JP5227073B2 - 吸収性物品 - Google Patents

Description

この発明は、吸収性物品に関し、さらに詳しくは使い捨てのおむつ、排便トレーニングパンツ、失禁ブリーフ等の吸収性物品に関する。

従来、使い捨てのおむつにおいて、排尿があったかどうかを知らせる組成物を有するものとして、例えば特開２００７−２５２６５９号公報（特許文献１）が公知である。この特許文献１によれば、おむつは着用者側に位置する内面シートおよび着衣側に位置する外面シートと、内外面シートの間に介在する吸収体とを有している。外面シートの吸収体に対向する側に、ｐＨによって色が変化するｐＨ指示薬を含むホットメルト組成物が塗布されている。

ホットメルト組成物と吸収体との間に親水性の中間シートを形成している。ホットメルト組成物は、水分によってその一部が溶けだすことがあり、溶け出した組成物が吸収体に付着した場合には、組成物の色を尿の色と誤認してしまう可能性がある。中間シートを介在させることによって、この溶けた組成物が吸収体に付着するのを防止することができ、組成物の色を尿の色と誤認するのを防止している。
特開２００７−２５２６５９号公報

中間シートとしては、親水性のものを使用しており、吸収体に吸収された尿等の水分は、中間シートを透過してホットメルト組成物に移行される。このようなおむつでは、着用者が汗をかいたり、入浴などによっておむつ内の水蒸気量が上昇したりした場合に、これら汗や水蒸気によってホットメルト組成物が変色することがあった。汗や水蒸気によって組成物が変色してしまうと、排尿があったと誤認するという問題があった。また、排尿がなくても組成物が変色してしまうので、排尿があったときには既に変色しており、実際の排尿を知ることができないという問題もあった。

この発明では、排尿等の水分の存在を的確に判断することができる吸収性物品を提供することを課題とする。

この発明は、縦方向および横方向と、身体側および着衣側と、前記縦方向に連なる前ウエスト域、後ウエスト域および前記前後ウエスト域間に位置するクロッチ域と、前記身体側に位置する内面シートと、前記着衣側に位置する外面シートと、前記内外面シートの間に介在し少なくとも前記クロッチ域に配置される吸液構造体と、前記外面シートの前記吸液構造体側に形成され水分に接触すると視覚効果が変化する水分視認要素とを含む吸収性物品の改良に関わる。

この発明は前記吸収性物品において、前記水分視認要素の身体側には、前記水分視認要素の全体を覆う疎水性の被覆シートが形成され、前記被覆シートは耐水圧が４０〜５００ｍｍであることを特徴とする。

好ましい実施態様のひとつとして、前記被覆シートは、前記水分視認要素の前記縦方向および前記横方向に亘るすべての領域を覆う面積を有する。

この発明において、水分視認要素の身体側には、水分視認要素全体を覆う疎水性の被覆シートが形成され、被覆シートの耐水圧を４０〜５００ｍｍとしている。したがって、汗や水蒸気などは被覆シートによって水分視認要素への接触ができないが、排尿等の多量の水分は被覆シートを透過して水分視認要素への接触が可能となる。したがって、排尿等を確実に確認することができ、汗や水蒸気等による誤認を防止することができる。

被覆シートは、縦方向および横方向において、水分視認要素を覆う面積を有するので、水分視認要素全体と重なることができる。したがって、水分視認要素全体において、誤認を防止することができる。

吸収性物品として使い捨ておむつを用い、この発明の一例を説明する。
図１〜３はこの発明の実施形態を示したものであり、各図においては弾性体の伸縮力を作用させない状態を示している。図１は、いわゆるオープン型のおむつ１を展開した状態の平面図であり、説明のためその一部を破断している。図２は、図１のＩＩ−ＩＩ線端面図である。図示したように、おむつ１はシャーシ２と、ウエスト弾性体３と、レッグ弾性体４とを含む。シャーシ２は、縦方向Ｙに連なる前ウエスト域５と、後ウエスト域６と、これら前後ウエスト域５，６間に位置するクロッチ域７とを含む。シャーシ２は、身体側内面を形成する透液性の内面シート８と、着衣側外面を形成する不透液性の外面シート９とを含み、これら内外面シート８，９との間であって、少なくともクロッチ域７には吸液構造体１０が配置されている。
吸液構造体１０は、フラッフパルプ等によって形成される吸液性芯材１１と、吸液性芯材１１を覆うティッシュペーパ等の拡散シート１２とを含む。

シャーシ２は、縦方向Ｙに対向して横方向Ｘに延びる前後端縁１４，１５を含み、前後端縁１４，１５に沿ってウエスト弾性体３を取り付けている。ウエスト弾性体３は、伸縮性シートによって形成され、横方向Ｘに伸長状態で取り付けられる。

シャーシ２は、横方向Ｘに対向して縦方向Ｙに延びる両側縁１７を含む。両側縁１７は前ウエスト域５に位置する前側縁１８と、後ウエスト域６に位置する後側縁１９と、クロッチ域７に位置するレッグ側縁２０とを含む。両側縁１７は、レッグ側縁２０において、おむつ１の横方向Ｘの寸法を二等分する縦中心線Ｐ−Ｐに向かって凸となるように湾曲し、シャーシ２全体が砂時計型を形成するようにしている。

両側縁１７には、レッグ側縁２０に沿って延びる複数のレッグ弾性体４を取り付けている。レッグ弾性体４は、内外面シート８，９の間に伸長状態で取り付けられる。レッグ弾性体４によって、レッグ側縁２０が着用者の脚周りにフィットして、脚周りからの尿等の漏れを防止することができる。
後側縁１９であって外面シート９側には、横方向Ｘに延びる係合部材２４を取り付け、係合部材２４を前ウエスト域５の外面シート９に係合させて着用者におむつ１を着用させる。

図３は図１のおむつ１の分解組立図であり、図４は内面シート８および吸液構造体１０を省略したものである。図示したように、外面シート９の身体側、すなわち吸液構造体１０に対向する側には、水分視認要素２１を形成している。水分視認要素２１として、粘着成分にｐＨ指示薬を混合したホットメルト組成物を用い、これを外面シート９に塗布することによって形成している。このように形成した水分視認要素２１は、水分の接触によって変色し、変色によって水分の存在を確認することができる。水分視認要素２１を形成するホットメルト組成物は、縦方向Ｙに複数条延びて、少なくともクロッチ域７に位置している。この実施形態ではクロッチ域７から前後ウエスト域５，６に向かって延出している。

水分視認要素２１と吸液構造体１０との間には、被覆シート２２を取り付けている。被覆シート２２は、縦方向Ｙおよび横方向Ｘにおいて水分視認要素２１の全部を覆うことができる面積を有し、外面シート９または吸液構造体１０の少なくともいずれか一方に接合している。
上記のような構成において、着用者による排尿があると、尿は表面シート８を通過し、吸液構造体１０に吸収される。さらに吸液構造体１０に吸収された尿が被覆シート２２を介して水分視認要素２１に接触する。尿が水分視認要素２１に接触すれば、この水分視認要素２１の色が変化する。水分視認要素２１は、外面シート９を介して視認可能としている。したがって、着用者が乳幼児である場合には、親等の介助者が色の変化を見ることによって排尿したことを確認することができる。

被覆シート２２として、耐水圧が４０〜５００ｍｍの疎水性の繊維不織布を用いている。耐水圧は、ＪＩＳ−Ｌ１０９２に基づいて測定した。具体的には、１６０ｍｍ×１６０ｍｍに切り取った被覆シート２２をサンプルとして用い、蒸留水を入れた水準装置を１０ｃｍ／分の速さで上昇させ、シート表面から水滴が出たときのメータの水位を測定し、耐水圧としている。

表１は実施例１、実施例２、比較例１および比較例２の各試験結果を示したものである。実施例１は疎水性のＳＭＳ（スパンボンド・メルトブロー・スパンボンド）繊維不織布を被覆シートとして用い、実施例２は疎水性のエアースルー繊維不織布を被覆シートとして用いたものである。比較例１は親水性のエアースルー繊維不織布を被覆シートとして用いたものであり、比較例２は被覆シートを用いていないものである。
耐水圧の試験では、各例の被覆シートの耐水圧を測定した。したがって、比較例２では、被覆シートを用いていないので耐水圧の結果は記載していない。水分視認要素の変色の有無を測定した試験では、各例の被覆シートをおむつに使用した場合の結果である。比較例２では被覆シートを使用しない場合の結果である。この水分視認要素の変色の有無の測定では、汗をかいた状態あるいは風呂上りのおむつ内の状態を再現するために、室温５０℃、相対湿度８０％の雰囲気下で紙筒におむつを着用させ、１時間後、２時間後、３時間後の水分視認要素の変化の有無を測定した。

表１に示したように、実施例１の耐水圧は８７．２ｍｍであり、実施例２の耐水圧は４９．８ｍｍであり、比較例１は１１．８ｍｍであった。なお、比較例２は被覆シートを用いていないものであるので、耐水圧の測定結果の欄の記入はない。耐水圧は、それぞれ１０回の測定を平均した値を示している。

水分視認要素の変化の有無については、実施例１および２のいずれにおいても１〜３時間後での変化はなく、汗や水蒸気によって水分視認要素が変化してしまうことがないことが確認された。比較例１では１時間後では水分視認要素の変化はないものの、２時間後からは変化が見られ、３時間後では完全に変化した。比較例２では、１時間後には水分視認要素の変化が認められた。すなわち、比較例１および２のような耐水圧が４０ｍｍより低い被覆シートでは、汗や水蒸気によって水分視認要素が変化してしまうが、実施例１および２のように耐水圧が４０ｍｍ以上の被覆シートを用いることによって、汗や水蒸気によっては水分視認要素が変化することなく、これら汗や水蒸気によって排尿されたものと誤認することを抑制することができる。

実施例１、実施例２、比較例１および比較例２において、排尿の状態を再現するために、おむつ１の吸液構造体１０に８０ｃｃの水を流し込み、３．５ｋｇのおもりを載せて５分後の水分視認要素の変化の有無を確認した。この結果、すべてにおいて水分視認要素が変化し、排尿によっては水分視認要素が変化することが確認された。すなわち、実施例１および２では、汗や水蒸気によって、排尿があったと誤認することがなく、しかも排尿があったときには確実にこれを確認することができる。

被覆シート２２の耐水圧は４０〜５００ｍｍとしているが、４０ｍｍよりも低い場合には、比較例１および２に示したように汗や水蒸気で水分視認要素が変化する可能性があり、排尿があったとの誤認を招く恐れがある。５００ｍｍよりも高い場合には、被覆シート２２が厚くなったり、剛性が高くなったりして着用感を損ねる恐れがあり、排尿時の水分視認要素が変化し難くなる可能性もある。
被覆シート２２としてＳＭＳ繊維不織布あるいはエアースルー繊維不織布を用いているが、耐水圧が４０〜５００ｍｍであれば例えばスパンレース不織布、レジンボンド不織布等の他の不織布を用いることもできる。

被覆シート２２の通気度としては０．０１〜０．１５ＫＰａ・Ｓ／ｍ^２であることが望ましい。通気度は、カトーテック（株）ＫＥＳ−Ｆ８の計測器を用いて測定し、５回の測定の平均値を通気度としている。通気度が０．０１ＫＰａ・Ｓ／ｍ^２よりも小さい場合には、汗や水蒸気を透過させて水分視認要素２１を変化させる可能性があり、０．１５ＫＰａ・Ｓ／ｍ^２よりも大きい場合には、おむつ内が蒸れて着用者のかぶれ等を引き起こしかねないからである。

この発明で、内面シート８の身体側に漏れ防止カフを形成することもできる。漏れ防止カフとしては一般的なものを用いることができ、これによって脚周りからの尿等の漏れを防止することができる。
水分視認要素２１として粘着成分にｐＨ指示薬を混合したホットメルト組成物を用いているが、これに限られることなく、水分との接触によって色が現れたり、消失したり、変色したりするものであって、水分の有無を確認できるものであれば良い。また、ホットメルト組成物に限ったものではなく、おむつに直接インキで画いたり、他のシートを介在させたりしても良い。水分視認要素２１はクロッチ域７から縦方向Ｙに延びているが、横方向Ｘに延びるものや、ホットメルト組成物等によってイラストが画かれているようなものであっても良い。

本発明に係る実施形態のおむつの平面図。 図１のＩＩ−ＩＩ線端面図。 図１の分解組立図。 図１の一部を省略した説明図。

符号の説明

１ おむつ
５ 前ウエスト域
６ 後ウエスト域
７ クロッチ域
８ 内面シート
９ 外面シート
１０ 吸液構造体
２１ 水分視認要素
２２ 被覆シート

Claims (2)

1. 縦方向および横方向と、身体側および着衣側と、前記縦方向に連なる前ウエスト域、後ウエスト域および前記前後ウエスト域間に位置するクロッチ域と、前記身体側に位置する内面シートと、前記着衣側に位置する外面シートと、前記内外面シートの間に介在し少なくとも前記クロッチ域に配置される吸液構造体と、前記外面シートの前記吸液構造体側に形成され水分に接触すると視覚効果が変化する水分視認要素とを含む吸収性物品において、
   前記水分視認要素の身体側には、前記水分視認要素の全体を覆う疎水性の被覆シートが形成され、前記被覆シートは耐水圧が４０〜５００ｍｍであることを特徴とする前記吸収性物品。
2. 前記被覆シートは、前記水分視認要素の前記縦方向および前記横方向に亘るすべての領域を覆う面積を有する請求項１記載の吸収性物品。

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