実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本明細書に開示する発明は以下の説明に限定されず、趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する本明細書に開示する構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
(実施の形態1)
本実施の形態では、より薄型化、及び小型化を付与することを目的とした半導体装置、及びその半導体装置を歩留まり良く作製する方法を、図1乃至8を用いて詳細に説明する。
図1(A)(B)に本実施の形態の半導体装置を示す。図1(A)は半導体装置の平面図であり、図1(B)は図1(A)のにおいて線Y−Zの断面図である。
図1の半導体装置は、半導体集積回路112R、半導体集積回路112G、半導体集積回路112Bをインターポーザ160に実装されて有する構造である。半導体集積回路112R、半導体集積回路112G、半導体集積回路112Bには外部との電気的接続を行うための導電層である端子電極115R1、115R2、115G1、115G2、115B1、115B2が設けられている。
半導体集積回路112R、半導体集積回路112G、半導体集積回路112Bは、それぞれの端子電極とインターポーザ160に形成された電極161a1、161a2、161b1、161b2、161c1、161c2と異方性導電層162によって電気的に接続されている。インターポーザ160は図1の点線で示すように、表面と裏面とを貫通する開口を有しており、電極161a1と161a2、161b1と161b2、161c1と161c2は開口を介して連続的に接している。従って、電極161a2、161b2、161c2は半導体集積回路112R、半導体集積回路112G、半導体集積回路112Bの電極として、他の基板に実装することができる。
半導体集積回路112R、半導体集積回路112G、半導体集積回路112Bは、それぞれ透光性基板109R、109G、109B、光電変換素子を含む半導体素子層101R、101G、101B及びカラーフィルタとして機能する有彩色の透光性樹脂層114R、114G、114Bを有しており、カラーセンサとして機能する。本実施の形態においては、半導体集積回路112Rは赤色の透光性樹脂層114R、半導体集積回路112Gは緑色の透光性樹脂層114G、半導体集積回路112Bは青色の透光性樹脂層114Bをそれぞれ有しており、それぞれの透光性樹脂層114R、114G、114Bに着色された色の光を透過し、検知することができる。よって、半導体集積回路112R、半導体集積回路112G、半導体集積回路112Bを含む本実施の形態の半導体装置は、3種類の色(赤色、緑色、青色)の光をそれぞれに検知することのできる半導体装置である。
さらに、半導体集積回路112R、半導体集積回路112G、半導体集積回路112Bは、透光性基板109R、109G、109Bの半導体素子層101R、101G、101Bの形成面と反対側の一面及び端部(側面)の一部とを少なくとも有彩色の透光性樹脂層114R、114G、114Bで覆う構成である。従って透光性樹脂層114R、114G、114Bが、作製工程、または検査工程において加わる圧力等の外部ストレスからの衝撃吸収層としても機能するため、半導体集積回路112R、112G、112Bのキズ、クラックなどの不良を低減し、信頼性の高い半導体装置を作製することができる。
有彩色は、黒、灰、白などの無彩色を除く色であり、着色層はカラーフィルタとして機能させるため、その着色された有彩色の光のみを透過する材料で形成される。有彩色としては、赤色、緑色、青色などを用いることができる。また、シアン、マゼンダ、イエロー(黄)などを用いてもよい。
透光性樹脂層114R、114G、114Bは、少なくともカラーフィルタとして機能する有彩色の着色層であり、その上にさらに衝撃吸収層として透明な透光性樹脂層を積層してもよい。図1の半導体装置において、透光性樹脂層を積層する例を図2(A)(B)及び図18(A)(B)に示す。図2(A)図18(A)は半導体装置の平面図であり、図2(B)は図2(A)における線Y−Zの断面図、図18(B)は図18(A)における線Y−Zの断面図である。
図2の半導体装置は、透光性樹脂層110R、110G、110Bが各有彩色の透光性樹脂層114R、114G、114B上に積層されている半導体集積回路112R、112G、112Bをインターポーザ160に実装する例である。透光性基板に接して有彩色の透光性樹脂層114R、114G、114Bが形成され、有彩色の透光性樹脂層114R、114G、114Bの上にそれぞれ透明な透光性樹脂層110R、110G、110Bが積層されている。
一方、図18の半導体装置は、インターポーザ160に半導体集積回路112R、112G、112Bを実装した後、半導体集積回路112R、112G、112B上を覆うように、有彩色の透光性樹脂層114R、114G、114B上透光性樹脂層110を形成する例である。半導体集積回路112R、112G、112Bをインターポーザ160に実装した後に透光性樹脂層110を形成するため、図18においては、透光性樹脂層110は半導体集積回路112R、112G、112B側面及びインターポーザ160との接続部も連続的に覆う形状とすることができる。
透明な透光性樹脂層110、110R、110G、110Bは、保護層として機能し、衝撃吸収性も向上させ、有彩色の透光性樹脂層114R、114G、114Bの劣化も防止する効果がある。
透光性樹脂層の膜厚は1μm〜20μmとすればよい。透光性樹脂層を積層する場合、衝撃吸収層として機能する透光性樹脂層110R、110G、110Bの膜厚と着色層として機能する透光性樹脂層114R、114G、114Bの膜厚は同程度(例えば膜厚1.2μm)でもよいし、異なってもよい。
また、衝撃吸収層として機能する透光性樹脂層110R、110G、110Bの膜厚は、着色層として機能する有彩色の透光性樹脂層114R、114G、114Bより厚くてもよい。衝撃吸収層として機能する透光性樹脂層110R、110G、110Bは膜厚を厚く形成することによって、より衝撃吸収層として耐衝撃性を向上させることができる。一方、有彩色の透光性樹脂層114R、114G、114Bは、着色層(カラーフィルタ)として機能させるため、含ませる着色材料の濃度と光の透過率の関係に考慮して、最適な膜厚を適宜制御するとよい。
例えば、衝撃吸収層として機能する透光性樹脂層110R、110G、110Bの膜厚を、着色層として機能する透光性樹脂層114R、114G、114Bより厚くする場合、例として衝撃吸収層として機能する透光性樹脂層110R、110G、110Bの膜厚を5μm以上10μm以下とし、着色層として機能する透光性樹脂層114R、114G、114Bの膜厚を0.1μm以上1μm以下とすればよい。
透光性基板109R、109G、109Bの側面に段差を有し、透光性基板109R、109G、109Bの幅寸法は、段差よりも先の部分が小さい。よって、透光性基板109R、109G、109Bの断面は、凸字形状(逆さまのT字ブロック形状)ともいえる。段差よりも先の部分とは、透光性基板109R、109G、109Bにおいて半導体素子層101R、101G、101Bの形成面を下とした場合の上方向の部分である。
透光性基板の断面が凸字形状であると、凸字形上において透光性基板端部の切欠き部を埋めるように、透光性樹脂層を設けることができる。
本実施の形態の半導体集積回路においては、透光性樹脂層が接している透光性基板の側面は、裾広がりの曲面を有する。透光性基板の側面が裾広がりの曲面を有するために、その曲面に透光性樹脂層を覆うように設けることができる。また、透光性基板の下底面及び上底面は四角形であり、下底面の面積の方が上底面の面積より大きい。透光性基板において下底面の面積の方が上底面の面積より大きいと、下底面と上底面が重なっていない領域の側面に、透光性基板周囲を囲むように透光性樹脂層を設けることができる。
大面積な透光性基板を半導体素子層ごとに分断することによって、複数の半導体集積回路をチップ状で取り出す。分断方法において、まず、基板の厚さを薄く加工し、分断にかかる工程時間の短縮、及び分断に用いるダイサーなど加工手段の摩耗を軽減する。さらに分断工程は、一度に行わず、まず、透光性基板に半導体素子層を分断するための溝を形成し、溝の形成された透光性基板上に透光性樹脂層の積層を設ける。その後、透光性樹脂層及び透光性基板を溝において、切断して、複数の半導体集積回路に分断(分割)する。
透光性基板109は断面において、側面が階段状の台形であり、階段状の台形は、上段の厚さが下段の厚さより厚い。溝の形状によっては、図1のように台形の上段は下段に向かって湾曲している形状となる。
透光性基板の台形の断面形状において、台形の上段が下段に向かって湾曲している形状であると、湾曲部に設けられる透光性樹脂層の被覆性がよい。
上記のように本明細書に開示する半導体集積回路は複雑な形状であるため、半導体集積回路の天地左右の判別が容易であり、機械による自動操作においても誤認を低減することができる。
また、ブラックマトリクスを設ける構成としてもよい。図17にブラックマトリクスとして機能する遮光層を有する半導体装置を示す。図17の半導体装置117R、117G、117Bは、カラーフィルタとして機能する有彩色の透光性樹脂層114R、114G、114B上に選択的に形成された遮光層116R、116G、116Bを有している。遮光層116R、116G、116Bは、スピンコート法などの塗布法によって形成することができ、その他液滴吐出法、印刷法、ディッピング法、ディスペンサ法、刷毛塗り法、スプレー法、フローコート法などによって形成することもできる。印刷法を用いると、遮光層を選択的に形成することができるため、フォトリソグラフィ工程による所望の形状への加工工程を簡略化することができる。
遮光層116R、116G、116Bは、半導体素子層101R、101G、101Bの光電変換素子が設けられる領域に対応して開口を有するように形成される。遮光層116R、116G、116Bはブラックマトリクスとして機能し、光電変換素子へ外部からの不適切な光が照射し、誤作動を生じないように光を遮断する。よって、遮光層116R、116G、116Bの開口より入射し、カラーフィルタとして機能する有彩色の透光性樹脂層114R、114G、114Bを透過した光のみを光電変換素子は受光することができるため、半導体装置の信頼性が向上する。また、半導体素子層に形成される半導体素子に光が照射されると特性変動が生じる恐れがあるが、遮光層を設けることでそのような不良を防止することができる。
以下に、本実施の形態における半導体装置の作製方法を詳細に述べる。
図3(A)に透光性基板100上に設けられた光電変換素子を有する半導体素子層101a、101b、101cを示す。半導体素子層101a、101b、101cはそれぞれ端子電極115a1、115a2、115b1、115b2、115c1、115c2を有している。
次に、透光性基板100の厚さを研削、研磨処理によって薄くする工程を行う。工程時の透光性基板100を固定する固定テープ103に半導体素子層101a、101b、101c側を向けて透光性基板100を固定し、透光性基板100を加工して、厚さの薄い透光性基板102とする(図3(B)参照。)。透光性基板100が厚さ0.5mmのガラス基板であるとすれば、透光性基板102は、0.25〜0.3mm程度に薄型化することが好ましい。透光性基板の厚さを薄く加工することで、透光性基板の分断にかかる工程時間の短縮、及び分断に用いるダイサーなど加工手段の摩耗を軽減することができる。研削処理及び研磨処理は好適に組み合わせて用いることができ、本実施の形態では、研削機により研削した後、研磨機により研磨処理で表面を平坦化する。研磨処理として化学的機械研磨を行ってもよい。
透光性基板を分断することによって、複数の半導体集積回路をチップ状で取り出す。分断工程は、一度に行わず、まず、透光性基板102に半導体素子層101a、101b、101cを分断するための溝106a、106b、106c、106dをダイサー104のダイシングブレードで形成する(図3(C)参照。)。透光性基板105の溝106a、106b、106c、106dにおいて透光性基板105は意図的に残存させる。残存させる透光性基板105の厚さは、30μm〜100μm(好ましくは30μm〜50μm)程度とすればよい。
次に、溝106a、106b、106c、106dの形成された透光性基板102上に透光性樹脂層113及び透光性樹脂層107の積層を形成する(図3(D)参照。)。透光性樹脂層113、107の材料は、透光性樹脂層形成後の工程において(例えば、インターポーザへの実装時)加熱処理を用いる場合はその加熱温度に耐えうる樹脂材料を用いる。積層して設けられる透光性樹脂層の一方は、カラーフィルタとして機能する有彩色の着色層であり、他方は衝撃吸収層として機能する樹脂層とする。本実施の形態では、透光性樹脂層113を有彩色の着色材料を含んで形成する。
衝撃吸収層として機能する透光性樹脂層107を形成すると、半導体集積回路及び半導体装置に、より耐ストレス性を付与することができる。例えば、本明細書に開示する透光性樹脂層が設けられた半導体集積回路においては、約20Nの圧力を加えても破損することなく耐えることができる。
透光性樹脂層としては、ビニル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ノボラック樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、シロキサン樹脂等の樹脂材料を用いることができる。樹脂層の作製方法はスピンコート法などの塗布法を用いることができ、その他液滴吐出法、印刷法、ディッピング法、ディスペンサ法、刷毛塗り法、スプレー法、フローコート法などを用いることもできる。
その後、透光性樹脂層113、107及び透光性基板105を溝106a、106b、106c、106dにおいて、切断して、複数の半導体集積回路に分断(分割)する。本実施の形態では、透光性基板105及び透光性樹脂層113、107を固定テープ111に固定し、透光性基板105側より溝106a、106b、106c、106dに残存する透光性基板102及び透光性樹脂層113、107を、ダイサー108によって切断する。ダイサー108によって、透光性基板105及び透光性樹脂層113、107は分割され、透光性基板109a、109b、109c、透光性樹脂層114a、114b、114c、110a、110b、110cとなる(図3(E)参照。)。本実施の形態では、固定テープ103、111として、ダイシングテープを用いる。
溝の形成された透光性基板105及び透光性樹脂層113、107を切断する際は、透光性基板105側でも透光性樹脂層113、107側からでも切断することができる。透光性基板105にアライメント合わせのマーカーを形成する場合は、透光性基板105側よりダイサー等の切断手段を用いて切断すると、切断箇所の正確性を高くすることができる。
以上の工程で、半導体集積回路112a、112b、112cを形成することができる(図3(F)参照。)。透光性樹脂層107及び透光性基板102を切断する切断面の幅を、溝の幅より狭くすることによって、透光性基板側面に、溝に形成された樹脂層を残存させることができる。本実施の形態では、ダイサー104及びダイサー108の幅とは処理領域(ダイサーによって加工される領域)を決定するダイシングブレードの厚さとなる。
切断面の幅a1はダイサー104のダイシングブレードの幅a1に、溝の幅は、ダイサー108のダイシングブレードの幅a2によって制御できるため、ダイサー104のダイシングブレードの幅a1よりダイサー108のダイシングブレードの幅a2を狭くすればよい。例えば、本実施の形態では、ダイサー104のダイシングブレードの幅a1を0.16mm、ダイサー108のダイシングブレードの幅a2を0.1mmとする。
従って、半導体集積回路112a、112b、112cにおいて、半導体素子層101a、101b、101cの設けられていない面及び側面の一部は樹脂層110a、110b、110cで覆われる構造となる。
透光性基板に形成される溝の形状は加工手段に依存する。本実施の形態ではダイサー104のやや丸みを帯びたダイシングブレードの形状が反映され、溝106a、106b、106c、106dも図1の断面において丸み(曲率を有する)を帯びた形状となっている。ダイシングブレードの形状を矩形とすれば、溝の形状も矩形となり、分断後の半導体集積回路の透光性基板の端部も矩形を有する形状とすることができる。
図9に矩形のダイシングブレードで加工する例を示す。図9(A)は、図1(B)と対応しており、半導体素子層101a、101b、101cが設けられた透光性基板102は固定テープ103上で研削、研磨加工されている。
透光性基板102に半導体素子層101a、101b、101cを分断するための溝126a、126b、126c、126dをダイサー124で形成する(図9(B)参照。)。ダイサー124は矩形のダイシングブレードを用いるために、透光性基板125の溝126a、126b、126c、126dは断面図において矩形となっている。
次に、溝126a、126b、126c、126dの形成された透光性基板125上に透光性樹脂層133、127を形成する(図9(C)参照。)。
その後、透光性樹脂層133、127及び透光性基板125を溝126a、126b、126c、126dにおいて、切断して、複数の半導体集積回路に分断(分割)する。本実施の形態では、透光性基板125及び透光性樹脂層133、127を固定テープ131に固定し、透光性基板125側より溝126a、126b、126c、126dに残存する透光性基板125及び透光性樹脂層133、127を、ダイサー128によって切断する。ダイサー128によって、透光性基板125及び樹脂層127は分割され、透光性基板129a、129b、129c、透光性樹脂層134a、134b、134c、130a、130b、130cとなる(図9(D)参照。)。
以上の工程で、半導体集積回路132a、132b、132cを形成することができる(図9(E)参照。)。半導体集積回路132a、132b、132cは矩形の形状の溝126a、126b、126c、126dの形状を反映し、断面図において側面に段差を有する形状となっている。
なお、図9(F)は、図4と同様に図9で形成する半導体集積回路をインターポーザ160に実装する例である。図9(F)において、半導体集積回路132R、132G、132Bは図9(E)と同様に各基板で形成された半導体集積回路である。本実施の形態においては、半導体集積回路132Rは赤色の透光性樹脂層134R、半導体集積回路132Gは緑色の透光性樹脂層134G、半導体集積回路132Bは青色の透光性樹脂層134Bをそれぞれ有しており、それぞれの透光性樹脂層134R、134G、134Bに着色された色の光を透過し、検知することができる。なお、図9(F)において、半導体集積回路132R、132G、132Bはインターポーザ160の電極161a1、161b1、161c1とはんだで実装されており、間に固定のための樹脂層163を設ける例である。
また、基板端部での被覆性を向上させるために、基板の厚さは透光性樹脂層と比較して厚いため、透光性樹脂層も厚くすると好ましい。図2のように透光性樹脂層を積層構造とすると厚く形成することができる。透光性樹脂層の構造や膜厚、また切断箇所によっても完成する半導体集積回路の形状を自由に変化させる(異ならせる)ことができる。図2においては、透光性樹脂層を厚く形成しているために、各半導体集積回路において、透光性基板と透光性樹脂層端部とが一致する形状となる。
ダイシングブレードの幅の細いダイサーを用いて分断すると、透光性基板の溝の領域を完成した半導体集積回路に多く残すこともできる。衝撃吸収材として機能する透光性樹脂層を積層すると、半導体集積回路に、より耐ストレス性を付与することができる。
また、溝を形成し、溝上に透光性樹脂層を形成するので、溝底面に厚く透光性樹脂層を形成することができる。さらに透光性樹脂層を形成後、透光性樹脂層と透光性基板を積層して切断するため、側面において透光性樹脂層の端部と透光性基板の端部とが一致する。側面において透光性基板の上側の端部が露出しないために、透光性基板の端部の破損や欠けを防止することができる。また、透光性樹脂層を積層により厚く形成すると、半導体集積回路の側面において透光性基板の端部と透光性樹脂層の端部との距離を長くすることができるため、より透光性基板端部に与えるダメージを軽減することができる。
図3のように各基板に形成され、分断された複数の半導体集積回路をインターポーザに実装し、複数の半導体集積回路を有する半導体装置を作製する。
図4(A)において、半導体集積回路112R、112G、112Bは図3と同様に各基板で形成された半導体集積回路である。
半導体集積回路112R、半導体集積回路112G、半導体集積回路112Bは、それぞれ透光性基板109R、109G、109B、光電変換素子を含む半導体素子層101R、101G、101B及びカラーフィルタとして機能する有彩色の透光性樹脂層114R、114G、114Bを有しており、カラーセンサとして機能する。本実施の形態においては、半導体集積回路112Rは赤色の透光性樹脂層114R、半導体集積回路112Gは緑色の透光性樹脂層114G、半導体集積回路112Bは青色の透光性樹脂層114Bをそれぞれ有しており、それぞれの透光性樹脂層114R、114G、114Bに着色された色の光を透過し、検知することができる。
半導体集積回路112R、半導体集積回路112G、半導体集積回路112Bにおいては、半導体素子層表面に実装時に電気的接続を行う端子電極115R1、115R2、115G1、115G2、115B1、115B2として導電層が設けられている。
端子電極115R1、115R2、115G1、115G2、115B1、115B2は湿式法を用いて導電性樹脂によって形成されてもよいし、乾式法を用いて導電性薄膜によって形成されてもよい。また、導電性樹脂層と導電性薄膜とを積層してもよい。
例えば、スクリーン印刷法を用いて導電層を形成する場合には、粒径が数nmから数十μmの導電体粒子を有機樹脂に溶解または分散させた導電性のペーストを選択的に印刷することによって設けることができる。導電体粒子としては、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)およびチタン(Ti)等のいずれか一つ以上の金属粒子やハロゲン化銀の微粒子を用いることができる。また、導電性ペーストに含まれる有機樹脂は、金属粒子のバインダー、溶媒、分散剤および被覆材として機能する有機樹脂から選ばれた一つまたは複数を用いることができる。代表的には、エポキシ樹脂、シリコン樹脂等の有機樹脂が挙げられる。また、導電層の形成の際は、導電性のペーストを押し出した後に焼成することが好ましい。また、はんだや鉛フリーのはんだを主成分とする微粒子を用いてもよい。
次に電極161a1、161a2、161b1、161b2、161c1、161c2を含むインターポーザ160に半導体集積回路112R、半導体集積回路112G、半導体集積回路112Bを実装する(図4(B)参照。)。
また、インターポーザに実装する前に、半導体集積回路に検査工程を行ってもよい。検査工程を行うことで良品を選択してインターポーザに実装し半導体装置を作製することができる。
光電変換素子を含む半導体集積回路は、インターポーザにはんだや異方性導電層によって実装することができる。本実施の形態では、半導体集積回路とインターポーザとの間に異方性導電層162を設けている。
また、半導体集積回路と実装されるインターポーザの電極との接続部分の構造としては、基板上の配線と半導体集積回路の端子電極に設けられた導電性の突起物であるバンプとを接触させ、インターポーザと半導体集積回路間を樹脂で固定してもよい。またインターポーザの電極と半導体集積回路の端子電極の間に導電性の粒子を分散させた樹脂を設け、この導電性の粒子で半導体集積回路とインターポーザの電極との接続を行い、導電性の粒子を分散させた有機樹脂で接着、固定してもよい。また、接着に使用する樹脂としては光硬化性の樹脂や熱硬化性のものあるいは自然硬化性の樹脂等を用いることができる。
また、半導体集積回路とインターポーザとの間に樹脂を設けて固着すると、固着強度が向上するために好ましい。
インターポーザ160は図4において点線で示すように、表面と裏面とを貫通する開口を有しており、電極161a1と161a2、161b1と161b2、161c1と161c2は開口を介して連続的に接している。インターポーザの電極構造の例を図4(C)(D)に示す。
図4(C)(D)はインターポーザ160に設けられた開口を分断するよう示した断面図である。図4(C)は、インターポーザ160の表裏に形成された161a1と161a2、161b1と161b2、161c1と161c2とを接続するように、導電膜164a1、164a2、164b1、164b2、164c1、164c2が形成されている。導電膜164a1、164a2、164b1、164b2、164c1、164c2はめっき法などにより形成することができる。また、開口は樹脂や導電性材料などによって充填される構造であると好ましい。図4(D)は、インターポーザ160に設けられた開口に導電性材料が充填されている例であり、導電層165a、165b、165cによって、161a1と161a2、161b1と161b2、161c1と161c2とは電気的に接続する。充填する導電性材料として導電性樹脂なども用いることができる。
従って、電極161a2、161b2、161c2は半導体集積回路112R、半導体集積回路112G、半導体集積回路112Bの電極として、他の基板に実装することができる。
インターポーザとしては、有機ポリマー、無機ポリマー、ガラスエポキシ系やセラミック系、ポリイミド、フッ素樹脂などの材料などを用いることができる。
また、インターポーザの厚さは50μm〜300μm(代表的には100μm〜200μm)程度である。より厚さの薄いインターポーザを用いると、半導体層装置を薄型化の効果をより高めることができる。図1の半導体装置においては、透光性基板109R、109G、109Bとインターポーザ160はほぼ同じ厚さのものを用いる例を示すが、インターポーザは透光性基板より厚さの厚いものを用いても、薄いものを用いてもよい。
また、本実施の形態で示すように、半導体集積回路において、透光性樹脂層が半導体素子層側に露出しないために耐熱性が高く、はんだや異方性導電層を用いて半導体集積回路をインターポーザに実装する際に加熱処理を行うことによる不良の発生を軽減させることができる。
半導体集積回路において薄く成形された透光性基板は透光性樹脂層で覆われているため工程上取扱い易く、破損などの不良が生じにくい。よって、より薄型の高性能な半導半導体集積回路及び半導体装置を歩留まり良く作製することができる。
インターポーザに実装される複数の半導体集積回路は、自由に選択することができるため、それぞれ含む有彩色の透光性樹脂の色が異なる半導体集積回路をインターポーザに実装し、カラーセンサとしての機能を有する半導体集積回路を複数色含む半導体装置を作製することができる。
また、インターポーザに実装する際に、半導体集積回路に検査工程を行い、良品のみを選別してインターポーザに実装することができるため、作製工程において半導体装置の歩留まりが向上する。特に、半導体集積回路に増幅回路など複雑な構成を含む半導体素子層を有する構成の場合、チップ状の半導体集積回路に不良が生じる恐れがあるため、インターポーザに実装する前に半導体集積回路の不良検査が行えることは有益である。
さらに、本明細書に開示する半導体集積回路は、透光性基板の半導体素子層の形成面と反対側の一面及び端部(側面)の一部とを少なくとも有彩色の透光性樹脂層で覆う構成である。従って透光性樹脂層が、作製工程、または検査工程において加わる圧力等の外部ストレスからの衝撃吸収層としても機能するため、半導体集積回路のキズ、クラックなどの不良を低減し、信頼性の高い半導体装置を作製することができる。
分断される半導体素子層として、基板上に光電変換素子及び電界効果トランジスタを形成する方法を、図5(A)乃至(D)、図6(A)乃至(C)、図7(A)(B)の、断面図を用いて説明する。図7(A)では透光性基板310として、ガラス基板の一つであるAN100を用いる。基板上に形成する電界効果トランジスタとしては、薄膜トランジスタを用いることにより、基板上に、光電変換素子と薄膜トランジスタを同一工程で作製することができるため、半導体集積回路の量産化がし易いといった利点がある。なお、カラーフィルタとして機能する透光性樹脂層及び透光性基板を通過して光電変換素子に光を照射する。
まず、プラズマCVD法で下地絶縁膜312となる窒素を含む酸化珪素膜(膜厚100nm)を形成し、さらに大気にふれることなく、半導体膜例えば水素を含む非晶質珪素膜(膜厚54nm)を積層形成する。また、下地絶縁膜312は酸化珪素膜、窒化珪素膜、窒素を含む酸化珪素膜を用いた積層してもよい。例えば、下地絶縁膜312として、酸素を含む窒化珪素膜を50nm、さらに窒素を含む酸化珪素膜を100nm積層した膜を形成してもよい。なお、窒素を含む酸化珪素膜や窒化珪素膜は、ガラス基板からのアルカリ金属などの不純物拡散を防止するブロッキング層として機能する。
半導体素子が有する半導体層を形成する材料は、シランやゲルマンに代表される半導体材料ガスを用いて気相成長法やスパッタリング法で作製される非晶質(アモルファス、以下「AS」ともいう。)半導体、該非晶質半導体を光エネルギーや熱エネルギーを利用して結晶化させた多結晶半導体、或いは微結晶(セミアモルファス若しくはマイクロクリスタルとも呼ばれる。以下「SAS」ともいう。)半導体などを用いることができる。半導体層はスパッタ法、LPCVD法、またはプラズマCVD法等により成膜することができる。
微結晶半導体膜は、ギブスの自由エネルギーを考慮すれば非晶質と単結晶の中間的な準安定状態に属するものである。すなわち、自由エネルギー的に安定な第3の状態を有する半導体であって、短距離秩序を持ち格子歪みを有する。柱状または針状結晶が基板表面に対して法線方向に成長している。微結晶半導体の代表例である微結晶シリコンは、そのラマンスペクトルが単結晶シリコンを示す520cm−1よりも低波数側に、シフトしている。即ち、単結晶シリコンを示す520cm−1とアモルファスシリコンを示す480cm−1の間に微結晶シリコンのラマンスペクトルのピークがある。また、未結合手(ダングリングボンド)を終端するため水素またはハロゲンを少なくとも1原子%またはそれ以上含ませている。さらに、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、ネオンなどの希ガス元素を含ませて格子歪みをさらに助長させることで、安定性が増し良好な微結晶半導体膜が得られる。
この微結晶半導体膜は、周波数が数十MHz〜数百MHzの高周波プラズマCVD法、または周波数が1GHz以上のマイクロ波プラズマCVD装置により形成することができる。代表的には、SiH4、Si2H6、SiH2Cl2、SiHCl3、SiCl4、SiF4などの水素化珪素を水素で希釈して形成することができる。また、水素化珪素及び水素に加え、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、ネオンから選ばれた一種または複数種の希ガス元素で希釈して微結晶半導体膜を形成することができる。これらのときの水素化珪素に対して水素の流量比を5倍以上200倍以下、好ましくは50倍以上150倍以下、更に好ましくは100倍とする。
アモルファス半導体としては、代表的には水素化アモルファスシリコン、結晶性半導体としては代表的にはポリシリコンなどがあげられる。ポリシリコン(多結晶シリコン)には、800℃以上のプロセス温度を経て形成されるポリシリコンを主材料として用いた所謂高温ポリシリコンや、600℃以下のプロセス温度で形成されるポリシリコンを主材料として用いた所謂低温ポリシリコン、また結晶化を促進する元素などを用いて、非晶質シリコンを結晶化させたポリシリコンなどを含んでいる。もちろん、前述したように、微結晶半導体又は半導体層の一部に結晶相を含む半導体を用いることもできる。
また、半導体の材料としてはシリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)などの単体のほかGaAs、InP、SiC、ZnSe、GaN、SiGeなどのような化合物半導体も用いることができる。また酸化物半導体である酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)なども用いることができ、ZnOを半導体層に用いる場合、ゲート絶縁層をY2O3、Al2O3、TiO2、それらの積層などを用いるとよく、ゲート電極層、ソース電極層、ドレイン電極層としては、ITO、Au、Tiなどを用いるとよい。また、ZnOにInやGaなどを添加することもできる。
半導体層に、結晶性半導体膜を用いる場合、その結晶性半導体膜の作製方法は、種々の方法(レーザ結晶化法、熱結晶化法、またはニッケルなどの結晶化を助長する元素を用いた熱結晶化法等)を用いれば良い。また、SASである微結晶半導体をレーザ照射して結晶化し、結晶性を高めることもできる。結晶化を助長する元素を導入しない場合は、非晶質珪素膜にレーザ光を照射する前に、窒素雰囲気下500℃で1時間加熱することによって非晶質珪素膜の含有水素濃度を1×1020atoms/cm3以下にまで放出させる。これは水素を多く含んだ非晶質珪素膜にレーザ光を照射すると非晶質珪素膜が破壊されてしまうからである。
非晶質半導体層への金属元素の導入の仕方としては、当該金属元素を非晶質半導体膜の表面又はその内部に存在させ得る手法であれば特に限定はなく、例えばスパッタ法、CVD法、プラズマ処理法(プラズマCVD法も含む)、吸着法、金属塩の溶液を塗布する方法を使用することができる。このうち溶液を用いる方法は簡便であり、金属元素の濃度調整が容易であるという点で有用である。また、このとき非晶質半導体膜の表面の濡れ性を改善し、非晶質半導体膜の表面全体に水溶液を行き渡らせるため、酸素雰囲気中でのUV光の照射、熱酸化法、ヒドロキシラジカルを含むオゾン水又は過酸化水素による処理等により、酸化膜を成膜することが望ましい。
また、非晶質半導体膜を結晶化し、結晶性半導体膜を形成する結晶化工程で、非晶質半導体膜に結晶化を促進する元素(触媒元素、金属元素とも示す)を添加し、熱処理(550℃〜750℃で3分〜24時間)により結晶化を行ってもよい。結晶化を助長(促進)する元素としては、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、銅(Cu)及び金(Au)から選ばれた一種又は複数種類を用いることができる。
結晶化を助長する元素を結晶性半導体膜から除去、又は軽減するため、結晶性半導体膜に接して、不純物元素を含む半導体膜を形成し、ゲッタリングシンクとして機能させる。不純物元素としては、n型を付与する不純物元素、p型を付与する不純物元素や希ガス元素などを用いることができ、例えばリン(P)、窒素(N)、ヒ素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、ボロン(B)、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)、Kr(クリプトン)、Xe(キセノン)から選ばれた一種または複数種を用いることができる。結晶化を促進する元素を含む結晶性半導体膜に、希ガス元素を含む半導体膜を形成し、熱処理(550℃〜750℃で3分〜24時間)を行う。結晶性半導体膜中に含まれる結晶化を促進する元素は、希ガス元素を含む半導体膜中に移動し、結晶性半導体膜中の結晶化を促進する元素は除去、又は軽減される。その後、ゲッタリングシンクとなった希ガス元素を含む半導体膜を除去する。
非晶質半導体膜の結晶化は、熱処理とレーザ光照射による結晶化を組み合わせてもよく、熱処理やレーザ光照射を単独で、複数回行っても良い。
また、結晶性半導体膜を、直接基板にプラズマ法により形成しても良い。また、プラズマ法を用いて、結晶性半導体膜を選択的に基板に形成してもよい。
本実施の形態では、半導体膜として触媒元素を用いた結晶化方法を用いて多結晶珪素膜を形成する。重量換算で10ppmのニッケルを含む酢酸ニッケル溶液をスピナーで添加する。なお、溶液を添加する方法に代えてスパッタ法でニッケル元素を全面に散布する方法を用いてもよい。次いで、加熱処理を行い結晶化させて結晶構造を有する半導体膜(ここでは多結晶珪素膜)を形成する。ここでは熱処理(500℃、1時間)の後、結晶化のための熱処理(550℃、4時間)を行って多結晶珪素膜を得る。
次いで、多結晶珪素膜表面の酸化膜を希フッ酸等で除去する。その後、結晶化率を高め、結晶粒内に残される欠陥を補修するためのレーザ光(XeCl:波長308nm)の照射を大気中、または酸素雰囲気中で行う。
レーザ光には波長400nm以下のエキシマレーザ光や、YAGレーザの第2高調波又は第3高調波を用いる。ここでは、繰り返し周波数10〜1000Hz程度のパルスレーザ光を用い、当該レーザ光を光学系にて100〜500mJ/cm2に集光し、90〜95%のオーバーラップ率をもって照射し、シリコン膜表面を走査させればよい。本実施の形態では、繰り返し周波数30Hz、エネルギー密度470mJ/cm2でレーザ光の照射を大気中で行なう。
なお、大気中、または酸素雰囲気中で行うため、レーザ光の照射により表面に酸化膜が形成される。なお、本実施の形態ではパルスレーザを用いた例を示したが、連続発振のレーザを用いてもよく、半導体膜の結晶化に際し、大粒径に結晶を得るためには、連続発振が可能な固体レーザを用い、基本波の第2高調波〜第4高調波を適用するのが好ましい。代表的には、Nd:YVO4レーザ(基本波1064nm)の第2高調波(532nm)や第3高調波(355nm)を適用すればよい。
連続発振のレーザを用いる場合には、出力10Wの連続発振のYVO4レーザから射出されたレーザ光を非線形光学素子により高調波に変換する。また、共振器の中にYVO4結晶と非線形光学素子を入れて、高調波を射出する方法もある。そして、好ましくは光学系により照射面にて矩形状または楕円形状のレーザ光に成形して、被処理体に照射する。このときのエネルギー密度は0.01〜100MW/cm2程度(好ましくは0.1〜10MW/cm2)が必要である。そして、10〜2000cm/s程度の速度でレーザ光に対して相対的に半導体膜を移動させて照射すればよい。
次いで、上記レーザ光の照射により形成された酸化膜に加え、オゾン水で表面を120秒処理して合計1〜5nmの酸化膜からなるバリア層を形成する。このバリア層は、結晶化させるために添加した触媒元素、例えばニッケル(Ni)を膜中から除去するために形成する。ここではオゾン水を用いてバリア層を形成したが、酸素雰囲気下の紫外線の照射で結晶構造を有する半導体膜の表面を酸化する方法や酸素プラズマ処理により結晶構造を有する半導体膜の表面を酸化する方法やプラズマCVD法やスパッタ法や蒸着法などで1〜10nm程度の酸化膜を堆積してバリア層を形成してもよい。また、バリア層を形成する前にレーザ光の照射により形成された酸化膜を除去してもよい。
次いで、バリア層上にスパッタ法にてゲッタリングサイトとなるアルゴン元素を含む非晶質珪素膜を10nm〜400nm、ここでは膜厚100nmで成膜する。ここでは、アルゴン元素を含む非晶質珪素膜は、シリコンターゲットを用いてアルゴンを含む雰囲気下で形成する。プラズマCVD法を用いてアルゴン元素を含む非晶質珪素膜を形成する場合、成膜条件は、モノシランとアルゴンの流量比(SiH4:Ar)を1:99とし、成膜圧力を6.665Paとし、RFパワー密度を0.087W/cm2とし、成膜温度を350℃とする。
その後、650℃に加熱された炉に入れて3分の熱処理を行い触媒元素を除去(ゲッタリング)する。これにより結晶構造を有する半導体膜中の触媒元素濃度が低減される。炉に代えてランプアニール装置を用いてもよい。
次いで、バリア層をエッチングストッパとして、ゲッタリングサイトであるアルゴン元素を含む非晶質珪素膜を選択的に除去した後、バリア層を希フッ酸で選択的に除去する。なお、ゲッタリングの際、ニッケルは酸素濃度の高い領域に移動しやすい傾向があるため、酸化膜からなるバリア層をゲッタリング後に除去することが望ましい。
なお、触媒元素を用いて半導体膜の結晶化を行わない場合には、上述したバリア層の形成、ゲッタリングサイトの形成、ゲッタリングのための熱処理、ゲッタリングサイトの除去、バリア層の除去などの工程は不要である。
次いで、得られた結晶構造を有する半導体膜(例えば結晶性珪素膜)の表面にオゾン水で薄い酸化膜を形成した後、第1のフォトマスクを用いてレジストからなるマスクを形成し、所望の形状にエッチング処理して島状に分離された半導体層331を形成する(図5(A)参照。)。半導体層331を形成した後、レジストからなるマスクを除去する。
次いで、必要があればトランジスタのしきい値電圧を制御するために微量な不純物元素(ホウ素またはリン)のドーピングを行う。ここでは、ジボラン(B2H6)を質量分離しないでプラズマ励起したイオンドープ法を用いる。
次いで、フッ酸を含むエッチャントで酸化膜を除去すると同時に半導体層331の表面を洗浄した後、ゲート絶縁膜313となる絶縁膜を形成する。
ゲート絶縁膜313は酸化珪素、若しくは酸化珪素と窒化珪素の積層構造で形成すればよい。ゲート絶縁膜313は、プラズマCVD法や減圧CVD法により絶縁膜を堆積することで形成しても良いし、プラズマ処理による固相酸化若しくは固相窒化で形成すると良い。半導体層を、プラズマ処理により酸化又は窒化することにより形成するゲート絶縁膜は、緻密で絶縁耐圧が高く信頼性に優れているためである。例えば、亜酸化窒素(N2O)をArで1〜3倍(流量比)に希釈して、10〜30Paの圧力にて3〜5kWのマイクロ波(2.45GHz)電力を印加して半導体層の表面を酸化若しくは窒化させる。この処理により1nm〜10nm(好ましくは2nm〜6nm)の絶縁膜を形成する。さらに亜酸化窒素(N2O)とシラン(SiH4)を導入し、10〜30Paの圧力にて3〜5kWのマイクロ波(2.45GHz)電力を印加して気相成長法により酸化窒化シリコン膜を形成してゲート絶縁膜を形成する。固相反応と気相成長法による反応を組み合わせることにより界面準位密度が低く絶縁耐圧の優れたゲート絶縁膜を形成することができる。
また、ゲート絶縁膜313として、二酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、二酸化チタン、五酸化タンタルなどの高誘電率材料を用いても良い。ゲート絶縁膜313に高誘電率材料を用いることにより、ゲートリーク電流を低減することができる。
本実施の形態では、ゲート絶縁膜313としてプラズマCVD法により115nmの厚さで窒素を含む酸化珪素膜を形成する。
次いで、ゲート絶縁膜313上に金属膜を形成した後、第2のフォトマスクを用いて、ゲート電極334、配線314及び315、端子電極350を形成する(図5(B)参照)。この金属膜として、例えば窒化タンタル及びタングステン(W)をそれぞれ30nm、370nm積層した膜を用いる。
また、ゲート電極334、配線314及び315、端子電極350として、上記以外にもチタン(Ti)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、ネオジム(Nd)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)、金(Au)、銀(Ag)、銅(Cu)から選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料からなる単層膜、或いは、これらの窒化物、例えば、窒化チタン、窒化タングステン、窒化タンタル、窒化モリブデンからなる単層膜を用いることができる。
また、ゲート電極334、配線314及び315、端子電極350に可視光に対して透光性を有する透光性の材料を用いることもできる。透光性の導電材料としては、インジウム錫酸化物(ITO)、酸化珪素を含むインジウム錫酸化物(ITSO)、有機インジウム、有機スズ、酸化亜鉛等を用いることができる。また、酸化亜鉛(ZnO)を含むインジウム亜鉛酸化物(IZO(Indium Zinc Oxide))、酸化亜鉛(ZnO)、ZnOにガリウム(Ga)をドープしたもの、酸化スズ(SnO2)、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物などを用いてもよい。
次いで、半導体層331への一導電型を付与する不純物の導入を行って、トランジスタ373のソース領域またはドレイン領域337の形成を行う(図5(C)参照)。本実施の形態ではnチャネル型トランジスタを形成するので、n型を付与する不純物、例えばリン(P)、砒素(As)など半導体層331に導入する。pチャネル型トランジスタを形成する場合は、p型を付与する不純物、例えばボロン(B)を半導体層331に導入すればよい。
次いで、CVD法により酸化珪素膜を含む第1の層間絶縁膜(図示しない)を50nm形成した後、それぞれの島状半導体領域に添加された不純物元素を活性化処理する工程を行う。この活性化工程は、ランプ光源を用いたラピッドサーマルアニール法(RTA法)、或いはYAGレーザまたはエキシマレーザを裏面から照射する方法、或いは炉を用いた熱処理、或いはこれらの方法のうち、いずれかと組み合わせた方法によって行う。
次いで、水素及び酸素を含む窒化珪素膜を含む第2の層間絶縁膜316を、例えば10nmの膜厚で形成する。
次いで、第2の層間絶縁膜316上に絶縁性材料から成る第3の層間絶縁膜317を形成する(図5(D)参照)。第3の層間絶縁膜317はCVD法で得られる絶縁膜を用いることができる。本実施の形態においては密着性を向上させるため、第3の層間絶縁膜317として、900nmの膜厚で形成した窒素を含む酸化珪素膜を形成する。
次に、熱処理(300〜550℃で1〜12時間の熱処理、例えば窒素雰囲気中410℃で1時間)を行い、半導体層を水素化する。この工程は第2の層間絶縁膜316に含まれる水素により半導体層のダングリングボンドを終端させるために行うものである。ゲート絶縁膜313の存在に関係なく半導体層を水素化することができる。
また第3の層間絶縁膜317として、シロキサンを用いた絶縁膜、及びそれらの積層構造を用いることも可能である。シロキサンは、シリコン(Si)と酸素(O)との結合で骨格構造で構成される。置換基として、少なくとも水素を含む化合物(例えばアルキル基、アリール基)が用いられる。置換基として、フッ素を用いてもよい。または置換基として、少なくとも水素を含む化合物と、フッ素とを用いてもよい。
第3の層間絶縁膜317としてシロキサンを用いた絶縁膜、及びそれらの積層構造を用いた場合は、第2の層間絶縁膜316を形成後、半導体層を水素化するための熱処理を行い、次に第3の層間絶縁膜317を形成することもできる。
次いで、第3のフォトマスクを用いてレジストからなるマスクを形成し、第1の層間絶縁膜、第2の層間絶縁膜316及び第3の層間絶縁膜317またはゲート絶縁膜313を選択的にエッチングしてコンタクトホールを形成する。そして、レジストからなるマスクを除去する。
なお、第3の層間絶縁膜317は必要に応じて形成すればよく、第3の層間絶縁膜317を形成しない場合は、第2の層間絶縁膜316を形成後に第1の層間絶縁膜、第2の層間絶縁膜316及びゲート絶縁膜313を選択的にエッチングしてコンタクトホールを形成する。
次いで、スパッタ法で金属積層膜を成膜した後、第4のフォトマスクを用いてレジストからなるマスクを形成し、選択的に金属膜をエッチングして、配線319、接続電極320、端子電極351、トランジスタ373のソース電極またはドレイン電極341を形成する。そして、レジストからなるマスクを除去する。なお、本実施の形態の金属膜は、膜厚100nmのTi膜と、膜厚350nmのSiを微量に含むAl膜と、膜厚100nmのTi膜との3層を積層したものとする。
また配線319、接続電極320、端子電極351、及びトランジスタ373のソース電極又はドレイン電極341を単層の導電膜により形成する場合は、耐熱性及び導電率等の点からチタン膜(Ti膜)が好ましい。またチタン膜に変えて、タングステン(W)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、ネオジム(Nd)、コバルト(Co)、ジルコニウム(Zr)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)から選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料からなる単層膜、或いは、これらの窒化物、例えば、窒化チタン、窒化タングステン、窒化タンタル、窒化モリブデンからなる単層膜を用いることができる。配線319、接続電極320、端子電極351、及びトランジスタ373のソース電極又はドレイン電極341を単層膜にすることにより、作製工程において成膜回数を減少させることが可能となる。
以上の工程で、多結晶珪素膜を半導体層として用いたトップゲート型のトランジスタ373を作製することができる。
本実施の形態では、半導体素子層に含まれる半導体素子として、nチャネル型トランジスタを例として示したが、pチャネル型トランジスタを用いてもよい。様々な形態の電界効果トランジスタを用いることができ、用いるトランジスタの種類に限定はない。
本実施の形態では、シングルゲート構造のトランジスタを説明したが、ダブルゲート構造などのマルチゲート構造でもよい。この場合、半導体層の上方、下方にゲート電極層を設ける構造でも良く、半導体層の片側(上方又は下方)にのみ複数ゲート電極層を設ける構造でもよい。
インクジェットや印刷法を用いて形成したトランジスタなどを用いることができる。これらにより、室温で製造、低真空度で製造、又は大型基板上に製造することができる。また、マスク(レチクル)を用いなくても製造することが可能となるため、トランジスタのレイアウトを容易に変更することができる。さらに、レジストを用いる必要がないので、材料費が安くなり、工程数を削減できる。さらに、必要な部分にのみ膜を付けるため、全面に成膜した後でエッチングする、という製法よりも、材料が無駄にならず、低コストにできる。
または、有機半導体やカーボンナノチューブを有するトランジスタ等を用いることができる。これらにより、曲げることが可能な基板上にトランジスタを形成することができる。そのため、衝撃に強くできる。
または、半導体層として、単結晶半導体層を用いた透光性のSOI構造を有する基板などを用いてトランジスタを形成してもよい。これらにより、特性やサイズや形状などのバラツキが少なく、電流供給能力が高く、サイズの小さいトランジスタを製造することができる。これらのトランジスタを用いると、回路の低消費電力化、又は回路の高集積化を図ることができる。
本実施の形態の半導体装置は、薄膜トランジスタを用いて電界効果トランジスタを構成することにより、ガラス基板等の透光性基板上に形成することができる。そのため、光電変換素子を基板上面に形成しても、基板の裏面から透光性基板を透過した光を光電変換素子で受光することが可能になる。
次いで、後に形成される光電変換層(代表的にはアモルファスシリコン)と反応して合金になりにくい導電性の金属膜(チタン(Ti)またはモリブデン(Mo)など)を成膜した後、第5のフォトマスクを用いてレジストからなるマスクを形成し、選択的に導電性の金属膜をエッチングして配線319を覆う保護電極318、保護電極345、保護電極346、及び保護電極348を形成する(図6(A))。ここではスパッタ法で得られる膜厚200nmのTi膜を用いる。なお、同様に接続電極320、端子電極351、トランジスタ373のソース電極またはドレイン電極341も導電性の金属膜で覆われる。従って、導電性の金属膜は、これらの電極における2層目のAl膜が露呈されている側面も覆い、導電性の金属膜は光電変換層へのアルミニウム原子の拡散も防止できる。
ただし、配線319、接続電極320、端子電極351、及びトランジスタ373のソース電極またはドレイン電極341を、単層の導電膜で形成する場合、保護電極318、保護電極345、保護電極346、及び保護電極348は形成しなくてもよい。
次に第3の層間絶縁膜317上に、p型半導体層371p、i型半導体層371i及びn型半導体層371nを含む光電変換層371を形成する。
p型半導体層371pは、周期表第13属の不純物元素、例えばホウ素(B)を含んだセミアモルファス(微結晶、マイクロクリスタルともいう)シリコン膜をプラズマCVD法にて成膜して形成すればよい。
微結晶シリコン膜を形成する方法の一例は、シランガスと水素及び/又は希ガスを混合してグロー放電プラズマにより成膜する方法が挙げられる。シランは水素及び/又は希ガスで10倍から2000倍に希釈される。そのため多量の水素及び/又は希ガスが必要とされる。基板の加熱温度は100℃〜300℃、好ましくは120℃〜220℃で行う。微結晶シリコン膜の成長表面を水素で不活性化し、微結晶シリコンの成長を促進するためには120℃〜220℃で成膜を行うことが好ましい。成膜処理中、活性種であるSiHラジカル、SiH2ラジカル、SiH3ラジカルは結晶核を基に結晶成長する。また、シラン等のガス中にGeH4、GeF4などの水素化ゲルマニウム、フッ化ゲルマニウムを混合する、あるいはシリコンに炭素又はゲルマニウムを加え、エネルギーバンド幅を調節しても良い。シリコンに炭素を加えた場合はエネルギーバンド幅は広がり、またシリコンにゲルマニウムを加えた場合はエネルギーバンド幅は狭まる。
また配線319及び保護電極318は光電変換層371の最下層、本実施の形態ではp型半導体層371pと接している。
p型半導体層371pを形成したら、さらにi型半導体層371i及びn型半導体層371nを順に形成する。これによりp型半導体層371p、i型半導体層371i及びn型半導体層371nを有する光電変換層371が形成される。
i型半導体層371iとしては、例えばプラズマCVD法で微結晶シリコン膜を形成すればよい。またn型半導体層371nとしては、周期表第15属の不純物元素、例えばリン(P)を含む微結晶シリコン膜を形成してもよいし、微結晶シリコン膜を形成後、周期表第15属の不純物元素を導入してもよい。
またp型半導体層371p、i型半導体層371i、n型半導体層371nとして、微結晶半導体膜だけではなく、アモルファス半導体膜を用いてもよい。また前記の触媒やレーザ結晶化処理により形成される多結晶半導体膜を用いても良い。
さらには、微結晶シリコン、スマートカット法により形成される単結晶シリコンにて形成される光電変換層は基板面内の特性のばらつきを低減することができる。
次いで、全面に絶縁性材料(例えば珪素を含む無機絶縁膜)からなる封止層324を厚さ1μm〜30μmで形成して図6(B)の状態を得る。ここでは絶縁性材料膜としてCVD法により、膜厚1μmの窒素を含む酸化珪素膜を形成する。CVD法による絶縁膜を用いることによって密着性の向上を図っている。
次いで、封止層324をエッチングして開口部を設けた後、スパッタ法により配線374及び375を形成する。配線374及び375は、チタン膜(Ti膜)(200nm)はスパッタ法により成膜する。
次いで露出している面を覆って、保護膜377を形成する(図7(A)参照。)。保護膜377として、本実施の形態では窒化珪素膜を用いる。この保護膜377により、光電変換層371やトランジスタ373に、水分や有機物等の不純物が混入するのを防ぐことができる。
次いで保護膜377上に、封止膜378を形成する。封止膜378も外部ストレスから半導体素子層を保護する機能を有する。本実施の形態では、封止膜378として、感光性のエポキシ−フェノール系樹脂を用い20μmの厚さで形成する。封止膜378としては、エポキシ−フェノール系樹脂であるオームコート1012B(ナミックス株式会社製)を用いてもよい。
次いで上層の端子電極が下層の配線374、もしくは配線375と電気的に接続される領域の保護膜をエッチングしてコンタクトホールを形成する。
次いで、封止膜378上に、例えばニッケル(Ni)ペーストを用い、さらにスパッタ法にてチタン膜(Ti膜)(150nm)と、ニッケル膜(Ni膜)(750nm)と、金膜(Au膜)(50nm)との積層膜を形成する。こうして得られる端子電極115a1及び端子電極115a2の固着強度は5Nを超え、端子電極として十分な固着強度を有している。
以上の工程で、はんだ接続が可能な端子電極115a1及び端子電極115a2が形成され、図7(B)に示す構造が得られる。
実際には、図7(B)の時点で形成された、光電変換素子及びトランジスタ等を含む1つの半導体素子層は、大面積基板上にそれぞれ素子材料を形成されることで大量生産が可能である。1枚の大面積基板(例えば600cm×720cm)からは大量の半導体素子層を含む半導体集積回路(例えば2mm×1.5mm)を製造することができる。その様子を図8(A)(B)に示す。
図8(A)においては、透光性基板100上に、素子層151、封止膜378、端子電極115a1、115a2が形成されている。素子層151とは、図8において、透光性基板100から封止膜378との間に形成されている構造全てを含む。
隣り合う素子層151の間にて、透光性基板100は分断され、個々の素子を含む透光性基板109となる。
このようにして形成された半導体素子層101が形成された透光性基板109は、さらに端子電極115a1、115a2の部分にて、はんだ363及び364でインターポーザ360へと実装される例である(図7(B)参照。)。なおインターポーザ360上の電極361は、はんだ363で端子電極115a1に実装されている。またインターポーザ360の電極362は、はんだ364にて端子電極115a2に実装される。
図7(B)に示す光電変換素子において、光電変換層371に入射する光は、透光性基板109及び透光性樹脂層110、114を用いることにより、透光性基板109及び透光性樹脂層110、114側から入ることができる。
半導体装置は、光電変換素子へ照射する光の入射領域に開口、又は透光性材料を用いて形成する透光性領域を有する筐体に設けられてもよい。有彩色の透光性樹脂層を透過した光を光電変換素子に検知させるので、有彩色の透光性樹脂層の被形成領域を筐体で覆うことで、外部より透光性樹脂層の被形成領域を透過して光電変換素子へ入射する光を遮断することができる。よって、センサとして半導体装置の精度を高め、誤差を軽減することができる。
以上の様な作製方法にて、半導体装置を作製すれば、単価を安く、かつ歩留まりを向上させることができる。
透光性基板を分断する前に、透光性基板の厚さを小さくし、分断工程を2段階で行うことで、透光性基板を分断加工する際の切削工具の消耗を低減することが可能となる。透光性基板の大型化、分断する半導体集積回路の小型化に伴い、切削工具の処理領域は増加するのでさらに切削工具の消耗は大きくなる。よって、切削工具の消耗を低減することができる本明細書に開示する発明は、大面積基板、より小型な半導体集積回路において、特に有益である。これにより半導体集積回路及び半導体装置をより安価に製造することができる。透光性基板の厚さが薄いため、半導体集積回路及び半導体装置のサイズを薄型化することができる。
よって、薄型であっても取り扱いやすく、信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
(実施の形態2)
本明細書に開示する半導体装置において、半導体素子層に含まれる半導体素子として様々な形態の電界効果トランジスタを用いることができる。本実施の形態では、半導体素子として、単結晶半導体層を有する電界効果トランジスタについて詳細に説明する。
以下、透光性基板上に、単結晶半導体基板より単結晶半導体層を設け、半導体素子層に含まれる半導体素子を形成する方法を図15及び図16を用いて説明する。
図15(A)に示す単結晶半導体基板1108は清浄化されており、その表面から電界で加速されたイオンを所定の深さに照射し、脆弱化層1110を形成する。イオンの照射は透光性基板に転置する単結晶半導体層の厚さを考慮して行われる。イオンを照射する際の加速電圧はこのような厚さを考慮して、単結晶半導体基板1108に照射されるようにする。本明細書では、単結晶半導体基板へイオンを照射し、イオンにより微小な空洞を有するように脆弱化された領域を脆弱化層という。
単結晶半導体基板1108には、市販の単結晶半導体基板を用いることができ、例えば、単結晶シリコン基板、単結晶ゲルマニウム基板、単結晶シリコンゲルマニウム基板など、第4族元素でなる単結晶半導体基板を用いることができる。また、ガリウムヒ素やインジウムリン等の化合物半導体基板も用いることができる。半導体基板として多結晶半導体基板を用いてもよい。もちろん、単結晶半導体基板は、円形のウエハに限定されるものではなく、様々な形状の単結晶半導体基板を用いることができる。例えば、円形、長方形、五角形、六角形などの多角形の基板を用いることができる。もちろん、市販の円形状の単結晶半導体ウエハを単結晶半導体基板に用いることも可能である。円形状の単結晶半導体ウエハには、シリコンやゲルマニウムなどの半導体ウエハ、ガリウムヒ素やインジウムリンなどの化合物半導体ウエハなどがある。単結晶半導体ウエハの代表例は、単結晶シリコンウエハであり、直径5インチ(125mm)、直径6インチ(150mm)、直径8インチ(200mm)、直径12インチ(300mm)サイズ、直径400mm、直径450mmの円形のウエハを用いることができる。また、長方形の単結晶半導体基板は、市販の円形状の単結晶半導体ウエハを切断することで形成することができる。基板の切断には、ダイサー或いはワイヤソー等の切断装置、レーザ切断、プラズマ切断、電子ビーム切断、その他任意の切断手段を用いることができる。また、基板として薄片化する前の半導体基板製造用のインゴットを、その断面が長方形になるように直方体状に加工し、この直方体状のインゴットを薄片化することでも、長方形状の単結晶半導体基板を製造することができる。また、単結晶半導体基板の厚さは特に限定されないが、単結晶半導体基板を再利用することを考慮すれば、厚い方が1枚の原料ウエハからより多くの単結晶半導体層を形成することができるため、好ましい。市場に流通している単結晶シリコンウエハの厚さは、そのサイズはSEMI規格に準じており、例えば直径6インチのウエハは膜厚625μm、直径8インチのウエハは膜厚725μm、直径12インチのウエハは775μmとされている。なお、SEMI規格のウエハの厚さは公差±25μmを含んでいる。もちろん、原料となる単結晶半導体基板の厚さはSEMI規格に限定されず、インゴットをスライスするときに、その厚さを適宜調節することができる。もちろん、再利用された単結晶半導体基板1108を用いるときには、その厚さは、SEMI規格よりも薄くなる。透光性基板上に得られる単結晶半導体層は母体となる半導体基板を選択することによって決定することができる。
また、単結晶半導体基板1108は、作製する半導体素子(本実施の形態においては電界効果トランジスタ)によって、結晶面方位を選択すればよい。例えば、結晶面方位として{100}面、{110}面など有する単結晶半導体基板を用いることができる。
本実施の形態は、単結晶半導体基板の所定の深さに水素、ヘリウム、又はフッ素をイオン照射して添加し、その後熱処理を行って表層の単結晶半導体層を剥離するイオン照射剥離法で形成するが、ポーラスシリコン上に単結晶シリコンをエピタキシャル成長させた後、ポーラスシリコン層をウオータージェットで劈開して剥離する方法を適用しても良い。
単結晶半導体基板1108として単結晶シリコン基板を用い、希フッ酸で表面を処理し、自然酸化膜の除去と表面に付着するゴミ等の汚染物も除去して単結晶半導体基板1108表面を清浄化する。
脆弱化層1110は、イオンをイオンドーピング法(ID法と略記する)やイオン注入法(II法と略記する)によって照射すればよい。脆弱化層1110は水素、ヘリウム若しくはフッ素に代表されるハロゲンのイオンを照射することで形成される。ハロゲン元素としてフッ素イオンを照射する場合にはソースガスとしてBF3を用いれば良い。なお、イオン注入とはイオン化したガスを質量分離して半導体基板に照射する方式をいう。
例えば、イオン注入法を用いて、イオン化した水素ガスを質量分離し、H+のみ、(又はH2 +のみ)を選択的に加速して単結晶半導体基板に照射することができる。
イオンドープ法は、イオン化したガスを質量分離せずに、プラズマ中で複数種のイオン種を作り、それらを加速して単結晶半導体基板に照射する。例えば、H+、H2 +、H3 +イオンを含む水素では、照射されるイオンは、代表的にH3 +イオンが50%以上、例えばH3 +イオンが80%、他のイオン(H2 +、H3 +イオン)が20%、が一般的である。H3 +イオンのイオン種のみとして照射することもここではイオンドープとする。
また、一又は複数の同一の原子から成る質量の異なるイオンを照射してもよい。例えば、水素イオンを照射する場合には、H+、H2 +、H3 +イオンを含ませると共に、H3 +イオンの割合を高めておくことが好ましい。水素イオンを照射する場合には、H+、H2 +、H3 +イオンを含ませると共に、H3 +イオンの割合を高めておくと照射効率を高めることができ、照射時間を短縮することができる。このような構成とすることで、剥離を容易に行うことができる。
以下、イオンドーピング法とイオン注入法について詳細に説明する。イオンドーピング法に用いるイオンドーピング装置(ID装置ともいう)では、プラズマ空間が大きく、大量のイオンを単結晶半導体基板に照射することができる。一方、イオン注入法に用いるイオン注入装置(II装置ともいう)は、プラズマから取り出したイオンを質量分析して特定のイオン種だけを半導体基板に打ち込めるという特徴があり、基本的に点ビ−ムをスキャンさせて処理する。
プラズマ発生方法としては、どちらの装置も、例えば、フィラメントを熱して出てくる熱電子によりプラズマ状態を作っている。しかし、生成される水素イオン(H+、H2 +、H3 +)が半導体基板に照射される際の水素イオン種の割合は、イオンドーピング法とイオン注入法で大きく異なる。
H3 +をより多く照射するという観点からすれば、イオン注入装置よりイオンドーピング装置を用いる方が好ましいといえる。
単結晶シリコン基板に水素イオンやフッ素イオンのようなハロゲンイオンを照射した場合、添加されたフッ素が、シリコン結晶格子内のシリコン原子をノックアウトする(追い出す)ことによって空白部分を効果的に作り出し、脆弱化層に微小な空洞を作る。この場合、比較的低温の熱処理によって脆弱化層に形成された微小な空洞の体積変化が起こり、脆弱化層に沿って分離することにより薄い単結晶半導体層を形成することができる。フッ素イオンを照射した後に、水素イオンを照射して空洞内に水素を含ませるようにしても良い。単結晶半導体基板から薄い単結晶半導体層を分離するために形成する脆弱化層は、脆弱化層に形成された微小な空洞の体積変化を利用して分離をするので、このようにフッ素イオンや水素イオンの作用を有効利用することが好ましい。
また、単結晶半導体基板と上記単結晶半導体層と接合する絶縁層との間に、保護層を形成してもよい。保護層は、窒化シリコン層、酸化シリコン層、窒化酸化シリコン層、又は酸化窒化シリコン層から選ばれた一層又は複数の層による積層構造により形成することができる。これらの層は、単結晶半導体基板に脆弱化層が形成される前に単結晶半導体基板上に形成することができる。また、単結晶半導体基板に脆弱化層を形成した後に単結晶半導体基板上に形成してもよい。
なお、酸化窒化シリコン膜とは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多いものであって、ラザフォード後方散乱法(RBS:Rutherford Backscattering Spectrometry)及び水素前方散乱法(HFS:Hydrogen Forward Scattering)を用いて測定した場合に、濃度範囲として酸素が50〜70原子%、窒素が0.5〜15原子%、Siが25〜35原子%、水素が0.1〜10原子%の範囲で含まれるものをいう。また、窒化酸化シリコン膜とは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多いものであって、RBS及びHFSを用いて測定した場合に、濃度範囲として酸素が5〜30原子%、窒素が20〜55原子%、Siが25〜35原子%、水素が10〜30原子%の範囲で含まれるものをいう。但し、酸化窒化シリコンまたは窒化酸化シリコンを構成する原子の合計を100原子%としたとき、窒素、酸素、Si及び水素の含有比率が上記の範囲内に含まれるものとする。
脆弱化層の形成に当たってはイオンを高ドーズ条件で照射する必要があり、単結晶半導体基板1108の表面が粗くなってしまう場合がある。そのためイオンが照射される表面に窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、若しくは酸化シリコン膜などによりイオン照射に対する保護層を50nm乃至200nmの厚さで設けておいても良い。
例えば、単結晶半導体基板1108上に保護層としてプラズマCVD法により酸化窒化シリコン膜(膜厚5nm〜300nm、望ましくは30nm〜150nm(例えば50nm))と窒化酸化シリコン膜(膜厚5nm〜150nm、望ましくは10nm〜100nm(例えば50nm))の積層を形成する。一例としては、単結晶半導体基板1108上に酸化窒化シリコン膜を膜厚50nm形成し、該酸化窒化シリコン膜上に窒化酸化シリコン膜を膜厚50nm形成し、積層する。酸化窒化シリコン膜は有機シランガスを用いて化学気相成長法により作製される酸化シリコン膜でもよい。
また、単結晶半導体基板1108を脱脂洗浄し、表面の酸化膜を除去して熱酸化を行ってもよい。熱酸化としては通常のドライ酸化でも良いが、酸化雰囲気中にハロゲンを添加した酸化を行うことが好ましい。例えば、酸素に対しHClを0.5〜10体積%(好ましくは3体積%)の割合で含む雰囲気中で、700℃以上の温度で熱処理を行う。好適には950℃〜1100℃の温度で熱酸化を行うと良い。処理時間は0.1〜6時間、好ましくは0.5〜3.5時間とすれば良い。形成される酸化膜の膜厚としては、10nm〜1000nm(好ましくは50nm〜200nm)、例えば100nmの厚さとする。
ハロゲンを含むものとしてはHClの他に、HF、NF3、HBr、Cl2、ClF3、BCl3、F2、Br2、ジクロロエチレンなどから選ばれた一種又は複数種を適用することができる。
このような温度範囲で熱処理を行うことで、ハロゲン元素によるゲッタリング効果を得ることができる。ゲッタリングとしては、特に金属不純物を除去する効果がある。すなわち、塩素の作用により、金属などの不純物が揮発性の塩化物となって気相中へ離脱して除去される。単結晶半導体基板1108の表面を化学的機械研磨(CMP)処理をしたものに対しては有効である。また、水素は単結晶半導体基板1108と形成される絶縁層との界面の欠陥を補償して界面の局在準位密度を低減する作用を奏し、単結晶半導体基板1108と絶縁層との界面が不活性化されて電気的特性が安定化する。
この熱処理により形成される酸化膜中にハロゲンを含ませることができる。ハロゲン元素は1×1017/cm3〜5×1020/cm3の濃度で含まれることにより金属などの不純物を捕獲して単結晶半導体基板1108の汚染を防止する保護層としての機能を発現させることができる。
脆弱化層1110を形成する際、加速電圧と全イオン数は、単結晶半導体基板上に堆積した膜の厚さと、目的とする単結晶半導体基板より分離して透光性基板上に転置される単結晶半導体層の膜厚と、照射するイオン種によって調整することができる。
例えば、イオンドーピング法で原料として水素ガスを用い、加速電圧を40kV、全イオン数2×1016ions/cm2でイオンを照射して脆弱化層を形成することができる。保護層の膜厚を厚くすれば、同一条件でイオンを照射し脆弱化層を形成した場合、目的とする単結晶半導体基板より分離して透光性基板上に転置(転載)される単結晶半導体層として、膜厚の薄い単結晶半導体層を形成することができる。例えば、イオン種(H+、H2 +、H3 +イオン)の割合にもよるが、上記条件で脆弱化層を形成するとし、保護層として単結晶半導体基板上に酸化窒化シリコン膜(膜厚50nm)と窒化酸化シリコン膜(膜厚50nm)を保護層として積層する場合、透光性基板に転置される単結晶半導体層の膜厚は約120nmとなり、単結晶半導体基板上に酸化窒化シリコン膜(膜厚100nm)と窒化酸化シリコン膜(膜厚50nm)を保護層として積層する場合は、透光性基板に転置される単結晶半導体層の膜厚は約70nmとなる。
ヘリウム(He)や水素を原料ガスにする場合、加速電圧を10kV〜200kVの範囲で、ドーズ量を1×1016ions/cm2〜6×1016ions/cm2の範囲で照射し脆弱化層を形成することができる。ヘリウムを原料ガスにすると、質量分離を行わなくてもHe+イオンを主なイオンとして照射することができる。また、水素を原料ガスとするとH3 +イオンやH2 +イオンを主なイオンとして照射することができる。イオン種は、プラズマの生成方法、圧力、原料ガス供給量、加速電圧によっても変化する。
脆弱化層形成の例としては、単結晶半導体基板上に酸化窒化シリコン膜(膜厚50nm)、窒化酸化シリコン膜(膜厚50nm)、及び酸化シリコン膜(膜厚50nm)を保護層として積層し、水素を加速電圧40kV、ドーズ量2×1016ions/cm2で照射し単結晶半導体基板に脆弱化層を形成する。その後保護層の最上層である該酸化シリコン膜上に接合面を有する絶縁層として酸化シリコン膜(膜厚50nm)を形成する。脆弱化層形成の他の例としては、単結晶半導体基板上に酸化シリコン膜(膜厚100nm)、及び窒化酸化シリコン膜(膜厚50nm)を保護層として積層し、水素を加速電圧40kV、ドーズ量2×1016ions/cm2で照射し単結晶半導体基板に脆弱化層を形成する。その後保護層の最上層である該窒化酸化シリコン膜上に接合面を有する絶縁層として酸化シリコン膜(膜厚50nm)を形成する。なお、上記酸化窒化シリコン膜及び窒化酸化シリコン膜はプラズマCVD法により形成すればよく、上記酸化シリコン膜は有機シランガスを用いてCVD法により形成すればよい。
また、透光性基板と単結晶半導体基板との間に絶縁層を形成してもよい。絶縁層は透光性基板側、あるいは単結晶半導体基板側どちらか一方でもよいし、両方に形成してもよい。接合を形成する面に形成する絶縁層は平滑面を有し親水性表面を形成する。該絶縁層としては、酸化シリコン膜を用いることができる。酸化シリコン膜としては有機シランガスを用いて化学気相成長法により作製される酸化シリコン膜が好ましい。その他に、シランガスを用いて化学気相成長法により作製される酸化シリコン膜を適用することもできる。
有機シランガスとしては、珪酸エチル(TEOS:化学式Si(OC2H5)4)、トリメチルシラン(TMS:(CH3)3SiH)、テトラメチルシラン(化学式Si(CH3)4)、テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、トリエトキシシラン(SiH(OC2H5)3)、トリスジメチルアミノシラン(SiH(N(CH3)2)3)等のシリコン含有化合物を用いることができる。なお、原料ガスに有機シランを用いて化学気相成長法により酸化シリコン層を形成する場合、酸素を付与するガスを混合させることが好ましい。酸素を付与するガスとしては、酸素、亜酸化窒素、二酸化窒素等を用いることができる。さらに、アルゴン、ヘリウム、窒素又は水素等の不活性ガスを混合させてもよい。
また、接合を形成する面に形成する絶縁層として、モノシラン、ジシラン、又はトリシラン等のシランを原料ガスに用いて化学気相成長法により形成される酸化シリコン膜を適用することもできる。この場合も、酸素を付与するガスや不活性ガス等を混合させることが好ましい。また、単結晶半導体層と接合する絶縁層となる酸化シリコン膜は、塩素を含んでいてもよい。なお、本明細書において、化学気相成長(CVD;Chemical Vapor Deposition)法は、プラズマCVD法、熱CVD法、光CVD法を範疇に含む。
その他、接合を形成する面に形成する絶縁層として、酸化性雰囲気下において熱処理することにより形成される酸化シリコン、酸素ラジカルの反応により成長する酸化シリコン、酸化性の薬液により形成されるケミカルオキサイドなどを適用することもできる。絶縁層として、シロキサン(Si−O−Si)結合を含む絶縁層を適用してもよい。また、前記有機シランガスと、酸素ラジカル又は窒素ラジカルとを反応させて絶縁層を形成してもよい。
絶縁層において、接合を形成する面の表面は、算術平均粗さRaが0.8nm未満、二乗平均平方根粗さRmsが0.9nm未満が望ましく、Raが0.4nm以下、Rmsが0.5nm以下がより望ましく、さらにはRaが0.3nm以下、Rmsが0.4nm以下がより望ましい。例えば、Raが0.27nm、Rmsが0.34nmである。本明細書においてRaは算術平均粗さであり、Rmsは二乗平均平方根粗さであり、測定範囲は2μm2、又は10μm2である。
透光性基板と単結晶半導体基板とを接合するに際し、接合を形成する面の一方若しくは双方に、好ましくは有機シランを原材料として成膜した酸化シリコン膜でなる絶縁層を設けると強固な接合を形成することができる。
本実施の形態では、図15(B)で示すように透光性基板と接合を形成する面に絶縁層1104として酸化シリコン膜を形成する。酸化シリコン膜としては有機シランガスを用いて化学気相成長法により作製される酸化シリコン膜が好ましい。その他に、シランガスを用いて化学気相成長法により作製される酸化シリコン膜を適用することもできる。化学気相成長法による成膜では、単結晶半導体基板に形成した脆弱化層1110から脱ガスが起こらない温度として、例えば350℃以下(具体的な例としては300℃)の成膜温度が適用される。また、単結晶半導体基板から単結晶半導体層を剥離する熱処理は、成膜温度よりも高い熱処理温度が適用される。
透光性基板には、不純物元素の拡散を防止する窒化シリコン膜又は窒化酸化シリコン膜をブロッキング層(バリア層ともいう)として設けてもよい。さらに応力を緩和する作用のある絶縁膜として酸化窒化シリコン膜を組み合わせても良い。
図15(C)は透光性基板1101上に設けられたブロッキング層1109と単結晶半導体基板1108の絶縁層1104が形成された面とを密接させ、この両者を接合させる態様を示す。接合を形成する面は、十分に清浄化しておく。透光性基板1101上に設けられたブロッキング層1109と単結晶半導体基板1108の絶縁層1104が形成された面は、メガソニック洗浄などによって清浄化すればよい。また、メガソニック洗浄後にオゾン水で洗浄し、有機物の除去と表面の親水性向上を行ってもよい。
透光性基板1101上のブロッキング層1109と絶縁層1104を対向させて、一箇所を外部から押しつけると、局所的に接合面同士の距離が縮まる事による、ファン・デル・ワールス力の強まりや水素結合の寄与によって、お互いに引きつけ合う。更に、隣接した領域でも対向する透光性基板1101上のブロッキング層1109と絶縁層1104間の距離が縮まるので、ファン・デル・ワールス力が強く作用する領域や水素結合が関与する領域が広がる事によって、接合(ボンディングともいう)が進行し接合面全域に接合が広がる。
押しつける際に、基板四隅の一ヶ所を100kPa〜5000kPaの圧力で抑えると、接合面同士が近づき、ファン・デル・ワールス力から水素結合へ移行することができる。基板内において一ヶ所の接合面が近接すると、隣接する接合面も近接し水素結合へ移行するため、接合面全域が水素結合へ移行することができる。
良好な接合を形成するために、表面を活性化しておいても良い。例えば、接合を形成する面に原子ビーム若しくはイオンビームを照射する。原子ビーム若しくはイオンビームを利用する場合には、アルゴン等の不活性ガス中性原子ビーム若しくは不活性ガスイオンビームを用いることができる。その他に、プラズマ照射若しくはラジカル処理を行う。このような表面処理により200℃乃至400℃の温度であっても異種材料間の接合を形成することが容易となる。
また、透光性基板と絶縁層との接合界面の接合強度を向上させるために、加熱処理を行うと好ましい。例えば、オーブンや炉などで70℃〜350℃(例えば200℃で2時間)の温度条件で熱処理を行う。
図15(D)において、透光性基板1101と単結晶半導体基板1108を貼り合わせた後、加熱処理を行い脆弱化層1110を劈開面として単結晶半導体基板1108を透光性基板1101から剥離する。例えば、400℃〜700℃の熱処理を行うことにより、脆弱化層1110に形成された微小な空洞の体積変化が起こり、脆弱化層1110に沿って劈開することが可能となる。絶縁層1104はブロッキング層1109を介して透光性基板1101と接合しているので、透光性基板1101上には単結晶半導体基板1108と同じ結晶性の単結晶半導体層1102が残存することとなる。
400℃〜700℃の温度域での熱処理は、前述の接合強度を向上させるための熱処理と同じ装置で連続して行ってもよいし、別の装置で行ってもよい。例えば炉で200℃2時間熱処理した後に、600℃近傍まで昇温し2時間保持し、400℃から室温までの温度域に降温した後炉より取り出す。また、熱処理は室温から昇温してもよい。また、炉で200℃2時間熱処理した後に、瞬間熱アニール(RTA)装置によって600℃〜700℃の温度域で、1分間〜30分間(例えば600℃7分間、650℃7分間)熱処理を行ってもよい。
400℃〜700℃の温度域での熱処理により、絶縁層と透光性基板との接合は水素結合から共有結合に移行し、脆弱化層に添加された元素が析出し圧力が上昇し、単結晶半導体基板より単結晶半導体層を剥離することができる。熱処理を行った後は透光性基板と単結晶半導体基板は、一方が他方に載っている状態であり、大きな力を加えずに透光性基板と単結晶半導体基板を離すことができる。例えば、上方に載っている基板を真空チャックで持ち上げることにより簡単に話すことができる。この際、下側の基板の真空チャックやメカニカルチャックで固定しておくと水平方向のずれがなく透光性基板及び単結晶半導体基板の両基板を離すことができる。
なお、図15、図16においては、単結晶半導体基板1108が透光性基板1101より小さいサイズの例を示すが、それに限定されず、単結晶半導体基板1108と透光性基板1101が同じサイズであってもよいし、単結晶半導体基板1108が透光性基板1101より大きいサイズであってもよい。
図16は透光性基板側に絶縁層を設けて単結晶半導体層を形成する工程を示す。図16(A)は保護層1121として酸化シリコン膜が形成された単結晶半導体基板1108に電界で加速されたイオンを所定の深さに照射し、脆弱化層1110を形成する工程を示している。イオンの照射は図15(A)の場合と同様である。単結晶半導体基板1108の表面に保護層1121を形成しておくことでイオン照射によって表面がダメージを受け、平坦性が損なわれるのを防ぐことができる。また、保護層1121によって、単結晶半導体基板1108から形成される単結晶半導体層1102に対する不純物の拡散防止効果を発現する。
図16(B)は、ブロッキング層1109及び絶縁層1104が形成された透光性基板1101と単結晶半導体基板1108の保護層1121が形成された面を密着させて接合を形成する工程を示している。透光性基板1101上の絶縁層1104と単結晶半導体基板1108の保護層1121を密着させることにより接合が形成される。
その後、図16(C)で示すように単結晶半導体基板1108を剥離する。単結晶半導体層を剥離する熱処理は図15(D)の場合と同様にして行う。このようにして図16(C)で示す絶縁層を介して単結晶半導体層を有するSOI構造の半導体基板を得ることができる。
また、単結晶半導体基板より分離し、透光性基板に転置された単結晶半導体層は、分離工程およびイオン注入工程によって、結晶欠陥が生じ、また、その表面は平坦性が損なわれ、凹凸が形成されてしまう場合がある。単結晶半導体層を用いて半導体素子としてトランジスタを作製する場合、このような凹凸のある単結晶半導体層の上面に薄く、絶縁耐圧性の高いゲート絶縁層を形成することは困難である。また、単結晶半導体層に結晶欠陥があると、ゲート絶縁層との局在界面準位密度が高くなるなど、トランジスタの性能および信頼性に影響を与える。
従って単結晶半導体層にレーザ光のような電磁波を照射し、結晶欠陥を低減させることが好ましい。電磁波を照射することによって、単結晶半導体層の少なくとも一部の領域を溶融させ、単結晶半導体層中の結晶欠陥を低減させることができる。なお、電磁波の照射前に単結晶半導体層表面に形成された酸化膜(自然酸化膜、あるいはケミカル酸化膜)を希フッ酸で除去するとよい。
電磁波は単結晶半導体層に高いエネルギーを供給できるものであればよく、好適にはレーザ光を用いることができる。
またエネルギーの供給は、高エネルギーを有する粒子を照射などによって単結晶半導体層に衝突させ、主として熱伝導によって行うこともできる。高エネルギーを有する粒子を提供する熱源としては、プラズマを用いることができ、常圧プラズマ、高圧プラズマ、熱プラズマジェット、ガスバーナーなどの炎を用いることができる、又、他の熱源としては電子ビームなどを用いることができる。
電磁波の波長は、単結晶半導体層に吸収される波長とする。その波長は、電磁波の表皮深さ(skin depth)などを考慮して決定することができる。例えば、電磁波の波長は190nm〜600nmを用いることができる。また、電磁波のエネルギーは、電磁波の波長、電磁波の表皮深さ、照射する単結晶半導体層の膜厚などを考慮して決定することができる。
レーザ光を発振するレーザは、連続発振レーザ、疑似連続発振レーザ及びパルス発振レーザを用いることができる。部分溶融させるためパルス発振レーザが好ましい。例えば、KrFレーザなどのエキシマレーザ、Arレーザ、Krレーザなどの気体レーザがある。その他、固体レーザとして、YAGレーザ、YVO4レーザ、YLFレーザ、YAlO3レーザ、GdVO4レーザ、KGWレーザ、KYWレーザ、アレキサンドライトレーザ、Ti:サファイアレーザ、Y2O3レーザなどがある。なお、エキシマレーザはパルス発振レーザであるが、YAGレーザなどの固体レーザには、連続発振レーザにも、疑似連続発振レーザにも、パルス発振レーザにもなるものがある。なお、固体レーザにおいては、基本波の第2高調波〜第5高調波を適用するのが好ましい。また、GaN、GaAs、GaAlAs、InGaAsP等の半導体レーザも用いることができる。
また、電磁波のエネルギーを単結晶半導体層に照射できるならば、ランプ光を用いてもよい。例えば、紫外線ランプ、ブラックライト、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリウムランプ、または高圧水銀ランプから射出された光を用いてもよい。上記ランプ光を用いたフラッシュアニールを用いてもよい。ハロゲンランプやキセノンランプなどを好適に用いて行うフラッシュアニールは極短時間の処理でよいため、透光性基板の温度上昇を抑えることができる。
電磁波の形状や電磁波の進路を調整するため、シャッター、ミラー又はハーフミラー等の反射体、シリンドリカルレンズや凸レンズなどによって構成される光学系が設置されていてもよい。
なお、電磁波の照射方法は、選択的に電磁波を照射してもよいし、光(電磁波)をXY軸方向に走査して光(電磁波)を照射することができる。この場合、光学系にポリゴンミラーやガルバノミラーを用いることが好ましい。
電磁波の照射は、大気雰囲気のような酸素を含む雰囲気、または窒素雰囲気のような不活性雰囲気で行うことができる。不活性雰囲気中で電磁波を照射するには、気密性のあるチャンバー内で電磁波を照射し、このチャンバー内の雰囲気を制御すればよい。チャンバーを用いない場合は、電磁波の被照射面に窒素ガスなど不活性ガスを吹き付けることで、窒素雰囲気を形成することもできる。
さらに、電磁波照射などの高エネルギーを供給され、結晶欠陥を低減された単結晶半導体層表面に研磨処理を行ってもよい。研磨処理によって単結晶半導体層表面の平坦性を高めることができる。
研磨処理としては、化学的機械研磨(CMP)法や液体ジェット研磨法を用いることができる。なお、研磨処理前に単結晶半導体層表面を洗浄し、清浄化する。洗浄は、メガソニック洗浄や2流体ジェット洗浄等を用いればよく、洗浄により単結晶半導体層表面のゴミ等を除去する。また、希フッ酸を用いて単結晶半導体層表面上の自然酸化膜等を除去して単結晶半導体層を露出させると好適である。
また、電磁波を照射する前にも単結晶半導体層表面に研磨処理(又はエッチング処理)を行ってもよい。
また、単結晶半導体基板より単結晶半導体層を転載する際、単結晶半導体基板を選択的にエッチングし、形状を加工された複数の単結晶半導体層を、透光性基板に転載してもよい。透光性基板には、複数の島状の単結晶半導体層を形成することができる。予め、単結晶半導体基板で形状を加工して転載するために、単結晶半導体基板の大きさや形状に制限を受けない。そのために大型の透光性基板への単結晶半導体層の転載がより効率よく行うことができる。
さらに、透光性基板上に貼り合わせられた単結晶半導体層に対して、エッチングを行い、単結晶半導体層の形状を加工、修正し精密に制御してもよい。これにより、半導体素子の単結晶半導体層の形状に加工でき、レジストマスク形成時の露光の回り込みなどによるパターンズレや、転載時の貼り合わせ工程による位置ズレなどによる単結晶半導体層の形成位置の誤差や形状不良を修正することができる。
従って、透光性基板に所望の形状の複数の単結晶半導体層を、歩留まりよく形成することができる。よって、大面積基板により精密な高性能の半導体素子及び集積回路を有する半導体装置を高スループットで生産性よく作製することができる。
また、単結晶半導体基板より単結晶半導体層を分離してから、透光性基板に貼り合わせてもよい。劈開により露出される単結晶半導体層の表面を透光性基板側に向けて貼り合わせてもよいし、劈開により露出される単結晶半導体層の表面とゲート絶縁膜とが接するように、単結晶半導体層を透光性基板上に貼り合わせてもよい。
本実施の形態において、単結晶半導体基板1108として単結晶シリコン基板を適用した場合は、単結晶半導体層1102として単結晶シリコン層を得ることが可能である。また、本実施の形態の半導体装置の製造方法は、プロセス温度を700℃以下とすることができるため、透光性基板1101としてガラス基板を適用することができる。すなわち、従来の薄膜トランジスタと同様にガラス基板上に形成することができ、かつ単結晶シリコン層を半導体層に適用することが可能となる。これらのことにより、高速動作が可能で、サブスレッショルド値が低く、電界効果移動度が高く、低消費電圧で駆動可能など高性能、高信頼性のトランジスタをガラス基板等の透光性基板上に作製することができる。
本実施の形態は、実施の形態1と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態2において、単結晶半導体基板より透光性基板へ単結晶半導体層を接合する工程の異なる例を示す。従って、実施の形態2と同一部分又は同様な機能を有する部分の繰り返しの説明は省略する。
まず、単結晶基板側の処理を説明する。本実施の形態では、単結晶半導体基板を脱脂洗浄し、表面の酸化膜を除去して熱酸化を行う。熱酸化としては、酸化雰囲気中にハロゲンを添加した酸化を行うことが好ましい。例えば、酸素に対しHClを0.5〜10体積%(好ましくは3体積%)の割合で含む雰囲気中で、700℃以上の温度で熱処理を行う。好適には950℃〜1100℃の温度で熱酸化を行うと良い。処理時間は0.1〜6時間、好ましくは0.5〜3.5時間とすれば良い。形成される酸化膜の膜厚としては、10nm〜1000nm(好ましくは50nm〜200nm)、例えば100nmの厚さとする。
ハロゲンを含むものとしてはHClの他に、HF、NF3、HBr、Cl2、ClF3、BCl3、F2、Br2などから選ばれた一種又は複数種を適用することができる。
このような温度範囲で熱処理を行うことで、ハロゲン元素によるゲッタリング効果を得ることができる。ゲッタリングとしては、特に金属不純物を除去する効果がある。すなわち、塩素の作用により、金属などの不純物が揮発性の塩化物となって気相中へ離脱して除去される。単結晶半導体基板の表面を化学的機械研磨(CMP)処理をしたものに対しては有効である。また、水素は単結晶半導体基板と、透光性基板に形成される絶縁層との界面の欠陥を補償して界面の局在準位密度を低減する作用を奏し、単結晶半導体基板と絶縁層との界面が不活性化されて電気的特性が安定化する。
この熱処理により形成される酸化膜中にハロゲンを含ませることができる。ハロゲン元素は1×1017/cm3〜5×1020/cm3の濃度で含まれることにより金属などの不純物を捕獲して単結晶半導体基板の汚染を防止する保護層としての機能を発現させることができる。
単結晶半導体基板にイオンを導入し、脆弱化層を形成する。脆弱化層が形成される領域の深さは、導入されるイオンの加速エネルギーと入射角によって調節することができる。加速エネルギーは加速電圧、ドーズ量などにより調節できる。
イオンの導入の際に用いるガスとしては、水素ガス、希ガス等があるが、本実施の形態では水素ガスを用いることが好ましい。イオンドーピング法で水素ガスを用いた場合、生成するイオン種は、H+、H2 +及びH3 +であるが、H3 +が最も多く導入されることが好ましい。H3 +はH+、H2 +よりもイオンの導入効率がよく、導入時間の短縮を図ることができる。また、後の工程において脆弱化層に亀裂が生じやすくなる。
次に、透光性基板側の処理を説明する。まず透光性基板の表面を洗浄する。洗浄は、塩酸過水(HPM)、硫酸過水(SPM)、アンモニア過水(APM)、希フッ酸(DHF)等を用いて超音波洗浄を行えばよく、本実施の形態では、塩酸過水を用いて超音波洗浄を行う。
次に、洗浄によって表面のゴミ等の不純物などを除去された透光性基板にプラズマ処理による平坦化処理を行う。本実施の形態では、プラズマ処理は真空チャンバー内でアルゴン(Ar)ガスなどの不活性ガスを用い、被処理物である透光性基板にバイアス電圧を印加してプラズマ状態として行う。不活性ガスとともに、酸素(O2)ガス、窒素(N2)ガスを導入してもよい。
透光性基板を陰極方向とし、プラズマ中のArの陽イオンを陰極方向に加速し、透光性基板に衝突させる。Arの陽イオンの衝突によって透光性基板表面がスパッタエッチングされ、透光性基板表面の凸部をエッチングし、透光性基板の表面を平坦化することができる。反応ガスは、透光性基板表面のスパッタエッチングによって生じる欠陥を補修する効果がある。
次に、透光性基板上に絶縁層を形成する。本実施の形態では、シリコン系の絶縁層以外の絶縁層である酸化アルミニウムを主成分とする酸化膜を用いる。酸化アルミニウムを主成分とする酸化膜とは、当該酸化膜に含まれる成分の合計を100重量%とするときに、酸化アルミニウムを10重量%以上含む酸化膜をいう。他にも、絶縁層としては、酸化アルミニウムを主成分とし、酸化マグネシウムと酸化ストロンチウムの一方又は両方が含まれる膜を適用することができる。また、窒素を含む酸化アルミニウムを用いてもよい。
絶縁層は、スパッタリング法により形成することができる。スパッタリング法に用いるターゲットとしては、例えば、アルミニウムを含む金属又は酸化アルミニウム等の金属酸化物を用いることができる。なお、ターゲットの材料は、形成する膜に応じて適宜選択すればよい。
ターゲットとして金属を用いる場合には、反応ガス(例えば、酸素)を導入しながらスパッタすること(反応性スパッタリング法)により、絶縁層を形成する。金属としては、アルミニウムの他に、マグネシウム(Mg)、アルミニウムとマグネシウムを含む合金、アルミニウムとストロンチウム(Sr)を含む合金、アルミニウムとマグネシウムとストロンチウムを含む合金を用いることができる。この場合、スパッタリングは直流(DC)電源又は高周波(RF)電源を用いて行えばよい。
ターゲットとして金属酸化物を用いる場合には、高周波(RF)電源を用いてスパッタすること(RFスパッタリング法)により、絶縁層を形成する。金属酸化物としては、酸化アルミニウムの他に、酸化マグネシウム、酸化ストロンチウム、アルミニウムとマグネシウムを含有する酸化物、アルミニウムとストロンチウムを含有する酸化物、アルミニウムとマグネシウムとストロンチウムを含有する酸化物を用いることができる。
他にも、バイアススパッタリング法を用いて、絶縁層を形成してもよい。バイアススパッタリング法を用いると、膜の体積と表面の平坦化を両方行うことができる。
アルミニウムを主成分とする酸化膜は透光性基板に含まれる可動イオンや水分等の不純物が、後に透光性基板上に形成される単結晶半導体膜に拡散することを防ぐことができる。
次に、単結晶半導体基板の表面と透光性基板の表面とを対向させ、単結晶半導体基板と絶縁層とをボンディングする。単結晶半導体基板と透光性基板上に形成された絶縁層の表面とを密着させることにより接合が形成される。
なお、単結晶半導体基板と透光性基板をボンディングさせる前に、透光性基板上に形成された絶縁層の表面処理を行うことが好ましい。
次に、実施の形態2と同様に、加熱処理を行い脆弱化層にて分離(劈開)することにより、透光性基板上に絶縁層を介して単結晶半導体層を形成することができる。
透光性基板上に設けられた単結晶半導体層を用いて半導体素子層を形成することができる。
次に、分離された単結晶半導体基板を繰り返し利用する工程(半導体基板再生処理)について説明する。
まず、分離された単結晶半導体基板を取り出す。エッジロールオフの影響により、単結晶半導体基板の端部において透光性基板との貼り合わせが十分に行われない場合がある。その結果、端部において単結晶半導体基板は脆弱化層にて分離されず、絶縁層等が残存する場合がある。
単結晶半導体基板の端部における残渣部分を除去する。残渣部分は、ウェットエッチング処理を行うことにより除去することができる。具体的には、フッ化水素酸とフッ化アンモニウムと界面活性剤を含む混合溶液(例えば、ステラケミファ社製、商品名:LAL500)をエッチャントとして用いてウェットエッチングを行う。
また、水素イオンが導入された脆弱化層は、TMAH(Tetra Methyl Ammonium Hydroxide、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド)に代表される有機アルカリ系水溶液を用いてウェットエッチングすることにより、除去することができる。このような処理を行うことにより、単結晶半導体基板の端部における残渣物による段差が緩和される。
次に、単結晶半導体基板をハロゲン雰囲気中で酸化することにより、酸化膜を形成し、その後当該酸化膜を除去する。ハロゲンとしては塩化水素(HCl)を用いることができる。こうすることでハロゲン元素によるゲッタリング効果を得ることができる。ゲッタリングとしては、特に金属不純物を除去する効果がある。すなわち、塩素の作用により、金属などの不純物が揮発性の塩化物となって気相中へ離脱して除去される。
次に、単結晶半導体基板に研磨処理としてCMP処理を行う。その結果、単結晶半導体基板の端部における段差を除去し、単結晶半導体基板の表面を平坦にすることができる。その後、得られた単結晶半導体基板を母体ウエハーとして再度利用する。
本実施の形態で示したように、単結晶半導体基板の再生処理工程により単結晶半導体基板を繰り返し利用することによって、低コスト化を図ることができる。また、本実施の形態で示した単結晶半導体基板の再生処理工程を用いることにより、単結晶半導体基板を繰り返し利用した場合であっても、単結晶半導体基板の表面を十分に平坦化することができるため、単結晶半導体基板と透光性基板との密着性を向上させ、貼り合わせ不良を低減することができる。
本実施の形態は実施の形態1及び実施の形態2と適宜組み合わせることができる。
(実施の形態4)
本実施の形態では、本明細書に開示する発明により得られたセンサを含む様々な電子機器の例について説明する。本明細書に開示する発明が適用される電子機器として、コンピュータ、ディスプレイ、携帯電話、テレビジョン装置などが挙げられる。それらの電子機器の具体例を図10(A)乃至(C)、図11(A)(B)、図12、図13(A)(B)、及び図14に示す。
図10(A)乃至(C)は携帯電話であり、図10(A)は、本体(A)701、本体(B)702、筐体703、操作キー704、音声出力部705、音声入力部706、回路基板707、表示パネル(A)708、表示パネル(B)709、蝶番710、透光性材料部711、センサ712を有している。
センサ712は透光性材料部711を透過した光を検知し、検知した外部光の照度に合わせて表示パネル(A)708及び表示パネル(B)709の輝度コントロールや、センサ712で得られる照度に合わせて操作キー704の照明制御を行う。これにより携帯電話の消費電流を抑えることができる。
図10(B)及び図10(C)に携帯電話の別の例を示す。図10(B)及び図10(C)において、本体721、筐体722、表示パネル723、操作キー724、音声出力部725、音声入力部726、センサ727、センサ728を示している。
図10(B)に示す携帯電話では、本体721に設けられたセンサ727により外部の光を検知することにより表示パネル723及び操作キー724の輝度を制御することが可能である。
また図10(C)に示す携帯電話では、図10(A)の構成に加えて、本体721の内部にセンサ728を設けている。センサ728により、表示パネル723に設けられているバックライトの輝度を検出することも可能となる。
図11(A)はコンピュータであり、本体731、筐体732、表示部733、キーボード734、外部接続ポート735、ポインティングデバイス736等を含む。
また図11(B)は表示装置の例であるテレビジョン装置であり、筐体741、支持台742、表示部743などによって構成されている。
図11(A)のコンピュータに設けられる表示部733、及び図11(B)に示す表示装置の表示部743として、液晶パネルを用いた場合の詳しい構成を図12に示す。
図12に示す液晶パネル762は、筐体761に内蔵されており、基板751a及び基板751b、基板751a及び基板751bに挟まれた液晶層755、偏光フィルタ752a及び偏光フィルタ752b、及びバックライト753等を有している。また筐体761にはセンサ754が形成されている。
本明細書に開示する発明を用いて作製されたセンサ754はバックライト753からの光量を感知し、その情報がフィードバックされて液晶パネル762の輝度が調節される。
図13(A)及び図13(B)は、本明細書に開示する発明を用いたセンサ810を含むカメラ、例えばデジタルカメラの例を示す図である。図13(A)は、デジタルカメラの前面方向から見た斜視図、図13(B)は、後面方向から見た斜視図である。図13(A)において、デジタルカメラには、リリースボタン801、メインスイッチ802、ファインダ窓803、フラッシュ804、レンズ805、鏡胴806、筺体807、センサ810が備えられている。
また、図13(B)において、ファインダ接眼窓811、モニタ812、操作ボタン813a、813bが備えられている。
リリースボタン801は、半分の位置まで押下されると、焦点調整機構および露出調整機構が作動し、最下部まで押下されるとシャッターが開く。
メインスイッチ802は、押下又は回転によりデジタルカメラの電源のオン、オフを切り替える。
ファインダ窓803は、デジタルカメラの前面のレンズ805の上部に配置されており、図13(B)に示すファインダ接眼窓811から撮影する範囲やピントの位置を確認するための装置である。
フラッシュ804は、デジタルカメラの前面上部に配置され、被写体輝度が低いときに、リリースボタンが押下されてシャッターが開くと同時に補助光を照射する。
レンズ805は、デジタルカメラの正面に配置されている。レンズは、フォーカシングレンズ、ズームレンズ等により構成され、図示しないシャッター及び絞りと共に撮影光学系を構成する。また、レンズの後方には、CCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子が設けられている。
鏡胴806は、フォーカシングレンズ、ズームレンズ等のピントを合わせるためにレンズの位置を移動するものであり、撮影時には、鏡胴を繰り出すことにより、レンズ805を手前に移動させる。また、携帯時は、レンズ805を沈銅させてコンパクトにする。なお、本実施の形態においては、鏡胴を繰り出すことにより被写体をズーム撮影することができる構造としているが、この構造に限定されるものではなく、筺体807内での撮影光学系の構成により鏡胴を繰り出さずともズーム撮影が可能なデジタルカメラでもよい。
ファインダ接眼窓811は、デジタルカメラの後面上部に設けられており、撮影する範囲やピントの位置を確認する際に接眼するために設けられた窓である。
操作ボタン813は、デジタルカメラの後面に設けられた各種機能ボタンであり、セットアップボタン、メニューボタン、ディスプレイボタン、機能ボタン、選択ボタン等により構成されている。
本明細書に開示する発明を適用し、センサ810を図13(A)及び図13(B)に示すカメラに組み込むと、センサ810が光の有無及び強さを感知することができ、これによりカメラの露出調整等を行うことができる。本明細書に開示するセンサは、薄型なため、実装しても装置を小型化することができる。センサのような部品の小型化は、携帯用電子機器に利用する場合に特に有用である。
本明細書に開示する発明は、音響再生機能を有する携帯情報端末にも適用することができる。図14は、デジタルプレーヤーを示しており、オーディオ装置の1つの代表例である。図14に示すデジタルプレーヤーは、本体2130、表示部2131、メモリ部2132、操作部2133、イヤホン2134、センサ2135、センサ2136、制御部2137等を含んでいる。なお、イヤホン2134の代わりにヘッドホンや無線式イヤホンを用いることができる。
センサ2135は光を検出する光センサであるので、イヤホンにおいて、イヤホン装着時に遮光される領域に設けられる。一方、センサ2136は感圧センサであるので、イヤホンにおいてイヤホン装着時に耳と接触する領域に設けられる。センサ2135においては光の検出の有無、センサ2136では圧力の検出の有無により、イヤホンの装着、非装着を検出することができる。センサ2135及びセンサ2136より検出された情報により制御部2137が、イヤホンの装着時はデジタルプレーヤーがオン、非装着時はオフとなるように制御する。従って、デジタルプレーヤー本体2130の操作部2133を直接操作しなくても、イヤホンの装着、非装着によって自動的にデジタルプレーヤーのオン、オフの切り替えを行うことができる。
センサ2138として本明細書に開示するカラーセンサを用いることができ、外部からの光を検知し、検知した外部光の照度に合わせて表示部2131の輝度コントロールを行うことができる。
また、メモリ部2132を用いて、操作部2133を操作することにより、映像や音声(音楽)を記録、再生することができる。なお、表示部2131は黒色の背景に白色の文字を表示することで消費電力を抑えられる。なお、メモリ部2132に設けられたメモリは、取り出し可能な構成としてもよい。
また本明細書に開示する発明の半導体装置はその他の電子機器、例えばプロジェクションテレビ、ナビゲーションシステム等に応用することが可能である。すなわち光を検出する必要のあるものであればいかなるものにも用いることが可能である。
なお本実施の形態は、実施の形態1乃至3と適宜組み合わせることができる。