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JP5430869B2 - 緻密質炭化ホウ素焼結体およびその製造方法 - Google Patents

緻密質炭化ホウ素焼結体およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、相対密度が95%以上の緻密質炭化ホウ素焼結体及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、優れた機械的特性を有する緻密質炭化ホウ素焼結体(以下、緻密質炭化ホウ素セラミックスと呼ぶ)を経済的に製造することができる技術を提供するものである。
炭化ホウ素セラミックスは、融点が2,427℃ときわめて高く、ダイヤモンド、立方晶窒化ホウ素に次ぐ極めて高い硬度を示し、その嵩比重(密度)が、代表的なセラミックスのひとつであるアルミナセラミックスの約2/3以下であるという特徴を有する。また、炭化ホウ素の弾性率が360〜460GPaであることから、比剛性(材料の弾性係数を密度で割った値。単位重量当たりの変形し難さを示す。)が他の材料と比較して極めて高く、軽量で強度に優れた製品の材料として期待される。炭化ホウ素セラミックスは、例えば、線引きダイスや耐摩耗材、さらに高い衝撃応力抵抗性の求められる部品などの製品に適用されている。
しかし、炭化ホウ素は、その結合が共有結合性に富むことから焼結性に著しく劣るため、良好な炭化ホウ素セラミックスを、簡易にかつ経済的に製造することはできないという問題があった。より具体的には、炭化ホウ素は、一般に焼結性が悪いとされている代表的な炭化物である炭化ケイ素と比較しても著しく焼結性に劣り、加圧せずに常圧で焼成することは困難であった。このため、炭化ホウ素セラミックスの製造の際に行われている炭化ホウ素単味の焼結体を得る場合における焼結方法は、ホットプレスやホットアイソスタティクプレス(HIP)といった加圧焼結法が一般的である。しかし、これらの方法では、製造設備や製造コストがかかるので、安価で良好な炭化ホウ素セラミックス製品を提供することはできなかった。より具体的には、従来の加圧焼結法では加圧設備を必要とするため、その設備費用やランニングコストは、常圧焼成の場合と比較して多大なものになる。また、加圧する関係上、容易に焼成できる成形体は単純な形状のものに限られるので、例えば、複雑な形状の機械部品等を製造する場合には、単純な形状の炭化ホウ素セラミックスを得た後、高価なダイヤモンド工具等により機械加工する必要があり、多大な加工コストが必要になる。このため、従来の常圧焼成法によって、複雑な形状の炭化ホウ素セラミックス製品を安価に提供することはできなかった。このように、加圧焼結によって炭化ホウ素セラミックスを製造する従来の方法は、設備面においての問題は勿論のこと、それ以外にも種々の制約を受け、常圧焼結で培われてきた技術をそのまま適用できないという問題もあった。したがって、炭化ホウ素セラミックスを簡易な常圧焼成によって製造できれば、その効果は絶大である。
このような状況に対し、焼結性を改善する目的で、炭化ホウ素に炭化ケイ素及び金属アルミニウムを複合化させることで、緻密であり、炭化ホウ素の機械的な特性をある程度活かす試みがなされている(特許文献1参照)。また、近年、炭化ホウ素セラミックスを簡易にかつ経済的に製造することができる常圧焼結法の開発が進んでいる。例えば、原料中に炭素を焼成助剤として数%から数十%添加させることで、常圧で、炭化ホウ素セラミックスの製造を可能とする方法の提案がある(特許文献2参照)。また、焼成雰囲気をH2/Heによって制御することで、少量の炭素を焼結助剤として緻密な炭化ホウ素セラミックスを得ることを可能とすることについての提案がある(特許文献3参照)。また、炭素で炭化ホウ素粉末の表面をコーティングすることで、緻密な炭化ホウ素セラミックスを得るとする提案もある(非特許文献1参照)。
さらに、より優れた特性を得る目的で、炭化ホウ素粉末原料に、高純度のアルミナを5質量%以下添加することにより常圧焼結法での緻密化を図る試み(非特許文献2参照)や、炭化ホウ素粉末原料中に、炭化タングステンを10質量%〜50質量%添加することにより、常圧焼結によって緻密な焼結体を製造したとする製造方法の報告(非特許文献3参照)がある。しかし、これらは、いずれの場合も、添加材料の添加量が多い領域でのみ、常圧焼結によって緻密な炭化ホウ素セラミックスの製造を可能としており、添加材料が炭化ホウ素セラミックスの特性に与える影響は大きいと考えられる。
特開昭57−156372号公報 特公昭58−030263号公報 米国特許第4,195,066号明細書 J.Mater.Res.,Vol.22,No.5,May 2007 J.Mater.Sci.Letter,7(1988)695−696 J.Mater.Sci.,27(1992)6335−6340
上記に挙げた緻密な炭化ホウ素セラミックスに関する従来技術では、下記のことをそれぞれ開示している。前記特許文献1には、炭化ホウ素の含有量60〜98質量%に対して、炭化ケイ素2〜40質量%、金属アルミニウム0〜10質量%とすることで、緻密な炭化ホウ素セラミックスを得たことが記載されている。また、前記特許文献2では、原料中に炭素を0.1〜8質量%を添加することで、緻密な炭化ホウ素セラミックスを得ることが可能であるとしている。さらに、前記特許文献3では、1,100〜1,400℃において水素/ヘリウム混合ガスをフローすることで、緻密な炭化ホウ素セラミックスが得られることを示している。さらに、前記非特許文献1には、炭化ホウ素粉末の表面に炭素をコーティングすることにより、少量の炭素添加で緻密な炭化ホウ素セラミックスを得ることが可能になる旨の記載がある。
しかしながら、特許文献1に記載されている炭化ホウ素セラミックスは、複合材料であるので、炭化ホウ素セラミックスが持つ本来の優れた特徴が阻害されるという問題がある。また、特許文献1以外の文献に記載されているセラミックスは、炭化ホウ素本来の特徴を有しているものの、原料粉末の段階で添加物が必要であったり、危険性の高いガスを使用することが必要であったりして、実用化するためには、工業上の解決すべき課題が多々ある。また、原料の炭化ホウ素が極めて脆い材料であることから、高靭化を図ることを要し、このことが、特許文献に記載のプロセスにおいては制約となる可能性が高い。さらに、非特許文献に記載されている炭化ホウ素セラミックスは、それぞれの添加量が多く、特許文献1〜3と同様に、得られる製品は、炭化ホウ素セラミックス本来の優れた特性を疎外するものであることが予想される。
したがって、本発明の目的は、炭化ホウ素セラミックスが本来有する極めて優れた機械的特性を損なうことなく、単純な形状のものは勿論、複雑な形状の緻密質炭化ホウ素セラミックス製品をも、原料中への多量の焼成助剤の添加や、特殊な添加物や特殊な処理を必要とすることなく、しかも、加圧せずに常圧で焼成できる経済的な製造技術を提供することにある。本発明における緻密質炭化ホウ素セラミックスとは、その相対密度が95%以上であるものを意味するが、実用上、好ましいものとしては、相対密度が96%以上であることが望まれる。
上記の目的は、下記の本発明によって達成される。即ち、本発明は、少なくとも少量のタングステンを含有してなる相対密度が95%以上の緻密質炭化ホウ素セラミックスであって、タングステンの含有量が0.2質量%以上7質量%以下、かつ、アルミニウムの含有量が0.03質量%未満である(但し、炭素を0.5〜5.0wt%を含む場合を除く)ことを特徴とする緻密質炭化ホウ素セラミックスである。
本発明の別の実施形態は、タングステンとアルミニウムの双方を含有してなる相対密度が95%以上の緻密質炭化ホウ素セラミックスであって、タングステンの含有量が0.1質量%以上7質量%以下、かつ、アルミニウムの含有量が0.03質量%以上1.0質量%以下である(但し、炭素を0.5〜5.0wt%を含む場合と、炭素共有状態で炭化物に転化した炭化タングステンを含む場合を除く)ことを特徴とする緻密質炭化ホウ素セラミックスである。
本発明の別の実施形態は、炭化ホウ素粉末原料にタングステンもしくはその化合物の粉末を添加して、タングステン量として換算した原料中におけるタングステンの含有量が0.2質量%以上7質量%以下、かつ、アルミニウムの含有量が0.03質量%未満の範囲に調整された混合粉末を得、得られた混合粉末を用いて成形した成形体を常圧で焼成して、相対密度が95%以上の緻密質炭化ホウ素セラミックス(但し、炭素を0.5〜5.0wt%を含む場合を除く)を得ることを特徴とする緻密質炭化ホウ素セラミックスの製造方法である。
本発明の別の実施形態は、炭化ホウ素粉末原料に、タングステンもしくはその化合物及びアルミニウムもしくはその化合物をそれぞれ添加して、タングステン量として換算した原料中におけるタングステンの含有量が0.1質量%以上7質量%以下、アルミニウムとして換算した原料中におけるアルミニウムの含有量が0.03質量%以上1.0質量%以下となるように調整された混合粉末を得、得られた混合粉末を用いて成形した成形体を常圧で焼成して、相対密度が95%以上の緻密質炭化ホウ素焼結体(但し、炭素共有状態で炭化物に転化した炭化タングステンを含む場合を除く)を得ることを特徴とする緻密質炭化ホウ素セラミックスの製造方法である。
本発明の別の実施形態は、炭化ホウ素粉末原料にタングステンもしくはその化合物の粉末を添加して、タングステン量として換算した原料中におけるタングステンの含有量が0.1質量%以上7質量%以下の範囲に調整された混合粉末を得、得られた混合粉末を用いて成形した成形体を、炉内に、アルミニウムを少なくとも含有してなる、粉末、成形体もしくは焼結体のいずれかを配置した状態で、常圧で焼成することにより、相対密度が95%以上の緻密質炭化ホウ素焼結体(但し、炭素共有状態で炭化物に転化した炭化タングステンを含む場合を除く)を得ることを特徴とする緻密質炭化ホウ素セラミックスの製造方法である。
本発明によれば、炭化ホウ素が本来有している、例えば、極めて高い硬度や軽量性特性が損なわれることがなく、極めて優れた特性を示す安価な緻密質炭化ホウ素セラミックスが提供される。また、本発明によれば、従来から行われてきた原料中への多量の焼結助剤の添加や、特殊な添加物を混合させることも、また、特殊な処理や、その後の加工を必要とすることもなく、常圧で焼成することで、極めて優れた特性を示し、さらに、単純な形状のものは勿論、複雑な形状の緻密質炭化ホウ素セラミックス製品をも、簡易にかつ安定的に得ることができる緻密質炭化ホウ素セラミックスの製造方法が提供される。本発明によれば、極めて優れた特性を示す緻密質炭化ホウ素セラミックス(以下、単に炭化ホウ素セラミックスとも言う)が、簡易にかつ安価に提供できるようになるため、有用な工業製品である炭化ホウ素セラミックスの利用拡大が期待される。また、本発明によれば、常圧焼結で培われてきた従来技術をそのまま適用できるので、材料の特性改善や他の材料との複合化等の観点で、さらなる相乗効果も期待でき、より多様な特性の炭化ホウ素セラミックスの開発が期待できる。
本発明の好ましい実施の形態を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。本発明者らは、これまで常圧焼結が困難といわれていた高純度の炭化ホウ素を、常圧下での焼結によって得ることを目的として検討実験を行ってきた。その結果、炭化ホウ素材料に特定量のタングステンを添加し、該タングステンが原材料中に少量存在する条件で焼成すれば、加圧することなく常圧で炭化ホウ素が緻密化することを知見して、本発明を完成するに至った。また、炭化ホウ素材料に、特定量のタングステンと特定量のアルミニウムとを添加し、これらの物質が原材料中に少量存在する条件で焼成することによっても、加圧することなく常圧で、炭化ホウ素が緻密化することを見出した。さらに、炭化ホウ素材料に特定量のタングステンを添加し、かつ、アルミニウムを炉内に存在させた条件で焼成することによっても、加圧することなく常圧で、炭化ホウ素が緻密化することを見出した。本発明者らの検討によれば、炭化ホウ素材料中にアルミニウムを添加させたり、或いは、炉内にアルミニウムを存在させた場合の方が、より緻密で、強靭なセラミックスが得られるので好ましい。本発明者らは、これらの技術によって常圧焼結で得られる本発明の炭化ホウ素セラミックスは、従来技術で得た炭化ホウ素セラミックスでは見られない特性を有することを確認した。
本発明者らは、上記した常圧焼結の技術によって緻密化された炭化ホウ素セラミックスは、相対密度が95%以上と非常に高く、軽量であり、高い硬度を示すものであることを確認した。さらに、本発明者らは、この炭化ホウ素セラミックスに関し、ミクロレベルでの性質について詳細な検討を行った。その結果、上記の技術によって緻密化された緻密質炭化ホウ素セラミックスでは、相対密度が95%以上の炭化ホウ素セラミックス内部に、少なくとも少量のタングステンが存在していることを見出した。さらにアルミニウムを存在させた系では、セラミックス内部に、少量のタングステンと極微量のアルミニウムとが存在していることを見出した。
具体的には、相対密度が95%以上の緻密質炭化ホウ素セラミックス中に、0.2質量%以上7.0質量%以下程度の少量のタングステンが含有され、かつ、アルミニウムは、0.03質量%未満と殆ど含有されていない状態にあることがわかった。さらに、該緻密質炭化ホウ素セラミックス中に、少量のタングステンとともに極微量のアルミニウムとが存在している場合も、同様の効果が得られることが分かった。より具体的には、炭化ホウ素セラミックス中に、0.1質量%以上7.0質量%以下程度の少量のタングステンと、0.03質量%以上1.0質量%以下程度の極微量のアルミニウムを含有してなる場合が挙げられる。そして、このような形態の緻密質炭化ホウ素セラミックスは、特殊な添加物を混合するなどの方法で作製された従来の炭化ホウ素セラミックスと比較し、極めて高い硬度や破壊靱性値、さらに軽量性等の特性を示し、その特性において明らかに優れたものであることを確認した。また、従来の製造設備や製造コストがかかるホットプレスやHIP焼結といった加圧焼結法で作製したものと比較して、その特性は、ほぼ同等であるといえるものであることを確認した。本発明者らのさらなる検討の結果、炭化ホウ素セラミックス中におけるタングステンの含有量が、0.3質量%〜3.0質量%程度、さらには、0.5質量%〜1.5質量%程度の微量である場合に、より安定して優れた特性を示すことを確認した。したがって、本発明では、成形体の材料を準備する場合に、炭化ホウ素粉体に添加する、タングステン、或いは、タングステンとアルミニウムの量を、成形体を焼結した後におけるこれらの量が、上記した範囲となるように調整することが好ましい。
上記した少量のタングステン、或いは、少量のタングステンと極微量のアルミニウム、を含有してなる本発明の緻密質炭化ホウ素セラミックス製品が、優れた特性を示す理由は定かではなく、詳細を明らかにするためには、さらなる検討が必要である。しかし、後述するように、これらの製品が、少量のタングステンを含有した炭化ホウ素粉末原料からなる成形体、或いは、少量のタングステンと極微量のアルミニウムを含有した炭化ホウ素粉末原料からなる成形体を、それぞれ加圧せずに常圧下で焼結した場合に、または、少量のタングステンを含有した炭化ホウ素粉末原料からなる成形体をアルミニウムが存在するガス雰囲気中において、加圧せずに常圧下で焼結した場合に、いずれも容易に得られることから、少なくとも下記のことが推論できる。すなわち、少量のタングステン、或いは少量のタングステンと極微量のアルミニウムが炭化ホウ素粒子同士の焼結に何らかの作用を及ぼし、これらのことが優れた特性の緻密質炭化ホウ素セラミックスが得られた原因の一つであると推論される。
上記の優れた特性を有する本発明の緻密質炭化ホウ素セラミックスは、下記の本発明の製造方法によって、簡便に、かつ、経済的に得ることができる。本発明の緻密質炭化ホウ素セラミックスの製造方法の特徴は、基本的には、炭化ホウ素材料中に、少なくとも少量のタングステンを含有させ、常圧にて焼成する構成としたことにある。また、炭化ホウ素材料中に、少量のタングステンとアルミニウムとを含有させた状態で、もしくは、炭化ホウ素材料中に少量のタングステンを含有させ、かつ、焼成中にガス状のアルミニウム化合物を存在させた状態で、常圧にて焼成する構成としたことにある。以下、これらの本発明の製造方法で使用する材料などについて説明する。
本発明の製造方法で用いる炭化ホウ素成形体を成形するための炭化ホウ素粉末材料としては、市販されている高純度のものであれば、いずれのものも使用することができる。例えば、平均粒径が0.2〜2.0μmのもの、さらには0.2〜1.0μmの範囲の粉末を使用することが好ましい。平均粒径がこの範囲よりも小さいものを用いた場合には、炭化ホウ素自身の室温酸化が急激に進み、一方、平均粒径がこの範囲よりも大きいと、成形体を加圧成形する場合における成形性が劣るとともに、本発明の製造方法であっても、より相対密度の高い、緻密化された炭化ホウ素セラミックスが得られにくくなる傾向がある。ここで平均粒径とは、遠心沈降やレーザー干渉により簡易に測定が可能である方法により得られた値を示している。そのため、粒子自体の形状が球状であったり柱状であることにより、異なった値を示す可能性も考えられる。上記で言う平均粒径が0.2〜2.0μmの炭化ホウ素粉末原料の意味するところは、厳密な粒度分布を有する原料を意味しているのではなく、従来より一般的なエンジニアリングセラミックスの製造に用いられている微細な炭化ホウ素の出発原料粉末のことである。このような微細な炭化ホウ素粉末を本発明の製造方法に用いれば、常圧で、良好な緻密質炭化ホウ素セラミックスを、より安定して得ることが可能になる。
次に、本発明の製造方法で、炭化ホウ素材料中に含有させて混合粉体とする場合に使用するタングステン及びアルミニウムの純度は、いずれも特に限定されないが、例えば、純度90%以上のもの、さらには、純度95%以上のタングステン及びアルミニウムを使用することが特に好ましい。これらを炭化ホウ素材料中に添加する場合は、炭化ホウ素粉末に機械的に混合すればよい。また、炭化ホウ素材料中に少量のタングステンを含有させ、かつ、焼成中にガス状のアルミニウム化合物を存在させる方法を実施する場合に使用する、アルミニウムを少なくとも含有してなる、粉末、成形体もしくは焼結体としては、下記のようなものが使用できる。アルミニウムを含有する粉末は、該金属を含む化合物であればいずれも良好な炭化ホウ素セラミックスを得ることは可能である。好ましくは、アルミニウムの金属、炭化物或いはホウ化物を用いることで、安定して緻密質炭化ホウ素セラミックスを得ることができる。
[実施例1及び比較例1]
原材料としての炭化ホウ素粉末(H.S.Starck社製)には、市販の平均粒径が0.8μmの、純度99.5質量%(酸素含有量1.2質量%、窒素含有量0.2質量%を除く)のものを使用した。この炭化ホウ素粉末材料中におけるアルミニウムの含有量は0.03質量%未満であり、アルミニウムが殆ど含有されていないことを確認した。また、この炭化ホウ素粉末に添加するタングステンには、平均粒径1.3μmの、純度99.0質量%の粉末を使用した。そして、まず、タングステン量として換算した原材料中におけるタングステンの含有量が0.2質量%〜10質量%となるように、炭化ホウ素とタングステンとを秤量した。次に、秤量した材料を、アセトン中でタングステンカーバイトの直径10mmを粉砕メディアとして用いることで混合を行った。このようにして粉体材料を混合した後、乾燥して、添加されたタングステン量が異なる複数の混合粉体を得た。このようにして得られたタングステン量が異なる割合で含有された炭化ホウ素粉末をそれぞれに用い、直径25mmの金型に充填し、1ton/cm2の加圧により、成形体をそれぞれ作製した。得られた各成形体をそれぞれ、2,235℃で、常圧で焼成して炭化ホウ素セラミックスを得た。また、タングステンを添加せずに上記の炭化ホウ素粉末だけで成形体を作製し、上記と同様にして炭化ホウ素セラミックスを得た。
このようにして得られた各炭化ホウ素セラミックスについて、相対密度を測定した。そして、図1に、成形体材料中におけるタングステンの量と、相対密度との関係を示した。図1に示したように、炭化ホウ素粉末材料にタングステンを添加することにより、相対密度が増加することが確認できた。また、その場合、3質量%程度のタングステンを添加した試料で最大値を示し、さらに添加量を増加することにより、相対密度は低下する傾向を示すことがわかった。図1の結果から、相対密度95%以上の、より緻密な炭化ホウ素セラミックスを得るためには、タングステン量として換算した原材料中におけるタングステンの含有量が0.2質量%以上7.0質量%以下となるように、タングステンを添加することが有効であることがわかった。
[実施例2及び比較例2]
実施例1及び比較例1で使用したと同様の炭化ホウ素粉末とタングステン粉末に加えて、アルミニウム粉末(和光純薬社製:純度99質量%)を用い、前記したと同様の方法で混合して成形体を作製するための混合粉末を得た。その際、タングステン量として換算した原材料中におけるタングステンの含有量が0.1質量%〜10質量%となるようにし、かつ、アルミニウムとして換算した原料中におけるアルミニウムの含有量が0.03質量%以上1.0質量%以下となるように調整して、複数種類の混合粉体を得た。この際、アルミニウムのみを添加してタングステンを添加しない混合粉体も調製した。このようにして得られたそれぞれの混合粉体を用い、焼成温度を2,225℃とした以外は実施例1及び比較例1で行ったと同様にして、それぞれ炭化ホウ素セラミックスを得た。そして、各炭化ホウ素セラミックスについて相対密度を測定し、得られた結果を図2に示した。
この結果、図2に示したように、アルミニウムの添加量を多くしていくと、炭化ホウ素セラミックスの相対密度が低下する傾向がみられた。それに対して、タングステンの含有量を0.1質量%以上7.0質量%以下の範囲内とした場合において、アルミニウムの添加を、アルミニウムとして換算した原料中におけるアルミニウムの含有量が0.03質量%以上1.0質量%以下の範囲内となるように調整すれば、タングステンの添加のみの場合に比較して、より相対密度が高い緻密な炭化ホウ素セラミックスが得られることを確認した。
[実施例3]
添加するタングステン材料として、粒径0.95μmの炭化タングステンを用いた以外は、実施例1で述べたと同様の方法で確認実験を行った。そして、タングステン換算で原材料中におけるタングステン量を比較したところ、実施例1の場合と同様の結果を示した。
[実施例4]
また、タングステンを2質量%含有する混合粉体を用いて得られた炭化ホウ素成形体を、炉内にアルミニウム粉末を配置した、アルミニウムガスが存在する雰囲気下で焼成を行って炭化ホウ素セラミックスを得た。得られた炭化ホウ素セラミックスについて相対密度と、セラミックス中のアルミニウム含有量を分析し、アルミニウム含有量と相対密度の関係を調べたところ、図2の結果とよい一致を示した。
[評価]
上記で得られたこれら炭化ホウ素セラミックスについて、焼結体強度及び破壊靱性値を調べたところ、いずれも、構造材料として高強度であり、高い破壊靭性値を示すものであった。例えば、タングステン含有量が2.0質量%、アルミニウム含有量が0.1質量%である混合粉体を用いて得た炭化ホウ素セラミックスの焼結体強度及び破壊靱性値は、525MPa、4.6MPa・m0.5であった。これらの値は、市販の加圧焼結品の焼結体強度及び破壊靱性値が、550MPa、3.7MPa・m0.5であったのと比較して、より優れた値を示していた。
本発明の活用例としては、本発明によれば、硬度や軽量性において極めて優れた特性を示す緻密質炭化ホウ素セラミックスが安価に提供できるため、有用な工業製品である炭化ホウ素セラミックスの利用拡大が図れ、これまで、高価であるが故に使用されなかった種々の用途への適用が可能になる。下記に述べるように、例えば、複雑な形状の炭化ホウ素セラミックス製品を得る場合に、特に有用である。従来の加圧焼結法では、加圧する関係上、焼成できる成形体は単純な形状のものに限られているため、複雑な形状の機械部品等を製造する場合は、単純な形状の炭化ホウ素セラミックスを得た後、高価なダイヤモンド工具等により機械加工を行っているが、常圧で焼成できれば複雑な形状の成形体であっても焼成が可能となるため、加工工程を省略でき、この点でも製造コストが削減される。このため、製品コストが高いことを理由に応用が果たせなかった分野での炭化ホウ素セラミックス製品の利用拡大が図れる。これと同時に、本発明によれば、常圧で焼成できるので、加圧焼結の設備面での制約から解放されることで、従来より蓄積され培われているセラミックス製造における様々な技術を本発明の実施品に応用することが可能となるので、例えば、材料面における相乗効果等も期待できる。
炭化ホウ素セラミックスの相対密度と、炭化ホウ素材料中におけるタングステン添加量との関係を表わすグラフである。 炭化ホウ素セラミックスの相対密度と、炭化ホウ素材料中におけるタングステン添加量及びアルミニウム添加量との関係を表わすグラフである。

Claims (3)

  1. 量のタングステンを含有し、かつ、アルミニウムを添加していない炭化ホウ素粉末材料を常圧で焼成してなる相対密度が95%以上の緻密質炭化ホウ素焼結体であって、その内部に0.2質量%以上7質量%以下の範囲でタングステンが存在し、かつ、アルミニウムの含有量が0.03質量%未満である(但し、炭素を0.5〜5.0wt%を含む場合を除く)ことを特徴とする緻密質炭化ホウ素焼結体。
  2. タングステンの含有量が0.3質量%以上3質量%以下である請求項1に記載の緻密質炭化ホウ素焼結体。
  3. 炭化ホウ素粉末原料にタングステンもしくはその化合物の粉末を添加して、タングステン量として換算した原料中におけるタングステンの含有量が0.2質量%以上7質量%以下に調整されており、かつ、アルミニウムの含有量が0.03質量%未満と殆ど含有されていない状態の混合粉末を得(但し、炭素を0.5〜5.0wt%を含む場合を除く)、得られた混合粉末を用いて成形した成形体を常圧で焼成して、相対密度が95%以上の緻密質炭化ホウ素焼結体を得ることを特徴とする緻密質炭化ホウ素焼結体の製造方法。
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