JP5408585B2 - 鉄鋼製品の結晶粒の微細化方法 - Google Patents
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鉄鋼材料の冷却過程において、冷却速度の制御、撹拌、所定の元素の配合等により、
デルタ相からガンマ相への変態を凝固界面付近に形成させ、
さらに形成されたデルタ相とガンマ相の境界の温度が包晶温度から所定の範囲内にある様にし、
同じくデルタ相とガンマ相の境界で固相率が所定の臨界値以下である様にし、
デルタ相とガンマ相の境界を溶解させる相境界溶解工程を有していることを特徴とする鉄鋼製品の結晶粒の微細化方法である。
前記相境界溶解工程は、
凝固界面付近において、デルタ相からなるデンドライトを成長させるデルタ相デンドライト成長ステップと、
成長しつつあるデンドライトの冷却側をガンマ相に変態させ、デルタ相とガンマ相の境界とデンドライトの先端との距離を冷却時間の経過と共に短縮させるデンドライト内ガンマ相成長ステップと、
前記ガンマ相の成長に伴いデンドライトの先端との距離が所定の距離より小さくなった時点で、デルタ相とガンマ相の境界を溶解させ、デルタ相からなる先端側のデンドライトを分断して液相内に移動させるデンドライト分断ステップを、
を有していることを特徴とする第1の技術に記載の鉄鋼製品の結晶粒の微細化方法である。
前記相境界溶解工程はさらに、
前記液相内に移動したデルタ相からなる先端側のデンドライトを基に、新たにデルタ相からなるデンドライトを成長させる分断デンドライト成長ステップを、
有していることを特徴とする第2の技術に記載の鉄鋼製品の結晶粒の微細化方法である。
前記相境界溶解工程は、冷却速度の制御により成されるものであり、
前記デンドライト内ガンマ相成長ステップと、前記デンドライト分断ステップにおける冷却速度は、前記デルタ相デンドライト成長ステップにおける冷却速度の70%以下であることを特徴とする第2の技術または第3の技術に記載の鉄鋼製品の結晶粒の微細化方法である。
前記デンドライト内ガンマ相成長ステップにおける冷却速度は150℃/s以下であることを特徴とする第4の技術に記載の鉄鋼製品の結晶粒の微細化方法である。
前記鉄鋼材料は、普通鋼で、炭素は0.4〜0.9mass%であることを特徴とする第1の技術ないし第5の技術のいずれかに記載の鉄鋼製品の結晶粒の微細化方法である。
前記相境界溶解工程は、
デルタ相からガンマ相に変態した凝固シェルの一部を、ガンマ相への変態後、所定時間内に包晶温度以上に加熱して、前記凝固シェルの一部を溶解させると共に、デルタ相を形成させるガンマ相加熱ステップと、
形成された前記デルタ相とガンマ相の境界を溶解させる溶解ステップを
有していることを特徴とする第1の技術に記載の鉄鋼製品の結晶粒の微細化方法である。
前記ガンマ相加熱ステップは、
電磁的な撹拌により凝固シェル内の液相の熱を、デルタ相から変態したガンマ相に移動させて、当該箇所のデルタ相を包晶温度以上に加熱するものであることを特徴とする第7の技術に記載の鉄鋼製品の結晶粒の微細化方法である。
前記鉄鋼材料は、普通鋼かつ炭素は0.1〜0.5mass%であることを特徴とする第7の技術または第8の技術に記載の鉄鋼製品の結晶粒の微細化方法である。
鉄鋼材料の冷却過程において、冷却速度の制御、撹拌、所定の元素の配合等により、デルタ相からガンマ相への変態を凝固界面付近に形成させ、さらに形成されたデルタ相とガンマ相の境界の温度が包晶温度から所定の範囲内にある様にし、同じくデルタ相とガンマ相の境界で固相率が所定の臨界値以下である様にし、それらの結果デルタ相とガンマ相の境界が溶解する様子を、18〜30keVの単色X線、あるいはそのエネルギー領域を含む白色X線でリアルタイムに観察して、デルタ相とガンマ相の境界が包晶温度の近傍で溶解する温度条件、組成の条件、臨界固相率等の条件を測定し、取得するデータ取得工程と、
前記データ取得工程で得られた温度条件、組成の条件、臨界固相率等の条件を基に、鉄鋼材料の製造における温度条件、組成の条件、臨界固相率等の条件を制御して、デルタ相とガンマ相の境界を包晶温度の近傍で溶解させて分断する相境界溶解工程を、
有していることを特徴とする鉄鋼製品の結晶粒の微細化方法である。
前記相境界溶解工程は、
普通鋼かつ炭素は0.4〜0.9mass%の鉄鋼材料を製造するものであり、
デンドライト内におけるガンマ相の成長は、150℃/s以下の冷却速度の下で成長させるものであり、
デルタ相が成長したのちガンマ相への変態をさせ、さらに形成されたデルタ相とガンマ相の境界を溶解させる際の冷却速度は、前記デルタ相のデンドライトが成長する際の冷却速度の70%以下であることを特徴とする第10の技術に記載の鉄鋼製品の結晶粒の微細化方法である。
前記相境界溶解工程は、
普通鋼かつ炭素は0.1〜0.5mass%の鉄鋼材料を製造するものであり、
凝固シェル内のデルタ相からガンマ相に変態した箇所の一部を、ガンマ相への変態後、所定時間内に包晶温度以上に加熱して溶解させると共に、デルタ相を形成させ、次いで形成されたデルタ相とガンマ相の境界を溶解させるものであることを特徴とする第10の技術に記載の鉄鋼製品の結晶粒の微細化方法である。
前記相境界溶解工程は、
デルタ相とガンマ相の境界が溶解し、さらにデルタ相が分離されるために、
デルタ相とガンマ相の境界の温度を包晶温度近傍とし、
またデルタ相とガンマ相の境界の固相率を所定の値以下とするものであることを特徴とする第10の技術ないし第12の技術のいずれかに記載の鉄鋼製品の結晶粒の微細化方法である。
前記相境界溶解工程は、
分離されたデンドライトが位置する箇所の温度を液相線以下に調節し、分離されたデルタ相のデンドライトを種として新たに結晶を成長させる分断デンドライト成長ステップを有していることを特徴とする第10の技術ないし第13の技術のいずれかに記載の鉄鋼製品の結晶粒の微細化方法である。
前記相境界溶解工程は、
所定の元素を配合して、液相線温度と、包晶温度の少なくとも一方を調節する元素配合温度調節ステップを有していることを特徴とする第1の技術ないし第14の技術のいずれかに記載の鉄鋼製品の結晶粒の微細化方法である。
鉄鋼材料の冷却過程において、
デルタ相からガンマ相への変態を凝固界面付近に形成させ、
さらに形成されたデルタ相とガンマ相の境界の温度が包晶温度±15℃である様にし、
同じくデルタ相とガンマ相の境界で固相率が40%以下である様にし、
デルタ相とガンマ相の境界を溶解させる相境界溶解工程を有していることを特徴とする鉄鋼製品の結晶粒の微細化方法である。
前記相境界溶解工程は、
凝固界面付近において、デルタ相からなるデンドライトを成長させるデルタ相デンドライト成長ステップと、
成長しつつあるデンドライトの冷却側をガンマ相に変態させ、デルタ相とガンマ相の境界とデンドライトの先端との距離を冷却時間の経過と共に短縮させるデンドライト内ガンマ相成長ステップと、
前記ガンマ相の成長に伴いデンドライトの先端との距離が、デルタ相の液相線温度と包晶温度マイナス15℃の温度差をその位置における温度勾配で割った距離より小さくなった時点で、デルタ相とガンマ相の境界を溶解させ、デルタ相からなる先端側のデンドライトを分断して液相内に移動させるデンドライト分断ステップ
を有していることを特徴とする請求項1に記載の鉄鋼製品の結晶粒の微細化方法である。
前記相境界溶解工程はさらに、
前記液相内に移動したデルタ相からなる先端側のデンドライトを基に、新たにデルタ相からなるデンドライトを成長させる分断デンドライト成長ステップを、
有していることを特徴とする請求項2に記載の鉄鋼製品の結晶粒の微細化方法である。
前記相境界溶解工程は、冷却速度の制御により成されるものであり、
前記デンドライト内ガンマ相成長ステップと、前記デンドライト分断ステップにおける冷却速度は、前記デルタ相デンドライト成長ステップにおける冷却速度の70%以下であることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の鉄鋼製品の結晶粒の微細化方法である。
前記デンドライト内ガンマ相成長ステップにおける冷却速度は150℃/s以下であることを特徴とする請求項4に記載の鉄鋼製品の結晶粒の微細化方法である。
前記鉄鋼材料は、普通鋼で、炭素は0.4〜0.9mass%であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の鉄鋼製品の結晶粒の微細化方法である。
前記相境界溶解工程は、
デルタ相からガンマ相に変態した凝固シェルの一部を、ガンマ相への変態後、所定時間内に包晶温度以上に加熱して、前記凝固シェルの一部を溶解させると共に、デルタ相を形成させるガンマ相加熱ステップと、
形成された前記デルタ相とガンマ相の境界を溶解させる溶解ステップを
有していることを特徴とする請求項1に記載の鉄鋼製品の結晶粒の微細化方法である。
前記ガンマ相加熱ステップは、
電磁的な撹拌により凝固シェル内の液相の熱を、デルタ相から変態したガンマ相に移動させて、当該箇所のデルタ相を包晶温度以上に加熱するものであることを特徴とする請求項7に記載の鉄鋼製品の結晶粒の微細化方法である。
前記鉄鋼材料は、普通鋼かつ炭素は0.1〜0.5mass%であることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の鉄鋼製品の結晶粒の微細化方法である。
鉄鋼材料の冷却過程において、デルタ相からガンマ相への変態を凝固界面付近に形成させ、さらに形成されたデルタ相とガンマ相の境界の温度が包晶温度±15℃である様にし、同じくデルタ相とガンマ相の境界で固相率が40%以下である様にし、それらの結果デルタ相とガンマ相の境界が溶解する様子を、18〜30keVの単色X線、あるいはそのエネルギー領域を含む白色X線でリアルタイムに観察して、デルタ相とガンマ相の境界が包晶温度の近傍で溶解する条件を測定し、取得するデータ取得工程と、
前記データ取得工程で得られた条件を基に、鉄鋼材料の製造における条件を制御して、デルタ相とガンマ相の境界を包晶温度の近傍で溶解させて分断する相境界溶解工程を、
有していることを特徴とする鉄鋼製品の結晶粒の微細化方法である。
前記相境界溶解工程は、
普通鋼かつ炭素は0.4〜0.9mass%の鉄鋼材料を製造するものであり、
デンドライト内におけるガンマ相の成長は、150℃/s以下の冷却速度の下で成長させるものであり、
デルタ相が成長したのちガンマ相への変態をさせ、さらに形成されたデルタ相とガンマ相の境界を溶解させる際の冷却速度は、前記デルタ相のデンドライトが成長する際の冷却速度の70%以下であることを特徴とする請求項10に記載の鉄鋼製品の結晶粒の微細化方法である。
前記相境界溶解工程は、
普通鋼かつ炭素は0.1〜0.5mass%の鉄鋼材料を製造するものであり、
凝固シェル内のデルタ相からガンマ相に変態した箇所の一部を、ガンマ相への変態後、所定時間内に包晶温度以上に加熱して溶解させると共に、デルタ相を形成させ、次いで形成されたデルタ相とガンマ相の境界を溶解させるものであることを特徴とする請求項10に記載の鉄鋼製品の結晶粒の微細化方法である。
前記相境界溶解工程は、
デルタ相とガンマ相の境界が溶解し、さらにデルタ相が分離されるために、
デルタ相とガンマ相の境界の温度を包晶温度近傍とし、
またデルタ相とガンマ相の境界の固相率を40%以下とするものであることを特徴とする請求項10ないし請求項12のいずれか1項に記載の鉄鋼製品の結晶粒の微細化方法である。
前記相境界溶解工程は、
分離されたデンドライトが位置する箇所の温度を液相線以下に調節し、分離されたデルタ相のデンドライトを種として新たに結晶を成長させる分断デンドライト成長ステップを有していることを特徴とする請求項10ないし請求項13のいずれか1項に記載の鉄鋼製品の結晶粒の微細化方法である。
前記相境界溶解工程は、
Mn、Co、Cu、Nb、Ni、Si、Al、Cr、Mo、P、Sn、Ti、V、Wから選択された元素を配合して、液相線温度と、包晶温度の少なくとも一方を調節する元素配合温度調節ステップを有していることを特徴とする請求項1ないし請求項14のいずれか1項に記載の鉄鋼製品の結晶粒の微細化方法である。
鉄鋼材料の組成は多種多様であり、また組成に応じて融点や各変態点とも変化する。そこで、本発明を適切に実施するためには、実施対象の材料と同じ組成の試料を対象に予め包晶変態がなされる温度の付近における凝固や相の変態等の過程を観察し、柱状結晶から等軸晶へ遷移する温度、冷却速度、温度勾配等について必要なデータを取得し、あるいは確認しておくことが好ましい。また、鉄鋼材料に各種の元素が配合される場合のδ相とγ相の平衡温度に及ぼす影響等についても必要なデータを取得しておくことが好ましい。以下、データを取得するための手段について説明する。
イ.観察装置
図1は、鉄鋼材料の凝固過程をリアルタイムで観察する観察装置の構成を概念的に示す図である。図1において、19は試料であり、51はX線スリットであり、52はチャンバであり、53はグラファイトヒータであり、54はX線検出器(2次元)であり、55は図示しないX線発生源から照射されたX線ビームである。
試料の厚さは、用いるX線ビームのエネルギーの大きさに応じて適宜設定されるが、例えば20keVのX線ビームを用いる場合には50〜200μm程度である。
イ.溶融方法
まず、グラファイトヒータにより試料19を0.1℃/s(秒)〜1℃/sで昇温する様に加熱し、一旦融点より多少高い温度まで昇温して試料を溶解させ、溶融状態を1分以上保持する。
次に、0.1〜2K/sの範囲の速度で冷却し、δ相のデンドライトを形成させる。次いで、さらなる温度の低下によりデンドライトの冷却側にγ相が形成されるが、この時点で冷却速度を30%以上低下させるか一定温度に保持し、これによりデンドライト内におけるδ相とγ相との相境界がデンドライトの先端に近づく様にする。相境界がデンドライトの先端からある距離以内に近づき、また相境界の温度が包晶温度近傍まで温度で上昇と、相境界の溶解を確認することができる。なお、この時の試料中の温度勾配は1〜3K/mmであり、δ相のデンドライトの成長速度は5〜200μm/sの範囲であった。
以下、2種類の鉄鋼材料について、データの取得を行った例について説明する。
本例は、0.58mass%C、0.6mass%Mn、0.3mass%Siの炭素鋼の凝固過程におけるデータの取得を行った例である。図2は、本例の炭素鋼の凝固過程においてδ相とγ相の相境界でデンドライトが溶断した様子を示すX線透透過像である。本例の場合1.7K/sの速度で冷却することによりδ相のデンドライトが成長し、その低温側にγ相が発生している様子と、かかる現象が生じた時点で冷却を停止することによりδ相とγ相との相境界でデンドライトが溶断(分断)し、その結果δ相のデンドライトが分離された状態(折れ曲っている状態)とを示している。なお、分断されたデンドライトがその場の留まった場合やデンドライトの分断位置における固相率が高く移動できない場合には、分岐柱状晶様の組織が形成される。例えば、図2において溶断し折れ曲がったデンドライトが液相に移動しない場合は分岐柱状晶が形成される。
Cの含有量が0.45mass%C以下の炭素鋼では、δ相からγ相への変態が非平衡で生じる場合がある。δ相が包晶温度より低温となり、かつ固相率が高い状態では数秒以内にγ相に変態するが、この状態ではδ相とγ相との相境界での溶断は生じない。即ち、図3は、0.44mass%Cの炭素鋼(S45C)の凝固過程において生成したδ相とδ相がγ相へ変態した3秒後の状態を示すX線透過像である。本炭素鋼の場合は、δ相が包晶温度以下の温度にまで過冷し、過冷状態で、かつ、固相率の高い状態でγ相へ変態する。このような変態モードではδ相とγ相との相境界での溶解は生じない。
δ相とγ相の相境界が溶断することは、従来の知見では全く予想できなかった現象であり、また本発明の原理、ポイントに関わる。以下、前記のデータの取得例等の観察結果を踏まえて、溶断の機構および溶断が生じる条件を説明する。
(2)δ相とγ相の相境界が包晶温度に保持されて条件では、微量の液相が形成されてもバルクの自由エネルギーは増加しない。
各組成の鉄鋼材料に対して、以上の方法で取得した適切な冷却条件、包晶温度等のデータを、実際の連続鋳造、鋳造等に利用することとなる。
R = G x V
の関係が成り立つ。図1に示した観察装置を用いて得られたデンドライトの溶断の条件は上式を用いて実際の連続鋳造における条件の評価に用いることができる。
(1)第1の実施の形態
本実施の形態は、デンドライトが発生し、成長する過程において、液相線温度になった時に比べて、包晶変態点近傍の温度になった時点での冷却を多少遅らせ、包晶変態を制御してデンドライトを溶断させることに関する。
本実施の形態は、δ相からγ相へ変態している凝固シェルを加熱し、凝固先端付近にδ相を形成し、δ相とγ相との相境界を溶解させて固相を溶断させるものである。
51 X線スリット
52 チャンバ
53 グラファイトヒータ
54 X線検出器
55 X線ビーム
Claims (15)
- 鉄鋼材料の冷却過程において、
デルタ相からガンマ相への変態を凝固界面付近に形成させ、
さらに形成されたデルタ相とガンマ相の境界の温度が包晶温度±15℃である様にし、
同じくデルタ相とガンマ相の境界で固相率が40%以下である様にし、
デルタ相とガンマ相の境界を溶解させる相境界溶解工程を有していることを特徴とする鉄鋼製品の結晶粒の微細化方法。 - 前記相境界溶解工程は、
凝固界面付近において、デルタ相からなるデンドライトを成長させるデルタ相デンドライト成長ステップと、
成長しつつあるデンドライトの冷却側をガンマ相に変態させ、デルタ相とガンマ相の境界とデンドライトの先端との距離を冷却時間の経過と共に短縮させるデンドライト内ガンマ相成長ステップと、
前記ガンマ相の成長に伴いデンドライトの先端との距離が、デルタ相の液相線温度と包晶温度マイナス15℃の温度差をその位置における温度勾配で割った距離より小さくなった時点で、デルタ相とガンマ相の境界を溶解させ、デルタ相からなる先端側のデンドライトを分断して液相内に移動させるデンドライト分断ステップ
を有していることを特徴とする請求項1に記載の鉄鋼製品の結晶粒の微細化方法。 - 前記相境界溶解工程はさらに、
前記液相内に移動したデルタ相からなる先端側のデンドライトを基に、新たにデルタ相からなるデンドライトを成長させる分断デンドライト成長ステップを、
有していることを特徴とする請求項2に記載の鉄鋼製品の結晶粒の微細化方法。 - 前記相境界溶解工程は、冷却速度の制御により成されるものであり、
前記デンドライト内ガンマ相成長ステップと、前記デンドライト分断ステップにおける冷却速度は、前記デルタ相デンドライト成長ステップにおける冷却速度の70%以下であることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の鉄鋼製品の結晶粒の微細化方法。 - 前記デンドライト内ガンマ相成長ステップにおける冷却速度は150℃/s以下であることを特徴とする請求項4に記載の鉄鋼製品の結晶粒の微細化方法。
- 前記鉄鋼材料は、普通鋼で、炭素は0.4〜0.9mass%であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の鉄鋼製品の結晶粒の微細化方法。
- 前記相境界溶解工程は、
デルタ相からガンマ相に変態した凝固シェルの一部を、ガンマ相への変態後、所定時間内に包晶温度以上に加熱して、前記凝固シェルの一部を溶解させると共に、デルタ相を形成させるガンマ相加熱ステップと、
形成された前記デルタ相とガンマ相の境界を溶解させる溶解ステップを
有していることを特徴とする請求項1に記載の鉄鋼製品の結晶粒の微細化方法。 - 前記ガンマ相加熱ステップは、
電磁的な撹拌により凝固シェル内の液相の熱を、デルタ相から変態したガンマ相に移動させて、当該箇所のデルタ相を包晶温度以上に加熱するものであることを特徴とする請求項7に記載の鉄鋼製品の結晶粒の微細化方法。 - 前記鉄鋼材料は、普通鋼かつ炭素は0.1〜0.5mass%であることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の鉄鋼製品の結晶粒の微細化方法。
- 鉄鋼材料の冷却過程において、デルタ相からガンマ相への変態を凝固界面付近に形成させ、さらに形成されたデルタ相とガンマ相の境界の温度が包晶温度±15℃である様にし、同じくデルタ相とガンマ相の境界で固相率が40%以下である様にし、それらの結果デルタ相とガンマ相の境界が溶解する様子を、18〜30keVの単色X線、あるいはそのエネルギー領域を含む白色X線でリアルタイムに観察して、デルタ相とガンマ相の境界が包晶温度の近傍で溶解する条件を測定し、取得するデータ取得工程と、
前記データ取得工程で得られた条件を基に、鉄鋼材料の製造における条件を制御して、デルタ相とガンマ相の境界を包晶温度の近傍で溶解させて分断する相境界溶解工程を、
有していることを特徴とする鉄鋼製品の結晶粒の微細化方法。 - 前記相境界溶解工程は、
普通鋼かつ炭素は0.4〜0.9mass%の鉄鋼材料を製造するものであり、
デンドライト内におけるガンマ相の成長は、150℃/s以下の冷却速度の下で成長させるものであり、
デルタ相が成長したのちガンマ相への変態をさせ、さらに形成されたデルタ相とガンマ相の境界を溶解させる際の冷却速度は、前記デルタ相のデンドライトが成長する際の冷却速度の70%以下であることを特徴とする請求項10に記載の鉄鋼製品の結晶粒の微細化方法。 - 前記相境界溶解工程は、
普通鋼かつ炭素は0.1〜0.5mass%の鉄鋼材料を製造するものであり、
凝固シェル内のデルタ相からガンマ相に変態した箇所の一部を、ガンマ相への変態後、所定時間内に包晶温度以上に加熱して溶解させると共に、デルタ相を形成させ、次いで形成されたデルタ相とガンマ相の境界を溶解させるものであることを特徴とする請求項10に記載の鉄鋼製品の結晶粒の微細化方法。 - 前記相境界溶解工程は、
デルタ相とガンマ相の境界が溶解し、さらにデルタ相が分離されるために、
デルタ相とガンマ相の境界の温度を包晶温度近傍とし、
またデルタ相とガンマ相の境界の固相率を40%以下とするものであることを特徴とする請求項10ないし請求項12のいずれか1項に記載の鉄鋼製品の結晶粒の微細化方法。 - 前記相境界溶解工程は、
分離されたデンドライトが位置する箇所の温度を液相線以下に調節し、分離されたデルタ相のデンドライトを種として新たに結晶を成長させる分断デンドライト成長ステップを有していることを特徴とする請求項10ないし請求項13のいずれか1項に記載の鉄鋼製品の結晶粒の微細化方法。 - 前記相境界溶解工程は、
Mn、Co、Cu、Nb、Ni、Si、Al、Cr、Mo、P、Sn、Ti、V、Wから選択された元素を配合して、液相線温度と、包晶温度の少なくとも一方を調節する元素配合温度調節ステップを有していることを特徴とする請求項1ないし請求項14のいずれか1項に記載の鉄鋼製品の結晶粒の微細化方法。
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