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JP5226359B2 - 研磨パッド用クッションおよびそれを用いた研磨パッド - Google Patents

研磨パッド用クッションおよびそれを用いた研磨パッド Download PDF

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Description

本発明は粘接着材を使用しなくても研磨装置のプラテンなどに研磨パッドを固定することができる研磨パッド用クッションおよび当該研磨パッド用クッションの層を有する研磨パッドに関する。
近年、半導体集積回路の高密度化による配線の微細化や多層配線化が進んでおり、これに伴い、半導体製造工程においてウェハ表面の平坦化を目的とするCMP(Chemical Mechanical Polishing)法が一般的に採用されるようになった。CMP法はウェハの被研磨面を研磨パッドに押し付けた状態で、必要により砥粒が分散されたスラリー状の研磨剤(以下、これを研磨スラリーという)を用いて研磨する技術である。
研磨装置は、一般的には、研磨パッドを支持するプラテンと被研磨物であるウェハを支持する支持台と研磨スラリーの供給機構を備えており、対向するように配置された研磨パッドとウェハのそれぞれが回転しながら研磨スラリーの存在下にウェハが研磨パッドに押し付けられて研磨される機構を有している。
研磨パッドは研磨工程において摩耗し交換する必要があるため、プラテンに対して脱着可能に支持されている。研磨パッドは研磨工程中に発生する応力に耐えうる十分な強度でプラテンに固定される必要があるが、一方で作業効率を高める観点からは研磨パッドの交換は簡便に行えることが好ましい。
通常、研磨パッドはプラテンに対して両面粘着テープ等の粘接着材によって固定されているが、使用後に研磨パッドを剥す時に粘接着剤の一部がプラテン表面に残る問題が発生する。この状態で新たに別の研磨パッドを装着すると、研磨パッドの表面平坦性が損なわれるため、研磨精度が低下する。そのため、新たに研磨パッドを装着する前にプラテンに残った粘接着剤をあらかじめ完全に除去する作業が必要となるが、その作業は煩雑である。つまり、研磨パッドを従来ように両面粘着テープ等の粘接着材によって固定した場合には、研磨パッドの脱離操作を効率的に行うことができず、結果としてCMPの作業効率も低下する。プラテン表面に粘接着剤が残らないようにするために粘接着材の粘着力を低下させることが考えられるが、単純に低粘着性の粘接着材を使用すると研磨パッドが使用中にプラテンから剥離してしまい、研磨パッドの使用寿命が短くなると共に、場合によっては研磨パッドの剥離により研磨中のウェハが飛散して崩壊し、研磨装置系内が汚染される恐れがある。
また、従来のように粘接着材で研磨パッドを固定した場合には、一度プラテンから研磨パッドを剥離すると粘接着材層は再利用できないため、研磨パッドの交換の度に新たな粘接着材が必要となり経済性および作業性が悪化するとともに、研磨前に新しい研磨パッドをプラテンに固定する際に、気泡が混入したり位置がズレたりして再度固定し直す必要性が生じても剥がして修正することができず、研磨パッドが無駄になったり、CMPの作業効率が悪化したりする要因となっている。
上記した粘接着剤の除去作業の煩雑さの問題に関しては、それを解消するためにこれまでに次のような研磨パッドが開発されている。例えば、粘着力を変動させ剥離し易くすることを利用した研磨パッドが知られている。すなわち、特定の温度範囲よりも狭い温度範囲にわたって起こる第1次溶融転移を有するポリマーや特定の側鎖結晶化可能ポリマーを含有した感圧接着剤層を使用した研磨布が知られている(特許文献1および2参照)。これらの研磨布は、温度の降下や、上昇により接着剤層の接着力が変化する現象を利用したものである。また、定盤(プラテン)との接着面に使用される粘着剤に特定の化合物を配合しておき、加熱、超音波照射あるいは紫外線照射により気体を発生させたり、架橋を生じさせたりして接着力が低下するようにした研磨パッドが知られている(特許文献3参照)。
しかしながら、上記特許文献1〜3に記載されている研磨布(研磨パッド)は、それをプラテンから取り外す際に温度を変化させたり、超音波や紫外線を照射する必要があり、時間がかかる上、操作性や設備導入コストが悪化するという欠点を有している。
ところで、研磨性能の安定性を確保するために、研磨層の固定面側にクッション層を設ける手法が一般的に知られている。そして、クッション層を研磨層と複合化するための手段としては、粘着材もしくは接着材を使用する方法が一般的である(例えば、特許文献4〜8等を参照)。また研磨層を直接クッション層に塗布することで粘接着材層を省略した研磨パッドが知られている(特許文献9参照)。
しかしながら、クッション層を研磨層と複合化するために粘接着材を使用した場合には、研磨層とクッション層の双方に高い接着力を有する粘接着材が必要となり、また一度研磨層やクッション層から剥がすと粘接着材自体は再利用できないため、製造コストの増大につながる。さらに研磨層とクッション層を剥がした場合にはクッション層の表面に粘接着剤の一部が残ってしまい研磨層が摩耗した際に研磨層だけを交換することができず、新品のクッション層を有する研磨パッドが必要となったり、あるいはクッション層の表面に残存した粘接着剤を取り除く作業が必要となったりして、経済性や作業性が悪化する問題に加えて、研磨パッドの製造時において、研磨層とクッション層を貼り合わせた際に気泡が混入した場合に再度貼り直しを行うことができず研磨パッド自体の製造コストの増大につながる問題があった。
また、特許文献9に記載の研磨パッドは、研磨層をクッション層に塗布することが必要であることからその材質に制限があり、研磨層が摩耗した際に研磨層をクッション層から剥がすことも困難である。
特開平8−293477号公報 特開2000−77366号公報 特開2005−34940号公報 特開2003−103471号公報 特開2006−187827号公報 特開2006−265410号公報 特開2006−287145号公報 特開2007−38372号公報 特開2003−324087号公報 特開平6−93060号公報 特表平5−507737号公報 特開平11−335432号公報 マクロモレキュラー ケミストリー アンド フィジックス(Macromolecular Chemistry and Physics)、201巻、11号、1108−1114頁、2000年
本発明は、半導体ウェハの研磨工程や半導体ウェハ上に微細なパターンが形成されたデバイスにおけるパターンの微小な凹凸を平坦化する研磨工程等において、粘接着材を使用しなくてもプラテンおよび研磨層の双方への高い接着力を示し、使用後に研磨パッドをプラテンから剥離する際にはプラテンに粘接着剤が残存せず容易に取り外すことができ、研磨パッドの固定のやり直しが容易で取扱い性に優れ、また研磨層が摩耗した際には研磨層だけを交換することができクッション層の再利用が可能であると共に、優れた研磨性能をも発現することができる研磨パッド用クッションおよび当該研磨パッド用クッションを用いた研磨パッドを提供することを目的とする。
上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明者らは特定のブロック共重合体を研磨パッド用クッションを構成する素材として使用すると上記した目的を達成することができることを見出し、さらに検討を重ねて本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、
[1]下記式(1)
[a]−[b]−[a] (1)
(式中、[a]および[a]は、それぞれ独立して、メタクリル酸アルキルエステルから誘導される構造単位から主としてなり、ガラス転移温度が90℃以上であり、シンジオタクティシティーが60%以上である重合体ブロックを表し、[b]はアクリル酸アルキルエステルおよび/またはメタクリル酸アルキルエステルから誘導される構造単位から主としてなり、ガラス転移温度が−10℃以下である重合体ブロックを表す。ただし、[a]と[a]の質量の合計/[b]の質量=5/95〜50/50の関係を満たす。)
で示される構造を重合体主鎖中に有するブロック共重合体(A)を含み、厚みが0.5mmを超え3.5mm以下である研磨パッド用クッションであって、
研磨パッド用クッションに含有されるメタクリル酸アルキルエステルから誘導される構造単位の含有率が10〜30質量%である研磨パッド用クッション
[2]ブロック共重合体(A)の分子量分布が1.0〜1.5である上記[1]の研磨パッド用クッション、
[3]ブロック共重合体(A)が有機希土類金属錯体を重合開始剤として用いて重合されたものであるか、または有機アルミニウム化合物の存在下に有機リチウム化合物を重合開始剤として用いて重合されたものである上記[1]または[2]の研磨パッド用クッション
[4]研磨層および上記[1]〜[]のいずれかの研磨パッド用クッションの層を有する研磨パッド、
に関する。
本発明の研磨パッド用クッションは、研磨時に要求される優れたクッション性を有し優れた研磨性能の発現に寄与しながら、粘接着材を使用しなくてもプラテンおよび研磨層の双方への高い接着力を示し、かつ、再接着が可能であり研磨パッドの固定のやり直しが容易で取扱い性に優れる。しかも、使用後に研磨層を本発明の研磨パッド用クッションの層から剥離すれば、研磨層のみを交換するだけで研磨を再開することができクッション層の再利用が可能となり、その際に研磨層の固定のやり直しも容易となる。さらに、本発明の研磨パッド用クッションをプラテンから剥離する際にはプラテンに粘接着剤が残存しないため、両面粘着テープ等の粘接着材を使用した場合に従来必要であった残存粘接着剤の除去作業が不要となり、研磨パッドの脱離操作の作業効率が向上する。
本発明の研磨パッド用クッションは、下記式(1)
[a]−[b]−[a] (1)
(式中、[a]および[a]は、それぞれ独立して、メタクリル酸アルキルエステルから誘導される構造単位から主としてなり、ガラス転移温度が90℃以上であり、シンジオタクティシティーが60%以上である重合体ブロックを表し、[b]はアクリル酸アルキルエステルおよび/またはメタクリル酸アルキルエステルから誘導される構造単位から主としてなり、ガラス転移温度が−10℃以下である重合体ブロックを表す。ただし、[a]と[a]の質量の合計/[b]の質量=5/95〜50/50の関係を満たす。)
で示される構造を重合体主鎖中に有するブロック共重合体(A)を含む。
上記式(1)中、[a]で示される重合体ブロックおよび[a]で示される重合体ブロック(以下、これらの重合体ブロックを「重合体ブロック(a)」と総称することがある)を構成する主たるモノマー成分はメタクリル酸アルキルエステルである。重合体ブロック(a)を構成するメタクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−ペンチル、メタクリル酸イソペンチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ペンタデシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸2−ヘキシルデシル等のメタクリル酸の飽和脂肪族炭化水素エステル;メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸アダマンチル等のメタクリル酸の飽和脂環式炭化水素エステルなどが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を使用することができる。中でも、重合体ブロック(a)のガラス転移温度を確実に90℃以上にする観点から、メタクリル酸アルキルエステルとしてはメタクリル酸メチル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸アダマンチルからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、メタクリル酸メチルがより好ましい。
重合体ブロック(a)を構成する構造単位の全モル数に対する上記メタクリル酸アルキルエステルから誘導される構造単位の占める割合としては、80モル%以上が好ましく、90モル%以上がより好ましく、95モル%以上がさらに好ましい。メタクリル酸アルキルエステルから誘導される構造単位の占める割合が上記の範囲となることにより、得られる研磨パッド用クッションの高温下での凝集力が高くなり、高温下における粘着特性(接着力の保持力など)がより良好なものとなる。
重合体ブロック(a)は少量、例えば20モル%以下であれば、メタクリル酸アルキルエステルから誘導される構造単位以外の他の構造単位を有していてもよい。このような他の構造単位を形成するモノマー成分としては、例えば、アクリル酸トリメチルシリル、メタクリル酸トリメチルシリル、アクリル酸トリメトキシシリルプロピル、メタクリル酸トリメトキシシリルプロピル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル等のシリル基やエポキシ基などの官能基を有するアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル;アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル等のアクリロイル基またはメタクリロイル基以外にさらに不飽和結合を有するアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル;アクリル酸メチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル等のアクリル酸アルキルエステル;エチレン、プロピレン等のオレフィン;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル化合物などが挙げられる。
重合体ブロック(a)のガラス転移温度は90℃以上である。重合体ブロック(a)のガラス転移温度が90℃未満である場合には、得られる研磨パッド用クッションの高温下における凝集力が不十分なものとなり、高温下における粘着特性(接着力の保持力など)が悪くなる。重合体ブロック(a)のガラス転移温度としては、95℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましい。
重合体ブロック(a)のガラス転移温度は該ブロックを構成する構造単位の種類やその含有率を適宜調整することにより上記範囲とすることができる。より具体的には、例えば、培風館社発行「高分子データ・ハンドブック(基礎編)」やJohn Wiley&Sons,Inc.社発行「POLYMER HANDBOOK FOURTH EDITION」などの刊行物に記載されている各種単独重合体のガラス転移温度を参考にして、該重合体を構成する構造単位を本発明の重合体ブロック(a)の構造単位とすることにより容易に上記の範囲とすることができる。なお、2種以上の構造単位から重合体ブロック(a)を構成する場合には、重合体ブロック(a)全体に占める各種構造単位の質量分率(w)を、上記刊行物などに記載されている該構造単位を形成するモノマー成分のみからなる単独重合体のガラス転移温度(Tg、単位:K)で割った値の総和の逆数、つまり、下記式(2)により計算したTgが所望とする重合体ブロック(a)のガラス転移温度となるように重合体ブロック(a)を構成する構造単位の種類やその含有量を調整することにより、重合体ブロック(a)のガラス転移温度を容易に上記範囲とすることができる。
1/Tg=w/Tg+w/Tg+・・・+w/Tg (2)
(式中、Tgは重合体ブロック(a)の予測されるガラス転移温度(単位:K)を表し、w、w、・・・、wは重合体ブロック(a)における各種構造単位の質量分率を表し、Tg、Tg、・・・、Tgは各種構造単位を形成するモノマー成分のみからなる単独重合体のガラス転移温度(単位:K)を表す。]
また、重合体ブロック(a)のシンジオタクティシティーは60%以上である。重合体ブロック(a)のシンジオタクティシティーが60%未満である場合には、得られる研磨パッド用クッションの高温下における凝集力が不十分なものとなり、高温下における粘着特性(接着力の保持力など)が悪くなる。重合体ブロック(a)のシンジオタクティシティーとしては、65%以上であることが好ましく、66〜95%の範囲内にあることがより好ましく、67〜90%の範囲内にあることがさらに好ましい。重合体ブロック(a)のシンジオタクティシティーは、例えば、有機希土類金属錯体を重合開始剤として用いるか、または有機アルミニウム化合物の存在下にアルキルリチウム化合物を重合開始剤として用いて重合体ブロック(a)を形成するモノマー成分を重合することにより上記の範囲とすることができる。なお、重合体ブロック(a)のシンジオタクティシティーはブロック共重合体(A)を重水素化クロロホルムに溶解してなる試料のH−NMR測定により求められる重合体ブロック(a)におけるシンジオタクティックトライアッド(rr)の含量(モル分率)として定義される。
上記式(1)中、[b]で示される重合体ブロック(以下、これを「重合体ブロック(b)」と称することがある)を構成する主たるモノマー成分はアクリル酸アルキルエステルおよび/またはメタクリル酸アルキルエステルである。
重合体ブロック(b)を構成するアクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸n−ペンチル、アクリル酸イソペンチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル等のアクリル酸の飽和脂肪族炭化水素エステルなどが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を使用することができる。
また、重合体ブロック(b)を構成するメタクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−ペンチル、メタクリル酸イソペンチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ペンタデシル、メタクリル酸2−ヘキシルデシル等のメタクリル酸の飽和脂肪族炭化水素エステル;メタクリル酸シクロヘキシル等のメタクリル酸の飽和脂環式炭化水素エステルなどが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を使用することができる
重合体ブロック(b)を構成するアクリル酸アルキルエステルおよび/またはメタクリル酸アルキルエステルとしては、接着力の高い研磨パッド用クッションが得られ、また重合体ブロック(b)のガラス転移温度を確実に−10℃以下にする観点から、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸n−ペンチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−オクチルからなる群から選ばれる少なくとも1つであることが好ましく、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−オクチルからなる群から選ばれる少なくとも1つであることがより好ましく、アクリル酸n−ブチルがさらに好ましい。ただし、重合体ブロック(b)をメタクリル酸アルキルエステルを主たるモノマー成分として用いて構成する場合には、重合体ブロック(b)のガラス転移温度を−10℃以下とする観点から、使用するメタクリル酸アルキルエステルはメタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ペンタデシル、メタクリル酸2−ヘキシルデシル等のメタクリル酸と炭素数8以上のアルコールとのエステルを主体とすることが好ましい。
重合体ブロック(b)を構成する構造単位の全モル数に対する上記アクリル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸アルキルエステルから誘導される構造単位の占める割合としては80モル%以上が好ましく、90モル%以上がより好ましく、95モル%以上がさらに好ましい。アクリル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸アルキルエステルから誘導される構造単位の占める割合を上記の範囲とすることにより、より接着力の高い研磨パッド用クッションを得ることができる。
重合体ブロック(b)は少量、例えば20モル%以下であれば、アクリル酸アルキルエステルおよび/またはメタクリル酸アルキルエステルから誘導される構造単位以外の他の構造単位を有していてもよい。このような他の構造単位を形成するモノマー成分としては、例えば、アクリル酸2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル、メタクリル酸2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル等のアクリル酸またはメタクリル酸のアミノアルキルエステル;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−イソプロピルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド等のアクリルアミド類またはメタクリルアミド類;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸等のカルボキシル基を有するビニル化合物;無水マレイン酸等の酸無水物基を有するビニル化合物などが挙げられる。
重合体ブロック(b)のガラス転移温度は−10℃以下である。重合体ブロック(b)のガラス転移温度が−10℃を超える場合には、得られる研磨パッド用クッションの粘着特性(特に粘着力や保持力など)が悪化する。重合体ブロック(b)のガラス転移温度としては−20℃以下が好ましく、−30℃以下がより好ましい。重合体ブロック(b)のガラス転移温度は、該ブロックを構成する構造単位の種類やその含有率を適宜調整することにより上記の範囲とすることができる。具体的には、重合体ブロック(a)のガラス転移温度の調整方法として上記したものと同様にして調整することができる。
本明細書における重合体ブロック(a)および重合体ブロック(b)のガラス転移温度はブロック共重合体(A)をDSC測定して得られた曲線において認められる重合体ブロック(a)および重合体ブロック(b)の転移領域の外挿開始温度(Tgi)である。具体的な測定方法としては、以下の実施例の項目において詳述した方法が採用される。本発明におけるブロック共重合体(A)のDSC測定による曲線に基づけば、複数のガラス転移温度が求められるが、その中の重合体ブロック(a)および重合体ブロック(b)に由来するガラス転移温度は、重合体ブロック(a)および重合体ブロック(b)と同様の化学構造(モノマー組成、立体規則性等)を有する重合体のDSC測定により得られる曲線のガラス転移温度と同一であるか、またはそれに近い温度であるので、容易に判定することができる。なお、重合体ブロック(a)および重合体ブロック(b)と同様の化学構造を有する重合体はブロック共重合体(A)をH−NMRや13C−NMRなどの手段で分析することにより重合体ブロック(a)および重合体ブロック(b)のモノマー組成、立体規則性等の化学構造が判明するので、その化学構造が再現されるように適宜、重合を行うことにより容易に製造することができる。
ブロック共重合体(A)が有する上記式(1)で示される構造における重合体ブロック(a)の割合が少なすぎると得られる研磨パッド用クッションの凝集力が小さくなり、保持力(剪断クリープ強度)等の粘着特性が低下し、逆に上記式(1)で示される構造における重合体ブロック(a)の割合が多すぎると得られる研磨パッド用クッションの粘着力等の粘着特性が低下することから、上記式(1)における重合体ブロック(a)と重合体ブロック(b)の質量割合としては、([a]と[a]の質量の合計)/([b]の質量)が5/95〜50/50の範囲内であり、好ましくは10/90〜45/55の範囲内であり、より好ましくは10/90〜30/70の範囲内であり、さらに好ましくは15/85〜27/73の範囲内である。
ブロック共重合体(A)はその重合体主鎖中に上記式(1)で示される構造を有するが、ブロック共重合体(A)は上記の構造のみから構成されていてもよく、さらに1個以上の他の重合体ブロックを含む4個以上の重合体ブロックから構成されていてもよい。該他の重合体ブロックは重合体ブロック(a)または(b)と同種の重合体ブロックでも、それとは別種の重合体ブロック(以下、この別種の重合体ブロックを「重合体ブロック(c)」と称することがある)であってもよい。重合体ブロック(c)としては、エチレン、プロピレン等のオレフィン;ε−カプロラクトン、バレロラクトン等のラクトンなどによって構成される重合体ブロックなどが例示される。
ブロック共重合体(A)の好ましい形態としては、重合体ブロック(a)−重合体ブロック(b)−重合体ブロック(a)、重合体ブロック(a)−重合体ブロック(b)−重合体ブロック(a)−重合体ブロック(b)、重合体ブロック(a)−重合体ブロック(b)−重合体ブロック(a)−重合体ブロック(c)などが挙げられるが、得られる研磨パッド用クッションの凝集力が大きく良好な粘着特性が得られることから、重合体ブロック(a)−重合体ブロック(b)−重合体ブロック(a)のトリブロック構造が好ましい。
ブロック共重合体(A)における上記式(1)で示される構造の占める割合としては、好ましくは85質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上であり、さらに好ましくは95質量%以上である。なお、ブロック共重合体(A)が複数の上記式(1)で示される構造を有する場合には、上記割合はブロック共重合体(A)における複数の上記式(1)で示される構造の質量の合計の占める割合である。
本発明において使用されるブロック共重合体(A)は、本発明の効果を損なわない限りにおいて、必要に応じて、重合体主鎖に対してグラフト状にまたは重合体主鎖末端部に、水酸基、カルボキシル基、酸無水物基、アミノ基、トリメトキシシリル基などの官能基を有していてもよい。ただし、ブロック共重合体(A)は分子中に硫黄原子および芳香環をいずれも実質的に有しないことが好ましい。ブロック共重合体(A)が重合体主鎖末端部に硫黄原子を有している場合(例えば、式:−S−C(=S)−N(アルキル)で示される基を主鎖末端に有する場合)や重合体主鎖中に芳香環(例えば、パラキシリレン基など)を有している場合などでは、得られる研磨パッド用クッションの耐候性が低下する傾向がある。
ブロック共重合体(A)の数平均分子量(Mn)は、10,000〜200,000の範囲内にあることが好ましく、15,000〜150,000の範囲内にあることがより好ましい。また、ブロック共重合体(A)の分子量分布は、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)の比として、1.0〜1.5の範囲内にあることが好ましく、1.0〜1.4の範囲内にあることがより好ましい。このような分子量分布を有するブロック共重合体(A)はブロック共重合体(A)を形成するモノマー成分をリビング重合することにより容易に製造することができる。このようなリビング重合の方法としては公知の方法を採用することができ、例えば、有機希土類金属錯体を重合開始剤として使用して重合する方法(例えば、特許文献10等を参照)、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として使用してアルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩(鉱酸塩等)の存在下にアニオン重合する方法(例えば、特許文献11等を参照)、有機リチウム化合物等の有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として使用して有機アルミニウム化合物の存在下にアニオン重合する方法(例えば、特許文献12等を参照)、原子移動ラジカル重合方法(ATRP)(例えば、非特許文献1等を参照)などを採用することができる。
なお、本明細書における数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した値であり、具体的な測定方法としては以下の実施例の項目において詳述した方法を採用することができる。
また、上記式(1)で示される構造における個々の重合体ブロック(a)の数平均分子量(Mn)は、好ましくは1,000〜50,000の範囲内であり、より好ましくは5,000〜30,000の範囲内である。一方、重合体ブロック(b)の数平均分子量(Mn)は、好ましくは5,000〜150,000の範囲内であり、より好ましくは6,000〜120,000の範囲内である。なお、重合体ブロック(a)および重合体ブロック(b)の数平均分子量(Mn)は、それぞれの重合体ブロックに相当する重合体を別途作製し、それらを上記の測定方法によって測定した値である。
本発明で使用されるブロック共重合体(A)の製造方法は化学構造、ガラス転移温度、シンジオタクティシティーなどに関する上記規定を満足するブロック共重合体が得られる限りにおいて特に限定はされず、適当な重合開始剤を用いて製造することができる。特に不活性溶媒中で重合体ブロック(a)を形成させるためのモノマー成分の重合と重合体ブロック(b)を形成させるためのモノマー成分の重合を所望の重合体ブロックの結合順序となるように順次行う製造方法を採用することにより容易にブロック共重合体(A)を製造することができる。上記の重合開始剤の例としては、例えば、有機金属化合物が挙げられ、その中でも、形成される重合体ブロック(a)のシンジオタクティシティーを60%以上にしやすい点において、有機希土類金属錯体または有機アルカリ金属化合物が好ましく、重合開始剤の汎用性の観点から有機アルカリ金属化合物がより好ましい。
有機希土類金属錯体としては、例えば、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)サマリウムメチルテトラヒドロフラナート、ビス(ペンタメチルシクロペンタジエニル)イットリウムメチルテトラヒドロフラナート等のペンタメチルシクロペンタジエニル基を配位子として有する希土類金属錯体などが挙げられる。さらに上記の有機希土類金属錯体と共に、必要に応じて後述する有機アルミニウム化合物などを併用してもよい。
有機アルカリ金属化合物としては有機リチウム化合物を好ましく使用することができる。該有機リチウム化合物としては、例えば、メチルリチウム、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、イソブチルリチウム、t−ブチルリチウム、n−ペンチルリチウム、n−ヘキシルリチウム、テトラメチレンジリチウム、ペンタメチレンジリチウム、ヘキサメチレンジリチウム等のアルキルリチウムまたはアルキレンジリチウム;フェニルリチウム、m−トリルリチウム、p−トリルリチウム、キシリルリチウム、リチウムナフタレニド等のアリールリチウムまたはアリーレンジリチウム;ベンジルリチウム、ジフェニルメチルリチウム、トリチルリチウム、1,1−ジフェニル−3−メチルペンチルリチウム、α−メチルスチリルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとブチルリチウムの反応により生成するジリチウム等のアラルキルリチウムまたはアラルキレンジリチウム;リチウムジメチルアミド、リチウムジエチルアミド、リチウムジイソプロピルアミド等のリチウムアミド;メトキシリチウム、エトキシリチウム、n−プロポキシリチウム、イソプロポキシリチウム、n−ブトキシリチウム、sec−ブトキシリチウム、t−ブトキシリチウム、ペンチルオキシリチウム、ヘキシルオキシリチウム、ヘプチルオキシリチウム、オクチルオキシリチウム、フェノキシリチウム、4−メチルフェノキシリチウム、ベンジルオキシリチウム、4−メチルベンジルオキシリチウム等のリチウムアルコキシドなどが挙げられる。
上記の有機リチウム化合物を重合開始剤として使用する場合には、重合速度を変化させたり、リビング性(成長反応が主反応となり移動反応が起こりにくいこと)や立体規則性を高めたりするために、塩化リチウム等の無機塩;リチウム2−(2−メトキシエトキシ)エトキシド等のアルコキシドのリチウム塩;後述する有機アルミニウム化合物;ジメチルエーテル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、12−クラウン−4等のエーテル化合物;トリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、ピリジン、2,2’−ジピリジル等の含窒素化合物などとして例示される極性添加剤などを重合反応系内に共存させることができる。
有機希土類金属錯体や有機リチウム化合物を重合開始剤として使用する際に使用される上記有機アルミニウム化合物としては、例えば、下記式(3)
AlR (3)
(式中、R、RおよびRは、それぞれ独立して置換基を有していてもよいアルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、置換基を有していてもよいアラルキル基、置換基を有していてもよいアルコキシ基、置換基を有していてもよいアリールオキシ基、置換基を有していてもよいN,N−二置換アミノ基、またはハロゲン原子を表す。なお、R、R、Rから選ばれる2つは互いに結合して、置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアリーレン基、置換基を有していてもよいアリーレンジアルキル基、置換基を有していてもよいアルキレンジオキシ基、置換基を有していてもよいアリーレンジオキシ基を形成してもよい。)
で示される化合物が挙げられる。
上記式(3)で示される有機アルミニウム化合物の具体例としては、例えば、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリn−ブチルアルミニウム、トリsec−ブチルアルミニウム、トリt−ブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリn−ヘキシルアルミニウム、トリn−オクチルアルミニウム、トリ2−エチルヘキシルアルミニウム、トリフェニルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;ジメチル(2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ)アルミニウム、ジメチル(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、ジエチル(2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ)アルミニウム、ジエチル(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、ジイソブチル(2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ)アルミニウム、ジイソブチル(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム等のジアルキルフェノキシアルミニウム;メチルビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ)アルミニウム、メチルビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、メチル〔2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノキシ)〕アルミニウム、エチルビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ)アルミニウム、エチルビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、エチル〔2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノキシ)〕アルミニウム、イソブチルビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ)アルミニウム、イソブチルビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、イソブチル〔2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノキシ)〕アルミニウム、n−オクチルビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ)アルミニウム、n−オクチルビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、n−オクチル〔2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノキシ)〕アルミニウム等のアルキルジフェノキシアルミニウム;メトキシビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ)アルミニウム、メトキシビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、メトキシ〔2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノキシ)〕アルミニウム、エトキシビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ)アルミニウム、エトキシビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、エトキシ〔2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノキシ)〕アルミニウム、イソプロポキシビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ)アルミニウム、イソプロポキシビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、イソプロポキシ〔2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノキシ)〕アルミニウム、tert−ブトキシビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ)アルミニウム、tert−ブトキシビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、tert−ブトキシ〔2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノキシ)〕アルミニウム等のアルコキシジフェノキシアルミニウム;トリス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、トリス(2,6−ジフェニルフェノキシ)アルミニウム等のトリフェノキシアルミニウムなどを挙げることができる。
有機アルミニウム化合物を使用すると、上記のようなシンジオタクティシティーを有する重合体ブロック(a)を有し、分子量分布がより狭く、残留モノマーが少ないブロック共重合体(A)を容易に製造することができるため好ましい。また、有機アルミニウム化合物を使用すると、極低温下の重合反応条件を必要とせず比較的高い温度で重合を行なうことができるため、環境負荷(重合温度を制御する際に使用する冷凍機が消費する電力など)を低減させることもできる。
上記した有機アルミニウム化合物の中でも、重合のリビング性の高さや取扱いの容易さなどの点から、イソブチルビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノキシ)アルミニウム、イソブチルビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム、イソブチル〔2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノキシ)〕アルミニウムが好ましい。
有機希土類金属錯体や有機リチウム化合物を重合開始剤として使用する際に上記のような有機アルミニウム化合物を併用する場合には、必要に応じてさらに、ジメチルエーテル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、12−クラウン−4等のエーテル;トリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、1,1,4,7,10,10−ヘキサメチルトリエチレンテトラミン、ピリジン、2,2’−ジピリジル等の含窒素化合物などを反応系内に存在させてブロック共重合体(A)を形成するモノマー成分を重合させる方法を採用することができる。
重合開始剤として使用される有機希土類金属錯体または有機アルカリ金属化合物の中でも、重合開始効率が高いことから、t−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウムが好ましく、sec−ブチルリチウムがより好ましい。
また、上記の不活性溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒;クロロホルム、塩化メチレン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素系溶媒;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒などが挙げられる。
有機希土類金属錯体または有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として使用してブロック共重合体(A)を製造する場合についてより具体的な例を説明すると、例えば、該重合開始剤の存在下で重合体ブロック(a)を形成するモノマー成分の重合を行う第1段階の重合工程、重合体ブロック(b)を形成するモノマー成分の重合を行う第2段階の重合工程および重合体ブロック(a)を形成するモノマー成分の重合を行う第3段階の重合工程を含む3段階以上の重合工程を経て製造することができる。第1段階の重合工程において重合成長末端を主鎖片末端に有する重合体ブロック(a)からなるリビングポリマーが生成し、第2段階の重合工程において重合成長末端を重合体ブロック(b)の主鎖片末端に有する重合体ブロック(a)−重合体ブロック(b)の2元ブロックのリビングポリマーが生成し、第3段階の重合工程において重合成長末端を一方の重合体ブロック(a)の主鎖片末端に有する重合体ブロック(a)−重合体ブロック(b)−重合体ブロック(a)の3元ブロックのリビングポリマーが生成するので、これをアルコールなどと反応させることによって重合停止すれば重合体ブロック(a)−重合体ブロック(b)−重合体ブロック(a)の3元ブロック共重合体を得ることができる。ここで、4元以上のブロック共重合体を製造する場合には、上記重合体ブロック(a)−重合体ブロック(b)−重合体ブロック(a)の3元ブロックのリビングポリマーに対して、さらに適宜、重合体ブロック(b)を形成させるためのアクリル酸アルキルエステルおよび/またはメタクリル酸アルキルエステルを主体とするモノマー成分の重合、重合体ブロック(a)を形成させるためのメタクリル酸アルキルエステルを主体とするモノマー成分の重合、その他の重合体ブロック(c)を形成させるためのモノマー成分の重合など、所望の重合操作を所望の回数および順序で行い、その後にアルコールなどにより重合停止反応を行えばよい。
本発明の研磨パッド用クッションは、粘着に関する3つの要素であるタック(短時間接触時の接着力)、粘着力および保持力をバランスよく備えさせる観点から、上記したブロック共重合体(A)の他にさらに、アクリル酸アルキルエステルおよび/またはメタクリル酸アルキルエステルから誘導される構造単位から主としてなる重合体ブロック(以下、これを「重合体ブロック(イ)」と称することがある)を有し、数平均分子量が10,000〜200,000であり、分子量分布が1.0〜2.0であるジブロック共重合体(B)を含むことができる。
ジブロック共重合体(B)において、重合体ブロック(イ)を構成する主たるモノマー成分はアクリル酸アルキルエステルおよび/またはメタクリル酸アルキルエステルである。
重合体ブロック(イ)を構成するアクリル酸アルキルエステルとしては、特に限定されるものではないが、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸n−ペンチル、アクリル酸イソペンチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル等のアクリル酸の飽和脂肪族炭化水素エステルなどの1種または2種以上を挙げることができる。
また、重合体ブロック(イ)を構成するメタクリル酸アルキルエステルとしては、特に限定されるものではないが、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−ペンチル、メタクリル酸イソペンチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ペンタデシル、メタクリル酸2−ヘキシルデシル等のメタクリル酸の飽和脂肪族炭化水素エステル;メタクリル酸シクロヘキシル等のメタクリル酸の飽和脂環式炭化水素エステルなどの1種または2種以上を挙げることができる。
中でも、接着力の高い研磨パッド用クッションが得られることから、アクリル酸アルキルエステルおよび/またはメタクリル酸アルキルエステルとしては、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸n−ペンチル、アクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ペンチル、メタクリル酸n−ヘキシルからなる群から選ばれる少なくとも1つが好ましく、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチルがより好ましい。
重合体ブロック(イ)を構成する構造単位の全モル数に対する上記アクリル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸アルキルエステルから誘導される構造単位の占める割合としては、80モル%以上が好ましく、90モル%以上がより好ましく、95モル%以上がさらに好ましい。アクリル酸アルキルエステルおよびメタクリル酸アルキルエステルから誘導される構造単位の占める割合が上記の範囲となることにより、得られる研磨パッド用クッションの接着力が向上する。
重合体ブロック(イ)は、アクリル酸アルキルエステルおよび/またはメタクリル酸アルキルエステルから誘導される構造単位以外の他の構造単位を少量、例えば20モル%以下有していてもよい。このような他の構造単位を形成するモノマー成分としては、例えば、エチレン、プロピレン等のオレフィン;アクリル酸アリル、メタクリル酸アリル、アクリル酸ビニル、メタクリル酸ビニル等の二官能性モノマー;アクリル酸2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル、メタクリル酸2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル等のアクリル酸またはメタクリル酸のアミノアルキルエステルなどが挙げられる。
ジブロック共重合体(B)におけるもう一方の重合体ブロック(以下、これを「重合体ブロック(ロ)」と称することがある)は、それと組み合わせる重合体ブロック(イ)とは異なる構造の重合体ブロックであれば必ずしも限られるものではなく、それを構成するモノマー成分としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン;酢酸ビニル等のビニルエステル;アクリロニトリル;メタクリル酸アルキルエステル;アクリル酸アルキルエステル;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン;ε−カプロラクトン、バレロラクトン等のラクトン;メタクリル酸アリル、メタクリル酸ビニル、アクリル酸アリル、アクリル酸ビニル等の(上記共役ジエン以外の)二官能性モノマーなどが挙げられる。重合体ブロック(ロ)にはアクリル酸アルキルエステルおよび/またはメタクリル酸アルキルエステルから誘導される構造単位から主としてなる重合体ブロック(ただし、それと組み合わせる重合体ブロック(イ)とは異なる構造の重合体ブロック)が包含される。中でも、重合体ブロック(ロ)が芳香族ビニル化合物および共役ジエンからなる群から選択される少なくとも1つから誘導される構造単位から主としてなる場合には、得られる研磨パッド用クッションのポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどの非極性ポリマーに対する粘着特性を向上させることができ、本発明の研磨パッド用クッションをこのような非極性ポリマーと接して使用する際に好ましい。
ジブロック共重合体(B)は本発明の効果を損なわない限りにおいて、必要に応じて、重合体主鎖に対してグラフト状にまたは重合体主鎖末端部に、水酸基、カルボキシル基、酸無水物基、アミノ基、トリメトキシシリル基などの官能基を有していてもよい。ただし、研磨パッド用クッションの耐候性を特に高めたい場合には、重合体主鎖中に芳香環(例えば、パラフェニレン基など)を実質的に有さず、かつ重合体主鎖末端部に硫黄原子を実質的に有しないことが好ましい。
ジブロック共重合体(B)の数平均分子量(Mn)は、10,000〜200,000の範囲内であり、20,000〜200,000の範囲内であることが好ましく、20,000〜150,000の範囲内であることがより好ましい。また、ジブロック共重合体(B)の分子量分布は、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)の比として、1.0〜2.0の範囲内であり、1.0〜1.5の範囲内であることが好ましく、1.0〜1.4の範囲内であることがより好ましい。このような分子量分布を有するジブロック共重合体(B)はブロック共重合体(A)の説明として上記したリビング重合法を採用することにより容易に製造することができる。
また、ジブロック共重合体(B)において、重合体ブロック(イ)の割合が少なすぎると、ブロック共重合体(A)との相溶性が低下し、得られる研磨パッド用クッションの使用時にブリードを生じやすくなり、逆に重合体ブロック(ロ)の割合が少なすぎると、研磨パッド用クッションの粘着特性(特に低温下での粘着力)が低下する傾向があることから、ジブロック共重合体(B)における重合体ブロック(イ)と重合体ブロック(ロ)の質量割合は、重合体ブロック(イ)の質量/重合体ブロック(ロ)の質量=5/95〜50/50の関係を満たすことが好ましい。
なお、上記ジブロック共重合体(B)の製造方法としては、特に限定されることはなく、アニオン重合法、カチオン重合法、有機希土類金属錯体を用いる重合法、ラジカル重合法などを採用することができる。例えば、有機希土類金属錯体または有機リチウム化合物を重合開始剤として使用する重合法では、ブロック共重合体(A)に関して先に例示した方法と同様にして、2段階の重合工程を経ることによってジブロック共重合体(B)を製造することができる。
ブロック共重合体(A)と共にジブロック共重合体(B)を使用する場合には、ブロック共重合体(A)とジブロック共重合体(B)の質量割合が重合体ブロック(A)の質量/重合体ブロック(B)の質量=20/80〜95/5の関係を満たすことが好ましく、25/75〜90/10の関係を満たすことがより好ましい。
また、本発明の研磨パッド用クッションにおいてブロック共重合体(A)とジブロック共重合体(B)の質量の合計の占める割合としては、80〜100質量%の範囲内であることが好ましく、90〜100質量%の範囲内がより好ましく、95〜100質量%の範囲内がさらに好ましい。
さらに、本発明の研磨パッド用クッションに含有されるメタクリル酸アルキルエステルから誘導される構造単位の含有率は10〜30質量%であることが好ましく、15〜25質量%であることがより好ましい。メタクリル酸アルキルエステルから誘導される構造単位の含有率が10質量%未満の場合には、研磨時のせん断接着力が不足する傾向があり、研磨層の歪みや、研磨速度の低下が起こることがある。また、メタクリル酸アルキルエステルの含有率が30質量%を超える場合にはプラテンおよび研磨層との粘着力が不足する傾向があり、研磨条件等によっては研磨中に研磨層が剥離したりプラテンから研磨パッドが剥離することがある。なお、上記した研磨パッド用クッションに含有されるメタクリル酸アルキルエステルから誘導される構造単位の含有率とは、ブロック共重合体(A)、ブロック共重合体(B)および後述する他の成分に由来する当該構造単位の合計質量が、研磨パッド用クッションの質量に占める割合である。
本発明の研磨パッド用クッションは、上記したブロック共重合体(A)単独か、ブロック共重合体(A)およびジブロック共重合体(B)のみからなっていてもよいが、所望に応じ、ブロック共重合体(A)およびジブロック共重合体(B)以外に、さらに他の成分が配合されていてもよい。このような成分としては、例えば、粘着付与樹脂(ただし、ブロック共重合体(A)やジブロック共重合体(B)以外)、可塑剤、他の重合体、その他の各種添加剤などが挙げられる。
本発明の研磨パッド用クッションに粘着付与樹脂を配合させた場合、タック、粘着力および保持力の調節が容易となることがある。粘着付与樹脂としてはロジンエステル、ガムロジン、トール油ロジン、水添ロジンエステル、マレイン化ロジン等のロジン系樹脂;テルペンフェノール樹脂、α−ピネン、β−ピネン、リモネン等を主体とするテルペン樹脂;(水添)石油樹脂;クマロン−インデン系樹脂;水素化芳香族コポリマー;スチレン系樹脂;フェノール系樹脂;キシレン樹脂などの1種または2種以上が挙げられる。粘着付与樹脂の配合量は粘着付与樹脂の種類、被着体の種類などに応じて適宜選択することができるが、研磨パッド用クッションの全質量に対して20質量%以下であることが好ましい。
上記可塑剤としては脂肪酸エステル類(ジブチルフタレート、ジn−オクチルフタレート、ビス2−エチルヘキシルフタレート、ジn−デシルフタレート、ジイソデシルフタレート等のフタル酸エステル類;ビス2−エチルヘキシルアジペート、ジn−オクチルアジペート等のアジピン酸エステル類;ビス2−エチルヘキシルセバケート、ジn−ブチルセバケート等のセバシン酸エステル類;ビス2−エチルヘキシルアゼレート等のアゼライン酸エステル類など);塩素化パラフィン等のパラフィン類;ポリプロピレングリコール等のグリコール類;エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等のエポキシ系高分子可塑剤;トリオクチルホスフェート、トリフェニルホスフェート等のリン酸エステル類;トリフェニルホスファイト等の亜リン酸エステル類;アジピン酸と1,3−ブチレングリコールとのエステル化物等のエステルオリゴマー類;ポリブテン;ポリイソブチレン;ポリイソプレン;プロセスオイル;ナフテン系オイルなどの1種または2種以上が挙げられる。可塑剤の使用量は、通常、研磨パッド用クッションの全質量に対して20質量%以下であることが好ましい。
上記他の重合体としてはポリn−ブチルアクリレート、EPR、EPDM、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニルなどが挙げられる。研磨パッド用クッションにおける他の重合体の占める割合としては15質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることがさらに好ましい。
上記の各種添加剤としては耐候性改良剤;耐熱性改良剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;炭酸カルシウム、酸化チタン、マイカ、タルク等の無機粉末充填剤;ガラス繊維、有機補強用繊維等の繊維状充填剤などを挙げることができる。研磨パッド用クッションにおける各種添加剤の占める割合としては10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、3質量%以下であることがさらに好ましい。
本発明の研磨パッド用クッションはブロック共重合体(A)、および所望に応じて使用されるジブロック共重合体(B)、粘着付与樹脂、可塑剤、他の重合体、その他の各種添加剤などを所定割合で必要に応じて混合し、これを溶融押出成形や熱プレス成形等によりシートとし、さらに切削や切り出し等により所望の形状、サイズとすることによって製造することができる。上記混合の方法は特に制限されず、例えば、各成分をニーダー、押出機、ミキシングロール、バンバリーミキサーなどの既知の混合または混練装置を使用して、例えば、100〜250℃の範囲内の温度で混合することにより行うことができる。
本発明の研磨パッド用クッションの厚みは、充分な接着力を発現し、また研磨時における研磨性能、特にグローバル平坦性を損なわないようにするために、0.5mmを超え3.5mm以下であることが必要であり、0.5mmを超え3.0mm以下の範囲内が好ましく、1.0mm以上2.5mm以下の範囲内がより好ましく、1.5mm以上2.5mm以下の範囲内がさらに好ましい。研磨パッド用クッションの厚みが0.5mm以下の場合には、研磨時に要求されるクッションの効果が得られず、研磨均一性が乏しくなる。また、3.5mmを超える場合には研磨速度が低下するため、研磨効率が悪化する。
また、本発明の研磨パッド用クッションの大きさや形状については特に制限されず、例えば、後述する研磨層における厚さ方向に垂直な面の形状と同一(例えば、該面の全体が本発明の研磨パッド用クッションにより被覆されうる構造)であるものや、該面の一部のみを本発明の研磨パッド用クッションが被覆しうる構造のものなどが挙げられ、具体的には円形のシート状のものが例示される。
本発明の研磨パッド用クッションはその片面あるいは両面に離型紙や離型フィルムの層を有することができる。このような離型紙や離型フィルムの層を有することにより本発明の研磨パッド用クッションを保護することができる。このような離型紙や離型フィルムの層は、通常、研磨パッド用クッションを使用する際に取り除かれる。
本発明の研磨パッド用クッションは後述する研磨層を研磨装置のプラテンなどに接着すると共に研磨パッドにクッション性を付与する用途に使用することができる。具体的な使用形態については、例えば、研磨層の被研磨物に接する側を研磨面とし、研磨装置のプラテンなどに接着する側を固定面としたときに、研磨層の固定面側に本発明の研磨パッド用クッションの層を配設した研磨パッドを予め作製し、この研磨パッドを研磨装置のプラテンなどに接着させることにより研磨層が本発明の研磨パッド用クッションの層を介してプラテンなどに接着された態様で使用することができる。また、研磨装置のプラテンなどに予め本発明の研磨パッド用クッションを接着し、次いで、研磨層の固定面側を、上記プラテンなどに接着された研磨パッド用クッションの上面に接着する態様でも使用することができる。
上記の研磨層としては、特に限定されず、どのようなものを使用してもよいが、例えば、ポリウレタンなどから構成される研磨層が挙げられる。ここで該研磨層は研磨時において被研磨物に直接接触する層である。研磨層はその研磨面側に格子状、円状、スパイラル状などの溝構造を有することが好ましい。
研磨層の厚みは、研磨パッドの耐用性を確保する観点から0.5〜4mmの範囲内にあることが好ましく、0.8〜3mmの範囲内がより好ましく、1〜2mmの範囲内がさらに好ましい。
上記の研磨パッドの具体的な構成としては、研磨層と本発明の研磨パッド用クッションの層とが直接積層された二層構造のものが挙げられるがこれに限定されるものではない。研磨パッドは研磨パッド用クッションの層の外側にさらに離型紙や離型フィルムの層を有することが好ましい。このような離型紙や離型フィルムの層を有すると、粘着力を有する研磨パッド用クッションの層を保護することができる。このような離型紙や離型フィルムの層は、通常、研磨パッドを研磨装置のプラテンなどに接着させる際に取り除かれる。
上記の研磨パッドは研磨装置のプラテンなどに接着後、公知の研磨スラリーと共にCMPに使用することができる。研磨スラリーは、例えば、水やオイル等の液状媒体;シリカ、アルミナ、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、炭化ケイ素等の研磨剤;塩基、酸、界面活性剤等の成分を含有している。また、CMPを行うに際し、必要に応じて、研磨スラリーと共に潤滑油、冷却剤などを併用してもよい。
CMPは、公知のCMP用研磨装置を使用し、研磨スラリーを介して被研磨面と研磨パッドを、加圧下、一定速度で、一定時間接触させることによって実施することができる。研磨の対象となる物品には特に制限はないが、例えば、水晶、シリコン、ガラス、光学基板、電子回路基板、多層配線基板、ハードディスクなどが挙げられる。特に研磨の対象としては、シリコンウェハや半導体ウェハであることが好ましい。半導体ウェハの具体例としては、例えば、酸化シリコン、酸化フッ化シリコン、有機ポリマー等の絶縁膜;銅、アルミニウム、タングステン等の配線材金属膜;タンタル、チタン、窒化タンタル、窒化チタン等のバリアメタル膜などを表面に有するものが挙げられる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は本発明を何ら限定するものではない。なお、以下の実施例におけるトリブロック共重合体や研磨パッドの評価方法は次のとおりである。
ガラス転移温度
メトラー・トレド株式会社製「DSC−822」を使用して、以下の合成例において製造したトリブロック共重合体を10℃/分の昇温速度にて170℃まで昇温したのち、10℃/分の降温速度にて−100℃まで冷却後、再度10℃/分の昇温速度にて200℃まで昇温する際に得られる曲線における外挿開始温度(Tgi)の値を重合体ブロック(a)または重合体ブロック(b)のガラス転移温度とした。
数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)
以下の合成例において製造したトリブロック共重合体の数平均分子量(Mn)および重量平均分子量(Mw)を、以下の条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。
装置 :東ソー株式会社製ゲルパーミエーションクロマトグラフ(HLC−8020)
カラム :東ソー株式会社製「TSKgel GMH XL」、「TSKgel G4000H XL」および「TSKgel G5000H XL」をこの順に直列に連結したもの。
溶離剤 :テトラヒドロフラン(流量:1.0mL/分)
カラム温度:40℃
検出方法 :示差屈折検出器(RI検出器)
検量線 :標準ポリスチレンを用いて作成した。
[研磨パッドの研磨性能]
下記の実施例および比較例において研磨装置(エム・エー・ティー社製研磨装置「MAT−BC15」)上に固定された研磨パッドを、(株)アライドマテリアル製ダイヤモンドドレッサー(#100−被覆率80%、直径10cm、質量1kg)を用い、蒸留水を150mL/分の速度で流しながらドレッサー回転数40rpmにて1時間研磨パッド表面を研削した(以下「シーズニング」と称する)。
次に、プラテン回転数100rpm、ヘッド回転数99rpm、研磨圧力24kPaの条件において、キャボット社製研磨スラリー「SS25」を蒸留水で2倍に希釈した液を200mL/分の速度で供給しつつ酸化膜表面を有する直径4インチのシリコンウェハを60秒間研磨し、次いで、再びシーズニングを前記条件で30秒間行った。その後、ウェハを交換して再度研磨およびシーズニングを繰り返し、各研磨パッドにつき計4枚のウェハを研磨した。4枚目に研磨したウェハについて、研磨前および研磨後の酸化膜の膜厚をウェハ面内で各49点(ウェハ中心1点、ウェハ中心より約15mmの距離の円上に等間隔に8点、ウェハ中心より約30mmの距離の円上に等間隔に16点、および、ウェハの外周より約5mm内側の円上に等間隔に24点(以下、この24点を「ウェハ端部の測定点」という)の計49点)測定し、各点での研磨速度を求めた。49点の研磨速度の平均値を研磨速度とし、研磨均一性は下式(4)により求めた不均一性により評価した。不均一性の値が小さいほど、ウェハ面内が均一に研磨されており研磨均一性が優れていることを意味する。
不均一性(%)=(σ/R)×100 (4)
(ただし、σ:49点の研磨速度の標準偏差、R:49点の研磨速度の平均値)
また、上記49点の研磨速度測定値のうち、ウェハ端部の測定点(24点)の研磨速度の平均値(E)とそれ以外の25点の研磨速度の平均値(C)の比(RE値;E/C)を算出して、ウェハ端部の研磨バラツキを評価した。RE値が0.95〜1.05の場合は「◎」、0.90〜1.10の場合は「○」、0.80〜1.20の場合は「△」(ただし、◎>○>△の順に優先する。)、それ以外は「×」とした。
プラテンへの接着性、粘接着剤残りおよび再接着性の評価
上記した研磨パッドの研磨性能の評価方法において、シリコンウェハの研磨前のシーズニングの際に端部からの剥離が生じたものについてはプラテンへの接着性評価を「×」とし、研磨性能の評価試験を中止した。また、シーズニングによって端部の剥離が生じなかった研磨パッドについてはプラテンへの接着性評価を「○」とし、さらに上記の方法に従って研磨性能の評価試験を実施して研磨性能を評価した。
また、研磨性能を評価後(4枚目のウェハを研磨した後)、使用した研磨パッドをプラテンから剥離し、そのプラテン表面を観察し粘接着剤残りを評価した。粘接着剤成分が残っている場合を「有り」と評価し、粘接着剤が全く残っていない場合を「無し」と評価した。
さらに、プラテンから剥離した研磨パッドを、再度プラテンに接着することが可能であるかどうかを評価した。再度プラテンに接着することができたものについては、再接着性(クッション層対プラテン)を「○」と評価し、研磨パッドの積層構造の端部の剥離や研磨層の歪み・折れ皺などが生じて再度プラテンに接着することができなかったものについては、再接着性(クッション層対プラテン)を「×」と評価した。同様に、研磨パッドのクッション層と研磨層を剥離し、再度これらを接着することができるかどうかを評価した。再度接着することができたものについては、再接着性(研磨層対クッション層)を「○」と評価し、再度接着することができなかったものについては、再接着性(研磨層対クッション層)を「×」と評価した。なお、クッション層と研磨層を剥離する際に素材が損傷したものについては、再接着性(研磨層対クッション層)を「材破」と評価した。
[合成例1]
共重合体1の製造
5Lの三口フラスコに三方コックを付け内部を窒素で置換した後、室温にてトルエン2170g、1,2−ジメトキシエタン110g、イソブチルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシ)アルミニウム52.3g(100mmol)を含有するトルエン溶液150gを加え、さらに、sec−ブチルリチウム1.13g(17.6mmol)を含有するシクロヘキサンとn−ヘキサンの混合溶液(シクロヘキサン:n−ヘキサン=90:10(質量部))10.3gを加えた。
続いて、これにメタクリル酸メチル90g(0.9mol)を1分間かけて添加し、室温にて1時間攪拌した。分析用に1g程度サンプリングを行い、重合転化率と数平均分子量を確認した後、重合液の内部温度を−30℃に冷却し、アクリル酸n−ブチル600g(4.7mol)を2時間かけて滴下した。分析用に1g程度サンプリングを行い、重合転化率と数平均分子量を確認した後、メタクリル酸メチル90g(0.9mol)を加え、一晩室温にて攪拌した後、メタノール9.0g(0.3mol)を添加して重合反応を停止した。得られた重合液をメタノール中に注ぎ、重合液中の重合物を再沈澱させてトリブロック共重合体を得た(共重合体1)。得られたトリブロック共重合体の分子組成を表1に示した。
[合成例2]
共重合体2の製造
上記の合成例1において、1番目に加えるメタクリル酸メチルの質量を90gから100g(1.0mol)に変更し、2番目に加えるアクリル酸n−ブチルの質量を600gから715g(5.6mol)に変更し、3番目に加えるメタクリル酸メチルの質量を90gから100g(1.0mol)に変更した以外は、合成例1と同様にしてトリブロック共重合体を得た(共重合体2)。得られたトリブロック共重合体の分子組成を表1に示した。
[合成例3]
共重合体3の製造
上記の合成例1において、1番目に加えるメタクリル酸メチルの質量を90gから100g(1.0mol)に変更し、2番目に加えるアクリル酸n−ブチルの質量を600gから450g(3.5mol)に変更し、3番目に加えるメタクリル酸メチルの質量を90gから100g(1.0mol)に変更した以外は、合成例1と同様にしてトリブロック共重合体を得た(共重合体3)。得られたトリブロック共重合体の分子組成を表1に示した。
Figure 0005226359
[実施例1]
クッション1の製造
共重合体1をペレット化し、60℃、24時間真空乾燥した後、窒素ガスで常圧に戻して乾燥ペレットを得、次いで、200℃に加熱した熱プレスにより、1分間の余熱の後、1分間加圧して厚み2.0mmの熱プレスシートを得た。該熱プレスシートを直径38cmの円形に切り出して2枚の離型紙で挟み、クッション1を得た。
[実施例2]
クッション2の製造
共重合体2をペレット化し、60℃、24時間真空乾燥した後、窒素ガスで常圧に戻して乾燥ペレットを得、次いで、220℃に加熱した熱プレスにより、1分間の余熱の後、1分間加圧して厚み2.0mmの熱プレスシートを得た。該熱プレスシートを直径38cmの円形に切り出して2枚の離型紙で挟み、クッション2を得た。
[実施例3]
クッション3の製造
共重合体1をペレット化し、60℃、24時間真空乾燥した後、窒素ガスで常圧に戻して乾燥ペレットを得、次いで、200℃に加熱した熱プレスにより、1分間の余熱の後、1分間加圧して厚み0.73mmの熱プレスシートを得た。該熱プレスシートを直径38cmの円形に切り出して2枚の離型紙で挟み、クッション3を得た。
[実施例4]
クッション4の製造
共重合体2をペレット化し、60℃、24時間真空乾燥した後、窒素ガスで常圧に戻して乾燥ペレットを得、次いで、200℃に加熱した熱プレスにより、1分間の余熱の後、1分間加圧して厚み1.0mmの熱プレスシートを得た。該熱プレスシートを直径38cmの円形に切り出して2枚の離型紙で挟み、クッション4を得た。
[実施例5]
クッション5の製造
共重合体3をペレット化し、60℃、24時間真空乾燥した後、窒素ガスで常圧に戻して乾燥ペレットを得、次いで、200℃に加熱した熱プレスにより、1分間の余熱の後、1分間加圧して厚み2.0mmの熱プレスシートを得た。該熱プレスシートを直径38cmの円形に切り出して2枚の離型紙で挟み、クッション5を得た。
[製造例1]
研磨層1の製造
数平均分子量2000のポリ(テトラメチレングリコール)[略号:PTMG2000]、数平均分子量2000のポリ(2−メチル−1,8−オクタメチレン−co−ノナメチレンアジペート)[略号:PNOA、ノナメチレン単位と2−メチル−1,8−オクタメチレン単位とのモル比=7対3]、1,4−シクロヘキサンジメタノール[略号:CHDM]、1,4−ブタンジオール[略号:BD]、および4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート[略号:MDI]を、PTMG2000:PNOA:CHDM:BD:MDIの質量比が20.1:8.4:5.7:14.2:51.6(窒素原子の含有率:5.8質量%)となるような割合で用い、かつ、それらの合計供給量が300g/分になるようにして、定量ポンプにより同軸で回転する2軸押出機(30mmφ、L/D=36、シリンダー温度:75〜260℃)に連続的に供給して、連続溶融重合を行って熱可塑性ポリウレタンを製造した。生成した熱可塑性ポリウレタンの溶融物をストランド状に水中に連続的に押出した後、ペレタイザーでペレット状に細断し、得られたペレットを70℃で20時間除湿乾燥することにより、熱可塑性ポリウレタンを製造した。
得られた熱可塑性ポリウレタンを単軸押出成形機(90mmφ)に仕込み、シリンダー温度215〜225℃、ダイス温度225℃にて、T−ダイより押出し、60℃に調温したギャップ間隔1.8mmのロールを通過させて、厚み2mmのシートを成形した。得られたシートの表面を研削し、厚み1.5mmの均一なシートとした後、その片方の面に幅2.2mm、深さ1.2mmの溝を15.0mm間隔で格子状に形成し、直径38cmの円形状研磨パッド(研磨層1)を作製した。
[実施例6]
クッション1の片側の離型紙を取去り研磨装置のプラテンに貼り付けた後、上面の離型紙も取去り、研磨層1の裏面(溝が形成されていない面)をクッション1の上に貼り合わせて、プラテン上に研磨パッドを形成した。その後、上記した方法により、研磨性能、プラテンへの接着性、粘接着剤残りおよび再接着性を評価した。結果を表2に示した。
[実施例7]
クッション2の片側の離型紙を取去り研磨装置のプラテンに貼り付けた後、上面の離型紙も取去り、研磨層1の裏面(溝が形成されていない面)をクッション2の上に貼り合わせて、プラテン上に研磨パッドを形成した。その後、上記した方法により、研磨性能、プラテンへの接着性、粘接着剤残りおよび再接着性を評価した。結果を表2に示した。
[実施例8]
クッション3の片側の離型紙を取去り研磨装置のプラテンに貼り付けた後、上面の離型紙も取去り、研磨層1の裏面(溝が形成されていない面)をクッション3の上に貼り合わせて、プラテン上に研磨パッドを形成した。その後、上記した方法により、研磨性能、プラテンへの接着性、粘接着剤残りおよび再接着性を評価した。結果を表2に示した。
[実施例9]
クッション4の片側の離型紙を取去り研磨装置のプラテンに貼り付けた後、上面の離型紙も取去り、研磨層1の裏面(溝が形成されていない面)をクッション4の上に貼り合わせて、プラテン上に研磨パッドを形成した。その後、上記した方法により、研磨性能、プラテンへの接着性、粘接着剤残りおよび再接着性を評価した。結果を表2に示した。
[比較例1]
製造例1で製造された研磨層1の裏面(溝が形成されていない面)に、両面テープ(積水化学工業(株)製;ダブルタックテープ#5605HG)を貼り合わせて研磨パッドを作製した。この研磨パッドの両面テープ側に付着している離型紙を取去り、得られた研磨パッドを研磨装置のプラテンに貼り付けた。その後、上記した方法により、研磨性能、プラテンへの接着性、粘接着剤残りおよび再接着性を評価した。結果を表2に示した。
[比較例2]
市販の発泡ポリウレタンパッド(以下、当該研磨パッドの研磨層を「研磨層2」と称する場合がある。研磨層2の厚み1.3mm(クッション層は無し)。粘着材層を具備しており離型紙で保護されている。)の離型紙を取去り、研磨装置のプラテンに貼り付けた。その後、上記した方法により、研磨性能、プラテンへの接着性、粘接着剤残りおよび再接着性を評価した。結果を表2に示した。
[比較例3]
市販の発泡ポリウレタンパッド(以下、当該研磨パッドの研磨層を「研磨層3」と称する場合があり、また当該研磨パッドのクッション層(発泡ポリウレタン製)を「クッション6」と称する場合がある。研磨層3の厚み1.3mm、クッション6の厚み1.3mm。粘着材層を具備しており離型紙で保護されている。)の離型紙を取去り、研磨装置のプラテンに貼り付けた。その後、研磨性能、プラテンへの接着性、粘接着剤残りおよび再接着性を評価した。結果を表2に示した。
[実施例10]
クッション5の片側の離型紙を取去り研磨装置のプラテンに貼り付けた後、上面の離型紙も取去り、研磨層1の裏面(溝が形成されていない面)をクッション5の上に貼り合わせて、プラテン上に研磨パッドを形成した。その後、研磨性能評価のため、上記した方法によりシーズニングを実施したところ、研磨パッドの端部において剥離が認められたため上記条件でのシーズニングを中止した。その後、研磨パッドをプラテンから剥離し、そのプラテン表面を観察したところ、粘接着剤残りは認められなかった。また、プラテンから剥離した研磨パッドを再度プラテンに接着してみたところ接着が可能であった。さらに、研磨パッドのクッション層と研磨層を剥離し、再度これらを接着してみたところ接着が可能であった。
Figure 0005226359
表2の結果から明らかなように、本発明の実施例1〜4のクッションを使用した実施例6〜9の研磨パッドは研磨性能に優れると共に、プラテンへの接着性に優れておりプラテンに安定して装着することができ、また研磨パッドをプラテンから剥離した場合には、プラテン側に粘接着剤が残るなどの問題が生じず作業性が良好であり、かつ、一度剥離した研磨パッドを再度プラテンに接着させたり、一度剥離した研磨層とクッション層とを再度接着させることが可能であることが分かる。
また、実施例5のクッションを使用した実施例10の研磨パッドは上記研磨性能の評価方法におけるシーズニング条件に対しては接着力が劣ったものの、研磨パッドをプラテンから剥離した際に粘接着剤残りが認めれず、また、プラテンから剥離した研磨パッドは再接着性を有し、一度剥離した研磨層とクッション層も再度接着させることができたことから、それほど高い接着力が要求されない条件での研磨に十分使用することができるクッションであることが示唆された。
一方、比較例1〜3では、粘接着剤がプラテンに残り、また一度剥離した研磨パッドを再度プラテンに接着させることができなかった。
本発明によれば、研磨時に要求される優れたクッション性を有し優れた研磨性能の発現に寄与しながら、粘接着剤を使用しなくてもプラテンおよび研磨層の双方への高い接着力を示し、かつ、再接着が可能であり研磨パッドの固定のやり直しが容易で取扱い性に優れ、しかも、使用後に研磨層を本発明の研磨パッド用クッションの層から剥離すれば、研磨層のみを交換するだけで研磨を再開することができクッション層の再利用が可能となり、その際に研磨層の固定のやり直しも容易となり、さらには、本発明の研磨パッド用クッションをプラテンから剥離する際にはプラテンに粘接着剤が残存しないため、両面粘着テープ等の粘接着材を使用した場合に従来必要であった残存粘接着剤の除去作業が不要となり、研磨パッドの脱離操作の作業性が向上する研磨パッド用クッション、およびそれを用いた研磨パッドが提供されるため、CMP等の研磨において、より効率的に、またより経済的に研磨を行うことが可能となる。

Claims (4)

  1. 下記式(1)
    [a]−[b]−[a] (1)
    (式中、[a]および[a]は、それぞれ独立して、メタクリル酸アルキルエステルから誘導される構造単位から主としてなり、ガラス転移温度が90℃以上であり、シンジオタクティシティーが60%以上である重合体ブロックを表し、[b]はアクリル酸アルキルエステルおよび/またはメタクリル酸アルキルエステルから誘導される構造単位から主としてなり、ガラス転移温度が−10℃以下である重合体ブロックを表す。ただし、[a]と[a]の質量の合計/[b]の質量=5/95〜50/50の関係を満たす。)
    で示される構造を重合体主鎖中に有するブロック共重合体(A)を含み、厚みが0.5mmを超え3.5mm以下である研磨パッド用クッションであって、
    研磨パッド用クッションに含有されるメタクリル酸アルキルエステルから誘導される構造単位の含有率が10〜30質量%である研磨パッド用クッション
  2. ブロック共重合体(A)の分子量分布が1.0〜1.5である請求項1に記載の研磨パッド用クッション。
  3. ブロック共重合体(A)が有機希土類金属錯体を重合開始剤として用いて重合されたものであるか、または有機アルミニウム化合物の存在下に有機リチウム化合物を重合開始剤として用いて重合されたものである請求項1または2に記載の研磨パッド用クッション。
  4. 研磨層および請求項1〜のいずれかに記載の研磨パッド用クッションの層を有する研磨パッド。
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