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JP5252618B2 - RNA干渉効果が高い芳香環修飾siRNA - Google Patents

RNA干渉効果が高い芳香環修飾siRNA Download PDF

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JP5252618B2 JP2007279197A JP2007279197A JP5252618B2 JP 5252618 B2 JP5252618 B2 JP 5252618B2 JP 2007279197 A JP2007279197 A JP 2007279197A JP 2007279197 A JP2007279197 A JP 2007279197A JP 5252618 B2 JP5252618 B2 JP 5252618B2
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本発明は、標的遺伝子の発現を効率的に抑制できる芳香環修飾siRNAに関する。より具体的には、ヌクレアーゼ耐性及び細胞内導入率が高く、優れたRNA干渉効果を奏することができる芳香環修飾siRNAに関する。
ガンやエイズなどの難病を効率的に治療する医薬の開発は、ライフサイエンス分野における大きな一つの課題である。この課題を克服できる可能性がある有力な方法の一つとして、特定の遺伝子にのみ作用する遺伝子医薬がある。この遺伝子医薬の中でも特に最近21塩基の短い2本鎖RNA (small interfering RNA:siRNA)を利用するRNA干渉(RNA interference:RNAi)法が注目されている。このRNAi法は、1998年にFireらにより初めて報告された(非特許文献1参照)。Fireらの報告によると、機能阻害したい遺伝子の特定領域と相同な100塩基対程度の2本鎖RNAを細胞内へ導入させることにより、細胞質内でDicerの働きにより20〜25塩基対程度の2本鎖RNAへと分解され、その後複数のタンパク質とRNA/タンパク質複合体を形成し(この複合体をRICS:RNA-induced silencing complexと呼ぶ)、標的遺伝子から産出されたmRNAの相同部位と結合し強力に遺伝子発現を抑制するというものである。しかしながら、哺乳細胞では、約30塩基対以上の長い2本鎖RNAを導入させると、ウィルス応答反応であるインターフェロン反応が誘導され結果的に細胞が死んでしまうという現象が報告され、哺乳動物細胞系ではRNAi法は適用し難いと考えられた。そこでTuschlらは、2本鎖RNAの両3’末端にダングリングエンドをもつ21塩基長の2本鎖RNAを化学的に合成し、哺乳動物細胞へ直接導入させることにより、インターフェロン応答を回避し配列特異的に高い遺伝子発現抑制能を示すことを報告した(非特許文献2参照)。また彼らは、2本鎖領域が19塩基対で、3’末端又は5’末端に様々な長さのダングリングエンド鎖をもつ短い2本鎖RNAを合成しRNA干渉効果を検討した。その結果、両3’末端に2塩基のダングリングエンドをもつ21塩基長のsiRNAは非常に高いRNA干渉効果が観測されたが、それ以外のあらゆるタイプの短い2 本鎖RNAにおいては顕著なRNA干渉効果が観測されなかった。この報告により、今日では21塩基長であり、両3’末端に2塩基のダングリングエンドをもつ2本鎖RNAを用いたRNA干渉法が一般的となっている。ここでは21塩基長の短い2本鎖RNAを用いて標的遺伝子発現を阻害する方法を、RNAi法と区別してsiRNA法を呼ぶ。
このsiRNA法は合成RNAを用いるのでサンプル調整も比較的容易であり、取り扱い操作も簡便で、かつ、非常に強力な効果を示す為、ライフサイエンス分野のみならずバイオビジネス分野においても大きな注目を浴びている。
しかしながら、この優れたsiRNA法にも解決しなければならない問題点がある。上記したようにsiRNAはRNA分子から構成されており、細胞内および培地中に含まれるヌクレアーゼの働きにより速やかに分解される。また2本鎖RNA領域は1本鎖RNAに比べ比較的高いヌクレアーゼ耐性を示すが、19塩基対からなる2本鎖RNAは殆ど従来のRNA干渉効果を示さない。そのため合成siRNAは、標的遺伝子配列をもつ細胞への導入後、2日〜4日間程度までは高い遺伝子発現抑制効果を示すが、その後はRNA干渉効果が急激に弱まり、7日程度でRNA干渉効果が殆ど無くなると報告されている。
最近、合成siRNAにおいて、ヌクレアーゼ耐性を高めたり、高活性なRNA干渉効果を獲得するために、siRNAに様々な化学修飾を施すことが試みられている。例えば、エキソヌクレアーゼからの分解耐性を獲得する為に、siRNAの末端をアミノ基やチオール基、アベーシックなどに修飾したsiRNAが合成されている。しかしながら、末端を修飾した21塩基長のsiRNAのほとんどの場合で、たとえヌクレアーゼ耐性や細胞導入率を向上させることができても、RNA干渉効果が著しく減少すると既に報告されており、従来技術では、siRNAに化学修飾を施すことによって、ヌクレアーゼ耐性及び細胞導入率が高く、更にRNA干渉効果をも高めることができていないのが現状である。
Fire et. al, Nature, 391, 806-811 (1998) Tuschl et. al., EMBO Journal, 20, 6877-6888 (2001)
本発明は、ヌクレアーゼ耐性及び細胞内導入率が高く、優れたRNA干渉効果を奏し得る新規なsiRNAを提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねたところ、siRNAにおいて、センス鎖RNAの5’末端側から1〜6番目のヌクレオチドの少なくとも1つに直接又はリンカーを介して、芳香族化合物(特に、該siRNAにインターカレート又はスタッキングが可能な芳香族化合物)を結合させることによって、高ヌクレアーゼ耐性及び高細胞導入率を獲得でき、しかも優れたRNA干渉効果を奏する修飾型siRNAを構築できることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて、更に改良を重ねることにより完成したものである。
即ち、本発明は、下記に掲げる芳香環修飾siRNAを提供する。
項1.標的遺伝子中の標的配列に相補的な塩基配列からなるアンチセンス鎖RNA、及び該アンチセンス鎖RNAに相補的な塩基配列を有するセンス鎖RNAを有し、且つ前記標的遺伝子の発現を抑制できるsiRNAであって、該センス鎖RNAの5’末端から1〜6番目のヌクレオチドの少なくとも1つに直接又はリンカーを介して芳香族化合物が結合していることを特徴とする、芳香環修飾siRNA。
項2.前記芳香族化合物が、siRNAにインターカレート又はスタッキングが可能な化合物である、項1に記載の芳香環修飾2本鎖RNA。
項3.前記芳香族化合物が、フェニル基、フェノール基、ナフチル基又はピレン基を含む化合物である、項1に記載の芳香環修飾2本鎖RNA。
本発明の芳香環修飾siRNAは、センス鎖RNAの5’末端側が、芳香族化合物で修飾されており、これによって飛躍的にRNA干渉効果が向上している。限定的な解釈を望むものではないが、本発明の芳香環修飾siRNAは、センス鎖RNAの5’末端側に存在する特定の芳香族化合物によって、構造的に、センス鎖RNAの5’末端よりも、アンチセンス鎖RNAの5’末端側に、RNA干渉効果を誘導するタンパク質複合体が相互作用し易くなっていると類推される。そのため、RNA干渉効果を奏しないセンス鎖よりも、RNA干渉効果を奏するアンチセンス鎖に対して、積極的に前記タンパク質複合体が相互作用でき、これによって一層効率的にRNA干渉効果を奏し得ると考えられる。
更に、本発明の芳香環修飾siRNAは、優れた細胞内移行能を示すので、従来の遺伝子導入試薬の使用量を低減して、細胞内に導入することも可能である。故に、本発明の芳香環修飾siRNAは、従来の遺伝子導入試薬の使用によって懸念される細胞毒性の発現を低減でき、臨床的な応用において高い安全性が確保できる。
本発明の芳香環修飾siRNAは、芳香族化合物が、直接又はリンカーを介してsiRNAの特定の部位に結合されてなる修飾型siRNAである。
siRNAは、21塩基長のセンス鎖RNAと21塩基長のアンチセンス鎖RNAが、両3’末端に2塩基のダングリングエンドを持つようにハイブリダイズして2本鎖を形成している。即ち、siRNAは、センス鎖RNAの5'末端から1〜19番目のヌクレオチドとアンチセンス鎖RNAの3'末端から3〜21番目のヌクレオチドがハイブチダイズしており、センス鎖RNAの3'末端から1〜2番目のヌクレオチドとアンチセンス鎖RNAの3'末端から1〜2番目のヌクレオチドがそれぞれダングリングエンドを形成している構造をとっている。
siRNAに使用されるアンチセンス鎖RNAは、標的遺伝子中の標的配列に相補的な19塩基からなる配列の3’末端に、ダングリングエンドを構成する2塩基からなる配列が連結した塩基配列である。ここで、標的遺伝子とは、RNA干渉効果によって遺伝子発現の抑制対象となる遺伝子である。本発明の芳香環修飾siRNAにおいて、標的対象遺伝子については、特に制限されず、該芳香環修飾siRNAの用途に基づいて適宜選択することができる。
標的遺伝子中の標的配列については、RNA干渉効果によって遺伝子発現を抑制可能な配列である限り特に制限されず、公知の方法で、具体的には、NCBIのBLASTサーチ等を用いて適宜決定することができる。例えば、標的遺伝子のコード領域(ORF)の開始コドンから50〜100塩基下流のエキソン部分にある塩基"AA"に続く19〜30塩基からなる領域であって、GC含有量が50%前後の領域を標的配列とすればよい。このような標的配列に対する相補鎖を採用することで、優れたRNA干渉効果を獲得することが、当業界で経験的に明らかにされている。また、例えば、上記標的配列は、IDT社(Integrated DNA Technologies, INC)のマニュアル(Dicer Substrate RNAi Design)に従って設定することが出来る。また最近では、(i)アンチセンス鎖RNAの5’末端がA/Uペアであり、(ii)センス鎖RNAの5’末端がG/Cペアであり、(iii)アンチセンス鎖RNAの5’末端側に5つ程度のA/Uペアがあり、且つ(vi)2本鎖中に9つ以上のG/Cペアが無い2本鎖RNAを設計することで高いRNA干渉効果をもつ2本鎖RNAをデザインできると報告されている(Ui-Tei et. al, Nucleic Acids Res., 32, 936-948 (2004))。
また、ダングリングエンドを構成する2つの塩基については、特に制限されず、標的遺伝子中の標的配列に相補的な塩基から構成されていてもよいが、標的遺伝子中の標的配列に相補的な塩基でなくてもよい。
siRNAに使用されるセンス鎖RNAは、前記アンチセンス鎖の5'末端から1〜19番目の塩基配列に対して相補的な19個の塩基からなる配列の3'末端に、ダングリングエンドを構成する2塩基からなる配列が連結した塩基配列である。センス鎖RNAのダングリングエンドを構成する塩基の種類については、特に制限されない。本発明の芳香環修飾siRNAにおいて、前記センス鎖RNAと前記アンチセンス鎖RNAを構成するヌクレオチドは、基本的にはリボヌクレオチドであるが、分解酵素耐性の向上を目的として2’−O−メチル修飾型や2’−F修飾型、LNA(Locked Nucleic Acid)等の各種化学修飾型ヌクレオチド、或いはデオキシリボヌクレオチド等をRNA配列中に含んでいてもよい。このような化学修飾型ヌクレオチドとしては、具体的には、ホスホロチオエート型、ボラノフォスフェート型DNA/RNA等のリン酸骨格を修飾したもの;2’−0Me修飾RNA、2’−F修飾RNA等の2’修飾ヌクレオチド;LNA(Locked Nucleic Acid)やENA(2'-O,4'-C-Ethylene-bridged nucleic acids)等のヌクレオチドの糖分子を架橋した修飾ヌクレオチド;PNA(ペプチド核酸)、モリフォリノヌクレオチド等の基本骨格が異なる修飾ヌクレオチド;5−フルオロウリジンや5−プロピルウリジンなどといった塩基修飾型ヌクレオチド等が例示される。また、本発明の芳香環修飾siRNA中のセンス鎖RNA及びアンチセンス鎖RNAにおけるダングリングエンドの構成ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチドであってもよい。
本発明の芳香環修飾siRNAは、上記センス鎖RNAの5'末端側から1〜6番目のヌクレオチドの少なくとも1つに、芳香族化合物が結合している。本発明の芳香環修飾siRNAは、上記センス鎖RNAの5'末端側以外の部位には、他の置換基は結合していない。即ち、上記センス鎖RNAの5'末端側以外の部分、及びアンチセンス鎖RNA部分は他の置換基によって置換されておらず、ヌクレオチドのみから構成される。このように、上記センス鎖RNAの5'末端側にのみ上記芳香族化合物が結合していることによって、格段に優れたRNA干渉効果の発現が可能になる。
本発明の芳香環修飾siRNAにおいて、上記センス鎖RNAに結合されている芳香族化合物としては、ベンゼン環を有する限り特に制限されないが、RNA干渉効果を一層顕著に奏させるという観点から、siRNAにインターカレート又はスタッキングが可能な芳香族化合物が好ましい。
ここで、siRNAにインターカレートが可能な芳香族化合物とは、センス鎖とアンチセンス鎖から形成されている2本鎖の間に可逆的に入り込むことができる芳香族化合物のことである。このような芳香族化合物としては、具体的には、ナフタレン、アントラセン、ピレン、インドール、キノリジジン、フェナンスリジン、アクリジン、β−カルボリン、エリプチシン等の骨格を有する化合物が例示される。
また、siRNAにスタッキングが可能な芳香族化合物とは、芳香族化合物のベンゼン環と、siRNAのアンチセンス鎖の3'末端のダングリングを構成するヌクレオチドのプリン核及び/又はピリミジン核との間に働くπ-π相互作用によって、該ベンゼン環がアンチセンス鎖の3'末端のダングリングを構成するヌクレオチドの塩基に積み重ったような配置をとり得る芳香族化合物のことである。このような芳香族化合物としては、具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ピレン、インドール、キノリジジン、フェナンスリジン、アクリジン、β−カルボリン、エリプチシン等の骨格を有する化合物が例示される。
本発明の芳香環修飾siRNAにおいて使用される芳香族化合物として、好ましくは、ベンゼン骨格、ナフタレン骨格、又はピレン骨格を有する化合物;更に好ましくは、フェニル基、フェノール基、ナフチル基、又はピレン基を含む化合物;特に好ましくはフェニル基、フェノール基、又はナフチル基を含む化合物;より好ましくはフェニル基、又はフェノール基を含む化合物が挙げられる。このような芳香族化合物を結合させることによって、細胞内導入率及びRNA干渉効果の向上を一層顕著ならしめることができる。なお、これらの芳香族化合物において、フェニル基、フェノール基、ナフチル基、又はピレン基については、本発明の効果を妨げない範囲で、ハロゲン原子及び/又は炭素数1−5のアルキル基で置換されていてもよい。
本発明の芳香環修飾siRNAにおいて、上記芳香族化合物と上記センス鎖の結合様式については特に制限されず、これらが直接結合していてもよく、またこれらがリンカーを介して結合していてもよい。 ここで、リンカーとしては、上記芳香族化合物と上記センス鎖とを連結可能な限り、特に制限されないが、具体的には、上記リンカーとして、下記の構造のものが例示される。
Figure 0005252618
上記一般式(L-2)において、n0は、0〜10の整数、好ましくは1〜5の整数、更に好ましくは2〜5の整数を示す。 また、上記一般式(L-1)、(L-2)及び(L-6)〜(L-23)において、n1は、1〜40の整数、好ましくは2〜20の整数、更に好ましくは2〜12の整数を示す。
また、上記一般式(L-24)及び(L-25)、において、n2は、1〜20の整数、好ましくは1〜10の整数、更に好ましくは1〜6の整数を示す。
上記一般式(L-1)〜(L-25)に示すリンカーは、その右側又は左側のいずれにセンス鎖RNAが結合していてもよい。好ましくは上記一般式(L-1)〜(L-25)に示すリンカーの右側に上記センス鎖RNAの所定の部位が結合し、該リンカーの左側に上記芳香族化合物が結合するように構成されてるものである。
また、上記芳香族化合物における上記リンカーの結合部位については、芳香族化合物の種類やリンカーの種類に応じて適宜設定すればよい。上記リンカーと芳香族化合物との好ましい結合態様として、上記リンカーが、芳香族化合物のベンゼン環に結合している水素原子と置換されて結合しているものが挙げられる。
上記リンカーは、連結させる芳香族化合物の種類に応じて適宜選択される。例えば、芳香族化合物としてフェニル基又はナフチル基を含む化合物を使用する場合であれば、上記リンカーとしては、一般式(L-1)のリンカーが好適である。また、例えば、芳香族化合物としてフェノール基又はピレン基を含む化合物を使用する場合であれば、上記リンカーとしては、一般式(L-2)のリンカーが好適である。
また、上記リンカー以外にも、結合させる芳香族化合物の種類に応じて、例えば、N-スクシニミジル=3-(2-ピリジルジチオ)プロピナート、N-4-マレイミド酪酸、S-(2-ピリジルジチオ)システアミン、ヨードアセトキシスクシンイミド、N-(4-マレイミドブチリルオキシ)スクシンイミド、N-[5-(3’-マレイミドプロピルアミド)−1−カルボキシペンチル]イミノジアセティクアシッド、N-(5-アミノペンチル)-イミノジアセテックアシッド等の二官能性リンカー(官能基を2つ含むリンカー)を使用することもできる。

本発明の芳香環修飾siRNAに結合した芳香族化合物の数としては、特に制限されないが、例えば1〜3個、好ましくは1又は2個、更に好ましくは1個が例示される。
本発明の芳香環修飾siRNAは、芳香族化合物が連結された上記センス鎖RNA、及び上記アンチセンス鎖RNAをそれぞれ合成し、これらのセンス鎖RNA及びアンチセンス鎖RNAを公知の方法に従ってハイブリダイズさせることにより、製造される。また、芳香族化合物が連結された上記センス鎖RNAについても、公知の合成技術を用いて製造することができる。
本発明の芳香環修飾siRNAは、細胞内に導入されることにより、標的遺伝子の発現を抑制することができるので、標的遺伝子の発現抑制を目的とした医薬として使用できる。本発明の芳香環修飾siRNAの細胞内への導入量や方法は、従来siRNAの場合と同様である。なお、本発明の芳香環修飾siRNAは、単独でも優れた細胞内移行能を示すので、siRNAの細胞内への導入に使用されている従来の遺伝子導入試薬を用いずに、或いは従来の遺伝子導入試薬の使用量を低減して、細胞内に導入することも可能である。
以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
実施例1
1.芳香環修飾型21nt siRNAの合成
ルシフェラーゼ遺伝子及又はVEGF(vascular endothelial growth factor: 血管内皮成長因子)遺伝子の発現を抑制できる21nt siRNAを合成した。合成したRNAの配列を以下に示す。
ターゲット:ルシフェラーゼ
センス鎖:5’-GGCCUUUCACUACUCCUACGA-3’
アンチセンス鎖:3’-GACCGGAAAGUGAUGAGGAUG−5
ターゲット:VEGF
センス鎖:5’- UCCUACAGCACAACAAAUGUG-3’
アンチセンス鎖:3’- GAAGGAUGUCGUGUUGUUUAC−5。
このセンス鎖RNAの5’末端に芳香環基を結合させたコンジュゲートRNA(21塩基長)を合成した。当該コンジュゲートRNAにおいて、芳香族化合物は上記センス鎖RNAの5’末端に修飾されたアミノアルキル基(Amino Modifier C6; Glen Research)を介して共有結合で結合している。芳香環修飾RNAは、活性エステルもつ芳香環化合物と5’末端をアミノ化修飾したセンス鎖RNAとを液相中で反応させることで合成した。
具体的な合成法を以下に示す。センス鎖RNAの5’末端をアミノ化するために、RNA固相合成上で5’-Amino-Modifier C6 (Glen Research)を用いて通常の方法(ホスホロアミダイト合成法)を実施すればよく、これによって、5’末端アミノアルキル基修飾センス鎖RNA(21塩基長)が合成できる。なお、上記5’末端アミノアルキル基修飾センス鎖RNAはHPLC精製、MALDI-TOF MS解析済みのものを林化成株式会社より購入した。合成された5’末端アミノアルキル基修飾センス鎖RNAは、該末端(5’末端側から1番目のヌクレオチドのリン酸残基)に−(CH2)6−NH2が結合されている。合成した1本鎖RNAは、UVスペクトル検出器を用い、260nmの吸光度を測定することにより濃度を算出した。
次いで、このアミノアルキル基修飾1本鎖RNAを200μMになるよう水(RNase Free水)で調整し、芳香環修飾RNA合成に使用した。アミノアルキル基修飾1本鎖RNAと芳香環化合物を結合させるために、20μlのRNA溶液(200μM)と8μlの活性エステル化芳香族化合物(100 mM/DMF)を混ぜ合わせ、100 mM TEAA緩衝液(pH 8.0)を8μl加え、最後に水(RNase Free水)で最終容量を40μlとした。なお、当該反応系には、反応促進の目的でDIEA(ジイソプロピルエチルアミン)を適当量加えておいた。その後、サンプルを室温で約12時間反応させた。使用した活性エステル化芳香環化合物は、Phenoxy acetic acid N-hydroxy succinimide ester(シグマ-アルドリッチ社)、3-(4-Hydroxy phenyl) propionic acid N-hydroxy succinimide ester(関東化学)、(2-Naphthoxy)acetic acid N-hydroxy succinimide ester(関東化学)および1-Pyrene butyric acid N-hydroxy succinimide ester(シグマ-アルドリッチ社)である。反応後、芳香族化合物が結合したRNAサンプル中の不要な試薬を取り除くため、サンプルをHPLCで精製した。HPLC精製は、緩衝液として、A:100% 20mM TEAA(pH 7.0), B:70% CH3CN/20mM TEAA (pH 7.0)を用い、10% B緩衝液から100% B緩衝液を50分のリニアーグラジェントになるよう設定し精製を行った。また、精製用カラムはCAP CELL (4.6 x 150 mm, 5μm;SHISEIDO)を使用した。未修飾21mer RNAと芳香環修飾21merRNAのHPLC解析結果を図1に示す。図1において「A」は未修飾RNAとPhenly-RNAコンジュゲート、「B」は未修飾RNAとPhenol-RNAコンジュゲート、「C」は未修飾RNAとNaphtyl-RNAコンジュゲート、「D」は未修飾RNAとPyrene-RNAコンジュゲートのHPLC解析結果である。HPLCによって精製された芳香環修飾RNAは凍結乾燥し、20μlの精製水に再び溶解させた後、UVスペクトル解析により濃度及び合成収率を算出した。
以下に芳香環修飾RNAの構造モデル及び収率を示す。芳香環修飾RNAの収率は、ターゲット遺伝子の種類、結合させる芳香族化合物の種類によって異なっている(Luc;ルシフェラーゼ遺伝子をターゲットしたセンス鎖RNA、VEGF; 血管内皮成長因子遺伝子をターゲットしたセンス鎖RNA)。
Figure 0005252618
以下、上記Phenyl-RNAを「Phenyl-siRNA」又は「Phe-siRNA]と表記することもある。上記Phenol-RNAを「Phenol-siRNA」と表記することもある。上記Naphtyl-RNAを「Naphtyl-siRNA」又は「Nap-siRNA」と表記することもある。上記Pyrene-RNAを「Pyrene-siRNA」と表記することもある。
合成した21塩基長の芳香環修飾RNA(センス鎖)は、21塩基長の相補鎖RNA(アンチセンス鎖)と2本鎖を形成させた。このとき2本鎖RNAのセンス鎖及びアンチセンス鎖の3'末端は2塩基のダングリングエンド(オーバーハング)を持つよう設計されている。また、比較として、芳香環が修飾されていない未修飾RNAと相補鎖RNAについても3'末端に2塩基のダングリングエンドを含む21塩基長の2本鎖RNAを形成させた。2本鎖の形成は、universal buffer(林化成株式会社)中で、芳香環修飾又は未修飾のセンス鎖RNA及びアンチセンス鎖RNAを同モル混合し、92℃で2分間加熱した後、4℃まで徐々に温度を下げることによって作成した。
2.芳香環修飾型siRNAの2本鎖形成能とDicerによるプロセシング
上記で作成した芳香環修飾型siRNAの2本鎖形成能を確認した。2本鎖形成能の確認は、2μM濃度のRNAサンプル(10μl)を20% ポリアクリルアミドゲルを用い250Vで70分間サンプルを電気泳動し、銀染色キット(GEヘルスケア バイオサイエンス)で産物を染色(染色条件は製品マニュアル参照)することにより確認した。その結果、芳香環修飾siRNAは、未修飾siRNAと同様に2本鎖を形成していることが確認された。
また、芳香環修飾siRNAのDicerによるプロセシングを確認した。Dicerによる切断実験は、20mM Tris-HCl(pH 8.0), 15 mM NaCl, 2.5mM Mg2Cl溶液中、0.5 UのリコンビナントDicer(Gene Therapy Systems社製)と最終濃度2 μMになるよう調整した芳香環修飾siRNAをサンプルチューブに10 μl準備し、37℃に設定したインキュベーター中、12時間インキュベートした。その後、Dicerによる切断反応を停止させる為に、2μlのDicer Stop Solution (Gene Therapy Systems社製)を反応溶液に加え、更に2μlのローデングダイを加えた。得られた産物を20%ポリアクリルアミドゲルを用い250Vで70分間サンプルを電気泳動した。その後、銀染色キット(GEヘルスケア バイオサイエンス社製)で産物を染色し(染色条件は製品マニュアル参照)、ChemiImager 4000(Alpha Innotech corporation製)でゲル解析を行った。また、コントロールとして、Dicer処理していない未修飾siRNAを用いて同様の実験を実施した。結果を図2に示す。その結果、全ての芳香環修飾siRNAにおいてDicer存在下及び非存在下での変化は確認されず、Dicerによって分解されていないことが明らかとなった。
3.芳香環修飾siRNAの分解酵素耐性
芳香環修飾siRNAのヌクレアーゼ耐性を検討した。まず、最終濃度が2 μMになるよう調整した未修飾及び芳香環修飾型siRNAを10%FBS(三光純薬株式会社)を含むRPMI-1640培地(インビトロジェン)中(最終量110μl)、37℃でインキュベートし、0h、1h、2h、3h、4h、6h、8h、12h、24h、48h後にそれぞれ10μl取り、2μlのローデングダイを含むサンプルチューブに添加した。次いで、分解反応を停止させる為、サンプル採取後すぐ液体窒素中にて凍結し、−20℃にて保存した。得られた産物を20% ポリアクリルアミドゲルを用い250Vで70分間サンプルを電気泳動した。その後、銀染色キット(GEヘルスケア バイオサイエンス)で産物を染色し(染色条件は製品マニュアル参照)、ChemiImager 4000(Alpha Innotech corporation)でゲル解析を行った。芳香環修飾siRNAのヌクレアーゼ耐性結果を図3示す。また比較として、未修飾siRNAのヌクレアーゼ耐性結果も同時に示す。その結果、芳香環化合物が共有結合した芳香環修飾型siRNAは未修飾siRNAに比べ、ヌクレアーゼからの分解に対し高い耐性を保有していることが明らかとなった。特に、Phenyl基やNaphtyl基が結合した芳香環修飾型siRNAは高いヌクレアーゼ耐性を保有していることが明らかとなった。
4.芳香環修飾siRNA のRNA干渉効果(ルシフェラーゼ遺伝子発現抑制)
合成した芳香環修飾siRNA及び未修飾siRNAのRNA干渉効果をウミシイタケルシフェラーゼをターゲットとして評価した。実験は、以下の手順で行った。実験前に1x105cell/mlに調整したHeLa細胞(ヒト子宮頸ガン細胞、東北大学加齢医学研究所)を96wellプレート上にそれぞれ100μl撒き、37℃で一晩インキュベートした。翌日、ウェル上の古い培地を取り除き、抗生物質を含まない新しい培地(MEM培地;GIBCO)をウェルにそれぞれ80 μl加え、ホタルおよびウミシイタケルシフェラーゼを発現するベクター(psiCHECKTM-2 Vector: プロメガ)とLipofectamineTM 2000 (商品名、インビトロジェン)の複合溶液を10μlずつHeLa細胞が入ったそれぞれのウェルに加えた。ここで発現ベクターは1ウェルあたり0.02μgになるように、またLipofectamineTM 2000は1ウェルあたり0.2μlになるよう設定し、OptiMem(インビトロジェン)で必要量を調整した。また、複合体を形成させる為に、発現ベクターとLipofectamineTM 2000をOptiMemを用いて混合した後、室温で30分間インキュベートした。複合溶液を加えた後、細胞を5% CO2 存在下、37℃で4時間インキュベートした。その後、ウミシイタケルシフェラーゼの遺伝配列と相的なアンチセンス配列を含む未修飾siRNA、芳香環修飾siRNAを最終濃度が0nM, 0.2nM, 0.5nM, 1nM, 2nM, 5nM, 10nMになるようLipofectamineTM 2000 (インビトロジェン) と複合体を形成させ、10μlの複合体溶液を発現ベクターを導入したHeLa細胞に加えた。ここで、1ウェルあたりの最終量は100 μlとなる。siRNAとLipofectamineTM 2000の複合溶液は、1ウェルあたり5 μlのRNA水溶液と5 μlのLipofectamineTM 2000 (0.2μl) OptiMem溶液を混合し、30分間室温でインキュベートすることにより作成した。siRNAを導入させた後、48時間インキュベートし、Dula-GloTM Luciferase Assay System(プロメガ)を用いてホタルおよびウミシイタケルシフェラーゼの発現量をルミノメータ(MicroLumat LB96p: BERTHOLD)で測定し、ホタルルシフェラーゼの発現量をコントロールとしてウミシイタケルシフェラーゼの発現抑制効果を算出した。
非修飾siRNA及び芳香環修飾siRNAの濃度が0.5nMのときの結果を図4に示す。その結果、芳香環修飾siRNAは一般に広く使用されている非修飾siRNAよりも高いRNA干渉効果が確認された。特にフェニル基を結合させた芳香環修飾siRNAにおいて非修飾siRNAに比べ、顕著に高いRNA干渉効果の向上が確認された。この結果により、芳香環化合物をsiRNAのセンス鎖の5’末端に結合させることにより、siRNAのRNA干渉効果が有意に向上するという新たな知見が明らかとなった。
5.芳香環修飾siRNAのRNA干渉効果 (VEGF遺伝子発現抑制)
合成した芳香環修飾siRNA及び未修飾siRNAのRNA干渉効果をVEGF遺伝子をターゲットとして、HeLa細胞(ヒト子宮頸ガン細胞、東北大学加齢医学研究所)を用いて評価した。
実験は以下の操作で行った。実験前に1x105cell/mlに調整したHeLa細胞を24wellプレート上にそれぞれ500μl撒き、37℃で一晩インキュベートした。翌日、ウェル上の古い培地を取り除き、抗生物質を含まない新しい培地をウェルにそれぞれ450 μl加えた。培地はMEM培地(GIBCO)を用いた。VEGFの遺伝配列と相的なアンチセンス配列を含む2本鎖RNAを最終濃度が200nMになるようLipofectamineTM 2000 (インビトロジェン)と複合体を形成させ、50μlのsiRNA溶液を450μlの上記細胞に加えた。ここで、1ウェルあたりの最終量は500 μlとなる。siRNAとLipofectamineTM 2000の複合溶液は、1ウェルあたり25 μlのRNA水溶液と25 μlのLipofectamineTM 2000 (2μl) OptiMem溶液を混合し、30分間室温でインキュベートすることにより作成した。siRNAを導入させた後、37℃で48時間、5%CO2存在下インキュベートした。インキュベート後、細胞をPBS(-)で3回洗浄し、RNeasy Plus Mini Kit (キアゲン)で細胞中のTotal-RNAを抽出した。その後、VEGFのmRNA量を測定するためにRT-PCR反応を行った。RT-PCR反応用としてQiagen OneStep RT-PCR Kit (キアゲン)を用い行い、VEGF用PCRプライマーとして、5’-CCC TGA TGA GAT CGA GTA CAT CTT-3’及び5’-ACC GCC TCG GCT TGT CAC-3’を用いた。またコントロールとしてGAPDH遺伝子を同様の方法で測定した。GAPDH用プライマーとして5’-GGA AAG CTG TGG CGT GAT G-3’及び5’-CTG TTG CTG TAG CCG TAT TC-3’を用いた。RT-PCR反応は、50℃で30分間RT(Reverse Transcripratase)反応を行い、PCR反応として92℃で30秒間2本鎖解離反応、55℃で30秒間アニーリング反応、68℃で45秒間伸長反応を25回〜28回(使用する細胞により異なる)繰り返し行い、最後に68℃で10分間インキュベートし、4℃まで温度を下げ反応を終了した。RT-PCRに用いた試薬、Total-RNA、プライマー等はQiagen OneStep RT-PCR Kit (キアゲン)の反応条件に従い作成した。RT-PCR反応後、ローディングダイを2μl加え、2%アガロースゲルでVEGF及びGAPDHのmRNAからのRT-PCR産物を確認した。遺伝子発現抑制効果の評価は、コントロール細胞(siRNAを導入していない細胞)のVEGF遺伝子発現量を100としたときの、未修飾又は芳香環修飾siRNAを導入した細胞のVEGF発現量を測定することにより行った。また、各細胞間の発現量の誤差はコントロール遺伝子(GAPDH)の遺伝子発現量で補正した。
図5に、VEGFをターゲットとしたときの芳香環修飾siRNA及び未修飾siRNAのRNA干渉効果の結果を示す。その結果、siRNAのセンス鎖RNAの5'末端に芳香環化合物を結合させた芳香環修飾siRNAは未修飾siRNAよりも、顕著に高いRNA干渉効果を保有していることが確認された。この結果により、芳香環修飾型siRNAは、標的遺伝子の種類に制限されることなく、高い遺伝子発現抑制能を持つことが確認された。
6.芳香環修飾型21nt siRNA の細胞導入性の検討
実験前に、1x105cell/mlに調整したHeLa細胞(ヒト子宮頸ガン細胞、東北大学加齢医学研究所)を24ウェルプレートにそれぞれ1ml撒き10 % ウシ胎児血清 (FBS:三光純薬株式会社製)及び抗生物質(Kanamycin Sulfate : インビトロジェン社製)を含む培地中(MEM : インビトロジェン社製)、5 % CO2存在下、37 ℃で培養した。蛍光ラベル化オリゴヌクレオチド導入前に、抗生物質を含まない培地(450μl)へ交換した。蛍光ラベル化オリゴヌクレオチドは、アンチセンス鎖RNAの5’末端をFAMラベル化したものを使用し、未修飾のセンス鎖RNA及び芳香環を修飾したセンス鎖RNAと2本鎖を形成させた。未修飾siRNA及び芳香環修飾siRNAはLipofectamineTM 2000 を用いて細胞内へ導入させた。siRNAは最終濃度が200nMになるよう調整し、LipofectamineTM 2000 との複合体は上記と同様の方法で作成した。準備した50μlのsiRNA/ LipofectamineTM 2000 複合体を450μlの培地を含む細胞へ加え4時間、37℃で5%CO存在下インキュベートした。その後、細胞を培地またはPBS(-)で3回洗浄し、共焦点蛍光レーザー顕微鏡及びフローサイトメトリーを用いて、未修飾siRNA及び芳香環修飾siRNAの細胞導入性を観察した。また、A562細胞(ヒト肺ガン細胞、東北大学加齢医学研究所)及びSH10-TC細胞(ヒト胃ガン細胞、東北大学加齢医学研究所)への細胞導入性も同様の方法で評価した。
共焦点蛍光レーザー顕微鏡による評価では、Radiance 2000システム(Bio Rad社)を使用し、アルゴンレーザーを用いて蛍光を観察した。フローサイトメトリーは、coulter EPICS XL cytometer(Beckman coulter) を用い、細胞10000カウントあたりの細胞導入性について測定した。フローサイトメトリー解析はXL EXPO32TM software (Beckman coulter)を用いた。
その結果、芳香環修飾siRNAは未修飾siRNAよりも高い細胞導入性が確認された。特に、A-549細胞及びSH10-TC細胞に対しては未修飾siRNAに比べ顕著な導入性の違いが観測された。また、芳香環修飾siRNAの中でもPhenyl基を結合させたsiRNAが高い細胞導入性を示すことも明らかとなった。
実施例1において、芳香環修飾1本鎖RNAのHPLC解析結果を示す図である。 実施例1において、それぞれの芳香環修飾siRNAのDicerによるプロセシングを検討した結果を示す図である。 実施例1において、芳香環修飾siRNAのヌクレアーゼ耐性結果を示す図である。 実施例1において、0.5 nM濃度のときの芳香環修飾siRNAのRNA干渉効果(ルシフェラーゼ遺伝子発現抑制効果)の評価結果を示す図である。 実施例1において、芳香環修飾siRNAのRNA干渉効果(VEGF遺伝子発現抑制)の評価結果を示す図である。

Claims (3)

  1. 標的遺伝子中の標的配列に相補的な塩基配列からなるアンチセンス鎖RNA、及び該アンチセンス鎖RNAに相補的な塩基配列を有するセンス鎖RNAを有し、且つ前記標的遺伝子の発現を抑制できるsiRNAであって、該センス鎖RNAの5’末端ヌクレオチドのリン酸基にリンカーを介して、フェニル基、フェノール基、又はナフチル基からなる群より選択される一つが結合していることを特徴とする、芳香環修飾siRNA。
  2. 前記リンカーが、下記式(L−1)又は(L−2)で表される請求項1に記載の芳香環修飾siRNA;
    −O−CH−CO−NH−(CHn1− (L−1)
    −(CHn0−CO−NH−(CHn1− (L−2)
    (上記式(L−1)及び上記式(L−2)において、n1は1〜10の整数を示し、上記式(L−2)において、n0は0〜10の整数を示す。)。
  3. 前記センス鎖RNAの5’末端のヌクレオチドのリン酸基に下記化学式(1)〜(3)
    Figure 0005252618
    Figure 0005252618
    Figure 0005252618
    の何れかにて示される基が結合する請求項1又は2に記載の芳香環修飾siRNA
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