JP5420939B2 - エマルション樹脂組成物及びそれを用いた制振材配合物 - Google Patents
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Description
このため、エマルション樹脂組成物から放散されるホルムアルデヒドやアセトアルデヒドの低減が求められるところであった。
このような制振材の技術分野においては、乾燥前のエマルション樹脂組成物に含まれるアルデヒド類が充分に低減、除去されるようにしていたとしても、エマルション樹脂組成物を含む制振材配合物を厳しい高温条件下で加熱乾燥すると、乾燥工程や乾燥後の塗膜からアルデヒド類が放散することが判明した。これは、厳しい高温条件下での加熱によって、アルデヒド類が生じていることによるものと考えられる。このような高温条件下で加熱乾燥工程を行う場合に、従来より知られているアルデヒド類を低減する手段を用いたり、エマルション樹脂組成物に市販のアルデヒド類の捕捉剤を配合させたりしても、加熱乾燥工程において発生するアルデヒド類を充分に低減させることができない。
高温条件下での加熱乾燥工程時にアルデヒド類が発生する原因の1つとしては、エマルション樹脂が熱分解や空気中の酸素による酸化分解を受けて、アルデヒド類が発生することが挙げられる。しかし、例えば上記のように工業的な用途において制振材を形成する場合には、作業効率を考えて乾燥を短時間で行う必要があるため、通常では厳しい高温条件下で加熱乾燥を行うことが必要となり、このような条件下においてもアルデヒド類を充分に低減、除去することができる技術が求められるところであった。
すなわち、エマルション樹脂組成物を用いて制振材を形成する場合等の、エマルション樹脂組成物を高温条件下で加熱乾燥させる場合においても、その乾燥前から乾燥後に至るまでアルデヒド類の放散が低減されたエマルション樹脂組成物が求められている。
このように、特定のアミン化合物を特定量配合したエマルション樹脂組成物を用いて制振材を形成する場合に、アルデヒド類の放散低減において際立って優れた効果を発揮することを見出すとともに、このようなアミン化合物として水溶性のものを用いると、近年、環境問題への配慮から使用が増えている水系のエマルション樹脂組成物にも好適に用いることができることを見出し、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
以下に本発明を詳述する。
後述するとおり、上記製造方法においてはまた、合成されたエマルション樹脂は中和剤により中和することにより増粘させることが好ましいが、アミン化合物をエマルション樹脂合成後の中和剤としても用いることが可能である。したがって本発明は、本発明において用いられるアミン化合物を中和剤及びアルデヒド類の捕捉剤として添加する形態であってもよく、エマルション樹脂合成後の中和を本発明においてアルデヒド類の捕捉剤として用いられるアミン化合物とは異なる化合物を用いて行い、それとは別にアルデヒド類の捕捉剤としてアミン化合物を添加する形態であってもよい。これらの形態においては、エマルション樹脂組成物に添加する本発明におけるアミン化合物の添加量が異なってくる場合がある。いずれの場合にしても、上記添加量の範囲においては、エマルション樹脂組成物を含む制振材配合物を高温条件下で乾燥させた後の塗膜からのアルデヒド類の放散を低減することができ、本発明の効果が表れることになる。
また、アルデヒド類の放散量は、社団法人自動車技術会が定めた、JASO M 902「自動車部品−内装材−揮発性有機化合物(VOC)放散測定方法」に準じて測定することができる。
これらの中でも、本発明におけるアミン化合物としては、第1級アミン基を必須として含むものであることが好ましい。第1級アミン基を必須として含むアミン化合物を用いると、最も反応性が高い為、より優れたアルデヒド類捕捉能が発揮されることになる。
上記アミン化合物がアルデヒド類捕捉能を発揮する場合、アミン化合物に含まれるアミン基とアルデヒド類とが接触した結果アルデヒド類が化学的に固定化され捕捉されることになるため、アミン化合物のアミン基とアルデヒド類との接触機会は多ければ多いほどアルデヒド類はより捕捉されることとなる。よって、それらの接触効率という観点から、本発明に用いられるアミン化合物の分子量は、40〜150であることが好ましい。アミン化合物の分子量が40〜150である場合、アミン化合物が樹脂組成物中及び乾燥後の塗膜中において、より局在せずに存在することが可能となり、アルデヒド類との接触効率を高くすることができる。より好ましくは、60〜140であり、更に好ましくは、80〜120である。
上記エマルション樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が、−20〜30℃であることが好ましい。これにより、このようなエマルション樹脂を含むエマルション樹脂組成物を用いて制振材を形成した場合に、その制振材が幅広い温度領域下でより高い制振性を発現させることが可能となる。また、制振材塗膜の外観もワレや凸凹が見られない外観となる。より好ましくは、−10〜20℃である。更に好ましくは、−5〜10℃である。
なお、エマルション樹脂のガラス転移温度は、既に得られている知見に基づいて決定されてもよいし、エマルションの単量体成分の種類や使用割合によって制御されてもよいが、理論上は、以下の計算式により算出され得る。
なお、重量平均分子量は、例えば、以下の測定条件下で、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定により求めることができる。
測定機器:HLC−8120GPC(商品名、東ソー社製)
分子量カラム:TSK−GEL GMHXL−Lと、TSK−GELG5000HXL(いずれも東ソー社製)とを直列に接続して使用
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
検量線用標準物質:ポリスチレン(東ソー社製)
測定方法:測定対象物を固形分が約0.2質量%となるようにTHFに溶解し、フィルターにてろ過した物を測定サンプルとして分子量を測定する。
上記エマルション樹脂中の不揮発分、すなわち、エマルション樹脂中のエマルションの含有割合としては、エマルション樹脂の総量100質量%に対し、30質量%以上、70質量%以下であることが好適である。70質量%を超えると、エマルション樹脂の粘度が高くなり過ぎて充分な分散安定性を保持することができないおそれがあり、凝集するおそれがある。30質量%未満であると、このようなエマルション樹脂を含むエマルション樹脂組成物を用いて制振材を形成した場合に、その制振材は充分な制振性を発揮しないおそれがある。より好ましくは50質量%以上、65質量%以下である。
なお、平均粒子径は、例えば、エマルションを蒸留水で希釈し充分に攪拌混合した後、ガラスセルに約10ml採取し、これを動的光散法による粒度分布測定器(Particle Sizing Systems社製「NICOM P Model 380」)で測定することにより求めることができる。
pHは、pHメーター(堀場製作所社製「F−23」)等により測定することができる。
なお、粘度は、BM型回転粘度計を用いて、ローター2又は3、25℃、20rpmの条件下で測定することができる。
また、これらのノニオンタイプに相当する乳化剤も使用することができる。
スルホコハク酸塩型反応性アニオン系乳化剤の市販品としては、ラテムルS−120、S−120A、S−180及びS−180A(いずれも商品名、花王社製)、エレミノールJS−2(商品名、三洋化成社製)、アデカリアソープSR−10、SR−20、SR−30(ADEKA社製)等が挙げられる。
アルケニルコハク酸塩型反応性アニオン系乳化剤の市販品としては、ラテムルASK(商品名、花王社製)等が挙げられる。
更に、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンスルフォネート塩(例えば、三洋化成工業社製「エレミノールRS−30」、日本乳化剤社製「アントックスMS−60」等)、アリルオキシメチルアルキルオキシポリオキシエチレンのスルフォネー卜塩(例えば、第一工業製薬社製「アクアロンKH−05」、「アクアロンKH−10」等)等のアリル基を有する硫酸エステル(塩)、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸アンモニウム(例えば、花王社製「ラテムルPD−104」等)等も用いることができる。
上記保護コロイドの使用量としては、使用条件等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、エマルションを形成するのに用いられる単量体成分の総量100重量部に対して、5重量部以下であることが好ましく、より好ましくは3重量部以下である。
これらの構造の中でも、エマルションの特性を充分に引き出し、安定なエマルションを作製するためには、コア・シェル複合構造であることが好ましい。
なお、上記コア・シェル複合構造においては、コア部の表面がシェル部によって被覆された形態であることが好ましい。この場合、コア部の表面は、シェル部によって完全に被覆されていることが好適であるが、完全に被覆されていなくてもよく、例えば、網目状に被覆されている形態や、所々においてコア部が露出している形態であってもよい。
上記Tgが高いエマルションとしては、Tgが0℃以上、また、50℃以下のものが好適である。より好ましくは、Tgが0℃以上、また、30℃以下である。また、上記Tgが低いエマルションとしては、Tgが−50℃以上、また、10℃以下のものが好適である。より好ましくは、Tgが−20℃以上、また、0℃以下である。
このようにTgに差を設けることにより、本発明のエマルション樹脂組成物を用いて制振材を形成した場合に、その制振材が幅広い温度領域下でより高い制振性を発現することが可能となり、特に実用的範囲である20〜60℃域での制振性が格段に向上することとなる。なお、3種以上のエマルションを用いる場合には、このうちの少なくとも2種のエマルションがTgの異なるものであればよく、残りの1種以上については、当該2種のエマルションのいずれかとTgが同じものであってもよい。
なお、本発明におけるエマルションがコア部とシェル部とを有するエマルション粒子である場合、不飽和カルボン酸単量体及び不飽和カルボン酸単量体と共重合可能な他の単量体は、エマルションのコア部を形成する単量体成分、シェル部を形成する単量体成分のいずれに含まれていてもよく、これらの両方に用いられるものであってもよい。
これらの中でも、(メタ)アクリル酸がより好ましい。
なお上記質量割合は、全単量体成分100質量%に対する質量割合である。
本発明におけるエマルション樹脂では、これらの単量体から形成される単量体単位の相乗効果により、水系制振材において優れた加熱乾燥性と制振性とをより充分に発揮することが可能となる。
なお上記質量割合は、全単量体成分100質量%に対する質量割合である。
また、上記他の共重合可能なエチレン系不飽和単量体のうち、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−i−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等のアミド化合物の単量体成分中における含有割合は、全単量体成分100質量%に対して、40質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、20質量%以下である。
その他の成分としては、成膜助剤、防腐剤、消泡剤等が挙げられる。
乳化剤としては、上述したように、反応性乳化剤及び/又は特定の構造を有するアニオン性乳化剤を用いることが好ましいが、それら以外の乳化重合に通常使用されるアニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、高分子界面活性剤等の1種又は2種以上を使用することができる。
なお、上記コア部とシェル部とを有するエマルション粒子を製造する場合、コア部を形成し、その後、シェル部を形成する単量体成分を加えてシェル部を形成する方法が好ましい。
上記保護コロイドの使用量としては、使用条件等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、エマルションを形成するのに用いられる単量体成分の総量100重量部に対して、5重量部以下であることが好ましく、より好ましくは3重量部以下である。
上記重合開始剤の使用量としては特に限定されず、重合開始剤の種類等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、エマルションを形成するのに用いられる単量体成分の総量100重量部に対して、0.1〜2重量部であることが好ましく、より好ましくは、0.2〜1重量部である。
上記還元剤の使用量としては特に限定されず、例えば、エマルションを形成するのに用いられる単量体成分の総量100重量部に対して、0.05〜1重量部であることが好ましい。
また単量体成分や重合開始剤等の添加方法としては特に限定されず、例えば、一括添加法、連続添加法、多段添加法等の方法を適用することができる。また、これらの添加方法を適宜組み合わせてもよい。
上記制振材配合物としては、例えば、制振材配合物の総量100質量%に対し、固形分を50〜90質量%含有してなることが好ましい。より好ましくは、60〜90質量%であり、更に好ましくは、70〜90質量%である。また、制振材配合物のpHは、7〜11とすることが好ましい。より好ましくは、7〜9である。
上記制振材配合物におけるエマルション樹脂の配合量としては、例えば、制振材配合物の固形分100質量%に対し、エマルション樹脂の固形分が10〜60質量%となるように設定することが好ましい。より好ましくは、15〜55質量%である。
上記損失係数の測定方法としては、共周波数付近で測定する共振法が一般的であり、半値幅法、減衰率法、機械インピーダンス法がある。本発明の制振材配合物においては、制振材配合物から形成される被膜の損失係数として、次のように測定することが好適である。すなわち、制振材配合物を冷間圧延鋼板(SPCC・15mm幅×250mm長さ×1.5mm厚み)上に面密度4.0kg/m2の被膜で形成し、片持ち梁法(株式会社小野測機製損失係数測定システム)を用いた共振法(3dB法)により測定することができる。
顔料の配合量としては、本発明におけるエマルション樹脂の固形分100重量部に対し、50〜700重量部とすることが好ましい。より好ましくは、100〜550重量部である。
上記発泡剤の配合量としては、本発明におけるエマルション樹脂の固形分100重量部に対し、0.5〜5.0重量部とすることが好ましい。より好ましくは、1.0〜3.0重量部である。
なお、上記他の成分は、例えば、バタフライミキサー、プラネタリーミキサー、スパイラルミキサー、ニーダー、ディゾルバー等等を用いて、上記エマルション樹脂等と混合され得る。
上記充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、カオリン、シリカ、タルク、硫酸バリウム、アルミナ、酸化鉄、酸化チタン、ガラストーク、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、タルク、珪藻土、クレー等の無機質の充填剤;ガラスフレーク、マイカ等の鱗片状無機質充填剤;金属酸化物ウィスカー、ガラス繊維等の繊維状無機質充填剤等が挙げられる。無機質充填剤の配合量としては、本発明におけるエマルション樹脂の固形分100重量部に対し、50〜700重量部とすることが好ましい。より好ましくは、100〜550重量部である。
上記分散剤としては、例えば、ヘキサメタリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム等の無機質分散剤及びポリカルボン酸系分散剤等の有機質分散剤が挙げられる。
上記消泡剤としては、例えば、シリコン系消泡剤等が挙げられる。
上記多価金属化合物の形態は特に限定されず、例えば、粉体、水分散体や乳化分散体等であってよい。中でも、制振材配合物中への分散性が向上することから、水分散体又は乳化分散体の形態で使用することが好ましく、より好ましくは乳化分散体の形態で使用することである。また、多価金属化合物の使用量は、制振材配合物中の固形分100重量部に対して、0.05〜5.0重量部とすることが好ましい。より好ましくは0.05〜3.5重量部である。
上記制振材配合物の塗布量は、用途や所望する性能等により適宜設定すればよいが、乾燥時の塗膜の膜厚が、0.5〜8.0mmとなるようにすることが好ましい。より好ましくは、3.0〜6.0mmである。
また、乾燥時(後)の塗膜の面密度が1.0〜7.0kg/m2となるように塗布することも好ましい。より好ましくは、2.0〜6.0kg/m2である。なお、本発明の制振材配合物を使用することにより、乾燥時に膨張やクラックが生じにくく、しかも傾斜面の塗料のずり落ちも発生しにくい塗膜を得ることが可能となる。
<Tg>
各段で用いた単量体組成から、上述したFoxの式を用いて算出した。なお、全ての段で用いた単量体組成から算出したTgを「トータルTg」として記載した。
Foxの式により重合性単量体成分のガラス転移温度(Tg)を算出するのに使用したそれぞれのホモポリマーのTg値を下記に示した。
スチレン(St):100℃
メチルメタクリレート(MMA):105℃
2−エチルヘキシルアクリレート(2EHA):−70℃
アクリル酸(AA):95℃
メタクリル酸(MAA):130℃
n−ブチルメタクリレート(n−BMA):20℃
ブチルアクリレート(BA):−56℃
以下の測定条件下で、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定により求めた。
測定機器:HLC−8120GPC(商品名、東ソー社製)
分子量カラム:TSK−GEL GMHXL−Lと、TSK−GELG5000HXL(いずれも東ソー社製)とを直列に接続して使用
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
検量線用標準物質:ポリスチレン(東ソー社製)
測定方法:測定対象物を固形分が約0.2質量%となるようにTHFに溶解し、フィルターにてろ過した物を測定サンプルとして分子量を測定した。
<アルデヒド類の発生量>
本発明におけるエマルション樹脂組成物を高温条件下で乾燥したものを試験片とし、10Lテドラーバック法によりアルデヒド類を採取し、液体クロマトグラフィによって、以下の装置及び測定条件で測定し、定量した。
装置:日立ハイテク製高速液体クロマトグラフ
測定条件:溶媒 アセトニトリル/水=5/5
カラム CAPCELL PAK C18 MGII(資生堂製)
溶離液流量 1ml/分
カラム温度 40℃
試料注入量 0.1μl
検出波長 360nm
<アルデヒド類の発生量評価基準>
ホルムアルデヒド
○:0.08ppm未満
△:0.08ppm以上0.1ppm未満
×:0.1ppm以上
アセトアルデヒド
○:0.03ppm未満
△:0.03ppm以上0.05ppm未満
×:0.05ppm以上
鋼板(商品名SPCC−SD 75mm幅×150mm長さ×0.8mm厚み:日本テストパネル社製)の上に、作製した制振材配合物を配合物の塗布厚みが3mmになるように塗布した。その後、熱風乾燥機を用いて、150℃で30分間乾燥し、得られた乾燥塗膜の表面状態を目視観察した。
評価基準
○:ワレ、凸凹の異常なし
△:わずかにワレ、凸凹あり
×:ワレ、凸凹多数
作製した制振材配合物を冷間圧延鋼板(SPCC・15mm幅×250mm長さ×1.5mm厚み)上に3mmの厚みで塗布して150℃で30分間乾燥し、冷間圧延鋼板上に面密度4.0kg/m2の制振材被膜を形成した。制振性の測定は、片持ち梁法(株式会社小野測機製損失係数測定システム)をもちいて、それぞれの温度(20℃〜60℃)における損失係数を共振法(3dB法)により測定した。
攪拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けた重合器に脱イオン水300部を仕込んだ。その後、窒素ガス気流下で攪拌しながら内温を75℃まで昇温した。一方、上記滴下ロートにスチレン200部、メチルメタクリレート105部、2−エチルへキシルアクリレート190部、アクリル酸5部、t−ドデシルメルカプタン0.4部、予め20%水溶液に調整したレベノールWZ(商品名、花王社製)90.0部及び脱イオン水97部からなる第1段目の単量体乳化物を仕込んだ。
次に、重合器の内温を80℃に維持しながら、上記単量体乳化物のうちの8部、5%過硫酸カリウム水溶液5部及び2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液10部を添加し、初期重合を開始した。20分後、反応系内を80℃に維持したまま、残りの単量体乳化物を120分にわたって均一に滴下した。
同時に5%過硫酸カリウム水溶液50部及び2%亜流酸水素ナトリウム水溶液50部を120分かけて均一に滴下し、滴下終了後60分同温度を維持した。次に、滴下ロートにスチレン105部、メチルメタクリレート100部、ブチルアクリレート290部、アクリル酸5部、t−ドデシルメルカプタン0.4部、予め20%水溶液に調整したレベノールWZ90.0部及び脱イオン水97部からなる第2段目の単量体乳化物を仕込み、120分にわたって均一に滴下した。同時に5%過硫酸カリウム水溶液50部及び2%亜硫酸水素ナトリウム水溶液50部を120分かけて均一に流下し、滴下終了後90分同温度を維持し、重合を終了した。得られた反応液を室温まで冷却後、ジグリコールアミン13部を添加し、不揮発分55%、pH8.0、粘度420mPa・s、粒子径230nm、粒度分布22%、重量平均分子量170000、1段目のTg10℃、2段目のTg−10℃、トータルTg0℃のエマルション樹脂組成物を得た。
表1で示した組成以外は、実施例1と同様の操作で実施例2、参考例3〜8および比較例1〜4のエマルション樹脂組成物を得た。
エマルション樹脂組成物 359部
炭酸カルシウム NN#200*1 620部
分散剤アクアリックDL−40S*2 6部
増粘剤アクリセットWR−650*3 4部
消泡剤 ノプコ8034L*4 1部
発泡剤 F−30*5 6部
* 1:日東粉化工業株式会社製 充填剤
* 2:株式会社日本触媒製 特殊ポリカルボン酸型分散剤(有効成分44%)
* 3:株式会社日本触媒製 アルカリ可溶性のアクリル系増粘剤(有効成分30%)
* 4:サンノプコ株式会社製 消泡剤(主成分:疎水性シリコーン+鉱物油)
* 5:松本油脂社製 発泡剤
ジグリコールアミン:1級アミン、沸点 221℃、分子量 105
N−(β−アミノエチル)エタノールアミン:1、2級アミン、沸点 244℃、分子量 104
2−ヒドロキシエチルピペリジン:2級アミン、沸点 246℃、分子量 130
モノエタノールアミン:1級アミン、沸点 171℃、分子量 61
3−エトキシプロピルアミン:1級アミン、沸点 135℃、分子量 103
トリエタノールアミン:3級アミン、沸点 360℃、分子量 149
また、ホルムアルデヒドの放散もアセトアルデヒドの放散もよく低減させることができることから、第1級及び/又は第2級アミン基を必須とするアミン化合物の中でも、ジグリコールアミン、N−(β−アミノエチル)エタノールアミンがより好ましいことがわかった(実施例1、2、参考例3、4)。この実施例、参考例と比較例とのアルデヒド類の放散低減の度合いの差は、数値上はわずかであるが、これらの人体への影響等を考慮すると、その効果は際立っていると評価できるものである。
アミン化合物がアルデヒド類と反応して、アルデヒド類を捕捉することで、アルデヒド類の放散を抑制するという作用機構は、エマルション樹脂に添加されるアミン化合物において全て同様であることから、上記実施例、参考例、比較例の結果から、本明細書において開示した種々の形態において本発明が適用でき、有利な作用効果を発揮することができるといえる。
Claims (4)
- エマルション樹脂に、アミン化合物が添加されたエマルション樹脂組成物であって、
該アミン化合物は、沸点が190℃以上で水溶性の第1級アミン基を必須とし、分子量が40〜150である、N−(β−アミノエチル)エタノールアミン、ジグリコールアミン、又は、2−(2−アミノエチルアミノ)イソプロパノールであり、その添加量が、エマルション樹脂の固形分100質量%に対して、0.5〜5質量%であり、
該エマルション樹脂は、全単量体成分100質量%中0.2〜5質量%の酸性基を含み、ガラス転移温度が−20〜30℃であり、重量平均分子量が20000〜400000であることを特徴とする加熱乾燥用エマルション樹脂組成物。 - 前記酸性基は、カルボキシル基であることを特徴とする請求項1に記載の加熱乾燥用エマルション樹脂組成物。
- 前記エマルション樹脂組成物は、制振材用であることを特徴とする請求項1又は2に記載の加熱乾燥用エマルション樹脂組成物。
- 請求項3に記載の加熱乾燥用エマルション樹脂組成物、顔料、発泡剤及び増粘剤を必須成分として含むことを特徴とする制振材配合物。
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