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JP5267925B2 - ハードコートフィルムおよびその製造方法、ならびに偏光板 - Google Patents

ハードコートフィルムおよびその製造方法、ならびに偏光板 Download PDF

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Description

本発明は透明支持体の少なくとも片面にハードコート層を設けたハードコートフィルムであって、最表面に配置した際の表面の傷つきや汚れを防止するために充分な高硬度を有し、かつ、画像表示装置の最表面に配置した際に、外光を取り入れて画面を表示させる半透過半反射方式で使用した場合にも良好な視認性が得られる安価なハードコートフィルム、およびその製造方法に関する。また、ハンドリングや光学素子への加工時に不具合を生じる硬化収縮によるカールを充分に抑制した、ハードコート層を有するハードコートフィルム、およびその製造方法に関する。さらに、本発明は、上述したハードコートフィルムを用いた偏光板などの光学素子に関する。
液晶ディスプレイやプラズマディスプレイパネル、ブラウン管(陰極線管:CRT)ディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンス(EL)ディスプレイなどの画像表示装置は、携帯電話、デジタルカメラ、ノート型パーソナルコンピュータやモニター、テレビなど、家庭電気製品に広く組み込んで用いられている。
画像表示装置として近年広く使用されている液晶ディスプレイは、透明電極およびカラーフィルターを配した2枚の平板ガラスの間に液晶分子を封入した液晶セルの表裏面に偏光フィルムを貼合した構成である。持ち運ぶ機会の多い携帯電話やデジタルカメラでは、テレビやモニター、ノート型パーソナルコンピュータと比較して画像表示装置表面が傷つきやすいため、画像表示装置の上に透明樹脂板やガラス板からなるカバーを設置して表面を保護することが多かった。
近年、携帯電話やデジタルカメラにおいても、更なる小型化、軽量化、薄型化の目的からカバーを取り外して使用する場合があり、屋外で使用する機会の多い携帯電話やデジタルカメラでは、表面での光の反射によりディスプレイの視認性が低下する問題があった。そのため、ハードコートフィルムには更なる視認性の向上が要求されている。
画像表示装置最表面に配置され、ディスプレイの視認性を向上する目的で使用されるハードコートフィルムは、視認性を向上させるために、光学多層膜による干渉を利用した無反射処理が施されたものや、表面に微細な凹凸を形成することにより入射光を散乱させて映り込み像をぼかす防眩処理が施されたフィルムからなるものが提供されてきた。このうち、前者の無反射フィルムは、均一な光学膜厚の多層膜を形成する必要があるため、コスト高になる。後者の防眩フィルムは、比較的安価に製造することができるが、凹凸によりざらついた表面となり、携帯電話やデジタルカメラではデザイン上の理由から用いられることが少ない。
さらに、表面のカバーを取り外して使用される分野においては、従来よりもさらに硬度が高く、傷つきにくいハードコート層が求められている。
ハードコート層の硬度を上げる方法としては、たとえば特開平9−254321号公報(特許文献1)に、多官能(メタ)アクリレートモノマーおよび窒素原子を有する反応性モノマーを含有する紫外線硬化樹脂組成物の硬化物層が紹介されている。しかしながら、特許文献1に開示された硬化物層は、膜厚3μmで塗工していることから、透明支持体の影響で硬度としては不十分である。
また特開平9−113728号公報(特許文献2)には、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを用いたハードコートフィルムが提案されている。この文献には、下地である硬度の低い透明支持体の影響を除くために、ハードコート層の厚みを増加させる方法の記載があり、ハードコート層の厚みを10μm以上にすることで鉛筆硬度4H以上を達成しているが、硬化収縮によりカールが発生しやすいという問題があった。
塗膜硬度を向上させ、硬化収縮によるカールを抑制するため、塗膜中にフィラーを入れる方法も提案されている。たとえば特開2000−052472号公報(特許文献3)には、ハードコート層を2層設け、透明基材に近い第一のハードコート層には超微粒子を含有させ、その上に設けられる第二のハードコート層には超微粒子を含有させない構成とすることが記載されている。このような特許文献3に開示されたハードコートフィルムは、ハードコート層の厚みを10μm以上とすることにより鉛筆硬度4Hを達成しているが、2層構造となるために、生産性、経済性にデメリットが生じる。
また、特開2000−112379号公報(特許文献4)には、ハードコート層を形成する樹脂100重量部当たり無機微粒子を20〜80重量部含むハードコート層形成材料から、厚みが10μm以上のハードコート層を形成することで、鉛筆硬度4H以上となるハードコートフィルムとすることが記載されている。しかしながら、このような特許文献4に開示された塗液は、硬化収縮によるカールを抑えて適切な鉛筆硬度を持たせることが困難である。
さらに、特開2007−46031号公報(特許文献5)には、ウレタンアクリレート、ポリオール(メタ)アクリレートおよび水酸基を2個以上含むアルキル基を有する(メタ)アクリルポリマーを含む材料から形成されたハードコート層を有するハードコートフィルムが記載されている。このような特許文献5に開示されたハードコートフィルムは、ハードコート層の厚みを15μm以上にすることにより、鉛筆硬度4Hを達成しており、そのハードコート層形成材料がレベリング剤を含んでもよいことも記載されてはいるものの、散乱反射率Y値についての記載はない。散乱反射率に影響を与えるパラメータとして、添加剤の組成比およびハードコート層製膜時の製造条件が影響することが知られているが、特許文献5の実施例では、15〜35μmの厚みでハードコート層を形成した場合、膜厚20μm以上では必ずしも散乱反射率Y値が0.2%以下となる訳ではない。なお、ハードコート層の外表面に反射防止膜を製膜して視認性の改善を図ることも記載されているが、この場合には、生産性の悪化、高コスト化などのデメリットが生じる。
特開平9−254321号公報 特開平9−113728号公報 特開2000−052472号公報 特開2000−112379号公報 特開2007−46031号公報
本発明は、上記のような実情に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、透明支持体の少なくとも片面にハードコート層を設けたハードコートフィルムであって、最表面に配置した際の表面の傷つきや汚れを防止するために充分な高硬度を有し、かつ、画像表示装置の最表面に配置した際に、屋外使用した場合にも良好な視認性が得られる安価なハードコートフィルム、およびその製造方法を提供することである。
また本発明は、ハンドリングや光学素子への加工時に不具合を生じる、硬化収縮によるカールが充分に抑制されたハードコート層を有するハードコートフィルム、およびその製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、当該ハードコートフィルムを用いた偏光板などの光学素子を提供することも目的とする。
本発明は、透明支持体と、透明支持体の少なくとも片面に、10〜30μmの厚みで形成された、電離放射線硬化性樹脂およびレベリング剤を含む硬化性樹脂組成物の硬化物からなるハードコート層とを備え、散乱反射率Y値が0.2%以下であるハードコートフィルムを提供する。
本発明のハードコートフィルムは、ハードコート層が、電離放射線硬化性樹脂100重量部あたりレベリング剤を0.01〜1重量部の割合で含有する硬化性樹脂組成物から形成されていることが、好ましい。
また本発明のハードコートフィルムにおけるレベリング剤は、ポリシロキサン構造あるいはフッ素含有基の少なくとも一方を有していることが好ましい。
本発明はまた、透明支持体の表面に、電離放射線硬化性樹脂およびレベリング剤を含む硬化性樹脂組成物の硬化物からなるハードコート層が形成されたハードコートフィルムを製造する方法であって、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンのうちいずれか1種以上からなる溶剤に対し、電離放射線硬化性樹脂の濃度が30〜70重量%となるように希釈した塗布液を、透明支持体上に塗布し、40〜80℃の範囲内の温度で乾燥し、次いで電離放射線照射により硬化させることでハードコート層を形成する、ハードコートフィルムの製造方法についても提供する。
本発明はさらに、上述した本発明のハードコートフィルムが、その透明支持体側で偏光フィルムに貼り合わされている偏光板についても提供する。
本発明によれば、屋外使用した場合にも良好な視認性を発現し、かつ、表面の傷つきを防止するために充分な高硬度性を示すハードコート層が形成されたハードコートフィルムを安価に提供することができる。また、ハンドリングや光学素子への加工時に不具合を生じる、硬化収縮によるカールが充分に抑制されたハードコートフィルムを提供することができる。
図1は、本発明の好ましい一例のハードコートフィルム1を模式的に示す断面図である。本発明のハードコートフィルム1は、透明支持体2と、当該透明支持体2の少なくとも片面に設けられた、電離放射線硬化性樹脂およびレベリング剤を含む硬化性樹脂組成物の硬化物からなるハードコート層3とを基本的に備える。
本発明に用いられる透明支持体2は、実質的に光学的に透明な樹脂フィルムであればよく、たとえば、トリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ノルボルネン系化合物をモノマーとする非晶性環状ポリオレフィンなどの熱可塑性樹脂からなる溶剤キャストフィルムや押出フィルムなどを用いることができる。これらの中でも、電離放射線硬化性樹脂として、市場に多くある後述の(メタ)アクリレート系材料を用いる場合には、当該電離放射線硬化性樹脂との屈折率差を小さくし、かつそれの硬化物であるハードコート層との充分な密着性が得られるという観点から、トリアセチルセルロースで形成された樹脂フィルムを透明支持体2として用いることが好ましい。
本発明において、ハードコート層3の形成に用いられる硬化性樹脂組成物に含まれる電離放射線硬化性樹脂としては、紫外線硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂などが挙げられるが、生産性、硬度などの観点から紫外線硬化性樹脂が好ましく使用される。紫外線硬化性樹脂としては、たとえば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリス(ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート)、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、多官能ウレタン化(メタ)アクリレート等を主成分とする(メタ)アクリレート系樹脂などが例示される。ここで、多官能ウレタン化(メタ)アクリレートとは、たとえば、イソホロンジイソシアネートやヘキサメチレンジイソシアネートのような、分子内に少なくとも2個のイソシアナト基(−NCO)を有するポリイソシアネートに、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレートやペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートのような、分子内に1個の水酸基および少なくとも1個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を付加反応させて得られる、ウレタン結合と少なくとも2個の(メタ)アクリロイル基を有する化合物である。これらの紫外線硬化性樹脂は単独または2種以上混合して使用することができる。本発明においては、ハードコート層3を10〜30μmと厚くすることから、可撓性を保持し、かつ硬さを確保するために、紫外線硬化性樹脂として多官能ウレタン化(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。さらには、多官能ウレタン化(メタ)アクリレートに、上述したようなウレタン結合を有しない多官能(メタ)アクリレートを組み合わせて用いることも有効である。
紫外線硬化性樹脂としては市販されているものを好適に用いることができる。紫外線硬化性樹脂の市販品としては、具体的には、カヤラッド DPHA(日本化薬(株)製)、カヤラッド DPCA−20(日本化薬(株)製)、カヤラッド DPCA−30(日本化薬(株)製)、カヤラッド DPCA−60(日本化薬(株)製)、カヤラッド DPCA−120(日本化薬(株)製)、カヤラッド D−310(日本化薬(株)製)、カヤラッド D−330(日本化薬(株)製)、カヤラッド PET−30(日本化薬(株)製)、カヤラッド GPO−303(日本化薬(株)製)、カヤラッド TMPTA(日本化薬(株)製)、カヤラッド THE−330(日本化薬(株)製)、カヤラッド TPA−330(日本化薬(株)製)、アロニックスM−315(東亞合成(株)製)、アロニックスM−325(東亞合成(株)製)などが挙げられる。
上述したような紫外線硬化性樹脂は、通常、光重合開始剤と混合して使用される。光重合開始剤としては、たとえば、イルガキュアー 907(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)、イルガキュアー 184(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)、ルシリン TPO(BASF社製)などの市販品を好適に用いることができる。
本発明のハードコートフィルム1において、充分な高硬度を有し、硬化収縮によるカールを充分に抑制し得るハードコート層3を得る観点から、紫外線硬化樹脂中にシリカ微粒子を添加するようにしてもよい。この場合、シリカ微粒子としては、粉体状シリカまたはコロイダルシリカが挙げられ、平均粒子径が0.01〜20μmの範囲内のものが好適に用いられる。また、シリカ微粒子は、ハードコートフィルムの光透過性に影響を与えないものであることが好ましく、そのためには、一次粒子径が10〜350nmの範囲内にあることが好ましく、10〜50nmの範囲内にあることがより好ましい。なお、上述したシリカ微粒子の平均粒子径は、たとえば透過型電子顕微鏡で観察することにより測定することができ、また、シリカ微粒子の一次粒子径は、たとえばイソプロピルアルコールなどの溶媒に微粒子を分散させ、その分散液から、コールター粒度分布測定法、レーザー回折散乱法、動的光散乱法などにより測定することができ、これらの中でもコールター粒度分布測定法が一般的である。
シリカ微粒子の形状は、球状、中空状、多孔質状、棒状、板状、繊維状、もしくは不定形状であってよいが、紫外線硬化性樹脂中で凝集することなく粒子を好適に分散させるためには、好ましくは球状である。また、ハードコート層3の硬度や平面性を維持する観点から、シリカ微粒子の比表面積は0.1〜3000m2/gの範囲内であることが好ましく、さらには1m2/g以上、とりわけ10m2/g以上、また1500m2/g以下であることがより好ましい。
このようなシリカ微粒子も市販されているものを好適に用いることができる。シリカ微粒子の市販品を例示すると、コロイダルシリカとしては、メタノールシリカゾル(日産化学工業(株)製)、IPA−ST(日産化学工業(株)製)、MEK−ST(日産化学工業(株)製)、NBA−ST(日産化学工業(株)製)、XBA−ST(日産化学工業(株)製)、DMAC−ST(日産化学工業(株)製)、ST−UP(日産化学工業(株)製)、ST−OUP(日産化学工業(株)製)、ST−20(日産化学工業(株)製)、ST−40(日産化学工業(株)製)、ST−C(日産化学工業(株)製)、ST−N(日産化学工業(株)製)、ST−O(日産化学工業(株)製)、ST−50(日産化学工業(株)製)、ST−OL(日産化学工業(株)製)などを挙げることができる。また粉体状シリカとしては、アエロジル130(日本アエロジル(株)製)、アエロジル300(日本アエロジル(株)製)、アエロジル380(日本アエロジル(株)製)、アエロジルTT600(日本アエロジル(株)製)、アエロジルOX50(日本アエロジル(株)製)、シルデックスH31(旭硝子(株)製)、シルデックスH32(旭硝子(株)製)、シルデックスH51(旭硝子(株)製)、シルデックスH52(旭硝子(株)製)、シルデックスH121(旭硝子(株)製)、シルデックスH122(旭硝子(株)製)、E220A(日本シリカ工業(株)製)、E220(日本シリカ工業(株)製)、サイリシア470(富士シリシア(株)製)、SGフレーク(日本板硝子(株)製)などを挙げることができる。
本発明において、ハードコート層3の形成に用いられる硬化性樹脂組成物には、得られるハードコート層3の表面平滑性を確保するために、レベリング剤が添加される。レベリング剤とは、塗料に添加することでその塗料の表面張力を低下させ、塗膜の表面平滑性を向上させる効果のある薬剤である。
レベリング剤として一般的に使用される物質としては、ポリアルキルアクリレートなどのポリアクリレート系ポリマー;ポリアルキルビニルエーテルなどのポリビニルエーテル系ポリマー;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、さらにはポリエーテル、ポリエステル、アラルキルなどが導入された有機変性ポリシロキサンなどのシリコーン系ポリマーなどが例示される。これらのポリマーは、側鎖の構造を変えることにより、塗料に添加したときの表面張力を制御することができる。たとえば、シリコーン系レベリング剤においては、側鎖のアルキル鎖長を変えることにより、塗料に添加したときの表面張力低下能が制御でき、アルキル側鎖が短いほど表面張力が低くなる。このようなレベリング剤の添加により、塗膜形成過程での塗膜表面張力を低下させることができ、その結果、塗膜表面の凹凸が低減される。塗膜表面張力を効果的に低下させるためには、レベリング剤の表面張力を電離放射線硬化性樹脂の表面張力よりも低くすることが好ましい。
上述した中でも、塗料の表面張力を低くする効果が高いことから、ポリシロキサン構造あるいはフッ素含有基の少なくとも一方を有しているレベリング剤を用いることが好ましい。上述したシリコーン系ポリマーは、それ自体でポリシロキサン構造を有するレベリング剤となる。また、上記したポリアクリレート系ポリマーやポリビニルエーテル系ポリマーは、その製造の際、フッ素含有基を有するモノマーを共重合させることによりフッ素含有基を有するポリマーとすることができるし、シリコーン系ポリマーをグラフト重合させることにより、ポリシロキサン構造を有するポリマーとすることができる。
なお、ポリアクリレート系ポリマーを用いたレベリング剤およびポリビニルエーテル系ポリマーを用いたレベリング剤は、シリコーン系ポリマーを用いたレベリング剤と比較して、表面張力が高い傾向にあるが、フッ素含有基を有する単位を導入することで、表面張力を低くすることができる。また、ポリアクリレート系ポリマーを用いたレベリング剤およびポリビニルエーテル系ポリマーを用いたレベリング剤は、シリコーン系ポリマーを用いたレベリング剤に比べ、添加系の塗膜表面の濡れ性低下が少なく、樹脂との相溶性も高く、得られる塗膜の透明性に優れているという特徴がある。これらのポリマー主鎖にポリシロキサン系高分子をグラフト重合(グラフトポリマー化)することで、樹脂との相溶性を保持したまま、表面張力を低くすることが可能である。このようなグラフトポリマー系レベリング剤の市販品としては、サイマックUS−150(東亞合成(株)製)、サイマックUS−270(東亞合成(株)製)、サイマックUS−350(東亞合成(株)製)、サイマックUS−450(東亞合成(株)製)などが例示される。
本発明においては、レベリング剤は、硬化性樹脂組成物において電離放射線硬化性樹脂100重量部あたり0.01〜1重量部の割合となるように配合されることが好ましい。レベリング剤が硬化性樹脂組成物において電離放射線硬化性樹脂100重量部あたり0.01重量部未満である場合、ハードコート層表面の平滑性が失われ、波うち、トタン模様状の不具合が生じる虞があるため好ましくない。また、レベリング剤が硬化性樹脂組成物において電離放射線硬化性樹脂100重量部あたり1重量部を超える場合、微細な荒れが表面に存在することとなり、外光を表示装置内に取り込んで視認する形態で使用する画像表示装置の最表面にそのハードコートフィルムを配置したときに、画像表示装置正面からの視認性を低下させるため、好ましくない。さらに好ましくは、レベリング剤の配合量を硬化性樹脂組成物において電離放射線硬化性樹脂100重量部あたり0.1重量部以下とすることで、散乱反射率Y値(後述)を上昇させることなくハードコートフィルム表面の面状態を平滑に保つことができる。
本発明のハードコートフィルム1は、上述したような電離放射線硬化性樹脂およびレベリング剤を含有する硬化性樹脂組成物を含む塗液を透明支持体2上に塗布し、電離放射線(電離放射線硬化性樹脂が紫外線硬化性樹脂である場合には、紫外線)を照射して硬化性樹脂組成物を硬化させ、透明支持体2上に当該硬化性樹脂組成物の硬化物であるハードコート層3を形成する方法により、製造することができる。
本発明において、ハードコート層3の形成に用いられる上記塗布液は、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンのいずれか1種以上を溶剤として電離放射線硬化性樹脂の固形分が30〜70重量%となるように希釈して得ることができる。ここで、塗布液中の電離放射線硬化性樹脂の固形分が30重量%未満である場合には、塗布液を透明支持体上に塗布した際に溶剤濃度が高すぎて10〜30μmの厚みの塗膜を得ることが難しく、また、塗布液中の電離放射線硬化性樹脂の固形分が70重量%を超える場合には、塗布液の粘度が高すぎて塗膜にムラが発生し、外観を損なうためである。
上述したような溶剤で希釈した塗布液を用いる場合、その塗布液を透明支持体2上に塗布した後は、電離放射線を照射して硬化性樹脂組成物を硬化させる前に、塗布液を乾燥させて溶剤の殆どを蒸発させ、電離放射線硬化性樹脂組成物の固形分のみとすることが好ましい。またこの場合、乾燥温度は40〜80℃の範囲内とすることが好ましい。乾燥温度を80℃より高くした場合には、蒸発する溶剤やレベリング剤成分が塗膜表面で点状の跡となり、塗膜外観の悪化や、画像表示装置に適用したときに明所でのコントラスト比低下の不具合を引き起こし、好ましくない。一方、乾燥温度を40℃未満とする場合には、溶剤を充分に蒸発させることができず、塗膜中に溶剤が残存してしまうので好ましくない。なお、乾燥は、複数台の乾燥機を用いて、低温から高温へ、たとえば40℃で30秒間加熱した後に65℃で1分間加熱するなど、乾燥温度40〜80℃の範囲内で、段階的に温度をかけることが好ましい。
そこで、本発明は、透明支持体の表面に、電離放射線硬化性樹脂およびレベリング剤を含む硬化性樹脂組成物の硬化物からなるハードコート層が形成されたハードコートフィルムを製造する方法であって、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンのうちいずれか1種以上からなる溶剤に対し、電離放射線硬化性樹脂(固形分)の濃度が30〜70重量%となるように希釈した塗布液を、透明支持体上に塗布し、40〜80℃の範囲内の温度で乾燥し、次いで電離放射線照射により硬化させることでハードコート層を形成する、ハードコートフィルムの製造方法についても提供する。このような本発明のハードコートフィルムの製造方法によって、上述した本発明のハードコートフィルム1を好適に製造することができる。
本発明のハードコートフィルム1においては、透明支持体2の影響を極力排除し、ハードコート層3による硬度を充分に発現させるために、ハードコート層3の厚みは10μm以上とする。特にトリアセチルセルロースフィルムやポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネートを用いて形成された透明支持体2のように、透明支持体2自身が変形しやすい場合には、この変形のしやすさの影響を除くために、ハードコート層3の厚みを15μm以上とすることが好ましい。このようにハードコート層3の膜厚を厚くすることで、柔らかい透明支持体2の影響を除き、ハードコート層3の本来の硬度を効果的に発現させることが可能となる。
一方、ハードコート層3の厚みは30μm以下とするが、さらには25μm以下、とりわけ20μm以下であることが好ましい。ハードコート層の厚みが30μmを超える場合には、ハードコート層の厚みに起因する曲げ耐性が低下し、フィルムをハンドリング・加工する際に、クラックや割れが入りやすくなってしまう。
また、本発明のハードコートフィルム1は、ハードコート層3の表面の散乱反射率Y値が0.2%以下であるように設計されている。ここで、散乱反射率Y値について説明する。通常、人が明所でフィルム表面を目視観察する場合は、正反射光がない状態で見ているため、人間が感じるのとほぼ同じ反射光強度を測定するためには、正反射光を除いて、拡散反射光のみを測定する必要がある。
ここで、明所での目視観察に近い照明・反射測定方法の例として、図2に模式的に示す光学系11が例示される。図2には、目視観察に近い照明として、拡散照明方式の光学系11が示されている。拡散照明方式は、積分球などを使って、試料をあらゆる方向から均等に照明する方法であり、図2では、積分球12(光をほぼ完全に拡散反射する硫酸バリウムなどの白い塗料で内面を塗布した球)が設置されている。光源13から出た光は、積分球12の内部で拡散され、サンプル14の表面で反射される。受光部に対して、正反射方向にある積分球の位置にはライトトラップ15(図2では、円錐形の空洞を有する治具がとりつけられており、円錐形の空洞に入った光は、空洞内で吸収され、積分球中には戻らない仕組みになっている。)が設置されており、受光部に対して正反射方向の光が、サンプル表面にはあたらないようになっている。このようなライトトラップを用いた光学系はSCEモード(正反射除去モード)と呼ばれる。SCEモードで測定したサンプルの反射スペクトルからJIS Z 8722記載の方法に従って求められる視感反射率を散乱反射率Y値と称する。
本発明のハードコートフィルム1においては、上述した散乱反射率Y値が0.2%以下である。散乱反射率Y値が0.2%を超える場合には、裏面を黒色処理してハードコート層3の表面を目視で観察した際に白っぽく観察されてしまう。また、外光を表示装置内に取り込んで視認する形態で使用する画像表示装置の最表面にハードコートフィルム1を配置して、白画像、黒画像を表示させた際の各輝度値から得られるコントラスト比が充分高くなり、良好な視認性が得られる観点から、散乱反射率Y値は0.15%以下であることが好ましい。散乱反射率Y値が0.15%を超えて0.2%以下であると、裏面を黒色処理したときの白浮きはないものの、外光を表示装置内に取り込んで画像を表示する形態で使用する場合の視認性が低下する場合がある。
このような本発明のハードコートフィルム1は、ハードコート層3が、最表面に配置した際の表面の傷つきや汚れを防止するために充分な高硬度を有し、かつ、画像表示装置の最表面に配置した際に、外光を取り入れて画像を表示させる半透過半反射方式で使用した場合にも良好な視認性を与え、しかも安価に得ることができるものである。さらに本発明のハードコートフィルム1は、ハンドリングや光学素子への加工時に不具合を生じる、硬化収縮によるカールが充分に抑制されたハードコート層3を有する。
本発明はまた、上述した本発明のハードコートフィルム1が、その透明支持体2側で偏光フィルムに貼り合わされている偏光板についても提供する。ここで偏光フィルムとは、そのフィルム面に垂直に入射する光のうち、ある方向に振動する直線偏光を透過し、それとフィルム面内で直交する方向に振動する直線偏光を吸収する性質を有するフィルムであり、典型的には、ポリビニルアルコール系樹脂に、ヨウ素または二色性有機染料からなる二色性色素が吸着配向しているフィルムを挙げることができる。このような本発明の偏光板は、液晶表示素子、プラズマディスプレイパネル、ELディスプレイなどの画像表示手段と組み合わせて、画像表示装置に好適に用いることができる。たとえば、上述した本発明のハードコートフィルムを用いた本発明の偏光板を、液晶ディスプレイの少なくとも1面に備える液晶表示装置が例示される。
以下に実施例を示して、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
<実施例1>
以下の各成分が酢酸エチルに固形分濃度60重量%で溶解されている紫外線硬化性樹脂組成物を調製した。
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 60重量部
・多官能ウレタン化アクリレート(ヘキサメチレンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートの反応生成物) 40重量部
次に、この紫外線硬化性樹脂組成物の固形分100重量部に対して、光重合開始剤であるルシリン TPO(BASF社製、化学名:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド)を5重量部添加した。さらに、紫外線硬化性樹脂組成物固形分100重量部に対し、レベリング剤としてサイマックUS−150(東亜合成(株)製)を0.5重量部添加し、紫外線硬化性樹脂組成物が固形分で50重量%となるように酢酸エチルで希釈して、ハードコート層形成用の塗布液aを調製した。
厚み80μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルム上に、塗布液aを乾燥・硬化後の塗膜厚みが17.7μmとなるように塗布し、60℃に設定した乾燥機中で3分間乾燥させた。さらに、強度20mW/cm2の高圧水銀灯からの光をh線換算光量で200mJ/cm2となるように照射して、紫外線硬化性樹脂組成物の層を硬化させた。このようにして、図1に示したような、紫外線硬化性樹脂組成物の層の硬化物であるハードコート層3と、TACフィルムからなる透明支持体2との積層体である透明なハードコートフィルム1を得た。
<実施例2>
塗布液aを、乾燥・硬化後の塗膜厚みが15.1μmとなるように塗布したこと以外は実施例1と同様にして、ハードコートフィルム1を得た。
<実施例3>
レベリング剤であるサイマックUS−150(東亜合成(株)製)を0.1重量部配合したこと以外は塗布液aと同様にして塗布液bを調製し、この塗布液bを用い、乾燥・硬化後の塗膜厚みが13.4μmとなるように塗布したこと以外は実施例1と同様にして、ハードコートフィルム1を得た。
<実施例4>
塗布液bを、乾燥・硬化後の塗膜厚みが11.8μmとなるように塗布したこと以外は実施例3と同様にして、ハードコートフィルム1を得た。
<実施例5>
レベリング剤であるサイマックUS−150(東亜合成(株)製)を0.01重量部配合したこと以外は塗布液aと同様にして塗布液cを調製し、この塗布液cを用い、乾燥・硬化後の塗膜厚みが16.4μmとなるように塗布したこと以外は実施例1と同様にして、ハードコートフィルム1を得た。
<実施例6>
塗布液cを、乾燥・硬化後の塗膜厚みが11.9μmとなるように塗布したこと以外は実施例5と同様にして、ハードコートフィルム1を得た。
<比較例1>
塗布液aを、乾燥・硬化後の塗膜厚みが35.0μmとなるように塗布したこと以外は実施例1と同様にして、ハードコートフィルムを得た。
<比較例2>
レベリング剤であるサイマックUS−150(東亜合成(株)製)を配合しなかったこと以外は塗布液aと同様にして塗布液dを調製し、この塗布液dを用い、乾燥・硬化後の塗膜厚みが34.3μmとなるように塗布したこと以外は実施例1と同様にして、ハードコートフィルムを得た。
<比較例3>
レベリング剤であるサイマックUS−150(東亜合成(株)製)を1重量部配合したこと以外は塗布液aと同様にして塗布液eを調製し、この塗布液eを用い、乾燥・硬化後の塗膜厚みが8.3μmとなるように塗布したこと以外は実施例1と同様にして、ハードコートフィルムを得た。
<比較例4>
塗布液aを、乾燥・硬化後の塗膜厚みが7.1μmとなるように塗布したこと以外は実施例1と同様にして、ハードコートフィルムを得た。
<比較例5>
塗布液bを、乾燥・硬化後の塗膜厚みが7.8μmとなるように塗布したこと以外は実施例1と同様にして、ハードコートフィルムを得た。
<比較例6>
塗布液cを、乾燥・硬化後の塗膜厚みが8.2μmとなるように塗布したこと以外は実施例1と同様にして、ハードコートフィルムを得た。
<比較例7>
塗布液dを、乾燥・硬化後の塗膜厚みが7.5μmとなるように塗布したこと以外は実施例1と同様にして、ハードコートフィルムを得た。
〔評価試験〕
上述した実施例1〜6、比較例1〜7で得られたハードコートフィルムについて、以下の評価試験を行った。
(1)塗膜(ハードコート層)の厚み
上述のようにして得た各ハードコートフィルムについて、膜厚計DIGIMICRO MH−15M(ニコン製)を用いて、透明支持体単体およびハードコートフィルムの厚みを測定し、下記式にてハードコート層の厚みを算出した。
(ハードコート層の厚み)
=(ハードコートフィルムの厚み)−(透明支持体単体の厚み)
(2)ヘイズ値
JIS K 7136に準拠し、村上色彩技術研究所製のヘイズメーターHM−150を用いて、ハードコートフィルムの透明支持体側から光を入射させ、ハードコート層側から出射させて、ヘイズ値(%)を測定した。
(3)散乱反射率Y値
上述のようにして得た各ハードコートフィルムを、それぞれ粘着剤を介して黒色アクリル板(スミペックス、住友化学(株)製)に透明支持体側で貼合し、評価サンプルとした。これら評価サンプルについて、図2に模式的に示した光学系11として分光測色計CM2002(コニカミノルタセンシング製)を用いて、下記条件で散乱反射率Y値を測定した。
モード:SCEモード(ライトトラップあり)
照明:拡散照明方式
(JIS Z 8722−1982 4.3.1(3)条件c に準ずる)
受光光学系:受光部とサンプル法線方向の角度を8°に設定
光源:C光源 (JIS Z8720 参照)
(4)塗膜面状態
上述のようにして得た各ハードコートフィルム表面のハードコート層の面状態に波打ちや干渉ムラなどの不具合がないかどうかを通常室内環境にて目視で確認し、以下のように評価した。
○:ほぼ鏡面であり、目立つ不具合が無い、
×:波うち、干渉ムラの不具合が確認できる。
(5)鉛筆硬度
上述のようにして得た各ハードコートフィルムの透明支持体側をガラス板上に載せ、ハードコート層表面について、JIS K−5400−1990に従い、鉛筆硬度を測定した。ただし、試験荷重は500gとした。
(6)カール
上述のようにして得た各ハードコートフィルムを10cm角に切断し、ガラス板上にハードコート層が上になるように載置し、四隅におけるガラス板からの持ち上がり長さ(mm)を測定し、その平均値を求め、以下のように評価した。
○:平均値が20mm以下である、
×:平均値が20mmを越える。
(7)曲げ耐性
上述のようにして得た各ハードコートフィルムを10cm角に切断し、透明支持体が内側となるように、外径5〜50mmの円筒に巻きつけ、10秒間保持した際に、ハードコートフィルムにクラック・割れが発生しない最小径を、曲げ耐性とした。
(8)反射コントラスト比の評価
半透過型液晶駆動モードの携帯電話である、FOMA N903i(日本電気(株)製)から、最表面に貼合されている偏光板を剥離し、剥離後の位相差フィルム面に、スミカランSRW832(住友化学(株)製)を吸収軸がオリジナルの偏光板の吸収軸と一致するように粘着剤を介して貼合し、さらに表示面側偏光板の上には、上述のようにして得た各ハードコートフィルムを、ハードコート層が表面となるように粘着剤を介して貼合し、評価サンプルとした。
このようにして得た評価サンプルについて、図3および図4に模式的に示すように積分半球および光源ユニットを備える冶具21を用いて、反射コントラスト比を評価した。なお、図3は冶具21の斜視図であり、図4(a)は下面図、図4(b)は正面図、図4(c)は側面図である。積分半球22は、内壁面に硫酸バリウムが塗布してあり、拡散面となっている。光源23から積分半球22を介して評価サンプル24を照明し、輝度計25で評価サンプル24の表面輝度を測定する。輝度計25としては、輝度計“BM5A”型((株)トプコン製)を用いた。ここで、評価サンプル24面は積分半球22断面の中央に位置し、その法線方向が断面の法線方向に対して8°傾いている。また、評価サンプル24面の法線方向は輝度計25の測定光軸と一致するように設計されている。図4に示すように評価サンプル24を設置し、反射モード(携帯電話のバックライトを点灯させない状態)での黒表示及び白表示における輝度を測定し、コントラストを算出した。ただし、この際、反射コントラスト比は、黒表示状態の輝度に対する白表示状態の輝度の比で表される。
実施例1〜6、比較例1〜7についての上述した評価試験の結果を表1に示す。
Figure 0005267925
表1から、実施例1〜6および比較例1、2では、塗膜厚(ハードコート層の厚み)を10μm以上とすることで、充分な鉛筆硬度が得られていることが分かる。ただし、比較例1、2では、塗膜厚が30μmを超えていることから、カールが強く、曲げ耐性が弱いため、好ましくない。比較例3〜7では塗膜厚が10μm未満であり、所望の硬度が得られていない。また、比較例1、3では、散乱反射率Y値が0.2%を超えているため、反射コントラスト比が低下しており、好ましくない。さらに、比較例2、7では、レベリング剤を配合していないため、塗膜面の平滑性が不十分であり、好ましくない。
<実施例7>
紫外線硬化性樹脂の固形分濃度が30重量%となるように希釈したこと以外は塗布液aと同様にして塗布液fを調製し、この塗布液fを用い、乾燥・硬化後の塗膜厚みが12.1μmとなるように塗布したこと以外は実施例1と同様にして、ハードコートフィルム1を得た。
<実施例8>
紫外線硬化性樹脂の固形分濃度が70重量%となるように希釈したこと以外は塗布液aと同様にして塗布液gを調製し、この塗布液gを用い、乾燥・硬化後の塗膜厚みが15.5μmとなるように塗布したこと以外は実施例1と同様にして、ハードコートフィルム1を得た。
<比較例8>
紫外線硬化性樹脂の固形分濃度が20重量%となるように希釈したこと以外は塗布液aと同様にして塗布液hを調製し、この塗布液hを用い、乾燥・硬化後の塗膜厚みが8.3μmとなるように塗布したこと以外は実施例1と同様にして、ハードコートフィルムを得た。
<比較例9>
紫外線硬化性樹脂の固形分濃度が80重量%となるように希釈したこと以外は塗布液aと同様にして塗布液iを調製し、この塗布液iを用い、乾燥・硬化後の塗膜厚みが16.3μmとなるように塗布したこと以外は実施例1と同様にして、ハードコートフィルムを得た。
<比較例10>
塗布液aを、乾燥・硬化後の塗膜厚みが15.5μmとなるように塗布し、100℃で2分間乾燥させたこと以外は実施例1と同様にして、ハードコートフィルムを得た。
実施例7、8および比較例8〜10でそれぞれ得られたハードコートフィルムについて、上述と同様にして塗膜厚、散乱反射率Y値、塗膜面状態、鉛筆硬度および反射コントラスト比を評価した。実施例7、8および比較例8〜10の結果を、実施例1についての結果とともに表2に示す。
Figure 0005267925
表2に示す結果から、実施例1、7、8では、塗布液の固形分濃度を30〜70重量%にすることで、10μm以上の厚みで、塗膜面状態のよいハードコート層を得ることができたことが分かる。これに対し、比較例8では塗布液の固形分濃度が20重量%と低いことから、充分な塗膜厚を得ることができず、また、比較例9では塗布液の固形分濃度が80重量%と高いことから、塗布液を硬化した後に塗布方向に沿ったスジ状のムラが発生し、外観を損なう塗膜となったため、好ましくない。また、比較例10では、塗布液の乾燥温度を100℃としたことで、塗膜表面に白化現象が見られ、微細な凹凸が発生したため、反射コントラスト比が低下しており、好ましくない。
本発明の好ましい一例のハードコートフィルム1を模式的に示す断面図である。 散乱反射率Y値を測定するために好適に用いられる光学系11を模式的に示す図である。 反射コントラスト比の評価に用いられる冶具21を模式的に示す斜視図である。 図3に示す冶具21を模式的に示す図であり、図4(a)は下面図、図4(b)は正面図、図4(c)は側面図である。
符号の説明
1 ハードコートフィルム、2 透明支持体、3 ハードコート層、11 光学系、12 積分球、13 光源、14 サンプル、15 ライトトラップ、21 冶具、22 積分半球、23 光源、24 評価サンプル、25 輝度計。

Claims (5)

  1. 透明支持体と、
    前記透明支持体の少なくとも片面に、10〜30μmの厚みで形成された、電離放射線硬化性樹脂およびレベリング剤を含む硬化性樹脂組成物の硬化物からなるハードコート層とを備え、
    前記硬化性樹脂組成物は、溶剤である酢酸エチル、電離放射線硬化性樹脂、および、ポリシロキサン構造あるいはフッ素含有基の少なくとも一方を有しているレベリング剤を含み、前記電離放射線硬化性樹脂100重量部あたり前記レベリング剤を0.01〜0.5重量部の割合で含有し、前記電離放射線硬化性樹脂の濃度が30〜70重量%となるように希釈された塗布液であり、
    前記ハードコート層は、前記透明支持体上に前記塗布液を塗布し、40〜80℃の範囲内の温度で乾燥し、次いで電離放射線照射により硬化させることにより形成されており、
    散乱反射率Y値が0.2%以下である、ハードコートフィルム。
  2. ハードコート層鉛筆硬度が4H以上である、請求項1に記載のハードコートフィルム。
  3. 硬化性樹脂組成物を構成する電離放射線硬化性樹脂は、(メタ)アクリレート系の紫外線硬化性樹脂である、請求項1または2に記載のハードコートフィルム。
  4. 透明支持体の表面に、電離放射線硬化性樹脂およびレベリング剤を含む硬化性樹脂組成物の硬化物からなるハードコート層が形成されたハードコートフィルムを製造する方法であって、
    溶剤である酢酸エチル、電離放射線硬化性樹脂、および、ポリシロキサン構造あるいはフッ素含有基の少なくとも一方を有しているレベリング剤を含み、前記電離放射線硬化性樹脂100重量部あたり前記レベリング剤を0.01〜0.5重量部の割合で含有し、前記電離放射線硬化性樹脂の濃度が30〜70重量%となるように希釈した塗布液を、前記透明支持体上に塗布し、40〜80℃の範囲内の温度で乾燥し、次いで電離放射線照射により硬化させることにより10〜30μmの厚みでハードコート層を形成する、ハードコートフィルムの製造方法。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載のハードコートフィルムが、その透明支持体側で偏光フィルムに貼り合わされている、偏光板。
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