JP5324885B2 - 水性被覆材用樹脂分散液及びその製造方法、並びに水性被覆材 - Google Patents
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Description
以上のような理由から、耐ブロッキング性、耐水性及び耐候性を兼ね備えた塗膜を形成することのできる水性被覆材が望まれている。
形態(1):ポリシロキサンの粒子の存在下に、前記ラジカル重合性単量体組成物を重合することにより導入された形態。
形態(2):前記ラジカル重合性単量体組成物と加水分解性シランをラジカル重合することにより導入された形態。
形態(3):前記ラジカル重合性単量体組成物とシリコーン系マクロモノマーをラジカル重合することにより導入された形態。
また、本発明の水性被覆材は、前記水性被覆材用樹脂分散液を含む水性被覆材である。
方法(イ):水系媒質中に分散させたポリシロキサンの粒子の存在下に、前記ラジカル重合性単量体組成物を重合して樹脂分散液を得る方法。
方法(ロ):前記ラジカル重合性単量体組成物及び加水分解性シランを、水、界面活性剤、ラジカル重合開始剤の存在下でラジカル重合して樹脂分散液を得る方法。
方法(ハ):前記ラジカル重合性単量体組成物及びシリコーン系マクロモノマーを、水、界面活性剤、ラジカル重合開始剤の存在下でラジカル重合して樹脂分散液を得る方法。
また、本発明の水性被覆材用樹脂分散液の製造方法は、前記シリコン含有水性ビニル系樹脂として、オルガノシロキサンを繰り返し単位とする重合体ブロック(X)と、アリル基を2つ以上有する単量体を含むラジカル重合性単量体組成物を重合してなる重合体ブロック(Y)と、重合体ブロック(X)と重合体ブロック(Y)に共重合したケイ素含有グラフト交叉剤(Z)とからなるグラフトブロック共重合体を形成する方法であって、オルガノシロキサンとケイ素含有グラフト交叉剤(Z)とを反応させ、ケイ素含有グラフト交叉剤(Z)が組み込まれた重合体ブロック(X)を形成した後、該重合体ブロック(X)の存在下に水系媒質中で前記ラジカル重合性単量体組成物を重合して重合体ブロック(Y)を形成する方法であることが好ましい。
また、本発明の水性被覆材用樹脂分散液によれば、耐ブロッキング性、耐水性及び耐候性に優れた塗膜を形成する水性被覆材を得ることができる。また、本発明の製造方法によれば、耐ブロッキング性、耐水性及び耐候性に優れた塗膜を形成する水性被覆材に含まれる前記水性被覆材用樹脂分散液を得ることができる。
本発明の水性被覆材用樹脂分散液(以下、「樹脂分散液」という。)は、アリル基を2つ以上有する単量体を含むラジカル重合性単量体組成物を重合して得られるポリマー成分とシリコン成分とを含有するシリコン含有水性ビニル系樹脂(以下、「ビニル系樹脂」という。)が、水系媒質中に分散されている分散液である。
アリル基含有単量体は架橋構造を形成して塗膜の耐ブロッキング性、耐水性、耐候性を向上させる成分であり、例えば、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、イソ(テレ)フタル酸ジアリル、イソシアヌル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル等が挙げられる。なかでも、耐水性及び耐候性の点から、アリル基を3つ有するトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレートの使用が好ましい。
これらのアリル基含有単量体は、ラジカル重合性が比較的遅いアリル基を2つ以上有するため、エチレングリコールジメタクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、トリス(2−アクリロイルオキシエチレン)イソシアヌレート等のアリル基以外のラジカル重合性基を2つ以上有する単量体に比べて、充分な耐ブロッキング性、耐水性及び耐候性が得られる。
具体的には、形成される塗膜の耐候性及び耐水性に優れる点から、t−ブチルメタクリレート及び/又はシクロヘキシルメタクリレートが含まれていることが好ましい。ラジカル重合性単量体組成物(100質量%)におけるこれらの単量体の含有量は、5〜70質量%であることが好ましく、10〜60質量%であることがより好ましい。前記含有量が5質量%以上であれば、形成される塗膜の耐候性及び耐水性を向上させやすい。また、前記含有量が70質量%以下であれば、形成される塗膜の耐凍害性の低下を抑制しやすい。
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−(3−)ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは必要に応じて1種以上を選択して使用できる。
自己架橋性官能基含有エチレン性不飽和単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート等のオキシラン基含有エチレン性不飽和単量体、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド等のエチレン性不飽和アミドのアルキロール又はアルコキシアルキル化合物が挙げられる。これらは必要に応じて1種以上を選択して使用できる。
エチレン性不飽和カルボン酸としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、シトラコン酸、マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノブチル、ビニル安息香酸、シュウ酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフタル酸モノヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、5−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、マレイン酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、マレイン酸ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフタル酸モノヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは必要に応じて1種以上を選択して使用できる。
ポリオキシアルキレン基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、ヒドロキシポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシポリプロピレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシ(ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシポリ(エチレンオキシド/プロピレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシ(ポリエチレンオキシド−ポリテトラメチレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシポリ(エチレンオキシド/テトラメチレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシ(ポリプロピレンオキシド−ポリテトラメチレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート、ヒドロキシポリ(プロピレンオキシド/テトラメチレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート等の末端ヒドロキシ型ポリアルキレンオキシド基含有エチレン性不飽和単量体や、メトキシポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、アリロキシポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレンオキシドモノ(メタ)アクリレート、オクトキシ(ポリエチレンオキシド−ポリプロピレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシ(ポリエチレンオキシド−プロピレンオキシド)モノ(メタ)アクリレート等のアルキル基末端封止型ポリアルキレンオキシド基含有エチレン性不飽和単量体が挙げられる。これらは必要に応じて1種以上を選択して使用できる。
耐紫外線エチレン性不飽和単量体としては、例えば、光安定化作用を有する(メタ)アクリレート、及び紫外線吸収性成分を有する(メタ)アクリレートが挙げられる。
光安定化作用を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等が挙げられる。
紫外線吸収性成分を有する(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−[2−ヒドロキシ−5−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3−t−ブチル−5−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3−t−アミル−5−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル]−2H−ベンゾトリアゾール等が挙げられる。
これらは必要に応じて1種以上を選択して使用できる。
金属含有エチレン性不飽和単量体としては、例えば、モノクロル酢酸金属(メタ)アクリレート、モノフルオロ酢酸金属(メタ)アクリレート、プロピオン酸金属(メタ)アクリレート、オクチル酸金属(メタ)アクリレート、バーサチック酸金属(メタ)アクリレート、イソステアリン酸金属(メタ)アクリレート、パルミチン酸金属(メタ)アクリレート、クレソチン酸金属(メタ)アクリレート、α−ナフトエ酸金属(メタ)アクリレート、β−ナフトエ酸金属(メタ)アクリレート、安息香酸金属(メタ)アクリレート、2,4,5−トリクロロフェノキシ酢酸金属(メタ)アクリレート、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸金属(メタ)アクリレート、キノリンカルボン酸金属(メタ)アクリレート、ニトロ安息香酸金属(メタ)アクリレート、ニトロナフタレンカルボン酸金属(メタ)アクリレート、プルビン酸金属(メタ)アクリレート、等が挙げられ、金属としてはマグネシウム、カルシウム、鉄、銅、亜鉛、ジルコニウムが挙げられる。なかでも、亜鉛含有エチレン性不飽和単量体が好ましい。これらは必要に応じて1種以上を選択して使用できる。
ラジカル重合性単量体組成物(100質量%)におけるメチルメタクリレートの含有量は、25質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、塗膜の耐凍害性の点から、65質量%以下が好ましい。
尚、ラジカル重合性単量体は、ラジカル重合可能なものであればこれらに限られるものではない。
形態(1):ポリシロキサンの粒子の存在下に、前記ラジカル重合性単量体組成物を重合することにより導入された形態、
形態(2):ラジカル重合性単量体組成物と加水分解性シランをラジカル重合することにより導入された形態、
形態(3):ラジカル重合性単量体組成物とシリコーン系マクロモノマーをラジカル重合することにより導入された形態が挙げられる。
なかでも、形態(1)が好ましく、ビニル系樹脂は、オルガノシロキサンを繰り返し単位とする重合体ブロック(X)と、ラジカル重合性単量体組成物を重合してなる重合体ブロック(Y)と、重合体ブロック(X)と重合体ブロック(Y)に共重合したケイ素含有グラフト交叉剤(Z)とからなるグラフトブロック共重合体であることがより好ましい。
ケイ素含有グラフト交叉剤(Z)としては、例えば、分子中に1個以上の加水分解性シリル基、及び1個以上のビニル重合性官能基又はメルカプト基を含有する化合物が挙げられる。加水分解性シリル基としては、重合反応性、取り扱いの容易さ、コスト等を考慮すると、アルコキシシリル基が好ましい。
ケイ素含有グラフト交叉剤(Z)の具体例としては、例えば、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニルシラン類;γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のメタクリロキシアルキルシラン類;γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のアクリロキシアルキルシラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン等のメルカプトアルキルシラン類;等が挙げられる。なかでも、ビニル重合反応性、コスト等の点から、メタクリロキシアルキルシラン類、アクリロキシアルキルシラン類、メルカプトアルキルシラン類が特に好ましい。これらは必要に応じて1種以上を選択して使用できる。
グラフトブロック共重合体における重合体ブロック(Y)の含有量は、グラフトブロック共重合体100質量%に対して、50〜99.8質量%であることが好ましく、60〜99.8質量%であることがより好ましく、90〜99.8質量%であることがさらに好ましい。重合体ブロック(Y)の含有量が50質量%以上であれば、形成される塗膜の硬度、強度、耐ブロッキング性、耐汚染性を向上させやすい。また、重合体ブロック(Y)の含有量が99.8質量%以下であれば、形成される塗膜の可撓性、耐水性、耐侯性の低下を抑制しやすい。
加水分解性シランは、特に限定されず、酸触媒又はアルカリ触媒等によって加水分解及び縮合し、オルガノポリシロキサンを形成するものであればよい。加水分解性シランの具体例としては、下記一般式(I)で表されるオルガノアルコキシシラン類が挙げられる。
(R1)nSi(R2)4−n ・・・(I)
(式中、R1は、水素原子、炭素数1〜16の脂肪族炭化水素基、アリル基又はシクロアルキル基を示し、R2は炭素数1〜8のアルコキシ基、アセトキシ基又は水酸基を示し、nは1〜3の整数を示す。)
式(I)において、R1が2個又は3個存在する場合は、R1がすべて同一の基であってもよいし、一部又は全部が異なる基であってもよい。R1としては、メチル基、フェニル基が特に好ましい。R2としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、メトキシエトキシ基、水酸基が特に好ましい。
また、メチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルクロロシラン、ビニルクロロシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリクロロシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルジクロロメチルシラン等のクロロシラン類;オクタメチルシクロテトラシラン、オクタフェニルシクロシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン等の環状シラン;等を用いることもできる。
これら加水分解性シランは、必要に応じて1種以上を選択して使用できる。また、ラジカル重合性単量体組成物に共重合可能な加水分解性シランと、式(I)で表される加水分解性シランを併用することが特に好ましい。
シリコーン系マクロモノマーとは、ラジカル重合性基を有し、ポリシロキサン構造を持つ高分子量単量体の総称である。その分子量は1000〜10000程度が一般的である。シリコーン系マクロモノマーのラジカル重合性基は、エチレン性不飽和単量体との共重合の容易さから、アクリル基又はメタクリル基であることが好ましい。
シリコーン系マクロモノマーは、例えば、市販品として入手できる。具体例としては、チッソ(株)製のFM0711、FM0721(下記式(II)において、m≒60、R3=E=メチル基、D=メタクリロイルオキシプロピル基)、FM0725(下記式(II)において、m≒130、R3=E=メチル基、D=メタクリロイルオキシプロピル基、)、東亜合成(株)製のAK−5、AK−30、AK−32、信越化学工業(株)製のX−22−174DX等が挙げられる(以上、全て商品名)。これらは必要に応じて1種以上を選択して使用できる。
前記のような現象が生じると、樹脂分散液を製造する際の重合安定性が悪化するうえ、該樹脂分散液を用いた塗料(水性被覆材)で形成される塗膜が不均一なものとなる。また、未反応のシリコーン系マクロモノマーが形成する粘着層が汚染の原因となったり、シリコン成分が多すぎる部分で堅牢な塗膜が生成されない結果、該塗膜の耐候性及び耐水性が低下したりする。
本発明の水性被覆材用樹脂分散液の製造方法は、シリコン含有水性ビニル系樹脂が水系媒質中に分散された分散液の製造方法であって、前述のアリル基含有単量体を含むラジカル重合性単量体組成物を、シリコン成分の存在下に水系媒質中で重合してビニル系樹脂を形成する方法である。
乳化重合は、例えば、界面活性剤の存在下、ラジカル重合性単量体組成物を重合系内に供給し、ラジカル重合開始剤により重合を行わせる公知の方法を使用することができる。
また、重合速度の促進、及び70℃以下の低温での重合が望まれる場合には、例えば、重亜硫酸ナトリウム、硫酸第一鉄、アスコルビン酸塩等の還元剤をラジカル重合開始剤と組み合わせて用いると有利である。
界面活性剤としては、各種のアニオン性、カチオン性、又はノニオン性の界面活性剤、さらには高分子乳化剤が挙げられる。また、界面活性剤成分中にエチレン性不飽和結合を持つ、反応性界面活性剤を使用することもできる。なかでも、形成される塗膜の耐候性及び耐水性の点から、反応性界面活性剤を使用することが好ましい。更に、形成される塗膜の耐水性及び耐候性の向上の点から、用いる全界面活性剤成分のうち50質量%以上を反応性界面活性剤とすることが特に好ましい。
リン酸エステル型反応性界面活性剤は市販品として入手できる。具体例としては、東邦化学工業(株)製のサーフマーシリーズであるFP−80、FP−100、FP−120、FP−160、FP−200、FP−125、アデカ(株)製のアデカリアソープシリーズであるPP−70、PPE−710等が挙げられる。これらは必要に応じて1種以上を選択して使用できる。
方法(ロ):ラジカル重合性単量体組成物及び加水分解性シランを、水、界面活性剤、ラジカル重合開始剤の存在下でラジカル重合して樹脂分散液を得る方法。
方法(ハ):ラジカル重合性単量体組成物及びシリコーン系マクロモノマーを、水、界面活性剤、ラジカル重合開始剤の存在下でラジカル重合して樹脂分散液を得る方法。
オルガノシロキサンとケイ素含有グラフト交叉剤(Z)を反応させることにより、ケイ素含有グラフト交叉剤(Z)の加水分解性シリル基が重合に関与して、ケイ素含有グラフト交叉剤(Z)が組み込まれた重合体ブロック(X)(ポリシロキサンの粒子)が得られる。該重合体ブロック(X)を製造する方法は、公知の方法を使用することができ、例えば、オルガノシロキサンとケイ素含有グラフト交叉剤(Z)とをホモミキサーや圧力型ホモジナイザー等で水中に強制的に乳化分散させたものに、重合開始剤としてアルキルベンゼンスルホン酸等の酸触媒を加えて重縮合させる方法が挙げられる。
前記触媒の使用量は、樹脂分散液の固形分100質量部に対して、0.01〜10質量部であることが好ましく、0.05〜5質量部であることがより好ましい。
δj=(△E/V)1/2= (Σi△ei/Σi△vi)1/2 ・・・ (1)
ここで、式(1)中の記号は以下の意味を示す。
δj(J/cm3)1/2:単量体(j)のSP値
△E(J/mol):単量体(j)の凝集エネルギー密度
V(cm3/mol):単量体(j)のモル体積
△ei(J/mol):原子又は原子団(i)の蒸発エネルギー
△vi(cm3/mol):原子又は原子団(i)のモル体積
なかでも、塗膜の耐水性、耐候性の点からSP値が20〜25のエチレン性不飽和単量体を使用することがより好ましい。
ここで、Tgとは、下記式(2)に示したFoxの式により求められる値である。
1/(273+Tg)=Σ(Wi/(273+Tgi))・・・(2)
式(2)中、Wiは単量体iの質量分率、Tgiは単量体iの単独重合体のTg(℃)を示す。
本発明の水性被覆材は、前述の樹脂分散液を含む水性被覆材である。
本発明の水性被覆材は、必要に応じて各種顔料、消泡剤、顔料分散剤、レベリング剤、たれ防止剤、艶消し剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐熱性向上剤、スリップ剤、防腐剤等を含有してもよい。また、他のエマルション樹脂、水溶性樹脂、粘性制御剤、メラミン類等の硬化剤と混合して使用してもよい。
本発明の水性被覆材は、主成分であるエマルション粒子(ビニル系樹脂)及び前記界面活性剤、添加剤等で固形分を形成し、通常、固形分20〜80質量%の状態で使用される。
各種基材の表面に水性被覆材を塗装する方法としては、例えば、噴霧コート法、ローラーコート法、バーコート法、エアナイフコート法、刷毛塗り法、ディッピング法、フローコート法等の各種の塗装法を使用することができる。また、本発明の水性被覆材は、室温乾燥又は50〜180℃の加熱乾燥により、充分に造膜した塗膜を形成することができる。
該硬化触媒の使用量は、水性被覆材の固形分100質量部に対して、0.0001〜10質量部であることが好ましく、0.01〜5質量部であることがより好ましい。また、硬化触媒は、その使用に際して、界面活性剤と水を用いてエマルション化しておくことが好ましい。
本実施例における水性被覆材の評価は下記方法に従って実施した。
[評価用水性被覆材(クリヤー塗料)の作製]
エマルション粒子(ビニル系樹脂)のMFTが10℃を超えるものについては、造膜助剤としてジエチレングリコールモノブチルエーテル(以下、「BDG」という。)を樹脂分散液に添加しMFTを10℃以下にした。次いで、エマルション粒子の樹脂分散液100gに対し、RHEOLATE350(RHEOX(株)製、増粘剤)を0.5g、サーフィノールDF−58(エア・プロダクツ(株)製、消泡剤)0.5gを加え、充分に攪拌し、脱イオン水を加えてフォードカップ#4で30秒程度になるように調整した。その後、100メッシュナイロン紗を用いて濾過を行い、評価用水性被覆材を得た。
本実施例では、得られた水性被覆材により塗膜を形成し、該塗膜の耐ブロッキング性、耐水性及び耐候性の評価を実施した。また、得られた水性被覆材におけるエマルション粒子の粒子径の測定を行った。
(1)耐ブロッキング性
評価用水性被覆材をガラス板に4ミルアプリケーターにて塗装(縦80mm×横80mm)し、100℃で20分間強制乾燥させた。次いで、50℃まで冷却した後、50℃雰囲気下で塗膜表面にガーゼを載せ、更にその上に事前に50℃まで加温した分銅を置き、3kg/cm2の荷重をかけて30分間維持した。次いで、常温まで冷却した後、ゆっくりガラス板を逆さまにしてガーゼを剥がし、その時の剥がし難さ、及びガーゼの痕跡を目視にて観察し、下記の基準に従って評価した。ガーゼが自然に落下しない場合については、ガーゼを手で引き剥がした。
◎:ガーゼが自然に落下し、塗膜上にガーゼの痕跡がほとんど残っていない。
○:ガーゼが自然に落下することはないが、塗膜上にガーゼの痕跡はほとんど残っていない。
△:ガーゼが自然に落下することはないが、少しの力で剥離することができ、ガーゼの痕跡が多少残っている。
×:ガーゼを剥離する時に塗膜の一部も剥離し、ガーゼの痕跡がくっきりと残っている。
評価用水性被覆材をリン酸亜鉛処理鋼鈑(ボンデライト#100処理鋼鈑、板厚0.8mm、縦150mm×横70mm)にバーコーター#48にて塗装し、130℃で20分間強制乾燥した。次いで、室温まで放冷した。その後、50℃の温水に該リン酸亜鉛処理鋼鈑を100時間浸漬し、引き上げ直後、及び所定時間経過後の塗膜外観を目視にて観察し、下記の基準に従って評価した。
◎:塗装面の白化は少なく、引き上げ直後に完全にクリヤー塗膜(外観が透明)となった。
○:多少塗装面の白化は認められるが、引き上げ後は2〜3時間程度でほぼクリヤー塗膜となった。
△:多少塗装面の白化が認められ、引き上げてから24時間経過後でも少し濁っており、48時間後で辛うじて、クリヤー塗膜となった。
×:かなり塗装面が白化しており、引き上げ後も白化したままで、最後までクリヤー塗膜にならなかった。
耐水性評価に使用したものと同様の試験板を用い、ダイプラ・メタルウエザーKU−R4−W型(ダイプラ・ウィンテス(株)製)にて耐候性試験を行った。このとき、試験サイクルは、照射4時間(噴霧5秒/15分)/結露4時間、UV強度:65mW/cm2、ブラックパネル温度:照射時63℃/結露時30℃、湿度:照射時50%RH/結露時96%RHの条件で、1200時間経過後の60°光沢度の保持率と色差を耐候性の指標とし、下記の基準に従って評価した。
◎:光沢保持率80%以上、かつ色差2未満
○:光沢保持率70%以上、かつ色差2以上3未満
△:光沢保持率60%以上、かつ色差3以上5未満
×:光沢保持率60%未満、または色差5以上
大塚電子(株)製濃厚系粒径アナライザーFPAR−1000を用いて室温下にて測定し、キュムラント解析により算出した。
ジメチルシロキサン環状オリゴマー3〜7量体混合物(98部)、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(2部)、水(310部)及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(1部)からなる組成物をホモミキサーで予備混合した後、圧力式ホモジナイザーによる200kg/cm2の圧力で強制乳化してシリコン原料プレエマルションを得た。
次いで、水(90部)及びドデシルベンゼンスルホン酸(9部)を攪拌機、還流冷却管、温度制御装置及び滴下ポンプを備えたフラスコに仕込み、攪拌下に、フラスコの内温を85℃に保ちながら4時間かけて前記シリコン原料プレエマルションを滴下した。滴下終了後、さらに1時間重合を進行させた後、冷却してドデシルベンゼンスルホン酸と当モル量の水酸化ナトリウムを加えてポリオルガノシロキサン水分散液(SiEm)を調製した。固形分は18%であった。
[実施例1]シリコン成分導入方法:(イ)
攪拌機、還流冷却管、温度制御装置、滴下ポンプを備えたフラスコに、脱イオン水(110部)、ニューコール707SF(日本乳化剤(株)製、固形分30%)(5部)、SiEm(5部、固形分:0.9部)、及び表1の「1段目」に示す組成のラジカル重合性単量体組成物の混合物と、パーブチルH69(日本油脂(株)製)(0.02部)を仕込んだ。フラスコの内温を40℃に昇温した後、硫酸第一鉄(0.0002部)/EDTA(0.0005部)/アスコルビン酸ナトリウム(0.12部)/脱イオン水(6部)からなる還元剤水溶液を添加した。重合発熱によるピークトップ温度を確認後、フラスコの内温を75℃に保持した。
前記還元剤水溶液を添加した0.5時間後に、表1の「2段目」に示す組成のラジカル重合性単量体組成物、脱イオン水(25部)、ニューコール707SF(2.5部)、サーフマーFP−120(東邦化学工業(株)製)(0.5部)及び28%アンモニア水溶液(0.17部)を予め乳化分散させたプレエマルション液、並びにパーブチルH69(0.03部)を脱イオン水(5部)に溶解した重合開始剤溶液を2時間かけて滴下した。この滴下中はフラスコの内温を75℃に保持し、滴下が終了してからさらに1.5時間75℃に保持した。次いで、28%アンモニア水(1.25部)を添加後、室温まで冷却し、アジピン酸ジヒドラジド(0.7部)と脱イオン水(1.5部)の混合液を添加してエマルション粒子の樹脂分散液を得た。
このエマルション粒子の樹脂分散液を用い、エマルション粒子100部に対し造膜助剤BDGを8部添加して、評価用水性被覆材を作製した。
ラジカル重合性単量体組成物(「1段目」及び「2段目」)、界面活性剤、有機ヒドラジン化合物の組成を表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてエマルション粒子の樹脂分散液を得た。
このエマルション粒子の樹脂分散液を用い、エマルション粒子100部に対し造膜助剤BDGを8部添加して、評価用水性被覆材を作製した。
攪拌機、還流冷却管、温度制御装置、滴下ポンプを備えたフラスコに、脱イオン水(100部)と、ニューコール707SF(日本乳化剤(株)製、固形分30%)(4部)と、SiEm(5部、固形分0.9部)と、表1の「1段目」に示す組成のラジカル重合性単量体組成物、脱イオン水(35部)、ニューコール707SF(3.5部)、サーフマーFP−120(0.5部)及び28%アンモニア水溶液(0.17部)を予め乳化分散させたプレエマルション液の10%分と、パーブチルH69(0.02部)とを仕込んだ。フラスコの内温を40℃に昇温した後、硫酸第一鉄(0.0002部)/EDTA(0.0005部)/アスコルビン酸ナトリウム(0.12部)/脱イオン水(6部)からなる還元剤水溶液を添加した。重合発熱によるピークトップ温度を確認後、フラスコの内温を75℃に保持した。
前記還元剤水溶液を添加した0.5時間後に、残りのプレエマルション液(90%分)及びパーブチルH69(0.03部)を脱イオン水(5部)に溶解した重合開始剤溶液を2時間かけて滴下した。この滴下中はフラスコの内温を75℃に保持し、滴下が終了してからさらに1.5時間75℃に保持した。次いで、28%アンモニア水(1.25部)を添加後、室温まで冷却し、アジピン酸ジヒドラジド(0.7部)と脱イオン水(1.5部)の混合液を添加してエマルション粒子の樹脂分散液を得た。
このエマルション粒子の樹脂分散液を用い、エマルション粒子100部に対し造膜助剤BDGを8部添加して、評価用水性被覆材を作製した。
攪拌機、還流冷却管、温度制御装置、滴下ポンプを備えたフラスコに、脱イオン水(109部)、アデカリアソープSR−1025(アデカ(株)製、固形分25%)(6部)、SiEm(5部、固形分0.9部)、及び表1の「1段目」に示す組成のラジカル重合性単量体組成物の混合物と、パーブチルH69(0.02部)を仕込んだ。フラスコの内温を40℃に昇温した後、硫酸第一鉄(0.0002部)/EDTA(0.0005部)/アスコルビン酸ナトリウム(0.12部)/脱イオン水(6部)からなる還元剤水溶液を添加した。重合発熱によるピークトップ温度を確認後、フラスコの内温を75℃に保持した。
前記還元剤水溶液を添加した0.5時間後に、表1の「2段目」に示す組成のラジカル重合性単量体組成物、脱イオン水(25部)、アデカリアソープSR−1025(3部)、サーフマーFP−120(0.5部)及び28%アンモニア水溶液(0.17部)を予め乳化分散させたプレエマルション液と、パーブチルH69(0.03部)を脱イオン水(5部)に溶解した重合開始剤溶液とを2時間かけて滴下した。この滴下中はフラスコの内温を75℃に保持し、滴下が終了してからさらに1.5時間75℃に保持した。次いで、28%アンモニア水(1.25部)を添加後、室温まで冷却し、アジピン酸ジヒドラジド(0.7部)と脱イオン水(1.5部)の混合液を添加してエマルション粒子の樹脂分散液を得た。
このエマルション粒子の樹脂分散液を用い、エマルション粒子100部に対し造膜助剤BDGを8部添加して、評価用水性被覆材を作製した。
攪拌機、還流冷却管、温度制御装置、滴下ポンプを備えたフラスコに、脱イオン水(100部)、SiEm(56部、固形分10部)、表1の「1段目」に示す組成のラジカル重合性単量体組成物の混合物と、パーブチルH69(0.02部)を仕込んだ。フラスコの内温を40℃に昇温した後、硫酸第一鉄(0.0002部)/EDTA(0.0005部)/アスコルビン酸ナトリウム(0.12部)/脱イオン水(6部)からなる還元剤水溶液を添加した。重合発熱によるピークトップ温度を確認後、フラスコの内温を75℃に保持した。
前記還元剤水溶液を添加した0.5時間後に、表1の「2段目」に示す組成のラジカル重合性単量体組成物、脱イオン水(25部)、アデカリアソープSR−1025(3部)、サーフマーFP−120(0.5部)及び28%アンモニア水溶液(0.17部)を予め乳化分散させたプレエマルション液と、パーブチルH69(0.03部)を脱イオン水(5部)に溶解した重合開始剤溶液とを2時間かけて滴下した。この滴下中はフラスコの内温を75℃に保持し、滴下が終了してからさらに75℃に保持した。次いで、28%アンモニア水(1.25部)を添加後、室温まで冷却1.5時間し、アジピン酸ジヒドラジド(0.7部)と脱イオン水(1.5部)の混合液を添加してエマルション粒子の樹脂分散液を得た。
このエマルション粒子の樹脂分散液を用い、エマルション粒子100部に対し造膜助剤BDGを8部添加し、評価用水性被覆材を作製した。
攪拌機、還流冷却管、温度制御装置、滴下ポンプを備えたフラスコに、脱イオン水(110部)、ニューコール707SF(5部)、表1の「1段目」に示す組成のラジカル重合性単量体組成物の混合物と、パーブチルH69(0.02部)を仕込んだ。フラスコの内温を40℃に昇温した後、硫酸第一鉄(0.0002部)/EDTA(0.0005部)/アスコルビン酸ナトリウム(0.12部)/脱イオン水(6部)からなる還元剤水溶液を添加した。重合発熱によるピークトップ温度を確認後、フラスコの内温を75℃に保持した。
前記還元剤水溶液を添加した0.5時間後に、表1の「2段目」に示す組成のラジカル重合性単量体組成物、表1に示す組成の加水分解性シラン、脱イオン水(25部)、ニューコール707SF(2.5部)、サーフマーFP−120(0.5部)及び28%アンモニア水溶液(0.17部)を予め乳化分散させたプレエマルション液と、パーブチルH69(0.03部)を脱イオン水(5部)に溶解した重合開始剤溶液とを2時間かけて滴下した。この滴下中はフラスコの内温を75℃に保持し、滴下が終了してからさらに1.5時間75℃に保持した。次いで、28%アンモニア水(1.25部)を添加後、室温まで冷却し、アジピン酸ジヒドラジド(0.7部)と脱イオン水(1.5部)の混合液を添加してエマルション粒子の樹脂分散液を得た。
このエマルション粒子の樹脂分散液を用い、エマルション粒子100部に対し造膜助剤BDGを8部添加し、評価用水性被覆材を作製した。
加水分解性シランの混合物の代わりにシリコーン系マクロモノマーであるFM0725(商品名、チッソ(株)製)を用いた以外は、実施例16と同様にしてエマルション粒子の樹脂分散液を得た。
このエマルション粒子の樹脂分散液を用い、エマルション粒子100部に対し造膜助剤BDGを8部添加し、評価用水性被覆材を作製した。
表2に示す組成のラジカル重合性単量体組成物、界面活性剤、ヒドラジン化合物を用いた以外は、実施例1と同様にしてエマルション粒子の樹脂分散液を得た。
このエマルション粒子の樹脂分散液を用い、エマルション粒子100部に対し造膜助剤BDGを8部添加し、評価用水性被覆材を作製した。
表2に示す組成のラジカル重合性単量体組成物、界面活性剤、ヒドラジン化合物を用いた以外は、実施例13と同様にしてエマルション粒子の樹脂分散液を得た。
このエマルション粒子の樹脂分散液を用い、エマルション粒子100部に対し造膜助剤BDGを8部添加し、評価用水性被覆材を作製した。
攪拌機、還流冷却管、温度制御装置、滴下ポンプを備えたフラスコに、脱イオン水(100部)と、ニューコール707SF(日本乳化剤(株)製、固形分30%)(4部)と、表1の「1段目」に示す組成のラジカル重合性単量体組成物、脱イオン水(35部)、ニューコール707SF(3.5部)、サーフマーFP−120(0.5部)及び28%アンモニア水溶液(0.17部)を予め乳化分散させたプレエマルション液の10%分と、パーブチルH69(0.02部)とを仕込んだ。フラスコの内温を40℃に昇温した後、硫酸第一鉄(0.0002部)/EDTA(0.0005部)/アスコルビン酸ナトリウム(0.12部)/脱イオン水(6部)からなる還元剤水溶液を添加した。重合発熱によるピークトップ温度を確認後、フラスコの内温を75℃に保持した。
前記還元剤水溶液を添加した0.5時間後に、残りのプレエマルション液(90%分)と、パーブチルH69(0.03部)を脱イオン水(5部)に溶解した重合開始剤溶液とを2時間かけて滴下した。この滴下中はフラスコの内温を75℃に保持し、滴下が終了してからさらに1.5時間75℃に保持した。次いで、28%アンモニア水(1.25部)を添加後、室温まで冷却し、アジピン酸ジヒドラジド(0.7部)と脱イオン水(1.5部)との混合液を添加してエマルション粒子の樹脂分散液を得た。
このエマルション粒子の樹脂分散液を用い、エマルション粒子100部に対し造膜助剤BDGを8部添加し、評価用水性被覆材を作製した。
MMA:メチルメタクリレート
GMA:グリシジルメタクリレート
2−HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
n−BMA:n−ブチルメタクリレート
2−EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
AA:アクリル酸
DAAm:ジアセトンアクリルアミド
TAC:トリアリルシアヌレート
TAIC:トリアリルイソシアヌレート
CHMA:シクロヘキシルメタクリレート
t−BMA:t−ブチルメタクリレート
EDMA:エチレングリコールジメタクリレート
TMP−TMA:トリメチロールプロパントリメタクリレート
FA−731A:トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート(日立化成工業(株)製)
AMA:アリルメタクリレート
DVB:ジビニルベンゼン
ニューコール 707SF:非反応性アニオン性界面活性剤(日本乳化剤(株)製)
アデカリアソープ SR−1025:反応性アニオン性界面活性剤(商品名、アデカ(株)製)
サーフマーFP−120:リン酸エステル型反応性界面活性剤(商品名、東邦化学工業(株)製)
ADH:アジピン酸ジヒドラジド
FM0725:シリコーン系マクロモノマー(商品名、チッソ(株)製)
一方、表4に示すように、アリル基含有単量体以外の、ラジカル重合性基を2つ以上有する単量体を用いた比較例1〜7では、形成された塗膜は耐ブロッキング性、耐水性及び耐候性のいずれか1つ以上が実施例に比べて劣っており、物性バランスが悪かった。また、アリル基含有単量体を用いているが、シリコン成分が含有されていない比較例8では、形成された塗膜は耐ブロッキング性、耐水性及び耐候性がいずれも劣っていた。
Claims (4)
- アリル基を2つ以上有する単量体を含むラジカル重合性単量体組成物を重合して得られるポリマー成分とシリコン成分とを含有するシリコン含有水性ビニル系樹脂が、水系媒質中に分散された水性被覆材用樹脂分散液であって、
前記シリコン成分が、下記形態(1)〜(3)のいずれか1つ以上の形態である水性被覆材用樹脂分散液。
形態(1):ポリシロキサンの粒子の存在下に、前記ラジカル重合性単量体組成物を重合することにより導入された形態。
形態(2):前記ラジカル重合性単量体組成物と加水分解性シランをラジカル重合することにより導入された形態。
形態(3):前記ラジカル重合性単量体組成物とシリコーン系マクロモノマーをラジカル重合することにより導入された形態。 - 請求項1に記載の水性被覆材用樹脂分散液を含む水性被覆材。
- アリル基を2つ以上有する単量体を含むラジカル重合性単量体組成物を重合して得られるポリマー成分とシリコン成分とを含有するシリコン含有水性ビニル系樹脂が、水系媒質中に分散された樹脂分散液の製造方法であって、
下記方法(イ)〜(ハ)のいずれか1つ以上の方法で前記シリコン成分を導入する、水性被覆材用樹脂分散液の製造方法。
方法(イ):水系媒質中に分散させたポリシロキサンの粒子の存在下に、前記ラジカル重合性単量体組成物を重合して樹脂分散液を得る方法。
方法(ロ):前記ラジカル重合性単量体組成物及び加水分解性シランを、水、界面活性剤、ラジカル重合開始剤の存在下でラジカル重合して樹脂分散液を得る方法。
方法(ハ):前記ラジカル重合性単量体組成物及びシリコーン系マクロモノマーを、水、界面活性剤、ラジカル重合開始剤の存在下でラジカル重合して樹脂分散液を得る方法。 - 前記シリコン含有水性ビニル系樹脂として、オルガノシロキサンを繰り返し単位とする重合体ブロック(X)と、アリル基を2つ以上有する単量体を含むラジカル重合性単量体組成物を重合してなる重合体ブロック(Y)と、重合体ブロック(X)と重合体ブロック(Y)に共重合したケイ素含有グラフト交叉剤(Z)とからなるグラフトブロック共重合体を形成する方法であって、
オルガノシロキサンとケイ素含有グラフト交叉剤(Z)とを反応させ、ケイ素含有グラフト交叉剤(Z)が組み込まれた重合体ブロック(X)を形成した後、該重合体ブロック(X)の存在下に水系媒質中で前記ラジカル重合性単量体組成物を重合して重合体ブロック(Y)を形成する、請求項3に記載の水性被覆材用樹脂分散液の製造方法。
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