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JP5500749B2 - 好中球刺激活性を有するポリペプチド - Google Patents

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Description

技術分野
本発明は、好中球刺激(遊走、活性化)活性を有するポリペプチドに関する。本発明のポリペプチド及びその受容体、並びにそれらに対する抗体は、好中球刺激に関する疾患又は状態の治療、診断等に利用することができる。
背景技術
炎症現象は、様々な因子が影響しあう複合反応であるが、炎症反応の主役は白血球である。白血球は、血液中から炎症刺激の加わった部位に、細静脈部を介して動員される。急性炎症では、まず、好中球の滲潤が起こり、続いてマクロファージ、リンパ球の滲潤が起こる。炎症の種類によっては、好酸球、好塩基球の滲潤が起こる。これらの白血球の滲潤は炎症の種類によって異なることまた、滲潤の時間的経過も異なることから、それぞれの白血球に対応するメカニズムが考えられている。
好中球の滲潤もまた、複合現象である。好中球は通常は血流の中心部を流れているが、刺激が加わり、微小循環の拡大と血流速度の低下が起こると、流体力学的な作用により血管の辺縁を流れるようになり、内皮細胞と接触するようになるという説がある。そして、初期には、好中球は内皮細胞表面を転がったり、ゆっくり散歩するように動いたりするが、その後、好中球は内皮細胞に強固に拘着(接着)するようになる。拘着した好中球は、内皮細胞間の接着部分に向かって偽足を出し、内皮細胞もまた好中球を包み込むようになり、好中球は内皮細胞下腔へと伸び出し、更に外膜細胞の間を通り抜けて組織内へ滲潤する。そして、炎症刺激異物の存在する局所において、活性酸素の産生による殺菌、分解酵素の分泌、サイトカイン類の放出、及び貧食作用を示すことで、その機能を発揮する。
好中球の滲潤が起こるのは、ウイルスや細菌のような異物が侵入した場合に限られない。例えば、心筋梗塞や臓器移植の後に臓器への血流が再開したとき、好中球の滲潤を伴う臓器障害が起こることがある。このような症状は、虚血後再灌流障害と呼ばれる。
好中球は、炎症部位から産生される走化性因子に反応し、その因子の濃度勾配を認識しながら炎症部位へ移動すると考えられている。現在までに好中球の局所への遊走を誘引する因子(走化性因子)として知られているものには、ケモカインと呼ばれる一連のタンパク質性因子、補体因子C3a及びC5a、アラキドン酸代謝系因子のロイコトリエンB、血小板活性化因子、並びに細菌タンパク質のモデルペプチドであるホルミルメチオニル−ロイシル−フェニルアラニン(fMLF)を含むホルミルペプチドがある(Annu.Rev.Immunol.2,257−281,1984、及びAnnu.Rev.Immunol.15,675−705,1997)。しかし、これらの物質が炎症発生の段階でどのように関与しているかは、はっきりしていない。
ケモカインは、好中球、単球又はTリンパ球等を局所部位へ遊走させる働きを有するタンパク質性の内因性物質の総称である。ケモカインは、一次構造により、(1)N末端から1番目及び2番目においてシステイン残基が隣り合っているCCファミリー、(2)1個のアミノ酸で隔てられているCXCファミリー、(3)3個のアミノ酸で隔てられているCXCファミリー、及び(4)1個のシステイン残基を有するCファミリーの4つに分類されている。これらのうち、好中球にはCXCファミリーのみが作用すると考えられており、このファミリーに属するものとして、インターロイキン−8(IL−8)、及び好中球活性化タンパク質−2(neutrophil activating protein−2)等が知られている(Annu.Rev.Immunol.15,675−705,1997)。
一方、炎症部位においては、活性化された好中球により放出される活性酸素や分解酵素等により細胞障害が生じていることが知られている。このような障害が生じている組織内においては、IL−8を含む種々のケモカインの濃度上昇が認められていることから、IL−8等は好中球の活性化による組織破壊にも関与しているといわれるが、細胞障害が発生する段階においてIL−8が関与しているとは考えにくい。
発明の開示
ケモカインは正常組織に常に存在しているのではなく、組織に何らかの刺激が加わったときに合成され、分泌されてその機能を発揮すると考えられる。通常、遺伝子が転写、翻訳され、タンパク質が発現されるのには数時間〜約半日ぐらいかかるといわれる。これに対し、実際の炎症反応はさらに早く惹起されることも多い。従って、好中球を誘引して活性化することのできる因子を正常な細胞が予め用意している可能性がある。そしてそのような因子の解明は、炎症の発生を初期段階で抑える方法を確立することにもつながり、リウマチ、急性腎炎、及び劇症肝炎を含む炎症性疾患を含む種々の組織炎症や、虚血後再灌流障害の診断、並びに治療のための薬剤開発にとって極めて有用である。
本発明者らは、正常な細胞が予め用意しているであろう好中球刺激(遊走、活性化)に関係する因子を見出すべく、種々の検討を行った。そして健康なブタ心臓を材料とした抽出物から好中球刺激活性を有する新規ポリペプチド(配列番号1)を単離し、またそのポリペプチドと同様の活性を有すると予想される種々の新規ポリペプチド(配列番号3,4及び5)を見出した。さらに本発明者らは、上記新規ポリペプチドが、新規な受容体を介するか又は直接Gタンパク質を活性化する可能性があることを見出した。さらに本発明者らは、上記新規ポリペプチドが、新規な特性、すなわちある濃度では好中球遊走活性を発揮するが、濃度の上昇とともに遊走活性が脱感作され、しかも好中球を活性化(分解酵素、各種サイトカイン及び過酸化物質の産生、並びに貧食)するという特性を有する可能性があることをも見出した。そして本願発明を完成した。
発明の詳細な説明
好中球刺激活性を有するポリペプチド
本発明は、(a)配列番号1のアミノ酸配列からなるポリペプチド;(b)配列番号1のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ好中球刺激活性を有するポリペプチド;又は(c)前記(a)若しくは前記(b)のポリペプチドのアミノ酸配列と生物学的に同等であるアミノ酸配列からなるポリペプチドを提供する。本発明はまた、(a)配列番号3のアミノ酸配列からなるポリペプチド;(b)配列番号3のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ好中球刺激活性を有するポリペプチド;又は(c)前記(a)若しくは前記(b)のポリペプチドのアミノ酸配列と生物学的に同等であるアミノ酸配列からなるポリペプチドを提供する。本発明はまた、(a)配列番号4のアミノ酸配列からなるポリペプチド;(b)配列番号4のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ好中球刺激活性を有するポリペプチド;又は(c)前記(a)若しくは前記(b)のポリペプチドのアミノ酸配列と生物学的に同等であるアミノ酸配列からなるポリペプチドを提供する。そして、本発明はまた、(a)配列番号5のアミノ酸配列からなるポリペプチド;(b)配列番号5のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ好中球刺激活性を有するポリペプチド;又は(c)前記(a)若しくは前記(b)のポリペプチドのアミノ酸配列と生物学的に同等であるアミノ酸配列からなるポリペプチドを提供する。
配列番号1のポリペプチドは、アミノ酸23残基からなるポリペプチドであり、システイン残基を含んでいない。このポリペプチドは、ウシ心臓シトクロムCオキシダーゼ サブユニットVIIIのC末端23残基(配列番号2)と82%相同である(23残基中、19残基が一致)。さらに、ヒトシトクロムCオキシダーゼ サブユニットVIIIのC末端21残基(配列番号3)とは57%相同である(21残基中、12残基が一致)。
Figure 0005500749
本明細書では、配列番号1のポリペプチドをCOSP−1ということもある。
配列番号4のポリペプチドは、ブタシトクロム b(1−15)と同一の、以下のアミノ酸15残基からなる配列のポリペプチドである。本明細書では、このペプチドをfCyt b(1−15)ということもある。これはヒトシトクロム b(1−15)(配列番号5)と67%相同である(15残基中、10残基が一致)。
Figure 0005500749
配列中、fMetはホルミルメチオニル残基を表す。
本明細書でいう「好中球」は、ヒトを含む動物の好中球の他、好中球様細胞を含む。好中球様細胞の具体例としては、ジブチリックサイクリックAMP処理により分化したHL60細胞を挙げることができる。また、「好中球刺激活性」は、ヒトを含む動物の好中球又は好中球様細胞の、遊走(「走化」ということもある)及び/又は活性化を促進する活性をいう。遊走は組織への滲潤、局所への移動を含む。活性化は活性酸素の産生及び分解酵素(例えば、β−HA)の分泌、各種サイトカイン及び過酸化物質の産生、並びに貧食を含む。このような好中球刺激活性は、好中球走化活性、活性酸素放出、β−HA分泌量、及び/又は細胞内Ca2+濃度の上昇を測定することにより検定することができる。また、本明細書で、あるポリペプチドが「好中球刺激活性を有する」というときは、好中球刺激活性のうち、好中球の遊走を促進する活性と好中球の活性化を促進する活性とのいずれか一方のみを有している場合と、双方を有している場合とを含む。
また、本明細書で、「1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列」というときの個数は、そのアミノ酸配列からなるポリペプチドが好中球刺激活性を有する限り特に限定されず、部位特異的突然変異誘発法等の周知の技術的方法により、又は天然に生じうる程度の数のアミノ酸が置換等されていることを意味する。1〜9個又は1〜4個程度であれば、そのような活性を消失しないであろう。また、本明細書で、「配列番号xのアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列」というとき、このアミノ酸配列は、配列番号xのアミノ酸配列と相同性を有するアミノ酸配列を含む。ここで、相同性は、少なくとも50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上、さらに好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上、最も好ましくは98%以上である。ここでは「相同」を、比較される配列間において、各々の配列を構成するアミノ酸残基の一致の程度の意味で用いている。このとき、ギャップの存在及びアミノ酸の性質が考慮される。相同性の計算には、市販のソフトを用いることができる。
また、本明細書で、あるポリペプチドのアミノ酸配列と「生物学的に同等であるアミノ酸配列」というときは、該ポリペプチドと同一のアミノ酸配列を有し、そして含まれるアミノ酸が修飾されているが、該ポリペプチドと同様の機能・作用(例えば、好中球刺激活性)を有するようなアミノ酸配列をいう。修飾はポリペプチドのN末端(アミノ基)、C末端(カルボキシル基)、及びそれ以外のアミノ酸側鎖において起こりうる。例えば、N末端のホルミル化、アセチル化、メチル化、C末端のエステル化、アミド化又はその他の修飾を含む。N末端のホルミル化は特に好ましい。
本発明のポリペプチドは、動物組織材料から調製することができる。調製操作は、動物組織材料からポリペプチド成分を精製するのための通常の手段(例えば、アフィニティークロマトグラフィ、イオン交換クロマトグラフィ、ゲルろ過、HPLC)を用いて行うことができる。例えば、ブタ心臓ホモジネートからペプチド性物質を粗抽出し、これを分画し、好中球刺激活性を有する画分を得ることができる。また、本発明のポリペプチドは化学的に合成することができる。合成は、ポリペプチド合成のための通常の手段を用いて行うことができる。このような合成手段としては、Boc法、Fmoc法等がある。さらに、本発明のポリペプチドは、遺伝子工学的な手法を用いても製造することができる。
新規受容体及び/又はGタンパク質に結合することができるポリペプチド
本発明のポリペプチドは、本発明者らの検討により、(1)好中球様に分化するのに伴って発現する受容体を介して、好中球刺激活性を発揮することができると考えられる点(実施例6参照)、(2)刺激による細胞内Ca2+濃度の上昇は細胞内Ca2+ストアからのCa2+の遊離と細胞外からの流入により起こりうると考えられる点(実施例7参照)、そして(3)PTX感受性Gタンパク質と共役する受容体の活性化を介して好中球活性化を引き起こすと考えられる点(実施例8参照)では、fMLPと作用機序が類似していることが分かった。しかしながら、本発明のポリペプチドのうち、配列番号1のものは、[H]fMLPとfMLP受容体の特異的な結合を阻害しない点では、fMLPとは異なる受容体を介するか、又は直接Gタンパク質を活性化することで、情報を細胞内に伝達していると考えられる(実施例9及び10参照)。従って本発明は、fMLPを介するのとは異なる活性化経路を開示する。このような経路に関わる受容体及びGタンパク質は、他の受容体及びGタンパク質を得るために当業者に用いられている通常の方法に従って取得することができる。
さらに、本発明は: (d)配列番号1のアミノ酸配列からなるポリペプチド;(e)配列番号1のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ前記(d)のポリペプチド結合性の受容体又はGタンパク質に結合することができるポリペプチド;又は(f)前記(d)若しくは前記(e)のポリペプチドのアミノ酸配列と生物学的に同等であるアミノ酸配列からなるポリペプチド: (d)配列番号3のアミノ酸配列からなるポリペプチド;(e)配列番号3のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ前記(d)のポリペプチド結合性の受容体又はGタンパク質に結合することができるポリペプチド;又は(f)前記(d)若しくは前記(e)のポリペプチドのアミノ酸配列と生物学的に同等であるアミノ酸配列からなるポリペプチド: (d)配列番号4のアミノ酸配列からなるポリペプチド;(e)配列番号4のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ前記(d)のポリペプチド結合性の受容体又はGタンパク質に結合することができるポリペプチド;又は(f)前記(d)若しくは前記(e)のポリペプチドのアミノ酸配列と生物学的に同等であるアミノ酸配列からなるポリペプチド: 及び(d)配列番号5のアミノ酸配列からなるポリペプチド;(e)配列番号5のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ前記(d)のポリペプチド結合性の受容体又はGタンパク質に結合することができるポリペプチド;又は(f)前記(d)若しくは前記(e)のポリペプチドのアミノ酸配列と生物学的に同等であるアミノ酸配列からなるポリペプチドをも提供する。
本明細書で、あるポリペプチドの受容体又はあるGタンパク質に「結合することができる」というときは、特別な場合を除き、該ポリペプチドに対する受容体(例えば、上述した新規な受容体)と単に結合することができる(「親和性がある」ともいう。)ことをいい、結合の結果その受容体の構造変化をもたらし、続いて種々の生理作用を示すことができる場合と、結合して他の物質が受容体と結合するのを阻害することができる場合(それ自身は、受容体を介した生理作用を示さないことが多い)とを含む。あるペプチドが、本発明に関わる受容体又はGタンパク質に結合することができるか否かは、ある物質が他の受容体及びGタンパク質との結合性を測定する場合に当業者に用いられている通常の方法に従って取得することができる。
炎症発症性ペプチド
本発明のポリペプチドは、本発明者らの検討により、好中球刺激活性(遊走及び活性化)のうち、ある場合には(例えば、ある濃度において)遊走活性のみを発揮し得、他の場合には(例えば、先の濃度より高い濃度において)活性化能力のみを発揮しうる可能性があることが見出された(実施例12)。また本発明のポリペプチドは生体内において、炎症部位より拡散し、好中球を誘引し(この段階では、好中球を活性化しない。)、好中球が炎症部位に接近することによって好中球に対する本発明のペプチドの濃度が上昇すると、好中球遊走を停止させ、炎症部位付近で好中球活性化している可能性が見出された(同実施例参照)。
従って、本発明は: (a)配列番号1のアミノ酸配列からなるポリペプチド;(b)配列番号1のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ好中球の活性化を促進せずに好中球の遊走を促進する活性又は好中球の遊走を促進せずに好中球の活性化を促進する活性を有するポリペプチド;又は(c)前記(a)若しくは前記(b)のポリペプチドのアミノ酸配列と生物学的に同等であるアミノ酸配列からなるポリペプチド: (a)配列番号3のアミノ酸配列からなるポリペプチド;(b)配列番号3のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ好中球の活性化を促進せずに好中球の遊走を促進する活性又は好中球の遊走を促進せずに好中球の活性化を促進する活性を有するポリペプチド;又は(c)前記(a)若しくは前記(b)のポリペプチドのアミノ酸配列と生物学的に同等であるアミノ酸配列からなるポリペプチド: (a)配列番号4のアミノ酸配列からなるポリペプチド;(b)配列番号4のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ好中球の活性化を促進せずに好中球の遊走を促進する活性又は好中球の遊走を促進せずに好中球の活性化を促進する活性を有するポリペプチド;又は(c)前記(a)若しくは前記(b)のポリペプチドのアミノ酸配列と生物学的に同等であるアミノ酸配列からなるポリペプチド:及び (a)配列番号5のアミノ酸配列からなるポリペプチド;(b)配列番号5のアミノ酸配列において1若しくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入若しくは付加されたアミノ酸配列からなり、かつ好中球の活性化を促進せずに好中球の遊走を促進する活性又は好中球の遊走を促進せずに好中球の活性化を促進する活性を有するポリペプチド;又は(c)前記(a)若しくは前記(b)のポリペプチドのアミノ酸配列と生物学的に同等であるアミノ酸配列からなるポリペプチドを提供する。
治療方法、キット、スクリーニング方法等
本発明のポリペプチドは、好中球刺激活性を有するから、好中球の減少、機能低下に関連する疾患又は状態(例えば、好中球減少症)の診断・治療に有用である。また、心筋梗塞、及び臓器移植に起因するものを含む虚血後再灌流障害、I型糖尿病、並びにリウマチ、急性腎炎、及び劇症肝炎を含む炎症性疾患を含む、好中球の活性化に関連する疾患又は状態の診断又は治療方法の解明に有用である。さらに、本発明のポリペプチドは、好中球刺激活性の測定、好中球に関連する疾患又は状態の臨床検査又は治療に有用な物質のスクリーニング方法、好中球に関連する疾患又は状態の臨床検査又は治療に有用な物質の製造方法、並びに本発明のポリペプチドの好中球刺激活性に影響を与えるか否かを確認するためのキット、又は好中球に関連する疾患若しくは状態の臨床検査若しくは治療のためのキット、に用いることができる。
具体的には、本発明のポリペプチド又は該ポリペプチドの抗体等の、好中球に関連する疾患又は状態の臨床検査又は治療に有用な物質を用いて、上記の虚血後再灌流障害、I型糖尿病並びにリウマチ、急性腎炎及び劇症肝炎を含む炎症性疾患等の、早期発見、予防、治療等に用いることができる可能性がある。
また、本発明のポリペプチドに対する中和抗体等の、本発明のポリペプチドの活性を抑制する物質を用いて好中球の滲潤を抑制することにより、上記の虚血後再灌流障害、I型糖尿病並びにリウマチ、急性腎炎及び劇症肝炎を含む炎症性疾患等の治療にも用いることができる可能性がある。
さらに本発明のポリペプチドを過剰に投与し、好中球の炎症部位への移行を妨げることにより、上記の虚血後再灌流障害、I型糖尿病並びにリウマチ、急性腎炎及び劇症肝炎を含む炎症性疾患等における炎症を抑制することができる可能性もある。
本発明は、(l)物質と本発明のポリペプチドとを組み合わせて用いる工程;及び(m)該物質が本発明のポリペプチドの好中球刺激活性に影響を与えるか否かを確認する工程を含む、好中球に関連する疾患又は状態の臨床検査又は治療に有用な物質のスクリーニング方法: (l)物質と請求項1〜9の何れか1項に記載のポリペプチドとを組み合わせて用いる工程;(m)該物質が該ポリペプチドの好中球刺激活性に影響を与えるか否かを確認する工程;及び(n)該物質を合成するを含む、好中球に関連する疾患又は状態の臨床検査又は治療に有用な物質の製造方法: 並びに(s)本発明のポリペプチド及び/又は以下で述べる抗体;及び(t)本発明のポリペプチド及び/又は以下の抗体を包含する容器を含む、本発明のポリペプチドの好中球刺激活性に影響を与えるか否かを確認するためのキット、又はそのようなものを含む好中球に関連する疾患若しくは状態の臨床検査若しくは治療のためのキットを提供する。ここで、「物質と本発明のポリペプチドとを組み合わせて用いる」とは、例えば、物質と本発明のポリペプチドとを接触させること、及び物質と本発明のペプチドとを競合的に用いることを含む。「ポリペプチドの好中球刺激活性に影響を与える」とは、そのポリペプチドと結合することにより又は競合すること等により、その好中球刺激活性を促進すること又は阻害することを含む。
本発明のポリペプチド等の、好中球に関連する疾患又は状態の臨床検査又は治療に有用な物質の好中球刺激活性は、好中球(好中球様細胞を含む)を用いて評価することができる。例えば、好中球様に分化したHL60細胞、又はヒト白血球細胞の懸濁液にポリペプチドを加えて細胞を刺激し、細胞又は上清中の好中球が活性化されたときに産生される物質(活性化指標物質、例えばβ−HA)を測定することにより、評価することができる。刺激する際に、cytochalasin B及びDNaseを添加し、上清中のβ−HA活性を測定するのが簡便である。同時に、細胞障害の指標となる物質(例えば、乳酸脱水素酵素(lactatedehydrogenase、LDH)活性)を測定することは、ポリペプチドが細胞に障害を与えるか否かを判断することができ、また、活性化指標物質の分泌機序(例えば、エキソサイトーシス)を予想することができ、有用である。また、未分化又は好中球様に分化したHL60細胞を用いて、遊走活性を測定することによっても、本発明のポリペプチドを評価することができる。遊走活性の測定方法もまた、当業者にはよく知られている。ポリペプチドが好中球遊走活性を示せば、本発明の範囲に含まれうるが、本発明のポリペプチドとしては、好中球に対しては遊走活性を示すが、未分化の細胞においては遊走活性を示さないものが好ましい。例えば、未分化HL60細胞においては遊走活性を示さないが、分化HL60細胞においては遊走活性を示すものが好ましい。
抗体
さらに、本発明は、上述の一群のポリペプチドに対する抗体を提供する。このような抗体は、好中球の活性化に関連する疾患又は状態の診断・治療に有用である。抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体のいずれも有用であるが、モノクローナル抗体がより好ましい。モノクローナル抗体には、IgG、IgM、IgA、IgD及びIgEのいずれかのイムノグロブリンクラスに属するモノクローナル抗体をも包含し、好適にはIgG及びIgMイムノグロブリンクラスモノクローナル抗体である。抗体の製造には当業者にはよく知られた手段を用いることができる。例えば、モノクローナル抗体を製造するには、本発明のポリペプチドをキャリアータンパク質に結合させ、必要に応じアジュバンドとともに腹腔内に注射して、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、ウサギ等の哺乳動物、好ましくはマウスを免疫感作する。必要に応じて感作を繰り返す。適当な抗体力価が得られるときに上記の哺乳動物の脾臓、リンパ節、骨髄又は扁桃等、好ましくは脾臓に含まれる抗体産生細胞を取り出して、ミエローマ細胞、好ましくは上記の哺乳動物と同種のミエローマ細胞と融合させる。そして、選択培地を用いることにより、脾臓細胞同士のハイブリッド細胞、ミエローマ細胞同士のハイブリッド細胞、及び未融合細胞を除去する。得られたハイブリドーマを本発明のポリペプチドに対する反応性を指標にスクリーニングして、ポリペプチドに対する所望の抗体を産生する細胞を得る。得られたハイブリドーマから、マウス腹水法、又は適当な培地と培養器を用いた培養法により、所望の抗体を得ることができる。また、本発明の抗体と同様の作用を示すものとして、本発明のポリペプチドを修飾したポリペプチドを挙げることができる。
本発明のポリペプチド又は抗体を治療のために投与する際は、投与経路は意図した効果を発揮することができ、かつ安全に投与することができれば特に制限されない。また、意図した効果を発揮することができ、かつ安全に投与することができれば剤形は特に制限されず、投与経路等に応じたものとすることができる。製剤の際には薬剤的に許容できる防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、安定化剤等の種々の担体を加えることができる。このような種々の製剤は、当業者にはよく知られた工程により製造することができる。投与量も、投与の目的、患者の性別、体重、年齢、剤形、症状、投与経路、投与回数、投与経過等に応じて適宜決定することができる。
本発明の抗体は、本発明のポリペプチドを抗原として当業者によく知られたELISA法等により、本発明のポリペプチドとの抗原抗体反応の面から評価することができる。また、上述の好中球刺激に関する評価系を利用して、好中球刺激活性の抑制効果の面から評価することができる。
以下、本発明を実施例により説明するが、これらの実施例は本発明の範囲を制限するものではない。
実施例
実施例1〜3は、ポリペプチドの製造に関する。実施例4及び5は、ポリペプチドの好中球刺激活性に関連する。実施例6〜10は、ポリペプチドの好中球活性化機序に関する。実施例11は抗体の製造に関する。
実施例1(動物組織材料からのCOSP−1の精製)
(1)粗抽出物の調製
健康なブタ心臓を材料として、COSP−1を調製した。即ち、ブタ心臓(2.2kg、6匹分)を屠殺後直ちに摘出し、氷冷した生理食塩水(0.9%NaCl溶液)を用いて速やかに脱血し、洗浄し、氷冷した。続いて、心臓表層の脂肪組織や血管を氷冷下で出来るだけ切除し、厚さ5mm程度に薄く細片化し、次に、内因性プロテアーゼによる分解を最小限に抑えるため、細片化した組織を16lのイオン交換水中で100℃、10分間熱処理した。これを室温にまで冷却し、ワーニングブレンダーを用いて1M酢酸−20mM塩酸中で10分間ホモジナイズした。このホモジネートに20mM塩酸を含む1M酢酸を加え、全量を10Lとし、これを18時間、4℃で攪拌しながら抽出し、粗抽出溶液を得た。この抽出溶液を氷冷下で20,000g、10分間遠心し、得られた上清を2.5Lまで濃縮した。この濃縮溶液に、氷冷したアセトンを最終濃度が60%になるように加え、20時間、4℃で攪拌し、再び遠心分離(20,000g、10min、4℃)を行ない変性タンパク質などを沈殿除去し、エバポレーターでアセトンを除いた。続いてジエチルエーテルによる脱脂洗浄を2〜3回行なった。その後、抽出液が1Lになるまで濃縮し、さらに遠心して(20,000g、30min、4℃)不溶物を除いた後、上清を減圧濃縮、凍結乾燥して粗抽出物を得た。
乾固した粗抽出物を1M酢酸約300mlに溶解した後、SP−Shephadex C−25(7×37.5cm、Pharmacia Biotech社)を用いた陽イオン交換クロマトグラフィーによって、1M酢酸で溶出されるA画分、2Mピリジンで溶出されるP画分、2Mピリジン−酢酸(pH5.0)で溶出されるPA画分に分離した。これらをそれぞれ濃縮して凍結乾燥した。このうちPA画分を0.1M酢酸80mlに溶解し、Shephadex G−25(4×146cm、Pharmacia Biotech社)を用いたゲル濾過クロマトグラフィーにより分離した。この際、移動相には0.1M酢酸を用い、流速0.4ml/minで溶出、フラクションコレクターにより10mlずつ分取した。各画分について分化HL60細胞からのβ−HA分泌活性を、実施例4に記載の方法に従って測定した。その結果、3つの異なる活性画分、PAG1(溶出量650〜750ml)、PAG2(溶出量750〜1100ml)、PAG3(溶出量1450〜1700ml)を得た。これらの操作を6回繰り返し、合計13.2kgのブタ心臓より抽出を行なった。
(2)精製
上記で得られたPAG1面分を調製用ODSカラム(20×250mm、山村化学(株))を用いた逆相高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)により精製した。0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)存在下、アセトニトリルの直線的濃度勾配をかけて流速5ml/minで溶出を行い、230nmの吸収を検出した。1画分当り15mlずつ分取し、それぞれの画分の分化HL60細胞からのβ−HAの分泌活性を測定した。結果、アセトニトリルの濃度が33〜39%で溶出される画分、及び40〜46%で溶出される画分に活性が認められたので、これらをそれぞれPAG1−A、PAG1−Bとした。
続いて、得られたPAG1−B画分を陽イオン交換カラムTSK−CM2SW(4.6×250mm 東ソー)を用た高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により精製した。10%アセトニトリル存在下、pH6.6に調製したギ酸アンモニウム緩衝液の直線的濃度勾配をかけて流速1ml/minで溶出し、280nmの吸収を検出した。1画分当り1mlずつ分取し、それぞれの画分の分化HL60細胞からのβ−HAの分泌活性を測定した。その結果、ギ酸アンモニウムの濃度が88〜109mMで溶出される画分(PAG1−BI)、254〜271mMで溶出される画分(PAG1−BII)に活性が認められた。
さらにPAG1−BII画分を、分析用C18カラム(4.6×250mm、218TP54Vydac社)を用いたRP−HPLCによりさらに精製した。溶出は0.1%TFA存在下でアセトニトリルの濃度勾配をかけ流速1ml/minで行い、214nmの吸収で検出し、1画分当たり1mlずつ分取し、コンセントレターで濃縮、減圧乾固した後、各画分を200μlの超純水に溶解してβ−HA分泌活性を測定した。その結果、アセトニトリルの濃度が33%で溶出される12番目の画分(PAG1−BII(F12))に71%/controlの分泌活性が認められた。続いてさらに、この活性画分を分析用C2/C18カラム(2.1×100mmμRPC C2/C18 SC2.1/10、Pharmacia Biotech社)を用いた微量RP−HPLCにより分析及び精製した(流速100μl/min)。PAG1−BII(F12)には夾雑物が含まれていたため、ピーク分取を行い(PAG1−BII(F12)peak)、これを濃縮し、減圧乾固した後、100μlに溶解して活性を測定した。結果、アセトニトリルの濃度が40%で溶出される単一のピークに84%/controlの分泌活性が認められた。
(3)サーモリシン処理による確認
PAG1−BII(F12)peak画分について、含まれる活性成分がタンパク質又はポリペプチドであるかどうか確認するため、タンパク質分解酵素であるサーモリシンによる酵素消化がこれら物質の活性に与える影響を検討した。即ち、得られた画分と0.1Mピリジン−塩酸(pH6.5)に溶解したサーモリシン(1mg/ml)とを混合し(サンプル:サーモリシン溶液 1:1)、45℃で、24時間反応させた。つぎに酵素反応を停止させるために、混合液を100℃、5分間処理した。そして得られた溶液のβ−HA分泌活性を測定した。
その結果、サーモリシン消化によりこの画分の活性が完全に消失した(処理前12.8%/control、処理後0.4%/control)。従って、この画分のβ−HA分泌活性成分は、タンパク質又はポリペプチドであることが示された。
(4)構造解析
a.アミノ酸配列等の解析
PAG1−BII(F12)peak画分に含まれる物質について、fast atom bombardment mass spectrometry(FABMS)(JEOL JMS−HX/HX10A日本電子)による分子量の測定を行なった。その結果、PAG1−BII(F12)peak画分に含まれる物質は、分子量が2568.2であることが示された。さらに、質量分析におけるスペクトルから、画分に含まれる物質はいずれもシステイン残基を含まないことが示唆された。
さらに、PAG1−BII(F12)peak画分について酸加水分解を行い、アミノ酸組成を解析した。結果を下表に示す。
Figure 0005500749
次いで、アミノ酸一次配列解析装置(PPSQ−10、島津製作所)を用い、エドマン法によるアミノ酸配列の解析を行なった。結果を以下に示す。
Figure 0005500749
このようにPAG1−BII(F12)peak画分に含まれる物質は、23残基のポリペプチドであり、システイン残基を含んでいなかった。
b.C末端解析
エドマン法によるアミノ酸配列解析ではC末端がカルボキシル基であるか、修飾を受けているかを決定することは不可能である。そこで、ポリペプチドのC末端構造を明らかにするために、FABMSを用いて解析した。その結果、C末端がカルボキシル基であるときの理論分子量とFABMSによって求められた分子量とが一致したことから、C末端がカルボキシル基であることが示された。
c.ホモロジー検索
得られたポリペプチドが新規なものであるかどうか情報を得るために、データベースGenome Net WWW(Location;http://www.genome.ad.jp/)を用い、既知物質とのホモロジー検索を行なった。その結果、このポリペプチドは、ウシ心臓シトクロムCオキシダーゼ サブユニットVIIIのC末端23残基と82%相同であり(23残基中、19残基が一致)、このポリペプチドがブタ心臓シトクロムCオキシダーゼ サブユニットVIII関連ペプチドであることが予想された。そこで、このポリペプチドをcytochrome C oxidase subunit peptide−1(COSP−1)と命名した。ウシ心臓シトクロムCオキシダーゼ サブユニットVIIIのC末端23残基を以下に示す。
Figure 0005500749
またCOSP−1は、ヒトシトクロムCオキシダーゼ サブユニットVIIIのC末端部と57%相同であった(21残基中、12残基が一致)。この配列を以下に示す。
Figure 0005500749
実施例2(動物組織材料からのfCyt b(1−15)の精製)
(1)精製
実施例1で得られたPAG1を、まず調製用ODSカラム(20×250mm、山村化学(株))を用いたRP−HPLCにより精製し、得られた各画分についてコンセントレターで濃縮、減圧乾固した後、超純水に溶解して分泌活性を測定した。このとき0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)存在下、アセトニトリルの直線的濃度勾配をかけて流速5ml/minで溶出を行い、230nmの吸収を検出し、1画分当り15mlずつ分取した。その結果、最も活性の高い画分がアセトニトリル濃度として約27〜31%で溶出されたので、これをPAG1−1とした。次にこのPAG1−I画分をTSK−CM2SWカラム(4.6×250mm、東ソー)を用いた陽イオン交換HPLCにより精製して活性を測定した。このとき、10%アセトニトリル存在下、pH6.6に調製したギ酸アンモニウム緩衝液の直線的濃度勾配をかけて流速1ml/minで溶出し、280nmの吸収を検出し、1画分当り1mlずつ分取した。その結果、ギ酸アンモニウムの濃度が156〜165mMで溶出される画分(PAG1−I−a)、214〜228mMで溶出される画分(PAG1−I−b)、及び234〜241mMで溶出される画分(PAG1−I−c)にそれぞれ分泌活性が認められた。
これらの中で、PAG1−I−c画分を、分析用C4カラム(Develosil C4、1.0×150mm、野村化学)を用いた微量RP−HPLCにより0.1%TFA存在下でアセトニトリルの濃度勾配をかけて流速50μl/minで溶出し、精製して活性を測定したところ、アセトニトリルの濃度が24%で溶出される画分(PAG1−I−c1)、26%で溶出される画分(PAG1−I−c2)、27%で溶出される面分(PAG1−I−c3)に活性が認められた。そして、最も高い活性が認められたPAG1−I−c2についてさらに分析用C18カラム(Develosil C18、1.0×250mm、野村化学)を用いた微量RP−HPLCにより0.1%TFA存在下でアセトニトリルの濃度勾配をかけて流速50μl/minで溶出し、精製を行なったところ、アセトニトリルの濃度が26%で溶出されるピークに活性が認められた。この活性画分の純度を検定するとともに、さらに精製するため、再度同じ分析用C18カラムを用いて溶出を行なった結果、活性と一致する単一の溶出ピークを得ることができた。
(2)構造解析
画分に含まれる物質の構造を知るため、TOF−MS(Voyger Elite、Perseptive社)による分子量の測定を行なった。その結果、PAG1−I−c2画分に含まれる物質の分子量は、1806.47であることが示された。またFAB−MSを用いた質量分析を行なったところ、1805.1であることが示された。
この活性化物質の構造情報を得るためFABを用いたタンデム質量分析FAB−MS/MS分析を行なった結果、以下に示す配列情報が得られた。ただし括弧内は残基量(残基の分子量)を表す。
N末端側:(260)−(227)−Arg−Lys/Gln−Ser−His−Pro−Leu−:C末端側
また活性画分についてArg残基のC末端側を切断する酵素であるArg−Cによる処理を行なった。即ち、濃縮乾燥させた精製物質に4pmolのArg−Cを含む50mMリン酸ナトリウム緩衝液20μlを加え、37℃で16時間インキュベートして処理し、これをDevelosil C18カラム(1.0×250mm、野村化学)を用いた微量RP−HPLCにより精製した。この際、0.1%TFA存在下でアセトニトリルの濃度勾配をかけて流速50μl/minで溶出し、214nmの吸収ピークを示す4つの画分を、溶出順にA、B、C、Dとし、それぞれについてアミノ酸一次構造解析を行なった。結果を下表に示す。
Figure 0005500749
Cの配列についてホモロジー検索を行なった結果、ミトコンドリアタンパク質であるブタシトクロム b(6−15)の配列と同一であった。さらにFAB−MS/MSにより得られた活性画分のN末端側からの残基量、260と227がブタシトクロム b(1−4)のfMet−Thr及びAsn−Ileの残基量と一致した。
このようにArg−Cにより得られた部分ポリペプチドの配列及びFAB−MS/MS分析による構造情報より、この活性画分に含まれる物質は、ブタシトクロム b(1−15)と同一であり、以下の配列であることが予測された。
Figure 0005500749
また、検索の結果得られた配列(fCyt b(1−15))より算出される分子量は1824.19であり、FAB−MSによる質量分析の結果得られた分子量1805.1とは同一ではなかったが、FAB−MS/MS分析より、活性画分に含まれる物質のC末端部分が修飾されている可能性が示唆された。
さらに、決定されたブタシトクロム b(1−15)の配列は、ヒトシトクロム b(1−15)と67%相同であった(15残基中、10残基が一致)。その配列を以下に示す。
Figure 0005500749
実施例3(COSP−1及びfCyt b(1−15)(ブタ及びヒト)の合成)
ポリペプチドの合成はMerrifieldの固相法により、Boc法又はFmoc法で簡易型ガラス反応容器中で行なった。
(1)材料
α−t−butoxycarbonyl(Boc)−L−Ala−phenylacetamidomethyl(PAM)樹脂及びhydroxymethylphenoxy(HMP)樹脂は渡辺化学工業(株)から、N,N’−dicyclohexylcarbodiimide(DCC)、1−hydroxybenzotriazole(HOBt)、Boc−アミノ酸及び9−fluorenylmethyloxycarbonyl(Fmoc)−アミノ酸は(株)ペプチド研究所から購入したものを使用した。その他の一般試薬は和光純薬(株)より入手したものを使用した。
(2)Boc法による合成
Boc法によるポリペプチド合成において、固相担体にはPAM樹脂を、アミノ酸α−アミノ基の保護にはBoc基を用いた。Boc−アミノ酸の側鎖保護基として、Aspにはcyclohexyl基、Ser及びTyrにはBenzyl基、Hisには2,4−dinitrophenyl(Dnp)基、ArgにはTosyl基を用いた。
最初にBoc−X−PAM樹脂(Xは合成したいポリペプチドのC末端アミノ酸)を50%TFAで処理し、N末端のBoc基を切断し、続いてBoc−Xの導入量に対し2.5当量のBoc−アミノ酸をDCC−HOBt法で縮合させた。数時間後、Kaisarのニンヒドリンテストによって反応が完了しているかどうかを確認し、反応が充分でない場合は再度縮合反応を行なった。このようにBoc基の切断と保護アミノ酸の縮合反応を繰り返してC末端より順次ポリペプチド鎖を延長し、保護ポリペプチド樹脂を得た。ただし、Trpのインドール環を保護するために、Trp残基導入後のBoc基の切断には2%エタンジチオールを含む50%TFAを使用した。
得られた保護ポリペプチド樹脂の脱保護及び樹脂からの脱離は、無水フッ化水素処理により行なった。即ち、保護ポリペプチド樹脂1gあたりアニソール(0.5ml)、チオアニソール、エタンジチオール、硫化メチル(各1ml)存在下、10mlの無水フッ化水素で氷冷下1時間処理してポリペプチドを樹脂から脱離し、同時に保護基を除去した。反応後直ちにHFを真空下で除去し、ポリペプチド及び樹脂混合物をジエチルエーテルで洗浄した後、60%アセトニトリルによりポリペプチドを抽出し、減圧濃縮後凍結乾燥して粗ポリペプチドを得た。ただし、保護ポリペプチド樹脂にHisが含まれている場合は、Dnp基をチオフェノール(20mmol/mmol Dnp基)で1時間反応させて除去した後、N末端のBoc基を切断、無水フッ化水素処理を行った。
(3)Fmoc法による合成
Fmoc法によるポリペプチド合成においては、固相担体にHMP樹脂を、α−アミノ基の保護にはFmoc基を用いた。側鎖の保護には、Asn、Hisにtriphenylmethyl(Trt)基、Ser、Tyrにtert−butyl(t−Bu)基、Argに4−methoxy−2,3,6−trimethylbenzenesulfonyl(Mtr)基、Lysにはtert−butoxycalbonyl(Boc)基を用いた。
まずHMP樹脂をdichloromethane(DCM)中で膨潤させた後、これと2当量のDCC、0.2当量のdimethylaminopyridine(DMAP)、2当量のFmoc−Asn(Trt)をN,N’−dimethylformamide(DMF)中において1時間反応させFmoc−Asn(Trt)−HMP樹脂を得た。HMP樹脂へのアミノ酸の導入量は、ピペリジン:DMF(3:7)の処理により生成されるN−(9−fluorenylmethyl)piperidineの量を、301nmにおける吸光度を測定することにより定量した。ポリペプチド鎖の伸長は、Fmoc−アミノ酸−樹脂を20%ピペリジン−N−methylpyrroridone(NMP)中で約30分処理してFmoc基を除去した後、導入されたC末端アミノ酸に対して5当量のFmoc−アミノ酸、HOBt、DCC、及び1当量のN,N’,N”−diisopropylethylamine(DIEA)を加えて、30分〜数時間縮合する操作を繰り返すことで行なった。Fmoc基の脱離及び縮合反応の進行は、微量の樹脂を反応容器より取り出してニンヒドリンテストを行なって確認した。
N末端へのformyl基の導入は、まずポリペプチド鎖の伸長を終えたポリペプチド樹脂のFmoc基を除去し、このポリペプチド樹脂とそれぞれ20当量のギ酸、DCC、HOBtとをDMF中で反応させることにより行った。反応の終了は、ニンヒドリンテストにより確認した。得られた保護ポリペプチド樹脂の脱保護及び樹脂からの脱離は、スカベンジャーとしてフェノール、チオアニソールを含むTFA溶液(TFA:フェノール:チオアニソール:水=82.5:5:5:5)で3時間処理することにより行なった。反応終了後に反応混合液を濃縮除去し、1M酢酸を用いてポリペプチドの抽出を行ない、樹脂をろ別した。その後ジエチルエーテルによる洗浄を3回行ないスカベンジャーを除去し、減圧濃縮した後、凍結乾燥することで粗ポリペプチドを得た。
(4)合成したポリペプチドの精製
合成ポリペプチドの精製は、TSK gel ODS−80Ts(20×250mm、東ソー)カラムを用いたRP−HPLCによって行った。0.1%TFA存在下でアセトニトリルの直線的濃度勾配をかけて流速5ml/minで溶出を行い、214nmの吸収を指標に主なピークを分取し、これを凍結乾燥することで精製ポリペプチドを得た。精製ポリペプチドの純度は、Beckman ODS(4.5×250mm)カラムを使用した分析RP−HPLCにより確認した。即ち、ポリペプチドの精製と同様に、0.1%TFA存在下でアセトニトリルの直線的濃度勾配をかけて流速1ml/minで溶出を行い、214nmの吸収で確認した。また、精製したポリペプチドを2%フェノール、2%チオグリコール酸を含む6N塩酸中で110℃、24時間加水分解し、加水分解物をアミノ酸分析計によって分析し、ポリペプチドのアミノ酸組成及び含有量を確認した。
実施例4(β−HA分泌活性)
合成したCOSP−1、fCyt b(1−15)及びCyt b(1−15)(ブタ及びヒト)のβ−HA分泌活性について検討した。
(1)材料
ヒト骨髄性白血病細胞由来株のHL60細胞は理化学研究所から購入したものを使用した。ウシ胎児血清(fetal calf serum、FCS)はBiotech International社、RPMI−1640培地はGIBCO BRL社、bovine serum albumin(fraction V、fatty acid−free)(BSA)はCalbiochem−Novabiochem社、N6、2’−O−dibutyryladenosine 3’:5’−cyclicmonophosphate(db−cAMP)、cytochalasin B、deoxyribonuclease I(DNase I)、fMLP、及びp−nitrophenyl N−acetyl−β−D−glucosaminideはSIGMA社、β−nicotinamide adenine dinucleotide(NAD)は東京化成工業、硫酸ストレプトマイシン、結晶ペニシリンGは明治製菓(株)から購入したものを使用した。
(2)方法
a.HL60細胞の培養、及び好中球様細胞への分化誘導
培養には、熱非働化したFCS(最終濃度10%)、ストレプトマイシン(同100mg/l)、ペニシリンG(同10万単位/l)、10mM Hepes含むRPMI−1640培養液(pH7.4)を用いた。細胞培養は細胞密度が2×10〜1.5×10cells/mlとなるようにしてプラスチック製の培養フラスコ(80cm、260ml、Nunc社)の中、37℃、CO濃度5%、湿度100%の条件下、静置して行った。
HL60細胞の好中球様細胞への分化は、フラスコ内の細胞密度が1.0×10cells/mlの時点でdb−cAMPを分化誘導剤として最終濃度が0.5mMとなるように添加し、3日間静置して行なった。
b.ヒト白血球の調製
ヒト末梢血(500単位のヘパリンナトリウムを含む)30mlを5mlのリンホセパールIが入った遠心管4本に分けて重層し、室温下遠心分離(400g、30min)した。このとき血漿とリンホセパールIの界面に白濁した層として存在する単球及びリンパ球を注意深く吸い取り、これを単球−リンパ球混合細胞とした。次に沈殿した好中球を含む赤血球細胞層をリン酸平衡生理食塩水(phosphate buffered saline、PBS;139mM NaCl、8.18mM NaHPO、1.82mM NaHPO、pH7.4)により洗浄した後に、85%のPercoll−Hepes平衡Hank’s緩衝溶液(10mM Hepes、136.9mM NaCl、5.4mM KCl、1.2mM CaCl、0.44mM KHPO、0.49mM MgCl、0.41mM MgSO、0.34mM NaHPO、4.2mM NaHCO、pH7.4)の上に重層して遠心(800g、10min)することにより赤血球細胞を沈殿させた。そして好中球を含むPercoll層を注意深く吸い取り、生理食塩水により洗浄した後、0.2%NaCl水溶液に置換し約30秒後に同量の1.6%NaCl水溶液を加える操作を2回行なうことにより、含まれる赤血球を溶血させて好中球を得た。
得られた単球−リンパ球混合細胞及び好中球の純度は、フローサイトメーターを用いた解析により検定した。即ち、ヒト末梢血由来の細胞画分の浮遊液に、propidium iodideを終濃度100ng/mlになるように加えて死細胞を染色し、フローサイトメーターを用いてこの細胞浮遊液のpropidium iodide染色陰性細胞(生細胞)のみに関してfoward scatter intensityおよびside scatter intensityをlinear scaleにて測定した。測定結果はCellQuestソフトウェアを用いてfoward scatter intensity(X軸)とside scatter intensity(Y軸)のドットプロットとして表示した。その結果、単球及びリンパ球の混合細胞は純度84%であり、また好中球は純度83%であった。
c.細胞の刺激
分化HL60細胞及びヒト白血球細胞を、まず氷冷した0.1%BSAを含むHepes緩衝Hank’s平衡塩溶液(Hepes buffered Hank’s solution HBHS;10mM Hepes、136.9mM NaCl、5.4mM KCl、1.2mM CaCl、0.44mM KHPO、0.49mM MgCl、0.41mM MgSO、0.34mM NaHPO、5.5mM glucose、4.2mM NaHCO、pH7.4)で3回洗浄した。そして、細胞密度が5.5×10cells/mlになるように調製し、この細胞懸濁液に、cytochalasin B及びDNase Iをそれぞれ終濃度5μg/mlになるように添加した。この後、細胞懸濁液を氷冷したチューブに90μlずつ移し(5.0×10cells/tube)、37℃で10分間インキュベートし、それぞれのチューブに10μlのポリペプチド(又は抽出物)溶液のいずれかを加えて、さらに37℃で10分間細胞を刺激した。この後すぐに200μlの氷冷した反応停止溶液(25mM Tris、123mM NaCl、2.7mM KCl、pH7.4)を細胞懸濁液に加え、刺激を停止した。この後、4℃で60秒間遠心分離することにより細胞を沈殿させ、この上清中のβ−HA活性、及び乳酸脱水素酵素(lactatedehydrogenase、LDH)活性の測定を行なった。
d.β−HA酵素活性測定
反応上清中に分泌されたβ−HAの量は、p−nitrophenyl N−acetyl−β−D−glucosaminideを基質とした酵素反応により生成されるp−nitrophenolの吸収を415nmで測定することにより求めた。即ち、上述の反応上清90μlを96wellのImmuno plate(Nunc社)に移し取り、60μlの基質溶液(10mM p−nitrophenyl N−acetyl−β−D−glucosaminide/40mM citrate、70mM NaHPO、pH4.5)を加えることによって酵素反応を開始させた。これを37℃で1時間反応させた後、100μlの反応停止液(400mM glycine、pH10.7)を加えて反応を停止させ、415nmの吸収を測定した。コントロールとして、終濃度0.05%TritonX−100によって処理したときの細胞上清中のβ−HAの量、及び終濃度10μMのfMLPの刺激により分泌されたβ−HA量の測定を常に行なった。
反応溶液中に分泌されたβ−HA酵素活性は、0.05%Triton X−100により細胞を破壊した時に放出されるβ−HAの酵素活性を細胞内の全酵素活性とし、これに対する百分率(%/total)で示すか、又は10μMのfMLPによる刺激で放出されたβ−HAの酵素活性を最大分泌活性とし、これに対する百分率(%/control)で表した。
e.LDH酵素活性測定
反応液中に分泌されたLDHの量は、lactateの脱水素反応の伴うNADの還元反応によって生じるNADHの吸収(340nm)を測定することによって求めた。即ち、100μlの反応上清に400μlの基質−緩衝液(125mM 2−amino−2−methyl−1−propanol、125mM lithium lactate、6.25mM NAD、pH9.5)を加えることによって反応を開始させた。これを37℃で1時間反応させた後、氷水中で急冷して反応を停止させ、340nmの吸収を測定した。
反応溶液中に分泌されたLDHの酵素活性は、0.05%Triton X−100により細胞を破壊したときに放出されるLDHの酵素活性を細胞内の全酵素活性とし、これに対する百分率(%/total)で表した。
(2)結果及び考察
a.分化HL60細胞に対するβ−HA分泌活性
結果を下表及び図1に示す。
Figure 0005500749
Figure 0005500749
COSP−1及びfCyt b(1−15)は濃度依存的に分化HL60細胞からのβ−HA分泌を刺激した(EC50:COSP−1 2.67×10−7M、fCyt b(1−15)3.80×10−8M)。またCyt b(1−15)は、fCyt b(1−15)の約1/1000以下ではあるが、活性を持つことが示された。しかしながらこれらのポリペプチド刺激時において細胞からのLDHの漏出がみられなかった。従って、COSP−1、fCyt b(1−15)及びCyt b(1−15)は分化HL60細胞からのエキソサイト−シスを引き起こすことによりβ−HAの分泌を促進することが示された。
また、COSP−1及びfCyt b(1−15)のヒト相同ペプチド、ヒトCOSP−1及びヒトfCyt b(1−15)は、COSP−1及びfCyt b(1−15)と同様に分化HL60細胞においてβ−HAの分泌活性を持つことが示された。
b.ヒト好中球に対するβ−HA分泌活性
結果を下表に示す。
Figure 0005500749
ヒトから単離した好中球細胞からのβ−HA分泌は、無刺激時17.9%であるのに対し、10μM fMLP刺激時には68.3%、10μM COSP−1刺激時には40.5%、10μM fCyt b(1−15)刺激時には58.3%であり、分泌刺激が認められた。また単球及びリンパ球の混合細胞においては、無刺激時16.3±6.0%であるのに対し、10μM fMLP刺激時は21.8±5.3%、10μM fCyt b(1−15)刺激時は20.0±7.8%と、わずかではあるがβ−HA分泌活性が認められた。しかしながら、好中球細胞及び混合細胞どちらにおいても、LDHの漏出は認められなかった。従って、これらポリペプチドはヒト好中球に障害を与えることなくエキソサイト−シスを引き起こすことによりβ−HAの分泌を促進することが示された。
実施例5(遊走活性)
fMLPやインターロイキン8などの好中球活性化因子は、好中球からのβ−HAをはじめとした各種分解酵素分泌活性のほかに遊走活性を持つことが知られている。そこでCOSP−1及びfCyt b(1−15)の、未分化又は好中球様に分化したHL60細胞に対する遊走活性を検討した。
(1)方法
各ポリペプチドの遊走活性は、ケモタキセル(クラボウ)を用いて以下に示すようにして測定した。即ち、分化又は未分化HL60細胞を氷冷したHBHSで3回洗浄した後、細胞密度が4×10cells/mlになるように細胞懸濁液を調製した。この細胞懸濁液を37℃で10分間インキュベートした後、ケモタキセルに500μlずつ移し(2×10cells/セル)、これを各wellに1mlのポリペプチドを含むあらかじめ37℃に暖めたHBHSを入れたプレートにのせ、37℃で1時間インキュベートした。この後ケモタキセルをプレートから取り除き、各wellに遊走した細胞数をカウントした。
遊走活性は、無刺激の場合に遊走する細胞数に対する刺激した場合に遊走する細胞数の比(chemotaxis index)で表した。
(2)結果及び考察
結果を図2に示す。
未分化の細胞においてこれらポリペプチドは遊走活性を示さなかったが、分化HL60細胞において濃度依存的に誘引活性を示した。
実施例6(HL60細胞の分泌作用に及ぼす分化の影響)
HL60細胞をdb−cAMP処理すると好中球様に分化するのに伴い細胞表面にfMLP受容体が発現されるが、その発現量は時間依存的に増加することが知られている。そこで、HL60細胞が分化するに伴いCOSP−1によるβ−HA分泌がどのように変化するのかを検討した。
(1)方法
細胞培養方法は、実施例4に記載された方法に従った。但し、最終濃度15%FCSを含むRPMI−1640培養液を使用し、HL60細胞の好中球様細胞への分化は、db−cAMP(最終濃度0,5mM)を添加した時点でのフラスコ内の細胞密度が0.5×10cells/mlになるように調製して行った。そして、HL60細胞が、未分化、細胞分化後24時間、48時間、72時間における、COSP−1及びfMLPよるβ−HA分泌活性を測定した。
(2)結果及び考察
結果を下表及び図3に示す。
Figure 0005500749
COSP−1及びfMLPは未分化細胞においては分泌を引き起こさなかったが、分化後はそれぞれの時間において濃度依存的に分泌を惹起し、また分化が進むほど最大分泌量が上昇し、かつその感受性が増大した。加えて、COSP−1及びfMLPはHL60細胞からのLDHの漏出を起こさなかった。従って、COSP−1はfMLPと同様にHL60細胞の分化に伴って発現する受容体を介してβ−HA分泌を惹起している可能性が示された。
実施例7(細胞内Ca 2+ 濃度に及ぼす影響)
つづいてCOSP−1による刺激が、HL60細胞の細胞内Ca2+濃度([Ca2+]i)にどのような影響を与えるのかを検討し、既に報告されているfMLPによる刺激の場合と比較した。
(1)方法
分化、又は未分化HL60細胞をHepes−Na液(140mM NaCl、4mM KCl、1mM NaHPO、1mM MgCl、1.25mM CaCl、5mM Hepes、11mM glucose、0.2% BSA、pH7.4)によって2回洗浄した後、Ca2+感受性蛍光試薬であるfura−2/AMを細胞懸濁液に加え(4ml、最終濃度4μM)、室温、遮光下で60分間、緩やかに振とうしてfura−2をHL60細胞に取り込ませた。続いてこの細胞をHepes−Na液で2回洗浄し、最終的な細胞密度が1.0×10cells/mlになるようにし、この細胞懸濁液1mlを反応キュベットに入れ、30℃で撹拌しながら種々のサンプルで刺激した。このとき、励起波長340nmと380nmにおける500nmの蛍光強度比(F)を蛍光光度計(CAF−100、日本分光社製)で測定し、[Ca2+]iを次式に従って計算した。
[Ca2+]i(nM)=K×{(F−Fmin)/(Fmax−F)}×A/B
式中の符号の意味は以下の通り:
Fmax;0.1% Triton X−100で全細胞を可溶化した後の励起波長340nmと380nmにおける500nmの蛍光強度比、
Fmin;4mM EGTAで全カルシウムをキレートしたときの励起波長340nmと380nmにおける500nmの蛍光強度比、
A;EGTAでキレートしたときの励起波長380nmにおける500nmの蛍光強度、
B;Triton X−100で全細胞を可溶化したときの励起波長380nmにおける500mnの蛍光強度、
K;224(nM)(fura−2の解離定数)。
(2)結果及び考察
結果を図4に示す。COSP−1及びfMLPは分化HL60細胞(+)において細胞内Ca2+濃度上昇を惹起したが、未分化HL60細胞(−)では起こさなかった。また、既に報告されているようにATPは分化、未分化を問わずHL60細胞において細胞内Ca2+濃度上昇を惹起した。
さらに図5に示すように、COSP−1及びfMLPの刺激による細胞内Ca2+濃度上昇は、細胞外Ca2+の有無に関係なく起こるが、細胞外Ca2+存在下(+)に比べ非存在下(−)ではその上昇量が低下した。したがって、COSP−1及びfMLPの刺激による細胞内Ca2+濃度の上昇は細胞内Ca2+ストアからのCa2+の遊離と細胞外からの流入により起こることが示唆された。
実施例8(百日咳毒素pertussis toxin(PTX)処理による影響)
分化HL60細胞に発現しているfMLP受容体は、PTX処理により不活性化されるGタンパク質(PTX感受性Gタンパク質)を活性化させることで細胞内Ca2+濃度の上昇や分解酵素の分泌などを起こすことが知られている。そこで、COSP−1の刺激により引き起こされる分化HL60細胞における細胞内Ca2+濃度上昇やβ−HA分泌がPTX処理によりどのように変化するのかを検討した。
(1)方法
PTX処理は、β−HA分泌活性の測定、及び細胞内Ca2+濃度の測定を行う16時間前に、分化HL60細胞を2等分し、PTX処理する細胞には終濃度が50ng/mlになるようにPTXを添加した。PTX処理しない細胞にはそれと同量の超純水を添加した。PTX処理には、PTX(50μg)(List Biological Laboratories.Inc.から購入したものを使用)を超純水1mlに溶解し、2〜3℃で保存したものを使用した。
(2)結果及び考察
結果を図6及び図7に示す。PTX処理により、COSP−1及びfMLPによる細胞内Ca2+濃度上昇やβ−HA分泌はほぼ完全に阻害された。従って、COSP−1による細胞内Ca2+濃度上昇やβ−HA分泌は、PTX感受性Gタンパク質と共役する受容体の活性化を介して引き起こされている可能性が示された。
実施例9(COSP−1のfMLP受容体に対する結合親和性)
COSP−1による、細胞内Ca2+濃度上昇及びβ−HA分泌について検討した結果、これらは非常によく似た刺激機構で分化HL60細胞を活性化していることが示された(実施例6〜8参照)。そこで、まだ同定されていないCOSP−1受容体の実体を解明するため、まずfMLPの特異的阻害剤として報告されているBoc−MLFがCOSP−1によるβ−HA分泌に対してどのような影響を与えるかについて検討した。その結果、COSP−1による分化HL60細胞からのβ−HA分泌はBoc−MLFにより有意に抑制されることが示された(データーは示さず)。
この結果からCOSP−1がfMLP受容体に結合する可能性が考えられたため、COSP−1のfMLP受容体に対する結合親和性を検討した。
(1)方法
COSP−1のfMLP受容体に対する結合親和性の検討は、分化HL60細胞を用いて行った。即ち、分化HL60細胞をHBHSで2回洗浄した後、3.1×10cells/mlになるように細胞を懸濁し、これをチューブに移し(2.5×10cells/80μl)、22℃で、10分間インキュベートした。次いで、各濃度に調製したCOSP−1、又はfMLP(10μl)を加え、22℃で、5分間インキュベートした。この後、さらに10μlの[H]fMLP(最終濃度50nM)を加え、22℃で60分間反応させた後、直ちに氷冷したPBS−BSA(10mM phosphate、120mM NaCl、0.5% BSA)を500μl加えて反応を停止させた。そして、この細胞懸濁液をglass−fiber filter(Whatman GF/C)に通し、氷冷したPBS−BSA(2ml)でフィルターを3回洗浄して細胞に結合していない[H]fMLPを除去した。このglass−fiber hilterを乾燥させて、scintillant溶液の中に加え、放射活性を測定した。
fMLP受容体に対する受容体結合実験の測定値は、非標識リガンド非存在下で特異的な結合をしている[H]fMLPの放射活性を最大結合量とし、これに対する百分率(%/total)で示した。
(2)結果及び考察
結果を図8に示す。fMLPは[H]fMLPとfMLP受容体の特異的な結合を濃度依存的に阻害したが、COSP−1は終濃度10μMにおいてもこれを阻害しなかった。従って、分化HL60細胞においてCOSP−1は、fMLP受容体とは異なる受容体を経てその情報を細胞内に伝達していることが示唆された。
実施例10(ペプチドによるGタンパク質の活性化)
COSP−1がfMLP受容体以外の経路で情報を伝達していることが示されたので、COSP−1の刺激が、細胞膜表面に存在する受容体を経たものか、又は直接Gタンパク質を活性化するためのものなのかを検討するため、精製したGタンパク質を活性化するか否かを検討した。
(1)方法
好中球に存在し、fMLPの情報伝達に関わっていると考えられるGタンパク質(Gi)をウサギ肝臓より抽出、精製した(J.Biol.Chem.267,16237−16243,1992)。このGiをリン脂質膜に再構成し、これをfCyt b(1−15)あるいはCOSP−1により刺激し、GTPアーゼ活性を測定した。
(2)結果及び考察
COSP−1は、3μMにおいてGiのGTPアーゼ活性を約6倍刺激したが、fCyt b(1−15)は100μMにおいても刺激活性を持たなかった。
以上の結果より、COSP−1は直接Gタンパク質を刺激することで好中球を活性化する可能性があることが示唆された。
実施例11(モノクローナル抗体の調製)
精製したCOSP−1の10〜100μgをキャリアータンパク質と結合させた後、アジュバンド中に乳化し、マウス腹腔内に注射し、マウスを免疫する。10〜12日後、さらにその後週1〜2回、追加注射する。さらに、食塩水に精製COSP−1を溶解し、静脈注射して、3〜4後にマウスの脾臓細胞を採取する。採取した細胞と、マウスミエローマ細胞NS1とを融合し、HAT培地を用いて所望を脾臓細胞とミエローマ細胞とのハイブリドーマを選択する。そして、COSP−1に対する反応性を指標に、所望の抗体を高濃度に産生するハイブリドーマをスクリーニングする。
得られたハイブリドーマを、プラスチック製の培養フラスコ(80cm、260ml、Nunc社)の中、極東E−RDF培地(極東製薬)に添加剤RD−1(極東製薬)を加えたものを培地として、37℃、CO濃度5%、湿度100%の条件下、3〜10日間、静置培養する。培養上清を限外ろ過膜を用いて濃縮し、定法により精製して、所望のモノクローナル抗体を得ることができる。
実施例12(COSP−1及びfCyt b(1−15)ヒトホモローグの、ヒト由来好中球様細胞に対する効果)
ブタ由来COSP−1及びfCyt b(1−15)は濃度依存的に分化HL60細胞からのβ−HA分泌及び分化HL60細胞の誘引活性を示した(実施例4及び5参照)。HL60細胞はヒト由来の好中球由来細胞であるため、COSP−1及びfCyt b(1−15)ヒトホモローグの、分化HL60細胞に対するβ−HA分泌及び分化HL60細胞の遊走活性について精査した。また、比較のために微生物由来タンパク質のモデルペプチドであるfMLPによる作用も同様にして比較・検討した。
(1)方法
COSP−1及びfCyt b(1−15)ヒトホモローグによるβ−HA分泌活性及び遊走活性の測定は、それぞれ実施例4及び5に記載した方法に従って行った。そして、β−HA分泌活性は、最大反応を示す10μM fMLP刺激時の分泌量に対する百分率で、また遊走活性は、無刺激の場合に遊走する細胞数に対する刺激した場合に遊走する細胞数の比(chemotaxisis index)で表した。
(2)結果及び考察
結果を図9に示す。
ヒトCOSP−1(hCOSP−1)及びヒトfCyt b(1−15)(hfCyt b(1−15))の両者とも、分化HL60細胞からのβ−HA分泌及び分化HL60細胞遊走活性を示した。しかし、この作用は未分化HL60細胞では認められなかった(結果は示さず)。
また、ヒトホモローグによる刺激においては、特徴的な作用が認められた。即ち、fMLP、hCOSP−1及びhfCyt b(1−15)すべての場合においてβ−HA分泌活性を示す濃度より低い濃度で遊走活性が認められたが、fMLPにおいては分化HL60細胞からのβ−HA分泌活性が認められる濃度において遊走活性も認められたのに対し、hCOSP−1及びhfCyt b(1−15)の刺激においては、β−HA分泌を惹起するよりも低い濃度においてのみ、遊走活性が認められ、β−HA分泌活性が認められる濃度においては遊走活性は脱感作された。
以上の結果より、生体内においてhCOSP−1及びhfCyt b(1−15)は炎症部位より拡散し、まず好中球を誘引し(この段階では、好中球の活性化(貧食や過酸化物質の産生など)は起こさない。)、好中球が炎症部位に接近することによってこれらのペプチドの濃度が上昇すると、好中球は遊走を停止し、その場所で活性化されて貧食、過酸化物質の産生などの作用を発揮することで、炎症部位に存在する死細胞や障害細胞などの有害物質の除去作用を示すものと考えられる。
このように、本出願は、hCOSP−1及びhfCyt b(1−15)などが関与する、以下に記載する新しい炎症発症機構をも提起する。この機構を図10に示す。
組織障害が起きる(細胞がダメージを受ける)と、ミトコンドリアの膨張によってタンパク質が漏出する。漏出したミトコンドリアタンパク質は断片化され、hCOSP−1及びhfCyt b(1−15)のようなペプチドを生じる。これらのペプチドは拡散し、好中球を傷害部位に誘引する。好中球は傷害部位に近接すると運動を停止する。同時に好中球はこれらのペプチドによって活性化され、各種分解酵素の分泌、各種サイトカインや活性酸素の産生、貧食などの作用を示すことにより傷害部位に存在する有害な死細胞及び障害細胞、並びにそれらの産物の処理にあたる、というものである。
配列表
Figure 0005500749
Figure 0005500749
図1は、ポリペプチドの分化HL60細胞に対するβ−HA分泌活性についての実験結果である(実施例4)。データは8つの異なる実験の平均値±S.E.を表す。□はfMLP、○はCyt b(1−15)、◇はfCyt b(1−15)を表す。
図2は、ポリペプチドの好中球様に分化したHL60細胞に対する遊走活性についての実験結果である(実施例5)。○はfMLP、●はCOSP−1、□はfCyt b(1−15)を表す。
図3は、ポリペプチドのHL60細胞の分泌作用に及ぼす分化の影響についての実験結果である(実施例6)。●は未分化、▽は分化24時間、▼は分化48時間、□は分化72時間の値を表す。
図4は、ポリペプチドの細胞内Ca2+濃度に及ぼす効果及びそれに対する分化の影響についての実験結果である(実施例7)。
図5は、ポリペプチドの細胞内Ca2+濃度に及ぼす細胞外カルシウム存在の影響についての実験結果である(実施例7)。
図6は、PTX処理によるポリペプチドのβ−HA分泌に与える影響についての実験結果である(実施例8)。●及び■は、50ng/mlのPTXで、○及び□は超純水で前処理したときの値を表す。
図7は、PTX処理によるポリペプチドの細胞内Ca2+濃度上昇に与える影響についての実験結果である(実施例8)。
図8は、COSP−1のfMLP受容体に対する結合親和性ついての実験結果である(実施例9)。○はfMLP、●はCOSP−1を表す。
図9は、fMLP、ヒトCOSP−1及びヒトfCyt b(1−15)の、好中球様細胞へ分化したHL60細胞のβ−HA分泌及び遊走活性に対する効果についての実験結果である(実施例12)。●はfMLP、▲はヒトfCyt b(1−15)、■はヒトCOSP−1を表す。
図10は、本願によって提起される炎症機構を図示したものである。

Claims (6)

  1. 以下:
    (a)配列番号1のアミノ酸配列からなるポリペプチド;
    (b)配列番号1のアミノ酸配列において1〜4個のアミノ酸が付加されたアミノ酸配列からなり、かつ好中球刺激活性を有するポリペプチド;
    (c)配列番号1のアミノ酸配列の断片であって、配列番号1のアミノ酸配列において1個のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列からなり、かつ好中球刺激活性を有するポリペプチド;および
    (d)前記(a)(b)または(c)のポリペプチドのアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列からなり、そして1以上の修飾アミノ酸を含有するポリペプチド、ここで該修飾アミノ酸は、ポリペプチドのN末端のホルミル化、アセチル化、若しくはメチル化、および/または、C末端のエステル化若しくはアミド化、である;
    からなる群より選択されるポリペプチド。
  2. 以下:
    (a)配列番号3のアミノ酸配列からなるポリペプチド;
    (b)配列番号3のアミノ酸配列において1〜4個のアミノ酸が付加されたアミノ酸配列からなり、かつ好中球刺激活性を有するポリペプチド;
    (c)配列番号3のアミノ酸配列の断片であって、配列番号3のアミノ酸配列において1個のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列からなり、かつ好中球刺激活性を有するポリペプチド;および
    )前記(a)(b)または(c)のポリペプチドのアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列からなり、そして1以上の修飾アミノ酸を含有するポリペプチド、ここで該修飾アミノ酸は、ポリペプチドのN末端のホルミル化、アセチル化、若しくはメチル化、および/または、C末端のエステル化若しくはアミド化、である;
    からなる群より選択されるポリペプチド。
  3. 以下:
    (a)配列番号4のアミノ酸配列からなるポリペプチド;
    (b)配列番号4のアミノ酸配列において1〜4個のアミノ酸が付加されたアミノ酸配列からなり、かつ好中球刺激活性を有するポリペプチド;
    (c)配列番号4のアミノ酸配列の断片であって、配列番号4のアミノ酸配列において1個のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列からなり、かつ好中球刺激活性を有するポリペプチド;および
    (d)前記(a)(b)または(c)のポリペプチドのアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列からなり、そして1以上の修飾アミノ酸を含有するポリペプチド、ここで該修飾アミノ酸は、ポリペプチドのN末端のホルミル化、アセチル化、若しくはメチル化、および/または、C末端のエステル化若しくはアミド化、である;
    からなる群より選択されるポリペプチド。
  4. 以下:
    (a)配列番号5のアミノ酸配列からなるポリペプチド;
    (b)配列番号5のアミノ酸配列において1〜4個のアミノ酸が付加されたアミノ酸配列からなり、かつ好中球刺激活性を有するポリペプチド;
    (c)配列番号5のアミノ酸配列の断片であって、配列番号5のアミノ酸配列において1個のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列からなり、かつ好中球刺激活性を有するポリペプチド;および
    )前記(a)(b)または(c)のポリペプチドのアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列からなり、そして1以上の修飾アミノ酸を含有するポリペプチド、ここで該修飾アミノ酸は、ポリペプチドのN末端のホルミル化、アセチル化、若しくはメチル化、および/または、C末端のエステル化若しくはアミド化、である;
    からなる群より選択されるポリペプチド。
  5. (b)(c)または(d)のポリペプチドが、好中球の活性化を促進せずに好中球の遊走を促進する活性又は好中球の遊走を促進せずに好中球の活性化を促進する活性を有するものである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリペプチド。
  6. 好中球刺激活性に影響を与える物質をスクリーニングする方法であって以下の工程:
    (l)物質と請求項1〜のいずれか1項に記載のポリペプチドとを、好中球と共存させる工程;
    (m)該物質が、該ポリペプチドの好中球刺激活性を促進するか又は阻害するかを確認する工程
    を含む、前記方法。
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