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JP5394817B2 - 接着性樹脂組成物および成型体 - Google Patents

接着性樹脂組成物および成型体 Download PDF

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JP5394817B2 JP2009114742A JP2009114742A JP5394817B2 JP 5394817 B2 JP5394817 B2 JP 5394817B2 JP 2009114742 A JP2009114742 A JP 2009114742A JP 2009114742 A JP2009114742 A JP 2009114742A JP 5394817 B2 JP5394817 B2 JP 5394817B2
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Description

本発明は、ポリオレフィン樹脂をエポキシ基含有ビニル単量体で溶融グラフト変性してなるエポキシ基含有変性ポリオレフィン樹脂と、ポリオレフィン樹脂をα、β−不飽和カルボン酸またはその酸無水物単量体を用いて溶融グラフト変性してなる酸変性ポリオレフィン樹脂とからなる接着性樹脂組成物、及び該樹脂を含有する組成物に関する。さらに、難接着基材に対する優れた接着性を有するシート状またはフィルム状成形体およびその製造方法を提供することを目的とする。
ポリオレフィン樹脂、例えばポリプロピレン樹脂は、その成形性、剛性、耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性などが優れたものであり、また、安価であることから、フィルム、繊維、そのほか様々な形状の成形品などの広い範囲で汎用的に使用されている。一方で、ポリプロピレン材料は分子内に極性基を有しない、いわゆる非極性で極めて不活性な高分子物質であり、更に結晶性が高く、溶剤類に対する溶解性も著しく低いため、接着性、塗装性、耐擦傷性、耐油性等が低いという課題がある。この欠点を改善するために、オレフィン系樹脂へ極性官能基を有す重合可能なモノマーをグラフト重合させて、変性樹脂を製造する方法が試みられ、以下のような方法が提案されている。
(i)水中に分散させたポリオレフィン樹脂粒子にビニル単量体を含浸させ、過酸化物の存在下で加熱して変性ポリオレフィンを製造する方法(特許文献1)。
(ii)ポリオレフィン樹脂、無水マレイン酸と有機過酸化物とを溶融混練し、変性ポリオレフィンを製造する方法(特許文献2)。
(i)の方法では様々なビニル単量体をポリオレフィン樹脂にグラフトさせることができる。しかし、エポキシ基などの極性の高い官能基を持つモノマーは、低極性であるポリオレフィン樹脂に含浸しにくいので、共重合できる量に限界があった。また、該モノマーの水への溶解抑制剤を必要とするため、反応後の変性ポリオレフィン組成物中に溶解抑制剤が残存し、印刷性、インキ密着性、接着性を阻害する点があった。
(ii)の方法では、ポリオレフィン樹脂に共重合できるモノマーの種類は限られている。例えば無水マレイン酸の代わりにメタクリル酸グリシジルを用いると、モノマーが未反応のまま揮発したり、モノマー同士の重合が起こるだけでポリオレフィン樹脂にグラフトしなかったり、余剰の過酸化物によりポリオレフィンの主鎖が切断されて低分子量化するため、機械的特性が低下し、接着性への充分な要求に応えるレベルに達しているとは言えないのが現状である。
特開平6−122738号公報 特開平9−278956号公報
本発明は、簡素な装置を用い、容易な方法により、難接着基材に対し優れた接着性を有する接着性樹脂、該樹脂を含有する組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述の現状に鑑み、鋭意検討した結果、エポキシ基含有変性ポリオレフィン樹脂と酸変性ポリオレフィン樹脂とを混合することにより、優れた接着性能が発現することを見いだし、本発明を完成するに至った。
1) (A)ポリオレフィン樹脂をエポキシ基含有ビニル単量体で溶融グラフト変性して得られるエポキシ基含有変性ポリオレフィン樹脂1〜99重量部、および(B)ポリオレフィン樹脂をα、β-不飽和カルボン酸又はその無水物単量体で溶融グラフト変性して得られる酸変性ポリオレフィン樹脂99〜1重量部〔ただし(A)+(B)=100重量部〕からなる接着性樹脂組成物。
2) (A)エポキシ基含有変性ポリオレフィン樹脂が、(a-1)ポリオレフィン樹脂に対して、ラジカル重合開始剤存在下、(a−2)エポキシ基含有ビニル単量体および(a−3)芳香族ビニル単量体を溶融混練して得られ、該(a−2)エポキシ基含有ビニル単量体の添加量が、(a−1)ポリオレフィン樹脂と(a−2)エポキシ基含有ビニル単量体と(a−3)芳香族ビニル単量体の合計重量に対し、0.1〜50重量%の範囲である1)記載の接着性樹脂組成物。
3) (B)酸変性ポリオレフィン樹脂が、(b-1)ポリオレフィン樹脂に対して、ラジカル重合開始剤存在下、(b−2)α、β−不飽和カルボン酸またはその酸無水物単量体および(b−3)芳香族ビニル単量体を溶融混練して得られ、該(b−2)α、β−不飽和カルボン酸またはその酸無水物単量体の添加量が、(b−1)ポリオレフィン樹脂と(b−2)α、β−不飽和カルボン酸またはその酸無水物単量体と(b−3)芳香族ビニル単量体の合計重量に対し、0.01〜50重量%の範囲である1)または2)記載の接着性樹脂組成物。
4) 前記ポリオレフィン樹脂が、プロピレン単位が過半量であるポリプロピレン系樹脂である、1)〜3)いずれかに記載の接着性樹脂組成物。
5) ポリオレフィン樹脂を変性して得られる、前記(A)エポキシ基含有変性ポリオレフィン樹脂および前記(B)酸変性ポリオレフィン樹脂の少なくともひとつにおいて、ポリオレフィン樹脂がエチレン成分を0.01〜45重量%含むエチレン−プロピレンコポリマーである、1)〜4)いずれかに記載の接着性樹脂組成物。
6) (b−2)α、β−不飽和カルボン酸またはその酸無水物単量体が無水マレイン酸である、3)〜5)いずれかに記載の接着性樹脂組成物。
7) (A)エポキシ基含有変性ポリオレフィン樹脂が、(a-1)ポリオレフィン系樹脂とラジカル重合開始剤を溶融混練した後、次いで(a−3)エポキシ基含有ビニル単量体、(a−4)芳香族ビニル単量体を加え溶融混練して得られることを特徴とする2)〜6)のいずれかに記載の接着性樹脂組成物。
8) (B)酸変性ポリオレフィン樹脂が、(b-1)ポリオレフィン樹脂とラジカル重合開始剤、および(b−2)α、β−不飽和カルボン酸またはその酸無水物単量体を溶融混練した後、次いで(b−3)芳香族ビニル単量体を加え溶融混練して得られることを特徴とする3)〜7)のいずれかに記載の接着性樹脂組成物。
9) 1)〜8)のいずれかに記載の接着性樹脂組成物100重量部に対して、プロピレン単位が過半量であるポリプロピレン樹脂0.1〜100重量部を含有する接着性ポリオレフィン系樹脂組成物。
10) 1)〜9)のいずれかに記載の接着性樹脂組成物からなり、熱溶着性を有するシート状またはフィルム状成形体。
11) 1)〜9)に記載の少なくとも1つの接着性樹脂組成物、および/または10)に記載のシート状若しくはフィルム状成形体で接着されてなる接着体。
12) 1)〜9)のいずれかに記載の接着性樹脂組成物を溶融混練した後、シートまたはフィルム状に成形加工することを特徴とするシート状またはフィルム状成形体の製造方法。
本発明の接着性樹脂組成物は、単独使用のみならず、ポリオレフィン樹脂と混合して使用しても、難接着基材に対し優れた接着力を確保することができ、文具、雑貨、食品などの包装材、自動車用部品、家電などの電気電子部品、各種産業用資材などの幅広い分野に好適に用いられる。
以下に本発明の詳細について述べる。
<<ポリオレフィン樹脂について>>
(a−1)、(b−1)ポリオレフィン樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリイソブチレン、プロピレンとエチレンおよび/または1−ブテンとのあらゆる比率でのランダム共重合体またはブロック共重合体、エチレンとプロピレンとのあらゆる比率においてジエン成分が50重量%以下であるエチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体、ポリメチルペンテン、シクロペンタジエンとエチレンおよび/またはプロピレンとの共重合体などの環状ポリオレフィン、エチレンまたはプロピレンと50重量%以下のビニル化合物などとのランダム共重合体、ブロック共重合体などが挙げられる。
中でも、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイソブチレン、エチレンープロピレン共重合体が好ましく、接着性と耐熱性の点から、ポリプロピレンとエチレンープロピレン共重合体を組み合わせて使用することが特に好ましい。
ポリオレフィン樹脂におけるプロピレン成分に関しては、ポリオレフィン樹脂に対しラジカルが発生し易くなる点で、プロピレン単位が過半量であることが好ましい。ここでいう過半量とはポリオレフィン樹脂に対するプロピレン成分が50重量%以上のことを意味する。
さらに、ポリオレフィン樹脂(a−1)または(b−1)は、エチレン成分を0.01〜45重量%含むエチレン−プロピレン共重合体であることが好ましく、エチレン成分を1〜30重量%含むことがさらに好ましい。
ポリオレフィン樹脂には結晶性のものと非結晶性のものがあるが、本発明においてはいずれも特に限定なく使用できる。
また、極性基を有する非芳香属性ビニル単量体と相溶し易い点で、極性基が導入されたポリオレフィン樹脂を、変性に用いるポリプロピレン、エチレンープロピレン共重合体に混合して使用してもよい。極性基が導入されたポリオレフィン樹脂の具体例としては、エチレン/塩化ビニル共重合体、エチレン/塩化ビニリデン共重合体、エチレン/アクリロニトリル共重合体、エチレン/メタクリロニトリル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/アクリルアミド共重合体、エチレン/メタクリルアミド共重合体、エチレン/アクリル酸共重合体、エチレン/メタクリル酸共重合体、エチレン/マレイン酸共重合体、エチレン/アクリル酸メチル共重合体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/アクリル酸イソプロピル共重合体、エチレン/アクリル酸ブチル共重合体、エチレン/アクリル酸イソブチル共重合体、エチレン/アクリル酸2−エチルヘキシル共重合体、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体、エチレン/メタクリル酸エチル共重合体、エチレン/メタクリル酸イソプロピル共重合体、エチレン/メタクリル酸ブチル共重合体、エチレン/メタクリル酸イソブチル共重合体、エチレン/メタクリル酸2−エチルヘキシル共重合体、エチレン/無水マレイン酸共重合体、エチレン/アクリル酸エチル/無水マレイン酸共重合体、エチレン/アクリル酸金属塩共重合体、エチレン/メタクリル酸金属塩共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、又はその鹸化物、エチレン/プロピオン酸ビニル共重合体、エチレン/メタクリル酸グリシジル共重合体エチレン/アクリル酸エチル/メタクリル酸グリシジル共重合体、エチレン/酢酸ビニル/メタクリル酸グリシジル共重合体などのエチレンまたはα−オレフィン/ビニル単量体共重合体などの極性基含有エチレン共重合体;塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレンなどの塩素化ポリオレフィンなどが挙げられる。これらの極性基導入ポリオレフィン樹脂は単独で使用しても、複数を組み合わせて使用してもよい。
また、これらポリオレフィン樹脂は、粒子状のものであってもペレット状のものであってもよく、その大きさや形はとくに制限されるものではない。
<<エポキシ基含有ビニル単量体について>>
エポキシ基含有ビニル単量体としては、特に制限されないが、好ましくは炭素数4〜20、より好ましくは4〜10のエポキシ基含有ビニル単量体である。例示するならば、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸グリシジル、マレイン酸モノグリシジル、マレイン酸ジグリシジル、イタコン酸モノグリシジル、イタコン酸ジグリシジル、アリルコハク酸モノグリシジル、アリルコハク酸ジグリシジル、p−スチレンカルボン酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、メタアリルグリシジルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテル、p−グリシジルスチレンなどのグリシジル基含有ビニル単量体、3,4−エポキシ−1−ブテン、3,4−エポキシ−3−メチル−1−ブテンなどのエポキシオレフィン、ビニルシクロヘキセンモノオキシドなどの1種または2種以上が挙げられる。
これらのうち、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸グリシジルが安価という点で好ましい。前記(a−2)エポキシ基含有ビニル単量体の添加量は、(a−1)ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、0.2〜100重量部であることが好ましく、0.5〜50重量部であることがさらに好ましい。また、(a−2)エポキシ基含有ビニル単量体の割合が、(a−1)ポリオレフィン系樹脂、(a−2)エポキシ基含有ビニル単量体及び(a−3)芳香族ビニル単量体の合計量の0.1〜50重量%の範囲であることが好ましく0.5〜40重量%の範囲であることがより好ましく、1〜30重量%の範囲であることが特に好ましい。添加量が少なすぎると接着性が充分に改善されない傾向があり、添加量が多すぎるとグラフトに寄与しないフリーポリマーの副生が増大する傾向がある。
<<芳香族ビニル単量体について>>
芳香族ビニル単量体としては、特に制限されないが、好ましくは炭素数4〜20、より好ましくは6〜15の芳香族ビニル単量体である。例示するならば、スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレンなどのメチルスチレン;o−クロロスチレン、m−クロロスチレン、p−クロロスチレン、α−クロロスチレン、β−クロロスチレン、ジクロロスチレン、トリクロロスチレンなどのクロロスチレン;o−ブロモスチレン、m−ブロモスチレン、p−ブロモスチレン、ジブロモスチレン、トリブロモスチレンなどのブロモスチレン;o−フルオロスチレン、m−フルオロスチレン、p−フルオロスチレン、ジフルオロスチレン、トリフルオロスチレンなどのフルオロスチレン;o−ニトロスチレン、m−ニトロスチレン、p−ニトロスチレン、ジニトロスチレン、トリニトロスチレンなどのニトロスチレン;o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、ジヒドロキシスチレン、トリヒドロキシスチレンなどのビニルフェノール;o−ジビニルベンゼン、m−ジビニルベンゼン、p−ジビニルベンゼンなどのジビニルベンゼン;o−ジイソプロペニルベンゼン、m−ジイソプロペニルベンゼン、p−ジイソプロペニルベンゼンなどのジイソプロペニルベンゼン;などの1種または2種以上が挙げられる。これらのうちスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレンなどのメチルスチレン、ジビニルベンゼン単量体またはジビニルベンゼン異性体混合物が安価であるという点で好ましい。
前記芳香族ビニル単量体(a−3)、(b−3)の添加量は、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、0.1〜50重量部であることが好ましく、0.5〜40重量部であることがさらに好ましく、1〜30重量部であることが特に好ましい。添加量が少なすぎるとポリオレフィン系樹脂に対する(a−2)エポキシ基含有ビニル単量体および(b−2)α、β不飽和カルボン酸またはその無水物単量体のグラフト率が劣る傾向がある。一方、添加量が50重量部を超えるとエポキシ基含有ビニル単量体、およびα、β不飽和カルボン酸またはその無水物単量体のグラフト効率が飽和域に達する。
<<α、β−不飽和カルボン酸またはその酸無水物単量体>>
α、β−不飽和カルボン酸またはその酸無水物単量体とは、エチレン性二重結合とカルボン酸基またはカルボン酸無水物基を同一分子内に持つ、各種不飽和モノも又はジカルボン酸およびそれらの酸無水物であり、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、エンド−ビシクロ[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸(エンディック酸)、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ナジック酸、無水マレイン酸、無水エンディック酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸、無水ナジック酸などが例示できる。これらの単量体のうち、好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸及びマレイン酸の無水物であり、より好ましくは、無水マレイン酸である。これらは、一種単独で用いてもよく、また、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうち、無水マレイン酸が異種材と接着させる場合、特に金属材料と接着させる場合に、低い温度で接着するという点で好ましい。
前記(b−2)α、β−不飽和カルボン酸またはその酸無水物単量体の添加量は、(b−1)ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、0.05〜100重量部であることが好ましく、0.1〜50重量部であることがさらに好ましく、0.5〜20重量部であることが特に好ましい。また、(b−2)不飽和カルボン酸又はその無水物単量体の割合が、(b−1)ポリオレフィン樹脂、(b−2)不飽和カルボン酸又はその無水物単量体及び(b−3)芳香族ビニル単量体の合計量の0.01〜50重量%の範囲であることが好ましく、0.1〜40重量%であることがより好ましく、0.5〜20重量%であることがさらに好ましい。添加量が少なすぎると接着性が充分に改善されない傾向があり、一方、添加量が多すぎると、変性樹脂中に過剰にモノマーが残存し、それらの除去作業にコストがかかるという問題や、好適な形状や外観を有する樹脂組成物として取得できないという問題が生じてくる。
<<ラジカル開始剤について>>
ラジカル重合開始剤としては、一般に過酸化物またはアゾ化合物などがあげられる。前記ラジカル重合開始剤としては、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイドなどのケトンパーオキサイド;1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタンなどのパーオキシケタール;パーメタンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド;ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、α,α´−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3などのジアルキルパーオキサイド;ベンゾイルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド;ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−メトキシブチルパーオキシジカーボネートなどのパーオキシジカーボネート;t−ブチルパーオキシオクテート、t−ブチルパオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレートなどのパーオキシエステルなどの有機過酸化物の1種または2種以上があげられる。
これらのうち、とくに水素引き抜き能が高いものが好ましく、そのようなラジカル重合開始剤としては、たとえば1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタンなどのパーオキシケタール;ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、α,α´−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3などのジアルキルパーオキサイド;ベンゾイルパーオキサイドなどのジアシルパーオキサイド;t−ブチルパーオキシオクテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレートなどのパーオキシエステル
などの1種または2種以上があげられる。
前記ラジカル重合開始剤の添加量は、ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、0.01〜10重量部の範囲内にあることが好ましく、0.05〜5重量部の範囲内にあることがさらに好ましい。0.01重量部未満では変性が充分に進行せず、10重量部を超えると流動性、機械的特性の低下を招くことがある。
<<変性ポリオレフィンについて>>
変性ポリオレフィンの製造には、含浸法、溶液法、溶融法など用いられるが、本発明においては、より簡便な溶融法が使用できる。溶融法では、含浸重合などの方法で反応させる場合に比べて、(a−2)エポキシ基含有ビニル単量体あるいは、(b−2)α、β不飽和カルボン酸またはその無水物単量体の使用量を増やすことができる。さらに、ラジカル開始剤を使用し、芳香族ビニル単量体を併用することにより、(a−2)エポキシ基含有ビニル単量体あるいは(b−2)α、β不飽和カルボン酸またはその無水物単量体のグラフト効率を向上させ、本発明の効果を得ることができる。
溶融混練時の添加順序及び方法については、ポリオレフィン樹脂とラジカル重合開始剤を溶融混練した混合物に、(a−2)エポキシ基含有ビニル単量体あるいは(b−2)α、β不飽和カルボン酸またはその無水物単量体、芳香族ビニル単量体を加え溶融混練する添加順序がよく、この添加順序で行うことでグラフトに寄与しない低分子量体の生成を抑制することができる。不飽和カルボン酸又はその無水物が、無水マレイン酸のように固体で単独重合を起こさない場合は、ポリオレフィン樹脂とドライブレンドにより混合し、ラジカル重合開始剤と溶融混練してもよい。
本発明の接着性樹脂組成物は、(A)エポキシ基含有変性ポリオレフィン樹脂が、(a-1)ポリオレフィン系樹脂とラジカル重合開始剤を溶融混練した後、次いで(a−3)エポキシ基含有ビニル単量体、(a−4)芳香族ビニル単量体を加え溶融混練し製造する方法、で得ることができる。
また本発明の接着性樹脂組成物は、(B)酸変性ポリオレフィン樹脂が、(b-1)ポリオレフィン樹脂とラジカル重合開始剤、および(b−2)α、β−不飽和カルボン酸またはその酸無水物単量体を溶融混練した後、次いで(b−3)芳香族ビニル単量体を加え溶融混練し製造する方法、で得ることができる。
溶融混練時の加熱温度は、130〜300℃であることが、ポリオレフィン樹脂が充分に溶融し、かつ熱分解しないという点で好ましい。また溶融混練の時間(ラジカル重合開始剤を混合してからの時間)は、通常30秒間〜60分間である。
また、前記の溶融混練の装置としては、一軸又は多軸押出機、バンバリーミキサー、プラストミル、加熱ロールニーダー、などを使用することができる。生産性の面から減圧装置を装備した単軸あるいは二軸押出機を用いる方法が好ましい。また、各々の材料を充分に均一に混合するために、前記溶融混練を複数回繰返してもよい。
<<接着性樹脂組成物について>>
本発明の接着性樹脂組成物において(A)エポキシ基含有変性ポリオレフィンと(B)酸変性ポリオレフィンの配合比は、(A)エポキシ基含有変性ポリオレフィン1〜99重量部、および(B)酸変性ポリオレフィン99〜1重量部(ただし、[(A)+(B)は合計100重量部]である。接着性能の向上効果を十分得るためには、(A)成分が(B)成分よりも多い方が好ましく、具体的には(A)成分60〜95重量部、(B)成分40〜5重量部の範囲内であることが好ましく、(A)成分70〜85重量部(B)成分30〜15重量部であることがさらに好ましい(ただし、(A)+(B)は合計100重量部)。
(A)エポキシ基含有変性ポリオレフィンと(B)酸変性ポリオレフィンを混合する方法は、公知のいずれの方法を用いても良いが、均一に混合するのが容易であるという点からは、特に溶融混錬が好ましい。溶融混錬の装置としては、一軸又は多軸押出機、バンバリーミキサー、プラストミル、加熱ロールニーダー、などを使用することができる。生産性の面から減圧装置を装備した単軸あるいは二軸押出機を用いる方法が好ましい。また、各々の材料を充分に均一に混合するために、前記溶融混練を複数回繰返してもよい。接着性樹脂組成物には必要に応じて、酸化防止剤、金属不活性剤、燐系加工安定剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、蛍光増白剤、金属石鹸、制酸吸着剤などの安定剤、または架橋剤、連鎖移動剤、核剤、滑剤、可塑剤、充填材、強化材、顔料、染料、難燃剤、帯電防止剤などの添加剤を本発明の効果を損なわない範囲内で添加してもよい。
これらの安定剤および添加剤を用いる場合は、予め(a−1)および/または(b−1)のポリオレフィン樹脂に添加されているものであってもよく、(a−1)および/または(b−1)のポリオレフィン樹脂の溶融変性の際に添加されるものであってもよく、(A)エポキシ基含有変性ポリオレフィンと(B)酸変性ポリオレフィンを溶融混錬する際に添加されるものであってもよく、また、接着性樹脂組成物を製造したのちに適宜の方法で添加されるものであってもよい。
また、本発明の接着性樹脂組成物は、添加剤としてポリオレフィン樹脂に添加しても、接着性を向上することができる。
本発明の変性ポリオレフィン樹脂に混合されるポリオレフィン樹脂としては、例えばポリプロピレン単独重合体、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリ−1−ブテン、ポリイソブチレン、ポリメチルペンテン、シクロペンタジエンとエチレンおよび/またはプロピレンとの共重合体などの環状ポリオレフィン、エチレンまたはプロピレンと50重量%以下のたとえば酢酸ビニル、メタクリル酸アルキルエステル、アクリル酸アルキルエステル、芳香族ビニルなどのビニル化合物などとのランダム共重合体などが挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。剛性が高く、安価であるという点からはポリプロピレン単独重合体が好ましく、剛性および耐衝撃性がともに高いという点からはプロピレンと他の単量体とのブロック共重合体であることが好ましい。
本発明の接着性樹脂組成物とポリオレフィン樹脂を混合する際に、その混合量は特に限定はないが、ポリオレフィン樹脂100重量部に対し、0.1〜100重量部、更には0.1〜70重量部を含有させることが好ましい。より好ましくは0.1〜50重量部であり、更に好ましくは0.1〜20重量部である。多すぎるとポリオレフィン樹脂本来の機械特性が低下し、また経済的な課題が生じてくる場合がある。
<<シートまたはフィルム状成形体について>>
本発明の接着性樹脂組成物は、熱溶着性を有するシート状またはフィルム状成形体にすることができる。また、ポリオレフィン樹脂に本発明の接着性樹脂組成物を添加してなる樹脂組成物も、熱溶着性を有するシート状またはフィルム状成形体にすることができる。本発明でいう熱溶着性とは、熱で溶けて被着体と接合する性質のことである。本発明のシートまたはフィルム状成形体とは、成形体の厚みとしては3μmから3mmが例示でき、好ましくは10μm〜2mmであり、シートあるいはフィルムとして利用することができるものである。
本発明の熱溶着性を有するシート状またはフィルム状成形体の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば本発明のポリオレフィン樹脂と接着性樹脂組成物をドライブレンド、あるいは溶融混練した後に、各種の押出成形機、射出成形機、カレンダー成形機、インフレーション成形機、ロール成形機、あるいは加熱プレス成形機などを用いてシート状成形体に成形加工することが可能である。
本発明で用いられる被着体の材料としては、例えば、本発明の接着性フィルムの接着樹脂層と接着し得る材料である。具体的には、例えば、金、銀、銅、鉄、錫、鉛、アルミニウムなどの金属、ガラス、セラミックスなどの無機材料;紙、布などのセルロース系高分子材料、メラミン系樹脂、アクリル・ウレタン系樹脂、ウレタン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン・アクリロニトリル系共重合体、ABS樹脂、ポリカーボネート系樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂などの合成高分子材料等が挙げられる。
被着体の材料として、異なる2種類以上の材料を混合、複合してもよい。また、積層体が本発明の接着性フィルムを介して、異なる2つの被着体が接着してなるものである場合、2つの被着体を構成する材料は、同じ種類の材料でも異なる種類の材料のいずれでもよい。被着体の性状としては特に限定されないが、例えば、フィルム状、シート状、板状、繊維状などが挙げられる。また、被着体には、必要に応じて、離型剤、メッキなどの被膜、塗料による塗膜、プラズマやレーザーなどによる表面改質、表面酸化、エッチングなどの表面処理等を実施してもよい。
被着体の用途の具体例としては、トリム類(ドアトリム、内装トリムなど)、成形天井、シート材(内装シート、インパネ表皮、装飾シートなど)等の自動車部材や、室内ドア、パーティション、内装壁板、家具、システムキッチン等の住宅資材で使用される化粧フィルムが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
以下に具体的な実施例を示すが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。下記実施例および比較例中「部」および「%」は、それぞれ「重量部」および「重量%」を表す。
(製造例1)
(a)ホモポリプロピレン((株)プライムポリマー製J105G、MFR=9)100部、(b)1,3−ジ(t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(日本油脂(株)製:パーブチルP、1分間半減期175℃)0.5部をシリンダー温度200℃、スクリュ回転数150rpmに設定した二軸押出機(44mmφ、L/D=38.5、(株)日本製鋼所製、製品名TEX44XCT)に供給して溶融混練した後、次いで、シリンダー途中よりメタクリル酸グリシジル5部、およびスチレン5部を加え溶融混練して、変性ポリオレフィン樹脂ペレット(A−1)を得た。
(製造例2)
(a)ホモポリプロピレン((株)プライムポリマー製S119、MFR=60)100部、(b)1,3−ジ(t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(日本油脂(株)製:パーブチルP、1分間半減期175℃)0.5部をシリンダー温度200℃、スクリュ回転数150rpmに設定した二軸押出機(44mmφ、L/D=38.5、(株)日本製鋼所製、製品名TEX44XCT)に供給して溶融混練した後、次いで、シリンダー途中よりメタクリル酸グリシジル5部、およびスチレン5部を加え溶融混練して変性ポリオレフィン樹脂ペレット(A−2)を得た。
(製造例3)
(a)ホモポリプロピレン((株)プライムポリマー製J105G、MFR=9)100部、(b)1,3−ジ(t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(日本油脂(株)製:パーブチルP、1分間半減期175℃)0.1部、(c)無水マレイン酸(和光純薬社性)1部をシリンダー温度200℃、スクリュ回転数250rpmに設定したベント付き二軸押出機(30mmφ、L/D=28、(株)日本製鋼所製、製品名LABOTEX30、ベント圧60cmHg)に供給して溶融混練した後、次いで、シリンダー途中よりスチレン1部を加え溶融混練して変性ポリオレフィン樹脂ペレット(A−3)を得た。
(製造例4)
エチレン−プロピレン共重合体((株)ダウ製ヴァーシファイ3401、エチレン含量15重量%、MFR=8)100部、(b)1,3−ジ(t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(日本油脂(株)製:パーブチルP、1分間半減期175℃)0.5部をシリンダー温度200℃、スクリュ回転数150rpmに設定した二軸押出機(44mmφ、L/D=38.5、(株)日本製鋼所製、製品名TEX44XCT)に供給して溶融混練した後、次いで、シリンダー途中よりメタクリル酸グリシジル5部、およびスチレン5部を加え溶融混練して変性ポリオレフィン樹脂ペレット(B−1)を得た。
(製造例5)
(a)エチレン−プロピレン共重合体((株)ダウ製ヴァーシファイ3401、エチレン含量15重量%、MFR=8)100部、(b)1,3−ジ(t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン(日本油脂(株)製:パーブチルP、1分間半減期175℃)0.1部、(c)無水マレイン酸(和光純薬社製)5部をシリンダー温度200℃、スクリュ回転数250rpmに設定した二軸押出機(30mmφ、L/D=28、(株)日本製鋼所製、製品名LABOTEX30)に供給して溶融混練した後、次いで、シリンダー途中よりスチレン5部を加え溶融混練して変性ポリオレフィン樹脂ペレット(B−2)を得た。
(実施例1)
上記製造例で得られた変性ポリオレフィン樹脂ペレット、(A−1)85部と(B−2)15部を、シリンダー温度200℃、スクリュ回転数200rpmに設定した二軸押出機(30mmφ、L/D=28、(株)日本製鋼所製、製品名LABOTEX30)に供給して溶融混練し接着性樹脂ペレットを得た。得られた接着性樹脂ペレットを、シリンダー及びダイス温度200℃、スクリュ回転数100rpmに設定した単軸押出機(20mmφ、L/D=20、(株)東洋精機製、製品名ラボプラストミル)のホッパーに投入し、ダイス先端に取り付けたT型ダイスより、幅約13cm、厚み30μmのフィルム(A1)とした。
(実施例2)
上記製造例で得られた変性ポリオレフィン樹脂ペレット、(A−2)85部と(B−2)15部を、シリンダー温度200℃、スクリュ回転数200rpmに設定した二軸押出機(30mmφ、L/D=28、(株)日本製鋼所製、製品名LABOTEX30)に供給して溶融混練し接着性樹脂ペレットを得た。得られた接着性樹脂ペレットを、シリンダー及びダイス温度200℃、スクリュ回転数100rpmに設定した単軸押出機(20mmφ、L/D=20、(株)東洋精機製、製品名ラボプラストミル)のホッパーに投入し、ダイス先端に取り付けたT型ダイスより、幅約13cm、厚み30μmのフィルム(A2)とした。
(実施例3)
上記製造例で得られた変性ポリオレフィン樹脂ペレット、(A−3)15部と(B−1)85部を、ラボプラストミル((株)東洋精機製、LABOPLASTOMILL)により温度200℃のもと5分間100rpmで溶融混練し、接着性樹脂ペレットを得た。得られた接着性樹脂ペレットを、シリンダー及びダイス温度200℃、スクリュ回転数100rpmに設定した単軸押出機(20mmφ、L/D=20、(株)東洋精機製、製品名ラボプラストミル)のホッパーに投入し、ダイス先端に取り付けたT型ダイスより、幅約13cm、厚み50μmのフィルム(A3)とした。
(比較例1)
上記製造例1で得られた変性ポリオレフィン樹脂(A−1)を、シリンダー及びダイス温度200℃、スクリュ回転数100rpmに設定した単軸押出機(20mmφ、L/D=20、(株)東洋精機製、製品名ラボプラストミル)のホッパーに投入し、ダイス先端に取り付けたT型ダイスより、幅約13cm、厚み30μmのフィルム(A4)とした。
(比較例2)
上記製造例2で得られた変性ポリオレフィン樹脂(A−2)を、シリンダー及びダイス温度200℃、スクリュ回転数100rpmに設定した単軸押出機(20mmφ、L/D=20、(株)東洋精機製、製品名ラボプラストミル)のホッパーに投入し、ダイス先端に取り付けたT型ダイスより、幅約13cm、厚み30μmのフィルム(A5)とした。
(比較例3)
上記製造例3で得られた変性ポリオレフィン樹脂(A−3)を、シリンダー及びダイス温度200℃、スクリュ回転数100rpmに設定した単軸押出機(20mmφ、L/D=20、(株)東洋精機製、製品名ラボプラストミル)のホッパーに投入し、ダイス先端に取り付けたT型ダイスより、幅約13cm、厚み30μmのフィルム(A6)とした。
(比較例4)
上記製造例4で得られた変性ポリオレフィン樹脂(A−4)を、シリンダー及びダイス温度200℃、スクリュ回転数100rpmに設定した単軸押出機(20mmφ、L/D=20、(株)東洋精機製、製品名ラボプラストミル)のホッパーに投入し、ダイス先端に取り付けたT型ダイスより、幅約13cm、厚み50μmのフィルム(A7)とした。
(比較例5)
上記製造例5で得られた変性ポリオレフィン樹脂(A−5)を、シリンダー及びダイス温度200℃、スクリュ回転数100rpmに設定した単軸押出機(20mmφ、L/D=20、(株)東洋精機製、製品名ラボプラストミル)のホッパーに投入し、ダイス先端に取り付けたT型ダイスより、幅約13cm、厚み50μmのフィルム(A8)とした。
実施例1〜3、比較例1〜5で作成した接着シートまたはフィルム(A1〜A8)を用いて、鋼板プレートの接着テストサンプルを作成し、T字剥離評価を行った。テストサンプルは、2枚の鋼板プレート(25mm×150mm、厚さ0.15mm)の間に接着フィルムまたはシートを挟み、プレス機(神藤金属工業所、型式NSF−50、プレス温度200℃、無圧・予熱4分、2MPa・プレス30秒、無圧・冷却プレス3min)にて接着して得た。T字剥離評価は、島津製作所製AG−2000Aを用い、23℃にて引張テストスピード200mm/minで行った。表1には、実施例に用いた変性ポリオレフィン系樹脂の変性処方を、表2には実施例および比較例のT字剥離強度を配合表とともにまとめた。
Figure 0005394817
Figure 0005394817
実施例1〜3は本発明の接着性樹脂組成物を用いており、いずれもメタクリル酸グリシジル変性ポリオレフィン樹脂および無水マレイン酸変性ポリオレフィン樹脂を単独で接着樹脂として用いた場合(比較例1〜5)よりも、強固な接着強度を示した。

Claims (11)

  1. (A)ポリオレフィン樹脂をエポキシ基含有ビニル単量体で溶融グラフト変性して得られるエポキシ基含有変性ポリオレフィン樹脂1〜99重量部、および(B)ポリオレフィン樹脂をα、β−不飽和カルボン酸又はその無水物単量体で溶融グラフト変性して得られる酸変性ポリオレフィン樹脂99〜1重量部〔ただし(A)+(B)=100重量部〕からなる接着性樹脂組成物であって、
    前記ポリオレフィン樹脂が、プロピレン単位が過半量であるポリプロピレン系樹脂である接着性樹脂組成物
  2. (A)エポキシ基含有変性ポリオレフィン樹脂が、(a−1)ポリオレフィン樹脂に対して、ラジカル重合開始剤存在下、(a−2)エポキシ基含有ビニル単量体および(a−3)芳香族ビニル単量体を溶融混練して得られ、該(a−2)エポキシ基含有ビニル単量体の添加量が、(a−1)ポリオレフィン樹脂と(a−2)エポキシ基含有ビニル単量体と(a−3)芳香族ビニル単量体の合計重量に対し、0.1〜50重量%の範囲である請求項1記載の接着性樹脂組成物。
  3. (B)酸変性ポリオレフィン樹脂が、(b−1)ポリオレフィン樹脂に対して、ラジカル重合開始剤存在下、(b−2)α、β−不飽和カルボン酸またはその酸無水物単量体および(b−3)芳香族ビニル単量体を溶融混練して得られ、該(b−2)α、β−不飽和カルボン酸またはその酸無水物単量体の添加量が、(b−1)ポリオレフィン樹脂と(b−2)α、β−不飽和カルボン酸またはその酸無水物単量体と(b−3)芳香族ビニル単量体の合計重量に対し、0.01〜50重量%の範囲である請求項1または2記載の接着性樹脂組成物。
  4. ポリオレフィン樹脂を変性して得られる、前記(A)エポキシ基含有変性ポリオレフィン樹脂および前記(B)酸変性ポリオレフィン樹脂の少なくともひとつにおいて、ポリオレフィン樹脂がエチレン成分を0.01〜45重量%含むエチレン−プロピレンコポリマーである、請求項1〜いずれか一項に記載の接着性樹脂組成物。
  5. (b−2)α、β−不飽和カルボン酸またはその酸無水物単量体が無水マレイン酸である、請求項3または4に記載の接着性樹脂組成物。
  6. (A)エポキシ基含有変性ポリオレフィン樹脂が、(a−1)ポリオレフィン系樹脂とラジカル重合開始剤を溶融混練した後、次いで(a−3)エポキシ基含有ビニル単量体、(a−4)芳香族ビニル単量体を加え溶融混練して得られることを特徴とする請求項2〜のいずれか一項に記載の接着性樹脂組成物。
  7. (B)酸変性ポリオレフィン樹脂が、(b−1)ポリオレフィン樹脂とラジカル重合開始剤、および(b−2)α、β−不飽和カルボン酸またはその酸無水物単量体を溶融混練した後、次いで(b−3)芳香族ビニル単量体を加え溶融混練して得られることを特徴とする請求項3〜のいずれか一項に記載の接着性樹脂組成物。
  8. 請求項1〜のいずれか一項に記載の接着性樹脂組成物100重量部に対して、プロピレン単位が過半量であるポリプロピレン樹脂0.1〜100重量部を含有する接着性ポリオレフィン系樹脂組成物。
  9. 請求項1〜のいずれか一項に記載の接着性樹脂組成物からなり、熱溶着性を有するシート状またはフィルム状成形体。
  10. 請求項1〜に記載の少なくとも1つの接着性樹脂組成物、および/または請求項に記載のシート状若しくはフィルム状成形体で接着されてなる接着体。
  11. 請求項1〜のいずれか一項に記載の接着性樹脂組成物を溶融混練した後、シートまたはフィルム状に成形加工することを特徴とするシート状またはフィルム状成形体の製造方法。
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