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JP5445230B2 - マイクロ波加熱による酸化鉄含有物質の還元方法、及び、焼結鉱製造用原料の製造方法、並びに、高炉原料の製造方法 - Google Patents

マイクロ波加熱による酸化鉄含有物質の還元方法、及び、焼結鉱製造用原料の製造方法、並びに、高炉原料の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、周波数領域が20〜30GHzのマイクロ波を照射することによって酸化鉄含有物質を加熱・還元する方法に関するものであり、また、この方法を用いて製鉄所における焼結鉱製造用原料や高炉原料を製造する方法に関するものである。
近年、電磁波の一種であるマイクロ波を照射することによる加熱現象(すなわち、電子レンジの技術)を各種工業プロセスに応用しようという試みが各方面で検討されている。マイクロ波加熱は、従来の加熱プロセスと比較した場合、(1)マイクロ波を吸収する物質自身を内部から迅速に加熱することが可能である(急速加熱、内部加熱)、(2)マイクロ波を吸収する物質のみを選択して加熱することが可能である(選択加熱)、(3)通常の電気炉等による加熱では生じ得ない非熱的効果(マイクロ波による温度上昇以外によると考えられる効果)が発生する等、様々な特徴を併せ持つため、従来から検討されていた乾燥分野のみならず、近年では、鉄鉱石を始めとする各種金属酸化物の還元反応へマイクロ波加熱を適用することによって、従来よりも高効率な還元プロセスを確立しようとする検討が盛んに行われている。
例えば、特許文献1には、粉状の鉄酸化物原料に、還元剤たる炭剤と炭酸塩を配合して、マイクロ波を照射することにより、鉄酸化物を還元して鉄粉を製造する方法が提案されている。
また、特許文献2には、金属含有材料と還元剤を混合して充填したコンテナへマイクロ波照射し、加えて電気アーク等のエネルギーを付加することによって金属を製造する方法が提案されている。
特開平06-279,824号公報 特表2004-526,864号公報
重見彰利、「製銑ハンドブック」地人書館、昭和54年12月10日、P.73
ところで、マイクロ波による加熱を実施する場合、当然被加熱物質(物質そのものが内部から加熱される物質)はマイクロ波を吸収する物質でなくてはならない。そして、対象物がマイクロ波を照射することによってどの程度加熱できるかを示す式(1)として以下が定義されている。
Figure 0005445230
P:物質に吸収されるマイクロ波エネルギー[W/m3]
E:電場[V/m]
H:磁場[A/m]
σ:導電率[S/m]
f:周波数[Hz]
ε0:真空の誘電率[F/m]
ε":誘電損失
μ0:真空の透磁率[H/m]
μ":磁気損失
この式(1)に基づけば、ある一定のマイクロ波電磁場において、導電率、誘電損失、磁気損失等の物性定数の大きな物質は、マイクロ波を良好に吸収してマイクロ波加熱し易い物質であると定義される。例えば、酸化鉄にはヘマタイト(酸化第二鉄/Fe2O3)、マグネタイト(四三酸化鉄/Fe3O4)、ウスタイト(酸化第一鉄/FeO)といった形態が存在するが、電子レンジで一般的に用いられている周波数(2.45GHz)のマイクロ波の使用を前提とした場合、ヘマタイトに関してはマイクロ波の吸収性が悪いため、それ単独ではマイクロ波による加熱を行うことが難しいことが知られている。
従って、製鉄業における主要原料である鉄鉱石の場合、マグネタイトを主成分とする磁鉄鉱であれば何ら問題なくマイクロ波による加熱を行うことが可能であるが、埋蔵量が多く、現在の主流となっているヘマタイトあるいはヘマタイトと同様の3価鉄ベースの水酸化鉄(ゲーサイト/Fe2O3・3H2O)を主成分とする鉄鉱石(赤鉄鉱、褐鉄鉱)に関しては、基本的にはそれ単独ではマイクロ波による加熱を効果的に行うことはできない。また、製鉄所において発生する副産物(高炉ダスト、転炉ダスト、中和スラッジ等)を製鉄原料として再利用することも多く見受けられるが、これらの主要成分もヘマタイトあるいはゲーサイトであるため、やはりこれらの副産物についても単独ではマイクロ波によって効果的に加熱することはできない場合が多い。
そのため、特許文献1及び特許文献2においては、ヘマタイトを原料として使用する場合には、マイクロ波の吸収性の高い物質(炭素あるいはマグネタイト等)を別途混合する必要があると述べられている。
ここで、酸化鉄を還元するためには、いずれにしても還元剤としての炭素を添加する必要があるのは当然であるが、特許文献1によれば、ヘマタイトを良好にマイクロ波加熱するためには、酸化鉄の還元のために必要な当量に対して2倍以上の余分な炭素を加える必要があるものと述べられており、還元剤に関わるコストを浪費する観点から問題があった。また、還元反応に何ら寄与しない余分な炭素を酸化鉄と同等以上の温度にまで昇温させることになるため、その分マイクロ波の出力を高める必要があり、結果としてマイクロ波の発生に必要な電力を多量に消費するという問題もあった。
また、常温においてはマイクロ波吸収性が悪い物質であっても、温度の上昇に伴ってマイクロ波吸収性が改善される物質が存在することが知られており、諸説が存在するもののヘマタイトもこのような温度依存性の大きな物質であると一部では報告されている。そこで、特許文献2においては、電気炉加熱等の方法によって被加熱物質をマイクロ波吸収性が向上する臨界温度にまで予熱した後に、マイクロ波による加熱並びに金属の還元を行う方法も提案されている。しかし、この方法では、金属の還元に必要なマイクロ波加熱によるリアクター単独では還元処理を実施することができず、何ら還元反応には寄与しない予熱用のリアクターが別途必要になる。
ところで、本発明者らは、ヘマタイトあるいはゲーサイトを含有する物質を還元性ガスによってマグネタイト主体の物質へと還元処理した後に、当該還元物質を炭素(還元剤)と混合し、得られた混合物にマイクロ波を照射して加熱することにより、金属鉄を得る方法を提案している(特願2009-073,169号出願)。この方法においても、マイクロ波加熱の前処理として還元性ガスを用いた事前還元が必要であるため、マイクロ波による加熱設備とは別に、還元性ガスによる事前還元を行うためのリアクターが必要になる。
そこで、本発明者らは、マイクロ波照射によりヘマタイトやゲーサイトを主成分とする酸化鉄含有物質をより効率良く加熱処理し、酸化鉄含有物質を還元する方法について、更に以下のような考えの下に検討を行った。
一般的に、マイクロ波とは、300MHz〜300GHz程度の範囲の周波数を持つ電磁波である、と定義されている。しかし実際には、現在マイクロ波加熱用途に利用されているマイクロ波の周波数はかなり限定されており、電子レンジ用に普及して安価な発振機(マグネトロン)が出力する2.45GHz以外の周波数に関してはほとんど使用されていないのが現実である。極僅かに、短波長側の0.915GHzの周波数が使用された例はあるが、2.45GHzよりも高周波側(波長としては短波長側)の領域(ミリ波、サブミリ波と呼称される場合が多い)の利用に関しては、係る高周波のマイクロ波を出力する発振機(クライストロン、ジャイロトロン等)があまり普及しておらず、高価なことも手伝って、あまり検討が行われていないのが現実である。
また、電磁波は、そのエネルギーの大きさに比例して様々な形で物質と相互作用をするといわれている。電磁波のエネルギーは波長が短くなるにつれて(周波数が大きくなるにつれて)大きくなるため、γ線やX線のようないわゆる高エネルギーの電磁波は、原子核や原子内電子と相互作用することができ、それらより低いエネルギーを持つ紫外線、可視光、近赤外線は主に固体内電子の遷移に影響を及ぼすことができ、更にエネルギーが低い電磁波である赤外線は分子の振動や回転に影響を及ぼすことができる。一方、これらの電磁波よりも更にエネルギーが低いマイクロ波は、主に物質中の電気双極子と相互作用し、配向分極を誘起する程度のレベルであるといわれている。しかし、マイクロ波加熱に付随するいわゆる非熱的効果は、これらマイクロ波と物質との相互作用に起因して生じる現象であるとも考えられている。
そこで、本発明者らは、同じマイクロ波領域の電磁波であっても、2.45GHzのマイクロ波よりも更に短波長側(高周波数側)のマイクロ波を用いることにより物質との相互作用が促進され、更に非熱的効果が増幅されることが期待できるのではないかとの考えに到達し、また、既に述べたように、20〜30℃程度の常温状態において、ヘマタイト又はゲーサイトのような3価鉄をベースとした酸化鉄へ2.45GHzのマイクロ波を照射した場合、ほとんどマイクロ波は吸収されないため、ごく僅かな昇温幅でしか加熱できないことが広く一般的に知られてはいるが、先に式(1)において示した通り、マイクロ波加熱に関係した物性定数(誘電損失、磁気損失等)は周波数に依存した関数であり、また、マイクロ波加熱(マイクロ波の吸収)は、より高い周波数及び強い電磁場雰囲気下において一層促進されるため、マイクロ波の周波数を従来の2.45GHzよりも更に高周波側へシフトすることによって、これまでは加熱することさえできなかったヘマタイトやゲーサイトのような物質が容易に加熱されるようになり、加えて非熱的効果も増幅される可能性があるとの考えに到達した。
本発明者らは、上記の考え方の下に幾多の検討を重ねた結果、現在汎用されている2.45GHzではほとんど温度が上昇しないヘマタイトやゲーサイトを主体とする酸化鉄含有物質に対して、10倍程度の周波数を有するマイクロ波を照射したところ、驚くべきことに、短時間で1000℃以上まで加熱できることを見出し、本発明をした。
従って、本発明の目的は、赤鉄鉱等のヘマタイトやゲーサイトを主成分とする酸化鉄含有物質を、マイクロ波照射によって、より効率良く加熱処理して、酸化鉄含有物質を還元する方法を提供することである。
また、本発明は、赤鉄鉱等のヘマタイトやゲーサイトを主成分とする酸化鉄含有物質を、還元剤が殆どない状態であっても、マイクロ波照射によって、効率良く加熱処理して、酸化鉄含有物質を還元する方法を提供することも目的とする。
更にまた、本発明は、左記マイクロ波照射による酸化鉄含有物質の還元方法により、鉄鋼製造プロセスにおける焼結鉱原料や高炉原料を製造する方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明の要旨は次の通りである。
(1) ヘマタイト及びゲーサイトのうちの少なくともいずれか一方を含む酸化鉄含有物質に対して20〜30GHzの領域の周波数を持つマイクロ波を照射することにより、前記酸化鉄含有物質を加熱し、前記酸化鉄含有物質中に含有される前記ヘマタイト及びゲーサイトのうちの少なくともいずれかを含む酸化鉄を還元することを特徴とするマイクロ波加熱による酸化鉄含有物質の還元方法。
(2) 前記酸化鉄含有物質への前記マイクロ波の照射を、還元剤と共存する状態で行うことを特徴とする前記(1)に記載のマイクロ波による酸化鉄含有物質の還元方法。
(3) 前記還元剤が炭素含有物質であり、この還元剤を前記酸化鉄含有物質に添加して得られた混合物へマイクロ波を照射することを特徴とする前記(2)に記載のマイクロ波加熱による酸化鉄含有物質の還元方法。
(4) 前記還元剤が還元性ガスであり、前記酸化鉄含有物質への前記マイクロ波の照射を前記還元性ガス中で行うことを特徴とする前記(2)又は(3)に記載のマイクロ波による酸化鉄含有物質の還元方法。
(5) 前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載のマイクロ波加熱により酸化鉄含有物質の還元処理を行い、この還元処理された酸化鉄含有物質を、焼結鉱製造プロセスにおける原料とすることを特徴とする焼結鉱製造用原料の製造方法。
(6) 前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載のマイクロ波加熱により酸化鉄含有物質の還元処理を行い、この還元処理された酸化鉄含有物質を、高炉プロセスにおける原料とすることを特徴とする高炉原料の製造方法。
ヘマタイトやゲーサイトを主成分とする酸化鉄含有物質であっても、マイクロ波加熱によって効率良く加熱処理を行い、酸化鉄含有物質を還元することが可能となる。また、ヘマタイトやゲーサイトを主成分とする酸化鉄含有物質であっても、マイクロ波加熱による還元により、鉄鋼製造プロセスにおける焼結鉱製造用原料や、高炉プロセスにおける高炉原料を製造することが可能となる。
図1は、本発明の方法を実施するためのマイクロ波加熱処理装置の1例を示す説明図である。
図2は、本発明と従来技術とのマイクロ波加熱特性を比較したグラフ図である。 図3は、別の条件における本発明と従来技術とのマイクロ波加熱特性を比較したグラフ図である。
図4は、更に別の条件における本発明と従来技術とのマイクロ波加熱特性を比較したグラフ図である。 図5は、非特許文献1に記載された「温度と酸化鉄の解離との関係を示すグラフ」を紹介するグラフ図である。
図6は、本発明の実施例で使用したマイクロ波加熱処理装置を示す説明図である。 図7は、比較例で使用したマイクロ波加熱処理装置を示す説明図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
図1に、本発明に係るマイクロ波加熱処理装置の1例を示す。ここで、本装置は、本発明に係る20〜30GHzのマイクロ波のうち24GHzのマイクロ波を照射可能としているほか、比較のために、2.45GHzのマイクロ波の照射も可能としている。すなわち、アプリケーター(反応器)1内に設置された被加熱物質2に対して、異なる2種類の周波数のマイクロ波を照射することが可能である。マイクロ波の種類としては2.45GHz及び24GHzの2種類の周波数が選択可能であり(発振機の特性上、±500MHz程度の誤差は生じ得る。以下同様)、各々のマイクロ波はマグネトロン3、ジャイロトロン4という個別の専用発振機を用いて発生させ、マイクロ波が特定の位置に集束することなく、ランダムかつ非定常にアプリケーター1内を飛び回っている状態(マルチモード)とし、被加熱物質2全体をなるべく均一に加熱できるようになっている。また、アプリケーター1内の雰囲気は、外部から雰囲気ガス5を添加することによって任意に調節することが可能であり、更に、被加熱物質2の温度に関しては、外径8mmの金属管シースで保護された熱電対7を粉体である試料中へ挿入し、この粉体内部の平均温度を測定できるようになっている。
本装置を用いて、各種のサンプルにマイクロ波を照射して加熱・還元を行う試験を行った。以下に、これら試験例の結果を示す。
なお、以下の試験例において、鉄(Fe)還元率とは、ヘマタイトを金属鉄(M-Fe)まで還元する際に除去される理論酸素量に対して、実際にどの程度の割合の酸素が除去されたかを表す指標であり、マイクロ波照射後の酸化鉄含有物質の全てがヘマタイトの場合は還元率=0%、全てがマグネタイトの場合は還元率=11.1%、全てがウスタイト(FeO)の場合還元率=33.3%、全てが金属鉄の場合は還元率=100%となる。すなわち、還元率11.1%というのはすべてのヘマタイトがマグネタイトまで還元された状態であり、還元率5%とはヘマタイトとマグネタイトが混合(ウスタイト以降の還元が起きていないと想定した場合)している状態である。
また、以下の試験例において、鉄の形態の定量分析(M-Fe、FeO、Fe2O3)に関しては、蛍光X線分析法、容量法(JIS M8213)等の分析手法によって実施した。これら分析手法ではマグネタイト(Fe3O4=FeO・Fe2O3)の含有量を定量することができないため、ウスタイト、マグネタイト、ヘマタイトの各々の含有割合を正確に把握することは不可能である。そこで、これら定量分析の結果から算出したFe還元率及びX線回折分析法による鉄形態の定性分析の結果から、試料中に存在する酸化鉄の形態(ウスタイト、マグネタイト、ヘマタイト)を推定した。
[試験例1]
最初に、被加熱物質2としてヘマタイト試薬(特級/純度99.0%以上、100g)を用い、アプリケーター1内の雰囲気をアルゴン(供給したアルゴンガス中に不純物として含有される酸素の分圧は10-4MPa)として、被加熱物質2には、マグネトロン3によって発生させた2.45GHzのマイクロ波、又はジャイロトロン4によって発生させた24GHzのマイクロ波をそれぞれ400Wの出力で照射した。図2にその際のヘマタイト試薬の温度変化を示す。
2.45GHzのマイクロ波を照射した場合(マイクロ波照射時間255分)は、これまでの知見の通り、ヘマタイト試薬は極僅かの温度上昇(最高温度80℃)が認められたにすぎなかったが、24GHzの周波数を照射した場合(マイクロ波照射時間70分)には、ヘマタイト試薬単独であっても、極めて急速に1000℃以上の温度(最高温度1200℃)にまで加熱できることが判明した。
表1に上記において加熱した後のヘマタイトの組成およびFeの還元率を示す。
Figure 0005445230
表1に示す結果から明らかなように、2.45GHzのマイクロ波を照射した場合のヘマタイト試薬は、高々80℃程度までにしか加熱されなかったため、当然にヘマタイトの還元はほとんど起きていなかったが、24GHzのマイクロ波で加熱した場合には、有為的にヘマタイトの還元が進行しているのが判明した。
[試験例2]
次に、被加熱物質2として表2に示す組成のローブリバー鉱石(粒径0.25mm以下、150g)をを用い、アプリケーター1内の雰囲気をアルゴン(供給したアルゴンガス中に不純物として含有される酸素の分圧は10-4MPa)として、先のヘマタイト試薬を用いた試験例1と同様に、2.45GHzのマイクロ波又は24GHzのマイクロ波をそれぞれ400Wの出力で照射した。図3に、その際のローブリバー鉱石の温度変化を示す。
Figure 0005445230
ローブリバー鉱石を用いた試験例2の場合、ヘマタイト以外の成分(ヘマタイトとはマイクロ波吸収性が異なる)が含有されるため、ある程度時間は要するものの、2.45GHzのマイクロ波を照射した場合(マイクロ波照射時間240分)であっても1000℃以上の高温(最高温度1320℃)にまで加熱することが可能であった。しかし、24GHzのマイクロ波を照射した場合(マイクロ波照射時間70分)には、2.45GHzの周波数を用いた場合よりも、極めて迅速に1000℃以上の温度(最高温度1230℃)にまで加熱することが可能であった。
表3に、上記において加熱した後のローブリバー鉱石の組成及びFe還元率を示す。
Figure 0005445230
表3に示す結果から明らかなように、24GHzのマイクロ波で加熱した場合のローブリバー鉱石の方が、2.45GHzのマイクロ波で加熱した場合よりも、Fe還元率が大きく、ウスタイト(FeO)レベルまでの還元が進行していることが判明した。また、ローブリバー鉱石の中の結晶水も除去されていた。
[試験例3]
次に、被加熱物質2として表4に示す組成の中和スラッジ(製鉄所副産物であって乾燥機によって乾燥した後のサンプル:平均粒径30μm、50g)を用い、アプリケーター1内の雰囲気をアルゴン(供給したアルゴンガス中に不純物として含有される酸素の分圧は10-4MPa)として、先のヘマタイト試薬を用いた試験例1と同様に、2.45GHzのマイクロ波又は24GHzのマイクロ波をそれぞれ400Wの出力で照射した。図4に、その際の中和スラッジの温度変化を示す。
Figure 0005445230
中和スラッジを用いた試験例3の場合、ヘマタイト以外の成分(ヘマタイトとはマイクロ波吸収性が異なる)が多量に含有されるため、2.45GHzのマイクロ波を照射した場合(マイクロ波照射時間240分)であっても、24GHzのマイクロ波を照射した場合(マイクロ波照射時間60分)であっても、ほとんど同様の昇温速度によって1000℃以上の温度(2.45GHz:最高温度1360℃、24GHz:1200℃)にまで加熱することが可能であった。
表5に、上記において加熱した後の中和スラッジの組成およびFeの還元率を示す。
Figure 0005445230
表5に示す結果から明らかなように、2.45GHzのマイクロ波で加熱した中和スラッジがマグネタイトレベルまでへの還元しか起きていないのに対して(Fe還元率とX線回折分析結果から推定)、24GHzのマイクロ波で加熱した中和スラッジの場合にはFe還元率が大幅に大きく、ウスタイトレベルまで、また一部に関しては金属Feレベルまでの還元が進行していることが判明した(Fe還元率とX線回折分析結果から推定)。また、中和スラッジ中に含有される塩素の除去率に関しても、24GHzのマイクロ波で加熱した場合の方が大きかった。
上記試験例1〜3において、ヘマタイト試薬及びローブリバー鉱石をマイクロ波加熱する際に還元剤(炭素)は全く共存しない状態であり、また雰囲気ガスはアルゴンであって還元性のガス成分も全く含有されていない。従って、マイクロ波加熱によって生じた還元現象は、専ら酸化鉄を高温に加熱したことに付随する熱分解(酸素解離)反応に由来するものであると推定される。また、中和スラッジ中には、元来極僅かな量の炭素が含有されているが、実際の24GHzのマイクロ波加熱後のサンプルは、その炭素を還元剤として理論上起り得る最大の還元率(C+2O→CO2までの還元が起きるものと想定)を超えるまで、還元反応が進行しているため、ローブリバー鉱石の場合と同様に、酸化鉄の熱分解反応が主体となっているものと推定される。
図5に、非特許文献1に記載された「温度と酸化鉄の解離との関係を示すグラフ」が紹介されている。この図5から、今回の試験例1〜3で使用されたアルゴンガス中の酸素分圧(10-4MPa≒10-3atm、logPo2=-3[atm];炭素等の共存物質と酸素が平衡することによって、アプリケーター内の酸素分圧はこれよりも若干低くなっている可能性はある。)付近においては、理論上、24GHzのマイクロ波加熱において到達した温度(1200〜1230℃程度)では、ヘマタイトからマグネタイトまでの熱分解(還元)は起りうるが、マグネタイトからウスタイトまでの熱分解(還元)は起り得ないことが解かる。
試験例2の場合のローブリバー鉱石と試験例3の場合の中和スラッジに関して、2.45GHzよりも24GHzのマイクロ波を用いた場合に(しかも、最高温度は24GHzのマイクロ波で加熱した場合の方が低いのにもかかわらず)、酸化鉄の還元(熱分解反応)が大幅に促進され、しかも、理論上起り得るレベル以上にまで還元が進行している原因に関しては不明であるが、例えば、要因(1) 24GHzのマイクロ波の強い電磁場が何らかのメカニズムによって酸素の解離現象を促進したこと、要因(2) マイクロ波加熱の特徴である内部加熱が24GHzのマイクロ波では更に増幅され、ローブリバー鉱石や中和スラッジ粒子の内部温度が熱電対による測定温度(各粒子表面の平均温度を測定しているにすぎない)よりも大幅に高温となっていたこと、等の理由が考えられる。しかし、試験例1の場合のヘマタイト試薬に関しては、24GHzのマイクロ波で加熱した場合であっても、ほとんど還元が進行していないことから、ローブリバー粉鉱石及び中和スラッジ中に含有されるFe以外の物質の影響(マイクロ波加熱特性上Feよりも更に高温に加熱され、それらと隣接するFeも局所的に同等レベルの温度にまで加熱される)も含め、要因(2)が理由として大きいのではないかと推定される。
このように還元剤を外部から何ら添加しない場合、アプリケーター1内の雰囲気は不活性ガス雰囲気、特に不純物として含有される酸素の分圧ができる限り低い雰囲気とした方が、酸化鉄の還元が進行する。しかし、Fe還元率が不活性ガス雰囲気下において還元を行った場合よりも低くても構わないということであれば、特に雰囲気ガス中の酸素分圧は限定される訳ではなく、通常の空気雰囲気下において24GHzのマイクロ波による加熱を実施しても構わない。
これら酸化鉄含有物質(上述の試験例1〜3では、ヘマタイト試薬、ローブリバー鉱石、中和スラッジ等)のマイクロ波加熱後のFe還元率を更に高めるためには、酸化鉄含有物質が還元剤と共存する状態において、前記マイクロ波を前記酸化鉄含有物質へ照射することが有効である。特に、酸化鉄含有物質に炭素等の還元性物質が含まれていない場合は、何らかの還元剤を外部から添加するとより有効である。この場合の還元剤としては、固体状の還元剤(石炭、コークス、チャー、カーボンブラック、黒鉛、木質バイオマス、下水汚泥、廃プラスチック、廃タイヤ等)、液体状の還元剤(コールタール、メタノール、エタノール等)、あるいは、ガス状の還元剤(水素、一酸化炭素、メタン、コークス炉ガス、高炉ガス、石炭ガス化ガス、メタン改質ガス、コークス炉ガス改質ガス、高炉ガス改質ガス等)等が挙げられ、何を使用しても構わない。固体状及び液体状の還元剤を使用する場合には、酸化鉄含有物質と事前に混合すればよく、また、ガス状の還元剤を使用する場合には、アプリケーター内の雰囲気ガスをこれらガス状の還元剤雰囲気にすればよい。
一般的に、鉄鉱石等の酸化鉄から還元鉄を製造するプロセスにおいては、安価な固体状の還元剤を使用する場合や、還元速度が速くより低温で還元を行うことができるガス状の還元剤を使用する場合が多いが、酸化鉄含有物質と一様に混合した状態にすることができれば、液体状の還元剤を使用しても構わない。また、固体状又は液体状の還元剤を使用する場合、これら還元剤が燃焼して消失しないように、アプリケーター1内の雰囲気ガスを、酸素を含まない不活性ガス(窒素、アルゴン等)雰囲気とする必要がある。勿論、不活性ガス雰囲気中に若干(3vol%程度以下)の酸素が含まれていても構わないが、その酸素は還元剤を燃焼させ、消失させてしまうため、その消失分を見込んだ分の還元剤を余分に添加する必要がある。更に、固体状、液体状、ガス状の還元剤をいくつか組み合わせて使用しても何ら問題とはならない。
ジャイロトロン4から発生させるマイクロ波の周波数としては、何ら24GHzに限定される訳ではなく、2.45GHzの10倍程度のエネルギー密度(電磁場強度)を持つ20GHz以上30GHz以下程度、好ましくは24GHz以上28GHz以下程度の範囲内の周波数であれば何れでも構わない。なお、30GHzよりも更に大きな周波数領域のマイクロ波を用いることも可能ではあるが、以下の式(2)に示す通り、マイクロ波の浸透深さ(侵入深さ)は逆に高周波側のマイクロ波を用いることによって浅くなるため、30GHzより大きな周波数のマイクロ波を用いた場合、被加熱物質全体を均一に加熱できなくなる恐れがあるため好ましくない。また、24GHzおよび28GHzの周波数のマイクロ波発信装置は、比較的入手し易く、コストも比較的安いため、好ましい。
Figure 0005445230
δ:浸透深さ[m]
f:周波数[Hz]
μ:透磁率[H/m]
σ:導電率[S/m]
本発明において、酸化鉄含有物質としては、前述したヘマタイト試薬、ローブリバー鉱石、中和スラッジのみに限定される訳ではなく、ローブリバー以外の鉄鉱石、製鉄所から発生する中和スラッジ以外の副産物(含油スラッジ、高炉ダスト、転炉ダスト等)等、ヘマタイトやゲーサイトを含む酸化鉄を含有するものであればよく、何を用いても構わない。また、これら酸化鉄含有物質を他の前処理設備(乾燥設備、予熱設備、予備還元設備等)で予め一度処理した後のものを、本発明の酸化鉄含有物質として、マイクロ波加熱処理しても構わない。
本発明の方法により酸化鉄含有物質をマイクロ波加熱処理して得られた処理物は、製鉄所原料として使用可能である。M-Feの含有割合が大きく、Fe還元率も高い本発明の処理物に関しては、ブリケットに成型した後に高炉原料として用いることが望ましい。また、ブリケットに成型せずに粉体のまま高炉の羽口から吹き込むことによって高炉原料として用いることも可能である。これら還元後の試料を原料として用いることによって、高炉での還元剤(コークス、微粉炭等)の使用量を削減することが可能となる。また、M-Feがほとんど含有されず、ウスタイト又はマグネタト程度までの還元しか生じていない試料に関しては、粉体のままの状態で焼結機原料として用いることが望ましい。これら還元後の本発明の処理物を原料として用いることによって、焼結機での燃料(粉コークス、無煙炭等)の使用量を削減することが可能となる。
(実施例1)
図6に示した図1と同様のマイクロ波加熱処理装置を用いて、実施例1に係る本発明例を実施した。
アプリケーター1内には、被加熱物質2としてヘマタイト試薬(特級:純度99.0%以上、100g)を配置すると共に、このアプリケーター1内に雰囲気ガス5として水素を流通させ、ジャイロトロン4から24GHzのマイクロ波を発振させて被加熱物質2に対して24GHzのマイクロ波照射(出力400W、マルチモード)を行ったところ、20分間で900℃にまで急速に昇温したため、その温度のまま30分間加熱処理を行った。なお、温度測定には熱電対7を用い、ヘマタイト試薬の粉体と熱電対測温部が充分接触した状態にて測定した。
表6に、マイクロ波加熱処理後のヘマタイト試薬の組成及びFe還元率を示す。この表6に示す結果から明らかなように、実施例1においては、ヘマタイト試薬中のヘマタイトの大部分を金属鉄にまで効率良く還元することができた。
Figure 0005445230
(実施例2)
図6に示した図1と同様のマイクロ波加熱処理装置を用いて、実施例2に係る本発明例を実施した。
アプリケーター1内には、被加熱物質2として表2に示す組成のローブリバー粉鉱石(粒径1〜3mm、150g)を配置すると共に、雰囲気ガス5として窒素(不純物として含有される酸素の分圧は10-4MPa)を流通させ、ジャイロトロン4から24GHzのマイクロ波を発振させて被加熱物質2に対して24GHzのマイクロ波照射(出力400W、マルチモード)を行ったところ、30分間で1200℃にまで急速に昇温したため、その温度のまま30分間加熱処理を行った。なお、温度測定には熱電対7を用い、ローブリバー粉鉱石の粉体と熱電対測温部が充分接触した状態にて測定した。
表7に、マイクロ波加熱処理後のローブリバー粉鉱石の組成及びFe還元率を示す。この表7に示す結果から明らかなように、実施例2においては、ローブリバー粉鉱石中のヘマタイト(あるいはゲーサイト)をマグネタイトとウスタイトの混合状態にまで還元(Fe還元率とX線回折分析結果から推定)することができた。また、これらマイクロ波加熱処理後の粉鉱石は、製鉄所における焼結機原料として使用することによって、焼結機で使用する燃料(粉コークス、無煙炭等)を削減することができた。
Figure 0005445230
(実施例3)
図6に示した図1と同様のマイクロ波加熱処理装置を用いて、実施例3に係る本発明例を実施した。
アプリケーター1内には、被加熱物質2として表2に示す組成のローブリバー粉鉱石(粒径1〜3mm、150g)を配置すると共に、雰囲気ガス5として水素を流通させ、ジャイロトロン4から24GHzのマイクロ波を発振させて被加熱物質2に対して24GHzのマイクロ波照射(出力400W、マルチモード)を行ったところ、20分間で900℃にまで急速に昇温したため、その温度のまま30分間加熱処理を行った。なお、温度測定には熱電対7を用い、ローブリバー粉鉱石の粉体と熱電対測温部が充分接触した状態にて測定した。
表8に、マイクロ波加熱処理後のローブリバー粉鉱石の組成及びFe還元率を示す。この表8に示す結果から明らかなように、実施例3においては、ローブリバー粉鉱石中のヘマタイト(あるいはゲーサイト)をほぼ金属鉄の状態にまで迅速に還元することが可能であった。また、これらマイクロ波加熱処理後の粉鉱石は、ブリケットに成型した後、製鉄所における高炉原料として使用することによって、高炉で使用する燃料あるいは還元剤(コークス、微粉炭等)を削減することができた。
Figure 0005445230
(実施例4)
図6に示した図1と同様のマイクロ波加熱処理装置を用いて、実施例4に係る本発明例を実施した。
アプリケーター1内には、被加熱物質2として表2に示す組成のローブリバー粉鉱石(粒径1〜3mm、150g)と表9に示す組成の粉コークス(粒径3mm以下、平均粒径0.7mm、38g)との混合物(質量比としてローブリバー粉鉱石100:粉コークス25)を配置すると共に、雰囲気ガス5として窒素(不純物として含有される酸素の分圧は10-4MPa)を流通させ、ジャイロトロン4から24GHzのマイクロ波を発振させて被加熱物質2に対して24GHzのマイクロ波照射(出力400W、マルチモード)を行ったところ、25分間で1300℃にまで急速に昇温したため、その温度のまま30分間加熱処理を行った。なお、温度測定には熱電対7を用い、ローブリバー粉鉱石と粉コークスの混合物からなる粉体と熱電対測温部が充分接触した状態にて測定した。
表10に、マイクロ波加熱処理後のローブリバー粉鉱石と粉コークスとの混合物について、その組成及びFe還元率を示す。この表10に示す結果から明らかなように、実施例4においては、ローブリバー粉鉱石中のヘマタイト(あるいはゲーサイト)の多くを金属鉄の状態にまで迅速に還元することが可能であった。これら加熱後の粉鉱石は、ブリケットに成型した後、製鉄所における高炉原料として使用することによって、高炉で使用する燃料あるいは還元剤(コークス、微粉炭等)を削減することができた。
Figure 0005445230
Figure 0005445230
(実施例5)
図6に示した図1と同様のマイクロ波加熱処理装置を用いて、実施例5に係る本発明例を実施した。
アプリケーター1内には、被加熱物質2として表4に示す組成の中和スラッジ(事前に別途乾燥機によって水分5%以下にまで乾燥したもの、平均粒径30μm、50g)を配置すると共に、雰囲気ガス5として窒素(不純物として含有される酸素の分圧は10-4MPa)を流通させ、ジャイロトロン4から24GHzのマイクロ波を発振させて被加熱物質2に対して24GHzのマイクロ波照射(出力400W、マルチモード)を行ったところ、30分間で1200℃にまで急速に昇温したため、その温度のまま30分間加熱処理を行った。なお、温度測定には熱電対7を用い、ローブリバー粉鉱石と粉コークスの混合物からなる粉体と熱電対測温部が充分接触した状態にて測定した。
表11に、マイクロ波加熱処理後の中和スラッジの組成及びFe還元率を示す。この表11に示す結果から明らかなように、実施例5においては、中和スラッジ中のヘマタイト(あるいはゲーサイト)をウスタイト程度にまで還元(Fe還元率とX線回折分析結果から推定)することができた。また、これらマイクロ波加熱処理後の中和スラッジは、製鉄所における焼結機原料として使用することによって、焼結機で使用する燃料(粉コークス、無煙炭等)を削減することができた。
Figure 0005445230
(比較例1)
図7に示した図1と同様のマイクロ波加熱処理装置を用いて、比較例1に係るマイクロ波加熱処理を実施した。
アプリケーター1内には、被加熱物質2としてヘマタイト試薬(特級:純度99.0%以上、100g)を配置すると共に、雰囲気ガス5として水素を流通させ、マグネトロン3から2.45GHzのマイクロ波を発振させて実施例1と同じ出力(出力400W、マルチモード)でマイクロ波照射をしたところ、60分間照射しても40℃までにしか昇温しなかった。なお、温度測定には熱電対7を用い、ヘマタイト試薬の粉体と熱電対測温部が充分接触した状態にて測定した。
マイクロ波加熱処理後のヘマタイト試薬に関しては全く還元が進行していなかった。
(比較例2)
図7に示した図1と同様のマイクロ波加熱処理装置を用いて、比較例2に係るマイクロ波加熱処理を実施した。
アプリケーター1内には、被加熱物質2として表2に示す組成のローブリバー粉鉱石(粒径1〜3mm、150g)を配置すると共に、雰囲気ガス5として窒素(不純物として含有される酸素の分圧は10-4MPa)を流通させ、マグネトロン3から2.45GHzのマイクロ波を発振させて実施例2と同じ出力(出力400W、マルチモード)でマイクロ波照射をしたところ、120分間で1200℃にまで昇温したため、その温度のまま30分間加熱処理を行った。なお、温度測定には熱電対7を用い、ローブリバー粉鉱石の粉体と熱電対測温部が充分接触した状態にて測定した。
表12に、マイクロ波加熱処理後のローブリバー粉鉱石の組成及びFe還元率を示す。この表12に示す結果から明らかなように、比較例2においては、実施例2と比較して、昇温に時間を要したため全体の処理時間が大幅に長くなった。また、ローブリバー粉鉱石中のヘマタイト(あるいはゲーサイト)は極一部がマグネタイトにまで還元(Fe還元率とX線回折分析結果から推定)したに過ぎなかった。
Figure 0005445230
(比較例3)
図7に示した図1と同様のマイクロ波加熱処理装置を用いて、比較例3に係るマイクロ波加熱処理を実施した。
アプリケーター1内には、被加熱物質2として表2に示す組成のローブリバー粉鉱石(粒径1〜3mm、150g)を配置すると共に、雰囲気ガス5として水素を流通させ、マグネトロン3から2.45GHzのマイクロ波を発振させて実施例3と同じ出力(出力400W、マルチモード)でマイクロ波照射をしたところ、85分間で900℃にまで昇温したため、その温度のまま30分間加熱処理を行った。なお、温度測定には熱電対7を用い、ローブリバー粉鉱石の粉体と熱電対測温部が充分接触した状態にて測定した。
表13に、マイクロ波加熱処理後のローブリバー粉鉱石の組成及びFe還元率を示す。この表13に示す結果から明らかなように、比較例3においては、実施例3と比較して、昇温に時間を要したため全体の処理時間が大幅に長くなった。また、ローブリバー粉鉱石中のヘマタイト(あるいはゲーサイト)をほぼ金属鉄の状態にまで還元することが可能であったが、還元率は実施例3よりも小さかった。
Figure 0005445230
(比較例4)
図7に示した図1と同様のマイクロ波加熱処理装置を用いて、比較例4に係るマイクロ波加熱処理を実施した。
アプリケーター1内には、被加熱物質2として表2に示す組成のローブリバー粉鉱石(粒径1〜3mm、150g)と表9に示す組成の粉コークス(粒径3mm以下、平均粒径0.7mm、38g)との混合物(質量比としてローブリバー粉鉱石100:粉コークス25)を配置すると共に、雰囲気ガス5として窒素(不純物として含有される酸素の分圧は10-4MPa)を流通させ、マグネトロン3から2.45GHzのマイクロ波を発振させて実施例4と同じ出力(出力400W、マルチモード)でマイクロ波照射をしたところ、40分間で1300℃にまで昇温したため、その温度のまま30分間加熱処理を行った。なお、温度測定には熱電対7を用い、ローブリバー粉鉱石と粉コークスの混合物の粉体と熱電対測温部が充分接触した状態にて測定した。
表14に、マイクロ波加熱処理後のローブリバー粉鉱石と粉コークのとの混合物について、その組成及びFe還元率を示す。この表14に示す結果から明らかなように、比較例4においては、ローブリバー粉鉱石中のヘマタイト(あるいはゲーサイト)の多くを金属鉄の状態にまで迅速に還元することが可能であったが、実施例4よりも若干処理時間は長くなり、かつFe還元率は小さかった。
Figure 0005445230
(比較例5)
図7に示した図1と同様のマイクロ波加熱処理装置を用いて、比較例5に係るマイクロ波加熱処理を実施した。
アプリケーター1内には、被加熱物質2として表4に示す組成の中和スラッジ(事前に別途乾燥機によって水分5%以下にまで乾燥したもの、平均粒径30μm)を配置すると共に、雰囲気ガス5として窒素(不純物として含有される酸素の分圧は10-4MPa)を流通させ、マグネトロン3から2.45GHzのマイクロ波を発振させて実施例5と同じ出力(出力400W、マルチモード)でマイクロ波照射をしたところ、30分間で1200℃にまで昇温したため、その温度のまま30分間加熱処理を行った。なお、温度測定には熱電対7を用い、中和スラッジの粉体と熱電対測温部が充分接触した状態にて測定した。
表15に、マイクロ波加熱処理後の中和スラッジの組成及びFe還元率を示す。この表14に示す結果から明らかなように、比較例5においては、実施例5と比較して還元率は小さく、中和スラッジ中のヘマタイト(あるいはゲーサイト)をマグネタイト程度にしか還元(Fe還元率とX線回折分析結果から推定)することができなかった。
Figure 0005445230
1…アプリケーター(反応器)、2…被加熱物質、3…マグネトロン、4…ジャイロトロン、5…雰囲気ガス、6…排ガス、7…熱電対。

Claims (6)

  1. ヘマタイト及びゲーサイトのうちの少なくともいずれか一方を含む酸化鉄含有物質に対して20〜30GHzの領域の周波数を持つマイクロ波を照射することにより、前記酸化鉄含有物質を加熱し、前記酸化鉄含有物質中に含有される前記ヘマタイト及びゲーサイトのうちの少なくともいずれかを含む酸化鉄を還元することを特徴とするマイクロ波加熱による酸化鉄含有物質の還元方法。
  2. 前記酸化鉄含有物質への前記マイクロ波の照射を、還元剤と共存する状態で行うことを特徴とする請求項1記載のマイクロ波による酸化鉄含有物質の還元方法。
  3. 前記還元剤が炭素含有物質であり、この還元剤を前記酸化鉄含有物質に添加して得られた混合物へマイクロ波を照射することを特徴とする請求項2に記載のマイクロ波加熱による酸化鉄含有物質の還元方法。
  4. 前記還元剤が還元性ガスであり、前記酸化鉄含有物質への前記マイクロ波の照射を前記還元性ガス中で行うことを特徴とする請求項2又は3に記載のマイクロ波による酸化鉄含有物質の還元方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のマイクロ波加熱により酸化鉄含有物質の還元処理を行い、この還元処理された酸化鉄含有物質を、焼結鉱製造プロセスにおける原料とすることを特徴とする焼結鉱製造用原料の製造方法。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載のマイクロ波加熱により酸化鉄含有物質の還元処理を行い、この還元処理された酸化鉄含有物質を、高炉プロセスにおける原料とすることを特徴とする高炉原料の製造方法。
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