<A:第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る電気光学装置10の構成を示すブロック図である。この電気光学装置10は、画像を表示するための手段として各種の電子機器に採用される装置であり、複数の画素回路11が面状に配列された画素アレイ部100と、走査線駆動回路20と、データ線駆動回路30と、制御回路40とを有する。
図1に示すように、画素アレイ部100には、X方向に延在するm本の走査線102と、X方向に直交するY方向に延在する3n本のデータ線104とが設けられる(mおよびnは自然数)。各画素回路11は、走査線102とデータ線104との交差に対応する位置に配置される。従って、これらの画素回路Pは縦m行×横3n列のマトリクス状に配列する。各画素回路11は、間隔をあけて対向する画素電極および対向電極と両者間の液晶とで構成される液晶素子を含む。各液晶素子の透過率(図示しないバックライトから液晶素子に照射される光のうち観察側に透過する光量の割合)は、当該液晶素子に印加される電圧に応じて変化する。本実施形態では、液晶素子に印加される電圧が大きいほど液晶素子の透過率が大きくなるノーマリーブラックモードである。
走査線駆動回路20は、複数の画素回路11を水平走査期間(1H)ごとに行単位で選択するための回路である。走査線駆動回路20は、順次アクティブになる走査信号G1〜Gmをm本の走査線102の各々に出力する。第i行(1≦i≦m)の走査線102に出力される走査信号Giのアクティブレベルへの遷移は、第i行の選択を意味する。
本実施形態においては、3n本のデータ線104は、相隣接する3本(104[1],104[2],104[3])を単位としてn個のブロックB(B1,B2,・・・Bn)に区分される。図1に示すように、各ブロックBに含まれる3本のデータ線104のうち左から数えて第1列目のデータ線104[1]に対応する各画素回路11の表示色は「R(赤色)」である。また、左から数えて第2列目のデータ線104[2]に対応する各画素回路11の表示色は「G(緑色)」である。さらに、左から数えて第3列目のデータ線104[3]に対応する各画素回路11の表示色は「B(青色)」である。
図1に示す制御回路40は、電気光学装置10の全体の動作を制御するための回路である。制御回路40は、走査線駆動回路20やデータ線駆動回路30に対してクロック信号などの制御信号を出力するほか、サンプリング信号S1〜S3を生成して各々をサンプリング信号線41a〜41cに出力する。
データ線駆動回路30は、各ブロックBに対応するn個の選択部50と、信号出力回路32と、各ブロックBに対応するn本の画像信号線106とを有する。図1に示すように、各選択部50は画像信号線106とデータ線104との間に各々が配置される3つのスイッチング素子51を備える。各スイッチング素子51のゲートは、サンプリング信号線41に接続される。より具体的には、各ブロックBのデータ線104[1]に対応する各スイッチング素子51のゲートはサンプリング信号線41aに並列的に接続され、データ線104[2]に対応する各スイッチング素子51のゲートはサンプリング信号線41bに並列的に接続され、データ線104[3]に対応する各スイッチング素子51のゲートはサンプリング信号線41cに並列的に接続される。
サンプリング信号Sf(f=1〜3)がアクティブレベルに遷移すると、各ブロックBのデータ線104[f]に対応するn個のスイッチング素子51が一斉にオン状態になり、各ブロックBのデータ線104[f]と当該ブロックBに対応する画像信号線106とが導通する。例えばサンプリング信号S1がアクティブレベルに遷移すると、各ブロックBのデータ線104[1]に対応するn個のスイッチ素子51が一斉にオン状態になり、各ブロックBのデータ線104[1]と当該ブロックBに対応する画像信号線106とが導通するという具合である。本実施形態では、サンプリング信号Sfのアクティブレベルへの遷移は、各ブロックBにおける第f列目のデータ線104[f]の選択を意味する。
信号出力回路32は、各ブロックBに対応するn系統の階調信号dを生成して各画像信号線106に出力する。各画像信号線106に供給される階調信号dは、当該画像信号線106に対応するブロックBの3列分のデータ線104と選択された走査線102との各交差に対応する3つの画素回路11の階調を時分割で指定する電圧信号である。
図2は、電気光学装置10の動作を示すタイミングチャートである。図2に示すように、走査線駆動回路20から出力される走査信号Giは、水平走査期間(1H)ごとに順番にハイレベル(アクティブレベル)になる。すなわち、走査信号Giは、垂直走査期間のうち第i番目の水平走査期間においてハイレベルを維持するとともにそれ以外の期間ではローレベル(非アクティブレベル)を維持する。
図2に示すように、ひとつの水平走査期間Hは、当該水平走査期間Hの開始時点から所定期間が経過するまでのプリチャージ期間Tpと、プリチャージ期間Tpの経過後の第1期間T1と、第1期間T1の経過後の第2期間T2と、第2期間T2の経過後の第3期間T3とを有する。図2においては第1行目の走査線102が選択される最初の水平走査期間Hのみが例示されているが、他の水平走査期間Hについても同様である。
プリチャージ期間Tpは、3n本のデータ線104に対して共通のプリチャージ電位Vpを一斉に供給(プリチャージ)する期間である。図2に示すように、プリチャージ期間Tpにおいて、サンプリング信号S1ないしS3は一斉にハイレベル(アクティブレベル)に遷移する。これにより、各ブロックBに属する3つのスイッチング素子51は一斉にオン状態になる。プリチャージ期間Tpにおいて、データ線駆動回路30から各画像信号線106へ出力される階調信号dはプリチャージ電位Vpに設定され、総てのデータ線104に対してプリチャージ電位Vpが一斉に供給される。本実施形態においては、プリチャージ電位Vpは、各画素回路11に供給された場合に中間の階調(灰色)を表示させる電位に設定される。プリチャージ期間Tpが終了すると、サンプリング信号S1ないしS3は一斉にローレベルに遷移し、各ブロックBに属する3つのスイッチング素子51は一斉にオフ状態になる。
図2に示すように、第1期間T1〜第3期間T3にて3系統のサンプリング信号S(S1〜S3)が順番にアクティブレベルに遷移する。図2に示すように、第1期間T1においては、サンプリング信号S1がハイレベルに遷移する一方、サンプリング信号S2およびS3はローレベルを維持する。従って、各ブロックBのデータ線104[1]に対応するスイッチング素子51がオン状態に遷移して、各ブロックBのデータ線[1]と当該ブロックBに対応する画像信号線106とが導通する。第1期間T1において、信号出力回路32から各画像信号線106に供給される階調信号dは、当該画像信号線106に対応するブロックBにおけるデータ線104[1]と、選択された走査線102との交差に対応する画素回路11の階調に応じた電位VRに設定され、当該電位VRがデータ線104[1]に供給される。
同様に、第2期間T2においては、各選択部50の第2段目のスイッチング素子51がハイレベルのサンプリング信号S2によってオン状態に遷移することで、各ブロックBのデータ線104[2]に電位VGの階調信号dが供給される。また、第3期間T3においては、各選択部50の第3段目のスイッチング素子51がハイレベルのサンプリング信号S3によってオン状態に遷移することで、各ブロックBのデータ線104[3]に電位VBの階調信号dが供給される。
一方、図2に示すように、サンプリング信号Sfは、プリチャージ期間Tpおよび期間Tf以外の期間においてローレベルを維持するから、当該期間においてデータ線104[f]は電気的にフローティング状態である。
ところで、隣接するデータ線104間には寄生容量が付随する。例えば図1において、第k+1番目のブロックBk+1(1≦k≦n−1)のデータ線104[1]は、ブロックBk+1のデータ線104[2]と容量的に結合するとともに、ブロックBk+1から見てX方向の負側に隣接する第k番目のブロックBkのデータ線104[3]と容量的に結合する。また、ブロックBk+1のデータ線104[2]はブロックBk+1のデータ線104[1]およびデータ線104[3]と容量的に結合する。
いま、第1期間T1にてデータ線104[1]に供給される電位VRを中間階調に対応する電位Vg(=Vp)とし、第2期間T2にてデータ線104[2]に供給される電位VGを黒色に対応する電位Vm(<Vp)とし、第3期間T3にてデータ線104[3]に供給される電位VBを黒色に対応する電位Vmとする場合を考える。
図2に示すように、第2期間T2の始点t1において、データ線104[2]の電位はプリチャージ電位Vpから電位Vmへ変化する。第2期間T2において、データ線104[1]は電気的にフローティング状態であるから、図2に示すように、時点t1でデータ線104[2]の電位が変化すると、データ線104[2]と容量的に結合するデータ線104[1]の電位は第1期間T1で設定された電位Vgからデータ線104[2]の電位の変化量(Vp→Vm)に応じた電位△V1だけ変化する。
第3期間T3の始点t2においても同様に、各ブロックBのデータ線104[3]の電位はプリチャージ電位Vpから電位Vmへ変化する。第3期間T3において、データ線104[1]およびデータ線104[3]は電気的にフローティング状態であるから、図2に示すように、時点t2でデータ線104[3]の電位が変化すると、データ線104[3]と容量的に結合するデータ線104[2]の電位は第2期間T2で設定された電位Vmからデータ線104[3]の電位の変化量(Vp→Vm)に応じた電位△V2だけ変化する。また、時点t2でブロックBkのデータ線104[3]の電位が変化すると、当該データ線104[3]と容量的に結合するブロックBk+1のデータ線104[1]の電位も第2期間T2における電位Vg−△V1からデータ線104[3]の電位の変化量に応じた電位△V3だけ変化する。
すなわち、各ブロックBにおいて、第1期間T1にて電位Vgに設定されたデータ線104[1]の電位は、第2期間T2におけるデータ線104[2]に対する電位Vmの供給時t1と第3期間T3におけるデータ線104[3]に対する電位Vmの供給時t2との計2回にわたって変動する。一方、第2期間T2にて電位Vmに設定されたデータ線104[2]の電位は、第3期間T3におけるデータ線104[3]に対する電位Vmの供給時t2の1回だけ変動する。これにより、データ線104[1]に対応する画素回路11の表示色である「R」の輝度特性と、データ線104[2]に対応する画素回路11の表示色である「G」の輝度特性と、データ線104[3]に対応する画素回路11の表示色である「B」の輝度特性との間にばらつきが生じてしまうという問題が起こる。
以上のような各表示色(「R」,「G」,「B」)の輝度特性のばらつきを抑制するために、本実施形態では、図1に示す領域A(以下、「容量調整領域A」という)において各データ線104間の間隔を調整することでデータ線104間の容量を調整している。図1に示すように、容量調整領域Aは、画素アレイ部100とデータ線駆動回路30との間の領域である。図3は、容量調整領域A内における各データ線104の配置を示した模式図である。図3には、左から数えて第k番目(1≦k≦n−1)のブロックBkと、第k+1番目のブロックBk+1とが示されている。
図3に示すように、各ブロックBにおいて、データ線104[1]とデータ線104[2]とは間隔L1をあけて隣接し、データ線104[2]とデータ線104[3]とは間隔L2をあけて隣接する。また、図3に示すように、ブロックBk+1におけるデータ線104[1]と、ブロックBkにおけるデータ線104[3]との間隔L3は、ブロックBkにおけるデータ線104[2]とデータ線104[3]との間隔L2よりも大きい。間隔L1、L2、L3の間にはL2+L3=2L1の関係が成り立つ。つまり、図4に示すように、各データ線104が等間隔L1で配列される態様(以下、「対比例」という)の各ブロックBにおけるデータ線104[3]の位置を所定距離△L(L1−△L=L2,L1+△L=L3)だけX方向の負側にずらしたものが図3の態様になる。これらの関係は他のブロックBにおいても同様である。
別の見方をすれば、図3において、ブロックBk+1のデータ線104[1]の両側に隣接する2本のデータ線(ブロックBk+1のデータ線104[2]およびブロックBkのデータ線104[3])の間隔L1+L3は、ブロックBk+1のデータ線104[2]の両側に隣接する2本のデータ線104(ブロックBk+1におけるデータ線[1]104およびデータ線104[3])の間隔L1+L2よりも大きく、データ線104[2]と当該データ線104[2]の選択前に選択されるデータ線104[1]との間隔L1は、データ線104[2]と当該データ線104[2]の選択後に選択されるデータ線104[3]との間隔L2よりも大きい。なお、本実施形態では、画素アレイ部100内に位置する各データ線104は等間隔L1で配列される。
以上のように、本実施形態においては、データ線104[1]と当該データ線104[1]から見てX方向の負側に隣接するデータ線104[3]との間隔L3が対比例に比べて大きいから、両者間の寄生容量Cxの値は対比例に比べて小さい。従って、第3期間T3の時点t2におけるデータ線104[3]の電位の変化(Vp→Vm)に連動したデータ線104[1]の電位の変化量△V3は対比例に比べて小さい。
また、本実施形態においては、データ線104[2]とデータ線104[3]との間隔L2が対比例に比べて小さいから、データ線104[2]とデータ線104[3]との間に付随する寄生容量Cyの値は対比例に比べて大きい。従って、第3期間T3の時点t2におけるデータ線104[3]の電位の変化(Vp→Vm)に連動したデータ線104[2]の電位の変化量△V2は対比例に比べて大きい。
すなわち、本実施形態によれば、時点t1と時点t2とにおけるデータ線104[1]の電位変化量の総和(=△V1+△V3)と、時点t2におけるデータ線104[2]の電位変化量(=△V2)との差を対比例に比べて小さくできる。従って、図5に示すように、データ線104[1]に対応する画素回路11の表示色である「R」の輝度特性と、データ線104[2]に対応する画素回路11の表示色である「G」の輝度特性とのばらつきを図6に示す対比例の態様に比べて抑制できる。すなわち、電気光学装置10の表示品質の低下を抑制できるという利点がある。
なお、本実施形態によれば、各画素回路11の表示色である「R」「G」「B」のうち「R」の輝度特性と「G」の輝度特性とのばらつきを抑制できるが、「B」の輝度特性と、「R」または「G」の輝度特性とはばらつく。しかしながら、「B」は「R」「G」と比べて比視感度が低いから、他の色との間で輝度特性がばらついても、そのばらつきは観察者によって知覚されにくい。このため、本実施形態のように、最も視感度が低い「B」以外の色について輝度特性のばらつきを抑制することが好ましい。
容量調整領域A内に例えば静電保護回路や検査回路などが設けられると、各データ線104の間隔が小さくなる場合がある。この場合、容量調整領域A内に位置する各データ線104間の寄生容量の値も大きくなるから、各画素回路11の表示色である「R」「G」「B」間の輝度特性のばらつきが特に深刻になる。このような事情を考慮すると、各表示色の輝度特性のばらつきを抑制できる本実施形態の構成は、容量調整領域A内に例えば静電保護回路や検査回路などが設けられて各データ線104の間隔が小さくなる場合に特に有効である。
また、データ線駆動回路30をICチップで構成した場合、各データ線104はデータ線駆動回路30に向けて集約するようにY方向に延びるから、容量調整領域Aに位置する各データ線104の間隔が画素アレイ部100に位置する各データ線104間の間隔に比べて小さい場合がある。この場合、容量調整領域Aに位置する各データ線104の寄生容量の値が大きくなるから、各表示色の輝度特性のばらつきが特に深刻になる。このような場合においても、本実施形態の構成は有効である。
各表示色の輝度特性のばらつきを抑制する方法としては、容量調整領域Aにおいて各データ線104の間隔を調整する代わりに、指定階調とデータ線104に出力される階調信号dとの関係を表示色ごとに補正する補正回路を設ける態様も考えられるが、本実施形態の構成によれば、そのような補正回路を設ける必要が無いからデータ処理量を軽減できるとともに構成が簡素化されるという利点がある。
<B:第2実施形態>
図7は、本発明の第2実施形態に係る電気光学装置10の構成を示すブロック図である。本実施形態においては、各ブロックBの第1列目のデータ線104[1]に対応する各画素回路11の表示色および第2列目のデータ線104[2]に対応する各画素回路11の表示色は「R」であり、第3列目のデータ線104[3]に対応する各画素回路11の表示色は「G」である点が第1実施形態と異なる。その他の構成は第1実施形態の構成と同じ(例えば容量調整領域A内の各データ線104の間隔は上述の第1実施形態と同じ)であるから、重複する部分については説明を省略する。
図8に示すように、画素(表示単位)Cは、「R」を表示色とする2個の画素回路11と「G」を表示色とする1個の画素回路11とで構成される。ひとつの画素Cは、「R」および「G」の各々の単独の色、または、「R」と「G」との混合に相当する色を表示する。「R」に関しては、ひとつの画素C内の2個の画素回路11の階調が個別に制御(一種の面積制御)される。したがって、ひとつの画素Cに「R」の画素回路11を1個だけ設けた構成と比較して「R」に関する階調の変化幅が広く確保される。
ここで、同じ表示色間の輝度特性のばらつきは、異なる表示色間の輝度特性のばらつきよりも観察者に知覚され易いため、同じ表示色間の輝度特性のばらつきは、異なる表示色間の輝度特性のばらつきよりも小さいことが望ましい。本実施形態によれば、データ線104[1]に対応する画素回路11によって表示される「R」の輝度特性と第2データ線104に対応する画素回路11によって表示される「R」の輝度特性とのばらつきを、「R」と「G」との輝度特性のばらつきよりも小さくできるから、電気光学装置10の表示品質の低下を抑制できるという利点がある。
<C:第3実施形態>
図8は、本発明の第3実施形態に係る電気光学装置10のうちデータ線104の駆動に関する部分の構成を示す回路図である。図8に示すように、本実施形態においては、複数のデータ線104は、相隣接する6本(104[1],104[2],104[3],104[4],104[5],104[6])を単位としてn個のブロックB(B1,B2,・・・Bn)に区分される。各ブロックBに含まれる6本のデータ線104のうち第1列目のデータ線104[1]および第4列目のデータ線104[4]の各々に対応する画素回路11の表示色は「R」である。また、第2列目のデータ線104[2]および第5列目のデータ線104[5]の各々に対応する画素回路11の表示色は「G」である。さらに、第3列目のデータ線104[3]および第6列目のデータ線104[6]の各々に対応する画素回路11の表示色は「B」である。
図8においては、ブロックBkに対応する第k段目の選択部50が例示されている。第k段目の選択部50における6個のスイッチング素子51の各々は、第k段目の画像信号線106とデータ線106との間に介在して両者の電気的な接続を制御する。各ブロックBの第i段目(i=1〜6)のスイッチング素子51はサンプリング信号Siで制御される。例えば第1段目のスイッチング素子51はサンプリング信号線41aに供給されるサンプリング信号S1で制御され、第2段目のスイッチング素子51はサンプリング信号線41bに供給されるサンプリング信号S2で制御されるという具合である。
図9は、電気光学装置10の動作を示すタイミングチャートである。図9に示すように、一の走査線102が選択される水平走査期間Hは、プリチャージ期間Tpと、第1期間T1〜第6期間T6とを有する。
図9に示すように、プリチャージ期間Tpにおいて、サンプリング信号S1ないしS6は一斉にハイレベルに遷移し、総てのデータ線104に対してプリチャージ電位Vpが一斉に供給される。上述の各実施形態と同様、プリチャージ電位Vpは中間階調に対応する電位である。
第1実施形態と同様に、各ブロックBのデータ線104[i]には、サンプリング信号Siがアクティブレベルに維持される期間にて画像信号線106に供給されている階調信号dが供給される。図9に示すように、サンプリング信号S1〜S6は、期間T1〜T6においてS1→S4→S2→S5→S3→S6の順番で順次にアクティブレベルに設定される。従って、n個のブロックBの各々における6本のデータ線104[1]〜104[6]には、104[1]→104[4]→104[2]→104[5]→104[3]→104[6]の順番で時分割に階調信号dの電位(VR,VR’,VG,VG’,VB,VB’)が供給される。例えば図9においては、第1期間T1にてデータ線104[1]に電位VRが供給され、第2期間T2にてデータ線104[4]に電位VR’が供給され、第3期間T3にてデータ線104[2]に電位VGが供給されるという具合である。一方、第1実施形態と同様に、サンプリング信号Siは、プリチャージ期間Tpおよび当該サンプリング信号Siがハイレベルに遷移する期間T(T1〜T6の何れか)以外の期間においてローレベルを維持するから、当該期間においてデータ線104[i]は電気的にフローティング状態である。例えばデータ線104[1]はプリチャージ期間Tpおよび第1期間T1以外の期間において電気的にフローティング状態であり、データ線104[2]はプリチャージ期間Tpおよび第3期間T3以外の期間において電気的にフローティング状態であり、データ線104[3]はプリチャージ期間Tpおよび第5期間T5以外の期間において電気的にフローティング状態であるという具合である。
ここで、隣接するデータ線104間には寄生容量が付随するから、図8において、ブロックBkのデータ線104[1]は、ブロックBkのデータ線104[2]と容量的に結合するとともに、ブロックBkから見てX方向の負側に隣接するブロックBk−1(図示省略)の第6列目のデータ線104[6]と容量的に結合する。また、ブロックBkのデータ線104[2]はブロックBkのデータ線104[1]および104[3]と容量的に結合する。
また、ブロックBkのデータ線104[4]はブロックBkのデータ線104[3]およびデータ線104[5]と容量的に結合する。さらに、ブロックBkのデータ線104[5]はブロックBkのデータ線104[4]およびデータ線104[6]と容量的に結合する。
いま、第1期間T1にてデータ線104[1]に供給される電位VRおよび第2期間T2にてデータ線104[4]に供給される電位VR’を中間階調に対応する電位Vg(=Vp)とし、第3期間T3にてデータ線104[2]に供給される電位VGおよび第4期間T4にてデータ線104[5]に供給される電位VG’を黒色の階調に対応する電位Vmとし、第5期間T5にてデータ線104[3]に供給される電位VBおよび第6期間T6にてデータ線104[6]に供給される電位VB’を電位Vmとする場合を考える。
各データ線104は、自身に階調信号dが供給される期間T(T1〜T6)以外において電気的にフローティング状態であるから、期間Tにてデータ線104[i]に供給および保持されたデータ電位は、データ線104[i]に隣接する他のデータ線104に階調信号dが供給される時点において、両データ線104間の寄生容量に起因して変動する。
例えば図9に示すように、データ線104[2]に電位Vm(VG)が供給される時点t3では、第1期間T1にてデータ線104[1]に保持された電位Vgが、データ線104[2]の電位の変化量(Vp→Vm)に応じた変化量△V11だけ変動する。同様に、データ線104[5]の電位が変化(Vp→Vm)する時点t4においては、データ線104[4]の電位が第2期間T2にて設定された電位Vgから△V12だけ変動する。また、データ線104[3]の電位が変化(Vp→Vm)する時点t5においては、データ線104[2]の電位が第3期間T3にて設定された電位Vmから△V13だけ変動するとともにデータ線104[4]の電位が直前の電位Vg−△12から△14だけ変動する。さらに、ブロックBkのデータ線104[6]の電位が変化(Vp→Vm)する時点t6においては、データ線104[5]の電位が第4期間T4にて設定された電位Vmから△V15だけ変動するとともにブロックBk+1のデータ線104[1]の電位が直前の電位Vg−△V11から△V16だけ変動する。
以上のように、階調信号dに応じて設定された電位がその設定後に他のデータ線104の電位の変化の影響で変動する回数は、データ線104[1]およびデータ線104[4]については2回であるのに対し、データ線104[2]およびデータ線104[5]については1回である。
これにより、データ線104[1]およびデータ線104[4]の各々に対応する画素回路11の表示色である「R」の輝度特性と、データ線104[2]およびデータ線104[5]の各々に対応する画素回路11の表示色である「G」の輝度特性と、データ線104[3]およびデータ線104[6]の各々に対応する画素回路11の表示色である「B」の輝度特性との間にばらつきが生じてしまうという問題が起こる。各表示色の輝度特性のばらつきを抑制するために、本実施形態においても、容量調整領域A内において各データ線104間の間隔が調整されている。以下、具体的な内容について説明する。
本実施形態においては、図10に示すように、各ブロックBにおいて、データ線104[1]とデータ線104[2]とは間隔L1をあけて隣接するとともにデータ線104[4]とデータ線104[5]とは間隔L1をあけて隣接する。また、データ線104[2]とデータ線104[3]とは間隔L2をあけて隣接するとともにデータ線104[5]とデータ線104[6]とは間隔L2をあけて隣接する。
また、図10に示すように、ブロックBk+1におけるデータ線104[1]と、ブロックBkにおけるデータ線104[6]との間隔L3は、ブロックBkにおけるデータ線104[5]とデータ線104[6]との間隔L2よりも大きい。さらに、ブロックBkにおけるデータ線104[3]とデータ線104[4]との間隔L3は、ブロックBkにおけるデータ線104[2]とデータ線104[3]との間隔L2よりも大きい。間隔L1、L2、L3の間にはL2+L3=2L1の関係が成り立つ。つまり、図11に示すように、各データ線104が等間隔L1で配列される対比例の各ブロックBにおけるデータ線104[3]およびデータ線104[6]の位置を距離△L(L1−△L=L2,L1+△L=L3)だけX方向の負側にずらしたものが図10の態様になる。これらの関係は他のブロックBにおいても同様である。
別の見方をすれば、図10において、ブロックBk+1のデータ線104[1]の両側に隣接する2本のデータ線(ブロックBk+1のデータ線104[2]およびブロックBkのデータ線104[6])の間隔L1+L3は、ブロックBk+1のデータ線104[2]の両側に隣接する2本のデータ線104(ブロックBk+1におけるデータ線[1]104およびデータ線104[3])の間隔L1+L2よりも大きく、ブロックBk+1におけるデータ線104[2]と当該データ線104[2]の選択前に選択されるブロックBk+1のデータ線104[1]との間隔L1は、ブロックBk+1のデータ線104[2]と当該データ線104[2]の選択後に選択されるブロックBk+1のデータ線104[3]との間隔L2よりも大きい。
また、データ線104[4]の両側に隣接する2本のデータ線(データ線104[3]およびデータ線104[5])の間隔L1+L3は、データ線104[5]の両側に隣接する2本のデータ線104(データ線104[4]およびデータ線104[6])の間隔L1+L2よりも大きく、データ線104[5]と当該データ線104[5]の選択前に選択されるデータ線104[4]との間隔L1は、データ線104[5]と当該データ線104[5]の選択後に選択されるデータ線104[6]との間隔L2よりも大きい。
以上のように、本実施形態においては、データ線104[1]と当該データ線104[1]から見てX方向の負側に隣接するデータ線104[6]との間隔L3が対比例に比べて大きいから、両者間の寄生容量Cxの値は対比例に比べて小さい。従って、第6期間T6の時点t6におけるデータ線104[6]の電位の変化(Vp→Vm)に連動したデータ線104[1]の電位の変化量△V16は対比例に比べて小さい。同様に、データ線104[4]と当該データ線104[4]に隣接するデータ線104[3]との間隔L3も対比例に比べて大きいから、第5期間T5の時点t5におけるデータ線104[3]の電位の変化(Vp→Vm)に連動したデータ線104[4]の電位の変化量△V14は対比例に比べて小さい。
また、本実施形態においては、データ線104[2]とデータ線104[3]との間隔L2が対比例に比べて小さいから、データ線104[2]とデータ線104[3]との間に付随する寄生容量Cyの値は対比例に比べて大きい。従って、第5期間T5の時点t5におけるデータ線104[3]の電位の変化に連動したデータ線104[2]の電位の変化量△V13は対比例に比べて大きい。同様に、データ線104[5]とデータ線104[6]との間隔L2も対比例に比べて小さいから、第6期間T6の時点t6におけるデータ線104[6]の電位の変化に連動したデータ線104[5]の電位の変化量△V15は対比例に比べて大きい。
すなわち、本実施形態によれば、データ線104の電位が2回にわたって変動するデータ線104[1]の電位変化量の総和(=△V11+△V16)またはデータ線104[4]の電位変化量の総和(=△12+△14)と、データ線104の電位が1回だけ変動するデータ線104[2]の電位変化量(=△V13)またはデータ線104[5]の電位変化量(=△15)との差を対比例に比べて小さくできる。従って、データ線104[1]およびデータ線104[4]の各々に対応する画素回路11の表示色である「R」の輝度特性と、データ線104[2]およびデータ線104[5]の各々に対応する画素回路11の表示色である「G」の輝度特性とのばらつきを対比例に比べて抑制できる。
<D:変形例>
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下の変形が可能である。また、以下に示す変形例のうちの2以上の変形例を組み合わせることもできる。
(1)変形例1
上述の各実施形態においては、3本のデータ線104ごとにブロックBに区分される態様や6本のデータ線104ごとにブロックBに区分される態様が例示されているが、ブロックBに属するデータ線104の本数は任意である。また、各ブロックBに属するデータ線104の選択の順番も任意である。
要するに、本発明に係る電気光学装置10は、データ電位が2回にわたって変動する第1データ線104(例えば図3に示すブロックBk+1のデータ線104[1])と、データ電位が1回だけ変動する第2データ線104(例えば図3に示すブロックBkのデータ線104[2])と、第1データ線104と第2データ線104との間に配置されて双方のデータ線104に隣接するとともに第2データ線104の選択後に選択される第3データ線104(例えば図3に示すブロックBkのデータ線104[3])とを含み、容量調整領域A内において、第1データ線104と第3データ線104との間隔(例えば図3に示すL3)は、第2データ線104と第3データ線104との間隔(例えば図3に示すL2)よりも大きい態様であればよい。
別の見方をすれば、本発明に係る電気光学装置10は、両側に隣接する2本のデータ線104の選択前に選択される第1データ線104(例えば図3に示すブロックBk+1のデータ線104[1])と、一方側に隣接するデータ線104の選択後であって他方側に隣接するデータ線104の選択前に選択される第2データ線(例えば図3に示すブロックBk+1のデータ線104[2])とを含み、容量調整領域A内において、第1データ線104の両側に隣接する2本のデータ線104の間隔(例えば図3に示すL1+L3)は、第2データ線104の両側に隣接する2本のデータ線104の間隔(例えば図3に示すL1+L2)よりも大きく、第2データ線104と当該第2データ線104に一方側にて隣接するデータ線104(例えば図3に示すブロックBk+1のデータ線104[1])との間隔(例えば図3に示すL1)は、第2データ線104と当該第2データ線104の他方側にて隣接するデータ線104(例えば図3に示すブロックBk+1のデータ線104[3])との間隔(例えば図3に示すL2)よりも大きい態様であればよい。
(2)変形例2
上述の各実施形態においては、画素アレイ部100とデータ線駆動回路30との間の領域Aにおいて各データ線104間の間隔を調整する態様が例示されているが、これに限らず、例えば画素アレイ部100を挟んでデータ線駆動回路30とは反対側の領域において各データ線104間の間隔を調整する態様とすることもできる。この態様は、画素アレイ部100を挟んでデータ線駆動回路30とは反対側の領域内に静電保護回路や検査回路などが設けられて各データ線104の間隔が小さくなる場合に特に有効である。
また、各データ線104に抵抗が付随する場合には、データ線104のうちデータ線駆動回路30から離間した位置ほど階調信号dの波形が鈍る(電位が低下する)。以上のように各データ線104の電位の降下を想定する場合、鈍化後の階調信号dの電位変動に起因したデータ線104の電位の変動を抑制するよりも、鈍化前の階調信号dの電位変動に起因したデータ線104の電位の変動を抑制する方が、データ線104毎の階調特性のバラツキを抑制するという観点からすると効果的である。以上の観点からすると、画素アレイ部100を挟んでデータ線駆動回路30とは反対側の領域において各データ線104間の間隔を調整する態様よりも、図1に示す容量調整領域Aにおいて各データ線104間の間隔を調整する態様の方が好適であると言える。
(3)変形例3
上述の各実施形態においては、電気光学素子の一例として、液晶素子を取り上げたが、これに限らず、例えば有機EL素子や無機発光ダイオードなどであってもよい。要は、印加される電気エネルギに応じた発光輝度で発光するのであれば、どのような素子であってもよい。
<E:電子機器>
次に、本発明に係る電気光学装置10を利用した電子機器について説明する。図12は、以上に説明した何れかの形態に係る表示装置10を採用したモバイル型のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。パーソナルコンピュータ2000は、電気光学装置10と本体部2010とを備える。本体部2010には、電源スイッチ2001およびキーボード2002が設けられている。
図13に、本発明に係る電気光学装置10を適用した携帯電話機の構成を示す。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001およびスクロールボタン3002、ならびに表示装置10を備える。スクロールボタン3002を操作することによって、電気光学装置(表示装置)10に表示される画面がスクロールされる。
図14に、本発明に係る電気光学装置10を適用した携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistants)の構成を示す。情報携帯端末4000は、複数の操作ボタン4001および電源スイッチ4002、ならびに表示装置10を備える。電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった各種の情報が電気光学装置(表示装置)10に表示される。
なお、本発明に係る電気光学装置が適用される電子機器としては、図12から図14に示したもののほか、デジタルスチルカメラ、テレビ、ビデオカメラ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電子ペーパー、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、プリンタ、スキャナ、複写機、ビデオプレーヤ、タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。また、本発明に係る電気光学装置の用途は画像の表示に限定されない。例えば、光書込み型のプリンタや電子複写機といった画像形成装置においては、用紙などの記録材に形成されるべき画像に応じて感光体を露光する書込みヘッドが使用されるが、この種の書込みヘッドとしても本発明の電気光学装置は利用される。
10……電気光学装置、30……データ線駆動回路、41……サンプリング信号線、50……選択部、51……スイッチング素子、100……画素アレイ部、104……データ線、106……画像信号線、A……容量調整領域、B……ブロック、d……階調信号、s……サンプリング信号、Tp……プリチャージ期間、T……期間。