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JP5612410B2 - 光学フィルムとその製造方法、並びにこれを用いた反射型偏光板及び輝度向上フィルム - Google Patents

光学フィルムとその製造方法、並びにこれを用いた反射型偏光板及び輝度向上フィルム Download PDF

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JP5612410B2 JP2010209759A JP2010209759A JP5612410B2 JP 5612410 B2 JP5612410 B2 JP 5612410B2 JP 2010209759 A JP2010209759 A JP 2010209759A JP 2010209759 A JP2010209759 A JP 2010209759A JP 5612410 B2 JP5612410 B2 JP 5612410B2
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匡人 倉光
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Description

本発明は、光学フィルムに関するものであり、特に反射型偏光板や輝度向上フィルムとして利用可能な光学フィルムに関する。
近年、ディスプレイ市場の拡大に伴い、特に液晶ディスプレイの分野においては、より優れた偏光特性を有する光学用部材が求められている。
また、液晶ディスプレイは自発光式ではないため光の利用効率を向上させて画面の輝度を向上させ、より美しい画像形成を行いたいという要求がある。
さらに、近年の環境問題への意識の高まりから、少ない消費電力で所望の輝度を確保するという要求もある。
液晶ディスプレイにおいては、バックライト光源を分離した偏光を用いて画像表示を行う方式が知られている。
偏光分離に用いられる偏光板としては、一般的に、ポリビニルアルコール樹脂にヨウ素や色素を吸収させたフィルムを延伸・配向させることにより得られる、いわゆる吸収型偏光板が知られている。
このような吸収型偏光板は、偏光特性は非常に高いが、透過軸方向の光のみ透過し、残りは吸収してしまうため、光の透過率は最大でも50%程度であり、光の利用効率が低く、輝度向上フィルムとしては十分な性能が得られないという問題を有している。
上記吸収型偏光板以外の偏光板としては、透過軸と直交する偏光成分を反射することにより偏光分離を行う、いわゆる反射型偏光板が知られており、この反射型偏光板を輝度向上フィルムとして用いることにより、バックライト光源の光の有効利用を図ることができる。
これらの反射型偏光板としては、2種類の材料を多層に積層し、これを延伸した多層積層構造の反射型偏光板が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。これらの反射型偏光板は、層界面での反射を利用して偏光分離を行うものであり、単層では偏光特性が低いが、多層構造とすることにより、全体として高い偏光特性が得られるという利点を有しており、それぞれの層の厚みを精密に制御することにより、輝度向上フィルムとしても十分な輝度向上性能を発揮できるという特徴を有している。
しかしながら、このような多層積層構造の反射型偏光板は、均一な多層積層化や各層厚みの精密制御が必要とされるために、製造工程が複雑化し、生産性が悪く、歩留まりの低下を招来するという問題を有している。
また一方においては、海島構造を持つモルフォロジーを利用した反射型偏光板が提案されている(例えば、特許文献4、5参照)。
これらの反射型偏光板は、連続相と分散相との界面での反射を利用して偏光分離を行うものであり、上述した多層積層構造タイプと比較すると、多層積層化したり、各層厚み精密制御を行ったりする必要がないために、製造工程が複雑化せず、生産性が高く、歩留まりが良好であるという利点を有している。
しかしながら、特許文献4の反射型偏光板においては、開示されている屈折率差の範囲で分散相と連続相を形成しても、十分な輝度向上特性が得られないという問題を有している。
また、特許文献5には、ポリエステル系樹脂とスチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体及び環状構造を持つ単量体よりなる共重合体からなる反射型偏光板が開示されているが、この反射型偏光板は、分散相の粒径が大きいために、十分な輝度向上特性が得られないという問題を有している。
特表平9−507308号公報 特表平9−506985号公報 特表平9−506984号公報 特表2000−506990号公報 特開2008−164929号公報
本発明においては、製造工程が複雑化せず、生産性が良好で低コストで製造可能であり、高い輝度性能(光強度)が得られる光学フィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、従来技術の課題を解決するべく鋭意検討をした結果、分散相(I)と連続相(II)とからなる海島構造を持つ光学フィルムであって、一段階目の延伸工程と二段階目の延伸工程との間に緩和工程を含む二段階延伸によって、少なくとも一方向に延伸されたものであり、前記分散相(I)の光学フィルムの延伸方向に平行な軸の屈折率と、前記連続相(II)の延伸方向に平行な軸の屈折率の差が0.1以上であることを特徴とする光学フィルムが、上述した従来技術の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
〔1〕
ポリエチレンナフタレート系樹脂(P)を主成分として含む分散相(I)と、アクリル系樹脂(A)及びゴム(R)を主成分として含む連続相(II)を含む海島構造を持つ光学フィルムであって、
一段階目の延伸工程と二段階目の延伸工程との間に緩和工程を含む二段階延伸によって、少なくとも一方向に延伸されたものであり、
前記分散相(I)の光学フィルムの延伸方向に平行な軸の屈折率と、前記連続相(II)の光学フィルムの延伸方向に平行な軸の屈折率の差が0.1以上であることを特徴とする光学フィルム。
〔2〕
アクリル系樹脂(A)及びゴム(R)を主成分として含む分散相(I)と、ポリエチレンナフタレート系樹脂(P)を主成分として含む連続相(II)を含む海島構造を持つ光学フィルムであって、
一段階目の延伸工程と二段階目の延伸工程との間に緩和工程を含む二段階延伸によって、少なくとも一方向に延伸されたものであり、
前記分散相(I)の光学フィルムの延伸方向に平行な軸の屈折率と、前記連続相(II)の光学フィルムの延伸方向に平行な軸の屈折率の差が0.1以上であることを特徴とする光学フィルム。
〔3〕
前記少なくとも一方向が、光学フィルムの機械的流れ方向である、前項〔1〕又は〔2〕に記載の光学フィルム。
〔4〕
前記分散相(I)の光学フィルムの延伸方向に垂直な方軸の屈折率と、前記連続相(II)の光学フィルムの延伸方向に垂直な軸の屈折率の差が0.05以下であることを特徴とする前項〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の光学フィルム。
〔5〕
前記アクリル系樹脂(A)が、芳香族ビニル化合物単量体単位、(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位、及び下記一般式(3)で表される単位からなる共重合体である前項〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の光学フィルム。
(式(3)中、XはO又はN−Rであって、Oは酸素原子示し、Nは窒素原子示し、Rは水素原子、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアリール基及び置換又は無置換のシクロアルキル基からなる群より選ばれるいずれか1つを示す。)
〔6〕
前項〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載の光学フィルムからなる反射型偏光板。
〔7〕
前項〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載の光学フィルムからなる輝度向上フィルム。
〔8〕
以下の工程(i)〜(iv)をこの順で含む、光学フィルムの製造方法:
(i)ポリエチレンナフタレート系樹脂(P)を主成分として含む分散相(I)とアクリル系樹脂(A)及びゴム(R)を主成分として含む連続相(II)とを含む海島構造を持つ未延伸フィルムを用意する工程、
(ii)前記未延伸フィルムを一軸延伸する工程、
(iii)工程(ii)で得られた一軸延伸フィルムを緩和する工程、
(iv)工程(iii)で緩和された一軸延伸フィルムを、工程(ii)における延伸方向と同じ方向にさらに一軸延伸する工程。
〔9〕
以下の工程(i)〜(iv)をこの順で含む、光学フィルムの製造方法:
(i)アクリル系樹脂(A)及びゴム(R)を主成分として含む分散相(I)とポリエチレンナフタレート系樹脂(P)を主成分として含む連続相(II)とを含む海島構造を持つ未延伸フィルムを用意する工程、
(ii)前記未延伸フィルムを一軸延伸する工程、
(iii)工程(ii)で得られた一軸延伸フィルムを緩和する工程、
(iv)工程(iii)で緩和された一軸延伸フィルムを、工程(ii)における延伸方向と同じ方向にさらに一軸延伸する工程。
〔10〕
前記アクリル系樹脂(A)が、芳香族ビニル化合物単量体単位、(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位、及び下記一般式(3)で表される単位からなる共重合体である前項〔8〕又は〔9〕に記載の光学フィルムの製造方法。
(式(3)中、XはO又はN−Rであって、Oは酸素原子示し、Nは窒素原子示し、Rは水素原子、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアリール基及び置換又は無置換のシクロアルキル基からなる群より選ばれるいずれか1つを示す。)
本発明によれば、製造工程が複雑化せず、生産性が良好で、低コストで製造可能であり、高い輝度性能(光強度)が得られる光学フィルムを提供することができる。
光学フィルムを構成する分散相(I)及び連続相(II)の配向度と屈折率との関係を示す。 本実施形態に使用することができるポリマー(M)が線状ブロック共重合体である場合の構造例の模式図を示す。 本実施形態に使用することができるポリマー(M)がグラフト共重合体である場合の構造例の模式図を示す。 輝度評価用装置の要部の概略断面図を示す。
以下、本発明を実施するための形態(以下、本実施形態)について詳細に説明する。
なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できるものとする。
〔光学フィルム〕
本実施形態の光学フィルムは、分散相(I)と連続相(II)とからなる海島構造を有しており、連続相(II)の中に分散相(I)が点在する形で存在している。
本実施形態の光学フィルムにおいては、前記分散相(I)の配向方向(光学フィルムの延伸方向)に平行で当該フィルム面に平行な軸(方向)の、前記分散相(I)と前記連続相(II)との屈折率差が、0.1以上である。
なお、光学フィルムの延伸方向は、フィルムが押出成形により成形されたものである場合には、成形時の機械的流れ方向であることが好ましい。
さらに、光学フィルムの延伸方向に垂直な軸の、前記分散相(I)と前記連続相(II)の屈折率差が0.05以下であることが、輝度向上の観点から好ましい。分散相(I)と前記連続相(II)の、所定の軸の屈折率差については、後述する。
本実施形態の光学フィルムは、一方向の延伸が二段階で行われ、二つの延伸工程の間に緩和工程を含む一連の延伸工程(二段階延伸方法)により製造される。
前記分散相(I)及び連続相(II)を構成する材料に限定はないが、前記分散相(I)の主成分が結晶性樹脂である場合は、前記連続相(II)の主成分が非晶性樹脂であることが好ましく、前記分散相(I)の主成分が非結晶性樹脂である場合は、前記連続相(II)の主成分は非晶性樹脂であることが好ましい。
さらに、前記分散相(I)にはポリエチレンナフタレート系樹脂(P)が主成分として含まれ、前記連続相(II)には、アクリル系樹脂(A)及びゴム(R)が主成分として含まれることが光学特性の観点から好ましい。
或は、前記連続相(II)には、ポリエチレンナフタレート系樹脂(P)が主成分として含まれ、前記分散相(I)には、アクリル系樹脂(A)及びゴム(R)が主成分として含まれることが光学特性の観点から好ましい。
ここで、「主成分として含まれ(る)」とは、その相に含まれる当該樹脂の体積が、当該相に含まれるすべての材料の体積の合計の50体積%を超えて多いことを意味し、好ましくは80体積%以上、より好ましくは90体積%以上であるものとする。
なお、アクリル系樹脂(A)+ゴム(R)について「主成分として含まれ(る)」とはアクリル系樹脂(A)とゴム(R)の体積の合計が、(I)または(II)の相に含まれるすべての材料の体積の合計の50体積%を超えて多いことを意味し、好ましくは80体積%以上、より好ましくは90体積%以上であるものとする。
本実施形態の光学フィルムにおいては、分散相(I)にゴム(R)を含有させることにより、分散相(I)の粒径が微細化し、良好な偏光特性、輝度向上特性及びコントラストを得ることができる。
前記分散相(I)又は連続相(II)に含有されているゴム(R)は、平均直径が400nm以下の粒子状であることが好ましい。
ゴム(R)の平均直径が400nm以下であることで、ゴム(R)が含有されている相の光の透過率が向上し、本実施形態の光学フィルムは、輝度向上特性に優れたものとなる。ゴム(R)の平均直径は200nm以下であることがより好ましい。
ゴム(R)の直径は、本実施形態の光学フィルムのモルフォロジーを透過型電子顕微鏡により撮影し、得られた写真から、ゴム(R)の短径及び長径を測定し、短径と長径の平均値をゴム(R)1個の直径とし、さらに任意に選択したゴム(R)100個の直径の平均値を求め、これをゴム(R)の直径とする。
なお、短径、長径とは、それぞれ、ゴム(R)に外接する面積が最小となる外接長方形の短辺、長辺である。
上記におけるアクリル系樹脂(A)とゴム(R)の含有割合は、アクリル系樹脂(A)100質量部に対して、前記ゴム(R)が10〜60質量部であることが好ましい。
ゴム(R)の含有割合がアクリル系樹脂(A)100質量部に対して、60質量部以下であると、ゴム(R)が含有されている相の光の透過率が向上し、本実施形態の光学フィルムは、偏光特性や輝度向上特性に優れたものとなる。またゴム(R)の含有割合はより好ましくはアクリル系樹脂(A)100質量部に対して、50質量部以下であることが好ましい。
また、前記分散相(I)には、ポリエチレンナフタレート系樹脂(P)が主成分として含有され、前記連続相(II)には、(a)シアン化ビニル系単量体20〜40質量%、(b)芳香族ビニル系単量体40〜80質量%、(c)これらと共重合可能なその他単量体0〜20重量%((a)+(b)+(c)=100質量%)から得られ、重量平均分子量が15万〜23万、平均屈折率が1.545〜1.575である熱可塑性樹脂(S)が主成分として含有されることも光学特性の観点から好ましい。
或いは、前記連続相(II)には、ポリエチレンナフタレート系樹脂(P)が主成分として含有され、前記分散相(I)には、(a)シアン化ビニル系単量体20〜40質量%、(b)芳香族ビニル系単量体40〜80質量%、(c)これらと共重合可能なその他の単量体0〜20重量%((a)+(b)+(c)=100質量%)から得られ、重量平均分子量が15万〜23万、平均屈折率が1.545〜1.575である熱可塑性樹脂(S)が、主成分として含有されることも光学特性の観点から好ましい。
〔屈折率〕
(分散相(I)、連続相(II)の屈折率)
本実施形態において、分散相(I)及び連続相(II)の屈折率は、分散相(I)、連続相(II)、それぞれを構成する材料を別々に、本実施形態における光学フィルムを得る場合と同じ条件(成形・延伸条件)で成形・延伸して得たフィルムを用いて決定する。すなわち、得られた延伸フィルムの、延伸方向と平行な軸の屈折率及び延伸方向と垂直な軸の屈折率を測定・算出し、これらを、それぞれ、分散相(I)、連続相(II)の延伸方向と平行な軸の屈折率及び延伸方向と垂直な軸の屈折率とする。
(光学フィルムを構成する樹脂の最大屈折率、最小屈折率及び平均屈折率)
本実施形態における光学フィルムを構成する各樹脂の最大屈折率、最小屈折率及び平均屈折率とは、各樹脂それぞれを成形した未延伸フィルムの最大屈折率、最小屈折率及び平均屈折率とする。
ここで、最大屈折率は、フィルム面内において屈折率が最大となる方向の屈折率、最小屈折率は、フィルム面内において屈折率が最小となる方向の屈折率とする。なお、最大屈折率を示す方向と最小屈折率を示す方向は垂直に交わる。
また、本実施形態における光学フィルムを構成する樹脂の平均屈折率は、各樹脂それぞれを成形した未延伸フィルムの最大屈折率、最小屈折率及びフィルムの厚み方向の屈折率の、3つの屈折率の平均値とする。
但し、本実施形態における屈折率は、23℃における、550nmの波長光に対する屈折率とし、23℃における、550nmの波長光に対する屈折率は、23℃の条件下で、532nm、633nm、及び838nmの波長光に対する屈折率を測定して、下記式(1)により定義されるコーシーの式により波長分散の曲線を作成し、その曲線から求めた550nmにおける値とする。
n=A+B/λ2 +C/λ4 ・・・(1)
上記式(1)中、「n」は屈折率、「A」、「B」及び「C」は定数、「λ」は光の波長を示す。
〔固有複屈折〕
本実施形態の光学フィルムを構成する樹脂に関し、「固有複屈折」と呼ばれる物性がある。
この「固有複屈折」とは、配向に依存した複屈折の大きさを表す値であり、下記式(2)により定義される。
固有複屈折=npr−nvt ・・・(2)
前記式(2)中、「npr」は、一軸性の秩序をもって配向したポリマーの配向方向と平行な方向の屈折率を示し、「nvt」は、その配向方向と垂直な方向の屈折率を示す。
すなわち、前記「固有複屈折」が正である樹脂とは、当該樹脂が一軸性の秩序をもって配向して形成された層に光が入射したとき、前記配向方向の光の屈折率が前記配向方向に直交する方向の光の屈折率より大きくなる樹脂を言い、固有複屈折が負である樹脂とは、逆に小さくなる樹脂を言う。
図1に、本実施形態における光学フィルムを構成する分散相(I)、連続相(II)の、配向度と屈折率との関係を図示する。
ここでは、分散相(I)の主成分がポリエチレンナフタレート系樹脂(P)、連続相(II)の主成分がアクリル系樹脂(A)+ゴム(R)である場合を例に説明する。
光学フィルムを構成する分散相(I)の主成分である「ポリエチレンナフタレート系樹脂(P)」、連続相(II)の主成分である「アクリル系樹脂(A)+ゴム(R)」の固有複屈折は、それぞれ正と負である。
よって、光学フィルムが一軸性の配向を持つ(一軸延伸されたものである)場合、配向方向(延伸方向)に平行な方向(軸)をX方向、配向方向に垂直な方向(軸)をY方向とすると、固有複屈折が正であるポリエチレンナフタレート系樹脂(P)を主成分として含む分散相(I)においては、最大屈折率を示す方向はX方向、最小屈折率を示す方向はY方向である。また、固有複屈折が負であるアクリル系樹脂(A)とゴム(R)を主成分として含む連続相(II)においては、最大屈折率を示す方向はY方向、最小屈折率を示す方向はX方向となる。
すなわち、ポリエチレンナフタレート系樹脂(P)を主成分として含む分散相(I)の最大屈折率(nx(1))と最小屈折率(ny(1))、及び、アクリル系樹脂(A)とゴム(R)を主成分として含む連続相(II)の最大屈折率(ny(2))、最小屈折率(nx(2))と、配向度(延伸倍率)の関係は図1のようになる。
また、分散相(I)の最大屈折率nx(1)と、連続相(II)の最小屈折率nx(2)との差(すなわち、分散相(I)の光学フィルムの延伸方向に平行な軸の屈折率と、連続相(II)の光学フィルムの延伸方向に平行な軸の屈折率の差)の絶対値|nx(1)−nx(2)|をΔnxとし、分散相(I)の最小屈折率ny(1)と、連続相(II)の最大屈折率ny(2)の差(すなわち、分散相(I)の光学フィルムの延伸方向に垂直な軸の屈折率と、連続相(II)の光学フィルムの延伸方向に垂直な軸の屈折率の差)の絶対値|ny(1)−ny(2)|をΔnyとすると、図1のようになる。
Δnxが大きくなると、延伸方向に平行に振動する光の透過率が減少する。したがって、本実施形態における光学フィルムにおいて、優れた偏光特性を実現し、かつ輝度向上性能を高めるために、Δnxを極力大きくすることが好ましい。
なお、図1から明らかなように、Δnxを大きくするためには、延伸等の手段により、分散相(I)及び連続相(II)それぞれを構成する材料の一軸配向性を極力高めることが必要である。
本実施形態の光学フィルムにおいては、Δnxを0.1以上にすることにより、X方向に電場が振動する光の成分を反射し、優れた偏光特性とコントラストを向上させる効果が得られる。
さらに、Δnyが小さいと、延伸方向に垂直な方向に振動する光の透過率が増加する。したがって、Δnyを0.05以下にすることにより、Y方向に電場が振動する光の成分の反射を抑止し、優れた偏光特性が得られるため、コントラストを向上させる効果が得られる。
〔ポリエチレンナフタレート系樹脂(P)〕
本実施形態において、ポリエチレンナフタレート系樹脂とは、ポリエチレングリコールを含むポリアルコールと、2,6−ナフタレンジカルボン酸を含む多価カルボン酸との重縮合体(ポリエステル)をいう。
本実施形態における光学フィルムの分散相(I)又は連続相(II)を構成する主成分として好ましいポリエチレンナフタレート系樹脂(P)としては、ポリエチレンナフタレートのホモポリマー(ポリアルコールとしてポリエチレングリコールのみを用い、多価カルボン酸として2,6−ナフタレンジカルボン酸のみを用いたポリエステル)、ポリエチレンナフタレートとポリエチレンテレフタレートとのコポリマー(ポリアルコールとしてポリエチレングリコールのみを用い、多価カルボン酸として2,6−ナフタレンジカルボン酸とテレフタル酸とを用いたポリエステル)のいずれも用いることができるが、偏光特性や輝度向上性能に優れる光学フィルムを得るためには、ポリエチレンナフタレートのホモポリマーを単独で用いることが好ましい。
本実施形態の光学フィルムにおいて、優れた偏光特性や輝度向上性能を実現するために、上述した(光学フィルムを構成する樹脂の最大屈折率、最小屈折率及び平均屈折率)の項目で説明した算出方法により求められるポリエチレンナフタレート系樹脂(P)の平均屈折率は、1.60以上であることが好ましく、1.63以上であることがより好ましく、1.65以上であることがさらに好ましい。
また、ポリエチレンナフタレート系樹脂(P)の最大屈折率と平均屈折率との差は、0.1以上であることが好ましく、0.15以上であることがより好ましい。
さらに、ポリエチレンナフタレート系樹脂(P)の最大屈折率と最小屈折率との差は、0.15以上であることが好ましく、0.20以上であることがより好ましく、0.25以上であることがさらに好ましい。
またさらに、ポリエチレンナフタレート系樹脂(P)の固有粘度は、o−クロロフェノール溶液中、35℃での値として0.4〜0.9dl/gが好ましく、0.6〜0.8dl/gがより好ましい。固有粘度を上記範囲とすることにより、光学フィルムにおいて高い均一性が得られ、かつ偏光特性が向上する。
〔熱可塑性樹脂(S)〕
本実施形態における光学フィルムの分散相(I)又は連続相(II)を構成する主成分として好ましい熱可塑性樹脂(S)は、(a)シアン化ビニル系単量体、(b)芳香族ビニル系単量体、(c)前記(a)、(b)と共重合可能な単量体から得られるもの(共重合体)である。
また、(a)〜(c)の単量体の比率は、単量体の質量合計((a)+(b)+(c))を100質量%とした場合、(a)シアン化ビニル系単量体の比率が20〜40質量%、(b)芳香族ビニル系単量体の比率が40〜80質量%、(c)これらと共重合可能な単量体の比率が0〜20質量%であることが好ましい。
熱可塑性樹脂(S)の中に、(a)シアン化ビニル系単量体から得られる成分が、全く含まれていない場合、熱可塑性樹脂(S)とポリエチレンナフタレート系樹脂(P)との相溶性が非常に低くなるため、分散相径が肥大化し、また分散相数が減少し、最終的に得られる光学用フィルムにおいて、偏光特性や輝度向上性能が低くなる。
熱可塑性樹脂(S)中に、(a)シアン化ビニル系単量体から得られる成分が含まれることにより、熱可塑性樹脂(S)とポリエチレンナフタレート系樹脂(P)との相互作用が増加するが、熱可塑性樹脂(S)100質量%中の(a)シアン化ビニル単量体から得られる成分が20質量%未満である場合、熱可塑性樹脂(S)とポリエチレンナフタレート系樹脂(P)との間の相互作用の効果が十分ではないため、最終的に得られる光学用フィルムは偏光特性に劣ったものとなる。
一方、熱可塑性樹脂(S)100質量%中の(a)シアン化ビニル単量体から得られる成分が40質量%よりも多い場合、熱可塑性樹脂(S)とポリエチレンナフタレート系樹脂(P)との相互作用の効果が大きすぎ、最終的に得られる光学用フィルムは、偏光特性や輝度向上性能に劣ったものとなる。
熱可塑性樹脂(S)は、23℃の温度条件下で、平均屈折率が1.545〜1.575であるものが好ましい。熱可塑性樹脂(S)の平均屈折率が上記範囲内であると、ポリエチレンナフタレート系樹脂(P)との屈折率の整合がとれ、最終的に得られる光学用フィルムにおいて十分な偏光特性を発現することができ、また、優れた輝度向上特性を示すことができる。
熱可塑性樹脂(S)において、(a)シアン化ビニル系単量体、(b)芳香族ビニル系単量体、(c)前記(a)、(b)と共重合可能な単量体の、それぞれの質量比率及び平均屈折率は、独立に制御できる構成要件ではなく、実際には両方の構成要件を満たすように、(a)シアン化ビニル系単量体、(b)芳香族ビニル系単量体、(c)これらと共重合可能な単量体の質量比率を決める必要がある。
また、質量比率及び平均屈折率が上述した条件を満たし、光学用フィルムにおいて、より優れた偏光特性や輝度向上性能を発現させるためには、(a)シアン化ビニル系単量体の比率が30〜40質量%であることが好ましい。
<(a)シアン化ビニル系単量体>
熱可塑性樹脂(S)を得るために使用する(a)シアン化ビニル系単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロルアクリルニトリル等が挙げられるが、特にアクリロニトリルが好ましい。これらのシアン化ビニル系単量体は、単独で用いてもよく2種以上を組み合わせてもよい。
<(b)芳香族ビニル系単量体>
熱可塑性樹脂(S)を得るために使用する(b)芳香族ビニル系単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、エチルスチレン、ビニルキシレン、ブロモスチレン、ビニルベンジルクロリド、p−t−ブチルスチレン、クロロスチレン、アルキルスチレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン等が挙げられるが、特にスチレンが好ましい。これらの芳香族ビニル系単量体は、単独で用いてもよく2種以上を組み合わせてもよい。
<(c)前記(a)、(b)と共重合可能なその他の単量体>
熱可塑性樹脂(S)を得るために使用する(c)前記(a)、(b)と共重合可能なその他の単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体、(メタ)アクリルアミド系単量体、酢酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類;塩化ビニル等のハロゲン化ビニル類;アミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート等のアミノ基含有エチレン性単量体類;共役ジエン系単量体;エチレン性不飽和カルボン酸単量体;エチレン性不飽和カルボン酸無水物単量体;エチレン性不飽和カルボン酸イミド化物単量体;スチレンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。これらの前記(a)、(b)と共重合可能な単量体は、単独で用いてもよく2種以上を組み合わせてもよい。
前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、イソアミルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エチル−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールエトキシアクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパン、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記(メタ)アクリルアミド系単量体としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド等のN−モノアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等のN、N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、グリシジルメタアクリルアミド、N−アルコキシ(メタ)アクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等が挙げられる。
前記共役ジエン系単量体としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、クロロプレン、2−クロル−1,3−ブタジエン、シクロペンタジエン等が挙げられる。
前記エチレン性不飽和カルボン酸単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸等が挙げられる。
前記エチレン性不飽和カルボン酸無水物単量体としては、例えば、無水マレイン酸等が挙げられ、前記エチレン性不飽和カルボン酸イミド化物単量体としては、例えば、N−フェニルマレイミド等が挙げられる。
<熱可塑性樹脂(S)の重量平均分子量>
熱可塑性樹脂(S)の重量平均分子量は、15万以上23万以下であることが好ましい。
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算によって求められる。
熱可塑性樹脂(S)の重量平均分子量が23万以下であると、ポリエチレンナフタレート系樹脂(P)と熱可塑性樹脂(S)とを、例えば押出機等を用いて混練し、フィルム化した後、当該フィルムのモルフォロジーにおける分散相の径の肥大や、数の減少が起こりにくく、結果として光学用フィルムにおいて良好な偏光特性を発現する。
また、熱可塑性樹脂(S)の重量平均分子量が15万より大きい場合、最終的に得られる光学用フィルムにおいて、強度が増加し、取扱性が良好となる。
<熱可塑性樹脂(S)の製造方法>
熱可塑性樹脂(S)は、市販品をそのまま用いてもよく、市販品の単量体から公知の方法により製造してもよい。
熱可塑性樹脂(S)の製造方法としては、例えばキャスト重合、塊状重合、懸濁重合、溶液重合、乳化重合、アニオン重合等の一般に実施されている重合方法が適用できる。特に、最終的に得られる光学用フィルムを反射型偏光板や輝度向上フィルム等の光学用途に適用する場合には、異物クレームの原因となる懸濁剤や乳化剤等を用いない塊状重合や溶液重合が好ましい。
溶液重合により熱可塑性樹脂(S)を製造する場合には、単量体の混合物を、トルエン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素の溶媒に溶解して調製した溶液を用いることができる。
塊状重合により熱可塑性樹脂(S)を製造する場合には、公知の方法により、加熱により生じる遊離ラジカルや電離性放射線照射により重合を開始させることができる。
熱可塑性樹脂(S)の重合反応の開始剤としては、ラジカル重合において一般に用いられる任意の開始剤を使用できる。例えば、アゾビスイソブチルニトリル等のアゾ化合物;ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等の有機過酸化物が挙げられる。
特に、90℃以上の高温条件下で重合を行う場合には、溶液重合が一般的であるので、10時間半減期温度が80℃以上で、かつ適用する有機溶媒に可溶である過酸化物、アゾビス開始剤等が好ましい。具体的には、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、シクロヘキサンパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、1,1−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル等が挙げられる。これらの開始剤は、例えば、単量体全体100質量部に対して、0.005〜5質量部の範囲で用いることが好ましい。
熱可塑性樹脂(S)の重合反応においては、必要に応じて分子量調節剤を用いてもよい。
分子量調節剤としては、ラジカル重合において一般に用いられる任意のものが使用できる。例えば、ブチルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、チオグリコール酸2−エチルヘキシル等のメルカプタン化合物が挙げられる。これらの分子量調節剤は、熱可塑性樹脂(S)の重量平均分子量を上述した範囲に制御できるように量を調節して添加することが好ましい。
分散相(I)と連続相(II)の主成分が、ポリエチレンナフタレート系樹脂(P)と熱可塑性樹脂(S)の組合せである場合、光学フィルムには以下のポリマー(M)を添加してもよい。なお、ポリマー(M)は分散相と連続相の界面を横断し、両者をつなぎ合わせるように存在すると考えられるが、前述の「主成分」を決定する際には、ポリマー(M)の体積は分散相及び連続相いずれの体積にも算入しないこととする。
ポリマー(M)は、エチレン及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体から得られる共重合体(m1)と、(d)シアン化ビニル系単量体20〜40質量%、(e)芳香族ビニル系単量体40〜80質量%、(f)前記(d)、(e)と共重合可能なその他の単量体0〜20質量%((d)+(e)+(f)=100質量%)とから得られる共重合体(m2)とがブロック結合又はグラフト結合したものである。
これらの共重合体(m1)と(m2)とが、ランダムに結合したものである場合、後述する親和性を得る効果が不十分となり、最終的に得られる光学用フィルムにおいて、実用上十分な強度が得られず、また、フィルムの厚み均一性が劣化する。
なお、(d)シアン化ビニル系単量体は上述した(a)と、(e)芳香族ビニル系単量体は上述した(b)と、(f)前記(d)、(e)と共重合可能なその他の単量体は上述した(c)と、それぞれ同様の単量体を用いることができる。
ポリマー(M)を、ポリエチレンナフタレート系樹脂(P)及び熱可塑性樹脂(S)へ加えることにより、ポリマー(M)中のエチレン及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体から得られる共重合体(m1)部分はポリエチレンナフタレート系樹脂(P)と、(d)シアン化ビニル系単量体、(e)芳香族ビニル系単量体、(f)これらと共重合可能なその他の単量体から得られる共重合体(m2)部分は熱可塑性樹脂(S)と、それぞれ親和性を有しているため、分散相(I)と連続相(II)の界面の接着性が向上し、最終的に得られる光学用フィルムの強度の向上効果が得られ、また、フィルムの厚み均一性の向上効果も得られる。
また、ポリマー(M)を加えることにより、ポリエチレンナフタレート系樹脂(P)を主成分として含む相と、熱可塑性樹脂(S)を主成分として含む相のうちの分散相(I)の短径が小さくなり、同一延伸条件(延伸倍率、延伸温度、延伸速度等が同一)で延伸した場合のアスペクト比が大きくなるため、最終的に得られる光学用フィルムにおいて、優れた偏光特性及び輝度向上性能が得られる。
ポリマー(M)において、エチレン及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体から得られる共重合体(m1)と、(d)シアン化ビニル系単量体、(e)芳香族ビニル系単量体、(f)これらと共重合可能なその他の単量体から得られる共重合体(m2)とがブロック結合した構造例として、図2(a)〜(d)に線状ブロック共重合体の模式図を示す。
ポリマー(M)において、エチレン及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体から得られる共重合体(m1)と、(d)シアン化ビニル系単量体、(e)芳香族ビニル系単量体、(f)これらと共重合可能なその他の単量体から得られる共重合体(m2)とがグラフト結合した構造例の模式図を図3に示す。
なお、前記グラフト結合とは、ポリマー主鎖に、主鎖とは別種の構造を持つポリマー鎖(側鎖)が接ぎ木状に結合することを意味しているものとする。
ポリマー(M)において、エチレン及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体から得られる共重合体(m1)と、(d)シアン化ビニル系単量体、(e)芳香族ビニル系単量体、(f)これらと共重合可能なその他の単量体から得られる共重合体(m2)とが、グラフト結合した構造を有している場合、共重合体(m1)が主鎖で共重合体(m2)が側鎖であっても、共重合体(m2)が主鎖で共重合体(m1)が側鎖であってもよいが、共重合体(m1)が主鎖で共重合体(m2)が側鎖であることが好ましい。
ポリマー(M)の含有比率については、ポリエチレンナフタレート系樹脂(P)+熱可塑性樹脂(S)=100質量部に対して、0.1質量部以上6質量部以下であり、0.5質量部以上4質量部以下が好ましい。
ポリマー(M)が、ポリエチレンナフタレート系樹脂(P)+熱可塑性樹脂(S)=100質量部に対して、0.1質量部未満であると、最終的に得られる光学用フィルムにおいて実用上十分な強度が得られず、また厚み均一性が悪化する。一方、6質量部を超えると最終的に得られる光学用フィルムの光透過率が低下し、偏光特性が悪化する。
ポリマー(M)を構成する共重合体(m1)は、エチレン及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体からなる共重合体であるが、エチレンと(メタ)アクリル酸エステル系単量体との質量比は、5/95〜95/5が好ましく、50/50〜90/10がより好ましく、60/40〜85/15がさらに好ましい。
これらの質量比を5/95〜95/5とすることにより、ポリマー(M)とポリエチレンナフタレート系樹脂(P)との間に良好な親和性が確保できる。
熱可塑性樹脂(S)における全単量体成分の合計((a)+(b)+(c))を100質量%とした場合の(a)シアン化ビニル系単量体成分の質量%をWsa、(b)芳香族ビニル系単量体成分の質量%をWsbとし、ポリマー(M)における共重合体(m2)を構成する全単量体成分の合計((d)+(e)+(f))を100質量%とした場合の(d)シアン化ビニル系単量体成分の質量%をWmd、(e)芳香族ビニル系単量体成分の質量%をWmeとしたとき、0.90≦Wsa/Wmd≦1.1、かつ0.90≦Wsb/Wme≦1.1であることが好ましく、0.95≦Wsa/Wmd≦1.05、かつ0.95≦Wsb/Wme≦1.05であることがより好ましい。
Wsa/Wmd、及びWsb/Wmeが上記範囲であると、熱可塑性樹脂(S)とポリマー(M)との間に良好な親和性が確保できる。
ポリマー(M)を構成するエチレン及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体から得られる共重合体(m1)と、(d)シアン化ビニル系単量体、(e)芳香族ビニル系単量体、(f)これらと共重合可能なその他の単量体から得られる重合体(m2)の質量比(m1)/(m2)は、10/90〜90/10が好ましく、より好ましくは50/50〜90/10、さらに好ましくは60/40〜80/20である。これにより、ポリマー(M)の、上述した相(I)及び相(II)に対する親和性の両立が図られる。
ポリマー(M)中のエポキシ基の含量は、ポリマー(M)の全質量に対して1質量%以下であることが好ましく、0.1質量%以下であることがより好ましく、0.01質量%以下であることがさらに好ましく、全く含まないことがさらにより好ましい。
エポキシ基は、他の官能基との反応性が非常に高いため、少量でも光学用フィルムの強度やフィルム厚み均一性の向上を図ることができるが、ポリエチレンナフタレート系樹脂(P)とポリマー(M)中のエポキシ基との間での反応制御が非常に困難であるため、ポリマー(M)の全質量に対してエポキシ含量が1質量%を超える場合、反応によって多数のゲルが発生してしまい、最終的に得られる光学用フィルムの穴空きの原因となったり、偏光特性の低下を招来したりするため好ましくない。
〔アクリル系樹脂(A)〕
本実施形態の光学フィルムの主成分として好ましいアクリル系樹脂(A)とは、少なくともメタクリル酸エステル系単量体又はアクリル酸エステル系単量体を単量体成分として含む重合体をいう。
また、組成、分子量など異なる複数種類のアクリル系樹脂(A)を併用することができる。
メタクリル酸エステル系単量体又はアクリル酸エステル系単量体とは、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、メタクリル酸2,2,2−トリフルオロエチル、メタクリル酸メチル等のメタクリル酸エステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル等のアクリル酸エステルのことである。上記メタクリル酸エステル系単量体又はアクリル酸エステル系単量体は一種または二種以上組み合わせて使用することもできる。
また、アクリル酸エステル系単量体又はメタクリル酸エステル系単量体を単量体成分として含むアクリル系樹脂(A)には、メタクリル酸エステル系単量体、アクリル酸エステル系単量体以外の単量体が共重合されたものも含まれる。
アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルと共重合可能なメタクリル酸エステル、アクリル酸エステル以外の単量体としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物類;アクリロニトリル、メタクリルニトリル等のシアン化ビニル類;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド類;無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸無水物類;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸等の不飽和酸類等が挙げられる。これらは一種または二種以上組み合わせて使用することもできる。
メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル以外の単量体成分を共重合する場合、その共重合割合は、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルに対して、70質量%未満であることが好ましい。さらに好ましくは60質量%以下であり、とりわけ好ましくは50質量%以下である。70質量%未満であると全光線透過率などの光学特性に優れるため好ましい。
アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルを単量体成分として含む重合体の中でも、メタクリル酸メチルの単独重合体又はメタクリル酸メチルと他の単量体との共重合体が、耐熱性、透明性等光学材料に求められる特性を有しているため好ましい。
メタクリル酸メチルと共重合させる単量体としては、特にアクリル酸エステル類が、耐熱分解性に優れ、これを共重合させて得られるメタクリル系樹脂の成形加工時の流動性が高いため好ましい。メタクリル酸メチルにアクリル酸エステル類を共重合させる場合のアクリル酸エステル類の使用量は、耐熱分解性の観点から0.1質量%以上であることが好ましく、耐熱性の観点から15質量%以下であることがより好ましい。0.2質量%以上14質量%以下であることがさらに好ましく、1質量%以上12質量%以下であることがさらにより好ましい。
アクリル酸エステル類の中でも、アクリル酸メチル及びアクリル酸エチルが、少量メタクリル酸メチルと共重合させるだけでも前述の成形加工時の流動性の改良効果が著しく得られるため好ましい。
また、前記メタクリル酸エステルとしては、アイソタクチックポリメタクリル酸エステルとシンジオタクチックポリメタクリル酸エステルを同時に用いることもできる。
<アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量>
アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)は5万〜20万であることが好ましい。
重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、ポリスチレン換算によって求められる。
重量平均分子量は本実施形態の光学フィルムの強度の観点から5万以上が好ましく、成形加工性、流動性の観点から20万以下が好ましい。より好ましい範囲は7万〜15万である。
<共重合体よりなるアクリル系樹脂(A)>
前記分散相(I)又は連続相(II)の主成分であるアクリル系樹脂(A)として、(メタ)アクリル酸アルキル系単量体単位、芳香族ビニル化合物単位、及び下記一般式(3)で示される化合物単位からなる共重合体を用いることは、本実施形態の光学フィルムの耐熱性、光学特性、屈折率、分散相(I)との相溶性等の観点から好ましい。なお、(メタ)アクリル酸エステル系単量体とは、メタクリル酸エステル系単量体またはアクリル酸エステル系単量体のことである。
(式(3)中、XはO又はN−Rであって、Oは酸素原子示し、Nは窒素原子示し、Rは水素原子、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアリール基及び置換又は無置換のシクロアルキル基からなる群より選ばれるいずれか1つを示す。)
前記一般式(3)で表される単位のうち、XがOであるものとしては、無水マレイン酸、イタコン酸、エチルマレイン酸、メチルイタコン酸、クロルマレイン酸などの無水物である不飽和ジカルボン酸無水物単量体単位が挙げられる。これらのなかでも、耐熱性、光学特性の点から無水マレイン酸がより好ましい。
また、XがN−Rであるものとしては、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド単量体単位が挙げられる。
また、共重合割合は、耐熱性等の点から、(メタ)アクリル酸アルキル系単量体単位が40質量%以上90質量%以下、芳香族ビニル化合物単位が5質量%以上40質量%以下、前記一般式(3)で表される化合物単位が5質量%以上20質量%以下であることが好ましく、より好ましくは、(メタ)アクリル酸アルキル系単量体単位が42質量%以上83質量%以下、芳香族ビニル化合物単位が12質量%以上40質量%以下、前記式一般(3)で表される化合物単位が5質量%以上18質量%以下であり、さらに好ましくは、(メタ)アクリル酸アルキル系単量体単位が45質量%以上78質量%以下、芳香族ビニル化合物単位が16質量%以上40質量%以下、前記式一般(3)で表される化合物単位が6質量%以上15質量%以下である。
<アクリル系樹脂(A)の製造方法>
前記分散相(I)又は連続相(II)の主成分であるアクリル系樹脂(A)の製造方法としては、例えばキャスト重合、塊状重合、懸濁重合、溶液重合、乳化重合、アニオン重合等の一般に行われている重合方法を用いることができる。
光学用途の光学フィルムの構成材料であるため、アクリル系樹脂(A)は、微小な異物の混入はできるだけ避けることが好ましく、この観点からは懸濁剤や乳化剤を用いない塊状重合や溶液重合が好ましい。
溶液重合を行う場合には、単量体の混合物を、トルエン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素の溶媒に溶解して調製した溶液を用いることができる。
塊状重合により重合させる場合には、通常行われるように加熱により生じる遊離ラジカルや電離性放射線照射により重合を開始させることができる。
重合反応に用いられる開始剤としては、ラジカル重合において用いられる任意の開始剤を使用することができる。例えば、アゾビスイソブチルニトリル等のアゾ化合物、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等の有機過酸化物が挙げられる。
特に、90℃以上の高温下で重合を行う場合には、溶液重合が一般的であるので、10時間半減期温度が80℃以上で、かつ用いる有機溶媒に可溶である過酸化物、アゾビス開始剤などが好ましい。具体的には、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、シクロヘキサンパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、1,1−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル等を挙げることができる。
これらの開始剤は、重合に用いる材料全体を100質量%としたとき、0.005〜5質量%の範囲で用いることが好ましい。
アクリル系樹脂(A)の重合反応においては、必要に応じて分子量調節剤を用いてもよい。
分子量調節剤としては、ラジカル重合において用いる任意のものが使用でき、例えばブチルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、チオグリコール酸2−エチルヘキシル等のメルカプタン化合物が特に好ましいものとして挙げられる。
これらの分子量調節剤は、アクリル系樹脂(A)の重合度が好ましい範囲内に制御されるような濃度範囲で添加する。
〔ゴム(R)〕
本実施形態の光学フィルムの主成分として好ましいゴム(R)は、光学フィルムの透過率を低下させない範囲で選択することができる。
ゴム(R)としては、例えば、アクリルゴム、ニトリルゴム、イソプレンゴム、ウレタンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、シリコーンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、フッ素ゴム、ポリイソブチレンゴム等が挙げられる。上述したアクリル系樹脂(A)との親和性、耐衝撃性、耐候性から、多層構造を有するアクリル系ゴムが好ましい。
前記アクリル系ゴムの中でも、三層構造以上の多層構造を有するアクリル系ゴム粒子がより好ましい。
ゴム(R)として、三層構造以上の多層構造を有するゴム粒子を用いることにより、加熱によるゴム粒子の変形が抑制され、光学フィルムのガラス転移温度(Tg)や透明性が維持される傾向にある。
三層構造以上の多層構造を有するゴム粒子とは、ゴム状ポリマーからなる軟質層と、ガラス状ポリマーからなる硬質層とが積層した多層構造のゴム粒子であり、好ましくは、内側から硬質層―軟質層−硬質層の順に形成された三層構造を有する粒子である。
硬質層を最内層と最外層に有する構成とすることにより、ゴム粒子の変形が抑制される傾向にあり、中央層に軟質成分を有することにより良好な靭性が付与される傾向にある。
ゴム(R)が三層構造のゴム粒子である場合、三層構造を有するゴム粒子の最内層が、メタクリル酸メチル65〜96質量%と、これと共重合可能な他の共重合性単量体4〜35質量%とを含む共重合体により形成されていることが好ましい。
屈折率を適切に制御する観点から、上記他の共重合性単量体は、アクリル酸エステル単量体0.1〜5質量%と、芳香族ビニル化合物単量体5〜34.89質量%と、共重合性多官能単量体0.01〜5質量%とを含むものであることが好ましい。
三層構造を有するゴム粒子の最内層を形成する共重合体中のアクリル酸エステル単量体としては、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−へキシルが好ましい。
芳香族ビニル化合物単量体としては、上述したアクリル系樹脂(A)に使用される単量体と同様のものを用いることができるが、ゴム粒子の最内層の屈折率を調整して本実施形態の光学フィルムの透明性を良好にする観点から、スチレン又はその誘導体が好ましい。
共重合性多官能単量体としては、特に限定されないが、好ましくは、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アリル、トリアリルイソシアヌレート、マレイン酸ジアリル、ジビニルベンゼン等が挙げられ、これらを1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらの中でも(メタ)アクリル酸アリルがより好ましい。
ゴム(R)が三層構造のゴム粒子である場合、三層構造を有するゴム粒子の中央層は、アクリル酸エステル55〜80質量%と、これと共重合可能な他の共重合性単量体20〜45質量%とを含む共重合体により形成されていることが好ましい。
上記他の共重合性単量体としては、当該他の共重合体単量体を100質量%としたとき、芳香族ビニル化合物単量体95〜99.9質量%と、共重合性多官能単量体0.1〜5質量%とを含むものが使用できる。
三層構造からなるゴム粒子の中央層を形成する共重合体は、光学フィルムに優れた靭性を付与する観点から、軟質なゴム弾性を示す共重合体であることが好ましい。
ゴム粒子の中央層を構成するアクリル酸エステルとしては、特に限定されないが、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルへキシル等から1種又は2種以上を併用して用いることが好ましい。特に、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−へキシルがより好ましい。
また、アクリル酸エステルと共重合可能な他の共重合性単量体のうち、前記芳香族ビニル化合物単量体としては、上述したアクリル系樹脂(A)に使用される単量体と同様のものを用いることができるが、中央層の屈折率を調整して光学フィルムの透明性を良好にする観点から、スチレン又はその誘導体が好ましく用いられる。
さらに、アクリル系エステルと共重合可能な他の共重合性単量体のうち、前記共重合性多官能単量体としては、上述した最内層で用いられる共重合性多官能単量体と同様のものを用いることができる。その含有量としては、アクリル酸エステルと共重合可能な他の共重合性単量体を100質量%としたとき、0.1質量%以上5質量%以下であると、良好な架橋効果を有し、かつ、架橋が適度でゴム弾性効果が大きくなるため、光学フィルムの靭性が向上する傾向にあり好ましい。
ゴム(R)が三層構造のゴム粒子である場合、最外層は、好ましくは、メタクリル酸メチル70〜100質量%と、これと共重合可能な他の共重合性単量体0〜30質量%とを含む共重合体により形成されていることが好ましい。
三層構造を有するゴム粒子の最外層の、メタクリル酸メチルと共重合可能な他の共重合性単量体としては、特に限定されないが、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−へキシルが好ましい。
ゴム(R)がゴム粒子であるとき、このゴム粒子の製造方法としては、特に制限されず、例えば、塊状重合、溶液重合、懸濁重合及び乳化重合等の公知重合法により得ることが可能であり、特に、乳化重合により得ることが好ましい。
この場合、乳化剤、開始剤の存在下、初めに最内層の単量体混合物を添加し、重合を完結させ、次に中央層の単量体混合物を添加して重合を完結させ、次いで最外層の単量体混合物を添加して重合を完結させることにより、容易に多層構造粒子をラテックスとして得ることができる。
このゴム粒子は、ラテックスから塩析、噴霧乾燥、凍結乾燥等の公知の方法により粉体として回収できる。
ゴム(R)であるゴム粒子は、上述したアクリル系樹脂(A)との平均屈折率差が0.015以下であることが好ましく、0.012以下であることがより好ましく、0.01以下であることがさらに好ましい。
ゴム(R)であるゴム粒子と、アクリル系樹脂(A)との平均屈折率差が0.015以下であると、透明性に優れた光学フィルムを得ることが可能となる。
上記屈折率条件を満たすための方法としては、アクリル系樹脂(A)の各単量体の単位組成比を調整する方法、ゴム粒子に使用される各層における重合体もしくは単量体の組成比を調整する方法等が挙げられる。
〔光学フィルムの構造〕
本実施形態の光学フィルムは、分散相(I)と連続相(II)とからなる海島構造を持つモルフォロジーを有している。このような構成とすることにより、偏光特性や輝度向上性能に優れた光学フィルムが得られる。
本実施形態の光学フィルムにおいて、上述した分散相(I)と連続相(II)とからなる海島構造の、「島」に相当する分散相(I)のアスペクト比は4以上であることが好ましく、8以上であることがより好ましい。
分散相のアスペクト比を4以上とすることにより、光学フィルムにおいて優れた偏光特性が得られ、かつ高い輝度向上性能が得られる。
なお、分散相(I)のアスペクト比は、本実施形態の光学フィルムのモルフォロジーを透過型電子顕微鏡により撮影し、この写真中に撮影された分散相(I)のうち任意に選択した100個のアスペクト比の平均値とする。アスペクト比は分散相(I)の短径及び長径を測定し、下記式(4)により算出できる。
アスペクト比=分散相長径/分散相短径 ・・・(4)
なお、短径、長径とは、それぞれ、分散相(I)に外接する面積が最小となる外接長方形の短辺、長辺である。
本実施形態の光学フィルムにおいて、上述した分散相(I)と連続相(II)からなる海島構造の、「島」に相当する分散相(I)の平均短径は10〜400nmであることが好ましく、25〜300nmであることがより好ましい。
分散相(I)の平均短径が10〜400nmの範囲内であると、光学フィルムにおいて優れた偏光特性が得られ、輝度向上性能が高められる。
なお、光学フィルムの偏光特性は、下記式で表される偏光度PE及び平均透過率Tspによって評価できる。
下記式中、Tpは、ポリマー主鎖の配向方向と平行に電場が振動する偏光の透過率(%)を示す。
下記式中、Tvは、ポリマー主鎖の配向方向とフィルム面内で垂直な方向に電場が振動する偏光の透過率(%)を示す。
偏光度PE及び平均透過率Tspは、それぞれ100%及び50%に近いほど、反射型偏光板として優れている。
本実施形態の光学フィルムにおいては、偏光度PEは75%以上が好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましい。
本実施形態の光学フィルムにおいては、平均透過率Tspは40〜60%が好ましく、45〜55%がより好ましい。
本実施形態の光学フィルムにおいて、偏光度PE及び平均透過率Tspが、上記のような好適な範囲内である場合には、反射型偏光板及び輝度向上フィルムとして好適に用いることができる。
本実施形態の光学フィルムにおいて、偏光度PE及び平均透過率Tspを、上記のような好適な範囲内とするためには、ポリエチレンナフタレート系樹脂(P)及びアクリル系樹脂(A)として、それぞれ固有複屈折の絶対値が大きいものを選択することが好ましい傾向がある。
本実施形態の光学フィルムにおいて、分散相(I)と、連続相(II)との体積比((I)/(II))は、5/95〜50/50であることが好ましい。これにより光学フィルムにおいて優れた偏光特性が得られ、輝度向上性能が高められる。ポ分散相(I)と連続相(II)との体積比((I)/(II))は、10/90〜40/60の範囲がより好ましい。
〔光学フィルムを構成するその他の材料〕
(屈折率制御剤)
本実施形態の光学フィルムには、分散相(I)、連続相(II)を構成する上述した主成分の他に、これら2相の屈折率を制御する所定の屈折率制御剤を加えてもよい。
(その他の樹脂)
また、光学フィルムには、機能を損なわない範囲で、ポリエチレンナフタレート系樹脂(P)、アクリル系樹脂(A)、及びゴム(R)以外に、その他の樹脂を混合してもよい。
その他の樹脂としては、例えば、ポリメタクリル酸メチル樹脂;ポリエーテルエーテルケトン樹脂;ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアセタール等の熱可塑性樹脂;フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。
これらの樹脂は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記その他の樹脂の含有量は、分散相(I)及び連続相(II)の主成分の合計100質量部に対して、10質量部以下であることが好ましく、5質量部以下とすることがより好ましく、2質量部以下とすることがさらに好ましい。なお、上記その他の樹脂を含有させなくても好ましい。
(添加剤)
本実施形態における光学フィルムには、機能を損なわない範囲で、各種目的に応じて任意の添加剤を配合してもよい。
添加剤としては、光学材料に配合される材料として従来公知のものを適用できる。例えば、二酸化珪素等の無機充填剤;酸化鉄等の顔料;ステアリン酸、ベヘニン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、エチレンビスステアロアミド等の滑剤;離型剤;パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル、パラフィン、有機ポリシロキサン、ミネラルオイル等の軟化剤・可塑剤;ヒンダードフェノール系酸化防止剤;りん系熱安定剤等の酸化防止剤;ヒンダードアミン系光安定剤;難燃剤;帯電防止剤;有機繊維、ガラス繊維、炭素繊維、金属ウィスカ等の補強剤;着色剤;ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾトリアジン系化合物、ベンゾエート系化合物、ベンゾフェノン系化合物、フェノール系化合物、オキサゾール系化合物、マロン酸エステル系化合物、ラクトン系化合物等の紫外線吸収剤;その他添加剤が挙げられる。これらは2種以上を混合して用いることができる。
添加剤の配合量は、分散相(I)及び連続相(II)の主成分の合計100質量部に対して、10質量部以下とすることが好ましく、5質量部以下とすることがより好ましい。
〔光学フィルムの製造方法〕
本実施形態の光学フィルムの製造方法は、以下の工程(i)〜(iv)をこの順で含む:
(i)分散相(I)と連続相(II)とを含む海島構造を持つ未延伸フィルムを用意する工程、
(ii)前記未延伸フィルムを一軸延伸する工程、
(iii)工程(ii)で得られた一軸延伸フィルムを緩和する工程、
(iv)工程(iii)で緩和された一軸延伸フィルムを、工程(ii)における延伸方向と同じ方向にさらに一軸延伸する工程。
このように、本実施形態の光学フィルムは、フィルムを構成する材料、すなわち、分散相(I)及び連続相(II)の主成分、及び必要に応じてその他の樹脂や添加剤等、を溶融混練し、これをフィルム状(シート状)に成形するなどして未延伸フィルムを用意し、間に緩和工程を含む二段階延伸により延伸することにより、高生産性かつ低コストで製造できる。
なお、分散相(I)及び連続相(II)の主成分については、前記分散相(I)がポリエチレンナフタレート系樹脂(P)を主成分として含み、前記連続相(II)がアクリル系樹脂(A)及びゴム(R)を主成分として含むか、または、前記分散相(I)がアクリル系樹脂(A)及びゴム(R)を主成分として含み、前記連続相(II)がポリエチレンナフタレート系樹脂(P)を主成分として含むことが好ましい。
さらに、前記アクリル系樹脂(A)は、スチレン系単量体(その構造中にスチレン骨格を有する単量体)、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、及び下記一般式(3)で表される単量体からなる共重合体であることがより好ましい。
(式(3)中、XはO又はN−Rであって、Oは酸素原子示し、Nは窒素原子示し、Rは水素原子、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアリール基及び置換又は無置換のシクロアルキル基からなる群より選ばれるいずれか1つを示す。)
また、前記分散相(I)が、ポリエチレンナフタレート系樹脂(P)を主成分として含み、前記連続相(II)が、(a)シアン化ビニル系単量体20〜40質量%、(b)芳香族ビニル系単量体40〜80質量%、及び(c)これらと共重合可能なその他単量体0〜20重量%((a)+(b)+(c)=100質量%)から得られ、重量平均分子量が15万〜23万、平均屈折率が1.545〜1.575である熱可塑性樹脂(S)を主成分として含むことが好ましい。
さらに、前記分散相(I)が、(a)シアン化ビニル系単量体20〜40質量%、(b)芳香族ビニル系単量体40〜80質量%、(c)これらと共重合可能なその他単量体0〜20重量%((a)+(b)+(c)=100質量%)から得られ、前記連続相(II)が、ポリエチレンナフタレート系樹脂(P)を主成分として含み、重量平均分子量が15万〜23万、平均屈折率が1.545〜1.575である熱可塑性樹脂(S)を主成分として含むことが好ましい。
(成形工程)
本実施形態の光学フィルムの製造方法の工程(i)において用意する分散相(I)と連続相(II)とを含む海島構造を持つ未延伸フィルムの成形方法については、特に制限されるものではなく、例えば、射出成形、ブロー成形、インジェクションブロー成形、インフレーション成形、押出成形、発泡成形等、公知の方法を適用でき、さらには圧縮成形、真空成形等の二次加工成形法も適用できる。
本実施形態の光学フィルムの製造に用いる未延伸フィルムを押出成形により作製する場合、予め分散相(I)及び連続相(II)を構成する材料を溶融混練した組成物を用いてもよく、予め溶融混練せずに直接押出成形時にこれらの材料を溶融混練することにより成形してもよい。
なお、押出成形工程の前に、予め分散相(I)及び連続相(II)を構成する材料を溶融混練する方法については特に制限されるものではなく、従来公知の方法を適用できる。例えば、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ブラベンダー、各種ニーダー等の溶融混練機を適用できる。
また、本実施形態の光学フィルムの製造方法において用意する未延伸フィルムは、分散相(I)及び連続相(II)の主成分がいずれも可溶である溶媒を用いて、これらを溶解した後、キャスト乾燥固化するキャスト成形によっても得られる。
分散相(I)の主成分と連続相(II)の主成分とは互いに相溶性に乏しいものを選択することが好ましく、その場合、海島構造を確実に形成し、分散相(I)の良好な分散性等を確保する等、モルフォロジー安定性を確保する観点から、光学フィルムの製造に用いる未延伸フィルムの成形方法としては、押出成形やインフレーション成形が好ましく、押出成形がより好ましく、フィルムの厚み均一性に鑑みると、Tダイによる押出成形がより好ましい。
(延伸工程)
以上のようにして成形した未延伸フィルムを延伸し、配向を付与する。
本実施形態の光学フィルムの製造方法においては、延伸方法としては、一段階目の延伸工程(工程(ii))と二段階目の延伸工程(工程(iv))の間に緩和工程(工程(iii))を含む2段階の延伸方式を用いる。
分散相(I)を構成する高分子材料と連続相(II)を構成する高分子材料が、結晶性樹脂と非晶性樹脂の組合せである場合、緩和工程で非晶性樹脂はポリマー鎖が緩和するが、結晶性樹脂は配向結晶化によりほとんどポリマー鎖が緩和しないので、緩和工程に続く二段階目の延伸工程において、結晶性樹脂の配向のみより効率的に行わせることが出来る。その結果、分散相(I)と連続相(II)の光学フィルムの延伸方向に平行な軸の屈折率の差が大きくなり、輝度上昇率をさらに向上させることができる。
ここで、結晶性樹脂とは、結晶化による融点を有する樹脂をいい、非晶性樹脂とは、結晶化による融点を有さない樹脂のことをさす。結晶性樹脂としては、ポリアミド(PA)系樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)系樹脂、ポリアセタール(POM)系樹脂、ポリエチレン(PE)系樹脂、ポリプロピレン(PP)系樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)系樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)系樹脂が挙げられ, ポリエチレンナフタレート系樹脂が光学特性の面から好ましい。非晶性樹脂としては、ポリカーボネート(PC)系樹脂、ポリスチレン(PS)系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル(PVC)系樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)系樹脂、ポリサルホン(PSF)系樹脂が挙げられ、アクリル系樹脂及びアクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)系樹脂が光学特性の面から好ましい。
具体的な二段階延伸方式としては、例えば、ロール延伸、テンター延伸、又は熱風炉延伸による一軸延伸法の組み合わせが挙げられ、光学フィルムの成形工程におけるフィルムの機械的流れ方向(MD)に縦一軸延伸を二段階で行う方法がより好ましい。
本実施形態における光学フィルムを製造する際に適用する工程(ii)、(iv)の延伸倍率としては、分散相(I)と連続相(II)の、光学フィルムの延伸方向に平行な軸の屈折率の差が0.1以上になり、かつ光学フィルムが延伸時に破損しないような延伸倍率を選択することが好ましい。
このような延伸倍率は、分散相(I)及び連続相(II)を構成する高分子材料の種類やその組成にもよるが、分散相(I)と連続相(II)の、光学フィルムの延伸方向に平行な軸の屈折率の差を極力大きくするために、一段階目の延伸工程(工程(ii))では、延伸倍率1.1倍以上に一軸延伸ことが好ましく、1.1倍以上5.0倍以下に一軸延伸することがより好ましく、1.1倍以上4.0倍以下に一軸延伸することがさらに好ましい。また、二段階目の延伸工程(工程(iv))では、延伸倍率1.1倍以上に一段階目の延伸と同じ方向に一軸延伸することが好ましく、1.1倍以上5.0倍以下に一軸延伸することがより好ましく、1.1倍以上4.0倍以下に一軸延伸することがさらに好ましい。結果として、合計の延伸倍率は、3.0倍以上に一軸延伸することが好ましく、3.0倍以上7.0倍以下に一軸延伸することがより好ましく、3.0倍以上6.0倍以下に一軸延伸することがさらに好ましい。
なお、延伸倍率は、下記式(5)により求められる。
延伸倍率(倍)=延伸後の長さ/延伸前の長さ ・・・(5)
本実施形態における光学フィルムを製造する際の工程(ii)、(iv)の延伸温度としては、分散相(I)と連続相(II)の、光学フィルムの延伸方向に垂直な軸の屈折率の差を極力小さくし、分散相(I)と連続相(II)の、光学フィルムの延伸方向に平行な軸の屈折率の差が0.1以上となり、かつ光学用フィルムが延伸時に破損しないような延伸温度を選択することが好ましい。
このような延伸温度は、分散相(I)及び連続相(II)を構成する高分子材料の種類やその組成にもよるが、分散相(I)及び連続相(II)の主成分のガラス転移温度のうち、高い方のガラス転移温度+0〜+20(℃)に選択することが好ましい。
本実施形態における光学フィルムを製造する際の工程(ii)、(iv)の延伸速度としては、分散相(I)と連続相(II)の、光学フィルムの延伸方向に垂直な軸の屈折率の差を極力小さくし、分散相(I)と連続相(II)の、光学フィルムの延伸方向に平行な軸の屈折率の差が0.1以上となり、かつ光学用フィルムが延伸時に破損しないような延伸速度を選択することが好ましい。
このような延伸速度は、分散相(I)及び連続相(II)を構成する高分子材料分の種類やその組成にもよるが、100%/分以上50000%/分以下が好ましく、2000%/以上50000%/以下がより好ましく、3000%/分以上20000%/分以下がさらに好ましい。具体的には、一段階目(工程(ii))の延伸速度は、50%/min以上20000%/min以下であることが好ましく、100%/min以上10000%/min以下であることがさらに好ましい。また、二段階目(工程(iv))の延伸速度は、50%/min以上20000%/min以下であることが好ましく、100%/min以上10000%/min以下であることがさらに好ましい。
なお、上述した延伸温度、延伸速度及び延伸倍率については、分散相(I)と連続相(II)の、光学フィルムの延伸方向に垂直な軸の屈折率の差を極力小さくし、分散相(I)と連続相(II)の、光学フィルムの延伸方向に平行な軸の屈折率の差が0.1以上であり、かつ光学フィルムが破損しないための要件として相互に関連しているため、これらの好適な範囲内で適宜選択する。
なお、本実施形態における光学フィルムのモルフォロジーは、分散相(I)と連続相(II)とが互いに分離した海島構造になっているので、分散相(I)と連続相(II)の屈折率等は、分散相(I)及び連続相(II)それぞれを構成する材料の、それぞれ単独のフィルムの屈折率等とほぼ同等であるとみなせる。そこで、光学フィルムの延伸条件及び緩和条件は、分散相(I)及び連続相(II)それぞれを構成する材料の、それぞれ単独のフィルムの延伸条件及び緩和条件から決めることができる。
具体的には、分散相(I)及び連続相(II)それぞれを構成する材料の、各々単独のフィルムについて、例えば、二段階延伸をした時の延伸条件(延伸倍率、延伸温度、延伸速度等)及び緩和条件(温度、時間)と屈折率(延伸方向と平行な方向、延伸方向と垂直な方向)との関係を測定することにより決定できる。
本実施形態における光学フィルムの厚さは、1μm以上10mm以下が好ましく、5μm以上5mm以下がより好ましく、20μm以上1mm以下がさらに好ましい。
なお、緩和工程(工程(iii))とは、一段階目の延伸と二段階目の延伸の間の延伸を行わない工程、すなわち、一段階目の延伸が終わった状態のままフィルムの延伸方向の長さを変化させない工程、である。緩和工程は分散相(I)を構成する高分子材料と分散相(II)を構成する高分子材料の配向度合を調節するために必要な工程であり、一度延伸を中断する工程を指す。緩和工程においては、延伸温度−20℃〜+20℃でフィルムを一段階目の延伸が終わった状態でフィルムの延伸方向の長さを変化させないまま1秒〜60秒保持することが好ましい。緩和工程を有することで、緩和工程を有さない場合に対して、フィルムを構成する高分子材料の配向を高めることにより、輝度向上の効果を奏する。
以下、具体的な実施例と比較例を挙げて本発明について詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
光学フィルムに関する物性の測定方法を下記に示す。
〔(1)測定方法〕
(i)分散相(I)、連続相(II)の固有複屈折の正負の判断
分散相(I)を構成する樹脂又は樹脂組成物(例えばポリエチレンナフタレート(P))単独、又は連続相(II)を構成する樹脂又は樹脂組成物(例えばアクリル系樹脂(A)+ゴム(R))単独のフィルムを成形し、そのガラス転移温度以上ガラス転移温度+50℃以下の温度範囲内で、伸張応力をかけながら一軸延伸を行い、急冷固化して一軸延伸フィルムを得た。得られた一軸延伸フィルムの23℃におけるnpr、nvtを測定し、23℃における固有複屈折値(npr−nvt)を求めた。
nprは、延伸方向と平行な方向の屈折率を示し、nvtは、延伸方向と垂直な方向の屈折率を示す。
なお、測定装置として大塚電子(株)社製複屈折測定装置RETS−100を用い、試料の測定面が測定光と垂直になるように配置し、回転検光子法により測定した。
npr−nvtが負の場合を固有複屈折が負、npr−nvtが正の場合を固有複屈折が正と判断した。
(ii)屈折率の測定
<光学フィルムの各相の屈折率>
光学フィルムの各相を構成する樹脂又は樹脂組成物を、本実施例における光学フィルムを得る場合と同じ成形条件、延伸条件及び緩和条件で成形、二段階延伸し、得られたフィルムの、23℃の温度条件下、550nmの波長光における屈折率を求め、これら各相の屈折率とした。
具体的には、分散相(I)又は連続相(II)の屈折率は、METRICON社製モデル2010プリズムカプラを用い、それぞれを構成する樹脂又は樹脂組成物の延伸フィルムの、23℃における、532nm、633nm及び838nmの波長光に対する、屈折率(延伸方向と平行な軸、延伸方向と垂直な軸)をそれぞれ測定し、下記式(6)により定義されるコーシーの式により、波長分散の曲線を作成し、その曲線から求めた550nmにおける値を屈折率(延伸方向と平行な軸及び延伸方向と垂直な軸)とした。
n=A+B/λ2 +C/λ4 ・・・(6)
上記式(6)中、「n」は屈折率、「A」、「B」及び「C」は定数、「λ」は光の波長を示す。
<平均屈折率>
各樹脂の平均屈折率は、METRICON社製モデル2010プリズムカプラを用い、各樹脂からなる未延伸フィルムの、23℃の温度条件下、532nm、633nm及び838nmの波長光における、最大屈折率、最小屈折率、厚み方向の屈折率をそれぞれ測定し、上記式(6)により定義されるコーシーの式により、波長分散の曲線を作成し、その曲線から求めた550nmでの値を最大屈折率、最小屈折率、及び厚み方向の屈折率とし、それら3つの屈折率の平均値を求めた。
(iii)正面平均輝度、正面輝度上昇率
シャープ(株)製アクオス(登録商標)15型液晶テレビLC−15SX7A内部の輝度向上フィルムに替えて、後述するサンプルフィルム(実施例・比較例の光学フィルム)を挿入して輝度評価用装置とした。
輝度評価用装置の要部の概略断面図を図4に示す。
図4の輝度評価装置は、反射板1、導光板3、拡散シート6、プリズムシート7が順次設けられており、さらにその上に、輝度向上フィルム4、液晶ユニット5が設けられた構成を有している。
光源であるエッジライト2から出た光は導光板3の面より放射される。
サンプルフィルムの配置方向は、元の輝度向上フィルムの透過軸とサンプルフィルムの透過軸とが同じ向きに配置されるようにした。
この輝度評価用装置に、(株)テクシオ製マルチビデオ信号発生器を接続し、白(100%)の信号を送ることにより、画面に白を表示させ白輝度測定に用いた。
この状態で、(株)東陽テクニカ製2次元高速色彩輝度計ICAMを、画面の正面方向に設置して、面輝度を測定した。
測定範囲は、ディスプレイの中心部の、縦300mm×横400mmの長方形領域とし、その長方形領域を縦48ピクセル×横64ピクセルに分割した合計3072ピクセルについて、各ピクセル毎の輝度を測定し、それらの平均値を正面平均輝度とした。
そして、その正面平均輝度を、サンプルフィルムや上記シャープ(株)製アクオス(登録商標)15型液晶テレビLC−15SX7A内部に挿入されていた輝度向上フィルムが無い状態で測定した輝度277cd/m2 と比較し、サンプルフィルムやテレビにもともと挿入されていた輝度向上フィルムが無い場合の輝度を1とした場合のサンプルフィルムの正面平均輝度の数値を正面輝度上昇率とした。
正面輝度上昇率は、1.20以上であれば実用上良好であると判断した。
(iv)積算光強度、積算光強度上昇率
上記(iii)の輝度評価用装置、ビデオ信号発生器を用いて、サンプル配置方法、画面の表示方法も(iii)と同様に行った。
この状態で、ELDIM社製EZContrastZ88を、画面の中心部正面に設置して、輝度分布を測定した。測定終了後、測定値のIntegreted Intencityの値を積算光強度とした。
そして、その積算光強度を、サンプルフィルムや上記シャープ(株)製アクオス(登録商標)15型液晶テレビLC−15SX7A内部に挿入されていた輝度向上フィルムが無い状態で測定した積算光強度451lm/m2 と比較し、サンプルフィルムやテレビにもともと挿入されていた輝度向上フィルムが無い場合の強度を1とした場合のサンプルフィルムの積算光強度の数値を積算光強度上昇率とした。
積算光強度上昇率は、1.54以上であれば実用上良好であると判断した。
(v)ガラス転移温度(Tg)の測定
PERKIN ELMER製 Pyris1 DSCを用い、20℃/分の昇温速度で測定した。
〔(2)実施例・比較例で用いたポリマーの種類及び調製〕
(i)ポリエチレンナフタレート系樹脂(P−1)
ポリエチレンナフタレート系樹脂(P−1)として、ホモポリマーである帝人化成(株)製テオネックス(登録商標)TN8065Sを使用した。
Tgは122℃、平均屈折率は1.654、固有複屈折は正であった。
(ii)アクリル系樹脂(A−1)
特公昭63−1964号公報に記載の方法で、メタクリル酸メチル−無水マレイン酸−スチレン共重合体である下記表1に示すアクリル系樹脂(A−1)を得た。
得られた共重合体の組成は、メタクリル酸メチル72質量%、無水マレイン酸12質量%、スチレン16質量%であり、共重合体のメルトフローレート値(ASTM−D1238;230℃、3.8kg荷重)は1.6g/10分であった。固有複屈折は負であった。
(iii)ゴム(R−1)
内容積10Lの還流冷却器付反応器に、イオン交換水4600mL、乳化剤としてジオクチルスルホコハク酸ナトリウム24gを投入し、250rpmの回転数で攪拌しながら、窒素雰囲気下80℃に昇温し、酸素の影響が事実上無い状態にした。次いで、還元剤としてロンガリット1.2gを加え均一に溶解した。
第一層として、MMA150g、BA2.5g、St40g、ALMA0.2g、DPBHP0.2gの単量体混合物を加え、80℃で重合した。約15分で反応は完了した。 次いで、第二層として、BA1110g、St572g、PDEGA40g、ALMA7.0g、DPBHP3.5g、ロンガリット2.0gの単量体混合物を90分にわたって滴下した。滴下終了後60分で反応は完了した。
次いで、第三層1段としてMMA190g、BA2.0g、DPBHP0.2g、n−OM0.1gの単量体混合物を5分にわたって滴下し、滴下終了後、この段階の反応は約15分で完了した。
最後に、第三層2段としてMMA380g、BA2.5g、DPBHP0.4g、n−OM1.2gの単量体混合物を10分にわたって加えた。この段階は約15分で反応が完了した。
温度を95℃に上げ、1時間保持し、得られた乳化液を0.5%塩化アルミニウム水溶液中に投入して重合体を凝集させ、温水で5回洗浄後、乾燥して白色フロック状の材料を得た。得られたゴム(R−1)の平均粒子径は0.085μmであった。
なお、MMA:メタクリル酸メチル、BA:アクリル酸ブチル、St:スチレン、ALMA:アリルメタクリレート、DPBHP:ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、PDEGA:ポリエチレングリコールジアクリレート、n−OM:n−オクチルメルカプタンである。
(iv)樹脂組成物(B−1)
アクリル系樹脂(A−1)+ゴム(R−1)=100重量%に対して、アクリル系樹脂(A−1)を55重量%、ゴム(R−1)を45重量%になるように調合し、二軸押出機で混練し、(A−1)中に(R−1)が均一に分散した樹脂組成物(B−1)を得た。
樹脂組成物(B−1)の組成及び特性を下記表2に示す。
(v)熱可塑性樹脂(S−1)
アクリロニトリル28.4質量部、スチレン42.6質量部、エチルベンゼン29.0質量部、重合開始剤としてのt−ブチルパーオキシ−イソプロピルカーボネート0.02質量部よりなる混合液を、毎時2.5リットルの流速で、容量5リットルの完全混合型反応器に連続的に供給し、150℃で重合を行った。
重合液は連続してベント付き押出機に導かれ、260℃、40Torrの条件下で未反応モノマー及び溶媒を除去し、ポリマーを連続して冷却固化、細断して粒子状のアクリロニトリル−スチレン共重合体を得た。
このアクリロニトリル−スチレン共重合体の組成は、アクリロニトリル単位34質量%、スチレン単位66質量%であり、重量平均分子量は21.4万、平均屈折率は1.56、固有複屈折は負であった。このアクリロニトリル共重合体を熱可塑性樹脂(S−1)とした。熱可塑性樹脂(S−1)の特性を前記表1に示す。
(vi)エラストマー(E−1)
エラストマー(E−1)として東洋紡製ポリエステルエラストマー、ペルプレンP−90BDを使用した。
(vii)ポリマー(M−1)
ポリマー(M−1)として日油(株)製モディパーA5400(EEA−g−AS)を使用した。
ポリマー(M−1)において、共重合体(m1)は、EEA(エチレン−エチルアクリレート)共重合体であり、共重合体(m2)は、AS(スチレン−アクリロニトリル)共重合体である。
ポリマー(M−1)は、EEAにASがグラフト結合した構造であり、EEA/AS=70/30(wt/wt)、EEAにおけるエチルアクリレート含有量は20質量%、AS中のアクリロニトリル含有量は30質量%である。
〔(3)〕光学フィルムの製造〕
(実施例1〜3)、(比較例1〜4)
池貝製二軸押出機(PCM−30)のホッパーに、下記表3に示す配合比率となるように、乾燥したP−1、B−1、S−1、E−1及びM−1のペレットを投入した。
押出機のシリンダー内の樹脂温度と押出量(スクリュー回転数、吐出量)よりなる押出条件を調整し(表3中、押出条件)、コンパウンドペレットを得た。
上記のようにして得られたコンパウンドペレットを、さらにプラスチック工学研究所製φ30異方向2軸押出機(BT−30−C−36−L型)、協和ファインテック製ギヤポンプHTD1−20−5×2、及び単層Tダイ(Tダイ幅400mm、リップ幅800μm)を用いて、押出機のシリンダー内樹脂温度、Tダイの温度(表3中、成形条件)、押出量、巻き取り速度を調整して押出成形し、未延伸フィルムを得た。
次に、上記のようにして得られた未延伸フィルムを、押出成形時の機械的流れ方向(フィルムの長さ方向、MD方向)で20cm幅にカットした。次いで、比較例1〜3においては、このカットした未延伸フィルムを、市金工業社製横延伸装置SF−625を用いて、機械的流れ方向(MD方向)を延伸方向、延伸方向と垂直な方向の端を自由端として一軸延伸し、一軸延伸フィルムを得た。一方、実施例1〜3においては、カットした未延伸フィルムを、予熱工程、一段目延伸工程、緩和工程、二段目延伸工程、冷却工程からなる一連の延伸工程により延伸し、一軸延伸フィルムを得た。なお、緩和工程では、延伸温度のままで、フィルムの延伸方向の長さを変化させないまま30秒保持した。
また、輝度評価用装置に最初から含まれる輝度向上フィルム(3M社製)を比較例4とした。
実施例1〜3、比較例1〜3の一軸延伸フィルム及び比較例4の輝度向上フィルムついて、各種評価を実施した。表3に、フィルムを構成する樹脂組成物の組成、押出条件、成形条件、延伸条件、及び延伸後のフィルム特性の評価結果を示した。
評価結果は、正面輝度上昇率及び積算光強度上昇率で判断した。
本発明構成要件を具備する実施例1〜3の光学フィルムにおいては、1.20以上の正面輝度向上率、1.55以上の積算光強度上昇率という、実用上十分に高い輝度特性が得られた。
比較例1〜3のフィルムは、一段階延伸により得られたものであったため、良好な輝度特性が得られなかった。
同じ組成のフィルム同士(実施例1と比較例1、実施例2と比較例2、実施例3と比較例3)を比較した場合では、いずれの場合も、二段階延伸を行った実施例の方が高い正面輝度向上率及び積算光強度上昇率を示した。
比較例4のフィルムは、正面輝度上昇率は実施例とほぼ同等であるが、積算光強度上昇率は実施例に比べて十分な特性が得られず、積算光強度は実施例1〜3のフィルムより低くなった。
本発明の光学フィルムは、反射型偏光板や輝度向上フィルムとして利用でき、特に、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、リアプロジェクションテレビ等のディスプレイやプロジェクターに用いられる偏光板、輝度向上フィルム、1/4波長板、1/2波長板等の位相差板、視野角制御フィルム等の液晶光学補償フィルム、ディスプレイ前面板、ディスプレイ基板、タッチパネル、レンズ、プロジェクター用のスクリーン;太陽電池に用いられる透明基板等;その他光通信システム、光交換システム、光計測システムの分野における導波路、レンズ、光ファイバー等として利用できる。
1 反射板
2 エッジライト
3 導光板
4 サンプルフィルム
5 液晶ユニット
6 拡散シート
7 プリズムシート

Claims (10)

  1. ポリエチレンナフタレート系樹脂(P)を主成分として含む分散相(I)と、アクリル系樹脂(A)及びゴム(R)を主成分として含む連続相(II)を含む海島構造を持つ光学フィルムであって、
    一段階目の延伸工程と二段階目の延伸工程との間に緩和工程を含む二段階延伸によって、少なくとも一方向に延伸されたものであり、
    前記分散相(I)の光学フィルムの延伸方向に平行な軸の屈折率と、前記連続相(II)の光学フィルムの延伸方向に平行な軸の屈折率の差が0.1以上であることを特徴とする光学フィルム。
  2. アクリル系樹脂(A)及びゴム(R)を主成分として含む分散相(I)と、ポリエチレンナフタレート系樹脂(P)を主成分として含む連続相(II)を含む海島構造を持つ光学フィルムであって、
    一段階目の延伸工程と二段階目の延伸工程との間に緩和工程を含む二段階延伸によって、少なくとも一方向に延伸されたものであり、
    前記分散相(I)の光学フィルムの延伸方向に平行な軸の屈折率と、前記連続相(II)の光学フィルムの延伸方向に平行な軸の屈折率の差が0.1以上であることを特徴とする光学フィルム。
  3. 前記少なくとも一方向が、光学フィルムの機械的流れ方向である、請求項1又は2に記載の光学フィルム。
  4. 前記分散相(I)の光学フィルムの延伸方向に垂直な方軸の屈折率と、前記連続相(II)の光学フィルムの延伸方向に垂直な軸の屈折率の差が0.05以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学フィルム。
  5. 前記アクリル系樹脂(A)が、芳香族ビニル化合物単量体単位、(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位、及び下記一般式(3)で表される単位からなる共重合体である請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学フィルム。
    (式(3)中、XはO又はN−Rであって、Oは酸素原子示し、Nは窒素原子示し、Rは水素原子、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアリール基及び置換又は無置換のシクロアルキル基からなる群より選ばれるいずれか1つを示す。)
  6. 請求項1〜のいずれか一項に記載の光学フィルムからなる反射型偏光板。
  7. 請求項1〜のいずれか一項に記載の光学フィルムからなる輝度向上フィルム。
  8. 以下の工程(i)〜(iv)をこの順で含む、光学フィルムの製造方法:
    (i)ポリエチレンナフタレート系樹脂(P)を主成分として含む分散相(I)とアクリル系樹脂(A)及びゴム(R)を主成分として含む連続相(II)とを含む海島構造を持つ未延伸フィルムを用意する工程、
    (ii)前記未延伸フィルムを一軸延伸する工程、
    (iii)工程(ii)で得られた一軸延伸フィルムを緩和する工程、
    (iv)工程(iii)で緩和された一軸延伸フィルムを、工程(ii)における延伸方向と同じ方向にさらに一軸延伸する工程。
  9. 以下の工程(i)〜(iv)をこの順で含む、光学フィルムの製造方法:
    (i)アクリル系樹脂(A)及びゴム(R)を主成分として含む分散相(I)とポリエチレンナフタレート系樹脂(P)を主成分として含む連続相(II)とを含む海島構造を持つ未延伸フィルムを用意する工程、
    (ii)前記未延伸フィルムを一軸延伸する工程、
    (iii)工程(ii)で得られた一軸延伸フィルムを緩和する工程、
    (iv)工程(iii)で緩和された一軸延伸フィルムを、工程(ii)における延伸方向と同じ方向にさらに一軸延伸する工程。
  10. 前記アクリル系樹脂(A)が、芳香族ビニル化合物単量体単位、(メタ)アクリル酸エステル系単量体単位、及び下記一般式(3)で表される単位からなる共重合体である請求項8又は9に記載の光学フィルムの製造方法。
    (式(3)中、XはO又はN−Rであって、Oは酸素原子示し、Nは窒素原子示し、Rは水素原子、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアリール基及び置換又は無置換のシクロアルキル基からなる群より選ばれるいずれか1つを示す。)
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