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JP5267493B2 - 車両用ロックアップクラッチの制御装置 - Google Patents

車両用ロックアップクラッチの制御装置 Download PDF

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JP5267493B2 JP2010073284A JP2010073284A JP5267493B2 JP 5267493 B2 JP5267493 B2 JP 5267493B2 JP 2010073284 A JP2010073284 A JP 2010073284A JP 2010073284 A JP2010073284 A JP 2010073284A JP 5267493 B2 JP5267493 B2 JP 5267493B2
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Description

本発明は、車両用ロックアップクラッチの制御装置に関し、特に、車両発進時にロックアップクラッチをスリップ係合させるスリップスタート制御の改良に関する。
自動変速機と、その自動変速機とエンジンとの間に設けられたトルクコンバータと、係合によりそのトルクコンバータにおける入力回転部材と出力回転部材とを直結することができるロックアップクラッチとを、備え、車両発進時にそのロックアップクラッチをスリップ係合させるスリップスタート制御を行う車両用ロックアップクラッチの制御装置が知られている。例えば、特許文献1に記載された車両用ロックアップクラッチの制御装置がそれである。この技術によれば、車両発進時におけるエンジンの吹き上がりを抑制して好適な燃費を実現することができるとされている。
特開2005−16563号公報 特開2005−3193号公報 特許第3890464号公報 特許第3585207号公報
前述したような従来の技術では、前記スリップスタート制御におけるロックアップクラッチの係合圧制御に関連してエンジントルクの推定が行われる。しかし、前記スリップスタート制御と併行してエンジンの遅角制御作等が行われた場合には、エンジントルクの推定精度が悪化してロックアップクラッチの係合ショックが発生し、ドライバビリティが低下するおそれがあった。このため、車両発進時におけるエンジンの吹き上がりを抑制して好適な燃費を実現する車両用ロックアップクラッチの制御装置の開発が求められていた。
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、車両発進時におけるエンジンの吹き上がりを抑制して好適な燃費を実現する車両用ロックアップクラッチの制御装置を提供することにある。
斯かる目的を達成するために、本発明の要旨とするところは、自動変速機と、その自動変速機とエンジンとの間に設けられたトルクコンバータと、係合によりそのトルクコンバータにおける入力回転部材と出力回転部材とを直結することができるロックアップクラッチとを、備え、車両発進時にそのロックアップクラッチをスリップ係合させるスリップスタート制御を行う車両用ロックアップクラッチの制御装置であって、スロットル開度が予め定められた閾値以上となった場合又はスロットル開度の時間変化量が予め定められた第2の閾値以上となった場合には、前記スリップスタート制御時に前記ロックアップクラッチの係合圧を漸増させるスイープアップ制御の開始を判定するものであり、予め定められた関係からスロットル開度に基づいて前記スイープアップ制御の漸増速度を算出するものであり、前記関係は、スロットル開度が大きいほど前記漸増速度が高速となるように定められたことを特徴とするものである。
このようにすれば、スロットル開度が予め定められた閾値以上となった場合又はスロットル開度の時間変化量が予め定められた第2の閾値以上となった場合には、前記スリップスタート制御時に前記ロックアップクラッチの係合圧を漸増させるスイープアップ制御の開始を判定するものであり、予め定められた関係からスロットル開度に基づいて前記スイープアップ制御の漸増速度を算出するものであり、前記関係は、スロットル開度が大きいほど前記漸増速度が高速となるように定められたものであることから、エンジンの遅角制御作等の影響を考慮して前記ロックアップクラッチの係合圧の上昇速度を制御することで、ドライバビリティを維持しつつ好適な燃費を実現することができる。すなわち、車両発進時におけるエンジンの吹き上がりを抑制して好適な燃費を実現する車両用ロックアップクラッチの制御装置を提供することができる。
本発明が好適に適用される動力伝達装置の構成を説明する骨子図である。 図1に示す自動変速機において複数の変速段を選択的に成立させる際の摩擦係合要素すなわち摩擦係合装置の作動状態を説明する係合作動表である。 図1に示す自動変速機等を制御するために車両に設けられた電気的な制御系統の要部を説明するブロック線図である。 図1の動力伝達装置に備えられた油圧制御回路のうち、ロックアップクラッチの係合状態の制御に関連する部分を抜き出して示す油圧回路図である。 図3に示す電子制御装置に備えられた制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。 図3に示す電子制御装置によるスイープアップ制御の開始タイミングの判定に用いられる関係の一例を示す図である。 図3に示す電子制御装置による漸増速度の算出に用いられる関係の一例を示す図である。 図3に示す電子制御装置による、スロットル開度が所定の閾値以上となった時点を開始タイミングとするスリップスタート制御について説明するタイムチャートである。 図3に示す電子制御装置による、スロットル開度の時間変化量が所定の閾値以上となった時点を開始タイミングとするスリップスタート制御について説明するタイムチャートである。 図3に示す電子制御装置によるスリップスタート制御の要部を説明するフローチャートである。
以下、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明が好適に適用される動力伝達装置の構成を説明する骨子図である。この図1に示す自動変速機10は、好適にはFF(フロントエンジン・フロントドライブ)車両において左右方向(横置き)に搭載されて用いられるものであり、車体に取り付けられる非回転部材としてのトランスミッションケース26内において、シングルピニオン型の第1遊星歯車装置12を主体として構成される第1変速部14と、ダブルピニオン型の第2遊星歯車装置16及びシングルピニオン型の第3遊星歯車装置18を主体としてラビニヨ型に構成された第2変速部20とを、図1にCで示す共通の軸心上に備え、それら第1変速部14及び第2変速部20を介して入力軸22の回転を変速して出力回転部材24から出力する。この入力軸22は、上記自動変速機10の入力部材に相当するものであり、本実施例では走行用の駆動力源であるエンジン28によって回転駆動されるトルクコンバータ30のタービン軸に相当する。また、上記出力回転部材24は、上記自動変速機10の出力部材に相当するものであり、図3に示す差動歯車装置34に動力を伝達するためにそのデフドリブンギヤ(大径歯車)36と噛み合う出力歯車すなわちデフドライブギヤとして機能している。図1に示すように、上記自動変速機10と駆動力源としてのエンジン28との間の動力伝達経路にはトルクコンバータ30が備えられており、上記エンジン28の出力は、そのトルクコンバータ30を介して上記自動変速機10に伝達され、その自動変速機10、差動歯車装置34、及び左右1対の車軸38を介して左右1対の駆動輪40へ伝達される。なお、上記自動変速機10やトルクコンバータ30は、その中心線(軸心)Cに対して略対称的に構成されており、図1の骨子図においてはその中心線Cの下半分が省略されている。
上記エンジン28は、例えば、気筒内噴射される燃料の燃焼によって駆動力を発生させるガソリンエンジン或いはディーゼルエンジン等の内燃機関である。また、上記トルクコンバータ30は、上記エンジン30のクランク軸に連結されたポンプ翼車30p、及びタービン軸を介して上記自動変速機10に連結されたタービン翼車30tを備えており、流体を介して動力伝達を行う流体式動力伝達装置である。すなわち、本実施例のトルクコンバータ30においては、上記ポンプ翼車30pが入力回転部材に、上記タービン翼車30tが出力回転部材にそれぞれ対応する。また、それらポンプ翼車30p及びタービン翼車30tの間には、その係合により上記ポンプ翼車30p及びタービン翼車30tを一体回転させるように構成されたロックアップクラッチ(直結クラッチ)32が設けられている。このロックアップクラッチ32は、後述する図4に示すような油圧制御回路100によりその係合状態が解放、スリップ係合(半係合)、乃至完全係合の間で制御されるように構成されている。
前記自動変速機10は、例えば、予め定められた複数の変速段(変速比)の何れかが選択的に成立させられる有段式の自動変速機構であり、斯かる変速を行うための係合要素として複数の油圧式摩擦係合装置等を備えて構成されている。すなわち、図1に示すようにクラッチC1、C2、及びブレーキB1乃至B3(以下、特に区分しない場合は単にクラッチC及びブレーキBという)を備えている。これらクラッチC及びブレーキBは、何れも多板式のクラッチやブレーキ等、油圧アクチュエータによって係合制御される油圧式摩擦係合装置であり、後述する油圧制御回路100内の電磁弁装置としてのリニアソレノイドバルブの励磁、非励磁や電流制御により、係合、解放状態が切り換えられると共に係合、解放時の過度油圧等が制御される。そして、前記自動変速機10においては、上記クラッチC及びブレーキBが選択的に係合乃至解放させられることにより、前記第1変速部14及び第2変速部20の各回転要素(サンギヤS1乃至S3、キャリヤCA1乃至CA3、リングギヤR1乃至R3)のうちの何れかの連結状態の組合せに応じて第1変速段(第1速ギヤ段)「1st」乃至第6変速段(第6速ギヤ段)「6th」の6つの前進変速段(前進ギヤ段、前進走行用ギヤ段)が成立させられると共に、後進変速段(後進ギヤ段、後進走行用ギヤ段)「R」の1つの後進ギヤ段が成立させられる。
図2は、前記自動変速機10において複数の変速段を選択的に成立させる際の摩擦係合要素すなわち摩擦係合装置の作動状態を説明する係合作動表である。この係合作動表は、上記各変速段とクラッチC1、C2、ブレーキB1乃至B3の作動状態との関係をまとめたものであり、「○」は係合を表している。この図2に示すように、前記自動変速機10では、前進ギヤ段に関して、クラッチC1とブレーキB2との係合により第1速ギヤ段「1st」が、クラッチC1とブレーキB1との係合により第2速ギヤ段「2nd」が、クラッチC1とブレーキB3との係合により第3速ギヤ段「3rd」が、クラッチC1とクラッチC2との係合により第4速ギヤ段「4th」が、クラッチC2とブレーキB3との係合により第5速ギヤ段「5th」が、クラッチC2とブレーキB1との係合により第6速ギヤ段「6th」が、それぞれ成立させられるようになっている。また、ブレーキB2とブレーキB3との係合により後進ギヤ段「R」が成立させられ、クラッチC1、C2ブレーキB1乃至B3の何れもが解放されることによりニュートラル状態「N」となるように構成されている。なお、各変速段の変速比は、第1遊星歯車装置12、第2遊星歯車装置16、及び第3遊星歯車装置18の各ギヤ比(=サンギヤの歯数/リングギヤの歯数)ρ1、ρ2、ρ3によって適宜定められる。
図3は、前記自動変速機10等を制御するために車両に設けられた電気的な制御系統の要部を説明するブロック線図である。この図3に示す電子制御装置80は、例えばCPU、RAM、ROM、入力インターフェイス等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、そのCPUによりRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより、前記エンジン28の出力制御や前記自動変速機10の変速制御をはじめとする各種制御を実行するように構成されている。なお、この電子制御装置80は、必要に応じて前記エンジン28の出力制御用や前記自動変速機10の変速制御用といったように各制御毎に個別の制御装置として構成される。
図3に示すように、車両に設けられた各種センサやスイッチ等からそれぞれの検出値を示す信号が上記電子制御装置80へ供給されるように構成されている。すなわち、アクセル操作量センサ52から所謂アクセル開度として知られるアクセルペダル50の操作量(アクセル開度)Accを表す信号、ブレーキスイッチ56から常用ブレーキであるフットブレーキペダル54の操作の有無を表す信号、エンジン回転速度センサ58から前記エンジン28の回転速度NEを表す信号、エンジン吸入空気量センサ60から前記エンジン28の吸入空気量Qを表す信号、エンジン吸入空気温度センサ62から前記エンジン28の吸入空気の温度TAを表す信号、スロットルセンサ64から電子スロットル弁の開度θTHを表す信号、車速センサ66から前記出力回転部材24の回転速度NOUTに対応する車速Vを表す信号、冷却水温センサ68から前記エンジン28の冷却水温TWを表す信号、レバーポジションセンサ74からシフト操作部材としてのシフトレバー72のレバーポジション(操作位置)PSHを表す信号、タービン回転速度センサ76からタービン回転速度NTすなわち前記入力軸22の回転速度NINを表す信号、AT油温センサ78から前記油圧制御回路100内の作動油の温度であるAT油温TOILを表す信号が、それぞれ上記電子制御装置80へ供給されるようになっている。
また、前記電子制御装置80からは、車両に備えられた各種装置の作動を制御するための信号が出力されるように構成されている。すなわち、前記エンジン28の出力制御のためのエンジン出力制御指令信号SEとして、例えばアクセル開度Accに応じて電子スロットル弁の開閉を制御するためのスロットルアクチュエータを駆動する信号、燃料噴射装置から噴射される燃料の量を制御するための噴射信号、及び点火装置による前記エンジン28の点火時期を制御するための点火時期信号等が出力されるようになっている。また、前記自動変速機10の変速制御のための変速制御指令信号SPとして、例えば前記油圧制御回路100内に備えられた各種電磁弁装置を駆動するための信号等が出力されるようになっている。また、前記トルクコンバータ30に備えられたロックアップクラッチ32の係合制御のためのロックアップクラッチ係合制御信号SLとして、前記油圧制御回路100内に備えられたソレノイド弁SL及びリニアソレノイド弁SLU(図4を参照)を駆動するための信号等が出力されるようになっている。
図4は、前記油圧制御回路100のうち、本実施例の制御すなわち前記ロックアップクラッチ32の係合状態の制御に関連する部分を抜き出して示す油圧回路図である。この図4に示すように、前記油圧制御回路100は、切換用電磁ソレノイド102によりオンオフ作動させられて切換用信号圧PSWを発生させる切換用ソレノイド弁SLと、その切換用信号圧PSWに応じて前記ロックアップクラッチ32を解放状態とする解放側位置(オフ側位置)乃至係合状態とする係合側位置(オン側位置)に切り換えるクラッチ切換弁104と、前記電子制御装置80から供給される駆動電流に対応した信号圧PSLUを出力させるスリップ制御用リニアソレノイド弁SLUと、上記クラッチ切換弁104により前記ロックアップクラッチ32が係合状態とされているときにそのロックアップクラッチ32の作動状態をスリップ状態乃至ロックアップオンの範囲で切り換えるロックアップコントロール弁106と、作動油を冷却するためのオイルクーラ108とを、備えて構成されている。
また、図4に示すように、前記油圧制御回路100は、図示しないオイルパンに環流した作動油をストレーナ110を介して吸引して圧送するために、例えば前記エンジン28によって駆動される機械式のオイルポンプ112を備えており、そのオイルポンプ112によって昇圧された作動油は、リリーフ形式の第1調圧弁114により第1ライン圧PL1に調圧されるようになっている。また、同様にリリーフ形式の調圧弁である第2調圧弁116が備えられており、上記第1調圧弁114から流出させられた作動油がその第2調圧弁116により調圧されることで、第2ライン圧PL2が発生させられるようになっている。また、第3調圧弁118は、上記第1ライン圧PL1を元圧とする減圧弁であって、その第3調圧弁118により予め設定された一定圧であるモジュレータ圧PMが発生させられるようになっている。なお、上記第1調圧弁114及び第2調圧弁116には、図示しないリニアソレノイドバルブによって信号圧が供給されるようになっており、前記電子制御装置80からの指令に応じてそのリニアソレノイドバルブから所定の信号圧が出力されることで、上記第1調圧弁114及び第2調圧弁116により前記エンジン28のアクセル開度やエンジン回転速度等に基づいて車両の走行に好適な油圧に調圧される。
また、図4に示すように、前記ロックアップクラッチ32は、係合油路120を介して供給される係合側油室122内の油室PONと解放油路124を介して供給される解放側油室126内の油圧POFFとの差圧ΔP(=PON−POFF)によりフロントカバー128に摩擦係合させられる油圧式摩擦クラッチである。そして、前記トルクコンバータ30の運転条件としては、例えば、差圧ΔPが負とされて前記ロックアップクラッチ32が解放される所謂ロックアップオフ、差圧ΔPが零以上とされて前記ロックアップクラッチ32が半係合される所謂スリップ状態、及び差圧ΔPが最大値とされて前記ロックアップクラッチ32が完全に係合される所謂ロックアップオンの3条件に大別される。また、前記ロックアップクラッチ32のスリップ状態においては、差圧ΔPが零とされることによりそのロックアップクラッチ32のトルク分担がなくなって、前記トルクコンバータ30は、ロックアップオフと同等の運転条件とされる。
前記クラッチ切換弁104は、前記ロックアップクラッチ32の係合及び解放を切り換えるためのものであり、そのクラッチ切換弁104内には、接続状態を切り換えるためのスプール弁子130が備えられている。図4においては、中心線より左側が前記ロックアップクラッチ32の解放状態であるオフ側位置(OFF)に上記スプール弁子130が位置された状態を示しており、中心線より右側が係合状態であるオン側位置(ON)に上記スプール弁子130が位置された状態を示している。前記クラッチ切換弁104は、前記解放側油室126と連通する解放側ポート132、前記係合側油室122と連通する係合側ポート134、第2ライン圧PL2が供給される入力ポート136、前記ロックアップクラッチ32の解放時に前記係合側油室122内の作動油が排出されると共にそのロックアップクラッチ32の係合時に前記第2調圧弁116から流出させられた作動油が排出される排出ポート138、前記ロックアップクラッチ32の係合時に前記解放側油室126内の作動油が排出される迂回ポート140、前記第2調圧弁116から流出させられた作動油が供給されるリリーフポート142、上記スプール弁子130をオフ側位置に向かって付勢するスプリング144、及び上記スプール弁子130の端面に前記切換用ソレノイド弁SLからの切換用信号圧PSWを受け入れる油室146を備えている。
前記ロックアップコントロール弁106は、スプール弁子148と、そのスプール弁子148をスリップ(SLIP)側位置へ向かう推力を付与するスプリング150と、上記スプール弁子148をスリップ側に位置向かって付勢するために前記トルクコンバータ30の係合側油室122内の油圧PONを受け入れる油室152と、上記スプール弁子148を完全係合(ON)側位置に向かって付勢するために前記トルクコンバータ30の解放側油室126内の油圧POFFを受け入れる油室154と、前記スリップ制御用リニアソレノイド弁SLUから出力される信号圧PSLUが供給される油室156と、前記第2調圧弁116によって調圧された第2ライン圧PL2が供給される入力ポート158と、上記クラッチ切換弁104の迂回ポート140から出力される油圧が供給される制御ポート160とを、備えている。なお、図4においては、中心線より左側がスリップ(SLIP)側位置に上記スプール弁子148が位置された状態を示しており、中心線より右側が完全係合(ON)側位置に上記スプール弁子148が位置された状態を示している。
前記スリップ制御用リニアソレノイド弁SLUは、前記電子制御装置80からの指令に従って、前記ロックアップクラッチ32の係合時(スリップ係合時)におけるその係合圧を制御する信号圧PSLUを出力させるものである。すなわち、前記第3調圧弁118によって調圧された一定のモジュレータ圧PMを元圧とし、そのモジュレータ圧PMを減圧して信号圧PSLUを出力する電磁制御弁であって、前記電子制御装置80から供給される指令に対応する駆動電流(励磁電流)に比例した信号圧PSLUを発生させる。また、前記スリップ制御用リニアソレノイド弁SLUのドレーンポート162は、チェックボール164に連通されているため、そのチェックボール164によって常時塞がれており、そのチェックボール164に所定以上の圧力がかかると開弁させられて作動油が排出されるように構成されている。
前記切換用ソレノイド弁SLは、前記電子制御装置80からの指令に従って所定の切換用信号圧PSWを出力させるものである。すなわち、非励磁状態(オフ状態)では切換用信号圧PSWをドレン圧とするが、励磁状態(オン状態)では、切換用信号圧PSWをモジュレータ圧PMとして前記油室146に作用させることで、前記クラッチ切換弁104のスプール弁子130を係合状態であるオン側位置(ON)に移動させるように構成されている。
以上のように構成された油圧制御回路100により前記係合側油室122及び解放側油室126への作動油圧の供給状態が切り換えられ、前記ロックアップクラッチ32の作動状態が切り換えらる。先ず、前記ロックアップクラッチ32がスリップ状態乃至ロックアップオンとされた場合を説明する。前記クラッチ切換弁104において、前記切換用ソレノイド弁SLによって切換用信号圧PSWが油室146へ供給されてスプール弁子130がオン側位置へ付勢されると、前記入力ポート136に供給された第2ライン圧PL2が前記係合側ポート134から係合油路138を通り係合側油室122へ供給される。この係合側油室122へ供給される第2ライン圧PL2が油圧PONとなる。同時に前記解放側油室126は、前記解放油路124を通り解放側ポート132から迂回ポート140を経て前記ロックアップコントロール弁106の制御ポート160に連通させられる。そして、前記解放側油室126内の油圧POFFが前記ロックアップコントロール弁106により調整されて(すなわちロックアップコントロール弁106により差圧ΔPすなわち係合圧が調整されて)、そのロックアップクラッチ32の作動状態がスリップ状態乃至ロックアップオンの範囲で切り換えられる。
具体的には、前記クラッチ切換弁104のスプール弁子130が係合(ON)側位置へ付勢されている場合すなわち前記ロックアップクラッチ32が係合状態に切り換えられた場合には、前記ロックアップコントロール弁106において前記スプール弁子148が完全係合(ON)側位置へ付勢されるための信号圧PSLUが油室156へ供給されないが、前記スプリング150の推力によってスプール弁子148がスリップ(SLIP)側位置とされると、前記入力ポート158に供給された第2ライン圧PL2が前記制御ポート160から迂回ポート140を経て前記解放側ポート132から解放油路124を通り解放側油室126へ供給される。この制御ポート160から出力される作動油の流量は、前記油室156へ供給される信号圧PSLUによって制御される。すなわち、前記スプール弁子148がスリップ(SLIP)側位置とされた状態においては、前記差圧ΔPが前記スリップ制御用リニアソレノイド弁SLUの信号圧PSLUによって制御されて前記ロックアップクラッチ32のスリップ状態が制御される。
また、前記クラッチ切換弁104のスプール弁子130がON側位置へ付勢されているときに、前記ロックアップコントロール弁106において前記スプール弁子148が完全係合(ON)側位置へ付勢させるための信号圧PSLUが前記油室156に供給されると、前記入力ポート158から前記解放側油室126へは第2ライン圧PL2が供給されず、その解放側油室126からの作動油がドレーンポートから排出される。これにより、前記差圧ΔPが最大とされて前記ロックアップクラッチ32が完全係合状態となる。また、前記ロックアップクラッチ32がスリップ状態もしくは完全係合状態において、前記クラッチ切換弁104はオン側位置に位置させられるため、前記リリーフポート142と排出ポート138とが連通させられる。これにより、前記第2調圧弁116から流出させられた作動油が前記排出ポート138を介してオイルクーラ108に供給される。
一方、前記クラッチ切換弁104において、前記切換用信号圧PSWが油室146に供給されず、前記スプリング144の付勢力によって前記スプール弁子130がオフ側位置へ位置されると、前記入力ポート136に供給された第2ライン圧PL2が解放側ポート132から解放油路124を通り前記解放側油室126へ供給される。そして、前記係合側油室122を経て係合油路138を通り係合側ポート134に排出された作動油が前記排出ポート138からオイルクーラ108に供給されて冷却される。すなわち、前記クラッチ切換弁104のスプール弁子130がオフ側位置へ位置させられている状態においては、前記ロックアップクラッチ32は解放状態とされ、前記スリップ制御用リニアソレノイド弁SLU乃至ロックアップコントロール弁106を介してのスリップ係合制御は行われない。換言すれば、前記スリップ制御用リニアソレノイド弁SLUから出力される信号圧PSLUが変化させられた場合であっても、前記クラッチ切換弁104のスプール弁子130がオフ側位置へ位置させられている限りにおいてその変化は前記ロックアップクラッチ32の係合状態(差圧ΔP)に反映されない。
図5は、前記電子制御装置80に備えられた制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。この図5に示す係合油圧制御手段82は、前記油圧制御回路100に備えられた前記切換用ソレノイド弁SL及びスリップ制御用リニアソレノイド弁SLUを介して前記ロックアップクラッチ32の係合油圧を制御する。すなわち、前記切換用ソレノイド弁SL及びスリップ制御用リニアソレノイド弁SLUに指令を与えることにより前記切換用ソレノイド弁SLから出力される切換用信号圧PSW及び前記スリップ制御用リニアソレノイド弁SLUから出力される信号圧PSLUを制御し、前記差圧ΔPを制御することにより前記ロックアップクラッチ32の係合状態を解放、スリップ係合、及び完全係合の間で制御する。
スリップスタート開始判定手段84は、車両発進時に前記ロックアップクラッチ32をスリップ係合させるスリップスタート制御(フレックススタート制御)の開始を判定する。例えば、予め定められた関係から、前記アクセル操作量センサ52により検出されるアクセル操作量ACC及び前記車速センサ66により検出される車速V等に基づいて、前記スリップスタート制御を開始するか否かを判定する。具体的には、アクセル操作が行われている状態すなわち前記アクセル操作量センサ52により前記アクセルペダル50の操作が検出され、且つ車両停止状態すなわち前記車速センサ66により検出される車速Vが0乃至車輪が転がり始める程度の小さな速度である場合に、前記スリップスタート制御の開始を判定する。また、好適には、前記タービン回転速度センサ76により検出されるタービン回転速度NTが予め定められた所定値(車輪が転がり始める程度の小さな値)以上である場合に、前記スリップスタート制御の開始を判定する。更に、前記AT油温センサ78により検出されるAT油温TOIL、前記エンジン回転速度センサ58により検出されるエンジン回転速度NE、及び前記レバーポジションセンサ74により検出される前記シフトレバー72のレバーポジションPSH等に基づいて前記スリップスタート制御の開始を判定するものであってもよい。
前記係合油圧制御手段82は、上記スリップスタート開始判定手段84によりスリップスタート制御の開始が判定された場合には、前記ロックアップクラッチ32をスリップ係合させるスリップスタート制御を開始する。例えば、前記切換用ソレノイド弁SLの切換用信号圧PSWをONとするようにその指示圧(指令値)を制御すると共に、前記スリップ制御用リニアソレノイド弁SLUからファーストフィル油圧を出力させるようにその指示圧(指令値)を制御する。すなわち、前記スリップ制御用リニアソレノイド弁SLUの出力圧PSLUに対応する指示圧を一時的に急上昇させ、一定時間所定値(ファーストフィル圧)とした後に再び元の値とする。これにより、前記ロックアップクラッチ32の係合側油室122における作動油の初期充填が行われる。
スイープアップ制御手段86は、前記係合油圧制御手段82によるスリップスタート制御時に、その係合油圧制御手段82を介して前記ロックアップクラッチ32の係合圧を漸増させるスイープアップ制御を実行する。すなわち、前記スリップ制御用リニアソレノイド弁SLUから出力される信号圧PSLUが定常圧(予め定められた一定値)となるまで所定の増加率(スイープ率)で増加させるスイープ油圧制御を実行する。また、斯かる制御を行うために、上記スイープアップ制御手段86は、スロットル開度変化量算出手段88、開始タイミング決定手段90、及び漸増速度算出手段92を含んでいる。
スロットル開度変化量算出手段88は、前記スロットルセンサ64により検出されるスロットル開度θTHの時間変化量すなわちその変化速度dθTH/dt(ΔθTH)を算出する。また、開始タイミング決定手段90は、予め定められた関係から前記スロットルセンサ64により検出されるスロットル開度θTH及び上記スロットル開度変化量算出手段88により算出されるスロットル開度の時間変化量dθTH/dtに基づいて、上記スイープアップ制御手段86によるスイープアップ制御の開始タイミングを決定する。
図6は、前記開始タイミング決定手段90によるスイープアップ制御の開始タイミングの判定に用いられる関係の一例を示す図である。この図6では、前記スロットルセンサ64により検出されるスロットル開度θTHが閾値A以上である領域を右上から左下へのハッチングで示すと共に、スロットル開度θTHは閾値A未満であるが前記スロットル開度変化量算出手段88により算出されるスロットル開度の時間変化量dθTH/dtが閾値B以上である領域を左上から右下へのハッチングで示している。前記開始タイミング決定手段90は、好適には、前記スロットルセンサ64により検出されるスロットル開度θTHが閾値A以上となった場合、すなわち図6に右上から左下へのハッチングで示す領域となった場合に、前記スイープアップ制御手段86によるスイープアップ制御の開始を判定する。すなわち、スロットル開度θTHが閾値A以上となった時点をスイープアップ制御の開始タイミングとする。また、好適には、前記スロットルセンサ64により検出されるスロットル開度θTHが閾値A未満であっても、前記スロットル開度変化量算出手段88により算出されるスロットル開度の時間変化量dθTH/dtが閾値B以上となった場合、すなわち図6に左上から右下へのハッチングで示す領域となった場合に、前記スイープアップ制御手段86によるスイープアップ制御の開始を判定する。すなわち、スロットル開度の時間変化量dθTH/dtが閾値B以上となった時点をスイープアップ制御の開始タイミングとする。
図5に示す漸増速度算出手段92は、前記スイープアップ制御手段86によるスイープアップ制御における前記ロックアップクラッチ32の係合圧の漸増速度すなわちスイープ率を算出する。好適には、予め定められた関係から前記スロットルセンサ64により検出されるスロットル開度θTHに基づいて斯かる漸増速度を算出する。ここで、斯かる漸増速度の算出の基準となるスロットル開度θTHとしては、前記スイープアップ制御手段86によりスイープアップの制御の開始が判定された時点の値が用いられてもよいが、好適には、スイープアップの制御の開始判定後に定常状態(一定値)に達したスロットル開度θTHが用いられる。
図7は、前記漸増速度算出手段92による漸増速度の算出に用いられる関係の一例を示す図である。この図7においては、前記スロットルセンサ64により検出されるスロットル開度θTHと、スイープ時間TSすなわち前記スイープアップ制御手段86によるスイープアップ制御の開始から終了まで(出力圧PSLUが定常圧に上がりきるまで)の時間との関係を示しており、スロットル開度θTHが大きいほどスイープ時間TSを短くなる関係を例示している。換言すれば、スロットル開度θTHが大きいほど漸増速度すなわち単位時間あたりの出力圧PSLUの上昇量(加算量)が大きくなる関係を例示している。上記漸増速度算出手段92は、好適には、図7に示すような関係すなわちスロットル開度θTHが大きいほど漸増速度が高速となるように予め定められた関係から、実際に前記スロットルセンサ64により検出されるスロットル開度θTHに基づいて、前記スイープアップ制御における出力圧PSLUの漸増速度を算出する。
前記スイープアップ制御手段86は、前記開始タイミング決定手段90により決定された開始タイミングを制御開始時点として、前記漸増速度算出手段92により算出された漸増速度で前記スリップ制御用リニアソレノイド弁SLUの出力圧PSLUを漸増させるスイープアップ制御を実行する。換言すれば、前記係合油圧制御手段82を介して前記スリップ制御用リニアソレノイド弁SLUの出力圧PSLUを、前記漸増速度算出手段92により算出された漸増速度(スイープ率)で定常圧となるまで例えば比例的に上昇させるスイープ油圧制御を実行する。
図8は、前記スロットルセンサ64により検出されるスロットル開度θTHが閾値A以上となった時点を開始タイミングとするスリップスタート制御(フレックススタート制御)について説明するタイムチャートである。すなわち、車両発進に際して前記アクセルペダル50の踏込量が比較的大きい場合における制御に相当する。
図8に示す制御では、先ず、時点t1において、スリップスタート準備制御の開始が判定される。例えば、前記ブレーキスイッチ56により前記フットブレーキペダル54の操作がオフ(ブレーキオフ)とされたことが検出された時点で、前記スリップ制御用リニアソレノイド弁SLUからスリップスタート準備制御のためのファーストフィル油圧(スリップスタート制御開始時のファーストフィル油圧とは異なる値であってもよい)が出力されるようにその指示圧が制御される。すなわち、前記スリップ制御用リニアソレノイド弁SLUの出力圧PSLUに対応する指示圧が一時的に急上昇させられた後に所定値まで低下させられ、以降はその所定値で維持される。
次に、時点t2において、スリップスタート制御の開始が判定される。例えば、前記アクセル操作量センサ52により前記アクセルペダル50の操作が検出され、且つ前記車速センサ66により検出される車速Vが0乃至車輪が転がり始める程度の小さな速度であることが検出された時点で、前記切換用ソレノイド弁SLの切換用信号圧PSWがONなるようにその指示圧が制御されると共に、前記スリップ制御用リニアソレノイド弁SLUの出力圧PSLUに対応する指示圧が一時的に急上昇させられ、一定時間所定のファーストフィル油圧とされた後に再び元の値とされる。
次に、時点t3において、スイープアップ制御の開始が判定される。すなわち、前記スロットルセンサ64により検出されるスロットル開度θTHが閾値A以上となった時点で、スロットル開度θTHに基づいて漸増速度が算出され、その漸増速度で前記スリップ制御用リニアソレノイド弁SLUの出力圧PSLUが漸増させられるスイープアップ制御が開始される。次に、時点t4において、前記スリップ制御用リニアソレノイド弁SLUの出力圧PSLUが定常圧に達した時点でスイープアップ制御が終了させられ、以降はその出力圧PSLUが定常圧に維持される。すなわち、時点t3から時点t4までの時間TSがスイープ時間に相当する。そして、時点t5において、所定の条件が成立して加速フレックスロックアップ制御が開始されることをもってスリップスタート制御が終了させられる。
なお、図8に示す制御においては、スイープアップ制御が行われなかった場合における前記スリップ制御用リニアソレノイド弁SLUの出力圧PSLUに対応する指示圧の変化を太い破線で示している。スリップスタート制御の開始から終了までの間、前記スロットルセンサ64により検出されるスロットル開度θTHが閾値A未満であり、且つ前記スロットル開度変化量算出手段88により算出されるスロットル開度の時間変化量dθTH/dtが閾値B未満である場合には前記スイープアップ制御は実行されず、前記スリップ制御用リニアソレノイド弁SLUの出力圧PSLUが所定の待機圧に維持される。そして、時点t5において、所定の条件が成立して加速フレックスロックアップ制御が開始されることをもってスリップスタート制御が終了させられる。
図9は、前記スロットル開度変化量算出手段88により算出されるスロットル開度の時間変化量dθTH/dtが閾値B以上となった時点を開始タイミングとするスリップスタート制御について説明するタイムチャートである。すなわち、車両発進に際して運転者が比較的急なアクセルペダル50の踏み増しを行い、且つその踏込量が比較的小さい場合における制御に相当する。なお、この図9に示す制御において、時点t2までの制御すなわちスリップスタート準備制御の開始判定乃至スリップスタート制御の開始判定は、図8を用いて前述した制御と同じであり、共通の符号を付してその説明を省略する。
図9に示す制御では、時点t3′において、スイープアップ制御の開始が判定される。すなわち、前記スロットル開度変化量算出手段88により算出されるスロットル開度の時間変化量dθTH/dtが閾値B以上となった時点で、スロットル開度θTHに基づいて漸増速度が算出され、その漸増速度で前記スリップ制御用リニアソレノイド弁SLUの出力圧PSLUが漸増させられるスイープアップ制御が開始される。ここで、前記スロットルセンサ64により検出されるスロットル開度θTHが閾値A未満であってもその時間変化量dθTH/dtが閾値B以上となった時点でスイープアップ制御が開始されるが、そのスイープアップ制御における出力圧PSLUの漸増速度はスロットル開度θTHに基づいて算出される。従って、図9に示す制御においては、図8に示す制御に比べて前記スリップ制御用リニアソレノイド弁SLUの出力圧PSLUの漸増速度(単位時間あたりのスイープ油圧の加算量)が遅い制御とされ、図8に示す制御より緩やかに上昇させられる。
次に、時点t4′において、前記スリップ制御用リニアソレノイド弁SLUの出力圧PSLUが定常圧に達した時点でスイープアップ制御が終了させられ、以降はその出力圧PSLUが定常圧に維持される。すなわち、時点t3′から時点t4′までの時間TSがスイープ時間に相当する。そして、時点t5′において、所定の条件が成立して加速フレックスロックアップ制御が開始されることをもってスリップスタート制御が終了させられる。
以上のように説明した本実施例のスリップスタート制御(スイープアップ制御)は、車両発進に際して過渡時のノック発生を抑制するために実行される前記エンジン28の点火遅角制御が併行して行われている場合において、特に顕著な効果を奏する。すなわち、車両発進時のスリップスタート制御において、適切なロックアップクラッチトルクを実現するように前記スリップ制御用リニアソレノイド弁SLUの出力圧PSLUの指示圧を算出するためには、正確なエンジントルクに基づいて算出することが望ましい。しかし、車両発進時にはアクセル開度ACCに対するエンジントルクの立ち上がりが速く、また、エンジン回転速度NEの単位時間あたりの変化量が大きいため、リレーバルブの切替等で実油圧の追従性も低下することが考えられる。従って、実油圧の応答遅れを考慮してエンジントルクの推定が行われ、その推定されたエンジントルクに基づいて出力圧PSLUの指示圧が算出される。ここで、車両発進時において前記エンジン28の点火遅角制御が併行して行われている場合、その点火遅角制御におけるトルクダウン量の推定はシリンダ内の燃焼状況(噴射状態や燃料温度等)を精度良く推定する必要があり、推定値の算出タイミングを早めることが困難となる。従って、エンジントルクの推定値が実際の値より下がってしまう等の不具合が発生し、結果としてスリップスタート制御におけるロックアップクラッチ32の係合圧が理想値よりも高くなってドライバビリティが低下するおそれがある。
一方、本実施例のスリップスタート制御においては、斯かる不具合の発生が好適に抑制される。例えば、図8を用いて前述した制御のように、前記スロットルセンサ64により検出されるスロットル開度θTHが閾値A以上となった時点を開始タイミングとするスリップスタート制御が行われた場合、スロットル開度θTHが十分に大きな値となっていることから、前記エンジン28の点火遅角制御の影響が小さいと判断される。従って、ドライバビリティの感度も比較的低いと考えられ、前記スリップ制御用リニアソレノイド弁SLUの出力圧PSLUの漸増速度を速めて比較的急速にスイープ油圧を立ち上げることにより、エンジンの吹き上がりを抑制して好適な燃費を実現することができる。また、図9を用いて前述した制御のように、スロットル開度の時間変化量dθTH/dtが閾値B以上となった時点を開始タイミングとするスリップスタート制御が行われた場合、スロットル開度θTHが比較的小さい値であることから、前記エンジン28の点火遅角制御の影響が大きいと判断される。従って、ドライバビリティの感度も比較的高いと考えられ、前記スリップ制御用リニアソレノイド弁SLUの出力圧PSLUの漸増速度を遅くして比較的緩やかにスイープ油圧を立ち上げることにより、エンジンの吹き上がりを抑制して好適な燃費を実現することができる。このように、本実施例のスリップスタート制御では、スロットル開度θTH及びその時間変化量dθTH/dtに基づいてスイープアップ制御の開始タイミングを決定すると共に、スロットル開度θTHに基づいて出力圧PSLUの漸増速度を算出することで、前記エンジン28の点火遅角制御の影響を考慮しつつ、エンジンの吹き上がりを抑制して好適な燃費を実現することができる。
図10は、前記電子制御装置80によるスリップスタート制御(フレックススタート制御)の要部を説明するフローチャートであり、所定の周期で繰り返し実行されるものである。
先ず、前記スリップスタート開始判定手段84の動作に対応するステップ(以下、ステップを省略する)S1において、予め定められた関係から、前記アクセル操作量センサ52により検出されるアクセル操作量ACC及び前記車速センサ66により検出される車速V等に基づいて、スリップスタート制御の開始条件が成立したか否かが判断される。このS1の判断が否定される場合には、S1の判断が繰り返されることにより待機させられるが、S1の判断が肯定される場合には、S2において、スリップスタート制御に係る油圧制御が開始される。すなわち、前記切換用ソレノイド弁SLの切換用信号圧PSWがONなるようにその指示圧が制御されると共に、前記スリップ制御用リニアソレノイド弁SLUの出力圧PSLUに対応する指示圧が一時的に急上昇させられ、一定時間所定値とされた後に再び元の値とされる。
次に、S3において、運転者による前記アクセルペダル50の踏込操作が行われたか否かが前記アクセル操作量センサ60による検出結果に基づいて判定される。このS3の判断が否定される場合には、S7以下の処理が実行されるが、S3の判断が肯定される場合には、前記スロットル開度変化量算出手段88の動作に対応するS4において、前記スロットルセンサ64によりスロットル開度θTHが検出されると共に、その時間変化量dθTH/dtが算出される。次に、S5において、S4にて検出されたスロットル開度θTHが予め定められた閾値Aより大きいか否かが判断される。このS5の判断が否定される場合には、S8以下の処理が実行されるが、S5の判断が肯定される場合には、S6において、スロットル開度θTHに基づいて出力圧PSLUの漸増速度が算出され、スイープアップ制御が開始される。次に、S7において、スリップスタート制御終了が判定されたか否かが判断される。このS7の判断が否定される場合には、S3以下の処理が再び実行されるが、S7の判断が肯定される場合には、それをもって本ルーチンが終了させられる。
S8においては、S4にて算出されたスロットル開度の時間変化量dθTH/dtが予め定められた閾値Bよりも大きいか否かが判断される。このS8の判断が否定される場合には、S7以下の処理が実行されるが、S8の判断が肯定される場合には、S9において、スロットル開度θTHに基づいて出力圧PSLUの漸増速度が算出され、スイープアップ制御が開始された後、S7以下の処理が実行される。以上の制御において、S2、S6、及びS9が前記係合油圧制御手段82の動作に、S6及びS9が前記開始タイミング決定手段90及び漸増速度算出手段92の動作に、S3〜S9が前記スイープアップ制御手段86の動作にそれぞれ対応する。
このように、本実施例によれば、予め定められた関係からスロットル開度θTH及びその時間変化量dθTH/dtに基づいて、スリップスタート制御時にロックアップクラッチ32の係合圧を漸増させるスイープアップ制御の開始タイミング及び漸増速度を決定するものであることから、前記エンジン28の遅角制御作等に関連してエンジントルクの推定精度が悪化する領域においても、ロックアップクラッチ32の係合圧を好適な値に制御することができる。すなわち、車両発進時におけるエンジン28の吹き上がりを抑制して好適な燃費を実現する車両用ロックアップクラッチの制御装置を提供することができる。
また、スロットル開度θTHが予め定められた閾値A以上となった場合には、前記漸増速度をスロットル開度θTHに基づいて算出し、前記スイープアップ制御を開始するものであるため、エンジン28の遅角制御等の影響が小さくドライバビリティへの感度も少ないと判断される領域において、ロックアップクラッチ32の係合圧を比較的急速に上昇させることで、好適な燃費を実現することができる。
また、スロットル開度の時間変化量dθTH/dtが予め定められた第2の閾値B以上となった場合には、前記漸増速度をスロットル開度θTHに基づいて算出し、前記スイープアップ制御を開始するものであるため、エンジン28の遅角制御等の影響が無視できずドライバビリティへの感度も少なからずあると判断される領域において、ロックアップクラッチ32の係合圧を比較的緩やかに上昇させることで、ドライバビリティを維持しつつ好適な燃費を実現することができる。
また、前記漸増速度は、スロットル開度θTHが大きいほど高速となるように予め定められた関係から算出されるものであるため、ドライバビリティを維持しつつ好適な燃費を実現するスイープアップ制御の漸増速度を実用的な態様で決定することができる。
以上、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、更に別の態様においても実施される。
例えば、前述の実施例では、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)型車両に備えられたトルクコンバータ30におけるロックアップクラッチ32の制御に本発明が適用された例を説明したが、例えばFR(フロントエンジン・リアドライブ)型車両等、他の形式の車両にも本発明は好適に適用されるものである。
また、前述の実施例において、図8及び図9に示す制御では、前記スリップ制御用リニアソレノイド弁SLUの出力圧PSLUの指示圧が比例的に漸増させられるスイープアップ制御について説明したが、実際の出力圧PSLUは必ずしも比例的に上昇するものではないことは言うまでもない。
その他、一々例示はしないが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が加えられて実施され得るものである。
10:自動変速機
28:エンジン
30:トルクコンバータ
30p:ポンプ翼車(入力回転部材)
30t:タービン翼車(出力回転部材)
32:ロックアップクラッチ
80:電子制御装置(制御装置)

Claims (1)

  1. 自動変速機と、該自動変速機とエンジンとの間に設けられたトルクコンバータと、係合により該トルクコンバータにおける入力回転部材と出力回転部材とを直結することができるロックアップクラッチとを、備え、車両発進時に該ロックアップクラッチをスリップ係合させるスリップスタート制御を行う車両用ロックアップクラッチの制御装置であって、
    スロットル開度が予め定められた閾値以上となった場合又はスロットル開度の時間変化量が予め定められた第2の閾値以上となった場合には、前記スリップスタート制御時に前記ロックアップクラッチの係合圧を漸増させるスイープアップ制御の開始を判定するものであり、
    予め定められた関係からスロットル開度に基づいて前記スイープアップ制御の漸増速度を算出するものであり、前記関係は、スロットル開度が大きいほど前記漸増速度が高速となるように定められたものである
    ことを特徴とする車両用ロックアップクラッチの制御装置。
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