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JP5462740B2 - 水面形状計測装置、及び水面形状計測方法 - Google Patents

水面形状計測装置、及び水面形状計測方法 Download PDF

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JP5462740B2 JP2010182503A JP2010182503A JP5462740B2 JP 5462740 B2 JP5462740 B2 JP 5462740B2 JP 2010182503 A JP2010182503 A JP 2010182503A JP 2010182503 A JP2010182503 A JP 2010182503A JP 5462740 B2 JP5462740 B2 JP 5462740B2
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Description

本発明は、海洋・湖水などで生じている波浪を計測する装置、及び計測方法に関する。
海洋・湖水における波浪など水面形状の変動を表す情報は、その水面の影響を受ける船舶や海岸、海洋構造物の設計・運用において重要なものである。従って従来より、その実態を把握するために種々の観測が行われている。
一例として、海洋の波浪を観測するために海底式超音波波高計や海洋ブイを用いた直接観測方法がある。また、航海レーダー、航空機や人工衛星搭載の合成開口レーダー(SAR)を用いたリモートセンシング方法もある。
Chang-KyuRheem、連続波ドップラーレーダーによる海洋波浪観測と波浪観測に及ぼすレーダー照射幅の影響、日本船舶海洋工学会論文集、No.8、2008年12月,61ページから69ページ Chang-KyuRheem、マイクロ波ドップラーレーダーによる実験水槽波浪観測、日本船舶海洋工学会論文集、No.6、2007年12月、65ページから73ページ
しかしながら、従来の観測においては、海面に計測機器を配したり、航空機や人工衛星を要するなど観測機器の設置や運用が容易でない。また漁業など他の海洋面等での活動にも支障を与えることとなる場合がある。
そこで、設置や運用が比較的容易な観測機器を用いて、海洋等の水面形状を測定する技術が求められている。なお、マイクロ波ドップラーレーダーを用いて海洋の波浪を関する方法が、非特許文献1,2に開示されている。
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、設置や運用が比較的容易な観測機器を用いて、海洋等の水面形状を測定できる水面形状計測装置、及び水面形状計測方法を提供することを、その目的の一つとする。
上記従来例の問題点を解決するための本発明は、水面形状計測装置であって、水面に対してパルス状マイクロ波を放射し、当該放射したマイクロ波の後方散乱波を、予め定めたタイミングごとに複数回受信し、1つのパルス状マイクロ波ごとに複数の計測点ごとの後方散乱波を検出して、各後方散乱波に対応する複数のドップラー信号を出力するレーダーを複数備え、前記複数のレーダーの各々が出力する複数のドップラー信号により、各レーダーのパルス状マイクロ波放射方向に沿って配される、複数の計測点での水面での水粒子の運動の情報を生成するとともに、前記複数の計測点での水面での水粒子の運動の情報に基づいて各レーダーのパルス状マイクロ波放射方向と波浪の進行方向とのなす角を特定する第1方向特定手段と、前記各レーダーのパルス状マイクロ波放射方向と波浪の進行方向とのなす角を表す情報に基づいて、波浪の進行方向を決定する第2方向特定手段と、を含み、水面での水粒子の運動の情報と、波浪の進行方向の情報とに基づき、水面形状を特定する情報を出力することとしたものである。
また、本発明の一態様に係る水面形状計測装置は、前記マイクロ波が放射されるごとに、当該放射したマイクロ波の後方散乱波の信号強度の時間変化に基づき、信号強度の空間分布の中心位置に対応する後方散乱波の到来時点を表す情報を取得し、複数回のマイクロ波放射により取得された複数の前記信号強度の空間分布の中心位置に対応する後方散乱波の到来時点を表す情報の差から、水面の高さの変動を表す情報を生成して出力する手段をさらに備えたこととしたものである。
さらに、本発明の一態様に係る水面形状計測方法は、水面に対してパルス状マイクロ波を放射し、当該放射したマイクロ波の後方散乱波を、予め定めたタイミングごとに複数回受信し、1つのパルス状マイクロ波ごとに複数の計測点ごとの後方散乱波を検出して、各後方散乱波に対応する複数のドップラー信号を出力する複数のレーダーに接続されたコンピュータを用い、前記複数のレーダーの各々が出力する複数のドップラー信号により、各レーダーのパルス状マイクロ波放射方向に沿って配される、複数の計測点での水面での水粒子の運動の情報を生成するとともに、前記複数の計測点での水面での水粒子の運動の情報に基づいて各レーダーのパルス状マイクロ波放射方向と波浪の進行方向とのなす角を表す情報とを生成する工程と、前記各レーダーのパルス状マイクロ波放射方向と波浪の進行方向とのなす角を表す情報に基づいて、波浪の進行方向を決定する工程と、を前記コンピュータに実行させて、水面での水粒子の運動の情報と、波浪の進行方向の情報とに基づき、水面形状を特定する情報を出力することとしたものである。
本発明によると、陸地や固定された海洋構造物など、観測する水面から離れた位置からの計測が可能であるので、設置や運用が比較的容易な装置を用いて水面形状を測定できる。
本発明の実施の形態に係る水面形状計測装置の構成例を表すブロック図である。 本発明の実施の形態に係る水面形状計測装置による計測の対象となる波浪の例を表す説明図である。 本発明の実施の形態に係る水面形状計測装置が受信する後方散乱波を含む信号の例を表す説明図である。 本発明の実施の形態に係る水面形状計測装置が推定する波浪の進行方向の自由度を表す説明図である。 本発明の実施の形態に係る水面形状計測装置による波浪の進行方位の決定動作を表す説明図である。 本発明の実施の形態に係る水面形状計測装置によって送受される信号の時間変化例を表す説明図である。 本発明の実施の形態に係る水面形状計測装置の各レーダー部における測定対象となる計測点の配置例を表す説明図である。 本発明の実施の形態に係る水面形状計測装置の別の構成例を表すブロック図である。 本発明の実施の形態に係る水面形状計測装置による計測結果の例を表す説明図である。 本発明の実施の形態に係る水面形状計測装置のマイクロ波の放射方向を表す説明図である。
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。本実施の形態の水面形状計測装置1は、図1に例示するように、第1レーダー部10aと、第2レーダー部10bと、演算部20とを含んで構成される。各レーダー部10a,bは同様の構成を備え、すなわち、制御部11、発振器12、発信部13、分配器14、移相器15、受信部16、乗算器17-1、17-2、解析部18、及びアンテナ19を備える。
ここに制御部11は、プログラムを記憶し、またワークメモリとしても動作するメモリを備えるマイクロコンピュータなどであり、予め定めたプログラムに従って各部を制御する。この制御部11は、マイクロ波の放射のタイミングでマイクロ波を放射するべき旨の信号を発信部13に出力する。また、このマイクロ波の放射のタイミングから予め定めた複数の受信時間(t1,t2,…)が経過するごとに、乗算器17からの出力信号を検出するべき旨の指示を解析部18に出力する。
本実施の形態では、制御部11は前回マイクロ波を放射してから時刻Tだけ経過した後(ただしTは受信時間よりも大きいものとする)、再度、マイクロ波の放射を行わせる。
発振器12は、予め定められた波長のマイクロ波を生成する。発信部13は制御部11から入力される指示に従い、予め定めたタイミングで、予め定めた時間(発信時間)だけアンテナ19を介して放射させる。つまりこの発信部13は、制御部11から指示されたタイミングでマイクロ波のパルス信号を生成して出力する。
分配器14は、発振器12が生成するマイクロ波を分配して、乗算器17-1と、移相器15とに出力する。移相器15は、分配器14が出力するマイクロ波の位相をπ/2だけ移相して、乗算器17-2に出力する。
受信部16は、アンテナ19に到来した信号を受信し、乗算器17-1と乗算器17-2とに出力する。
乗算器17-1は、受信部16が出力する信号と、分配器14が出力する信号とを乗算してI相信号を出力する。乗算器17-2は、受信部16が出力する信号と、移相器15が出力する信号とを乗算してQ相信号を出力する。
解析部18は、乗算器17-1、17-2の出力する信号の入力を受け、この入力信号から制御部11から指示が入力されるタイミングごとに複数時点の信号を取り出す。つまり、これら乗算器17からの出力信号は、図3に例示するように、パルス状のマイクロ波が放射されてからの経過時間tに従って変化する。マイクロ波の放射が行われた時点からの経過時間をtとして、アンテナ19に時刻tに到来する信号は、マイクロ波の伝播速度をcとして、アンテナ19からc/2t(往復が必要であるため2で除している)だけ離れた位置を計測点として、当該計測点でのマイクロ波の後方散乱に基づく信号を含んでいる。
従って、マイクロ波の放射が行われた時点から複数の経過時間t1,t2,…における信号は、アンテナ19から距離ri
ri=c/2ti (i=1,2,…)
だけ離れた計測点でのマイクロ波の後方散乱に基づく信号を含んでいることとなる。
海洋や湖水における水面付近の水粒子は、海流や潮汐流、吹送流、波浪等の影響を受けて運動をする。ここである海域における海流や潮汐流、吹送流による水粒子の運動は、十数分程度の時間スケールで一定とみなすことができる。他方、波浪による水粒子の運動は数秒から十数秒の比較的短い時間周期の運動である。いま、進行方向にそった断面で波浪を図示すれば、図2に示すようになる。
この図2において、水面付近の水粒子は、波浪の位相に応じて白抜きの矢印で示すように運動する。つまり波高の最も高いところでは進行方向に沿って運動しており、波高の最も低いところでは進行方向とは逆向きに運動する。また、波高の低いところから波高の高い方向へ波浪の進行方向に沿ってみると、水粒子の運動方向は時計回りに変化している。
さて、放射されたマイクロ波の波長をL、初期位相をp0とするとき、アンテナ19からの距離rの位置にある計測点からの後方散乱波の位相は、
p=−4πr/L+p0
となる。
従って、位相の時間変化は
dp/dt=−(4π/L)×dr/dt
となり、この位相の時間変化を知ることで、計測点における水粒子の移動速度Vd=dr/dtが演算できる。
本実施の形態の解析部18は、乗算器17-1、17-2から入力される信号のうち、マイクロ波放射後、時刻t1,t2,…でのI相成分及びQ相成分から、各時刻t1,t2,…で受信したマイクロ波の位相p1,p2,…を検出してメモリに記憶する。
また、この解析部18は、次のマイクロ波からの後方散乱波に基づく位相p1,p2,…を用いて(以下、区別のためメモリに記憶されている位相をpA1,pA2,…と書き、新たに受信した位相をp1,p2,…と書く)、位相の時間変化pi−pAi(i=1,2…)を演算し、さらにマイクロ波の放射間隔Tでこれを除し、係数−(L/4π)を乗じて、水粒子の移動速度Vdi(i=1,2…)を得る。
このVdiは、それぞれ時刻tiに対応する距離ri=c/2tiだけアンテナ19から離れた水面での水粒子の移動速度(アンテナ19の放射するマイクロ波の放射方向成分)を表している。また、別の方法として、連続する複数の受信信号のI相成分とQ相成分とからSTFT(Short Time Fourier Transform)法を用いて、Vdiを求めてもよい。
次に、ある一つの計測点に着目したときの波浪の進行方向とアンテナ19のマイクロ波放射方向との関係について述べる。なお、一つの計測点における水面の情報を生成する方法は、非特許文献1,2に開示の方法を採用すればよいので、ここではその概要を説明するだけに留める。
いま、波浪の進行方向をx、波浪の高さ方向をyとして、波浪を余弦波で近似する。x方向に進行する変位振幅A、初期位相εの余弦波は、
Figure 0005462740
となる。
水面付近での水粒子の運動は、xyの面内で行われ、その速度は成分毎に、
Figure 0005462740
である。
アンテナ19が、図2に示すように、鉛直下方から角度θだけ傾いて配され、またアンテナ19によるマイクロ波の放射方向と波浪の進行方向(x)とのなす角をφで表すと、水粒子の移動速度のマイクロ波放射方向の成分は、
Figure 0005462740
ただし、
Figure 0005462740
となる。
既に述べたように、マイクロ波の放射回数を複数とすれば、水粒子の移動速度のマイクロ波放射方向成分の測定結果Vdが演算により複数得られるので、解析部18はこれらが各時点でのVmと等しいとして、各測定点における水粒子の移動速度の周波数スペクトル(マイクロ波放射方向成分Vmの角周波数ωの運動成分ごとの振幅AωK及び位相 k ri cosφ - ω t + αを得ることができる。また解析部18は、STFTを用いる方法によっても同様に、各測定点での水粒子の移動速度のマイクロ波放射方向成分Vmの角周波数ωの運動成分ごとの振幅AωK及び位相k ri cosφ - ω t + α(周波数スペクトル)を得ることができる。
こうしてマイクロ波の放射方向にアンテナ19から距離r1,r2…にある計測点S1,S2…での水粒子の移動速度の各角周波数ωの運動成分の振幅AωKと、位相k ri cosφ - ω t + αとが求められ、これら振幅と位相とから、解析部18は、(4)式及び(5)式と(6)式とを用いて、各角周波数ωの波浪成分のマイクロ波の放射方向と波浪の進行方向とのなす角φと、変位振幅A、初期位相εを求める。
なお、一般の波浪は、(1)式で示した余弦波の重ね合わせ(和)として表すことができるので、計測点S1,S2…における水面の高さyi(波高)は、解析部18が求めた、各角周波数ωの波浪成分のマイクロ波の放射方向と波浪の進行方向とのなす角φと、変位振幅A、初期位相εにより表される。
ここで、各角周波数ωの波浪成分のマイクロ波の放射方向と波浪の進行方向とのなす角φは、距離の差 dr の異なる計測点間での位相の差の計測値と理論値 k dr cosφ との関係から求める。
しかしながら、これだけでは、波浪の方向には次のような自由度がある。すなわち、ここでの解析部18は、一つのアンテナ19によるマイクロ波放射方向の成分を観測して、波浪の進行方向とマイクロ波放射方向とのなす角φを演算している。従って図4に示すように、マイクロ波放射方向に対して時計回りにφだけずれた角度に波浪の進行方向があるのか(A)、マイクロ波放射方向に対して反時計回りにφだけずれた角度に波浪の進行方向があるのか(B)がわからない(φの余弦が演算に関わっているため、φの符号の正負が明らかでない)。この波浪の進行方向の決定は、一つのアンテナ19による測定では困難であるので、解析部18は、以上の処理により生成した情報(水面を表す情報として、各角周波数ωの波浪成分の振幅A、初期位相ε、波浪とマイクロ波放射方向とのなす角φ)を演算部20に出力する。
演算部20は、第1レーダー部10aの解析部18a(ここでは区別のために添え字a,bを付す)と、第2レーダー部10bの解析部18bとから、それぞれのレーダー部10によって検出された各角周波数ωの波浪成分の振幅A、初期位相ε、波浪とマイクロ波放射方向とのなす角φを受け入れる。
演算部20は、第1レーダー部10aの解析部18aが出力する角φの情報φaと、第2レーダー部10bの解析部18bが出力する角φの情報φbと、第1レーダー部10aのマイクロ波の放射方向の情報faと、第2レーダー部10bのマイクロ波の放射方向の情報fbとを用い、次のように波浪の進行方向を決定する処理を行う。なお、ここで各レーダーのマイクロ波の放射方向の情報fは、例えば北方を0とし、東方をπ/2とし…としてその方位を表すものとする。また、fa>fbとする(図5)。
演算部20は、fa−φaと、fb+φbとを算出し、これらの差の絶対値X=|fa−fb−φa−φb|が予め定めたしきい値Δを下回っているか否かを調べる。そして、Xがしきい値Δを下回っている場合は、波浪の進行方向x(波浪の移動方位)をfa−φa(またはfb+φb)に平行とする。また、Xがしきい値Δを下回っていない場合は、波浪の進行方向xをfa+φa(またはfb−φb)に平行とする。なお、X=|fa−fb−φa−φb|と、Y=|fa−fb+φa+φb|とを比較し、X<Yのとき波浪の進行方向xをfa−φa(またはfb+φb)に平行とし、X>Yのとき波浪の進行方向xをfa+φa(またはfb−φb)に平行としてもよい。
以上の処理により、演算部20においては、水面を表す情報として、各角周波数ωの波浪成分の振幅A、初期位相ε、及び波浪と各アンテナ19a,b…のマイクロ波放射方向とのなす角φa,φb…、さらに、波浪の進行方向xが求められ、これらから計測の対象となった水域の水面に存在する波浪の方向、波周期、高さ、特定の時刻かつ特定の計測点における波位相が求められる。
本実施の形態の装置は、以上の構成を備えてなり、次のように動作する。本実施の形態において備えられた複数のレーダー部10は、それぞれ陸地や固定された海洋構造物に設置され、水面に向けてマイクロ波を放射できるよう設置される。各レーダー部10は、それぞれのマイクロ波の放射方向が、互いに異なるよう配置される。一例として少なくともあるレーダー装置のマイクロ波の放射方向から±15°以内には、他のレーダー装置のマイクロ波の放射方向がないように設置する。図6に例示するように予め定めた時間間隔Tごとに、幅τの時間だけ継続するパルス状のマイクロ波を放射する。また、放射した各パルス状のマイクロ波の水面での後方散乱波を受けて、パルス状のマイクロ波放射後、予め定めた時間t1,t2…が経過するごとの後方散乱波を得る。ここでこれら予め定めた時間t1,t2…が経過するごとの後方散乱波は、レーダー部10からの距離r1,r2…にある水面(計測点)での後方散乱波である。以下、図7に例示するように、レーダー部10aのアンテナ19aが放射するマイクロ波の放射方向に沿って、距離r1,r2…にある計測点を計測点A-1,A-2…と表し、レーダー部10bのアンテナ19bが放射するマイクロ波の放射方向に沿って、距離r1,r2…にある計測点を計測点B-1,B-2…と表すこととする。
複数のパルス状マイクロ波を用いて、各パルスに応答する距離r1,r2…の計測点(A-1,A-2…)での後方散乱波からSTFT等の方法で水面変位の周波数スペクトルを求める。各計測点に対応する水面変位の周波数スペクトルを求める方法は、非特許文献1,2に開示の方法で行うことができる。
またレーダー部10は、互いに異なる計測点間の距離と、当該各計測点間の位相差とに基づいて、マイクロ波の放射方向と波浪の運動方向とのなす角を特定する。
そして各レーダー部10は、それぞれの各計測点での波浪の方向(マイクロ波の放射方向と波浪の運動方向とのなす角)、波周期、高さ、特定の時刻かつ特定の計測点における波位相の各情報を出力する。
演算部20は、複数のレーダー部10が出力する上記各情報のうち、各レーダー部10のマイクロ波の放射方向と波浪の運動方向とのなす角の情報を用いて、波浪の移動方位を特定する。
このように本実施の形態では、水面に装置を浮かべる等の必要がなく、また航空機や人工衛星を使うのではなく、陸地や固定された海洋構造物に配備したレーダー装置によって、計測水面に存在するすべての波浪の方向、波周期、高さ、ある時刻ある計測点における波位相が計測できる。
なお、発振器12や発信部13は、複数のレーダー部10で共用し、時分割的に各レーダーからの信号放射に用いられてもよい。この場合、発信部13の出力信号を時分割的に、各レーダー部10a,b…のアンテナ19a,b…に切り替えて出力させることとすればよい。
さらに本実施の形態の水面形状計測装置1における、レーダー部10は、図8に例示するように、制御部11、発振器12、発信部13、分配器14、移相器15、受信部16、乗算器17-1、17-2、解析部18、及びアンテナ19に加え、信号強度解析部21と、水位変化量演算部22とを含んでもよい。なお、既に説明したものと同様の構成をとるものについては同じ符号を付して説明を省略する。
ここで信号強度解析部21は、プログラムを記憶し、またワークメモリとしても動作するメモリを備えるマイクロコンピュータにより実現できる。この信号強度解析部21は、発信部13が前回、マイクロ波の放射を開始した時刻(t0とする)から、時間Tが経過するまでの間に、受信部16が出力する信号の強度変化を記録する。具体的には予め定めた時間間隔ごとに、受信部16が出力する信号の強度をディジタル化した値を、上記t0からの経過時間に関連づけて記録することとしてもよい。この記録の内容を概念的に図示すると、図9に示すようになる。既に述べたようにt0からの経過時間は、アンテナ19が放射するマイクロ波の放射方向に沿った、マイクロ波が反射した水面までの距離に対応しているので、この信号強度の時間変化は、マイクロ波の受信強度の空間分布ととらえることもできる。
信号強度解析部21は、記録した順に、t0から、信号の強度が予め定めたしきい値を超える時間α1と、その後、受信部16が出力する信号の強度が予め定めたしきい値を下回る時間α2とを見いだす。そして、t0から信号強度の空間分布の中心位置に対応する後方散乱波が到来するまでの時間αMを、αM=(α1+α2)/2と算出する。信号強度解析部21は、この算出した時間の値αMを記憶しておく。
信号強度解析部21は、マイクロ波が放射されるごとに、上記の処理を行い、各回で算出した、各回のマイクロ波放射時刻t0から信号強度の空間分布の中心位置に対応する後方散乱波が到来するまでの時間αM1,αM2,…を得て、これらの値を水位変化量演算部22に出力する。
水位変化量演算部22は、αMiと、αMi+k(i=1,2,…、k=1,2,…)との差を、
ΔL=c/(2×αMi+k)−c/(2×αMi)
とする。ここでkの値は予め定めておいてもよい。また、水位変化量演算部22は、アンテナ19からのマイクロ波放射方向の俯角θを用いて(図10を参照)、αMiの表す時点と、αMi+kの表す時点とでの水位の変化量ΔHを次のようにして演算して出力する。
ΔH=ΔL・cosθ
また、ここではt0から、信号の強度が予め定めたしきい値を超える時間α1と、その後、受信部16が出力する信号の強度が予め定めたしきい値を下回る時間α2とを見いだし、その平均時刻をもって、空間分布の中心位置としていたが、これに限らず、水位変化量演算部22は、例えば信号強度のピークの到来時点(当該到来時点に対応する距離)を、空間分布の中心位置としてもよい。この場合各回(i回目)のマイクロ波放射開始時刻t0からピーク到来までの時間をαMiとして、水位変化量演算部22は、
ΔL=c/(2×αMi+k)−c/(2×αMi)
を求める。
すなわち、本実施の形態では、予め定めた時間間隔Tごとに放射されるパルス状(時間τだけ継続する)のマイクロ波の水面での後方散乱波の信号の強度の時間変化(マイクロ波放射後、予め定めた時間t1,t2…が経過するごとの後方散乱波の信号強度)を調べる。そして、複数回のマイクロ波の放射に対応する、後方散乱波の信号強度の時間変化のうち、互いに対応する時点の、各回の基準時刻(例えば上述のようにマイクロ波の放射開始時刻としてもよいし、マイクロ波の放射が終了する時刻としてもよい)からの経過時間を調べる。なお、ここで互いに対応する時点は、例えば信号強度の空間分布の中心位置に対応する後方散乱波の到来時点としてもよい。
そしてこの複数回のマイクロ波の放射に対応して求めた信号強度の空間分布の中心位置の差ΔLと、アンテナ19からのマイクロ波放射方向の俯角θとを用いて、水位の変化量ΔHを
ΔH=ΔL・cosθ
として求め、出力する。
この水位の変化量の情報は、演算部20に出力され、演算部20では、水面を表す情報とともに、この水位の変化量の情報を出力することとしてもよい。
1 水面形状計測装置、10 レーダー部、11 制御部,12 発振器、13 発信部、14 分配器、15 移相器、16 受信部、17 乗算器、18 解析部、19 アンテナ、20 演算部、21 信号強度解析部、22 水位変化量演算部

Claims (3)

  1. 水面に対してパルス状マイクロ波を放射し、当該放射したマイクロ波の後方散乱波を、予め定めたタイミングごとに複数回受信し、1つのパルス状マイクロ波ごとに複数の計測点ごとの後方散乱波を検出して、各後方散乱波に対応する複数のドップラー信号を出力するレーダーを複数備え、
    前記複数のレーダーの各々が出力する複数のドップラー信号により、各レーダーのパルス状マイクロ波放射方向に沿って配される、複数の計測点での水面での水粒子の運動の情報を生成するとともに、前記複数の計測点での水面での水粒子の運動の情報に基づいて各レーダーのパルス状マイクロ波放射方向と波浪の進行方向とのなす角を特定する第1方向特定手段と、
    前記各レーダーのパルス状マイクロ波放射方向と波浪の進行方向とのなす角を表す情報に基づいて、波浪の進行方向を決定する第2方向特定手段と、
    を含み、水面での水粒子の運動の情報と、波浪の進行方向の情報とに基づき、水面形状を特定する情報を出力することを特徴とする水面形状計測装置。
  2. 請求項1記載の水面形状計測装置であって、前記マイクロ波が放射されるごとに、当該放射したマイクロ波の後方散乱波の信号強度の時間変化に基づき、信号強度の空間分布の中心位置に対応する後方散乱波の到来時点を表す情報を取得し、複数回のマイクロ波放射により取得された複数の前記信号強度の空間分布の中心位置に対応する後方散乱波の到来時点を表す情報の差から、水面の高さの変動を表す情報を生成して出力する手段をさらに備えたことを特徴とする水面形状計測装置。
  3. 水面に対してパルス状マイクロ波を放射し、当該放射したマイクロ波の後方散乱波を、予め定めたタイミングごとに複数回受信し、1つのパルス状マイクロ波ごとに複数の計測点ごとの後方散乱波を検出して、各後方散乱波に対応する複数のドップラー信号を出力する複数のレーダーに接続されたコンピュータを用い、
    前記複数のレーダーの各々が出力する複数のドップラー信号により、各レーダーのパルス状マイクロ波放射方向に沿って配される、複数の計測点での水面での水粒子の運動の情報を生成するとともに、前記複数の計測点での水面での水粒子の運動の情報に基づいて各レーダーのパルス状マイクロ波放射方向と波浪の進行方向とのなす角を表す情報とを生成する工程と、
    前記各レーダーのパルス状マイクロ波放射方向と波浪の進行方向とのなす角を表す情報に基づいて、波浪の進行方向を決定する工程と、
    を前記コンピュータに実行させて、水面での水粒子の運動の情報と、波浪の進行方向の情報とに基づき、水面形状を特定する情報を出力することを特徴とする水面形状計測方法。
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