以下、本発明を実施するための形態を、図面に基づき詳細に説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るシート処理装置を備えた画像形成装置の一例である白黒/カラー複写機の構成を示す図である。図1において、600は白黒/カラー複写機、602は白黒/カラー複写機本体(以下、複写機本体という)、650は複写機本体602の上部に設けられた原稿読み取り部(イメージリーダ)、651は複数の原稿を自動的に読み取るための原稿搬送装置である。
複写機本体602は、画像形成するための通常のシートSを積載する給紙カセット909a,909b、電子写真プロセスを用いてシート上にトナー画像を形成する画像形成部603、シートに形成されたトナー画像を定着させる定着部904等を備えている。また、複写機本体602の上面にはユーザが複写機本体602に対して各種入力/設定を行うため操作部601が、また複写機本体602の側方には、シート処理装置であるフィニッシャ100が接続されている。なお、630は複写機本体602及びフィニッシャ100の制御を司る制御部であるCPU回路部である。
そして、このような白黒/カラー複写機600において、不図示の原稿の画像をシートに形成する際には、まず原稿搬送装置651により搬送された原稿の画像を、原稿読み取り部650に設けられたイメージセンサ650aにより読み取る。この後、読み取られたデジタルデータを露光手段604に入力し、露光手段604は、このデジタルデータに応じた光を画像形成部603に設けられた感光体ドラム914(914a〜914d)に照射する。このように光が照射されると、感光体ドラム表面に静電潜像が形成され、この静電潜像を現像することにより、感光体ドラム表面にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色トナー画像が形成される。
次に、この4色のトナー画像を給紙カセット909a,909bから給送されたシート上に転写し、この後、シート上に転写されたトナー像を、定着部904により永久定着する。なお、このようにトナー画像を定着した後、シートの片面に画像を形成するモードであれば、そのまま、シートを排出ローラ対907から、複写機本体602の側部に接続されたフィニッシャ100に排出する。
また、シートの両面に画像を形成するモードであれば、シートを定着部904から反転ローラ905に受け渡しし、この後、所定のタイミングで反転ローラ905を反転させ、シートを両面搬送ローラ906a〜906fの方向へ搬送する。そして、この後、再度、シートを画像形成部603に搬送し、裏面にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナー像を転写する。なお、このように裏面に4色のトナー像が転写されたシートは、再度定着部904に搬送されてトナー画像が定着され、この後、排出ローラ対907から排出され、フィニッシャ100に搬送される。
フィニッシャ100は、複写機本体602から排出されたシートを順に取り込み、取り込んだ複数のシートを整合して1つの束に束ねる処理、取り込んだシートの後端付近に孔をあけるパンチ処理を行うようになっている。また、フィニッシャ100は、シート束の後端側をステイプルするステイプル処理(綴じ処理)、製本処理等の処理を行うようになっている。そして、フィニッシャ100は、シートをステイプルする綴じ部であるステイプル部100A及びシート束を二つ折りにして製本するサドルユニット135を備えている。
フィニッシャ100は、図2に示すように、シートを装置内部に取り込むための入口ローラ対102を備えており、複写機本体602から排紙されたシートは、入口ローラ対102に受け渡される。なお、この時、入口センサS101によりシートの受渡しタイミングも同時に検知される。
この後、入口ローラ対102により搬送されたシートは搬送パス103を通過しながら、シートの端部位置を横レジ検知センサS104により検知され、フィニッシャ100のセンター(中央)位置に対してどの程度、幅方向のずれが生じているかが検知される。また、このように幅方向のずれ(以下、横レジ誤差という)が検知された後、シートはシフトローラ対105,106に搬送されている途中でシフトユニット108が手前方向、或は奥方向に所定量移動することにより、シートのシフト動作が実施される。ここで、「手前(前)」は、ユーザが図1に示す操作部601に臨んで立つ際の装置の前面側を言い、「奥」とは装置の背面側を指す。
次に、シートは搬送ローラ110及び離間ローラ111により搬送され、バッファローラ対115に達する。この後、上トレイ136に排紙される場合は、上パス切換部材118が不図示のソレノイド等の駆動手段により、図中破線の状態になる。これにより、シートは上パス搬送路117に導かれ、上排出ローラ120により上トレイ136に排出される。上トレイ136に排出されない場合は、バッファローラ対115により搬送されたシートは、実線に示す状態の上パス切換部材118により束搬送パス121に導かれる。この後、搬送ローラ122、束搬送ローラ対124により順次搬送パス内を通過していく。
次に、搬送されてきたシートを下方の積載トレイ137に排出する場合は、実線に示す状態のサドルパス切換部材125により下パス126に搬送される。この後、シート搬送部である下排出ローラ対128により積載トレイである中間処理トレイ138に順次搬送される。そして、搬送されたシートは、パドル131やベルトローラ158等の戻し手段により、シートを順次積載しながら整合し、整合積載されたシート束に対して処理を施すための中間処理トレイ上で所定枚数整合処理される。
次に、このように中間処理トレイ上で整合処理されたシート束は、必要に応じて綴じ部を構成するステイプラ132により綴じ処理が施され、この後、束排出ローラ対130により下方の積載トレイ137に排紙される。なお、このステイプラ132は、シート搬送方向と直交する幅方向(以下、奥行き方向という)に移動自在であり、シート束の後端部の複数箇所を綴じ処理することができる。
一方、シートをサドル(中綴じ)処理する場合には、不図示のソレノイド等の駆動手段によりサドルパス切換部材125を破線で示す位置に移動させる。これにより、シートはサドルパス133に搬送され、サドル入口ローラ対134によりサドルユニット135に導かれ、サドル処理(中綴じ処理)される。
ここで、シフトユニット108は、図3に示すようにシフトローラ対105,106を備えている。そして、シートが搬送されてくると、シフト搬送モータM208を駆動し、このシフト搬送モータM208の駆動を、駆動ベルト209を介してシフトローラ対106に伝達してシフトローラ対106を駆動する。さらに、シフトローラ対106の駆動を、駆動ベルト213を介してシフトローラ対105に伝達してシフトローラ対105を駆動することにより、シートSはC方向に搬送される。
この時、横レジ検知センサS104が不図示の駆動手段により矢印E方向に移動することにより、シートSの位置(横レジ誤差X)が検出される。この横レジ誤差XとシートSのシフト量αを足し合わせたシートのシフト量Z(=X+α)分だけシートを搬送中に移動する。この動作をシートSがシフトローラ対105,106に挟持されている時に前/奥方向(矢印D間)に行うことで搬送方向Cに搬送しながらシートSを所定量シフトすることができる。
また、綴じ手段(処理手段)であるステイプラ132は、後述する図7に示すクリンチモータM132によって、シート束の端部を綴じ処理するものであり、図4に示すスライド支台303上に固定されている。なお、図5に示すように、スライド支台303の下部には転動コロ304,305が設けられており、ステイプラ移動台306の上面にはガイドレール溝307が形成されている。そして、スライド支台303は、転動コロ304,305とステイプラ移動台306に形成されたガイドレール溝307に案内されて、後述する図7に示すステイプラ移動モータM303により、中間処理トレイ上シートの後端縁に沿って矢印Y方向に移動する。
ステイプラ132は、中間処理トレイ138に積載されたシートSのコーナーにおいて、シートの後端縁に対して所定角度αだけ傾斜された姿勢に維持されるようになっている。なお、この傾斜角度αは、約30度に設定されているが、ガイドレール溝307の形状を変えることによって、変更することができる。また、ステイプラ移動台306には、ステイプラ132のホームポジションを検知する後述する図7に示すステイプラホームセンサS303が設けられている。通常、ステイプラ132は、装置手前側のホームポジションに待機している。
なお、図2において、100Bはフィニッシャ100の上部に設けられたインサータである。このインサータ100Bは、シート束の先頭ページ、最終ページ、又は複写機本体602にて画像が形成されたシート間に通常のシートとは別のシート(インサートシート)を挿入するためのものである。
このインサータ100Bは、インサートトレイ140,141にセットされたインサートシートを、複写機本体602を通すことなく上トレイ136、中間処理トレイ138、サドルユニット135のいずれかに搬送するようにしている。このようなインサータ100Bにおいて、インサートシートを画像形成シート束の中に挿し込む場合は、インサートトレイ140,141にセットされたインサートシートをピックアップローラ142,143によって給送する。
そして、このインサートシートを、搬送ローラ144,145,147,148により搬送し、フィニッシャ100の搬送ローラ110及び離間ローラ111の上流側で合流させる。この後、複写機本体602から排紙されたシートと同様にして上トレイ136、中間処理トレイ138、サドルユニット135のいずれかに搬送する。
図6は、白黒/カラー複写機600の制御ブロック図であり、CPU回路部630は、CPU629、制御プログラム等を格納したROM631、制御データを一時的に保持するための領域や、制御に伴う演算の作業領域として用いられるRAM660を有している。また、図6において、637は白黒/カラー複写機600と外部PC(コンピュータ)620との外部インターフェイスである。この外部インターフェイス637は外部PC620からのプリントデータを受信すると、このデータをビットマップ画像に展開し、画像データとして画像信号制御部634へ出力する。
そして、この画像信号制御部634は、このデータをプリンタ制御部635へ出力し、プリンタ制御部635は、画像信号制御部634からのデータを不図示の露光制御部へ出力する。なお、イメージリーダ制御部633から画像信号制御部634へは、イメージセンサ650a(図1参照)で読み取った原稿の画像が出力され、画像信号制御部634は、この画像出力をプリンタ制御部635へ出力する。
また、操作部601は、画像形成に関する各種機能を設定するための複数のキー及び設定状態を表示するための表示部等を有している。そして、ユーザによる各キーの操作に対応するキー信号をCPU回路部630に出力すると共に、CPU回路部630からの信号に基づき対応する情報を表示部に表示する。
CPU回路部630は、ROM631に格納された制御プログラム及び操作部601の設定に従い、画像信号制御部634を制御すると共に、原稿給送装置制御部632を介して原稿搬送装置651(図1参照)を制御する。また、イメージリーダ制御部633を介して原稿読み取り部650(図1参照)を、プリンタ制御部635を介して画像形成部603(図1参照)を、フィニッシャ制御部636を介してフィニッシャ100をそれぞれ制御する。
なお、本実施の形態において、フィニッシャ制御部636はフィニッシャ100に搭載され、CPU回路部630と情報のやり取りを行うことによってフィニッシャ100の駆動制御を行う。また、フィニッシャ制御部636をCPU回路部630と一体的に複写機本体側に配設し、複写機本体側から直接、フィニッシャ100を制御するようにしてもよい。
図7は本実施の形態に係るフィニッシャ100の制御ブロック図である。フィニッシャ制御部636は、CPU(マイコン)701、RAM702、ROM703、入出力部(I/O)705、通信インターフェイス706、ネットワークインターフェイス704等で構成されている。また入出力部(I/O)705には、搬送制御部707、中間処理トレイ制御部708及び綴じ制御部709が接続されている。ここで、搬送制御部707は、シートの横レジ検知処理、シートバッファリング処理、搬送処理の制御を行うものである。中間処理トレイ制御部708は、前整合板モータM340、奥整合板モータM341、パドル駆動モータM155、束排出モータM130、開閉モータM149、ベルト移動モータM167等の駆動制御を行う。
また、中間処理トレイ制御部708には前整合板ホームセンサS340、奥整合板ホームセンサS341、開閉ホームセンサS149、パドル駆動ホームセンサS155が接続されている。さらに、中間処理トレイ制御部708には、戻しパドルホームセンサS160、ベルト移動ホームセンサS168等が接続されている。そして、この中間処理トレイ制御部708では、後述する前、後整合板の動作制御、引き込みパドルの動作制御、ベルトローラの移動操作制御、開閉ガイドの開閉制御がそれぞれ、ホームポジション検知センサと移動モータによって制御される。また、綴じ制御部709は、クリンチモータM132、ステイプラ移動モータM303等の駆動制御を行うと共に、綴じ制御部709には、針有無センサS7、ステイプラホームセンサS303等が接続されている。
次に、中間処理トレイ138を備えたステイプル部100Aの構成について説明する。中間処理トレイ138は、図4に示すようにシート束の排出方向に対して下流側(図4の左側)を上方に、上流側(図4の右側)を下方に傾斜して配設されており、中間処理トレイ138の上流側である下方端部には後端ストッパ150が配置されている。なお、中間処理トレイ138は、水平であってもよい。
中間処理トレイ138の中間部には図8に示すような前及び奥整合部340A,341Aを備え、中間処理トレイ138に搬送されたシートの幅方向の両側端位置を規制(整合)する幅方向整合部である側端規制部が設けられている。ここで、前及び奥整合部340A,341Aは、整合面を構成する整合部340a,341aを有する整合部材である前及び奥整合板340,341と、前及び奥整合板340,341を夫々独立して駆動する前及び奥整合板モータM340,M341とを備えている。
そして、シートの両側端位置を規制する際は、前及び奥整合板モータM340,M341の駆動を、前及び奥整合板モータM340,M341と共に移動手段を構成するタイミングベルトB340,B341を介して前及び奥整合板340,341に伝達する。これにより、シートに接離可能に当接する前及び奥整合板340,341は、中間処理トレイ138に対して幅方向に沿って独立して移動し、中間処理トレイ138上に積載されたシートの両側端に当接してシートを整合する。
すなわち、前整合板340及び奥整合板341は中間処理トレイ138上に、各整合部(整合面)340a,341aを対向させて配置され、かつ整合方向に正逆移動可能なように組み付けられている。この結果、シート(あるいはシート束)が幅方向にシフトして搬送されてきた場合でも、この前及び奥整合板340,341により、中間処理トレイ138上のシートの位置を整合することができる。
ところで、一方の整合板、例えば前整合板340の整合面を構成する整合部340aは幅方向に移動可能に設けられている。また、この整合部340aと前整合板340の本体340bとの間には、引っ張りバネ345が設けられており、この引っ張りバネ345と移動リンク346,347により、整合部340aは所定量Lだけシート側に突出するようになっている。そして、後述するように、シートの側端位置を規制する際、整合部340aがシートに圧接すると、圧接部である整合部340aは引っ張りバネ345に抗しながら本体側に移動する。
なお、図8において、S340、S341は前及び奥整合板ホームセンサであり、この前及び奥整合板ホームセンサS340,S341により、前及び奥整合板340,341の、それぞれのホームポジションを検知する。そして、このような前及び奥整合板ホームセンサS340,S341を備えることにより、動作しない時、前及び奥整合板340,341を、それぞれ両端部に位置するところに設定された各ホームポジション位置に待機させることができる。
また、図4に示すように中間処理トレイ138の引き込み方向下流側である上方端部には引き込みパドル131と開閉ガイド149が配置されている。ここで、引き込みパドル131は、図9に示すように、中間処理トレイ138の上方に配設され、パドル駆動モータM155によって回転する駆動軸157上に沿って複数固定されている。そして、パドル駆動モータM155により、適切なタイミングで図4において反時計方向に回転するようになっている。
なお、図4において、100Cはシートの搬送方向の位置を整合する搬送方向整合部であるシート後端整合部である。このシート後端整合部100Cは、図9に示すように、回転体であるベルトローラ158(158a,158b)と、後端レバー159と、搬送方向上流側端と当接する規制部材である後端ストッパ150を備えている。そして、中間処理トレイ上へ搬送されたシートは、既述した引き込みパドル131及びこのベルトローラ158の反時計方向の回転によって、後端レバー159にガイドされながら、後端ストッパ150に搬送方向上流側端が突き当てられる。これにより、シートの搬送方向の位置が整合される。
ここで、無端状のベルトであるベルトローラ158は、中間処理トレイ138の上方に昇降可能(移動可能)可能に設けられると共に、例えば後述する図10に示す第1排出ローラ対128を構成する第1排出ローラ128aの外周に巻き掛けられている。また、ベルト移動部材161の先端に設けられた挟持コロA162(162a,162b)、挟持コロB163(163a,163b)によって挟持されている。なお、本実施の形態において、ベルトローラ158を昇降させる昇降部は、このベルト移動部材161及び挟持コロA162により構成される。
そして、このように挟持コロA162及び挟持コロB163によって挟持された形で、その下方部が中間処理トレイ138上に積載された最上シートと接するような位置関係で第1排出ローラ128aの回転に従動して反時計方向に回転する。これにより、中間処理トレイ138上に搬送されたシートは、搬送方向と逆方向に搬送されて後端ストッパ150に当接する。
また、ベルトローラ158は、ベルト移動モータM167からラックギア164を介してベルト移動部材161を矢印方向に移動することで形状を弾性変化させることができ、最上シートと接する位置を上下移動することができる。なお、ベルト移動部材161はベルト移動ホームセンサS168によって、ベルト移動部材161のエッジを検出しながら位置を制御している。
また、図4に示すように開閉ガイド149は、支持軸154を中心に回動可能に支持されると共に、中間処理トレイ138に対向した上側の搬送ガイドとして配置されている。この開閉ガイド149は、中間処理トレイ138の下流側端部に設けられた下部束排出ローラ130aと共に束排出ローラ対130を構成する上部束排出ローラ130bを回転自在に保持している。
そして、このような上部束排出ローラ130bを、下部束排出ローラ130aに対して接離自在に保持する開閉ガイド149の揺動に伴って上部束排出ローラ130bは、下部束排出ローラ130aに対して離接するようになっている。なお、通常、シートが中間処理トレイ138上に搬送されるとき、開閉ガイド149は上方へ揺動し、これに伴い上部束排出ローラ130bが、束排出ローラ対130の他方のローラである下部束排出ローラ130aから離れた開口状態となる。
また、中間処理トレイ138上でのシートの処理が終了したとき、開閉ガイド149は下方に揺動し、上部束排出ローラ130bと下部束排出ローラ130aとでシート束を挟むようになっている。ここで、束排出ローラ対130(例えば、下部束排出ローラ130a)は、束排出モータM130(図7参照)によって正逆回転するようになっている。そして、この後、このように上部束排出ローラ130bと下部束排出ローラ130aとによりシート束を挟持した状態で束排出ローラ対130が回転することにより、シート束は下方の積載トレイ137に排出される。
なお、この開閉ガイド149は、処理するシートを中間処理トレイ138に搬送する際は、上方へ揺動している。これにより、下排出ローラ対128から搬送されたシートは、中間処理トレイ138の傾斜及び引き込みパドル131の作用によって、中間処理トレイ138の積載面上、又は中間処理トレイ138に積載されたシート上を滑降する。このように滑降したシートは、この後、シート搬送手段としてのベルトローラ158の反時計方向の回転によって、後端レバー159にガイドされながら搬送(移送)され、後端(搬送方向上流端)が後端ストッパ150に突き当てられて停止する。
さらに、開閉ガイド149には、上部束排出ローラ130bの上流部に位置し、シートを上部束排出ローラ130bのローラニップ部へ案内する案内ガイド151が設けられている。また、この開閉ガイド149には、図4に示すように下排出ローラ対128から中間処理トレイ138内へシートを排紙する際のシートの表面電荷を除去する第1除電針152が軸方向に渡って配置されている。さらに、この開閉ガイド149には、上部束排出ローラ130bの下流部に位置し、束排出ローラ対130により排出されるシートの表面電荷を除去する第2除電針153が軸方向に渡って配置されている。
次に、このように構成されたフィニッシャ100の未綴じソートモード時及びステイプルソートモード時の動作について説明する。
まず、未綴じソートモード時における動作について説明する。未綴じソートモードのジョブが選択されると、複写機本体602から排紙されたシートをシフトユニット108で排紙中心から手前方向に所定量シフトさせながら搬送する。そして、この後、シートSを図10の(a)及び(b)に示すように、下排出ローラ対128(128a,128b)から束排出ローラ対130(130a,130b)を経て、積載トレイ137へ排出する。以後、同様の動作を指定ソート枚数分繰り返し、2部目では1部目のシフト方向と反対側(奥側)に所定量シフトさせながら、シートSを1部目同様に下排出ローラ対128から束排出ローラ対130を経て積載トレイ137へ排出する。
ここで、本実施の形態においては、1回のシフト量は排紙中心から片側15mmと定めることで、束間のソートオフセット量を30mmとした状態でシートSを積載トレイ137上に積載する。なお、ソート無しのモードが指定された場合には、上流部において斜送等でずれて搬送されてきたシートをシフトユニット108で排紙中心位置へ戻す横レジ補正動作を行う。この後、排紙中心位置で束排出ローラ対130を経て、第1積載トレイとしての積載トレイ137へ排出する。このように、綴じ処理を行わない未綴じのジョブにおいては、シートSを1枚ずつ積載トレイ137に排出するようにしている。
次に、ステイプルソートモード時における動作について図11及び図12に示すフローチャートを用いて説明する。ステイプルソートモードのジョブ(Job)が開始されると(S702)、イニシャル動作を行い、ステイプラ132、ベルトローラ158等の位置が全てホーム(ポジション)にあるかを判断する(S703)。そして、ステイプラ132やベルトローラ158等の位置が全てホーム(ポジション)にある場合には(S703のY)、複写機本体602においてプリントを開始する(S704)。この後、シート排出処理を行う(S705)。
複写機本体602から排出された1部目の1枚目のシートは、シフトユニット108により図2中手前方向に所定量シフトさせながら搬送され、下排出ローラ対128により束排出ローラ対130に搬送される。次に、図13の(a)に示すように、シートS11は、その後端が下排出ローラ対128を抜けて束排出ローラ対130によって所定量送られる。なお、この時、前及び奥整合板340,341を予め中間処理トレイ138の中心から手前にずらした手前オフセット整合待機位置で待機させる。この時の整合待機位置は、シートの排出位置(中心から手前にずらした位置)に対して、さらに両サイド10mmずつ退避した位置である。そして、このような整合待機位置に前及び奥整合板340,341を待機させた状態でシートの搬送動作を待つ。
次に、束排出ローラ対130を逆転させることで、シートS11を図中矢印方向にシートS11の後端が後端ストッパ150へ当接するように搬送される。この後、図13の(b)に示すように、シートS11の後端が後端ストッパ150に突き当たる前に、開閉ガイド149を上昇させ、束排出ローラ対130を離間させる。これにより、シートS11を非挟持状態で後端ストッパ150に突き当て整合することができ、特に薄手のシートで発生しやすい座屈の発生を防止することができる。そして、このようなシートS11の搬送方向先端であるシートS11の後端の整合が終了すると、次に前及び奥整合板340,341を退避位置から整合位置へ動作させ、幅方向の整合を行う。
次に、1部目の2枚目のシートS12が下排出ローラ対128から中間処理トレイ138に搬送される。この時、開閉ガイド149は既に上昇位置にあり、上部排出ローラ130bと下部排出ローラ130aを離間させた状態となっている。さらに前及び奥整合板340,341は予め中間処理トレイ138の中心から手前にずらした手前オフセット整合待機位置で待機している。そして、このような状態でシートS12を迎える。
シートS12の後端が下排出ローラ対128のニップを抜けると、中間処理トレイ138上に搬送される。そして、このような中間処理トレイへの搬送が完了すると(S706のY)、図14の(a)に示すように、引き込みパドル131を反時計回りに回転させる戻し処理を行い(S707)、シートS12の後端を後端ストッパ150に向けて搬送する。この後、中間処理トレイ138上に搬送されたシートS12は、それまでに上方の退避位置から下降しているベルトローラ158によって更に後端ストッパ150に引き寄せられ、後端ストッパ150に突き当たり、シートの搬送方向の整合が行われる(S708)。
次に、シートS12の後端の整合が終了すると、1枚目同様、前及び奥整合板340,341によって幅方向整合処理を行う(S709)。なお、このような幅方向整合処理の際、ベルトローラ158を所定量(本実施の形態では、ベルト移動モータM167を8パルス分駆動した量)、シートから離れる方向に移動した退避位置に移動させる。そして、このように幅方向整合処理の際、ベルトローラ158を退避位置に移動させることにより、前及び奥整合板340,341による整合動作が、ベルトローラ158の搬送抵抗によって阻害されるのを防ぐことができる。この結果、中間処理トレイ138上のシート状態(カール、波うち)や、薄手の剛度の低いシートに対しても、確実に幅方向の所定の整合位置までシートを移動補正することができる。
前及び奥整合板340,341による幅方向の整合動作が完了すると、再びベルトローラ158をシートと圧接する位置まで移動させ、次のシートS13の搬送を待つ。この待機時間の間に、前及び奥整合板340,341による幅方向の整合動作中に発生する搬送方向の“微小ズレ”を、ベルトローラ158によって補正する。
そして、この一連の整合動作をn枚綴じ束の最終シートS1nが後端ストッパ150に突き当たるまで、搬送シート毎に対して繰り返す。なお、シートの積載枚数に応じて中間処理トレイ138上に積載されるシート束の積載シート高さが徐々に増していく。そして、このように積載シート高さが増加すると、シートとベルトローラ158との圧接圧が増加して搬送抵抗が増加し、シートの後端ストッパ側への搬送が困難になる。このため、積載シート高さに応じてベルトローラ158の最下部の当接位置をベルト移動部材161の移動量制御によってベルトローラ158の形を変化させるようにしている。これにより、ベルトローラ158による搬送力を略一定にすることができる。
なお、図15は、このような中間処理トレイ138に搬送されるシート枚数に応じてベルトローラ158の位置を変化させるためのパルス数、及びこれに対応した幅整合時におけるベルトローラ158の退避位置(高さ位置)を示す図である。また、図16は、一連の整合動作のタイミングチャートであり、図16の(a)は、最終シートが搬送される前の整合動作のタイミングチャートを示している。また、図16の(b)は、これから説明する最終シートが搬送された際の整合動作のタイミングチャートを示している。
一方、中間処理トレイに最終シートS1nが搬送されると、すなわち中間処理トレイに搬送されたシートがラストページの場合は(S710のY)、最終シート整合処理を行う(S711)。この場合、ベルトローラ158による整合が終了した後、図12に示すように、不図示の整合モータを正駆動し、前及び奥整合板340,341をシートと接触する方向、つまり幅方向へ移動させる(S750)。また、ベルト移動モータM167を駆動し、ベルトローラ158を退避方向へ移動させる(S756)。そして、ベルト移動モータM167を8パルス(pls)分駆動すると(S757のY)、すなわちベルトローラ158が退避方向へ移動すると、この後、整合モータが100パルス分駆動されるのを待つ。
そして、整合モータが100パルス分駆動されると(S751のY)、すなわち前及び奥整合板340,341がシートを整合する位置に移動すると、整合モータを50ms停止させた後、整合モータを逆駆動する(S752)。これにより、前及び奥整合板340,341はシートを整合する位置から、シートから離間する方向(退避方向)へ移動する。この後、整合モータが20パルス分駆動され、前及び奥整合板340,341が2mm離れた退避位置に移動するのを待つ。つまり、本実施の形態において、最終シートS1nに対して1回目の幅方向の整合動作を行った後、前及び奥整合板340,341を、シートから2mm離れた退避位置に移動させる。
また、1回目の幅方向の整合動作を行った後、ベルト移動モータM167を駆動し、ベルトローラ158をシートに圧接する圧接方向へ移動させる(S758)。そして、ベルト移動モータM167を8パルス(pls)分駆動すると(S759のY)、すなわちベルトローラ158がシートに圧接すると、この後、整合モータが20パルス分駆動されるのを待つ。
そして、整合モータが20パルス分駆動され(S753のY)、すなわち前及び奥整合板340,341が退避位置に移動すると、整合モータを50ms停止させた後、整合モータを正駆動する(S754)。これにより、前及び奥整合板340,341は、シートに対して2回目の整合動作を行うようシートを整合する整合方向へ移動する。この後、整合モータが20パルス分駆動され、前及び奥整合板340,341が2mm離れた退避位置から整合位置に移動するのを待つ。
また、このように前及び奥整合板340,341の整合位置への移動を開始すると、ベルト駆動モータを駆動し、ベルトローラ158を図17の(a)に示すように退避方向へ移動させる(S760)。ここで、本実施の形態においては、このベルトローラ158の2回目の退避動作の際、ベルト移動モータM167を2パルス分駆動するようにしている。これにより、ベルトローラ158の斜め上方への移動量を1回目の移動時(前回移動時)の移動量よりも少なくしている。
この後、ベルト移動モータM167が2パルス分駆動されると(S761のY)、すなわちベルトローラ158が退避位置に移動すると、この後、整合モータが20パルス分駆動されるのを待つ。そして、整合モータが20パルス分駆動されると(S755のY)、すなわち前及び奥整合板340,341が整合位置に移動すると、ベルトローラ移動モータを駆動し、ベルトローラ158を圧接方向へ移動させる(S762)。そして、ベルト移動モータM167を2パルス(pls)分駆動すると(S763のY)、すなわちベルトローラ158がシートに圧接すると、最終シート整合処理を終了する。
次に、このような最終シート整合処理が終了すると、図11に示すようにステイプラ132によって綴じ処理を行う(S712)。ここで、一箇所綴じであれば、ステイプラ132は図5に示すAもしくは、D位置において、綴じ処理を行う。また、二箇所綴じであれば、B位置で一箇所目を綴じ処理し、スライド支台303と、ガイドレール溝307に沿ってステイプラ132がC位置に移動し二箇所目を綴じる。
次に、このような綴じ処理が終了すると、図17の(b)に示すように、開閉ガイド149を降下させて、シート束S1Tを束排出ローラ対130で挟持し、積載トレイ137に排出する。そして、このような束排出処理が終了すると(S713)、積載トレイ137を下降させる積載トレイ排出処理を行う(S714)。次に、搬送されたシートが最終束かを判断し(S715)、搬送されたシートが最終束でない場合には(S715のN)、既述したS702〜S714を繰り返す。また、搬送されたシートが最終束の場合には(S715のY)、ジョブ(Job)を終了する。
ところで、既述したように、本実施の形態においては、最終シートS1nに対してベルトローラ158による1回目の整合動作の後、前及び奥整合板340,341による1回目の幅方向の整合動作を行う。さらに、最終シートS1nに対してのみ、1回目の幅方向の整合動作が終了すると、図17の(a)のように所定量(ベルト移動モータM167を2パルス(pls)分駆動した量)だけシートから離れた退避位置にあるベルトローラ158を圧接方向に移動させる。即ち、図16の(b)に示すように、ベルトローラ158を再びシートと圧接する位置まで移動させる。これにより、前及び奥整合板340,341による1回目の幅方向の整合動作中に発生する搬送方向の“微小ズレ”をベルトローラ158によって補正することができる。
そして、このようにベルトローラ158による2回目の整合動作が終了すると、ベルトローラ158を退避位置に移動させる。ここで、本実施の形態において、このベルトローラ158の2回目の整合動作の後の退避位置への移動量を、1回目(前回)の整合動作の後の移動量よりも小さく設定している。即ち、2回目の整合動作の後の退避位置への移動量は、ベルト移動モータM167を2パルス分だけ駆動した量としている。
この後、ベルトローラ158が再びシートと圧接して整合を行ったことにより発生した幅方向の“微小ズレ“を前及び奥整合板340,341によって補正する。さらに、この後、退避位置に移動させていたベルトローラ158を再びシートと接触する位置まで移動させ、前及び奥整合板340,341による2回目の幅方向の整合動作中に発生する搬送方向の“微小ズレ”をベルトローラ158によって補正する。
なお、このベルトローラ158が再びシートと接触した瞬間、図16の(b)に示すように、前及び奥整合板340,341は幅方向の整合を行う位置にある。つまり、ベルトローラ158による搬送方向の2方向に対してシート束を同時に拘束している状態となる。これにより、ベルトローラ158による整合動作が行われても、幅方向のずれはなくなる。
ところで、以上のように2回目の幅方向の整合動作が終了し、再びベルトローラ158を上方の退避位置からシートと圧接する圧接位置まで移動させるとき、ベルトローラ158は後端ストッパ150から離れる方向に向かって下降する。このため、シートには移動による慣性力が働ようになり、この慣性力により弾性体であるベルトローラ158は所定の移動量よりも更に大きく移動する。
ここで、このようにシートへ接触する方向へ移動する際の移動量が大きくなると、ベルトローラ158の、シートに接触してからの搬送方向と逆方向の移動量が大きくなるため、移動動作時にシートを搬送方向と逆方向にずらしてしまうことがある。しかし、本実施の形態のように、2回目の整合動作時のベルトローラ158のシートから離れる方向の移動量を1回目に対して小さくすることにより、ベルトローラ158の慣性力が小さくなる。これにより、ベルトローラ158の振動や実際のシートに接触してからの移動量を小さくすることができ、移動動作時の搬送方向ズレが小さくすることができる。なお、ベルトローラ158がシートへ接触する際の移動速度(下降速度)に対しても2回目を遅く設定するようにすれば、併せて移動動作時の搬送方向ズレが小さくすることができる。
以上説明したように、本実施の形態においては、最後のシートである最終シートに対して2回目の整合動作終了後の、ベルトローラ158のシートから離れる方向に移動する移動量を、1回目の整合動作終了後の移動量に対して小さくするようにしている。これにより、ベルトローラ158がシートに接触してからの移動量を小さくすることができ、整合精度を向上しつつ生産性を向上させることができる。なお、ベルトローラ158の移動量に関しては、幅方向の整合時におけるシートの移動量に比例関係にある。即ち、幅方向の整合時に移動(補正)する量が多いほど、つまりシートの移動量が大きいほど、薄手のシートの座屈等の影響から、ベルトローラ158の搬送抵抗を小さくする必要がある。
よって、本実施の形態では最終シートの整合動作は2回実施していたが、シートの幅方向の整合時の移動が多い場合には、3回整合することでも整合精度はさらに向上することができる。この場合の幅整合時のベルトローラ158の移動量は1回目の移動量>2回目の移動量>3回目の移動量というように設定する。
このように、本実施の形態では、最終シートに対して複数回行う整合動作のうち最後の幅方向の整合動作の前の、ベルトローラ158の上昇量(移動量)を前回までの上昇量よりも少なくしている。この結果、装置の使用環境差によるシートのカール状態、波うち状態、シート自身が保有する物性値差(剛度、表面性、坪量)によらず、確実なシート整合が可能となる。また、整合処理の時間を短くすることができ、生産性を向上させることができる。さらに、整合処理時の稼動音及び整合処理時の消費電力を低減することができ、ベルトローラ158、モータの交換寿命を伸ばすことができる。
つまり、最終シートに対して複数回行う整合動作のうち最後の幅方向の整合動作の前の、ベルトローラ158の上昇量を前回までの上昇量よりも少なくすることにより、生産性を低下させることなく確実にシートを整合することができる。また、低コスト、静音を実現することができる。
なお、本実施の形態においては、2回目の幅整合動作完了後、再びベルトローラ158によって、幅方向の整合動作中に発生する搬送方向の“微小ズレ”を補正している。しかし、生産性の向上を図る場合には、2回目の幅整合動作完了後、ベルトローラ158による補正を行わず、ステイプルクリンチ動作を実行するようにしても良い。
ところで、これまでの説明においてはシートを搬送方向と逆方向に搬送する回転体としてベルトローラ158を用いた場合について説明したが、本発明は、これに限らない。例えば、回転体として戻し搬送ローラを用いるようにしても良い。
次に、このような回転体として戻し搬送ローラを用いるようにした本発明の第2の実施の形態について説明する。図18は、本実施の形態に係るシート処理装置のステイプル部100Aの構成を示す図である。なお、図18において、既述した図4と同一符号は、同一又は相当部分を示している。
図18において、174は、シートの搬送方向の整合を行うための戻し搬送ローラであり、この戻し搬送ローラ174は下排出ローラ対128に係合されたアーム173によって中間処理トレイ138面に自重で乗りかかるように構成されている。なお、このアーム17は、ローラ移動部材171に設けられた挟持コロA172と挟持コロB173によって挟持されている。
そして、ローラ移動部材171を図18の(a)に示す位置から矢印方向に移動させることにより、戻し搬送ローラ174は、図18の(b)に示すようにアーム17と一体に中間処理トレイ138から離れる方向に移動させ、退避位置に移動させることができる。ここで、この戻し搬送ローラ174が退避位置に移動した場合でも、戻し搬送ローラ174はシートに接触するようになり、下降する際、シートに接触した状態で下降する。なお、中間処理トレイ138上でのシートの整合方法、動作制御等に関しては、第1の実施の形態のベルトローラ158と同様に行うことで、同等の効果を発することが可能となる。
また、図19は、本実施の形態の他の構成を示すものであり、戻し搬送ローラ174の周面に複数の羽根から構成された突起であるパドル搬送部材175が設けられている。そして、このパドル搬送部材175によりシートを搬送することにより、シートの整合性能を向上させることができる。