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JP5501631B2 - ハニカム構造体 - Google Patents

ハニカム構造体 Download PDF

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Description

本発明は、ハニカム構造体に関し、さらに詳しくは、缶体に収納したときに缶体内でずれることを防止し、耐熱衝撃性に優れたハニカム構造体に関する。
排気ガス規制はますます強化され、排気ガスの浄化に使用される触媒も高性能化が要求され、触媒の基体である多孔質のセラミックハニカム構造体にはますますの薄壁化が要求されている。その理由としては、圧力損失を小さくし、出力ロスを最小限にする(馬力アップする)ため開口径が大きく開口率が高いハニカム構造体であることが望まれていること、触媒の温度を早く上昇させて浄化性能をアップさせるため、軽量であることが望まれていること、および触媒を担持する隔壁の表面積が大きいハニカム構造体であることが望まれていること等が挙げられる。
これらのなかで「開口径を大きくする」ためにはセル密度を小さくすればよいがそうした場合、他方の要求である「表面積」も小さくなる相反特性があり、その両者を満たすための手法としてハニカム構造体の薄壁化がある。
ハニカム構造体を薄壁にすると、機械的強度が低下することは免れない。そのため、低い強度でも機械的な保持が可能となるテーパー保持構造が開示されている(例えば、特許文献1、2を参照)。
特開昭48−100372号公報 特開2008−88952号公報
セラミックハニカム構造体に触媒を担持してハニカム触媒体として使用する場合、通常、ハニカム構造体の全てのセルに触媒を担持し、当該全てのセルに排気ガスを通過させるため、側面のみを保持して使用している。そのため、通常、ハニカム構造体(ハニカム触媒体)の側面の破壊圧力が、ハニカム構造体(ハニカム触媒体)そのものの機械的強度になる。このような、側面のみで保持され、全ての保持力が外周から中心軸方向等に向かうように作用していた従来の構造に対し、テーパー保持構造を適用したハニカム構造体は、セルの延びる方向(排ガスの流通方向)にも保持力が分散する構造になっている。側面強度が低く、側面だけでは保持できない薄壁ハニカム等に特に適した構造である。
セラミックハニカム触媒体を缶体(容器)に把持して形成される触媒コンバータは、自動車の激しい振動により把持が緩むことがあり、更に、通常、熱膨脹係数がセラミックの10倍以上であるステンレススティールにより缶体が形成されるため、使用中に温度が上昇すれば缶体の方がセラミックハニカム構造体より大きく膨脹し、セラミックハニカム構造体の把持が緩むことがある。このように、セラミックハニカム構造体の把持が緩まないようにするためには、缶体が熱膨張したときにも把持が緩んでハニカム構造体が動くということがないように、ハニカム構造体と缶体の間に配置する弾力性のマットに予め高い圧力を掛けてセラミックハニカム構造体を把持する必要がある。しかし、隔壁の厚さが0.1mmを下回るようなセラミックハニカム構造体の場合は、このように高い圧力で把持した場合には、その圧力により破壊されることもある。これに対し、セラミックハニカム構造体のセルの延びる方向の強度は、側面の強度(側面に中心軸方向に向かって力を加えたときの強度)の5倍以上である。そして、外周付近(側面付近)のセルが変形していると側面の強度が低下する傾向にあるが、セルの延びる方向の強度は、このようなセルの変形に影響され難い。このように、側面の強度が低いセラミックハニカム構造体でも、側面保持(セルと直角方向に力を加える保持)だけではなく、側面の強度より5倍以上も高い強度の「セルの延びる方向」(セルと平行方向)にも保持力の一部を分担させることにより、自動車の激しい振動にも耐えることができるようになる。
特許文献1には、円筒形のセラミックハニカム構造体(断面の大きさ、セルの大きさは、一様)の外周(側面)に、側面の一部がテーパー状のセラミック筒(6)が配設された構造が開示されている。これは、セラミック筒の材質がハニカム構造体の材質と同じコージェライトであっても、セラミック筒の熱膨張係数は押出成形で造られたハニカム構造体の熱膨張係数より大きくなるため、熱衝撃でクラックが生じやすいという問題があった。尚、押出成形で造られたセラミックハニカム構造体の熱膨張係数が小さいのは、セラミックハニカム構造体を押出成形するときに、セラミックを含む押出原料が、加圧された状態で押出成形用の口金の狭いスリットを通って排出されながらハニカム形状に成形されるため、押出原料中のセラミックが一定方向に配向し、これにより、熱膨張係数が小さくなるのである。そのため、セラミック原料が同じであっても、このように狭いスリットを加圧状態で通過することによって成形された隔壁と、他の方法で成形された筒状のセラミックとはその熱膨張係数が異なるのである。
この点を更に詳細に説明すると、ハニカム構造体の原料に未焼成カオリンを使用した場合、押出成形用の口金を通過する際、未焼成カオリンの六角板状の結晶カオリナイトが、隔壁と平行に並ぶ。それを焼成すると、カオリナイトの結晶に沿って六角柱のコージェライト結晶が寝た状態(六角柱のコージェライト結晶の中心軸が、カオリナイト結晶の六角形の結晶面に平行になった状態)で生成される。そのため、六角柱状のコージェライト結晶の中心軸は、ハニカム構造体のセルの延びる方向及び径方向が混在した状態の配向となる。そして、六角柱状のコージェライトの結晶の熱膨張係数は六角柱の軸方向が「−1.1×10−6」、その径方向(直角方向)が「+2.9×10−6」であるため、ハニカム構造体全体の熱膨張係数としては、0.2×10−6〜0.5×10−6となる。この熱膨張係数は、例えば、プレス製法で作製されたハニカム構造体等の他の製法で作製されたハニカム構造体より、格段に低い値である。これに対し、円筒状のハニカム構造体の外周に配設するための、厚さ3mm程度のセラミック筒を押出成形により作製した場合には、結晶配向が非常に少なくなるため(よく配向するのは、原料の粒度にも関係するが、厚さ2mm未満の薄いものに限られる)、その熱膨脹係数はハニカム構造体の約5倍(1.0×10−6〜2.0×10−6)程度の大きなものとなるのである。
特許文献2には、円筒状のハニカム構造体(断面の大きさ、セルの大きさは、一様)の外周(側面)に、一部がテーパー状に形成された筒状の外筒を固着させた構造が開示されている。外筒の材質がハニカム構造体の材質と同じであっても、外筒の熱膨張係数はハニカム構造体の熱膨張係数より大きくなるため、熱衝撃でクラックが生じやすいという問題があった。
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、缶体に収納したときに缶体内でずれることを防止し、耐熱衝撃性に優れたハニカム構造体を提供することを特徴とする。
本発明によって以下のハニカム構造体が提供される。
[1] 一方の端面から他方の端面まで貫通し流体の流路となる複数のセルを区画形成する、セラミックを主成分とする多孔質の隔壁を有するハニカム形状の多孔質基材と、前記多孔質基材の外周に配設され、少なくとも片側の端面が、先端に向かうに従って外径が細くなるテーパー状であり、前記セルの延びる方向に平行に延びるタテスリットが2本以上形成されたセラミックを主成分とするズレ防止部材とを備え、前記タテスリットの幅が0.5〜10mmであり、前記ズレ防止部材の厚さが2〜15mmであり、前記ズレ防止部材に形成された前記タテスリットの径方向の深さが、前記ズレ防止部材の厚さと同じであり、前記タテスリット部分から前記多孔質基材の外周が露出しているハニカム構造体(第1の発明)。
[2] 前記ズレ防止部材に形成された前記タテスリットが等間隔に4〜8本である[1]に記載のハニカム構造体。
[3] 前記セルの延びる方向に直交する断面において、前記セルの形状が正方形であり、前記ズレ防止部材に形成された前記タテスリットのうちの少なくとも1本の位置が、前記多孔質基材の中心から前記隔壁に平行に延ばした直線が通る位置である[1]又は[2]に記載のハニカム構造体。
[4] 前記セルの延びる方向に直交する断面において、前記セルの形状が正方形であり、前記ズレ防止部材に形成された前記タテスリットのうちの少なくとも1本の位置が、前記多孔質基材の中心から前記正方形のセルの対角線に平行に延ばした直線が通る位置である[1]又は[2]に記載のハニカム構造体。
] 一方の端面から他方の端面まで貫通し流体の流路となる複数のセルを区画形成する、セラミック多孔質の隔壁を有するハニカム形状の多孔質基材と、前記多孔質基材の外周に配設され、少なくとも片側の端面が、先端に向かうに従って外径が細くなるテーパー状であり、前記セルの延びる方向に直角に回周するリングスリットが2本以上形成されたセラミックを主成分とするズレ防止部材とを備え、前記リングスリットの幅が0.5〜10mmであり、前記ズレ防止部材の厚さが2〜15mmであり、前記ズレ防止部材に形成された前記スリットの径方向の深さが、前記ズレ防止部材の厚さと同じであり、前記スリット部分から前記多孔質基材の外周が露出しているハニカム構造体(第2の発明)。
] 前記ズレ防止部材に形成された前記リングスリットの位置が、前記ズレ防止部材を等分割する位置である[5]に記載のハニカム構造体。
] 前記ズレ防止部材に、前記セルの延びる方向に平行に延びるタテスリットが2本以上形成された請求項[5]又は[6]に記載のハニカム構造体。
本発明のハニカム構造体は、ズレ防止部材の少なくとも片側の端面が、先端に向かうに従って外径が細くなるテーパー状であるため、缶体に収納したときにテーパー形状部分を機械的に固定することができ、缶体内でずれることを防止することができるハニカム構造体において、ズレ防止部材が、セルの延びる方向に平行に延びるタテスリットを2本以上及び/又はセル3の延びる方向に直角に周回するリングスリットを1本以上有するため、多孔質基材とズレ防止部材との熱膨張率の差による多孔質基材にかかる応力が、緩和されるため、耐熱衝撃性に優れたものである。
本発明のハニカム構造体(第1の発明)の一実施形態を模式的に示す平面図である。 本発明のハニカム構造体(第1の発明)の一実施形態を模式的に示す正面図である。 従来のハニカム構造体を模式的に示す平面図である。 従来のハニカム構造体を模式的に示す正面図である。 従来のハニカム構造体を模式的に示す平面図である。 従来のハニカム構造体を模式的に示す正面図である。 本発明のハニカム構造体(第2の発明)の一実施形態を模式的に示す平面図である。 本発明のハニカム構造体(第2の発明)の一実施形態を模式的に示す正面図である。 本発明のハニカム構造体(第2の発明)の他の実施形態を模式的に示す平面図である。 本発明のハニカム構造体(第2の発明)の他の実施形態を模式的に示す正面図である。 実施例1〜5、比較例1〜4において測定された耐熱衝撃性と、ハニカム構造体に形成されたタテスリットの本数との関係を示すグラフである。 実施例6〜10、比較例5〜8において測定された耐熱衝撃性と、ハニカム構造体に形成されたタテスリットの本数との関係を示すグラフである。
以下、本発明を実施するための形態を図面を参照しながら具体的に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
(1)ハニカム構造体:
本発明のハニカム構造体(第1の発明)の一の実施形態は、図1A、図1Bに示すように、一方の端面1から他方の端面2まで貫通し流体の流路となる複数のセル3を区画形成する、セラミックを主成分とする多孔質の隔壁4を有するハニカム形状の多孔質基材5と、多孔質基材5の外周6に配設され、両側の端面12,12が、先端13に向かうに従って外径が細くなるテーパー状であり、セル3の延びる方向に平行に延びるタテスリット14が4本形成されたセラミックを主成分とするズレ防止部材11とを備えるものである。本実施形態のハニカム構造体は、ズレ防止部材11の少なくとも片側の端面12が、先端13に向かうに従って外径が細くなるテーパー状であるため、缶体に収納(キャニング)したときにテーパー形状部分を機械的に固定することができ、缶体内でズレルことを防止することができる。また、本実施形態のハニカム構造体は、ズレ防止部材が、セルの延びる方向に平行に延びるタテスリットを2本以上有するため、多孔質基材とズレ防止部材との熱膨張率の差による多孔質基材にかかる応力が、緩和されるため、耐熱衝撃性に優れたものである。図1Aは、本発明のハニカム構造体の一実施形態を模式的に示す平面図である。図1Bは、本発明のハニカム構造体の一実施形態を模式的に示す正面図である。ハニカム構造体の熱衝撃による破壊形態は、セル3の延びる方向にクラックが入る場合と、セル3の延びる方向に直角に周回するリング状の場合とがある。前者の場合はタテスリット、後者の場合はリングスリットが有効である。夫々の場合、クラックの方向と直角方向にズレ防止部材が長くならないように、クラックの発生する位置を避けクラックと同じ方向にスリットを設けることが肝要となる。多孔質基材の外径dと全長Hの比「H/d」が1以下の場合にはタテスリットが、1.5を超えるような場合はリングスリットが有効になる場合が多い。
本実施形態のハニカム構造体100において、ズレ防止部材11は、少なくとも片側の端面12がテーパー状になっていればよい。ズレ防止部材11のテーパーの角度は、30〜90°が好ましく、45〜60°が更に好ましい。30°より小さいとセルの延びる方向の分担保持力が小さくなり、ハニカム構造体を缶体に収納した時のズレを防止する効果が低下したり、側面の分担圧力が大きくなってハニカム構造体が破壊することがある。90°より大きいと外筒部が欠けたりすることがある。ズレ防止部材11のテーパーの角度とは、ズレ防止部材11の端面と多孔質基材5の外周6とにより形成される角度であり、ズレ防止部材11の先端部分の角度である。また、ズレ防止部材11のテーパー状の端面12,12の中心軸方向における先端13,13が、多孔質基材5の端面1,2から離れており、多孔質基材5の外周6の一部が露出している。
ズレ防止部材11には、2本以上のタテスリット14が形成されており、4〜8本のタテスリットが形成されていることが好ましい。タテスリット14が2本未満であると、耐熱衝撃性を向上させる効果が低下することがある。また、タテスリット14が8本を超えるとハニカム構造体と缶体の間に入るマットの圧縮が弱まりマット飛散の懸念がある。
本実施形態のハニカム構造体100においては、ズレ防止部材11に形成されたタテスリット14の径方向の深さが、ズレ防止部材11の厚さと同じであり、タテスリット14部分から多孔質基材5の外周6が露出している。このように形成することにより、耐熱衝撃性をより向上させることが可能となる。尚、タテスリット14の深さは、ズレ防止部材の厚さの3分の2以上、ズレ防止部材11の厚さ以下であることが好ましい。ズレ防止部材の厚さの3分の2より浅いと、耐熱衝撃性を向上させる効果が小さくなることがある。
また、本実施形態のハニカム構造体100においては、タテスリット14は、ズレ防止部材11の一方の端面から他方の端面に亘って形成されている。このように、タテスリット14が、ズレ防止部材11の両端面12,12間の全体に形成されているため、耐熱衝撃性をより向上させることが可能となる。タテスリット14は、ズレ防止部材11の、セル5の延びる方向における長さ(両端面12,12間の長さ)の50%以上であることが好ましい。50%より短いと、耐熱衝撃性を向上させる効果が小さくなることがある。
また、本実施形態のハニカム構造体100は、タテスリット14の幅(多孔質基材5の周方向における長さ)が、0.5〜10mmであることが好ましく、2〜5mmであることが更に好ましい。0.5mmより狭いと、耐熱衝撃性を向上させる効果が小さくなることがある。10mmより広いと、マットの圧縮が弱まりマット飛散の懸念がある。
また、本実施形態のハニカム構造体100は、ズレ防止部材11が、4本のタテスリット14によって4分割された状態になっている。この構造は、セル3の延びる方向に直交する断面において、多孔質基材5の外周に、4つの、所定の厚さを有する円弧状のセラミック壁が、タテスリット14の幅に相当する隙間を開けて配設された構造であるともいえる。つまり、本発明のハニカム構造体は、セルの延びる方向に直交する断面において、多孔質基材の外周に、当該多孔質基材の外周に沿った円弧状のセラミック壁が、隙間を開けて2つ以上配設された構造であるといえる。そして、当該セラミック壁の、セルの延びる方向における少なくとも片側の端面がテーパー状に形成されているものである。
ズレ防止部材11の厚さは、2〜15mmが好ましく、3〜10mmが更に好ましい。このように形成することにより、ハニカム構造体を缶体に収納した時のズレを効果的に防止することができる。
ズレ防止部材11の材質は、多孔質基材5の材質と同じであることが好ましい。これにより、耐熱衝撃性をより向上させることができる。
本実施形態のハニカム構造体100において、多孔質基材5は、隔壁4の平均細孔径が、0.5〜10μmであることが好ましく、2〜6μmであることが更に好ましい。0.5μmより小さいと、触媒担体が担持され難くなり、10μmより大きいと機械的強度が低下する問題が生じることがある。隔壁4の平均細孔径は、水銀ポロシメーターで測定した値である。
隔壁4の気孔率は、20〜45%であることが好ましく、製造の容易さの点で25〜40%であることが更に好ましい。20%より小さいと、触媒担体が担持され難くなったり、焼成時の収縮が大きくなるため寸法のバラツキが大きくなったりすることがあり、45%より大きいと機械的強度が低下する問題が生じることがある。隔壁4の気孔率は、水銀ポロシメーターにより測定した値である。
多孔質基材5のセル3の形状は特に限定されないが、セルの延びる方向(中心軸)に直交する断面において、三角形、四角形、五角形、六角形等の多角形、円形、又は楕円形であることが好ましく、その他不定形であってもよい。また、四角形の中でも正方形が好ましい。また、多孔質基材5に形成された各セル3の中心軸に直交する断面の大きさが、一方の端部から他方の端部まで同じであることが好ましい。これにより、安定した製品が得られる。
本実施形態のハニカム構造体100において、多孔質基材5のセル3の形状が、セルの延びる方向に直交する断面において正方形の場合、ズレ防止部材11に形成されたタテスリット14のうちの少なくとも1本の位置が、多孔質基材5の中心から「隔壁と平行」に延ばした直線が通る位置であることが好ましく、全てのタテスリット14の位置が、多孔質基材5の中心から「隔壁と平行」に延ばした直線が通る位置であることが好ましい。このような位置は、ズレ防止部材11上に4箇所存在し、所定の本数のタテスリットがこれら4箇所のなかのいずれかに位置することが好ましい。これにより、耐熱衝撃性をより向上させることができる。この場合、タテスリットの本数を2本とすることで十分高い効果を得ることが出来、それ以上であれば更に好ましい。また、タテスリットのうちの少なくとも1本の位置が、「正方形のセルの対角線」に平行に延ばした直線が通る位置であってもよく、全てのタテスリットの位置が、「正方形のセルの対角線」に平行に延ばした直線が通る位置であってもよい。全てのタテスリットの位置が、「正方形のセルの対角線」に平行に延ばした直線が通る位置である場合にはタテスリットを4本にすることが好ましい。この場合、タテスリットが2本又は3本であると、耐熱衝撃性向上の効果が小さい場合もある。タテスリット14の位置が、多孔質基材5の中心から「隔壁と平行」に延ばした直線が通る位置であるほうが、タテスリット14の位置が、多孔質基材5の中心から「正方形のセルの対角線」に平行に延ばした直線が通る位置であるより好ましい。タテスリット14の位置が、多孔質基材5の中心から「正方形のセルの対角線」に平行に延ばした直線が通る位置である」とは、タテスリット14が、多孔質基材5の中心から「正方形のセルの対角線」に平行に延ばした直線上に位置することを意味する。このような位置は、ズレ防止部材11上に4箇所存在し、所定の本数のタテスリットがこれら4箇所のなかのいずれかに位置することが好ましい。また、多孔質基材5の中心から「正方形のセルの対角線」に平行に延ばした直線上に位置するタテスリットと、当該直線上に位置しないタテスリットとが形成されていてもよい。タテスリットが5本以上形成されるときには、タテスリットの位置が、多孔質基材5の中心から「隔壁と平行」に延ばした直線が通る位置及び、「正方形のセルの対角線」に平行に延ばした直線が通る位置のなかのいずれかであることが好ましい。例えば、4本のタテスリットが、多孔質基材5の中心から「隔壁と平行」に延ばした直線が通る位置に形成され、残りのタテスリットが多孔質基材5の中心から「正方形のセルの対角線」に平行に延ばした直線が通る位置に形成される態様が好ましい態様である。また、4本のタテスリットが、多孔質基材5の中心から「正方形のセルの対角線」に平行に延ばした直線が通る位置に形成され、残りのタテスリットが多孔質基材5の中心から「隔壁と平行」に延ばした直線が通る位置に形成される態様も好ましい態様である。
多孔質基材5(隔壁4)は、セラミックを主成分とするものである。隔壁4の材質としては、具体的には、炭化珪素、コージェライト、アルミナタイタネート、サイアロン、ムライト、窒化珪素、リン酸ジルコニウム、ジルコニア、チタニア、アルミナ、シリカ、及びLAS(リチウムアルミニウムシリケート)又はこれらを組み合わせたものを好適例として挙げることができる。特に、炭化珪素、コージェライト、ムライト、窒化珪素、アルミナ、アルミナタイタネート等のセラミックが、耐アルカリ特性上好適である。中でも酸化物系のセラミックは、コストの点でも好ましい。また、「セラミックを主成分とする」というときは、呼称されるセラミック結晶を全体の90質量%以上含有することをいう。残りは、他のセラミック以外の成分としては、特に限定されないが、ガラス等を挙げることが出来る。
多孔質基材5の大きさは、特に限定されないが、セルの延びる方向(中心軸方向)の長さが50〜500mmであることが好ましい。また、セルの延びる方向に直交する断面形状が円形の場合、その直径が50〜350mmであることが好ましい。
本発明のハニカム構造体(第2の発明)は、上述した本発明のハニカム構造体(第1の発明)において、ズレ防止部材に、セルの延びる方向に直角に回周するリングスリットが形成されたものである。ズレ防止部材には、タテスリットが形成されていなくてもよいが、形成されていることが好ましい。第2の発明は、ズレ防止部材に、セルの延びる方向に直角に回周するリングスリットが形成されたこと、及びタテスリットが形成されても形成されなくてもよいこと以外は、第1の発明と同様の構成である。
本発明のハニカム構造体(第2の発明)の一の実施形態(ハニカム構造体103)は、図4A、図4Bに示すように、上記第1の発明のハニカム構造体の一の実施形態において、ズレ防止部材11にタテスリットが形成されずに、ズレ防止部材11に、セル3の延びる方向に直角に周回する方向にリングスリット31が設けられているものである。リングスリットの本数は1〜3本であることが好ましい。リングスリットの幅及び深さは、上記タテスリットの幅及び深さの好ましい範囲として挙げられた範囲と同じ範囲であることが好ましい。図4Aは、本発明のハニカム構造体(第2の発明)の一実施形態を模式的に示す平面図である。図4Bは、本発明のハニカム構造体(第2の発明)の一実施形態を模式的に示す正面図である。尚、図4A、図4Bに示す本発明のハニカム構造体(第2の発明)の一の実施形態において、本発明のハニカム構造体(第1の発明)の一の実施形態を構成する構成要素と同一の構成要素については、図1A、図1Bに示される本発明のハニカム構造体(第1の発明)の一の実施形態において各構成要素に付された符号と同一の符号を付している。
また、本発明のハニカム構造体(第2の発明)の他の実施形態(ハニカム構造体104)は、タテスリット14とリングスリット31の両者を同時に設けたものである。タテスリット14の構成は、上述した本発明のハニカム構造体(第1の発明)と同様であることが好ましい。図5Aは、本発明のハニカム構造体(第2の発明)の他の実施形態を模式的に示す平面図である。図5Bは、本発明のハニカム構造体(第2の発明)の他の実施形態を模式的に示す正面図である。
(2)ハニカム構造体の製造方法:
次に、本発明のハニカム構造体(第1の発明)の一実施形体の製造方法について説明する。
一方の端面から他方の端面まで貫通し流体の流路となる複数のセルを区画形成する隔壁を有するハニカム成形体を押出成形により形成する。ハニカム成形体を押出成形する方法は、特に限定されないが、例えば、まず成形原料を混練して坏土とし、得られた坏土を押出成形によりハニカム形状に成形し、ハニカム成形体を得ることが好ましい。成形原料を混練して坏土を形成する方法としては特に制限はなく、例えば、ニーダー、真空土練機等を用いる方法を挙げることができる。押出成形は、所望のセル形状、隔壁厚さ、セル密度を有する口金を用いて行うことが好ましい。口金の材質としては、摩耗し難い超硬合金が好ましい。
成形原料は、セラミック原料に分散媒及び添加剤を加えたものであり、添加剤としては、有機バインダ、無機バインダ、造孔材、界面活性剤等を挙げることができる。成形原料としては、焼成することにより、上記本発明のハニカム構造体の一実施形態において挙げられた隔壁の材料が形成されるものが好ましい。
使用するセラミック原料の粒子径及び配合量、並びに添加する造孔材の粒子径及び配合量を調整し、焼成条件を最適化することにより、所望の気孔率、平均細孔径の多孔質基材を得ることができる。
上記成形後に、得られたハニカム成形体を乾燥してもよい。乾燥方法は、特に限定されるものではないが、例えば、熱風乾燥、マイクロ波乾燥、誘電乾燥、減圧乾燥、真空乾燥、凍結乾燥等を挙げることができ、なかでも、誘電乾燥、マイクロ波乾燥又は熱風乾燥を単独で又は組合せて行うことが好ましい。また、乾燥条件としては、乾燥温度30〜150℃、乾燥時間1分〜2時間とすることが好ましい。
次に、ハニカム成形体を焼成して、多孔質基材を得ることが好ましい。焼成の条件(温度、時間)は、成形原料の種類により異なるため、その種類に応じて適当な条件を選択すればよい。
次に、多孔質基材の外周にセラミックセメントを塗布し、乾燥させて外筒付き多孔質基材を形成することが好ましい。外筒付き多孔質基材は、多孔質基材の外周に、セラミックセメントにより形成された外筒が配設された構造である。セラミックセメントとしては、コロイダルシリカに、多孔質基材の材質であるセラミック(粉末)を混合させたものが好ましい。例えば、多孔質基材の材質がコージェライトの場合、コージェライトの粉末をコロイダルシリカに混ぜたものをセラミックセメントとすることが好ましい。
次に、外筒付き多孔質基材の外筒の端面をテーパー加工し、外筒の側面をスリット加工することにより本発明のハニカム構造体を得ることが好ましい。テーパー加工の方法は、特に限定されないが、例えば、外筒付き多孔質基材を回転させながら、所定のテーパー形状を有する、ダイヤモンドをまぶした砥石を、押し当てる手法が好ましい。これにより、10秒程度で簡単、迅速にテーパー加工することが出来る。また、スリット加工の方法は、特に限定されないが、例えば、薄い歯の砥石を回転させ加工する方法が好ましい。尚、多孔質基材の外周にセラミックセメントを塗布した後に、テーパー加工を行い、その後にセラミックセメントを乾燥させてもよい。また、多孔質基材の外周にセラミックセメントを塗布した後に、スリット加工を行い、その後にセラミックセメントを乾燥させてもよい。セラミックセメントが乾燥する前に、テーパーやスリットを形成する方法としては、所定の形状の「型」を押し付けて成形する方法が好ましい。
本発明のハニカム構造体(第2の発明)の一の実施形態の製造方法は、タテスリットを形成する工程において、タテスリットの代わりにリングスリットを形成する(又はリングスリットとタテスリットの両方を形成する)以外は、上記本発明のハニカム構造体(第1の発明)の一の実施形態の製造方法と同様である。
(3)ハニカム触媒体:
本発明のハニカム構造体(第1の発明及び第2の発明)は、触媒を担持してハニカム触媒体として使用することが好ましい。触媒は、多孔質基材の外周壁の内側、セル内の隔壁表面及び/又は隔壁の細孔内に担持されることが好ましい。
触媒の担持方法は、一般的な、ハニカム構造体への触媒担持方法と同様にすることができる。具体的には、多孔質基材の一方の端面からセル内に触媒液を流し込むことにより触媒を担持する方法が挙げられる。また、他の方法としては、上記ハニカム構造体の一方の端面を数ミリ触媒液に浸漬させ、その状態で他方の端面から減圧をすることにより、セル内に触媒液を吸引し、多孔質基材のセル内の隔壁に触媒を担持する方法が挙げられる。
触媒液を多孔質基材のセル内に流入させた後に、余剰スラリーを圧縮空気で吹き飛ばすことが好ましい。その後に、触媒を乾燥、焼付けすることにより、セル内の隔壁表面に触媒が塗工(担持)されたハニカム触媒体を得ることが好ましい。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
焼成によりコージェライトが得られるコージェライト化原料に、水、バインダを加えて真空脱気しながら混練し、所定の口金を使用して押出成形することにより、一方の端面から他方の端面まで貫通し流体の流路となる複数のセルを区画形成する隔壁を有するハニカム成形体を得た。セルの延びる方向に直交する断面において、セル形状は正方形であった。
次に、ハニカム成形体を乾燥、焼成させることにより多孔質基材を得た。次に、得られた多孔質基材の外周に、コロイダルシリカにコージェライト粉末を混合させたセラミックセメントを塗布し、乾燥させて外筒付き多孔質基材を形成した。そして、外筒付き多孔質基材の外筒の両端面をテーパー加工し、外筒の側面をタテスリット加工して2本のタテスリットを形成することにより、ハニカム構造体を得た。テーパー加工する方法は、多孔質基材を回転させながら、ダイヤモンドをまぶした砥石を、セルの延びる方向に対して45°の角度で多孔質基材の外筒の端面の外周部分に押しあてることにより、45°の角度のテーパー形状の端面(ズレ防止部材の端面)を得る方法とした。また、タテスリット加工の方法は、薄い歯の砥石を回転させる方法とした。研削の深さは、多孔質基材を傷つけないためにズレ防止部材を約0.5mm程度残した深さとした。
得られたハニカム構造体の、隔壁厚さは0.09mmであり、セル密度は62セル/cmであった。ズレ防止部材の側面部分の外径(直径)は114mmであり、多孔質基材の外径(直径)は106mmであり、多孔質基材の中心軸方向長さは、114.3mmであった。また、多孔質基材の外周が露出した部分の中心軸方向の長さは5mmであった。得られた、ハニカム構造体について、以下の方法で「耐熱衝撃性」を測定し、「加熱振動試験」を行った。結果を表1に示す。
尚、表1において、「スリット」の欄は、ズレ防止部材に形成されたスリットの本数を示している。また、「スリット形成位置」の欄は、特に指定していないものは、ズレ防止部材に形成されたタテスリットの位置を示している。具体的には、セルの延びる方向に直交する断面において、多孔質基材の中心から隔壁に平行に延ばした一の直線が、ズレ防止部材と交わる位置を「0°」の位置とし、当該「0°」の位置を起点として、スリットが形成された位置の当該「0°」の位置に対する角度(多孔質基材の中心と「0°」の位置とを結ぶ直線を、多孔質基材の中心を中心にして、回転させた角度)を示している。例えば、実施例3のハニカム構造体は、図1A、図1Bに示す構造のハニカム構造体であり、タテスリット形成位置としては、「0°」の位置、「0°」の位置から90°回転した位置である「90°」の位置、「0°」の位置から180°回転した位置である「180°」の位置、そして、「0°」の位置から270°回転した位置である「270°」の位置の4箇所にタテスリットが形成されている。
(耐熱衝撃性)
耐熱衝撃性試験は、「JASO M505−87 6.7項」に規定される手順で行う。室温の試料を所定の温度に保持した電気炉に入れ、20分間保持する。試料を取り出し、耐火レンガの上に置き「クラックの有無を観察しつつ」室温まで冷却する。尚、上記「クラックの有無を観察しつつ」試料を冷却することは、「JASO M505−87 6.7項」の規定にはなく、本「耐熱衝撃性試験」に特有の操作である。耐熱衝撃性は、試料の外観を観察したときにクラックがなく、全周を金属棒(直径約1〜3mmの鉄製の棒)で軽くたたいたときに打音が金属音である最大温度差(室温との温度差:「電気炉温度−室温」)とする。クラックが発生するか、又は打音が金属音でない場合、「異常」であるとする。試料は触媒を施していないハニカム構造体で、最初の所定温度は、「600℃+室温」とし、異常がなければ電気炉の温度を50℃上げ、異常が発生するまで50℃ずつ温度を上げながら試験を繰り返した。5個のハニカム構造体について試験を行い、異常が認められた温度より1段階下の温度(異常が認められた温度より50℃低い温度)の平均値を耐熱衝撃性試験の結果とした。表1には、上記「最大温度差」が示されている。最大温度差は、比較例1または比較例5を50℃以上下回らないことが好ましい。また、破壊位置の欄で「T」とあるのはタテクラックと後の数字は発生位置、「R」とあるのはリングクラックで、リングクラックの入る位置は全長方向のほぼ中央である。
(加熱振動試験)
ハニカム構造体に、セラミック繊維でできた無膨張マットを巻き缶体に収納する。缶体は、ハニカム構造体の外筒部の外径に0.2MPaとなるマットの厚さを加えた大きさの内径を有し、一方の端部はストレートのまま、他の端部にハニカム構造体の外筒部の端面と同じ角度のテーパー部を有し、そのテーパーの先は、排気管と同じ外径になるようコーン形状となっている。そして、その缶体のストレートの端部側からマットを巻いたハニカム構造体を入れハニカム構造体のテーパー部が缶体テーパー部に当たりマットが所定の圧力になるところまで押し込む。缶体のストレート側にはフランジが付いており、そのフランジ部分に「蓋」を取り付ける。「蓋」は、缶体に接続するフランジから始まり、上記缶体のテーパー形状と同じ形状のテーパー部、その先にコーン部を有し、先端に高温ガスが供給される管に接続するためのフランジが付いている。その蓋を缶体に押し当て、フランジ同士をボルトで締め付けて缶体と蓋の間からガスが漏れないようにする。蓋のテーパーは、フランジ同士を合わせたとき、ハニカム構造体のテーパーに合うような位置関係にしてある。この状態で、ハニカム構造体のセルに、プロパンガスを燃焼した高温ガスを5分間流し、その後、室温の空気を5分間流すというサイクルを繰り返しながら、振動試験機から振動を100時間与える。高温ガスの温度は900℃とする。振動条件は、「加速度:30G、周波数:200Hz」とする。試験後、ハニカム構造体が缶体内で、2mm以上ずれた場合にそのハニカム構造体は不合格であるとし、2mm未満のずれの場合にそのハニカム構造体を合格とした。加熱振動試験の合否判定としては、2個のハニカム構造体について試験を行い、2個とも合格の場合を合格「○」とし、少なくとも一つの不合格がある場合と不合格「×」とした。
Figure 0005501631
(実施例2〜11、比較例1〜10)
「隔壁厚さ」、「セル密度」、「ズレ防止部材」、「スリット」及び「スリットの形成位置」を表1のように変化させた以外は、上記実施例1の場合と同様にしてハニカム構造体を作製した。得られたハニカム構造体について、実施例1の場合と同様にして、上記方法で「耐熱衝撃性」を測定し、「加熱振動試験」を行った。結果を表1に示す。また、耐熱衝撃性試験の結果を図6、図7にまとめた。図6、図7において、「起点0°」とは、セルの延びる方向に直交する断面において、多孔質基材の中心から隔壁に平行に延ばした一の直線が、ズレ防止部材と交わる位置にタテスリットが形成されていることを示す。また、「起点45°」とは、セルの延びる方向に直交する断面において、多孔質基材の中心から四角形セルの対角線に平行に延ばした一の直線が、ズレ防止部材と交わる位置にタテスリットが形成されていることを示す。また、「セラ筒なし」とは、ハニカム構造体がズレ防止部材を備えていないことを示す。図6は、実施例において測定された耐熱衝撃性と、ハニカム構造体に形成されたタテスリットの本数との関係を示すグラフである。図7は、実施例において測定された耐熱衝撃性と、ハニカム構造体に形成されたタテスリットの本数との関係を示すグラフである。図6は、隔壁厚さ0.09mm、セル密度62セル/cmのハニカム構造体についての結果を示し、図7は、隔壁厚さ0.064mm、セル密度93セル/cmのハニカム構造体についての結果を示す。
尚、比較例9,10および実施例11のズレ防止部材の側面部分の外径(直径)は、94mmであり、多孔質基材の外径(直径)は86mmであり、多孔質基材の中心軸方向長さは、160mmであった。また、多孔質基材の外周が露出した部分の中心軸方向の長さは5mmであった。
また、比較例1,5および9のハニカム構造体は、図2A、図2Bに示すハニカム構造体101のような構造である。ハニカム構造体101は、一方の端面から他方の端面まで貫通し流体の流路となる複数のセルを区画形成する、セラミックを主成分とする多孔質の隔壁を有するハニカム形状の多孔質基材21を備えたハニカム構造体である。図2Aは、従来のハニカム構造体を模式的に示す平面図である。図2Bは、従来のハニカム構造体を模式的に示した正面図である。
また、比較例2,6および10のハニカム構造体は、図3A、図3Bに示すハニカム構造体102のような構造である。ハニカム構造体102は、一方の端面から他方の端面まで貫通し流体の流路となる複数のセルを区画形成する、セラミックを主成分とする多孔質の隔壁を有するハニカム形状の多孔質基材22と、多孔質基材22の外周に配設され、両端面がテーパー状に形成されたズレ防止部材23とを備えたハニカム構造体である。ズレ防止材23には、スリットは形成されていない。図3Aは、従来のハニカム構造体を模式的に示す平面図である。図3Bは、従来のハニカム構造体を模式的に示した正面図である。
また、実施例11のハニカム構造体は、図4A、図4Bに示すハニカム構造体103のような構造である。ハニカム構造体103は、一方の端面から他方の端面まで貫通し流体の流路となる複数のセルを区画形成する、セラミックを主成分とする多孔質の隔壁を有するハニカム形状の多孔質基材5と、多孔質基材5の外周に配設され、両端面がテーパー状に形成されたズレ防止部材11とを備えたハニカム構造体である。ズレ防止材11には、リングスリット31が形成されている。
表1より、同じセル構造毎に比較をすると、実施例1〜11のハニカム構造体は、耐熱衝撃性に優れ、加熱振動試験の結果も良好であることがわかる。これに対し、比較例2〜4,6〜8のハニカム構造体は、耐熱衝撃性に劣ることがわかる。ただし、実施例2では、比較例1に対し60°低く、好ましいとした差50°より低く、効果が少なく、一方実施例7では比較例5より40°低く好ましいとした差50°以内である。もともと通常のハニカム構造体である比較例1および比較例5では45°方向でクラックが入っているので45°にスリットを入れる場合は、4本以上必要であることがわかる。そして、比較例1,5のハニカム構造体は、加熱振動試験の結果が悪いことが分る。
本発明のハニカム構造体は、排気ガスの浄化に使用される触媒の基体として好適に用いられる。
1:一方の端面、2:他方の端面、3:セル、4:隔壁、5:多孔質基材、6:多孔質基材の外周、11:ズレ防止部材、12:端面、13:先端、14:タテスリット、21,22:多孔質基材、23:ズレ防止部材、31:リングスリット、100,101,102,103,104:ハニカム構造体。

Claims (7)

  1. 一方の端面から他方の端面まで貫通し流体の流路となる複数のセルを区画形成する、セラミックを主成分とする多孔質の隔壁を有するハニカム形状の多孔質基材と、
    前記多孔質基材の外周に配設され、少なくとも片側の端面が、先端に向かうに従って外径が細くなるテーパー状であり、前記セルの延びる方向に平行に延びるタテスリットが2本以上形成されたセラミックを主成分とするズレ防止部材とを備え、
    前記タテスリットの幅が0.5〜10mmであり、前記ズレ防止部材の厚さが2〜15mmであり、
    前記ズレ防止部材に形成された前記タテスリットの径方向の深さが、前記ズレ防止部材の厚さと同じであり、前記タテスリット部分から前記多孔質基材の外周が露出しているハニカム構造体。
  2. 前記ズレ防止部材に形成された前記タテスリットが等間隔に4〜8本である請求項1に記載のハニカム構造体。
  3. 前記セルの延びる方向に直交する断面において、前記セルの形状が正方形であり、前記ズレ防止部材に形成された前記タテスリットのうちの少なくとも1本の位置が、前記多孔質基材の中心から前記隔壁に平行に延ばした直線が通る位置である請求項1又は2に記載のハニカム構造体。
  4. 前記セルの延びる方向に直交する断面において、前記セルの形状が正方形であり、前記ズレ防止部材に形成された前記タテスリットのうちの少なくとも1本の位置が、前記多孔質基材の中心から前記正方形のセルの対角線に平行に延ばした直線が通る位置である請求項1又は2に記載のハニカム構造体。
  5. 一方の端面から他方の端面まで貫通し流体の流路となる複数のセルを区画形成する、セラミック多孔質の隔壁を有するハニカム形状の多孔質基材と、前記多孔質基材の外周に配設され、少なくとも片側の端面が、先端に向かうに従って外径が細くなるテーパー状であり、前記セルの延びる方向に直角に回周するリングスリットが2本以上形成されたセラミックを主成分とするズレ防止部材とを備え、
    前記リングスリットの幅が0.5〜10mmであり、前記ズレ防止部材の厚さが2〜15mmであり、
    前記ズレ防止部材に形成された前記スリットの径方向の深さが、前記ズレ防止部材の厚さと同じであり、前記スリット部分から前記多孔質基材の外周が露出しているハニカム構造体。
  6. 前記ズレ防止部材に形成された前記リングスリットの位置が、前記ズレ防止部材を等分割する位置である請求項5に記載のハニカム構造体。
  7. 前記ズレ防止部材に、前記セルの延びる方向に平行に延びるタテスリットが2本以上形成された請求項5又は6に記載のハニカム構造体。
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