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JP5558071B2 - 架構の補強構造 - Google Patents

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Description

本発明は柱と梁との接合部を剛接合とした架構の補強構造に関するものである。
従来から、鉄骨造の建物において柱と梁の接合部をピン接合としにこの接合部の近傍に方杖材を付加して地震等の水平力に抵抗するように構成することが行われてきた。
例えば特許文献1には、天井裏空間内において、建物の柱と梁の接合部の近傍にて、柱の中途部と梁の中途部とを方杖材により連結し、柱と梁との接合部並びに方杖材によって接合された部分とからなる柱梁接合部周りの全体を剛接合とした構成が開示されている。
かかる構成によれば、柱と梁との接合部を比較的簡易なピン接合とすることができるので、施工性の向上を図ることができるものとなっている。
特開2001−329611号公報
しかしながら、上記特許文献1の構成においては、梁と方杖材のなす角(劣角)を45度以下とし、梁に対し寝かせた姿勢で方杖材が設けられているため、当該方杖材は、梁連結側の端部を柱に対し相対的に梁のスパン中央方向に突出させるものとなっている。ところで、当該方杖材を設ける位置には、方杖材が存在するがゆえに梁の直下まで窓や扉等を設けることは意匠設計上通常は避けられる。
このため、上述の如く柱から比較的離間した位置まで方杖材が存在する上記特許文献1の構成では、窓や扉等の建具を柱に近づけた状態で設けることが難しく、これによって、当該方杖材を設ける柱梁周りの設計の自由度が著しく低下してしまうという問題がある。
そこで、本発明は、上記従来技術の問題を解決し、柱梁周りの設計自由度を可及的確保した状態で当該柱梁の接合部に方杖材を設けることができる架構の補強構造を提供することを目的とするものである。
上記課題解決のための具体的手段として、本願発明は、
(1)梁と柱とを接合して形成される柱梁接合部の近傍に、前記梁と柱とに亘って方杖材を架設して補強された架構の補強構造であって、
前記柱は角形鋼管からなり、前記梁との接合部の全てに対応して前記方杖材との接合用のボルト孔が予め設けられており、
前記方杖材は、前記ボルト孔を利用してボルト接合されており、
前記梁と前記方杖材のなす角度(劣角)を45度より大きくして前記方杖材を前記梁に対して立ち上げた状態で設けたことを特徴としている。
これによれば、柱に対する方杖材の梁スパン方向への突出量を可及的抑制することができ、これによって柱の近傍まで窓や建具を設けることができるものとなる。また、梁の下方に天井板を設ける場合には、当該梁と天井板との間に天井裏空間が形成されることとなるが、当該天井裏空間にて方杖材及び方杖材と柱との間の懐部の占有領域は可及的低減され、これによって、天井裏空間での設備配管の配管計画の自由度を向上させることもできる。
(2)また、前記梁と柱とが剛接合又は半剛接合で接合されることで前記柱梁接合部が形成されていることが好ましい。
これによれば、柱と梁とを剛接合又は半剛接合により接合して柱梁接合部を形成するため、同等の柱・梁をピン接合とした柱梁接合部に方杖材を設置した構造より、地震力や風などの水平力に対する建物の剛性が高く、地震や暴風時の層間変形を抑えることができる。また、かかる剛接合又は半剛接合により形成される柱梁接合部に上述の如く方杖材を立ち上げた状態で取り付けることで梁に対する補剛効果を高めた上に梁と柱の接合強度も向上することとなり、その結果、当該梁の強度の向上が図られるものとなる。
(3)また、前記方杖材は、前記柱、梁及び柱梁接合部に作用する荷重によるエネルギーを吸収するダンパーであることが好ましい。
これによれば、方杖材がエネルギーを吸収するダンパーとして機能することとなり、揺れの初期段階から効率よくエネルギーを吸収するので、建物の最大変形を抑え、損傷を小さくできる。
(4)また、前記方杖材を形成するダンパーは、低降伏点鋼を用いて形成されていることが好ましい。
これによれば、方杖材が低降伏点鋼からなるダンパーであるため、ゴムや樹脂等の粘弾性体と異なり、温度により性能が変化することなく、時間的安定性および耐久性も極めて高い。したがって、温度変化や時間経過(経年劣化)によらず、ラーメン構造の耐震性を安定的に発揮させることができる。
本発明によれば、柱梁周りの設計自由度を可及的確保した状態で当該柱梁の接合部に方杖材を設けることができる
ラーメン構造体の平面的グリッド構成を示す図である。 ラーメン構造体の全体構成を示す斜視図である。 ラーメン構造体を構成する柱と大梁の接合状態を示す図である。 ラーメン構造体を構成する柱と大梁の接合状態を示す図である。 ダンパーの構成を示す図である。 ダンパーを付加した状態の柱と大梁の接合部を示す図である。 (a)は方杖材と取り付けた架構のモデル図、(b)は当該方杖材の取付け角度による架構の剛性比の変化を示す図である。
次に、本発明の最も好ましい実施形態について図を参照して具体的に説明する。本実施形態は、鉄骨造3階建ての架構を有する工業化住宅における補強構造の例であり、図1は架構の平面的グリッド構成を示す図、図2は架構の全体構成を示す斜視図、図3、図4は架構を構成する柱と大梁の接合状態を示す図、図5はダンパーの構成を示す図、図6はダンパーを付加した状態の柱と大梁の接合部を示す図である。図7は本発明に係る柱梁接合部周りにおける方杖材の取り付け角度と当該方杖材を備える架構の剛性比との関係を示す図である。
図1、2に示すように、住宅Aは、妻方向が2スパンで合計6つの平面グリッドからなる3層の架構からなる。図2に示すように、住宅Aの架構は、1層から3層まで連続した通し柱形式の複数の柱1と、各階層において隣接する柱1どうしを連結する複数の大梁2(梁)と、大梁2の直下に格子状に形成された鉄筋コンクリート造の基礎3とで構成されている。なお、柱脚部は特開平01−203522号公報に開示された露出型固定柱脚工法にて基礎に接合されている。
この架構を構築したのち、相対する大梁2の間に小梁を適宜架け渡した上でALC(軽量気泡コンクリート)からなる床パネルを梁の上フランジに載置して床が構成され、外周部の大梁2にALCからなる壁パネルを取り付けることによって外壁が構成されて住宅Aの躯体が完成する。
図3、図4に示すように、柱1は、外形寸法が150mm角の角形鋼管からなる通し柱となっており、柱脚プレート1aの接合部から中途部分に形成された柱・柱接合部1bまでの部分である下部柱1cは、22mmの肉厚を有する横断面内に溶接による継目が存在しない角型鋼管であり、長さ方向についても、柱部材を長さ方向に連結する節を有することなく構成されている。下部柱1cの上端部に連結されて上部の柱を構成する上部柱1dは、外形寸法が下部柱1cと同一の150mm角ではあるが、下部柱1cよりも薄い4.5mm〜6.0mmの肉厚を有する角形鋼管で構成されている。
柱1は、各階層の標準的な階高(大梁上端面間の離間寸法)が2870mmとなるように大梁2の接合高さ位置が設定されており、当該高さ位置にて、柱1の各面には大梁2のエンドプレート2dの孔2eに対応する孔1fが複数個連続して穿たれており、これによって各階の大梁2を受ける梁受け部1eが形成されている。なお、各孔1fの内壁には、ネジが切られている。
梁受け部1eは、大梁2の孔2eと同様に、上部2段と最下段の計6個の孔1fが、大梁2と接合するボルト4を螺入する孔であり、下から2段目の孔2個は位置合わせ用の孔である。柱・柱接合部1bは、特開平6−180026号公報、特開平8−60740号公報等に記載された公知の接合部構造によって3階の大梁2との梁受け部1eの上方に形成されている。
柱1の各面において、2階の大梁2を受ける梁受け部1eから下方向及び上方向に所定寸法離間した位置と、3階の大梁2を受ける梁受け部1eの下方向に所定方向離隔した位置には、後述するダンパー(方杖材)5をボルト接合する為の複数のボルト孔が穿たれてダンパー5を受けるダンパー受け部1gが形成されている。下部柱1cはシームレスパイプで構成されているのでダンパー受け部1gはボルト孔を穿設するだけで容易に形成することができ接合の高さを自由に設定することができる。なお、各ボルト孔の内壁には、ネジが切られている。
このように、柱1のうち下部柱1bを横断面内に溶接による継目が存在しないシームレスパイプで構成したので、ダンパー5を受ける受け部として柱の所定位置にジョイントボックス等を溶接する必要がなく、溶接欠陥によって性能が低下する可能性がない。従って、耐震性能に対する柱1の信頼性を高めることができる。また、シームレスパイプで構成された範囲内においては、柱1の側面の任意の位置にボルト孔を設けるだけでダンパー5を接合することができるので、ダンパー5の接合高さの設定を、住宅Aに求められる構造耐力や有効な室内空間の広さ等に応じて容易に変更できる。
図3に示すごとく、大梁2は、一対のフランジ2a、2bをウェブ2cによって連結して形成されるH形鋼からなり、全ての階層における全ての大梁2は、梁成が250mm、上下のフランジ2a、2bの幅が125mm、厚みが9mm、ウェブ2cの厚みが6mmに統一されている。
大梁2の各端部には、柱1に接合されるエンドプレート2dが溶接により取り付けられている。該エンドプレート2dは、所定の厚さを有する平板状に形成されており、該エンドプレートには、横方向に中心から左右対称に2列、縦方向に等間隔に4段、同一径の孔2eが計8箇所穿たれている。孔2eのうち上部2段と最下段の計6個の孔が柱1との接合に使用するボルト4を挿通する為の孔である。
なお、下から2段目の孔2個は柱1に大梁2を取り付ける接合作業の際、「シノ」と称する挿嵌部材を挿し込んで位置合わせを行う為の孔であり、これら柱1と大梁2との接合には使用しない。このように柱1の梁受け部1eに大梁2のエンドプレート2dが重ね合わされ、これらを上述の如くボルト締結することにより、柱梁接合部Bが形成される。
当該柱梁接合部Bは、大梁2端部のエンドプレート2dを柱1に高力ボルト4により締結する剛接合であり、また、荷重作用時に被接合材である大梁2及び柱1が塑性域に達するまで破断しない保有耐力接合として構成されている。
詳述すると、柱と梁との接合部を剛接合とする場合、梁は地震発生時に躯体に作用する地震エネルギーを塑性変形により吸収する構造要素となることが期待されている。大きな地震動を受けている間に亘って梁の塑性化によるエネルギー吸収機構を保持するためには、当該梁を保持する柱との接合部である梁両端の柱梁接合部が破断してはならない。このように、梁の塑性変形能を充分に発揮させるべく、梁の塑性変形よりも先に柱梁接合部を破断させない接合状態を保有耐力接合という。
ここで、柱梁接合部を保有耐力接合とするためには、柱と梁との接合方法はもちろん、梁や柱の鋼材の材質や強度など多くの点が設計と関係するが、柱梁接合部の耐力に関しては、当該柱梁接合部の最大曲げ耐力が、梁の梁端部に作用する最大曲げモーメントを上回ることがもっとも主要な条件となる。
そこで、梁の終局耐力をその全塑性モーメントで評価すると、柱梁接合部の必要曲げ耐力は以下の式で規定される。
また、大梁2の上下フランジ2a、2bには、各種部材をボルト固定する為の孔群2a1、2b1が柱1に接合した状態でモジュールに基づく基準線を中心にして穿たれている。この構成は寸法も含め全ての階層の全ての大梁2に共通している。
図5に示すダンパー5は、低降伏点鋼からなる芯部材5aと、該芯部材5aに圧縮力を作用させた際の座屈を防止する為の座屈防止部材5bとからなる。
芯部材5aは、矩形断面を有する扁平で長尺な棒板状の本体5a1と、該本体5a1の一端に溶接され大梁2のフランジ2bに接合される平板状の第1座部5a2と、該本体5a1の他端に溶接されて柱1のダンパー受け部1gに接合される平板状の第2座部5a3とを備えている。
座屈防止部材5bは、一般構造用圧延鋼材からなる一対の平板5b1の間に一対の側板5b2を挟みこんで断面ロ字状とし、これらをボルト5b3により締結して構成され、当該座屈防止部材5bの中央の空隙部分に芯部材5aの本体5a1が配されている。座屈防止部材5bの一対の平板5b1の間隔は芯部材5aの厚さよりも僅かに大きいものとされると共に、一対の側板5b2の間隔は芯部材5aの幅よりも僅かに大きく形成されている。
これにより、座屈防止部材5bによって芯部材5aは弱軸まわりの面外曲げが規制され、芯部材5aの座屈が規制されることとなっている。この結果、ダンパー5は引張力とともに圧縮力をも負担することができ、正負いずれの水平力に対しても抵抗することができるものとなっている。
図6に示すように、ダンパー5は方杖型であり、第1座部5a2が大梁2の下フランジ2bの孔群2b1周りにボルトにより締結され、第2座部5a3が柱1のダンパー受け部1gにボルトにより締結されており、これによってダンパー5は、大梁2と柱1に亘って架設されている。大梁2に対しては、該大梁2の下フランジ2bにモジュールに基づいて設けられた複数の孔群のうち、柱1の配置の基準となる基準線(通り芯)から305mm(モジュールの1倍)の位置にある孔群2b1を利用してボルト接合されている。本実施例においてダンパー5は、図6に示すごとく柱1と大梁2に接合した状態でダンパー5の中心線Y1と大梁2の長手方向の中心線X1とのなす角(劣角)θが少なくとも45度以上とされており、ダンパー5の部材の厚さ等も考慮すると、当該劣角は45度〜80度の範囲が好ましく、より詳しくは65度〜75度の範囲がさらに好ましい。本実施形態においては、当該なす角度θは70度に設定されている。
また、上述の如くダンパー5の取り付け角度の設定については、当該建物の柱や梁の通り芯からモジュールの整数倍の位置にダンパー受け部1gや上記孔群2b1を設けることで適宜変更することができる。例えば、大梁2との接合位置を固定してダンパー5とのダンパー受け部1gを大梁2との接合部から離隔させていくと大梁2の長手方向とのなす角度が直角に近づいていき、大梁2の補剛効果を高めることが可能となっている。
また、1本の柱1に対してダンパー5が取付け可能な位置(レベル)は、2階の大梁2のレベルにあっては大梁2の上下フランジ2a、2bであり、3階の大梁2のレベルでは下フランジ2bであり、夫々のレベルで4面(X、Y夫々の方向について2ヶずつ)取り付けることが可能である。
このように、柱梁接合部Bの近傍にダンパー5を設けることにより、本実施形態の架構Cが構成される。
また、図6に示す如く、当該大梁2には、図示しない支持部材を介して天井板6が懸下されている。
当該天井板の高さ位置は、大梁2からみてダンパー5の柱1との連結位置よりも近く、これによって、ダンパー5は、上部が天井板6と大梁2との間に形成される天井裏空間7に位置し、残りの下部が天井板6下方の居室8に露出することとなる。
上記構成によれば、想定される大地震の発生においては、架構に作用する水平力をダンパー5が負担し、ダンパー5が塑性変形域に達して変形することでエネルギーを吸収し、これによって地震に耐えるものとなっている。
そして、ごくまれに発生する巨大地震により想定を超える水平力が作用した場合、柱梁接合部Bに先行して、先ず、上記と同様にダンパー5が塑性変形域に達し、その後、更に大きな水平力が作用することでダンパー5が破断等して耐力要素として機能しなくなったとしても、柱梁接合部Bは、被接合材である柱1及び大梁2の全塑性耐力を上回る保有耐力接合により形成されているので、柱1や大梁2の塑性化に伴うエネルギー吸収過程においてこれら柱1や大梁2に先行して壊れてしまうことはなく、当該柱1や大梁2の塑性化によるエネルギー吸収能を発揮させることができる。のみならず、柱梁接合部Bの破壊を防止することで架構全体の倒壊が回避されることとなるのである。
このように、本実施形態により、地震の規模や特性の不確実性に対して、冗長性の高い架構Cが形成されるものとなる。
また、本実施形態においては、柱梁接合部Bを形成する大梁2のエンドプレート2dに最も近い位置の孔群2b1にダンパーが取り付けられ、且つ、当該ダンパー5が大梁2に対して相対的に起立させた状態で取り付けられているので、柱梁接合部Bから大梁2のスパン中央方向に向けてのダンパー5の突出量が著しく小さいものとなる一方、大梁2においては、柱梁接合部Bからみて上記孔群2b1以遠としてダンパー5との連結部を不存在とするスパン中央領域2c1を相対的に梁柱接合部Bに近接させるものとなる。
これにより、上階と下階の大梁2間をダンパー5などの構造部材を不存在として、窓や扉等の建具を設置可能な領域を柱梁接合部Bに近接した位置まで設定可能となり、この結果、大梁2と柱1に亘ってダンパー5を設ける柱梁接合部Bであるにも拘わらず、当該柱梁接合部Bまわりの設計の自由度は保たれるものとなるのである。
また、天井裏空間7においても、ダンパー5の設置のための空間が相対的に柱梁接合部Bから孔群2b1辺りまでを設定すればよく、これによって天井裏空間7の残余の空間を配管等の設置空間に設定可能となって、配管設計の自由度も向上するものとなる。
また、構造的に見ても、ダンパー5と大梁2の間のなす角θを70度とし、大梁2に対してダンパー5を相対的に起立させた状態で取り付けられているので、ダンパー5による大梁2の補剛効果が著しく高められ、この結果、架構C全体の補剛性が向上するものとなるのである。
かかる点につき、図7には、上記実施例のダンパーに相当する方杖材5’の取付け角度と当該方杖材5’を備える架構Cの剛性比との関係が示されている。
当該図7(a)のモデルを用いて解析を行っており、当該モデルにおいては、階高2.9m、スパン5.5mmの1層1スパンの架構であって、且つ、柱1として角形鋼管柱□150―9mmを採用すると共に大梁2としてH250−125−6−9のH型鋼を採用し、さらに、幅80mm厚さ10mmの矩形断面とした方杖材を設置した構成が実施例として仮定されている。
なお、柱と大梁とは剛接合であって、方杖材と梁柱とはピン接合を仮定している。
また、上記大梁2と柱1による架構であって方杖材を設けない構成を比較例とし、当該比較例に対する実施例の剛性比が導出されている。
当該モデルを用いた結果が図7(b)に示されており、当該図7(b)においては、横軸が方杖材5’と梁のなす角度(劣角)αであって、縦軸が実施例の剛性比とされており、当該角度αを変化させることによって剛性比がどのように変化するかがグラフにより示されている。
なお、方杖材5’と大梁2との連結位置を固定し、方杖材5’と柱1との連結位置を移動させることで角度を変化させているので、方杖材5’の長さが角度に比例して長くなるものとなっている。
当該図7に示される通り、大梁2と方杖材5’の間のなす角度αが45度以下は、略角度と比例して剛性が上昇するが、45度を超えると、補剛効果が非線形に急増しており、当該なす角度を45度より大きく設定することにより、方杖材5’はより効果的に架構Cを補剛するものとなるといえる。
もちろん、本実施形態においては、ダンパー5を不存在とする一般的な架構に比べて大梁2に作用する最大の曲げモーメントを小さくすることができ、しかもそれを大梁2の柱1との連結部分ではなく母材部分に作用させることができるので構造耐力上有利となる。例えばスパンが4270mmの場合、大梁2に作用する曲げモーメントはダンパー5接合部で最大となりその値はダンパー5を設置しない状態での2階の大梁2の端部に作用する曲げモーメントの凡そ89%となる。
また、ダンパー5は、低降伏点鋼を用いて形成されているため、ゴムや樹脂等の粘弾性体によりかかるダンパー5を形成する場合と異なり、温度や経年により性能が変化することなく、時間的安定性および耐久性も極めて高い。したがって、温度変化や時間経過(経年劣化)によらず、建物全体の構造躯体としての耐震性を安定的に発揮させることができる。
なお、必要に応じて3階の大梁2のレベルにおいて上フランジ2aに取り付け可能にしてもよいし、R階の大梁2のレベルにおいて下フランジ2bに取り付け可能としてもよい。この場合、柱1の全てを長さ方向に継ぎ目のない1本のシームレスパイプで構成するのが好ましい。
また、純鉄骨造以外に鋼管柱にセメントミルクを充填したCFT造や鉄骨鉄筋コンクリート造にも適用可能である。また、本発明の構成は、柱と梁の接合部を半剛接合する構成においても、採用可能である。
A…住宅
B…柱梁接合部
C…架構
1…柱
1a…柱脚プレート
1b…柱・柱接合部
1c…下部柱
1d…上部柱
1e…大梁との接合部
1f…孔
1g…ダンパー受け部
2…大梁(梁)
2a…上フランジ
2a1…孔群
2b…下フランジ
2b1…孔群
2c…ウェブ
2d…エンドプレート
2e…孔
3…基礎
4…ボルト
5…ダンパー(方杖材)
5a…芯部材
5a1…本体
5a2…第1座部
5a3…第2座部
5b…座屈防止部材
5b1…平板
5b2…側板
5b3…ボルト
6…天井板
7…天井裏空間
8…居室

Claims (4)

  1. 梁と柱とを接合して形成される柱梁接合部の近傍に、前記梁と柱とに亘って方杖材を架設して補強された架構の補強構造であって、
    前記柱は角形鋼管からなり、前記梁との接合部の全てに対応して前記方杖材との接合用のボルト孔が予め設けられており、
    前記方杖材は、前記ボルト孔を利用してボルト接合されており、
    前記梁と前記方杖材のなす角度を45度より大きくして前記方杖材を前記梁に対して立ち上げた状態で設けたことを特徴とする架構の補強構造。
  2. 前記梁と柱とが剛接合又は半剛接合で接合されることで前記柱梁接合部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の架構の補強構造。
  3. 前記方杖材は、前記柱、梁及び柱梁接合部に作用する荷重によるエネルギーを吸収するダンパーである
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の架構の補強構造。
  4. 前記方杖材を形成するダンパーは、低降伏点鋼を用いて形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の架構の補強構造。

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