JP5298451B2 - 摺動構造 - Google Patents
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[実施例]
(摺動構造)
以下に、図1(a)に示すように、相互に摺動する一対の摺動部材10,20のうち、一方の摺動部材10の基材12の摺動面に水素元素を含む非晶質炭素被膜11が形成された摺動部材10と、該摺動部材10の摺動面を摺動する他方の摺動部材20と、該一対の摺動部材10,20の間に存在し、有機モリブデン化合物、銅系の添加剤を少なくとも含む潤滑剤30とを備えた摺動構造1を準備した。より具体的には、図2(a)に示すように、一方の摺動部材10としてプレート試験片10A、他方の摺動部材としてボール試験片20A、潤滑剤30としてグリース30Aを準備した。その詳細を以下に示す。
図2(a)に示すように、非晶質炭素被膜11Aを形成する基材12Aとして、表面粗さを十点平均粗さRz0.1μmにした直径24mm×厚さ7.9mm表面硬さHv700の高炭素クロム軸受鋼鋼材(SUJ2:JIS規格)を準備し、この基材12Aの直径24mmの表面に、プラズマCVDにより、厚さ6μm、表面硬さHv2000程度となるように、水素元素を含有した非晶質炭素被膜11A(HT−DLC(厚膜、高信頼性DLC:日本アイ・ティ・エフ株式会社製)が形成されたプレート試験片10Aを準備した。
図2(a)に示すように、直径10mm、ロックウェル硬さHRC62(ビッカース硬さHv700相当)、材質100CR−6(JIS規格:高炭素クロム軸受鋼鋼材(SUJ2)相当)の球状のボール試験片20Aを準備した。
図2(a)に示すように、プレート試験片10Aとボール試験片20Aとの間に供給する潤滑剤として、ジアルキルジチオカルバミン酸モリブデン(Mo−DTP)を含有したグリースを準備し、該グリースに対して、さらにジチオリン酸銅(Cu−DTP)を0.5質量%含有したグリース30Aを準備した。
SRV試験機を用いて、摩耗試験を行った。具体的には、プレート試験片10Aとボール試験片20Aとの間にグリース30Aを供給し、プレート試験片10Aとボール試験片20Aとに、摺動時の面圧が2.0〜2.47GMaとなるように荷重80〜150Nを作用させ、周波数50Hz、摺動時の振幅1.5mm、すべり速度0.15mm/秒、摺動時間10分で摺動させ、室温の温度条件下で試験を行った。なお、摺動時におけるプレート試験片の摺動部近傍の温度も測定した。
実施例と同じプレート試験片とボール試験片とを準備した。実施例と異なる点は、潤滑剤であるグリースに、ジチオリン酸銅(Cu−DTC)を含有させなかった点である。そして、実施例と同じように、摩擦摩耗試験を行った。外観観察の結果を図3(b)に示し、摩耗深さの結果を図4に示し、荷重に合わせた摩擦係数の測定結果を図5に示す。また、同様に、摺動時におけるプレート試験片の摺動部近傍の温度も測定した。
実施例と同じプレート試験片とボール試験片とを準備した。実施例と異なる点は、潤滑剤であるグリースに、ジアルキルジチオカルバミン酸モリブデン(Mo−DTC)、ジチオリン酸銅(Cu−DTC)を含有させなかった点である。そして、実施例と同じように、摩擦摩耗試験を行い、荷重に合わせた摩擦係数の測定を行った。この結果を図5に示す。
図3(b)に示すように、比較例1のプレート試験片の摺動面には、摩耗痕が形成されていた。図4に示すように、実施例は、比較例1に比べて、摩耗深さは小さかった。さらに、実施例の摺動時におけるプレート試験片の摺動部近傍の温度の方が、比較例1に比べて低かった。
図5に示すように、実施例1及び比較例1の摩擦係数は同程度であり、比較例2の摩擦係数よりも低かった。
結果1に示すように、実施例のほうが比較例1よりも摩耗深さが小さかったのは、実施例のほうが比較例1に比べて摺動時におけるプレート試験片の摺動部近傍の温度が低かったことに大きく起因していると考えられる。すなわち、実施例は、グリースに銅系の添加剤であるジチオリン酸銅を添加したことにより、有機モリブデン化合物から三酸化モリブデンへの熱分解が抑制されたことが起因していると考えられる。さらに、図1(b)に示すように、基材12の非晶質炭素被膜11が形成された摺動部材10の相手側の摺動部材20(この場合はボール試験片)の表面に、ジチオリン酸銅(Cu−DTP)から硫化銅(CuxSy)やリン酸銅(CuPO4)からなる銅系物質からなる膜が形成され、該膜上に、固体潤滑剤として作用する二硫化モリブデンからなる膜がさらに形成されることにより、有機モリブデン化合物であるジアルキルジチオカルバミン酸モリブデン(Mo−DTC)から三酸化モリブデンへの熱分解を抑制して化学的な反応による摩耗を抑え、かつ機械的な磨耗も抑えられたからであると考えられる。
結果2に示すように、実施例及び比較例1が比較例2に比べて、摩擦係数の値が小さかったのは、有機モリブデン化合物として、ジアルキルジチオカルバミン酸モリブデン(Mo−DTC)を用いたことにより、上述したように、摺動面に二硫化モリブデンの膜が形成されたことによると考えられる。また、実施例は、比較例1に比べて、摩耗深さが小さくなったにもかかわらず、摩擦係数が比較例1と同程度であったことからしても、実施例の摺動構造が、単に機械的に耐摩耗性を向上させたものではなく、上述したように、ジアルキルジチオカルバミン酸モリブデン(Mo−DTC)から三酸化モリブデンへの熱分解を抑制し、化学的反応による摩耗が抑制されたと考えられる。
Claims (1)
- 相互に摺動する一対の摺動部材のうち、一方の摺動部材の摺動面に水素元素を含む非晶質炭素被膜が形成された一対の摺動部材と、該一対の摺動部材の間に存在し、有機モリブデン化合物を少なくとも含む潤滑剤と、を少なくとも備えた摺動構造であって、
前記他方の摺動部材は、鉄系材料からなる摺動部材であり、
前記潤滑剤には、前記有機モリブデン化合物として、ジアルキルジチオカルバミン酸モリブデン(Mo−DTC)またはジチオリン酸モリブデン(Mo−DTP)を含むと共に、
前記潤滑剤は、前記一対の摺動部材の摺動時に、前記他方の摺動部材の摺動面に、銅系物質からなる膜が形成されるように、ジチオリン酸銅(Cu−DTP)からなる銅系の添加剤をさらに含有していることを特徴とする摺動構造。
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