以下、本発明の実施の形態を添付図面に従って説明する。最初に画像形成装置の全体的構成について説明し、その後、各部の特徴的な構成について説明する。
図1,図2は、本発明に係る画像形成装置の一形態であるカラー複写機を示す概略図である。このカラー複写機は、中央に画像形成装置本体となる複写機本体100、その下部にテーブル状に構成された給紙部200が配置され、複写機本体100の上方にスキャナ300、スキャナ300の上方に原稿自動搬送装置400を配置した構成となっている。給紙部200は複写機本体100と連結されていて大きくは複写機本体100の一部を構成している。なお、給紙部200はテーブル状の構成ではなく、複写機本体100内に収納された形態のものであってもよい。
本形態における複写機本体100の一部となる給紙部200には、媒体収納容器となるトナー容器70を収納するためのトレイ1が配設されている。トレイ1の配置形態としては、給紙部200ではなく、複写機本体100に配設しても無論構わない。トレイ関連の構成については、後述する。
複写機本体100には、図2に示すように、複数のローラ14、15、16に巻き掛けられた可撓性を有する無端ベルトにより構成された像担持体としての中間転写ベルト19が設けられている。この中間転写ベルト19は、複数のローラ14,15,16のうち1つのローラが図示していない駆動装置によって回転駆動され、これにより中間転写ベルト19が矢印で示す時計方向に走行駆動され、他のローラが従動回転する。このように走行する中間転写ベルト19の上部走行辺には、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの作像ユニット18が横に並べるようにしてそれぞれ配置されている。すなわち、ローラ14とローラ15間の走行辺上に、異なる色の4つの作像ユニット18を配置してタンデム画像形成部20を構成している。
4つの作像ユニット18は、中間転写ベルト19に接する潜像担持体としての感光体ドラム40をそれぞれ具備している。これら感光体ドラム40の周りには、帯電装置、現像装置58、クリーニング装置、除電装置等が配置され、さらに感光体ドラム40が中間転写ベルト19に接する位置における中間転写ベルト19の内側には転写装置57が設けられている。本実施形態の場合、4つの作像ユニット18は同一構造に構成されているが、現像装置58に収納されている画像形成媒体となるトナーの色がイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色に分けられている。また、各作像ユニット18の上方には光変調されたレーザ光を各感光体ドラムの表面に照射する露光装置21が配置され、このレーザ光は帯電装置と現像装置58の間で感光体ドラムにそれぞれ照射する。露光装置21は、各作像ユニット18に設けてもよいが、共通の露光装置21を用いればコストの点で有利である。
一方、中間転写ベルト19を挟んでタンデム画像形成部20と反対の側には、2次転写装置22が設けられている。2次転写装置22は、複数のローラ23間に、無端ベルトである2次転写ベルト24を巻き掛け、該ベルトが中間転写ベルト19を介してローラ16に押し当てられるように配置されている。なお、図1において、2次転写装置22の左横には、シート上に担持された転写画像(トナー画像)を定着するための定着装置25が設けられている。
2次転写装置22には、画像転写後のシートをこの定着装置25へと搬送するシート搬送機能も備えてなる。無論、2次転写装置22として、非接触のチャージャを配置してもよく、そのような場合は、転写後のシートを定着装置25まで搬送するシート搬送装置を、別途設ける必要が生ずる。なお、図示の例では、このような2次転写装置22及び定着装置25の下に、上述したタンデム画像形成部20と平行に、シートの両面に画像を記録すべくシートを反転するシート反転装置28を備えている。
このような構成のカラー複写機を用いてコピーをとるときは、原稿自動搬送装置400の原稿台30上に原稿をセットする。または、原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じてそれで押さえる。
そして、図示していないスタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットしたときは、原稿を搬送してコンタクトガラス32上へと移動して後、他方コンタクトガラス32上に原稿をセットしたときは、直ちにスキャナ300を駆動し、第1走行体33及び第2走行体34を走行する。そして、第1走行体33で光源から光を発射するとともに原稿面からの反射光をさらに反射して第2走行体34に向け、第2走行体34のミラーで反射して結像レンズ35を通して読み取りセンサ36に入れ、原稿内容が読み取られる。
また、上記スタートスイッチを押すことで中間転写ベルト19にも走行開始の命令がされ、回転走行を開始する。同時に、個々の作像ユニット18でその感光体40を回転して各感光体40上にそれぞれ、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの単色画像を形成する。そして、中間転写ベルト19の走行とともに、それらの単色画像を順次ベルトへと転写して中間転写ベルト19上に合成カラー画像を形成する。一方、上記スタートスイッチを押すことで給紙部200にも動作開始の命令がされる。給紙部200の給紙ローラ42の1つを選択回転し、ペーパーバンク43に多段に備える給紙カセット44の1つからシートが繰り出され、分離ローラ45で1枚ずつ分離して給紙路46に入れ、搬送ローラ47で搬送して複写機本体100内の給紙路48に導かれ、レジストローラ49に突き当って停止する。または、手差し給紙を選択した場合には給紙ローラ50を回転して手差しトレイ51上のシートが繰り出され、分離ローラ52で1枚ずつ分離されて手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当って停止する。
そして、中間転写ベルト19上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ49が回転し、中間転写ベルト19と2次転写装置22との間にシートが送り込まれ、2次転写装置22で転写してシート上に一括してフルカラー画像が記録される。画像転写後のシートは、2次転写装置22で搬送されて定着装置25へと送り込まれ、定着装置25で熱と圧力とを加えて転写画像を定着された後、切り換爪55でシート搬送路を切り換えて排出ローラ26によって排紙トレイ27上にスタックされる。または、切り換え爪55で切り換えてシート反転装置28に入いり、そこで反転して再び転写位置へと導かれ、裏面にも画像を記録された後、排出ローラ26で排紙トレイ27上に排出される。一方、画像転写後の中間転写ベルト19は、中間転写体クリーニング装置17で、画像転写後に中間転写ベルト19上に残留する残留トナーを除去され、タンデム画像形成部20による再度の画像形成に備える。
図3は、本発明に係る媒体補給装置としてのトナー補給装置10の概略構成を示すものである。図3において、符号58は現像装置である。現像装置58はいわゆる2成分現像器であって、その内部にトナーとキャリアを混合した現像剤が貯蔵されている。かかる現像装置58では、画像の形成に伴って媒体となるトナーが消費されるため、その分のトナーを補給する必要がある。トナー補給制御には、種々の方法が提案されているが、一般的にはトナーとキャリアの混合比を検知することや、感光体ドラム1上に形成したパターン画像の濃度を検知し、その検知結果に基づいてトナー補給信号を出力するようにしている。
現像装置58上には、トナー収納容器70内に収納されているトナーを吸引する吸引手段であり、媒体搬送ポンプの1つである一軸偏芯スクリューポンプ(以下、粉体ポンプ80という。)が設けられている。この粉体ポンプ80は、ゴム等の弾性部材で作られたダブルピッチの螺旋溝を形成した雌ねじ形ステータ82と、該ステータ82内に回動自在に嵌挿され、金属や樹脂等から作られた雄ねじ形ロータ81とを有している。このロータ81は、駆動軸84にスプリングピン等によって連結されており、駆動軸84が回転されることによって回転駆動される。ステータ82は、その周囲をケース85に固定されたホルダ83に覆われており、そのホルダ83の内周面とステータ82の外周面との間には隙間が設けられている。
現像装置58に補給するトナーは、トナー収納容器70に収納され、粉体ポンプ80とトナー収納容器70とが補給経路を構成する管状部材としてのトナーチューブ86によって連通している。これら粉体ポンプ80とトナーチューブ86にわって媒体搬送装置300が構成されている。トナーチューブ86は、トレイ1の引き出し量以上の弛みを有しているパイプ状のものならば種類を問わないが、弾性変形可能な、すなわちフレキシブルなチューブで構成すれば、トナー収納容器70と現像装置58との配置関係の規制がなくなり、設計自由度が大幅に増す。なお、フレキシブルなチューブとしては、耐トナー性に優れたゴム材料、例えば、ポリウレタン、ニトリル、EPDM等を用いることが好適である。トナー収納容器70側に位置するトナーチューブ86の端部には、トナー収納容器70に設けられた媒体排出部となる口金部材71に結合される媒体受入部となるトナー吸引ノズル91が設けられている。
粉体ポンプ80の配置は、現像装置58に設ける形態に限定されるものではなく、トナーチューブ86の途中に配置されていればよいため、トナー吸引ノズル91側とトレイ1に配置する形態であってもよい。つまり、トナーチューブ86の途中とは、現像装置58やトレイ1も含まれる。
このような構成のトナー補給装置10では、現像装置58のトナーが消費されると、粉体ポンプ80が回転し、吸引圧を発生する。吸引圧は、トナーチューブ86を介してトナー収納容器70に伝わり、トナーがトナーチューブ86、トナー吸引ノズル91、トナーチューブ86を通り粉体ポンプ80に吸い込まれて現像装置58に補給される。このとき、粉体ポンプ80からトナー収納容器70までの間をほぼ密閉にすれば、吸引圧を無駄なくトナーに伝えることができる。なお、ここでは、1つのトナー補給装置10を例に説明したが、トナー補給装置10は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各トナーがそれぞれ収納されたトナー収納容器70Y、70M、70C、70Kと各色の現像装置58との間に配置されている。各トナー補給装置10やトナー収納容器70の構成は同一であるので、トナーの色を識別するためのY、M、C、Kの符号は省略して説明した。図2では、イエローに対応したトナー補給装置10のみを示し、その他のものは図面の煩雑さを避ける意味で省略している。
このようなトナー補給装置10の構成によると、粉体ポンプ80とトナーチューブ86によって現像装置58と離れた位置からでもトナーの搬送が可能になり、トナー収納容器70の配置に自由度が増えるので、トナー収納容器70の交換作業に不都合な場所への配置を低減でき、ユーザーの負担を減らすことができるとともに、大容量のトナー収納容器70をトレイ1へのセットを容易に行える。またトナーチューブ86に弛みを持たせているので、トレイ1の引き出しと押し込み操作が行われてもトナー収納容器70の口金部材71とトレイ1に設けたトナー吸引ノズル91を連結したままの状態を維持でき、トナーの漏れを防止できる。媒体搬送ポンプとしては、一軸偏芯スクリューポンプではなく、周知のダイヤフラムポンプを用いてもよい。
次に本発明にかかるカラー複写機の特徴的構成について説明する。
本発明にかかるカラー複写機は、複写機本体100に対して引き出された引出位置と押し込まれたセット位置の間で移動自在であって、各色のトナーが内部に収納されているトナー収納容器70Y、70M、70C、70Kをそれぞれ上から収納可能なトレイ1と、トレイ1のセット位置側に配置され、各トナー収納容器に設けられた口金部材71と結合するトナー吸引ノズル91と、トレイ1に収納された各トナー収納容器に下から接触して同各トナー収納容器内のトナーを口金部材71側に移動させる移動促進手段2を備えている。
トナー吸引ノズル91と移動促進手段2は、トレイ1に設けられている。
トレイ1は、その四方を側壁1A〜1Dで覆われているとともに、底部が底板1Eで配置されており、図1において上方のみが開放されている。トレイ1は複写機本体100に水平方向に形成されたトレイ収納空間部101に対して水平方向に着脱自在に挿入されている。図中矢印Cは、トレイ収納空間部101内に押し込んでトレイ1をセット位置へと移動するセット方向を示し、矢印Dはトレイ収納空間部101からトレイ1を引き出す引出方向を示し、符号Eはトレイ奥行方向を示す。引出方向D側に位置する側壁1Aには、後述する作業者Mが手をかける取っ手89が形成されている。本形態において、取っ手89が位置する側をトレイ1の手前側、側壁1Cが位置する側をトレイ奥側とする。また、側壁1Bと側壁1Dが位置する方向は、引出方向Dと平面視において直交するトレイ幅方向Fとする。
トレイ1の内部は、図11に示すように、トレイ奥側に配置された隔壁8,8,8によって4つに区分されている。区分された領域R1〜R4には、トナー収納容器70Y、70M、70C、70Kの先端側がそれぞれ収納される。区分された領域R1〜R4には、各トナー収納容器に対応するトナー吸引ノズル91がそれぞれ配置されている。各トナー吸引ノズル91は、トレイ1を引き出し際、少なくともその先端が露出する位置に配置されている。
本形態では画像形成装置がフルカラー対応機器であるため、4つのトナー収納容器70Y、70M、70C、70Kをトレイ1に収納する形態となるが、黒一色で印刷するモノクロの画像形成装置の場合には、黒トナーが収納されたトナー収納容器70Kのみがトレイ1に収納(セット)されることとなり、トレイ1を幅方向Eに狭くすることができる。このため、単色の画像形成装置の場合には、小サイズのシートを収納する給紙トレイの余剰空間にトナー収納容器を収納して、トナー収納容器とシートの共有トレイとしてもよい。また、同一段に並んで小サイズのトレイを2つ備えるようにし、一方をトナー収納容器用トレイ、他方をシート用トレイとする構成でもよい。各トナー収納容器の構成は同一構成であるので、以下トナーの色を識別するためのY、M、C、Kの符号は省略して説明する。
トナー収納容器70は、図4に示すように、少なくとも一部が可撓性材料からなる袋状であってトナー収納時に長方形状となる媒体収容部72と、複写機本体側に位置するトレイ1の奥側1Aの配設されたトナー吸引ノズル91と結合する口金部材71と、媒体収容部72に設けられ、図6〜図8に示す作業者Mに把持される把持部に相当するベルト部73と、トナー収納容器70単体のときに口金部材71に係合してトナーの飛散を防ぐキャップ74を備えている。このキャップ74は、トナー収納容器70をトレイ1に載置して収納する際には取り外される。図4において、矢印Aはトナー収納容器70の容器長手方向を、矢印Bはトナー収納容器70の幅方向をそれぞれ示す。
口金部材71は、図4,図5に示すように、媒体収容部72の一方の端部となる先端72a(トナー収納容器の先端)に設けていられる。口金部材71は、断面L字状のベース部分71Aに筒状部分71Bが形成されたもので、筒状部分71Bの中央には排出口71Cが形成され、筒状部分71Bの外周面には、雄ねじ71Dが形成されている。雄ねじ71Dには、内側に雌ねじが形成された図4に示すキャップ74が締め込まれる。
媒体収容部72の先端72aは、図5に示すように、トレイ1への装着時にセット方向側、すなわちトレイ1の奥側に位置される容器側面である。先端72aには、媒体収容部72内と連通する開口部72cが形成されている。口金部材71は、排出口71Dと開口部72cとが重なるように先端72aに固着されている。開口部72cには口金部材71に形成された弁ケース75が挿入されている。弁ケース75の内部には、開口部72cを開閉する弁体76が挿入されている。この弁体76は、弁ケース75で往復動可能に支持されていて、バネ77によって開口部72c閉じる方向に付勢されている。
このため、排出口71Cからトナー吸引ノズル91が挿入されると、弁体75はトナー吸引ノズル91の先端によって媒体収容部72内に向かって押し込まれ、開口部72cを開かれる。この状態でトナー補給装置10が作動することで、媒体収容部72内部のトナーが吸引可能とされることとなる。なお、符号71Eはノズル挿入時にトナー吸引ノズル91との間に隙間を形成しないためのスポンジなどで形成されたシール部材を示す。
図4に示すベルト部73は、容器長手方向Aに位置する一端側となる媒体収容部72の他方の端部となる後端72b側に設けられた第1のベルト73Aと、容器長手方向に位置する他端側となる先端72aから後端72b側に向かって伸びる第2のベルト73Bを備えている。
ベルト73Aはトナー収納容器70の幅方向Bに伸びていて、その両端が媒体収容部72に固定された短ベルトである。ベルト73Bはトナー収納容器70の容器長手方向Aに長く、その一端は後端72a側で、その他端は後端72b寄りで、それぞれ媒体収容部72に固定された長ベルトである。
口金部材71の樹脂材としては、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、ポリプロピレン、PET、ABS、または金属等があるが、袋部と同材質、または同系にすれば、両者は固着しやすく、またマテリアルリサイクルによる再利用がし易くなる。
媒体収容部72とベルト73A,73Bの材質としては、ポリエステル、ポリエチレン、ポリウレタン,ポリプロピレン,ナイロン等からなる樹脂シートや、紙シートなどを用いることができる。容器本体の材質には、単層であるいは異種のものを複層に加工したもの、さらには紙上に樹脂をコーティングした牛乳パックのようなものも用いることができる。
2層とも樹脂からなるものの場合、外部の圧力等によっても破れにくいものが好ましく、内側をポリエチレンのような軟性、外側をナイロン樹脂のような硬性のものからなるものが好適である。
さらに、フレキシブル材料にアルミ蒸着するとか帯電防止剤を含有させて、静電気対策とすることもできる。フレキシブルな材料の厚さは特に限定的ではないが、厚すぎると柔軟性であるがための上述の利点が得られにくく、また薄すぎるとトナーが充填された部分がたるんでトナーの排出が十分に行われなくなることがあるため、好ましくは約20μm〜200μm,さらに約80μm〜150μmが適当である。
媒体収容部72は、所定の容器の形になるように、予め準備した複数のフレキシブルな材料片をヒートシール法等によって接着し形成した継ぎ目のあるものと、フレキシブルな材料がプラスチック樹脂の場合には、チューブ押し出し法で一体成型によって所定の形に形成される継ぎ目のないものが用いられる。先述のように、媒体収容部72には全体がフレキシブルな材料から形成されていない、一部が剛性の材料で形成される場合も、包含される。
また、媒体収納容器としてはトナー収納容器70に限定されるものではなく、例えば特開2006−178187号公報の段落「0026」から段落「0035」に記載されている、内部にトナーを収容する柔軟な袋部材を備え、この袋部材が、溶着容易な材料から成る溶着層と、気密性に優れた材料から成る気密層と、剛性に優れた材料から成る剛性層とを有するトナー収容体となるトナー容器80を用いてもよい。
このような可撓性を備えたトナー収納容器70はリサイクル性が良いが、剛性が低く、容器形状が定まり難くいため作業者Mが手で持ちにくいという課題があるが、ベルト部73を設けているので、容器形状が変形しても持ち易く、トレイ1への収納動作を容易に行えるというメリットがある。
つまり、トナー収納容器70をユーザーとなる作業者Mが使用する場合、運搬の際には、図6に示すように、中腰の状態でトナー収納容器70の先と後の端部のベルト73A、73Bを掴んで持ち上げることができる。ゆえにトナー収納容積が2リットル以上(トナー密度約0.6g/ccならトナー重量約1.2kg)、特に5リットル以上(同約3kg)といった重い容量でも簡単に運ぶことができる。トナー排出性の観点から流動性を上げるべく空気もそれなりに含めて密度を下げる必要があるが、そうすると容器自体の体積は大型化せざるを得ない。そうするとぐにゃぐにゃした状態で形状が定まらずに運び難くなるが、ベルト73A,73Bを備えることで、簡単に運べるようになる。特に長ベルトとなるベルト73Aは、運搬時と口金部材71をトレイ1内のトナー吸引ノズル1に位置あわせする際で把持位置を変えることで(位置あわせ時は、トナー排出口近くを持つ)運搬性とセット性を両立させることができる。
ベルト部73の構成としては、図6に示すようなベルト73A(短ベルト)とベルト73B(長ベルト)の配置や組み合わせに限定されるものでない。例えば図7に示す形態は、トナー収納容器70の先端72aと後端72b近傍に、ベルト73A(短ベルト)をそれぞれ設けたものである。すなわち、図7に示すベルト部73は、容器長手方向Aに位置する媒体収容部72の両端となる先端72aと後端72b側にベルト73A(短ベルト)をそれぞれ設けた構成とされている。このため、可撓性材料のトナー収納容器70はリサイクル性が良いが、剛性が低く、容器の形状が定まり難くいため手で持ちにくいが、容器の両端にベルト73Aをそれぞれ設けることで、形状が変形する場合や容量が大きく重量がある場合でも持ち易くなり、画像形成装置への収納動作を容易に行える。また、トナー収納容器70のフレキシブル性を逆に利用することで、容器長手方向に長いトナー収納容器70でも2つ折にわざと座屈させて肩幅程度にし、ひじを伸ばした楽な状態で運ぶことが可能になる。
ベルト部73の構成としては、図8に示すように、長ベルトであるベルト73Bのみであってもよい。この場合、容器長手方向に位置する媒体収容部72の両端となる先端72aと後端72bに、ベルト73Bの両端がそれぞれ固定する。
このような構成とすると、可撓性材料のトナー収納容器70はリサイクル性が良いが、剛性が低く、容器の形状が定まり難くいため手で持ちにくいが、ベルト73Bの両端をトナー収納容器70の両端に固定することで、ベルト73Bを作業者Mが肩からかけて片手で運ぶことができ、形状が変形する場合や容量が大きく重量がある場合でも運び易くなる。また、片手を自由に使えるため、トレイ1を引き出す際に、トナー収納容器70を下ろさなくて作業でき、収納動作を容易に行える。さらに、トレイ1へのセット時はベルト73Bの両端近傍をもち、トレイ内で後端72bを浮かせてトナー収納容器70をずらしつつ、先端72a側の口金部材71をトナー吸引ノズル91に位置あわせさせればよい(図14参照)。もちろん図6のトナー容器でも長ベルト73Bを肩に掛けての運搬は可能である。必要であれば、長ベルトを途中で2分し、ズボンに通すベルトのように長さを調節するバックル部とバックルの留め針を通す穴を複数設け肩に掛ける場合とトレイ内にセットする場合とで長さを調節できるようにてもよい。
次にトナー吸引ノズル91の構成について説明する。
図11に示すように、トレイ1のセット方向Cに位置する奥側には、各色のトナー収納容器70の口金部材71に対応するように4つのトナー吸引ノズル91が配置されている。各トナー吸引ノズル91の構成は同一であるので、1つのノズル構成について図5を用いて説明する。
トナー吸引ノズル91は、図5に示すように、トレイ1の載置面となる底板1Eからトレイ内に突出して口金部材71に挿入されることで係合する係合側となるノズル本体911と、ノズル本体911と反対側となる底板1Eの外側に、ノズル本体911に対して回動自在に支持されている継ぎ手部912とを備えている。ノズル本体911は、パイプ材であって、底板1Eからほぼ垂直な基部911Aと、基部911Aに対してほぼ直角に屈曲されて水平状態を占めた挿入部911Bとから構成されていて、底板1Eに固定されている。継ぎ手部912は、いわゆるニップ部であって、トナーチューブ86の端部が挿入されてゴムバンドなどによって抜け止めがなされて装着されている。
挿入部911Bはトレイ1の矢印Cで示すトレイ引出方向に向かって配置されている。挿入部911Bには、口金部材71との係合部となるキャップ98が貫通して装着されていて、挿入部911Bを軸にしてキャップ98が回動可能に固定されている。挿入部911Bにはキャップ98のセット方向Dへの位置を規制するストッパ911Cがキャップ98の前後に形成されている。キャップ98は単体時のキャップ74と同径でかつ同ピッチの雌ねじがその内側に形成されている。
このような構成によると、トレイ1にトナー収納容器70を載置してセット方向Dに移動させて挿入部911Bを口金部材71の排出口71Cへと挿入する。そして、ねじ溝71Dにキャップ98を締め込むことで、トナー収納容器70がトレイ1上に固定される。
このようなトナー吸引ノズル91の構成であると、後述する押し上げ部材3でトナーがノズル内を押圧し、その反作用でトナー収納容器70がトナー吸引ノズル91から抜けようとする作用が生じても、口金部材71がキャップ98との締結によってトレイ1に保持されるので、トナー収納容器70のずれによるトナー飛散を防止することができる。
また、継ぎ手部912部分が回転自在となっているので、トレイ1をセット位置へと押し込んだときに、弛んだトナーチューブ86が継ぎ手部912との間で突っ張ることがなく、良好にトレイ1の移動を行うことができ、操作性がよい。
図9、図10は口金部材の構成が異なるトナー収納容器を示す。このトナー収納容器701は、基本的には特開2006−178187号公報の段落「0026」から段落「0035」に記載されているトナー容器80の構成とされている。
トナー収納容器701の口金部材710は、図10に示すように、媒体収納部72内と連通する排出口711Aが断面L字状に形成されていて、弁体76を図10においてセット方向Cと直交するに移動させることで、排出口711Aを開閉するように構成されている。すなわち、排出口711Aは、媒体収納部72内と連通するトナー導入部711Aaとトナー導入部711Aaと連通するトナー落下部711Abとから構成されている。本形態において、トナー導入部711Aaはトナー収納容器701をトレイ1に載置した際に略水平状態となり、トナー落下部711Abは略垂直状態となるように形成されている。トナー落下部711Abの上部には弁ケース75がトナー落下部711Abとつながるように形成されている。弁ケース75とトナー落下部711Abには、軸状の弁体76が上下方向に移動可能に支持されていて、弁ケース75内に挿入されたバネ77によってトナー導入部711Aaとトナー落下部711Abを閉じる方向に付勢されている。弁体76のストローク量は、トナー吸引ノズル91によって押されて図10において上方に移動した際に、トナー導入部711Aaとトナー吸引ノズルとが連通可能となる量とされている。
このような口金部材711を有するトナー収納容器701に対応するトナー吸引ノズルの構成としては、図10に示すように、図5に示す挿入部911Bを備えず、トレイ1の底板1Eから上方に向かって突出するパイプ状でその一部が開口されたノズル本体911Dを挿入部とするナー吸引ノズル91Aとなる。
このような構成において、トレイ1にトナー収納容器701をセットする場合、ノズル本体911Dとトナー落下部711Abとの位置を合わせて上方からトナー収納容器701をトレイ1に載置する。すると、基ノズル本体911Dがトナー落下部711Ab内に進入して弁体76を押し上げて、トナー導入部711Aaとトナー落下部711Abとノズル本体911Dの開口部と連通する。本形態の場合、媒体収容部72と口金部材711との連結部での媒体移動方向に対して角度を持って突出する係合部はノズル本体911Dで構成される。
このようなトナー吸引ノズル91Aと口金部材711の構成であると、後述する押し上げ部材3でトナーがノズル内を押圧し、その反作用でトナー収納容器701がトナー吸引ノズル91Aから抜けようとする作用が生じても、口金部材711とノズル本体911Dとの挿入状態による締結によってトレイ1に保持されるので、トナー収納容器701のずれによるトナー飛散を防止することができる。なお、図10に示すノズル形態においても、図5に示す場合と同様に、ノズル本体911Dと反対側となる底板1Eの外側に、ノズル本体911Dに対して回動自在に支持されている継ぎ手部912とを備える構成としてもよい。
図10に示すトナー収納容器701の場合には、ベルト73Aを弁ケース75と容器の後端72bに装着するようにしてもよい。この場合トレイ1内に立設されたノズル本体911Dを上方から狙って口金部材711を落とし込む際にセットし易くなる。
トレイ1内でのトナー収納容器701の位置決めについては、図9に示すトレイ1の幅方向Fに位置する口金部材711の側面711a,711bに半円弧状の溝部715,715をそれぞれ形成し、これら溝部715,715に挿入可能な位置決めピン716、716をトレイ1上に設置しても達成することができる。
次に、移動促進手段2の構成について図11から図14を用いて説明する。
移動促進手段2は、トレイ1をセット位置に向かって挿入するのと連動してトナー吸引ノズル91と反対側のトレイ手前側においてトナー収納容器70の媒体収納部72を下方から押し上げ方向に動作可能な押し上げ部材3と、押し上げ部材3に押し上げ力を付与する弾性部材となる圧縮コイルバネ4と、最大引き出し位置からセット位置へのトレイ1の移動途中までは、押し上げ部材3の押し上げ動作を制限し、トレイ1がセット位置を占める際に、複写機本体100側に配置したカムレール103,103との協動によって押し上げ動作を開放する押上動作制御機構とを備えている。そして、これら押し上げ部材3、圧縮コイルバネ4、押上動作制御機構はトレイ1に設けられている。
押し上げ部材3は、トレイ奥側に位置する隔壁8とトレイ手前側の側壁1Aとの間に配置される押し上げ部材であって、ベース板3Aと、ベース板3Aの幅方向Eに一対の側板3B,3Cが立設されている。各トナー収納容器70は、このベース板3A上に載置される。押し上げ部材3は、金属や樹脂等で形成し、圧縮コイルバネ4の押圧で変形しないものがよい。
トレイ奥側に位置する側板3B,3Cの上部には、トレイ1の側壁1Bと側壁1Dにそれぞれ形成された支持穴9A,9Bに回転可能に挿入されるピン10A、10Bが同軸線上に形成されている。押し上げ部材3は、これら支持穴9A,9Bにピン10A、10Bを挿入することで、トレイ1にピン10A、10Bを中心にして上下に揺動自在に支持される。
ベース板3Aのトレイ手前に位置する後端3A1側には、ベース板3Aから幅方向Eに突出する突起11A,11Bが形成されている。これら突起11A,11Bの下方には、幅方向Fに伸びる渡り棒12が、ベース板3Aに固定されて配置されている。渡り棒12は、ベース板3Aの平面性を維持するために突起11A,11Bの裏に配置したもので、ベース板3A単体で強度を出せて捻れなどが発生しないで平面性を確保できる場合には省略することができる。
これら突起11A,11Bと渡り棒12の両端は、トレイ1の互いに対向する側壁1B、1Dに形成された円弧状の長孔13A,13Bに挿通されていて、押し上げ部材3の揺動範囲を規制している。
圧縮コイルバネ4は、図12,図13に示すように、その一端をトレイ1の底板1Eに固定されて底板1Eとベース板3Aの間に介装されていて、ピン10A、10Bを中心にしてベース板3Aの後端3A1が図14に示すように上方に持ち上がるように配置されている。
本形態において、圧縮コイルバネ4は幅方向Eに直線的3つ配置していて、トナー収納容器70内のトナー量が満杯の重い時(新品の時)でもトレイ1がセット位置を占めたときに、図15(d)に示すように、トナー収納容器70を十分に持ち上げてトレイ収納空間101の上部に位置する本体側天井面102に媒体収納部72が当接するように、バネ力が設定されている。このバネ力を確保されるのであれば、圧縮コイルバネ4の個数や配置は自由に設定することができる。つまり、本形態では、押し上げ部材3に載置されるトナー収納容器全ての満杯時においても押し上げ部材3を持ち上げられるバネ力に設定されているため、補給動作によって収納されるトナー量が徐々に少なくなるのに追従して、媒体収納部72をトレイ1の上方に位置する本体側天井面102に押し付けることができる。本体側天井面102は、複写機本体100に押し込まれたトレイ1の上方に配置され、押し上げ部材3によって押し上げられた媒体収納部72を、押し上げ部材3とで挟んで圧縮する圧縮部を構成する。
図11、図12に示すように、トレイ1の側壁1Bと側壁1Dの側には、トレイ奥行方向Fに長い一対のレバー61,62が配置されている。レバー61,62はトレイ奥側に位置する先端61A、62Aにカムレール103、103(図12参照)と当接するガイドピン63A、63Bが幅方向Eに突出するように設けられている。レバー61,62は、側壁1Bと側壁1Dに回転自在に支持された押し上げ部材3のピン10A、10Bによってそれぞれ揺動自在に支持されていて、トレイ手前側に対置するレバー61,62の後端61B,62Bが、長孔13A,13Bから幅方向Eに突出している突起11A,11Bの上方に当接可能に配置されている。レバー61,62には、圧縮コイルバネ4のバネ力に抗して後端61B,62Bで突起11A,11Bを押し下げる方向にレバー61,62を付勢する付勢力が作用している。この付勢力は、一端が後端61B,62Bとレバーの揺動中心との間に係止され、他端がトレイ1側に係止された付勢手段となる引っ張りコイルバネ64A,64Bによって付与されている。
押し上げ部材3は、このレバー61,62とレバーに付与される付勢力によって、トレイ1が引き出された状態では、図13に示すように、後端3A1側が底板1E側に位置するように保持されている。そしてレバー先端のガイドピン63A、63Bがカムレール103,103によって押し下げられると、図14に示すように、レバー61,62が解除方向に回転することで、後端61B,62Bによる突起11A,11Bを押し下げる作用が解除され、圧縮コイルバネ4のバネ力によって後端3A1側が底板1Eから上方に持ち上げられる。カムレール103,103は、図12に示すように、側壁1Bと側壁1Dにそれぞれ対向するトレイ収納空間101の側面101A、101Bに設けられている。カムレール103,103による押し上げ部材3の押し上げ規制の解除開始時期、すなわちガイドピン63A、63Bの押し下げに寄与するカムレール103のカム面(傾斜面)の開始位置は、トナー収納容器70の口金部材72とトナー吸引ノズル91とが連結されたトレイ1のセット位置、あるいはその直前で解除できるように設定するのが好ましい。と言うのも押し上げ部材3がセット位置からまだ距離を残す位置で上げられしまうと、本体側天井面102でトナー収納容器70を押圧しながらトレイ1が走行する距離が長くなり、トナー収納容器70にダメージを与えてしまいかねないからである。
本形態において、押上動作制御機構は突起11A,11B、渡り棒12、レバー61,62、引っ張りコイルバネ64A,64Bによって構成されている。
このような構成において、トレイ1にトナー収納容器70を新規にセットする場合、図15(a)に示すように、トレイ収納空間部101内に押し込まれているトレイ1を、作業者Mが取っ手89を持って引出方向Cに引き最大引出位置まで移動する。最大引出位置とは、トレイ収納空間101内にトレイ1の先端が位置し、作業者Mがトレイ1を支えなくても自力で支持される位置である。そして、この位置をトレイ1が占めると、トナー吸引ノズル91はトレイ収納空間101外に露出するので、作業者Mが外側から目視することができる。このため、トレイ1の上方からの作業者Mによるトナー吸引ノズル91とトナー収納容器70の口金部材71の係合動作の視認性が飛躍的によくなる。また、ガイドピン63A、63Bは図16(a)に示すようにカムレール103のカム面103Aとは接触していない。
トナー収納容器70は上述したように、可撓性材料ゆえ、弛み易く、トナー吸引ノズル91と口金部材71とを係合させるのが難しい。しかし、図15(a)に示すように、トナー収納容器70に容器長手方向と略並行に取り付けられたベルト73B(長ベルト)と口金部材71と反対側の端部に取り付けられたベルト73A(短ベルト)を採用しているので持ち易い。また、トレイ1は作業者Mから見て見下ろす位置にあり、上記のような配置と構成のベルトを備えることで、作業者Mは自然と容器上方からトナー収納容器70を把持し、トレイ1内へ容易に収納することができる。収納されたトナー収納容器70は、図15(b)に示すように、トレイ1内でその後端72bを持ち上げながらトナー吸引ノズル91に向かってずらし、トナー吸引ノズル91の先端に口金部材71を係合させて連結する。その際、ベルト73B(長ベルト)のトナー排出口近傍を把持して寄せるのがやり易い。
トレイ1内へ収納されたトナー収納容器70の先端側は、図11に示す隔壁8によって仕切られた区画R1からR4内の底板1E上に直接載置されるが、トナー収納容器70の後端72b側は図13に示すようにレバー61,62によって押し下げられている押し上げ部材3の上に載置される。このため、載置したときにぶらぶらしないので、トナー収納容器70の座りがよく、図15(b)に示すようにトナー吸引ノズル91に向かってずらし際も移動し易いので、セット性がよい。
次にトナー収納容器70をセットされたトレイ1を図15(c)に示すようにセット方向Cに向かって押し込むと、トレイ1がトレイ収納空間部101内を移動する。このとき、押し上げ部材3は、図16(b)に示すように、レバー61,62の先端に設けたガイドピン63A、63Bがカムレール103、103と当接するまでは押し下げられた状態であるので、本体側天井面102にトナー収納容器70がひっ掛かることがなく、トレイ1をセット位置へスムーズに移動することができる。
トレイ1の移動が進み、図16(c)に示すように、ガイドピン63A、63Bとカムレール103、103と係合すると、カムレールのカム面103Aによってガイドピン63A、63Bが押し下げられる。この作用によってレバー61,62は、後端61B,62Bを持ち上げる方向に回動するので、図15(d)に示すように、レバー後端によって上方への移動が規定されていた押し上げ部材3が圧縮コイルバネ4のバネ力によって押し上げられる。すると、トナー収納容器70は、押し上げ部材3によって主に媒体収納部72の後半部分が押し上げられる。このため、押し上げ部材3は、トナー収納容器70内のトナーが排出されるにつれて圧縮コイルバネ4によって上方に押し上げられるので、その傾斜が口金部材71に向かって急になり、収納されているトナーが少なくなっても排出性を維持することができる。
つまり、押し上げ部材3は、トレイ1をセット位置へと押し込んだときに、媒体排出部と反対側の媒体収納部72を下方から押し上げて媒体収納部72を垂直方向に曲げるように変形させるので、媒体収納部72のトナーが自重で落下するため、従来のようなスクリューなどの搬送手段などを用いることなく、トナーを口金部材71へと移動することができ、可撓性のトナー収納容器70であってもトナーの排出性が向上する。
さらに、押し上げ部材3が押し上げられると、押し上げ部材3と本体側天井面102とに媒体収納部72を挟まれ、可撓性の媒体収納部72の壁を有することを利用して容器内圧を高めることができるので、トナーの排出性をより向上させることができる。
一方、押し上げ部材3が押し上げられても、トナー収納容器70の前半部分は区画R1〜R4内の底板1E上にそれぞれ載置されているので、略水平状態のままである。このため、トナー満杯時においては、口金部材71側に対するトナーの移動が少なく、口金部材71側でのトナーの凝集がなく、凝集による吸引不良の発生を抑制することができる。
図11から図14に示す移動促進手段2では、レバー61,62に付勢力を与える引っ張りコイルバネ64A,64Bを、後端61B,62Bとレバーの揺動中心との間に配置したが、例えば図17に示すように、バネの一端を先端61A、62Aとレバーの揺動中心との間に係止したコイルバネ64C,64Dの他端をトレイ1に係止するように配置してもよい。この場合、カムレール103のカム面は、図16の場合と上下反対に配置し、セット位置直前でカム面が下がるように形成する。
このような構成とすると、図17(a)に示すようにトレイ1を引き出した状態ではカムレール103にガイドピン63A、63Bが乗り上げているのでレバー61A、61Bが押し下げられており、結果、押し上げ部材3のトナー収納容器70が載置される面は水平になるよう維持されている。これによりトナー収納容器70のセットはしやすくなっている。トナー収納容器70をトレイ1内に収納し、図17(b)に示すようにトレイ1を押し込み操作すると、セット位置直前のカム面が下がる傾斜面にガイドピン63A、63Bが掛かったときからレバー61,62の後端61B,62Bが引っ張りコイルバネ64A,64Bと押し上げ部材3の下方に設置した圧縮コイルバネ4から押し上げ部材3の両側の突起11A,11Bを経て伝えられる押上げ力によって上方に上がる。このため、図17(c)に示すように最終的にセット位置にトレイ1が至った際には、媒体収納部72の後半部分が本体側天井面102と押し上げ部材3との間で挟まれて、トナーを口金部材71側に移動させる内、レバー61,62の上がり具合に追従せず、それ以降はコイルバネ64C,64Dがレバー61,62を上げる。
画像形成にトナーが消費されるとトナー収納容器70は体積を減少する。そうすると押し上げ部材3は圧縮コイルバネ4の作用でさらにトナー収納容器70の媒体収納部72を押し上げるが、レバー61,62がその際、干渉しないようにより高い位置まで引っ張りコイルバネ64A,64Bで持ち上げられるので、レバー61,62が突起11A,11Bに干渉して押し上げ作用を途中で阻害することがなくなる。このため、トナーの残量が少なくなった場合でもトナーを口金部材71へと移動することができ、使用最後までトナーの排出性を維持することができる。
次にトレイ1の裏面構造について説明する。
図18に示すように、トレイ1の底板1Eには、トナー吸引ノズル91が装着されているが、トナー吸引ノズル91が取り付けられた区分された領域R1〜R4の裏面側には、トレイ1がセット位置を占めたときに、トナーチューブ86の弛みを収納する管状部材収納部95が形成されている。管状部材収納部95は、3つのガイド板96によって区切られて4つの収納空間P1〜P4が形成されている。収納空間P1〜P4は、トレイ奥行方向Fに長く形成されていて、トレイ1を裏返したときの上部側が蓋97によってそれぞれ覆われる。このため、収納空間P1〜P4はトレイ奥側が開放された状態となる収納空間P1〜P4の内部には、トナー吸引ノズル91のノズル本体911に対して回動自在に支持された継ぎ手部912が配置されている。
このように、トレイ1の裏面に管状部材収納部95を形成すると、トレイ1を引出状態からセット位置へと押し込んでいくと、トナーチューブ86が連結されている継ぎ手部912が回転して、弛んだトナーチューブ86が管状部材収納部95の収納空間P1〜P4内に巻き取りながら収納される。このため、トナーチューブ86の引っかかりが少なくなり、トレイ1の挿入や引出し操作を良好に行える。
図18に示す収納空間P1〜P4内のトナーチューブ86は、説明の便宜上左から右に巻き始めから巻き終わりまでの状態を段階的に示している。実際にはトレイ1のセット動作に同期して4本が同時に巻き込まれる。収納空間P1に位置するトナーチューブ86の状態は、トレイ1を引き出したときのトナーチューブ86の状態であって、弛みはなく、ピンと張られた状態である。収納空間P2に位置するトナーチューブ86の状態は、トレイ1を少し押し込んだときのトナーチューブ86の状態であって、収納空間P3に位置するトナーチューブ86の状態は、さらにトレイ1を押し込んだときのトナーチューブ86の状態を示す。収納空間P4に位置するトナーチューブ86の状態は、トレイ1をセット位置まで押し込んだときのトナーチューブ86の状態を示す。
トナーチューブ86はトレイ1の引出しや押込み動作に連動して収納空間P1〜P4内で巻き取りと巻き解きが繰り返されるため、耐久性を考慮すると座屈しない程度に大きく弛んで巻き込まれて収納されるのが望ましい。また、巻き取り方向も繰り返しに対して常に一方向に巻き取られるようにするのが望ましい。トナーチューブ86に巻き癖が付くのでトレイ1をセット方向Cに押し込んで巻き取り時に、トナーチューブ86が幅方向に自然に移動して座屈することが低減するからである。
また、管状部材収納部95には、図19に示すように、継ぎ手部912に対してトナーチューブ86の収納方向への回転習性を与える習性付与部材となるねじりコイルバネ87と、トレイ1が引出し操作されてねじりコイルバネ87による回転習性に抗して継ぎ手部912が引出し方向に回転したときに、その引出し方向への継ぎ手部912の回転を規制する規制部材となるストッパ88を設けてもよい。ストッパ88は、継ぎ手部912を例えば図19において7時の方向で停止させるように収納空間P1〜P4内に固定する。ねじりコイルバネ87は、継ぎ手部912に巻装し、その一端87Aは継ぎ手部912に係止し、他端87Bは収納空間P1〜P4内に固定する。
このような構成とすると、トレイ1をセット位置から引き出すと、収納空間P1〜P4内に収納されているトナーチューブ86は、巻き解かれて収納空間P1〜P4内から排出されるが、巻取り方向つまり収納方向への巻取り習性がねじりコイルバネ87によって付与されているので、引き出されても弛むことがなく、トレイ1の引出操作時の引っかかりがなくなる。また、トレイ1が最大引出位置を占めると継ぎ手部912がストッパ88と当接し、7時の位置に保持される。この状態でトレイ1に対して押し込み操作を行うと、継ぎ手部912が7時の位置に配置されているので、継ぎ手部912はトナーチューブ86の位置に係らず図中時計周り方向にバネ力によって回転する。このため、トナーチューブ86は、トレイ1を押し込む際にはトレイ1の移動量に応じて張力を受けながら巻き解けられて収納空間P1〜P4内に収納される。このため、トレイ1を複写機本体100内に戻す際にもトナーチューブ86の弛みはなくトレイ1の押込時も引っかかりがなくなり、トレイ1の操作を良好に行える
上記形態において、トレイ1は、複写機本体100に水平方向に形成されたトレイ収納空間部101に対して水平方向に着脱自在に挿入するようにしたが、例えば図20に示すように、複写機本体100に対してトナー奥側となるトレイ1の先端側が下り傾斜して装着される形態であってもよい。この場合、トレイ収納空間部101を本体奥側に向かって下り傾斜となるように形成すれば達成できる。
このような構成とすると、トレイ1の底面1Eが傾斜面となるので、この底面1Eに沿ってトナー収納容器70を移動することで、トナー収納容器70をトレイ1に容易に設置することができるとともに、トナー収納容器70内のトナーが自重によって口金部材71側へと移動するので、可撓性のトナー収納容器70であってもトナーの排出性が向上する。この場合、図16に示したカムレール103,103を傾斜して配置することで、トレイ1がセット位置を占めたときに、図21に示すように、移動促進手段2の押し上げ部材3によって、容器の後端72b側だけが押し上げられる。このため、スクリューのように搬送手段を用いることなく、可撓性のトナー収納容器70であってもトナーの排出性を向上することができる。
別な形態としては、図22に示すように、トレイ1の先端が、トレイ1の後端側よりも低くなるように底板1Eを形成する。このような形状とすると、トレイ1全体を斜めに配置する場合よりも、トレイ引き出し時に作業者にかかる荷重を低減することがでるので、トナー収納容器70の交換時の作業性が向上する。また、トレイ1は、図23に示すようにセット位置を占めたときには、押し上げ部材3によって、容器の後端側だけが押し上げられるため、スクリューのように搬送手段を用いることなく、可撓性のトナー収納容器70であってもトナーの排出性を向上することができる。
次に図24から図30を用いてトナー凝集抑制手段の構成について説明する。
図24において、カラー複写機は凝集抑制手段150を備えている。この凝集抑制手段150で振動される媒体収納容器はトナー収納容器70とするが、図9に示すトナー収納容器701であってもよい。
凝集抑制手段150は、セット位置を占めたトレイ1に収納されたトナー収納容器70に振動を与えることでトナー収納容器70の先端72a側に設けたトナー口金部材71側に移動させるものである。凝集抑制手段150は、図24に示す複写機本体100から引き出されたトレイ1が、図25(a)に示すセット位置を占めたときに、トナー収納容器70におけるトレイ引出方向D側に位置する後端72bに上方から当接する可動部材151と、可動部材151を上下方向に可動する駆動手段となる駆動モータ152とを有している。このトレイ1は、トナー収納容器70を載置した状態から上方に圧縮コイルバネ4によって押し上げられる押し上げ部材3を備えているので、圧縮コイルバネ4が、可動部材151と対向する側から同可動部材に向かってトナー収納容器70を付勢する付勢手段として機能する。
可動部材151は、後述するようにトナー収納容器70を押圧しながら回転することでねじり力をトナー容器上部壁面に付与するねじ棒であって、トレイ上下方向に延在するようにトナー収納容器70の上方に配置されている。可動部材151の一端151aはトレイ1に収納されたトナー収納容器70の後端72bの上面にトレイ1がセット位置にあるときに当接し、可動部材151の他端151bは駆動モータ152と係合している。可動部材151は駆動モータ152によって回転方向が変更されることで上方または下方へと移動する。
駆動モータ152は、正逆回転可能なものであって、例えばトレイ収納空間101の上部に位置する本体側天井面102側に固定する。トレイ1が引き出された状態のときに可動部材151がトレイ収納空間101内に位置していると、トレイ1をセット位置へ移動する際にトナー収納容器70と干渉することがある。このため、可動部材151はトレイ1がセット位置を占めるまでは、少なくともトナー収納容器70の上面と干渉しない位置へ退避しているのが望ましい。
トレイ収納空間101の内部にはトレイ1がセット位置を占めたことを検知する位置検知手段153が配置されていて、この位置検知手段153によってトレイ1がセット位置を占めたことが検知されると、駆動モータ152が作動して可動部材151の一端151aがトナー収納容器70の上面に当接する位置まで下降する。この下降量は予め設定しておけばよい。また、本形態の場合、トレイ1がセット位置を占めると、圧縮コイルバネ4によって押し上げ部材3を介してトナー収納容器70の後端72b側が上方に移動するため、可動部材の一端151aに対して後端72bが圧接することになり、後端位置が固定されることになる。なお、トナー収納容器70の、可動部材151の一端151aが当接する部分には補正部材154が付設されている。
このような構成の凝集抑制手段150の動作について説明する。
上述したように引き出されたトレイ1にトナー収納容器70を収納してトナー吸引ノズル91と口金部材71とを係合させた後、セット方向Cにトレイ1を押し込む。そして、図25(a)、図26(a)に示すようにトレイ1がセット位置を占めると駆動モータ152が作動して可動部材151を所定量下降する。これと平行してトナー収納容器70の後端72bも圧縮コイルバネ4と押し上げ部材3によって上方、すなわち可動部材151に向かって移動する。このため、トナー収納容器70の後端72bが可動部材151の一端151aと押し上げ部材3によって弾性的に上下方向から挟まれて固定される。
この状態で駆動モータ152を例えば正転すると、可動部材151が図26(b)に示すように上昇して当接位置から逃げるように移動するが、トナー収納容器70の後端72bがバネ力によって押し上げられることでねじ棒の当接は維持される。正転方向のねじり力がトナー容器70に外から付与され、結果容器上面の壁面はねじ棒の当接位置を中心に渦を巻くようなしわが生じる。この壁面のしわ形成の作用が容器内部にも伝わり、トナーが移動し、ほぐれるようになる。駆動モータ152を逆転すると、可動部材151が図25(b),図26(c)に示すように下降してトナー収納容器70の後端72bが可動部材151によって押し下げられる。この場合は上記とは逆方向の渦しわが生じ、その形成作用が容器内部にも伝わり、トナーが移動し、ほぐれるようになる。
このように、駆動モータ152を作動すると、トナー収納容器70の後端72bにねじり力を作用し、トナー収納容器70の内壁面に付着したトナーが剥がれ、かつ、流動性が増すことになる。その結果、トナー収納容器70の媒体排出部側となる口側部材71へトナーが搬送され易くなり、トナーの排出性が向上し、安定的に媒体排出性能を発揮することができる。
図27は、凝集抑制手段の別な構成を示すものである。
図27(a)に示す凝集抑制手段160は、トナー収納容器70を同一平面内で水平方向に振動させるものである。凝集抑制手段160は、トレイ1がセット位置を占めたときに、トナー収納容器70の後端72bの上方に当接する可動部材161と、トナー収納容器70を同一平面内で移動して振動させるように可動部材161を可動する駆動手段となる駆動モータ162を有している。
可動部材161は、トレイ上下方向に延在するようにトナー収納容器70の上方に配置されている。可動部材161の一端161aはトレイ1に収納されたトナー収納容器70の後端72bの上面にトレイ1がセット位置にあるときに当接し、他端161bは駆動モータ162と係合している。可動部材161は駆動モータ162によって回転されると、トナー収納容器70を伸ばす方向に移動して同一平面内において水平方向への振動を発生するように移動する。
駆動モータ162は、例えばトレイ収納空間101の上部に位置する本体側天井面102側に固定する。トレイ1が引き出された状態のときに可動部材161がトレイ収納空間101内に位置していると、トレイ1をセット位置へ移動する際にトナー収納容器70と干渉することがある。このため、可動部材161はトレイ1がセット位置を占めるまでは、少なくともトナー収納容器70の上面と干渉しない位置へ退避しているのが望ましく、押し上げ部材3同様の機構によってセット動作に連動して下降/上昇する。このような構成の凝集抑制手段160によると、トナー収納容器70が収納されたトレイ1がセット位置を占めた状態で駆動モータ162を作動すると、可動部材161が回転してトナー収納容器70を伸ばす方向に移動してトナー収納容器70の後端72bに同一平面内で水平方向への振動を与える。このように、駆動モータ162を作動すると、トナー収納容器70の後端72bに水平方向への振動が与えられるので、トナー収納容器70にテンションがかかるため、内壁面に付着したトナーを剥がす効果がさらに増し、トナー流動性がより向上して搬送され易くなり、トナーの排出性が向上し、安定的に媒体排出性能を発揮することができる。
図27では、凝集抑制手段160によってトナー収納容器70を伸ばす方向に移動して水平方向の振動を発生させているが、図28に示すように、凝集抑制手段160によってトナー収納容器70の後端72bを幅方向Fに平行移動して水平方向への振動をトナー収納容器70の後端72bに与えるようにしてもよい。
凝集抑制手段160の具体的な構成について図62を用いて説明する。図62に示すように、凝集抑制手段160の可動部材161は、軸16cによって他端161bが揺動自在に支持されたアーム部材で構成されている。可動部材161の中央にはカム165と当接するピン166が設けられている。本形態では、このアーム部材の先端が可動部材161の先端161aとして媒体収納部72の上面72cに圧接している。カム165は、駆動モータ162で回転駆動されるもので、このカム165が回転してピン166を押すことで、本形態では図中左方向に可動部材161が移動する。可動部材161には、カム165による押付け方向と反対側に可動部材161を付勢する付勢手段としての戻りばね167の一端が係止されている。戻りばね167の他端は、例えばトレイ収納空間101に固定されている。
このような構成によると、駆動モータ12が駆動すると、カム165が回転してピン166を介して可動部材161が図中左方向に移動する。そして、カム165が回転をしてピン166との当接(係合)状態が解除されると、可動部材161は、戻りばね167の作用により図中右方向に移動する。このような可動部材161の揺動自在によって、媒体収納部72の上面72cが押圧された状態で擦られる。
図62に示す例では、可動部材161を幅方向Bに移動するようにしたが、同様の構成可動部材161を容器長手方向Aに揺動するように配置することで、容器長手方向Aに可動部材161によって振動を与えることができる。
図29は、凝集抑制手段のさらに別な構成を示すものである。
図29(a)に示す凝集抑制手段170は、トナー収納容器70を同一平面内で回転方向に振動させるものである。凝集抑制手段170は、トレイ1がセット位置を占めたときに、トナー収納容器70の後端72bに上方から当接する可動部材171と、トナー収納容器70を同一平面内で回転移動して振動させるように可動部材171を可動する駆動手段としての駆動モータ172を有している。
可動部材171はトナー収納容器70の上方に配置されている。可動部材171の一端171aはトレイ1に収納されたトナー収納容器70の後端72bの上面にトレイ1がセット位置にあるときに当接し、他端171bは駆動モータ172と係合している。可動部材171は駆動モータ172によって回転されると、トナー収納容器70を同一平面内で回転移動させて振動させるように移動する。
駆動モータ172は、正逆回転可能なものであって、例えばトレイ収納空間101の上部に位置する本体側天井面102側に固定する。トレイ1が引き出された状態のときに可動部材171がトレイ収納空間101内に位置していると、トレイ1をセット位置へ移動する際にトナー収納容器70と干渉することがある。このため、可動部材171はトレイ1がセット位置を占めるまでは、少なくともトナー収納容器70の上面と干渉しない位置へ退避しているのが望ましく、トレイ収納空間101の内部に配置した位置検知手段153によってトレイ1がセット位置を占めたことが検知されると、駆動モータ172を作動して可動部材171の一端171aがトナー収納容器70の後端72bの上面に当接する位置まで下降させればよい。
このような構成において駆動モータ172を作動すると、可動部材171の動作によって、トナー収納容器70の後端72bが図29(a)から図29(d)で示すように、同一平面内で水平方向に回転して振動するので、トナー収納容器70内のトナーの動きが激しくなり、トナーの流動性が向上して搬送され易くなり、トナーの排出性が向上し、安定的に媒体排出性能を発揮することができる。
凝集抑制手段170の具体的な構成について図63を用いて説明する。
図63に示すように、凝集抑制手段170の可動部材171は、軸受部材173で回転自在に支持された軸で構成されている。可動部材171の他端171bには、伝達歯車176が固定されている。伝達歯車176には、駆動モータ172によって回転駆動されるピニオン歯車175が噛み合っている。可動部材171には、トレイ収納空間内101に位置するようにベース部材となる円板174が固定されている。この円板174には、媒体収納部72の上面72cに向かって延びて圧接する突片177が形成されていて、この突片177の先端が可動部材171の先端171aとして機能する。突片177は、可動部材171の回転中心に対して偏心して配置されていて、上面72cに対して斜め上方から圧接するように、傾斜して円板174に装着されている。本形態では突片177は1つだけ円板174に配置したが、トナー収納容器70の後端72bに与える振動の程度を考慮して2つ以上配置しても良い。
このような構成により先端171aはトナー収納容器70の後端72bで同一平面上に回転移動する。そして、この回転移動により、トナー収納容器70の後端72bに対して振動が付与されるので、トナー収納容器70内のトナーの動きが激しくなり、トナーの流動性が向上して搬送され易くなり、トナーの排出性が向上し、安定的に媒体排出性能を発揮することができる。
上記各凝集抑制手段では、移動促進手段2の構成要素を兼ねた押し上げ部材3と圧縮コイルばね4によって、トレイ1に収納されるトナー収納容器70を、同容器の上方に配置された可動部材側に付勢するようにしたが、凝集抑制手段の形態としては、このようなものに限定されるものではない。例えば、図30(a)に示すように、各凝集抑制手段の可動部材151,161,171と駆動モータ152,162,172を、トナー収納容器70の下方に配置し、可動部材151,161,171の一端151a,161a,171aをトナー収納容器70の後端72bの下面に当接させて、駆動モータ152,162,172を作動するようにしてもよい。このような形態としても、各駆動モータの作動により可動部材151,161,171が可動することで、図30(b)に示すようにトナー収納容器70の後端72bに振動を与えることができ、トナーの流動性が向上して搬送され易くなり、トナーの排出性が向上し、安定的に媒体排出性能を発揮することができるとともに、圧縮コイルばね4を用いる必要がなくなるので、コスト低減を図ることができる。
また、可動部材151,161,171の一端151a,161a,171aをトナー収納容器70の後端72bの下面に当接させる場合、押し上げ部材3の構成も不要となるので、図31に示すような、移動促進手段2を備えていないトレイ180を用いることもできる。
上記各形態では、トレイ1がセット位置を占めると各駆動モータを作動してトナー収納容器70の後端72bに振動を与えているが、凝集抑制手段は常に稼動している必要はなく、例えば画像形成時にのみ凝集抑制手段の各形態の駆動モータを作動するようにしてもよい。このように構成とすると、トナー収納容器70内のトナーの口金部材71への移動が過度に促進されることがなくなり、口金部材71付近でのトナー詰りを低減することができる。
媒体収納容器としては、上記のもの意外に、図32〜図43に示す拘束部材を備えた媒体収納容器を用いることもできる。
図32〜図36を用いて拘束部材を備えた媒体収納容器の第1の形態について説明する。
図32に符号600で示す媒体収納容器となるトナー収納容器は、図1に示す複写機本体100に着脱自在である。具体的には、上記のトナー収納容器70,701と同様に、トレイ1やトレイ180に対して収納と取出しを行える。
トナー収納容器600は、少なくとも一部が可撓性材料からなる媒体収容部602と、トレイ1やトレイ180に設けたトナー吸引ノズル91,91Aと結合し、内部の収納されたトナーが排出される媒体排出部となる口側部材601と、媒体収容部602に設けられ、媒体収容部602を外側から内側に向かって圧縮するように拘束する結束部材603を備えている。口側部材601や媒体収容部602の構成や材質は、トナー収納容器70,701や口金部材71,711と同様のものが採用される。
媒体収容部602は、矢印Aで示す容器長手方向に長い箱型形状であって、トナー吸引ノズル側に位置される前端602aの幅を、図に置いて上下方向に狭められている。口側部材601は前端602aに配置されている。
結束部材603は、ここでは1本の紐であって、容器長手方向Aに延びていて、その一部となる中央部603cが口金部材602に巻き付けられて媒体収容部602に設けられている。結束部材603は、口金部材602に巻きけられた状態のときに、その両端603a,603bが媒体収容部602の後端602bから突出する長さを有している。ここでは、1本の紐を口金部材602に巻き付けて係止し、その部分は固定していないが、例えば媒体収容部602の互いに対向する容器外面602c,602dに部分的に移動可能に装着して係止するようにしても良い。
このような構成の結束部材603を備えたトナー収納容器600内のトナーが空になり、トレイ1やトレイ180から取り外す容器回収時あるいは回収したトナー収納容器600の廃棄時に、作業者が結束部材603の両端603a,603bを後端602b側で交差させ、手で左右に引く操作を行う。すると可撓性材料からなる媒体収容部602は、図33に示すように容器長手方向Aから潰されて圧縮変形し、その容積が小さくなる。つまり、媒体収容部602は結束部材603によって外側から内側に向かって圧縮するように拘束される。このため、トナー収納容器600の容積は小さくなる。このように圧縮されて容積が小さくされた状態で、結束部材603を後端602bで結ぶ操作を行って結び目604を作ると、トナー収納容器600は圧縮されて容積が小さくされた状態に保持される。
拘束部材の装着形態としては、例えば図34に示すように、2本の紐からなる拘束部材605,606の一端605a、606aを口金部材601近傍の前端602aに固定し、媒体収容部602の表面に沿うように這わせて、他端605b,606bを後端602b側で交差させ、お互いの他端605B,606Bを逆側に突出するように配架しても良い。
このような構成とすると、拘束部材605,606の他端605b,606bを左右に引っ張る操作を作業者が行うだけで、可撓性材料からなる媒体収容部602を、図33に示すように、容器長手方向Aから潰して圧縮変形させて容積を小さくすることができる。
拘束部材の装着形態としては、図35に示すように、1本の紐からなる拘束部材607を、媒体収容部602の前端602aと後端602bにまたがるように容器長手方向Aから2重に巻きつけてループ部608を形成し、その端部607a,607bを後端602b側で交差させ、お互いの他端607a,607bを逆側に突出するように配架してもよい。
このような構成としても、拘束部材607の端部607a,607bを左右に引っ張る操作を作業者が行うことで、ループ部608が縮まるので、可撓性材料からなる媒体収容部602を、図33に示すように、容器長手方向Aから潰れて圧縮変形させて容積を小さくすることができる。また、この構成の場合、端部607aまたは端部607bの何れかを引く操作を行っても、媒体収容部602に巻き付けられたループ部608を縮められるので、媒体収容部602を、容器長手方向Aから潰して圧縮変形させて容積を小さくすることができる。
このように、拘束部材を引くという操作により、トナー収納容器600全体の容積が小さくなるとともに、引いた拘束部材の部分を結ぶことで、小さくした状態を維持できる。このため、作業者が廃棄するためスペースを狭くできるとともに、小さいために移動が容易となり、搬送などの環境負荷に対する影響度合いを小さくする事ができる。よって、コンパクトに回収可能でリサイクル性と回収効率の向上を図ることができる。
また、図32から図35において、各拘束部材の端部を容器後端602bから突出させて状態でトレイ1やトレイ180に収納すると、それぞれのトレイから取り外す時に端部を引くことで取り外すことができる。よってトナーの出口となる口金部材601に容器取外し時に作業者が触ることなく取れ外せることとなり、作業者の手を汚す事を避けられる。
図36〜図39を用いて拘束部材を備えた媒体収納容器の第2の形態について説明する。
図36に符号610で示す媒体収納容器となるトナー収納容器は、図1に示す複写機本体100に着脱自在である。具体的には、上記のトナー収納容器70,701と同様に、トレイ1やトレイ180に対する収納と取り出しを行える。
トナー収納容器610は、少なくとも一部が可撓性材料からなる媒体収容部612と、トレイ1やトレイ180に設けたトナー吸引ノズル91,91Aと結合し、内部の収納されたトナーが排出される媒体排出部となる口側部材611と、媒体収容部612に設けられ、媒体収容部を外側から内側に向かって圧縮するように拘束する結束部材613を備えている。口側部材611や媒体収容部612の構成や材質は、トナー収納容器70,701や口金部材71,711と同様のものが採用される。
媒体収容部612は、容器長手方向Aに長い箱型形状であって、トナー吸引ノズル側に位置される前端612aの幅を図に置いて上下方向に狭められている。口側部材611はこの前端612aに配置されている。
結束部材613は1本歩の紐であって、媒体収納部612の外面に、容器長手方向Aと交差する幅方向Bから巻きかけられていて、その両端613a,613bを媒体収納部612の側面612c側から突出するようには配架されている。この場合、結束部材613は側面612cと反対側に位置する側面612d側にその一部が係止されている。
媒体収納部612に結束部材613を配架する向きは、幅方向B、すなわち容器長手方向Aと直交する方向に限定されるものではなく、容器長手方向Aに対して傾斜して配架するようにしてもよい。
このような構成おいて、容器回収時や廃棄時に結束部材613を両端613a,613bを側面613c側で交差させ、手で互いに交差する方向に引く操作を行う。すると、可撓性材料からなる媒体収容部613は、容器の幅方向Bから潰されて圧縮変形し、その容積が小さくなる。つまり、媒体収容部612は結束部材613によって外側から内側に向かって圧縮するように拘束される。このため、トナー収納容器610全体の容積は小さくなる。このように圧縮されて容積が小さくされた状態で、結束部材613を両端613a,613b側で結ぶ操作を行って図33に示すような結び目を作ると、トナー収納容器610は圧縮されて容積が小さくされた状態に保持される。
あるいは、図37に示すように、口金部材611が媒体収容部612に入るように、媒体収容部612の先端612aを後端612b側に向かって押し込むように変位させる。つまり、口金部材611を媒体収容部612の後端612b側に向かって変位させる。すると、媒体収容部612は変形して空間部614が形成される。この空間部614は、口金部材611を収納することが可能な容積を有していれば良い。図37では、結束部材613が配置された位置まで押し込んで空間部614を形成したが、ここまで押し込んで空間部614を形成しなくても良い。このときに変位した部分となる口金部材611や空間部614に巻き渡るように結束部材613を媒体収容部612に配架してもよい。つまり、結束部材613の位置は、少なくても変形によって生じる空間部614を外側から潰せる位置に配置されていれば良い。
この場合、結束部材613の両端613a,613bを側面613c側で交差させ、手で互いに交差する方向に引く操作を行うと、図38に示すように、空間614が潰れて口金部材611を周囲から覆うように包容部616が形成されつつも前端612aが変形する。このため、媒体収容部612の容積は小さくなりつつも口金部材611が露呈しなくなり、コンパクトに回収可能でリサイクル性と回収効率の向上を図りながら、作業者の手を汚す事を避けられる。
この圧縮された媒体収容部612に、さらに、結束部材613を媒体収納部622に容器長手方向Aに掛け渡し、後端612b側で両端613a,613bを交差する方向に操作すると、媒体収納部612が容器長手方向Aから潰されて圧縮変形し、その容積がさらに小さくなる。つまり、媒体収容部612は結束部材613によって外側から内側に向かって圧縮するように拘束される。このため、トナー収納容器610全体の容積はさらに小さくなる。このように圧縮されて容積が小さくされた状態で、結束部材613を後端612b側で結ぶ操作を行って結び目615を作ると、トナー収納容器610は圧縮されて容積が小さくされた状態に保持される。
このように、拘束部材613を引くという操作により、トナー収納容器610全体の容積が小さくなるとともに、引いた拘束部材の部分を結ぶことで、小さくした状態を維持できる。このため、作業者が廃棄するためスペースを狭くできるとともに、小さいために移動が容易となり、搬送などの環境負荷に対する影響度合いを小さくする事ができる。よって、コンパクトに回収可能でリサイクル性と回収効率の向上を図ることができる。
図40〜図43を用いて拘束部材を備えた媒体収納容器の第3の形態について説明する。
図40に符号620で示す媒体収納容器となるトナー収納容器は、図1に示す複写機本体100に着脱自在である。具体的には、上記のトナー収納容器70,701と同様に、トレイ1やトレイ180に対する収納と取り出しを行える。
トナー収納容器620は、少なくとも一部が可撓性材料からなる媒体収容部622と、トレイ1やトレイ180に設けたトナー吸引ノズル91,91Aと結合し、内部の収納されたトナーが排出される媒体排出部となる口側部材621と、媒体収容部622に移動可能に装着されていて、口側部材621を覆る大きさの被覆部材624を有している。そして、この形態では、媒体収容部621を外側から内側に向かって圧縮するように拘束する結束部材623を、媒体収容部621に直接ではなく被覆部材624に設けている。口側部材621や媒体収容部622の構成や材質は、トナー収納容器70,701や口金部材71,711と同様のものが採用される。媒体収容部622は、容器長手方向Aに長い箱型形状であって、トナー吸引ノズル側に位置される前端622aの幅を図に置いて上下方向に狭められている。口側部材621がこの前端622aに配置されている。
被覆部材624は、媒体収容部622の前端622a側の概観形状に類似する形状であって、媒体収容部622に対して口金部材621に半分口の開いた袋状に形成されていて、通常は口金部材621を露呈するように、媒体収容部622の前端622a側に装着されている。
結束部材623は、1本歩の紐であって、被覆部材624の外面に、容器長手方向Aと交差する幅方向Bから巻きかけられていて、その両端623a,623bを媒体収納部622の側面622c側から突出するようには配架されている。この場合、結束部材623は、側面622cと反対側に位置する被覆部材624の側面624b側にその一部が係止されている。
このような構成おいて、容器回収時や廃棄時に、結束部材623の両端623a,623bを作業者が手で持って、前端622a側を覆っている被覆部材624を、前端622aから外れる方向に移動すると、図41に示すように、口金部材621を含むような折り返し空間625が形成される。このとき結束部材623は折り返し空間625上に配置される。この状態で、結束部材623の両端623a,623bを交差させ、手で互いに交差する方向に引く操作を行う。すると、図42に示すように、空間部625が潰れて口金部材621を周囲から覆うように包容部626が形成される。このため、口金部材621が露呈しなくなる。空間625は口金部材621を収納可な容積を有すれば良いため、図41に示すように、全ての被覆部材624を折り返す必要はない。また、完全に口金部材621を収納する必要がなければ、そこまでで良い。
この状態で、さらに結束部材623を媒体収納部622に容器長手方向Aに掛け渡し、後端622b側で、両端623a,623bを交差する方向に操作すると、媒体収納部622が容器長手方向Aから潰されて圧縮変形し、その容積が小さくなる。つまり、媒体収容部622は結束部材623によって外側から内側に向かって圧縮するように拘束される。このため、トナー収納容器620全体の容積はさらに小さくなる。このように圧縮されて容積が小さくされた状態で、結束部材623を後端622b側で結ぶ操作を行って結び目627を作ると、トナー収納容器620は圧縮されて容積が小さくされた状態に保持される。
このように、拘束部材623を引くという操作により、トナー収納容器620全体の容積が小さくなるとともに、引いた拘束部材の部分を結ぶことで、小さくした状態を維持できる。このため、作業者が廃棄するためスペースを狭くできるとともに、小さいために移動が容易となり、搬送などの環境負荷に対する影響度合いを小さくする事ができる。よって、コンパクトに回収可能でリサイクル性と回収効率の向上を図ることができる。
各形態で説明したトナー収納容器602,612,622は、特別、折り目等を形成していないので、拘束部材で容器長手方向Aに圧縮したときに、図33,図39,図43に示すように、容器への外力のかかり方で不定形に潰れて「ぐしゃぐしゃ」な状態で保持されるが、折り目等を媒体収納部に形成することや、剛性の弱い部分を意図的に形成することで、定型的に折り畳んだ状態やロール状にして保持するようにしても良い保持することも。
各形態における結束部材としては、紐に限定されるものではなく、例えば少なくともその一部が弾性部材となるゴムベルトや樹脂ベルトなどを用いてもよい。このような弾性部材を結束部材として使用すると、結束部材の伸縮性が上がり、各媒体収納部を結束部材で押さえ込む状態が変動を受けにくくなる。このため、回収時の運搬やリサイクル処理における外力を受けて、容器の体積が小さくなる条件が変わってしまい、体積が大きくなってしまうことや、結束部材が外れて口金部材がむき出しとなりトナー飛散が発生する事を防ぐことができる。
また、各形態の結束部材を、各形態で説明した媒体収納部の材質と同一な材質で構成すると、各媒体収納部そのものと環境による物性的な変化量が同一となるため、リサイクル時の分別処理が不要となり、運搬や処理が容易となるとともに、製造時にも省エネとなる。
各形態で説明したトナー収納容器600,610、620に、上述のベルト部73を形成すると、コンパクトに回収可能でリサイクル性と回収効率の向上を図りながら、トレイ1やトレイ180にセットする際の作業性も向上することができる。
移動促進手段としては、上記のもの意外に、図44〜図60に示す移動促進手段を用いることもできる。
図44〜図60に示す移動促進手段800,800A,800B,800C,800D,800E,800Fは、画像形成装置本体となる図1に示すカラー複写機の複写機本体100に対して水平方向に引き出された引出位置と押し込まれたセット位置の間で移動自在なトレイに設置された媒体収納容器内の媒体となるトナーの移動促進に用いられる。
図44〜図60において、トレイは図1に示すトレイ1を、媒体収納容器はトナー収納容器70を用いることとするが、図31に示すトレイ180や図9に示すトナー収納容器701を用いてもよい。トナー収納容器70は容器長手方向Aに長く形成されていて、媒体収納部72と口金部材71を備えている。口金部材71は媒体収納部72の前端72a側に設けられている。そしてトナー収納容器70はトレイ1に対して前端72a側から挿入されて収納される。このためトナー収納容器70の後端は媒体収納部72の後端72bであり、トナー収納容器70の表面とは、媒体収納部72の表面である。また、本形態において、媒体排出方向とは、媒体収納部72内のトナーが口金部材71側に移動する方向を指し、符号Gで示す。
図44〜図48を用いて移動促進手段800の構成と動作を説明する。
移動促進手段800は、トレイ1内の媒体収納部72に接触して媒体収納部72内のトナーを媒体収納部72内の媒体排出部となる口金部材71側へ向かって、すなわち媒体排出方向に移動させるものである。
移動促進手段800は、口金部材71と反対側に位置する媒体収納部72の後端72b側を容器内側に変形させるように、トナー収納容器70の表面に接触する押付け部材801,802を備えている。
押付け部材801は、図45に示すように、トレイ1の底板1Eに載置されて媒体納容部72の表面となる下面72dを容器内部に変形するように配置され、押付け部材802は、媒体納容部72の表面となる上面72cを容器内部に変形させるように配置されている。すなわち、押付け部材801は、トレイ1の底板1からトレイ1内に突出するようにトレイ1の下部に装着されている。このため、媒体納容部72の後端72bは、トレイ1上にトナー収納容器70が収納されると、下方から容器内部に変形された状態となる。
押付け部材802は、トレイ1が収納される、複写機本体100内のトレイ収納空間101の上部102に配置されている。このため、後端72bはトレイ1がトレイ収納空間101内に位置すると、上方からは容器内部に変形された状態となる。
つまり、移動促進手段800は、媒体納容部72の下面72dと上面72cに対して媒体排出方向とは異なる方向から各押付け部材が押し付けられることにより、その押し付け力によってトナー排出が行われる構成とされている。
このように、押付け部材801,802によってトナー収納容器70の端部72dが容器内側に変形すると、口金部材71への移動力が可撓性の容器外壁を介して容器内部のトナーに伝達されるので、水平に延在配置させたトナー収納容器70であっても、スクリュなどの搬送手段を用いることなく、口金部材71へトナーが移動し、安定的な媒体排出性能を発揮することができる。
図45に示すように、押付け部材801,802を容器内側へ向かって付勢する押し付け機構となる圧縮コイルバネ803,804を配置すると、押付け部材801,802は容器下面72dと容器上面72cに対して弾性的に押し付けられることになる。すると、媒体収納部72が押付け部材801,802によって加圧されて変形して媒体収納部72内の圧力が上昇する。このため、中に詰められたトナーは押し付けられていない圧力の低い側に移動するので、水平に延在配置させたトナー収納容器70であっても安定的な媒体排出性能を発揮することができる。なお、以下に説明する押付け部材であっても、容器内側へ向かって押付けられること構成のものは同様の効果を奏する。
また、押付け部材801は、媒体収納部72の下面72dにトレイ1の下方側から接触するように配置されているので、トレイ1に水平状態に収納されて媒体収納部72の下部に溜まるトナーに対して、押付け部材801から口金部材71側への移動力が可撓性の容器外壁を介して伝達される。このため、水平に延在配置させたトナー収納容器70であっても安定的な媒体排出性能を発揮することができる。なお、以下に説明する押付け部材であっても、トレイ1の下方側から容器内側へ向かって押付けられる構成のものは同様の効果を奏する。
圧縮コイルバネ803は例えばトレイ1の下部に装着し、圧縮コイルバネ804はトレイ収納空間101の上面102側に配置すればよい。押し付け機構としては圧縮コイルバネ03,804に限定されものではなく、その他の手段でも良い。
押付け部材801、802の配置としては、図44,図45では、トナー収納容器70を間において互いに対向するように上下方向に配置したが、何れか一方だけを配置したものであってもよい。あるいは、押付け部材801、802を設置する場合でも、例えば図46に示すように、押付け部材801を口金部材71寄りに配置してもよい。このように容器長手方向A(媒体排出方向G)に押付け部材801と押付け部材802をずれして配置すると、媒体収納部72の内部に加わる圧力のバランスを変更できるとともに、口金部材71近傍のトナーの流動性を高められるので、トナーの凝集による口金部材71の詰まりを低減することができる。
押付け部材の配置や数は、必要なトナー排出性能を満足するように、トナー流動特性や媒体収納部72の材質などに合わせて適宜変更して設定すればよい。
図44〜図46において、押付け部材801,802における容器との接触面801a,802aは、半円もしくは放物線の形状としたが、例えば半球状としてもよい。この場合、上面72cと下面72dとの接触による摩擦抵抗を低減することができ、トナー収納容器70の耐久性や容器の破れによるトナー漏れの発生を低減できることできる。
図47は、容器の幅方向B(図44参照)に長いローラ部材で構成された押付け部材806,807,808を容器長手方向Aでトナー収納容器70の下方に配置した移動促進手段800Aを示す。押付け部材806,807,808は、容器後端72bと前端72aの間に配置されている。
押付け部材806,807,808は、それぞれ押し付け機構809,810,811によって、媒体収納部72の下面72dを容器内部に向かって変形するように下面72dに押し付けられている。
押し付け機構809,810,811は、通常押付け部材806,807,808を媒体収納部72の下面72dから離間した位置を占めるように保持し、任意のタイミングでその保持を解除して押付け部材806,807,808を媒体収納部72の下面72dを押圧する位置へと上昇する機能と、上昇した押付け部材806,807,808をそれぞれ離間位置へと戻す機能を備えている。
このような構成の移動促進手段800Aでは、トレイ1がセット位置を占めた状態で、押し付け機構809を作動すると、図47(a)に示すように押付け部材806が上昇し、媒体収納部72の下面72dの後端側が押し上げられる。押し付け機構8810を作動すると、図47(b)に示すように押付け部材807が上昇し、媒体収納部72の下面72dの中央が押し上げられる。押し付け機構811を作動すると、図47(c)に示すように押付け部材808が上昇し、媒体収納部72の下面72dの前端72a側が押し上げられる。そして、押し付け機構810を作動すると、押し付け機構809により押付け部材806は離間位置へと戻され、押し付け機構812が作動すると、押し付け機構810により押付け部材807は離間位置へと戻される。
この一連の動作により、媒体収納部72内のトナーはそれぞれの押付け部材806,807,808から受ける力によって徐々に口金部材71側(媒体排出方向G)へ移動することになる。
図47に示した移動促進手段800Aでは、上昇した押付け部材806,807,808を離間位置へ戻すようにしているが、例えば図48に示すように、順次上昇する押付け部材806,807,808を離間位置へ戻さないようにする。つまり、一度、押し上げられた押付け部材は戻ることなく、順番に口金部材71へ押付け部材が押し上げられる動作が継続される構成としても良いもよい。図48(a)は押し付け機構809,810が作動した状態、図48(b)は押し付け機構811が作動した状態を示す。
そして、図48(b)に示すように、全ての押付け部材806〜808が押し付けられた後は、ここでは図示しない全ての押付け部材が押し付けられない状態、つまり初期状態とすることで、再び全ての押付け部材806〜808が図47(a)に示す動作を開始することができる。
移動促進手段800Aでは、押付け部材806〜808をローラ部材で構成したが、それ以外の形状、例えば球体などで構成してもよい。また、図47,図48に示す形態では、押付け部材を3つ設けているが、2つ以下あるいは4つ以上の構成であってもよい。また、押付け部材806〜808はトレイ1の下方から媒体収納部の下面72dに押し当てられているが、媒体収納部72の上方側に配置して上面72cにだけ押し当てる、あるいは上下両方に設けて、上面72cと下面72dの双方に押し当てる構成としてもよい。
このような移動促進手段800Aの構成によると、媒体収納部72が押付け部材806〜808によって変形すると、媒体収納部72内の圧力が上昇するので、水平にトナー収納容器70をトレイ1上に延在配置させても安定的な媒体排出性能を発揮することができる。
次に図49〜図56を用いて、押付け部材が移動する移動促進手段の構成と動作を説明する。
図49,図50は移動促進手段800Bの概念図を示すものである。この移動促進手段800Bは、媒体収納部72の上面72cあるいは下面72dの少なくとも一方の面に押し当てる押付け部材821または押付け部材822を備えるとともに、押付け部材821や押付け部材822を移動させるものである。つまり、トナー収納容器70の表面に対して媒体排出方向Gとは異なる方向から押付け部材を押し付けて、押し付けながら押付け部材が移動することによってトナー排出が行われる構成としている。
この時、例えば、図50において押付け部材822と下面72dとの摩擦抵抗が低い場合、あるいは擦っても問題とならない場合には、摩擦しながら押付け部材822を移動させればよい。摩擦が大きい、あるいは擦ることが問題である場合には、例えば押付け部材822が自転可能な構成とすることで摩擦することなく押付け部材822が移動することが可能となる。このことは上面72cと接触する押付け部材821にも云えることである。
図50は、押付け部材822が、後端72b側の初期位置P1から前端72a側の位置P2へと移動した状態を示している。押付け部材822は、初期位置P1おいて下面72dに押し付けられる。そして、押し付けられた状態を保ったまま位置P2へ移動する。位置P2到達したら、押付け部材822の下面72dとの押し付け状態を解除し、非接触状態で初期位置P1まで戻し、初期位置P1、すなわち後端72b側において再び下面72dへ押し付ける。このような動作を繰り返す事で、媒体収納部72内のトナーを口金部材71側へ移動させる事が可能となる。
具体的な構成につい説明する。移動促進手段800Bは、図51に示すように、少なくとも1ヵ所から媒体収納部72の下面72dを容器内側に押し付ける押付け部材822と、下面72dに押し付けられている押付け部材822を、口金部材71へ向かって(媒体排出方向Gへ)移動する移動手段830を有している。
移動手段830は、容器長手方向A(媒体排出方向G)に延びている駆動手段となるリニアモータ831と、リニアモータ831に固定された移動体832と、押付け部材822を移動体832に装着する保持部材833を備えている。
リニアモータ831は、移動体832を容器長手方向A(媒体排出方向G)に同一平面上で移動させる周知の構成である。押付け部材822は幅方向Bに長いローラ部材であって、保持部材833に自転、すなわち回転自在に支持されている。保持部材833は、任意のタイミングで押付け部材822を媒体収納部72の下面72dに対して押し付ける機能と離間する機能を備えた周知の接離機構で構成されている。本形態において、媒体収納容器の表面に押し付けられている押付け部材の部位とは、下面72dに押し付けられている押付け部材822の表面822aとなる。
このような構成において、移動体832が初期位置P1にあるときに、保持部材833は押付け部材822を下面22dに押し付けている。この状態でリニアモータ831を駆動すると、移動体27が口金部材71側に移動し、これと一緒に押付け部材822は下面22dを押し付けた状態で口金部材71側(媒体排出方向G)へ移動する。このとき押付け部材822は回転し、押付け部材822の表面822aは回転移動しながら下面22dを押し付けた状態で口金部材71側へ移動する。
位置P2に到達してリニアモータ831が停止すると、保持部材833によって押付け部材822が下面22dから離間される。そして、今度はリニアモータ831を後端72b側に駆動すると、下面22dから離間状態に保持された押付け部材822が口金部材71側から後端72b側へと移動し、初期位置P1に到達するとリニアモータ831を停止する。再度、押付け部材822を移動する場合には、保持部材833で押付け部材822を上昇させて下面22dを押し付けた状態とし、リニアモータ831を駆動する。
図52は、移動手段の別な形態を示す。図52に示す移動手段840は、駆動源となる正逆回転可能な駆動モータ841と、駆動モータ841によって回転されるねじ軸843と、ねじ軸843上を移動する移動体842を備えている。
ねじ軸843は、一端843aが駆動モータ841側に連結されていて、他端843bが軸受845で回転自在に支持されており、その外周面にねじ溝が形成されている。これら駆動モータ841と軸受845は、例えばトレイ1の下部に装着されている。本形態において、押付け部材822が回転自在に支持された保持部材833は、移動体842に固定されている。
移動体842はねじ軸843に羅合するねじ部を備えていて、駆動モータ841が駆動してねじ軸843が回転すると、その回転方向に応じてねじ軸上を容器長手方向Aにスライド移動する。
このような構成において、移動体842が初期位置P1にあるときに、保持部材833は押付け部材822を下面22dに押し付ける。この状態で駆動モータ841が例えば正転駆動すると、ねじ軸843が回転し、移動体842が口金部材71側(媒体排出方向G)に移動し、これと一緒に押付け部材822は下面722dを押し付けた状態で口金部材71側へ移動する。このとき押付け部材822は回転し、押付け部材822の表面822aは回転移動しながら下面22dを押し付けた状態で口金部材71側へ移動する。例えば位置P2に到達して駆動モータ841が停止すると、保持部材833によって押付け部材822が下面22dから離間される。そして、今度は駆動モータ841が逆転駆動すると、ねじ軸843が逆回転し、移動体842が口金部材71側から後端72b側へ移動し、これと一緒に押付け部材822は下面722dから離間された状態に保持された押付け部材822が後端72b側へと移動し、初期位置P1に到達すると駆動モータ841を停止する。再度、押付け部材822を移動する場合には、保持部材833で押付け部材822を上昇させて下面22dを押し付けた状態として、駆動モータ841を駆動する。
このような構成の移動促進手段800Bを有していると、媒体収納部72が押付け部材822による押し付けによって加圧されることで容器内の圧力が上昇するとともに、押付け部材822も移動する。本形態の場合、押付け部材822は回転するので、押し付け箇所となる表面822aは回転しながら移動するため、下面72dとの抵抗が少なく、容器の内側に付着したトナーに対して流動性を与える。このため、容器の耐久性を確保しながら安定的な媒体排出性能を発揮することができる。
図51、図52では、押付け部材822が自転する構成を説明したが、図53に示す移動促進手段800Cは、押付け部材が自転せずにトナー収納容器70の表面と摩擦しながら移動するものである。
移動促進手段800Cは、図53(a)に示すように、少なくとも1ヵ所から媒体収納部72の上面72cと下面72dを容器内側に押し付ける押付け部材850,851と、上面72cと下面72dに押し付けられている押付け部材850,851の部位となる押付面850a,851aを口金部材71へ向かって移動する移動手段とを有している。
押付け部材850,851は、押付面850a,851aが曲面とされていて、トナー収納容器70を介して互いに対向して、容器の後端72b側に配置されている。押付け部材850はトレイ収納空間部101の上部102に配置され、押付け部材851はトレイ1に配置されている。
本形態の場合、移動手段は、上部移動手段860Aと下部移動手段860Bとで構成されているが、押付け部材が上方または下方の何れか1つの場合,上部移動手段860Aあるいは下部移動手段860Bで移動手段が構成されることになる。
上部移動手段860Aは、正逆回転可能な駆動源となる駆動モータ861と、駆動モータ861によって回転駆動される駆動歯車862と、駆動歯車862によって回転される従動歯車863と、従動歯車863と押付け部材850とに固定された支持部材864を備えている。
下部移動手段860Bとは、正逆回転可能な駆動源となる駆動モータ866と、駆動モータ866によって回転駆動される駆動歯車867と、駆動歯車867によって回転される従動歯車868と、従動歯車868と押付け部材851とに固定された支持部材869を備えている。
駆動歯車863と従動歯車868は、軸863a,868aを中心にそれぞれ回転自在に支持されている。このため、支持部材864と支持部材869を介して駆動歯車862と従動歯車868にそれぞれ連結している押付け部材850と押付け部材851は、軸863a,868aを中心に回動自在となる。
このような構成において、駆動モータ861を駆動して駆動歯車862を図中、時計方向に回転する。駆動歯車862は従動歯車863と噛み合っているため、従動歯車863は反時計方向に回転する。この従動歯車863の回転にあわせて支持部材864から押付け部材850が、軸863aを中心にして容器の上面72cと接触しながら図53(b)に示す位置まで回転移動することで、押付面850aが移動する。
同様に下側においては、駆動モータ866を駆動して駆動歯車867を図中、反時計方向に回転する。駆動歯車867は従動歯車868と噛み合っているため、従動歯車868は時計方向に回転する。この従動歯車868の回転にあわせて支持部材869から押付け部材851が、軸868aを中心にして容器の下面72dと接触しながら図53(b)に示す位置まで回転移動することで、押付面851aが移動する。
このため、媒体収納部72が押付け部材850,851による押し付けによって上下から加圧されることで容器内の圧力が上昇するとともに、押付け部材850,851も移動する。本形態の場合、押付け部材850,851は回転するので、押付面850a,851aは回転しながら移動する。そして、駆動モータ861,866の駆動が継続していると、押付け部材850,851は一回転して図53(a)に示す位置へと戻される。よって、駆動モータ861,866の駆動を停止するまでは、押付け部材850,851が軸863a,868aを中心に回転を続ける。この押付け部材850,851の継続的な移動より容器の内側に付着したトナーに対して流動性が与え、容器の耐久性を確保しながら安定的な媒体排出性能を発揮することができる。
ここでは、駆動モータ861,866の駆動を停止しないので、駆動歯車863、867が回転をし続けるが、支持部材864,869が伸縮可能な構成であれば、縮めることにより、押付け部材850,851は上面72cや下面72dと接触しなくなる。そうなると、駆動歯車863、867それぞれを逆転させ、押付け部材850,851を往復移動するようにして図53(a)と図53(b)の位置を占めるようにしてもよい。
図53では、押付け部材850,851を、容器の後端72b側に配置したが、トナー搬送性を良くするために、例えば図54に示すように、押付け部材850を口金部材71側に寄せて配置してもよい。また、互いに対抗位置した押付け部材が3組以上配置する場合には、少なくとも1つを容器長手方向A(媒体排出方向G)にずらして構成しても良い。
次に図55を用いて移動促進手段800Dの構成と動作について説明する。
この移動促進手段800Dは、図55(a)に示すように、容器の下面72dへの押圧面881aが曲面状に形成された押付け部材881と、押付け部材881を下面72dに押し当てた状態で容器長手方向Aに移動する移動手段882を備えている。
移動手段882は、駆動モータ883で回転駆動される駆動歯車884と、駆動歯車884によって回転される従動歯車885と、従動歯車885と押付け部材881とを連結するリンク機構890とを備えている。
リンク機構890は、従動歯車885の回転中心885aと固定軸894とに支持された支持部材891と、従動歯車885の外周側と押付け部材881との間に従動歯車885の回転を阻害しないようにピン結合された支持部材892と、押付け部材881を支持するピン895と固定ピン894とにピン結合された支持部材893を備えている。ピン895は図示しないが容器長手方向Aに延びる長孔内に移動可能に挿入されている。
このような構成において、駆動モータ883の駆動により駆動歯車884が図中時計方向に回転すると、従動歯車885は反時計方向に回転する。従動歯車885が回転すると、図55(b)に示すように、支持部材892が左に押されて移動し、固定ピン894を中心に支持部材893が回転する。ピン895の移動は長孔によって規制されているため、支持部材892は後端72bとなる図中左側に押し出されることになる。それによって押付け部材881も後端72bに押し出される。その後、駆動歯車884の回転が継続されると支持部材893が回転し、半周後に支持部材892は右側に引き戻され、それによって押付け部材881も右側に移動する。
このような動作を繰り返す事で、駆動歯車884は一定方向に回転をするので、押付け部材881は揺動を繰り返す。この時、押付け部材881の動きにあわせてピン895などが動くことで、下面72dに対して押付け部材881が押し付けたり離したりを調整することが可能となる。さらに、従動歯車885の上下の移動量を用いることで、押付け部材881と下面72dとの接触や離れ量を調節することができる。
このようにリンク機構890を移動手段882に組み入れることで、歯車だけの組み合わせによる移動手段に比べて、駆動モータ883に要求されるトルクを低減しながらも、押付け部材881の移動より容器の内側に付着したトナーに対して流動性を与えられ、安定的な媒体排出性能を発揮することができる。
図56に示す移動促進手段800Eは、図56(a)に示すように、少なくとも1ヵ所から媒体収納部72の下面72dを容器内側に押し付ける押付け部材900と、押付け部材900を回転する駆動源となる駆動モータ901を備えている。押付け部材900は後端70b側に配置されていて、軸902を中心にトレイ1に回転自在に支持されている。押付け部材900は、基準円Zよりも外部に突出する押出部900Bと、基準円Zの内側に位置する窪み部900Aが形成されている。押出部900Bは、押付け部材900が軸902を中心に回転することでトレイの底板1Eからトレイ内側に突出するもので、ここでは回転方向に3つ形成されている。押付け部材900は、押出部900Bと窪み部900Aとが容器の幅方向に複数配置された櫛歯形状とされている。
このような構成の移動促進手段800Eにおいて、駆動モータ901が駆動して押付け部材900が時計回り方向に回転し、図56(a)に示すように押出部900Bが底板1Eからトレイ内側に突出した状態となると、底板1Eに載置されている下面72dを容器内側に向かって押し込んで変形させる。押付け部材900の回転が進むと、図56(b)に示すように窪み部900Aが容器の下面72dと対向する状態となる。このとき窪み部900Aが下部72dと接触、あるいは非接触の状態となる。この場合、下部72dが押付け部材900によって容器内部に押し込まれない。なお、窪み部900Aと下部72dとの接触あるいは非接触の設定は、基準円Zの大きさによって任意に設定することができる。
このような押付け部材900の回転移動する挙動を繰り返すとことによって、媒体収納部72内のトナーは口金部材71へ移動することとなる。つまり、媒体収納部72が押付け部材900の押出部900Bによる押し付けによって下から間欠的に加圧されることで容器内の圧力が上昇する。本形態の場合、押付け部材900は軸902を中心に回転するので、下面72dとの押し付け部となる押出部900Bは軸902を中心に円弧を描きながら移動する。よって、この押出部900Bの移動より容器の内側に付着したトナーに対して口金部材71(媒体排出方向G)へ向かう流動性が与えられるため、安定的な媒体排出性能を発揮することができる。なお、押付け部材901は1つではなく、複数個設置してもよく、その位置も口金部材71や上面72c側であってもよい。
図57〜図58を用いて移動促進手段800Fの構成と動作を説明する。
この移動促進手段800Fは、図57に示すように、少なくとも1ヵ所から媒体収納部72の下面72dを容器内側に押し付ける押付け部材910が軸線Y周りに回転することで、媒体収納部72のトナーを媒体排出方向Gに向かって移動させるものである。
具体的には、図58に示すように、押付け部材910と、押付け部材910を回転させる駆動手段となる駆動モータ911を備えている。押付け部材910は、媒体排出方向Gに向かって延びていて、同方向に配置された回転軸912に支持されている。回転軸912は、その端部は軸受913と駆動モータ911によって支持されていて、駆動モータ911によって回転駆動される。
押付け部材910は、その外周面910aが媒体収納部72の後端72bから中央部にかけて下面72dに押し付けられるようにトレイ1に装着されている。押付け部材910は、駆動モータ911によって回転軸912が回転駆動されると、媒体収納部72の裏面72dにうねりを生じさせる表面形状に形成されている。すなわち、押付け部材910は、後端910b側から先端910c側に向かう従い細くなった螺旋形状でその表面910aが構成されていて、先端910c側が口金部材71側に位置するように配置されている。このため、押付け部材910が下面72dにトレイ1上で押し付けられると、図57に示すように、媒体収納部72は後端72bが押し上げられた状態となる。
このような構成の移動促進手段800Fにおいて、駆動モータ911が駆動して例えば回転軸912がその軸線周りに反時計周りに回転すると、図58に示すように押付け部材910は回転し、その表面910aは右側、つまり矢印G1で示すように前端911c側へ移動する。押付け部材910は媒体収納部72の下面72dに押し付けられているため、この表面911aの移動によって発生するうねりが下面72dに伝達され、口金部材71側(媒体排出方向G)へ向かうねりが下面に発生する。このときに生まれる力をトナーが受けることで口金部材71の方へ移動する。
つまり、媒体収納部72の表面は、押付け部材910の回転によって媒体排出方向Gに連続して変形するので、媒体収納部72内のトナーに対して口金部材71(媒体排出方向G)へ向かう促進力が与えられ、水平に延在配置させたトナー収納容器70であっても安定的な媒体排出性能を発揮することができる。また、押付け部材910の先端911cが細くなっているので、後端72bが押し上げられた状態となり、重力によるトナー移動の効果も同時に得る事が可能である。
図57,図58では、押付け部材910を外径が先端側に行くほど細くなる螺旋形状としたが、このような形状は複雑で製造上のコストも高くなることから、例えば図59に示すように、円筒状部材の表面920aにうねりを設けて押付け部材920とし、例えば回転軸912によって回転駆動するようにしても、うねりにより発生する力によって媒体収納部72内のトナーを口金部材71(媒体排出方向G)に向かって移動することができる。また、図60に示すように、押付け部材920の後端920bが前端920cよりも上に位置するように回転軸912を傾斜させると、容器の後端72bが持ち上がるので、重力によるトナー移動の効果も同時に得る事が可能となる。
上述したようにトナー収納容器70あるいはトナー収納容器701は可撓性材料から成るので、外形形状が保ち難いので、ベルト部73に変えて、例えば図61に示すように、媒体収納部72の表面の一部となる上面72cに、作業者Mが把持する把持部930を設けると、形状が変形する場合や容量が大きく重量がある場合でも持ち易くなり、トレイ1やトレイ180への収納動作を容易に行える。
把持部930の構成としては、図64に示すように、容器長手方向Aに向かって複数個、例えば2つを並列に対しても良いし、図65に示すように容器の両端72a,72bに互いに対向するように設けても良い。そして、これら把持部930は、未使用時には図64,図65に示す破線で示すように、上面72cに可撓的に倒れた収納位置を占め、作業者Mが容器を持つ場合に起こして掴むようにすることで、トレイ1内に収納してトレイ収納空間101内に収納する際に邪魔になることがなく、作業性が良い。
なお、各形態において画像形成装置はカラー複写機として説明したが、画像形成装置の形態としては、これ以外にレーザプリンタやFAX、これらの複合機、あるいはインクを噴射して印刷物を得るタイプの画像形成装置も含まれる。また、画像形成媒体としては周知の粉体のトナーの他に、液体のトナーあるいはカートリッジ内に収納されたインクもその形態に含まれ、インキを使って印刷物を得る画像形成装置の場合、インクが収納されたカートリッジが媒体収納容器となる。