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JP5558189B2 - 赤外線センサ及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、センサ及びその製造方法に関する。
従来のサーモパイル型の赤外線センサとしては、下記特許文献1〜3に示すものが知られている。このような赤外線センサでは、隣接したポリシリコンとアルミニウムとで熱電対が形成されており、この熱電対による赤外線検出部によって入射した赤外線を検知している。
サーモパイルは、熱電対を微少な面積の中に直列に並べたものである。熱電対は、二種類の金属で回路をつくり、その二つの接合点を異なる温度に保つと、熱起電力が生じて電流が流れる「ゼーベック効果」の原理を利用した温度センサである。熱電対では、測温接点(温接点)と基準接点(冷接点)の間の熱起電力を測定している。
特許文献1に示す赤外線センサは、p型半導体とn型半導体とからなる熱電対が、片持梁上に形成されている例である。これらは、ゼーベック効果による熱電対の温接点と冷接点との温度差によって生じる起電力から、赤外線センサに入射した赤外線量を測定するもので、熱電対を複数配置することにより、赤外線センサの高感度化を実現している。また、赤外線フィルタを備えた赤外線センサは特許文献3に記載されている。特許文献3では絶縁基板上に赤外線センサを形成した例が示されている。
特許2663612号公報 特開平6−249708号公報 特開2001−174324号公報
しかしながら、半導体基板に出力取り出し用の貫通孔を形成し、これにシリコン基板を貼り付ける場合、赤外線検出部とシリコン基板との間には温度検出特性向上のための空間が必要となり、この空間内部と赤外線センサの外部との圧力差により、貫通孔に形成した絶縁膜等が劣化・破損し、特性が劣化するという問題がある。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、特性を向上可能な赤外線センサ及びその製造方法を提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、赤外線センサにおいて、赤外線検出部が形成された半導体基板と、前記半導体基板に対向する赤外線透過基板と、前記半導体基板及び前記赤外線透過基板間に部分的に介在し、これらの基板間に空間を与える接着層と、を備え、
前記半導体基板は、前記接着層に対向する位置に前記赤外線検出部からの電気信号を端子を介して取り出すため、その軸線上に、前記端子及び前記接着層が位置する貫通孔を有し、前記貫通孔の内壁面上には、前記貫通孔の底部においては前記半導体基板上に設けられた絶縁層からなる薄膜に接触して位置する絶縁膜が形成され、前記貫通孔の前記接着層側の開口には、前記赤外線検出部に接続されるコンタクト電極が、前記絶縁膜及び前記薄膜における前記貫通孔の底部に位置するコンタクトホール内に設けられて、前記端子に接続され、前記貫通孔は角錐台形状を有し、前記貫通孔の径は、前記半導体基板の裏面側から表面側に向かって小さくなっており、前記貫通孔内にバンプが配置され、前記バンプの外表面は前記絶縁膜に接触しており、この接触位置よりも前記コンタクト電極とは反対側の前記バンプの外表面と前記絶縁膜との間には隙間があり、且つ、前記バンプは前記半導体基板の前記貫通孔からはみ出す部分を有していることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、赤外線センサにおいて、赤外線検出部が形成された半導体基板と、前記半導体基板に対向する赤外線透過基板と、前記半導体基板及び前記赤外線透過基板間に部分的に介在し、これらの基板間に空間を与える接着層と、を備え、前記半導体基板は、前記接着層に対向する位置に前記赤外線検出部からの電気信号を端子を介して取り出すため、その軸線上に、前記端子及び前記接着層が位置する貫通孔を有し、前記貫通孔の内壁面上には、前記貫通孔の底部においては前記半導体基板上に設けられた絶縁層からなる薄膜に接触して位置する絶縁膜が形成され、前記貫通孔の前記接着層側の開口には、前記赤外線検出部に接続されるコンタクト電極が、前記絶縁膜及び前記薄膜における前記貫通孔の底部に位置するコンタクトホール内に設けられて、前記端子に接続され、前記貫通孔は角錐台形状を有し、前記貫通孔の径は、前記半導体基板の裏面側から表面側に向かって小さくなっており、前記貫通孔内にバンプが位置し、前記バンプの外表面と前記貫通孔の内面との間には少なくとも一部に隙間があり、且つ、前記バンプは前記半導体基板の前記貫通孔からはみ出す部分を有していることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、前記貫通孔の内面に前記バンプが接触し、この接触位置よりも前記コンタクト電極とは反対側の前記バンプの外表面と前記貫通孔の内面との間には隙間があることを特徴とする。
請求項4に記載の発明では、前記貫通孔の開口径に対する孔深さのアスペクト比(孔深さ/開口径)は1以下であることを特徴とする。
請求項5に記載の発明では、前記赤外線検出部は、前記半導体基板に形成されたメンブレン構造上に形成されていることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、上述のセンサの製造方法において、前記半導体基板と、前記赤外線透過基板との間に、空間を与えられるよう接着層を前記半導体基板又は前記赤外線透過基板の少なくとも一方に部分的に形成した後、この接着層を介して前記半導体基板に前記赤外線透過基板を貼り合わせる工程と、前記赤外線透過基板の貼り合わせ工程の後に、前記半導体基板の前記赤外線透過基板とは反対側の面を機械的及び化学的に研磨することで前記半導体基板を薄板化する工程と、前記赤外線透過基板の貼り合わせ工程の後に、前記半導体基板の前記赤外線透過基板とは反対側から、前記半導体基板に貫通孔を形成する工程とを備えることを特徴とする。
本発明の赤外線センサ及びその製造方法によれば、その特性を向上させることができ、更に低コストで生産性も向上させることができる。
実施の形態に係る赤外線センサの側面図である。 実施形態に係る赤外線センサの正面図(赤外線センサから赤外線透過基板を除いた平面図)である。 赤外線センサの底面図である。 図2における赤外線センサのIV−IV矢印断面図である。 貫通孔Pの周辺部分の拡大図である。 赤外線検出部の製造工程を説明するための図である。 赤外線透過基板FLの取り付け工程を説明するための図である。 貫通孔Pの形成工程を説明するための図である。 バンプの取り付け工程を説明するための図である。 基板裏面に対して略垂直にエッチングして形成された貫通孔Pを有する赤外線センサの断面図である。 赤外線センサから赤外線透過基板FLを省略して示す別の実施形態に係る赤外線センサの平面図である。 図11に示した赤外線センサのXII−XII矢印断面図である。 赤外線検出部4,6を複数備えた赤外線センサの断面図である。
以下、添付図面を参照して本発明にかかる実施の形態について説明する。ただし、同一要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、各構成要素の寸法の比率、特に各層の厚み等は、説明の都合上強調するために、現実と異なる場合がある。
図1は、実施の形態に係る赤外線センサの側面図である。図2は、赤外線センサから赤外線透過基板を除いた平面図である。図3は、赤外線センサの底面図である。図4は、図2における赤外線センサのIV−IV矢印断面図である。
メンブレン構造の支持部材は、中空部分2を有する薄板部を備えた半導体基板1とこれを支持する薄膜(熱絶縁膜)3を有している。なお、半導体基板1はシリコン基板からなる。赤外線センサの裏側は、半導体基板1で閉鎖されており、表面のパッシベーション膜7の4個所にエッチングホール13を有している。すなわち、中空部分2が薄膜3の下部に形成されている。この赤外線センサでは裏側が半導体基板1により閉鎖された構造となっているため、リードフレームや回路基板等の支持部材にダイボンディングすることが容易となり、機械的な強度が高まる。
なお、薄膜3は、SiN単層、SiO単層、あるいはSiN,SiO,PSG,BPSGのいずれかを含む多層膜からなるものでもよく、膜厚は0.1〜5μmである。
薄膜3上には、n型あるいはp型の不純物を1017〜1020cm−3ドーピングしたポリシリコン膜4と、絶縁膜となるSiO膜5を介してアルミニウム膜6が積層され
ている。そして、SiO膜5の開口穴部によってポリシリコン膜4とアルミニウム膜6とは接続され、熱電対を形成している。薄膜3および熱電対の露出表面は、SiNからなるパッシベーション膜7で被覆されており、中空部分2上部のパッシベーション膜7上には赤外線吸収膜8が形成されている。赤外線吸収膜8は、熱型の赤外線センサにおいては、赤外線を熱エネルギーとして捕らえるために設けられている。
なお、SiO膜5の代わりとしてPSG、BPSG、SiNなどの単層あるいはそれら絶縁層などから成る積層膜を用いてもよく、パッシベーション膜7はSiOやPSG、BPSG、ポリイミド膜など単層あるいはそれらから成る積層の絶縁膜でもよい。また、赤外線吸収膜8には黒化樹脂が使用されており、この黒化樹脂にはカーボンフィラーなどの黒色フィラーを混ぜた樹脂(エポキシ系、シリコーン系、アクリル系、ウレタン系、ポリイミド系など)や、黒色レジストなどを用いてもよい。
図2に示すように、ポリシリコン膜4とアルミニウム膜6の長尺の積層構造は、半導体基板1外縁上部から、中央の中空部分2上部にわたって延びるように形成されている。なお、中空部分2の形状は、矩形(正方形または長方形)であり、各積層構造は、中空部分2の四辺に垂直な4方向に沿って延びている。
ポリシリコン膜4とアルミニウム膜6とは中空部分2上で積層され、アルミニウム膜6の幅はポリシリコン膜4の幅より細く形成されている。そして、赤外線吸収膜8の形成されている領域のSiO2膜5の開口穴部で、積層されたポリシリコン膜4とアルミニウム膜6とは接続され、温接点11が形成されている。また、半導体基板1上部のSiO2膜5の開口穴部で、隣接したポリシリコン膜4とアルミニウム膜6とは接続され、冷接点12が形成されている。これら熱電対は直列に接続されており、ゼーベック効果により生じた起電力は、端子10により取り出される。
この積層構造は、熱電対であるため熱電型の赤外線検出部(サーモパイル)4,6として機能する。すなわち、半導体基板1には赤外線検出部が形成されている。半導体基板1には、シリコン基板からなる赤外線透過基板FLが対向している。赤外線透過基板FLは、赤外線透過フィルタとして機能する。または赤外線透過基板の片面もしくは両面に反射防止膜を付加することで透過率を向上させたり、必要な波長のみを透過させるバンドパスフィルタを形成することができる。
半導体基板(第1のシリコン基板)1と、赤外線透過基板(第2のシリコン基板)FLとの間には、接着層ADが部分的に介在している。接着層ADは、半導体基板1と赤外線透過基板FLとの間に空間を与えている。接着層ADの厚みは、赤外線吸収膜8の上面よりも高くなるように設定されており、赤外線吸収膜8や赤外線検出部と、赤外線透過基板FLの半導体基板と対向する面との間には隙間が介在する。
本例の接着層ADは、例えばパイレックス(登録商標)ガラス等のシリコンとの間で陽極接合が可能な層からなる。半導体基板(第1のシリコン基板)1と赤外線透過基板(第2のシリコン基板)FLの少なくとも一方と接着層ADとは陽極接合されている。赤外線透過基板FLの中空部分2に対向する内側表面は凹部を構成していてもよく、この場合は赤外線透過基板FLの内側表面の周囲は凸部を構成し、かかる凸部と接着層ADとが接着されることとなる。接着層ADは、半導体基板1の外縁部に設けられており、矩形環状の枠部を構成している。したがって、接着層ADは、半導体基板1の外縁部と赤外線透過基板FLの外縁部との間に介在し、赤外線センサの内部空間を外気から密閉している。この内部空間は、好ましくは真空状態に設定される。赤外線透過基板と半導体基板との間の内部空間を真空とすることで、半導体基板上に形成された赤外線検出部の赤外線吸収膜に入射した赤外線(熱)を対流によって空間の側へ逃がすことがないため、より高感度の検出が可能となる。
接着層ADは、例えば、コーニング社の♯7740等のアルカリ金属を含むホウ珪酸ガラスからなることが好ましい。このガラスの熱膨張係数が3.4×10−6であり、シリコンの熱膨張係数(=3.6×10−6)に近いからである。すなわち、この場合、製造工程における熱膨張係数の違いによる熱応力が最小限に抑えられ、中空部分等の機械的強度が弱い箇所に、応力がかかりにくくなる。
接着層ADの接着には、陽極接合装置を用いて、半導体基板と接着層ADを陽極接合するが、陽極接合は400℃以下の低温で行われる。陽極接合時には、半導体基板1と赤外線透過基板FLとの間に250〜800V程度の電圧を印加するが、陽極接合時の温度は比較的低温であるため、上述の熱応力も抑制することができる。陽極接合を真空装置内で行うことにより、赤外線センサの内部空間を真空状態で密閉することができる。
また、陽極接合を窒素やキセノン等の不活性ガス雰囲気中で行えば、赤外線センサの内部空間を窒素やキセノン、クリプトン、アルゴン等の不活性ガスを充填した状態で密閉することができる。赤外線透過基板と半導体基板との間の内部空間に窒素やキセノンを充填して密閉することで、赤外線検出部やメンブレン構造、赤外線吸収膜が酸素に触れることを防げるため、劣化のない赤外線検出器とすることができる。更に、キセノンやクリプトン、アルゴンなどの熱伝導率が小さく、しかも重量の重いガスをたとえば10〜100mmHgの低圧で充填することにより対流の発生を困難ならしめることができ、対流による赤外線検出部からの熱の逃げがおさえられて、より高感度の検出が可能となる。
なお、真空密閉においては、半導体基板1と赤外線透過基板FLとの間の内部空間内にゲッター材料を設けても良い。これにより、内部空間内の圧力を長期間にわたり真空に保持することができ、赤外線センサの安定性が向上する。ゲッター材料としては、バリウム、チタン、ジルコニウム等を主成分とする材料を用いることができる。
赤外線透過基板FLを接着層ADと共に用いる場合、赤外線センサの機械的強度は高くなるため、半導体基板1の厚みを薄くすることができるという利点がある。すなわち、赤外線透過基板FLの接着後に、半導体基板1の裏面を機械的及び化学的に研磨することで薄板化し、貫通孔Pの深さ方向のアスペクト比を小さくすることができる。薄板化工程においては、機械研磨の他に、ドライエッチング又はウエットエッチングを用いることができる。なお、裏面側のプロセスを行う際は、裏面側を上向きとしてプロセスを行う。
この薄板化によるアスペクト比の低減は、非常に有用であり、貫通孔Pの形成時間を短くすることができると共に、貫通孔Pの内壁面に容易に良質な絶縁膜Piを形成できるようになる。すなわち、貫通孔Pの内壁面上に絶縁膜Piを形成する場合、貫通孔Pの深さが浅い場合には、プラズマCVD法やスパッタリング法によって被覆性の良い良質な絶縁膜Piを形成できるようになる。
換言すれば、接着層ADと赤外線透過基板FLを用いることで、貫通孔Pの内壁面上に形成される絶縁膜Piを良好に製造することができるようになり、結果的には赤外線センサの特性の向上が見込まれるのである。以下、薄板化の利点を纏めておく。
・貫通孔Pの深さが浅くなるため、端子(電極パッド)10及びコンタクト電極CEを微細化し、狭間隔で形成することができる。
・端子10の面積を小さくすることができるため、赤外線検出部4,6の面積を相対的に大きくすることができ、検出感度を向上させることができる。
・貫通孔Pを形成する際のエッチング時間が短くなる。
・貫通孔Pの深さが浅いため、絶縁膜Piの被覆性を高めることができる。
・絶縁膜Piの被覆性が高くなるため、バンプBと半導体基板1との短絡発生確率を低減させることができる。
・貫通孔Pの深さが浅いため、コンタクト電極CEを形成する際のフォトレジストの塗布が容易となり、また、フォトリソグラフィ工程における貫通孔Pの底部での露光光のボケ量も小さくなる。
・貫通孔P内にいわゆる貫通配線のような長い配線を形成する必要がなくなるため、歩留まりが向上する。
上述のように赤外線検出部4,6は、熱起電力が発生する異種材料(アルミニウム、ポリシリコン)を電気的に直列に接続している。この直列接続回路の両端の端子(パッド)10は、半導体基板1の薄膜3上に形成されている。一方、半導体基板1は、接着層ADに対向する位置に赤外線検出部の出力を端子10から取り出すための貫通孔Pを有している。すなわち、貫通孔Pの軸線上に、半導体基板1の外縁部、端子10、接着層AD及び赤外線透過基板FLの外縁部が位置している。
なお、端子10は、平面形状が矩形の半導体基板1における2つの隅部に位置する。残りの隅部には、ダミー端子10’が設けられており、赤外線センサの実装安定性を向上させている。
貫通孔Pは角錐台形状を有しており、この中に球形に近い形状のバンプBが配置されている。貫通孔Pの径は、半導体基板1の裏面側から表面側に向かって小さくなっており、テーパ状とされている。本例では、一つの貫通孔Pに一つのバンプBが配置されてもよいし、開口径の一方のみが他方よりも非常に長く設定され、貫通孔Pが溝を構成し、その溝に多数のバンプBが配置されていてもよい。また、貫通孔Pの開口径に対する孔深さのアスペクト比(孔深さ/開口径)は望ましくは1以下である。バンプBは、半導体基板1の貫通孔Pから若干はみ出す部分を有しており、回路基板への取り付けが容易となっている。
図5は、貫通孔Pの周辺部分の拡大図である。
貫通孔Pの内面には、SiOからなる絶縁膜Piが形成されている。バンプBは絶縁膜Piに当接している。なお、貫通孔P内の絶縁膜Piは、半導体基板1の裏面を被覆する絶縁膜9に連続している。バンプBは、薄膜3に設けられたコンタクトホールCH内のコンタクト電極CEを介して端子10に接続されている。すなわち、図2を参照すると、一方のバンプBは、一方の端子10を介して、アルミニウム膜6、ポリシリコン膜4、アルミニウム膜6、ポリシリコン膜4、・・・の順番に電気的に接続され、ポリシリコン膜4、配線、他方の端子10を介して、他方のバンプBに電気的に接続されている。なお、ダミー端子10’の直下にも、端子10の周辺部と同様に、図3に示すようなダミー用のバンプB‘を設けることもできる。また、絶縁膜PiはSiOに限ったものではなく、PSG、BPSG、SiN、SiON、ポリマーなどの単層絶縁膜もしくはそれらから成る積層膜であってもよい。
上述の赤外線センサの機能について説明する。
この赤外線センサに入射した赤外線は、反射防止膜コーティングを施したシリコン基板からなる赤外線透過基板(赤外線透過窓)FLを透過し、熱電対等の赤外線検出部4,6に入射する。赤外線検出部4,6は、これに入射した赤外線を電気信号に変換している。この電気信号は、貫通孔Pを介して外部に取り出される。赤外線検出部4,6は、半導体基板1と赤外線透過基板FLとの間に介在する接着層ADによって形成された空間内に配置されている。したがって、赤外線検出部4,6の温度変化に対する応答特性は向上している。
特に、赤外線検出部4,6は、半導体基板1に形成された薄膜3からなるメンブレン構造上に形成されており、中空部分2を薄膜3の下部に有しているので、赤外線検出部4,6の温度変化に対する応答性が更に向上している。
上述のように、貫通孔Pは、接着層ADに対向する位置に設けられている。したがって、接着層ADによって画成される空間の内外で圧力差が生じても、貫通孔Pとその底部は接着層ADによって支持されることとなり、貫通孔P及びこれに形成される絶縁膜Piの劣化・破損が抑制され、赤外線センサの特性、歩留まり、生産性が向上する。
また、上述の赤外線センサでは、ポリシリコン膜4とアルミニウム膜6とが積層して形成されていることにより、1つの熱電対に対する配置領域が狭くなるため、高密度に熱電対を配置することができる。また、SiO膜5を介してポリシリコン膜4とアルミニウム膜6を積層したサーモパイルパターンは、3層構造としたことにより機械的な支持強度が向上し、これが中空部分2上部にある薄膜3の上部から半導体基板1の外延部の上部にわたってメサ状に形成されているため、薄膜3の機械的強度を高めることができる。
さらに、中空部分2上部にある薄膜3の上部において接着力を持つ材料からなる単一の塊の赤外線吸収膜8が薄膜3とサーモパイルパターンの全てを固着させているため、中空部分2のため、中空部分2の上部にある薄膜3で肉薄となっている領域の機械的強度をさらに向上させることができる。また、赤外線吸収膜8は、サーモパイルパターンの温接点11をすべて覆うように形成されているため、赤外線の吸収により赤外線吸収膜8で発生した熱を効率よく温接点11に伝えることができる。
また、アルミニウム膜6は熱伝導率がよいために温接点で得られた熱を半導体基板1に伝え逃し、赤外線センサの感度低下を招く可能性があるが、アルミニウム膜6はポリシリコン膜4上にSiO膜5を介して薄く細く積層されているため、半導体基板1と熱絶縁されており、赤外線センサの感度を低下させることはない。また、SiO膜5は、ポリシリコン膜4とアルミニウム膜6との電気絶縁のみでなく、ポリシリコン膜4の熱をアルミニウム膜6に伝えにくくするための熱絶縁機能も有している。
また、赤外線吸収膜8に入射した赤外線が、赤外線吸収膜8下に形成されているアルミニウム膜6で反射されることにより赤外線センサの感度低下を招く可能性があるが、アルミニウム膜6は細く形成されているため反射を最小限にすることができ、反射した赤外線は更に赤外線吸収膜8で吸収されるため、赤外線センサの感度を低下させることはない。
なお、第1実施形態はこれに限られるものではない。中空部分2の形状は矩形にかぎられるものではなく、円形などでもよく、その形状に合わせてサーモパイルパターンを形成することができる。
次に、上述の赤外線センサの製造方法について説明する。
図6は赤外線検出部の製造工程を説明するための図である。
まず、シリコンからなる半導体基板1(第1のシリコン基板)を用意する。半導体基板1の表面上にポリシリコンからなる犠牲層を形成する。この犠牲層は後工程で除去され、中空部分2の上部空間DLを構成することになる。すなわち、犠牲層のエッチング前には、上部空間DL内に犠牲層が充填されていたことになる。ここで、中空部分2は、犠牲層のみをエッチングすることで形成してもよいし、バルクの半導体基板1を厚み方向に更にエッチングすることによって形成してもよい。このような意味で、図6における中空部分2は半導体基板1側を点線で示している。
犠牲層の形成後、絶縁層からなる薄膜3を半導体基板1の表面上に形成し、半導体基板1及び犠牲層の露出表面を薄膜3で被覆する。なお、上記の犠牲層は、半導体基板1の薄膜3側に中空部分2と略同一サイズで形成されている。次に、ポリシリコン膜4、絶縁膜5、アルミニウム膜6からなるサーモパイルパターン、及び端子10を形成した後、パッシベーション膜7を形成する。しかる後、薄膜3及びパッシベーション膜7を開口し、エッチングホール13を形成し、サーモパイルパターン上に赤外線吸収膜8を形成する(図2参照)。なお、赤外線吸収膜8は後述のエッチング後に形成してもかまわない。
また、半導体基板(第1のシリコン基板)1の裏面には必要に応じて保護用のマスクを形成しておく。エッチングホール13内に導入されるエッチング液には、例えばエチレンジアミンとピロカテコールと水の混合液を温めたものを用いる。なお、半導体基板1は(100)基板であり、(100)面が露出している。エッチング液をエッチングホール13内に導入すると、エッチングホール13からエッチング液がポリシリコンの犠牲層に浸透し、この犠牲層をエッチングしながら、もしくは全てエッチングした後設計に応じて半導体基板1の異方性エッチングを開始する。
これにより、中空部分2を有したメンブレン構造を形成することができる。なお、エッチングは深さ2〜30μm程度行う。また、メンブレン構造を形成するためにポリシリコン犠牲層のみをエッチングしてもよい。この場合は、ポリシリコン犠牲層の厚みを0.2μmから3μmとする。なお、エッチングには、前記エッチング液の他にヒドラジン水溶液などでもよく、あるいはXeFなどを用いたドライエッチングでも可能である。
図7は、赤外線透過基板FLの取り付け工程を説明するための図である。
中空部分2の形成後、機械的強度の増加も兼ねてシリコンからなる赤外線透過基板(第2のシリコン基板)FLの取り付けを行う。まず、半導体基板(第1のシリコン基板)1の外縁部上にパイレックスガラスからなる接着層ADを形成する。接着層ADの上に赤外線透過基板(第2のシリコン基板)FLを重ね合わせ、接着層ADと赤外線透過基板(第2のシリコン基板)FLとを、真空中又は窒素雰囲気中で陽極接合する。なお、接着層ADの形成は前記エッチング前に行っていてもよい。また、接着層ADの形成は赤外線透過基板(第2のシリコン基板)FL側に形成してもよい。
しかる後、半導体基板(第1のシリコン基板)1の裏面側を機械的及び化学的に研磨し、半導体基板1を薄板化する。薄板化後の半導体基板1の外縁部の厚みは、50〜200μm程度である。
図8は、貫通孔Pの形成工程を説明するための図である。
次に、半導体基板1の裏面上にエッチング液に耐性のあるマスク9を形成する。ここでは、マスク9はSiNからなることとする。マスク9の貫通孔形成予定領域を開口した後、この開口内にKOH水溶液等のエッチング液を導入し、第1の半導体基板1を内部方向にエッチングする。このウエットエッチングでは異方性エッチングが進行し、薄膜(熱絶縁膜)3にエッチング液が到達した時点でエッチングが停止し、テーパ状の貫通孔Pが形成される。なお、上述のマスク9は、必要に応じて除去し、その後、新たな絶縁膜9を基板裏面上に形成してもよい。
なお、エッチング液には、KOH水溶液のほか、ヒドラジン、EDP、TMAHなどのアルカリ水溶液を用いることができる。また、マスク材料としては、SiNの他、SiOなどのアルカリ耐性の高い膜を用いることができ、これはCVD法などにより形成することができる。なお、本例の場合、エッチングが完了しても接着層ADを介して赤外線透過基板(第2のシリコン基板)FLが存在するため、エッチング完了時や完了後の膜破損がなく、歩留まりを落とすことなく工程を進めることができる。
図9は、バンプ電極の取り付け工程を説明するための図である。
次に、貫通孔Pの内壁面上にCVD法又はスパッタリング法によってパッシベーション膜からなる絶縁層Piを形成する。しかる後、絶縁層Piの底部及びこれに対応する薄膜3の領域に開口(コンタクトホールCH)を形成し、端子10の裏面側を露出させる。この端子10の露出面上に無電解メッキなどによってコンタクト電極(アンダーバンプメタル)CEを形成する。バンプBを貫通孔P内に配置し、コンタクト電極CEに接触させる。なお、バンプBのコンタクト電極CEとは反対側の端部は半導体基板1の裏面から突出している。
コンタクト電極CEは、無電解メッキのほかに蒸着、スパッタなどにより形成することもできる。コンタクト電極CEの材質は、Ni、Au、Cr、Cu、Ptなどのメタル単層、合金あるいはそれら積層膜であってよい。コンタクト電極CEに接触するように、半田などからなるバンプBが形成されるが、バンプBの形成には、ボール搭載法や印刷法メッキ法、ボンディング法などを用いることができる。ボール搭載法では、バンプ形成部が凹となっており位置ずれを防止でき、また、印刷法では凹部に直接半田ペーストをスキージで埋設してリフロ―することでボールを形成することが可能となる。
上述の工程をウエハ状態で行い、最後に基板接合部をダイシングすることでチップが完成する。すなわち、上述のバンプ配置工程の後、接着層ADを介して陽極接合された半導体基板もしくは赤外線透過基板FL上の領域を、ダイシングラインに設定し、このダイシングラインを切断する。すなわち、複数の赤外線センサを形成する場合、貫通孔Pの形成後に、赤外線センサ間のダイシングライン上を切断すると、個々の赤外線センサに分離することができる。この場合、半導体基板1及び赤外線透過基板FLの貼りあわせ及び貫通孔Pの形成が終了しているので、当該ダイシングによって、チップサイズの個々の赤外線センサに分離することで、最終出荷形態に近い製品が完成する。したがって、この製造方法によれば、小型薄型の赤外線センサが低コストで生産性高く製造できることとなる。
図10は、基板裏面に対して略垂直にエッチングして形成された貫通孔Pを有する赤外線センサの断面図である。
この赤外線センサは、貫通孔Pの形状以外は、上述の赤外線センサと同一である。バンプBが形成される貫通孔がドライエッチングで作られる場合、その形成方法はアルカリウエットエッチングとほぼ同じであり、エッチング用のマスク9をSiO又はレジスト又はアルミニウムなどの金属層またはそれら積層膜として、反応性イオンエッチング(RIE)法を用いて半導体基板1の貫通孔該当箇所をドライエッチングする。
シリコンとアルミニウムの端子10直下の薄膜(絶縁膜)3において、エッチングは選択的にストップする。RIEとして高密度プラズマを用いたICP−RIEを用いれば、エッチング速度が速く略垂直にエッチング可能となる。エッチングマスクとしてレジストを用いた場合にはそのレジストを酸素アッシングなどにより除去し、貫通孔形成後の工程を実行する。貫通孔Pの平面形状としては円形にすることもできる。
図11は、赤外線センサから赤外線透過基板FLを省略して示す別の実施形態に係る赤外線センサの平面図である。この平面図の表記は図2に準ずる。図12は、図11に示した赤外線センサのXII−XII矢印断面図である。
この赤外線センサは、図2に示したものと比較して、中空部分2の形状とその部分の製造方法のみが異なり、他の構成及び製造方法は同一である。なお、本例の場合、中空部分2が半導体基板1の裏面側に開放しているため、エッチングホールは省略される。
中空部分2の形成方法を説明すると、中空部分2を形成していない半導体基板1の表面に薄膜3、サーモパイルパターン、パッシベーション膜7、赤外線吸収膜8を形成した後、半導体基板1の薄膜3が形成されているのとは反対側の面(裏面)に、シリコンエッチング液に耐性のあるSiNなどからなるマスクを形成する。そして、中空部分2を形成したい領域の当該マスクを開口し、半導体基板1の表面を保護しながらエッチングを行う。
これにより、裏面のマスクの開口部からエッチングが開始し、エッチング液に耐性のある薄膜3に到達するとエッチングが止まる。エッチング液には、例えばKOH水溶液等を用い、第1の半導体基板1に(100)基板を用いると、異方性エッチングを行うことができる。このエッチングにより、図12に示す中空部分2を有したメンブレン構造を形成することができる。なお、この裏面のエッチングは、第1の実施形態で説明した裏面からの貫通孔Pの形成と同時に行うことができる。
なお、半導体基板1の裏面側には必要に応じて絶縁膜9が形成されている。また、必要に応じて半導体基板の裏面で開放されている中空部分2を空間を設けるように基板などを接着することにより塞いでもよい。こうすることによりメンブレンの破損を防ぐことが可能となる。
また、上述の中空部分2の形状は矩形にかぎられるものではなく、円形などでもよく、
その形状に合わせてサーモパイルパターンを形成することができる。また、エッチングホールを用いる場合、その形状及び箇所は、サーモパイルパターンにより変更することが可能である。
図13は、上述の赤外線検出部4,6を複数備えた赤外線センサの断面図である。ここでは、説明の明確化のため、赤外線検出部4,6を符号IRPで示し、詳細構成の記載を省略する。赤外線センサは、半導体基板1と赤外線透過基板FLとの間に内部空間SPを有している。この空間SP内には、赤外線透過基板FLの赤外線検出部IRP側への撓みを抑制する撓み防止壁(スペーサ)STPが設けられている。
赤外線透過基板FLが撓んだ場合、これが赤外線検出部IRPに当接し、赤外線検出部IRPとが熱的に接続されて感度が減少したり、あるいは破損することがある。この撓み防止壁STPは、かかる感度減少と破損を防止するために設けられており、撓み防止壁STPの半導体基板1からの高さは、赤外線検出部IRPの高さよりも高く、赤外線透過基板FLが撓んだ場合には、これが撓み防止壁STPに当接し、赤外線透過基板FLの撓み量が抑制される。
赤外線検出部IRPの数は複数であり、個々の赤外線検出部IRPは画素を構成し、独立に信号を出力するが、本例では説明の明確化のため、出力取り出し用のバンプBは2つのみ表示してある。撓み防止壁STPは、下に中空部分のない薄膜3上に形成されており、赤外線検出部IRP間に設けられている。赤外線検出部IRPが複数である場合には、赤外線透過基板FLと共にセンサは大型化するが、撓み防止壁STPが赤外線検出部IRP間に設けられているので、撓み量を全体的に抑制することができる。なお、撓み防止壁STPの形成位置は、隣接する中空領域2の間の領域に設定される。
撓み防止壁STPについては、以下に詳説しておく。
1次元もしくは2次元の赤外線検出部アレイを製作する際には、チップサイズが大きくなる。このチップサイズが大きい場合、チップ周囲のみで半導体基板1と赤外線透過基板FLを接着すると、内部空間SPの平面方向のサイズが大きくなる。したがって、ウエハの反りや外力(例えばウエハ接合時やチップ化した後の実装時)により、基板表面の赤外線検出部IRPと赤外線透過基板FLが接触してしまう恐れがあり、素子部を破損させたり、あるいは、赤外線透過基板FLの接触による熱の逃げによる感度低下などの問題が発生する。
上記問題の解決策として、隣接する画素間毎あるいは、ある画素間隔の画素間で撓み防止壁STPが設けられている。これにより、内部空間SPの平面方向のサイズを小さくし、ウエハの反りや外力による赤外線検出部IRPと赤外線透過基板FLの接触を防ぐことができる。また、撓み防止壁STPは、フリップチップボンディング等の実装の際、圧力印加による素子破壊を抑制することができる。
撓み防止壁STPは、半導体基板1上の撓み防止壁を形成したい箇所に、Al、Ti、Au、Ni、Ti、Cr、W、Si、Pt、Cu、SiN、SiO、BPSG、PSGなどの材料やそれら化合物もしくは合金を単層や積層して蒸着やスパッタ、CVDなどで堆積し、エッチングやリフトオフなどによりパターニングして形成する。この形成にはメッキ法を用いてもよい。また、この形成にはガラスフリットや樹脂、半田ペーストを印刷して硬化させても良い。更には、感光性の樹脂を用いても良い。感光性樹脂の樹脂主成分としては、ポリイミドやアクリレート、PMMA、シリコーン、エポキシなどがあげられる。感光性樹脂は工程が少なく非常に安価で形成可能となる。
以上、説明したように、上述の赤外線センサの製造方法は、半導体基板1に薄膜3からなるメンブレン構造を形成する工程と、メンブレン構造上に赤外線検出部IRPを形成する工程と、半導体基板1と、シリコンからなる赤外線透過基板FLとの間に、空間を与えられるよう接着層ADを半導体基板1または赤外線透過基板FLもしくは双方の基板に部分的に形成した後、この接着層ADを介して半導体基板1と赤外線透過基板FLとを貼り合わせる工程と、半導体基板1の赤外線透過基板FLとは反対側から、半導体基板1に貫通孔Pを形成する工程とを備えている。
また、貫通孔Pは、接着層ADに対向する位置に設けられている。この製造方法によれば、貫通孔形成時の貫通孔とその底部、絶縁膜Pi等の破損・劣化を、接着層ADによる支持によって抑制することで、特性の優れた上述の赤外線センサを製造することができる。
また、赤外線検出部IRPとして、サーモパイルの他、ボロメータ、サーミスタ、焦電素子、バイメタル素子、ダイオード、水晶振動子、ゴーレイセルを用いることもできる。
これまでの説明では赤外線透過基板FLとしてシリコン基板を用いたが、赤外線透過基板FLはシリコン基板の他、ゲルマニウム基板や赤外線透過ガラスなどの赤外線を透過する基板を用いることもできる。
また、接着層ADの材料としては、低融点ガラス、半田、金属(単体、合金)、樹脂などを用いることができ、その接着強度、信頼性を増加させるために単層、積層であっても良い。上述の接着方法は陽極接合に限ったものではなく、必要に応じて熱、圧力あるいは超音波などを印加して接着すれば良い。また、図示していないが接着層ADと基板との密着を良くするための密着層を設けてもよい。接着層ADを、赤外線透過基板FL側に設けてから接着を行ってもよく、双方に設けてから接着を行っても良い。さらに、接着層ADは赤外線透過基板FL側にのみ設けても構わない。
また、赤外線検出部からの入出力端子10を直接バンプ電極に接続する手法の他に、赤外線検出部の出力信号を処理する回路を半導体基板1上に設け、この回路の入出力端子とバンプ電極を接続する構成としてもよい。また、基板温度をモニタするためのサーミスタやダイオードを半導体基板1上に形成し、その端子とバンプを電気的に接続することもできる。
また、半導体基板側から入射する赤外線の迷光を防ぐために、半導体基板の赤外線透過基板と反対側の面で、貫通孔の無い部分に、たとえば金属などの遮光膜を設けてもよい。
また、赤外線検出部から輻射で半導体基板側に熱が逃げるのを防ぐために、半導体基板の赤外線検出部に対向する面に金属等からなる赤外線反射膜を設けてもよい。こうすることで、半導体基板側から入射する赤外線を半導体基板自体からのものも含めてさえぎることができる。
以上、説明したように、本発明に係る赤外線センサは、赤外線検出部が形成された半導体基板と、半導体基板に対向する赤外線透過基板と、前記半導体基板及び前記赤外線透過基板間に部分的に介在し、これらの基板間に空間を与える接着層と、を備え、前記半導体基板は、接着層に対向する位置に赤外線検出部からの電気信号を取り出すための貫通孔を有していることを特徴とする。
この赤外線センサに入射した赤外線は、赤外線透過基板を透過し、熱電対等の赤外線検出センサ部に入射する。赤外線検出部は、これに入射した赤外線を電気信号に変換する。この電気信号は、貫通孔を介して外部に取り出される。赤外線検出部は、半導体基板及び赤外線透過基板間に介在する接着層によって形成された空間内に配置されている。したがって、赤外線検出部の温度変化に対する応答特性は向上する。
貫通孔は、この接着層に対向する位置に設けられている。したがって、例えば実装の際などに上記空間内外の圧力差が生じても、貫通孔およびその底部は接着層によって支持されることとなり、当該貫通孔及びこれに形成される絶縁膜の劣化・破損が抑制され、赤外線センサの特性が向上する。
また、上記空間内には、赤外線透過基板の赤外線検出部側への撓みを抑制する撓み防止壁が設けられていることが好ましい。赤外線透過基板が撓んだ場合、これが赤外線検出部に当接し、赤外線検出部が破損したり当接することで熱伝導が大きくなり感度減少を招くことがある。この撓み防止壁は、かかる破損や感度劣化を防止するために設けられており、撓み防止壁の半導体基板からの高さは、赤外線検出部の上面よりも高く、赤外線透過基板が撓んだ場合には、これが撓み防止壁に当接し、赤外線透過基板の撓み量が抑制されることとなる。
赤外線検出部の数が複数である場合、撓み防止壁は赤外線検出部間に設けられていることが好ましい。すなわち、赤外線検出部が複数である場合には、赤外線透過基板は大型化するが、この場合には、撓み防止壁を赤外線検出部間に設けることで、撓み量を全体的に抑制することができる。
赤外線検出部は、半導体基板に形成されたメンブレン構造上に形成されていることが好ましく、この場合には、赤外線検出部の温度変化に対する応答性を向上させることができる。
また、前記接着層を介して前記半導体基板と前記赤外線透過基板との基板間に形成された空間では、真空が保持されていることが好ましい。熱エネルギーの移動には、熱伝導、対流、輻射が考えられる。後でも述べるが、赤外線検出部からの熱の移動の内、熱伝導に関わる部分は、熱を伝えにくい薄膜の上に赤外線検出部を形成することで、熱を逃がさなくしている。赤外線透過基板と半導体基板との間で構成される空間を真空とすることで、半導体基板上に形成された赤外線検出部に入射した赤外線(熱)を対流によって空間の側へ逃がすことがないため、より高感度の検出が可能となる。残る輻射に関しては、半導体基板の赤外線検出部に対向する面に金属等からなる赤外線反射膜を設けることで更に高感度の検出が可能となる。
上述の赤外線センサの製造方法は、半導体基板上のメンブレンとなる薄膜上に赤外線検出部を形成する工程と、前記赤外線検出部が形成された前記薄膜の下側に中空部を形成することでメンブレン構造を形成する工程と、前記半導体基板と、シリコンなどからなる赤外線透過基板との間に、空間を与えられるよう接着層を前記半導体基板又は前記赤外線透過基板又の少なくとも一方に部分的に形成した後、この接着層を介して前記半導体基板に前記赤外線透過基板を貼り合わせる工程と、前記半導体基板の前記赤外線透過基板とは反対側から、前記半導体基板に貫通孔を形成する工程とを備え、前記貫通孔は、前記接着層に対向する位置に設けられていることを特徴とする。
この製造方法によれば、貫通孔形成時の貫通孔等の破損・劣化を、接着層による支持によって抑制することで、特性の優れた上述の赤外線センサを製造することができる。
また、複数の赤外線センサを形成する場合、貫通孔の形成後に、赤外線センサ間のダイシングライン上を切断し、個々の赤外線センサに分離することが好ましい。この場合、半導体基板及び赤外線透過基板の貼りあわせ、及び貫通孔の形成が終了しているので、当該ダイシングによって、個々の赤外線センサを分離することで最終出荷形態に近い製品が完成する。したがって、この製造方法によれば、低コストで生産性が向上することとなる。
本発明は、赤外線センサ及びその製造方法に利用することができる。
1・・・半導体基板、2・・・中空部分、3・・・薄膜、4・・・ポリシリコン膜、5・・・絶縁膜、6・・・アルミニウム膜、7・・・パッシベーション膜、8・・・赤外線吸収膜、9・・・絶縁膜、10・・・・端子、11・・・温接点、12・・・冷接点、13・・・エッチングホール、AD・・・接着層、B・・・バンプ、CE・・・コンタクト電極、CH・・・コンタクトホール、DL・・・上部空間、FL・・・赤外線透過基板、IRP・・・赤外線検出部、P・・・・貫通孔、Pi・・・・絶縁膜、SP・・・内部空間、STP・・・撓み防止壁。

Claims (6)

  1. 赤外線センサにおいて、
    赤外線検出部が形成された半導体基板と、
    前記半導体基板に対向する赤外線透過基板と、
    前記半導体基板及び前記赤外線透過基板間に部分的に介在し、これらの基板間に空間を与える接着層と、
    を備え、
    前記半導体基板は、前記接着層に対向する位置に前記赤外線検出部からの電気信号を端子を介して取り出すため、その軸線上に、前記端子及び前記接着層が位置する貫通孔を有し、
    前記貫通孔の内壁面上には、前記貫通孔の底部においては前記半導体基板上に設けられた絶縁層からなる薄膜に接触して位置する絶縁膜が形成され、
    前記貫通孔の前記接着層側の開口には、前記赤外線検出部に接続されるコンタクト電極が、前記絶縁膜及び前記薄膜における前記貫通孔の底部に位置するコンタクトホール内に設けられて、前記端子に接続され、
    前記貫通孔は角錐台形状を有し、前記貫通孔の径は、前記半導体基板の裏面側から表面側に向かって小さくなっており、
    前記貫通孔内にバンプが配置され、前記バンプの外表面は前記絶縁膜に接触しており、この接触位置よりも前記コンタクト電極とは反対側の前記バンプの外表面と前記絶縁膜との間には隙間があり、且つ、前記バンプは前記半導体基板の前記貫通孔からはみ出す部分を有していることを特徴とする赤外線センサ。
  2. 赤外線センサにおいて、
    赤外線検出部が形成された半導体基板と、
    前記半導体基板に対向する赤外線透過基板と、
    前記半導体基板及び前記赤外線透過基板間に部分的に介在し、これらの基板間に空間を与える接着層と、
    を備え、
    前記半導体基板は、前記接着層に対向する位置に前記赤外線検出部からの電気信号を端子を介して取り出すため、その軸線上に、前記端子及び前記接着層が位置する貫通孔を有し、
    前記貫通孔の内壁面上には、前記貫通孔の底部においては前記半導体基板上に設けられた絶縁層からなる薄膜に接触して位置する絶縁膜が形成され、
    前記貫通孔の前記接着層側の開口には、前記赤外線検出部に接続されるコンタクト電極が、前記絶縁膜及び前記薄膜における前記貫通孔の底部に位置するコンタクトホール内に設けられて、前記端子に接続され、
    前記貫通孔は角錐台形状を有し、前記貫通孔の径は、前記半導体基板の裏面側から表面側に向かって小さくなっており、
    前記貫通孔内にバンプが位置し、前記バンプの外表面と前記貫通孔の内面との間には少なくとも一部に隙間があり、且つ、前記バンプは前記半導体基板の前記貫通孔からはみ出す部分を有していることを特徴とする赤外線センサ。
  3. 前記貫通孔の内面に前記バンプが接触し、この接触位置よりも前記コンタクト電極とは反対側の前記バンプの外表面と前記貫通孔の内面との間には隙間があることを特徴とする請求項2に記載の赤外線センサ。
  4. 前記貫通孔の開口径に対する孔深さのアスペクト比(孔深さ/開口径)は1以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の赤外線センサ。
  5. 前記赤外線検出部は、前記半導体基板に形成されたメンブレン構造上に形成されている、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の赤外線センサ。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の赤外線センサの製造方法において、
    前記半導体基板と、前記赤外線透過基板との間に、空間を与えられるよう接着層を前記半導体基板又は前記赤外線透過基板の少なくとも一方に部分的に形成した後、この接着層を介して前記半導体基板に前記赤外線透過基板を貼り合わせる工程と、
    前記赤外線透過基板の貼り合わせ工程の後に、前記半導体基板の前記赤外線透過基板とは反対側の面を機械的及び化学的に研磨することで前記半導体基板を薄板化する工程と、
    前記赤外線透過基板の貼り合わせ工程の後に、前記半導体基板の前記赤外線透過基板とは反対側から、前記半導体基板に貫通孔を形成する工程と、
    を備えることを特徴とする赤外線センサの製造方法。
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