しかしながら、特許文献1に開示された構成では、乗員がシートに着座するたびにパウル作動部材に荷重がかかるうえ、乗員がシートから離間すればパウル作動部材が元の状態になるように引っ張られる。このため、パウル作動部材は可撓性のほかに荷重や引っ張りに対する充分な耐久性を有していなくては長期に亘る良好な動作性を確保できない。しかも、シートの座面の下側にパウル作動部材や荷重作用部材等を配置している。このような各種部材を配置するため、シートのクッションが薄くなり座り心地が悪くなる。また、このような各種部材を配置しつつもシートのクッションに充分な厚さを確保すると、シートが厚くなってしまう。
一方、特許文献2に開示された構成では、可動部材の押し出しに駆動モータとエアポンプを要するので、コストが高くなる。
本発明は、上記事実を考慮して、シートに着座した乗員がウエビングベルトを容易に装着でき、しかも、そのための構成を安価なコストで実現でき、長期に亘り良好な動作性を確保できるシートベルト装置を得ることが目的である。
請求項1に記載の本発明に係るシートベルト装置は、シートを構成するシートバックの後方又は下方に設けられて、前記シートにおける乗員の着座位置の側方から前記シートに着座した乗員の身体に装着されることで前記乗員の身体を拘束可能な長尺帯状のウエビングベルトと、前記着座位置の側方で且つ前記シートバックの上側の初期位置に設けられて、前記初期位置を通過する前記ウエビングベルトを支持するウエビング支持体と、前記着座位置の側方の初期位置に設けられて、前記乗員の身体に前記ウエビングベルトが装着される際には前記ウエビングベルトに設けられたタングが装着されるバックルと、前記シートを構成するシートクッションに設けられて前記シートに着座した前記乗員からの荷重で萎んで内部の流体を放出し、この放出した流体の圧力で前記ウエビング支持体及びバックルの少なくとも何れかの一方を、その初期位置に対して所定の向きに離間した装着アシスト位置へ移動させる袋体と、前記袋体の内部に設けられ、前記荷重を受けることで圧縮されると共に前記荷重が解消されることで弾性により復元し、復元することで萎んだ前記袋体を膨らませて前記袋体に流体を吸入させる弾性体と、車両急減速状態で作動して前記袋体に流体を供給し、前記袋体を膨張させる流体供給手段と、前記ウエビング支持体及び前記バックルのうち前記袋体から放出された流体の圧力で移動する方と前記袋体とを繋ぎ、前記袋体から放出された流体が通過する管状の第1接続手段と、前記第1接続手段の中間部と前記流体供給手段とを繋ぎ、前記流体供給手段からの流体が通過する管状の第2接続手段と、前記第1接続手段と前記第2接続手段との接続部分に設けられ、通常は前記第1接続手段と前記第2接続手段との間を閉止して前記第1接続手段を開放すると共に、前記車両急減速状態では前記第1接続手段と前記第2接続手段との接続部分と前記ウエビング支持体及び前記バックルのうち前記袋体から放出された流体の圧力で移動する方との間を閉止して前記第1接続手段と前記第2接続手段との接続部分と前記袋体との間を開放する弁と、を備えている。
請求項1に記載の本発明に係るシートベルト装置では、シートに乗員が着座することでシートクッションに設けられた袋体に荷重が付与されると、袋体と袋体内の弾性体が萎んで袋体から流体が放出される。袋体は第1接続手段を介してウエビング支持体及びバックルの少なくとも何れか一方に繋がれている。このため、ウエビング支持体及びバックルの少なくとも何れか一方が袋体から放出された流体の圧力を受け、その初期位置から所定の向きに離間した装着アシスト位置に移動させられる。
ウエビング支持体はシートにおける乗員の着座位置の側方で且つシートを構成するシートバックの上側が初期位置とされており、この初期位置を通過するウエビングベルトを支持している。このウエビング支持体が袋体からの流体の圧力を受けて初期位置から所定の向き、例えば、シート前方側へ離間した装着アシスト位置に移動すると、ウエビング支持体によるウエビングベルトの支持位置が装着アシスト位置の側(例えば、シートの前方側)に変位する。これにより、シートに着座した乗員はウエビングベルトを把持しやすくなり、ウエビングベルトの装着が容易になる。
一方、バックルはシートにおける乗員の着座位置の側方が初期位置とされる。このバックルが袋体からの流体の圧力を受けて初期位置から所定の向き、例えば、シート前方側やシート上方側へ離間した装着アシスト位置に移動すると、シートに着座した乗員はバックルを確認しやすくなると共に、ウエビングベルトに設けられたタングをバックルに装着する際の作業が容易になる。
このように、乗員がシートに着座することで、ウエビング支持体及びバックルの少なくとも何れか一方がその初期位置から装着アシスト位置に移動させられるので、ウエビングベルトの装着が容易になる。
一方、乗員がシートから離れると、それまで袋体に作用していた荷重が解消される。このように、袋体への荷重が解消されると、袋体と共に萎んでいた弾性体は自らの弾性で圧縮状態から復元し、萎んでいる袋体を内側から膨らませて袋体に流体を吸入させる。これにより、袋体が復元し、乗員が再度シートに着座した際には、その荷重で袋体が萎んで袋体から流体が放出される。
このように、本発明では、ウエビング支持体及びバックルの少なくとも何れか一方への流体の供給源が袋体であるので、構造が簡単であると共に、荷重センサ等の荷重を電気的に検出する検出手段が不要であるので、更に、構造を簡単にできる。しかも、萎んだ袋体は弾性体の弾性で復元されるので、袋体を復元させるための構成も簡単である。
さらに、袋体は乗員の荷重で萎むように変形させられるものの、過剰な引っ張り力が作用するような構成ではなく、しかも、通常時において袋体が萎んだ状態からの復元は弾性体の弾性であるので、復元の際も過剰な引っ張り力が作用しない。このため、袋体の強度を特別高く設定しなくても、充分な耐久性を袋体は有しており、長期に亘り良好な動作性を確保できる。しかも、この弾性体は、萎んだ袋体を元の形状に復元できればよいので、弾性体にシートのクッションと同等の特性を持たせることができる。このため、袋体や弾性体をシートに設けてもシートが大型化することなく、また、座り心地も悪くなることがない。
一方、この第1接続手段の中間部には管状の第2接続手段が接続されており、この第2接続手段を介して流体供給手段が第1接続手段に接続される。この第1接続手段と第2接続手段との接続部分には弁が設けられており、車両急減速状態になると弁は第1接続手段と第2接続手段との接続部分と、ウエビング支持体及びバックルのうち袋体から放出された流体の圧力で移動する方との間を閉止すると共に、第1接続手段と第2接続手段との接続部分と袋体との間を開放する。
さらに、車両急減速状態になると流体供給手段から流体が供給される。この状態では、上記のように、第1接続手段と第2接続手段との接続部分と袋体との間が開放されているため、流体は流体供給手段から第2接続手段及び第1接続手段を通過して袋体に供給される。このように流体が袋体に供給されると、萎んでいる袋体が膨張してシートクッションの少なくとも座面を押し上げる。これにより、シートにおける乗員の着座姿勢が強制的に変えられ、ウエビングベルトによる乗員の身体の拘束性が向上する。
これに対し、第1接続手段と第2接続手段との接続部分に設けられた弁は、通常は第1接続手段と第2接続手段との間を閉止しており、第1接続手段における袋体とウエビング支持体及びバックルのうち袋体から放出された流体の圧力で移動する方との間が開放される。したがって、通常は、袋体から放出された流体が第2接続手段の側へ流れ込むことが防止又は抑制されるので、袋体から放出された流体の圧力を効率よくウエビング支持体やバックルの移動に供することができる。
なお、本発明では、袋体からの流体の圧力により初期位置から装着アシスト位置に移動するのは、ウエビング支持体及びバックルの少なくとも何れか一方であればよい。すなわち、袋体からの流体の圧力により初期位置から装着アシスト位置に移動するのは、ウエビング支持体だけであってもよいし、バックルだけであってもよく、更には、ウエビング支持体及びバックルの双方であってもよい。
さらに、本発明において弾性体は弾性による復元で萎んだ袋体を復元できればよく、その具体的な構成に関しては特に限定されるものではない。しかしながら、弾性体が収容される袋体はシートに設けられて、シートに着座した乗員の荷重を受けて萎むという観点からすると、シートに着座した乗員の身体に対して、弾性体が不要に干渉しないことが好ましい。この意味からすれば、シートなどに適用されるクッション材等が弾性体として好ましい。
請求項2に記載の本発明に係るシートベルト装置は、請求項2に記載の本発明において、前記弁は、前記第1接続手段と前記第2接続手段との間を閉止する向きに付勢され、前記流体供給手段から送られる流体の圧力で前記付勢に抗して移動し、前記第1接続手段と前記第2接続手段との接続部分と前記ウエビング支持体及び前記バックルのうち前記袋体から放出された流体の圧力で移動する方との間を閉止すると共に前記第1接続手段と前記第2接続手段との接続部分と前記袋体との間を開放する。
請求項2に記載の本発明に係るシートベルト装置では、弁が第1接続手段と第2接続手段との間を閉止する向きに付勢されるので、通常は第1接続手段が開放される。これに対し、車両急減速状態になって流体供給手段から第2接続手段に流体が送られると、この流体の圧力で弁は第1接続手段と第2接続手段との間を閉止する向きへの付勢に抗して移動する。この弁の移動によって第1接続手段と第2接続手段との接続部分とウエビング支持体及びバックルのうち袋体から放出された流体の圧力で移動する方との間が閉止されて、第1接続手段と第2接続手段との接続部分と袋体との間を開放される。
このように、弁は流体供給手段から送られる流体の圧力で移動するので、弁の電磁気的な制御が不要で、構成が簡単である。
請求項3に記載の本発明に係るシートベルト装置は、請求項1又は請求項2に記載の本発明において、先端側が開口した筒形状に形成されて先端側及びその反対の底部側へ摺動可能に前記ウエビング支持体が収容され、前記底部の側から前記流体が供給されることで内圧が上昇して前記ウエビング支持体を先端側へ摺動させると共に、前記ウエビング支持体よりも前記底部の側で内外を連通する通気部が形成されたシリンダと、前記ウエビング支持体の初期位置に対応して前記シートバックの上端部又は当該上端部の近傍に設けられ、前記シリンダの先端が底部よりも前記シートの前方を向いた状態で、前記シリンダを前記シートの上下方向を軸方向とする軸周りに揺動可能に支持し、更に、前記通気部を閉止すると共に、前記乗員が前記ウエビングベルトを装着するにあたり前記ウエビングベルト及び前記ウエビング支持体を介して前記シリンダを引っ張り、前記シートの上下方向を軸方向とする軸周りに前記シリンダを揺動させることで前記通気部を開放する支持部材と、前記ウエビング支持体を前記シリンダの底部側へ付勢すると共に、前記乗員が前記ウエビングベルトを装着するにあたり前記ウエビングベルト及び前記ウエビング支持体を介して前記シリンダを引っ張った際の前記シリンダの揺動方向とは反対向きに前記ウエビング支持体を付勢する付勢手段と、備えている。
請求項3に記載の本発明に係るシートベルト装置によれば、ウエビングベルトを支持するシートにおける乗員の着座位置の側方で且つ前記シートバックの上側においてウエビングベルトを支持するウエビング支持体はシリンダに収容される。このシリンダはウエビング支持体の初期位置に対応してシートバックの上端部又はこの上端部の近傍に設けられた支持手段によってその先端側が底部側よりもシートの前方を向く状態で支持される。
乗員がシートに着座することで放出された流体がシリンダに供給されると、シリンダの内圧が上昇し、この内圧の上昇によりウエビング支持体がシリンダの先端側へ摺動する。上記のように、シリンダの先端側は底部側よりもシートの前方側に位置するので、シリンダの内圧の上昇でウエビング支持体が移動することにより、ウエビング支持体によるウエビングベルトの支持位置がシートの前方側へ移動する。これにより、シートに着座した乗員はウエビングベルトを把持しやすくなり、この結果、乗員がウエビングベルトを装着する際の作業性が向上する。
また、上記の支持手段は、シートの上下方向を軸方向とする軸周りにシリンダを回動可能に支持している。しかも、支持手段は、ウエビング支持体の初期位置に対応して設けられているため、シートの幅方向に沿ってシートにおける乗員の着座位置の中央側よりも外側に位置している。乗員はウエビングベルトを装着するに際してウエビングベルトを身体の前方側へ引っ張るので、乗員によりウエビングベルトが引っ張られると、ウエビングベルト及びウエビング支持体を介してシリンダはその先端側が、シートの幅方向に沿ってシートにおける乗員の着座位置の中央側へ引っ張られ、これにより、シリンダが支持手段での支持位置を中心に揺動する。
このようにシリンダが揺動すると、それまで支持手段によって閉止されていたシリンダの通気部が開放される。さらに、ウエビング支持体はシリンダの先端側から底部側へ向けて付勢手段により付勢されているので、上記のように通気部が開放されると、付勢手段の付勢力でシリンダの底部側へ摺動するウエビング支持体によってシリンダ内の流体が通気部からシリンダの外部へ放出される。このようにして、ウエビング支持体シリンダの底部側へ戻る。
さらに、ウエビング支持体は上記の付勢手段の付勢力によって、乗員がウエビングベルトを装着するにあたりウエビングベルト及びウエビング支持体を介してシリンダを引っ張った際の前記シリンダの揺動方向とは反対向きに付勢されている。このため、シリンダの底部側へウエビング支持体が戻ると共にシリンダが揺動すると、通気部は再び支持手段によって閉止される。これにより、再度シートに乗員が着座した際には、流体の圧力でウエビング支持体がシリンダの先端側、すなわち、シート前方へ摺動できる。
以上説明したように、本発明に係るシートベルト装置は、ウエビングベルトを装着する際の作業性を向上させることができる。
<第1の実施の形態の構成>
(ショルダ側装着アシスト装置12の構成)
図1には本発明の第1の実施の形態に係るシートベルト装置10の構成が概略的な側面図により示されている。
この図に示されるようにシートベルト装置10はショルダ側装着アシスト手段として装着アシスト手段の一態様を成すショルダ側装着アシスト装置12を備えている。図2及び図3に示されるように、ショルダ側装着アシスト装置12はシリンダ14を備えている。シリンダ14は筒状部16を備えている。筒状部16は軸方向がシート18の上下方向に対して交差した向き(例えば、シート18の前後方向)に沿った円筒形状に形成されている。この筒状部16の軸方向基端側には、略球形状又は、軸方向がシート18の上下方向に沿った円筒形状の軸部20が形成されている。図2に示されるように、軸部20は中空形状に形成されており、その内部は筒状部16の内部に連通している。
一方、上記のシート18を構成するシートバック22の後方には、支持手段としてのベース部26が設けられている。ベース部26は、シートバック22の後方でパッケージトレイトリム24上に配置されており、例えば、パッケージトレイトリム24を貫通したボルト等の締結手段によってパッケージトレイトリム24の下側の車両の骨格部材やこの骨格部材を補強する補強部材に締結固定されている。
ベース部26は軸方向がシート18の上下方向に沿った円筒形状に形成されており、その内径寸法は軸部20の外径寸法よりも極僅かに大きい。また、ベース部26には窓部28が形成されており、この窓部28においてベース部26の内外が連通している。ベース部26の上下方向に沿った窓部28の開口幅は筒状部16の外径寸法よりも僅かに大きく、また、ベース部26の周方向に沿った窓部28の開口幅は筒状部16の外径寸法よりも充分に大きい。
ベース部26の内側にはシリンダ14の軸部20が収容されており、シリンダ14の筒状部16が窓部28を通過してベース部26の外部へ延出されている。軸部20は、ベース部26の周方向両側の窓部28の端部に筒状部16が干渉されるまでベース部26の中心軸線周りにシート18の左右方向へ揺動できる。
ベース部26の周方向に沿った窓部28の一端部(図2における左側の端部)に筒状部16が干渉された状態(以下、このようなシリンダ14の揺動位置を便宜上「引っ張り揺動位置」と称する)では、筒状部16はその基端部(軸部20側の端部)に対して先端部がシート18の幅方向に沿ってシート18のおける乗員30の着座位置の中央側へ傾くように窓部28が設定されている。また、ベース部26の周方向に沿った窓部28の他端部(図2における右側の端部)に筒状部16が干渉された状態(以下、このようなシリンダ14の揺動位置を便宜上「揺動初期位置」と称する)では、筒状部16はその基端部に対して先端部がシート18の幅方向に沿ってシート18のおける乗員30の着座位置の外側へ傾くように窓部28が設定されている。
このようにベース部26に取り付けられている筒状部16の内側には、筒状部16の軸方向に沿って摺動可能にピストン32が収容されている。筒状部16の先端側を向くピストン32の端面からは連続してウエビング支持体34のアーム36が筒状部16の先端側へ向けて延出されている。アーム36の先端側は筒状部16の先端から突出しており、その先端部にはスライドアンカ38が一体的に取り付けられている。スライドアンカ38にはアンカ孔40が形成されている。
アンカ孔40はアーム36の長手方向にスライドアンカ38を貫通している。また、アンカ孔40はアーム36の長手方向及びベース部26の軸方向の双方に対して概ね直交する向きに沿って長手のスリット状に形成されており、そのアンカ孔40の長手方向寸法は、長尺帯状に形成されたウエビングベルト42の幅寸法よりも大きく、アンカ孔40をウエビングベルト42が通過している。ウエビングベルト42のアンカ孔40の通過部分よりも長手方向基端側は、パッケージトレイトリム24の裏面側やシートバック22の内部に設けられたウエビング巻取装置のスプール(図示省略)に係止されている。
これに対し、アンカ孔40を通過した部分よりもウエビングベルト42の先端側は、シートバック22の前面に倣ってシート18の下方へ延びており、その先端はシート18の下方で車体を構成する骨格部材やこのような骨格部材を補強するための補強部材、更には、骨格部材や補強部材と共に車体を構成する構造部材に固定されたアンカに保持されている。また、シートバック22の前面に倣ってシート18の下方へ延びたウエビングベルト42の中間部にはタング48が設けられている。シート18に着座した乗員30は、ウエビングベルト42を装着するに際してタング48を把持してタング48を引っ張ることで、ウエビングベルト42を引っ張って、ウエビングベルト42のうち上記のウエビング巻取装置のスプールに巻き取られている部分を引き出す。
一方、図2に示されるように、軸部20の周壁には通気孔50が形成されており、通気孔50を介して軸部20の内外が連通している。但し、上記のように、軸部20はベース部26に収容されているため、軸部20の外面側の通気孔50の開口は、基本的にベース部26の周壁に閉止されている。この通気孔50に対応して、ベース部26の周壁には通気孔52が形成されており、通気孔52を介してベース部26の内外が連通している。
ベース部26の軸方向に沿った通気孔52の形成位置は、通気孔50の形成位置に対応しており、図10に示されるように、引っ張り揺動位置にシリンダ14が揺動した状態では、ベース部26の中心軸線を中心とする半径方向(放射方向)に通気孔50と通気孔52とが対向し、これにより、軸部20の内側とベース部26の外側とが連通する。
また、ベース部26には係止片54が形成されている。係止片54はベース部26よりもシート18の幅方向外側に設けられており、その先端側は更にシート18の幅方向外側へ延出されている。この係止片54の先端側には付勢手段としての引っ張りコイルばね56の一端が係止されている。引っ張りコイルばね56の他端部がアーム36の先端部近傍に係止されており、筒状部16の先端側へピストン32が摺動した状態では、アーム36を軸部20の側へ付勢すると共に、ベース部26の中心軸線周りシリンダ14が揺動初期位置の側へ揺動するようにアーム36を付勢する。
(バックル側装着アシスト装置72の構成)
一方、図1に示されるように、本シートベルト装置10は、バックル側装着アシスト手段として装着アシスト手段の一態様を成すバックル側装着アシスト装置72を備えている。バックル側装着アシスト装置72はアーム74を備えている。アーム74は基部76を備えている。基部76はシート18を構成するシートクッション78の後端部近傍で、シート18における乗員30の着座位置を介してショルダ側装着アシスト装置12が設けられた側やウエビングベルト42の先端部が係止されているアンカとは反対側に設けられている。
アーム74はシートクッション78の後方に設けられた車体を構成する骨格部材やこのような骨格部材を補強するための補強部材、更には、骨格部材や補強部材と共に車体を構成する構造部材にシート18の幅方向を軸方向とする軸周りに回動自在に支持されている。基部76の外周部からは、概ね、シート18の前方側へ向けてバックル支持片80が延出されている。バックル支持片80の先端部にはバックル82が固定されている。
上記のように、シート18に着座した乗員30は、タング48を引っ張ることで、ウエビングベルト42を引っ張って身体の前方にウエビングベルト42を掛け回してからタング48をバックル82に装着すると、タング48よりもウエビングベルト42の長手方向基端側は乗員30の肩部から胸部を介して腰部近傍までを拘束するショルダベルトとなり、タング48よりもウエビングベルト42の先端側は乗員30の腰部を拘束するラップベルトになる。
また、基部76におけるアーム74の回動中心周りにシリンダ86から所定角度離間した位置では、基部76の外周部から被押圧片84が延出されており、シート18の前後方向に沿った被押圧片84の後ろ側から被押圧片84が押圧されると、基部76における回動中心周りにアーム74が回動して、バックル支持片80の先端に固定されたバックル82が上昇するように基部76における回動中心周りに回動する。
以上の構成のアーム74は、基部76における回動中心周りにバックル82が上昇するような回動方向とは反対方向(すなわち、図1における左周り方向)に捩じりコイルばね等の付勢部材により付勢されており、このため、被押圧片84の後ろ側からの押圧力が被押圧片84に付与されていない状態では、図1及び図4に示されるように、シートクッション78の座面(上面)よりもバックル82が下側、例えば、シートクッション78に形成されたポケット83内に位置している。
一方、被押圧片84の後方にはシリンダ86が設けられている。シリンダ86は軸方向が概ねシート18の前後方向に沿った筒形状に形成されており、図4に示されるように、その内部にはピストン88がシリンダ86の軸方向に沿って摺動可能に収容されている。シート18の前方側を向くピストン88の端部からはロッド90がシリンダ86の軸方向先端側へ向けて延出されている。ロッド90の先端側はシリンダ86の先端部からシリンダ86の外部へ突出しており、更に、ロッド90の先端部は被押圧片84と対向している。このため、ピストン88がシリンダ86の先端側へ摺動すると、ロッド90の先端部が被押圧片84をシート18の前方側へ押圧し、これにより、アーム74が回動する。
(アシストガス供給装置102の構成)
一方、図1に示されるように、シートベルト装置10はショルダ側装着アシスト装置12やバックル側装着アシスト装置72と共に装着アシスト手段を構成するアシストガス供給装置102を備えている。アシストガス供給装置102は袋体104を備えている。袋体104はシートクッション78を構成するクッション材の下側に設けられている。
アシストガス供給装置102の内部には弾性体としてのクッション材106が設けられている。クッション材106は上記のシートクッション78を構成するクッション材よりも柔らかい材料により形成されている。クッション材106はその弾性により袋体104を膨張させている。しかしながら、クッション材106の弾性に抗する荷重が袋体104に荷重が作用すると、クッション材106は圧縮されるように弾性変形し、更に、袋体104が萎む。また、このような荷重が解消されると、クッション材106は弾性により復元すると共に、クッション材106の復元により袋体104が再度膨張する。
(流路機構122の構成)
さらに、図1に示されるように、シートベルト装置10は流路機構122を備えており、この流路機構122によって上記のショルダ側装着アシスト装置12、バックル側装着アシスト装置72、及びアシストガス供給装置102が繋がっている。
詳細には、流路機構122は第1接続手段を構成するチューブ124を備えている。チューブ124の一端は袋体104に接続されており、袋体104の内部に連通している。このため、上記のように、袋体104に荷重が作用して袋体104が萎むと、特許請求の範囲で言う「流体」の一態様である袋体104内の空気はチューブ124に送り込まれる。これに対し、チューブ124の他端は三方弁126の筐体128に繋がっており、この筐体128の内部に連通している。
一方、流路機構122はチューブ124と共に第1接続手段を構成するチューブ130を備えている。チューブ130の一端は筐体128に繋がっており、筐体128の内部に連通している。チューブ130は他端側における中間部で二股に分かれており、チューブ130の一方の他端はベース部26を貫通して軸部20に繋がり、軸部20の内部に連通している。
これに対し、チューブ130の他方の他端はシリンダ86に繋がり、シリンダ86の内部に連通している。このため、袋体104に荷重が作用して萎むことで、袋体104からチューブ124へ空気が放出されると、チューブ130内の空気の一部が軸部20に供給されて軸部20の内圧を上昇させ、チューブ130内の空気の他の一部がシリンダ86に供給されてシリンダ86の内圧を上昇させる。
一方、流路機構122は第2接続手段としてのチューブ132を備えている。チューブ132の一端は筐体128に接続されており、筐体128の内部に連通している。チューブ132の他端は流体供給手段としてのインフレータ134に接続されており、インフレータ134の内部に連通している。インフレータ134の内部には、燃焼することで瞬時に特許請求の範囲で言う流体の一態様であるガスを発生させるガス発生剤や、このガス発生剤を燃焼させる着火剤、更には、この着火剤を着火する着火装置が収容されている。
着火装置は図示しない制御手段としてのECUに接続されており、シート18を構成するシートクッション78や、シートバック22に設けられた圧力センサ等の荷重検出手段が、シート18への乗員30の着座を検出した状態で、車両に搭載された加速度センサ等の車両急減速状態検出手段が、車両の急減速状態を検出すると、ECUが着火装置を作動させる。着火装置が作動して着火剤が着火されると、ガス発生剤が燃焼されてガスが発生する。このようにして発生されたガスは、チューブ132に送り込まれて、更に、筐体128の内部に送りこまれる。
図5に示されるように、筐体128の内部には弁体136が設けられている。弁体136は図5の(A)に示されるように、流路機構122とチューブ130との間を開放してチューブ132の側を閉塞するように図示しない捩じりコイルばね等の弁体付勢手段によって付勢されている。
しかしながら、上記のように、インフレータ134にて発生したガスがチューブ132に送り込まれると、このガスの圧力により弁体付勢手段の付勢力に抗して弁体136が筐体128内で回動する。図5の(B)に示されるように、このように回動した弁体136は、チューブ130とチューブ124との間を閉止して、チューブ132とチューブ124との間を開放する。これにより、インフレータ134にて発生したガスがチューブ124を通過して袋体104に供給される。
<第1の実施の形態の作用、効果>
図1に示される乗員30がシート18に着座していない状態では、図2及び図3に示されるように、アーム36がシリンダ14に収容されて、スライドアンカ38はシートバック22の上側に位置しているため、スライドアンカ38よりも先端側では、ウエビングベルト42がシートバック22の前面の近傍でシートバック22に倣って下方へ延びている。
しかも、筒状部16は揺動初期位置にあり、引っ張りコイルばね56の付勢力でベース部26の周方向に沿った窓部28の他端部(図2における右側の端部)に筒状部16が干渉されるまでシリンダ14が揺動しており、このため、筒状部16はその基端部に対して先端部がシート18の幅方向に沿ってシート18のおける乗員30の着座位置の外側へ傾いている。このため、乗員30がシート18に着座するに際してウエビング支持体34やウエビングベルト42が乗員30の身体に干渉し辛い。このため、乗員30はシート18に円滑に着座できる。
また、この状態では、図4に示されるように、バックル82はポケット83内等、シートクッション78の座面(上面)よりも下方に位置しているので、シート18に乗員30が着座するに際して乗員30の身体にバックル82が干渉し辛い。したがっても、これによっても乗員30はシート18に円滑に着座できる。
一方、図6に示されるように、乗員30がシート18に着座すると、乗員30の体重がシートクッション78に作用する。クッション材106はシートクッション78のクッション材よりも柔らかいので、シートクッション78のクッション材が乗員30の体重で圧縮されるよりも先に袋体104が乗員30の体重で萎みながら、クッション材106が圧縮される。
このように袋体104が萎む際には、袋体104内の空気がチューブ124に放出される。図5の(A)に示されるように、通常は筐体128内の弁体136が流路機構122とチューブ130との間を開放してチューブ132の側を閉塞しているため、チューブ124に袋体104内の空気が放出されると、チューブ130の内圧が上昇し、更に、チューブ130の一方の他端に繋がっているシリンダ14の内圧が上昇する。シリンダ14の内圧が上昇すると、筒状部16の先端側へピストン32が摺動し、これにより、図7及び図8に示されるように、ウエビング支持体34がシートバック22の前方側へ移動する。
これにより、スライドアンカ38でのウエビングベルト42の折り返し位置がシートバック22の前方側に移動するので、シートバック22の前面に倣うように下方へ延びているウエビングベルト42は、少なくともスライドアンカ38の近傍でシートバック22の前面よりも前側に離間する。このように、ウエビングベルト42がシートバック22の前面よりも前側に離間することで、シート18に着座した乗員30はウエビングベルト42に設けられたタング48を把持しやすくなる。これにより、乗員30は簡単にタング48を把持して、ウエビングベルト42を装着するためにタング48を引っ張ることができる。
一方、上記のように、チューブ124に袋体104内の空気が放出されることでチューブ130の内圧が上昇すると、チューブ130の他方の他端に繋がっているシリンダ86の内圧が上昇する。シリンダ86の内圧が上昇すると、シリンダ86の先端側へピストン88が摺動し、これにより、図9に示されるように、ロッド90が前方へ移動して、被押圧片84を後方から押圧する。このように被押圧片84が後方から押圧されることで、基部76におけるアーム74の回動中心周りにアーム74が回動すると、バックル支持片80の先端が上昇するように回動し、これにより、バックル82が上昇するように回動する。
このようにして、バックル82が上昇することで、シートクッション78の座面(上面)よりも上側にバックル82が位置するので、乗員30はバックル82を確認しやすく、しかも、上記のように引っ張ったタング48をバックル82に簡単に装着できる。
また、上記のように、ウエビングベルト42を身体に掛け回すためにバックル82の側へタング48を引っ張ると、アンカ孔40を通過しているウエビングベルト42がスライドアンカ38、ひいては、ウエビング支持体34をシート18における乗員30の着座位置の幅方向中央側へ引っ張る。このようにウエビング支持体34が引っ張られることで、図10に示されるように、シリンダ14はベース部26の中心軸線を中心に引っ張り揺動位置まで揺動する。これにより、スライドアンカ38が乗員30の肩部に接近するので、ウエビングベルト42を乗員30の身体に適した状態で装着できる。
さらに、このようにシリンダ14が引っ張り揺動位置まで揺動すると、図10に示されるように、軸部20の通気孔50とベース部26の通気孔52とが連通し、軸部20の内部とベース部26の外部とが連通する。この状態では、軸部20内の空気は通気孔50、52を介してベース部26の外部へ抜け出ることができるので、軸部20の内圧が引っ張りコイルばね56の付勢力に抗することができない。したがって、この状態では、引っ張りコイルばね56の付勢力でウエビング支持体34がシリンダ14の内側に引き込まれる。これにより、スライドアンカ38がシートバック22の上側に戻るので、スライドアンカ38が乗員30の身体(例えば、肩部)に干渉することがない。
このように、本シートベルト装置10では、乗員30がシート18に着座した際の荷重で袋体104から放出された空気によって、ウエビング支持体34やバックル82を移動させ、簡単にタング48を把持してバックル82にタング48を装着できる。しかも、このようにウエビング支持体34やバックル82を移動させるに際してモータを用いないので、複雑な制御が不要である。
これにより、コストを安価にできる。さらに、このようにモータを用いないので、乗員30がシート18に着座したことを検出するセンサも不要であるので、この意味でも複雑な制御が不要でコストを安価にできる。さらに、乗員30がシート18から離れることで、袋体104に乗員30の体重が作用しなくなれば、クッション材106がその弾性で復元し、袋体104を再度膨張させるので、袋体104を復元させるための特別な流体供給源も不要である。このため、更にコストを安価にできる。
さらに、乗員30がシート18に着座した際の荷重で袋体104は萎むものの、特に大きな引っ張り荷重が袋体104に作用することはない。また、萎んだ袋体104はクッション材106によって膨張させられるが、この際にも特に大きな引っ張り荷重が袋体104に作用することはない。このため、袋体104に特に高い強度を付与しなくても、充分な耐久性を有しているので、長期に亘り良好な動作性を安価に確保できる。
一方、車両急減速状態になったことを車両に搭載された加速度センサ等の車両急減速状態検出手段が検出すると、ECUがインフレータ134内の着火装置を作動させる。着火装置が作動して着火剤が着火されると、ガス発生剤が燃焼されてガスが発生する。このようにしてインフレータ134で発生したガスは、チューブ132に送り込まれて、更に、筐体128の内部に送りこまれる。
インフレータ134内で発生したガスが筐体128に送り込まれると、弁体136はこのガスの圧力で弁体付勢手段の付勢力に抗して回動する。これにより、図5の(B)に示されるように、弁体136がチューブ130とチューブ124との間を閉止して、チューブ132とチューブ124との間を開放すると、インフレータ134にて発生したガスは袋体104に送り込まれて袋体104を強制的に膨張させる。これにより、図12に示されるように、シートクッション78の座面が上昇すると、シート18での乗員30の着座姿勢が変化し、所謂「サブマリン現象」の発生を防止又は防止する等、ウエビングベルト42による乗員30の身体の拘束性が向上する。
しかも、上記特許文献1に開示された乗員拘束装置とは異なり、インフレータ134にて発生したガスの圧力で膨張して乗員30の着座姿勢を変化させる袋体104を、車両急減速時のみならず、通常時にウエビング支持体34やバックル82を移動させるためのガス圧の供給源として有効に利用できる。
また、本実施の形態では、上記のように、袋体104はインフレータ134から供給されたガスの圧力に耐え得る強度を有しているので、乗員30がシート18に着座した際の荷重やクッション材106によって膨張させられる際の荷重にのみ耐えられるような強度よりも充分に高い強度を有することになる。したがって、この意味でも袋体104に特に高い強度を付与しなくても、充分な耐久性を有しているので、長期に亘り良好な動作性を安価に確保できる。しかも、乗員30がシート18に着座することで萎んだ袋体104を復元させる構成が、シートクッション78を構成するクッション材よりも柔らかい材料により形成されたクッション材106であるので、乗員30がシート18に着座した際の座り心地が悪くなることはない。
なお、本実施の形態では、ショルダ側装着アシスト装置12とシートクッション78の双方を備える構成であるが、ショルダ側装着アシスト装置12又はシートクッション78を備えない構成としてもよい。
また、本実施の形態は、インフレータ134を備える構成であったが、インフレータ134を備えない構成としてもよい。
さらに、本実施の形態では、アシストガス供給装置102をシートクッション78のクッション材の下側に設けた構成であったが、アシストガス供給装置102をシートバック22のクッション材の後ろ側に設けて、乗員30がシートバック22に凭れ掛かった際の荷重でショルダ側装着アシスト装置12やバックル側装着アシスト装置72を作動させる構成としてもよい。
また、本実施の形態では、袋体104から放出される空気、及び、インフレータ134から放出されるガスを特許請求の範囲で言うところの「流体」の一態様としたが、流体がこのような空気やガスに限定されるものではなく、液体等の他の流体を利用してもよい。
<第2の実施の形態の構成>
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、本実施の形態を説明するにあたり、前記第1の実施の形態と基本的に同一の部位に関しては同一の符号を付与してその詳細な説明を省略する。また、本実施の形態は、上記のバックル側装着アシスト装置72の変形例であるので、ショルダ側装着アシスト装置12やアシストガス供給装置102、流路機構122等に関しては基本的に変更がないものとしてその詳細な説明は省略する。
図13には、本実施の形態に係るシートベルト装置160においてショルダ側装着アシスト手段として装着アシスト手段の一態様を成すバックル側装着アシスト装置162の構成の概略が側面断面図によって示されている。この図に示されるように、バックル側装着アシスト装置162は蛇腹筒164を備えている。蛇腹筒164は上下方向に伸縮可能に形成されており、その下端はシート18のシートクッション78の下側で車体を構成する構造部材166に固定された状態で閉止されている。蛇腹筒164の内側にはアンカプレート168が設けられている。アンカプレート168は上記の構造部材166に固定されている。また、アンカプレート168には連結部材170の一端が係止されている。連結部材170は上記のウエビングベルト42やワイヤ等の可撓性を有する部材により形成されている。
一方、蛇腹筒164の上端部の上側にはバックル82が設けられており、バックル82のタング48が挿入される側とは反対側から延出された固定プレート172が蛇腹筒164の上端を貫通して蛇腹筒164の内側に入り込んでいる。このように、蛇腹筒164の内側に入り込んだ固定プレート172には、上記の連結部材170の他端が係止されている。ここで、連結部材170の長さは、蛇腹筒164が上端部と下端部とが最も離間して蛇腹筒164が伸びた状態でのアンカプレート168での連結部材170の係止位置と、固定プレート172での連結部材170の係止位置との間隔との間隔と同じかそれ以上に設定されている。
また、蛇腹筒164の下端部近傍には接続部174が形成されており、チューブ130の他方の他端部が接続される。
<第2の実施の形態の作用、効果>
以上の構成の本実施の形態では、乗員30がシート18に着座する前の状態では、蛇腹筒164が縮んだ状態になっており、この状態では、バックル82がポケット83内等、シートクッション78の座面(上面)よりも下方に位置しているので、シート18に乗員30が着座するに際して乗員30の身体にバックル82が干渉し辛い。したがっても、これによっても乗員30はシート18に円滑に着座できる。
一方、乗員30がシート18に着座することで袋体104が萎んで袋体104内の空気がチューブ124に放出されると、チューブ130の内圧が上昇し、チューブ130の他方の他端に繋がっている蛇腹筒164の内圧が上昇する。蛇腹筒164の内圧が上昇すると、図14に示されるように、蛇腹筒164の下端部から蛇腹筒164の上端部が離間するように蛇腹筒164が伸び、これにより、バックル82が持ち上げられて上昇する。
これにより、シートクッション78の座面(上面)よりも上側にバックル82が位置するので、乗員30はバックル82を確認しやすく、しかも、上記のように引っ張ったタング48をバックル82に簡単に装着できる。このように、本実施の形態でも、前記第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。