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JP5469892B2 - 木材保護塗料 - Google Patents

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JP5469892B2
JP5469892B2 JP2009072202A JP2009072202A JP5469892B2 JP 5469892 B2 JP5469892 B2 JP 5469892B2 JP 2009072202 A JP2009072202 A JP 2009072202A JP 2009072202 A JP2009072202 A JP 2009072202A JP 5469892 B2 JP5469892 B2 JP 5469892B2
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忠明 小谷
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Description

本発明は、木材保護塗料、詳しくは、腐朽またはカビの害や白蟻の食害から保護するための木材保護塗料に関する。
従来より、木材を、木材保護塗料で処理することにより、腐朽またはカビの害や白蟻の食害から保護することが広く知られている。
例えば、木材防腐防カビ剤と、木材防虫剤と、塗膜形成成分と、顔料と、溶剤とを含有する木材保護塗料が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
特開2005−145909号公報
しかるに、カビは、木材の表面において繁殖するものであるところ、特許文献1で提案される木材保護塗料は、その有効成分である木材防腐防カビ剤および木材防虫剤の両方が、溶剤に混合され、油剤として製剤化されている。そのため、木材防腐防カビ剤が木材の内部に浸透して、木材の表面に残存しにくいため、木材の表面のカビの防除が十分でない場合がある。
そこで、本発明の目的は、木材の表面および木材の内部の両方において、優れた効力を発現することのできる木材保護塗料を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明者らは、優れた効力を発現し得る木材保護塗料について鋭意検討したところ、製剤形態の異なる複数の製剤を併用することにより、木材の表面および木材の内部の両方において優れた効力を発現することができるという知見を見出し、さらに研究を進めた結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1) 有効成分が木材の表面に残存する第1の製剤と、有効成分が木材の内部に浸透する第2の製剤と、塗膜形成成分とを含有することを特徴とする、木材保護塗料、
(2) 前記第1の製剤が懸濁剤であり、前記第2の製剤が液剤であることを特徴とする、前記(1)に記載の木材保護塗料、
(3) 前記懸濁剤が、フロアブル剤、マイクロカプセル剤および担体担持剤からなる群から選択される少なくとも1種の製剤であることを特徴とする、前記(2)に記載の木材保護塗料、
(4) 前記液剤が、油剤および/または乳剤であることを特徴とする、前記(2)または(3)に記載の木材保護塗料、
(5) 前記懸濁剤がフロアブル剤および/またはマイクロカプセル剤であり、前記液剤が乳剤であることを特徴とする、前記(2)〜(4)のいずれかに記載の木材保護塗料、
(6) 前記第1の製剤および前記第2の製剤は、防腐防カビ剤および/または防蟻防虫剤を含有することを特徴とする、前記(1)〜(5)のいずれかに記載の木材保護塗料、
(7) 前記防腐防カビ剤は、トリアゾール系化合物、有機ヨード系化合物およびスルファミド系化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含有することを特徴とする、前記(6)に記載の木材保護塗料、
(8) 前記防蟻防虫剤は、ネオニコチノイド系化合物を含有することを特徴とする、前記(6)または(7)に記載の木材保護塗料
を提供するものである。
本発明の木材保護塗料によれば、第1の製剤の有効成分が、木材の表面に残存するとともに、第2の製剤の有効成分が木材の内部に浸透する。そのため、木材の表面および木材の内部の両方において、優れた効力を発現することができる。
木材保護塗料は、例えば、防腐防カビ抗力や防蟻防虫効力を有する有効成分と、塗膜形成成分とを含む、既調合の塗料であって、本発明の木材保護塗料は、有効成分が木材の表面に残存する第1の製剤と、有効成分が木材の内部に浸透する第2の製剤と、塗膜形成成分とを含有している。
本発明において、第1の製剤は、有効成分が木材の表面に残存する製剤であって、このような第1の製剤としては、例えば、懸濁剤が挙げられる。
懸濁剤は、固体の粒子状の有効成分が水および/または有機溶媒中に分散した製剤形態であって、このような懸濁剤としては、例えば、フロアブル剤、マイクロカプセル剤、担体担持剤などが挙げられる。
フロアブル剤は、通常、水に不溶の固体の微粒子状の有効成分を、水中に分散させた水系製剤であって、このようなフロアブル剤を調製するには、例えば、水、有効成分、界面活性剤および増粘剤などを配合し、次いで、有効成分を、ビーズミルなどの公知の粉砕機などにより湿式粉砕しながら、分散する。また、上記の配合の前に、有効成分を微粒子状に予め粉砕(乾式粉砕)した後、これを、水、界面活性剤および増粘剤などとともに配合して混合し、分散することもできる。
フロアブル剤において、微粒子状に粉砕された有効成分の重量平均粒子径は、例えば、0.01〜1000μm、好ましくは、0.1〜500μmである。
界面活性剤としては、例えば、石鹸類、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両イオン系界面活性剤、高分子系界面活性剤など、公知の界面活性剤が挙げられる。好ましくは、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルなどが挙げられる。好ましくは、ショ糖脂肪酸エステルが挙げられる。
これら界面活性剤は、そのHLBが、例えば、10〜20、好ましくは、13〜20である。HLBが、上記した範囲にあれば、分散安定性の効果がある。なお、界面活性剤がノニオン性界面活性剤である場合には、そのHLBは、次式(グリフィンの式)により算出される。
HLB=20×{1−(S/A)}
S:多価アルコールエステルのけん化価
A:脂肪酸の中和価(酸価)
アニオン系界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸金属塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸金属塩、アルキルナフタレンスルホン酸金属塩、ポリカルボン酸型界面活性剤、ジアルキルスルホコハク酸エステル金属塩、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテルサルフェートアンモニウム塩、リグニンスルホン酸金属塩などが挙げられる。また、これらの金属塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩などが挙げられる。
これら界面活性剤は、単独または2種以上併用することができる。
増粘剤は、フロアブル剤の貯蔵安定性の向上を図るためのものであって、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム、アルギン酸ナトリウム、クエン酸三ナトリウムなどのイオン架橋型有機酸類、例えば、アラビアガム、グアーガムおよびこれらの誘導体、ビーガム、キサンタンガム、ウェランガム、ランタンガム、ジュランガムなどのガム類、例えば、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロール(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)およびこれらの誘導体などのセルロース類などが挙げられる。好ましくは、セルロース類が挙げられる。
また、これら増粘剤は、その20℃での2重量%水溶液の粘度が、例えば、10000mPa・s未満、好ましくは、1000mPa・s未満、通常、2mPa・s以上である。増粘剤が上記した範囲の低粘度であれば、増粘剤が有効成分の保護コロイドを形成して、優れた分散性を確保することができ、かつ、長期にわたって優れた貯蔵安定性を維持することができる。
これら増粘剤は、単独または2種以上併用することができる。
フロアブル剤において、各成分の配合割合は、有効成分100重量部に対して、界面活性剤が、例えば、0.1〜30重量部、好ましくは、0.2〜20重量部であり、増粘剤が、例えば、0.1〜100重量部、好ましくは、0.5〜50重量部であり、水が、例えば、100〜100000重量部、好ましくは、150〜10000重量部である。
マイクロカプセル剤は、通常、有効成分が被膜に内包されているマイクロカプセルを、水中に分散させた水系製剤であって、このようなマイクロカプセル剤は、例えば、化学的方法、物理化学的方法、物理的および機械的方法など、公知の方法によって調製することができる。
化学的方法としては、例えば、界面重合法、in situ 重合法、液中硬化被膜法などが挙げられる。
界面重合法としては、例えば、多塩基酸ハライドとポリオールとを界面重合させてポリエステルからなる膜を形成する方法、多塩基酸ハライドとポリアミンとを界面重合させてポリアミドからなる膜を形成する方法、ポリイソシアネートとポリオールとを界面重合させてポリウレタンからなる膜を形成する方法、ポリイソシアネートとポリアミンとを界面重合させてポリウレアからなる膜を形成する方法などが挙げられる。
in situ 重合法では、例えば、スチレンとジビニルベンゼンとを共重合させてポリスチレン共重合体からなる膜を形成する方法、メチルメタクリレートとn−ブチルメタクリレートとを共重合させてポリメタクリレート共重合体からなる膜を形成する方法などが挙げられる。
液中硬化被膜法では、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール、エポキシ樹脂、アルギン酸ソーダなどを液中で硬化させる方法が挙げられる。
物理化学的方法としては、例えば、単純コアセルベーション法、複合コアセルベーション法、pHコントロール法、非溶媒添加法などの水溶液からの相分離法や、有機溶媒からの相分離法などのコアセルベーション法などが挙げられる。物理化学的方法において、膜形成成分としては、例えば、ゼラチン、セルロース、ゼラチン−アラビアゴムなどが挙げられる。また、ポリスチレンなどが用いられる界面沈降法などを挙げることもできる。
物理的および機械的方法としては、例えば、スプレードライング法、気中懸濁被膜法、真空蒸着被膜法、静電的合体法、融解分散冷却法、無機質壁カプセル化法などが挙げられる。物理的および機械的方法において、膜形成成分としては、例えば、ゼラチン、アラビアゴム、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、アルギン酸ナトリウムなどが挙げられる。
好ましくは、界面重合法によって、調製する。このような界面重合法は、例えば、特開2004−189734号公報の記載に準拠して、調製することができる。
マイクロカプセル剤において、被膜の厚みは、例えば、0.5μm以下であり、好ましくは、0.01〜0.5μmであり、その被膜の重量割合は、有効成分100重量部に対して、例えば、0.01〜100重量部、好ましくは、1〜50重量部である。また、マイクロカプセルは、その体積平均粒子径が、例えば、6〜100μm、好ましくは、10〜30μmである。
担体担持剤は、通常、有効成分を担持した、水および/または有機溶媒に不溶の固体の担体を、水および/または有機溶媒中に分散させた水および/または有機溶媒系製剤である。このような担体担持剤を調製するには、有効成分を、担体に予め担持させた後、これを、例えば、必要により、分散剤や増粘剤などを用いて、水および/または有機溶媒中に分散する。
担体としては、担持能または吸着能を有する固形の担体であれば制限されず、例えば、層状ケイ酸塩(モンモリロナイトなど)、シリカ、アルミナ、クレー、タルク、ゼオライト、活性炭、ホワイトカーボン、シクロデキストリン(例えば、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリンなど)などが挙げられる。好ましくは、シリカ、ゼオライトが挙げられる。
また、担体は、微粉状または微粒子状のものが用いられ、その重量平均粒子径が、例えば、0.01〜1000μm、好ましくは、0.1〜500μmであり、そのBET比表面積が、例えば、0.1〜2000m/g、好ましくは、1〜1000m/gである。
有効成分を担体に予め担持させるには、例えば、まず、有効成分を、有機溶媒に配合して、有効成分を有機溶媒に溶解または分散させ、次いで、これに担体を配合して混合させた後、有機溶媒を、風乾や減圧乾燥などの公知の方法により除去(留去)すればよい。
有機溶媒としては、有効成分を溶解または分散させることのできるものであれば制限されず、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソオクチル、アジピン酸ジノニル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジデシル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジドデシル、アジピン酸ジテトラデシル、アジピン酸ジヘキサデシル、アジピン酸ジオクタデシル、アジピン酸イソオクタデシル、スベリン酸ジオクチル、スベリン酸ジイソノニル、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジイソノニルなどの脂肪酸エステル類、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどのエチレングリコールエステル類、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、デカンなどの脂肪族炭化水素類、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、例えば、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、例えば、ヘキサノール、オクタノール、ベンジルアルコール、フルフリルアルコールなどのアルコール類、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルジグリコール)、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコール類、例えば、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、1,1,1−トリクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類、例えば、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミドなどの含窒素化合物類、例えば、アルキルベンゼン類、アルキルナフタレン類、アルキルフェノール類、フェニルキシリルエタンなどの石油系溶媒(より具体的には、石油留分より得られる種々の市販の有機溶媒、例えば、サートレックス48(高沸点芳香族系溶媒、蒸留範囲254〜386℃、モービル石油社製)、アルケンL(アルキルベンゼン、蒸留範囲285〜309℃、日本石油化学社製)、ソルベッソ150(アルキルベンゼン、蒸留範囲188〜209℃、エクソン化学社製)、ソルベッソ200(アルキルナフタレン、蒸留範囲226〜286℃、エクソン化学社製)、KMC−113(ジイソプロピルナフタレン、沸点300℃、RKS GmbH)、SAS296(フェニルキシリルエタン、蒸留範囲290〜305℃、日本石油化学社製)など)、なたね油などの油類などが挙げられる。
これら有機溶媒は、単独または2種以上併用することができる。
有効成分の担体への担持において、有機溶媒の配合割合は、有効成分100重量部に対して、例えば、50〜100000重量部、好ましくは、100〜10000重量部である。
また、有効成分を分散させるための有機溶媒としては、上記した有効成分の担体への担持に用いたものと同様のものが挙げられる。
必要により配合される分散剤としては、上記した界面活性剤と同様のものが挙げられる。
また、必要により配合される増粘剤としては、上記した増粘剤と同様のものが挙げられる。
担体担持剤において、各成分の重量割合は、有効成分100重量部に対して、担体が、例えば、1〜10000重量部、好ましくは、10〜1000重量部であり、必要により配合される分散剤が、例えば、0.01〜50重量部、好ましくは、1〜20重量部であり、必要により配合される増粘剤が、例えば、0.01〜20重量部、好ましくは、0.1〜10重量部、水が、例えば、100〜100000重量部、好ましくは、150〜10000重量部、有機溶媒が、例えば、100〜100000重量部、好ましくは、150〜10000重量部である。
これら第1の製剤は、単独または併用することができる。
そして、第1の製剤が、フロアブル剤、マイクロカプセル剤および担体担持剤からなる群から選択される少なくとも1種の懸濁剤である場合、とりわけ、フロアブル剤および/またはマイクロカプセル剤である場合には、有効成分を木材の表面に効率よく残存させることができる。
本発明において、第2の製剤は、有効成分が木材の内部に浸透する製剤であって、このような第2の製剤としては、例えば、液剤が挙げられる。
液剤は、液状の有効成分が水および/または有機溶媒中に溶解または液滴として分散した製剤形態であって、このような液剤としては、例えば、油剤、乳剤などが挙げられる。
油剤は、通常、有効成分を、有機溶媒中に溶解させた有機溶媒系製剤である。このような油剤を調製するには、例えば、有効成分および有機溶媒を配合し、次いで、公知の攪拌機で攪拌しながら、溶解する。
なお、有機溶媒は、上記した第1の製剤(担体担持剤)が含有する有機溶媒や、後述する塗膜形成成分の調製に用いられる有機溶媒を、油剤の有機溶媒として、そのまま使用することもできる。すなわち、有効成分(または有効成分を有機溶媒に溶解させた溶液)に第1の製剤(担体担持剤)の有機溶媒や、塗膜形成成分の調製に用いられる有機溶媒を、第1の製剤(担体担持剤)とともに配合することにより、油剤を調製する。
油剤において、有機溶媒(第1の製剤の有機溶媒や、塗膜形成成分の調製に用いられる有機溶媒を含む。)の重量割合は、有効成分100重量部に対して、例えば、100〜500000重量部、好ましくは、1000〜50000重量部である。
乳剤は、通常、有効成分または有効成分を有機溶媒に溶解させた溶液を、水中に分散させた油−水(O/W型)エマルション系製剤(水系製剤)である。このような乳剤を調製するには、例えば、有効成分または有効成分を有機溶媒に溶解させた溶液に、水および必要により乳化剤を配合し、次いで、必要により加熱しながら、ホモディスパーなどの公知の攪拌機で攪拌し、有効成分(または有効成分を有機溶媒に溶解させた溶液)を水中に液滴として乳化させる。
有機溶媒としては、上記した有機溶媒と同様のものがそれぞれ挙げられる。
必要により配合される乳化剤としては、上記した界面活性剤と同様のものが挙げられる。
なお、水は、上記した第1の製剤が含有する水や、後述する塗膜形成成分の調製に用いられる水を、乳剤の水として、そのまま使用することもできる。すなわち、まず、有効成分(または有効成分を有機溶媒に溶解させた溶液)に、乳化剤を配合して混合(プレ製剤化)し、次いで、これに第1の製剤の水や、塗膜形成成分の調製に用いられる水を、第1の製剤とともに配合することにより、乳剤を調製する。
乳剤において、各成分の重量割合は、有効成分100重量部に対して、水(第1の製剤の水や、塗膜形成成分の調製に用いられる水を含む。)が、例えば、0.01〜5000重量部、好ましくは、0.1〜1000重量部であり、乳化剤が、例えば、0.1〜500重量部、好ましくは、1〜200重量部、有機溶媒(有効成分を有機溶媒に溶解させる場合)が、例えば、50〜10000重量部、好ましくは、60〜1000重量部である。
これら第2の製剤は、単独または併用することができる。
そして、第2の製剤が、油剤および/または乳剤である液剤である場合、とりわけ、乳剤である場合には、有効成分を木材の内部に効率よく浸透させることができる。
また、第1の製剤および第2の製剤において、これらの組合せとしては、好ましくは、第1の製剤がフロアブル剤および/またはマイクロカプセル剤であり、かつ、第2の製剤が乳剤の組合せが挙げられる。この組合せであれば、フロアブル剤および/またはマイクロカプセル剤の有効成分を木材の表面により一層効率よく残存させ、かつ、乳剤の有効成分を木材の内部により一層効率よく浸透させることができる。
第1の製剤および第2の製剤は、それぞれ、有効成分として、少なくとも、防腐防カビ剤および/または防蟻防虫剤を含有している。
このような防腐防カビ剤としては、防腐防カビ効力を有するものであれば制限されず、例えば、トリアゾール系化合物、有機ヨード系化合物、スルファミド系化合物、ビス四級アンモニウム塩系化合物、四級アンモニウム塩系化合物、フタロニトリル系化合物、ジチオール系化合物、チオフェン系化合物、チオカルバメート系化合物、ニトリル系化合物、フタルイミド系化合物、ピリジン系化合物、ピリチオン系化合物、ベンゾチアゾール系化合物、トリアジン系化合物、グアニジン系化合物、尿素系化合物、イミダゾール系化合物、イソチアゾリン系化合物、ニトロアルコール系化合物、フェニルウレア系化合物などが挙げられる。
トリアゾール系化合物は、1−[[2−(2,4−ジクロロフェニル)−4−n−プロピル−1,3−ジオキソラン−2−イル]メチル]−1H−1,2,4−トリアゾール(慣用名:プロピコナゾール)、α−[2−(4−クロロフェニル)エチル]−α−(1,1−ジメチルエチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−1−エタノール(慣用名:テブコナゾール)、α−(4−クロロフェニル)−α−(1−シクロプロピルエチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−1−エタノール(慣用名:シプロコナゾール)、1−[[2−(2,4−ジクロロフェニル)−1,3−ジオキソラン−2−イル]メチル]−1H−1,2,4−トリアゾール(慣用名:アザコナゾール)である。
有機ヨード系化合物は、3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメート(慣用名:IPBC)、p−クロロフェニル−3−ヨードプロパルギルホルマール(商品名:IF−1000、長瀬産業社製)、1−[[(3−ヨード−2−プロピニル)オキシ]メトキシ]−4−メトキシベンゼン、3−ブロモ−2,3−ジヨード−2−プロペニルエチルカーボネート(商品名:サンプラス、三共ライフテック社製)である。
スルファミド系化合物は、N−ジクロロフルオロメチルチオ−N’,N’−ジメチル−N−フェニルスルファミド(ジクロフルアニド、商品名:プリベントールA4/S、バイエル社製)、N−ジクロロフルオロメチルチオ−N’,N’−ジメチル−N−4−トリルスルファミド(トリルフルアニド、商品名:プリベントールA5、バイエル社製)である。
ビス四級アンモニウム塩系化合物は、N,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウムブロマイド)(商品名:ダイマー38、イヌイ社製)、N,N’−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウムアセテート)(商品名:ダイマー38A、イヌイ社製)、4,4’−(テトラメチレンジカルボニルジアミノ)ビス(1−デシルピリジニウムブロマイド)(商品名:ダイマー136、イヌイ社製)、4,4’−(テトラメチレンジカルボニルジアミノ)ビス(1−デシルピリジニウムアセテート)(商品名:ダイマー136A、イヌイ社製)である。
四級アンモニウム塩系化合物は、ジ−n−デシル−ジメチルアンモニウムクロライド、1−ヘキサデシルピリジニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム、コータミンD10EPR(花王社製)である。
フタロニトリル系化合物は、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル(商品名:ノプコサイドN−96、サンノプコ社製)である。
ジチオール系化合物は、4,5−ジクロロ−1,2−ジチオール−3−オンである。
チオフェン系化合物は、3,3,4−トリクロロテトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド、3,3,4,4−テトラクロロテトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシドである。
チオカルバメート系化合物は、テトラメチルチウラムジスルフィドなどが挙げられる。
ニトリル系化合物としては、例えば、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリルである。
フタルイミド系化合物は、N−1,1,2,2−テトラクロロエチルチオ−テトラヒドロフタルイミド(Captafol)、N−トリクロロメチルチオ−テトラヒドロフタルイミド(Captan)、N−ジクロロフルオロメチルチオフタルイミド(Fluorfolpet)、N−トリクロロメチルチオフタルイミド(Folpet)である。
ピリジン系化合物は、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジンである。
ピリチオン系化合物は、ジンクピリチオン、ナトリウムピリチオンである。
ベンゾチアゾール系化合物は、2−(4−チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾールである。
トリアジン系化合物は、2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジンである。
グアニジン系化合物は、1,6−ジ−(4’−クロロフェニルジグアニド)−ヘキサン、ポリヘキサメチレンビグアニジン塩酸塩である。
尿素系化合物は、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレアである。
イミダゾール系化合物は、メチル−2−ベンズイミダゾールカルバメート(慣用名:MBC)、メチル−2−ベンズイミダゾールカルバメート塩酸塩、2−(4−チアゾリル)−ベンズイミダゾールである。
イソチアゾリン系化合物は、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4−クロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンツイソチアゾリン−3−オン、N−n−ブチル−1,2−ベンツイソチアゾリン−3−オンである。
ニトロアルコール系化合物は、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、2,2−ジブロモ−2−ニトロ−1−エタノールである。
フェニルウレア系化合物は、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレアである。
また、防腐防カビ剤としては、上記した化合物以外にも、例えば、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ホウ砂、ヒノキチオールまたはその塩などが挙げられる。
これら防腐防カビ剤は、単独または併用することができる。
これら防腐防カビ剤のうち、好ましくは、トリアゾール系化合物、有機ヨード系化合物、スルファミド系化合物が挙げられ、さらに好ましくは、プロピコナゾール、IPBC、プリベントールA4/Sが挙げられる。
防蟻防虫剤としては、防蟻防虫効力を有するものであれば制限されず、例えば、ネオニコチノイド系化合物、ピレスロイド系化合物、有機塩素系化合物、有機リン系化合物、カルバメート系化合物、ピロール系化合物、フェニルピラゾール系化合物、オキサジアジン系化合物、セミカルバゾン系化合物、植物またはその処理物あるいはその誘導体などが挙げられる。
ネオニコチノイド系化合物は、(E)−1−(2−クロロチアゾール−5−イルメチル)−3−メチル−2−ニトログアニジン(慣用名:クロチアニジン)、N−アセチル−N−(2−クロロチアゾール−5−イル)メチル−N’−メチル−N”−ニトログアニジン、N−(2−クロロチアゾール−5−イル)メチル−N−メトキシカルボニル−N’−メチル−N”−ニトログアニジン、1−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−N−ニトロイミダゾリン−2−イリデンアミン(慣用名:イミダクロプリド)、3−(2−クロロ−チアゾール−5−イルメチル)−5−[1,3,5]オキサジアジナン−4−イルインデン−N−ニトロアミン(慣用名:チアメトキサム)、(E)−N−[(6−クロロ−3−ピリジル)メチル]−N’−シアノ−N−メチルアセタミジン(慣用名:アセタミプリド)、(ES)−1−メチル−2−ニトロ−3−(テトラヒドロ−3−フリルメチル)グアニジン(慣用名:ジノテフラン)である。
ピレスロイド系化合物は、アレスリン、ペルメトリン、トラロメトリン、ビフェントリン、アクリナトリン、アルファシペルメトリン、シフルトリン、シフェノトリン、プラレトリン、エトフェンプロックス、シラフルオフェン、フェンバレレートである。
有機塩素系化合物は、ケルセンである。
有機リン系化合物は、ホキシム、ピリダフェンチオン、フェニトロチオン(MEP)、テトラクロルビンホス、ジクロフェンチオン、プロペタンホスである。
カルバメート系化合物は、カルバリル、フェノブカルブ(BPMC)、プロポクスルである。
ピロール系化合物は、クロルフェナピルである。
フェニルピラゾール系化合物は、フィプロニルである。
オキサジアジン系化合物は、インドキサカルブである。
セミカルバゾン系化合物は、α−(α,α,α−トリフルオロ−m−トルオイル)−p−トリニトリル4−(p−トリフルオロメトキシフェニル)セミカルバゾンである。
植物またはその処理物あるいはその誘導体としては、例えば、特開2002−307406号公報、特開2003−252708号公報、特開2005−74776号公報に記載されたものなどが挙げられる。
これら防蟻防虫剤は、単独または併用することができる。
これら防蟻防虫剤のうち、好ましくは、ネオニコチノイド系化合物が挙げられ、さらに好ましくは、クロチアニジンが挙げられる。
好ましくは、第1の製剤および第2の製剤に含まれる有効成分として、防腐防カビ剤および防蟻防虫剤が併用される。
第1の製剤および第2の製剤に防腐防カビ剤および防蟻防虫剤が併用される態様としては、例えば、第1の製剤が防腐防カビ剤および防蟻防虫剤を含有し、第2の製剤が防腐防カビ剤を含有する態様(第1の態様)、第1の製剤が防腐防カビ剤を含有し、第2の製剤が防腐防カビ剤および防蟻防虫剤を含有する態様(第2の態様)、第1の製剤および第2の製剤がともに、防腐防カビ剤および防蟻防虫剤を含有する態様(第3の態様)が挙げられる。好ましくは、第1の態様および第2の態様が挙げられる。
具体的には、第1の態様として、例えば、第1の製剤が有機ヨード系化合物およびネオニコチノイド系化合物を含有し、第2の製剤がトリアゾール系化合物を含有する態様や、第1の製剤が有機ヨード系化合物、スルファミド系化合物およびネオニコチノイド系化合物を含有し、第2の製剤がトリアゾール系化合物を含有する態様が挙げられる。また、第2の態様として、例えば、第1の製剤が有機ヨード系化合物を含有し、第2の製剤がトリアゾール系化合物およびネオニコチノイド系化合物を含有する態様が挙げられる。
また、本発明の木材保護塗料では、上記した防腐防カビ剤および/または防蟻防虫剤を含有する第1の製剤および第2の製剤以外にも、その他の有効成分を含有するその他の製剤を含有してもよい。
その他の製剤の製剤形態は、その目的および用途に応じて適宜選択され、例えば、上記した懸濁剤および液剤や、これら以外にも、ペースト剤、粉剤、粒剤など、公知の種々の製剤形態を挙げることができる。
本発明において、塗膜形成成分としては、木材保護塗料で処理された木材表面に塗膜を形成して木材を保護する成分であれば制限されず、例えば、あまに油、きり油、大豆油などの乾性油もしくは半乾性油などの植物油脂、例えば、ニトロセルロース、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、アミノアルキド樹脂などの合成樹脂などが挙げられる。上記した合成樹脂は、水性であってもよく、また、油性であってもよい。
これら塗膜形成成分は、必要により、上記した有機溶媒に分散または溶解されて油性タイプとして調製されていてもよく、あるいは、水に分散されて水性タイプとして調製されていてもよい。
塗膜形成成分としては、市販品を用いることもでき、例えば、水性タイプとして、キシラデコールインテリアシリーズ(主成分:アクリル樹脂、日本エンバイロケミカルズ社製)、コンゾランシリーズ(主成分:アクリル樹脂、日本エンバイロケミカルズ社製)、水性VATONシリーズ(主成分:植物油脂、大谷塗料社製)、ウォーターゾールシリーズ(主成分:アルキド樹脂、DIC社製)、サイビノールシリーズ(主成分:アクリル樹脂、サイデン化学社製)、スーパーフレックスシリーズ(主成分:ウレタン樹脂、第一工業製薬社製)などが挙げられ、例えば、油性タイプとして、VATONシリーズ(主成分:植物油脂、大谷塗料社製)などが挙げられる。
これら塗膜形成成分のうち、好ましくは、植物油脂、アクリル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂が挙げられる。
これら塗膜形成成分は、単独または併用することができる。
また、塗膜形成成分は、各塗膜形成成分と、次に説明する添加剤および水とを配合して、混合塗膜形成成分として予め調製しておくこともできる。
さらに、本発明の木材保護塗料には、上記した成分(第1の製剤、第2の製剤および塗膜形成成分)とは別に、さらに、公知の添加剤、例えば、増粘剤、凍結防止剤、充填剤、懸濁助剤、消泡剤、酸化防止剤、光安定剤、顔料、乾燥促進剤(ドライヤー)、染料などを添加することができる。また、これらの添加剤は、上記した各成分のそれぞれに予め添加してもよく、また、木材保護塗料の調製時(第1の製剤、第2の製剤および塗膜形成成分の配合時)に添加することもできる。
増粘剤としては、上記した増粘剤と同様のものが挙げられる。
凍結防止剤としては、例えば、プロピレングリコールが挙げられる。
充填剤としては、例えば、ケイ酸アルミニウム(含水ケイ酸アルミニウムを含む。)、シリカ、アルミナ、クレー、タルク、ゼオライトなどが挙げられる。
懸濁助剤としては、例えば、アクリル・シリコーン系樹脂(モビニールシリーズ、ニチゴーモビニール社製)などが挙げられる。
消泡剤としては、例えば、BYK−021、BYK−164(以上、BYKシリーズ、ビックケミー社製)、鉱物油や疎水性シリカ、または、これらの混合物などが挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)などのフェノール系酸化防止剤、例えば、アルキルジフェニルアミン、N,N’−ジ−s−ブチル−p−フェニレンジアミンなどのアミン系酸化防止剤などが挙げられる。
光安定剤としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケートなどのヒンダードアミン系光安定剤などが挙げられる。
顔料としては、例えば、赤色酸化鉄(具体的には、酸化第二鉄など)、黄色酸化鉄、カーボンブラック、酸化チタンなどが挙げられる。
乾燥促進剤としては、例えば、DICNATE1000W(DICNATEシリーズ。DIC社製。)、例えば、コバルト、マンガン、シルコニウム、バリウム、カルシウム、カリウムなど金属と高級脂肪酸との高級脂肪酸塩、または、これらの混合物などが挙げられる。
これら添加剤は、単独または併用することができる。
また、本発明の木材保護塗料において、添加剤が添加される場合には、各添加剤の配合割合は、木材保護塗料100重量部に対して、増粘剤では、例えば、0.1〜5重量部、好ましくは、0.5〜2重量部、凍結防止剤では、例えば、0.1〜20重量部、好ましくは、1〜10重量部、充填剤では、例えば、0.1〜20重量部、好ましくは、0.2〜10重量部、懸濁助剤では、例えば、0.1〜5重量部、好ましくは、0.5〜2重量部、消泡剤では、0.05〜5重量部、好ましくは、0.1〜2重量部、酸化防止剤では、例えば、0.1〜10重量部、好ましくは、0.2〜5重量部、光安定剤では、例えば、0.1〜10重量部、好ましくは、0.2〜5重量部、顔料では、例えば、0.1〜20重量部、好ましくは、0.5〜10重量部、乾燥促進剤では、例えば、0.05〜5重量部、好ましくは、0.1〜2重量部である。
そして、本発明の木材保護塗料を調製するには、例えば、第1の製剤と、第2の製剤と、塗膜形成成分とを、必要により添加剤とともに、配合して、混合する。
また、本発明の木材保護塗料を、例えば、水系塗料や有機溶媒系塗料として調製することができる。
木材保護塗料を水系塗料として調製するには、例えば、まず、第1の製剤として、フロアブル剤、マイクロカプセル剤、または、担体を水に分散させた担体担持剤(水系製剤)を調製する。また、この第1の製剤とは別に、第2の製剤としての乳剤のために、有効成分をプレ製剤化する。具体的には、有効成分および必要により乳剤を配合して、有効成分をプレ製剤化(用意)する。また、上記した第1の製剤およびプレ製剤化物とは別に、水性タイプの塗膜形成成分を用意する。
その後、乳剤のためのプレ製剤化物(あるいは有効成分のみ)と、第1の製剤と、水性タイプの塗膜形成成分とを、必要により添加剤とともに、配合して混合する。これにより、プレ製剤化物の有効成分を、第1の製剤や塗膜形成成分が含む水によって、有効成分を乳剤に製剤化するとともに、水性塗料を調製することができる。
また、木材保護塗料を有機溶媒系塗料として調製するには、例えば、まず、第1の製剤として、担体を有機溶媒に分散させた担体担持剤(有機溶媒系製剤)を調製する。また、第1の製剤(単体担持剤)とは別に、第2の製剤としての油剤のために、有効成分のみを用意する。また、上記した第1の製剤(単体担持剤)および有効成分とは別に、油性タイプの塗膜形成成分を用意する。
その後、油剤のための有効成分と、第1の製剤と、油性タイプの膜形成成分とを、必要により添加剤とともに、配合して混合する。これにより、有効成分を、第1の製剤や塗膜形成成分が含む有機溶媒によって、油剤に製剤化するとともに、油性塗料を調製することができる。
好ましくは、木材保護塗料を、水系塗料として調製する。木材保護塗料を水系塗料として調製する場合には、水系塗料を、必要により水で希釈して処理して、容易に取り扱うことができ、さらには、環境負荷を低減することができる。
本発明の木材保護塗料において、各成分の配合割合は、塗膜形成成分(固形分の重量)100重量部に対して、第1の製剤(固形分の重量)が、例えば、0.01〜99.99重量部、好ましくは、1〜99重量部であり、第2の製剤(固形分の重量)が、例えば、0.01〜99.99重量部、好ましくは、1〜99重量部である。また、第1の製剤の有効成分および第2の製剤の有効成分の割合は、重量基準において、例えば、1:99〜99:1、好ましくは、10:90〜90:10、さらに好ましくは、10:90〜80:20、とりわけ好ましくは、20:80〜50:50である。
上記のようにして得られた木材保護塗料は、浸漬や塗布などの公知の処理方法により、木材に処理することができる。
なお、本発明の木材保護塗料が処理される木材としては、住宅、建築物などの建材材料や家具などの一般工業材料などを挙げることができるが、その種類は制限されない。
そして、本発明の木材保護塗料によれば、第1の製剤の有効成分、例えば、懸濁剤に製剤化される防腐防カビ剤および/または防蟻防虫剤が、木材の表面に残存するとともに、第2の製剤の有効成分、例えば、液剤に製剤化される防腐防カビ剤および/または防蟻防虫剤が木材の内部に浸透する。そのため、木材の表面において、優れた防除効果を発現するとともに、木材の内部においても、優れた防除効果を発現することができる。
なお、本発明の木材保護塗料は、対象となる木材において、防腐防カビ剤および/または防蟻防虫効果としての有効成分の濃度が、約0.005〜30重量%、好ましくは、0.01〜2重量%程度となるように、必要により水または上記した有機溶媒で希釈した後、処理される。
以下に実施例、参考例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に説明する。
<有効成分の製剤化>
製剤例1
(IPBCの製剤化)
IPBC(プリベントールMP−100、バイエル社製)30g、ショ糖脂肪酸エステル(DKエステルF−160、第一工業製薬社製)1.5g、メチルセルロース(メトローズ90SH−100、粘度100mPa・s(20℃、2重量%水溶液)、信越化学工業社製)2g、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム0.6g、鉱油・疎水性シリカ混合物0.2gを水65.7gに加えて攪拌して混合した後、さらにビーズミル(ダイノーミル、Typ KDL A、ガラスビーズ径0.5mm)で湿式粉砕することにより、IPBCを製剤化して、フロアブル剤を得た。
製剤例2
(クロチアニジンの製剤化)
ジイソプロピルナフタレン(KMC−113、RKS GmbH社製)318g、アルキルベンゼン(アルケンL、日本石油化学工業社製)154g、消泡剤(BYK−164、ビックケミー社製)48gを配合し、これらを均一に攪拌して混合し、これにクロチアニジン480gを加えホモディスパーで攪拌することにより、クロチアニジン48重量%含有スラリー液Aを得た。
次いで、得られたクロチアニジン48重量%含有スラリー液Aをビーズミルで湿式粉砕した。その後、湿式粉砕したスラリー液Aのうちの283gに、ポリイソシアネート(タケネートD−140N、三井化学ポリウレタン社製)213gを加え、均一に攪拌しスラリー液Bを得た。
その後、得られたスラリー液Bのうちの248gを、ポリビニルアルコール(クラレポバール217、クラレ社製)50.4gおよびノニオン系分散剤(ニューカルゲンFS−4)3.6gを含む水溶液492gに加えて、微少滴になるようにホモミキサーで常温下で、数分間、回転数5000rpmで攪拌した。
次いで、この混合液を緩やかに攪拌しながら、水207gおよびスラリー液Bの残りの248gを投入し攪拌を継続した。その後常温下でホモミキサーで、数分間、回転数2500rpmで攪拌した。
次いで、この混合液を75℃の恒温槽中で3時間緩やかに攪拌させながら、ジエチレントリアミンを7.6g滴下させて、これらを界面重合させることにより、クロチアジニンがポリウレタンおよびポリウレアからなる膜に内包させて製剤化して、マイクロカプセル剤を得た。その後、これにポリアクリル酸ナトリウム(増粘剤、レオジック250H、日本純薬社製)0.5重量%水溶液450g、プロピレングリコール(凍結防止剤)54g、水93.4gを加え全体の重量を1800gとして、クロチアニジンの濃度を7.5重量%に調整した。
製剤例3
(プロピコナゾールのプレ製剤化)
プロピコナゾール500g、ノニオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ナロアクティーCL100、三洋化成工業社製)500gを配合し、これらを50℃に加熱し、その後、ホモディスパー(T.K.オートホモディスパー、特殊機化工業社製)で均一に混合することにより、プロピコナゾールおよびノニオン性界面活性剤の混合物(プレ製剤化物3)1000gを得た。
(混合製剤Sの製剤化)
製剤例4
製剤例2で得られたクロチアニジンのマイクロカプセル剤270gをホモディスパーで攪拌しながら、含水ケイ酸アルミニウム(充填剤、クニピアF、クニミネ工業社製)1.8重量%水溶液66g、ポリアクリル酸ナトリウム(増粘剤、レオジック250H、日本純薬社製)0.5重量%水溶液60g、製剤例1で得られたIPBCのフロアブル剤200g、製剤例3でプレ製剤化したプロピコナゾールおよびノニオン性界面活性剤の混合物280g、懸濁助剤(アクリル・シリコーン系樹脂、モビニールLDM7159、ニチゴーモビニール社製)99g、アニオン性界面活性剤(ジアルキルスルホコハク酸金属塩、サンヒビターOMA−10、三洋化成工業社製)20g、鉱油・疎水性シリカ混合物5gを順次投入し、さらにホモディスパーで数分間攪拌することにより、プロピコナゾールを乳剤に製剤化した。
これにより、IPBCのフロアブル剤、クロチアニジンのマイクロカプセル剤およびプロピコナゾールの乳剤を含有する混合製剤Sを調製した。混合製剤Sの配合処方を表1に示す。
(混合製剤Pの製剤化)
製剤例5
製剤例2で得られたクロチアニジンのマイクロカプセル剤270gをホモディスパーで攪拌しながら、含水ケイ酸アルミニウム(充填剤、クニピアF、クニミネ工業社製)1.8重量%水溶液66g、ポリアクリル酸ナトリウム(増粘剤、レオジック250H、日本純薬社製)0.5重量%水溶液60g、製剤例1で得られたIPBCのフロアブル剤200g、懸濁助剤(アクリル・シリコーン系樹脂、モビニールLDM7159、ニチゴーモビニール社製)99g、アニオン性界面活性剤(ジアルキルスルホコハク酸金属塩、サンヒビターOMA−10、三洋化成工業社製)20g、鉱油・疎水性シリカ混合物5g、水280gを順次投入し、さらにホモディスパーで数分間攪拌した。
これにより、IPBCのフロアブル剤およびクロチアニジンのマイクロカプセル剤を含有する混合製剤Pを調製した。混合製剤Pの配合処方を表1に示す。
製剤例6
(IPBCの製剤化)
IPBC30gをアセトン100gに溶解させ、次いで、シリカ粉末(サイリシア310P、重量平均粒子径2.7μm、BET比表面積300m/g、富士シリシア社製)50gを配合して混合した後、アセトンを風乾させて完全に留去させた。その後、アジピン酸ジイソノニル70gを加えて攪拌して混合することにより、IPBCを製剤化して、シリカ担持剤(有機溶媒系製剤)を得た。
製剤例7
製剤例2で得られたクロチアニジンのマイクロカプセル剤270gをホモディスパーで攪拌しながら、含水ケイ酸アルミニウム(充填剤、クニピアF、クニミネ工業社製)1.8重量%水溶液66g、ポリアクリル酸ナトリウム(増粘剤、レオジック250H、日本純薬社製)0.5重量%水溶液60g、製剤例1で得られたIPBCのフロアブル剤200g、製剤例3でプレ製剤化したプロピコナゾールおよびノニオン性界面活性剤の混合物280g、アニオン性界面活性剤(ジアルキルスルホコハク酸金属塩、サンヒビターOMA−10、三洋化成工業社製)20g、鉱油・疎水性シリカ混合物5g、水99gを順次投入し、さらにホモディスパーで数分間攪拌することにより、プロピコナゾールを乳剤に製剤化した。
これにより、IPBCのフロアブル剤、クロチアニジンのマイクロカプセル剤およびプロピコナゾールの乳剤を含有する混合製剤Tを調製した。混合製剤Tの配合処方を表1に示す。
Figure 0005469892
なお、表1中の数値は、各成分の総量が100重量部となるように換算した、各成分の重量部数を示す。
<混合塗膜形成成分の調製>
調製例1
ウォーターゾールBCD−3040(アルキド樹脂、DIC社製)500gおよび水460gを秤量し、それらを容器に投入してホモディスパーで攪拌しながら、さらに、BYK−021(BYKシリーズ、ビックケミー社製)5g、DICNATE1000W(乾燥促進剤(ドライヤー)、DIC社製)4g、PSMエロー#85(黄色酸化鉄の水分散体、顔料分濃度40〜50重量%、御国色素社製)25g、PSMブラウン#95(赤色酸化鉄(酸化第2鉄)の水分散体、顔料分濃度40〜50重量%、御国色素社製)4g、PSMブラックC(カーボンブラックの水分散体、顔料分濃度20〜30重量%、御国色素社製)2gを順次投入して、ホモディスパーで常温下にて30分攪拌した。これにより、アルキド樹脂を主成分とする混合塗膜形成成分C1 1000gを調製した。混合塗膜形成成分C1の配合処方を表2に示す。
調製例2
ウォーターゾールBCD−3040(アルキド樹脂、DIC社製)500gに代えて、ウォーターゾールBCD−3040(アルキド樹脂、DIC社製)250gおよびサイビノールEC−2020(アクリル樹脂、サイデン化学社製)250gを用い、また、水460gに代えて、水462gを用い、また、DICNATE1000W(乾燥促進剤(ドライヤー)、DIC社製)4gに代えて、DICNATE1000W(乾燥促進剤(ドライヤー)、DIC社製)2gを用いた以外は、調製例1と同様に処方することにより、アルキド樹脂およびアクリル樹脂を主成分とする混合塗膜形成成分C2 1000gを調製した。混合塗膜形成成分C2の配合処方を表2に示す。
調製例3
ウォーターゾールBCD−3040(アルキド樹脂、DIC社製)500gに代えて、スーパーフレックス150(ウレタン樹脂、第一工業製薬社製)600gを用い、また、水460gに代えて、水364gを用い、また、DICNATE1000W(乾燥促進剤(ドライヤー)、DIC社製)を投入しなかった以外は、調製例1と同様に処方することにより、ウレタン樹脂を主成分とする混合塗膜形成成分C3 1000gを調製した。混合塗膜形成成分C3の配合処方を表2に示す。
Figure 0005469892
なお、表2中の数値は、各成分の総量が100重量部となるように換算した、各成分の重量部数を示す。
<木材保護塗料の調製>
実施例1(および実施例2)
XDインテリア ピニー(商品名:キシラデコールインテリア #602 ピニー、主成分:アクリル樹脂、日本エンバイロケミカルズ社製)95gをホモミキサーで攪拌しながら、製剤例4で得られた混合製剤S5gを加え、さらに、常温下で、30分間、攪拌して混合することにより、IPBCのフロアブル剤、クロチアニジンのマイクロカプセル剤およびプロピコナゾールの乳剤を含有する木材保護塗料(水性塗料)を得た。なお、得られた木材保護塗料を、後述する防腐試験および防カビ試験にて用いられる2種類の木材に対応するように、2つの木材保護塗料(実施例1および実施例2)とした。
実施例3
XDインテリア ピニーに代えて、コンゾラン ピニー(商品名:コンゾラン #251 ピニー、主成分:アクリル樹脂、日本エンバイロケミカルズ社製)を用いた以外は、実施例1と同様に処理して、IPBCのフロアブル剤、クロチアニジンのマイクロカプセル剤およびプロピコナゾールの乳剤を含有する木材保護塗料(水性塗料)を得た。
実施例4
XDインテリア ピニーに代えて、水性VATONパイン(商品名:水性VATON #5007 パイン、大谷塗料社製)を用いた以外は、実施例1と同様に処理して、IPBCのフロアブル剤、クロチアニジンのマイクロカプセル剤およびプロピコナゾールの乳剤を含有する木材保護塗料(水性塗料)を得た。
実施例5
XDインテリア ピニー95gに代えて、水性VATONパイン94.5gを用い、混合製剤S5gに代えて、混合製剤S5gおよびプリベントールA4/S 0.5gを用いた以外は、実施例1と同様に処理することにより、プリベントールA4/Sをフロアブル剤に製剤化した。
これにより、IPBCのフロアブル剤、クロチアニジンのマイクロカプセル剤、プロピコナゾールの乳剤およびプリベントールA4/Sのフロアブル剤を含有する木材保護塗料(水性塗料)を得た。
比較例1
XDインテリア ピニー95gに代えて、水性VATONパイン99.5gを用い、混合製剤S5gに代えて、プリベントールA4/S 0.5gを用いた以外は、実施例1と同様に処理することにより、プリベントールA4/Sをフロアブル剤に製剤化した。
これにより、プリベントールA4/Sのフロアブル剤を含有する木材保護塗料(水性塗料)を得た。
参考例6
VATON パイン(商品名、油性タイプ、大谷塗料社製)97.75gをホモミキサーで攪拌しながら、製剤例6で得られたIPBCのシリカ担持剤1.65g、プロピコナゾール0.5gおよびクロチアニジン0.1gを順次加え、さらに、常温下で、30分間、攪拌して混合することにより、プロピコナゾールおよびクロチアニジンを油剤に製剤化した。
これにより、IPBCのシリカ担持剤、プロピコナゾールの油剤およびクロチアニジンの油剤を含有する木材保護塗料(油性塗料)を得た。
比較例2
XDインテリア ピニーを、比較例2(コントロール)の木材保護塗料(水性塗料)としてそのまま供した。
比較例3
コンゾラン ピニーを、比較例3(コントロール)の木材保護塗料(水性塗料)としてそのまま供した。
比較例4
水性VATON パインを、比較例4(コントロール)の木材保護塗料(水性塗料)としてそのまま供した。
比較例5
VATON パイン(油性タイプ)を、比較例5(コントロール)の木材保護塗料(油性塗料)としてそのまま供した。
比較例6
水95gに、製剤例4で得られた混合製剤S5gを加え、常温下で、30分間、攪拌して混合することにより、IPBCのフロアブル剤、クロチアニジンのマイクロカプセル剤およびプロピコナゾールの乳剤を含有する木材保護製剤(水性製剤)を得た。
比較例7
混合製剤Sに代えて、混合製剤Pを用いた以外は、実施例1と同様に処理することにより、IPBCのフロアブル剤およびクロチアニジンのマイクロカプセル剤を含有する木材保護塗料(水性塗料)を得た。
比較例8
混合製剤Sに代えて、混合製剤Pを用いた以外は、比較例6と同様に処理することにより、IPBCのフロアブル剤およびクロチアニジンのマイクロカプセル剤を含有する木材保護製剤(水性製剤)を得た。
比較例9
XDインテリア ピニー95gに代えて、XDインテリア ピニー98.6gを用い、混合製剤S5gに代えて、プレ製剤化物3 1.4gを用いた以外は、実施例1と同様に処理することにより、プロピコナゾールの乳剤を含有する木材保護塗料(水性塗料)を得た。
比較例10
水95gに代えて、水98.6gを用い、混合製剤S5gに代えて、プレ製剤化物3 1.4gを用いた以外は、比較例6と同様に処理することにより、プロピコナゾールの乳剤を含有する木材保護製剤(水性製剤)を得た。
実施例1〜5、参考例6および比較例1〜10の各成分の配合処方を表3に示す。
Figure 0005469892
実施例7
調製例1で得られた混合塗膜形成成分C1 95gをホモミキサーで攪拌しながら、製剤例4で得られた混合製剤S5gを加え、さらに、常温下で、30分間、攪拌して混合することにより、IPBCのフロアブル剤、クロチアニジンのマイクロカプセル剤およびプロピコナゾールの乳剤を含有する木材保護塗料(水性塗料)を得た。
実施例8
製剤例4で得られた混合製剤S5gに代えて、製剤例7で得られた混合製剤T5gを用いた以外は、実施例7と同様に処理して、IPBCのフロアブル剤、クロチアニジンのマイクロカプセル剤およびプロピコナゾールの乳剤を含有する木材保護塗料(水性塗料)を得た。
実施例9
混合塗膜形成成分C1 95gに代えて、調製例2で得られた混合塗膜形成成分C2 95gを用いた以外は、実施例1と同様に処理して、IPBCのフロアブル剤、クロチアニジンのマイクロカプセル剤およびプロピコナゾールの乳剤を含有する木材保護塗料(水性塗料)を得た。
実施例10
混合塗膜形成成分C1 95gに代えて、調製例2で得られた混合塗膜形成成分C3 95gを用いた以外は、実施例1と同様に処理して、IPBCのフロアブル剤、クロチアニジンのマイクロカプセル剤およびプロピコナゾールの乳剤を含有する木材保護塗料(水性塗料)を得た。
比較例13
調製例1で得られた混合塗膜形成成分C1を、比較例13(コントロール)の木材保護塗料(水性塗料)としてそのまま供した。
比較例14
調製例2で得られた混合塗膜形成成分C2を、比較例14(コントロール)の木材保護塗料(水性塗料)としてそのまま供した。
比較例15
調製例3で得られた混合塗膜形成成分C3を、比較例15(コントロール)の木材保護塗料(水性塗料)としてそのまま供した。
実施例7〜10および比較例13〜15の各成分の配合処方を表4に示す。
Figure 0005469892
1) 防腐試験
実施例1〜5、参考例6、実施例7〜10、比較例1〜10および13〜15の木材保護塗料(木材保存製剤を含む。以下同様。)をそのまま原液として用いて、社団法人日本木材保存協会が定める「表面処理用木材防腐剤の室内防腐効力試験方法および性能基準(JWPS−FW−S.1)」に準拠して、防腐試験を実施した。また、木材保護塗料を塗布しない防腐試験(無塗装)についても、比較例11、比較例12および比較例16として実施した。
なお、実施例1、3〜5、参考例6、実施例7〜10、比較例1〜5、11および13〜16については、木材をそのまま防腐試験に供し、実施例2、比較例6〜10および12については、6月間、屋外に放置した(紫外線暴露処理した)木材を防腐試験に供した。ただし、屋外に放置した(紫外線暴露処理した)木材については、社団法人日本木材保存協会が定める「表面処理用木材防腐剤の室内防腐効力試験方法および性能基準(JWPS−FW−S.1)に定める試験方法において、その耐候操作を行わずに試験に供した。
なお、実施例1〜5、参考例6および比較例1〜12の防腐試験を同時に実施し、実施例7〜10および比較例13〜16の防腐試験を同時に実施したが、実施例1〜5、参考例6および比較例1〜12の防腐試験と、実施例7〜10および比較例13〜16の防腐試験とは、別々に実施した。
これらの防腐試験では、試験対象としての腐朽菌を、オオウズラタケおよびカワラタケとし、木材の質量減少率(質量%)を測定した。塗膜形成成分として、木材の表面に造膜するタイプであるコンゾラン ピニー(実施例3および比較例3)を使用する場合には、腐朽菌が木材に侵入し易いように、塗膜にカッターナイフで傷を付けてから、防腐試験を実施した。なお、質量減少率は、3質量%以下が、木材保護塗料の合格の規定値とされている。その結果を、表3および表4に示す。
2) 防カビ試験
実施例1〜5、参考例6、実施例7〜10、比較例1〜10および13〜15の木材保護塗料をそのまま原液として用いて、社団法人日本木材保存協会規格第2号に準拠して、防カビ試験を実施した。また、木材保護塗料を塗布しない防カビ試験(無塗装)についても、比較例11および比較例12として実施した。
なお、実施例1、3〜5、参考例、実施例7〜10、比較例1〜5、11および13〜16については、木材をそのまま防腐試験に供し、実施例2、比較例6〜10および12については、6月間、屋外に放置した(紫外線暴露処理した)木材を防カビ試験に供した。
この防カビ試験では、試験対象としてのカビを、アスペルギルス ニガー(Aspergillus niger)およびペニシリウム フニクロサム(Penicillium funiculosum)とした。防カビ試験の評価は、下記のとおりとした。その結果を、表3および表4に示す。
0 試験体(木材)にカビの発育が全く認められない
1 試験体の側面のみにカビの発育が認められる
2 試験体の上面の面積の1/3未満にカビの発育が認められる
3 試験体の上面の面積の1/3以上にカビの発育が認められる
また、実施例1〜5、参考例6および比較例1〜12の防カビ試験を同時に実施し、また、実施例7〜10および比較例13〜16の防カビ試験を同時に実施したが、実施例1〜5、参考例6および比較例1〜12の防カビ試験と、実施例7〜10および比較例13〜16の防カビ試験とは、別々に実施した。
3) 防蟻試験
実施例1〜5、参考例、実施例7〜10および比較例1〜10および13〜15の木材保護塗料をそのまま原液として用いて、アカマツ木材片を110g/mとなるように浸漬処理した。
なお、供試木材片は、正常なアカマツ辺材とし、年輪数が10mmにつき3〜5個、二方マサで各面を平滑かつ正確にカンナ仕上げした20(L)×10(R)×10(T)mmの直方体とし、処理前に温度60℃の恒温器中で24時間乾燥した。
なお、実施例1、3〜5、参考例6、実施例7〜10、比較例1〜5、11および13〜16については、アカマツ木材片をそのまま防蟻試験に供し、実施例2、比較例6〜10および12については、6月間、屋外に放置した(紫外線暴露処理した)アカマツ木材片を防蟻試験に供した。
その後、試料処理木材片および無処理木材片を、温度60℃で恒量になるまで乾燥し、約30分間デシケータ中に放置した後、その重量(W1)を0.01gまで測定し、試験体(処理試験体)を得た。なお、無処理木材片を比較例11、比較例12および比較例16の試験体(無処理試験体)としてそのまま供した。
また、直径8cm、長さ6cmのアクリル樹脂製円筒の一端に硬石膏を厚さ約5cmに固め、これを厚さ約2cmの湿潤綿(脱脂綿100gに水130〜150mlを加えたもの)を予め敷き詰めた蓋(通気のために小孔を開けたもの)付き容器中に設置することにより、飼育容器を用意した。
この飼育容器中の硬石膏の上に、試験体のマサ目面を上下にして、処理試験体および無処理試験体を1個ずつ水平に置き、巣から無作為に取り出したイエシロアリの職蟻150頭および兵蟻15頭を投入した。21日後、試験体を飼育容器より取り出し、試験体表面の付着物を丁寧に取り除き、温度60℃で恒量になるまで乾燥し、約30分間デシケータ中に放置したのち、その重量(W2)を測定した。
そして、木材の重量減少率を、下記式(1)により求め、防蟻試験の評価を、下記のとおりとした。その結果を、表2に示す。
木材の重量減少率(重量%)={(W1−W2)/W1}×100 ・・・(1)
被害度0:木材の重量減少率が3重量%未満
被害度1:木材の重量減少率が3重量%以上10重量%未満
被害度2:木材の重量減少率が10重量%以上20重量%未満
被害度3:木材の重量減少率が20重量%以上
また、実施例1〜5、参考例6および比較例1〜12の防蟻試験を同時に実施し、また、実施例7〜10および比較例13〜16の防蟻試験を同時に実施したが、実施例1〜5、参考例6および比較例1〜12の防蟻試験と、実施例7〜10および比較例13〜16の防蟻試験とは、別々に実施した。
本発明の木材保護塗料は、各種の木材に使用することができ、とりわけ、表面にカビが繁殖し易く、かつ、内部に菌が繁殖し易い各種の木材に使用することができる。

Claims (5)

  1. 有効成分が木材の表面に残存する第1の製剤と、
    有効成分が木材の内部に浸透する第2の製剤と、
    塗膜形成成分と
    を含有し、
    前記第1の製剤が懸濁剤であり、
    前記第2の製剤が乳剤であり、
    前記第1の製剤および前記第2の製剤は、防腐防カビ剤および/または防蟻防虫剤を有効成分として含有することを特徴とする、木材保護塗料。
  2. 前記懸濁剤が、フロアブル剤、マイクロカプセル剤および担体担持剤からなる群から選択される少なくとも1種の製剤であることを特徴とする、請求項に記載の木材保護塗料。
  3. 前記懸濁剤がフロアブル剤および/またはマイクロカプセル剤である
    ことを特徴とする、請求項1または2に記載の木材保護塗料。
  4. 前記防腐防カビ剤は、トリアゾール系化合物、有機ヨード系化合物およびスルファミド系化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の木材保護塗料。
  5. 前記防蟻防虫剤は、ネオニコチノイド系化合物を含有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の木材保護塗料。
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