JP5410214B2 - イオン電流検出装置 - Google Patents
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Description
本発明は、内燃機関の燃焼により発生するイオン電流を、素早いタイミングで正確に検出できるイオン電流検出装置に関する。
自動車エンジンなどの内燃機関では、燃焼室に導入した空気及び燃料の混合気を、点火プラグの点火放電により燃焼させることでエネルギーを発生させている。このような内燃機関では、燃焼時、燃焼室内の分子がイオン化するので、適当なタイミングで点火プラグにバイアス電圧を加えると、イオン電流を取得することが可能となる。
そして、取得したイオン電流にノック信号が重畳しているか否かによってノッキング発生の有無などを把握することが可能となる。そこで、出願人は、イオン電流検出装置としては、特許文献1に記載の回路構成を提案している。
この回路構成では、図8に示すように、コンデンサC1に充電された電圧をバイアス電圧として、コンデンサC1→ダイオードD4→点火プラグPGの経路で、イオン電流が流れる。つまり、この回路では、イオン電流が、点火トランスの二次コイルL2を経由しないので、そのインダクタンスによるノック検出精度の悪化がない。また、コロナ放電ノイズが生じても、イオン検出回路に影響を与えないので、失火時のコロナ放電によって燃焼状態であると誤判定することもない。
しかし、点火プラグPGの両端電圧が、コンデンサC1のバイアス電圧を下回るまでは、イオン電流を検出できないところ、図8の回路構成では、点火放電終了後に点火プラグに帯電した電荷(残留エネルギー)の放電経路がないので、イオン電流の検出の開始タイミングが遅れるという問題がある。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであって、点火トランスを経由することなく、素早いタイミングから検出できるイオン電流検出装置を提供することを課題とする。
上記の課題を解決するため、請求項1に係るイオン電流検出装置は、一次コイル(L1)と二次コイル(L2)が電磁結合されてなる点火トランス(1)と、一次コイル(L1)の電流をON/OFF制御するスイッチング素子(2)と、スイッチング素子(2)のOFF動作時に二次コイル(L2)に誘起される高電圧に基づいてグランドに向けて放電する点火プラグ(PG)と、第1コンデンサ(C1)及び第1ツェナーダイオード(ZD1)を有し、点火プラグ(PG)の放電時に、二次コイル(L2)に誘起される高電圧に基づいて第1ツェナーダイオード(ZD1)の降伏電圧に対応するレベルまで第1コンデンサ(C1)が充電されるよう構成されたバイアス回路(3)と、第1コンデンサ(C1)の放電電流を検出する電流検出回路(4)と、を有して構成され、第1コンデンサ(C1)に、第1ダイオード(D1)と第2ダイオード(D2)とを直列接続すると共に、これらの直列回路を、第1ツェナーダイオード(ZD1)に並列接続し、第1コンデンサ(C1)と第1ダイオード(D1)の接続点と、点火プラグ(PG)との間に第4ダイオード(D4)を配置し、第1ツェナーダイオード(ZD1)と二次コイル(L2)の間に、第3ダイオード(D3)を配置すると共に、二次コイル(L2)とグランドの間に、第2ツェナーダイオード(ZD2)と抵抗素子(R1)の直列回路を配置し、点火放電を終えた点火プラグから、降伏状態の第2ツェナーダイオード(ZD2)及び抵抗素子(R1)に電流が流れ込むよう構成されたことを特徴とする。
また、請求項2に係るイオン電流検出装置は、一次コイル(L1)と二次コイル(L2)が電磁結合されてなる点火トランス(1)と、一次コイル(L1)の電流をON/OFF制御するスイッチング素子(2)と、スイッチング素子(2)のOFF動作時に二次コイル(L2)に誘起される高電圧に基づいてグランドに向けて放電する点火プラグ(PG)と、第1コンデンサ(C1)及び第1ツェナーダイオード(ZD1)を有し、点火プラグ(PG)の放電時に、二次コイル(L2)に誘起される高電圧に基づいて第1ツェナーダイオード(ZD1)の降伏電圧に対応するレベルまで第1コンデンサ(C1)が充電されるよう構成されたバイアス回路(3)と、第1コンデンサ(C1)の放電電流を検出する電流検出回路(4)と、を有して構成され、第1コンデンサ(C1)に、第1ダイオード(D1)と第2ダイオード(D2)とを直列接続すると共に、これらの直列回路を、第1ツェナーダイオード(ZD1)に並列接続し、第1コンデンサ(C1)と第1ダイオード(D1)の接続点と、点火プラグ(PG)との間に第4ダイオード(D4)を配置し、第1ツェナーダイオード(ZD1)と二次コイル(L2)の間に、第3ダイオード(D3)を配置すると共に、第1コンデンサ(C1)と第1ダイオード(D1)の接続点と、二次コイル(L2)との間に、第5ダイオード(ZD2)と抵抗素子(R4)の直列回路を配置し、点火放電を終えた点火プラグから、第5ダイオード(D5)と抵抗素子(R4)とを経由して、第1コンデンサ(C1)に電流が流れ込むよう構成されたことを特徴とする。
請求項2の発明において、第1ツェナーダイオード(ZD1)には、第2コンデンサ(C2)が並列接続されているのが好ましい。また、第2コンデンサは、前記点火プラグ(PG)のキャパシタンス値より大きく設定されているのが更に好ましい。
上記各発明において、ツェナーダイオード、コンデンサ、ダイオードなどの名称は、同等の機能を発揮する電子素子の総称として使用しており、現実に流通している具体的な電子素子そのものを意味しない。したがって、カソード(cathode)端子は、一般的に、電流の流出端子を意味し、アノード(Anode)端子についても、一般的に電流の流入端子を意味するに過ぎない。
前記電流検出回路は、好ましくは、反転入力端子と出力端子間に帰還抵抗(R3)を配置したOPアンプで構成され、第1コンデンサ(C1)の放電電流が、前記帰還抵抗に流れるよう構成されている。また、好ましくは、一次コイル(L1)と二次コイル(L2)は、コイル巻線が互いに逆相に巻かれている。
上記した本発明のイオン電流検出装置によれば、ノイズの重畳していない正確なイオン電流を、素早いタイミングから検出することができる。
<実施例1>
以下、第1実施例のイオン電流検出装置を、図1及び図2に基づいて説明する。図1に示す通り、第1実施例のイオン電流検出装置は、一次コイルL1と二次コイルL2が電磁結合された点火トランス1と、一次コイルL1の電流をON/OFF制御するスイッチング素子2と、コンデンサC1及びツェナーダイオードZD1を中心とするバイアス回路3と、バイアス回路3及び二次コイルL2に直列接続された点火プラグPGと、OPアンプAMPによる電流検出回路4とを中心に構成されている。
以下、第1実施例のイオン電流検出装置を、図1及び図2に基づいて説明する。図1に示す通り、第1実施例のイオン電流検出装置は、一次コイルL1と二次コイルL2が電磁結合された点火トランス1と、一次コイルL1の電流をON/OFF制御するスイッチング素子2と、コンデンサC1及びツェナーダイオードZD1を中心とするバイアス回路3と、バイアス回路3及び二次コイルL2に直列接続された点火プラグPGと、OPアンプAMPによる電流検出回路4とを中心に構成されている。
スイッチング素子2は、具体的にはIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタInsulated Gate Bipolar Transistor)で構成されている。そして、IGBTのゲート端子Gには、点火パルスSGが供給され、コレクタ端子Cは一次コイルL1を経由してバッテリ電源VBに接続され、エミッタ端子Eはグランドに接続されている。なお、IGBTのコレクタ端子Cとエミッタ端子Eには、ツェナーダイオードZDのカソード端子とアノード端子が各々接続されているが、便宜上、図示を省略している。
図示の通り、点火トランス1と、バイアス回路3と、点火プラグPGとで閉回路を構成している。そして、点火トランス1を構成する一次コイルL1と二次コイルL2は、コイル巻線が互いに逆相に巻かれている。そのため、スイッチング素子2がOFF遷移して一次コイルL1の電流が遮断されると、その時に二次コイルL2に発生する高電圧に基づいて、点火プラグPGの中心電極から接地電極に向けて点火放電するプラス放電が実現される。
バイアス回路3は、ダイオードD1、コンデンサC1、及びダイオードD2による直列回路と、この直列回路の並列接続されるツェナーダイオードZD1と、ツェナーダイオードZD1に直列接続されるダイオードD3と、ツェナーダイオードZD2及び電流制限抵抗R1による直列回路とを中心に構成されている。そして、ダイオードD1とコンデンサC1の接続点は、ダイオードD4を経由して点火プラグPGに接続されている。ここで、ダイオードD4のアノード端子は、ダイオードD1のカソード端子に接続され、ダイオードD4のカソード端子は、点火プラグPGの中心電極に接続されている。
一方、ダイオードD1は、そのアノード端子はグランドに接続され、カソード端子は、コンデンサC1を経由して、ダイオードD2のアノード端子に接続されている。そして、ダイオードD2のカソード端子に、ツェナーダイオードZD1のアノード端子が接続され、ダイオードD1のアノード端子に、ツェナーダイオードZD1のカソード端子が接続されている。
また、ダイオードD2とツェナーダイオードZD1の接続点に、ダイオードD3のアノード端子が接続されている。ダイオードD3のカソード端子は、二次コイルL2に接続されている。そして、ダイオードD3のカソード端子に、ツェナーダイオードZD2のカソード端子が接続され、ツェナーダイオードZD2のアノード端子は、電流制限抵抗R1を経由してグランドに接続されている。
このバイアス回路3において、ツェナーダイオードZD1は、コンデンサC1に充電されるバイアス電圧値を決定する素子であり、その降伏電圧Vz1としては、例えば、250〜350V程度が選択される。一方、ツェナーダイオードZD2は、電流制限抵抗R1と共に、点火放電時に点火プラグPGに帯電した電荷を素早く放電させるための放電回路を構成している。ここで、ツェナーダイオードZD2の降伏電圧Vz2は、例えば、250〜350V程度が選択される。但し、イオン電流の検出時に、C1→D4→L2→ZD2の経路で電流が流れることを防止するべく、ツェナーダイオードZD2の降伏電圧Vz2は、適宜な値が選択され、通常はVz2>Vz1となる。
また、電流制限抵抗R1は、ツェナーダイオードZD2の降伏時の逆方向電流だけでなく(図2(b)、図2(d)参照)、ツェナーダイオードZD2の順方向電流を制限する役目もある(図2(a)参照)。そのため、電力損を抑制するためには、電流制限抵抗R1の抵抗値が大きいほど有利であるが、余り大きいと点火プラグPGの帯電電荷を放電させる時間が長くなる。そこで、両者のバランスを考慮して、200KΩ〜1MΩ程度の値が選択される。
次に、電流検出回路4は、OPアンプAMPと、入力抵抗R2と、検出抵抗R3とを有して構成されている。OPアンプAMPは、単一電源で動作しており、非反転入力端子がグランドに接続されている。入力抵抗R2は、コンデンサC1とダイオードD2の接続点と、OPアンプAMPの反転入力端子との間に接続されている。この入力抵抗R2は、検出抵抗R3→入力抵抗R2の経路で流れる電流値iを適宜なレベルに制限している。また、OPアンプAMPの反転入力端子と出力端子の間に検出抵抗R3が接続されているので、OPアンプAMPからは、R3*iのイオン検出信号Voutが出力される。
図2(a)〜図2(d)は、図1に示すイオン電流検出装置の動作内容を説明する図面である。先ず、点火パルスSGがLレベルに変化してスイッチング素子2がOFF状態となると、図2(a)に示すように、二次コイルL2には、図1に示す向きの高電圧が誘起する。
そのため、ダイオードD1,D2及びコンデンサC1で構成された直列回路からダイオードD3を経由する第1経路と、降伏状態のツェナーダイオードZD1からダイオードD3を経由する第2経路と、電流制限抵抗R1及びツェナーダイオードZD2を通過する第3経路とを通過した後、二次コイルL2→点火プラグPGの経路で点火放電電流が流れる。
但し、電流制限抵抗R1が、適度に大きい抵抗値に設定されているので、第1経路の電流値に比較して第3経路の電流値は無視でき、コンデンサC1に十分な充電電流が流れ、素早くツェナーダイオードZD1の降伏電圧のレベルまで充電される。
その後、点火放電動作が終了すると、図2(b)に示すように、点火プラグPG→二次コイルL2→ツェナーダイオードZD2→電流制限抵抗R1→グランドの経路で電流が流れて、点火プラグPGの両端電圧が急激に低下する。
このように、本実施例では、点火プラグPGの両端電圧は素早く降下して残留エネルギーが放電されるが、点火プラグPGの両端電圧が、コンデンサC1の両端電圧に対応する電圧値まで降下すると、その後は、図2(c)に示すように、入力抵抗R2→コンデンサC1→ダイオードD4→点火プラグPGの経路でイオン電流iが流れ、OPアンプAMPからは、イオン電流iに対応して検出電圧Vout≒i*R3とが得られる。
なお、本実施例では、二次コイルL2が、ツェナーダイオードZD2及び電流制限抵抗R1を経由してグランドに接続されているので、スイッチング素子2のON遷移時の動作が問題になる。すなわち、図2(d)に示すように、スイッチング素子2のON遷移時には、二次コイルL2の図示の電圧が発生し、二次コイルL2→降伏状態のツェナーダイオードZD2→電流制限抵抗R1→ダイオードD1→ダイオードD4→二次コイルL2の電流閉回路が形成される。しかし、この閉回路に流れる電流は、ツェナーダイオードZD2の降伏電圧と、適宜な高抵抗値に設定された電流制限抵抗R1とで制限されるので、何ら問題が生じない。
以上の通り、この実施例では、図2(b)に示す経路で、残留エネルギーが素早く放電されるので、イオン電流を迅速に検出することができ、波形ダレが生じることもない。
<実施例2>
続いて、第2実施例のイオン電流検出装置を、図3及び図4に基づいて説明する。図3に示す通り、第2実施例のイオン電流検出装置は、バイアス回路3の構成が第1実施例と相違する。すなわち、第1実施例では、ツェナーダイオードZD1とダイオードD3の直列回路に、ツェナーダイオードZD2及び電流制限抵抗R1の直列回路が並列接続されているが、第2実施例はこの点が相違する。
続いて、第2実施例のイオン電流検出装置を、図3及び図4に基づいて説明する。図3に示す通り、第2実施例のイオン電流検出装置は、バイアス回路3の構成が第1実施例と相違する。すなわち、第1実施例では、ツェナーダイオードZD1とダイオードD3の直列回路に、ツェナーダイオードZD2及び電流制限抵抗R1の直列回路が並列接続されているが、第2実施例はこの点が相違する。
図3に示す通り、第1実施例のツェナーダイオードZD2及び電流制限抵抗R1に代えて、第2実施例では、ダイオードD5及び電流制限抵抗R4の直列回路が設けられている。更に具体的に説明すると、ダイオードD3のカソード端子と、ダイオードD4のアノード端子の間に、ダイオードD5及び電流制限抵抗R4が直列接続されている。また、ダイオードD5のアノード端子は、ダイオードD3のカソード端子と二次コイルL2に接続され、ダイオードD5のカソード端子は抵抗R4に接続されている。
但し、上記した部分を除き、(a)ダイオードD1、コンデンサC1、及びダイオードD2による直列回路に、ツェナーダイオードZD1が並列接続される点、(b)ダイオードD2とツェナーダイオードZD1の接続点に、ダイオードD3が接続される点、及び、(c)ダイオードD1とコンデンサC1の接続点にダイオードD4が接続される点については、第1実施例と同様である。
また、電流制限抵抗R4も、その抵抗値が大きいほど電力損を抑制する上で有利であるが、余り大きいと点火プラグPGの帯電電荷を放電させる時間が長くなるので、両者のバランスを考慮して、200KΩ〜1MΩ程度の値が選択される。
以下、図4に基づいて動作内容を説明する。先ず、点火パルスSGがLレベルに変化してスイッチング素子2がOFF状態となると、図4(a)に示すように、ダイオードD1,D2及びコンデンサC1で構成された回路からダイオードD3を経由する第1経路と、降伏状態のツェナーダイオードZD1からダイオードD3を経由する第2経路とを通過して、二次コイルL2→点火プラグPGの経路で点火放電電流が流れる。そして、コンデンサC1は、ツェナーダイオードZD1の降伏電圧のレベルまで充電される。
その後、点火放電動作が終了すると、図4(b)に示すように、点火プラグPG→二次コイルL2→ダイオードD5→電流制限抵抗R4→コンデンサC1の経路で電流が流れて、点火プラグPGの両端電圧が急激に低下して、コンデンサC1の両端電圧は増加する。そして、点火プラグPGの両端電圧が、コンデンサC1の両端電圧に対応する電圧値まで低下すると、その後は、図4(c)に示すように、入力抵抗R2→コンデンサC1→ダイオードD4→点火プラグPGの経路でイオン電流iが流れ、OPアンプAMPからはイオン電流iに対応する検出電圧Vout≒i*R3が得られる。
なお、本実施例では、二次コイルL2→ダイオードD5→電流制限抵抗R4→ダイオードD4の閉回路ができ、スイッチング素子2のON遷移時の動作が問題になる(図2(d)参照)。しかし、この閉回路に流れる電流は、適宜な高抵抗値に設定された電流制限抵抗R4で制限されるので、何ら問題が生じない。
ところで、点火プラグPGの帯電電荷が放電して、点火プラグPGの中心電極の電位Vbが、ダイオードD1のカソード端子の電位Vaに一致するまで低下した後は、点火プラグPG→二次コイルL2→ダイオードD5→電流制限抵抗R4の放電経路を経由して帯電電荷が放電することがない。
そのため、Va=Vbとなった後は、点火プラグPGの帯電電荷の自然放電によって、Va=Vb−VFの条件が成立するまでは、ダイオードD4がOFF状態を維持して、イオン電流を検出できないという問題がある。なお、VFは、ダイオードD4の順方向電圧降下であり、ダイオードD4として、逆方向の耐圧が数10KV程度の高圧ダイオードを使用するため、VF≒30Vであり、Va=VbからVa=Vb−VFとなるまでの遅れ時間が無視できない。
<実施例3>
そこで、この点を改善するには、第3実施例のイオン電流検出装置が採用される。図5に示す通り、第3実施例のイオン電流検出装置は、ツェナーダイオードZD1にコンデンサC2が並列接続される点で第2実施例と相違し、それ以外は、第2実施例と同一構成である。コンデンサC2は、点火プラグPGのキャパシタンス値より適宜に大きい50pF〜1000pF程度のキャパシタンス値のものが使用される。なお、図5に示す通り、以下の説明では、点火プラグPGの中心電極の電位をVb’とし、ダイオードD1のカソード端子の電位をVa’とする。また、図6(a)〜(c)に示すように、ツェナーダイオードZD1のアノード端子の電位をVcとする。
そこで、この点を改善するには、第3実施例のイオン電流検出装置が採用される。図5に示す通り、第3実施例のイオン電流検出装置は、ツェナーダイオードZD1にコンデンサC2が並列接続される点で第2実施例と相違し、それ以外は、第2実施例と同一構成である。コンデンサC2は、点火プラグPGのキャパシタンス値より適宜に大きい50pF〜1000pF程度のキャパシタンス値のものが使用される。なお、図5に示す通り、以下の説明では、点火プラグPGの中心電極の電位をVb’とし、ダイオードD1のカソード端子の電位をVa’とする。また、図6(a)〜(c)に示すように、ツェナーダイオードZD1のアノード端子の電位をVcとする。
以下、先ず、図7に基づいて動作内容を概略的に確認する。点火パルスSGがLレベルに変化してスイッチング素子2がOFF状態となると、図7(a)に示すように、ダイオードD1,D2及びコンデンサC1で構成された回路からダイオードD3を経由する第1経路と、ツェナーダイオードZD1及びコンデンサC2の並列回路からダイオードD3を経由する第2経路とを通過して、二次コイルL2→点火プラグPGの経路で点火放電電流が流れる。
そして、コンデンサC1とコンデンサC2は、素早くツェナーダイオードZD1の降伏電圧Vz1に対応するレベルまで充電される。ここで、ダイオードD1,D2の順方向電圧降下をVfとすると、コンデンサC2の両端電圧V2は、ツェナーダイオードZD1の降伏電圧Vz1に一致するのに対して(V2=Vz1)、コンデンサC1の両端電圧V1は、点火放電時には、V1=Vz1−2*Vfとなる。つまり、図7(a)に示す点火放電動作時には、V2=V1+2*Vfの関係が成立し、V2>V1となる。
その後、点火放電動作が終了すると、図7(b)に示すように、点火プラグPG→二次コイルL2→ダイオードD5→電流制限抵抗R4→コンデンサC1の経路で電流が流れるので、点火プラグPGの中心電極の電位Vb’が急激に低下する一方で、ダイオードD1のカソード端子の電位Va’は増加する。
ここで、点火プラグPGの帯電電荷の放電動作について、その開始タイミングを検討する。ダイオードD1のカソード端子の電位Va’は、点火プラグPGの帯電電荷の放電開始タイミングでは、Va’=−V2+Vf+V1であり、前記したV2=V1+2*Vfの関係を代入すると、Va’は、マイナス電位の−Vfとなる(図6(a)参照)。これに対して、図6(d)に示す実施例2の場合には、点火プラグPGの帯電電荷の放電開始タイミングにおける、同一点の電位Vaは、V1+2Vf=Vz1であり、250〜350V程度のプラス電位である。なお、ここでは、便宜上、ツェナーダイオードZD1の順方向電圧降下を、ダイオードD2の順方向電圧降下と同一値のVfとした。
以上の関係から明らかなように、実施例2と実施例3では、点火プラグPGの帯電電荷の放電開始時におけるダイオードD1のカソード端子の電位Va,Va’が、Va>>Va’である点で大きく相違する。そのため、実施例3では、点火プラグPG→二次コイルL2→ダイオードD5→電流制限抵抗R4→コンデンサC1の経路で急激に電位Vb’が低下して、Va’=Vb’の条件が成立する。そして、実施例3においてVa’=Vb’が成立したタイミングと、実施例2においてVa=Vbが成立したタイミングとで、点火プラグPGの中心電極の電位Vb’Vbを比較すると、Vb’<Vbとなり、実施例3の方が、より低いレベルまで点火プラグPGの両端電圧を降下させることができる。なお、Vb’=Va’となった後は、点火プラグPG→二次コイルL2→ダイオードD5→電流制限抵抗R4の放電経路が機能しない点は、実施例3も実施例2と同じである。
但し、コンデンサC2のキャパシタンス値は、点火プラグPGのキャパシタンス値(例えば15pF程度)より適宜に大きい値に設定されているので、実施例3において、Va’=Vb’の条件が成立したタイミングでは、未だ、コンデンサC2の電荷は、図6(b)に示す極性を維持している。そのため、その後は、図6(b)に示すように、抵抗R2→ダイオードD2→コンデンサC2の経路で、コンデンサC2が引き続き正方向に充電される。つまり、ダイオードD1のカソード端子の電位Va’は、コンデンサC2の正方向の充電によって引き続き増加する。このように、実施例3では、点火プラグPGの帯電電荷の自然放電を待つことなく、速やかに、Va’=Vb’+VFの条件が成立することになり、実施例2の場合より早期にイオン電流を検出することができる。
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、具体的な回路構成は、何ら本発明を限定するものではない。
L1 一次コイル
L2 二次コイル
1 点火トランス
2 スイッチング素子
3 バイアス回路
4 電流検出回路
PG 点火プラグ
C1 第1コンデンサ
ZD1 第1ツェナーダイオード
R1 抵抗素子
L2 二次コイル
1 点火トランス
2 スイッチング素子
3 バイアス回路
4 電流検出回路
PG 点火プラグ
C1 第1コンデンサ
ZD1 第1ツェナーダイオード
R1 抵抗素子
Claims (6)
- 一次コイル(L1)と二次コイル(L2)が電磁結合されてなる点火トランス(1)と、一次コイル(L1)の電流をON/OFF制御するスイッチング素子(2)と、スイッチング素子(2)のOFF動作時に二次コイル(L2)に誘起される高電圧に基づいてグランドに向けて放電する点火プラグ(PG)と、第1コンデンサ(C1)及び第1ツェナーダイオード(ZD1)を有し、点火プラグ(PG)の放電時に、二次コイル(L2)に誘起される高電圧に基づいて第1ツェナーダイオード(ZD1)の降伏電圧に対応するレベルまで第1コンデンサ(C1)が充電されるよう構成されたバイアス回路(3)と、第1コンデンサ(C1)の放電電流を検出する電流検出回路(4)と、を有して構成され、
第1コンデンサ(C1)に、第1ダイオード(D1)と第2ダイオード(D2)とを直列接続すると共に、これらの直列回路を、第1ツェナーダイオード(ZD1)に並列接続し、
第1コンデンサ(C1)と第1ダイオード(D1)の接続点と、点火プラグ(PG)との間に第4ダイオード(D4)を配置し、
第1ツェナーダイオード(ZD1)と二次コイル(L2)の間に、第3ダイオード(D3)を配置すると共に、二次コイル(L2)とグランドの間に、第2ツェナーダイオード(ZD2)と抵抗素子(R1)の直列回路を配置し、
点火放電を終えた点火プラグから、降伏状態の第2ツェナーダイオード(ZD2)及び抵抗素子(R1)に電流が流れ込むよう構成されたことを特徴とするイオン電流検出装置。 - 一次コイル(L1)と二次コイル(L2)が電磁結合されてなる点火トランス(1)と、一次コイル(L1)の電流をON/OFF制御するスイッチング素子(2)と、スイッチング素子(2)のOFF動作時に二次コイル(L2)に誘起される高電圧に基づいてグランドに向けて放電する点火プラグ(PG)と、第1コンデンサ(C1)及び第1ツェナーダイオード(ZD1)を有し、点火プラグ(PG)の放電時に、二次コイル(L2)に誘起される高電圧に基づいて第1ツェナーダイオード(ZD1)の降伏電圧に対応するレベルまで第1コンデンサ(C1)が充電されるよう構成されたバイアス回路(3)と、第1コンデンサ(C1)の放電電流を検出する電流検出回路(4)と、を有して構成され、
第1コンデンサ(C1)に、第1ダイオード(D1)と第2ダイオード(D2)とを直列接続すると共に、これらの直列回路を、第1ツェナーダイオード(ZD1)に並列接続し、
第1コンデンサ(C1)と第1ダイオード(D1)の接続点と、点火プラグ(PG)との間に第4ダイオード(D4)を配置し、
第1ツェナーダイオード(ZD1)と二次コイル(L2)の間に、第3ダイオード(D3)を配置すると共に、第1コンデンサ(C1)と第1ダイオード(D1)の接続点と、二次コイル(L2)との間に、第5ダイオード(ZD2)と抵抗素子(R4)の直列回路を配置し、
点火放電を終えた点火プラグから、第5ダイオード(D5)と抵抗素子(R4)とを経由して、第1コンデンサ(C1)に電流が流れ込むよう構成されたことを特徴とするイオン電流検出装置。 - 第1ツェナーダイオード(ZD1)には、第2コンデンサ(C2)が並列接続されている請求項2に記載のイオン電流検出装置。
- 第2コンデンサ(C2)は、前記点火プラグ(PG)のキャパシタンス値より大きく設定されている請求項3に記載のイオン電流検出装置。
- 前記電流検出回路は、反転入力端子と出力端子間に帰還抵抗(R3)を配置したOPアンプで構成され、
第1コンデンサ(C1)の放電電流が、前記帰還抵抗に流れるよう構成されている請求項1〜4の何れかに記載のイオン電流検出装置。 - 一次コイル(L1)と二次コイル(L2)は、コイル巻線が互いに逆相に巻かれている請求項1〜5の何れかに記載のイオン電流検出装置。
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