JP5302943B2 - ラジアスエンドミル - Google Patents
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Description
本発明は、切削抵抗を低減すると共に、切り屑排出性を良くするため、切れ刃に凹凸(ラフィング)を設けたラジアスエンドミルに関し、詳しくは、さらに切削抵抗を減らして、切削中のビビリをなくすと共に、切削性能を向上させたラジアスエンドミルに関する。
エンドミルには、先端形状が平坦で、主に2次元の加工(輪郭加工、ポケット加工など)に使用されるフラットエンドミルや、先端形状が球状で、主に曲面を切削するのに使用されるボールエンドミルや、先端のコーナ部がR形状を有するコーナ刃となっていて、荒取り、中仕上げ、最終仕上げ等に使用できるラジアスエンドミル等の種類がある。また、先端形状は平坦でフラットエンドミルと同じであるが、側面刃に波状の凹凸(ラフィング)が形成され、フラットエンドミルより切り込み量を大きくでき、主に荒取り用として使用されるラフィングエンドミルがある。
このうち、ラジアスエンドミルは、フラットエンドミルとボールエンドミルとの中間的な用途に使用され、特に被切削面が鋭角(90°以下)をなす溝の隅部等の切削に好適である。そのため、金型の3次元曲面加工等によく使用されている。
特許文献1〜3には、ラジアスエンドミルの構成例が開示されている。また、特許文献4及び5には、ラフィングエンドミルの構成例が開示されている。
特許文献1〜3には、ラジアスエンドミルの構成例が開示されている。また、特許文献4及び5には、ラフィングエンドミルの構成例が開示されている。
航空機用又は発電用タービンのノズルやブレード、あるいはプラスチック金型等に用いられる耐熱鋼は、ハイスと呼ばれる高速度鋼と成分が類似しており、高い高温強度と靭性を有する。そのため、これらの部品を精度良く、又は高い切削速度で切削するのは容易ではない。そのため、荒取り用として、切り込み量を大きくするために、前述のラフィングエンドミルが使用される。
ラジアスエンドミルでは、先端面のコーナ部に設けられた円弧状のコーナ刃に加わる被切削部材の抵抗が大きくなり、そのため、前述のような難切削性材料でできた部材を切削する場合、コーナ刃に欠損が発生するおそれがある。また、特に、工具本体の突き出し量が多いときなど、工具本体にビビリ(振動や共振)が発生し、これによって、切削性能面で、切削面の精度が粗くなったり、切削速度が低下するなどの不具合いが発生する。
前述のラフィングエンドミルは、側面刃に形成された凹凸によって、切れ刃が受ける被切削部材の抵抗(以下「切削抵抗」という。)を軽減すると共に、凹凸で切り屑が分割されることによって、耐ビビリ性及び切り屑排出性が良いという長所がある。しかし、従来のラフィングエンドミルでは、特に、前述の難切削性材料の切削の場合に、未だ十分に切削抵抗を低減できず、耐ビビリ性も十分ではない。そのため、切れ刃の欠損が発生するおそれがある。
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、ラジアスエンドミルにおいて、高強度で難切削性の部材を切削する場合でも、切削中のビビリをなくし、コーナ刃の欠損をなくすと共に、切削面精度や切削速度等の切削性能を高く維持できるようにすることを目的とする。
かかる目的を達成するため、本発明のラジアスエンドミルは、軸線回りに回転される工具本体の先端面に形成された底刃と、工具本体の外周に形成された側面刃と、該先端面のコーナ部に円弧状に形成されて底刃と側面刃とつなげるコーナ刃とを備えたラジアスエンドミルにおいて、側面刃及びコーナ刃が、工具本体の回転方向側から見て外面が波状に凹凸する切れ刃で構成され、前記コーナ刃の凹凸のピッチ及び山谷の差が前記側面刃の凹凸のピッチ及び前記山谷の差よりも小さくするものである。
本発明では、側面刃とコーナ刃とを外面が波状凹凸を有する切れ刃で構成したことにより、これらの切れ刃に対する切削抵抗を軽減できる。特に、切削中大きな切削抵抗を受けるコーナ刃に前記波状凹凸を形成したことにより、コーナ刃に対する切削抵抗を軽減できる。これによって、切削時に工具本体のビビリをなくし、コーナ刃の欠損を無くすことができると共に、切削面の精度向上、切削速度増大等、切削性能を向上できる。
本発明において、コーナ刃及び側面刃を構成する切れ刃の少なくとも凸部の工具本体軸線に沿う断面が、工具本体の軸線方向に長軸が向いた楕円形状(以下「横向き楕円形状」という。)をなしているとよい。このように、側面刃及びコーナ刃の凸部を横向き楕円形状とし、被切削部材側への突き出し量を低減することで、これらの切れ刃に加わる切削抵抗を効果的に軽減できると共に、芯厚(直交断面積)を確保でき、剛性を向上できる。
前記構成に加えて、コーナ刃の凹凸のピッチを0.8〜1.0mmとし、山谷の差を0.1〜0.15mmとすると共に、側面刃の凹凸のピッチを1.2〜1.5mmとし、山谷の差を0.3〜0.5mmとするとよい。
コーナ刃及び側面刃の凹凸を横向き楕円形状とするだけでなく、コーナ刃及び側面刃の凹凸を前記数値範囲のように従来と比べて細かい形状とすることで、これら切れ刃に対する切削抵抗をさらに低減できる。ここで、コーナ刃には側面刃より高い切削抵抗が付加されるので、コーナ刃の凹凸のピッチ及び山谷の差を側面刃より小さくしている。
コーナ刃及び側面刃の凹凸を横向き楕円形状とするだけでなく、コーナ刃及び側面刃の凹凸を前記数値範囲のように従来と比べて細かい形状とすることで、これら切れ刃に対する切削抵抗をさらに低減できる。ここで、コーナ刃には側面刃より高い切削抵抗が付加されるので、コーナ刃の凹凸のピッチ及び山谷の差を側面刃より小さくしている。
コーナ刃又は側面刃の凹凸の山谷の差及びピッチを前記上限値より増加させると、これらの切れ刃に対する切削抵抗が増加する。特に、溝加工等の場合に工具本体の突き出し量が増加すると、ビビリが発生しやすく、切削性能が低下する。一方、コーナ刃又は側面刃の凹凸の山谷の差及びピッチが前記下限値より下回ると、凹凸を付設したことにより得られる本来の切削抵抗の低減効果や切削性能が低下する。
本発明において、前記構成に加えて、コーナ刃及び側面刃間に形成されるねじれ溝の工具本体の軸線に対するねじれ角を15〜30°とするとよい。ねじれ角を大きくするほど、工具本体の芯厚(直交断面積)は小さくなる。前述のように、ねじれ溝のねじれ角を従来より小さく設定することで、工具本体の芯厚(直交断面積)を確保し、剛性を向上させることができる。そのため、工具本体の突き出し量を長くしても、工具本体のビビリを抑制でき、切削性能(切削面の凹凸低減、切削速度増大等)を向上できる。
ねじれ溝のねじれ角が前記上限値を超えると、工具本体の剛性が低下し、ビビリが発生しやすくなる。また、ねじれ角が前記下限値を下回ると、切れ刃に対する切削抵抗が増加し、ビビリが発生して、切削性能が低下する。
切り屑の排出通路となるねじれ溝のねじれ角は、大きいほうが切り屑排出性は良くなる。本発明では、凹凸の山谷の差及びピッチが従来と比べて小さいので、従来より切り屑を細分できる。そのため、ねじれ角を小さくしても、切り屑排出性が悪化しない。しかし、ねじれ角が前記下限値より下回ると、切り屑排出性が悪くなる。
切り屑の排出通路となるねじれ溝のねじれ角は、大きいほうが切り屑排出性は良くなる。本発明では、凹凸の山谷の差及びピッチが従来と比べて小さいので、従来より切り屑を細分できる。そのため、ねじれ角を小さくしても、切り屑排出性が悪化しない。しかし、ねじれ角が前記下限値より下回ると、切り屑排出性が悪くなる。
本発明において、刃先からホルダに至るまでの工具本体先端部をソリッドで構成し、該工具本体後端部をホルダに焼きばめで固定するとよい。これによって、工具本体の剛性を向上でき、さらに工具本体のビビリをなくし、切削性能を向上できる。
本発明において、底刃から側面刃までを含む切れ刃が工具本体の周方向に複数形成され、各切れ刃が工具本体軸線に対して周方向に非対称に形成されているとよい。このように、複数の切れ刃を工具本体の周方向に非対称に配置することによって、個々の切れ刃に加わる切削抵抗に起因した振動のタイミングを微妙にずらし、個々の切削刃で発生する振動を互いに打ち消し合うようにすることができる。これによって、工具本体のビビリを抑制でき、切削性能を向上できる。
例えば、先端刃及び側面刃が4枚刃である場合、向かい合う2枚の切削刃の他の向かい合う2枚の切削刃に対して、工具本体の周方向で90°に加えてさらに2〜5°の偏向角をもたせて配置するとよい。これによって、互いに向かい合う2枚の切削刃を1組とした2組の切れ刃で互いに切削抵抗を受けるタイミングを微妙にずらすことができる。これによって、2組の切れ刃間で互いに振動を打ち消し合い、工具本体のビビリを抑制できる。
なお、偏向角が2°を下回ると、振動を打ち消す効果があまり得られず、偏向角が5°を上回ると、工具本体の先端部の基本的な構成を変更することになり、他の切削性能に影響を与える。そのため、偏向角を2〜5°の範囲とするのが望ましい。
本発明装置によれば、軸線回りに回転される工具本体の先端面に形成された底刃と、工具本体の外周に形成された側面刃と、該先端面のコーナ部に円弧状に形成されて底刃と側面刃とつなげるコーナ刃とを備えたラジアスエンドミルにおいて、側面刃及びコーナ刃が、工具本体の回転方向側から見て外面が波状に凹凸する切れ刃で構成されているので、側面刃及びコーナ刃に加わる切削抵抗を軽減できる。
これによって、切れ刃に欠損が生じるのを防止できると共に、工具本体のビビリを抑制できるので、凹凸を設けたことによって得られる高い切削速度を維持しながら、切削面の切削性能(切削面の精度向上や切削速度の増大等)を向上できる。また、側面刃及びコーナ刃に凹凸を設けたことにより、切れ刃を細かく分断して、切り屑排出性を向上できる。
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。
(実施形態1)
本発明装置の第1実施形態を図1〜図5に基づいて説明する。図1及び図2において、本実施形態に係るラジアスエンドミル10は、円筒形状の工具本体12の根元部12aが大径の円筒形状を有するホルダ14の軸方向中心に穿設された焼きばめ用穴14aに挿入され、焼きばめで固定されている。工具本体12の先端側において、外周面にはねじれ形状の側面刃16が設けられ、先端面には平坦に形成された底刃18が設けられている。
本発明装置の第1実施形態を図1〜図5に基づいて説明する。図1及び図2において、本実施形態に係るラジアスエンドミル10は、円筒形状の工具本体12の根元部12aが大径の円筒形状を有するホルダ14の軸方向中心に穿設された焼きばめ用穴14aに挿入され、焼きばめで固定されている。工具本体12の先端側において、外周面にはねじれ形状の側面刃16が設けられ、先端面には平坦に形成された底刃18が設けられている。
先端面のコーナ部には、断面が円弧形状を有するコーナ刃20が設けられ、コーナ刃20が側面刃16と底刃18とを連結し、先端から外周面に向けて1本の連続した螺旋状の切れ刃を形成している。本実施形態のラジアスエンドミル10では、4本の切れ刃が工具本体12の周方向に等間隔で配置されている。これら螺旋状に形成された切れ刃の間に、4本の螺旋状のねじれ溝22が刻設されている。
図2に示すように、工具本体12は、矢印r方向に回転し、底刃18、コーナ刃20及び側面刃16で構成された切れ刃で被切削部材を切削し、切り屑はねじれ溝22を通って根元部12a側に排出される。側面刃16には、凹凸24が設けられ、コーナ刃20には凹凸26が設けられている。凹凸24、26は、それらの峰線及び谷線が工具本体12の軸線Aに対して略直交する方向に配置されている。凹凸24、26は先端面のコーナ部から根元部12aのほうに向かって延設されている。
図2に示すように、底刃18は、先端中心Bから半径方向外側へ向って放射状に配置されている。また、底円Dは、ねじれ溝22の底面の位置を示す。
図3により、凹凸24、26の形状を説明する。図3の(A)はコーナ刃20に設けらた凹凸26の断面形状を示し、(B)は側面刃16に設けられた凹凸24の断面形状を示し、両断面とも軸線Aの方向に沿った断面である。凹凸24、26は、少なくとも夫々の凸部24a及び26aの断面が、長軸が軸線Aの方向に沿うように配置された横向き楕円形状をなす。夫々の凹部24b及び26bの断面は、凸部のような横向き楕円形状である必要はないが、凸部との接続部を滑らかにつなげるために、凸部と同様の横向き楕円形状とするか、あるいは曲率半径が比較的大きいR形状とするのが望ましい。
図3により、凹凸24、26の形状を説明する。図3の(A)はコーナ刃20に設けらた凹凸26の断面形状を示し、(B)は側面刃16に設けられた凹凸24の断面形状を示し、両断面とも軸線Aの方向に沿った断面である。凹凸24、26は、少なくとも夫々の凸部24a及び26aの断面が、長軸が軸線Aの方向に沿うように配置された横向き楕円形状をなす。夫々の凹部24b及び26bの断面は、凸部のような横向き楕円形状である必要はないが、凸部との接続部を滑らかにつなげるために、凸部と同様の横向き楕円形状とするか、あるいは曲率半径が比較的大きいR形状とするのが望ましい。
凹凸24、26をこのような断面形状とすることで、本実施形態の凹凸24及び26の被切削部材側への突き出し量は、従来のラジアスエンドミルより小さくなっている。また、凹凸24及び26の山谷の差及びピッチも、従来のラジアスエンドミルより小さく形成されている。このように、凹凸24、26を形成することで、側面刃16及びコーナ刃20が受ける切削抵抗を小さくすることができる。
具体的には、凹凸26の山谷の差H1を0.1〜0.15mm、ピッチP1を0.1〜0.15mm、凹凸24の山谷の差H2を0.3〜0.5mm、ピッチP2を1.2〜1.5mmとしている。コーナ刃20は側面刃16と比べて、切削抵抗が大きいが、凹凸26の山谷の差H1及びピッチP1を凹凸24の山谷の差H2及びピッチP2より小さくすることにより、凹凸26が受ける切削抵抗を軽減するようにしている。
また、本実施形態の凹凸24又は26は、夫々の切れ刃において1ピッチ内で凹凸の位置を軸線Aの方向に少しずつずらして配置されている。これによって、被切削部材の切削面の凹凸を低減できると共に、個々の切れ刃に対する切削抵抗を低減できる。なお、この手段は従来公知である。
次に、図4に示すように、工具本体12の軸線Aに対するねじれ溝22のねじれ角αを15〜30°とし、従来のラジアスエンドミルのねじれ角より小さくしている。ねじれ角αが大きければ、切れ刃に対する切削抵抗を小さくでき、切削性を向上できると共に、切り屑の排出性が良くなるが、芯厚(直交断面積)が減少するので、工具本体12の剛性が低下する。一方、ねじれ角αが小さければ、この逆の現象が起こる。
本実施形態では、切れ刃の凹凸24、26の山谷の差及びピッチを小さくしてあるので、切れ刃に対する切削抵抗を小さくでき、そのため、従来のラジアスエンドミルよりねじれ角αを小さくしても、切削抵抗が増大しない。しかも、凹凸24、26の山谷の差及びピッチが従来のラジアスエンドミルより小さいので、切り屑は細かくなる。そのため、ねじれ角αを小さくしても、切り屑の排出性は低下しない。また、ねじれ角αを小さくすることにより、工具本体12の芯厚を確保でき、剛性を向上できる。
コーナ刃20の凹凸の山谷の差及びピッチを前記上限値より増加させるか、あるいは側面刃16の凹凸の山谷の差及びピッチを前記上限値より増加させると、これらの切れ刃に対する切削抵抗が増加し、溝加工等の場合のように工具本体12の突き出し量が増加すると、ビビリが発生し、切削性能がやや低下することがわかった。
一方、凹凸24又は26の山谷の差及びピッチが前記下限値より下回ると、本来凹凸を付与したことにより得られる切削性能がやや低下することがわかった。
一方、凹凸24又は26の山谷の差及びピッチが前記下限値より下回ると、本来凹凸を付与したことにより得られる切削性能がやや低下することがわかった。
また、本実施形態では、工具本体12の先端側から根元部側に向かう途中で、ねじれ角αを変更している。例えば、ねじれ角αを20°とし、先端から根元部側に向かう途中で、ねじれ角αを20°を中心に前後に(20°±2〜3°)だけランダムに変更するようにしている。これによって、切削過程で工具本体12に発生する振動の周波数を異ならせることにより、切削中のビビリを低減できる。かかる手段は、ビビリが発生しやすい溝加工に適用して好適である。
本実施形態によれば、側面刃16及びコーナ刃20に設けられた凹凸24、26の軸線A方向に沿う断面形状を横向き楕円形状とすると共に、該凹凸の山谷の差及びピッチを従来より小さくしたことにより、切れ刃に負荷される切削抵抗を低減できる。これによって、切削面の切削精度を向上させ、かつ切削速度を増大できると共に、切れ刃の欠損を低減でき、工具交換回数を低減できるので、作業効率を向上できる。特に、大きな抵抗が発生するコーナ刃20の凹凸の山谷の差やピッチを側面刃16より低減したので、コーナ刃20の切削抵抗を低減でき、欠損の発生を抑制できる。また、凹凸24、26の被切削部材側への突き出し量を低減したので、芯厚(直交断面積)を確保でき、剛性を向上できる。
また、前記構成に加えて、ねじれ角αを15〜30°とし、従来のラジアスエンドミルより小さくしたので、切れ刃に対する切削抵抗を増加させず、かつ切り屑排出性を低下させることなく、工具本体12の芯厚を増加させて、剛性を向上できる。これによって、溝加工等の場合に、工具本体12の突き出し量が増加しても、ビビリが発生せず、切削面の切削精度を向上できる。
また、工具本体12をソリッドで構成し、工具本体12の根元部12aをシャンク14に焼きばめで固定したので、工具本体12の剛性を向上できる。これによって、工具本体12の切削時のビビリを抑制できる。
本発明者等は、側面刃16及びコーナ刃20の凹凸24、26の凸部24a、26a及び凹部24b、26bの断面を横向き楕円形状とし、かつコーナ刃20の凹凸26の山谷の差H1を0.13mm、ピッチP1を1.0mmとし、側面刃16の凹凸24の山谷の差H2を0.4mm、ピッチP2を1.2mmとし、かつねじれ溝22のねじれ角αを20°とし、工具本体12をソリッドで構成し、ホルダ14に焼きばめ固定したラジアスエンドミルを製作した。
このラジアスエンドミルを用いて、タービンブレードを切削加工した。図5はこのラジアスエンドミルを用いた切削加工時を示す。図5において、工具本体12を固定したホルダ14が図示省略の加工機に装着され、被切削部材であるタービンブレードTBは、固定治具30,30に固定されている。この状態で、ラジアスエンドミル10によってタービンブレードTBを切削し、タービンブレードTBの3次元曲面を形成している。
このラジアスエンドミルを用いたところ、切削中、工具本体12のビビリがなく、精度の良い荒仕上げ面を形成できた。また、切れ刃の欠損も発生しなかった。従来の粉末ハイスで形成されたラジアスエンドミルを使用すると、1個のタービンノズルを切削するのに2時間余り要していたが、このラジアスエンドミルを用いたところ、40分強で切削加工を完了できた。
なお、コーナ刃20の凹凸26の山谷の差H1及びピッチP1を前記上限値より増加させるか、あるいは側面刃16の凹凸24の山谷の差H2及びピッチP2を前記上限値より増加させると、これらの切れ刃に対する切削抵抗が増加し、溝加工等の場合に工具本体12の突き出し量が増加すると、多少ビビリが発生し、切削性能が低下することがわかった。
一方、凹凸24又は26の山谷の差及びピッチが前記下限値より下回ると、凹凸を設けたことによる本来の切削性能がやや低下することがわかった。
一方、凹凸24又は26の山谷の差及びピッチが前記下限値より下回ると、凹凸を設けたことによる本来の切削性能がやや低下することがわかった。
また、ねじれ溝22のねじれ角αが前記上限値を超えると、工具本体12の剛性が低下し、ややビビリが発生することがわかった。また、ねじれ角αが前記下限値を下回ると、切れ刃に対する切削抵抗が増し、やや切削面が粗くなり、切削面の切削精度がやや低下することがわかった。
なお、図5は、ラジアスエンドミル10でタービンブレードTBの溝32を切削しているところを示している。この溝32は、被加工面が鋭角(90°以下)になっているが、本発明のラジアスエンドミルは、かかる被加工面を切削するのに特に好適である。かかる被加工面でも、切れ刃に加わる切削抵抗を低減でき、切れ刃の欠損を防止できると共に、切削面の精度や切削速度等を高く維持できる。そして、被切削部材が、航空機や発電用のタービンに用いられるブレード、ノズルや、プラスチック成形用等の金型等に用いられる、高い高温強度と靭性をもつ耐熱鋼からなるものであっても、耐ビビリ性が良く、切れ刃に欠損が生じず、かつ良好な切削性能を発揮できる。刃部にコーティング処理を行うと、さらに刃先の寿命が向上する。
(実施形態2)
次に、本発明装置の第2実施形態を図6により説明する。図6において、4枚の底刃18a〜dのうち、向かい合う底刃18a及び18cは、図2に示す第1実施形態と同様に、横方向中心線C1上に配置されている。これに対し、向かい合う底刃18b及び18dは、先端中心Bを中心に縦方向中心線C2に対して、夫々偏向角βだけ回転した位置に配置されている。偏向角βは2〜5°の範囲内(例えば4°)とする。その他の構成は、前記第1実施形態と同一である。
次に、本発明装置の第2実施形態を図6により説明する。図6において、4枚の底刃18a〜dのうち、向かい合う底刃18a及び18cは、図2に示す第1実施形態と同様に、横方向中心線C1上に配置されている。これに対し、向かい合う底刃18b及び18dは、先端中心Bを中心に縦方向中心線C2に対して、夫々偏向角βだけ回転した位置に配置されている。偏向角βは2〜5°の範囲内(例えば4°)とする。その他の構成は、前記第1実施形態と同一である。
本実施形態では、4枚の底刃18a〜dが先端中心Bに対して非対称に配置されている。即ち、工具本体12の周方向に等間隔で配置されていない。そのため、夫々の底刃につらなる4枚の切れ刃が被切削部材に当るときのタイミングを、各切れ刃間で異ならせることができる。切削中に発生する振動の周波数は、各切れ刃の切削タイミングによって決められる。本実施形態では、各切れ刃間の切削タイミングの間隔が異なるので、発生する振動の周波数が異なり、これらが互いに打ち消し合う。これによって、切削中、ビビリの増大が抑制され、切削性能を確保できる。
本発明者等の実験によれば、底刃18b及び18dの縦方向中心線C2に対する角度βが2°より小さいと、振動抑制効果はほとんど発生せず、逆に角度βが5°より大きいと、工具本体12の先端部の基本的な構成変更となり、他の切削性能に影響を与える。そのため、角度βを2〜5°の範囲とするのが望ましいことがわかった。
本発明のラジアスエンドミルは、難切削性材料からなる部材に対しても、切れ刃に対する切削抵抗を少なくして、切れ刃のビビリや欠損を低減でき、切削性能を高く維持できる。
10 ラジアスエンドミル
12 工具本体
12a 根元部
14 ホルダ
14a 焼きばめ用穴
16 側面刃
18、18a〜d 底刃
20,20a〜d コーナ刃
22 ねじれ溝
24,26 凹凸
24a 凸部
24b 凹部
30 固定治具
32 溝
A 工具本体軸線
B 先端中心
C1 横方向中心線
C2 縦方向中心線
D 底円
TB タービンブレード(被切削部材)
r 回転方向
α ねじれ角
β 偏向角
12 工具本体
12a 根元部
14 ホルダ
14a 焼きばめ用穴
16 側面刃
18、18a〜d 底刃
20,20a〜d コーナ刃
22 ねじれ溝
24,26 凹凸
24a 凸部
24b 凹部
30 固定治具
32 溝
A 工具本体軸線
B 先端中心
C1 横方向中心線
C2 縦方向中心線
D 底円
TB タービンブレード(被切削部材)
r 回転方向
α ねじれ角
β 偏向角
Claims (7)
- 軸線回りに回転される工具本体の先端面に形成された底刃と、工具本体の外周に形成された側面刃と、該先端面のコーナ部に円弧状に形成されて底刃と側面刃とつなげるコーナ刃とを備えたラジアスエンドミルにおいて、
前記側面刃及びコーナ刃が、工具本体の回転方向側から見て外面が波状に凹凸する切れ刃で構成され、前記コーナ刃の凹凸のピッチ及び山谷の差が前記側面刃の凹凸のピッチ及び前記山谷の差よりも小さくすることを特徴とするラジアスエンドミル。 - コーナ刃及び側面刃を構成する切れ刃の少なくとも凸部の工具本体軸線に沿う断面が、工具本体の軸線方向に長軸が向いた楕円形状をなしていることを特徴とする請求項1に記載のラジアスエンドミル。
- 前記コーナ刃の凹凸のピッチを0.8〜1.0mmとし、山谷の差を0.1〜0.15mmとすると共に、側面刃の凹凸のピッチを1.2〜1.5mmとし、山谷の差を0.3〜0.5mmとしたことを特徴とする請求項1又は2に記載のラジアスエンドミル。
- 前記コーナ刃及び側面刃間に形成されるねじれ溝の工具本体軸線に対するねじれ角を15〜30°としたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載のラジアスエンドミル。
- 刃先からホルダに至るまでの工具本体をソリッドで構成し、該工具本体の後端部をホルダに焼きばめで固定したことを特徴とする請求項1〜4のいずれかの項に記載のラジアスエンドミル。
- 底刃から側面刃までを含む切れ刃が工具本体の周方向に複数形成され、各切れ刃が工具本体軸線に対して周方向に非対称に形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかの項に記載のラジアスエンドミル。
- 前記切れ刃が4枚刃であり、向かい合う2枚の切削刃が他の向かい合う2枚の切削刃に対して、工具本体の周方向で90°に加えてさらに2〜5°の偏向角をもたせて配置されていることを特徴とする請求項6に記載のラジアスエンドミル。
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