以下、本発明を具体化した実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、参照する図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものであり、記載されている装置の構成などは、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
第一の実施形態に係るテープ印字装置1およびテープカセット30について、図面を参照して以下に後述する。本実施形態の説明では、図1の左下側をテープ印字装置1の前側とし、図1の右上側をテープ印字装置1の後側とし、図1の右下側をテープ印字装置1の右側とし、図1の左上側をテープ印字装置1の左側とする。また、図5の右下側をテープカセット30の前側とし、図5の左上側をテープカセット30の後側とし、図5の右上側をテープカセット30の右側とし、図5の左下側をテープカセット30の左側とする。
なお、以下の説明で使用される図3及び図4において、カセット装着部8の周囲を形成する壁が図示されている場合、これらの図はあくまでも模式図であるため、図中に示す壁は、実際よりも厚く描かれている。また、図3及び図4において、カセット装着部8に装着された状態で図示されているテープカセット30は、上ケース31aが取り外された状態のものである。
はじめに、第一の実施形態に係るテープ印字装置1の概略構成について説明する。テープ印字装置1は、1台で感熱タイプ、レセプタタイプ、ラミネートタイプ、感熱ラミネートタイプ等、各種のテープカセットに対応させることが可能な汎用のテープ印字装置である。第一の実施形態では、印字面にラミネートが施されたラミネートテープを作成する例を例示する。
図1及び図2に示すように、テープ印字装置1は、平面視長方形状の本体カバー2を備えている。本体カバー2の前側には、文字、記号、及び数字等の文字キーや、種々の機能キー等を含むキーボード3が配設されている。キーボード3の後側には、入力した文字や記号を表示可能なディスプレイ5が設けられている。ディスプレイ5の後側には、テープカセット30(図5参照)の交換時に開閉されるカセットカバー6が設けられている。また、本体カバー2の左側面後方には、印字済みのテープを外部に排出するための排出スリット9が設けられており、カセットカバー6の左側面には、カセットカバー6を閉じた状態で排出スリット9を外部に露出させる排出窓11が形成されている。カセットカバー6の前面略中央には、その下面から下方に突出する鉤状の係止ロック4が設けられている。本体カバー2には、係止ロック4に対応する位置にロック孔7が設けられており、カセットカバー6が閉じられると係止ロック4がロック孔7に嵌め込まれて係止されることで、カセットカバー6の自然開放が防止される。
次に、図2乃至図4を参照して、カセットカバー6に対応する本体カバー2の内部構造について説明する。図2に示すように、カセットカバー6に対応する本体カバー2の内部には、テープカセット30(図5参照)が着脱自在な領域であるカセット装着部8が設けられている。カセット装着部8は、テープカセット30が装着された場合に後述するカセットケース31の底面30bの形状と略対応するように凹設されている。
カセット装着部8には、テープカセット30からテープを引き出して搬送する搬送機構や、テープの表面に文字等を印字する印字機構等が設けられている。図2乃至図4に示すように、カセット装着部8には、リボンスプール42から引き出されて文字等の印刷に使用された後のインクリボン60を巻取るためのリボン巻取軸95が立設されている。リボン巻取軸95の左前方には、正面視で略矩形状のヘッドホルダ74が立設されている。ヘッドホルダ74の左方には、印字済テープ50を送り駆動するためのテープ駆動軸100が立設されている。
図3および図4に示すように、ヘッドホルダ74の前面には、フィルムテープ59に文字等を印字するサーマルヘッド10が取り付けられている。また、ヘッドホルダ74の前側には、アーム状のプラテンホルダ12が軸支部12aを中心に揺動可能に軸支されている。プラテンホルダ12の先端側には、サーマルヘッド10に相対して接離可能に設けられたプラテンローラ15と、テープ駆動軸100が嵌挿されるテープ駆動ローラ46に相対して接離可能に設けられた可動搬送ローラ14とが共に回転可能に軸支されている。
プラテンホルダ12には、カセットカバー6の開閉に連動して左右方向に移動する図示しないリリースレバーが連結されている。カセットカバー6が開放されると、リリースレバーが右方向に移動して、プラテンホルダ12が図3に示す待機位置に向けて移動する。図3に示す待機位置では、プラテンホルダ12がカセット装着部8から離間する方向に移動するので、テープカセット30をカセット装着部8に着脱することができる。なお、プラテンホルダ12は、図示しない巻きバネにより常に待機位置に弾性付勢されている。
一方、カセットカバー6が閉鎖されると、リリースレバーが左方向に移動して、プラテンホルダ12が図4に示す印字位置に向けて移動する。図4に示す印字位置では、プラテンホルダ12がカセット装着部8に近接する方向に移動する。そして、カセット装着部8にテープカセット30が装着されていれば、プラテンローラ15がフィルムテープ59とインクリボン60とを介してサーマルヘッド10を押圧するとともに、可動搬送ローラ14が両面粘着テープ58とフィルムテープ59とを介してテープ駆動ローラ46を押圧する。これによって、図4に示す印字位置では、カセット装着部8に装着されたテープカセット30を使用して印字を行うことが可能となる。なお、両面粘着テープ58、フィルムテープ59およびインクリボン60の詳細は、後述する。
また、図3及び図4に示すように、テープカセット30のテープ排出口49からテープ印字装置1の排出スリット9(図2参照)までの間には、印字済テープ50が搬送される搬送経路が設けられている。この搬送経路には、印字済テープ50を所定位置で切断するカット機構17が設けられている。カット機構17は、固定刃18と、固定刃18に対向して前後方向(図3に示す上下方向)に移動可能に支持された移動刃19とで構成されている。なお、移動刃19は、カッターモータ(図示せず)によって前後方向に移動される。
次に、図3乃至図5を参照して、本実施形態に係るテープカセット30の構造について説明する。本実施形態のテープカセット30は、感熱タイプ、レセプタタイプ、ラミネートタイプ、感熱ラミネートタイプ等、各種のテープカセットとして利用可能な汎用のテープカセットをラミネートタイプ用のテープカセットとして使用している例である。
図5に示すように、テープカセット30は、全体としては平面視で丸みを帯びた角部を有する略直方体状(箱型)の筐体であるカセットケース31を有している。カセットケース31は、カセットケース31の底面30bを含む下ケース31bと、カセットケース31の上面30aを含み、下ケース31bの上部に固定される上ケース31aとで構成される。以下では、底面30bから上面30aまでの距離を、テープカセット30またはカセットケース31の高さ寸法という。
カセットケース31は、テープカセット30のテープ種類(例えば、テープ幅や印字態様など)にかかわらず、同一の幅(上下方向の長さが同一)に形成された角部32aを有する。角部32aは、平面視で直角をなすように外側方向に突出している。ただし、平面視で左下の角部32aでは、テープ排出口49が角に設けられているために、直角はなしていない。
図5に示すように、上ケース31aおよび下ケース31bには、それぞれ後述のスプール類を回転可能に支持する支持孔65、66、67が設けられている。なお、図5には、上ケース31aに形成された各支持孔65、66、67のみしか図示されていないが、下ケース31bについても同様に、上ケース31aの各支持孔65、66、67に対応する各支持孔65、66、67が形成されている。
また、支持孔67の右方には、平面視で縦長長方形状の一対の孔であるカセット矩形孔68が設けられている。一対のカセット矩形孔68は、所定の間隔で左右に並んで配置されている。一対のカセット矩形孔68の互いに向き合う壁面には、開口(図示せず)が設けられている。また、一対のカセット矩形孔68の右側のカセット矩形孔68の右側の壁面には、後述するフック係合部78e(図15参照)が設けられている。なお、図5には、上ケース31aに形成されたカセット矩形孔68のみしか図示されていないが、下ケース31bについても同様に、上ケース31aのカセット矩形孔68に対応するカセット矩形孔68が設けられている。
図3および図4に示すように、カセットケース31内には、第一テープスプール40に巻回された両面粘着テープ58、第二テープスプール41に巻回された透明なフィルムテープ59、および、リボンスプール42に巻回されたインクリボン60の3種類のテープロールが収納されている。両面粘着テープ58は一面に剥離紙が貼着された両面テープであり、印字済みのフィルムテープ59の印字面側に貼り合わされる。
両面粘着テープ58の剥離紙を外側に向けて巻回した第一テープスプール40は、カセットケース31内の左側後部において、前述の支持孔65を介して回転可能に配置されている。フィルムテープ59が巻回された第二テープスプール41は、カセットケース31内の右側後部において、前述の支持孔66を介して回転可能に配置されている。リボンスプール42に巻回されたインクリボン60は、カセットケース31内の右側前部において回転可能に配置されている。
カセットケース31内における第一テープスプール40とリボンスプール42との間には、リボンスプール42からインクリボン60を引き出すとともに、文字等の印字にて使用されたインクリボン60を巻き取るリボン巻取スプール44が、前述の支持孔67を介して回転可能に配置されている。なお、リボン巻取スプール44の下部には、リボン巻取スプール44が逆転することで巻き取ったインクリボン60が緩んでしまうのを防止するためのクラッチバネ(図示せず)が取り付けられている。
また、巻回された両面粘着テープ58の周囲には、両面粘着テープ58を平面視で円形に取り囲むように、3箇所の両面テープ周囲壁21a〜21cが立設されている。3箇所の両面テープ周囲壁21a〜21cのうち、両面テープ周囲壁21aは、両面粘着テープ58の右後側に円弧状に設けられている。より詳細には、両面粘着テープ58の後側よりやや右方から、両面粘着テープ58の右側よりやや後方にかけて円弧状に設けられている。また、両面テープ周囲壁21bは、両面粘着テープ58の左後側に円弧状に設けられている。より詳細には、両面粘着テープ58の後側よりやや左方から、両面粘着テープ58の左側よりやや後方にかけて円弧状に設けられている。また、両面テープ周囲壁21cは、両面粘着テープ58の右前側に円弧状に設けられている。より詳細には、両面粘着テープ58の前側から、両面粘着テープ58の右前側にかけて円弧状に設けられている。これらの両面テープ周囲壁21a〜21cによって平面視で円形に規定される両面粘着テープ58の配置領域を、第一収納領域23という。
また、巻回されたフィルムテープ59の周囲には、フィルムテープ59を平面視で円形に取り囲むように、2箇所のフィルムテープ周囲壁22a、22bが立設されている。2箇所のフィルムテープ周囲壁22a、22bのうち、フィルムテープ周囲壁22aはフィルムテープ59の前側から、フィルムテープ59の左側のやや下方にかけて、円弧状に設けられている。また、フィルムテープ周囲壁22bは、フィルムテープ59の左側から、後側を経由して、右前側にかけて、円弧状に設けられている。これらのフィルムテープ周囲壁22a、22bによって平面視で円形に規定されるフィルムテープ59の配置領域を第二収納領域24という。
また、使用前の巻回されたインクリボン60が配置される平面視で円形の配置領域を、第三収納領域25という。また、使用後のインクリボン60が巻回されるリボン巻取スプール44が配置される平面視で円形の配置領域を第四収納領域26という。
また、下ケース31bにおける各収納領域23〜26の周囲には、複数の円筒部材86a〜86hが設けられている。また、上ケース31aにおける下ケース31bの円筒部材86a〜86hに対応した位置には、圧入ピン87a〜87hが設けられている(図11および図16参照)。円筒部材86a〜86hに設けられた円筒孔部861に、圧入ピン87a〜87hがそれぞれ挿入されることで、上ケース31aと下ケース31bとを係合する部分である圧入係合部88a〜88hが構成される。
また、下ケース31bには、複数の係合孔79a〜79fが設けられている。また、上ケース31aにおける下ケース31bの係合孔79a〜79fに対応した位置には、係合アーム80a〜80fが設けられている(図7および図16参照)。係合孔79a〜79fに、係合アーム80a〜80fがそれぞれ係合することで、上ケース31aと下ケース31bとを係合する部分であるフック係合部78a〜78fが構成される。
圧入係合部88a〜88h及びフック係合部78a〜78fの構成及び配置の詳細は後述する。なお、以下では、圧入係合部88a〜88hを総称する場合、または何れかを特定しない場合には、単に圧入係合部88という。また、円筒部材86a〜86hを総称する場合、または何れかを特定しない場合には、単に円筒部材86という。また、圧入ピン87a〜87hを総称する場合、または何れかを特定しない場合には、単に圧入ピン87という。また、フック係合部78a〜78fを総称する場合、または何れかを特定しない場合には、単にフック係合部78という。また、係合孔79a〜79fを総称する場合、または何れかを特定しない場合には、単に係合孔79という。また、係合アーム80a〜80fを総称する場合、または何れかを特定しない場合には、単に係合アーム80という。
また、図5に示すように、カセットケース31の前面には、平面視で略半円状をなす溝部である半円溝38が、カセットケース31の高さ方向(つまり、上面30aから底面30b)に亘って設けられている。半円溝38を構成する部分のうち、上ケース31aに形成された溝部を上半円溝38a、下ケース31bに形成された溝部を下半円溝38bという。半円溝38は上半円溝38aと下半円溝38bとから構成されている。半円溝38は、テープカセット30がカセット装着部8に装着されたときに、プラテンホルダ12の軸支部12a(図3参照)がカセットケース31と干渉しないように設けられた逃がし部である。
図5に示すように、カセットケース31の前面のうち、半円溝38から左に延びる部分を、アーム前面35という。アーム前面35と、アーム前面35から後方へ離間した位置に高さ方向に亘って設けられたアーム背面37とで規定される、テープカセット30右側から左方に延びる部位をアーム部34という。
なお、以下の説明では、アーム前面35及び半円溝38を含むテープカセット30の前面を形成する壁を、前面壁271という。また、テープカセット30の背面を形成する壁を背面壁272という。また、テープカセット30の右面を形成する壁を右面壁273という。また、テープカセット30の左面を形成する壁を左面壁274という。また、前面壁271と背面壁272と右面壁273と左面壁274とで構成される、テープカセット30の外周を外周壁27という。
図3及び図4に示すように、アーム部34内には、第二テープスプール41から引き出されたフィルムテープ59と、リボンスプール42から引き出されたインクリボン60とが共に案内されている。アーム前面35の先端部は後方へ向かって屈曲しており、アーム前面35とアーム背面37の先端により、排出口34aが形成されている。排出口34aで重合された状態となったフィルムテープ59とインクリボン60とは、後述する露出部77に向けて排出される。
アーム背面37と、アーム背面37から連続して設けられた周壁面とによって囲まれた、テープカセット30を上下方向に貫通する平面視略長方形状の空間は、ヘッド挿入部39である。以下、このアーム背面37から連続して設けられた周壁面を構成する壁を、ヘッド挿入部壁33という。ヘッド挿入部39は、テープカセット30の前面に設けられた開口である露出部77によってテープカセット30の前面で外部とつながっている。ヘッド挿入部39には、テープ印字装置1のサーマルヘッド10を支持するヘッドホルダ74が挿入される。露出部77では、アーム部34の排出口34aから排出されたフィルムテープ59の一面が前方に露出され、且つその他面が後方のサーマルヘッド10に対向する。本実施形態では、フィルムテープ59の他面がインクリボン60を挟んでサーマルヘッド10に対向している。そして、露出部77では、サーマルヘッド10によるフィルムテープ59への印字が、インクリボン60を使用して行われる。
図3および図4に示すように、アーム部34の排出口34aからテープ排出口49までのフィルムテープ59およびインクリボン60の搬送方向において、ヘッド挿入部39の下流側にはテープ駆動ローラ46が回転可能に軸支されている。テープ駆動ローラ46は、その内部に挿嵌されるテープ駆動軸100によって回転駆動される。そして、テープ駆動ローラ46と、テープ駆動ローラ46に対向するプラテンホルダ12の可動搬送ローラ14とが協働して、第二テープスプール41からフィルムテープ59を引き出すとともに、第一テープスプール40から両面粘着テープ58を引き出し、フィルムテープ59の印字面にガイドして接着させる。
図3乃至図5に示すように、テープ駆動ローラ46の上流側には、上下一対の規制部材36が設けられている。規制部材36の基部は、サーマルヘッド10の下流側にて、印字後のフィルムテープ59を上下方向(テープ幅方向)に規制してテープ排出口49に向かって案内するとともに、フィルムテープ59と両面粘着テープ58との間に位置ズレを生じることなく適正に接着させる。規制部材36の近傍には、ヘッド挿入部39を経由して搬送された使用済みのインクリボン60をフィルムテープ59から離間させ、リボン巻取スプール44に向かって案内するための案内壁47が立設されている。案内壁47とリボン巻取スプール44との間には、前述した両面粘着テープ58の右前側の両面テープ周囲壁21cが設けられており、この両面テープ周囲壁21cが、案内壁47に沿って案内される使用済みのインクリボン60と、第一テープスプール40に巻回して支持された両面粘着テープ58とが互いに接触するのを防止する。また、後述する円筒部材86eの左側には、略矩形状の壁部である矩形壁69が設けられている(図15参照)。矩形壁69の左面は、左面壁274と一体として形成されている。また、矩形壁69の右面には、後述する係合孔79fが設けられている。
テープ印字装置1における印字実行時には、テープ駆動軸100を介して回転駆動されるテープ駆動ローラ46が、可動搬送ローラ14との協働によって、第二テープスプール41からフィルムテープ59を引き出す。また、リボン巻取軸95を介して回転駆動されるリボン巻取スプール44が、印字スピードと同期してリボンスプール42から未使用のインクリボン60を引き出す。第二テープスプール41から引き出されたフィルムテープ59は、リボンスプール42の外側を通過しながらアーム部34内の搬送経路に沿って搬送される。さらに、フィルムテープ59はその表面にインクリボン60が重合された状態で排出口34aからヘッド挿入部39に供給され、テープ印字装置1のサーマルヘッド10とプラテンローラ15との間に搬送される。
そして、サーマルヘッド10によって、フィルムテープ59の印字面に対して文字、図形、記号等が印字される。その後、使用済みのインクリボン60は案内壁47にて印字済みのフィルムテープ59から剥がされ、リボン巻取スプール44に巻き取られる。一方、テープ駆動ローラ46と可動搬送ローラ14との協働によって、第一テープスプール40から両面粘着テープ58が引き出される。この両面粘着テープ58は、テープ駆動ローラ46と可動搬送ローラ14との間にガイドされて巻き込まれながら、印字済みのフィルムテープ59の印字面に重ねられて貼着される。両面粘着テープ58が貼着された印字済みのフィルムテープ59(つまり、印字済テープ50)は、さらにテープ排出口49に向かって搬送され、カット機構17によって切断される。
なお、本実施形態では、汎用カセットをラミネートタイプに構成したテープカセット30を、汎用機であるテープ印字装置1にて使用している。それによって、テープ印字装置1は1台で感熱タイプ、レセプタタイプ、ラミネートタイプ、感熱ラミネートタイプ等、各種のテープカセットに対応させることが可能であり、1台毎に異なるテープ印字装置を用いる必要がない。
次に、図6乃至図9を参照してフック係合部78の構造について説明する。ここでは、テープカセット30の半円溝38に設けられたフック係合部78aを例にして説明する。
図6に示すように、半円溝38には、フック係合部78aが設けられている。フック係合部78aは、下ケース31bと上ケース31aとが係合される部分である。フック係合部78aは、下ケース31bに設けられた係合孔79aと、上ケース31aに設けられた、係合爪810を有する係合アーム80a(図7参照)とを備えている。下ケース31bの下半円溝38bにおける左部の上端よりやや下側には、係合孔79aが設けられている。係合孔79aは、下ケース31bに設けられた正面視で左右方向に長い矩形状の貫通した孔である。係合孔79aには、上ケース31aから下方に突出した係合アーム80aに設けられた係合爪810が係合される。これによって、下ケース31bと上ケース31aとが係合される。なお、係合孔79aは、正面視で係合爪810より大きな孔である。
次に、図7を参照して、係合アーム80aと係合爪810との構造について説明する。図7に示すように、上ケース31aの上半円溝38aの左部の上端から下端にかけて、平面視で凹状に形成された窪み部84が設けられている。窪み部84の凹み部分の深さは、下ケース31bの下半円溝38bを形成する壁の厚みと略同一である。窪み部84の下端から下側には、先端部に係合爪810を備えた係合アーム80aが突出して設けられている。係合アーム80aは、角柱状の形状をしており、その下端部から右斜め前方に向かって、係合爪810が突出している。これによって、係合アーム80aは、係合爪810と一体として鉤状に形成されている。係合爪810が下ケース31bの係合孔79aと係合することによって、下ケース31bと上ケース31aとが係合される。また、係合アーム80aは、テープカセット30における斜め前後方向の可撓性を有する。このため、係合アーム80は、係合アーム80の背面の方向に撓むことができる。
次に、図8及び図9を参照して、係合孔79aと係合爪810との係合について説明する。前述したように、係合アーム80aは、係合アーム80aの背面の方向(図8では右方向)に撓むことができるように形成されている。図8に示すように、下ケース31bと上ケース31aとが係合される場合には、係合爪810の前端部が下半円溝38bの背面に当接しながら、下方向に移動する。このとき、係合爪810の前端部が、下半円溝38bの背面によって、係合アーム80aの背面の方向に押圧されるため、係合アーム80aは、係合アーム80aの背面の方向に撓む。また、下半円溝38bは、係合爪810の前端部によってテープカセット30の右前方向(図16では左方向)に押圧されるため、右前方向に撓む。そして、係合爪810が、係合孔79aの位置に到達すると、図9に示すように、係合爪810が係合孔79aに入り込み、下ケース31bと上ケース31aとが係合される。このとき係合アーム80aと下半円溝38bとは撓んでいない。また、このとき、係合爪810は、係合孔79aの上面と当接している。例えば、テープカセット30に衝撃が加えられた場合でも、係合爪810と係合孔79aの上面とが当接しているため、下ケース31bと上ケース31aとが上下方向に離れてしまうことがない。つまり、下ケース31bと上ケース31aの間に浮きが発生することや、下ケース31bと上ケース31aとが離れてしまうことを防止することができる。
なお、半円溝38に設けられたフック係合部78aを例にして説明したが、その他のフック係合部78b〜78fもフック係合部78aと同様に、下ケース31bと上ケース31aとを係合する。つまり、係合孔79b〜79f、係合アーム80b〜80f、及び係合爪810は、それぞれ係合孔79a、係合アーム80a、及び係合爪810と同様の形状をしており、下ケース31bと上ケース31aとを係合する。フック係合部78b〜78fの配置については、後述する。
次に、図10乃至図14を参照して、圧入係合部88について、説明する。なお、圧入係合部88a〜88hの構造はそれぞれ同様であるので、ここでは、圧入係合部88a〜88hのいずれかを特定しない圧入係合部88について説明する。圧入係合部88は、下ケース31bと上ケース31aとが係合される部分である。圧入係合部88は、下ケース31bに設けられた円筒部材86と、上ケース31aに設けられた圧入ピン87とを備えている。
まず、図10および図12を参照して、円筒部材86について説明する。前述したように、テープカセット30の下ケース31bには、複数の円筒部材86が立設されている。図10および図12に示すように、円筒部材86には、円筒孔部861が設けられている。円筒孔部861は、テープカセット30の底面30b(図5参照)に貫通しない凹状であり、平面視で円形に形成されている。なお、円筒孔部861は、テープカセット30の底面30bに貫通する孔に形成してもよい。円筒孔部861の上部は、上端の開口径が最大となるように徐々に広くなっている。このため、円筒孔部861に圧入ピン87を容易に挿入することが可能である。
次に図11を参照して、圧入ピン87について説明する。なお、図11に示す上ケース31aは、下方にむけて、円柱が突出するように形成されているが、この円柱は、円筒部材86と当接することによって、テープカセット30の高さを決定するために設けられている。圧入係合部88が設けられている場所によって、上ケース31aに円柱が設けられていない場合もある。また、円柱状とは別の形状に形成されている場合もある。
テープカセット30の上ケース31aには、複数の圧入ピン87が設けられている(図16参照)。図11に示すように、圧入ピン87は、支柱部871と突起部材872とから構成されている。支柱部871は、円柱状に形成された上ケース31aの下面から下方に向かって延びている。支柱部871は、略円柱状であり、上下方向における中央よりやや下側から、徐々に径が小さくなるように形成されている。つまり、支柱部871の下部(以下、支柱先端部8711という。)は、先端が細くなるように形成されている。支柱先端部8711の底面の円の径は、円筒部材86に設けられた円筒孔部861(図12参照)の円の径より小さく形成されている。このため、円筒部材86の円筒孔部861に支柱部871を容易に挿入することが可能である。
また、支柱部871の周囲には、複数の突起部材872が放射状に設けられている。突起部材872は、上下方向における支柱部871の略中央から上側に設けられており、その上端は、円柱状に形成された上ケース31aの下面と接続されている。また、突起部材872は、平面視で円弧状に支柱部871から突出している。突起部材872を含んだ圧入ピン87の径は、円筒孔部861(図12参照)の円の径より大きく形成されている。また、突起部材872の下部は、下端に向かうほど徐々に径が小さい円弧になるように形成されている。つまり、突起部材872の下部は、先端が細くなるように形成されている。これにより、圧入ピン87が円筒部材86の円筒孔部861に挿入される場合に、突起部材872の下部が円筒部材86の上面に引っかかることなく、スムーズに挿入される。
次に、圧入ピン87が、円筒部材86の円筒孔部861に挿入される場合について、図12乃至図14を参照して説明する。テープカセット30が製造される際には、下ケース31bと上ケース31aとが係合される。下ケース31bと上ケース31aとが係合される場合には、図12に示すように、まず、支柱先端部8711が円筒孔部861に挿入される。前述したように、支柱先端部8711の下面の円の径は、円筒孔部861の円の径より小さく形成されている。また、円筒孔部861の上端は、開口部分が広く形成されている。このため、支柱先端部8711が、スムーズに円筒孔部861内に案内される。そして、円筒孔部861に沿って、支柱部871が挿入される。
次に、圧入ピン87が円筒孔部861にさらに挿入されると、図13に示すように、突起部材872が円筒孔部861に挿入され始める。前述したように、突起部材872は先端が細くなるように形成されている。また、円筒孔部861の上端は、開口部分が広く形成されている。このため、突起部材872の下部が円筒部材86の上面に引っかかることなく、スムーズに挿入される。突起部材872を含んだ圧入ピン87の径は、円筒孔部861の円の径より大きく形成されている。このため、突起部材872が円筒部材86に押圧されて潰されながら、圧入ピン87が円筒孔部861に挿入される。また、円筒部材86が突起部材872に押圧されて外側に広げられながら、圧入ピン87が円筒孔部861に挿入される。
そして、圧入ピン87が円筒孔部861にさらに挿入されると、図14に示すように、円筒部材86の上面と、支柱部871が立設されている円柱状に形成された上ケース31aの下面とが当接する。これにより、圧入ピン87の円筒孔部861への挿入が終了される。このとき、突起部材872が円筒部材86に押圧されて潰され、円筒部材86が突起部材872に押圧されて外側に広げられている。このように、圧入ピン87が円筒部材86に加圧挿入されることで、円筒部材86と圧入ピン87とが強固に係合される。これにより、下ケース31bと上ケース31aとが係合される。なお、このとき、円筒部材86が外側に広げられるので、円筒部材86に変形や白化や発生する。しかし、円筒部材86は、テープカセット30の外周壁27に接触していないため(図15参照、後述)、外観に変形や白化などの不具合が発生することはない。
次に、図15乃至図16を参照して、円筒部材86、圧入ピン87、及び圧入係合部88の配置を説明する。なお、圧入係合部88は、下ケース31bに設けられた円筒部材86と、上ケース31aに設けられた圧入ピン87とを含むものであるが、図15においては、説明のため、圧入係合部88が構成される位置を図示している。
図15に示すように、下ケース31bの左右方向の略中央、且つ第一収納領域23と第二収納領域24と第四収納領域26に囲まれた部分には、円筒部材86aが設けられている。円筒部材86aは、フィルムテープ59の左前側に設けられたフィルムテープ周囲壁22aに接触している。また、円筒部材86aから、フィルムテープ59の巻回中心を挟んで、第四収納領域26の反対側、且つ背面壁272と右面壁273とに接触しない位置には、円筒部材86bが設けられている。円筒部材86bは、フィルムテープ59の右後側に設けられたフィルムテープ周囲壁22bに接触している。また、円筒部材86aから、リボン巻取スプール44の回動中心を挟んで、第四収納領域26の反対側には、円筒部材86cが設けられている。円筒部材86cは、ヘッド挿入部壁33を構成する壁に接触している。また、第一収納領域23の右後側、且つ背面壁272に接触しない位置には、円筒部材86dが設けられている。円筒部材86dは、両面粘着テープ58の右後側に設けられた両面テープ周囲壁21aに接触している。また、円筒部材86dから、両面粘着テープ58の巻回中心を挟んで、第一収納領域23の反対側、且つ左面壁274に接触しない位置には、円筒部材86eが設けられている。また、第一収納領域23の左後側、且つ左面壁274と背面壁272とに接触しない位置には、円筒部材86fが設けられている。円筒部材86fは、両面粘着テープ58の左後側に設けられた両面テープ周囲壁21bに接触している。また、第一収納領域23の前側、且つヘッド挿入部壁33に接触する位置には、円筒部材86gが設けられている。また、テープカセット30の右前部における右面壁273と前面壁271とに接触しない位置には、円筒部材86hが設けられている。
また、図16に示すように、上ケース31aにおける、下ケース31bに設けられた円筒部材86a〜86hに対応する位置には、圧入ピン87a〜87hが設けられている。
下ケース31bと上ケース31aとが係合される場合には、円筒部材86a〜86hに、それぞれ対応する圧入ピン87a〜87hが加圧挿入され、係合される。これにより、圧入係合部88a〜88hが構成される。図15に示すように、圧入係合部88aと圧入係合部88bとは、フィルムテープ59の巻回中心を挟んで互いに対向する位置に配置されている。また、圧入係合部88aと圧入係合部88cとは、リボン巻取スプール44に巻き取られたインクリボン60の巻回中心を挟んで互いに対向する位置に配置されている。また、圧入係合部88dと圧入係合部88eとは、両面粘着テープ58の巻回中心を挟んで互いに対向する位置に配置されている。また、圧入係合部88aと圧入係合部88fとを結ぶ線、圧入係合部88aと圧入係合部88eとを結ぶ線、及び圧入係合部88dと圧入係合部88gとを結ぶ線は、それぞれ両面粘着テープ58が収納される第一収納領域23と交差する。また、圧入係合部88cと圧入係合部88hとを結ぶ線は、インクリボン60が収納される第三収納領域25と交差する。さらに、テープカセット30の平面視における四隅の近傍、且つ前面壁271と背面壁272と右面壁273と左面壁274とに接触しない位置には、圧入係合部88b、88e、88f、86hが設けられている。また、圧入係合部88bと圧入係合部88eとは、テープカセット30の対角に設けられている。また、圧入係合部88fと圧入係合部88hとは、テープカセット30の対角に設けられている。
テープカセット30の内部に設けられる両面粘着テープ58、フィルムテープ59、インクリボン60、及びリボン巻取スプール44の内、最も重量が大きい部品は、両面粘着テープ58である。また、2番目に重量が大きい部品は、フィルムテープ59である。
このように、最も重量の大きい両面粘着テープ58を収納する第一収納領域23に接して、あるいは近傍に5つの圧入係合部88a、88d、88e、88f、88gが設けられ、互いに両面粘着テープ58の巻回中心を挟んで対向する位置、又は、互いを結ぶ線が第一収納領域23と交差するように配置されている。また、2番目に重量の大きいフィルムテープ59の周囲には、2つの圧入係合部88a、88bが互いにフィルムテープ59の巻回中心を挟んで対向する位置に配置されている。また、リボン巻取スプール44の周囲には、2つの圧入係合部88a、88cが互いにリボン巻取スプール44に巻き取られたインクリボン60の巻回中心を挟んで対向する位置に配置されている。また、インクリボン60の周囲には、2つの圧入係合部88c、88hが設けられ、互いを結ぶ線が第三収納領域と交差するように配置されている。さらに、テープカセット30の平面視における四隅の近傍には、圧入係合部88b、88e、88f、88hが配置されている。
このように、テープカセット30の内部に設けられる両面粘着テープ58、フィルムテープ59、インクリボン60、及びリボン巻取スプール44の周囲で下ケース31bと上ケース31aとを係合することができる。また、テープカセット30の四隅で下ケース31bと上ケース31aとを係合することができる。このため、例えば、テープカセット30が落下した場合の衝撃によって、両面粘着テープ58、フィルムテープ59、リボン巻取スプール44、及びインクリボン60が振られた場合でも、下ケース31bと上ケース31aとの係合を保持することができる。つまり、下ケース31bと上ケース31aとの間に浮きが発生することを抑制することができる。
また、圧入係合部88aと圧入係合部88bとは、フィルムテープ59の巻回中心を挟んで互いに対向する位置に配置されている。圧入係合部88aと圧入係合部88cとは、リボン巻取スプール44に巻き取られたインクリボン60の巻回中心を挟んで互いに対向する位置に配置されている。圧入係合部88dと圧入係合部88eとは、両面粘着テープ58の巻回中心を挟んで互いに対向する位置に配置されている。このように、フィルムテープ59とインクリボン60と両面粘着テープ58とをそれぞれ挟むように、圧入係合部88が配置されているので、効率的に、下ケース31bと上ケース31aとの係合を保持することができる。つまり、効率的に下ケース31bと上ケース31aとの間に浮きが発生することを抑制することができる。
また、圧入係合部88aは、第一収納領域23の周囲、第二収納領域24の周囲、第四収納領域26の周囲、及びテープカセット30の略中央での下ケース31bと上ケース31aとの係合機能を兼ねている。また、テープカセット30の四隅で下ケース31bと上ケース31aとを係合する圧入係合部88b、88e、88f、88hのうち、圧入係合部88bは、第二収納領域24の周囲での下ケース31bと上ケース31aとの係合機能を兼ねている。また、圧入係合部88e、88fは、第一収納領域23での周囲での下ケース31bと上ケース31aとの係合機能を兼ねている。また、圧入係合部88hは、第三収納領域25での下ケース31bと上ケース31aとの係合機能を兼ねている。このように、一の圧入係合部88が二以上の係合機能を兼ねているため、少ない圧入係合部88の配置で、下ケース31bと上ケース31aとを効率的に係合することができる。
また、前述したように、円筒部材86と、圧入ピン87とが係合される場合、円筒部材86が外側に広げられるので、円筒部材86に変形や白化や発生する。従来のように、円筒部材86が外周壁27に接触している場合には、円筒部材86が外側に広げられるため、外周壁27に変形や白化が発生する。つまり、テープカセット30の外観に変形や白化などの不具合が発生する。一方、本実施の形態では、すべての円筒部材86は、外周壁27と接触していない。このため、円筒部材86が外側に広げられ、円筒部材86に変形や白化や発生しても、テープカセット30の外観に変形や白化など不具合が発生することはない。
さらに、テープカセット30の外観に変形や白化などの不具合が発生することがないので、変形や白化などを気にすることなく、円筒部材86と圧入ピン87とを係合する圧力を高めることができる。このため、下ケース31bと上ケース31aとの係合をさらに強くすることができる。なお、円筒部材86と圧入ピン87とを係合する圧力を高める方法は、例えば、圧入ピン87を太くすること等である。
また、従来のように、円筒部材86が外周壁27に接触している場合には、円筒部材86と外周壁27とが接触している部分は、円筒部材86と外周壁27とが離れている場合に比べて、テープカセット30の内側において合成樹脂の厚みが厚くなる。このため、成型時に外周壁27の外面において、いわゆるヒケが発生しやすい。そして、このヒケが外周壁27の外面にあらわれることによって、外観上の不具合となる場合がある。本実施の形態では、すべての円筒部材86は、外周壁27と接触していないため、外周壁27の厚みが厚くならない。このため、成型時にヒケが発生することを抑制することができる。つまり、外観上の不具合の発生を抑制することができる。
次に、図15及び図16を参照して、係合孔79、係合アーム80、及びフック係合部78の配置を説明する。なお、フック係合部78は、下ケース31bに設けられた係合孔79と、上ケース31aに設けられた、係合爪810を有する係合アーム80とを含むものであるが、図15においては、説明のため、フック係合部78が構成される位置を図示している。
前述したように、下ケース31bと上ケース31aとは、複数のフック係合部78a〜78fによって係合される。複数のフック係合部78a〜78fは、下ケース31bに設けられた係合孔79a〜79fと、上ケース31aに設けられた、係合爪810を有する係合アーム80a〜80fとを備えている。図15に示すように、下ケース31bの前面壁271に設けられた下半円溝38bの左部の上端からやや下側には、係合孔79aが設けられている。また、下ケース31bの左右方向における略中間位置、且つヘッド挿入部壁33を構成する壁の上端からやや下側には、係合孔79bが設けられている。また、下ケース31bの背面壁272の中央よりやや右側、且つ上端よりやや下側には、係合孔79cが設けられている。また、下ケース31bの背面壁272の左部の上端からやや下側には、係合孔79dが設けられている。また、一対のカセット矩形孔68のうち、右側のカセット矩形孔68の右面、且つ下ケース31bの上端よりやや下側には、係合孔79eが設けられている。したがって、係合孔79eは、右面壁273の近傍に設けられている。また、下ケース31bに設けられた矩形壁69の右面、且つ上端よりやや下側には、係合孔79fが設けられている。したがって、係合孔79fは、左面壁274の近傍に設けられている。
また、図16に示すように、上ケース31aにおける、下ケース31bの係合孔79a〜79fに対応した位置には、係合爪810を有した係合アーム80a〜80fが設けられている。
下ケース31bと上ケース31aとが係合される場合には、係合孔79a〜79fと、係合爪810を有した係合アーム80a〜80fとが係合される。これによって、フック係合部78a〜78fが構成される。
このように、フック係合部78a〜78fは配置されている。つまり、フック係合部78aは、テープカセット30の前面において、下ケース31bと上ケース31aとを係合する。また、フック係合部78bは、テープカセット30の前面の近傍において、下ケース31bと上ケース31aとを係合する。また、フック係合部78cとフック係合部78dとは、テープカセット30の背面において、下ケース31bと上ケース31aとを係合する。テープカセット30の前面と前面の近傍と背面とで下ケース31bと上ケース31aとを係合できるため、例えば、下ケース31bと上ケース31aとを係合する強度が高くなる。
また、フック係合部78eは、テープカセット30の右面の近傍において、下ケース31bと上ケース31aとを係合する。また、フック係合部78fは、テープカセット30の左面の近傍において、下ケース31bと上ケース31aとを係合する。テープカセット30の右面の近傍と左面の近傍とで下ケース31bと上ケース31aとを係合できるため、下ケース31bと上ケース31aとを係合する強度が高くなる。
このように、フック係合部78a〜78fは、テープカセット30の外周壁27を構成する各面または各面の近傍で、下ケース31bと上ケース31aとを係合するので、下ケース31bと上ケース31aとを係合する強度が特に優れている。
以上説明したように、圧入係合部88a〜88h及びフック係合部78a〜78fで下ケース31bと上ケース31aとが係合される。例えば、圧入係合部88a〜88hのみで下ケース31bと上ケース31aとが係合される場合、圧入ピン87と円筒部材86とが加圧挿入によって強固に係合される。上述したように、圧入係合部88は、テープカセット30の内部に設けられる両面粘着テープ58、フィルムテープ59、インクリボン60、及びリボン巻取スプール44の周囲で下ケース31bと上ケース31aとを係合し、さらに、テープカセット30の四隅で下ケース31bと上ケース31aとを係合している。このため、圧入係合部88は、下ケース31bと上ケース31aと間に浮きが発生することを抑制している。しかし、例えばテープカセット30が強く衝撃を受けた場合において、下ケース31bと上ケース31aとが離れる方向(上下方向)に強い力が加えられた場合、圧入ピン87が円筒部材86から引き抜かれ、下ケース31bと上ケース31aとが離れる可能性がある。一方、フック係合部78a〜78fは、例えばテープカセット30が落下した場合において、下ケース31bと上ケース31aとが離れる方向(上下方向)に強い力が加えられた場合、係合爪810が係合孔79の上面に当接しているため、下ケース31bと上ケース31aとが上下方向に離れることを防止することができる。このため、圧入係合部88a〜88hのみによって、下ケース31bと上ケース31aとを係合する場合に比べて、下ケース31bと上ケース31aとに浮きが発生することをさらに抑制することができる。
以上のように、本実施の形態にかかる発明によれば、下ケース31bと上ケース31aとの間に浮きが発生したり、下ケース31bと上ケース31aとが離れたりすることを抑制することができる。このため、フィルムテープ59が適正に排出口34aから排出される。フィルムテープ59が排出口34aから適切に排出されるので、フィルムテープ59に対してサーマルヘッドによって適切に印字が行われる。このため、良好な印字品質を保つことができる。また、外観上の不具合が発生することを抑制することができる。
なお、本発明のテープカセット30は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
例えば、テープカセット30に背面が設けられていたが、背面を削除してもよい。また、すべての圧入ピン87を上ケース31aに設け、すべての円筒部材86を下ケース31bに設けていたが、これに限定されない。例えば、一部又はすべての圧入ピン87を下ケース31bに設け、対応する一部又はすべての円筒部材86を上ケース31aに設けてもよい。また、すべての係合アーム80を上ケース31aに設け、すべての係合孔79を下ケース31bに設けていたが、これに限定されない。例えば、一部又はすべての係合アーム80を下ケース31bに設け、対応する一部又はすべての係合孔79を上ケース31aに設けてもよい。
なお、上記実施形態において、両面粘着テープ58、フィルムテープ59、及びインクリボン60が本発明の「テープ」に相当し、圧入係合部88が本発明の「係合部」に相当する。また、円筒孔部861が本発明の「孔部」に相当し、円筒部材86が本発明の「筒部材」に相当する。また、圧入ピン87が本発明の「圧入部材」に相当し、第一収納領域23、第二収納領域24、第三収納領域25、及び第四収納領域26が本発明の「テープ収納領域」に相当する。また、フック係合部78が本発明の「第二係合部」に相当し、係合孔79が本発明の「開口部」に相当する。また、係合爪810が本発明の「突起」に相当し、係合アーム80が本発明の「係合片」に相当する。両面テープ周囲壁21a,21b,21c、及びフィルムテープ周囲壁22a,22bが本発明の「壁部」に相当する。