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JP5233486B2 - 無酸素銅スパッタリングターゲット材及び無酸素銅スパッタリングターゲット材の製造方法 - Google Patents

無酸素銅スパッタリングターゲット材及び無酸素銅スパッタリングターゲット材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、無酸素銅スパッタリングターゲット材及び無酸素銅スパッタリングターゲット材の製造方法に関する。特に、本発明は、安定したスパッタリングができる無酸素銅スパッタリングターゲット材及び無酸素銅スパッタリングターゲット材の製造方法に関する。
従来のスパッタリングターゲット材として、同質の金属板を互いに突き合わせ、摩擦攪拌接合法により接合し、接合部の金属結晶の平均結晶粒径が、非接合部の金属結晶の平均結晶粒径の20〜500%であるスパッタリングターゲット材がある(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載のスパッタリングターゲット材は、接合部の金属結晶の平均結晶粒径を非接合部の金属結晶の平均結晶粒径の20〜500%にするので、スパッタリングにより、組織が略均一な膜を対象物上に成膜できる。
特開2004−307906号公報
しかし、特許文献1に係るスパッタリングターゲット材は、熱処理を施すと、接合部の金属結晶の平均結晶粒径と非接合部の金属結晶の平均結晶粒径との差が大きく、接合部と非接合部との間に平均結晶粒径の差が生じ、その結果、スパッタリングの進行によるスパッタリングターゲットのエロージョン(侵食)について、接合部と非接合部との間で相違が生じる場合がある。
したがって、本発明の目的は、接合部と非接合部との間でターゲットエロージョンの進行の相違が低減された無酸素銅スパッタリングターゲット材及び無酸素銅スパッタリングターゲット材の製造方法を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するため、純度が3N以上の無酸素銅からなる銅材から形成され、平均結晶粒径が0.04mm以上0.1mm以下である第1の板材及び第2の板材と、第1の板材と第2の板材との間に、第1の板材及び第2の板材から形成され、平均結晶粒径が0.04mm以上0.06mm以下である接合部とを備え、接合部以外の非接合部が再結晶粒からなる無酸素銅スパッタリングターゲット材が提供される。
また、上記無酸素銅スパッタリングターゲット材は、ディスプレイパネル用のガラス基板の上面視における平面寸法より大きな平面寸法を有して形成してもよい。
また、本発明は、上記目的を達成するため、純度が3N以上の無酸素銅から構成され、平均結晶粒径が0.2mm以下である銅材からなる複数枚の板材を準備する板材準備工程と、複数枚の板材の一方の板材の側面と他方の板材の側面とを突き合わせる突き合わせ工程と、一方の板材の側面と前記他方の板材の側面とが突き合わされて形成される突き合わせ部を摩擦攪拌接合により接合して、平均結晶粒径が0.02mm以上0.03mm以下の接合部分を形成する接合工程と、接合部分と、接合部分により互いに接合した一方の板材及び他方の板材とに真空中で熱処理を施して、接合部分の結晶を粗大化させ平均結晶粒径が0.04mm以上0.06mm以下にすると共に、一方の板材及び他方の板材から接合部分を除いた部分である非接合部分に平均結晶粒径が0.04mm以上0.1mm以下の再結晶粒を生成させる熱処理工程と
を備える無酸素銅スパッタリングターゲット材の製造方法が提供される。
本発明に係る無酸素銅スパッタリングターゲット材及び無酸素銅スパッタリングターゲット材の製造方法によれば、接合部と非接合部との間でターゲットエロージョンの進行の相違が低減された無酸素銅スパッタリングターゲット材及び無酸素銅スパッタリングターゲット材の製造方法を提供することができる。
[実施の形態]
(無酸素銅スパッタリングターゲット材1の構成)
図1は、本発明の実施の形態に係る無酸素銅スパッタリングターゲット材の部分斜視図の一例を示す。
本実施の形態に係る無酸素銅スパッタリングターゲット材1は、一例として、電子部品用の所定の銅材からなる第1の板材20及び第2の板材22と、第1の板材20及び第2の板材22を構成する材料から形成され、第1の板材と第2の板材とを接合している接合部10とを備える。ここで、第1の板材20及び第2の板材22のうち、接合部10を除く領域が非接合部12となる。
第1の板材20及び第2の板材22の原材料としての銅材は、無酸素銅からなる。具体的に、第1の板材20及び第2の板材22を構成する銅材は、純度が99.9%以上(3N以上)の無酸素銅及び不可避的不純物からなり、平均結晶粒径が0.2mm以下に形成される。そして、第1の板材20と第2の板材22とは、摩擦攪拌接合(Friction Stir Welding:FSW)により互いに接合され、FSW接合後、所定の熱処理を施すことにより形成される。また、第1の板材20及び第2の板材22の間において、第1の板材20と第2の板材22とが接合されて所定の熱処理を施された領域が、無酸素銅及び不可避的不純物からなる接合部10となる。
ここで、平均結晶粒径が0.2mm以下の板材を原材料として用いる理由は、平均結晶粒径が0.2mmを越える板材では、FSW接合後の熱処理の後に、微細な再結晶粒と再結晶せずに残存した粗大な粒径の粒子とが混合した混粒状態となりやすく、略均一な結晶粒組織を有する無酸素銅スパッタリングターゲット材が得られにくいことによる。
本実施の形態において、FSW接合後であって熱処理前の第1の板材20及び第2の板材22はそれぞれ、原材料としての銅材の平均結晶粒径を引き継ぐ。そして、熱処理後の第1の板材20及び第2の板材22はそれぞれ、一例として、0.04mmから0.1mmの平均結晶粒径を有する。これは、所定の熱処理により、第1の板材20及び第2の板材22を構成する原材料としての銅材中に、原材料としての銅材を構成する結晶粒径よりも小さい結晶粒径を有する微細な再結晶粒が生成することによる。具体的に、原材料としての銅材の平均結晶粒径が細かい場合(例えば、数十μmオーダーの平均結晶粒径)、再結晶によって原材料の平均結晶粒径に近い平均結晶粒径の再結晶粒が形成され、原材料としての銅材の平均結晶粒が粗い場合(例えば、100μm〜200μm程度の平均結晶粒径)、再結晶によって原材料の平均結晶粒径よりも細かい再結晶粒が形成されることに起因すると考えられる。
一方、接合部10は、熱処理前の第1の板材20の側面と熱処理前の第2の板材22の側面とを突き合わせて、FSW接合により接合され、その後に熱処理を施されて形成される領域である。すなわち、接合部10は、熱処理前の第1の板材20及び熱処理前の第2の板材22を構成する銅材が塑性変形して平均結晶粒径が原材料の平均結晶粒径より減少して形成された接合部分に熱処理を施すことにより、接合部分の平均結晶粒径が粗大化して形成される領域である。この粗大化は、以下の理由による。すなわち、接合部分は摩擦熱により熱処理された状態となっている。そして、この摩擦熱により、接合部分は軟化された状態となっている。軟化された状態の接合部分に熱処理を施すと、接合部分で再結晶は起こらず、接合部分の平均結晶粒径が粗大化する。すなわち、接合部分は軟化された状態であるので、結晶粒界等で新たな結晶粒が生成せずに(再結晶せずに)、結晶粒の粗大化が発生する。
一例として、熱処理後の接合部10は、0.04mmから0.06mmの平均結晶粒径を有する。すなわち、FSW接合により無酸素銅の板材同士を接合すると、FSW接合後の接合部分は、平均結晶粒径が0.02mmから0.03mm程度の微細な平均結晶粒径の結晶組織となる。そして、この接合部分に所定の熱処理を施すことにより、この接合部分は、0.04mmから0.06mmの平均結晶粒径を有する接合部10となる。したがって、FSW接合後に熱処理を施して形成される接合部10は、熱処理後の第1の板材20及び第2の板材22と同程度の平均結晶粒径を有することとなる。すなわち、接合部10は、熱処理後の第1の板材20及び第2の板材22と略同程度の結晶粒組織を有する。
なお、本実施の形態に係る無酸素銅スパッタリングターゲット材1は、その上面視における形状が略矩形に形成される。そして、無酸素銅スパッタリングターゲット材1は、例えば、液晶ディスプレイ等におけるディスプレイ用のガラス基板の平面寸法よりも大きな平面寸法を有して形成することができる。また、本実施の形態に係る無酸素銅スパッタリングターゲット材1は、例えば、所定形状の無酸素銅スパッタリングターゲット材1を、その上面視における形状を略円形又は略多角形に切り出すこともできる。
(無酸素銅スパッタリングターゲット材の製造方法)
図2は、本発明の実施の形態に係る無酸素銅スパッタリングターゲット材の製造工程の流れの一例を示す。
まず、純度が99.9%以上の無酸素銅を鋳造して、所定の圧延処理を施すことにより、所定寸法の板材を製作する(S100)。この板材は、一例として、0.2mm以下の平均結晶粒径を有する。板材は、複数枚(少なくとも2枚)製作する。次に、2枚の板材の側面を互いに突き合わせて固定する(S110)。続いて、一方の板材の側面と他方の板材の側面とが突き合わされた部分である接合部分としての突き合わせ部を、FSW接合により接合する(S120)。これにより、接合部分が形成される。また、FSW接合による結晶組織への影響は摩擦撹拌部としての接合部分に略限定され、非接合部分としての接合部分を除く一方の板材及び他方の板材は、接合前の結晶組織が維持される。
次に、接合した材料の表面及び裏面を所定の深さずつ研削する(S130)。続いて、所定の真空度を有する真空中において、接合部分を有する一方の板材及び他方の板材に対して、無酸素銅に対してアニール効果があり、かつ、無酸素銅の平均結晶粒径がそれほど粗大化しない温度で熱処理を施す(S140)。熱処理は、一例として、400℃から500℃の温度範囲で所定時間、真空中において実施する。これにより、接合部分が接合部10となり、非接合部分が非接合部12に変化して、本実施の形態に係る無酸素銅スパッタリングターゲット材1が製造される。なお、研削する工程は、熱処理の工程の後に実施することもできる。
図3は、本発明の実施の形態に係る無酸素銅スパッタリングターゲット材の製造工程におけるFSW接合の概要を示す斜視図であり、図4は、本発明の実施の形態に係る無酸素銅スパッタリングターゲット材の製造工程におけるFSW接合の概要を示す断面図である。
FSW接合は、先端に所定形状の突起34を有する回転ツール30を所定の方向に所定の回転速度で回転させ、回転している回転ツール30の突起34を、一方の板材としての板材20aと他方の板材としての板材22aとが接触している部分に押し込むことにより、突起34と各板材との間に生じた摩擦熱によって各板材の所定の領域を軟化させ、軟化した各板材の所定の領域を攪拌して接合する手法である。
すなわち、本実施の形態においては、図3に示すように、ショルダ32及び突起34を有する回転ツール30を所定の方向(例えば、図3における「A」の方向)に所定の回転速度で回転させつつ、被接合材料としての板材20a及び板材22aに所定の深さまで突起34を挿入する。そして、突き合わせ部24に沿って回転ツール30を板材20a及び板材22aに対して相対的に移動させ、突き合わせ部24に沿って板材20aの側面20bと板材22aの側面22bとを接合する。具体的には、回転ツール30を、板材20a及び板材22aの長手方向(例えば、図3における「B」の方向)に所定の速度で移動させる。
そして、図4に示すように、板材20a及び板材22aと突起34とが接して突起34が回転することにより摩擦熱が生じて、生じた摩擦熱により板材20a及び板材22aの一部がそれぞれ軟化して摩擦攪拌部40となり、流動化する。そして、摩擦攪拌部40が固化することにより、板材20aと板材22aとが接続部分10bを介して接合される。摩擦熱により流動化する部分は摩擦攪拌部40に略限定され、板材20aと板材22aとが固相で接合するので、接続部分10bの金属組織は微細化している。すなわち、接続部分10bの結晶粒組織は、板材20a及び板材22aの結晶粒組織に比べて、機械的特性に優れた微細な組織となる。
例えば、平均結晶粒径が0.2mm以下程度の無酸素銅からなる板材20aと板材22aとをFSW接合を用いて接合すると、平均結晶粒径が0.02mm以上0.03mm以下程度の板材20aの平均結晶粒径と板材22aの平均結晶粒径よりも小さい平均結晶粒径を有する細かい結晶粒を含む結晶粒組織の接続部分10bが得られる。FSW接合による結晶組織への影響は、上述したように摩擦攪拌部40に略限定される。
したがって、平均結晶粒径が0.2mm以下程度の板材20aと板材22aとを接合すると、接続部分10bの平均結晶粒径は0.02mm以上0.03mm以下程度となり、熱処理前の非接合部分(板材20a及び板材22aから接合部分10bを除いた部分)の平均結晶粒径は、板材20a及び板材22aの平均結晶粒径(0.2mm以下程度)を引き継ぐこととなる。続いて、板材20aと板材22aとが接合部分10bによって接合された材料に所定の熱処理を施すことにより、接続部分10bから形成された接合部10と非接続部分から形成された非接合部12とが形成される。そして、接合部10の結晶粒組織と非接合部12の結晶粒組織とが略同程度である本実施の形態に係る無酸素銅スパッタリングターゲット材1が得られる。
本実施の形態に係る無酸素銅スパッタリングターゲット材1は、一例として、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)等の電子部品における電極配線の形成に用いることができる。例えば、無酸素銅スパッタリングターゲット材1は、ディスプレイパネルにおける電極配線の形成用途として用いることができる。
(実施の形態の効果)
本実施の形態に係る無酸素銅スパッタリングターゲット材1は、アルミニウム系(抵抗率:4μΩcm程度)よりも低抵抗である無酸素銅(抵抗率:2μΩcm程度)からなる複数の板材を摩擦攪拌接合により接合して、接合後に熱処理を施すことにより、接合部10の平均結晶粒径と非接合部12の平均結晶粒径との差を低減することができる。すなわち、接合部10の平均結晶粒径と非接合部12の平均結晶粒径とを同程度にすることができる。したがって、例えば、液晶パネルの大型化に伴って大面積化したガラス基板よりも広い面積を有するスパッタリングターゲット材であって、スパッタリングによるターゲットエロージョンの接合部10と非接合部12との間における進行の差を低減させ、安定したスパッタリングができる無酸素銅スパッタリングターゲット材1を提供することができる。
すなわち、本実施の形態に係る無酸素銅スパッタリングターゲット材の製造方法によれば、一例として、第8世代の液晶パネル用ガラス基板のサイズ2200mm×2400mmよりも広い面積(例えば、約3m角で厚さが10mm以上)の無酸素銅スパッタリングターゲット材1であって、接合部分と非接合部分とでスパッタリングによるターゲットエロージョンの進行の差が実質的に生じずに、安定したスパッタリングができる大型基板用途としての無酸素銅スパッタリングターゲット材1を提供することができる。
また、本実施の形態においてはスパッタリングターゲット材の原料として無酸素銅を用いており、無酸素銅は、アルミニウム、純銅、及びZr、Sn、又はAg等を添加した銅に比べて高い導電性(低い電気抵抗)を有する。したがって、本実施の形態に係る無酸素銅スパッタリングターゲット材1は、例えば、電極の配線材料として用いるのに有利である。
本発明の実施例に係る無酸素銅スパッタリングターゲット材は、以下の工程を採用して製造した。まず、99.99%の純度の無酸素銅を鋳造した。そして、鋳造して得られた無酸素銅に熱間圧延処理と、中間熱処理と、冷間圧延処理とを施すことにより、厚さ15mm×幅500mm×長さ3000mmである4種類の板材を製作した。具体的に、中間熱処理における処理温度と、冷間圧延処理における加工パススケジュールとを適宜変更することにより、平均結晶粒径が0.02mmの板材A(実施例1に係る板材)と、平均結晶粒径が0.05mmの板材B(実施例2に係る板材)と、平均結晶粒径が0.1mmの板材C(実施例3に係る板材)と、平均結晶粒径が0.2mmの板材D(実施例4に係る板材)とを製作した。ここで、板材の平均結晶粒径は、JIS H 0510に基づいて、標準写真と板材の写真との比較法により測定した。
また、比較例として、中間熱処理の処理温度と、冷間圧延処理の加工パススケジュールとをそれぞれ適宜変更することにより、平均結晶粒径が0.3mmの板材E(比較例1に係る板材)と、平均結晶粒径が0.5mmの板材F(比較例2に係る板材)とをそれぞれ製作した。
次に、同一粒径の板材同士、すなわち、一方の板材Aと他方の板材Aとを長手方向の側面で突き合わせて併置・固定した(これにより、厚さ15mm×幅1000mm×長さ3000mmとなる)。続いて、一方の板材Aと他方の板材Aとの突き合わせ部分をFSW接合により接合した。同様にして、板材Bから板材Dについて、FSW接合により接合した。これにより、実施例に係る板材のそれぞれから、接合材料を得た。
ここで、一方の板材と他方の板材とが接合している接合部分に隣接する非接合部分は、接合部分から離れている非接合部分と同一の結晶粒組織を有していた。すなわち、板材Aから板材DのそれぞれからFSW接合により接合した接合材料のそれぞれにおいて、非接合部分の平均結晶粒径は、接合前の板材の平均結晶粒径とそれぞれ同一であった。また、板材Aから板材DのそれぞれからFSW接合により接合した接合材料のそれぞれにおいて、一方の板材と他方の板材との接合部分の平均結晶粒径は、板材Aから板材Dのそれぞれから作成した材料のいずれにおいても、0.02mmであった。
また、実施例に係る板材Aから板材Dと同様にして、一方の板材Eと他方の板材EとをFSW接合により接合することにより、比較例1に係る接合材料を得た。同様にして、板材Fから比較例2に係る接合材料を得た。ここで、板材E及び板材FのそれぞれからFSW接合により接合した接合材料のそれぞれにおいて、一方の板材と他方の板材との接合部分の平均結晶粒径は、実施例に係る板材Aから板材Dと同様に、板材E及び板材Fのそれぞれから作成した材料のいずれにおいても、0.02mmから0.03mmであった。また、比較例1及び2における非接合部分の平均結晶粒径についても、実施例1から4と同様に、接合部分に隣接する非接合部分と、接合部分から離れている非接合部分とは同一の結晶粒組織を有しており、それぞれ接合前の板材の平均結晶粒径と同一の平均結晶粒径を有していた。
次に、実施例(実施例1から4)及び比較例(比較例1及び2)に係る接合材料の表面及び裏面を、それぞれの表面から2mmの深さまで研削した。続いて、真空中、400℃で、2時間の熱処理を、実施例(実施例1から4)及び比較例(比較例1及び2)に係る接合材料のそれぞれに施した。これにより、実施例(実施例1から4)及び比較例(比較例1及び2)に係る無酸素銅スパッタリングターゲット材を作成した。
表1に、本発明の実施例及び比較例に係る板材、及び無酸素銅スパッタリングターゲット材の熱処理前後における接合部並びに非接合部の平均結晶粒径を示す。
Figure 0005233486
表1を参照すると分かるように、実施例(実施例1から4)に係る無酸素銅スパッタリングターゲット材(すなわち、熱処理後の接合材料)の接合部10の平均結晶粒径はそれぞれ、板材Aから板材Dのそれぞれの平均結晶粒径によらず0.04mmから0.06mmで略同一であった。また、実施例(実施例1から4)に係る無酸素銅スパッタリングターゲット材(すなわち、熱処理後の接合材料)の非接合部12の平均結晶粒径は、用いた板材の粒径により0.04mmから0.1mmの間で変動した。
例えば、実施例1においては、平均結晶粒径が0.02mmの板材Aから形成した無酸素銅スパッタリングターゲット材の非接合部12の平均結晶粒径は0.04mmであった。また、実施例2においては、平均結晶粒径が0.05mmの板材Bから形成した無酸素銅スパッタリングターゲット材の非接合部12の平均結晶粒径は0.06mmであった。また、平均結晶粒径が0.1mmの板材Cから形成した無酸素銅スパッタリングターゲット材の非接合部12の平均結晶粒径は0.08mmであった。更に、平均結晶粒径が0.2mmの板材Dから形成した無酸素銅スパッタリングターゲット材の非接合部12の平均結晶粒径は0.1mmであった。
ここで、比較例(比較例1及び2)に係る無酸素銅スパッタリングターゲット材(すなわち、熱処理後の接合材料)の接合部10の平均結晶粒径はそれぞれ、実施例1から4の場合と同様に、0.05mmから0.06mmで略同一であった。一方、比較例1及び2における無酸素銅スパッタリングターゲット材(すなわち、熱処理後の接合材料)の非接合部12は、微細な再結晶粒と接合前の元の平均結晶粒径に近い粗大な結晶粒とが混合した混粒状態であることが観察された。
次に、実施例(実施例1から4)及び比較例(比較例1及び2)に係る無酸素銅スパッタリングターゲット材のそれぞれについて、接合部10を含むようにφ100mmの円形状に切り抜いた。このようにして、実施例(実施例1から4)に係る無酸素銅スパッタリングターゲット材のそれぞれから、実施例(実施例1から4)に係る実験用の無酸素銅スパッタリングターゲット2を作成すると共に、比較例(比較例1及び2)に係る無酸素銅スパッタリングターゲット材のそれぞれから、比較例(比較例1及び2)に係る実験用の無酸素銅スパッタリングターゲットを作成した。
図5は、本発明の実施例に係る実験用の無酸素銅スパッタリングターゲットのスパッタリング後の上面図を示す。
実施例(実施例1から4)及び比較例(比較例1及び2)に係る実験用の無酸素銅スパッタリングターゲットを用いて、スパッタリングを実施した。スパッタリング装置としては、マグネトロンスパッタリング装置を使用した。スパッタリング条件は、以下のとおりである。すなわち、導入ガスとして1Paの圧力のアルゴン(Ar)ガスを用いると共に、RFパワーを300Wに設定してスパッタ処理の累計時間を180分とした。
スパッタリングの結果、スパッタリング後の無酸素銅スパッタリングターゲットの表面には、図5に示すように、スパッタリングが集中する領域に、リング状に窪んだエロージョン(侵食)領域50が形成された。
実施例1から4に係る実験用の無酸素銅スパッタリングターゲット2においては、接合部10aと非接合部12aとの境界でのエロージョンの変化は目視では認められなかった。更に、実施例1から4に係る実験用の無酸素銅スパッタリングターゲット2においては、接合部10aと非接合部12aとの境界でエロージョンの進行には実質的に差が認められなかった。
一方、比較例1及び2に係る実験用の無酸素銅スパッタリングターゲットにおいては、スパッタリング後の無酸素銅スパッタリングターゲットの表面には、接合部と非接合部との境界が目立ち、それぞれの部分でのエロージョンの進行にかなり差があることが認められた。
また、実施例(実施例1から4)及び比較例(比較例1及び2)に係る無酸素銅スパッタリングターゲットのそれぞれについて、接合部10aと非接合部12aとでスパッタリングの状況の違いを定量的に調べることを目的として、接合部10aのエロージョン領域と非接合部12aのエロージョン領域それぞれの表面粗さをそれぞれ測定した。表面粗さは、JIS B0601に基づいて、算術平均粗さ(Ra)を測定した。なお、算術平均粗さの単位はμmである。ここで、エロージョン領域50のリング幅は20mm程度観察され、幅の中央部付近の3mm長について表面粗さを測定した。具体的に、接合部10aのエロージョン領域50に対応する部分(表面粗さ測定部分54)と、非接合部12aのエロージョン領域50に対応する部分(表面粗さ測定部分52)とのそれぞれについて、表面粗さを測定した。
表2は、本発明の実施例及び比較例に係る表面粗さの測定結果を示す。
Figure 0005233486
表2を参照すると、比較例1に係る実験用の無酸素銅スパッタリングターゲット材においては、接合部10aと非接合部12aとの間における表面粗さの相違は−34%であり、比較例2に係る実験用の無酸素銅スパッタリングターゲット材においては、接合部10aと非接合部12aとの間における表面粗さの相違は−36%であった。一方、実施例1から4に係る実験用の無酸素銅スパッタリングターゲット材においては、接合部10aと非接合部12aとの間における表面粗さの相違は、±7%から8%以内の相違であることが観察された。
この結果から、実施例1から4に係る無酸素銅スパッタリングターゲット材においては、接合部10aと非接合部12aとの間でエロージョンの進行の程度に大きな差がなく、比較例1及び2に係る無酸素銅スパッタリングターゲットよりも、安定したスパッタリングを実施することができることが示された。すなわち、比較例1及び2に係る無酸素銅スパッタリングターゲットではスパッタリングが不安定であり、スパッタリングによって形成される銅膜の均一性に影響を与える一方で、実施例1から4に係る無酸素銅スパッタリングターゲット2によれば、安定したスパッタリングができることが示された。
以上、本発明の実施の形態及び実施例を説明したが、上記に記載した実施の形態及び実施例は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態及び実施例の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。
実施の形態に係る無酸素銅スパッタリングターゲット材の部分斜視図である。 実施の形態に係る無酸素銅スパッタリングターゲット材の製造工程の流れを示す図である。 実施の形態に係る無酸素銅スパッタリングターゲット材の製造工程におけるFSW接合の概要を示す斜視図である。 実施の形態に係る無酸素銅スパッタリングターゲット材の製造工程におけるFSW接合の概要を示す断面図である。 実施例に係る実験用の無酸素銅スパッタリングターゲットのスパッタリング後の上面図である。
符号の説明
1 無酸素銅スパッタリングターゲット材
2 無酸素銅スパッタリングターゲット
10、10a 接合部
10b 接続部分
12、12a 非接合部
20 第1の板材
20a、22a 板材
20b、22b 側面
22 第2の板材
24 突き合わせ部
30 回転ツール
32 ショルダ
34 突起
40 摩擦攪拌部
50 エロージョン領域
52、54 表面粗さ測定部分

Claims (3)

  1. 純度が3N以上の無酸素銅からなる銅材から形成され、平均結晶粒径が0.04mm以上0.1mm以下である第1の板材及び第2の板材と、
    前記第1の板材と前記第2の板材との間に、前記第1の板材及び前記第2の板材から形成され、平均結晶粒径が0.04mm以上0.06mm以下である接合部とを備え
    前記接合部以外の非接合部は再結晶粒からなる
    無酸素銅スパッタリングターゲット材。
  2. ディスプレイパネル用のガラス基板の上面視における平面寸法より大きな平面寸法を有する請求項1に記載の無酸素銅スパッタリングターゲット材。
  3. 純度が3N以上の無酸素銅から構成され、平均結晶粒径が0.2mm以下である銅材からなる複数枚の板材を準備する板材準備工程と、
    前記複数枚の板材の一方の板材の側面と他方の板材の側面とを突き合わせる突き合わせ工程と、
    前記一方の板材の側面と前記他方の板材の側面とが突き合わされて形成される突き合わせ部を摩擦攪拌接合により接合して、平均結晶粒径が0.02mm以上0.03mm以下の接合部分を形成する接合工程と、
    前記接合部分と、前記接合部分により互いに接合した前記一方の板材及び前記他方の板材とに真空中で熱処理を施して、前記接合部分の結晶を粗大化させ平均結晶粒径が0.04mm以上0.06mm以下にすると共に、前記一方の板材及び前記他方の板材から前記接合部分を除いた部分である非接合部分に平均結晶粒径が0.04mm以上0.1mm以下の再結晶粒を生成させる熱処理工程と
    を備える無酸素銅スパッタリングターゲット材の製造方法。
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