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JP5340994B2 - 歯付きベルト - Google Patents

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JP5340994B2
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Description

本発明は、例えば、高負荷環境下で使用されるベルトであって、歯表面ゴムの一部を歯布の隙間に充填させた歯付きベルトに関する。
従来、歯部と歯底部が交互に設けられた歯表面に、歯布が被覆された歯付きベルトが広く知られている。歯付きベルトでは、ベルト本体を構成するマトリックスゴムが歯布の目に充填され、さらには歯布の目に充填されたマトリックスゴムが歯布表面に露出される場合がある(例えば、特許文献1参照)。
このような歯付きベルトにおいては、歯布の目に充填されたマトリックスゴムのアンカー効果によって、ベルト本体と歯布との結合力が高められ、歯布の剥がれ等が防止される。また、マトリックスゴムが歯布表面に露出される場合には、上記結合力がさらに高められるとともに、歯布と歯付きプーリの間の摩擦係数が低下して、歯付きベルトの噛み合い音を低下させることが可能になる。
なお、特許文献1では、歯布の伸度が高い方向が、ベルト長手方向に一致するとともに、歯布が加硫成形前に予成形されないため、歯布は、ベルト製造時、ベルト長手方向に大きく伸張されて歯形に形成される。
特開平11−166596号公報
ところで、マトリックスゴムを歯布の目に充填させるためには、マトリックスゴムの加硫成形時の粘度を低くするか、或いは加硫成形時に目の大きい歯布を使用することが必要とされる。しかし、粘度が低いマトリックスゴムは、一般的に強度が低いため、そのようなゴムを使用して成型した歯付きベルトは、ベルト本体の強度が低下して、十分な耐久性が得られない等の不具合が生じる。また、歯布の目を大きくした場合も同様に、歯布の強度が低下して、十分な耐久性が得られない等の不具合が生じる。
さらには、引用文献1において歯布は、ベルト成型時にベルト歯部においてベルト長手方向に伸長される一方、歯底部においては殆ど伸長されないので、歯布の隙間は不均一なものとなる。したがって、歯布隙間に充填され、かつ外部に露出されるゴムの量は、不均一になり、ベルト性能が低下する一因になる。
本発明は、以上の問題点を鑑みてなされたものであり、耐久性等のベルト性能を低下させることなく、歯布の目にゴムを充填させることが可能な歯付きベルトを提供することを目的とする。
本発明に係る歯付きベルトは、一方の面に長手方向に沿って歯部と歯底部が交互に設けられ、第1のゴム組成物が加硫されて形成された歯ゴム部と、歯ゴム部の一方の面に積層され、第1のゴム組成物とは組成が異なる第2のゴム組成物が加硫されて形成された歯表面ゴム層と、歯表面ゴム層を覆うように設けられる歯布とを備え、歯表面ゴム層の少なくとも一部は、歯布の隙間に充填されていることを特徴とする。
上記第2のゴム組成物は、第1のゴム組成物よりも粘度が低いことが好ましく、例えば第2のゴム組成物の粘度は、35000Pa・s以下である。また、歯布の隙間長さは、例えば60μm以下であることが好ましい。さらに、歯布の隙間に充填された歯表面ゴム層は、歯布表面に露出されたほうが良い。
本発明に係る歯付きベルトの製造方法は、歯溝が周方向に複数並べられ、歯形に形成された歯付きモールドに、歯形に沿うように予め成形された歯布と、歯布に密着しかつ歯布に沿うように形成された歯表面ゴムシートとを、この順に配置させるように取り付ける歯布取付工程と、歯表面ゴムシートの上に心線を巻き付ける心線巻付工程と、心線の上、又は心線と歯表面ゴムシートの間に、歯表面ゴムシートとは組成が異なり、ベルトの歯部を形成するためのゴムシートをさらに取り付けるゴムシート取付工程と、歯表面ゴムシート及びゴムシートを、歯付きモールドに向けて加圧するとともに加熱し、歯布の隙間の中に歯表面ゴムシートの少なくとも一部を充填させるとともに、歯表面ゴムシート及びゴムシートを加硫させてベルトスラブを得るベルト成型工程とを備えることを特徴とする。
本発明においては、歯ゴム部の上に、歯表面ゴム層を設けたことにより、歯付きベルトの強度を低下させることなく、歯布の目に容易にゴムを充填させることが可能になる。また、本発明のベルト製造方法では、歯布が予成形されることにより殆ど伸ばされず、さらに歯表面ゴムシートが歯布に予め密着した状態で加硫成型されるため、歯布の隙間に比較的均一かつ容易にゴムを充填させることが可能になる。
本発明の一実施形態に係る歯付きベルトの断面図である。 歯布が予成形される工程を示す断面図である。 ゴム付き予成形歯布が作製される工程を示す断面図である。 歯付きモールドに各ベルト材料が取り付けられる工程を示す断面図である。 加硫成型によりベルトスラブが得られる工程を示す断面図である。 本発明の変形例に係る歯付きベルトの断面図である。 接着強度の測定方法を示すための概略斜視図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の一実施形態における歯付きベルトを示す。歯付きベルト10は、無端状に形成されて、従動及び原動プーリ(不図示)に掛け回されて使用されるものであって、原動プーリのトルク(駆動力)を、噛み合い伝動により従動プーリに伝動させるための動力伝達ベルトである。歯付きベルト10は、その一方の面が歯形に形成されたベルトであって、その歯形に形成された歯表面に帆布(歯布)20が被覆されている。歯表面は、ベルト10がプーリに掛け回されるときに、従動及び原動プーリに接触する面(プーリ接触面)である。
歯付きベルト10は、歯ゴム部11と背ゴム部12により一体的に形成されたベルト本体13と、歯ゴム部11と背ゴム部12との境界部分において、スパイラル状に巻かれ、ベルトの長手方向に延在して埋設される心線30とを備える。すなわち、歯ゴム部11は、心線30よりも歯表面側に配置された層であって、その一方の面側に長手方向に沿って歯部14と歯底部15が交互に形成される。歯部14と歯底部15とにより歯形に形成された歯ゴム部11の表面には、その歯形に沿う薄層の歯表面ゴム層16がさらに積層される。歯布20は、歯表面ゴム層16に少なくとも一部が埋設しつつ、歯表面ゴム層16を被覆する。
歯布20は、ベルトの長手方向に沿って延びる第1の糸(例えば緯糸)と、ベルトの幅方向に沿って延びる第2の糸(例えば経糸)とが織られて構成された織物であり、例えば、平織、綾織、朱子織等により織られる。第1の糸は、伸縮性を有する複合糸であって、芯糸と、この芯糸の周囲に巻き付いている中間糸と、この中間糸のさらに外側に巻き付いている被覆糸から成る複合糸である。第2の糸は、フィラメント糸から成る非伸縮糸であって、例えばポリウレタン、ナイロン、カーボン、ポリエステル、ポリエチレン等の合成繊維から構成され、好ましくはナイロンで構成される。
第1の糸の芯糸は弾性糸であって、例えばポリウレタン、ナイロン、ポリエステル等の合成繊維から構成されるが、好ましくはポリウレタン弾性糸である。中間糸は、非伸縮性糸であって、例えばアラミド繊維等の高剛性繊維糸から構成される。一方、被覆糸はポリウレタン、ナイロン、ポリエステル等の合成繊維から構成され、例えば捲縮加工されることにより伸縮性を有する伸縮性糸であっても良いし、綿等の天然繊維から構成されても良いが、好ましくは捲縮加工されたナイロンで構成される。ただし、第1及び第2の糸はともに、アラミド繊維のフィラメント糸等から成る非伸縮糸で構成されていても良い。
織布において、糸間(経糸と経糸の間及び緯糸と緯糸の間)の隙間(すなわち、歯布20の目)の長さ(すなわち、隙間長さ)は、60μm以下とされ、好ましくは30μm以下とされる。このように隙間長さを短くすることにより、歯布20における糸密度を高め、歯布20の強度を良好なものとすることができる。なお、本明細書において、歯布20の隙間長さとは、歯表面ゴム層16に接着される前の成型前の歯布(本実施形態では、予成形される前の歯布)における隙間長さのことを言い、糸間の隙間を光学顕微鏡で測定したものである。歯布20は、通常、RFL処理液等によってRFL処理等の含浸処理が施されるが、上記糸間の隙間は処理剤によって目詰まりしないように処理される必要がある。
歯表面ゴム層16のゴムは、歯布20の隙間(歯布の目)に充填されるとともに、その歯布20の隙間に充填されたゴムは、歯布20の表面側に浸み出して、歯布20の表面に露出される。
歯ゴム部11、背ゴム部12、及び歯表面ゴム層16は、それぞれ互いに異なるゴム組成物で構成される歯ゴムシート11’、背ゴムシート12’、及び歯表面ゴムシート16’(図4参照)が加硫されて形成されたものである。ただし、背ゴム部12を形成するためのゴム組成物は、歯ゴム部11を形成するためのゴム組成物と同一でも良い。歯ゴム部11及び背ゴム部12のゴム成分には、水素添加ニトリルゴム(HNBR)、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、フッ素ゴム、シリコーンゴム、又はこれらの混合物等が使用されるが、フッ素ゴム、シリコーンゴム以外のゴム成分が好ましい。
一方、歯表面ゴム層16を構成するゴム成分にも、同様にこれらゴム成分が使用されるが、フッ素ゴム、シリコーンゴム等の低摩擦性のものが好ましくは使用される。すなわち、本実施形態では、歯表面ゴム層16を形成するゴムのプーリ(従動・原動プーリ)に対する動摩擦係数は、歯ゴム部11及び背ゴム部12を形成するゴムよりも低くなるほうが良い。また、歯表面ゴム層16を構成するゴム成分としては、特に好ましくはフッ素ゴムが使用される。歯表面ゴム層16にフッ素ゴムが使用されることにより、歯表面の耐熱性が向上するからである。
背ゴム部12、歯ゴム部11、及び歯表面ゴム層16を形成するためのゴム組成物には、ゴム成分に加えて、カーボンブラック等の充填剤、可塑剤、加硫助剤、加硫剤等の添加剤が配合されている。
歯表面ゴム層16を形成するためのゴム組成物の粘度は、歯布20の隙間に充填され、さらに、歯布表面に浸み出すことができるように、歯ゴム部11及び背ゴム部12(ベルト本体13)を形成するためのゴム組成物の粘度よりも低く、35000Pa・s以下、好ましくは30000Pa・s以下とされる。ゴム組成物の粘度は、例えばゴム成分の分子量、可塑剤の配合の有無ないし配合量、又は加硫助剤の配合量を変化させることで調整可能である。
ゴム組成物の粘度は、100℃における粘度であって、粘度測定はフローテストで行われたものである。粘度の計算式は以下のとおりである。なお、本明細書における粘度は、ダイス長さLが2mm、ダイス穴の直径Dが1mmのものを使用したときの粘度である。
n=τ/γ [n:粘度(Pa・s)]
τ=(P×D)/(4×L)
[τ:見かけの剪断応力、P:試験圧力(0.980665Mpa=1kgf/cm)、L:ダイス長さ(mm)、D:ダイス穴の直径]
γ=(32×Q)/(π×D×3)[γ:剪断速度]
Q={A×(S2−S1)}/(10×t)
[Q:フローレート、A:ピストン断面積(直径11.282mm、S1:試験開始時ピストン位置、S2:試験終了時ピストン位置、t:ピストン開始から終了までの経過時間]
歯表面ゴム層16のゴム組成物の粘度を35000Pa・s以下とすると、例えば隙間長さが60μm以下の歯布20を使用した場合であっても、歯布20の隙間に歯表面ゴム層16を充填させ、またその充填したゴムを歯布20の表面に十分に浸み出させて露出させることが可能となる。また、粘度を30000Pa・s以下とすると、上記隙間長さを30μm以下とした場合でも、歯布20の隙間に歯表面ゴム層16を充填させ、またその充填したゴムを歯布20の表面に十分に露出させることが可能となる。通常、歯付きベルトにおいて、歯布は、隙間長さが30μm程度のものが使用されるので、上記粘度は30000Pa・s以下であることが好ましい。なお、歯表面ゴム層16は、ゴム組成物として粘度が低いものが使用されることにより、そのモジュラスは、歯ゴム部11及び背ゴム部12のモジュラスよりも低くなる。
歯ゴム部11を形成するためのゴム組成物は、さらに、変性ナイロンミクロファイバー等のナイロン繊維、アラミド繊維等から成る短繊維を含むことが好ましい。歯ゴム部11は短繊維が混入されることによって、そのモジュラスを向上させることができ、例えば、背ゴム部12のモジュラスよりも高くなる。
各ゴム部11、12、ゴム層16のモジュラスとは、未加硫ゴムシートを歯付きベルトの製造方法と同様の温度・圧力・時間条件で加硫して得られた測定用サンプルについて、JIS−K6251に準拠して測定した20%モジュラスのことをいう。なお、各ゴム部11、12、ゴム層16において短繊維が所定の方向に配向されている場合には、モジュラスとは、そのサンプルにおいても短繊維を一方向に配向させ、その配向方向にサンプルを引っ張って測定したときの値である。
図2〜5は、本実施形態に係る歯付きベルトの製造方法を示すための図である。歯付きベルト10の製造においては、まず予成形ドラム51が用いられて、歯布20が予成形されるとともに、歯表面ゴムシート16’、歯ゴムシート11’が歯布20に取り付けられる。
図2に示すように、予成形ドラム51の外周には周方向に交互に歯溝52及び凸部55が設けられ、その外周の一部には歯付きローラ53が係合される。歯付きローラ53には予成形ドラム51の歯溝52と協働する歯部54が設けられる。予成形ドラム51及び歯付きローラ53はそれぞれ矢印A及びBに示す方向に回転させられる。
歯布20は、予成形ドラム51の外周の一部を取り巻くように予成形ドラム51に供給されて歯付きローラ53との係合領域に導入される。歯布20はベルトの長手方向に一致する方向、すなわち第1の糸が延在する方向に沿って供給される。歯布20は凸部55及び歯部54の協働作用により凹部20Aと凸部20Bが交互に形成されたコルゲート状に予成形される。
図3に示すように、予成形ドラム51の外周の一部にはスチールバンド57が適当な押圧力で予成形ドラム51の周速度と同じ速度で走行させられる。予成形ドラム51とスチールバンド57との間には歯表面ゴムシート16’、歯ゴムシート11’が重ねられて供給される。また、予成形後の歯布20も、予成形ドラム51の外周に取り巻いた状態で、スチールバンド57の下側まで供給される。
予成形ドラム51とスチールバンド57との間において、歯表面ゴムシート16’、歯ゴムシート11’は、歯布20側からこの順で、予成形された歯布20の上に積層一体化され、歯布20に歯表面ゴムシート16’及び歯ゴムシート11’が接合されたゴム付き予成形歯布50が得られる。
上記スチールバンド57の押圧により、歯表面ゴムシート16’は、歯布20に密着して歯布20に沿う形状となるとともに、歯ゴムシート11’は歯表面ゴムシート16’に密着して歯表面ゴムシート16’に沿う形状となる。また、ゴムシート16’、11’は、歯布20の凹凸に沿って変形し、凹部20A内部において相対的に厚く、凸部20B上において相対的に薄くなる。これにより、予成形歯布50には歯部14’と歯底部15’とが交互に形成されている。
歯布20は、予成形ドラム51に供給される際、その供給方向(すなわち、第1の糸が延在する方向)に作用される張力が制御され、供給方向には実質的に張力が作用されないか、作用される張力が比較的小さくされる。また、歯布20ないしゴム付き予成形歯布50は、予成形ドラム51に沿って進行する際、および予成形ドラム51から回収される際にも、同様に実質的に張力が作用されないか、若しくは張力が小さくされる。すなわち、歯布20は、例えば供給方向において元の長さの1倍より長くならないように弛まされて供給かつ進行され、さらには回収される。したがって、歯布20は、予成形されさらにゴムシートが密着される工程において、ベルト長手方向に殆ど伸ばされない。
ゴム付き予成形歯布50は所定長さに順次切断された後、図4に示すように、歯布20側が内側を向くように円筒状の歯付きモールド60の外周に巻きつけられる。歯付きモールド60は、その外周面に歯溝61が、周方向に等間隔で複数並べられて歯形に形成されている。ゴム付き予成形歯布50は、歯付きモールド60の歯形に沿うように予成形されているので、歯付きモールド60に巻き付けられるとき、その歯部14’が歯溝61内に配置されると共に、歯底部15’が歯溝61間の凸部62の上に配置される。
次いで、ゴム付き予成形歯布50(すなわち、歯ゴムシート11’)の上に心線30が、隣接する心線30同士が所定の隙間を置くように、スパイラル状に周方向に沿って巻き付けられる。次に、心線30の上にさらに、背ゴムシート12’が巻き付けられる。
これらのゴムシート等が取り付けられた歯付きモールド60は、加硫釜(図示せず)内に収容される。加硫釜内は、例えば蒸気により所定温度に加熱した状態に保たれるとともに、加硫釜内に設けられた加硫バッグ等によって外周側からモールド60に向けて圧力が付勢されて、ベルトの加硫成型が行われる。加硫成型時の加硫釜内の温度は、150℃以上であって、好ましくは160℃以上であるとともに、加硫バックによる加圧は800kPa以上、好ましくは1000kPa以上である。
加硫成型について詳述すると、加熱により流動性を増した状態となったゴムシート16’、11’、12’は内側に押圧され、これらゴムシートに押された歯布20がモールド60の外周面に一致した形状となる。このとき、歯布20はコルゲート状に予成形されているため、ベルト長手方向にあまり伸ばされない。
歯表面ゴムシート16’は、粘度が相対的に低く(例えば、35000Pa・s以下)、上記加熱・加圧条件により流動性が十分に高くなり、歯布20の隙間(すなわち、歯布の目)を通って、歯布20の表面まで浸み出すこととなる。したがって、本実施形態では、歯表面ゴムシート16’の一部のゴムは、歯布20の隙間に充填され、さらに、歯布20表面に露出することになる。また、ゴムシート16’、11’、12’は加硫一体化されるとともに、ゴムシート11’、12’間に心線が埋設され、ベルトスラブ10’が成型される。ベルトスラブ10’は、歯付きモールド60から取り外され研磨後裁断されることにより、歯付きベルト10(図1参照)となる。
なお、本実施形態では、歯ゴムシート11’は、ゴム付き予成形歯布50に予め取り付けられずに、例えば心線30がゴム付き予成形歯布50上に取り付けられた後に、心線30の上に巻きつけられても良い。ただし、歯ゴムシート11’は、上記したようにゴム付き予成形歯布50に取り付けられていたほうが良い。
図6に示すように、歯ゴム部11と背ゴム部12の間には、心線30が内部に埋設される接着ゴム部19が設けられても良い。接着ゴム部19を形成するためのゴム組成物は、歯ゴム部11、背ゴム部12、及び歯表面ゴム層16を形成するためのゴム組成物と異なることが好ましい。例えば接着ゴム部19は、そのゴム組成物が上記した短繊維を含み、歯ゴム部11、背ゴム部12、及び歯表面ゴム層16よりも、モジュラスが高い。また、例えば、接着ゴム部19を形成するためのゴム組成物の粘度は、歯表面ゴム層16のゴム組成物の粘度よりも高い。接着ゴム部19が設けられる場合、歯付きベルトの製造方法は、心線30の上に、接着ゴムシートが取り付けられる点を除いて上記した製造方法と同様である。
なお、心線30は、接着ゴム部19の内部に完全に埋設されておらず、例えば特開2009−127816号公報に開示されるように、接着ゴム部19の大部分が心線30よりも歯表面側に配置されるとともに、その一部分が背ゴム部12側にはみ出して形成されていても良い。この場合、歯付きベルトの製造方法は、接着ゴムシートが心線30と歯ゴムシート14’の間に取り付けられる点を除いて、上記した製造方法と同様となる。勿論、接着ゴム部が設けられず、歯ゴム部11の一部が、背ゴム部12側にはみ出して形成されていても良い。
以上のように、本実施形態では、歯布20に充填され、かつ歯布20表面に一部が露出するためのゴムとして、ベルト本体13(特に、歯ゴム部11)を構成するゴムとは異なる組成を有する歯表面ゴム層16が設けられる。したがって、ベルト本体13に高強度のゴムを使用しつつ、歯表面ゴム層16に低粘度で歯布20に充填・浸み出しやすいゴムを使用することが可能になる。そのため、ベルト本体13の強度を維持しつつ、歯表面の摩擦係数を低減させ、かつ歯布の接着強度を向上させることができる。また、歯表面ゴム層16は、薄層で形成されるので、低粘度で強度が低いゴムが使用されても、ベルト強度をほとんど低下させることはない。
また、本実施形態では、歯布20は、上記したように予成形されているため、ベルト製造工程においてベルト長手方向に伸びることが抑制される。したがって、歯布20の隙間の大きさが製造工程で変化することが防止され、歯布20全面にわたって歯布20の隙間の大きさを略均一にすることができる。そのため、歯表面ゴムシート16’のゴムが各隙間に均一に充填され、ゴムの歯布表面への浸み出しが歯表面全面にわたって均一に行われる。また、歯表面ゴムシート16’は、歯布20に密着された状態から、加圧・加熱されるので、歯布20の各隙間内部に充填されるゴム量を制御しやすくなる。
以下、本発明の具体的な例として実施例を示すが、本発明は以下に示す実施例に限定されるものではない。
[浸み出し評価]
ゴム成分がフッ素ゴムであって、表1のゴム配合を有する、厚さ3mm、長さ120mm、幅120mmのシート状の未加硫ゴム1〜5それぞれに、隙間長さが異なる歯布1〜7それぞれを、プレス加熱によって加硫接着させることにより、歯布付き加硫ゴムを作製した。プレス条件は、温度160℃、圧力1000kPa、プレス時間20分であった。各歯布付き加硫ゴムにおいて、歯布の隙間にゴムが充填され、かつ歯布表面にゴムが浸み出しているかどうかを以下の評価基準により評価した。その評価結果を表2に示す。
なお、未加硫ゴム1〜5の粘度は表1、2に示す通りであって、また歯布1〜7としては、アラミド繊維のフィラメント糸から成る経糸と、アラミド繊維のフィラメント糸から成る緯糸とが平織りによって織られた織布を用いた。歯布それぞれの糸の太さ及び密度は表3に示す通りであった。歯布1〜7は、ラテックスがNBRであるRFL液に浸漬した後乾燥させることにより、RFL処理を施した。
[評価基準]
○:歯布表面のほぼ全面にゴムの浸み出しが見られた。
△:歯布表面の一部にゴムの浸み出しが見られた。
×:歯布表面にゴムの浸み出しが見られなかった。
Figure 0005340994


※表1において、粘度以外の数値は、重量部を示す。また、“−”は未配合であることを示す。
Figure 0005340994


※表2において、ゴム1〜5の()内は未加硫ゴムの粘度を表すとともに、歯布1〜7の()内は歯布の隙間長さを表す。表2において、粘度の単位は、Pa・sであるとともに、隙間長さの単位はμmである。
Figure 0005340994

次に、表4に示すように、プレス時の温度及び圧力の条件を変更したこと以外は同様にして、上記未加硫ゴム2、3それぞれに、歯布3(隙間長さ30μm)をプレス加熱により加硫接着させて、歯布付き加硫ゴムを作製し、上記評価基準により浸み出し評価を行った。評価結果を表4に示す。
Figure 0005340994

[引き裂き強度]
実施例1〜3として、未加硫ゴム5、4、3それぞれを、単独で温度160℃、圧力1000kPa、プレス時間20分で、プレス加熱して加硫ゴムを作製した。また、比較例1、2それぞれとして、従来ゴム、ゴム1それぞれを用いて同様に加硫ゴムを作製した。なお、従来ゴムは、ゴム成分として水素添加率96%のHNBRを使用したものであった。引裂強さは、JIS K6252に準拠して行い、試験片としては「切込みなしアングル形試験片」を用いた。
[接着強度]
実施例1〜3として、上記シート状の未加硫ゴム5、4、3それぞれに歯布3(隙間長さ30μm)を重ねてプレス加熱によりこれらを加硫接着させて、歯布付き加硫ゴムを作製した。プレス加熱の条件は、温度160℃、圧力1000kPa、プレス時間20分であった。また、比較例1、2それぞれとして、従来ゴム、ゴム1それぞれを用い同様に作製した歯布付き加硫ゴムを作製した。これら実施例1〜3及び比較例1、2の歯布付き加硫ゴムについて、以下のように接着強度を測定した。
図7に示すように、歯布付き加硫ゴム150において、歯布152とゴムシート151を僅かに剥がし、歯布152の端部をチャック161で挟み、ゴムシート151の端部をチャック162で挟み、両者を50mm/分の速度で引っ張りこれらを剥離した。このときの剥離に要する力を接着強度とした。
各実施例、比較例について、接着強度及び引裂強さの結果を表5に示す。なお、表5においては、上記したゴムの浸み出し評価の結果についても併記した。
Figure 0005340994

浸み出し評価試験の結果から明らかなように、歯付きベルトに通常使用される隙間長さ30μmの歯布3を使用した場合、ゴムの粘度を30000Pa・s以下とすることにより、歯布表面のほぼ全面にゴムを浸み出させることが可能になった。
また、引裂強さ及び接着強度の結果から明らかなように、実施例1〜3は、引裂強さが、比較例1、2と同等又はそれ以下であったが、歯布の隙間にゴムを充填させ、かつ歯布表面にゴムを浸み出させることによって、歯布とゴムシートの接着強度を比較例1、2に比べて顕著に向上させることができた。
10 歯付きベルト
11 歯ゴム部
12 背ゴム部
16 歯表面ゴム層
20 歯布

Claims (6)

  1. 一方の面に長手方向に沿って歯部と歯底部が交互に設けられ、第1のゴム組成物が加硫されて形成された歯ゴム部と、
    前記歯ゴム部の一方の面に積層され、前記第1のゴム組成物とは組成が異なる第2のゴム組成物が加硫されて形成された歯表面ゴム層と、
    前記歯表面ゴム層を覆うように設けられる歯布とを備え、
    前記歯表面ゴム層はシート状に前記歯布に沿って配置されるとともに前記歯表面ゴム層の少なくとも一部は、前記歯布の隙間に充填され、前記第2のゴム組成物の粘度が、前記第1のゴム組成物よりも低い
    ことを特徴とする歯付きベルト。
  2. 前記第2のゴム組成物の粘度は、35000Pa・s以下であることを特徴とする請求項に記載の歯付きベルト。
  3. 前記歯布の隙間に充填された前記歯表面ゴム層は、前記歯布表面に露出することを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の歯付きベルト。
  4. 前記歯布の隙間長さが、60μm以下であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の歯付きベルト。
  5. 背ゴム部を形成する第3のゴム組成物が、前記第1及び第2のゴム組成物とは組成が異なり、その粘度は前記第2のゴム組成物よりも高いことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに1項に記載の歯付きベルト。
  6. 歯溝が周方向に複数並べられ、歯形に形成された歯付きモールドに、前記歯形に沿うように予め成形された歯布と、前記歯布に密着しかつ前記歯布に沿うように形成された歯表面ゴムシートとを、この順に配置させるように取り付ける歯布取付工程と、
    前記歯表面ゴムシートの上に心線を巻き付ける心線巻付工程と、
    前記心線の上、又は前記心線と歯表面ゴムシートの間に、前記歯表面ゴムシートとは組成が異なり、ベルトの歯部を形成するためのゴムシートをさらに取り付けるゴムシート取付工程と、
    前記歯表面ゴムシート及び前記ゴムシートを、前記歯付きモールドに向けて加圧するとともに加熱し、前記歯布の隙間の中に前記歯表面ゴムシートの少なくとも一部を充填させるとともに、前記歯表面ゴムシート及び前記ゴムシートを加硫させてベルトスラブを得るベルト成型工程とを備え
    前記歯表面ゴムシートのゴム組成物の粘度が前記歯部を形成するゴムシートのゴム組成物の粘度よりも低い
    ことを特徴とする歯付きベルトの製造方法。
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