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JP5419737B2 - 嵌合型端子用錫めっき付き銅合金板材及びその製造方法 - Google Patents

嵌合型端子用錫めっき付き銅合金板材及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、低摩擦係数で嵌合型接続端子用として適する錫めっき付き銅合金板材、及びその製造方法に関する。
従来より、雄端子と雌端子の嵌合によって電気的接触を得る車載用等の嵌合型端子として、錫めっき付き銅合金板材を打抜き加工して端子に成形したものが汎用的に用いられている。
錫めっき付き銅合金板材で成形した嵌合型端子では、雄端子と雌端子を嵌合する際、錫同士の凝着が起こり、それをせん断する抵抗が非常に高いため、特に多極化した場合に挿入力が大きくなる。また、嵌合した接点部が熱膨張、振動によってずれた際に、表面の錫が削られ、酸化摩耗粉が接点部に堆積し、接触抵抗値を増大するといった微摺動摩耗現象が生じる。近年、特に車載用の嵌合型端子に対して、挿入力低減及び微摺動摩耗現象の低減の要求が強くなっている。
特許文献1には、銅合金板材の表面にCuめっき及びSnめっきを行った後、リフロー処理を施して、CuめっきとSnめっきからCu−Sn合金層を形成し、Cu−Sn合金被覆層及びSn被覆層からなる表面めっき層を形成することが記載されている。
特許文献2〜4には、銅合金板材の表面にNiめっき、Cuめっき及びSnめっきを行った後、リフロー処理を施して、CuめっきとSnめっきからCu−Sn合金層を形成し、Ni被覆層、Cu−Sn合金被覆層及びSn被覆層からなる表面めっき層を形成することが記載され、このうち特許文献3,4には、Ni被覆層とCu−Sn合金被覆層の間にCu被覆層を残留させて、4層からなる表面めっき層を形成することも記載されている。
しかし、これらの技術において嵌合型端子の挿入力の一層の低減を図ろうとすると、最表面のSn被覆層を薄くして錫同士の凝着を極力少なくする必要があり、接触抵抗の経時変化の低減との両立が困難となる。また、特許文献1〜4では、微摺動摩耗現象による接触抵抗の増大は考慮されていない。
特許文献5〜7は、特許文献1〜4と同様に、銅合金板材の表面にCuめっき及びSnめっきを行った後、又はNiめっき、Cuめっき及びSnめっきを行った後、リフロー処理を施して、Cu−Sn合金被覆層及びSn被覆層からなる表面めっき層、又はNi被覆層、Cu−Sn合金被覆層及びSn被覆層からなる表面めっき層を形成するのであるが、意図的に表面を粗面化した銅合金板材を用い、部分的に(粗さ曲線の山頂部で)Cu−Sn合金被覆層が表面に露出するか、Sn被覆層の厚さが極めて薄くなるようにし、これにより嵌合型端子の挿入力低減を可能とした錫めっき付き銅合金板材が提案されている。また、特許文献5〜7には、Cu−Sn合金被覆層及びSn被覆層からなる表面めっき層の場合、銅合金板材とCu−Sn合金層の間に、Ni被覆層、Cu−Sn合金被覆層及びSn被覆層からなる表面めっき層の場合、Ni被覆層とCu−Sn合金被覆層の間に、それぞれCu被覆層を残留させてもよいことが記載されている。特許文献5,6には、微摺動摩耗現象を抑えて低接触抵抗を維持できることも記載されている。
特許文献5〜7の技術によれば、嵌合型端子の挿入力低減と接触抵抗の経時変化の低減を両立させることができるが、接圧が大きい端子に対しては低挿入力効果が小さくなる。
一方、銅合金板材の表面に炭素粒子が分散したSnめっき層を形成することにより、嵌合型端子の挿入力低減、及び接触抵抗の経時変化低減を可能とした錫めっき付き銅合金板材が提案されている(特許文献8参照)。しかし、この板材を製造するには、黒鉛粒子を分散させた特殊なSnめっき浴が必要であり、黒鉛粒子が均一かつ所定量分散したSnめっき層を形成するための浴管理が困難で、また、これがコストアップにつながる。加えて、炭素粒子はSnめっき層中に存在し、表面に露出する炭素粒子は一部に過ぎないので、挿入力の低減効果として不充分である。
また、錫めっき浴中の光沢剤濃度を調製し、銅合金板材の表面にCを含有させたSn又はSn合金めっき層を形成することにより、摩擦係数を低減させた多極端子用錫又は錫合金めっき銅合金板材が提案されている(特許文献9参照)。しかし、この板材でも挿入力の低減効果は不充分であり、また、リフロー処理を施していないためウィスカによる短絡が懸念される。
特開平10−60666号公報 特開2004−68026号公報 特開2002−226982号公報 特開平11−135226号公報 特開2007−258156号公報 特開2006−183068号公報 特開2006−77307号公報 特開2006−97062号公報 特許第2971035号公報
本発明は、接圧の大小に関わらず、コネクタに使用される端子の嵌合時の摩擦係数、挿入力を低減できるだけでなく、電気的信頼性も高い(接触抵抗の経時変化が少ない)、嵌合型端子用錫めっき付き銅合金板材を提供することを目的とする。
本発明に係る嵌合型端子用錫めっき付き銅又は銅合金板材は、銅又は銅合金板材の表面に、Ni被覆層、Cu−Sn合金被覆層及びSn被覆層からなる表面めっき層がこの順に形成され、前記Ni被覆層は平均厚さが0.1〜1.0μm、Cu−Sn合金被覆層は表面露出面積率が10〜75%で、平均厚さが0.1〜1.0μm、前記Sn被覆層はリフロー処理されたもので、平均厚さが0.2〜1.5μmであり、前記表面めっき層の表面に黒鉛粒子が分散して付着し、前記黒鉛粒子が前記表面めっき層表面を面積比率30%以下で被い、かつ前記黒鉛粒子のうち粒径2μm以上の黒鉛粒子の平均粒径が3〜30μmで、前記表面めっき層表面を面積比率3%以上で被い、粒径2μm以上の黒鉛粒子のうち粒径10μm以上の粒子の個数の割合が3%以上であることを特徴とする。上記表面めっき層が形成された領域は、板材の片面又は両面全体に及んでいてもよいし、片面又は両面の一部のみを占めているのでもよい。
上記錫めっき付き銅又は銅合金板材において、Ni被覆層とCu−Sn合金被覆層の間に、さらに平均厚さ0.5μm以下のCu被覆層が形成されていてもよい。
また、銅又は銅合金板材(めっき基材)の表面は、表面粗さが最も大きく表れる方向の算術平均粗さRaが0.15〜1.0μmであることが望ましい。
本発明において、Ni被覆層、Cu被覆層及びSn被覆層は、それぞれNi、Cu、Sn金属のほか、Ni合金、Cu合金及びSn合金を含む。
前記嵌合型端子用錫めっき付き銅又は銅合金板材は、銅又は銅合金板材の表面に、Niめっき層、Cuめっき層及びSnめっき層をこの順に形成し、Snめっき層の表面に黒鉛粒子を付着させ、次いでリフロー処理を行うことにより製造される。前記Cu−Sn合金被覆層は、リフロー処理により、Cuめっき層とSnめっき層のCuとSnが相互拡散して形成されるが、その際に当初のCuめっき層が全て消滅する場合と、一部が残留する場合(この場合に前記Cu被覆層が形成される)がある。
本発明において、Niめっき層、Cuめっき層及びSnめっき層は、それぞれNi、Cu、Sn金属のほか、Ni合金、Cu合金及びSn合金を含む。
なお、本明細書において、リフロー処理後の表面めっき層を構成する各層について「被覆層」と表現し、リフロー処理前の表面めっき層を構成する各層について「めっき層」と表現している。
本発明に係る錫めっき付き銅又は銅合金板材は、Cu−Sn合金被覆層が所定の割合で表面に露出していることにより、Sn層が表面全体を覆う一般的な錫めっき付き銅又は銅合金板材に比べ、摩擦係数を小さく、挿入力を低減することができ、また、主として低接圧において微摺動摩耗現象による電気的信頼性の低下を防止することができる(特許文献5〜7参照)。
そして、本発明によれば、このような錫めっき付き銅又は銅合金板材の摩擦係数をさらに大きく低下させ、特に接圧力を高めたときに問題となる嵌合型端子の挿入力を大きく低減することができる。より具体的にいえば、小型の極数の多い端子において、接点の電気的信頼性を向上させるために接圧力を高くしても、摩擦係数を小さく、挿入力を低減することができ、大型の極数の少ない端子においても、接圧力が高くても挿入力を低減することができる。しかもそれを黒鉛粒子を表面めっき層に付着させるという簡単で安価な手段で実現できる。
なお、本発明に係る錫めっき付き銅又は銅合金板材において、Sn被覆層表面に付着した黒鉛粒子により、錫めっき付き銅合金板材の電気的信頼性が低下することはない。
黒鉛粒子を付着させた後リフロー処理した錫めっき付き銅合金板材の表面の実体顕微鏡組織写真である。 リフロー処理した後黒鉛粒子を付着させた錫めっき付き銅合金板材(上段)及び黒鉛粒子を付着させた後リフロー処理した錫めっき付き銅合金板材(下段)の表面をを比較して示す組織写真である。 リフロー処理した後黒鉛粒子を付着させた錫めっき付き銅合金板材(上段)及び黒鉛粒子を付着させた後リフロー処理した錫めっき付き銅合金板材(下段)の表面を比較して示す実体顕微鏡写真である。
以下、本発明に係る錫めっき付き銅合金板材及びその製造方法についてより具体的に説明する。なお、銅又は銅合金板材(めっき基材)及び表面めっき層(Ni被覆層、Cu−Sn合金被覆層、Sn被覆層、Cu被覆層)については、それ自体、公知の技術(特に特許文献5〜7参照)に属する。
(銅又は銅合金板材)
銅又は銅合金板材(めっき基材)は、端子に成形して使用することができるものであれば、どのような組成、特性のものを用いても良い。例えば、黄銅、りん青銅、Cu−Ni−Si系合金、Cu−Fe−P系合金、Cu−Ni−Sn−P系合金等を用いることができる。板厚は端子の用途、板材の導電率、機械的性質などに合わせて決めれば良いが、0.1〜2.0mm程度が一般に適当である。
(Ni被覆層)
表面めっき層のうちNi被覆層は、めっき基材である銅又は銅合金板材とCu−Sn合金被覆層の中間層として形成されている場合に、Cu−Sn合金被覆層及びSn被覆層への銅又は銅合金板材からのCuの拡散を防止するために施される。また、Ni被覆層は、銅合金板材中の合金元素の拡散による半田濡れ性劣化を抑制する効果もある。Cu−Sn合金被覆層とNi被覆層の拡散防止効果の相違については、Cu−Sn合金被覆層と比較してNi被覆層はより高温環境下を想定した場合でも、拡散防止効果を発揮する。このNi被覆層の平均厚さが0.1μm未満では、拡散防止効果が不充分であり、CuがSn被覆層の表層まで拡散して酸化物を形成し、変色と共に接触抵抗が高くなり、電気的信頼性がかえって低下する。一方、1.0μmを超えると曲げ加工で割れが発生するなど、端子への成形加工性が低下する。従って、Ni被覆層の平均厚さは0.1〜1.0μmとする。好ましくは0.1〜0.5μmである。Ni被覆層は純Niのみでなく、Cu、Ag、Sn、Co、P、B等の群より選んだ1種以上の元素を1〜10質量%程度含むNi合金を含む。
(Cu−Sn合金被覆層)
表面めっき層のうちCu−Sn合金被覆層は、Sn被覆層へのNiの拡散を防止する。Cu−Sn合金被覆層の平均厚さが0.1μm未満では拡散防止効果が不充分であり、CuがSn被覆層の表層まで拡散して酸化物を形成し、変色と共に接触抵抗が高くなり電気信頼性が低下する。一方、平均厚さが1.0μmを超えると曲げ加工で割れが発生するなど、端子への成形加工性が低下する。従って、Cu−Sn合金被覆層の平均厚さは0.1〜1.0μmとする。好ましくは0.1〜0.5μmである。
Cu−Sn合金被覆層は、Cu含有量が20〜70at%のCuSn相を主体とする金属間化合物からなる。好ましくは45〜65at%である。CuSn相はSn又はSn合金に比べて非常に硬く、それを材料の表面に形成させると、端子嵌合の際にSn被覆層同士で生じる凝着によるせん断抵抗を低くすることができ、摩擦係数を低くすることができる。一方、CuSn相はCuSn相よりもさらに硬いが、Cu含有量が多いために、材料表面に形成させると、加熱経時や腐食などによる材料表面のCuがSn被覆層表面に拡散し、表面のCu酸化物量が多くなり、接触抵抗を増加させ、電気的信頼性を維持するのが困難となる。ただし、Cu−Sn合金被覆層にCuSn相が一部含まれていてもよい。また、Sn被覆層中の成分元素が含まれていてもよい。
このCu−Sn合金被覆層は、一般的にはリフロー処理によりCuめっき層とSnめっき層のCuとSnが相互拡散して形成される。
Cu−Sn合金被覆層は表面めっき層の最表面に一部露出している。その表面露出面積率は、材料の単位表面積あたりに露出するCu−Sn合金被覆層の表面積に100をかけた値として算出する。Cu−Sn合金被覆層の表面露出面積率が10%未満では、相手側の錫めっき材がCu−Sn合金被覆層に接触する割合が少なく、Sn同士の接触が多いため、Sn同士の凝着を低減する効果がほとんどなく、低い摩擦係数を得ることができない。また、Cu−Sn合金被覆層の材料表面露出率が75%を超える場合には、腐食環境において防食効果を示すSnの割合が少なく、腐食による劣化が早期に起こるため、接触抵抗値を増大させたりするなど、電気的信頼性を維持することが困難となる。従って、Cu−Sn合金被覆層の材料表面露出面積率は10〜75%とする。望ましくは20〜50%である。
(Sn被覆層)
表面めっき層のうちSn被覆層は、耐食性と電気接点としての信頼性を確保するために施される。Sn被覆層の平均厚さが0.2μm未満では耐食性及び電気接点としての信頼性が不充分である。また、1.5μmを超えると、Cu−Sn合金被覆層が表面にほとんど露出しなくなり、挿入力の低減効果が望めない。従って、Sn被覆層の平均厚さは0.2〜1.5μmとする。好ましくは0.4〜1.2μmである。Sn被覆層は、純Snのみでなく、Cu、Ag、Ni、Co、Bi、P、Zn等の群より選んだ1種以上の元素を1〜10質量%程度含むSn合金を含む。このSn被覆層は、Cu−Sn合金被覆層がリフロー処理によりCuめっき層とSnめっき層のCuとSnが相互拡散して形成される際に、Cu−Sn合金被覆層の形成後も表面めっき層の最上層として残留する層である。
(Cu被覆層)
Cu被覆層は、リフロー処理によってCuめっき層のCuとSnめっき層のSnからCu−Sn合金が形成される際に、Cuめっき層が全て消滅せず、一部が残留する場合に形成される。残留するCu被覆層は、平均厚さ0.1μm以上存在することでめっき基材である銅合金板中の合金元素やNi被覆層中のNiの拡散防止層の役割を有するが、表面へCuが拡散することによる耐食性の低下やめっき剥離の可能性があるため、平均厚さは0.5μm以下に制限される。好ましくは0.1〜0.3μmである。Cu被覆層は純Cuのみでなく、Sn、Zn等の他の元素を含んでいてもよい。Snの場合は50質量%以下、他の元素については5質量%以下であることが望ましい。また、銅合金板材に含まれる成分が少量含まれていてもよい。
(黒鉛粒子)
Sn被覆層の表面に付着・分散している黒鉛粒子は、せん断力が非常に低く、潤滑性を有しているため、嵌合型端子の摺動部における摩擦係数を低減し、これにより挿入力の大幅な低減が可能となる。Cu−Sn合金被覆層が表面に露出していることによる挿入力低減に加えて、より一層の挿入力の低減が可能である。
小径(粒径が2μm未満)の黒鉛粒子は摩擦係数の低減に対して効果が小さい。そして潤滑効果の大きい粒径2μm以上の黒鉛粒子について、その平均粒径が3μm未満では、摺動時に接触面に噛み込まれない確率が高くなり、また、噛み込まれたとしても黒鉛粒子が小さいため、へき開を起こしても潤滑効果が少ない。一方、その平均粒径が30μmを超えると、摺動時に大きな黒鉛が噛み込まれへき開するため、十分な潤滑効果は得られるが、逆に、錫同士の接点における接触面積が確保しづらくなり、電気信頼性が損なわれる可能性がある。
黒鉛粒子が前記表面めっき層表面を被う面積比率は、表面めっき層表面に占める黒鉛粒子の面積割合を意味し、これが30%を超えると錫同士の接点における接触面積が確保しづらくなり、電気的信頼性が損なわれる可能性がある。一方、黒鉛粒子のうち潤滑効果の大きい粒径2μm以上の黒鉛粒子の面積比率が3%未満では嵌合型端子の摺動部において十分な潤滑効果が得られない。
また、粒径2μm以上の黒鉛粒子のうち粒径10μm以上の個数の割合が3%未満では、挿入力を低減するのに必要な黒鉛粒子が嵌合型端子の摺動部にかみ込まず、十分な潤滑効果が得られない。
従って、本発明では、黒鉛粒子は表面めっき層表面を面積比率30%以下で被い、かつ黒鉛粒子のうち粒径2μm以上の黒鉛粒子の平均粒径が3〜30μmで、前記表面めっき層表面を面積比率3%以上(30%以下)で被い、そのうち粒径10μm以上の粒子の個数の割合が3%以上とする。好ましくは、粒径2μm以上の黒鉛粒子について、平均粒径が5〜25μm、面積比率が5〜28%、粒径10μm以上の占める個数の割合が5〜60%、さらに好ましくは、平均粒径が10〜15μm、面積比率が10〜20%、粒径10μm以上の占める個数の割合が20〜40%である。図1に黒鉛粒子が付着した表面めっき層表面の実体顕微鏡写真を示す。
使用する黒鉛粒子の形状・性質については、形状は燐片状、土状、塊状のうち、燐片状のものが望ましく、純度が高く、不純物が少ないものが望ましい。
(特性)
本発明において、表面めっき層の最表面にCu−Sn合金被覆層を所定割合で露出させることで、端子嵌合時のSn同士の凝着量を低減し、同時に表面のSn被覆層及び露出したCu−Sn合金被覆層の上に黒鉛粒子を分散付着させることで、端子嵌合時のSn同士の凝着量をさらに低減し、摩擦係数を大幅に低減することができる。また、接点部においては導電性を持っている黒鉛粒子、Snとの混合接触において、接続信頼性も確保することができる。
これにより、本発明に係る嵌型端子用銅又は銅合金板材は、実施例に示すように、動摩擦係数0.27未満(荷重:5N)、接触抵抗値1.0mΩ以下、及び優れた曲げ性を実現することができる。また、接圧力を高く設定しても、大幅な挿入力の増加はない。
(製造方法)
上記嵌合型端子用銅又は銅合金板材は、めっき基材である銅又は銅合金板上に、Niめっき層、Cuめっき層、及びSnめっき層をこの順に形成し、Snめっき層の表面に、燐片状黒鉛を付着させ、続いてリフロー処理を行って製造することができる。
錫めっき付き銅又は銅合金板材(リフロー処理前)の表面に黒鉛粒子を付着させるには、Snめっき後、板材の表面(片面又は両面)に、エアー等により黒鉛粒子を吹き付ける、黒鉛粒子を懸濁させたアルコールを吹き付ける、黒鉛粒子を充填した容器中を板材を通過させ、あるいは板材を通板しながらその表面に黒鉛粒子を落下させ、その後エアブローして余分な黒鉛粒子を除去する、等の方法が可能である。
黒鉛粒子がSnめっき層表面に不均一に(一部が凝集した状態で)付着していても、続いてSnめっき層をリフロー処理して溶融させることで、比重の軽い黒鉛粒子はSnめっき表層に均一に分散し、Sn被覆層及び露出したCu−Sn合金被覆層表面に付着する。表面めっき層(Sn被覆層及び露出したCu−Sn合金被覆層)表面に単に物理的に付着させた黒鉛粒子は結合が微弱であり、脱脂工程や拭き取りによって脱離しやすいのに対して、上記工程で製造することによって表面めっき層表面への付着が強固となり、脱脂工程や拭き取りによる脱離を最小限に抑え、低摩擦効果を維持することができる。従って、リフロー処理後に黒鉛粒子を付着させるより、リフロー処理前に付着させておくことが望ましい。
リフロー処理後に表面めっき層の表面に黒鉛粒子を付着させた錫めっき付き銅又は銅合金板材と、表面めっき層の表面に黒鉛粒子を付着させた後リフロー処理した錫めっき付き銅又は銅合金板材とは明確に区別できる。目視観察すると、前者(図2上段)は表面めっき層の表面を黒鉛粒子が黒々と被い、鏡面光沢が見られない状態となっているのに対し、後者(図2下段)はある程度の鏡面光沢を有し、表面に薄く黒鉛の被膜が付いたような状態で外観がほとんど一般的なリフロー錫めっきと変わらない。また、実体顕微鏡写真を見ると、前者(図3上段)は黒鉛粒子の一部が凝集した状態であるが、後者(図3下段)はほぼ均一に分散した状態となっている。さらに、例えばアセトン超音波脱脂及び拭き取りを行ったとき、前者は脱離する黒鉛粒子が多いが、後者は少なく相違は顕著である。
上記製造方法において、めっき基材である銅又は銅合金板上に形成するNiめっき層、Cuめっき層、Snめっき層は、いずれも電気めっきで形成するのが望ましい。無電解めっきで行う方法もあるが、還元剤がめっき皮膜中に取り込まれ、高温放置後にボイドを発生する。なお、Niめっき層、Cuめっき層及びSnめっき層が、それぞれNi合金、Cu合金及びSn合金からなる場合、先にNi被覆層、Cu被覆層及びSn被覆層に関して説明した各合金を用いることができる。
電気めっきの望ましい条件として、Niめっきのめっき浴としては、ワット浴やスルファミン酸浴を用いる。めっき条件は、温度45℃〜60℃、電流密度3〜20A/dmで行う。Niめっきで重要なのは電流密度であり、3A/dm未満では均一電着性が悪く、20A/dmを超えるとNiめっき粒が荒れてくる。
Cuめっきのめっき浴としては、通常はシアン浴を用いるが、Snめっき液へのシアン混入による液劣化や排水処理の問題があるため、硫酸浴が望ましい。めっき条件は、温度30℃〜40℃、電流密度2.5〜10A/dmである。温度が40℃を超えるとCuめっき粒が荒れ、均一な厚みのCuめっき層ができなくなる。一方、温度が30℃未満になると、Cuめっき粒は荒れないが、均一電着性が悪くなる。
Snめっきのめっき浴としては、硫酸浴を用いる。めっき条件は、温度25℃以下、電流密度2〜10A/dmで行う。
リフロー処理は230℃〜600℃の温度で5〜30秒間加熱する熱処理が望ましい。このリフロー処理を行うことによって、Cuめっき層とSnめっき層からCuとSnが相互拡散してCu−Sn合金被覆層が形成され、めっきの残留応力が緩和され、ウィスカが発生しなくなる。加熱温度が230℃未満ではSnが溶融せず、600℃を超えるとめっき基材である銅又は銅合金板が軟化し、歪が発生するとともに、Cu含有量の高いCu−Sn合金被覆層が形成され、接触抵抗値が増大する。また、付着させた黒鉛粒子が酸化を始め、潤滑効果が得られなくなる。加熱時間が5秒未満では熱伝達が不均一であり、必要な厚みのCu−Sn合金被覆層を形成できず、30秒を超えると表面のSnめっき層の酸化が進み、接触抵抗値が増大する。リフロー処理によってCuめっき層が全て消滅せず、一部が残留する場合、残留するCuめっき層の平均厚さは0.5μm以下に制限される。
説明が後先になったが、本発明において、リフロー処理後にCu−Sn合金被覆層の一部を表面に露出させるため、表面粗さが最も大きく表れる方向の算術平均粗さRaが0.15〜1.0μmである銅又は銅合金板材を用いることが望ましい。この表面粗さ(凹凸表面)は圧延又は機械的研磨により形成することができる。凹凸表面は極度に大きい山谷のないように全体的に均一に形成することが望ましい。
めっき基材である銅又は銅合金板材がこの表面粗さを有することにより、リフロー処理により、溶融した表面凸部のSnが表面凹部に流動し、Sn被覆層の表面が平滑化され、さらにリフロー処理中に形成されるCu−Sn合金被覆層の一部が前記Sn被覆層の表面に露出する。前記算術平均粗さRaが0.15μm以上であることにより、Cu−Sn合金被覆層の表面露出面積率を10〜75%としながら、同時にSn被覆層の平均の厚さを0.2〜1.5μmとすることができる。一方、前記算術平均粗さRaが1.0μm以下であることにより、溶融Snの流動作用によるSn被覆層表面の平滑化を行うことができる。Sn被覆層表面が平滑化しないと曲げ加工性が劣化し接触抵抗が増大する。
これまで、本発明に係る表面めっき層の製造方法に関しては、銅又は銅合金板材にNiめっき層、Cuめっき層及びSnめっき層をこの順に形成してリフロー処理し、Cuめっき層とSnめっき層からCuとSnを相互拡散させてCu−Sn合金被覆層を形成する方法を説明したが、Niめっき層の上にCu−Sn合金めっき層を施し、その上にSnめっき層を形成することでも得ることができる。この場合も、Snめっき層の表面に前記燐片状黒鉛を付着させ、続いてSnめっき層のリフロー処理を行うことが望ましい。
厚さ0.25mmのCu−Ni−P系銅合金板材を機械的な方法(圧延又は研磨)で表面粗化処理を行い、所定の表面粗さを有する銅合金板材に仕上げた。その銅合金板材にNiめっき(一部は行わず)、Cuめっき、Snめっきをそれぞれ所定の厚さで施し、錫めっき付き銅合金板材を作製した。Niめっき、Cuめっき及びSnめっきのめっき浴及びめっき条件を表1〜表3に、各銅合金板材の表面粗さ(算術平均粗さRa)を表4に、各めっき層の平均厚さを同じく表4の初期表面めっき層の欄に示す。
なお、銅合金板材の表面粗さ、及び初期表面めっき層(リフロー処理前)を構成する各めっき層の平均厚さは下記要領で測定した。
[表面粗さ測定]
接触式表面粗さ計(株式会社東京精密:サーフコム1400)を用いて、JIS B0601−2001に基づいて測定した。表面粗さの測定条件は、カットオフ値を0.8mm、基準長さを0.8mm、評価長さを4.0mm、測定速度を0.3mm/s、及び触針式先端半径を5?mRとした。なお、表面粗さの測定方向は、表面粗化処理を行った圧延又は研磨方向に直角な方向(表面粗さが最も大きく表れる方向)とした。
[Niめっき層及びSnめっき層の厚さ測定]
蛍光X線膜厚計(セイコーインスツルメンツ株式会社;型式SFT3200)を用いて平均厚さを測定した。測定条件は、検量線にSn/母材の単層検量線を用い、コリメータ計をφ0.5mmとした。
[Cuめっき層の厚さ測定]
ミクロトーム法にて加工した板材の断面をSEM(走査型電子顕微鏡)を用いて1000倍の倍率で観察し、画像解析処理により平均厚さを算出した。
続いて、この錫めっき付き銅合金板材の表面に燐片状の黒鉛粒子を付着させ(No.23〜25は付着させず)、リフロー処理を行い、これを供試材とした。リフロー処理後の表面めっき層を構成する各被覆層の平均厚さを表5のリフロー後の表面めっき層の欄に示し、表面に付着した黒鉛粒子の面積比率、粒径2μm以上の黒鉛粒子の平均粒径、そのうち粒径10μm以上の粒子の個数の割合を、同じく表5に示す。なお、粒径2μm未満の黒鉛粒子の面積比率はいずれも1%以下であった。表5には粒径2μm以上の黒鉛粒子の面積比率のみを示す。
各被覆層(リフロー処理後)の平均厚さは下記要領で測定し、Cu−Sn合金被覆層中のCu含有量、表面露出面積率について下記要領で確認した。また、黒鉛粒子の面積比率、黒鉛粒子の平均粒径、及び粒径10μm以上の粒子の個数の割合について、下記要領で測定した。
[Sn被覆層の厚さ測定]
蛍光X線膜厚計(セイコーインスツルメンツ株式会社:SFT3200)を用いて、Sn被覆層の平均厚さとCu−Sn合金被覆層に含有されるSn成分の平均厚さの和を測定した。その後、p−ニトロフェノール及び苛性ソーダを成分とする水溶液に10分間浸漬し、Sn被覆層を除去した。再度、蛍光X線膜厚計(セイコーインスツルメンツ株式会社:SFT3200)を用いて、Cu−Sn合金被覆層に含有されているSn成分の平均厚さを測定した。測定条件は、検量線にSn/母材の単層検量線を用い、コリメータ径をφ0.5mmとした。得られたSn被覆層の平均厚さとCu−Sn合金被覆層に含有されているSn成分の平均厚さの和から、Cu−Sn合金被覆層に含有しているSn成分の平均厚さを差し引くことにより、Sn被覆層の平均厚さを算出した。
[Cu−Sn合金被覆層の厚さ測定]
Cu−Sn合金層の厚さは、上記の剥離液に供試材を浸漬しSn層を剥離した後、蛍光X線膜厚計を用いて測定した。
[Cu被覆層の厚さ測定]
Cu被覆層の厚さは、ミクロトーム法にて加工した板材の断面をSEM観察し、画像解析処理により平均厚さとして算出した。
[Ni被覆層の厚さ測定]
Ni被覆層の厚さは、蛍光X線膜厚計を用いて測定した。
[Cu−Sn合金中のCu含有量(at%)測定]
まず、p−ニトロフェノール及び苛性ソーダを成分とする剥離液に10分間浸漬し、最表面のSn層を除去する。その後、試料表面の酸化及び汚れ等の付着物の影響をなくすため深さ300Åの地点までアルゴンエッチングし、Cu−Sn合金層中のCu含有量をESCA−LAB210D(VG社製)で測定した。No.1〜26のCu含有量はいずれも55at%(CuSnの組成)であった。
[黒鉛粒子の面積比率]
黒鉛粒子が付着した供試材の表面を、実体顕微鏡により観察して表面の画像(倍率×500,面積500μm×670μm)を取得し、その画像を元に、粒径2μm以上の全ての黒鉛粒子の面積を画像解析ソフトによって算出し、その面積の総和を画像中に占める粒径2μm以上の黒鉛粒子の総面積とし、これを画像全体の面積で除した値を粒径2μm以上の黒鉛粒子の面積比率とした。実体顕微鏡の画像の一例を図1に示す。一方、粒径2μm未満の黒鉛粒子の面積比率は、より拡大した(倍率の高い)画像を取得し、前記と同様の画像解析の手法で求めた。その結果、本実施例において粒径2μm未満の黒鉛粒子の面積比率は極めて小さく、いずれも1%以下と算出された。なお、この結果は、前記500倍の画像を用いて事前に目視判定した結果(1%以下と判定)と一致した。
[平均粒径]
粒径2μm以上の黒鉛粒子の粒径は円相当直径(各粒子と同一面積の円の直径)とした。前記画像を元に、粒径2μm以上の全黒鉛粒子について粒径を求め、粒径の和を粒径2μm以上の全黒鉛粒子の数で除した値をその平均粒径とした。
[粒径10μm以上の割合]
前記画像を元に、粒径2μm以上の黒鉛粒子のうち粒径10μm以上の黒鉛粒子の割合を、粒径10μm以上の黒鉛粒子の数を粒径2μm以上の黒鉛粒子の全粒子数で除して求めた。
続いて、No.1〜26の供試材を用い、動摩擦係数、接触抵抗値、曲げ加工性、めっき平滑性について、下記要領で評価した。その結果を表6に示す。
[摩擦力と動摩擦係数の測定方法]
端子嵌合時の挿入力の評価として、最大摩擦力と動摩擦係数を用いた。嵌合型端子の接点部の形状を想定して、供試材から切り出した板状の雄試験片を水平な台に固定し、その上に供試材を内径1.5mmで半球加工した雌試験片を置いて、錫めっき面同士を接触させ、雌試験片に荷重W(3.0N,5.0N)をかけて雄試験片を押え、横型荷重測定機(アイコーエンジニアリング株式会社製Model−2152)を用いて、雄試験片を水平方向に引張り(摺動速度80mm/min)、摺動距離5mmまでの最大摩擦力Fを測定した。摩擦係数μを下記式(1)により求めた。供試材は雄試験片に適用し、雌試験片は黒鉛が付着していない錫めっき付き銅合金材(表面めっき層として平均厚さ0.5μmのCu−Sn合金被覆層と平均厚さ0.5μmのSn被覆層を有するもの)を用いた。
各荷重Wにおける、最大摩擦力を各荷重の摩擦力とし、さらに、下記式(1)を用いて算出した値を各荷重における摩擦係数とした。
摩擦係数=F/W・・・・(1)
標準的な錫めっき付き銅合金材(従来例)であるNo.23の3N,5Nにおける摩擦力及び摩擦係数を基準として、その50%未満の摩擦力及び摩擦係数のものをそれぞれ合格と評価した。
[高温放置後の接触抵抗測定]
加熱時の電気接点における信頼性の評価として、高温放置後の接触抵抗値を用いた。供試材に対し大気中にて160℃×120hrの熱処理を行った後、接触抵抗を4端子法により、開放電圧20mV、電流10mA、荷重3N、摺動の条件にて測定した。
[曲げ加工性]
試験片を圧延方向が長手になるように切出し、JISH3110に規定されるW曲げ試験冶具を用い、圧延方向に対して直角方向となるように9.8×103Nの荷重で曲げ加工を施した。その後、ミクロトーム法にて、断面を切出し観察を行った。曲げ加工性の評価は、試験後の曲げ加工部に発生したクラックが銅合金板材へ伝播しないレベルを○と評価し、銅合金母材へ伝播し銅合金板材へクラックが発生するレベルを×と評価した。
[めっき平滑性]
算術平均うねりWaを、接触式表面粗さ計(株式会社東京精密:サーフコム1400)を用いて、JIS B0601−2001に基づいて求め、算術平均うねりWaが0.6μmを超えるものがめっき平滑性が悪いと評価した。断面SEM観察でも、算術平均うねりWaが0.6μmを超えるものは、表面めっき層の表面が平滑でないことを確認した。なお、うねり曲線の測定方向は、表面粗化処理を行った圧延又は研磨方向に直角な方向とした。
表6に示すように、リフロー後の表面めっき層の構成及び黒鉛粒子の分布形態に関する本発明の規定を満たすNo.1〜8は、3Nと5Nの両荷重とも動摩擦係数が0.25未満で、標準材(No.23)に比べて大きく低下(50%未満)した。また、高温放置後の接触抵抗が小さく(1mΩ未満)、曲げ加工性及びめっき平滑性にも優れる。
これに対し、黒鉛粒子の分布形態に関する本発明の規定のいずれかを満たさないNo.18〜25は、標準材(No.23)に比べて、主として高荷重(5N)において動摩擦係数の低下が少ないか、高温放置後の接触抵抗が大きい。また、リフロー後の表面めっき層の構成に関する本発明の規定のいずれかを満たさないNo.9〜17,26は、動摩擦係数、高温放置後の接触抵抗、曲げ加工性及びめっき平滑性のいずれか1又は2以上の特性が劣る。
具体的に説明すると、No.18は2μm以上の黒鉛粒子の平均粒径が小さいため、潤滑効果が不足し、高接圧(5N)において動摩擦係数の低下が少なく、No.19は平均粒径が大きいため、高温放置後の接触抵抗が大きい。No.20は10μm以上の黒鉛粒子の数割合が低いため、No.21は2μm以上の黒鉛粒子の面積比率が低いため、それぞれ潤滑効果が不足し、動摩擦係数の低下が少ない。No.22は2μm以上の黒鉛粒子の面積比率が高いため、高温放置後の接触抵抗が大きい。No.23〜25は黒鉛粒子の分散付着がなく(従来技術)、動摩擦係数が改善していない。特に表面めっき層の構成が本発明の規定を満たすNo.25については、高接圧(5N)での動摩擦係数が高い。
No.9,26はCu−Sn合金層の露出がないため、高接圧(5N)において動摩擦係数の低下が少なく、No.10は表面平滑性が悪いことにより、高温放置後の接触抵抗及び曲げ加工性が劣る。No.11はNi被覆層がないため、高温放置後の接触抵抗が大きい。No.12はNi被覆層が厚く、No.15はCu−Sn合金被覆層が厚いため、いずれも曲げ加工性が劣る。No.13はCu被覆層が厚く、No.14はCu−Sn合金被覆層が薄く、No.16はCu−Sn合金被覆層の露出面積率が高いため、いずれも高温放置後の接触抵抗が大きい。No.17はCu−Sn合金被覆層の露出面積率が低く、Sn被覆層が厚いため、高接圧(5N)において動摩擦係数の低下が少ない。

Claims (6)

  1. 銅又は銅合金板材の表面に、Ni被覆層、Cu−Sn合金被覆層及びSn被覆層からなる表面めっき層がこの順に形成され、前記Ni被覆層は平均厚さが0.1〜1.0μm、Cu−Sn合金被覆層は表面露出面積率が10〜75%で、平均厚さが0.1〜1.0μm、前記Sn被覆層はリフロー処理されたもので、平均厚さが0.2〜1.5μmであり、前記表面めっき層の表面に黒鉛粒子が分散して付着し、前記黒鉛粒子が前記表面めっき層表面を面積比率30%以下で被い、かつ前記黒鉛粒子のうち粒径2μm以上の黒鉛粒子の平均粒径が3〜30μmで、前記表面めっき層表面を面積比率3%以上で被い、粒径2μm以上の黒鉛粒子のうち粒径10μm以上の粒子の個数の割合が3%以上であることを特徴とする嵌合型端子用錫めっき付き銅又は銅合金板材。
  2. Ni被覆層とCu−Sn合金被覆層の間にさらに平均厚さ0.5μm以下のCu被覆層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載された嵌合型端子用錫めっき付き銅又は銅合金板材。
  3. 前記銅又は銅合金板材の表面は、表面粗さが最も大きく表れる方向の算術平均粗さRaが0.15〜1.0μmであることを特徴とする請求項1又は2に記載された嵌合型端子用錫めっき付き銅又は銅合金板材。
  4. 前記黒鉛粒子のうち粒径2μm以上の黒鉛粒子の平均粒径が10〜15μmで、前記表面めっき層表面を面積比率10〜20%で被い、粒径2μm以上の黒鉛粒子のうち粒径10μm以上の粒子の個数の割合が20〜40%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載された嵌合型端子用錫めっき付き銅又は銅合金板材。
  5. 前記Sn被覆層は黒鉛粒子付着後にリフロー処理されたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載された嵌合型端子用錫めっき付き銅又は銅合金板材。
  6. 銅又は銅合金板材の表面に、Niめっき層、Cuめっき層及びSnめっき層をこの順に形成した後、Snめっき層の表面に黒鉛粒子を付着させ、次いでSnめっき層のリフロー処理を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載された嵌合型端子用錫めっき付き銅又は銅合金板材の製造方法。
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