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JP5325373B2 - 有機顔料分散液の製造方法、それにより得られる有機顔料分散液、それを用いた着色感光性樹脂組成物および感光性樹脂転写材料、ならびにカラーフィルタおよび液晶表示装置 - Google Patents

有機顔料分散液の製造方法、それにより得られる有機顔料分散液、それを用いた着色感光性樹脂組成物および感光性樹脂転写材料、ならびにカラーフィルタおよび液晶表示装置 Download PDF

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JP5325373B2
JP5325373B2 JP2006129714A JP2006129714A JP5325373B2 JP 5325373 B2 JP5325373 B2 JP 5325373B2 JP 2006129714 A JP2006129714 A JP 2006129714A JP 2006129714 A JP2006129714 A JP 2006129714A JP 5325373 B2 JP5325373 B2 JP 5325373B2
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英明 伊藤
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Description

本発明は、カラーフィルタなどに用いられる有機顔料分散液の製造方法、およびそれにより得られる有機顔料分散液に関し、更に詳しくはそれを用いた着色感光性組成物、感光性樹脂転写材料、ならびにそれらを用いたカラーフィルタ及び液晶表示装置に関する。
近年、粒子を小サイズ化する取り組みが進められている。特に、粉砕法、析出法などでは製造することが困難なナノメートルサイズ(例えば、10〜100nmの範囲)にまで小サイズ化する研究が進められている。さらに、ナノメートルサイズに小サイズ化し、しかも単分散性(本発明において、単分散性とは粒径が揃っている度合いをいう。)の高い粒子とすることが試みられている。
このようなナノメートルサイズの微粒子の大きさは、より大きなバルク粒子や、より小さな分子や原子の中間に位置し、従来にないサイズ領域であり、予想できなかった新たな特性を引き出しうることが指摘されている。しかも、この単分散性を高くできれば、その特性を安定化することも可能であり、このようなナノ粒子のもつ可能性はさまざまな分野で期待され、生化学、新規材料、電子素子、発光表示素子、印刷、医療などの広い分野で研究が盛んになりつつある。
特に、有機化合物からなる有機ナノ粒子は、有機化合物自体が多様性を有するため、機能性材料としてのそのポテンシャルは高い。例えば、ポリイミドは、耐熱性、耐溶剤性、機械的特性など、化学的および機械的に安定な材料であること、電気絶縁性が優れているなどのことから多く分野で利用されている。そしてポリイミドを微粒子化して、ポリイミド有する特性と形状とを組み合わせて、さらに広い分野で利用されるようになってきている。例えば、微粒子化したポリイミドを、画像形成用の粉末トナーの添加剤とすることなどが提案されている(特許文献1)。
また、有機ナノ粒子のなかでも有機顔料についてみると、例えば、塗料、印刷インク、電子写真用トナー、インクジェットインク、カラーフィルタ等を用途として挙げることができる。これらは、今や、生活上欠くことができない重要な化合物となっている。なかでも高性能が要求され、実用上、特に重要なものとして、インクジェットインク用顔料およびカラーフィルタ用顔料が挙げられる。
インクジェット用インクの色材については、従来、染料が用いられてきたが、耐水性や耐光性の面で問題があり、それを改良するために顔料が用いられるようになってきている。顔料インクにより得られた画像は、染料系のインクによる画像に較べて耐光性、耐水性に優れるという利点を有する。しかしながら、紙表面の空隙に染み込むことが可能なナノメートルサイズで単分散性を高くすることは難しく、紙への密着性に劣る。
また、デジタルカメラの高画素化に伴い、CCDセンサーなどの光学素子や表示素子に用いるカラーフィルタの薄層化が望まれている。カラーフィルタには有機顔料が用いられているが、フィルターの厚さは有機顔料の粒子径に大きく依存するため、ナノメートルサイズレベルで、しかも単分散で安定な微粒子の製造が望まれている。
有機粒子の製造方法に関しては、気相法(不活性ガス雰囲気下で試料を昇華させ、粒子を基板上に回収する方法)、液相法(例えば、良溶媒に溶解した試料を撹拌条件や温度を制御した貧溶媒に注入することにより、微粒子を得る再沈法)、レーザーアブレーション法(溶液中に分散させた試料に、レーザーを照射しアブレーションさせることにより粒子を微細化する方法)などが研究されている。また、これらの方法により、所望のサイズで単分散化を試みた製造例が報告されている。中でも液相法は、簡易性および生産性に優れた有機粒子の製造法として注目されている(特許文献2、3など参照)。この液相法で製造した有機粒子は、析出条件を溶媒種、注入速度、温度等で調整することにより結晶形や粒子表面の性質を調整でき、特許文献3には、キナクリドン顔料の結晶形を貧溶媒種によって調整した例が記載されている。
一方、粒子の分散性の改善についてみると、従来有機顔料の分散が各種の分散機(ロールミル、ボールミル、アトライター等)を用いて工業的に行われているが、粒子を微細化することにより粘度が上昇してしまう場合がある。粘度が上昇してしまうと、分散機からの取り出しが困難となったり、パイプラインによる輸送ができなくなったり、更には貯蔵中にゲル化して使用不能となったりする。これらを解決するために、分散を助ける分散剤、分散を安定化させるポリマーの添加が行われているが十分な効果は得られていない(非特許文献1など参照)。
またカラーフィルタ用の有機顔料分散液では、その分散性を高めるため、カラーフィルタの製造に必要なアルカリ現像性と分散安定性との両性質を付与し得るポリマーや顔料分散剤を添加している(例えば、特許文献4参照)。しかしながら、これらの方法では分散に時間がかかり、また粘度が上昇してしまうなどのために、要求を充足するには至っていない。
また、前記液相法によって調製した顔料粒子を用い、分散性を改善した例が報告されている。特許文献5では、液相法によって顔料粒子水分散体を調製した例が記載されている。しかしながら、この方法は、最終的に水性分散体として提供する方法であり、有機溶剤分散体として提供する方法については、何ら言及されていない。
特許文献6では、液相法によって調製した顔料粒子を用い、有機溶剤分散体として提供する例が記載されている。特許文献6では、顔料を塩基性化合物および/または塩基性溶液に溶解させ、ついで液体の中性化合物および/または酸性化合物、または中性液体および/または酸性液体を添加することで、顔料を析出させる方法が記載されている。しかしながら、この手法で得られた有機顔料粒子は、一次粒子径が大きいものになってしまい、微粒子化の要求に、充分に答えられていなかった。
特開平11−237760号公報 特開平6−79168号公報 特開2004−91560号公報 特開2000−239554号公報 特開2004−43776号公報 特開2004−123853号公報 顔料分散技術−表面処理と分散剤の使い方および分散性評価−技術情報協会 1999
本発明は有機顔料分散液の製造方法の提供を目的とし、また凝集を生じない分散安定性の高い有機顔料分散液を分散液中に効率よく製造する方法の提供を目的とする。さらに本発明は、ナノサイズで粒径分布ピークのシャープな有機顔料微粒子を含有する分散液およびその製造方法の提供を目的とし、さらに上記の有機顔料微粒子を用いた着色感光性樹脂組成物および感光性樹脂転写材料の提供を目的とし、さらにまたそれらを用いた高いコントラストを有し優れた表示特性を発揮するカラーフィルタおよび表示装置の提供を目的とする。
上記課題は下記の手段により達成された。
〔1〕良溶媒に溶解した有機顔料の溶液と、前記良溶媒と相溶性でありかつ前記有機顔料に対しては貧溶媒となる溶媒とを混合して、前記有機顔料をナノサイズの微粒子として生成させ有機顔料の分散液を調製し、次いで
前記分散液を濃縮もしくはその溶媒を除去して前記分散液中の有機顔料微粒子を再分散可能なフロックとし、
前記有機顔料微粒子を有機溶媒中に再分散して分散液とするに当たり、前記分散液を濃縮した後に、下記一般式(2)で表される高分子化合物を添加することを特徴とする有機顔料分散液の製造方法。
Figure 0005325373
〔式中、Rは、(x+y)価の連結基を表す。RおよびRは、各々独立に単結合または2価の連結基を表す。Aは、酸性基、塩基性窒素原子を有する基、ウレア基、ウレタン基、配位性酸素原子を有する基、炭素数4以上の炭化水素基、アルコキシシリル基、エポキシ基、イソシアネート基、および水酸基からなる群より選ばれる基を有する1価の有機基、または置換基を有してもよい有機色素構造もしくは複素環を含有する1価の有機基を表す。ただし、x個のAは互いに同一であっても、異なっていてもよい。yは1〜8の数を表し、xは2〜9の数を表し、x+yは3〜10を満たす。Pは高分子骨格を表す。〕
〔2〕前記Aが、酸性基、塩基性窒素原子を有する基、ウレア基、および炭素数4以上の炭化水素基からなる群より選ばれる基を有する1価の有機基であることを特徴とする〔1〕に記載の有機顔料分散液の製造方法。
〔3〕前記Pで表される高分子骨格が、ビニルモノマーの重合体もしくは共重合体、エステル化合物ポリマー、エーテル化合物ポリマー、ウレタン化合物ポリマー、アミド化合物ポリマー、エポキシ化合物ポリマー、シリコーン化合物ポリマー、並びにこれらの変性物及び共重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種に由来するものであることを特徴とする〔1〕または〔2〕に記載の有機顔料分散液の製造方法。
〔4〕前記高分子化合物の重量平均分子量が3000〜100000であることを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の有機顔料分散液の製造方法。
〔5〕前記有機顔料分散液を調製するに当り、いずれかの工程でアミノ基を有する顔料分散剤を共存させることを特徴とする〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の有機顔料分散液の製造方法。
〔6〕前記有機顔料分散液を調製するに当り、一般式(D1)で表される顔料分散剤、一般式(D)で表される顔料分散剤、および下記顔料分散剤Eから選ばれる少なくとも1種を含有させることを特徴とする〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の有機顔料分散液の製造方法。
Figure 0005325373
(一般式(I)中、Aは、X−Yとともにアゾ色素を形成しうる成分を表す。Xは単結合又は下記式(i)〜(v)の構造式のいずれかで表される二価の連結基から選択される基を表す。Yは下記一般式(D2)で表される基を表し、あるいはnが1の場合−NH−X−Qでもよい。)
Figure 0005325373
Figure 0005325373
(一般式(D2)中、Zは低級アルキレン基を表す。−NR21は、低級アルキルアミノ基又は窒素原子を含む5乃至6員飽和ヘテロ環を表す。aは1又は2を表す。)
Figure 0005325373
(一般式(D3)中、Qはアントラキノン化合物色素、アゾ化合物色素、フタロシアニン化合物色素、キナクリドン化合物色素、ジオキサジン化合物色素、アントラピリミジン化合物色素、アンサンスロン化合物色素、インダンスロン化合物色素、フラバンスロン化合物色素、ピランスロン化合物色素、ペリノン化合物色素、ペリレン化合物色素、及びチオインジゴ化合物色素から選ばれる有機色素残基を表す。Xは−CONH−Y−、−SONH−Y−、又は−CHNHCOCHNH−Y−を表し、Yは置換基を有してもよいアルキレン基又はアリーレン基を表す。R11およびR12はそれぞれ独立に置換もしくは無置換のアルキル基またはR11とR12とで少なくとも窒素原子を含むヘテロ環を形成してもよい。Yは−NH−又は−O−を表し、Zは水酸基又は一般式(D3a)で表される基を表し、あるいはn1が1の場合−NH−X−Qでもよい。m1は1〜6の整数を表し、n1は1〜4の整数を表す。)
Figure 0005325373
(一般式(D3a)中、Yは−NH−又は−O−を表し、m1、R11、およびR12は一般式(D3)と同じである。)
[顔料分散剤E:(i)末端にエチレン性不飽和二重結合を有する重合性オリゴマーと、(ii)窒素原子とエチレン性不飽和二重結合とを有する窒素含有モノマーと、(iii)エーテル基を有する重合性モノマーとを共重合体単位として含むグラフト共重合体からなる顔料分散剤であって、
前記重合性オリゴマー(i)が、下記一般式(E6)で表され、
Figure 0005325373
(一般式(E6)において、R 61 及びR 63 は水素原子又はメチル基を表す。R 62 は、炭素数1〜8のアルコール性水酸基で置換されてもよいアルキレン基を表す。Y は、フェニル基、炭素数1〜4のアルキル基を有するフェニル基、又は−COOR 64 (ここで、R 64 は、炭素数1〜6のアルコール性水酸基、ハロゲンで置換されてもよいアルキル基、フェニル基、又は炭素数7〜10のアリールアルキル基を表す。)を表す。qは、20〜200を表す。)
前記窒素含有モノマー(ii)が下記一般式(E2)で表され、
Figure 0005325373
(前記一般式(E2)において、R 21 は、水素原子又はメチル基を表す。R 22 は、炭素数1〜8のアルキレン基を表す。X は、−N(R 23 )(R 24 )または−R 25 N(R 26 )(R 27 )を表す。ここで、R 23 及びR 24 は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基を表す。R 25 は、炭素数1〜6のアルキレン基を表し、R 26 及びR 27 は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基を表す。m2及びn2は0又は1を表す。)
前記重合性モノマー(iii)が下記一般式(E1)で表される。
Figure 0005325373
(前記一般式(E1)において、R 11 は、水素原子又はメチル基を表す。R 12 は、炭素数1〜8のアルキレン基を表す。X は、−OR 13 又は−OCOR 14 を表す。ここで、R 13 は、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、フェニル基、又は炭素数1〜18のアルキル基で置換されたフェニル基を表す。R 14 は、炭素数1〜18のアルキル基を表す。m3は2〜200を表す。)]
〔7〕前記有機顔料の貧溶媒が、水性溶媒、アルコール化合物溶媒、ケトン化合物溶媒、エーテル化合物溶媒、エステル化合物溶媒、またはこれらの混合物であることを特徴とする〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の有機顔料分散液の製造方法。
〔8〕前記有機顔料の良溶媒が、水性溶媒、アルコール化合物溶媒、ケトン化合物溶媒、エーテル化合物溶媒、スルホキシド化合物溶媒、エステル化合物溶媒、アミド化合物溶媒、またはこれらの混合物であることを特徴とする〔1〕〜〔7〕のいずれか1項に記載の有機顔料分散液の製造方法。
〔9〕前記有機顔料がピロロピロール化合物顔料であることを特徴とする〔1〕〜〔8〕のいずれか1項9に記載の有機顔料分散液の製造方法。
〔10〕前記ピロロピロール化合物顔料が下記式(V)で表される顔料であることを特徴とする〔9〕に記載の有機顔料分散液の製造方法。
Figure 0005325373
〔11〕前記ピロロピロール化合物顔料が下記式(Z)で表される顔料であることを特徴とする〔9〕に記載の有機顔料分散液の製造方法。
Figure 0005325373
〔12〕前記ピロロピロール化合物顔料が下記式(W)で表される顔料であることを特徴とする〔9〕に記載の有機顔料分散液の製造方法。
Figure 0005325373
〔13〕前記有機顔料がジオキサジン化合物顔料であることを特徴とする〔1〕〜〔8〕のいずれか1項に記載の有機顔料分散液の製造方法。
〔14〕前記ジオキサジン化合物顔料がC.I.ピグメント・バイオレット37である〔13〕に記載の有機顔料分散液の製造方法。
〔15〕前記ジオキサジン化合物顔料がC.I.ピグメント・バイオレット23である〔13〕に記載の有機顔料分散液の製造方法。
〔16〕前記有機顔料溶液と貧溶媒とを混合して有機顔料分散液を生成させるに当り、前記貧溶媒が10L以上のスケールで有機顔料微粒子を生成させることを特徴とする〔1〕〜〔15〕のいずれか1項に記載の有機顔料分散液の製造方法。
〔17〕前記顔料微粒子の平均粒径を1nm〜1μmとする〔1〕〜〔16〕のいずれか1項に記載の有機顔料分散液の製造方法。
〔18〕前記有機顔料分散液の濃縮倍率を100〜3000倍程度とする〔1〕〜〔17〕のいずれか1項に記載の有機顔料分散液の製造方法。
〔19〕前記有機微粒子100質量部に対して、前記高分子化合物を0.1〜1000質量部で含有させる〔1〕〜〔18〕のいずれか1項に記載の有機顔料分散液の製造方法。
〔20〕前記有機微粒子100質量部に対して、前記顔料分散剤を0.1〜1000質量部で含有させる〔1〕〜〔19〕のいずれか1項に記載の有機顔料分散液の製造方法。
〔21〕〔1〕〜〔20〕のいずれか1項に記載の方法で製造された、有機顔料微粒子と前記式(2)で表される高分子化合物とを有機溶媒中に含有する有機顔料分散液。
〔22〕前記顔料微粒子の平均粒径を1nm〜1μmとした〔21〕に記載の有機顔料分散液。
〔23〕前記有機微粒子の濃度が3〜90質量%である〔21〕または〔22〕に記載の有機顔料分散液。
〔24〕前記有機微粒子100質量部に対して、前記高分子化合物を0.1〜1000質量部で含有させた〔21〕〜〔23〕のいずれか1項に記載の有機顔料分散液。
〔25〕前記有機微粒子100質量部に対して、前記顔料分散剤を0.1〜1000質量部で含有させる〔21〕〜〔24〕のいずれか1項に記載の有機顔料分散液。
〔26〕〔21〕〜〔25〕のいずれか1項に記載の有機顔料分散液中の有機顔料微粒子と、バインダーと、モノマーもしくはオリゴマーと、光重合開始剤もしくは光重合開始剤系とを少なくとも含む着色感光性樹脂組成物。
〔27〕仮支持体上に、少なくとも、〔26〕に記載の着色感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂層を設けたことを特徴とする感光性樹脂転写材料。
〔28〕〔26〕に記載の着色感光性樹脂組成物及び/又は〔27〕に記載の感光性樹脂転写材料を用いたことを特徴とするカラーフィルタ。
〔29〕〔28〕に記載のカラーフィルタを備えたことを特徴とする液晶表示装置。
本発明の製造方法によればナノメートルサイズにまで微細化した有機顔料微粒子の分散液を効率よく得ることができ、さらにはナノサイズでしかも単分散性の高い有機顔料微粒子の分散液を得ることができる。また本発明の製造方法によれば、再沈法により有機顔料微粒子分散液を調製するに当り、濃縮して有機顔料微粒子を得た後、濃縮液中の凝集粒子であっても効率よく分散化ることができる。さらにまた、本発明の製造方法によればカラーフィルター塗布液やインクジェット用インクに適した有機顔料微粒子およびその分散液を工業的規模で生産することができる。また、本発明の有機顔料微粒子を用いたカラーフィルタは目的の色純度と高いコントラストとを有し、耐候性にも優れ、その液晶表示装置は黒のしまり、再現性が良好となり表示ムラも改善できるという優れた効果を奏する。
以下、本発明の有機ナノ粒子の製造方法について説明する。
[有機材料]
本発明の製造方法に用いられる有機材料は、有機顔料である。また、有機粒子は、単独で用いても、複数であっても、これらを組み合わせたものであってもよい。
有機顔料は、色相的に限定されるものではなく、例えば、ペリレン、ペリノン、キナクリドン、キナクリドンキノン、アントラキノン、アントアントロン、ベンズイミダゾロン、ジスアゾ縮合、ジスアゾ、アゾ、インダントロン、フタロシアニン、トリアリールカルボニウム、ジオキサジン、アミノアントラキノン、ジケトピロロピロール、チオインジゴ、イソインドリン、イソインドリノン、ピラントロンもしくはイソビオラントロン化合物顔料、またはそれらの混合物などが挙げられる。
更に詳しくは、たとえば、C.I.ピグメントレッド190(C.I.番号71140)、C.I.ピグメントレッド224(C.I.番号71127)、C.I.ピグメントバイオレット29(C.I.番号71129)等のペリレン化合物顔料、C.I.ピグメントオレンジ43(C.I.番号71105)、もしくはC.I.ピグメントレッド194(C.I.番号71100)等のペリノン化合物顔料、C.I.ピグメントバイオレット19(C.I.番号73900)、C.I.ピグメントバイオレット42、C.I.ピグメントレッド122(C.I.番号73915)、C.I.ピグメントレッド192、C.I.ピグメントレッド202(C.I.番号73907)、C.I.ピグメントレッド207(C.I.番号73900、73906)、もしくはC.I.ピグメントレッド209(C.I.番号73905)のキナクリドン化合物顔料、C.I.ピグメントレッド206(C.I.番号73900/73920)、C.I.ピグメントオレンジ48(C.I.番号73900/73920)、もしくはC.I.ピグメントオレンジ49(C.I.番号73900/73920)等のキナクリドンキノン化合物顔料、C.I.ピグメントイエロー147(C.I.番号60645)等のアントラキノン化合物顔料、C.I.ピグメントレッド168(C.I.番号59300)等のアントアントロン化合物顔料、C.I.ピグメントブラウン25(C.I.番号12510)、C.I.ピグメントバイオレット32(C.I.番号12517)、C.I.ピグメントイエロー180(C.I.番号21290)、C.I.ピグメントイエロー181(C.I.番号11777)、C.I.ピグメントオレンジ62(C.I.番号11775)、もしくはC.I.ピグメントレッド185(C.I.番号12516)等のベンズイミダゾロン化合物顔料、C.I.ピグメントイエロー93(C.I.番号20710)、C.I.ピグメントイエロー94(C.I.番号20038)、C.I.ピグメントイエロー95(C.I.番号20034)、C.I.ピグメントイエロー128(C.I.番号20037)、C.I.ピグメントイエロー166(C.I.番号20035)、C.I.ピグメントオレンジ34(C.I.番号21115)、C.I.ピグメントオレンジ13(C.I.番号21110)、C.I.ピグメントオレンジ31(C.I.番号20050)、C.I.ピグメントレッド144(C.I.番号20735)、C.I.ピグメントレッド166(C.I.番号20730)、C.I.ピグメントレッド220(C.I.番号20055)、C.I.ピグメントレッド221(C.I.番号20065)、C.I.ピグメントレッド242(C.I.番号20067)、C.I.ピグメントレッド248、C.I.ピグメントレッド262、もしくはC.I.ピグメントブラウン23(C.I.番号20060)等のジスアゾ縮合化合物顔料、C.I.ピグメントイエロー13(C.I.番号21100)、C.I.ピグメントイエロー83(C.I.番号21108)、もしくはC.I.ピグメントイエロー188(C.I.番号21094)等のジスアゾ化合物顔料、C.I.ピグメントレッド187(C.I.番号12486)、C.I.ピグメントレッド170(C.I.番号12475)、C.I.ピグメントイエロー74(C.I.番号11714)、C.I.ピグメントイエロー150(C.I.番号48545)、C.I.ピグメントレッド48(C.I.番号15865)、C.I.ピグメントレッド53(C.I.番号15585)、C.I.ピグメントオレンジ64(C.I.番号12760)、もしくはC.I.ピグメントレッド247(C.I.番号15915)等のアゾ化合物顔料、C.I.ピグメントブルー60(C.I.番号69800)等のインダントロン化合物顔料、C.I.ピグメントグリーン7(C.I.番号74260)、C.I.ピグメントグリーン36(C.I.番号74265)、ピグメントグリーン37(C.I.番号74255)、ピグメントブルー16(C.I.番号74100)、C.I.ピグメントブルー75(C.I.番号74160:2)、もしくは15(C.I.番号74160)等のフタロシアニン化合物顔料、C.I.ピグメントブルー56(C.I.番号42800)、もしくはC.I.ピグメントブルー61(C.I.番号42765:1)等のトリアリールカルボニウム化合物顔料、C.I.ピグメントバイオレット23(C.I.番号51319)、もしくはC.I.ピグメントバイオレット37(C.I.番号51345)等のジオキサジン化合物顔料、C.I.ピグメントレッド177(C.I.番号65300)等のアミノアントラキノン化合物顔料、C.I.ピグメントレッド254(C.I.番号56110)、C.I.ピグメントレッド255(C.I.番号561050)、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド272(C.I.番号561150)、C.I.ピグメントオレンジ71、もしくはC.I.ピグメントオレンジ73等のジケトピロロピロール化合物顔料、C.I.ピグメントレッド88(C.I.番号73312)等のチオインジゴ化合物顔料、C.I.ピグメントイエロー139(C.I.番号56298)、C.I.ピグメントオレンジ66(C.I.番号48210)等のイソインドリン化合物顔料、C.I.ピグメントイエロー109(C.I.番号56284)、もしくはC.I.ピグメントオレンジ61(C.I.番号11295)等のイソインドリノン化合物顔料、C.I.ピグメントオレンジ40(C.I.番号59700)、もしくはC.I.ピグメントレッド216(C.I.番号59710)等のピラントロン化合物顔料、またはC.I.ピグメントバイオレット31(60010)等のイソビオラントロン化合物顔料が挙げられる。なかでも、キナクリドン化合物顔料、ジケトピロロピロール化合物顔料、ジオキサジン化合物顔料、フタロシアニン化合物顔料、またはアゾ化合物顔料であることが好ましく、ジケトピロロピロール化合物顔料又はジオキサジン化合物顔料がより好ましい。
以下、ジケトピロロピロール化合物顔料又はジオキサジン化合物顔料についてさらに詳しく説明する。
C.I.P.R.254、255、264に代表されるピロロピロール化合物顔料は、カラーフィルタを構成する赤画素の色純度を高めるのに適した吸収域を有し、色再現域を広げられるため、そのカラーフィルタへの利用が試みられている。しかしながら従来の顔料では、色純度やコントラスト等、要求に応えられていない。例えば特開2003−336001号公報に記載されているインクジェット用インク、ビーズ分散やソルトミリングによる方法で得たものなどでは良好なカラーフィルタは得られない。
本発明の製造方法によれば、ナノサイズのピロロピロール化合物顔料微粒子を粒径分布がシャープな状態で得ることができる。また、その顔料微粒子をカラーフィルタに用いたとき、所望の色純度と高いコントラストを両立でき、しかも耐光性に優れ、また折出物の発生を抑えることができる。そしてそのカラーフィルタを備えた液晶表示装置は、黒のしまりおよび赤の描写力に優れ、表示ムラが抑えられる。
上記ジケトピロロピロール化合物顔料においては、中でもC.I.P.R.254(下記式(Z)で表される化合物)、255(下記式(W)で表される化合物)、264(下記式(V)で表される化合物)が好ましく、C.I.P.R.254が吸収スペクトルの観点でより好ましい。なお、C.I.P.R.254としては、Irgaphor Red B−CF、 Cromophtal DPP Red BO、 Irgazin DPP Red BO、 Microlen DPP RED BP など市販されているあらゆるものを用いることが可能である。C.I.P.R.255としては、 Cromophtal Coral Red C、 Irgazin DPP Red 5Gなどを用いることができる。C.I.P.R.264としては、Hostapeperm Rubin D3B LP2615、 Irgazin DPP Rubin TR などを用いることができる。
Figure 0005325373
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次にジオキサジン化合物顔料について説明する。近年カラーフィルタ青画素の着色剤として、C.I.P.B.15:6が多用されるようになり、これによりカラーフィルタの色純度が高くなってきた。しかし、液晶表示装置に多用されている光源である冷陰極管などの光源は、青の発光ピークの長波側にも少し発光があり、これにより色度がNTSCに劣るものとなっていた。
この問題は、C.I.P.V.23、37に代表されるジオキサジン化合物顔料を(例えば5%程度)添加する事で改善することができる。そしてこの高い色純度のカラーフィルタで、コントラストを改善し、表示特性を更に向上させることが考えられるものの、従来のビース分散法やソルトミリング法では満足な結果が得られない。
これに対し、本発明の製造方法によれば、ジオキサジン化合物顔料を粒径分布がそろったナノサイズの顔料として得ることができる。そしてそのジオキサジン化合物顔料微粒子含有する分散液を経時安定性に優れたものとすることができる。そのため、それ用いたカラーフィルタは、高い色純度と高いコントラストを両立でき、しかも耐光性に優れる。またそのカラーフィルタを備えた液晶表示装置は、黒のしまりおよび青の描写、再現性に優れ、表示ムラが抑えられる。なお、C.I.P.V.23としては、Cromofine Violet RE、 FastgenSuper Violet BBL、 Helio Fast Violet EB、 Microlith Violet RL−WA、Sanyo Fast Violet BLDなど市販されているあらゆるものを用いることが可能である。C.I.P.V.37としては、Cromophtal Violet B、Microlith Violet B−Aなど市販されているあらゆるものを用いることが可能である。
本発明の有機ナノ粒子の製造方法においては、2種類以上の有機顔料または有機顔料の固溶体を組み合わせて用いることもできる。
[有機粒子の生成]
次に、有機粒子の生成方法について説明する。
本発明において、有機顔料微粒子(以下、「有機ナノ粒子」と呼ぶことがある。)は、有機顔料を良溶媒に溶解した有機材料溶液と、前記良溶媒に対しては相溶性を有し、有機顔料に対しては貧溶媒となる溶媒(以下、この溶媒を[有機顔料の貧溶媒]ともいい、あるいは単に[貧溶媒]ということもある。)とを混合することにより生成させる(以下、この方法を「再沈法」ということもあり、このとき得られる有機ナノ粒子を含有する分散液を「有機粒子再沈液」ということもある。)。
有機顔料(以下、「有機材料」と呼ぶことがある。)の貧溶媒は、有機顔料を溶解する良溶媒と相溶するもしくは均一に混ざるものであれば特に限定されない。有機顔料の貧溶媒としては、有機顔料の溶解度が0.02質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以下であることがより好ましい。有機顔料の貧溶媒への溶解度にとくに下限はないが、通常用いられる有機顔料を考慮すると0.000001質量%以上が実際的である。この溶解度は酸またはアルカリの存在下で溶解された場合の溶解度であってもよい。また、良溶媒と貧溶媒との相溶性もしくは均一混合性は、良溶媒の貧溶媒に対する溶解量が30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。良溶媒の貧溶媒に対する溶解量に特に上限はないが、任意の割合で混じり合うことが実際的である。
貧溶媒としては、例えば、水性溶媒(例えば、水、または塩酸、水酸化ナトリウム水溶液)、アルコール化合物溶媒、ケトン化合物溶媒、エーテル化合物溶媒、芳香族化合物溶媒、二硫化炭素溶媒、脂肪族化合物溶媒、ニトリル化合物溶媒、ハロゲン化合物溶媒、エステル化合物溶媒、イオン性液体、これらの混合溶媒などが挙げられ、水性溶媒、アルコール化合物溶媒、ケトン化合物溶媒、エーテル化合物溶媒、エステル化合物溶媒、またはこれらの混合物がこの好ましく、水性溶媒、アルコール化合物溶媒またはエステル化合物溶媒がより好ましい。
アルコール化合物溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、1−メトキシ−2−プロパノールなどが挙げられる。ケトン化合物溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンが挙げられる。エーテル化合物溶媒としては、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどが挙げられる。芳香族化合物溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエンなどが挙げられる。脂肪族化合物溶媒としては、例えば、ヘキサンなどが挙げられる。ニトリル化合物溶媒としては、例えば、アセトニトリルなどが挙げられる。ハロゲン化合物溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、トリクロロエチレンなどが挙げられる。エステル化合物溶媒としては、例えば、酢酸エチル、乳酸エチル、2−(1−メトキシ)プロピルアセテートなどが挙げられる。イオン性液体としては、例えば、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムとPF との塩などが挙げられる。
次に、有機材料を溶解する良溶媒について説明する。
良溶媒は用いる有機材料を溶解することが可能で、前記貧溶媒と相溶するもしくは均一に混ざるものであれば特に限定されない。有機材料の良溶媒への溶解性は有機材料の溶解度が0.2質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましい。有機材料の良溶媒への溶解度に特に上限はないが、通常用いられる有機材料を考慮すると50質量%以下であることが実際的である。この溶解度は酸またはアルカリの存在下で溶解された場合の溶解度であってもよい。貧溶媒と良溶媒との相溶性もしくは均一混合性の好ましい範囲は前述のとおりである。
良溶媒としては、例えば、水性溶媒(例えば、水、または塩酸、水酸化ナトリウム水溶液)、アルコール化合物溶媒、アミド化合物溶媒、ケトン化合物溶媒、エーテル化合物溶媒、芳香族化合物溶媒、二硫化炭素溶媒、脂肪族化合物溶媒、ニトリル化合物溶媒、スルホキシド化合物溶媒、ハロゲン化合物溶媒、エステル化合物溶媒、イオン性液体、これらの混合溶媒などが挙げられ、水性溶媒、アルコール化合物溶媒、ケトン化合物溶媒、エーテル化合物溶媒、スルホキシド化合物溶媒、エステル化合物溶媒、アミド化合物溶媒、またはこれらの混合物が好ましく、水性溶媒、アルコール化合物溶媒、エステル化合物溶媒、スルホキシド化合物溶媒またはアミド化合物溶媒が好ましく、水性溶媒、スルホキシド化合物溶媒またはアミド化合物溶媒がさらに好ましく、スルホキシド化合物溶媒またはアミド化合物溶媒が特に好ましい。
スルホキシド化合物溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキド、ヘキサメチレンスルホキシド、スルホランなどが挙げられる。アミド化合物溶媒としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、1−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、2−ピロリジノン、ε−カプロラクタム、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルプロパンアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミドなどが挙げられる。
また、良溶媒に有機材料を溶解した有機材料溶液の濃度としては、溶解時の条件における有機材料の良溶媒に対する飽和濃度乃至これの1/100程度の範囲が好ましい。
有機材料溶液の調製条件に特に制限はなく、常圧から亜臨界、超臨界条件の範囲を選択できる。常圧での温度は−10〜150℃が好ましく、−5〜130℃がより好ましく、0〜100℃が特に好ましい。
本発明において有機材料は、良溶媒中に均一に溶解されなければならないが、酸性でもしくはアルカリ性で溶解することも好ましい。一般に分子内にアルカリ性で解離可能な基を有する顔料の場合はアルカリ性が、アルカリ性で解離する基が存在せず、プロトンが付加しやすい窒素原子を分子内に多く有するときは酸性が用いられる。例えば、キナクリドン、ジケトピロロピロール、ジスアゾ縮合化合物顔料はアルカリ性で、フタロシアニン化合物顔料は酸性で溶解される。
アルカリ性で溶解させる場合に用いられる塩基は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、もしくは水酸化バリウムなどの無機塩基、またはトリアルキルアミン、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、金属アルコキシドなどの有機塩基であるが、好ましくは無機塩基である。
使用される塩基の量は、顔料を均一に溶解可能な量であり、特に限定されないが、無機塩基の場合、好ましくは有機材料に対して1.0〜30モル当量であり、より好ましくは1.0〜25モル当量であり、さらに好ましくは1.0〜20モル当量である。有機塩基の場合、好ましくは有機材料に対して1.0〜100モル当量であり、より好ましくは5.0〜100モル当量であり、さらに好ましくは20〜100モル当量である。
酸性で溶解させる場合に用いられる酸は、硫酸、塩酸、もしくは燐酸などの無機酸、または酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、メタンスルホン酸、もしくはトリフルオロメタンスルホン酸などの有機酸であるが好ましくは無機酸である。特に好ましくは硫酸である。
使用される酸の量は、有機材料を均一に溶解可能な量であり、特に限定されないが、塩基に比べて過剰量用いられる場合が多い。無機酸および有機酸の場合を問わず、好ましくは有機材料に対して3〜500モル当量であり、より好ましくは10〜500モル当量であり、さらに好ましくは30〜200モル当量である。
アルカリまたは酸を有機溶媒と混合して、有機材料の良溶媒として用いる際は、アルカリまたは酸を完全に溶解させるため、若干の水や低級アルコールなどのアルカリまたは酸に対して高い溶解度をもつ溶剤を、有機溶媒に添加することができる。水や低級アルコールの量は、有機材料溶液全量に対して、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。具体的には、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ブチルアルコールなどを用いることができる。
有機粒子作製時、すなわち有機粒子を析出し、形成する際の貧溶媒の条件に特に制限はなく、常圧から亜臨界、超臨界条件の範囲を選択できる。常圧での温度は−30〜100℃が好ましく、−10〜60℃がより好ましく、0〜30℃が特に好ましい。
有機材料溶液と貧溶媒とを混合する際、両者のどちらを添加して混合してもよいが、有機材料溶液を貧溶媒に添加して混合することが好ましく、その際に貧溶媒が撹拌された状態であることが好ましい。撹拌速度は100〜10000rpmが好ましく150〜8000rpmがより好ましく、200〜6000rpmが特に好ましい。添加にはポンプ等を用いることもできるし、用いなくてもよい。また、液中添加でも液外添加でもよいが、液中添加がより好ましい。
有機材料溶液と貧溶媒の混合比(有機粒子再沈液中の良溶媒/貧溶媒比)は体積比で1/50〜2/3が好ましく、1/40〜1/2がより好ましく、1/20〜3/8が特に好ましい。
有機粒子再沈液の濃度は有機粒子を生成することができれば特に制限されないが、分散溶媒1000mlに対して有機粒子が10〜40000mgの範囲であることが好ましく、より好ましくは20〜30000mgの範囲であり、特に好ましくは50〜25000mgの範囲である。
また、有機ナノ粒子を生成させる際の調製スケールは、特に限定されないが、貧溶媒の混合量が10〜2000Lの調製スケールであることが好ましく、50〜1000Lの調製スケールであることがより好ましい。
有機粒子の粒径に関しては、計測法により数値化して集団の平均の大きさを表現する方法があるが、よく使用されるものとして、分布の最大値を示すモード径、積分分布曲線の中央値に相当するメジアン径、各種の平均径(数平均、長さ平均、面積平均、重量平均、体積平均等)などがあり、本発明においては、特に断りのない限り、平均粒径とは数平均径をいう。有機粒子(一次粒子)の平均粒径はナノメートルサイズであり、平均粒径が1nm〜1μmであることが好ましく、1〜200nmであることがより好ましく、2〜100nmであることがさらに好ましく、5〜80nmであることが特に好ましい。なお本発明の製造方法で形成される粒子は結晶質粒子でも非晶質粒子でもよく、またはこれらの混合物でもよい。
また、粒子の単分散性を表す指標として、本発明においては、特に断りのない限り、体積平均粒径(Mv)と数平均粒径(Mn)の比(Mv/Mn)を用いる。有機粒子の濃縮方法に用いられる有機粒子分散液に含まれる粒子(一次粒子)の単分散性、つまりMv/Mnは、1.0〜2.0であることが好ましく、1.0〜1.8であることがより好ましく、1.0〜1.5であることが特に好ましい。
有機粒子の粒径の測定方法としては、顕微鏡法、重量法、光散乱法、光遮断法、電気抵抗法、音響法、動的光散乱法が挙げられ、顕微鏡法、動的光散乱法が特に好ましい。顕微鏡法に用いられる顕微鏡としては、例えば、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡などが挙げられる。動的光散乱法による粒子測定装置として、例えば、日機装社製ナノトラックUPA−EX150、大塚電子社製ダイナミック光散乱光度計DLS−7000シリーズなどが挙げられる。
[分散剤]
本発明の有機ナノ粒子の製造方法では、有機ナノ粒子分散液を調製するに当り、分散剤を含有させることが好ましい。分散剤を含有させる工程は特に限定されないが、有機材料溶液および貧溶媒の両方もしくは一方に分散剤を添加して含有させることが好ましい。また、分散剤溶液を上記両液とは別系統で有機ナノ粒子形成時に添加することも好ましい。予め分散剤により表面処理を施された顔料粒子を用いることも好ましく、顔料粒子には分散剤の吸着を促進し得るような表面処理が施されていてもよい。分散剤は(1)析出した顔料表面に素早く吸着して、微細なナノ粒子を形成し、かつ(2)これらの粒子が再び凝集することを防ぐ作用を有するものである。
用いることのできる分散剤として、例えば、アニオン性、カチオン性、両イオン性、ノニオン性もしくは顔料誘導体の、低分子または高分子分散剤を使用することができる。なお、高分子分散剤の分子量は溶液に均一に溶解できるものであれば制限なく用いることができるが、好ましくは分子量1,000〜2,000,000であり、5,000〜1,000,000がより好ましく、10,000〜500,000がさらに好ましく、10,000〜100,000が特に好ましい。高分子分散剤としては、具体的には、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアクリルアミド、ビニルアルコール−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール−部分ホルマール化物、ポリビニルアルコール−部分ブチラール化物、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロック共重合体、ポリアクリル酸塩、ポリビニル硫酸塩、ポリ(4−ビニルピリジン)塩、ポリアミド、ポリアリルアミン塩、縮合ナフタレンスルホン酸塩、セルロース誘導体、澱粉誘導体などが挙げられる。その他、アルギン酸塩、ゼラチン、アルブミン、カゼイン、アラビアゴム、トンガントゴム、リグニンスルホン酸塩などの天然高分子類も使用できる。なかでも、ポリビニルピロリドンが好ましい。これら高分子は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの分散剤は、単独あるいは併用して使用することができる。顔料の分散に用いる分散剤に関しては、「顔料分散安定化と表面処理技術・評価」(化学情報協会、2001年12月発行)の29〜46頁に詳しく記載されている。
アニオン性分散剤(アニオン性界面活性剤)としては、N−アシル−N−アルキルタウリン塩、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等を挙げることができる。なかでも、N−アシル−N−アルキルタウリン塩が好ましい。N−アシル−N−アルキルタウリン塩としては、特開平3−273067号明細書に記載されているものが好ましい。これらアニオン性分散剤は、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
カチオン性分散剤(カチオン性界面活性剤)には、四級アンモニウム塩、アルコキシル化ポリアミン、脂肪族アミンポリグリコールエーテル、脂肪族アミン、脂肪族アミンと脂肪族アルコールから誘導されるジアミンおよびポリアミン、脂肪酸から誘導されるイミダゾリンおよびこれらのカチオン性物質の塩が含まれる。これらカチオン性分散剤は、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
両イオン性分散剤は、前記アニオン性分散剤が分子内に有するアニオン基部分とカチオン性分散剤が分子内に有するカチオン基部分を共に分子内に有する分散剤である。
ノニオン性分散剤(ノニオン性界面活性剤)としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステルなどを挙げることができる。なかでも、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルが好ましい。これらノニオン性分散剤は、単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
顔料誘導体型分散剤とは、親物質としての有機顔料から誘導され、その親構造を化学修飾することで製造される顔料誘導体型分散剤、あるいは化学修飾された顔料前駆体の顔料化反応により得られる顔料誘導体型分散剤と定義する。例えば、糖含有顔料誘導体型分散剤、ピペリジル含有顔料誘導体型分散剤、ナフタレンまたはペリレン誘導顔料誘導体型分散剤、メチレン基を介して顔料親構造に連結された官能基を有する顔料誘導体型分散剤、ポリマーで化学修飾された顔料親構造、スルホン酸基を有する顔料誘導体型分散剤、スルホンアミド基を有する顔料誘導体型分散剤、エーテル基を有する顔料誘導体型分散剤、あるいはカルボン酸基、カルボン酸エステル基またはカルボキサミド基を有する顔料誘導体型分散剤などがある。
本発明の製造方法においては、良溶媒に溶解させた有機材料溶液を調製する際、アミノ基を含有する顔料分散剤を共存させることが好ましい。ここで、アミノ基とは一級アミノ基、二級アミノ基、三級アミノ基を含み、アミノ基の数は一つでも複数でもよい。顔料骨格にアミノ基を有する置換基を導入した顔料誘導体化合物でも、アミノ基を有するモノマーを重合成分としたポリマー化合物でもよい。これらの例として、例えば、特開2000−239554号公報、2003−96329号公報、2001−31885号公報、特開平10−339949号公報、特公平5−72943号公報に記載の化合物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の製造方法に用いられるアミノ基を有する分散剤としては、それに限定されるものではないが、下記の一般式(D1)、(D3)、および式(D4)で表される化合物から選ばれる少なくとも一種を用いることができる。
<1.一般式(D1)で表される化合物>
Figure 0005325373
一般式(D1)中、AはX−Yとともにアゾ色素を形成しうる成分を表す。前記Aは、ジアゾニウム化合物とカップリングしてアゾ色素を形成しうる化合物であれば任意に選択することができる。前記Aの具体例を以下に示すが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
Figure 0005325373
Figure 0005325373
一般式(D1)中、Xは単結合又は下記式(i)〜(v)の構造式で表される二価の連結基から選択される基を表す。
Figure 0005325373
一般式(D1)中、Yは下記一般式(D2)で表される基を表す。
Figure 0005325373
一般式(D2)中、Zは、低級アルキレン基を表す。Zは、−(CH−と表されるが、該bは1〜5の整数を表し、好ましくは2又は3を表す。一般式(D2)中、−NR21は、低級アルキルアミノ基、又は窒素原子を含む5乃至6員飽和ヘテロ環基を表す。該−NR21は、低級アルキルアミノ基を表す場合、−N(C2r+1と表され、rは1〜4の整数を表し、好ましくは1又は2を表す。−NR21が、窒素原子を含む5乃至6員飽和ヘテロ環基を表す場合、下記構造式で表されるいずれかのヘテロ環基が好ましい。
Figure 0005325373
前記一般式(D2)における、Z及び−NR21は、それぞれ、低級アルキル基、アルコキシ基を置換基として有していてもよい。前記一般式(D2)中、aは、1又は2を表し、好ましくは2を表す。
以下に、前記一般式(D1)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらの具体例に何ら限定されるものではない。
Figure 0005325373
Figure 0005325373
Figure 0005325373
Figure 0005325373
一般式(D1)で表される化合物は例えば特開2000−239554号公報に記載された方法により合成することができる。
<2.一般式(D3)で表される化合物>
Figure 0005325373
一般式(D3)中、
Qは、アントラキノン化合物色素、アゾ化合物色素、フタロシアニン化合物色素、キナクリドン化合物色素、ジオキサジン化合物色素、アントラピリミジン化合物色素、アンサンスロン化合物色素、インダンスロン化合物色素、フラバンスロン化合物色素、ピランスロン化合物色素、ペリノン化合物色素、ペリレン化合物色素、及びチオインジゴ化合物色素から選ばれる有機色素残基を表し、なかでもアゾ化合物色素、またはジオキサジン化合物色素であることが好ましく、アゾ化合物色素であることがより好ましい。
は、−CO−、−CONH−Y−、−SONH−Y−、又は−CHNHCOCHNH−Y−を表し、−CO−、−CONH−Y−であることが好ましい。
は置換基を有してもよいアルキレン基又はアリーレン基を表し、なかでもフェニレン、トルイレン、またはヘキシレンであることが好ましく、フェニレンであることがより好ましい。
11およびR12はそれぞれ独立に置換もしくは無置換のアルキル基またはR11とR12とで少なくとも窒素原子を含むヘテロ環基を形成してもよい。なかでもメチル基、エチル基、プロピル基、または窒素原子を含めたピロリジニル基であることが好ましく、エチル基であることがより好ましい。
は−NH−又は−O−を表す。
は水酸基又は一般式(D3a)で表される基を表し、あるいはn1が1の場合−NH−X−Qでもよい。m1は1〜6の整数を表し、2〜3が好ましい。n1は1〜4の整数を表し、1〜2が好ましい。
Figure 0005325373
一般式(D3a)中、Yは−NH−又は−O−を表し、m1、R11、およびR12は一般式(D3)におけるそれらと同じ意味である。
一般式(D3)で表される化合物はより具体的には例えば下記一般式により表される。
Figure 0005325373
なお一般式(D3−1)〜(D3−6)において、Q、m1、n1、R11、R12は一般式(D3)におけるそれらと同じ意味である。以下に一般式(D3)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
Figure 0005325373
Figure 0005325373
一般式(D3)で表される化合物は、例えばR11およびR12を有するアミン化合物とR11およびR12を有するアルコール化合物とをハロゲン化トリアジン化合物と反応させ、得られた中間体に色素化合物を反応させて得ることができる。また、特公平5−72943号明細書の記載も参考にすることができる。
<3.グラフト共重合体を含有する顔料分散剤>
本発明の有機ナノ粒子の製造方法においては、アミノ基及びエーテル基を有するグラフト共重合体を含有し、必要に応じて適宜選択したその他の成分を含有する分散剤を用いることも好ましい。
前記グラフト共重合体は、アミノ基及びエーテル基を少なくとも有してなり、その他のモノマー等を共重合体単位として含んでいてもよい。
前記グラフト共重合体の重量平均分子量(Mw)としては、3000〜100000が好ましく、5000〜50000がより好ましい。前記重量平均分子量(Mw)が、3000未満であると、有機ナノ粒子の凝集を防ぐことができず、粘度が上昇してしまうことがあり、100000を超えると有機溶剤への溶解性が不足し、粘度が上昇してしまうことがある。なお、該重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(キャリア:テトラヒドロフラン)により測定されるポリスチレン換算重量平均分子量である。
前記グラフト共重合体は、(i)末端にエチレン性不飽和二重結合を有する重合性オリゴマーと、(ii)アミノ基とエチレン性不飽和二重結合とを有するモノマーと、(iii)エーテル基を有する重合性モノマーとを共重合体単位として少なくとも含み、必要に応じて(iv)その他のモノマーを共重合単位として含むことが好ましい。
これらの共重合体単位の、前記グラフト共重合体における含有量としては、(i)前記重合性オリゴマーが15〜98質量%であることが好ましく、25〜90質量%であることがより好ましく、(ii)アミノ基含有モノマーが1〜40質量%であることが好ましく、5〜30質量%であることがより好ましく、(iii)前記エーテル基を有する重合性モノマーが1〜70質量%であることが好ましく、5〜60質量%であることがより好ましい。
前記重合性オリゴマーの含有量が、15質量%未満であると、分散剤としての立体反発効果が得られず、有機ナノ粒子の凝集が防止できないことがあり、98質量%を超えると、前記窒素含有モノマーの割合が減り有機粒子に対する吸着能力が低下し、分散性が十分でないことがある。前記窒素含有モノマーの含有量が、1質量%未満であると、有機粒子に対する吸着能力が低下し、分散性が十分でないことがあり、40質量%を超えると、前記重合性オリゴマーの割合が減ることから、分散剤としての立体反発効果が得られず、有機粒子の凝集を十分に防止できないことがある。前記エーテル基を有する重合性モノマーの含有量が、1質量%未満であると、カラーフィルタ等の製造の際の現像適性が十分でないことがあり、70質量%を超えると、分散剤としての能力が低下することがある。
(i) 重合性オリゴマー
前記重合性オリゴマー(以下、「マクロモノマー」と称することがある。)は、エチレン性不飽和二重結合を有する基を末端に有するオリゴマーである。本発明においては、前記重合性オリゴマーの中でも、該オリゴマーの両末端の内の一方にのみ前記エチレン性不飽和二重結合を有する基を有するのが好ましい。
前記オリゴマーとしては、一般的には、例えば、アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、スチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、及びブタジエンから選択された少なくとも一種のモノマーから形成された単独重合体又は共重合体などが挙げられ、これらの中でも、アルキル(メタ)アクリレートの単独重合体又は共重合体、ポリスチレンなどが好ましい。本発明において、これらのオリゴマーは、置換基で置換されていてもよく、該置換基としては、特に制限はないが、例えば、ハロゲン原子などが挙げられる。
前記エチレン性不飽和二重結合を有する基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、などが好適に挙げられ、これらの中でも(メタ)アクリロイル基が特に好ましい。
本発明においては、前記重合性オリゴマーの中でも、下記一般式(E6)で表されるオリゴマーが好ましい。
Figure 0005325373
前記一般式(E6)において、R61及びR63は、水素原子又はメチル基を表す。R62は、炭素数1〜8のアルコール性水酸基で置換されてもよいアルキレン基を表し、炭素数2〜4のアルキレン基が好ましい。Y6は、フェニル基、炭素数1〜4のアルキル基を有するフェニル基、又は−COOR64(ここで、R64は、炭素数1〜6のアルコール性水酸基、ハロゲンで置換されてもよいアルキル基、フェニル基、又は炭素数7〜10のアリールアルキル基を表す。)を表し、フェニル基又は−COOR64(ここで、R64は、炭素数1〜4のアルコール性水酸基で置換されてもよいアルキル基を表す。)が好ましい。qは、20〜200を表す。
前記重合性オリゴマーの具体例としては、ポリ−2ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリ−n−ブチル(メタ)アクリレート、ポリ−i−ブチル(メタ)アクリレート、それらの共重合体であって、分子末端の一個に(メタ)アクリロイル基が結合したポリマーが好ましい。
前記重合性オリゴマーは、市販品であってもよいし、適宜合成したものであってもよく、該市販品としては、例えば、片末端メタクリロイル化ポリスチレンオリゴマー(Mn=6000、商品名:AS−6,東亜合成化学工業(株)社製)、片末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレートオリゴマー(Mn=6000、商品名:AA−6,東亜合成化学工業(株)社製)、片末端メタクリロイル化ポリ−n−ブチルアクリレートオリゴマー(Mn=6000、商品名:AB−6,東亜合成化学工業(株)社製)、片末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレートオリゴマー(Mn=7000、商品名:AA−714,東亜合成化学工業(株)社製)、片末端メタクリロイル化ポリブチルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレートオリゴマー(Mn=7000、商品名:707S,東亜合成化学工業(株)社製)、片末端メタクリロイル化ポリ2−エチルヘキシルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレートオリゴマー(Mn=7000、商品名:AY−707S、AY−714S,東亜合成化学工業(株)社製)、などが挙げられる。
本発明における前記重合性オリゴマーの好ましい具体例としては、アルキル(メタ)アクリレートの重合体、及び、アルキル(メタ)アクリレートとポリスチレンとの共重合体から選択される少なくとも1種のオリゴマーであって、数平均分子量が1000〜20000であり、末端に(メタ)アクリロイル基を有するものが挙げられる。
(ii) アミノ基含有モノマー
前記アミノ基含有モノマーとしては、例えば、下記一般式(E2)で表される化合物より選択される少なくとも1種が好適に挙げられる。
Figure 0005325373
前記一般式(E2)において、R21は、水素原子又はメチル基を表す。R22は、炭素数1〜8のアルキレン基を表し、これらの中でも、炭素数1〜6のアルキレン基が好ましく、炭素数2〜3のアルキレン基が特に好ましい。
は、−N(R23)(R24)、−R25N(R26)(R27)を表す。ここで、R23及びR24は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基を表す。R25は、炭素数1〜6のアルキレン基を表し、R26及びR27は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基を表す。
上記のうち、−N(R23)(R24)のR23及びR24は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基若しくはフェニル基が好ましく、−R25−N(R26)(R27)のR25は、炭素数2〜6のアルキレン基が好ましく、R26及びR27は、炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。m2及びn2は、1又は0を表し、m2=1かつn2=1、又は、m2=1かつn2=0が好ましい(即ち、下記一般式(E3)、(E4)で表されるモノマーに対応する)。
本発明においては、前記一般式(E2)で表されるモノマーの中でも、下記一般式(E3)及び(E4)のいずれかで表されるモノマーから選択される少なくとも1種が好ましい。
Figure 0005325373
前記一般式(3)において、R31は、R21と同義である。R32は、R22と同義である。Xは、Xと同義である。
Figure 0005325373
前記一般式(4)において、R41は、R21と同義である。Xは、Xと同義であり、−N(R43)(R44)(ここで、R43及びR44は、R23及びR24と同義である。)、又は、−R45−N(R46)(R47)(ここで、R45、R46及びR47は、それぞれR25、R26及びR27と同義である。)が好ましい。
前記一般式(E2)で表されるモノマーの具体例としては、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド、ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、ジ−n−ブチル(メタ)アクリルアミド、ジ−i−ブチル(メタ)アクリルアミド、モルホリノ(メタ)アクリルアミド、ピペリジノ(メタ)アクリルアミド、N−メチル−2−ピロリジル(メタ)アクリルアミド及びN,N−メチルフェニル(メタ)アクリルアミド(以上(メタ)アクリルアミド類);2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、3−(N,N−ジエチルアミノ)プロピル(メタ)アクリルアミド、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリルアミド、1−(N,N−ジメチルアミノ)−1,1−ジメチルメチル(メタ)アクリルアミド、6−(N,N−ジエチルアミノ)ヘキシル(メタ)アクリルアミド(以上アミノアルキル(メタ)アクリルアミド類)などが好ましいものとして挙げられる。
(iii) エーテル基を有する重合性モノマー
前記エーテル基を有する重合性モノマーとしては、例えば、下記一般式(E1)で表されるモノマーより選択される少なくとも1種が好適に挙げられる。
Figure 0005325373
前記一般式(E1)において、R11は、水素原子又はメチル基を表す。R12は、炭素数1〜8のアルキレン基を表し、中でも、炭素数1〜6のアルキレン基が好ましく、炭素数2〜3のアルキレン基がより好ましい。Xは、−OR13又は−OCOR14を表す。ここで、R13は、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、フェニル基、又は炭素数1〜18のアルキル基で置換されたフェニル基を表す。R14は、炭素数1〜18のアルキル基を表す。また、m3は、2〜200を表し、5〜100が好ましく、10〜100が特に好ましい。
前記エーテル基を有する重合性モノマーとしては、エーテル基を有し、且つ重合性のものであれば特に制限はなく、通常のものの中から適宜選択することができ、例えば、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノメタクリレートなどが挙げられ、これらは市販品であってもよいし、適宜合成したものであってもよい。該市販品としては、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(商品名:NKエステルM−40G,M−90G,M−230G(以上、東亜合成化学工業(株)社製);商品名:ブレンマーPME−100,PME−200,PME−400,PME−1000,PME−2000、PME−4000(以上、日本油脂(株)社製))、ポリエチレングリコールモノメタクリレート(商品名:ブレンマーPE−90、PE−200、PE−350,日本油脂(株)社製)、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート(商品名:ブレンマーPP−500、PP−800、PP−1000,日本油脂(株)社製)、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノメタクリレート(商品名:ブレンマー70PEP−370B,日本油脂(株)社製)、ポリエチレングリコールポリテトラメチレングリコールモノメタクリレート(商品名:ブレンマー55PET−800,日本油脂(株)社製)、ポリプロピレングリコールポリテトラメチレングリコールモノメタクリレート(商品名:ブレンマーNHK−5050,日本油脂(株)社製)などが挙げられる。
(iv) その他のモノマー
前記グラフト共重合体は、前記その他のモノマーを更に共重合体単位として含有していてもよく、該その他のモノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、芳香族ビニル化合物(例、スチレン、α−メチルスチレン及びビニルトルエン)、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート及びi−ブチル(メタ)アクリレート)、(メタ)アクリル酸アルキルアリールエステル(例、ベンジル(メタ)アクリレート)、グリシジル(メタ)アクリレート、カルボン酸ビニルエステル(例、酢酸ビニル及びプロピオン酸ビニル)、シアン化ビニル(例、(メタ)アクリロニトリル及びα−クロロアクリロニトリル)、及び脂肪族共役ジエン(例、1,3−ブタジエン及びイソプレン)、(メタ)アクリル酸、などが挙げられる。これらの中でも、不飽和カルボン酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アルキルアリールエステル及びカルボン酸ビニルエステルが好ましい。
前記グラフト共重合体における該その他のモノマーの含有量としては、例えば、5〜70重量%が好ましい。前記含有率が、5重量%未満であると、塗布膜の物性の制御ができなくなることがあり、70重量%を超えると、分散剤としての能力が十分に発揮されないことがある。
前記グラフト共重合体の好ましい具体例としては、
(11) 3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルアクリルアミド/ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート/末端メタクリロイル化ポリメチル(メタ)アクリレート共重合体、
(12) 3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルアクリルアミド/ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート/末端メタクリロイル化ポリスチレン共重合体、
(13) 3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルアクリルアミド/ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート/メチル(メタ)アクリレート末端メタクリロイル化ポリスチレン共重合体、
(14) 3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルアクリルアミド/ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート/末端メタクリロイル化メチル(メタ)アクリレート及び2−ヒドロキシエチルメタクリレートの共重合体の共重合体、
(15) 3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルアクリルアミド/ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート/末端メタクリロイル化メチルメタアクリレート及び2−ヒドロキシエチルメタクリレートの共重合体の共重合体、
(16) 3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルアクリルアミド/ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート/末端メタクリロイル化メチルメタアクリレート及び2−ヒドロキシエチルメタクリレートの共重合体の共重合体、
(17) 3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルアクリルアミド/ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート/末端メタクロイル化ポリメチル(メタ)アクリレート共重合体、
(18) 3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルアクリルアミド/ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート/末端メタクロイル化ポリメチル(メタ)アクリレート共重合体、
(19) 3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルアクリルアミド/ポリエチレングリコールポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート/末端メタクロイル化ポリメチル(メタ)アクリレート共重合体、
(20) 3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルアクリルアミド/ポリプロピレングリコールポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレート/末端メタクロイル化ポリメチル(メタ)アクリレート共重合体、などが挙げられる。
なかでも、(11)、(14)、(18)が好ましく、下記式(D4)で表される化合物がより好ましい。式(D4)中、Meはメチル基を表す。
Figure 0005325373
前記グラフト共重合体は、前記各共重合体単位となる成分を、例えば、溶媒中でラジカル重合させることにより得ることができる。該ラジカル重合の際、ラジカル重合開始剤を使用することができ、また、更に連鎖移動剤(例、2−メルカプトエタノール及びドデシルメルカプタン)を使用することができる。グラフト共重合体を含有する顔料分散剤については特開2001−31885号公報の記載を参考にすることもできる。
分散剤の含有量は、有機粒子の均一分散性および保存安定性をより一層向上させるために、顔料100質量部に対して0.1〜1000質量部の範囲であることが好ましく、より好ましくは1〜500質量部の範囲であり、さらに好ましくは5〜20質量部の範囲である。0.1質量部未満であると有機ナノ粒子の分散安定性の向上が見られない場合がある。また、分散剤は、単独で用いても、複数のものを組み合わせて用いてもよい。
分散剤の含有量は、有機粒子の均一分散性および保存安定性をより一層向上させるために、有機粒子100質量部に対して0.1〜1000質量部の範囲であることが好ましく、より好ましくは1〜500質量部の範囲であり、さらに好ましくは5〜20質量部の範囲である。0.1質量部未満であると有機ナノ粒子の分散安定性の向上が見られない場合がある。
[製造装置]
本発明の製造方法において、有機ナノ粒子の形成に用いられる製造装置の好ましい実施態様を説明するが、これにより本発明が限定的に解釈されるものではない。
(製造装置例1)
図1−1は本発明の製造方法において、一実施態様として用いられる製造装置の概略図である。図1−1において有機材料溶液は供給管14により容器11内に連続的に供給される。ここに容器11内には貧溶媒11aが容れられており、バルク貧溶媒は攪拌の作用によりつねに対流させられている。
図1−2は本発明の別のより好ましい態様として用いられる製造装置の概略図であり、図1−1の製造装置において容器11内に混合室(撹拌領域)13を設けたものである。該混合室13は貧溶媒の液面下に設けられ、その内部は該貧溶媒により満たされている。また反応容器11内のバルク貧溶媒は該混合室13内での攪拌の作用により、該混合室13内を下方から上方へ(図中矢印の方向へ)横切るようにつねに対流させられている。
図1−3は、図1−2の製造装置の一実施態様として混合室13を拡大して概略的に示した拡大部分断面図である。有機材料溶液は供給管14より混合室13内へ供給される。該混合室13は断面積一定の直四角筒よりなるケーシング17により形成され、ケーシング17の上端は開放端(開放部)とされ、下端には円形孔18が設けられて該混合器13内の貧溶媒が撹拌領域外(図中の構成でいうと、貧溶媒11aのうち、混合室13以外の領域が撹拌領域外にあたり、撹拌外領域ともいう。)のバルク貧溶媒と互いに連結するようになっている。ここに有機材料溶液供給管14はケーシング17の下端を構成する壁内に設けられ、前記円形孔に向けて開口している。また前記混合器13内には撹拌羽根12が設けられており、撹拌羽根はシャフト15に取り付けられ、モーター16により回転する。この撹拌羽根12の回転により、貧溶媒は円形孔18を通り混合器13内を下方から上方へ向かってつねに循環運動する。
上記の混合室13に設けられた撹拌羽根12は、混合室内に所望の混合強さをつくり出すものでなければならない。この混合強さは、有機顔料溶液が混入した際の液滴(ドロップレット)の大きさに対する重要な操作因子であることが推定される。
また、撹拌羽根12は、混合空間内で生成した有機ナノ粒子が混合室13にとどまることにより、他の有機ナノ粒子と結合して更に大きな粒子となったり、混合室13に供給される有機材料溶液にさらされて大きな粒子となったりして巨大粒子が生成することがないよう、生成した有機ナノ粒子を迅速に引き出し、迅速に混合室13外へ排出する能力を有するものが選ばれることが好ましい。
撹拌羽根12としては上記目的が達成されれば、いかなる形式のものでもよく、例えばタービン型、ファンタービン型等が用いられうる。
またケーシング17は、前述のごとく四角筒により構成されていることが好ましい。このようにすることで、撹拌羽根12によりつくられた流れをケーシング17の角が乱し、邪魔板のごとき付加物を要することなく、混合効果を一層高めることができる。
図1−4は、図1−2の製造装置の別の実施態様として混合室内の撹拌羽根を二つ(混合用撹拌羽根19a、排出用撹拌羽根19b)にした混合器の拡大部分断面図である。このように撹拌羽根を二つ設けることによって、混合強さをコントロールする能力と、生成した有機顔料粒子を混合器外へ排出する能力を独立に選択することができるようにし、混合の強さ、循環量を独立に所望の値に設定して操作することが可能となる。
(製造装置例2)
図2は、本発明の製造方法に用いられる、製造装置の別の実施態様を概略的に示す断面図である。図2において有機材料溶液および貧溶媒はそれぞれ供給管24a、24bにより撹拌槽21a内に連続的に供給される。撹拌槽21a内で生成した有機材料粒子が撹拌槽21a内にとどまることにより、他の有機顔料粒子と結合して更に大きな粒子となったり、供給管24a、24bより供給される有機材料溶液にさらされて大きな粒子となったりして巨大粒子が生成することがないよう、生成した有機材料粒子分散液は排出管23より迅速に引き出される。
図3は、本発明の製造方法に用いられる装置の、さらに別の実施態様を概略的に示す断面図である。図3の製造装置においては、撹拌装置50は、有機材料溶液および貧溶媒をそれぞれ流入させる2つの液供給口32,33と撹拌処理を終えた混合液体を排出する液排出口36とを備えた円筒状の撹拌槽38と、該撹拌槽38内で回転駆動されることで該撹拌槽38内の液体の撹拌状態を制御する撹拌手段である一対の撹拌羽根41,42とを備えてなる。
撹拌槽38は、上下方向に中心軸を向けた円筒状の槽本体39と、該槽本体39の上下の開口端を塞ぐ槽壁となるシールプレート40とで構成されている。また、撹拌槽38および槽本体39は、透磁性に優れた非磁性材料で形成されている。2つの液供給口32,33は槽本体39の下端寄りの位置に装備されており、液排出口36は槽本体39の上端寄りの位置に装備されている。
そして、一対の撹拌羽根41,42は、撹拌槽38内の相対向する上下端に離間して配置されて、互いに逆向きに回転駆動される。各撹拌羽根41,42は、それぞれの撹拌羽根41,42が近接する槽壁(シールプレート40)の外側に配置された外部磁石46と磁気カップリングCを構成している。即ち、各、羽根41,42は、磁力でそれぞれの外部磁石46に連結されており、各外部磁石46を独立したモーター48,49で回転駆動することで、互いに逆向きに回転操作される。
槽38内に対向配置された一対の撹拌羽根41,42は、図3中に波線の矢印(X)及び実線の矢印(Y)で示すように、それぞれ向きの異なる撹拌流を槽38内に形成する。そして、それぞれの撹拌羽根41,42の形成する撹拌流は、流れ方向が異なるために互いに衝突して槽38内における撹拌を促進する高速の乱流を槽38内に生成して、槽38内の流れが定常化することを防止し、撹拌羽根41,42の回転を高速化した場合にも撹拌羽根41,42の回転軸回りに空洞が形成されることを阻止すると同時に、撹拌作用を十分に受けずに撹拌槽38の内周面に沿って槽38内を流れる定常流が形成されるという不都合の発生を阻止することができる。したがって、撹拌羽根41,42の回転の高速化により、容易に処理速度を向上させることができ、さらに、その際に、槽38内の液体の流れが定常化して撹拌混合が不十分の液体が排出されることを阻止して、処理品位の低下を防止することができる。
また、撹拌槽38内の各撹拌羽根41,42は、磁気カップリングCによって撹拌槽38の外部に配置されたモーター48,49に連結されているため、撹拌槽38の槽壁に回転軸を挿通させる必要がなくなり、撹拌槽38を回転軸の挿通部のない密閉容器構造にすることができるため、撹拌混合した液の槽外への漏出を防止すると同時に、回転軸用の潤滑液(シール液)等が不純物として槽38内の液に混入することによる処理品位の低下を防止することができる。
本発明の製造方法において、これらの構成を有する製造装置を用いて、バッチ方式だけでなく連続フロー方式でも有機ナノ粒子の製造をすることができ、大量生産にも対応できる。また生成した有機ナノ粒子分散液が迅速に排出されることにより、撹拌槽内に供給される有機材料溶液と貧溶媒液の比を常に一定にすることが可能になる。このため、製造開始時から製造終了時まで、分散液の有機材料の溶解度を一定にすることが可能になり、単分散な有機ナノ粒子を安定に製造することができる。
さらに槽内の液体の流れが定常化して撹拌混合が不十分の有機ナノ粒子分散液が排出されることを阻止し、また、回転軸用の潤滑液(シール液)等が不純物として槽内の液に混入することを防止することで、単分散な有機ナノ粒子をさらに安定に製造することができる。
(製造装置例3)
本発明の製造方法に用いられる装置として、さらに別の実施態様である、剪断力を持つ羽根を用いて攪拌する製造方法について説明する。
本発明でいう剪断力とは撹拌羽根が、有機材料溶液が貧溶媒に混入後に生成する液滴(ドロップレット)に及ぼすズリ力のことである。
本発明で使用可能な撹拌部の形状は、高剪断力を施し得る形態であれば特に限定されないが、一般にパドル羽根、タービン羽根、スクリュー羽根、ファウドラー羽根、等が挙げられ、好ましくはディゾルバー羽根、回転し得るタービン部とその周囲にわずかな間隙を置いて位置する固定化されたステータ部から構成されている撹拌部の、撹拌、乳化、分散機が好ましい。
ディゾルバー羽根は、高剪断力形成できる機能を持った特殊な撹拌羽根であり、図4−1にその1例を概略的に正面図により示し、その図面代用写真を図4−2に示す。
また図5に示すような回転し得るタービン部とその周囲にわずかな間隙を置いて位置する固定化されたステータ部から構成されている撹拌部を有する装置も好ましく用いられ、その撹拌、乳化、分散機としては、例えば、マイクロテック・ニチオン社製ヒスコトロン、特殊機化工業社製T.Kホモミクサー、IKA社製ULTRA-TURRAXが挙げられる。
撹拌速度は、貧溶媒の粘度、温度、界面活性剤の種類や添加量によって異なった値をとるが、100〜10000rpmが好ましく、150〜8000rpmがより好ましく、200〜6000rpmが特に好ましい。回転数が低すぎれば撹拌効果は充分発揮されず、逆に高すぎると、貧溶媒中に気泡を巻き込み、好ましくない。
[濃縮]
本発明の有機ナノ粒子の製造方法においては、有機ナノ粒子分散液を、脱塩濃縮することによって、カラーフィルタ塗布液やインクジェット用インクに適した濃縮液を工業的な規模で生産することが可能である。
以下に、濃縮方法について説明する。
濃縮方法に関しては、有機ナノ粒子液を濃縮できれば特に制約されないが、例えば、有機ナノ粒子分散液に、抽出溶媒を添加混合し、有機ナノ粒子を該抽出溶媒相に濃縮抽出して、その濃縮抽出液をフィルタなどによりろ過して濃縮ナノ粒子液とする方法、遠心分離によって有機ナノ粒子を沈降させて濃縮する方法、限外ろ過により脱塩濃縮を行う方法、真空凍結乾燥により溶媒を昇華させて濃縮する方法、加熱ないし減圧による溶媒を乾燥させて濃縮する方法等が好ましい。またはこれらの組合せなどが非常に好ましく用いられる。
濃縮後の有機ナノ粒子濃度に関しては、1〜100質量%が好ましく、5〜100質量%がより好ましく、10〜100質量%が特に好ましい。
以下に、濃縮抽出する方法について説明する。
この濃縮抽出に用いられる抽出溶媒は特に限定されないが、有機ナノ粒子分散液の分散溶媒(例えば、水性溶媒)と実質的に混じり合わず(本発明において、実質的に混じり合わずとは、相溶性が低いことをいい、溶解量50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。この溶解量に特に下限はないが、通常の溶媒の溶解性を考慮すると1質量%以上であることが実際的である。混合後、静置すると界面を形成する溶媒であることが好ましい。また、この抽出溶媒は、有機ナノ粒子が抽出溶媒中で再分散しうる弱い凝集(ミリングまたは高速撹拌などの高いせん断力を加えなくても再分散が可能であるフロック)を生ずる溶媒であることが好ましい。このような状態であれば、粒子サイズを変化させる強固な凝集を起こさず、目的の有機ナノ粒子を抽出溶媒で湿潤させる一方、フィルタろ過などにより容易に水などの分散溶媒を除去することができる点で好ましい。抽出溶媒としてはエステル化合物溶媒、アルコール化合物溶媒、芳香族化合物溶媒、脂肪族化合物溶媒が好ましく、エステル化合物溶媒、芳香族化合物溶媒または脂肪族化合物溶媒がより好ましく、エステル化合物溶媒が特に好ましい。
エステル化合物溶媒としては、例えば、2−(1−メトキシ)プロピルアセテート、酢酸エチル、乳酸エチルなどが挙げられる。アルコール化合物溶媒としては、例えば、n−ブタノール、イソブタノールなどが挙げられる。芳香族化合物溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。脂肪族化合物溶媒としては、例えば、n−ヘキサン、シクロヘキサンなどが挙げられる。また、抽出溶媒は上記の好ましい溶媒による純溶媒であっても、複数の溶媒による混合溶媒であってもよい。
抽出溶媒の量は有機ナノ粒子を抽出できれば特に制約されないが、濃縮して抽出することを考慮して有機ナノ粒子分散液より少量であることが好ましい。これを体積比で示すと、有機ナノ粒子分散液を100としたとき、添加される抽出溶媒は1〜100の範囲であることが好ましく、より好ましくは10〜90の範囲であり、20〜80の範囲が特に好ましい。多すぎると濃縮化に多大な時間を要し、少なすぎると抽出が不十分で分散溶媒中にナノ粒子が残存する。
抽出溶媒を添加した後、分散液と十分に接触するように撹拌混合することが好ましい。撹拌混合は通常の方法を用いることができる。抽出溶媒を添加し混合するときの温度に特に制約はないが、1〜100℃であることが好ましく、5〜60℃であることがより好ましい。抽出溶媒の添加、混合はそれぞれの工程を好ましく実施できるものであればどのような装置を用いてもよいが、例えば、分液ロート型の装置を用いて実施できる。
限外ろ過による場合、例えばハロゲン化銀乳剤の脱塩/濃縮に用いられる方法を適用することができる。リサーチ・ディスクロージャー(Research Disclosure)No.10208(1972)、No.13 122(1975)およびNo.16 351(1977)が知られている。操作条件として重要な圧力差や流量は、大矢春彦著「膜利用技術ハンドブック」幸書房出版(1978)、p275に記載の特性曲線を参考に選定することができるが、目的の有機ナノ粒子分散物を処理する上では、粒子の凝集を抑えるために最適条件を見いだす必要がある。また、膜透過より損失する溶媒を補充する方法においては、連続して溶媒を添加する定容式と断続的に分けて添加する回分式とがあるが、脱塩処理時間が相対的に短い定容式が好ましい。こうして補充する溶媒には、イオン交換または蒸留して得られた純水を用いるが、純水の中に分散剤、分散剤の貧溶媒を混合してもよいし、有機ナノ粒子分散物に直接添加してもよい。
図6に、限外ろ過を行うための装置の一構成例を示す。図6に、示されるように、この装置は脂肪酸銀分散物を収納するタンク81、このタンク81内の分散物を循環させる循環用ポンプ82、および循環用ポンプ82によって導入された分散物中の副生成無機塩を透過水として除去する限外ろ過モジュール83を有する。透過水が分離された分散物は再度タンク81内に戻され、同様の操作が、副生成無機塩の除去の所定の目的が達成されるまで、繰り返し行われる。さらに、この装置には、透過水によって失われる溶媒を純水として一定量補充するために使用される補充純水計測用流量計84が設置されており、純水補充量を決定するのに用いられる透過水計測用流量計85が設置されている。また、透過水を希薄にするための水を導入するための逆方向洗浄用ポンプ86が設置されている。
限外ろ過膜は、すでにモジュールとして組み込まれた平板型、スパイラル型、円筒型、中空糸型、ホローファイバー型などが旭化成(株)社、ダイセル化学(株)社、(株)東レ社、(株)日東電工社などから市販されているが、総膜面積や洗浄性の観点より、スパイラル型もしくは中空糸型が好ましい。また、膜を透過することができる成分のしきい値の指標となる分画分子量は、用いられる分散剤の分子量より決定する必要があるが、5,000以上50,000以下のものが好ましく、5,000以上15,000以下のものがより好ましい。
有機ナノ粒子分散液の分散溶媒と濃縮抽出液を分離するため、フィルタろ過することが好ましい。フィルタろ過の装置は、例えば、加圧ろ過のような装置を用いることができる。好ましいフィルタとしては、ナノフィルタ、ウルトラフィルタなどが挙げられる。フィルタろ過により、残された分散溶媒の除去を行い、濃縮抽出液中の有機ナノ粒子をさらに濃縮して濃縮ナノ粒子液とすることが好ましい。
凍結乾燥の方法は特に限定されず、当業者が利用可能な方法であればいかなるものを採用してもよい。例えば、冷媒直膨方法、重複冷凍方法、熱媒循環方法、三重熱交換方法、間接加熱凍結方法が挙げられるが、好ましくは冷媒直膨方法、間接加熱凍結方法、より好ましくは間接加熱凍結方法を用いるのがよい。いずれの方法においても、予備凍結を行なった後凍結乾燥を行なうことが好ましい。予備凍結の条件は特に限定されないが、凍結乾燥を行なう試料がまんべんなく凍結されている必要がある。
間接加熱凍結方法の装置としては、小型凍結乾燥機、FTS凍結乾燥機、LYOVAC凍結乾燥機、実験用凍結乾燥機、研究用凍結乾燥機、三重熱交換真空凍結乾燥機、モノクーリング式凍結乾燥機、HULL凍結乾燥機が挙げられるが、好ましくは小型凍結乾燥機、実験用凍結乾燥機、研究用凍結乾燥機、モノクーリング式凍結乾燥機、より好ましくは小型凍結乾燥機、モノクーリング式凍結乾燥機を用いるのがよい。
凍結乾燥の温度は特に限定されないが、例えば−190〜−4℃、好ましくは−120〜−20℃、より好ましくは−80〜−60℃程度である。凍結乾燥の圧力も特に限定されず、当業者が適宜選択可能であるが、例えば、0.1〜35Pa、好ましくは1〜15Pa、さらに好ましくは、5〜10Pa程度で行なうのがよい。凍結乾燥時間は、例えば2〜48時間、好ましくは6〜36時間、より好ましくは16〜26時間程度である。もっとも、これらの条件は当業者に適宜選択可能である。凍結乾燥方法については、例えば、製剤機械技術ハンドブック:製剤機械技術研究会編、地人書館、p.120−129(2000年9月);真空ハンドブック:日本真空技術株式会社編、オーム社、p.328−331(1992年);凍結及び乾燥研究会会誌:伊藤孝治他、No.15、p.82(1965)などを参照することができる。
以下に遠心分離について説明する。
遠心分離による有機ナノ粒子の濃縮に用いられる遠心分離機は有機ナノ粒子分散液(または有機ナノ粒子濃縮抽出液)中の有機ナノ粒子を沈降させることができればどのような装置を用いてもよい。遠心分離機としては、例えば、汎用の装置の他にもスキミング機能(回転中に上澄み層を吸引し、系外に排出する機能)付きのものや、連続的に固形物を排出する連続遠心分離機などが挙げられる。
遠心分離条件は、遠心力(重力加速度の何倍の遠心加速度がかかるかを表す値)で50〜10000が好ましく、100〜8000がより好ましく、150〜6000が特に好ましい。遠心分離時の温度は、分散液の溶剤種によるが、−10〜80℃が好ましく、−5〜70℃がより好ましく、0〜60℃が特に好ましい。
以下に乾燥について説明する。
減圧乾燥による有機ナノ粒子の濃縮に用いられる装置は有機ナノ粒子分散液(または有機ナノ粒子濃縮抽出液)の溶媒を蒸発させることができれば特に制限はない。例えば、汎用の真空乾燥器およびロータリーポンプや、液を撹拌しながら加熱減圧乾燥できる装置、液を加熱減圧した管中に通すことによって連続的に乾燥ができる装置等が挙げられる。
加熱減圧乾燥温度は30〜230℃が好ましく、35〜200℃がより好ましく、40〜180℃が特に好ましい。減圧時の圧力は、100〜100000Paが好ましく、300〜90000Paがより好ましく、500〜80000Paが特に好ましい。
上述のような濃縮方法によれば、有機ナノ粒子分散液から効率よく有機ナノ粒子を濃縮することができる。濃縮倍率に関しては、例えば、原料となる有機ナノ粒子分散液中のナノ粒子の濃度を1とすると、濃縮有機ナノ粒子ペーストにおける濃度を好ましくは100〜3000倍程度、より好ましくは500〜2000倍程度まで濃縮することができる。
[微細分散化]
本発明の製造方法においては、濃縮凝集状態にある有機粒子を微細分散化する(本発明において、微細分散化とは、分散液中の粒子の凝集を解き分散度を高めることをいう)。
上述した抽出溶媒、遠心分離、乾燥などにより濃縮化した有機粒子液に含まれる有機粒子は、通常、その濃縮化により凝集をおこしている。このとき速やかなフィルターろ過を可能とし、再度良好な分散状態を得るためには、再分散可能な程度に凝集させたフロックとして得ることが好ましい。
そのため、通常の分散化方法を用いて分散化した程度では微粒子化に不十分であり、さらに微細化効率の高い方法が必要となる。このような凝集有機粒子においても(本発明において、凝集有機粒子とは、凝集体など有機粒子が二次的な力で集まっているものをいい、一次粒子がナノメートルサイズであるとき凝集ナノ粒子ということもある。)、本発明の有機ナノ粒子分散液の製造方法によれば、凝集有機粒子液に重量平均分子量1000以上の高分子化合物を含有させることにより、有機粒子を好適に微細分散化することができる(本発明において、凝集有機粒子液とは、凝集有機粒子を液中に含むものをさし、分散液、濃縮液、ペースト、スラリーなどであっても凝集有機粒子が含まれればよい。)。
次に、本発明の有機ナノ粒子の製造方法に用いられる高分子化合物(本発明において「高分子化合物」とは重量平均分子量1000以上の有機化合物をいい、特に上限はないが、重量平均分子量300,000以下であることが実際的であり、好ましくは100,000以下であり、より好ましくは50,000以下である。)について詳細に説明する。
機ナノ粒子の製造方法に用いられる高分子化合物は重量平均分子量1000以上であり、下記一般式(1)で表される高分子化合物(参考例)であることが好ましい。
前記一般式(1)中、Aは、酸性基、塩基性窒素原子を有する基、ウレア基、ウレタン基、配位性酸素原子を有する基、炭素数4以上の炭化水素基、アルコキシシリル基、エポキシ基、イソシアネート基、および水酸基から選択される基を有する1価の有機基、または置換基を有してもよい有機色素構造もしくは複素環を含有する1価の有機基を表す。n個のAは同一であっても、異なっていてもよい。
具体的には、Aは特に制限されるものではないが、前記「酸性基を有する1価の有機基」として、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、モノ硫酸エステル基、リン酸基、モノリン酸エステル基、ホウ酸基などを有する1価の有機基が挙げられる。また、前記「塩基性窒素原子を有する基を有する1価の有機基」として、例えば、アミノ基(−NH)を有する1価の有機基、置換イミノ基(−NHR、−NR10)を有する1価の有機基(ここで、R、R、およびR10は各々独立に、炭素数1〜20までのアルキル基、炭素数6以上20以下のアリール基、炭素数7以上30以下のアラルキル基を表す。)、下記一般式(a1)で表されるグアニジル基を有する1価の有機基〔一般式(a1)中、Ra1およびRa2は各々独立に、炭素数1〜20までのアルキル基、炭素数6以上20以下のアリール基、炭素数7以上30以下のアラルキル基を表す。〕、下記一般式(a2)で表されるアミジニル基を有する1価の有機基〔一般式(a2)中、Ra3およびRa4は各々独立に、炭素数1〜20までのアルキル基、炭素数6以上20以下のアリール基、炭素数7以上30以下のアラルキル基を表す。〕などが挙げられる。
Figure 0005325373
前記「ウレア基を有する1価の有機基」として、例えば、−NHCONHR15(ここで、R15は、水素原子あるいは、炭素数1〜20までのアルキル基、炭素数6以上20以下のアリール基、炭素数7以上30以下のアラルキル基を表す。)などが挙げられる。
前記「ウレタン基を有する1価の有機基」として、例えば、−NHCOOR16、−OCONHR17(ここで、R16およびR17は各々独立に、炭素数1〜20までのアルキル基、炭素数6以上20以下のアリール基、炭素数7以上30以下のアラルキル基を表す。)などが挙げられる。
前記「‘配位性酸素原子を有する基’を有する基」としては、例えば、アセチルアセトナト基を有する基、クラウンエーテルを有する基などが挙げられる。
前記「炭素数4以上の炭化水素基を有する基」としては、炭素数4以上のアルキル基(例えば、オクチル基、ドデシル基など)、炭素数6以上のアリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基など)、炭素数7以上のアラルキル基(例えばベンジル基など)などが挙げられる。このとき炭素数に上限はないが、30以下であることが好ましい。 前記「アルコキシシリル基を有する基」としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基などを有する基が挙げられる。
前記「エポキシ基を有する基」としては、例えば、グリシジル基などを有する基が挙げられる。
前記「イソシアネート基を有する基」としては、例えば、3−イソシアナトプロピル基などが挙げられる。
前記「水酸基を有する基」としては、例えば、3−ヒドロキシプロピル基などが挙げられる。
上記の中では、前記Aとして、酸性基、塩基性窒素原子を有する基、ウレア基、および炭素数4以上の炭化水素基から選択される基を有する1価の有機基であることが好ましい。
また、前記有機色素構造または複素環としては、特に限定されないが、より具体的には、有機色素構造としては、例えば、フタロシアニン化合物、不溶性アゾ化合物、アゾレーキ化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、ジオキサジン化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラピリジン化合物、アンサンスロン化合物、インダンスロン化合物、フラバンスロン化合物、ペリノン化合物、ペリレン化合物、チオインジゴ化合物等が挙げられる。また、複素環としては、例えばチオフェン、フラン、キサンテン、ピロール、ピロリン、ピロリジン、ジオキソラン、ピラゾール、ピラゾリン、ピラゾリジン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、チアジアゾール、ピラン、ピリジン、ピペリジン、ジオキサン、モルホリン、ピリダジン、ピリミジン、ピペラジン、トリアジン、トリチアン、イソインドリン、イソインドリノン、ベンズイミダゾロン、コハクイミド、フタルイミド、ナフタルイミド、ヒダントイン、インドール、キノリン、カルバゾール、アクリジン、アクリドン、アントラキノン等が挙げられる。
また、前記有機色素構造または複素環は、置換基を有していてもよく、該置換基としては、例えば、メチル基、エチル基等の炭素数1〜20までのアルキル基、フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜16までのアリール基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、スルホンアミド基、N−スルホニルアミド基、アセトキシ基等の炭素数1〜6までのアシルオキシ基、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6までのアルコキシ基、塩素、臭素等のハロゲン原子、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基等の炭素数2〜7までのアルコキシカルボニル基、シアノ基、t−ブチルカーボネート等の炭酸エステル基、等が挙げられる。
また、前記Aとしては、下記一般式(4)で表される1価の有機基であることが好ましい。
Figure 0005325373
前記一般式(4)において、Bは、酸性基、塩基性窒素原子を有する基、ウレア基、ウレタン基、配位性酸素原子を有する基、炭素数4以上の炭化水素基、アルコキシシリル基、エポキシ基、イソシアネート基、および水酸基から選択される基、または置換基を有してもよい有機色素構造または複素環を表し、R18は単結合あるいはa1価の有機もしくは無機の連結基を表す。a1は、1〜5を表し、a1個のBは同一であっても、異なっていてもよい。
は、一般式(4)における前記Aと同義であり、好ましい態様も同様であるが、前記有機色素構造または複素環としては、例えばフタロシアニン化合物、不溶性アゾ化合物、アゾレーキ化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、ジオキサジン化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラピリジン化合物、アンサンスロン化合物、インダンスロン化合物、フラバンスロン化合物、ペリノン化合物、ペリレン化合物、チオインジゴ化合物等の有機色素構造、例えばチオフェン、フラン、キサンテン、ピロール、ピロリン、ピロリジン、ジオキソラン、ピラゾール、ピラゾリン、ピラゾリジン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、チアジアゾール、ピラン、ピリジン、ピペリジン、ジオキサン、モルホリン、ピリダジン、ピリミジン、ピペラジン、トリアジン、トリチアン、イソインドリン、イソインドリノン、ベンズイミダゾロン、コハクイミド、フタルイミド、ナフタルイミド、ヒダントイン、インドール、キノリン、カルバゾール、アクリジン、アクリドン、アントラキノン等の複素環が挙げられる。
また、前記有機色素構造または複素環は、置換基を有していてもよく、該置換基としては、例えば、メチル基、エチル基等の炭素数1〜20までのアルキル基、フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜16までのアリール基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、スルホンアミド基、N−スルホニルアミド基、アセトキシ基等の炭素数1〜6までのアシルオキシ基、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6までのアルコキシ基、塩素、臭素等のハロゲン原子、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基等の炭素数2〜7までのアルコキシカルボニル基、シアノ基、t−ブチルカーボネート等の炭酸エステル基、等が挙げられる。
18は、単結合あるいはa1+1価の連結基を表し、a1は1〜5を表す。連結基R18としては、1〜100個までの炭素原子、0個〜10個までの窒素原子、0個〜50個までの酸素原子、1個〜200個までの水素原子、および0個〜20個までの硫黄原子から成り立つ基が含まれ、無置換でも置換基を更に有していてもよい。R18は、有機連結基であることが好ましい。
18具体的な例として、下記の構造単位又は該構造単位が組み合わさって構成される基を挙げることができる。
Figure 0005325373
上記のうち、置換基R18を有する場合、該置換基としては、例えば、メチル基、エチル基等の炭素数1〜20までのアルキル基、フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜16までのアリール基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、スルホンアミド基、N−スルホニルアミド基、アセトキシ基等の炭素数1〜6までのアシルオキシ基、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6までのアルコキシ基、塩素、臭素等のハロゲン原子、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基等の炭素数2〜7までのアルコキシカルボニル基、シアノ基、t−ブチルカーボネート等の炭酸エステル基、等が挙げられる。
前記一般式(1)中、Rは、(m+n)価の連結基を表す。m+nは3〜10を満たす。
前記Rで表される(m+n)価の連結基としては、1〜100個までの炭素原子、0個〜10個までの窒素原子、0個〜50個までの酸素原子、1個〜200個までの水素原子、および0個〜20個までの硫黄原子から成り立つ基が含まれ、無置換でも置換基を更に有していてもよい。Rは有機連結基であることが好ましい。
の具体的な例として、前記(t−1)〜(t−34)の構造単位又は該構造単位が組み合わさって構成される基(環構造を形成していてもよい。)を挙げることができる。
上記の連結基が置換基を有する場合、該置換基としては、例えば、メチル基、エチル基等の炭素数1〜20までのアルキル基、フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜16までのアリール基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、スルホンアミド基、N−スルホニルアミド基、アセトキシ基等の炭素数1〜6までのアシルオキシ基、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6までのアルコキシ基、塩素、臭素等のハロゲン原子、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基等の炭素数2〜7までのアルコキシカルボニル基、シアノ基、t−ブチルカーボネート等の炭酸エステル基、等が挙げられる。
は、単結合あるいは2価の連結基を表す。Rとしては、1〜100個までの炭素原子、0個〜10個までの窒素原子、0個〜50個までの酸素原子、1個〜200個までの水素原子、および0個〜20個までの硫黄原子から成り立つ基が含まれ、無置換でも置換基を更に有していてもよい。Rは有機連結基であることが好ましい。
の具体的な例として、前記t−3、4、7〜18、22〜26、32、34の構造単位又は該構造単位が組み合わさって構成される基を挙げることができる。
上記のうち、Rが置換基を有する場合、該置換基としては、例えば、メチル基、エチル基等の炭素数1〜20までのアルキル基、フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜16までのアリール基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、スルホンアミド基、N−スルホニルアミド基、アセトキシ基等の炭素数1〜6までのアシルオキシ基、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6までのアルコキシ基、塩素、臭素等のハロゲン原子、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基等の炭素数2〜7までのアルコキシカルボニル基、シアノ基、t−ブチルカーボネート等の炭酸エステル基、等が挙げられる。
前記一般式(1)中、mは1〜8を表す。mとしては、1〜5が好ましく、1〜3がより好ましく、1〜2が特に好ましい。
また、nは2〜9を表す。nとしては、2〜8が好ましく、2〜7がより好ましく、3〜6が特に好ましい。
前記一般式(1)中、Pは高分子骨格を表し、通常のポリマーなどから目的等に応じ
て選択することができる。
ポリマーの中でも、高分子骨格を構成するには、ビニルモノマーの重合体もしくは共重合体、エステル系ポリマー、エーテル系ポリマー、ウレタン系ポリマー、アミド系ポリマー、エポキシ系ポリマー、シリコーン系ポリマー、及びこれらの変性物、又は共重合体〔例えば、ポリエーテル/ポリウレタン共重合体、ポリエーテル/ビニルモノマーの重合体の共重合体など(ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体のいずれであってもよい。)を含む。〕からなる群より選択される少なくとも一種が好ましく、ビニルモノマーの重合体もしくは共重合体、エステル系ポリマー、エーテル系ポリマー、ウレタン系ポリマー、およびこれらの変性物又は共重合体からなる群より選択される少なくとも一種がより好ましく、ビニルモノマーの重合体もしくは共重合体が特に好ましい。
更には、前記ポリマーは有機溶媒に可溶であることが好ましい。有機溶媒との親和性が低いと、例えば、顔料分散剤として使用した場合、分散媒との親和性が弱まり、分散安定化に十分な吸着層を確保できなくなることがある。
本発明の製造方法においては、前記一般式(1)で表される高分子化合物の中でも、下記一般式(2)で表される高分子化合物が用いられる
Figure 0005325373
前記一般式(2)において、Aは前記一般式(1)におけるAと同義であり、その具体的な好ましい態様も同様であるが、有機色素構造の具体的な例として、フタロシアニン化合物、アゾレーキ化合物、アントラキノン化合物、ジオキサジン化合物、ジケトピロロピロール化合物等がより好ましく、複素環としては、イミダゾール、トリアゾール、ピリジン、ピペリジン、モルホリン、トリアジン、イソインドリン、イソインドリノン、ベンズイミダゾロン、ベンゾチアゾール、コハクイミド、フタルイミド、ナフタルイミド、ヒダントイン、インドール、キノリン、カルバゾール、アクリジン、アクリドン、アントラキノン等がより好ましい。
また、Aと同様に置換基を有していてもよく、該置換基については、Aにおける場合と同様であり、好ましい態様も同様である。
更に、Aとして、前記一般式(4)で表される1価の有機基が好ましく、該有機基の詳細および具体的な例、好ましい態様については同様である。
前記一般式(2)において、Rは、(x+y)価の連結基を表す。前記Rで表される(x+y)価の連結基としては、1〜60個までの炭素原子、0個〜10個までの窒素原子、0個〜50個までの酸素原子、1個〜100個までの水素原子、及び0個〜20個までの硫黄原子から成り立つ基が含まれ、無置換でも置換基を更に有していてもよい。
前記Rで表される(x+y)価の連結基としては、前記Rにおける(m+n)価の連結基と同義であり、その好ましい態様も同様である。また、具体的な例として、前記同様の構造単位又は、該構造単位が組み合わさって構成される基が挙げられる。
これらのうち、Rで表される連結基は有機連結基であることが好ましく、その有機連結基の好ましい具体的な例〔具体例(r−1)〜(r−17)〕を以下に示す。但し、本発明においては、これらに制限されるものではない。
Figure 0005325373
Figure 0005325373
上記の中でも、原料の入手性、合成の容易さ、各種溶媒への溶解性の観点から、上記(r1)、(r2)、(r−10)、(r−11)、(r−16)、(r−17)の基が好ましい。
また、上記のRが置換基を有する場合、該置換基としては、例えば、メチル基、エチル基等の炭素数1〜20までのアルキル基、フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜16までのアリール基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、スルホンアミド基、N−スルホニルアミド基、アセトキシ基等の炭素数1〜6までのアシルオキシ基、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6までのアルコキシ基、塩素、臭素等のハロゲン原子、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基等の炭素数2〜7までのアルコキシカルボニル基、シアノ基、t−ブチルカーボネート等の炭酸エステル基、等が挙げられる。
前記一般式(2)において、RおよびRは、各々独立に、単結合あるいは2価の連結基を表す。
前記R、Rで表される「2価の連結基」としては、無置換でも置換基を有していてもよく、直鎖、分岐、又は環状のアルキレン基、アリーレン基、アラルキレン基、並びに、−O−、−S−、−C(=O)−、−N(R19)−、−SO−、−SO−、−CO−、−N(R20)SO−、あるいはこれらの基を2つ以上組み合わせた2価の基を好ましい例として挙げることができる(前記R19およびR20は、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜4個のアルキル基を表す。)。なかでも有機連結基であるここが好ましい。
前記Rとしては、直鎖、分岐のアルキレン基、アラルキレン基、並びに、−O−、−C(=O)−、−N(R19)−、−SO−、−CO−、−N(R20)SO−(前記R19およびR20は各々独立に水素原子又は炭素数1〜4個のアルキル基を表す。)、あるいはこれらの基を2つ以上組み合わせた2価の基がより好ましく、直鎖、分岐のアルキレン基、アラルキレン基、並びに、−O−、−C(=O)−、−N(R19)−(前記R19は、水素原子又は炭素数1〜4個のアルキル基を表す。)、−CO−あるいはこれらの基を2つ以上組み合わせた2価の基が特に好ましい。
前記Rとしては、単結合あるいは直鎖、分岐のアルキレン基、アラルキレン基、並びに、−O−、−C(=O)−、−N(R19)−、−SO−、−CO−、−N(R20)SO−(前記R19およびR20は各々独立に水素原子又は炭素数1〜4個のアルキル基を表す。)、あるいはこれらの基を2つ以上組み合わせた2価の基がより好ましく、直鎖、分岐のアルキレン基、アラルキレン基、並びに、−O−、−C(=O)−、−N(R19)−(前記R19は、水素原子又は炭素数1〜4個のアルキル基を表す。)、−CO−あるいはこれらの基を2つ以上組み合わせた2価の基が特に好ましい。
また、前記R、Rが置換基を有する場合、該置換基としては、例えば、メチル基、エチル基等の炭素数1〜20までのアルキル基、フェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜16までのアリール基、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、スルホンアミド基、N−スルホニルアミド基、アセトキシ基等の炭素数1〜6までのアシルオキシ基、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6までのアルコキシ基、塩素、臭素等のハロゲン原子、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基等の炭素数2〜7までのアルコキシカルボニル基、シアノ基、t−ブチルカーボネート等の炭酸エステル基、等が挙げられる。
前記一般式(2)中、yは1〜8を表し、1〜5が好ましく、1〜3がより好ましく、1〜2が特に好ましい。また、xは2〜9を表し、2〜8が好ましく、2〜7がより好ましく、3〜6が特に好ましい。
また、一般式(2)中のPは、高分子骨格を表し、通常のポリマーなどから目的等に応じて選択することができる。ポリマーの好ましい態様については、前記一般式(1)におけるPと同義であり、その好ましい態様も同様である。
前記一般式(2)で表される高分子化合物のうち、特に、Rが前記具体例(r−1)、(r−2)、(r−10)、(r−11)、(r−16)、又は(r−17)であって、Rが、単結合、直鎖、分岐のアルキレン基、アラルキレン基、−O−、−C(=O)−、−N(R19)−(前記R19は、水素原子又は炭素数1〜4個のアルキル基を表す。)、−CO−、またはこれらの基を2つ以上組み合わせた2価の有機基であって、Rが単結合、エチレン基、プロピレン基、又は下記一般式(s−a)もしくは(s−b)で表される連結基であって、Pがビニルモノマーの重合体もしくは共重合体、エステル系ポリマー、エーテル系ポリマー、ウレタン系ポリマー、又はこれらの変性物であって、yが1〜2であって、xが3〜6である高分子化合物が特に好ましい。なお、下記基中、R21は水素原子又はメチル基を表し、lは1又は2を表す。
Figure 0005325373
本発明の製造方法に用いられる高分子化合物の重量平均分子量は1000以上であるが、重量平均分子量で3000〜100000が好ましく、5000〜80000がより好ましく、7000〜60000が特に好ましい。重量平均分子量が前記範囲内であると、ポリマーの末端に導入された複数の官能基の効果が十分に発揮され、固体表面への吸着性、ミセル形成能、界面活性性に優れた性能を発揮する。特に本発明に係る高分子化合物を顔料分散剤として用いた場合に、良好な分散性と分散安定性を達成することができる。
前記一般式(1)で表される高分子化合物(一般式(2)で表されるものを含む)は、特に制限されないが、下記方法などにより合成することができる。下記合成方法のうち、合成上の容易さから、下記2、3、4、5等の合成方法がより好ましく、下記3、4、5等の合成方法が特に好ましい。
1.カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基等から選択される官能基を末端に導入したポリマーと、複数の官能基(前記一般式中のA又はA)を有する酸ハライド、あるいは複数の官能基(前記一般式中のA又はA)を有するアルキルハライド、あるいは複数の官能基(前記一般式中のA又はA)を有するイソシアネート等とを高分子反応させる方法。
2.末端に炭素−炭素二重結合を導入したポリマーと、複数の官能基(前記一般式中のA又はA)を有するメルカプタンとをマイケル付加反応させる方法。
3.末端に炭素−炭素二重結合を導入したポリマーと、複数の官能基(前記一般式中のA又はA)を有するメルカプタンとをラジカル発生剤存在下で反応させる方法。
4.末端に複数のメルカプタンを導入したポリマーと、炭素−炭素二重結合を導入した官能基(前記一般式中のA又はA)とをラジカル発生剤存在下で反応させる方法。
5.複数の官能基(前記一般式中のA又はA)を有するメルカプタン化合物を連鎖移動剤として、ビニルモノマーをラジカル重合する方法。
上記のうち、本発明の製造方法に用いられる高分子化合物(好ましくは一般式(2)で表される高分子化合物)は、例えば、上記2、3、4、5のいずれかの方法で合成することができるが、合成上の容易さから、上記5の方法で合成することがより好ましい。
より具体的には、下記一般式(3)で表される化合物を連鎖移動剤として用いて、ラジカル重合させることが好ましい。
Figure 0005325373
前記一般式(3)において、R、R、A、g、およびhは、それぞれ前記一般式(
2)におけるR、R、A、x、およびyと同義であり、その好ましい態様も同様であ
る。
前記ビニルモノマーとしては、特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、クロトン酸エステル類、ビニルエステル類、マレイン酸ジエステル類、フマル酸ジエステル類、イタコン酸ジエステル類、(メタ)アクリルアミド類、ビニルエーテル類、ビニルアルコールのエステル類、スチレン類、(メタ)アクリロニトリルなどが好ましい。このような例としては、下記のような化合物が挙げられる。
前記(メタ)アクリル酸エステル類の例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸t−オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸アセトキシエチル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−(2−メトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸トリエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸トリエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸β−フェノキシエトキシエチル、(メタ)アクリル酸ノニルフェノキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸トリフロロエチル、(メタ)アクリル酸オクタフロロペンチル、(メタ)アクリル酸パーフロロオクチルエチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸トリブロモフェニル、(メタ)アクリル酸トリブロモフェニルオキシエチルなどが挙げられる。
前記クロトン酸エステル類の例としては、クロトン酸ブチル、クロトン酸ヘキシル等が挙げられる。
前記ビニルエステル類の例としては、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルメトキシアセテート、安息香酸ビニルなどが挙げられる。
前記マレイン酸ジエステル類の例としては、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチルなどが挙げられる。
前記フマル酸ジエステル類の例としては、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジブチルなどが挙げられる。
前記イタコン酸ジエステル類の例としては、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジブチルなどが挙げられる。
前記(メタ)アクリルアミド類の例としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチルアクリル(メタ)アミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−(2−メトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−ベンジル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ジアセトンアクリルアミドなどが挙げられる。
前記スチレン類の例としては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヒドロキシスチレン、メトキシスチレン、ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、クロロメチルスチレン、酸性物質により脱保護可能な基(例えばt−Bocなど)で保護されたヒドロキシスチレン、ビニル安息香酸メチル
、及びα−メチルスチレンなどが挙げられる。
前記ビニルエーテル類の例としては、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、及びメトキシエチルビニルエーテルなどが挙げられる。
上記の化合物以外にも、(メタ)アクリロニトリル、ビニル基が置換した複素環式基(例えば、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルカルバゾールなど)、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルイミダゾール、ビニルカプロラクトン等も使用できる。
また、上記の化合物以外に、例えばウレタン基、ウレア基、スルホンアミド基、フェノール基、イミド基などの官能基を有するビニルモノマーも用いることができる。このようなウレタン基、又はウレア基を有する単量体としては、例えばイソシアナート基と水酸基、又はアミノ基の付加反応を利用して、適宜合成することが可能である。具体的には、イソシアナート基含有モノマーと水酸基を1個含有する化合物または1級あるいは2級アミノ基を1個含有する化合物との付加反応、又は水酸基含有モノマーまたは1級あるいは2級アミノ基含有モノマーとモノイソシアネートとの付加反応等により適宜合成することができる。
上記のビニルモノマーは一種のみで重合させてもよいし、二種以上を併用して共重合させてもよく、このようなラジカル重合体は、それぞれ相当するビニルモノマーを通常の方法で常法に従って重合させることで得られる。
例えばこれらのビニルモノマー、および連鎖移動剤を適当な溶媒中に溶解し、ここにラジカル重合開始剤を添加して、約50℃〜220℃で、溶液中で重合させる方法(溶液重合法)を利用して得られる。
溶液重合法で用いられる適当な溶媒の例としては、用いる単量体、及び生成する共重合体の溶解性に応じて任意に選択できる。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メトキシプロピルアセテート、乳酸エチル、酢酸エチル、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、クロロホルム、トルエンが挙げられる。これらの溶媒は、二種以上を混合して使用してもよい。
また、ラジカル重合開始剤としては、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)、2,2’−アゾビス−(2,4’−ジメチルバレロニトリル)のようなアゾ化合物、ベンゾイルパーオキシドのような過酸化物、及び過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムのような過硫酸塩などなどが利用できる。
前記一般式(3)で表される化合物は、以下の方法等で合成することができるが、合成上の容易さから、下記7の方法がより好ましい。
6.複数の官能基(前記一般式中のA又はA)を有するハライド化合物からメルカプタン化合物に変換する方法(チオ尿素と反応させ、加水分解する方法、NaSHと直接反応させる方法、CHCOSNaと反応させ、加水分解させる方法などが挙げられる)
7.一分子中に3〜10個のメルカプト基を有する化合物と、官能基(前記一般式中のA又はA)を有し、かつメルカプト基と反応可能な官能基を有する化合物、とを付加反応させる方法
前記方法7における「メルカプト基と反応可能な官能基」としては、酸ハライド、アルキルハライド、イソシアネート、炭素−炭素二重結合などが好適に挙げられる。
「メルカプト基と反応可能な官能基」が炭素−炭素二重結合であり、付加反応がラジカル付加反応で合成することが特に好ましい。炭素−炭素二重結合としては、メルカプト基との反応性の点で、1置換もしくは2置換のビニル基がより好ましい。
前記「一分子中に3〜10個のメルカプト基を有する化合物」の具体的な例〔具体例(18)〜(34)〕として、以下の化合物が挙げられる。
Figure 0005325373
Figure 0005325373
上記の中でも、原料の入手性、合成の容易さ、各種溶媒への溶解性の観点から、(u−18)、(u−19)、(u−27)、(u−28)、(u−33)、(u−34)が好ましい。
官能基(前記一般式中のA又はA)を有し、かつ、炭素−炭素二重結合を有する化合物としては、特に制限されないが、以下のようなものが挙げられる。
Figure 0005325373
Figure 0005325373
Figure 0005325373
Figure 0005325373
Figure 0005325373
例えば、前記「一分子中に3〜10個のメルカプト基を有する化合物」と、前記「酸性基、塩基性窒素原子を有する基、ウレア基、ウレタン基、配位性酸素原子を有する基、炭素数4以上の炭化水素基、アルコキシシリル基、エポキシ基、イソシアネート基、および水酸基から選択される少なくとも1種の官能基を有し、かつ、炭素−炭素二重結合を有する化合物」とのラジカル付加反応生成物は、例えば、上記の「一分子中に3〜10個のメルカプト基を有する化合物」および「酸性基、塩基性窒素原子を有する基、ウレア基、ウレタン基、配位性酸素原子を有する基、炭素数4以上の炭化水素基、アルコキシシリル基、エポキシ基、イソシアネート基、および水酸基から選択される少なくとも1種の官能基を有し、かつ、炭素−炭素二重結合を有する化合物」を適当な溶媒中に溶解し、ここにラジカル発生剤を添加して、約50℃〜100℃で、付加させる方法(チオール−エン反応法)を利用して得られる。
前記方法で用いられる好ましい溶媒の例としては、用いる「一分子中に3〜10個のメルカプト基を有する化合物」、「酸性基、塩基性窒素原子を有する基、ウレア基、ウレタン基、配位性酸素原子を有する基、炭素数4以上の炭化水素基、アルコキシシリル基、エポキシ基、イソシアネート基、および水酸基から選択される少なくとも1種の官能基を有し、かつメルカプト基と反応可能な官能基(例えば炭素−炭素二重結合)を有する化合物」、および生成するラジカル付加反応生成物の溶解性に応じて任意に選択できる。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メトキシプロピルアセテート、乳酸エチル、酢酸エチル、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、クロロホルム、トルエンが挙げられる。これらの溶媒は、二種以上を混合して使用してもよい。
また、ラジカル発生剤としては、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)、2,2’−アゾビス−(2,4’−ジメチルバレロニトリル)のようなアゾ化合物、ベンゾイルパーオキシドのような過酸化物、及び過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムのような過硫酸塩などなどが利用できる。
本発明の製造方法に好ましく用いられる一般式(1)で表される化合物の具体例を以下に示す。但し本発明はこれらの具体例に何ら限定されるものではない。
Figure 0005325373
Figure 0005325373
Figure 0005325373
Figure 0005325373
Figure 0005325373
Figure 0005325373
Figure 0005325373
Figure 0005325373
次に参考例としての高分子化合物について説明する。この高分子化合物は、酸性基を有する高分子化合物であることが好ましく、カルボキシル基を有する高分子化合物であることがより好ましく、(A)カルボキシル基を有する化合物から導かれた繰り返し単位の少なくとも1種および(B)カルボン酸エステル基を有する化合物から導かれた繰り返し単位の少なくとも1種を含有する共重合化合物が特に好ましい。
前記(A)カルボキシル基を有する化合物から導かれた繰り返し単位として、下記一般式(I)で表される繰り返し単位であることが好ましく、アクリル酸またはメタクリル酸から導かれた繰り返し単位であることがより好ましく、前記(B)カルボン酸エステル基を有する化合物から導かれた繰り返し単位として、下記一般式(II)で表される繰り返し単位であることが好ましく、下記一般式(IV)で表される繰り返し単位であることがより好ましく、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、フェネチルアクリレート、フェネチルメタクリレート、3−フェニルプロピルアクリレート、または3−フェニルプロピルメタクリレートから導かれた繰り返し単位であることが特に好ましい。
Figure 0005325373
(Rは水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。)
Figure 0005325373
(Rは水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。Rは下記一般式(III)で表される基を表す。)
Figure 0005325373
(Rは水素原子、炭素原子数1〜5のアルキル基、ヒドロキシ基、炭素原子数1〜5のヒドロキシアルキル基、又は炭素原子数6〜20のアリール基を表す。R及びRはそれぞれ水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。X1は1〜5の数を表す。)
Figure 0005325373
(Rは水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。Rは下記一般式(V)で表される基を表す。)
Figure 0005325373
(Rは炭素原子数2〜5のアルキル基又は炭素原子数6〜20のアリール基を表す。R10及びR11は水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。Y1は1〜5の数を表す。)
また、(A)カルボキシル基を有する化合物から導かれた繰り返し単位と、前記(B)カルボン酸エステル基を有する化合物から導かれた繰り返し単位との重合比率としていえば、繰り返し単位(A)の全繰り返し単位数に対する数量比%が3〜40であることが好ましく、5〜35であることがより好ましい。
本発明の製造方法において高分子の分子量とは、特に断らない限り、重量平均分子量をいう。高分子の分子量の測定方法としては、クロマトグラフィー法、粘度法、光散乱法、沈降速度法等が挙げられる。本発明では、特に断らない限りクロマトグラフィー法により測定した重量平均分子量を用いる。
高分子化合物は、水溶性、油溶性いずれでもよく、水溶性かつ油溶性でもよい。
高分子化合物の添加方法は、水性溶媒または有機溶媒に溶解した溶液でも、固体状態でもよく、また、これらの組み合わせでもよい。溶媒に溶解した溶液で添加する方法としては、例えば、凝集有機粒子液に、凝集有機粒子液の溶媒と同様の溶媒に溶解した状態で添加する方法、凝集有機粒子液の溶媒と相溶する、異なる溶媒に溶解した状態で添加する方法が挙げられる。溶媒に溶解した溶液で添加する場合の、高分子化合物の濃度は、特に制限されないが、1〜70質量%が好ましく、2〜65質量%がより好ましく、3〜60質量%が特に好ましい。
高分子化合物の添加は、再沈法による有機ナノ粒子の形成時(またはその前後)、抽出または濃縮時(またはその前後)、濃縮後の凝集有機粒子の分散時(またはその前後)、それらの工程が終了したのち、のいずれに添加してもよく、また、これらの組み合わせでもよい。本発明の製造方法において、重量平均分子量1000以上の高分子化合物は後述するバインダーとして組成物中に含有させてもよく、例えば有機粒子再沈液を濃縮した後、凝集有機粒子の微細分散化のときに添加することが好ましい。
高分子化合物の添加量は、凝集有機粒子に含まれる有機粒子を100質量部としたときに、好ましくは0.1〜1000質量部が好ましく、5〜500質量部がより好ましく、10〜300質量部が特に好ましい。
分子量1000以上の高分子化合物しては、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアクリルアミド、ビニルアルコール−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール−部分ホルマール化物、ポリビニルアルコール−部分ブチラール化物、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロック共重合体、ポリアミド、セルロース誘導体、澱粉誘導体などが挙げられる。その他、アルギン酸塩、ゼラチン、アルブミン、カゼイン、アラビアゴム、トンガントゴム、リグニンスルホン酸塩などの天然高分子化合物類も使用できる。
酸性基を有する高分子化合物としては、ポリビニル硫酸、縮合ナフタレンスルホン酸等が挙げられる。
カルボキシル基を有する高分子化合物としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、側鎖にカルボキシル基を有するセルロース誘導体等があげられる。(A)カルボキシル基を有する化合物から導かれた繰り返し単位の少なくとも1種および(B)カルボン酸エステル基を有する化合物から導かれた繰り返し単位の少なくとも1種を含む共重合化合物としては、特開昭59−44615号公報、特公昭54−34327号公報、特公昭58−12577号公報、特公昭54−25957号公報、特開昭59−53836号公報及び特開昭59−71048号公報に記載されているようなメタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等を挙げることができる。また、特に好ましい例として、米国特許第4139391号明細書に記載のアクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−メタクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸−メタクリル酸エステル共重合体や、アクリル酸またはメタクリル酸と、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルと、他のビニル化合物の多元共重合体を挙げることができる。
ビニル化合物の例としては、スチレン又は置換されたスチレン(例えばビニルトルエン、ビニルエチルベンゼン)、ビニルナフタリン又は置換されたビニルナフタリン、アクリルアミド、メタアクリルアミド、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等が挙げられ、スチレンが好ましい。
これらの高分子化合物は1種のみを用いてもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよく、分子量1000未満の化合物と併用してもよい。
本発明の有機ナノ粒子の製造方法においては、有機ナノ粒子の分散液が60質量%以上の有機溶剤を含有することが好ましく、65質量%以上であることがより好ましい。有機溶剤としては、特に制限はなく、通常のものの中から適宜選択することができる。例えば、エステル化合物溶媒、アルコール化合物溶媒、芳香族化合物溶媒、脂肪族化合物溶媒、ケトン化合物溶媒が好ましく、エステル化合物溶媒、ケトン化合物溶媒が特に好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
エステル化合物溶媒としては、例えば、2−(1−メトキシ)プロピルアセテート、酢酸エチル、乳酸エチルなどが挙げられる。アルコール化合物溶媒としては、例えば、n−ブタノール、イソブタノールなどが挙げられる。芳香族化合物溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。脂肪族化合物溶媒としては、例えば、n−ヘキサン、シクロヘキサンなどが挙げられる。ケトン化合物溶媒としては、例えば、メチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノンなどが挙げられる。
[有機ナノ粒子分散組成物]
次に、本発明の有機ナノ粒子の製造方法及びそれにより得られた有機ナノ粒子を、例えば、カラーフィルタやインクジェットインク等に用いるときに組成物とする態様について詳しく説明する。本発明の有機ナノ粒子は例えばビヒクル中で分散させた状態で用いることができる。前記ビヒクルとは、塗料でいえば、液体状態にあるときに顔料を分散させている媒質の部分をいい、液状であって前記顔料と結合して塗膜を固める部分(バインダー)と、これを溶解希釈する成分(有機溶媒)とを含む。なお本発明においては、ナノ粒子形成時に用いるバインダーと再分散化に用いるバインダーとが同じであっても異なっていてもよく、それぞれ、ナノ粒子形成バインダーおよび再分散化バインダーとして区別していうこともある。
再分散化後の有機ナノ粒子の分散組成物の有機ナノ粒子濃度は目的に応じて適宜定められるが、好ましくは分散組成物全量に対して有機ナノ粒子が2〜30質量%であることが好ましく、4〜20質量%であることがより好ましく、5〜15質量%であることが特に好ましい。上記のようなビヒクルにより分散される場合に、バインダーおよび溶解希釈成分の量は有機材料の種類などにより適宜定められるが、分散組成物全量に対して、バインダーは1〜30質量%であることが好ましく、3〜20質量%であることがより好ましく、5〜15質量%であることが特に好ましい。溶解希釈成分は5〜80質量%であることが好ましく、10〜70質量%であることがより好ましい。
上述の濃縮抽出したナノ粒子液においては、先にも述べたとおり、速やかなフィルタろ過を可能とするために、有機ナノ粒子を濃縮化により凝集させることが好ましく、遠心分離または乾燥により濃縮化して凝集させることが好ましい。
このような凝集ナノ粒子を微細分散化する方法として、例えば超音波による分散方法や物理的なエネルギーを加える方法を用いることができる。
用いられる超音波照射装置は10kHz以上の超音波を印加できる機能を有することが好ましく、例えば、超音波ホモジナイザー、超音波洗浄機などが挙げられる。超音波照射中に液温が上昇すると、ナノ粒子の熱凝集が起こるため(非特許文献1参照)、液温を1〜100℃とすることが好ましく、5〜60℃がより好ましい。温度の制御方法は、分散液温度の制御、分散液を温度制御する温度調整層の温度制御、などによって行うことができる。
物理的なエネルギーを加えて濃縮した有機ナノ粒子を分散させる際に使用する分散機としては、特に制限はなく、例えば、ニーダー、ロールミル、アトライダー、スーパーミル、ディゾルバ、ホモミキサー、サンドミル等の分散機が挙げられる。また、高圧分散法や、微小粒子ビーズの使用による分散方法も好適なものとして挙げられる。
<1>分散の方式
有機ナノ粒子分散組成物の好ましい製造方法としては、着色剤を樹脂成分で混練分散処理後の25℃における粘度が10,000mPa・s以上、望ましくは100,000mPa・s以上の比較的高粘度になるように混練分散処理し、次いで溶剤を添加して、微分散処理後の粘度が1,000mPa・s以下、望ましくは100mPa・s以下の比較的低粘度になるように微分散処理する方法が好ましい。
混練分散処理で使用する機械は二本ロール、三本ロール、ボールミル、トロンミル、ディスパー、ニーダー、コニーダー、ホモジナイザー、ブレンダー、単軸および2軸の押出機等であり、強い剪断力を与えながら分散する。次いで、溶剤を加えて、主として縦型若しくは横型のサンドグラインダー、ピンミル、スリットミル、超音波分散機、高圧分散機等を使用し、0.1〜1mmの粒径のガラス、ジルコニア等でできたビーズで微分散処理する。さらに0.1mm以下の微小粒子ビーズを用いて精密分散処理をすることもできる。尚、混練分散処理を省くことも可能である。その場合には、顔料と分散剤若しくは表面処理剤と、本発明におけるアクリル系共重合体および溶剤でビーズ分散を行う。
また主顔料と補顔料を別々に分散処理した後、両者の分散液を混合して更に分散処理を加えたり、主顔料と補顔料をいっしょに分散処理することも可能である。
尚、混練、分散についての詳細はT.C. Patton著“Paint Flow and ピグメント Dispersion”(1964年 John Wiley and Sons社刊)等にも記載されており、この方法を用いてもよい。
<2>分散剤の例
有機ナノ粒子分散組成物には、有機ナノ粒子の分散性を向上させる目的で通常の顔料分散剤や界面活性剤を添加することができる。これらの分散剤としては、多くの種類の化合物が用いられるが、例えば、フタロシアニン誘導体(市販品EFKA−6745(エフカ社製))、ソルスパース5000(ゼネカ(株)社製);オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)社製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(共栄社油脂化学工業(株)社製)、W001(裕商社製)等のカチオン系界面活性剤;ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン系界面活性剤;W004、W005、W017(裕商社製)等のアニオン系界面活性剤;EFKA−46、EFKA−47、EFKA−47EA、EFKAポリマー100、EFKAポリマー400、EFKAポリマー401、EFKAポリマー450(以上森下産業(株)社製)、ディスパースエイド6、ディスパースエイド8、ディスパースエイド15、ディスパースエイド9100(サンノプコ社製)等の高分子分散剤;ソルスパース3000、5000、9000、12000、13240、13940、17000、24000、26000、28000などの各種ソルスパース分散剤(ゼネカ(株)社製);アデカプルロニックL31,F38,L42,L44,L61,L64,F68,L72,P95,F77,P84,F87、P94,L101,P103,F108、L121、P−123(旭電化(株)社製)およびイソネットS−20(三洋化成(株)社製)が挙げられる。また、2000−239554号公報に記載の顔料分散剤や、特公平5−72943号公報に記載の化合物(C)や、特開2001−31885号公報に記載の合成例1の化合物なども好適に用いることができる。
再分散時に有機ナノ粒子形成時に用いる分散剤として[分散剤]の項に示した化合物を再度用いることも好ましい。
有機ナノ粒子分散組成物においては、再分散後の有機ナノ粒子(一次粒子)を微細分散化した粒子とすることができ、粒径を好ましくは1〜200nmとすることができ、2〜100nmがより好ましく、5〜50nmが特に好ましい。また、再分散後の粒子のMv/Mnは、1.0〜2.0であることが好ましく、1.0〜1.8であることがより好ましく、1.0〜1.5であることが特に好ましい。
本発明の製造方法によれば、例えば、有機ナノ粒子分散組成物や後述する着色感光性樹脂組成物に含まれる顔料粒子を、ナノメートルサイズ(例えば、10〜100nm)という微小な粒径にもかかわらず、濃縮再分散化することができる。このため、カラーフィルタに用いたときには、光学濃度が高く、フィルタ表面の均一性に優れ、コントラストが高く、かつ画像のノイズを少なくすることができる。
さらに、有機ナノ粒子分散組成物、着色感光性組成物に含まれる有機ナノ粒子を、高度に、また均一に、微細分散化することができるため、薄い膜厚さで、高い着色濃度を発揮し、例えばカラーフィルタ等の薄層化を可能とするものである。
また有機ナノ粒子分散組成物、着色感光性樹脂組成物において、鮮明な色調と高い着色力とを示す顔料を含有させることで、例えばカラープルーフやカラーフィルタ等を作製するための画像形成材料として優れている。
さらに、着色画像形成時の露光・現像に用いられるアルカリ性の現像液に対して、有機ナノ粒子分散組成物、着色感光性樹脂組成物に、結合剤(バインダー)としてアルカリ性水溶液に可溶なものを用いることができ、環境上の要求にも応えることができる。
また有機ナノ粒子分散組成物、着色感光性樹脂組成物に用いられる溶媒(顔料の分散媒)として適度な乾燥性を有する有機溶媒を用いることができ、塗布後の乾燥の点でもその要求を満足することができる。
[着色感光性樹脂組成物]
本発明の着色感光性樹脂組成物は、少なくとも、(a)有機ナノ粒子、(b)バインダー、(c)モノマーもしくはオリゴマー、および(d)光重合開始剤もしくは光重合開始剤系を含む。以下、本発明の着色感光性樹脂組成物の各成分について説明する。
(a)有機ナノ粒子
有機ナノ粒子を作製する方法については既に詳細に述べた。有機ナノ粒子の含有量は、着色感光性樹脂組成物中の全固形分(本発明において、全固形分とは、有機溶媒を除く組成物合計をいう。)に対し、3〜90質量%が好ましく、20〜80質量%がより好ましく、25〜60質量%がさらに好ましい。この量が多すぎると分散液の粘度が上昇し製造適性上問題になることがある。少なすぎると着色力が十分でない。着色剤として機能する有機ナノ粒子(顔料粒子)としては、粒径0.1μm以下、特には粒径0.08μm以下であることが好ましい。また、調色のために通常の顔料と組み合わせて用いてもよい。顔料は上記で記述したものを用いることができる。
(b)バインダー
着色感光性樹脂組成物中のバインダーとしては、先に述べた重量平均分子量1000以上の高分子化合物を好ましく用いることができる。バインダーの含有量は、着色感光性樹脂組成物の全固形分に対して15〜50質量%が一般的であり、20〜45質量%が好ましい。この量が多すぎると組成物の粘度が高くなりすぎ製造適性上問題となる。少なすぎると塗布膜の形成上問題がある。
(c)モノマー又はオリゴマー
本発明の着色感光性樹脂組成物に含有させるモノマー又はオリゴマーとしては、エチレン性不飽和二重結合を2個以上有し、光の照射によって付加重合するモノマー又はオリゴマーであることが好ましい。そのようなモノマー及びオリゴマーとしては、分子中に少なくとも1個の付加重合可能なエチレン性不飽和基を有し、沸点が常圧で100℃以上の化合物を挙げることができる。その例としては、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート及びフェノキシエチル(メタ)アクリレートなどの単官能アクリレートや単官能メタクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)シアヌレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパンやグリセリン等の多官能アルコールにエチレンオキシド又はプロピレンオキシドを付加した後(メタ)アクリレート化したもの等の多官能アクリレートや多官能メタクリレートを挙げることができる。また、特開平10−62986号公報に一般式(1)および(2)に記載のように、多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後(メタ)アクリレート化した化合物も好適なものとして挙げられる。
更に特公昭48−41708号公報、特公昭50−6034号公報及び特開昭51−37193号公報に記載されているウレタンアクリレート類;特開昭48−64183号公報、特公昭49−43191号公報及び特公昭52−30490号公報に記載されているポリエステルアクリレート類;エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸の反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能アクリレー卜やメタクリレートを挙げることができる。
これらの中で、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートが好ましい。
また、この他、特開平11−133600号公報に記載の「重合性化合物B」も好適なものとして挙げることができる。
これらのモノマー又はオリゴマーは(モノマー又はオリゴマーとしては、分子量200〜1000のものが好ましい。)、単独でも、二種類以上を混合して用いてもよく、着色感光性樹脂組成物の全固形分に対する含有量は5〜50質量%が一般的であり、10〜40質量%が好ましい。この量が多すぎると現像性の制御が困難になり製造適性上問題となる。少なすぎると露光時の硬化力が不足する。
(d)光重合開始剤又は光重合開始剤系
本発明の着色感光性樹脂組成物に含有させる光重合開始剤又は光重合開始剤系(本発明において、光重合開始剤系とは複数の化合物の組み合わせで光重合開始の機能を発現する混合物をいう。)としては、米国特許第2367660号明細書に開示されているビシナルポリケタルドニル化合物、米国特許第2448828号明細書に記載されているアシロインエーテル化合物、米国特許第2722512号明細書に記載のα−炭化水素で置換された芳香族アシロイン化合物、米国特許第3046127号明細書及び同第2951758号明細書に記載の多核キノン化合物、米国特許第3549367号明細書に記載のトリアリールイミダゾール二量体とp−アミノケトンの組み合わせ、特公昭51−48516号公報に記載のベンゾチアゾール化合物とトリハロメチル−s−トリアジン化合物、米国特許第4239850号明細書に記載されているトリハロメチル−トリアジン化合物、米国特許第4212976号明細書に記載されているトリハロメチルオキサジアゾール化合物等を挙げることができる。特に、トリハロメチル−s−トリアジン、トリハロメチルオキサジアゾール及びトリアリールイミダゾール二量体が好ましい。
また、この他、特開平11−133600号公報に記載の「重合開始剤C」や、オキシム系として、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、O−ベンゾイル−4’−(ベンズメルカプト)ベンゾイル−ヘキシル−ケトキシム、2,4,6−トリメチルフェニルカルボニル−ジフェニルフォスフォニルオキサイド、ヘキサフルオロフォスフォロ−トリアルキルフェニルホスホニウム塩等も好適なものとしてあげることができる。
これらの光重合開始剤又は光重合開始剤系は、単独でも、2種類以上を混合して用いてもよいが、特に2種類以上を用いることが好ましい。少なくとも2種の光重合開始剤を用いると、表示特性、特に表示のムラが少なくできる。
着色感光性樹脂組成物の全固形分に対する光重合開始剤又は光重合開始剤系の含有量は、0.5〜20質量%が一般的であり、1〜15質量%が好ましい。この量が多すぎると感度が高くなりすぎ制御が困難になる。少なすぎると露光感度が低くなりすぎる。
(その他の添加剤)
〔溶媒〕
本発明の着色感光性樹脂組成物においては、上記成分の他に、更に有機溶媒を用いてもよい。有機溶媒の例としては、特に限定されないが、エステル類、例えば酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、アルキルエステル類、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチルなどの3−オキシプロピオン酸アルキルエステル類;3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル等;エーテル類、例えばジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、等;ケトン類、例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロヘキサノール、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等;芳香族炭化水素類、例えばトルエン、キシレシ等が挙げられる。これら溶剤のうち、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等が本発明における溶剤として好ましく用いられる。これらの溶剤は、単独で用いてもあるいは2種以上組み合わせて用いてもよい。
また沸点が180℃〜250℃である溶剤を必要によって使用することができる。これらの高沸点溶剤としては、次のものが例示される。ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン、ブチルラクテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコール−n−プロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、2−エチルヘキシルアセテート、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、γブチルラクトン、トリプロピレングリコールメチルエチルアセテート、ジプロピレングリコール−n−ブチルアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテルアセテート、1,3−ブタンジオールジアセテート。
溶媒の含有量は、樹脂組成物全量に対して10〜95質量%が好ましい。
〔界面活性剤〕
従来用いられてきたカラーフィルタにおいては、高い色純度を実現するために各画素の色が濃くなり、画素の膜厚のムラが、そのまま色ムラとして認識されるという問題があった。そのため、画素の膜厚に直接影響する、感光性樹脂層の形成(塗布)時の、膜厚変動の良化が求められていた。
本発明のカラーフィルタ又は本発明の感光性樹脂転写材料においては、均一な膜厚に制御でき、塗布ムラ(膜厚変動による色ムラ)を効果的に防止するという観点から、該着色感光性樹脂組成物中に適切な界面活性剤を含有させることが好ましい。
上記界面活性剤としては、特開2003−337424号公報、特開平11−133600号公報に開示されている界面活性剤が、好適なものとして挙げられる。界面活性剤の含有量は、樹脂組成物全量に対して5質量%以下が好ましい。
〔熱重合防止剤〕
本発明の着色感光性樹脂組成物は、熱重合防止剤を含むことが好ましい。該熱重合防止剤の例としては、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−メルカプトベンズイミダゾール、フェノチアジン等が挙げられる。熱重合防止剤の含有量は、樹脂組成物全量に対して1質量%以下が好ましい。
〔補助的に使用する染料、顔料〕
本発明の着色感光性樹脂組成物には、必要に応じ前記着色剤(顔料)に加えて、着色剤(染料、顔料)を添加することができる。着色剤のうち顔料を用いる場合には、着色感光性樹脂組成物中に均一に分散されていることが望ましく、そのため粒径が0.1μm以下、特には0.08μm以下であることが好ましい。
染料ないし顔料としては、具体的には、前記顔料として、特開2005−17716号公報[0038]〜[0040]に記載の色材や、特開2005−361447号公報[0068]〜[0072]に記載の顔料や、特開2005−17521号公報[0080]〜[0088]に記載の着色剤を好適に用いることができる。補助的に使用する染料もしくは顔料の含有量は、樹脂組成物全量に対して5質量%以下が好ましい。
〔紫外線吸収剤〕
本発明の着色感光性樹脂組成物には、必要に応じて紫外線吸収剤を含有することができる。紫外線吸収剤としては、特開平5−72724号公報記載の化合物のほか、サリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系、ニッケルキレート系、ヒンダードアミン系などが挙げられる。
具体的には、フェニルサリシレート、4−t−ブチルフェニルサリシレート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−4’−ヒドロキシベンゾエート、4−t−ブチルフェニルサリシレート、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2,2’−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、ニッケルジブチルジチオカーバメート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピリジン)−セバケート、4−t−ブチルフェニルサリシレート、サルチル酸フェニル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン縮合物、コハク酸−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリデニル)−エステル、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、7−{[4−クロロ−6−(ジエチルアミノ)−5−トリアジン−2−イル]アミノ}−3−フェニルクマリン等が挙げられる。紫外線吸収剤の含有量は、樹脂組成物全量に対して5質量%以下が好ましい。
また、本発明の着色感光性樹脂組成物においては、上記添加剤の他に、特開平11−133600号公報に記載の「接着助剤」や、その他の添加剤等を含有させることができる。
[着色感光性樹脂組成物の塗布膜]
本発明の着色感光性樹脂組成物を用いた塗布膜における含有成分については、既に[着色感光性樹脂組成物]の項において記載したものと同様である。また、本発明の着色感光性樹脂組成物を用いた塗布膜の厚さは、その用途により適宜定めることができるが、0.5〜5.0μmであることが好ましく、1.0〜3.0μmであることがより好ましい。この本発明の着色感光性樹脂組成物を用いた塗布膜においては、そこに含まれる(c)モノマー又はオリゴマーを重合させて着色感光性樹脂組成物の重合膜とし、それを有するカラーフィルタを作製することができる(カラーフィルタの作製については後述する。)。重合性モノマー又は重合性オリゴマーの重合は、光照射により(d)光重合開始剤又は光重合開始剤系を作用させて行うことができる。
(スリット状ノズル)
尚、上記塗布膜は、着色感光性樹脂組成物を、通常の塗布方法により塗布し乾燥することによって形成することができるが、本発明においては、液が吐出する部分にスリット状の穴を有するスリット状ノズルによって塗布することが好ましい。具体的には、特開2004−89851号公報、特開2004−17043号公報、特開2003−170098号公報、特開2003−164787号公報、特開2003−10767号公報、特開2002−79163号公報、特開2001−310147号公報等に記載のスリット状ノズル、及びスリットコータが好適に用いられる。
着色感光性樹脂組成物の基板への塗布方法は、1〜3μmの薄膜を均一に高精度に塗布できるという点からスピン塗布が優れており、カラーフィルタの作製に広く一般的に用いることができる。しかし、近年においては、液晶表示装置の大型化および量産化に伴って、製造効率および製造コストをより高めるために、スピン塗布よりも広幅で大面積な基板の塗布に適したスリット塗布がカラーフィルタの作製に採用されるようになってきている。尚、省液性という観点からもスリット塗布はスピン塗布よりも優れており、より少ない塗布液量で均一な塗膜を得ることができる。
スリット塗布は、先端に幅数十ミクロンのスリット(間隙)を有し且つ矩形基板の塗布幅に対応する長さの塗布ヘッドを、基板とのクリアランス(間隙)を数10〜数100ミクロンに保持しながら、基板と塗布ヘッドとに一定の相対速度を持たせて、所定の吐出量でスリットから供給される塗布液を基板に塗布する塗布方式である。このスリット塗布は、(1)スピン塗布に比して液ロスが少ない、(2)塗布液の飛びちりがないため洗浄処理が軽減される、(3)飛び散った液成分の塗布膜への再混入がない、(4)回転の立ち上げ停止時間がないのでタクトタイムが短縮化できる、(5)大型の基板への塗布が容易である、等の利点を有する。これらの利点から、スリット塗布は大型画面液晶表示装置用のカラーフィルタの作製に好適であり、塗布液量の削減にとっても有利な塗布方式として期待されている。
スリット塗布は、スピン塗布よりも遥かに大面積の塗布膜を形成するため、幅の広いスリット出口から塗布液を吐出する際、コーターと被塗布物との間にある程度の相対速度を保つ必要がある。このため、スリット塗布方式に用いる塗布液には良好な流動性が求められる。また、スリット塗布には、塗布ヘッドのスリットから基板に供給される塗布液の諸条件を、塗布幅全般に渡って一定に保持することが特に求められる。塗布液の流動性や粘弾性特性等の液物性が不充分であると、塗布ムラが生じやすく、塗布幅方向に塗布厚を一定に保つのが困難になり、均一な塗布膜を得ることができないという問題が生じてしまう。
これらのことから、ムラがなく均一な塗布膜を得るために塗布液の流動性や粘弾性特性を改良しようとする試みが多くなされている。しかし、上述したようにポリマーの分子量を低下させたり、溶剤への溶解性に優れたポリマーを選択したり、蒸発速度をコントロールするために溶剤を種々選択したり、界面活性剤を利用するなどの手段が提案されているが、いずれも上記の諸問題を改良するには充分ではなかった。
[感光性樹脂転写材料]
次に、本発明の感光性樹脂転写材料について説明する。
本発明の感光性樹脂転写材料は、特開平5−72724号公報に記載されている感光性樹脂転写材料、すなわち一体型となったフイルムを用いて形成することが好ましい。該一体型フイルムの構成の例としては、仮支持体/熱可塑性樹脂層/中間層/感光性樹脂層/保護フイルムを、この順に積層した構成が挙げられ、本発明の感光性樹脂転写材料としては、前述の本発明の着色感光性樹脂組成物を用いることによって感光性樹脂を設けたものである。
(仮支持体)
本発明の感光性樹脂転写材料において、仮支持体としては、可撓性を有し、加圧、若しくは加圧及び加熱下においても著しい変形、収縮若しくは伸びを生じないものであることが必要である。そのような仮支持体の例としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、トリ酢酸セルロースフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム等を挙げることができ、中でも2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが特に好ましい。
(熱可塑性樹脂層)
熱可塑性樹脂層に用いる成分としては、特開平5−72724号公報に記載されている有機高分子物質が好ましく、ヴイカーVicat法(具体的にはアメリカ材料試験法エーエステーエムデーASTMD1235によるポリマー軟化点測定法)による軟化点が約80℃以下の有機高分子物質より選ばれることが特に好ましい。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、エチレンと酢酸ビニル或いはそのケン化物の様なエチレン共重合体、エチレンとアクリル酸エステル或いはそのケン化物、ポリ塩化ビニル、塩化ビニルと酢酸ビニル及びそのケン化物の様な塩化ビニル共重合体、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニリデン共重合体、ポリスチレン、スチレンと(メタ)アクリル酸エステル或いはそのケン化物の様なスチレン共重合体、ポリビニルトルエン、ビニルトルエンと(メタ)アクリル酸エステル或いはそのケン化物の様なビニルトルエン共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸ブチルと酢酸ビニル等の(メタ)アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル共重合体ナイロン、共重合ナイロン、N−アルコキシメチル化ナイロン、N−ジメチルアミノ化ナイロンの様なポリアミド樹脂等の有機高分子が挙げられる。
(中間層)
本発明の感光性樹脂転写材料においては、複数の塗布層の塗布時、及び塗布後の保存時における成分の混合を防止する目的から、中間層を設けることが好ましい。該中間層としては、特開平5−72724号公報に「分離層」として記載されている、酸素遮断機能のある酸素遮断膜を用いることが好ましく、この場合、露光時感度がアップし、露光機の時間負荷が減り、生産性が向上する。
該酸素遮断膜としては、低い酸素透過性を示し、水又はアルカリ水溶液に分散又は溶解するものが好ましく、通常のものの中から適宜選択することができる。これらの内、特に好ましいのは、ポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンとの組み合わせである。
(保護フイルム)
感光性樹脂層の上には、貯蔵の際の汚染や損傷から保護するために薄い保護フイルムを設けることが好ましい。保護フイルムは仮支持体と同じか又は類似の材料からなってもよいが、感光性樹脂層から容易に分離されねばならない。保護フイルム材料としては例えばシリコーン紙、ポリオレフィン若しくはポリテトラフルオロエチレンシートが適当である。
(感光性樹脂転写材料の作製方法)
本発明の感光性樹脂転写材料は、仮支持体上に熱可塑性樹脂層の添加剤を溶解した塗布液(熱可塑性樹脂層用塗布液)を塗布し、乾燥することにより熱可塑性樹脂層を設け、その後熱可塑性樹脂層上に熱可塑性樹脂層を溶解しない溶剤からなる中間層材料の溶液を塗布、乾燥し、その後感光性樹脂層を、中間層を溶解しない溶剤で塗布、乾燥して設けることにより作製することができる。
また、前記の仮支持体上に熱可塑性樹脂層及び中間層を設けたシート、及び保護フイルム上に感光性樹脂層を設けたシートを用意し、中間層と感光性樹脂層が接するように相互に貼り合わせることによっても、更には、前記の仮支持体上に熱可塑性樹脂層を設けたシート、及び保護フイルム上に感光性樹脂層及び中間層を設けたシートを用意し、熱可塑性樹脂層と中間層が接するように相互に貼り合わせることによっても、作製することができる。
本発明の感光性樹脂転写材料において、感光性樹脂層の膜厚としては、1.0〜5.0μmが好ましく、1.0〜4.0μmがより好ましく、1.0〜3.0μmが特に好ましい。また、特に限定されるわけではないが、その他の各層の好ましい膜厚としては、仮支持体は15〜100μm、熱可塑性樹脂層は2〜30μm、中間層は0.5〜3.0μm、保護フイルムは4〜40μmが、一般的に好ましい。
尚、上記作製方法における塗布は、通常の塗布装置等によって行うことができるが、本発明においては、既に[着色感光性樹脂組成物の塗布膜]の項において説明した、スリット状ノズルを用いた塗布装置(スリットコータ)によって行うことが好ましい。スリットコータの好ましい具体例等は、前記と同様である。
[カラーフィルタ]
本発明のカラーフィルタは、コントラストに優れたものとして用いることができる。本発明においてコントラストとは、2枚の偏光板の間において、偏光軸が平行のときと、垂直のときとの透過光量の比を表す(「1990年第7回色彩光学コンファレンス、512色表示10.4”サイズTFT−LCD用カラーフィルタ、植木、小関、福永、山中」等参照。)。
カラーフィルタのコントラストが高いということは液晶と組み合わせたときの明暗のディスクリミネーションが大きくできるということを意味しており、液晶ディスプレイがCRTに置き換わるためには非常に重要な性能である。
本発明のカラーフィルタは、テレビ用として用いる場合は、F10光源による、レッド(R)、グリーン(G)、及びブルー(B)のそれぞれ全ての単色の色度が、下表に記載の値(以下、本発明において「目標色度」という。)との差(ΔE)で5以内の範囲であることが好ましく、更に3以内であることがより好ましく、2以内であることが特に好ましい。
x y Y
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
R 0.656 0.336 21.4
G 0.293 0.634 52.1
B 0.146 0.088 6.90
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
本発明において色度は、顕微分光光度計(オリンパス光学社製;OSP100又は200)により測定し、F10光源視野2度の結果として計算して、xyz表色系のxyY値で表す。また、目標色度との差は、La表色系の色差で表す。
(感光性樹脂層)
本発明のカラーフィルタは、基板上に感光性樹脂層を形成し、露光して現像することを色の数だけ繰り返す方法などの方法によって製造することができる。尚、必要に応じて、その境界をブラックマトリックスで区分した構造とすることもできる。
上記の製造方法において、基板上に上記感光性樹脂層を形成する方法としては、(a)上記の各着色感光性樹脂組成物を通常の塗布装置等によって塗布する方法、及び(b)前述の感光性樹脂転写材料を用い、ラミネーターによって貼り付ける方法などが挙げられる。
(a)塗布装置による塗布
本発明のカラーフィルタを製造する際、着色感光性樹脂組成物の塗布には、通常の塗布装置を用いることができるが、中でも特に、既に[着色感光性樹脂組成物の塗布膜]の項において説明した、スリットコータを好適に用いることができる。尚、スリットコータの好ましい具体例等は、前記と同様である。感光性樹脂層を塗布により形成する場合、その膜厚としては、1.0〜3.0μmが好ましく、1.0〜2.5μmがより好ましく、1.5〜2.5μmが特に好ましい。
(b)ラミネーターによる貼り付け
本発明の感光性樹脂転写材料を用い、フイルム状に形成した感光性樹脂層を、後述する基板上に、加熱及び/又は加圧した、ローラー又は平板で、圧着又は加熱圧着することによって、貼り付けることができる。具体的には、特開平7−110575号公報、特開平11−77942号公報、特開2000−334836号公報、特開2002−148794号公報に記載のラミネーター及びラミネート方法が挙げられるが、低異物の観点で、特開平7−110575号公報に記載の方法を用いるのが好ましい。尚、感光性樹脂層を前記本発明の感光性樹脂転写材料により形成する場合の、その好ましい膜厚は、[感光性樹脂転写材料]の項において記載した好ましい膜厚と同様である。
(基板)
本発明において、カラーフィルタが形成される基板としては、例えば、透明基板が用いられ、表面に酸化ケイ素皮膜を有するソーダガラス板、低膨張ガラス、ノンアルカリガラス、石英ガラス板等の公知のガラス板、或いは、プラスチックフィルム等を挙げることができる。
また、上記基板は、予めカップリング処理を施しておくことにより、着色感光性樹脂組成物、又は感光性樹脂転写材料との密着を良好にすることができる。該カップリング処理としては、特開2000−39033号公報記載の方法が好適に用いられる。尚、特に限定されるわけではないが、基板の膜厚としては、700〜1200μmが一般的に好ましく、500〜1100μmが特に好ましい。
(酸素遮断膜)
本発明のカラーフィルタは、感光性樹脂層を、着色感光性樹脂組成物の塗布によって形成する場合において、該感光性樹脂層上に更に酸素遮断膜を設けることができ、これにより、露光感度をアップすることができる。該酸素遮断膜としては、既に[感光性樹脂転写材料]の(中間層)の項において説明したものと同様のものが挙げられる。尚、特に限定されるわけではないが、酸素遮断膜の膜厚としては、0.5〜3.0μmが一般的に好ましい。
(露光及び現像)
上記基板上に形成された感光性樹脂層の上方に所定のマスクを配置し、その後該マスク、熱可塑性樹脂層、及び中間層を介してマスク上方から露光し、次いで現像液による現像を行う、という工程を色の数だけ繰り返すことにより、本発明のカラーフィルタを得ることができる。
ここで、前記露光の光源としては、感光性樹脂層を硬化しうる波長域の光(例えば、365nm、405nmなど)を照射できるものであれば適宜選定して用いることができる。具体的には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等が挙げられる。露光量としては、通常5〜200mJ/cm程度であり、好ましくは10〜100mJ/cm程度である。
また、前記現像液としては、特に制約はなく、特開平5−72724号公報に記載のものなど、通常の現像液を使用することができる。尚、現像液は感光性樹脂層が溶解型の現像挙動をするものが好ましく、例えば、pKa=7〜13の化合物を0.05〜5mol/Lの濃度で含むものが好ましいが、更に水と混和性を有する有機溶剤を少量添加してもよい。
水と混和性を有する有機溶剤としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、乳酸エチル、乳酸メチル、ε−カプロラクタム、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。該有機溶剤の濃度は0.1質量%〜30質量%が好ましい。
また、上記現像液には、更に通常の界面活性剤を添加することができる。界面活性剤の濃度は0.01質量%〜10質量%が好ましい。
現像の方式としては、パドル現像、シャワー現像、シャワー&スピン現像、ディプ現像等の方法を用いることができる。
ここで、上記シャワー現像について説明すると、露光後の感光性樹脂層に現像液をシャワーにより吹き付けることにより、未硬化部分を除去することができる。尚、現像の前に感光性樹脂層の溶解性が低いアルカリ性の液をシャワーなどにより吹き付け、熱可塑性樹脂層、中間層などを除去しておくことが好ましい。また、現像の後に、洗浄剤などをシャワーにより吹き付け、ブラシなどで擦りながら、現像残渣を除去することが好ましい。
現像液の液温度は20℃〜40℃が好ましく、また、現像液のpHは8〜13が好ましい。
尚、本発明のカラーフィルタを製造する際、特開平11−248921号公報、特許3255107号公報に記載のように、カラーフィルタを形成する着色感光性樹脂組成物を重ねることで土台を形成し、その上に透明電極を形成し、更に分割配向用の突起を重ねることでスペーサを形成することが、コストダウンの観点で好ましい。
着色感光性樹脂組成物を順次塗布して重ねる場合は、塗布液のレベリングのため重ねるごとに膜厚が薄くなってしまう。このため、K(ブラック)・R・G・Bの4色を重ね、更に分割配向用突起を重ねることが好ましい。一方、熱可塑性樹脂層を有する転写材料を用いる場合は、厚みが一定に保たれるため、重ねる色は3又は2色とすることが好ましい。
また上記土台のサイズは、転写材料を重ねてラミネートする際の感光性樹脂層の変形を防止し一定の厚みを保持する観点から、25μm以上が好ましく、30μm以上が特に好ましい。
[液晶表示装置]
本発明の液晶表示装置は、コントラストに優れる本発明のカラーフィルタを用い、黒のしまり等の描写力に優れる。ノートパソコン用ディスプレイやテレビモニター等の大画面の液晶表示装置等としても好適に用いることができる。
以下に本発明を実施例に基づき更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
参考例1・比較例1)
参考例1−1)
1−メチル−2−ピロリドンと、1mol/L 水酸化ナトリウム水溶液とを6:1で混合した溶液に、顔料(ピグメントレッド254)を15mmol/Lとなるよう溶解した顔料溶液を調製した。これとは別に、貧溶媒として水を準備した。
ここで、1℃に温度コントロールし、藤沢薬品工業社製GK−0222−10型ラモンドスターラーにより500rpmで撹拌した貧溶媒の水1000mlに、顔料溶液を、日本精密化学社製NP−KX−500型大容量無脈流ポンプを用いて流速50ml/minで100ml注入することにより、有機顔料粒子分散液を調製した。
調製した有機粒子分散液を、日機装社製ナノトラックUPA−EX150を用いて測定し、粒径、単分散度を評価したところ、数平均粒径31nm、単分散度1.40であった。
調製した有機顔料粒子分散液(顔料粒子濃度約0.05質量%)に500mlの2−(1−メトキシ)プロピルアセテートを加えて25℃で10分間、500rpmで撹拌した後1日静置し、顔料粒子を2−(1−メトキシ)プロピルアセテート相に抽出し、濃縮抽出液とした。
顔料粒子を抽出した濃縮抽出液を、住友電工ファインポリマ社製FP−010型フィルタを用いて、ろ過することにより、ぺースト状の濃縮顔料液[I](顔料粒子濃度30質量%)を得た。
前記ペースト状の濃縮顔料液[I]を使い下記組成の本発明の有機粒子分散液[I]を調製した。
ペースト状の濃縮顔料液[I] 21.3g
顔料分散剤A(一般式(D1)で表される化合物の例示化合物(7.)) 0.6g
メタクリル酸/メタクリル酸ベンジル共重合体* 15.8g
1−メトキシ−2−プロピルアセテート 42.3g
* 共重合モル比28/72、重量平均分子量:3万、40質量%1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶液
上記組成の有機粒子分散液[I]をモーターミルM−50(アイガー社製)で、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで撹拌した。撹拌時間、1時間、3時間、5時間、9時間、15時間の液をそれぞれ試料顔料液(1)〜(5)とした。
試料顔料液の性能を評価するために、膜試料を作製した。上記のとおり得られた試料顔料液(1)〜(5)をミカサ社製スピンコーター1H−D7で75mm×75mmのガラス基板に塗布し、ホットプレートで100℃で2分乾燥することにより、膜試料(1)〜(5)を作製した。
参考例1−2)
ジメチルスルホキシドと8mol/l 水酸化カリウム水溶液を6:1で混合した溶液に、顔料(ピグメントレッド254)を150mmol/Lとなるよう溶解した顔料溶液を調製した。これとは別に、貧溶媒として水を準備した。
ここで、1℃に温度コントロールし、藤沢薬品工業社製GK−0222−10型ラモンドスターラーにより500rpmで撹拌した貧溶媒の水1000mlに、顔料溶液を、日本精密化学社製NP−KX−500型大容量無脈流ポンプを用いて流速50ml/minで100ml注入することにより、有機顔料粒子分散液を調製した。
調製した有機粒子分散液を、日機装社製ナノトラックUPA−EX150を用いて測定し、粒径、単分散度を評価したところ、数平均粒径32nm、単分散度1.41であった。
調製した有機顔料粒子分散液(顔料粒子濃度約0.5質量%)に500mlの2−(1−メトキシ)プロピルアセテートを加えて25℃で10分間、500rpmで撹拌した後1日静置し、顔料粒子を2−(1−メトキシ)プロピルアセテート相に抽出し、濃縮抽出液とした。
顔料粒子を抽出した濃縮抽出液を、住友電工ファインポリマ社製FP−010型フィルタを用いて、ろ過することにより、ぺースト状の濃縮顔料液[II](顔料粒子濃度35質量%)を得た。
ペースト状の濃縮顔料液[II] 18.3g
顔料分散剤A 0.6g
メタクリル酸/メタクリル酸ベンジル共重合体* 15.8g
1−メトキシ−2−プロピルアセテート 45.3g
* 共重合モル比28/72、重量平均分子量:3万、40質量%1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶液
上記組成の本発明の有機粒子分散液[II]から、参考例1−1と同様にして試料顔料液(6)〜(10)を得た。得られた試料顔料液(6)〜(10)から、参考例1−1と同様にして膜試料(6)〜(10)を作製した。
参考例1−3)
参考例1−1において、メタクリル酸/メタクリル酸ベンジル共重合体をメタクリル酸/メタクリル酸ベンジル/スチレン共重合体 15.8g(モル比27:60:13、重量平均分子量:2万8千、40質量%1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶液)とした以外は、参考例1−1と同様にして試料顔料液(11)〜(15)を作製した。
得られた試料顔料液(11)〜(15)から、参考1−1と同様にして膜試料(11)〜(15)を作製した。
参考例1−4)
参考例1−1において、メタクリル酸/メタクリル酸ベンジル共重合体をメタクリル酸/メタクリル酸プロピル/スチレン共重合体 15.8g(モル比26:62:12、重量平均分子量:2万9千、40質量%1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶液)とした以外は、参考例1−1と同様にして試料顔料液(16)〜(20)を作製した。
得られた試料顔料液(16)〜(20)から、参考例1−1と同様にして膜試料(16)〜(20)を作製した。
参考例1−5)
参考例1−1において、メタクリル酸/メタクリル酸ベンジル共重合体をメタクリル酸/メタクリル酸メチル/スチレン共重合体 15.8g(モル比25:62:13、重量平均分子量:3万、40質量%1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶液)とした以外は、参考例1−1と同様にして試料顔料液(21)〜(25)から、作製した。
得られた試料顔料液(21)〜(25)から、参考例1−1と同様にして膜試料(21)〜(25)を作製した。
参考例1−6)
参考例1−1において、メタクリル酸/メタクリル酸ベンジル共重合体をポリアクリル酸 15.8g(重量平均分子量:3万3千、40質量%1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶液)とした以外は、参考例1−1と同様にして試料顔料液(26)〜(30)を作製した。
得られた試料顔料液(26)〜(30)から、参考例1−1と同様にして膜試料(26)〜(30)を作製した。
参考例1−7)
参考例1−1において、メタクリル酸/メタクリル酸ベンジル共重合体をポリビニル硫酸 15.8g(重量平均分子量:3万2千、40質量%1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶液)とした以外は、参考例1−1と同様にして試料顔料液(31)〜(35)を作製した。
得られた試料顔料液(31)〜(35)から、参考例1−1と同様にして膜試料(31)〜(35)を作製した。
参考例1−8)
参考例1−1において、前記メタクリル酸/メタクリル酸ベンジル共重合体をポリビニルアルコール 15.8g(重量平均分子量:3万1千、40質量%1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶液)とした以外は、参考例1−1と同様にして試料顔料液(36)〜(40)を作製した。
得られた試料顔料液(36)〜(40)から、参考例1−1と同様にして膜試料(36)〜(40)を作製した。
参考例1−9)
参考例1−1において、顔料分散剤Aを添加しない以外は参考例1−1と同様にして試料顔料液(41)〜(45)から、作製した。
得られた試料顔料液(41)〜(45)から、参考例1−1と同様にして膜試料(41)〜(45)を作製した。
参考例1−10)
参考例1−1において、前記メタクリル酸/メタクリル酸ベンジル共重合体を、メタクリル酸/メタクリル酸ベンジル共重合体(共重合モル比28/72、重量平均分子量:1万、40質量%1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶液)とした以外は、参考例1−1と同様にして試料顔料液(46)〜(50)から、作製した。
得られた試料顔料液(46)〜(50)を参考例1−1と同様にして膜試料(46)〜(50)を作製した。
参考例1−11)
参考例1−1において、前記メタクリル酸/メタクリル酸ベンジル共重合体を、メタクリル酸/メタクリル酸ベンジル共重合体(共重合モル比28/72、重量平均分子量:4千、40質量%1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶液)とした以外は、参考例1−1と同様にして試料顔料液(51)〜(55)を作製した。
得られた試料顔料液(51)〜(55)から、参考例1−1と同様にして膜試料(51)〜(55)を作製した。
(比較例1−1)
実施例1−1において、ペースト状の濃縮顔料液[I]に替えてピグメントレッド254(粉末試料)6.4gを用い、1−メトキシ−2−プロピルアセテートの量を57.2gにした以外は、実施例1−1と同様にして試料顔料液(56)〜(60)を作製した。得られた試料顔料液(56)〜(60)から、実施例1−1と同様にして膜試料(56)〜(60)を作製した。
(比較例1−2)
実施例1−1において、メタクリル酸/メタクリル酸ベンジル共重合体を添加しない以外は、実施例1−1と同様にして試料顔料液(61)〜(65)を調製した。得られた試料顔料液(61)〜(65)から、実施例1−1と同様にして膜試料(61)〜(65)の作製を試みたが、膜を形成せず、試料が得られなかった。
(比較例1−3)
実施例1−1において、前記メタクリル酸/メタクリル酸ベンジル共重合体を、メタクリル酸/メタクリル酸ベンジル共重合体(共重合モル比28/72、重量平均分子量:800、40質量%1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶液)とした以外は、実施例1−1と同様にして試料顔料液(66)〜(70)を作製した。
得られた試料顔料液(66)〜(70)から、実施例1−1と同様にして膜試料(66)〜(70)を作製した。
試料顔料液(1)〜(70)の粘度を、E型粘度計(VISCONIC−ELD、東機産業社製)を用いて測定した。結果を表1−1、1−2に示す。
Figure 0005325373
Figure 0005325373
(試験例1)
膜試料(1)〜(70)を光学顕微鏡(500倍)で観察し、175μm×130μmの部分をとりこみ、該画像を122万画素に分割して、濃度のばらつきを変動係数(=濃度の標準偏差/濃度の平均値)で評価した。また、膜試料の散乱をアジレント(Agilent)社製8453型分光光度計により吸光度を測定し、700nmの吸光度で評価した。吸光度0.02以下を○、0.02〜0.05を△、0.05以上を×とした。結果を表1−3、1−4に示す。
Figure 0005325373
Figure 0005325373
以上の結果から、本発明の有機ナノ粒子の製造方法によれば、濃度の均一な膜としうるナノ粒子及びその分散液が得られることがわかる。
従来の有機顔料の分散方法である各種の分散機(ロールミル、ボールミル、アトライター等)による分散法では得られた、分散液において顔料粒子の目的としない微細化が進行しまう。そのため粘度が上昇してしまい、分散機からの取り出しが困難となったり、パイプラインによる輸送ができなくなったり、更には貯蔵中にゲル化して使用不能となったりする。すなわち、従来法では、濃度の均一な膜を形成しうる顔料分散液の提供は困難であった。
これに対し、本発明の有機ナノ粒子の製造方法によれば、有機粒子が微細化された状態と、流動性に優れた状態を同時に達成でき、しかも粘度の上昇が生じないため、濃度の均一な膜を形成しうるナノ粒子及びその分散液を提供できる。さらに、濃度の均一な膜を、従来の半分以下という極めて短時間に得ることができた。このことから大幅な生産効率アップを達成できることが分かる。さらに、所望の分子量1000以上の高分子化合物を用いることで、より一層粒子製造の効率を向上することができることが分かる。
なお、上記(実施例・比較例1)で用いた試薬の詳細は下記のとおりである。
試薬 製造元
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ピグメントレッド254(Irgaphor Red B−CF)
チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製
ポリビニルピロリドン K−30 和光純薬社製
2−(1−メトキシ)プロピルアセテート 和光純薬社製
ジメチルスルホキシド 和光純薬社製
1mol/l 水酸化ナトリウム水溶液 和光純薬社製
ナトリウムメトキジド28%メタノール溶液 和光純薬社製
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
参考・比較例2)
参考例2−1)
ジメチルスルホキシド1000mlに、ナトリウムメトキシド28%メタノール溶液33.3ml、顔料C.I.ピグメントレッド254:商品名イルガフォア レッド BT−CF チバ・スペシャルティケミカルズ(株)社製)50g、ポリビニルピロリドン100.0gを添加した顔料溶液Aを調製した。これとは別に貧溶媒として、1mol/l塩酸16mlを含有した水1000mlを用意した。
ここで、18℃に温度コントロールし、藤沢薬品工業社製GK−0222−10型ラモンドスターラーにより500rpmで攪拌した貧溶媒の水1000mlに、顔料溶液Aを日本精密化学社製NP−KX−500型大容量無脈流ポンプを用いて流速100ml/minで100ml注入することにより、有機顔料粒子を形成し、顔料分散液Aを調製した。この顔料分散液を、日機装社製ナノトラックUPA−EX150を用いて、粒径、単分散度を測定したところ、数平均粒径29nm、Mv/Mn1.29であった。
上記方法で調製した、顔料ナノ粒子分散液を日立工機(株)社製 高速遠心冷却機 HIMAC SCR20Bで、3500rpm(2000G)、1時間の条件で遠心分離し、上澄みを捨てて沈降した顔料ナノ粒子濃縮ペーストを回収した。ペーストの顔料含率をアジレント(Agilent)社製8453型分光光度計を用いて測定したところ、12.5質量%であった。
上記顔料ナノ粒子調製ペースト16.0gに乳酸エチル50.0ccを加え、ディソルバーで1500rpm・60分攪拌した後住友電工ファインポリマ社製FP−010型フィルタを用いて、ろ過することにより、ペースト状の濃縮顔料液A(ナノ顔料濃度33質量%)を得た。
[顔料分散組成物の調製]
前記ペーストを用い、下記組成の顔料分散組成物Aを調製した。
前記ペースト状の濃縮顔料液A 19.5g
顔料分散剤A 0.6g
メタクリル酸/メタクリル酸ベンジル共重合体* 6.4g
1−メトキシ−2−プロピルアセテート 45.3g
顔料分散剤Aについては特開2000−239554号公報に従い合成した。
* モル比28/72、重量平均分子量:3万、40%1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶液
上記組成の顔料分散組成物をモーターミルM−50(アイガー・ジャパン社製)で、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで1時間分散した。
参考例2−2)
参考例2−1の顔料分散組成物Aにおいて、ナノ顔料粒子形成時に用いた顔料分散剤Aを顔料分散剤B(前記一般式(D3)で表される化合物の例示化合物(c))とした以外は、参考例2−1と同様にして顔料溶液B、顔料分散液B、ペースト状の濃縮顔料液B、および顔料分散組成物Bを調製した。参考例2−1と同様に処理して、測定した粒径、単分散度は、数平均粒径33nm、Mv/Mn1.34であった。なお顔料分散剤Bについては、特公平5−72943号公報に従い合成した。
参考例2−3)
参考例2−1の顔料分散組成物Aにおいて、ナノ顔料粒子形成時に用いた顔料分散剤Aを顔料分散剤C(前記式(D4)で表される化合物)とした以外は、参考例2−1と同様にして顔料溶液C、顔料分散液C、ペースト状の濃縮顔料液C、顔料分散組成物Cを調製した。参考例2−1と同様に処理して、測定した粒径、単分散度は、数平均粒径32nm、Mv/Mn1.33であった。なお顔料分散剤Cの化合物)については、特開2001−31885号公報の合成例1に従い合成した。
参考例2−4)
参考例2−1の顔料分散組成物Aにおいて、ナノ顔料粒子形成時に用いた顔料分散剤を用いなかった以外は、参考例2−1と同様にして顔料溶液D、顔料分散液D、ペースト状の濃縮顔料液D、顔料分散組成物Dを調製した。参考例2−1と同様に処理して、測定した粒径、単分散度は、数平均粒径31nm、Mv/Mn1.33であった。
(実施例2−1
参考例2−1の顔料分散組成物Aにおいて、メタクリル酸/メタクリル酸ベンジル共重合体6.4gを、高分子化合物(C−18)3.2gに代えた以外は、参考例2−1と同様にして顔料溶液E、顔料分散液E、ペースト状の濃縮顔料液E、顔料分散組成物Eを調製した。参考例2−1と同様に処理して、測定した粒径、単分散度は、数平均粒径33nm、Mv/Mn1.31であった。
(実施例2−2
参考例2−2の顔料分散組成物Bにおいて、メタクリル酸/メタクリル酸ベンジル共重合体6.4gを、高分子化合物(C−18)3.2gに代えた以外は、参考例2−2と同様にして顔料溶液F、顔料分散液F、ペースト状の濃縮顔料液F、顔料分散組成物Fを調製した。参考例2−2と同様に処理して、測定した粒径、単分散度は、数平均粒径30nm、Mv/Mn1.29であった。
(実施例2−3
参考例2−3の顔料分散組成物Cにおいて、メタクリル酸/メタクリル酸ベンジル共重合体6.4gを、高分子化合物(C−18)3.2gに代えた以外は、参考例2−3と同様にして顔料溶液G、顔料分散液G、ペースト状の濃縮顔料液G、顔料分散組成物Gを調製した。参考例2−3と同様に処理して、測定した粒径、単分散度は、数平均粒径32nm、Mv/Mn1.33であった。
(実施例2−4
参考例2−4の顔料分散組成物Dにおいて、メタクリル酸/メタクリル酸ベンジル共重合体6.4gを、高分子化合物(C−18)3.2gに代えた以外は、参考例2−4と同様にして顔料溶液H、顔料分散液H、ペースト状の濃縮顔料液H、顔料分散組成物Hを調製した。参考例2−4と同様に処理して、測定した粒径、単分散度は、数平均粒径30nm、Mv/Mn1.28であった。
(比較例2−1)
下記のようにしてビーズ分散機を用いて、下記組成の顔料分散組成物Iを調製した。
顔料(ピグメントレッド254) 6.4g
顔料分散剤A 0.6g
ポリビニルピロリドン6g(和光純薬(株)社製、K30、分子量40,000)
メタクリル酸/メタクリル酸ベンジル共重合体* 6.4g
1−メトキシ−2−プロピルアセテート 45.3g
*モル比28/72、重量平均分子量:3万、40%1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶液
1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶液中に、顔料(ピグメントレッド254)の紛体、ポリビニルピロリドン6g、メタクリル酸/メタクリル酸ベンジル共重合体を投入攪拌し、混合液を得た。次にこの混合液をモーターミルM−50(アイガー・ジャパン社製)で、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで9時間分散した。実施例2−1と同様に処理して、測定した粒径、単分散度は、数平均粒径82nm、Mv/Mn1.56であった。
(比較例2−2)
下記のようにして下記組成の顔料分散組成物Jを調製した。
顔料(ピグメントレッド254) 6.4g
塩化ナトリウム 64.0g
メタクリル酸/メタクリル酸ベンジル共重合体* 6.4g
*モル比28/72、重量平均分子量:3万、40%1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶液
1−メトキシ−2−プロピルアセテート溶液中に塩化ナトリウム、顔料(ピグメントレッド254)の紛体、メタクリル酸/メタクリル酸ベンジル共重合体を双腕型ニーダーに仕込み、80℃で10時間混練した。混練後80℃の1%塩酸水溶液500重量部に取り出し、1時間攪拌後、ろ過、湯洗、乾燥、粉砕した後、粉砕物1gに対し1−メトキシ−2−プロピルアセテート2.4gを添加混合した。上記顔料組成物をモーターミルM−50(アイガー・ジャパン社製)で、直径0.65mmのジルコニアビーズを用い、周速9m/sで1時間分散した。顔料分散組成物Jを得た。実施例2−1と同様に処理して、測定した粒径、単分散度は、数平均粒径63nm、Mv/Mn1.88であった。
なお、上記顔料分散組成物A〜Jの調製には下記試薬を用いた。
試薬 製造元
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ピグメントレッド254(イルガフォアレッド BT−CF)
チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製
1−メチル−2−ピロリドン 和光純薬社製
ジメチルスルホキシド 和光純薬社製
2−(1−メトキシ)プロピルアセテート 和光純薬社製
1mol/l 塩酸水溶液 和光純薬社製
8mol/l 水酸化カリウム水溶液 和光純薬社製
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
(試験例2−1)
得られた顔料分散組成物A〜Jを、それぞれガラス基板上に厚みが2μmになるように塗布し、サンプルを作製した。バックライトユニットとして3波長冷陰極管光源(東芝ライテック(株)社製FWL18EX−N)に拡散板を設置したものを用い、2枚の偏光板((株)サンリツ社製の偏光板HLC2−2518)の間にこのサンプルを置き、偏光軸が平行のときと、垂直のときとの透過光量を測定し、その比をコントラストとした(「1990年第7回色彩光学コンファレンス、512色表示10.4”サイズTFT−LCD用カラーフィルタ、植木、小関、福永、山中」等参照。)。色度の測定には色彩輝度計((株)トプコン社製BM−5)を用いた。2枚の偏光板、サンプル、色彩輝度計の設置位置は、バックライトから13mmの位置に偏光板を、40mm〜60mmの位置に直径11mm長さ20mmの円筒を設置し、この中を透過した光を、65mmの位置に設置した測定サンプルに照射し、透過した光を、100mmの位置に設置した偏光板を通して、400mmの位置に設置した色彩輝度計で測定した。色彩輝度計の測定角は2°に設定した。バックライトの光量は、サンプルを設置しない状態で、2枚の偏光板をパラレルニコルに設置したときの輝度が1280cd/mになるように設定した。
またこのサンプルを90mW/cmの高圧水銀ランプで24時間照射し、照射前後の色差を測定し、耐光性の指標とした。なお、本発明において色度は、顕微分光光度計(オリンパス光学社製;OSP100又は200)により測定し、F10光源視野2度の結果として計算して、xyz表色系のxyY値で表す。また、色度の差は、La表色系の色差で表す。この色差が小さいほど好ましい。
顔料分散組成物A〜Jから得たサンプルのコントラスト及び耐光性の測定結果を表2−Aに示す。
[表2−A]
試料 コントラスト 耐光性(色差) 備考
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
顔料分散組成物A 15000 2.2 参考例
顔料分散組成物B 14900 2.3 参考例
顔料分散組成物C 14600 2.1 参考例
顔料分散組成物D 13000 2.5 参考例
顔料分散組成物E 16500 2.0 本発明
顔料分散組成物F 16000 2.1 本発明
顔料分散組成物G 15000 2.0 本発明
顔料分散組成物H 16000 1.8 本発明
顔料分散組成物I 7200 2.8 比較例
顔料分散組成物J 7500 4.5 比較例
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
表2−Aに示すように、本発明の製造方法によりナノサイズの粒子として有機粒子を分散生成させた分散物は、比較例のものに比べて極めて優れたコントラスト、耐光性を示した。
実施例3・参考例3・比較例3
顔料分散組成物Aを下記表2−1の組成となるよう他の成分と混合して、カラーフィルタ用着色感光性樹脂組成物Aを調製した。
Figure 0005325373
<バインダー1>
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸/メチルメタクリレート
=38/25/37モル比のランダム共重合物、分子量4万) 27質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 73質量部
<DPHA液>
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(重合禁止剤MEHQ500ppm
含有、日本化薬(株)社製、商品名:KAYARAD DPHA) 76質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 24質量部
<界面活性剤1>
・下記化合物1 30質量部
・メチルエチルケトン 70質量部
Figure 0005325373
顔料分散組成物Aに代え、顔料分散組成物B〜Jをそれぞれ用いた以外、上記と同様にして、カラーフィルタ用着色感光性樹脂組成物B〜Jをそれぞれ調製した。
ガラス基板上に前記カラーフィルタ作製用の着色感光性組成物を、スピンコーターを用いて塗布し、100℃で2分間乾燥させて、約2μmの厚みの膜を形成した。次いで、窒素気流下、超高圧水銀灯で露光した後、1%炭酸ナトリウム水溶液で現像した。得られた各膜のR成分のコントラスト及び耐光性を試験例2−1と同様に測定した結果を、下記表2−Bに示した。
[表2−B]
試料 コントラスト 耐光性(色差) 備考
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
着色感光性樹脂組成物A 14500 2.2 参考例
着色感光性樹脂組成物B 14200 2.3 参考例
着色感光性樹脂組成物C 14000 2.1 参考例
着色感光性樹脂組成物D 12200 2.5 参考例
着色感光性樹脂組成物E 15900 2.0 本発明
着色感光性樹脂組成物F 15300 2.1 本発明
着色感光性樹脂組成物G 14400 2.0 本発明
着色感光性樹脂組成物H 15200 1.8 本発明
着色感光性樹脂組成物I 6500 2.8 比較例
着色感光性樹脂組成物J 7100 4.5 比較例
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
表2−Bに示すように、本発明の製造方法によりナノサイズ粒子として有機粒子を分散生成させたものを用いた着色感光性樹脂組成物は、比較例のものに比べて極めて優れたコントラストと耐光性を示した。
(実施例4・参考例4・比較例4
[カラーフィルタの作製(スリット状ノズルを用いた塗布による作製)]
〔ブラック(K)画像の形成〕
無アルカリガラス基板を、UV洗浄装置で洗浄後、洗浄剤を用いてブラシ洗浄し、更に超純水で超音波洗浄した。該基板を120℃3分熱処理して表面状態を安定化させた。
該基板を冷却し23℃に温調後、スリット状ノズルを有すガラス基板用コーター(エフ・エー・エス・アジア社製、商品名:MH−1600)にて、下記表2−2に記載の組成よりなる着色感光性樹脂組成物K1を塗布した。引き続きVCD(真空乾燥装置;東京応化工業(株)社製)で30秒間、溶媒の一部を乾燥して塗布層の流動性を無くした後、120℃で3分間プリベークして膜厚2.4μmの感光性樹脂層K1を得た。
Figure 0005325373
超高圧水銀灯を有すプロキシミティ型露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング(株)社製)で、基板とマスク(画像パターンを有す石英露光マスク)を垂直に立てた状態で、露光マスク面と該感光性樹脂層の間の距離を200μmに設定し、露光量300mJ/cmでパターン露光した。
次に、純水をシャワーノズルにて噴霧して、該感光性樹脂層K1の表面を均一に湿らせた後、KOH系現像液(KOH、ノニオン界面活性剤含有、商品名:CDK−1、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ社製)にて23℃で80秒、フラットノズル圧力0.04MPaでシャワー現像しパターニング画像を得た。引き続き、超純水を、超高圧洗浄ノズルにて9.8MPaの圧力で噴射して残渣除去を行い、ブラック(K)の画像Kを得た。引き続き、220℃で30分間熱処理した。
〔レッド(R)画素の形成〕
前記画像Kを形成した基板に、下記表2−3に記載の組成よりなる着色感光性樹脂組成物R1を用い、前記ブラック(K)画像の形成と同様の工程で、熱処理済み画素Rを形成した。
該感光性樹脂層R1の膜厚及び顔料(C.I.P.R.254及びC.I.P.R.177)の塗布量を以下に示す。
感光性樹脂膜厚(μm) 1.60
顔料塗布量(g/m) 1.00
C.I.P.R.254塗布量(g/m) 0.80
C.I.P.R.177塗布量(g/m) 0.20
Figure 0005325373
〔グリーン(G)画素の形成〕
前記画像Kと画素Rを形成した基板に、下記表2−4に記載の組成よりなる着色感光性樹脂組成物G1を用い、前記ブラック(K)画像の形成と同様の工程で、熱処理済み画素Gを形成した。該感光性樹脂層G1の膜厚及び顔料(C.I.P.G.36及びC.I.P.Y.150)の塗布量を以下に示す。
感光性樹脂膜厚(μm) 1.60
顔料塗布量(g/m) 1.92
C.I.P.G.36塗布量(g/m) 1.34
C.I.P.Y.150塗布量(g/m) 0.58
Figure 0005325373
〔ブルー(B)画素の形成〕
前記画像K、画素R及び画素Gを形成した基板に、下記表2−5に記載の組成よりなる着色感光性樹脂組成物B1を用い、前記ブラック(K)画像の形成と同様の工程で、熱処理済み画素Bを形成し、目的のカラーフィルタAを得た。
該感光性樹脂層B1の膜厚及び顔料(C.I.P.B.15:6及びC.I.P.V.23)の塗布量を以下に示す。
感光性樹脂膜厚(μm) 1.60
顔料塗布量(g/m) 0.75
C.I.P.B.15:6塗布量(g/m) 0.705
C.I.P.V.23塗布量(g/m) 0.045
Figure 0005325373
ここで、上記表2−2〜2−5に記載の着色感光性樹脂組成物K1、R1、G1、B1の調製についてさらに詳細に説明する。
着色感光性樹脂組成物K1は、まず表2−2に記載の量のK顔料分散物1、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートをはかり取り、温度24℃(±2℃)で混合して150rpmで10分間攪拌し、次いで、表2−2に記載の量のメチルエチルケトン、バインダー2、ハイドロキノンモノメチルエーテル、DPHA液、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4’−(N,N−ビスエトキシカルボニルメチル)アミノ−3’−ブロモフェニル]−s−トリアジン、界面活性剤1をはかり取り、温度25℃(±2℃)でこの順に添加して、温度40℃(±2℃)で150rpmで30分間攪拌することによって得た。
尚、表2−2に記載の組成物の内、下記成分についてその組成を以下に示した。
<K顔料分散物1>
・カーボンブラック(商品名:Nipex 35、デグサ ジャパン(株)社製)
13.1質量部
・分散剤(下記化合物2J) 0.65質量部
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28モル比
のランダム共重合物、分子量3.7万) 6.72質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 79.53質量部
Figure 0005325373
<バインダー2>
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=78/22モル比
のランダム共重合物、分子量3.8万) 27質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 73質量部
着色感光性樹脂組成物R1は、まず表2−3に記載の量のR顔料分散物A、R顔料分散物2、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートをはかり取り、温度24℃(±2℃)で混合して150rpmで10分間攪拌し、次いで、表2−3に記載の量のメチルエチルケトン、バインダー1、DPHA液、2−トリクロロメチル−5−(p−スチリルスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4’−(N,N−ビスエトキシカルボニルメチル)アミノ−3’−ブロモフェニル]−s−トリアジン、フェノチアジンをはかり取り、温度24℃(±2℃)でこの順に添加して150rpmで30分間攪拌し、更に、表2−3に記載の量の界面活性剤1をはかり取り、温度24℃(±2℃)で添加して30rpmで5分間攪拌し、ナイロンメッシュ#200で濾過することによって得た。
尚、表2−3に記載の組成物の内、R顔料分散物Aは実施例2−1の顔料分散組成物Aと同様にして得たものであり、その組成が下記質量部となるようにして調製したものである。
<R顔料分散物A>
・実施例2−1のペースト状の濃縮顔料液A(C.I.P.R.254) 23質量部
・分散剤(前記化合物2J) 0.8質量部
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28モル比
のランダム共重合物、分子量3万) 8質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 68.2質量部
<R顔料分散物2>
・C.I.P.R.177(商品名:Cromophtal Red A2B、
チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製) 18質量部
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28モル比
のランダム共重合物、分子量3万) 12質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 70質量部
着色感光性樹脂組成物G1は、まず表2−4に記載の量のG顔料分散物1、Y顔料分散物1、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートをはかり取り、温度24℃(±2℃)で混合して150rpmで10分間攪拌し、次いで、表2−4に記載の量のメチルエチルケトン、シクロヘキサノン、バインダー2、DPHA液、2−トリクロロメチル−5−(p−スチリルスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−[4’−(N,N−ビスエトキシカルボニルメチル)アミノ−3’−ブロモフェニル]−s−トリアジン、フェノチアジンをはかり取り、温度24℃(±2℃)でこの順に添加して150rpmで30分間攪拌し、更に、表2−4に記載の量の界面活性剤1をはかり取り、温度24℃(±2℃)で添加して30rpmで5分間攪拌し、ナイロンメッシュ#200で濾過することによって得た。
尚、表2−4に記載の組成物のうち、G顔料分散物1は、富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)社製の「商品名:GT−2」を用いた。Y顔料分散物1は、御国色素(株)社製の「商品名:CFエロ−EX3393」を用いた。
着色感光性樹脂組成物B1は、まず表2−5に記載の量のB顔料分散物1、B顔料分散物2、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートをはかり取り、温度24℃(±2℃)で混合して150rpmで10分間攪拌し、次いで、表2−5に記載の量のメチルエチルケトン、バインダー3、DPHA液、2−トリクロロメチル−5−(p−スチリルスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、フェノチアジンをはかり取り、温度25℃(±2℃)でこの順に添加して、温度40℃(±2℃)で150rpmで30分間攪拌し、更に、表2−5に記載の量の界面活性剤1をはかり取り、温度24℃(±2℃)で添加して30rpmで5分間攪拌し、ナイロンメッシュ#200で濾過することによって得た。
尚、表2−5に記載の組成物のうち、B顔料分散物1は、御国色素(株)社製の「商品名:CFブル−EX3357」を用いた。B顔料分散物2は、御国色素(株)社製の「商品名:CFブル−EX3383」を用いた。
バインダー3の組成は、以下のとおりである。
<バインダー3>
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸/メチルメタクリレート
=36/22/42モル比のランダム共重合物、分子量3.8万) 27質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 73質量部
R顔料分散物Aに用いた濃縮顔料液Aに代えて、それぞれ、濃縮顔料液B〜Hを用いてR顔料分散物B〜Hを調製した。そして上記のカラーフィルタAの作製方法に対し、R顔料分散物Aに代えてR顔料分散物B〜Hをそれぞれ用いた以外同様にして、カラーフィルタB〜Hを作製した。
記のカラーフィルタAの作製方法に対し、R顔料分散物Aに用いるペースト状の濃縮顔料液Aを顔料分散組成物I、Jに変更し、カラーフィルタI、Jを作製した。
れぞれのカラーフィルタについて試験例2−1と同様にしてコントラスト及び耐光性を測定した結果を表2−Cに示した。また、カラーフィルタA〜FのR画素の部分について、光学顕微鏡(オリンパス株式会社製、MX−50)を用いて、倍率500倍で析出物の有無を観察した。画素内及び画素端部に異物、付着物が観察されないものを析出物がなく均一とし、画素内または画素端部に異物、付着物が観察され、不均一であったものを析出物ありとして区別した。その結果を表3−Cに示した。
[表2−C]
カラーフィルタ コントラスト 耐光性(色差) 析出の有無
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
A(参考例) 9800 2.2 析出無く均一
B(参考例) 9600 2.3 析出無く均一
C(参考例) 9500 2.1 析出無く均一
D(参考例) 7400 2.5 析出無く均一
E(本発明) 10900 2.0 析出無く均一
F(本発明) 10700 2.1 析出無く均一
G(本発明) 10000 2.0 析出無く均一
H(本発明) 10700 1.8 析出無く均一
I(比較例) 3500 2.8 析出あり
J(比較例) 4000 4.5 析出あり
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
上記の結果から本発明のカラーフィルタは比較例のものに対して極めて高いコントラストおよび耐光性を示すことが分かる。色差については2以上異なれば観者によっては区別されうる程度である。そして長期(例えば1年以上)の使用により更にこの差は拡大し表示画面上顕著な差となる。本発明のカラーフィルタは、いずれもコントラストが高く、析出物もなく、良好なカラーフィルタであった。一方、比較例のカラーフィルタは、コントラストが低く析出物も見られ、実用上の要求を満足しないレベルのものであった。
(実施例5・参考例5・比較例5
[液晶表示装置の作製及び評価]
カラーフィルタA〜Hを用いて液晶表示装置を作製し表示特性の評価を行った。
(ITO電極の形成)
カラーフィルタが形成されたガラス基板をスパッタ装置に入れて、100℃で1300Å厚さのITO(インヂウム錫酸化物)を全面真空蒸着した後、240℃で90分間アニールしてITOを結晶化し、ITO透明電極を形成した。
(スペーサの形成)
特開2004−240335号公報の[実施例1]に記載のスペーサ形成方法と同様の方法で、上記で作製したITO透明電極上にスペーサを形成した。
(液晶配向制御用突起の形成)
下記のポジ型感光性樹脂層用塗布液を用いて、前記スペーサを形成したITO透明電極上に液晶配向制御用突起を形成した。
但し、露光、現像、及び、ベーク工程は、以下の方法を用いた。
所定のフォトマスクが感光性樹脂層の表面から100μmの距離となるようにプロキシミティ露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング株式会社製)を配置し、該フォトマスクを介して超高圧水銀灯により照射エネルギー150mJ/cmでプロキシミティ露光した。
続いて、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を、シャワー式現像装置にて33℃で30秒間基板に噴霧しながら現像した。こうして、感光性樹脂層の不要部(露光部)を現像除去することにより、カラーフィルタ側基板上に、所望の形状にパターニングされた感光性樹脂層よりなる液晶配向制御用突起が形成された液晶表示装置用基板を得た。
次いで、該液晶配向制御用突起が形成された液晶表示装置用基板を230℃下で30分ベークすることにより、液晶表示装置用基板上に硬化された液晶配向制御用突起を形成した。
<ポジ型感光性樹脂層用塗布液処方>
・ポジ型レジスト液(富士フイルムエレクトロニクス
マテリアルズ(株)社製FH−2413F) : 53.3質量部
・メチルエチルケトン : 46.7質量部
・メガファックF−780F(大日本インキ化学工業(株)社製):0.04質量部
(液晶表示装置の作成)
上記で得られた液晶表示装置用基板上に更にポリイミドよりなる配向膜を設けた。
その後、カラーフィルタの画素群を取り囲むように周囲に設けられたブラックマトリックス外枠に相当する位置にエポキシ樹脂のシール剤を印刷すると共に、MVAモード用液晶を滴下し、対向基板と貼り合わせた後、貼り合わされた基板を熱処理してシール剤を硬化させた。このようにして得た液晶セルの両面に、(株)サンリツ社製の偏光板HLC2−2518を貼り付けた。次いで、3波長冷陰極管光源(東芝ライテック(株)社製FWL18EX−N)のバックライトを構成し、前記偏光板が設けられた液晶セルの背面となる側に配置し、液晶表示装置とした。
液晶表示装置の作製及び評価]
上記実施例と同様にして、カラーフィルタI、Jを用いて液晶表示装置を作製し表示特性の評価を行った。
比較例のカラーフィルタを用いた液晶表示装置に対して、本発明のカラーフィルタを用いた液晶表示装置は黒のしまりおよび赤の描写力に優れ、表示ムラのない良好な表示特性を示すことを確認した。
(実施例6・参考例6・比較例6
[カラーフィルタの作製(感光性樹脂転写材料のラミネートよる作製)]
〔感光性樹脂転写材料の作製〕
厚さ75μmのポリエチレンテレフタレートフィルム仮支持体の上に、スリット状ノズルを用いて、下記処方H1からなる熱可塑性樹脂層用塗布液を塗布、乾燥させた。次に、下記処方P1から成る中間層用塗布液を塗布、乾燥させた。更に、前記着色感光性樹脂組成物K1を塗布、乾燥させ、該仮支持体の上に乾燥膜厚が14.6μmの熱可塑性樹脂層と、乾燥膜厚が1.6μmの中間層と、乾燥膜厚が2.4μmの感光性樹脂層を設け、保護フイルム(厚さ12μmポリプロピレンフィルム)を圧着した。
こうして仮支持体と熱可塑性樹脂層と中間層(酸素遮断膜)とブラック(K)の感光性樹脂層とが一体となった感光性樹脂転写材料K1を作製した。
<熱可塑性樹脂層用塗布液:処方H1>
・メタノール 11.1質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 6.36質量部
・メチルエチルケトン 52.4質量部
・メチルメタクリレート/2−エチルヘキシルアクリレート/ベンジル
メタクリレート/メタクリル酸共重合体
(共重合組成比(モル比)=55/11.7/4.5/28.8、
分子量:9万、Tg:約70℃) 5.83質量部
・スチレン/アクリル酸共重合体(共重合組成比(モル比)
=63/37、分子量:1万、Tg:約100℃) 13.6質量部
・ビスフェノールAにペンタエチレングリコールモノメタクリレートを
2当量脱水縮合した化合物(新中村化学工業(株)社製、
商品名:2,2−ビス[4−(メタクリロキシポリエトキシ)
フェニル]プロパン) 9.1質量部
・前記界面活性剤1 0.54質量部
<中間層用塗布液:処方P1>
・PVA205(ポリビニルアルコール、(株)クラレ社製、
鹸化度=88%、重合度550) 32.2質量部
・ポリビニルピロリドン(アイエスピー・ジャパン(株)社製、
K−30) 14.9質量部
・蒸留水 524質量部
・メタノール 429質量部
次に、前記感光性樹脂転写材料K1の作製において用いた前記着色感光性樹脂組成物K1を、下記表2−6〜2−8に記載の組成よりなる下記着色感光性樹脂組成物R101、G101及びB101に変更し、それ以外は上記と同様の方法により、感光性樹脂転写材料R101、G101及びB101を作製した。尚、着色感光性樹脂組成物R101、G101及びB101の調製方法は、それぞれ前記着色感光性樹脂組成物R1、G1及びB1の調製方法に準ずる。
Figure 0005325373
Figure 0005325373
Figure 0005325373
尚、表2−6に記載の組成物の内、添加剤1は、燐酸エステル系特殊活性剤(楠本化成(株)社製、商品名:HIPLAAD ED152)を用いた。
〔ブラック(K)画像の形成〕
無アルカリガラス基板を、25℃に調整したガラス洗浄剤液をシャワーにより20秒間吹き付けながらナイロン毛を有する回転ブラシで洗浄し、純水シャワー洗浄後、シランカップリング液(N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン0.3質量%水溶液、商品名:KBM603、信越化学工業(株)社製)をシャワーにより20秒間吹き付け、純水シャワー洗浄した。この基板を基板予備加熱装置で100℃2分加熱して次のラミネーターに送った。
前記感光性樹脂転写材料K1の保護フイルムを剥離後、ラミネーター((株)日立インダストリイズ社製(LamicII型))を用い、前記100℃に加熱した基板に、ゴムローラー温度130℃、線圧100N/cm、搬送速度2.2m/分でラミネートした。
仮支持体を熱可塑性樹脂層との界面で剥離後、超高圧水銀灯を有するプロキシミティ型露光機(日立ハイテク電子エンジニアリング(株)社製)で、基板とマスク(画像パターンを有す石英露光マスク)を垂直に立てた状態で、露光マスク面と該熱可塑性樹脂層の間の距離を200μmに設定し、露光量70mJ/cmでパターン露光した。
次に、トリエタノールアミン系現像液(2.5%のトリエタノールアミン含有、ノニオン界面活性剤含有、ポリプロピレン系消泡剤含有、商品名:T−PD1、富士写真フイルム社製)にて30℃50秒、フラットノズル圧力0.04MPaでシャワー現像し熱可塑性樹脂層と中間層を除去した。
引き続き炭酸ナトリウム系現像液(0.06モル/リットルの炭酸水素ナトリウム、同濃度の炭酸ナトリウム、1%のジブチルナフタレンスルホン酸ナトリウム、アニオン界面活性剤、消泡剤、安定剤含有、商品名:T−CD1、富士写真フイルム社製)を用い、29℃30秒、コーン型ノズル圧力0.15MPaでシャワー現像し感光性樹脂層を現像しパターニング画像を得た。
引き続き洗浄剤(燐酸塩・珪酸塩・ノニオン界面活性剤・消泡剤・安定剤含有、商品名「T−SD1(富士写真フイルム社製)」、或いは、炭酸ナトリウム・フェノキシオキシエチレン系界面活性剤含有、商品名「T−SD2(富士写真フイルム社製)」)を用い、33℃20秒、コーン型ノズル圧力0.02MPaでシャワーとナイロン毛を有す回転ブラシにより残渣除去を行い、ブラック(K)の画像を得た。その後更に、該基板に対して該樹脂層の側から超高圧水銀灯で500mJ/cmの光でポスト露光後、220℃、15分熱処理した。
この画像Kを形成した基板を再び、前記のようにブラシで洗浄し、純水シャワー洗浄後、シランカップリング液は使用せずに、基板予備加熱装置に送った。
〔レッド(R)画素の形成〕
前記感光性樹脂転写材料R101を用い、前記感光性樹脂転写材料K1と同様の工程で、熱処理済みのレッド(R)の画素Rを得た。但し露光量は40mJ/cm、炭酸ナトリウム系現像液による現像は35℃35秒とした。該感光性樹脂層R101の膜厚及び顔料(C.I.P.R.254及びC.I.P.R.177)の塗布量を以下に示す。
感光性樹脂膜厚(μm) 2.00
顔料塗布量(g/m) 1.00
C.I.P.R.254塗布量(g/m) 0.80
C.I.P.R.177塗布量(g/m) 0.20
この画像K、及び画素Rを形成した基板を再び、前記のようにブラシで洗浄し、純水シャワー洗浄後、シランカップリング液は使用せずに、基板予備加熱装置に送った。
〔グリーン(G)画素の形成〕
前記感光性樹脂転写材料G101を用い、前記感光性樹脂転写材料R101と同様の工程で、熱処理済みのグリーン(G)の画素Gを得た。但し露光量は40mJ/cm、炭酸ナトリウム系現像液による現像は34℃45秒とした。該感光性樹脂層G101の膜厚及び顔料(C.I.P.G.36及びC.I.P.Y.150)の塗布量を表以下に示す。
感光性樹脂膜厚(μm) 2.00
顔料塗布量(g/m) 1.92
C.I.P.G.36塗布量(g/m) 1.34
C.I.P.Y.150塗布量(g/m) 0.58
この画像K、画素R、および画素Gを形成した基板を再び、前記のようにブラシで洗浄し、純水シャワー洗浄後、シランカップリング液は使用せずに、基板予備加熱装置に送った。
〔ブルー(B)画素の形成〕
前記感光性樹脂転写材料B101を用い、前記感光性樹脂転写材料R101と同様の工程で、熱処理済みのブルー(B)の画素Bを得た。但し露光量は30mJ/cm、炭酸ナトリウム系現像液による現像は36℃40秒とした。該感光性樹脂層B101の膜厚及び顔料(C.I.P.B.15:6及びC.I.P.V.23)の塗布量を以下に示す。
感光性樹脂膜厚(μm) 2.00
顔料塗布量(g/m) 0.75
C.I.P.B.15:6塗布量(g/m) 0.705
C.I.P.V.23塗布量(g/m) 0.045
この画素R、画素G、画素B、および画像Kを形成した基板を240℃で50分ベークして、カラーフィルタA1を得た。
上記のカラーフィルタA1の作成方法に対し、R顔料分散物AをR顔料分散物B〜Hにそれぞれ変更し、カラーフィルタB1〜H1を作製した。
記のカラーフィルタA1の作成方法に対し、R顔料分散物Aを顔料分散組成物I、Jにそれぞれ変更し、カラーフィルタI1、J1を作製した。
得られたカラーフィルタA1〜J1のコントラスト、色差、析出物の有無を、試験例2−2と同様に測定した結果を表2−Dに示した。
[表2−D]
カラーフィルタ コントラスト 耐候性(色差) 析出の有無
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
A1(参考例) 6000 2.1 析出無く均一
B1(参考例) 5900 2.3 析出無く均一
C1(参考例) 5800 2.2 析出無く均一
D1(参考例) 5600 2.5 析出無く均一
E1本発明) 6900 2.0 析出無く均一
F1(本発明) 6300 2.0 析出無く均一
G1(本発明) 6100 2.0 析出無く均一
H1(本発明) 6300 1.9 析出無く均一
I1(比較例) 3000 2.7 析出あり
J1(比較例) 3500 4.6 析出あり
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
上記表2−Dにより、本発明の製造方法でナノサイズ粒子として有機粒子を分散生成させたものを用いることにより、コントラストが極めて高く、耐光性に優れ、しかも析出物の発生が抑えられR画素部のムラがないカラーフィルタとすることができることがわかる。
(実施例7・参考例7・比較例7
[液晶表示装置の作製及び評価]
カラーフィルタA1〜H1を用いて実施例と同様の方法で液晶表示装置を作製し表示特性の評価を行った。
液晶表示装置の作製及び評価]
実施例と同様にして、カラーフィルタI1、J1を用いて液晶表示装置を作製し表示特性の評価を行った。
比較例のカラーフィルタを用いた液晶表示装置に対して、本発明のカラーフィルタを用いた液晶表示装置は、黒のしまりおよび赤の描写力に優れ、表示ムラがなく良好な表示特性を示すことを確認した。
(実施例8・参考例8・比較例8
参考例2の顔料分散組成物の調製について、顔料をC.I.ピグメントレッド254(Irgaphor Red BT−CF)をC.I.ピグメントバイオレット23(Hostaperm Violet RL−NF クラリアント社製)に代えた以外、実施例2等と同様にして、顔料分散液VA〜VH、ペースト状の濃縮顔料液VA〜VH、顔料液分散組成物VA〜VHをそれぞれ調製した。
比較例の顔料分散組成物の調製について、顔料をC.I.ピグメントレッド254からC.I.ピグメントバイオレット23に代えた以外、それぞれ比較例2−1及び2−2と同様にして、顔料分散組成物VI及びVJを調製した。
上記各分散組成物中の顔料粒子の数平均粒径及びMv/Mnを、参考例2と同様に測定した。結果は下記のとおりであった。
[表3−A]
試料 数平均粒径 Mv/Mn
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
顔料分散組成物VA 34nm 1.30
顔料分散組成物VB 36nm 1.36
顔料分散組成物VC 35nm 1.33
顔料分散組成物VD 33nm 1.34
顔料分散組成物VE 32nm 1.33
顔料分散組成物VF 33nm 1.31
顔料分散組成物VG 33nm 1.36
顔料分散組成物VH 34nm 1.31
顔料分散組成物VI 86nm 1.65
顔料分散組成物VJ 70nm 1.72
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
(試験例3−1)
上記顔料分散組成物VA〜VJについて、試験例2−1と同様にしてコントラストの測定を行った。結果を下記に示す。
[表3−B]
試料 コントラスト 備考
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
顔料分散組成物VA 10600 参考例
顔料分散組成物VB 10300 参考例
顔料分散組成物VC 11000 参考例
顔料分散組成物VD 12000 参考例
顔料分散組成物VE 12900 本発明
顔料分散組成物VF 12800 本発明
顔料分散組成物VG 12000 本発明
顔料分散組成物VH 11800 本発明
顔料分散組成物VI 3600 比較例
顔料分散組成物VJ 5000 比較例
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
上記の結果が示すように、本発明の製造方法によりナノサイズの粒子として有機粒子を分散生成させた分散物は、比較例のものに比べて極めて優れたコントラストと耐光性を示した。
(実施例9・参考例9・比較例9
実施例で調製した着色感光性組成物Aについて、顔料分散組成物Aに代えて上記顔料分散組成物VA〜VJを用いた以外は、実施例3等と同様にしてカラーフィルタ用着色感光性樹脂組成物VA〜VJをそれぞれ調製した。得られた着色感光性樹脂組成物のコントラストを試験例3−1と同様にしてそれぞれ測定した。結果を下記に示す。
[表3−C]
試料 コントラスト 備考
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
着色感光性樹脂組成物VA 11100 参考例
着色感光性樹脂組成物VB 12000 参考例
着色感光性樹脂組成物VC 11900 参考例
着色感光性樹脂組成物VD 12700 参考例
着色感光性樹脂組成物VE 13900 本発明
着色感光性樹脂組成物VF 13300 本発明
着色感光性樹脂組成物VG 12800 本発明
着色感光性樹脂組成物VH 12600 本発明
着色感光性樹脂組成物VI 4600 比較例
着色感光性樹脂組成物VJ 6100 比較例
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
上記の結果より、本発明の製造方法により得られたナノ粒子を用いた着色感光性樹脂組成物は、通常用いられるアイガーミルにより作製したものや、ソルトミリング法により微細化した顔料を用いたものに比べて極めて優れたコントラストを示すことが分かる。
(実施例10・参考例10・比較例10
[カラーフィルタの作製(スリット状ノズルを用いた塗布による作製)]
実施例で作製したカラーフィルタAについて、R顔料分散物Aを下記のR顔料分散物1に代え、B顔料分散物2を下記のB顔料分散物VAに代えた以外、実施例と同様にしてカラーフィルタVAを作製した。
<R顔料分散物1>
・C.I.P.R.254(商品名:Irgaphor Red B−CF、
チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製) 8質量部
・分散剤(前記化合物1J) 0.8質量部
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28
モル比のランダム共重合物、重量平均分子量3.7万) 8質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 83.2質量部
<B顔料分散物VA>
・ペースト状の濃縮顔料液VA 22.9質量部
・分散剤(前記化合物1J) 0.8質量部
・ポリマー(ベンジルメタクリレート/メタクリル酸=72/28モル比
のランダム共重合物、分子量3万)8質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 68.3質量部
B顔料分散物VAに用いた濃縮顔料液VAに代えて、それぞれ、濃縮顔料液VB〜VHを用いて、B顔料分散物VB〜VHを調製した。そして上記のカラーフィルタVAに対し、B顔料分散物VAに代えて、それぞれ、B顔料分散物VB〜VHを用いた以外同様にして、カラーフィルタVB〜VHを作製した。
各カラーフィルタのコントラストを試験例2−1と同様にして測定した結果を下記表3−Dに示す。
[表3−D]
試料 コントラスト 備考
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
カラーフィルタVA 5300 参考例
カラーフィルタVB 5000 参考例
カラーフィルタVC 5500 参考例
カラーフィルタVD 5900 参考例
カラーフィルタVE 6200 本発明
カラーフィルタVF 6000 本発明
カラーフィルタVG 6000 本発明
カラーフィルタVH 5700 本発明
カラーフィルタVI 4000 比較例
カラーフィルタVJ 4500 比較例
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
表3−Dより、本発明の製造方法により得られたナノ粒子を用いたカラーフィルタは、通常用いられるアイガーミルにより作製した顔料や、ソルトミリング法により微細化した顔料を用いたカラーフィルタに比べて非常に優れたコントラストを示した。
(実施例11・参考例11・比較例11
[液晶表示装置の作製及び評価]
カラーフィルタVA〜VJを用いて液晶表示装置を作製し、実施例と同様にして表示特性の評価を行った。その結果、比較例のカラーフィルタを用いた液晶表示装置に対して、本発明のカラーフィルタを用いた液晶表示装置は、いずれも黒のしまりおよび青の描写力に優れ、良好な表示特性を示すことを確認した。
(実施例12・参考例12・比較例12
[カラーフィルタの作製(感光性樹脂転写材料のラミネートよる作製)]
実施例で作製したカラーフィルタA1について、R顔料分散物Aを前記R顔料分散物1に代え、B顔料分散物2を前記B顔料分散物VAに代えた以外、実施例と同様にしてカラーフィルタVA1を作製した。
また。上記カラーフィルタVA1に対し、B顔料分散物VAに代えて、B顔料分散物VB〜VHをそれぞれ用いた以外は同様にして、カラーフィルタVB1〜VH1を作製した。
各カラーフィルタのコントラストを試験例2−1と同様にして測定した結果を下記表3−Eに示す。
[表3−E]
試料 コントラスト 備考
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
カラーフィルタVA1 5500 参考例
カラーフィルタVB1 5100 参考例
カラーフィルタVC1 5700 参考例
カラーフィルタVD1 6000 参考例
カラーフィルタVE1 6200 本発明
カラーフィルタVF1 6100 本発明
カラーフィルタVG1 6000 本発明
カラーフィルタVH1 5800 本発明
カラーフィルタVI1 4000 比較例
カラーフィルタJ1 4500 比較例
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
表3−Eより、本発明の製造方法により得られたナノ粒子を用いたカラーフィルタは、通常用いられるアイガーミルにより作製した顔料、ソルトミリング法により微細化した顔料を用いた比較例のカラーフィルタに比べて非常に優れたコントラストを示すことが分かる。
(実施例13・参考例13・比較例13
[液晶表示装置の作製及び評価]
上記カラーフィルタVA1〜VJ1を用いて実施例11等と同様にして液晶表示装置を形成し表示特性の評価を行った。比較例のカラーフィルタを用いた液晶表示装置に対して、本発明のカラーフィルタを用いた液晶表示装置は、黒のしまりおよび青の描写力に優れ、良好な表示特性を示すことを確認した。
(実施例14・参考例14
顔料溶液を貧溶媒に混合する過程において、使用する顔料、溶媒の量を10倍、100倍にした以外は、参考例2のペースト状濃縮顔料液Aと同様にして、ペースト状濃縮顔料液A−10、A−100を作製した。更にこれらを用いて、実施例と同様にして、カラーフィルタA1−10、A1−100を作製した。
また、顔料溶液を貧溶媒に混合する過程において、使用する顔料、溶媒の量を10倍、100倍にした以外は、実施例のペースト状濃縮顔料液Hと同様にして、ペースト状濃縮顔料液H−10、H−100を作製した。さらにこれらを用いて、実施例と同様にして、カラーフィルタH1−10、H1−100を作製した。
作製したカラーフィルタのコントラストの評価結果を表4−Aに示す。
[表4−A]
試料 コントラスト 備考
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
カラーフィルタA1 6000 参考例
カラーフィルタA1−10 6400 参考例
カラーフィルタA1−100 6700 参考例
カラーフィルタH1 6300 本発明
カラーフィルタH1−10 6500 本発明
カラーフィルタH1−100 6900 本発明
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
表4−Aの結果から、本発明の製造方法により得られる有機ナノ粒子によれば、高コントラストのカラーフィルタとすることができ、ナノ粒子製造においてスケールアップしたときにもその優れた特性を維持し、さらには向上させうることが分かる。これにより、本発明の製造方法によれば、カラーフィルタの製造において、高品質と高生産性を両立できることが分かる。
(実施例15・参考例15・比較例15
カラーフィルタA〜J、カラーフィルタA1〜Jにおいて、その作製に使用したピグメントレッド254 商品名イルガフォア レッド BT−CF チバ・スペシャルティケミカルズ社製を、イルガフォア レッド BT−C チバ・スペシャルティケミカルズ社製に代えた以外、上記それぞれのカラーフィルタの作製手順及びその材料の調製手順と同様にして、カラーフィルタを作製した。得られたカラーフィルタを用いて液晶表示装置を作製したところ、比較例のものに対して本発明の液晶表示装置は良好な性能を示した。
(実施例16・参考例16・比較例16
カラーフィルタA〜J、カラーフィルタA1〜Jにおいて、その作製に使用したピグメントレッド254(Irgaphor Red BT−CF)を、Irgaphor Red B−CF、Irgazin DPP Red BO、ピグメントレッド255(Irgazin DPP Red 5G)、もしくはピグメントレッド264(Irgazin DPP Rubine TR)に代えた以外(いずれもチバ・スペシャルティケミカルズ社製)、上記それぞれのカラーフィルタの作製手順及びその材料の調製手順と同様にして、カラーフィルタを作製した。得られたカラーフィルタを用いて液晶表示装置を作製したところ、比較例のものに対して本発明の液晶表示装置は良好な性能を示した。
(実施例17・参考例17・比較例17
カラーフィルタVA〜VJ、カラーフィルタVA1〜VJ1において、その作製に使用したピグメントバイオレット23(Hostaperm Violet RL−NF)
を Fastgen Super Violet BBL 大日本インキ化学工業社製、
バイオレットRE 388−180NO 大日精化工業株式会社製、あるいはピグメントバイオレット37(Cromophtal Violet B チバ・ガイギー社製)に代えた以外、上記それぞれのカラーフィルタの作製手順及びその材料の調製手順と同様にして、カラーフィルタを作製した。得られたカラーフィルタを用いて液晶表示装置を作製したところ、比較例のものに対して本発明の液晶表示装置は良好な性能を示した。
本発明の製造方法に用いられる製造装置の好ましい実施態様を概略的に示す断面図である。 本発明の製造方法に用いられる製造装置の別の好ましい実施態様を概略的に示す断面図である。 図1−2の製造装置の一実施態様として混合室を一部断面により概略的に示す拡大部分断面図である。 図1−2の製造装置の別の実施態様として混合室を一部断面により概略的に示す拡大部分断面図である。 本発明の製造方法に用いられる製造装置の別の好ましい実施態様を概略的に示す断面図である。 本発明の製造方法に用いられる製造装置のさらに別の好ましい実施態様を概略的に示す断面図である。 本発明の製造方法に用いられるディゾルバー撹拌羽根の1例を概略的に示す正面図である。 図4−1に示したディゾルバー撹拌羽根の図面代用写真である。 本発明の製造方法に用いられる回転し得るタービン部とその周囲にわずかな間隙を置いて位置する固定化されたステータ部から構成されている撹拌部の1例を概略的に示す断面図である。 本発明の製造方法に用いられる限外ろ過装置の一構成例を示す説明図である。
符号の説明
11 容器
11a 液槽(溶媒)
11b 液面
12 撹拌羽根
13 混合室
14 供給管
14a 供給管開口部
15 シャフト
16 モーター
17 ケーシング(混合室壁)
18 孔(円形孔)
19a,19b 撹拌羽根
21 容器(攪拌槽外壁)
21a 攪拌槽
22 撹拌羽根
23 排出管
24a、24b 供給管
25 シャフト
50 撹拌装置
32,33 供給口
36 排出口
40 シールプレート
41,42 撹拌羽根
46 外部磁石
48,49 モータ
61 円盤部
62 羽根
63 シャフト
74 回転し得るタービン部
75 固定化されたステータ部
81 分散物を収納する容器
82 循環用ポンプ
83 限外ろ過モジュール
84 補充純粋計測用流量計
85 透過水計測用流量計
86 逆方向洗浄用ポンプ

Claims (29)

  1. 良溶媒に溶解した有機顔料の溶液と、前記良溶媒と相溶性でありかつ前記有機顔料に対しては貧溶媒となる溶媒とを混合して、前記有機顔料をナノサイズの微粒子として生成させ有機顔料の分散液を調製し、次いで
    前記分散液を濃縮もしくはその溶媒を除去して前記分散液中の有機顔料微粒子を再分散可能なフロックとし、
    前記有機顔料微粒子を有機溶媒中に再分散して分散液とするに当たり、前記分散液を濃縮した後に、下記一般式(2)で表される高分子化合物を添加することを特徴とする有機顔料分散液の製造方法。
    Figure 0005325373
    〔式中、Rは、(x+y)価の連結基を表す。RおよびRは、各々独立に単結合または2価の連結基を表す。Aは、酸性基、塩基性窒素原子を有する基、ウレア基、ウレタン基、配位性酸素原子を有する基、炭素数4以上の炭化水素基、アルコキシシリル基、エポキシ基、イソシアネート基、および水酸基からなる群より選ばれる基を有する1価の有機基、または置換基を有してもよい有機色素構造もしくは複素環を含有する1価の有機基を表す。ただし、x個のAは互いに同一であっても、異なっていてもよい。yは1〜8の数を表し、xは2〜9の数を表し、x+yは3〜10を満たす。Pは高分子骨格を表す。〕
  2. 前記が、酸性基、塩基性窒素原子を有する基、ウレア基、および炭素数4以上の炭化水素基からなる群より選ばれる基を有する1価の有機基であることを特徴とする請求項に記載の有機顔料分散液の製造方法。
  3. 前記で表される高分子骨格が、ビニルモノマーの重合体もしくは共重合体、エステル化合物ポリマー、エーテル化合物ポリマー、ウレタン化合物ポリマー、アミド化合物ポリマー、エポキシ化合物ポリマー、シリコーン化合物ポリマー、並びにこれらの変性物及び共重合体からなる群より選ばれる少なくとも一種に由来するものであることを特徴とする請求項1または2に記載の有機顔料分散液の製造方法。
  4. 前記高分子化合物の重量平均分子量が3000〜100000であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の有機顔料分散液の製造方法。
  5. 前記有機顔料分散液を調製するに当り、いずれかの工程でアミノ基を有する顔料分散剤を共存させることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の有機顔料分散液の製造方法。
  6. 前記有機顔料分散液を調製するに当り、一般式(D1)で表される顔料分散剤、一般式(D)で表される顔料分散剤、および下記顔料分散剤Eから選ばれる少なくとも1種を含有させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機顔料分散液の製造方法。
    Figure 0005325373
    (一般式(D1)中、Aは、X−Yとともにアゾ色素を形成しうる成分を表す。Xは単結合又は下記式(i)〜(v)の構造式のいずれかで表される二価の連結基から選択される基を表す。Yは下記一般式(D2)で表される基を表し、あるいはnが1の場合−NH−X−Qでもよい。)
    Figure 0005325373
    Figure 0005325373
    (一般式(D2)中、Zは低級アルキレン基を表す。−NR21は、低級アルキルアミノ基又は窒素原子を含む5乃至6員飽和ヘテロ環を表す。aは1又は2を表す。)
    Figure 0005325373
    (一般式(D3)中、Qはアントラキノン化合物色素、アゾ化合物色素、フタロシアニン化合物色素、キナクリドン化合物色素、ジオキサジン化合物色素、アントラピリミジン化合物色素、アンサンスロン化合物色素、インダンスロン化合物色素、フラバンスロン化合物色素、ピランスロン化合物色素、ペリノン化合物色素、ペリレン化合物色素、及びチオインジゴ化合物色素から選ばれる有機色素残基を表す。Xは−CONH−Y−、−SONH−Y−、又は−CHNHCOCHNH−Y−を表し、Yは置換基を有してもよいアルキレン基又はアリーレン基を表す。R11およびR12はそれぞれ独立に置換もしくは無置換のアルキル基またはR11とR12とで少なくとも窒素原子を含むヘテロ環を形成してもよい。Yは−NH−又は−O−を表し、Zは水酸基又は一般式(D3a)で表される基を表し、あるいはn1が1の場合−NH−X−Qでもよい。m1は1〜6の整数を表し、n1は1〜4の整数を表す。)
    Figure 0005325373
    (一般式(D3a)中、Yは−NH−又は−O−を表し、m1、R11、およびR12は一般式(D3)と同じである。)
    [顔料分散剤E:(i)末端にエチレン性不飽和二重結合を有する重合性オリゴマーと、(ii)窒素原子とエチレン性不飽和二重結合とを有する窒素含有モノマーと、(iii)エーテル基を有する重合性モノマーとを共重合体単位として含むグラフト共重合体からなる顔料分散剤であって、
    前記重合性オリゴマー(i)が、下記一般式(E6)で表され、
    Figure 0005325373
    (一般式(E6)において、R61及びR63は水素原子又はメチル基を表す。R62は、炭素数1〜8のアルコール性水酸基で置換されてもよいアルキレン基を表す。Yは、フェニル基、炭素数1〜4のアルキル基を有するフェニル基、又は−COOR64(ここで、R64は、炭素数1〜6のアルコール性水酸基、ハロゲンで置換されてもよいアルキル基、フェニル基、又は炭素数7〜10のアリールアルキル基を表す。)を表す。qは、20〜200を表す。)
    前記窒素含有モノマー(ii)が下記一般式(E2)で表され、
    Figure 0005325373
    (前記一般式(E2)において、R21は、水素原子又はメチル基を表す。R22は、炭素数1〜8のアルキレン基を表す。Xは、−N(R23)(R24)または−R25N(R26)(R27)を表す。ここで、R23及びR24は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基を表す。R25は、炭素数1〜6のアルキレン基を表し、R26及びR27は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基を表す。m2及びn2は0又は1を表す。)
    前記重合性モノマー(iii)が下記一般式(E1)で表される。
    Figure 0005325373
    (前記一般式(E1)において、R11は、水素原子又はメチル基を表す。R12は、炭素数1〜8のアルキレン基を表す。Xは、−OR13又は−OCOR14を表す。ここで、R13は、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、フェニル基、又は炭素数1〜18のアルキル基で置換されたフェニル基を表す。R14は、炭素数1〜18のアルキル基を表す。m3は2〜200を表す。)]
  7. 前記有機顔料の貧溶媒が、水性溶媒、アルコール化合物溶媒、ケトン化合物溶媒、エーテル化合物溶媒、エステル化合物溶媒、またはこれらの混合物であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の有機顔料分散液の製造方法。
  8. 前記有機顔料の良溶媒が、水性溶媒、アルコール化合物溶媒、ケトン化合物溶媒、エーテル化合物溶媒、スルホキシド化合物溶媒、エステル化合物溶媒、アミド化合物溶媒、またはこれらの混合物であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の有機顔料分散液の製造方法。
  9. 前記有機顔料がピロロピロール化合物顔料であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の有機顔料分散液の製造方法。
  10. 前記ピロロピロール化合物顔料が下記式(V)で表される顔料であることを特徴とする請求項に記載の有機顔料分散液の製造方法。
    Figure 0005325373
  11. 前記ピロロピロール化合物顔料が下記式(Z)で表される顔料であることを特徴とする請求項に記載の有機顔料分散液の製造方法。
    Figure 0005325373
  12. 前記ピロロピロール化合物顔料が下記式(W)で表される顔料であることを特徴とする請求項に記載の有機顔料分散液の製造方法。
    Figure 0005325373
  13. 前記有機顔料がジオキサジン化合物顔料であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の有機顔料分散液の製造方法。
  14. 前記ジオキサジン化合物顔料がC.I.ピグメント・バイオレット37である請求項13に記載の有機顔料分散液の製造方法。
  15. 前記ジオキサジン化合物顔料がC.I.ピグメント・バイオレット23である請求項13に記載の有機顔料分散液の製造方法。
  16. 前記有機顔料溶液と貧溶媒とを混合して有機顔料分散液を生成させるに当り、前記貧溶媒が10L以上のスケールで有機顔料微粒子を生成させることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の有機顔料分散液の製造方法。
  17. 前記顔料微粒子の平均粒径を1nm〜1μmとする請求項1〜16のいずれか1項に記載の有機顔料分散液の製造方法。
  18. 前記有機顔料分散液の濃縮倍率を100〜3000倍程度とする請求項1〜17のいずれか1項に記載の有機顔料分散液の製造方法。
  19. 前記有機微粒子100質量部に対して、前記高分子化合物を0.1〜1000質量部で含有させる請求項1〜18のいずれか1項に記載の有機顔料分散液の製造方法。
  20. 前記有機微粒子100質量部に対して、前記顔料分散剤を0.1〜1000質量部で含有させる請求項1〜19のいずれか1項に記載の有機顔料分散液の製造方法。
  21. 請求項1〜20のいずれか1項に記載の方法で製造された、有機顔料微粒子と前記式(2)で表される高分子化合物とを有機溶媒中に含有する有機顔料分散液
  22. 前記顔料微粒子の平均粒径を1nm〜1μmとした請求項21に記載の有機顔料分散液。
  23. 前記有機微粒子の濃度が3〜90質量%である請求項21または22に記載の有機顔料分散液。
  24. 前記有機微粒子100質量部に対して、前記高分子化合物を0.1〜1000質量部で含有させた請求項21〜23のいずれか1項に記載の有機顔料分散液。
  25. 前記有機微粒子100質量部に対して、前記顔料分散剤を0.1〜1000質量部で含有させる請求項21〜24のいずれか1項に記載の有機顔料分散液。
  26. 請求項21〜25のいずれか1項に記載の有機顔料分散液中の有機顔料微粒子と、バインダーと、モノマーもしくはオリゴマーと、光重合開始剤もしくは光重合開始剤系とを少なくとも含む着色感光性樹脂組成物。
  27. 仮支持体上に、少なくとも、請求項26に記載の着色感光性樹脂組成物を含む感光性樹脂層を設けたことを特徴とする感光性樹脂転写材料。
  28. 請求項26に記載の着色感光性樹脂組成物及び/又は請求項27に記載の感光性樹脂転写材料を用いたことを特徴とするカラーフィルタ。
  29. 請求項2に記載のカラーフィルタを備えたことを特徴とする液晶表示装置。
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