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JP5372368B2 - 抗酸化機能が向上した植物を栽培する方法 - Google Patents

抗酸化機能が向上した植物を栽培する方法 Download PDF

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Description

本発明は、抗酸化機能が向上した植物を栽培する方法、植物の抗酸化機能を向上させる葉面散布用組成物及び抗酸化機能が向上した野菜に関する。
近年、ビニールハウスやガラス室など環境を制御できる施設内で、土壌ではなく、肥料成分を含む水耕液に根を浸して野菜を栽培する生産方法が、食料の安定供給といった観点から注目されている。特に、異常気象の影響によって露地栽培では年ごとに収穫量が変動してしまうため、露地栽培から施設園芸や水耕栽培に切り替える農家が増えている。また、栽培環境を制御できる施設内では野菜に病虫害が発生しにくく、農薬の使用量を低減することが可能で、消費者から水耕栽培された野菜は安全・安心な野菜であると認知されつつある。
但し、肥料成分の配合を最適化した水耕液に浸して野菜を促成栽培するため、短期間で一定の収量が得られるという利点はあるものの、露地で栽培された野菜と比べて水耕栽培された野菜は食味に乏しく、ビタミン類やポリフェノール類といった機能性成分が少ない、という欠点がある。また、水耕液には植物の育成に不可欠な窒素成分が硝酸塩として含まれているが、短期間で一定の収量を得るために必要以上の硝酸塩が添加されており、水耕栽培された野菜の硝酸イオン濃度は非常に高いといった問題が生じている。野菜から体内に取り込まれた硝酸は還元されて亜硝酸になるが、硝酸イオン濃度が高い野菜を通して硝酸を過剰に摂取すると、亜硝酸がヘモグロビンと結合し酸素を運搬できなくなるメトヘモグロビン血症を発症してしまう。
このような問題に対し、水耕液の肥料成分の量を制御する、あるいは無機イオンを含む水耕液で野菜を栽培することによって、野菜中に含まれる硝酸イオンやシュウ酸など人間に害をもたらす物質を低下させる研究がこれまで行われてきた。
例えば、特許文献1では、通常量の硝酸態窒素を含む水耕液で育てた野菜を、収穫前の一定期間は硝酸態窒素を殆ど含まないか全く含まない水耕液で栽培し、野菜内部に残存する硝酸イオンを消費させる栽培方法が記されている。また、特許文献2では、銅イオンを含む水耕液、あるいはモリブデンを含まずpHを7.0以上にした水耕液で栽培することによって、ホウレンソウのシュウ酸含量を低下させる栽培方法が記載されている。しかし、これらの方法では、通常の成分組成の水耕液が満たされた栽培槽でしばらく栽培したのち、硝酸態窒素やモリブデンを含まない水耕液が入った栽培槽へ野菜を移し変えるという作業が発生し、また、通常の水耕液が満たされた栽培槽とは別に組成を変えた水耕液を入れる栽培槽を設ける必要があり、実際の生産場面に適用するには手間もコストもかかり、好ましくない。
このように、これまで野菜の栽培方法に関しては、野菜に含まれる特定の成分を減少させる研究が中心だった。しかし、近年、健康食品への関心が高まるにつれて、野菜の有効成分、例えばビタミン類やポリフェノール類など機能性成分を増加させる栽培方法に関する研究が行われるようになった。特に、体内に存在する活性酸素は、細胞や組織に損傷を与え、ガンや生活習慣病、老化を促進させる一因になっていると考えられ、活性酸素を除去する機能、すなわち抗酸化機能が高い食品へのニーズが高まっている。
例えば、特許文献3には、植物を栽培する際に、ホウ素、マンガン、鉄、銅を含む混合微量要素や、亜鉛、モリブデン、セレンから選ばれる少なくとも1つの微量要素を所定量含む溶液を灌水施用するかまたは葉面散布して、ビタミン類やポリフェノール類を多く含む野菜を栽培する方法が記載されている。しかし、この方法では微量要素を含む溶液を調製しなくてはならず、手間とコストがかかってしまうという問題を有する。
また、例えば特許文献4には、黒酢を500倍程度に希釈して稲に散布することによって生長の促進、増収、いもち病への予防効果が図れることが記載されており、特許文献5には、500倍以上に希釈した黒酢を付与することによって、ウリ科、バラ科若しくはアブラナ科の植物体の収量増加、食味の向上、病虫害の抑制が図れることが記載されている。しかしながら、黒酢を利用して植物が有する機能性成分を増加させるような栽培方法は従来知られていなかった。
特公平7−102051号公報 特開平5−268837号公報 特開2006−304777号公報 特開2000−224928号公報 特開2006−121975号公報
本発明は、生産設備や水耕液の組成など、従来の栽培方法を変えることなく簡便な処理によって植物の抗酸化機能を向上させる方法を提供することを目的とする。
本発明者は、前記目的を達成するために研究した結果、黒酢を特定の倍率に希釈して散布することにより植物の抗酸化機能の向上が可能であることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明の要旨は以下のとおりである:
(1)植物の葉面に、希釈した黒酢を散布しないで栽培した植物より常にORAC値が高くなる程度に黒酢を希釈して散布する、抗酸化機能が向上した植物を栽培する方法
(2)植物の葉面に、希釈した黒酢を散布しないで栽培した植物より常に総ポリフェノール含量が高くなる程度に黒酢を希釈して散布する、抗酸化機能が向上した植物を栽培する方法
(3)植物が野菜であり、野菜の葉面に酢焼けを発生させない程度に希釈した黒酢を散布することを特徴とする、(1)又は(2)に記載の方法
(4)散布が第4葉から第5葉が展開した野菜に対して行われる、(1)〜(3)のいずれかに記載の方法
(5)散布が2〜4日に1回の割合で少なくとも2週間野菜に対して行われる、(1)〜(4)のいずれかに記載の方法
(6)(1)〜(5)のいずれかに記載の方法により栽培した、抗酸化機能が向上した野菜
(7)植物の葉面に散布することにより、散布しないで栽培した植物よりも常にORAC値が高くなる程度に希釈した黒酢を含む、植物の葉面散布用組成物
本発明によれば、従来の栽培方法を変えることなく、簡便な処理によって植物が備える抗酸化機能を向上させることができる。
以下、本発明の抗酸化機能が向上した植物の栽培方法、植物の葉面散布用組成物及び抗酸化機能が向上した野菜の一実施態様について詳細に説明する。
本発明が対象とする植物としては、例えば野菜や果物が挙げられる。野菜とは、主に葉や根、茎(地下茎を含む)、実などを食用などに利用する植物一般のことを意味する。中でも葉を食す野菜、特にアブラナ科に属する野菜、例えばキャベツ、レタス、小松菜、白菜、水菜、ルッコラ等や、アカザ科に属する野菜、例えばホウレンソウ等に対して、本発明は特に高い効果を有する。なお、野菜は食用としなくても化粧品や医薬品、サプリメントなどの原料として用いられるようなものでもよい。また果物とは、草木の果実で食用となるようなものを意味する。
植物はどのように栽培されていてもよく、すなわち土壌に植え付けられていても、また水耕液に浸して栽培されていてもよい。しかし、生産管理が簡単ではあるが露地栽培されたものよりも栄養面で劣ることが多い水耕栽培の植物、特に水耕栽培の野菜に本発明を用いると、その栄養面における欠点を補うことができ、より効果的である。本発明は、従来の水耕栽培装置を設置した施設で、通常の成分組成で調製された水耕液で栽培されている野菜に対して用いることができる。特殊な設備等を用意せずとも、黒酢を希釈して散布するだけで野菜の抗酸化機能を向上させることができるため、本発明は非常に有利である。また、従来の方法で栽培されている果物に対しても、黒酢を希釈して散布するだけで果物の抗酸化機能を向上させることができるため、本発明は非常に有利である。
抗酸化機能とは活性酸素等の酸化力の強い生成物を還元する作用のことである。例えば抗酸化機能を有する物質を摂取すると、体内に存在して細胞や組織に損傷を与え、ガンや生活習慣病、老化を促進させる一因になっていると考えられる活性酸素を還元することができる。抗酸化機能を有する物質としては、具体的にはビタミンCやビタミンEといったビタミン、或いはカテキン、アントシアニン、ルチン、イソフラボン類といったポリフェノール等が知られている。本発明の方法で栽培した植物の場合、これらの中でも特にポリフェノールの含量が増加することによって、抗酸化機能の向上が実現されていると考えられる。
抗酸化機能は、様々な指標を用いて定量することができ、例えば、アメリカで食材や健康食品の抗酸化機能の指標として採用されているORAC(Oxygen Radical Absorbance Capacity)の値によって定量化することができる。このORACとは、被検体の活性酸素吸収能力を、ビタミンE様物質であるトロロックス(6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン−2−カルボン酸)の還元力に換算して得られる値であり、単位は1μmolトロロックス単位である。
黒酢とは、JAS規格により定められたもの、すなわち(1)1リットルあたり180g以上の原料を使用、(2)熟成によって自然に褐色したもの(着色度0.3以上)、(3)原料は白米でなく、糠部分がついていること、の条件に適合するように製造されたものをいう。中でも、玄米を材料とし、製造過程で10ヶ月程度熟成させた黒酢が本発明に適している。そのような黒酢は、熟成の間に玄米に含まれるタンパク質がアミノ酸へと分解され、他の黒酢に比べて総アミノ酸含量が高いという特性を有する。各種アミノ酸は植物の生育に必須で、植物の代謝活性を高めることが知られており、葉面からも吸収される。黒酢によって付与される多量のアミノ酸が植物の代謝を活性化し、その結果として、ポリフェノールなど二次代謝産物が関与する抗酸化機能が向上すると考えられる。散布する黒酢のアミノ酸含有量が500mg/100ml以上であると、植物の抗酸化機能を向上させる上で有利である。
また上述のような黒酢は、他の黒酢と比べてカリウム含量が高いという特性も有する。カリウムは光合成活性を高めることが知られており、植物の抗酸化機能を向上させる一因となっていると考えられる。散布する黒酢のカリウム含有量が80mg/100ml以上であると、植物の抗酸化機能を向上させる上で有利である。
我が国では様々な黒酢が製造・販売されているため、黒酢は他の特殊な薬剤等と比較すると容易且つ安価に入手可能である。そのような容易且つ安価に入手可能な黒酢を利用して植物の抗酸化機能を高めることができるのも、本発明の利点の一つである。本発明で用いるのに好適な黒酢としては、例えば石山味噌醤油株式会社製の「純玄米黒酢」(商品名)を挙げることができる。
黒酢は、希釈した黒酢を散布しないで栽培した植物より常にORAC値が高くなる程度に希釈して散布する。又は、希釈した黒酢を散布しないで栽培した植物より常に総ポリフェノール含量が高くなる程度に希釈する。具体的には、例えば水耕栽培されているルッコラの場合であれば、80〜250倍、特に100〜200倍に希釈して散布すると、栽培時期を問わず安定して抗酸化機能を向上させることができる。なお、抗酸化機能を向上させるためには、希釈倍率が低い黒酢を散布することが望まれるが、特に野菜に散布する場合には、低くしすぎると野菜に酢による悪影響(酢に含まれる酸により野菜の葉などが枯れてしまう酢焼け等)が生じることがある。しかし、このような倍率で希釈した黒酢を含む散布用組成物を野菜に散布すると、野菜の有する抗酸化機能が向上し、且つ野菜に悪影響が生じることが無い。すなわち、黒酢は野菜の葉面に酢焼けを発生させない程度に希釈して散布することが好ましい。なお、黒酢は水で希釈することが好ましい。
希釈した黒酢を含む散布用組成物は、野菜がある程度生長してから散布を開始するのが好ましく、例えば第4葉から第5葉が展開した頃から散布を開始することが好ましい。 従って、通常、播種後2〜4週間、好ましくは播種後3週間程度経過した野菜に対して散布を開始することが好ましい。一定以上生長してから散布を開始することで、幼植物が酢によって酢焼けをおこして枯死することを防ぐことができる。
また散布は、ある程度の時間間隔を空けて、且つ一定期間行うことが好ましい。具体的には2〜4日に1回程度、特に3日に1回程度の頻度で、通常2週間程度散布することが好ましい。このような頻度で散布を行うと、野菜に酢によるpH障害が発生することがなく、生育が抑制されることもない。また、このような期間で散布を行うことで、黒酢の散布による野菜の抗酸化機能の向上が十分に発現される。なお、抗酸化機能の向上効果が十分得られるよう、散布は収穫の1日前まで行われることがさらに好ましい。
散布はどのように行ってもよいが、植物の葉面に対して散布するのが好ましい。また散布量は、液体の場合は植物の葉面が湿る程度、例えばルッコラであれば40〜50ml/m程度でよい。その程度散布することで、本発明の抗酸化機能向上効果を十分得ることができ、植物に酢による害が生じることもない。
本発明はさらに、上記本発明の栽培方法に使用するための植物の葉面散布用組成物に関する。本発明の葉面散布用組成物は、植物の葉面に散布することにより、散布しないで栽培した植物よりも常にORAC値が高くなる程度に希釈した黒酢を含む。本発明の葉面散布用組成物は、植物の抗酸化機能を向上させるために使用できる。本発明の葉面散布用組成物には、黒酢に加えて、何らかの添加剤、例えば植物の葉の表面に黒酢を付着させるための展着剤、或いは植物の病虫害を防ぐための農薬や、植物の生長を促進する生長促進剤や肥料等も加えてもよい。
本発明はまた、上記本発明の栽培方法により栽培した抗酸化機能が向上した植物、特に野菜に関する。そのような野菜は、その向上した抗酸化機能により、食用として或いは化粧品や医薬品、サプリメントなどの原料として有用である。
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定して解釈されるべきものではない。特に、実施例では水耕栽培されている野菜の場合について記載しているが、本発明は水耕栽培に限定されるものではなく、土耕栽培にも適用可能である。また、本発明は野菜に限定されるものではなく、果物についても適用可能である。なお、実施例では黒酢のみを水で希釈して散布しているが、散布液には生長促進剤等を加えることも可能である。
(実施例1)
実施例1は、温室内で通常組成の水耕液に満たされた水耕槽で栽培されているルッコラの葉面に黒酢を100倍及び500倍に希釈した溶液を3日に1回の頻度で散布し、ルッコラの抗酸化機能に対する黒酢の散布効果を調べたものである。
栽培試験は平成19年1月31日〜2月13日に実施した。播種後、1枚あたり64穴の定植板に移植され水耕槽で栽培されるようになって1週間が経過し、第4葉から第5葉を展開しているルッコラに、3日に1回の割合で、石山味噌醤油株式会社製「純玄米黒酢」を水で100倍及び500倍に希釈した溶液を噴霧器によって葉面が湿る程度(40〜50ml/m)散布した。石山味噌醤油株式会社製「純玄米黒酢」の栄養成分は表1に記載のとおりである。
Figure 0005372368
1枚の定植板を1つの試験区として、100倍希釈液散布区、500倍希釈液散布区、また、葉面に何も散布しない無散布区を設けた。なお、黒酢の希釈液には展着剤として「粘着くん(登録商標)液剤」(住友化学社製)を100倍希釈で、100ml黒酢希釈液に対して1mlの割合で添加した。散布を開始してから1週間後、2週間後にルッコラを各試験区より3個体ずつ採取して抗酸化機能を評価した。
採取したルッコラのORAC値をDPPH(ジフェニルピクリルヒドラジル)ラジカル消去活性として定量することによって抗酸化機能を評価した。(以降、ORAC値はDPPHラジカル消去活性として定量したものを示す。)具体的には、採取したルッコラに4倍容の80%エタノールを加えて乳鉢ですり潰し、その破砕液を室温で一昼夜放置した。破砕液をろ過したのち、等容の80%エタノールで希釈して、ORAC値の定量に供試した。ORAC値の定量にあたっては、酸化剤ヒドロキシラジカルを含む反応液にルッコラの破砕液を加え、そのときの還元力を520nmに対する吸光度の減衰によって測定した。また、同様に標準物質であるトロロックスの還元力も測定し、ルッコラの抗酸化機能をトロロックス1μmolあたりの還元力(=1μmolトロロックス単位)として定量した。各試験区より採取したルッコラのORAC値を定量した結果を表2に示す。
Figure 0005372368
黒酢の散布を開始してから1週間後においては各試験区のORAC値にほとんど差が見られないが、2週間後では、100倍希釈液散布区のORAC値が他の試験区に比べて有意に高く、対照区の1.5倍程度のORAC値を示した。但し、500倍希釈液散布区におけるORAC値は対照区に比べて有意に低かった。なお、各試験区より採取したルッコラ供試個体の新鮮重については、散布開始1週間後、2週間後においても試験区間で有意な差異は認められなかった。
以上のことから、冬期は、100倍に希釈した黒酢をルッコラの葉面に散布することによって、収量を低下させることなく、何も散布しないルッコラに比べて抗酸化機能が1.5倍ほど向上することが確認された。
(実施例2)
実施例2は、石山味噌醤油株式会社製「純玄米黒酢」と他社が製造する黒酢や穀物酢の散布効果を調べたものである。
栽培試験は平成19年5月24日〜6月6日に実施した。実施例1と同様に、温室内で通常の水耕液に満たされた水耕槽で栽培され、第4葉から第5葉が展開したルッコラを用いて、石山味噌醤油株式会社製の「純玄米黒酢」(石山黒酢散布区)、M社が製造している玄米黒酢(M社黒酢散布区)及び穀物酢(穀物酢散布区)をそれぞれ水で100倍に希釈した溶液を葉面散布する試験区と、対照区として何も散布しない無散布区を設けた。黒酢希釈液の散布にあたっては、1回の散布量をルッコラの葉面が湿る程度として、3日に1回の頻度で各々の溶液を散布した。試験を開始してから1週間後、2週間後に各試験区からルッコラを任意に3個体ずつ採取して実施例1と同様の方法でORAC値を定量した。その結果を表3に示す。
Figure 0005372368
散布開始1週間後では、実施例1と同様に、対照区と黒酢や穀物酢を散布した試験区の間でルッコラのORAC値に有意な差異は認められなかった。2週間後においては、石山黒酢散布区のルッコラのみORAC値が向上し、他の試験区に比べてORAC値が有意に高かった。M社黒酢散布区、穀物酢散布区におけるルッコラのORAC値は対照区に比べて低かった。
以上のことから、春期においても石山味噌醤油株式会社製の「純玄米黒酢」を100倍に希釈した溶液を散布することによって、ルッコラの抗酸化機能が、何も散布していないルッコラに比べて1.25倍ほど高くなることが確認された。
(実施例3)
実施例3は、野菜の抗酸化機能を向上させるにあたって、散布する黒酢の最適な希釈倍率について検討したものである。
この栽培試験は平成19年7月10日から7月24日にかけて実施した。実施例1、2と同様に、温室内で通常の水耕液で栽培され第4葉から第5葉が展開したルッコラを用いて、石山味噌醤油株式会社製の「純玄米黒酢」を水で10倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、200倍、300倍、500倍、1000倍に希釈した溶液を散布する試験区と、対照として何も散布しない無散布区を設けた。黒酢液の散布は、これまでと同様に、葉面が湿る程度に3日に1回の頻度で2週間行った。試験を開始して1週間後、2週間後に各試験区よりルッコラを任意に3個体採取し、これまでと同様にORAC(1μmolトロロックス単位/g新鮮重)値を定量した。その結果を表4に示す。
Figure 0005372368
これまでの試験結果と同様に、試験開始1週間後においては対照区と黒酢を散布した試験区の間でルッコラのORAC値に有意な差異は認められなかった。2週間後においては、試験区間でルッコラのORAC値に有意な差が認められ、無散布区に比べてORAC値が高かった試験区が多くみられた。10倍及び50倍に希釈した黒酢を散布した試験区より採取したルッコラのORAC値は無散布区に比べて有意に高かったが、葉が一部、酢焼けし、収量の低下が見られたことから、抗酸化機能は向上するものの、商品として出荷する野菜を栽培するには適さない希釈倍率と判断された。60倍、70倍に希釈した黒酢を散布した試験区ではORAC値が無散布区とほとんど変わらなかったが、80倍希釈液散布区ではORAC値が無散布区に比べて有意に高くなり、90倍、100倍、200倍に希釈した黒酢液を散布した試験区でも抗酸化機能の向上が認められた。200倍に希釈した黒酢液を散布したときにORAC値が最も高くなり、無散布区に比べて1.2倍ほど高くなり、これまでの実施例で適用してきた100倍希釈液を散布した試験区では、ORAC値が無散布区の1.15倍だった。300倍以上に希釈した黒酢を散布した試験区ではルッコラのORAC値は無散布区とほとんど変わらなかった。黒酢を散布してから2週間後における黒酢の希釈倍率とORAC値の関連性について図1に示す。
以上の結果から、夏期においても、他の季節ほど明確にORAC値は高くならなかったが、80倍から200倍に希釈した黒酢を葉面散布することによって野菜の抗酸化機能が少なくとも1.13倍、最大で1.2倍ほど高くなることが確認された。
ここで、この実施例3における、試験を開始してから2週間後のルッコラの1株あたりの平均収量を表5に示す。
Figure 0005372368
黒酢を散布した試験区におけるルッコラの収量は、無散布区における収量と同等か或いはそれより低下した。このことから、黒酢の散布が水耕栽培しているルッコラの生長を促進させ収量を増加させる効果を特には有しないことが確認された。すなわち、これまで述べたような黒酢の散布によるルッコラの抗酸化機能の向上は、ルッコラの生長促進に伴うものではなく、黒酢の散布が直接作用したことに起因するものであることが確認された。
(実施例4)
実施例4は、再度、抗酸化機能を向上させるにあたって最適な黒酢の希釈倍率を確認することと、一般的に野菜の抗酸化機能に寄与していると知られているポリフェノール含量に対する黒酢の散布効果を調べるために行った。
この栽培試験は平成19年11月7日から11月22日にかけて実施した。これまでと同様に、通常の水耕液に定植してから1週間ほどが経過し、第4葉から第5葉が展開しているルッコラを用い、4つの試験区を設け、各々に石山味噌醤油株式会社製の「純玄米黒酢」を水で75倍、100倍、200倍、500倍に希釈した溶液を散布した。また、対照区として何も散布しない区を設けた。溶液の散布量はルッコラの葉面が全体的に湿る程度として、3〜4日に一回の頻度で散布し、散布開始1週間後と2週間後に各試験区よりルッコラを3個体ずつサンプリングして、ORAC値と総ポリフェノール含量を定量した。
ORAC値の定量はこれまでと同様の方法で実施した。試験を開始してから1週間後および2週間後に採取したルッコラのORAC値について定量した結果を表6に示す。
Figure 0005372368
試験を始めてから1週間後より黒酢の散布効果が認められ、100倍希釈液を散布した試験区のORAC値が他の試験区に比べて有意に高く、無散布区の1.25倍だった。2週間後においては、100倍希釈液散布区ではORAC値がやや低下したが、無散布区のORAC値に比べて高く、200倍希釈液散布区のORAC値は無散布区の1.2倍だった。75倍希釈液を散布した試験区では、試験開始1週間後にORAC値が無散布区の1.17倍だったが、2週間後においては無散布区のORAC値とほとんど変わらなかった。500倍希釈液散布区におけるルッコラのORAC値は無散布区とほとんど差異が見られなかった。
総ポリフェノール含量については、採取したルッコラの茎葉を細かく刻んで、10倍量の蒸留水を加えて、1時間穏やかに加熱抽出した。抽出液をろ過した後、抽出液にフォリン−デニス試薬を加え、反応液の700nmにおける吸光度を測定し、抽出液に含まれるポリフェノール量を標準物質であるコーヒー酸を用いて作成した検量線よりコーヒー酸相当量として定量した。各試験区より採取したルッコラの総ポリフェノール含量について定量した結果を表7に示す。
Figure 0005372368
試験を開始してから1週間後より、ルッコラに含まれる総ポリフェノール量に対する黒酢の散布効果が認められた。無散布区に比べて黒酢を散布した試験区における総ポリフェノール含量が高く、散布する黒酢の濃度が高いほどポリフェノール含量が多かった。2週間後においては、無散布区でポリフェノール含量が1週間後に比べて低下したが、黒酢を散布した試験区ではポリフェノール含量が維持されており、無散布区と黒酢を散布した試験区の間でポリフェノール含量の差異が大きくなった。2週間後においても、黒酢の散布濃度が高いほどポリフェノール含量が多い傾向が認められた。
以上の結果から、秋期においても100倍から200倍に希釈した黒酢液を葉面に散布することによって安定的に、ルッコラの抗酸化機能が何も散布しない場合に比べて1.2倍ほど向上することが明らかとなった。また、黒酢の葉面散布はルッコラに含まれる総ポリフェノール量を高めることが明らかとなった。
散布する黒酢の希釈倍率を変えた際のORAC値の変化をグラフ化したものである。

Claims (2)

  1. 第4葉から第5葉が展開した野菜の葉面に、アミノ酸含有量が500mg/100ml以上である黒酢を80〜250倍に希釈して散布することを含む、抗酸化機能が向上した野菜を栽培する方法。
  2. 請求項1に記載の方法により栽培した、抗酸化機能が向上した野菜。
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