肪族ジカルボン酸が、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二
酸、およびドデカン二酸からなる群より選ばれる少なくとも1種である(iii)または(iv)に記載のポリアミド樹脂
(vi)(i)または(ii)に記載の製造方法により得られる(iii)〜(v)のいずれかに記載のポリアミド樹脂である。
本発明によれば、ピペリジン含有量が少なく、工業的に製造可能な高分子量ポリアミド樹脂を提供することができる。
本発明のペンタメチレンジアミンと脂肪族ジカルボン酸、またはその塩を主要構成成分とする単量体を重縮合して得られるポリアミド樹脂とは、ペンタメチレンジアミンと脂肪族ジカルボン酸の総重量が、原料となる単量体の70重量%以上であるポリアミド樹脂である。より好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上である。
脂肪族ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などが挙げられ、これらは2種以上を併用してもよい。特に、耐熱性、溶融滞留安定性、成形加工性のバランスに優れるアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸が好ましい。
本発明のポリアミド樹脂を構成する、ペンタメチレンジアミンと脂肪族ジカルボン酸以外の共重合体単位としては、エチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,4−ジアミノブタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、1,11−ジアミノウンデカン、1,12−ジアミノドデカン、1,13−ジアミノトリデカン、1,14−ジアミノテトラデカン、1,15−ジアミノペンタデカン、1,16−ジアミノヘキサデカン、1,17−ジアミノヘプタデカン、1,18−ジアミノオクタデカン、1,19−ジアミノノナデカン、1,20−ジアミノエイコサン、2−メチル−1,5−ジアミノペンタンなどの脂肪族ジアミン、シクロヘキサンジアミン、ビス−(4−アミノシクロヘキシル)メタンなどの脂環式ジアミン、キシリレンジアミンなどの芳香族ジアミン、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、パラアミノメチル安息香酸などのアミノ酸、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタムなどのラクタム、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸などが挙げられ、これらの少なくとも1種を、全構成成分に対して30重量%未満含有することができる。
本発明で使用するペンタメチレンジアミンの製法に制限はないが、例えば、2−シクロヘキセン−1−オンなどのビニルケトン類を触媒としてリジンから有機合成する方法(特開昭60−23328号公報)、リジン脱炭酸酵素を用いてリジンから転換する酵素法(特開2004−114号公報、特開2005−6650号公報)、糖類を原料とする発酵法(特開2004−222569号公報、国際公開第2007/113127号)などが既に提案されている。有機合成法では、反応温度が約150℃と高いのに対し、酵素法、発酵法では100℃未満であり、後者の方法を用いる方が、副反応をより低減できると考えられるため、原料としては後者の方法によって得られたペンタメチレンジアミンを用いることが好ましい。
酵素法で使用するリジン脱炭酸酵素は、リジンをペンタメチレンジアミンに転換させる酵素であり、Escherichia coli K12株をはじめとするエシェリシア属微生物のみならず、多くの生物に存在することが知られている。
本発明において、リジン脱炭酸酵素としては、これらの生物に存在するものを好ましく使用することができ、リジン脱炭酸酵素の細胞内での活性が上昇した組換え細胞由来のものも使用できる。
組換え細胞としては、微生物、動物、植物、または昆虫由来のものが好ましく使用できる。例えば動物を用いる場合、マウス、ラットやそれらの培養細胞などが用いられる。植物を用いる場合、例えばシロイヌナズナ、タバコやそれらの培養細胞が用いられる。また、昆虫を用いる場合、例えばカイコやその培養細胞などが用いられる。また、微生物を用いる場合、例えば、大腸菌などが用いられる。
また、リジン脱炭酸酵素を複数種組み合わせて使用してもよい。
このようなリジン脱炭酸酵素を持つ微生物としては、バシラス・ハロドゥランス(Bacillus halodurans)、バシラス・サブチリス(Bacillus subtilis)、エシェリシア・コリ(Escherichia coli)、セレノモナス・ルミナンチウム(Selenomonas ruminantium)、ビブリオ・コレラ(Vibrio cholerae)、ビブリオ・パラヘモリティカス(Vibrio parahaemolyticus)、ストレプトマイセス・コエリカーラ(Streptomyces coelicolor)、ストレプトマイセス・ピロサス(Streptomyces pilosus)、エイケネラ・コロデンス(Eikenella corrodens)、イユバクテリウム・アシダミノフィルム(Eubacterium acidaminophilum)、サルモネラ・ティフィムリウム(Salmonella typhimurium)、ハフニア・アルベイ(Hafnia alvei)、ナイセリア・メニンギチデス(Neisseria meningitidis)、テルモプラズマ・アシドフィルム(Thermoplasma acidophilum)、ピロコッカス・アビシ(Pyrococcus abyssi)またはコリネバクテリウム・グルタミカス(Corynebacterium glutamicum)等が挙げられる。
リジン脱炭酸酵素を得る方法に特に制限はないが、例えば、リジン脱炭酸酵素を有する微生物や、リジン脱炭酸酵素の細胞内での活性が上昇した組換え細胞などを適当な培地で培養し、増殖した菌体を回収し、休止菌体として用いることも可能であり、また当該菌体を破砕して無細胞抽出液を調製して用いることも可能であり、また必要に応じて精製して用いることも可能である。
リジン脱炭酸酵素を抽出するために、リジン脱炭酸酵素を有する微生物や組換え細胞を培養する方法に特に制限はないが、例えば微生物を培養する場合、炭素源、窒素源、無機イオンおよび必要に応じその他有機成分を含有する培地が用いられる。例えば、E.coliの場合しばしばLB培地が用いられる。炭素源としては、グルコース、ラクトース、ガラクトース、フラクトース、アラビノース、マルトース、キシロース、トレハロース、リボースや澱粉の加水分解物などの糖類、グリセロール、マンニトールやソルビトールなどのアルコール類、グルコン酸、フマール酸、クエン酸やコハク酸等の有機酸類を用いることができる。窒素源としては、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機アンモニウム塩、大豆加水分解物などの有機窒素、アンモニアガス、アンモニア水等を用いることができる。有機微量栄養素としては、各種アミノ酸、ビタミンB1等のビタミン類、RNA等の核酸類などの要求物質または酵母エキス等を適量含有させることが望ましい。それらの他に、必要に応じて、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、鉄イオン、マンガンイオン等が少量添加される。
培養条件にも特に制限はなく、例えばE.coliの場合、好気条件下で16〜72時間程度培養することが好ましい。培養温度は30℃〜45℃が好ましく、特に好ましくは37℃である。培養pHは5〜8が好ましく、特に好ましくはpH7である。なおpH調整には無機あるいは有機の酸性あるいはアルカリ性物質、さらにアンモニアガス等を使用することができる。
増殖した微生物や組換え細胞は、遠心分離等により培養液から回収することができる。回収した微生物や組換え細胞から無細胞抽出液を調製するには、通常の方法が用いられる。すなわち、微生物や組換え細胞を超音波処理、ダイノミル、フレンチプレス等の方法にて破砕し、遠心分離により菌体残渣を除去することにより無細胞抽出液が得られる。
無細胞抽出液からリジン脱炭酸酵素を精製するには、硫安分画、イオン交換クロマトグラフィー、疎水クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、等電点沈殿、熱処理、pH処理等酵素の精製に通常用いられる手法が適宜組み合わされて用いられる。精製は、完全精製である必要は必ずしもなく、リジン脱炭酸酵素以外のリジンの分解に関与する酵素、生成物であるペンタメチレンジアミンの分解酵素等の夾雑物が除去できればよい。
リジン脱炭酸酵素によるリジンからペンタメチレンジアミンへの変換は、上記のようにして得られるリジン脱炭酸酵素を、リジンに接触させることによって行うことができる。
反応溶液中のリジンの濃度については、特に制限はない。
リジン脱炭酸酵素の量は、リジンをペンタメチレンジアミンに変換する反応を触媒するのに十分な量であればよい。
反応温度は、通常、28〜55℃、好ましくは40℃前後である。
反応pHは、通常、5〜8、好ましくは、約6である。ペンタメチレンジアミンが生成するにつれ、反応溶液はアルカリ性へ変わるので、反応pHを維持するために無機あるいは有機の酸性物質を添加することが好ましい。好ましくは塩酸を使用することができる。
反応には静置または撹拌のいずれの方法も採用し得る。
リジン脱炭酸酵素は固定化されていてもよい。
反応時間は、使用する酵素活性、基質濃度などの条件によって異なるが、通常、1〜72時間である。また、反応は、リジンを供給しながら連続的に行ってもよい。
このように生成したペンタメチレンジアミンを反応終了後、反応液から採取する方法としては、イオン交換樹脂を用いる方法や沈殿剤を用いる方法、溶媒抽出する方法、単蒸留する方法、その他通常の採取分離方法が採用できる。
本発明の原料であるペンタメチレンジアミンは、高圧下で環化反応が促進され、ピペリジン生成量が増加する傾向にあるため、本発明のポリアミド樹脂の製造方法は、重縮合反応時の最高到達圧力を1.0MPa(10kg/cm)未満とすることが必要である。最高到達圧力が1.0MPa(10kg/cm)以上である場合には、ペンタメチレンジアミンの環化反応が促進されるため、重合度が上昇しにくい傾向がある。より好ましくは0.8MPa(8kg/cm)以下、さらに好ましくは0.5MPa(5kg/cm)以下、さらに好ましくは0.44MPa(4.5kg/cm)以下、最も好ましくは0.3MPa(3kg/cm)以下である。
一方、本発明では、高温で重縮合反応を行うため、ペンタメチレンジアミンおよびその環化反応により生成するピペリジンが揮発する、ピペリジンが末端封鎖剤となるなどの理由で、重合の進行に伴い、重合系内における全カルボキシル基量に対する全アミノ基量が少なくなり、重合速度が遅延する傾向がある。ペンタメチレンジアミンの揮発を抑制するためには、重合系内の圧力が高い方が好ましい。重縮合反応時の最高到達圧力を0.05MPa(0.5kg/cm)以上とすることが好ましく、この圧力にすることでペンタメチレンジアミンの揮発が抑制されるため、アミノ基、カルボキシル基の等モル性が適度に維持され重合度を容易に高くすることができる。0.1MPa(1kg/cm)以上がより好ましく、0.2MPa(2kg/cm)以上がさらに好ましく、0.25MPa(2.5kg/cm)以上が最も好ましい。
なお、アミノ基、カルボキシル基の等モル性を維持するためには、原料を仕込む段階で、あらかじめ特定量のペンタメチレンジアミンを過剰に添加して、重合系内のアミノ基量を増加させておくことが好ましい。原料として使用するペンタメチレンジアミンのモル数をa、脂肪族ジカルボン酸のモル数をbとしたとき、その比a/bが1.002〜1.07となるように原料組成比を調整することが好ましい。重合途中にはジアミンが揮発するので、a/bを1.002以上、1.007以下とすることにより、ジカルボン酸との等モル性が保たれるため、より高分子量のポリマーを容易に得ることができる。1.005以上、1.05以下とすることで、重合系内の等モル性がさらに高精度で保たれるためより好ましい。
また、ペンタメチレンジアミンの環化反応は、系内に存在する水量が増大するに従い促進される傾向があるため、この環化反応を抑制するためには、系内の水量を制御することが有効である。ペンタメチレンジアミンの環化反応は、200℃より高い温度で促進されるので、原料に含まれる水を200℃以下の温度で除去しておくことが好ましい。そのため、本発明のポリアミド樹脂の製造方法においては、200℃以下の温度で、原料中の水含有量を40重量%以下に濃縮する工程を経由することが好ましい。より好ましくは、30重量%以下、さらに好ましくは20重量%以下、最も好ましくは10重量%以下である。ここで、200℃以下での原料中の水含有量は、縮合水を除いた値とする。この濃縮工程は、ペンタメチレンジアミンの揮発を抑制するため、0.05MPa(0.5kg/cm)以上の加圧下で行うことが好ましい。より好ましくは、0.1〜0.5MPa(1〜5kg/cm)、さらに好ましくは0.15〜0.4MPa(1.5〜4kg/cm)である。200℃以下の温度において、原料に含まれる水の含有量は、仕込み時の水の添加量から、200℃以下で留出した水の量を差し引くことにより求めることができる。
また、出発原料に含まれる水含有量を、10重量%以下とすることで、重縮合反応時のペンタメチレンジアミンの環化反応をさらに低減することができる。より好ましくは5重量%以下、最も好ましくは0重量%である。
本発明は、工業的に製造可能なポリアミド樹脂の製造方法を提供するものであるので、重縮合反応の最終段階において、融点以上の温度で、不活性ガス雰囲気下、または減圧下で高重合度化を行う。窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下で行う方がより好ましい。減圧下では、融点以上に保持する時間が長くなると、着色する傾向がある。
本発明により得られるポリアミド樹脂を、さらに、100℃以上融点未満の温度で、減圧下、あるいは不活性ガス中で固相重合することも可能である。
本発明において、出発原料として用いるペンタメチレンジアミンと脂肪族ジカルボン酸の塩の作製方法としては、水または水/アルコール混合中で塩反応を行った後、溶媒を揮発させる方法、アルコール中で塩反応を行った後、析出した塩を回収する方法などが挙げられる。アルコールとしては、メタノール、エタノールなどが好適に用いられる。なお、水中で塩反応を行った後、得られる塩の水溶液をそのまま原料として用いてもよい。
本発明では、ペンタメチレンジアミンの揮発や、環化反応の抑制に加え、分解による着色を防止するためには、重合工程全体でポリマーが受ける熱履歴を極力小さくすることが有効であり、その手段として、重合系内の最高到達温度を低くすることが好ましい。本発明では、重合系内の最高到達温度は、ポリアミド樹脂の融点以上、290℃未満にすることが好ましい。290℃未満であれば、ペンタメチレンジアミンの環化をより抑制することができる。より好ましくは融点以上、融点+50℃以下である。
本発明では、製造時の最高到達温度を200℃以上に上昇させる製造プロセスを加熱重縮合と定義する。
本発明のポリアミド樹脂は、0.01g/mlとした98%硫酸溶液の25℃における相対粘度が、2.5以上6.0以下であることが好ましい。相対粘度が2.5以上であれば、ポリアミド樹脂の靭性を実用的に使用するために十分なレベルまで向上させることができる。2.6以上がより好ましく、2.7以上がより好ましい。一方、相対粘度が6.0以下であれば、成形加工性を維持することができる。5.0以下がより好ましく、4.0以下がより好ましい。
また、本発明のポリアミド樹脂は、総末端基量(単位:mol/g)の半分の逆数から算出される数平均分子量が、15000〜40000であることが好ましい。より好ましくは15500〜35000、最も好ましくは16000〜25000である。
本発明のポリアミド樹脂は、耐熱性の観点から、融点が200℃以上であることが好ましい。より好ましくは210℃以上である。
ここで、本発明において、ポリアミド樹脂の融点は、示差走査熱量測定(DSC)により求めることができる。窒素雰囲気下、試料を融点+35℃に昇温して溶融状態とした後、20℃/分の降温速度で、30℃まで降温したときに観測される発熱ピーク(降温結晶化温度:Tc)を求める。続いて、30℃で3分間保持した後、20℃/分の昇温速度で融点+35℃まで昇温したときに観測される吸熱ピークの温度を融点とする。なお、吸熱ピークが2つ以上観測される場合には、最もピーク強度の大きい点を融点とする。
本発明のポリアミド樹脂のピペリジン含有量は、0.50×10−5mol/g以下であることが好ましい。より好ましくは0.30×10−5mol/g以下、さらに好ましくは0.24×10−5mol/g以下、最も好ましくは0.20×10−5mol/g以下である。ピペリジン含有量を0.50×10−5mol/g以下とすることで、重合時間を短縮することができ、ポリマーの結晶性をさらに向上させることができる。
ここで、本発明において、ポリアミド樹脂のピペリジン含有量は、ポリアミド樹脂の加水分解物をクロロギ酸エチルと反応させてトルエンで抽出した溶液を用い、ピペリジン標準溶液を標品として、ガスクロマトグラフィーにより定量することができる。
上記本発明のポリアミド樹脂は、例えば前述した製造方法によって得ることができる。
本発明では、必要に応じて、重合促進剤を添加することができる。重合促進剤としては、例えばリン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸およびこれらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩などの無機系リン化合物が好ましく、特に亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸ナトリウムが好適に用いられる。重合促進剤は原料100重量部に対して、0.001〜1重量部の範囲で使用することが好ましい。重合促進剤の使用量が0.001重量部以上であれば、その効果が顕著に奏される。また、1重量部以下であれば、得られるポリアミド樹脂の重合度を適度に抑え、高い溶融成形性を維持することができる。
本発明で得られたポリアミド樹脂には、さらに無機充填剤や他種ポリマーを添加し、ポリアミド樹脂組成物とすることができる。無機充填剤としては、一般に樹脂用フィラーとして用いられる公知のものを用いることができる。例えば、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウムウィスカ、酸化亜鉛ウィスカ、硼酸アルミニウムウィスカ、アラミド繊維、アルミナ繊維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、石コウ繊維、金属繊維、ワラストナイト、ゼオライト、セリサイト、カオリン、マイカ、タルク、クレー、パイロフィライト、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、合成雲母、アスベスト、アルミノシリケート、アルミナ、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、ガラスビーズ、セラミックビーズ、窒化ホウ素、炭化珪素、シリカなどが挙げられる。これらは中空であってもよく、さらにはこれら無機充填剤を2種類以上用いることも可能である。また、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、合成雲母などの膨潤性層状珪酸塩については、有機アンモニウム塩で層間イオンをカチオン交換した有機化モンモリロナイトを用いてもよい。ポリアミド樹脂を補強するには、前記充填剤の中でも、特にガラス繊維、炭素繊維が好ましい。ポリアミド樹脂組成物の表面外観を優れたものとするためには、無機充填剤の平均粒子径を0.001〜10μmとすることが好ましい。平均粒子径が0.001μm以上であれば、得られるポリアミド樹脂の高い溶融加工性を維持することができる。0.01μm以上がより好ましく、0.05μm以上がより好ましい。また、平均粒子径が10μm以下であれば、成形品表面外観に優れる。5μm以下がより好ましく、3μm以下がより好ましい。なお、これらの平均粒子径は、沈降法によって測定される。ポリアミド樹脂の補強と良表面外観を両立するためには、無機充填剤として、タルク、カオリン、ワラストナイトを用いることが好ましい。
また、無機充填剤はイソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、有機ボラン系化合物、エポキシ化合物などのカップリング剤で予備処理されたものであることが好ましく、より優れた機械的強度を得ることができる。特に好ましいのは、有機シラン系化合物であり、その具体例としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのエポキシ基含有アルコキシシラン化合物、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシランなどのメルカプト基含有アルコキシシラン化合物、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−ウレイドエチル)アミノプロピルトリメトキシシランなどのウレイド基含有アルコキシシラン化合物、γ−イソシアナトプロピルトリエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルメチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジメトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルエチルジエトキシシラン、γ−イソシアナトプロピルトリクロロシランなどのイソシアナト基含有アルコキシシラン化合物、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基含有アルコキシシラン化合物、γ−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−ヒドロキシプロピルトリエトキシシランなどの水酸基含有アルコキシシラン化合物、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン・塩酸塩等の炭素不飽和基含有アルコキシシラン化合物、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物などの酸無水物基含有アルコキシシラン化合物が挙げられる。特に、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物が好ましく用いられる。これらのシランカップリング剤は、常法に従って、予め無機充填剤を表面処理し、ついでポリアミド樹脂と溶融混練する方法が好ましく用いられるが、予め無機充填剤の表面処理を行わずに、無機充填剤とポリアミド樹脂を溶融混練する際に、これらカップリング剤を添加するいわゆるインテグラルブレンド法を用いてもよい。
これらカップリング剤の処理量は、無機充填剤100重量部に対して、0.05〜10重量部が好ましい。0.05重量部以上であれば、機械特性を向上させることができる。0.1重量部以上が好ましく、0.5重量部以上がより好ましい。一方、10重量部以下であれば、無機充填剤の凝集に起因する分散不良を抑制することができる。5重量部以下が好ましく、3重量部以下がより好ましい。
無機充填剤の配合量は、ポリアミド樹脂100重量部に対して、0.1〜200重量部であることが好ましい。0.1重量部以上であれば、剛性、強度を向上させることができる。1重量部以上がより好ましく、1.1重量部以上がより好ましく、5重量部以上がより好ましい。一方、200重量部以下であれば、優れた分散性が保たれ、ポリアミド樹脂の剛性、強度を向上させることができる。100重量部以下が好ましく、60重量部以下がより好ましく、50重量部以下がより好ましい。
ポリアミド樹脂と無機充填剤の界面を強化するために、カップリング剤による無機充填剤の処理に加え、さらに、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水グルタコン酸、無水シトラコン酸、無水アコニット酸、またはポリ無水マレイン酸から選ばれる無水物の少なくとも1種を配合することが好ましい。これらの中で、無水マレイン酸、ポリ無水マレイン酸が延性、剛性のバランスに優れるため好ましく用いられる。ポリ無水マレイン酸としては、例えばJ. Macromol. Sci.-Revs. Macromol. Chem.,C13(2), 235(1975)等に記載のものを用いることができる。
これら無水物の配合量は、ポリアミド樹脂100重量部に対して0.05〜10重量部が延性の向上効果、得られる組成物の流動性の点から好ましい。0.1〜5重量部の範囲であることがより好ましく、さらに好ましくは0.1〜3重量部であり、最も好ましくは0.1〜1重量部である。
なお、これら無水物は、実質的にポリアミド樹脂、無機充填剤と溶融混練する際に無水物の構造を取ればよく、加水分解してカルボン酸あるいはその水溶液の様な形態で溶融混練に供し、溶融混練の際の加熱により脱水反応させ、実質的に無水酸の形でポリアミド樹脂と溶融混練してもかまわない。
また、他種ポリマーとしては、他のポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンスルフィド、液晶ポリマー、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ABS樹脂、SAN樹脂、ポリスチレン、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー等を挙げることができる。ポリアミド樹脂組成物の耐衝撃性を改良するには、耐衝撃性改良剤を配合することが好ましく、オレフィン系化合物および/または共役ジエン系化合物を重合して得られる(共)重合体などの変性ポリオレフィンが好ましく用いられる。これらを2種以上配合してもよい。
上記(共)重合体としては、エチレン系共重合体、共役ジエン系重合体、共役ジエン−芳香族ビニル炭化水素系共重合体などが挙げられる。
ここで、エチレン系共重合体とは、エチレンと他の単量体との共重合体および多元共重合体をさし、エチレンと共重合する他の単量体としては炭素数3以上のα−オレフィン、非共役ジエン、酢酸ビニル、ビニルアルコール、α,β−不飽和カルボン酸およびその誘導体などの中から選択することができる。
炭素数3以上のα−オレフィンとしては、プロピレン、ブテン−1、ペンテン−1、3−メチルペンテン−1、オクタセン−1などが挙げられ、プロピレン、ブテン−1が好ましく使用できる。非共役系ジエンとしては5−メチリデン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−プロペニル−2−ノルボルネン、5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、5−クロチル−2−ノルボルネン、5−(2−メチル−2−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−(2−エチル−2−ブテニル)−2−ノルボルネン、5−メチル−5−ビニルノルボルネンなどのノルボルネン化合物、ジシクロペンタジエン、メチルテトラヒドロインデン、4,7,8,9−テトラヒドロインデン、1,5−シクロオクタジエン、1,4−ヘキサジエン、イソプレン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、11−トリデカジエンなどが挙げられ、好ましくは5−メチリデン−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエンなどである。α,β−不飽和カルボン酸としてはアクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、ブテンジカルボン酸などが挙げられ、その誘導体としてはアルキルエステル、アリールエステル、グリシジルエステル、酸無水物、イミドを例として挙げることができる。
また、共役ジエン系重合体とは少なくとも1種以上の共役ジエンを構成成分とする重合体であり、例えば1,3−ブタジエンの如き単独重合体や1,3−ブタジエン、イソプレン(2−メチル−1,3−ブタジエン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエンから選ばれる1種以上の単量体の共重合体などが挙げられる。これらの重合体の不飽和結合の一部または全部が水添により還元されているものも好ましく使用できる。
共役ジエン−芳香族ビニル炭化水素系共重合体とは共役ジエンと芳香族ビニル炭化水素からなるブロック共重合体またはランダム共重合体であり、これを構成する共役ジエンの例としては前記の単量体が挙げられ、特に1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましい。芳香族ビニル炭化水素の例としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、ビニルナフタレンなどが挙げられ、中でもスチレンが好ましく使用できる。また、共役ジエン−芳香族ビニル炭化水素系共重合体の芳香環以外の二重結合以外の不飽和結合の一部または全部が水添により還元されているものも好ましく使用できる。
このような耐衝撃性改良剤の具体例としては、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/ブテン−1共重合体、エチレン/ヘキセン−1共重合体、エチレン/プロピレン/ジシクロペンタジエン共重合体、エチレン/プロピレン/5−エチリデン−2−ノルボルネン共重合体、未水添または水添スチレン/イソプレン/スチレントリブロック共重合体、未水添または水添スチレン/ブタジエン/スチレントリブロック共重合体、エチレン/メタクリル酸共重合体およびこれら共重合体中のカルボン酸部分の一部または全てをナトリウム、リチウム、カリウム、亜鉛、カルシウムとの塩としたもの、エチレン/アクリル酸メチル共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体、エチレン/メタクリル酸エチル共重合体、エチレン/アクリル酸エチル−g−無水マレイン酸共重合体、(「g」はグラフトを表わす、以下同じ)、エチレン/メタクリル酸メチル−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン/アクリル酸エチル−g−マレイミド共重合体、エチレン/アクリル酸エチル−g−N−フェニルマレイミド共重合体およびこれら共重合体の部分ケン化物、エチレン/グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン/ビニルアセテート/グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン/メタクリル酸メチル/グリシジルメタクリレート共重合体、エチレン/グリシジルアクリレート共重合体、エチレン/ビニルアセテート/グリシジルアクリレート共重合体、エチレン/グリシジルエーテル共重合体、エチレン/プロピレン−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン/ブテン−1−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン/プロピレン/1,4−ヘキサジエン−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン/プロピレン/ジシクロペンタジエン−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン/プロピレン/2,5−ノルボルナジエン−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン/プロピレン−g−N−フェニルマレイミド共重合体、エチレン/ブテン−1−g−N−フェニルマレイミド共重合体、水添スチレン/ブタジエン/スチレン−g−無水マレイン酸共重合体、水添スチレン/イソプレン/スチレン−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン/プロピレン−g−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/ブテン−1−g−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/プロピレン/1,4−ヘキサジエン−g−メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/プロピレン/ジシクロペンタジエン−g−メタクリル酸グリシジル共重合体、水添スチレン/ブタジエン/スチレン−g−メタクリル酸グリシジル共重合体、ナイロン12/ポリテトラメチレングリコール共重合体、ナイロン12/ポリトリメチレングリコール共重合体、ポリブチレンテレフタレート/ポリテトラメチレングリコール共重合体、ポリブチレンテレフタレート/ポリトリメチレングリコール共重合体などを挙げることができる。この中で、エチレン/メタクリル酸共重合体およびこれら共重合体中のカルボン酸部分の一部または全てをナトリウム、リチウム、カリウム、亜鉛、カルシウムとの塩としたもの、エチレン/プロピレン−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン/ブテン−1−g−無水マレイン酸共重合体、水添スチレン/ブタジエン/スチレン−g−無水マレイン酸共重合体がさらに好ましく、エチレン/メタクリル酸共重合体およびこれら共重合体中のカルボン酸部分の一部または全てをナトリウム、リチウム、カリウム、亜鉛、カルシウムとの塩としたもの、エチレン/プロピレン−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン/ブテン−1−g−無水マレイン酸共重合体が特に好ましい。
上記したポリアミド樹脂組成物の調製方法としては特に制限はないが、具体例として、原料のポリアミド樹脂、無機充填剤、および/または他種ポリマーを単軸あるいは2軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダーおよびミキシングロールなど公知の溶融混練機に供給して溶融混練する方法などを挙げることができる。
ポリアミド樹脂に、これら無機充填剤や他種ポリマーを均一に分散させる方法として、溶融混練機を用いた場合、混練機のL/D(スクリュー長/スクリュー径)、ベントの有無、混練温度、滞留時間、それぞれの成分の添加位置、添加量をコントロールすることが有効である。一般に溶融混練機のL/Dを長く、滞留時間を長くすることは、これら無機充填剤や他種ポリマーの均一分散を促進するため好ましい。
さらに、本発明のポリアミド樹脂には本発明の効果を損なわない範囲で各種添加剤、例えば酸化防止剤や耐熱安定剤(ヒンダードフェノール系、ヒドロキノン系、ホスファイト系およびこれらの置換体、ハロゲン化銅、ヨウ素化合物等)、耐候剤(レゾルシノール系、サリシレート系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ヒンダードアミン系等)、離型剤及び滑剤(脂肪族アルコール、脂肪族アミド、脂肪族ビスアミド、ビス尿素及びポリエチレンワックス等)、顔料(硫化カドミウム、フタロシアニン、カーボンブラック等)、染料(ニグロシン、アニリンブラック等)、可塑剤(p−オキシ安息香酸オクチル、N−ブチルベンゼンスルホンアミド等)、帯電防止剤(アルキルサルフェート型アニオン系帯電防止剤、4級アンモニウム塩型カチオン系帯電防止剤、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートのような非イオン系帯電防止剤、ベタイン系両性帯電防止剤等)、難燃剤(メラミンシアヌレート、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等の水酸化物、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラミン、ホスフィン酸金属塩などのリン系難燃剤、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレンオキシド、臭素化ポリカーボネート、臭素化エポキシ樹脂あるいはこれらの臭素系難燃剤と三酸化アンチモンとの組み合わせ等)を任意の時点で添加することができる。
本発明のポリアミド樹脂、およびポリアミド樹脂組成物は、射出成形、押出成形、ブロー成形、真空成形、溶融紡糸、フィルム成形などの任意の成形方法により、所望の形状に成形でき、自動車部品、機械部品などの樹脂成形品、繊維、フィルム、シートなどに使用することができる。具体的な用途としては、自動車エンジン冷却水系部品、特にラジエタータンクのトップおよびベースなどのラジエタータンク部品、冷却液リザーブタンク、ウォーターパイプ、ウォーターポンプハウジング、ウォーターポンプインペラ、バルブなどのウォーターポンプ部品など自動車エンジンルーム内で冷却水との接触下で使用される部品、スイッチ類、超小型スライドスイッチ、DIPスイッチ、スイッチのハウジング、ランプソケット、結束バンド、コネクタ、コネクタのハウジング、コネクタのシェル、ICソケット類、コイルボビン、ボビンカバー、リレー、リレーボックス、コンデンサーケース、モーターの内部部品、小型モーターケース、ギヤ・カム、ダンシングプーリー、スペーサー、インシュレーター、ファスナー、バックル、ワイヤークリップ、自転車ホイール、キャスター、ヘルメット、端子台、電動工具のハウジング、スターターの絶縁部分、スポイラー、キャニスター、ラジエタータンク、チャンバータンク、リザーバータンク、ヒューズボックス、エアークリーナーケース、エアコンファン、ターミナルのハウジング、ホイールカバー、吸排気パイプ、ベアリングリテーナー、シリンダーヘッドカバー、インテークマニホールド、ウォーターパイプインペラ、クラッチレリーズ、スピーカー振動板、耐熱容器、電子レンジ部品、炊飯器部品、プリンタリボンガイドなどに代表される電気・電子関連部品、自動車・車両関連部品、家電・事務電気製品部品、コンピューター関連部品、ファクシミリ・複写機関連部品、機械関連部品、衣料用繊維・産業資材用繊維、その他各種用途に有用である。
[相対粘度(ηr)]
98%硫酸中、0.01g/ml濃度、25℃でオストワルド式粘度計を用いて測定を行った。
[融点(Tm)]
SIIナノテクノロジー社製 ロボットDSCRDC220を用い、試料を約5mg採取し、窒素雰囲気下、次の条件で測定した。融点+35℃に昇温して溶融状態とした後、20℃/分の降温速度で、30℃まで降温したときに観測される発熱ピーク(降温結晶化温度:Tc)を求めた。これに続いて、30℃で3分間保持した後、20℃/分の昇温速度で融点+35℃まで昇温したときに観測される吸熱ピークの温度(融点:Tm)を求めた。なお、吸熱ピークが2つ以上観測される場合には、最もピーク強度の大きい点を融点とした。
[アミノ末端基]
ポリアミド樹脂約0.5gを精秤し、フェノール・エタノール混合溶媒(83.5:16.5、体積比)25mlに溶解後、0.02N塩酸水溶液を用いて滴定した。
[カルボキシ末端基]
ポリアミド樹脂約0.5gを精秤し、ベンジルアルコール20mlを加えて190℃で溶解し、0.02N水酸化カリウムエタノール溶液を用いて滴定した。
[ピペリジン末端基]
試料約0.06gを精秤し、これに臭化水素酸水溶液を加えた後、150℃で3時間加水分解を行った。得られた処理液に、40%水酸化ナトリウム水溶液、トルエンを加え、次いでクロロギ酸エチルを添加して1時間撹拌した。上澄みのトルエン溶液を抽出し測定溶液とした。定量はピペリジン標準溶液を用いた。測定条件を以下に示した。
装置:島津GC−14A
カラム:NB−1(GLサイエンス社製)60m×0.25mm
検出器:FID(水素炎イオン化検出器)
オーブン温度:150℃から330℃まで10℃/分で昇温
試料注入部温度:250℃
検出部温度:330℃
キャリアガス:He
試料注入量:3.0μl。
[末端基換算分子量]
アミノ末端基、カルボキシ末端基、およびピペリジン末端基の総量(単位:mol/g)の半分の逆数から、末端基換算分子量を算出した。
参考例1(リジン脱炭酸酵素の調製)
E.coli JM109株の培養は以下のように行った。まず、この菌株をLB培地5mlに1白金耳植菌し、30℃で24時間振とうして前培養を行った。次に、LB培地50mlを500mlの三角フラスコに入れ、予め115℃、10分間蒸気滅菌した。この培地に前培養した上記菌株を植え継ぎ、振幅30cmで、180rpmの条件下で、1N塩酸水溶液でpHを6.0に調整しながら、24時間培養した。こうして得られた菌体を集め、超音波破砕および遠心分離により無細胞抽出液を調製した。これらのリジン脱炭酸酵素活性の測定を定法に従って行った(左右田健次,味園春雄,生化学実験講座,vol.11上,P.179−191(1976))。リジンを基質とした場合、本来の主経路と考えられるリジンモノオキシゲナーゼ、リジンオキシダーゼおよびリジンムターゼによる転換が起こり得るので、この反応系を遮断する目的で75℃で5分間、E.coli JM109株の無細胞抽出液を加熱した。さらにこの無細胞抽出液を40%飽和および55%飽和硫酸アンモニウムにより分画した。こうして得られた粗精製リジン脱炭酸酵素溶液を用いて、リジンからペンタメチレンジアミンの生成を行った。
参考例2(ペンタメチレンジアミンの製造)
50mM リジン塩酸塩(和光純薬工業製)、0.1mM ピリドキサルリン酸(和光純薬工業)、40mg/L−粗精製リジン脱炭酸酵素(参考例1で調製)となるように調製した水溶液1000mlを、0.1N塩酸水溶液でpHを5.5〜6.5に維持しながら、45℃で48時間反応させ、ペンタメチレンジアミン塩酸塩を得た。この水溶液に水酸化ナトリウムを添加することによってペンタメチレンジアミン塩酸塩をペンタメチレンジアミンに変換し、クロロホルムで抽出して、減圧蒸留(1.3kPa(10mmHg)、60℃)を3度繰り返すことにより、ペンタメチレンジアミンを得た。このペンタンジアミンには不純物としてピペリジンは含まれていなかった。
参考例3(ナイロン56塩の作製)
エタノール7Lにアジピン酸(東京化成)500g(3.42mol)を添加し、60℃で溶解させた。ここに、あらかじめ調製したペンタメチレンジアミン(参考例2)350g(3.42mol)をエタノール2Lに溶解した溶液を注いだ。室温で3時間撹拌を続けた後、静置下で放置し、析出した塩を沈降させた。その後、ろ過、エタノール洗浄を行い、50℃で24時間真空乾燥して、ナイロン56塩を得た。
参考例4(ナイロン510塩の作製)
エタノール3.5Lにセバシン酸(小倉合成工業)600g(2.97mol)を添加し、60℃で溶解させた。ここに、あらかじめ調製したペンタメチレンジアミン(参考例2)303g(2.97mol)をエタノール2Lに溶解した溶液を注いだ。室温で3時間、さらに氷水中で3時間撹拌した後、静置下で放置し、析出した塩を沈降させた。その後、ろ過、エタノール洗浄を行い、50℃で24時間真空乾燥して、ナイロン510塩を得た。
参考例5(ナイロン59塩の作製)
メタノール3Lにアゼライン酸(エメリーオレオケミカルズEmerox1144)600g(3.19mol)を添加し、60℃で溶解させた。ここに、あらかじめ調製したペンタメチレンジアミン(参考例2)326g(3.19mol)をメタノール600mlに溶解した溶液を注いだ。室温で3時間撹拌した後、エバポレートし、メタノール1.3Lを留出させた。この溶液を氷水中で冷却しながら、静置下で放置し、析出した結晶を沈降させた。その後、ろ過、メタノール洗浄を行い、50℃で24時間真空乾燥して、ナイロン59塩を得た。
参考例6(ナイロン512塩の作製)
エタノール6Lにドデカン二酸(宇部興産)600g(2.61mol)を添加し、60℃で溶解させた。ここに、あらかじめ調製したペンタメチレンジアミン(参考例2)267g(2.61mol)をエタノール600mlに溶解した溶液を注いだ。室温で3時間撹拌した後、エバポレートし、エタノール5.5Lを留出させた。この溶液を氷水中で冷却しながら、静置下で放置し、析出した結晶を沈降させた。その後、ろ過、エタノール洗浄を行い、50℃で24時間真空乾燥して、ナイロン512塩を得た。
実施例1
参考例3で作製したナイロン56塩700g、参考例2で作製したペンタメチレンジアミン13.0g(ナイロン56塩に対して4.51mol%)、イオン交換水700gを撹拌翼付きの内容積が3Lの圧力容器に仕込んで窒素置換した後、窒素で缶内圧力を0.05MPa(0.5kg/cm)に加圧した。この圧力容器を密閉したまま、ヒーター温度を280℃に設定して加熱を開始した。33分後に、缶内温度は156℃、缶内圧力は0.3MPa(3.0kg/cm)に到達した。放圧弁を操作して水分を系外へ放出させながら、缶内圧力を0.3MPa(3.0kg/cm)で77分保持した(缶内温度200℃のとき留出した水量は637gであった)。このとき缶内温度は248℃に到達した。続いて、放圧を開始して、水を留出させながら、5分かけて缶内圧力をゼロにした。このとき、缶内温度は256℃であった。さらに、窒素フロー下で、50分保持することにより、缶内温度は277℃に到達した。圧力容器底部の吐出口から内容物をガット状にして取り出し、ペレタイズすることによりナイロン56を得た。
実施例2
参考例3で作製したナイロン56塩700g、参考例2で作製したペンタメチレンジアミン5.76g(ナイロン56塩に対して2.00mol%)、イオン交換水700gを撹拌翼付きの内容積が3Lの圧力容器に仕込んで窒素置換した後、窒素で缶内圧力を0.05MPa(0.5kg/cm)に加圧した。この圧力容器を密閉したまま、ヒーター温度を280℃に設定して加熱を開始した。47分後に、缶内温度は193℃、缶内圧力は0.8MPa(8.0kg/cm)に到達した。放圧弁を操作して水分を系外へ放出させながら、缶内圧力を0.8MPa(8.0kg/cm)で63分保持した(缶内温度200℃のとき留出した水量は390gであった)。このとき缶内温度は235℃に到達した。続いて、放圧を開始して、水を留出させながら、15分かけて缶内圧力をゼロにした。このとき、缶内温度は258℃であった。さらに、窒素フロー下で、55分保持することにより、缶内温度は277℃に到達した。圧力容器底部の吐出口から内容物をガット状にして取り出し、ペレタイズすることによりナイロン56を得た。
実施例3
参考例3で作製したナイロン56塩700g、参考例2で作製したペンタメチレンジアミン5.76g(ナイロン56塩に対して2.00mol%)、イオン交換水70gを撹拌翼付きの内容積が3Lの圧力容器に仕込んで窒素置換した後、窒素で缶内圧力を0.05MPa(0.5kg/cm)に加圧した。この圧力容器を密閉したまま、ヒーター温度を280℃に設定して加熱を開始した。44分後に、缶内温度は182℃、缶内圧力は0.3MPa(3.0kg/cm)に到達した。放圧弁を操作して水分を系外へ放出させながら、缶内圧力を0.3MPa(3.0kg/cm)で41分保持した(缶内温度200℃のとき留出した水量は40gであった)。このとき缶内温度は244℃に到達した。続いて、放圧を開始して、水を留出させながら、5分かけて缶内圧力をゼロにした。このとき、缶内温度は254℃であった。さらに、窒素フロー下で、60分保持することにより、缶内温度は278℃に到達した。圧力容器底部の吐出口から内容物をガット状にして取り出し、ペレタイズすることによりナイロン56を得た。
実施例4
参考例4で作製したナイロン510塩700g、参考例2で作製したペンタメチレンジアミン7.75g(ナイロン510塩に対して3.30mol%)、イオン交換水700gを撹拌翼付きの内容積が3Lの圧力容器に仕込んで窒素置換した後、窒素で缶内圧力を0.05MPa(0.5kg/cm)に加圧した。この圧力容器を密閉したまま、ヒーター温度を260℃に設定して加熱を開始した。30分後に、缶内温度は147℃、缶内圧力は0.3MPa(3.0kg/cm)に到達した。放圧弁を操作して水分を系外へ放出させながら、缶内圧力を0.3MPa(3.0kg/cm)で70分保持した(缶内温度200℃のとき留出した水量は696gであった)。このとき缶内温度は220℃に到達した。続いて、放圧を開始して、水を留出させながら、5分かけて缶内圧力をゼロにした。このとき、缶内温度は223℃であった。さらに、窒素フロー下で、80分保持することにより、缶内温度は258℃に到達した。圧力容器底部の吐出口から内容物をガット状にして取り出し、ペレタイズすることによりナイロン510を得た。
実施例5
参考例5で作製したナイロン59塩700g、参考例2で作製したペンタメチレンジアミン8.13g(ナイロン59塩に対して3.30mol%)、イオン交換水700gを撹拌翼付きの内容積が3Lの圧力容器に仕込んで窒素置換した後、窒素で缶内圧力を0.05MPa(0.5kg/cm)に加圧した。この圧力容器を密閉したまま、ヒーター温度を260℃に設定して加熱を開始した。30分後に、缶内温度は149℃、缶内圧力は0.3MPa(3.0kg/cm)に到達した。放圧弁を操作して水分を系外へ放出させながら、缶内圧力を0.3MPa(3.0kg/cm)で70分保持した(缶内温度200℃のとき留出した水量は680gであった)。このとき缶内温度は221℃に到達した。続いて、放圧を開始して、水を留出させながら、5分かけて缶内圧力をゼロにした。このとき、缶内温度は225℃であった。さらに、窒素フロー下で、80分保持することにより、缶内温度は259℃に到達した。圧力容器底部の吐出口から内容物をガット状にして取り出し、ペレタイズすることによりナイロン59を得た。
実施例6
参考例6で作製したナイロン512塩700g、参考例2で作製したペンタメチレンジアミン7.10g(ナイロン512塩に対して3.30mol%)、イオン交換水700gを撹拌翼付きの内容積が3Lの圧力容器に仕込んで窒素置換した後、窒素で缶内圧力を0.05MPa(0.5kg/cm)に加圧した。この圧力容器を密閉したまま、ヒーター温度を260℃に設定して加熱を開始した。30分後に、缶内温度は147℃、缶内圧力は0.3MPa(3.0kg/cm)に到達した。放圧弁を操作して水分を系外へ放出させながら、缶内圧力を0.3MPa(3.0kg/cm)で70分保持した(缶内温度200℃のとき留出した水量は690gであった)。このとき缶内温度は222℃に到達した。続いて、放圧を開始して、水を留出させながら、5分かけて缶内圧力をゼロにした。このとき、缶内温度は224℃であった。さらに、窒素フロー下で、80分保持することにより、缶内温度は258℃に到達した。圧力容器底部の吐出口から内容物をガット状にして取り出し、ペレタイズすることによりナイロン512を得た。
比較例1
参考例3で作製したナイロン56塩700g、参考例2で作製したペンタメチレンジアミン2.88g(ナイロン56塩に対して1.00mol%)、イオン交換水700gを撹拌翼付きの内容積が3Lの圧力容器に仕込んで窒素置換した後、窒素で缶内圧力を0.05MPa(0.5kg/cm)に加圧した。この圧力容器を密閉したまま、ヒーター温度を280℃に設定して加熱を開始した。65分後に、缶内温度は219℃、缶内圧力は1.75MPa(17.5kg/cm)に到達した。放圧弁を操作して水分を系外へ放出させながら、缶内圧力を1.75MPa(17.5kg/cm)で55分保持した。このとき缶内温度は237℃に到達した(この時点で留出した水量は637gであった)。続いて、放圧を開始して、水を留出させながら、35分かけて缶内圧力をゼロにした。このとき、缶内温度は268℃であった。さらに、窒素フロー下で、45分保持することにより、缶内温度は279℃に到達した。圧力容器底部の吐出口から内容物をガット状にして取り出し、ペレタイズすることによりナイロン56を得た。
比較例2
参考例4で作製したナイロン510塩700g、参考例2で作製したペンタメチレンジアミン3.52g(ナイロン510塩に対して1.50mol%)、イオン交換水700gを撹拌翼付きの内容積が3Lの圧力容器に仕込んで窒素置換した後、窒素で缶内圧力を0.05MPa(0.5kg/cm)に加圧した。この圧力容器を密閉したまま、ヒーター温度を260℃に設定して加熱を開始した。69分後に、缶内温度は216℃、缶内圧力は1.75MPa(17.5kg/cm)に到達した。放圧弁を操作して水分を系外へ放出させながら、缶内圧力を1.75MPa(17.5kg/cm)で90分保持した。このとき缶内温度は228℃に到達した(この時点で留出した水量は630gであった)。続いて、放圧を開始して、水を留出させながら、35分かけて缶内圧力をゼロにした。このとき、缶内温度は248℃であった。さらに、窒素フロー下で、50分保持することにより、缶内温度は259℃に到達した。圧力容器底部の吐出口から内容物をガット状にして取り出し、ペレタイズすることによりナイロン510を得た。
比較例3
参考例5で作製したナイロン59塩700g、参考例2で作製したペンタメチレンジアミン3.69g(ナイロン59塩に対して1.50mol%)、イオン交換水700gを撹拌翼付きの内容積が3Lの圧力容器に仕込んで窒素置換した後、窒素で缶内圧力を0.05MPa(0.5kg/cm)に加圧した。この圧力容器を密閉したまま、ヒーター温度を260℃に設定して加熱を開始した。70分後に、缶内温度は218℃、缶内圧力は1.75MPa(17.5kg/cm)に到達した。放圧弁を操作して水分を系外へ放出させながら、缶内圧力を1.75MPa(17.5kg/cm)で90分保持した。このとき缶内温度は230℃に到達した(この時点で留出した水量は635gであった)。続いて、放圧を開始して、水を留出させながら、35分かけて缶内圧力をゼロにした。このとき、缶内温度は250℃であった。さらに、窒素フロー下で、50分保持することにより、缶内温度は258℃に到達した。圧力容器底部の吐出口から内容物をガット状にして取り出し、ペレタイズすることによりナイロン59を得た。
比較例4
参考例6で作製したナイロン512塩700g、参考例2で作製したペンタメチレンジアミン3.23g(ナイロン512塩に対して1.50mol%)、イオン交換水700gを撹拌翼付きの内容積が3Lの圧力容器に仕込んで窒素置換した後、窒素で缶内圧力を0.05MPa(0.5kg/cm)に加圧した。この圧力容器を密閉したまま、ヒーター温度を260℃に設定して加熱を開始した。72分後に、缶内温度は217℃、缶内圧力は1.75MPa(17.5kg/cm)に到達した。放圧弁を操作して水分を系外へ放出させながら、缶内圧力を1.75MPa(17.5kg/cm)で90分保持した。このとき缶内温度は228℃に到達した(この時点で留出した水量は637gであった)。続いて、放圧を開始して、水を留出させながら、35分かけて缶内圧力をゼロにした。このとき、缶内温度は249℃であった。さらに、窒素フロー下で、50分保持することにより、缶内温度は258℃に到達した。圧力容器底部の吐出口から内容物をガット状にして取り出し、ペレタイズすることによりナイロン512を得た。
実施例1〜6および比較例1〜4で得られたポリアミド樹脂について、前記方法で評価した結果を表1に示す。
Figure 0005630286
実施例1〜6と比較例1〜4の比較により、重合時最高到達圧力を1.0MPa(10kg/cm)未満とすることで、ピペリジン含有量の少ないポリアミド樹脂を得ることができ、重合時間を短縮することができる。
実施例1〜6と比較例1〜4の比較から、200℃以下で原料中の水含有量を40重量%以下に濃縮しておけば、ピペリジン含有量を少なくすることができる。
さらに、実施例1と3の比較から、出発原料に含まれる水含有量が10重量%以下とする方が、ピペリジン含有量を低減することができる。
本発明のポリアミド樹脂は、耐熱性、溶融滞留安定性に優れるという特長を生かして、電気・電子関連部品、自動車・車両関連部品、家電・事務電気製品部品、コンピューター関連部品、ファクシミリ・複写機関連部品、機械関連部品、繊維、フィルムなど各種用途に好適に用いることができる。

Claims (6)

  1. ペンタメチレンジアミンと脂肪族ジカルボン酸、またはその塩を主要構成成分とする単量体を重縮合するポリアミド樹脂の製造方法であって、最高到達圧力を1.0MPa(10kg/cm)未満とし、ポリアミド樹脂の融点以上に加熱するポリアミド樹脂の製造方法であって、200℃以下の温度で、原料中の水含有量を40重量%以下に濃縮する工程を経由するポリアミド樹脂の製造方法
  2. ペンタメチレンジアミンと脂肪族ジカルボン酸、またはその塩を主要構成成分とする単量体を重縮合するポリアミド樹脂の製造方法であって、最高到達圧力を1.0MPa(10kg/cm )未満とし、ポリアミド樹脂の融点以上に加熱するポリアミド樹脂の製造方法であって、水含有量が10重量%以下の原料を出発原料とするポリアミド樹脂の製造方法。
  3. ペンタメチレンジアミンと脂肪族ジカルボン酸、またはその塩を主要構成成分とする単量体を加熱重縮合して得られる、0.01g/mlとした98%硫酸溶液の25℃における相対粘度が2.6以上6.0以下、ピペリジン含有量が0.30×10 −5 mol/g以下であるポリアミド樹脂。
  4. 融点が200℃以上である請求項3に記載のポリアミド樹脂。
  5. 脂肪族ジカルボン酸が、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、およ
    びドデカン二酸からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項3または4に記載の
    ポリアミド樹脂。
  6. 請求項1または2に記載の製造方法により得られる請求項3〜5のいずれかに記載のポリアミド樹脂。
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