JP5606894B2 - セルロースエステル系複合糸の製造方法及び織編物 - Google Patents
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Description
また、本発明の第2の発明の要旨は、前記の製造方法によって得られたセルロースエステル系複合糸を用いた織編物、にある。
〈ポリエステル高配向未延伸糸〉
本発明において、ポリエステル捲縮糸を得る際に用いるポリエステル高配向未延伸糸は、ポリエチレンテレフタレートを主成分とするポリエステルポリマ−を2000〜4000m/分の速度で紡糸して巻き取られたマルチフィラメント糸である。紡糸に用いられるこのポリエステルポリマ−は、艶消し剤、安定剤、難燃剤、着色剤等の改質剤を添加含有させたり、カチオン染料可染性、熱収縮特性等の機能付与成分の共重合やブレンドが施されたものであってもよい。また、ポリエステル高配向未延伸糸は、その繊維断面が円形断面、三角形、Y字形等の異形断面、中空断面等のいずれの断面形状であってもよく、また異種成分からなる複合構造を有するものであってもよい。
本発明において、織編物に適度な膨らみ感と弾力性を発現させるためには、特定のポリエステル捲縮糸を用いる必要がある。かかるポリエステル捲縮糸を得るためには、ポリエステル高配向未延伸糸を仮撚加工する際に、仮撚係数、仮撚温度、加撚張力がそれぞれ特定の範囲の条件下で仮撚加工する必要がある。なお、仮撚係数とは、仮撚加工を施された糸条の繊度と仮撚数との関係で示される係数で、下記の式で示される。
仮撚係数=仮撚数(t/m)×(糸条の繊度(dtex)÷10×9)1/2
ポリエステル高配向未延伸糸の仮撚加工は、図1に示す製造装置で説明すると、ポリエステル高配向未延伸糸1を、供給ローラー3にて供給し、仮撚りヒーター5と仮撚具6により仮撚捲縮を付与した後、引取りローラー7にて引取って、ポリエステル捲縮糸8を得る。
一般的な仮撚加工に用いる仮撚係数は、2.5×104〜3.5×104程度であり、通常、仮撚係数の低下、即ち仮撚数が低下するに従い、仮撚りによって賦形される捲縮形態を粗くし、構成するマルチフィラメント相互での捲縮形態の位相が揃い易くなるため、トルクが分散されない集束した糸条となり、逆に仮撚数が高くなるに従い、捲縮形態が緻密になり、マルチフィラメント各々がトルクを発現してマルチフィラメント相互での捲縮形態の位相が乱れて開繊された嵩高な糸条となる。この捲縮形態と糸条のトルクが、本発明の複合糸を用い織編物としたときに、膨らみ感と弾力性に大きく影響を及ぼす。
本発明でのポリエステル高配向未延伸糸の仮撚加工における仮撚温度は、図1の製造装置で示すならば、仮撚りヒーター5の温度であり、ポリエステル高配向未延伸糸のポリマー分子が配向、結晶化し、捲縮賦形が可能な温度であって、本発明のポリエステル捲縮糸を得るためには、仮撚温度が(Tg+40℃)〜(mp−30℃)の範囲とすることが必要である。仮撚温度を(Tg+40℃)以上とすることにより、ポリエステル高配向未延伸糸のポリマー分子の配向や結晶化が進み、膨らみ感を発現させるための捲縮賦形が得られ、また仮撚温度を(mp−30℃)以下とすることにより、マルチフィラメント相互が融着することなく糸条の集束性を向上させ、弾力性を発現する糸条のトルクが得られる。本発明での仮撚温度であれば、仮撚加工における加工安定性の低下を生じないと共に、織編物としたときのカサツキ感やガリ感のないポリエステル捲縮糸を得ることができ、さらに混繊交絡度や加工安定性を向上させるためには仮撚温度を(mp−35℃)以下とすることが好ましい。
さらに、本発明でのポリエステル高配向未延伸糸の仮撚加工における加撚張力は、図1の製造装置で示すと、仮撚りヒーター5と仮撚具6との間にある走行糸条の張力を指し、ポリエステル高配向未延伸糸のポリマー分子の配向、結晶化度や仮撚係数、仮撚温度と、供給ローラー3と引取りローラー7との周面速度差によって設定される。この加撚張力は、加工安定性や撚り抜け、毛羽等のポリエステル捲縮糸の品質に大きく影響を及ぼすものであることから、本発明での仮撚加工における加撚張力は、0.1〜0.3cN/dtexの範囲とすることが必要である。
本発明において、ポリエステル捲縮糸と複合するセルロースエステル系フィラメント糸としては、乾式紡糸法や溶融紡糸法等によって工業的に容易に得られ、ドライタッチ感や光沢感に優れたセルロースアセテートフィラメント糸が好ましく用いられ、さらにはセルローストリアセテートフィラメント糸若しくはセルロースジアセテートフィラメント糸であって、破断伸度が30〜45%のセルロースアセテートフィラメント糸がより好ましく用いられる。用いるセルロースアセテートフィラメント糸の破断伸度が30〜45%であるときには、ポリエステル捲縮糸と複合する際の混繊交絡処理において、混繊交絡斑やループの引きつりを生じることなく混繊交絡性を向上させ、混繊交絡処理の工程や撚糸工程、染色工程等においても毛羽を生じない。
一般に混繊交絡処理には、混繊交絡ノズルが用いられ、混繊交絡ノズルには加圧空気を利用したインターレースノズルや流体攪乱ノズルがあるが、本発明においては、混繊交絡ノズルとしてインターレースノズルを用いて混繊交絡処理することが好ましい。インターレースノズルを用いる混繊交絡処理においては、糸条に対し直交させた加圧空気ジェットにより、糸条に断続的に混繊交絡部を形成させ、セルロースエステル系フィラメント糸の光沢感を損なうことなく、適度な膨らみ感と優れた弾力性を有するセルロースエステル系複合糸を得ることができる。
ポリエステル捲縮糸と、セルロースエステル系フィラメント糸とを混繊交絡処理により複合する際は、ポリエステル捲縮糸の供給率を0〜+5%、セルロースエステル系フィラメント糸の供給率を−2〜+5%とする。ポリエステル捲縮糸の供給率、セルロースエステル系フィラメント糸の供給率を、図1の製造装置で示すと、ポリエステル捲縮糸の供給率は引取りローラー7と引取りローラー10との周面速度(m/分)の比率で表され、セルロースエステル系フィラメント糸の供給率は供給ローラー4と引取りローラー10との周面速度(m/分)の比率で表される。
混繊交絡ノズルに供給される加圧空気の圧力は、ポリエステル捲縮糸やセルロースエステル系フィラメント糸の供給率、走行速度等とも関連するが、糸割れ、混繊交絡斑、毛羽、ループの発生を生じないような圧力であればよく、好ましくは0.1〜0.3MPa、より好ましくは0.1〜0.2MPaである。
本発明によって得られたセルロースエステル系複合糸は、織編物の構成糸として用いることができ、本発明によるセルロースエステル系複合糸を用いての織編物は、その製織方法や製編方法については特に限定はなく、織物においては、平織、綾織、朱子織等の組織で一重織物、二重織物に製織され、また編物においては、丸編、トリコット、横編等等の組織で製編される。
なお、以下の実施例ではポリエステル高配向未延伸糸及びセルロースエステル系フィラメント糸として次の糸を用いた。また、実施例での物性値及び弾力性の評価は以下の方法に拠った。
〈ポリエステル高配向未延伸糸〉
三菱レイヨン・テキスタイル社製、ポリエチレンテレフタレート高配向未延伸糸、SD50dtex/24フィラメント(f)、破断伸度120%、ガラス転移温度(Tg)75℃、融点(mp)255℃(以下、PET高配向未延伸糸という)
〈セルロースエステル系フィラメント糸〉
三菱レイヨン・テキスタイル社製、セルローストリアセテートフィラメント糸、B84dtex/20f、破断伸度38%(以下、トリアセテートフィラメント糸という)
示差走査型熱量計(セイコー電子工業社製DSC220)を用い、昇温速度10℃/分で測定した。
〈糸の破断伸度〉
強伸度特性測定器(島津製作所社製オートグラフSD−100−C)を用い、試長20cm、引張速度20cm/分で応力伸長曲線を測定し、糸の破断点での伸度を求めた。
〈弾力性の評価〉
手のひらに編地を1枚重ねずに置き、その編地を握ったときの感覚により弾力性を判定し、弾力性が高いから低いまでを◎、○、△、×の四段階評価した。
の評価は、ハンドリングによって行った。
PET高配向未延伸糸を、仮撚加工機(三菱重工業社製、LS−6型)を用い、延伸倍率1.35、加撚張力0.16cN/dtex、仮撚数1100t/m、仮撚温度220℃の条件で仮撚加工してポリエステル捲縮糸(37dtex/24f)を製造した。このPET高配向未延伸糸を仮撚加工する際の仮撚係数は6.3×103であった。
実施例1において、ポリエステル捲縮糸(37dtex/24f)を仮撚加工により製造する際の条件を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリエステル捲縮糸を製造し、ポリエステル捲縮糸とトリアセテートフィラメント糸とを混繊交絡処理して、セルロースエステル系複合糸を得、編地を作成し、染色し、弾力性の評価を行って、それらの結果を表1に示した。
2 セルロースエステル系フィラメント糸
3 供給ローラー
4 供給ローラー
5 仮撚ヒーター
6 仮撚具
7 引取りローラー
8 ポリエステル捲縮糸
9 混繊交絡ノズル
10 引取りローラー
11 セルロースエステル系複合糸
12 チーズ
Claims (5)
- ポリエステル高配向未延伸糸を仮撚係数が5.0×103〜6.5×10 3 、仮撚温度が(Tg+40℃)〜(mp−30℃)(Tg:ポリマーのガラス転移温度(℃)、mp:ポリマーの融点(℃))、加撚張力が0.1〜0.3cN/dtexにて仮撚加工してなるポリエステル捲縮糸と、セルロースエステル系フィラメント糸とを混繊交絡処理により複合することを特徴とするセルロースエステル系複合糸の製造方法。
- 仮撚加工する際の仮撚温度が、(Tg+40℃)〜(mp−35℃)である請求項1に記載のセルロースエステル系複合加工糸の製造方法。
- 混繊交絡処理により複合する際のポリエステル捲縮糸の供給率を0〜+5%、セルロースエステル系フィラメント糸の供給率を−2〜+5%とする請求項1または2に記載のセルロースエステル系複合糸の製造方法。
- セルロースエステル系フィラメント糸として、セルローストリアセテートフィラメント糸若しくはセルロースジアセテートフィラメント糸であって、破断伸度が30〜45%のセルロースアセテートフィラメント糸を用いる請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のセルロースエステル系複合糸の製造方法。
- 請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の製造方法によって得られたセルロースエステル系複合糸を用いた織編物。
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