JP5316752B2 - 液晶配向剤および液晶表示素子 - Google Patents
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Description
さらに、TN型液晶表示素子に比して高いコントラスト比を実現できるSTN(Super Twisted Nematic)型液晶表示素子、視角依存性の少ないIPS(In−Plane Switching)型液晶表示素子、視角依存性が少ないと共に映像画面の高速応答性に優れた光学補償ベンド(OCB)型液晶表示素子、負の誘電異方性を有するネマチック型液晶を用いるVA(Vertical Alignment)型液晶表示素子などが知られている(特許文献1〜6および非特許文献1〜5参照)。このような液晶表示素子においても、液晶分子の配向制御は、通常、ポリアミック酸、ポリイミドなどの重合体を含有する液晶配向剤により形成されたこれら重合体を主成分とする液晶配向膜によりなされている。
このような液晶配向膜は、良好な液晶配向性能、高い電圧保持率、残像が発生しないことなどの性能が要求される。
しかしながら液晶配向膜に従来から要求されている上記の如き諸性能を損なわずに高度の印刷性を充たす材料は、未だ知られていない。
本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになろう。
テトラカルボン酸二無水物と、下記式(A)
で表される化合物を含むジアミンとを反応させて得られるポリアミック酸およびそのイミド化重合体よりなる群から選択される少なくとも1種の重合体を含有する液晶配向剤によって達成され、第2に、
上記液晶配向剤から形成された液晶配向膜を具備する液晶表示素子によって達成される。
本発明の液晶配向剤は、テトラカルボン酸二無水物と、上記式(A)で表される化合物を含むジアミンとを反応させて得られるポリアミック酸およびそのイミド化重合体よりなる群から選択される少なくとも1種の重合体を含有する。
<テトラカルボン酸二無水物>
本発明におけるポリアミック酸を合成するために用いられるテトラカルボン酸二無水物としては、例えばブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジクロロ−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−テトラメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボルナン−2−酢酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、
のそれぞれで表される化合物などの脂肪族または脂環式テトラカルボン酸二無水物;
ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物、エチレングリコール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、プロピレングリコール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,4−ブタンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,6−ヘキサンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、1,8−オクタンジオール−ビス(アンヒドロトリメリテート)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン−ビス(アンヒドロトリメリテート)、下記式(T−1)〜(T−4)
本発明におけるポリアミック酸を合成するために用いられるテトラカルボン酸二無水物は、これらのうち、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−8−メチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5,8−ジメチル−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]フラン−1,3−ジオン、ビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3−オキサビシクロ[3.2.1]オクタン−2,4−ジオン−6−スピロ−3’−(テトラヒドロフラン−2’,5’−ジオン)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、3,5,6−トリカルボキシ−2−カルボキシノルボルナン−2:3,5:6−二無水物、4,9−ジオキサトリシクロ[5.3.1.02,6]ウンデカン−3,5,8,10−テトラオン、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、上記式(T−I)で表される化合物のうち下記式(T−5)〜(T−7)
本発明におけるポリアミック酸を合成するために用いられるテトラカルボン酸二無水物は、上記の如き特定テトラカルボン酸二無水物を、全テトラカルボン酸二無水物に対して、20モル%以上含むものであることが好ましく、50モル%以上含むものであることがより好ましく、特に80モル%以上含むものであることが好ましい。
本発明におけるポリアミック酸を合成するために用いられるジアミンは、上記式(A)で表される化合物を含むものである。
上記式(A)における2つのアミノ基は、Xが単結合であるときはXに対して2,4位または2,5位にあることが好ましく、Xがメチレン基またはエチレン基であるときはXに対して2,4位または3,5位にあることが好ましい。Xとしては、単結合またはメチレン基であることが好ましい。
上記式(A)で表される化合物の具体例としては、例えば下記式(A−1)〜(A−4)
上記式(A)で表される化合物は、有機化学の定法を適宜に組み合わせることにより、容易に合成することができる。
例えば上記式(A−1)および(A−2)で表される化合物は、それぞれ、テトラヒドロアビエチン酸を塩化チオニルなどにより処理して酸塩化物とした後、所望の置換位置のジニトロフェノールと反応させてジニトロ化合物を得、さらにこのジニトロ化合物をパラジウム炭素/ヒドラジン、あるいは、塩化スズなどの適宜の還元系により還元することにより合成することができる。
上記式(A−3)および(A−4)で表される化合物は、それぞれ、テトラヒドロアビエチン酸を、例えば炭酸カリウムなどの適当な塩基の存在下で所望の置換位置のジニトロベンジルクロリドと反応させてジニトロ化合物を得、このジニトロ化合物をパラジウム炭素/ヒドラジン、あるいは、塩化スズなどの適宜の還元系により還元することにより合成することができる。
原料のテトラヒドロアビエチン酸は、例えば
非特許文献6(Jornal of Organic Chemistry、34巻、1550ページ(1969年))に記載されているように、エタノール溶媒中、ラネーニッケルの存在下において、高温、高圧下でアビエチン酸を還元する方法;
非特許文献7(Jornal of Organic Chemistry、23巻、151ページ(1958年))に記載されているように、アビエチン酸のジ−n−アミルアミン塩をリチウム/液体アンモニア触媒により7,8−ジヒドロアビエチン酸に還元した後、さらに白金触媒を用いて接触水素化する方法
などにより合成することができるほか、市販品を利用することができる。
2,3−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリミジン、5,6−ジアミノ−2,3−ジシアノピラジン、5,6−ジアミノ−2,4−ジヒドロキシピリミジン、2,4−ジアミノ−6−ジメチルアミノ−1,3,5−トリアジン、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジン、2,4−ジアミノ−6−イソプロポキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メトキシ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−メチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−1,3,5−トリアジン、4,6−ジアミノ−2−ビニル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−5−フェニルチアゾール、2,6−ジアミノプリン、5,6−ジアミノ−1,3−ジメチルウラシル、3,5−ジアミノ−1,2,4−トリアゾール、6,9−ジアミノ−2−エトキシアクリジンラクテート、3,8−ジアミノ−6−フェニルフェナントリジン、1,4−ジアミノピペラジン、3,6−ジアミノアクリジン、ビス(4−アミノフェニル)フェニルアミン、3,6−ジアミノカルバゾール、N−メチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−エチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−フェニル−3,6−ジアミノカルバゾール、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−ベンジジン、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−N,N’−ジメチル−ベンジジン、下記式(D−I)
で表される化合物、下記式(D−II)
で表される化合物などの分子内に2つの1級アミノ基および該1級アミノ基以外の窒素原子を有するジアミン;
下記式(D−III)
で表される化合物などのモノ置換フェニレンジアミン;
下記式(D−IV)
で表される化合物などのジアミノオルガノシロキサン;
下記式(D−1)〜(D−5)
のそれぞれで表される化合物などを挙げることができる。これらのジアミンは、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
本発明におけるポリアミック酸を合成するために用いられるジアミンは、上記式(A)で表される化合物のほかに、他のジアミンとして、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、1,5−ジアミノナフタレン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジトリフルオロメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、2,7−ジアミノフルオレン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ビスアニリン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、上記式(D−1)〜(D−5)のそれぞれで表される化合物、2,6−ジアミノピリジン、3,4−ジアミノピリジン、2,4−ジアミノピリミジン、3,6−ジアミノアクリジン、3,6−ジアミノカルバゾール、N−メチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−エチル−3,6−ジアミノカルバゾール、N−フェニル−3,6−ジアミノカルバゾール、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−ベンジジン、N,N’−ビス(4−アミノフェニル)−N,N’−ジメチルベンジジン、上記式(D−I)で表される化合物のうちの下記式(D−6)
本発明におけるポリアミック酸を合成するために用いられるジアミンは、上記式(A)で表される化合物を、全ジアミンに対して、1モル%以上含むものであることが好ましく、5〜50モル%含むものであることがより好ましく、10〜30モル%含むものであることがさらに好ましい。
本発明におけるポリアミック酸を合成するために用いられるジアミンは、上記の如き他の特定ジアミンを、全ジアミンに対して、20モル%以上含むものであることが好ましく、50〜70モル%含むものであることがより好ましい。
本発明におけるポリアミック酸は、上記の如きテトラカルボン酸二無水物と、上記式(A)で表される化合物を含むジアミンとを反応させることにより合成することができる。
ポリアミック酸の合成反応に供されるテトラカルボン酸二無水物とジアミンの使用割合は、ジアミンに含まれるアミノ基1当量に対して、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基が0.5〜2当量となる割合が好ましく、0.7〜1.2当量となる割合がさらに好ましい。
ポリアミック酸の合成反応は、好ましくは有機溶媒中において、好ましくは−20〜150℃、より好ましくは0〜100℃の温度条件下において、好ましくは0.5〜240時間、より好ましくは2〜12時間行われる。有機溶媒としては、合成されるポリアミック酸を溶解できるものであれば特に制限はなく、例えばN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルトリアミドなどの非プロトン系極性溶媒;m−クレゾール、キシレノール、フェノール、ハロゲン化フェノールなどのフェノール系溶媒を挙げることができる。有機溶媒の使用量(a)は、テトラカルボン酸二無水物およびジアミンの総量(b)が、反応溶液の全量(a+b)に対して0.1〜30重量%になるような量であることが好ましい。なおここで、有機溶媒と後述の貧溶媒とを併用する場合には、上記有機溶媒の使用量(a)は、有機溶媒と貧溶媒との合計量を表すものとして理解されるべきである。
有機溶媒と後述の貧溶媒とを併用する場合、貧溶媒の使用割合としては、有機溶媒と貧溶媒との合計に対して、好ましくは50重量%以下であり、より好ましくは20重量%以下であり、さらに好ましくは10重量%以下である。
本発明におけるイミド化重合体は、上記の如くして得られるポリアミック酸を脱水閉環することにより得ることができる。
本発明におけるイミド化重合体は、ポリアミック酸の有するアミック酸構造のすべてが脱水閉環された完全イミド化体であってもよく、アミック酸構造とイミド環とが併存するものであってもよい。本発明におけるイミド化重合体のイミド化率は、好ましくは40%以上であり、より好ましくは80%以上である。ここで、「イミド化率」とは、重合体におけるアミック酸構造の数とイミド環の数との合計に対する、イミド環の数の占める割合を百分率で表した数値である。このとき、イミド環の一部がイソイミド環であってもよい。
ポリアミック酸の脱水閉環反応は、例えば
(i)ポリアミック酸を加熱する方法、
(ii)ポリアミック酸を有機溶媒に溶解し、この溶液中に脱水剤および脱水閉環触媒を添加し必要に応じて加熱する方法
などにより行うことができる。
上記(i)のポリアミック酸を加熱する方法における反応温度は、好ましくは50〜200℃であり、より好ましくは60〜170℃である。反応温度が50℃未満では脱水閉環反応が十分に進行せず、反応温度が200℃を超えると得られるイミド化重合体の分子量が低下することがある。反応時間は好ましくは0.5〜24時間であり、より好ましくは2〜12時間である。
上記(ii)のポリアミック酸の溶液中に脱水剤および脱水閉環触媒を添加する方法において、脱水剤としては、例えば無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸などの酸無水物を用いることができる。脱水剤の使用量は、ポリアミック酸の繰り返し単位1モルに対して0.01〜20モルとすることが好ましい。また、脱水閉環触媒としては、例えばピリジン、コリジン、ルチジン、トリエチルアミンなどの3級アミンを用いることができる。しかし、これらに限定されるものではない。脱水閉環触媒の使用量は、使用する脱水剤1モルに対して0.01〜10モルとすることが好ましい。脱水閉環反応に用いられる有機溶媒としては、ポリアミック酸の合成に用いられるものとして例示した有機溶媒を挙げることができる。脱水閉環反応の反応温度は、好ましくは0〜180℃、より好ましくは10〜150℃である。反応時間は好ましくは0.5〜24時間であり、より好ましくは2〜12時間時間である。
上記ポリアミック酸およびイミド化重合体は、分子量が調節された末端修飾型の重合体であってもよい。このような末端修飾型の重合体は、ポリアミック酸を合成する際に、酸一無水物、モノアミン化合物、モノイソシアネート化合物などの適宜の分子量調節剤を反応系に添加することにより合成することができる。
ここで、酸一無水物としては、例えば無水マレイン酸、無水フタル酸、無水イタコン酸、n−デシルサクシニック酸無水物、n−ドデシルサクシニック酸無水物、n−テトラデシルサクシニック酸無水物、n−ヘキサデシルサクシニック酸無水物などを挙げることができる。モノアミン化合物としては、例えばアニリン、シクロヘキシルアミン、n−ブチルアミン、n−ペンチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン、n−ウンデシルアミン、n−ドデシルアミン、n−トリデシルアミン、n−テトラデシルアミン、n−ペンタデシルアミン、n−ヘキサデシルアミン、n−ヘプタデシルアミン、n−オクタデシルアミン、n−エイコシルアミンなどを挙げることができる。モノイソシアネート化合物としては、例えばフェニルイソシアネート、ナフチルイソシアネートなどを挙げることができる。
分子量調節剤の使用割合としては、ポリアミック酸を合成する際に用いられるテトラカルボン酸二無水物とジアミンとの合計100重量部に対して、好ましくは10重量部以下であり、より好ましくは5重量部以下である。
以上のようにして得られるポリアミック酸またはイミド化重合体は、濃度10重量%の溶液としたときに、20〜800mPa・sの溶液粘度を持つものであることが好ましく、30〜500mPa・sの溶液粘度を持つものであることがより好ましい。
上記重合体の溶液粘度(mPa・s)は、当該重合体の良溶媒(例えばγ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドンなど)を用いて調製した濃度10重量%の重合体溶液につき、E型回転粘度計を用いて25℃において測定した値である。
本発明の液晶配向剤は、上記の如きポリアミック酸およびそのイミド化重合体よりなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体を必須の成分として含有するが、それ以外に本発明の効果および利点を損なわない限りにおいて、さらにその他の成分を含有してもよい。かかるその他の成分としては、例えば他の重合体、分子内に少なくとも一つのエポキシ基を有する化合物(以下「エポキシ化合物」という。)、官能性シラン化合物を挙げることができる。
上記他の重合体としては、例えばポリオルガノシロキサン、テトラカルボン酸二無水物と上記式(A)で表される化合物を含まないジアミンとを反応させて得られるポリアミック酸(以下、「他のポリアミック酸」という。)およびそのイミド化重合体(以下、「他のイミド化重合体」という。)、ポリアミック酸エステル、ポリエステル、ポリアミド、セルロース誘導体、ポリアセタール、ポリスチレン誘導体、ポリ(スチレン−フェニルマレイミド)誘導体、ポリ(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。これらのうち、他のポリアミック酸または他のイミド化重合体が、ワニス性状および電気特性に優れる点から好ましく、他のポリアミック酸がより好ましい。
本発明の液晶配向剤における他の重合体の使用割合は、重合体の合計(テトラカルボン酸二無水物と上記式(A)で表される化合物を含むジアミンとを反応させて得られるポリアミック酸およびそのイミド化重合体ならびに他の重合体の合計をいう。以下同じ。)に対して、好ましくは80重量%以下であり、より好ましくは50重量%以下であり、さらに20重量%以下であることが好ましい。
官能性シラン化合物の配合割合は、重合体の合計100重量部に対して、好ましくは2重量部以下であり、より好ましくは0.2重量部以下である。
本発明の液晶配向剤は、上記の如きポリアミック酸およびそのイミド化重合体よりなる群から選ばれる少なくとも1種の重合体ならびに任意的に使用されるその他の成分を、好ましくは有機溶媒中に溶解、含有してなる。
本発明の液晶配向剤を構成する有機溶媒としては、ポリアミック酸の合成反応に用いられるものとして例示した溶媒を挙げることができる。ここで、ポリアミック酸の合成反応の際に併用することができるものとして例示した貧溶媒も適宜選択して併用することができる。
本発明の液晶配向剤に使用される特に好ましい有機溶媒としては、例えばN−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、γ−ブチロラクタム、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、エチレングリコールモノメチルエーテル、乳酸ブチル、酢酸ブチル、メチルメトキシプロピオネ−ト、エチルエトキシプロピオネ−ト、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコール−i−プロピルエーテル、エチレングリコール−n−ブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、イソアミルプロピオネート、イソアミルイソブチレート、ジイソペンチルエーテルなどを挙げることができる。これらは単独で使用することができ、または2種以上を混合して使用することができる。
本発明の液晶配向剤における固形分濃度(液晶配向剤中の溶媒以外の成分の合計重量が液晶配向剤の全重量に占める割合)は、粘性、揮発性などを考慮して選択されるが、好ましくは1〜10重量%の範囲である。すなわち、本発明の液晶配向剤は、これを基板表面に塗布し、次いで溶媒を除去することにより、液晶配向膜となる塗膜が形成されるが、液晶配向剤の固形分濃度が1重量%未満である場合には、この塗膜の膜厚が過小となって良好な液晶配向膜を得難くなる場合があり、一方、固形分濃度が10重量%を超える場合には、塗膜の膜厚が過大となって同様に良好な液晶配向膜を得難くなる場合があり、また、液晶配向剤の粘性が増大して塗布特性が劣るものとなる場合がある。
特に好ましい固形分濃度の範囲は、基板に液晶配向剤を塗布する際に用いる方法によって異なる。例えば塗布をスピンナー法による場合には固形分濃度1.5〜4.5重量%の範囲が特に好ましい。塗布を印刷法による場合には、固形分濃度を3〜9重量%の範囲とし、それにより液晶配向剤の溶液粘度を12〜50mPa・sの範囲とすることが特に好ましい。塗布をインクジェット法による場合には、固形分濃度を1〜5重量%の範囲とし、それにより液晶配向剤の溶液粘度を3〜15mPa・sの範囲とすることが特に好ましい。
本発明の液晶配向剤を調製する際の温度は、好ましくは0℃〜100℃であり、より好ましくは20℃〜60℃である。
本発明の液晶表示素子は、上記の如き本発明の液晶配向剤から形成された液晶配向膜を具備する。
本発明の液晶表示素子は、例えば以下の方法によって製造することができる。
(1)先ず一対の基板上に本発明の液晶配向膜を塗布し、溶媒を除去して塗膜を形成する。ここで、製造されるべき液晶表示素子の表示モードがTN型、STN型、VA型などの垂直電界方式である場合には、片面にパターニングされた透明導電膜が設けられている基板の2枚を一対の基板として用いる。一方、製造されるべき液晶表示素子の表示モードが横電界方式である場合には、櫛歯状のパターンを有する透明導電膜が設けられている基板と透明導電膜を有さない基板とを一対の基板として用いる。
上記いずれの場合においても、基板が透明導電膜を有する場合には、液晶配向剤は基板の透明導電膜を有する方の面に塗布される。基板としては、例えばフロートガラス、ソーダガラスなどのガラス;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリ(脂環式オレフィン)などのプラスチックからなる透明基板を用いることができる。基板の一面に設けられる透明導電膜としては、例えば酸化スズ(SnO2)からなるNESA膜(米国PPG社登録商標)、酸化インジウム−酸化スズ(In2O3−SnO2)からなるITO膜などを用いることができる。また、これらのパターニングされた透明導電膜を得るには、パターンのない透明導電膜を形成した後にフォト・エッチング法によりパターンを形成する方法、透明導電膜形成の際に所望のパターンを有するマスクを用いるなどして、パターン化された透明導電膜を直接形成する方法などを採用することができる。
基板上への液晶配向剤の塗布は、ロールコーター法、スピンナー法、印刷法、インクジェット法などの適宜の塗布方法によって行われる。液晶配向剤の塗布に際しては、基板表面および透明導電膜と塗膜との接着性をさらに良好にするために、基板の被塗布面に、官能性シラン化合物、官能性チタン化合物などを予め塗布しておいてもよい。
なお、本発明の液晶配向剤を適用する液晶表示素子がVA型の液晶表示素子である場合には、例えば特許文献7(特開2002−327058号公報)に記載されている如き突起状の建造物を基板上に形成した後に液晶配向剤を塗布し、視野角特性の改善を図ってもよい。
本発明の液晶配向剤は、このように塗布後に有機溶媒を除去することによって液晶配向膜となる塗膜が形成される。このとき、本発明の液晶配向剤に含有される重合体が、ポリアミック酸またはアミック酸構造が残存したイミド化重合体である場合には、塗膜形成後にさらに加熱することによってアミック酸構造の脱水閉環をより進行させ、よりイミド化された塗膜としてもよい。
形成される塗膜の膜厚は、好ましくは0.001〜1μmであり、より好ましくは0.005〜0.5μmである。
一方、製造されるべき液晶表示素子の表示モードがVA型以外の垂直電界方式である場合および横電界方式である場合には、形成された塗膜面に対して、例えばナイロン、レーヨン、コットンなどの繊維からなる布を巻き付けたロールで一定方向に擦るラビング処理を行う。これにより、液晶分子の配向能が塗膜に付与されて液晶配向膜となる。さらに、ラビング処理後の塗膜に対し、例えば特許文献8(特開平6−222366号公報)や特許文献9(特開平6−281937号公報)に示されているような液晶配向膜の一部に紫外線を照射することによって液晶配向膜の一部の領域のプレチルト角を変化させる処理や、特許文献10(特開平5−107544号公報)に示されているような液晶配向膜表面の一部にレジスト膜を形成したうえで先のラビング処理と異なる方向にラビング処理を行った後にレジスト膜を除去する処理を行い、液晶配向膜が領域ごとに異なる液晶配向能を持つようにすることにより、得られる液晶表示素子の視界特性を改善することが可能である。
第一の方法は、従来から知られている方法である。先ず、それぞれの液晶配向膜が対向するように間隙(セルギャップ)を介して2枚の基板を対向配置し、2枚の基板の周辺部をシール剤を用いて貼り合わせ、基板表面およびシール剤により区画されたセルギャップ内に液晶を注入充填した後、注入孔を封止することにより、液晶セルを製造することができる。
第二の方法は、ODF(One Drop Fill)方式と呼ばれる手法である。液晶配向膜を形成した2枚の基板のうちの一方の基板上の所定の場所に例えば紫外光硬化性のシール材を塗布し、さらに液晶配向膜面上に液晶を滴下した後、液晶配向膜が対向するように他方の基板を貼り合わせ、次いで基板の全面に紫外光を照射してシール剤を硬化することにより、液晶セルを製造することができる。
いずれの方法による場合でも、次いで、液晶セルを、用いた液晶が等方相をとる温度まで加熱した後、室温まで徐冷することにより、液晶充填時の流動配向を除去することが望ましい。
そして、液晶セルの外側表面に偏光板を貼り合わせることにより、本発明の液晶表示素子を得ることができる。
液晶としては、ネマチック液晶およびスメクチック液晶を挙げることができ、その中でもネマチック液晶が好ましく、例えばシッフベース系液晶、アゾキシ系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶、エステル系液晶、ターフェニル系液晶、ビフェニルシクロヘキサン系液晶、ピリミジン系液晶、ジオキサン系液晶、ビシクロオクタン系液晶、キュバン系液晶などを用いることができる。また、これらの液晶に、例えばコレスチルクロライド、コレステリルノナエート、コレステリルカーボネートなどのコレステリック液晶;商品名「C−15」、「CB−15」(メルク社製)として販売されているようなカイラル剤;p−デシロキシベンジリデン−p−アミノ−2−メチルブチルシンナメートなどの強誘電性液晶などを添加して使用してもよい。
液晶セルの外表面に貼り合わされる偏光板としては、ポリビニルアルコールを延伸配向させながら、ヨウ素を吸収させた「H膜」と称される偏光膜を酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板またはH膜そのものからなる偏光板を挙げることができる。
[重合体の溶液粘度]
重合体の溶液粘度は、各実施例および合成例で指摘した重合体溶液につき、E型粘度計を用いて25℃において測定した。
[イミド化重合体のイミド化率]
イミド化重合体を室温で減圧乾燥した後、重水素化ジメチルスルホキシドに溶解し、テトラメチルシランを基準物質として室温で測定した1H−NMRから、下記数式(i)により求めた。
イミド化率(%)=(1−A1/A2×α)×100 (i)
A1:10ppm付近に現れるNH基のプロトン由来のピーク面積
A2:その他のプロトン由来のピーク面積
α:イミド化重合体の前駆体(ポリアミック酸)におけるNH基のプロトン1個に対するその他のプロトンの個数割合
実施例1(上記式(A−1)で表される化合物(以下、「化合物(A−1)」という。)の合成)
還流管を備えた500mLのナスフラスコに、テトラヒドロアビエチン酸31g、塩化チオニル200mLおよびN,N−ジメチルホルムアミド0.1mLを仕込み、80℃にて1時間撹拌下に反応を行った。反応終了後、減圧にて塩化チオニルを除去した後、塩化メチレン200mLを加えた。有機層をとり、水で3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥、濃縮後、テトラヒドロフランを200mL加えた(これを、「反応液(1)」とする。)
これとは別に、滴下ロートおよび温度計を備えた1Lの三口フラスコに、2,5−ジニトロフェノール20g、炭酸カリウム15g、テトラブチルアンモニウムブロミド1.0g、テトラヒドロフラン100mLおよび水200mLを加え氷冷した。ここに、上記の反応液(1)を、1時間以上かけて滴下し、そのまま氷冷下で2時間撹拌を継続して反応を行った。反応終了後、酢酸エチルを1L加えて抽出し、有機層を水で3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した後、エタノールで再結晶することにより下記式(A−1−1)
次いで、温度計および窒素導入管を備えた1Lの三口フラスコに、上記で得た化合物(A−1−1)35g、塩化すず2水和物170gおよびエタノール300mLを仕込み、70℃で1時間反応を行った。反応終了後、反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて中和し、酢酸エチルを加えた後、ろ過により沈殿を除去した。このろ液を水で3回洗浄した後、溶媒を除去することにより、淡黄色の化合物(A−1)を24g得た。
実施例2(上記式(A−2)で表される化合物(以下、「化合物(A−2)」という。)の合成)
2,5−ジニトロフェノールの代わりに2,4−ジニトロフェノールを用いたほかは上記実施例1と同様にして実施して、化合物(A−2)を22g得た。
実施例3(上記式(A−3)で表される化合物(以下、「化合物(A−3)」という。)の合成)
温度計および窒素導入管を備えた1Lの三口フラスコに、テトラヒドロアビエチン酸31g、2,4−ジニトロベンジルクロリド22g、炭酸カリウム28g、ヨウ化ナトリウム3.3gおよび1−メチル−2−ピロリドン300mLを仕込んで100℃で3時間反応を行った。反応終了後、反応混合物にトルエン1Lを加えて抽出し、有機層を水で3回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮した後、エタノールで再結晶することにより、下記式(A−3−1)
次いで、温度計および窒素導入管を備えた1Lの三口フラスコに、上記で得た化合物(A−3−1)40g、塩化すず2水和物190gおよびエタノール400mLを仕込み、70℃で1時間反応を行った。反応終了後、反応混合物に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて中和し、酢酸エチルを加えた後、ろ過により沈殿を除去した。このろ液を水で3回洗浄した後、溶媒を除去することにより、淡黄色の化合物(A−3)を25g得た。
実施例4(上記式(A−4)で表される化合物(以下、「化合物(A−4)」という。)の合成)
2,4−ジニトロベンジルクロリドの代わりに3,5−ジニトロベンジルクロリドを用いたほかは上記実施例3と同様にして実施して、化合物(A−4)を26g得た。
実施例5
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物5.7gならびにジアミンとしてp−フェニレンジアミン2.2gおよび上記実施例1で得た化合物(A−1)の2.1gをN−メチル−2−ピロリドン(NMP)40gに溶解し、60℃で6時間反応を行った。得られたポリアミック酸溶液を少量分取し、NMPを加えてポリアミック酸濃度10重量%の溶液として測定した溶液粘度は100mPa・sであった。
次いで、得られたポリアミック酸溶液にNMP50gを追加し、ピリジン2.0gおよび無水酢酸2.6gを添加して110℃で4時間脱水閉環反応を行った。脱水閉環反応後、系内の溶剤を新たなγ―ブチロラクトンで溶剤置換(本操作にて脱水閉環反応に使用したピリジンおよび無水酢酸を系外に除去した。以下同じ。)することにより、イミド化率約50%のイミド化重合体(PI−1)を15重量%含有する溶液約60gを得た。この溶液を少量分取し、γ―ブチロラクトンを加えてイミド化重合体濃度10重量%の溶液として測定した溶液粘度は100mPa・sであった。
実施例6
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物5.7gならびにジアミンとしてp−フェニレンジアミン2.2gおよび上記実施例2で得た化合物(A−2)2.1gをN−メチル−2−ピロリドン(NMP)40gに溶解し、60℃で6時間反応を行った。得られたポリアミック酸溶液を少量分取し、NMPを加えてポリアミック酸濃度10重量%の溶液として測定した溶液粘度は90mPa・sであった。
次いで、得られたポリアミック酸溶液にNMP50gを追加し、ピリジン2.0gおよび無水酢酸2.6gを添加して110℃で4時間脱水閉環反応を行った。脱水閉環反応後、系内の溶剤を新たなγ―ブチロラクトンで溶剤置換することにより、イミド化率約50%のイミド化重合体(PI−2)を15重量%含有する溶液約60gを得た。この溶液を少量分取し、γ―ブチロラクトンを加えてイミド化重合体濃度10重量%の溶液として測定した溶液粘度は90mPa・sであった。
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物5.7gならびにジアミンとしてp−フェニレンジアミン2.2gおよび上記実施例3で得た化合物(A−3)2.2gをN−メチル−2−ピロリドン(NMP)40gに溶解し、60℃で6時間反応を行った。得られたポリアミック酸溶液を少量分取し、NMPを加えてポリアミック酸濃度10重量%の溶液として測定した溶液粘度は100mPa・sであった。
次いで、得られたポリアミック酸溶液にNMP50gを追加し、ピリジン2.0gおよび無水酢酸2.6gを添加して110℃で4時間脱水閉環反応を行った。脱水閉環反応後、系内の溶剤を新たなγ―ブチロラクトンで溶剤置換することにより、イミド化率約50%のイミド化重合体(PI−3)を15重量%含有する溶液約60gを得た。この溶液を少量分取し、γ―ブチロラクトンを加えてイミド化重合体濃度10重量%の溶液として測定した溶液粘度は100mPa・sであった。
実施例8
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物5.7gならびにジアミンとしてp−フェニレンジアミン2.2gおよび上記実施例4で得た化合物(A−4)2.2gをN−メチル−2−ピロリドン(NMP)40gに溶解し、60℃で6時間反応を行った。得られたポリアミック酸溶液を少量分取し、NMPを加えてポリアミック酸濃度10重量%の溶液として測定した溶液粘度は120mPa・sであった。
次いで、得られたポリアミック酸溶液にNMP50gを追加し、ピリジン2.0gおよび無水酢酸2.6gを添加して110℃で4時間脱水閉環反応を行った。脱水閉環反応後、系内の溶剤を新たなγ―ブチロラクトンで溶剤置換することにより、イミド化率約50%のイミド化重合体(PI−4)を15重量%含有する溶液約60gを得た。この溶液を少量分取し、γ―ブチロラクトンを加えてイミド化重合体濃度10重量%の溶液として測定した溶液粘度は120mPa・sであった。
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物5.7gならびにジアミンとしてp−フェニレンジアミン2.2gおよび上記実施例4で得た化合物(A−4)2.2gをN−メチル−2−ピロリドン(NMP)40gに溶解し、60℃で6時間反応を行った。得られたポリアミック酸溶液を少量分取し、NMPを加えてポリアミック酸濃度10重量%の溶液として測定した溶液粘度は120mPa・sであった。
次いで、得られたポリアミック酸溶液にNMP50gを追加し、ピリジン4.2gおよび無水酢酸5.4gを添加して110℃で4時間脱水閉環反応を行った。脱水閉環反応後、系内の溶剤を新たなγ―ブチロラクトンで溶剤置換することにより、イミド化率約80%のイミド化重合体(PI−5)を15重量%含有する溶液約60gを得た。この溶液を少量分取し、γ―ブチロラクトンを加えてイミド化重合体濃度10重量%の溶液として測定した溶液粘度は130mPa・sであった。
<他のポリアミック酸の合成>
合成例1
テトラカルボン酸二無水物として1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物200g(1.0モル)およびジアミンとして2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル210g(1.0モル)をN−メチル−2−ピロリドン370gおよびγ―ブチロラクトン3,300gからなる混合溶媒に溶解し、40℃で3時間反応を行うことにより、他のポリアミック酸(PA−1)を10重量%含有する溶液約3,700gを得た。このポリアミック酸溶液の溶液粘度は160mPa・sであった。
<液晶配向剤の調製>
上記実施例5で得たイミド化重合体(PI−1)を含有する溶液にγ−ブチロラクトン(BL)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)およびブチルセロソルブ(BC)を加え、溶媒組成がBL:NMP:BC=71:17:12(重量比)、固形分濃度が4重量%の溶液とした。この溶液を孔径1μmのフィルターを用いてろ過することにより、液晶配向剤を調製した。
この液晶配向剤を用いて以下のようにして各種評価を行った。評価結果は表1に示した。
<印刷性の評価>
ITO膜からなる透明電極付きガラス基板の透明電極面に、上記で調製した液晶配向剤を、液晶配向膜印刷機(日本写真印刷(株)製、型式「オングストローマーS40L−532」)を用いて塗布した。このとき、アニロックスロールへの液晶配向剤の滴下量は、往復25滴(約0.25g)とした。この条件は、液晶配向膜の塗布の際に通常採用される滴下量往復30滴(約0.3g)と比較して、厳しい条件である。
次いで、塗布した基板につき、80℃で1分間加熱(プレベーク)して溶媒を除去した後、180℃で10分間加熱(ポストベーク)することにより、膜厚800nmの塗膜を形成した。この塗膜を目視で観察してハジキおよび塗布ムラの有無を調べたところ、印刷ムラおよびピンホールとも観察されず、上記液晶配向剤の印刷性は「良好」であった。
<垂直型液晶表示素子の製造>
厚さ1mmのガラス基板の片面に設けられたITO膜からなる透明導電膜上に、上記で調製した液晶配向剤をスピンナーにより塗布し、80℃のホットプレートで1分間、次いで200℃のオーブンで60分間加熱することにより、膜厚0.08μmの塗膜(液晶配向膜)を形成した。この操作を繰り返し、透明導電膜上に液晶配向膜を有するガラス基板を一対(2枚)得た。
上記一対の液晶配向膜を有するガラス基板につき、液晶配向膜を有する面のそれぞれの外縁に、直径3.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤を塗布した後、液晶配向膜面が相対するように重ね合わせて圧着し、接着剤を硬化した。次いで、基板の間隙に、ネガ型液晶(メルク社製、MLC−6608)を液晶注入口より注入して充填した後、アクリル系光硬化接着剤で液晶注入口を封止し、基板の外側の両面に偏光板を貼り合わせることにより、垂直型液晶表示素子を製造した。
上記で製造した垂直型液晶表示素子につき、電圧をオン・オフしたときの異常ドメインの有無を、光学顕微鏡により観察し、異常ドメインが観察されなかった場合を液晶配向性「良好」として評価した。
<電圧保持率の評価>
上記で製造した垂直型液晶表示素子につき、60℃において5Vの電圧を60マイクロ秒の印加時間、167ミリ秒のスパンで印加した後、印加解除から167ミリ秒後の電圧保持率を測定した。測定装置は(株)東陽テクニカ製、VHR−1を使用した。この電圧保持率が95%以上であった場合、電圧保持率は「良好」であるといえる。
<残留DC電圧の測定>
上記で製造した垂直型液晶表示素子につき、60℃の環境温度で直流電圧5.0Vを20時間印加した。直流電圧を切った直後から室温で15分間放冷した後の液晶セル内に残留した電圧(残留DC電圧)を、フリッカ−消去法により求めた。この残留電圧が300mV以下であった場合を残留DC電圧「良好」として評価した。
重合体を含有する溶液として、表1に記載したイミド化重合体を含有する溶液をそれぞれ用いたほかは上記実施例10と同様にして液晶配向剤を調製し、評価した。評価結果は表1に示した。
実施例14
上記実施例8で得たイミド化重合体(PI−4)を含有する溶液を、これに含有されるイミド化重合体(PI−4)に換算して100重量部に相当する量だけとり、ここにエポキシ化合物としてN,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン20重量部を加え、さらにγ−ブチロラクトン(BL)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)およびブチルセロソルブ(BC)を加え、溶媒組成がBL:NMP:BC=71:17:12(重量比)、固形分濃度が4重量%の溶液とした。この溶液を孔径1μmのフィルターを用いてろ過することにより、液晶配向剤を調製した。
この液晶配向剤を用いて上記実施例10と同様にして各種評価を行った。評価結果は表1に示した。
実施例15
上記実施例9で得たイミド化重合体(PI−5)を含有する溶液のイミド化重合体(PI−5)に換算して20重量部に相当する量と、上記合成例1で得た他のポリアミック酸(PA−1)を含有する溶液の他のポリアミック酸(PI−5)に換算して80重量部に相当する量とを合わせ、ここにγ−ブチロラクトン(BL)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)およびブチルセロソルブ(BC)を加え、溶媒組成がBL:NMP:BC=71:17:12(重量比)、固形分濃度が4重量%の溶液とした。この溶液を孔径1μmのフィルターを用いてろ過することにより、液晶配向剤を調製した。
この液晶配向剤を用いて上記実施例10と同様にして各種評価を行った。評価結果は表1に示した。
上記実施例15において、イミド化重合体(PI−5)を含有する溶液と他のポリアミック酸(PA−1)を含有する溶液とを合わせた後に、さらにエポキシ化合物としてN,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンを、重合体の合計100重量部に対して20重量部加えたほかは、上記実施例15と同様にして液晶配向剤を調製した。この液晶配向剤を用いて上記実施例10と同様にして各種評価を行った。評価結果は表1に示した。
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