JP5224686B2 - 導電性熱可塑性樹脂組成物の成形用混合物およびこれを成形してなる成形品 - Google Patents
導電性熱可塑性樹脂組成物の成形用混合物およびこれを成形してなる成形品 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5224686B2 JP5224686B2 JP2006344019A JP2006344019A JP5224686B2 JP 5224686 B2 JP5224686 B2 JP 5224686B2 JP 2006344019 A JP2006344019 A JP 2006344019A JP 2006344019 A JP2006344019 A JP 2006344019A JP 5224686 B2 JP5224686 B2 JP 5224686B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- thermoplastic resin
- conductive
- weight
- molding
- mixture
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
Description
熱可塑性樹脂に導電性を付与する方法としては、導電性繊維の短繊維やカーボンブラック等の導電性充填材を配合する方法が知られているが、目標とする導電性を得るためには多量の添加が必要であったため、得られた成形品は機械的強度に劣ったものであった。これを改良する目的で、連続導電性繊維を熱可塑性樹脂で被覆後、冷却・切断してペレット長と同じ長さの導電性繊維を含有する熱可塑性樹脂ペレットを得、これを成形に用いることで、成形品中の導電繊維を長く保ち、高い導電性と機械的強度を発現する方法が提案されている。(特許文献1〜6)
即ち本発明は、
[1]全混合物中における導電性繊維の含有量が20〜40重量%であって、下記[I]および[II]を主構成成分とすることを特徴とする導電性熱可塑性樹脂組成物の成形用混合物。
[I]熱可塑性樹脂(A)にて導電性連続繊維束を押出被覆した後、所定の長さに切断して得られたペレットであって、該熱可塑性樹脂(A)がスチレン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、及びこれらのアロイの中から選ばれた少なくとも1種であり、かつ、該導電性連続繊維束が炭素繊維、金属繊維、金属メッキを施した炭素繊維、金属メッキを施したガラス繊維の中から選ばれた導電性連続繊維束であって、導電性繊維の含有量が5〜25重量%である熱可塑性樹脂ペレット。
[II](B)熱可塑性樹脂にて上記に示した同じ導電性連続繊維束を含浸被覆した後、所定の長さに切断して得られたペレットであって、(B)熱可塑性樹脂がスチレン系樹脂であり、導電性繊維の含有量が50〜95重量%である熱可塑性樹脂ペレット、
[3]スチレン系樹脂(B)がゴム強化スチレン系樹脂であることを特徴とする上記[1]または[2]に記載の導電性熱可塑性樹脂組成物の成形用混合物、
[4]導電性連続繊維束が、連続炭素繊維束であることを特徴とする上記[1]〜[3]のいずれかに記載の導電性熱可塑性樹脂組成物の成形用混合物、
[5]全混合物を100重量部とした時、[I]が50〜95重量部、且つ[II]が5〜50重量部であることを特徴とする上記[1]〜[4]のいずれかに記載の導電性熱可塑性樹脂組成物の成形用混合物、
[6]上記[1]〜[5]のいずれかに記載の導電性熱可塑性樹脂組成物の成形用混合物を射出成形してなることを特徴とする成形品、
である。
連続炭素繊維としては、公知のものを使用することが出来、例えば、ポリアクリロニトリル系(以下、PAN系と言う。)、ピッチ系、セルロース系が挙げられるが、この中で強度と導電性のバランスからPAN系が好ましい。炭素繊維のモノフィラメントの直径としては、導電性と取り扱いの容易さのバランスを考慮すると、3〜20μm、好ましくは5〜15μm、更に好ましくは5〜10μmである。また、炭素繊維束中のモノフィラメントの数としては、1,000〜100,000本、好ましくは3,000〜50,000本、更に好ましくは3,000〜20,000本である。生産性の観点から1000本以上が好ましい。1000本未満であると、組成物中の導電性繊維含有量を調整するために、熱可塑性樹脂による被覆工程における生産性を著しく落として運転せざるを得ない。一方、射出成形工程における導電性繊維の分散性、成形品の外観や導電性、及び導電性の信頼性の観点から100,000本以下が好ましい。
連続金属繊維としては、公知の導電性金属繊維を使用することが出来、例えば、銅、鉄、ニッケル、金、銀、チタン、アルミニウムやこれらを主成分とするステンレス、真鍮等の合金製の繊維が挙げられる。
たガラス繊維のモノフィラメントの直径としては、導電性と取り扱いの容易さとのバランスを考慮すると3〜20μm、好ましくは5〜15μmである。
また、これらの導電性連続繊維束には、これを配合した熱可塑性樹脂の力学的特性の向上、あるいは導電性の向上、及び連続繊維束の取り扱い性向上の目的で、カップリング剤やサイジング剤等の表面処理剤による処理を施してあっても良い。かかる表面処理剤としては、例えばシラン系、チタネート系等のカップリング剤、エポキシ系、ウレタン系、エーテル系、エステル系、アミド系、アクリル系、ポリビニルアルコール系のサイジング剤等が挙げられる。
この中で、特に好ましいのは、スチレン系樹脂、ポリカーボネート、及びこれらのアロイである。
スチレン系樹脂としては、芳香族ビニル化合物の単一重合体、芳香族ビニル化合物、及びこれらと共重合可能な単量体とを共重合させてなる共重合体、ゴム質重合体に芳香族ビニル化合物、及びこれらと共重合可能な単量体とをグラフト共重合させてなるグラフト共重合体、及びこれらの混合物が挙げられる。
芳香族ビニル化合物と共重合可能な単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタアクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸エステルや同様な置換体のメタクリル酸エステル、さらに、アクリル酸、メタクリル酸等のアクリル酸類やN−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド等のN−置換マレイミド系単量体、グリシジルメタクリレート等のグリシジル基含有単量体等が挙げられ、この中で特に好ましいのはアクリロニトリル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、N−フェニルマレイミド、グリシジルメタクリレートである。これらは単独、又は二種以上を組み合わせて使用することが出来る。
レン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−アクリル共重合体、アクリル系ゴム、エチレン−α−オ
レフィン−ポリエン共重合体、エチレン−α−オレフィン共重合体、シリコーンゴム、シリコーン−アクリルゴムである。
スチレン系グラフト共重合体におけるゴム質重合体の重量平均粒子径は、耐衝撃性等の機械的強度、成形加工性、成形品外観のバランスから、好ましくは0.1〜1.2μm、より好ましくは0.15〜0.8μm、さらに好ましくは0.15〜0.6μm、特に好ましくは0.2〜0.4μmである。
オレフィン系樹脂としては、例えば、高密度、中密度、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、4−メチルペンテン−1樹脂、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アルキル(メタ)アクリレート共重合体等が挙げられる。
ポリアミド系樹脂としては、例えば、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン66、ナイロン610等が挙げられる。
ジカルボン酸としては、テレフタル酸、アゼライン酸、セバシン酸、アジピン酸、デカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸等が挙げられ、
これらを単独、又は二種以上を組み合わせて使用することが出来る。
脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ヘキサメチレングリコール等が挙げられる。
熱可塑性樹脂ペレット[I]における導電性繊維の含有量は、5〜25重量%、好ましくは10〜25重量%、さらに好ましくは10〜22重量%、特に好ましくは12〜22重量%である。これがこの範囲にあると、導電性繊維が成形品中により均一に分散し、且つペレット割れによる繊維の毛羽立ちを抑制することが出来るので、外観、導電性に優れ、導電性のばらつきの少ない信頼性の高い成形品を得ることが出来る。
熱可塑性樹脂(B)は、必ずしも熱可塑性樹脂(A)と組成、分子量、組成分布が同一である必要は無いが、機械的強度、及び分散性を考慮すると、熱可塑性樹脂(A)と相溶性を示すか、公知のポリマーアロイとして用いられている組み合わせであることが好ましい。さらに、熱可塑性樹脂(B)の成形温度における流動性は、熱可塑性樹脂(A)よりも優れている方が導電性繊維をより均一に分散させることが出来るので、外観、導電性に優れ、導電性のばらつきの少ない信頼性の高い成形品を得ることが出来る。
また、熱可塑性樹脂ペレット[I]における熱可塑性樹脂(B)と熱可塑性樹脂ペレット[II]における熱可塑性樹脂(B)も、必ずしも同一である必要は無い。
熱可塑性樹脂ペレット[II]における導電性繊維の含有量は、50〜95重量%、好
ましくは50〜90重量%、さらに好ましくは55〜90重量%、特に好ましくは60〜85重量%である。これがこの範囲にあると、導電性繊維が成形品中により均一に分散し、且つペレット割れによる繊維の毛羽立ちを抑制することが出来るので、外観、導電性に優れ、導電性のばらつきの少ない信頼性の高い成形品を得ることが出来る。
熱可塑性樹脂ペレット[I]、および熱可塑性樹脂ペレット[II]を混合する方法については、タンブラー等公知の方法を用いることが出来る。
少なくとも熱可塑性樹脂ペレット[I]および熱可塑性樹脂ペレット[II]を構成成分とする全混合物中における導電性繊維の含有量は、20〜40重量%、好ましくは20〜35重量%、さらに好ましくは22〜35重量%、特に好ましくは22〜30重量%である。これがこの範囲にあると、成形性、外観、導電性に優れ、導電性のばらつきの少ない信頼性の高い成形品を得ることが出来る。
本発明における成形法としては、射出成形、射出圧縮成形、ブロー成形、押出成形、真空成形、圧縮成形等の公知の方法が挙げられるが、この中では生産性に優れる射出成形が特に好ましい。
ール部分エステル、アルキルジエタノールアミン、アルクルジエタノールアミド、ポリアルキレングリコール誘導体、ベタイン系、イミダゾリン誘導体等)、抗菌剤、抗カビ剤、摺動性改良剤(例えば、低分子量ポリエチレン等の炭化水素系、高級アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、ポリグリセロール、高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、脂肪酸アミド、脂肪酸と脂肪族アルコールとのエステル、脂肪酸と多価アルコールとのフル、あるいは部分エステル、脂肪酸とポリグリコールとのフル、あるいは部分エステル、シリコーン系、フッ素樹脂系等)等をその目的に合わせて任意の割合で配合することが出来る。
[参考例1]熱可塑性樹脂(a−1)の製造
ポリブタジエンゴムラテックス(日機装(株)社製マイクロトラック粒度分析計「nanotrac150」にて測定した体積平均粒子径=0.25μm、固形分量=49重量%)110重量部に、脱イオン水45重量部を加え、気相部を窒素置換した後、脱イオン水25重量部にナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.15重量部、硫酸第一鉄0.001重量部、エチレンジアミンテトラ酢酸2ナトリウム塩0.09重量部を溶解してなる水溶液を加えて、55℃に昇温した。続いて、1.5時間かけて70℃まで昇温しながら、アクリロニトリル15重量部、スチレンを35重量部、ターシャリードデシルメルカプタン0.6重量部、クメンハイドロパーオキシド0.1重量部よりなる単量体混合液、及び脱イオン水15重量部にナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.13重量部を溶解してなる水溶液を5時間にわたり添加した。添加終了後1時間、反応槽を70℃に制御しながら重合反応を完結させた。
このようにして得られたABSラテックスに、シリコーン樹脂製消泡剤、及びフェノール系酸化防止剤エマルジョンを添加した後、硫酸アルミニウム水溶液を加えて凝固させ、さらに、十分な脱水、水洗を行った後、乾燥させてグラフト共重合体(a−1)を得た。この時、グラフト率は55重量%であり、非グラフト成分の還元粘度(0.5g/100ml、2−ブタノン溶液中、30℃測定)は0.26であった。
特許1960531号公報に記載の実施例1に記載の方法にて、アクリロニトリル、及びスチレンを、溶媒としてセカンダリーブチルアルコールを用い、重合反応器に上記混合液を連続的に添加し、重合計の温度を140から160℃にコントロールして重合反応を行った。その後、未反応のモノマーを真空下にて除去し、アクリロニトリル−スチレン共重合体の固形粉末を得た。該共重合体の組成は、フーリエ変換赤外分光光度計(FR−IR)(日本分光(株)製)を用いた組成分析の結果、アクリロニトリルは30重量%、スチレンが70重量%であった。また、還元粘度(0.5g/100ml、2−ブタノン溶液中、30℃測定)は0.65であった。
充分に乾燥し、水分の除去を行った熱可塑性樹脂(a−1)30重量部、および熱可塑性樹脂(a−2)70重量部をタンブラーにて混合した後、二軸押出機(東芝機械(株)製、TEM−48BS、L/D=46)にてシリンダー温度250℃で溶融混練し、熱可塑性樹脂(A−1)のペレットを得た。
熱可塑性樹脂(A−2)として以下のものを使用した。
ビスフェノールAとジフェニルカーボネートから、溶融エステル交換法により製造された、ビスフェノールA系ポリカーボネートであり、ヒンダードフェノール系酸化防止剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを300ppm、および、ホスファイト系熱安定剤としてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトを150ppm含むもの。
ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)を用いて、テトラヒドロフランを溶媒として、ポリスチレンゲルを使用し、標準単分散ポリスチレンの構成曲線から下式による換算分子量較正曲線を用いて求められた重量平均分子量(Mw)は22,800であった。
MPC=0.3591MPS1.0388
(MPCは芳香族ポリカーボネートの分子量、MPSはポリスチレンの分子量)
ポリブタジエンゴムラテックス(日機装(株)社製、マイクロトラック粒度分析計「nanotrac150」にて測定した体積平均粒子径=0.25μm、固形分量=49重量%)43重量部に、脱イオン水93重量部、アルケニルコハク酸カリウム(アルケニル基はC13〜C15)5.0重量部、ターシャリードデシルメルカプタン0.1重量部を加え、気相部を窒素置換した後、55℃に昇温した。続いて、アクリロニトリル24重量部、スチレン56重量部、ターシャリードデシルメルカプタン0.7重量部、クメンハイドロパーオキシド0.10重量部よりなる単量体混合液、及び脱イオン水25重量部にナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.15重量部、硫酸第一鉄0.001重量部、エチレンジアミンテトラ酢酸2ナトリウム塩0.04重量を溶解してなる水溶液を6時間にわたり添加しながら、1.5時間かけて70℃まで昇温し、それ以降は反応槽を70℃に制御しながら重合反応を完結させた。その後、これにフェノール系酸化防止剤エマルジョンを添加し、充分に攪拌し、さらに固形分40重量%となるように脱イオン水にて希釈した。ラテックス中の未反応の全モノマー量はガスクロマトグラフィーによる定量分析の結果、12000ppmであった。また、樹脂分中のグラフト率は53重量%であり、非グラフト成分の還元粘度(0.5g/100ml、2−ブタノン溶液中、30℃測定)は0.29であった。
下記導電性連続繊維束を55℃に制御された熱可塑性樹脂(B)のラテックス槽中を通過させて含浸処理を行った後、乾燥機を通過させて水分を完全に除去した。この時、導電性連続繊維束に対する熱可塑性樹脂付着量は、重量測定の結果42重量%であった。熱可塑性樹脂(A−1)ペレットを単軸押出し機中にて溶融混練した後、押出し機先端に取り付けたクロスヘッドダイから押出しながら、前記の含浸処理を施した連続炭素繊維束をクロスヘッドダイ中に連続的に供給することで、熱可塑性樹脂(A−1)にて連続炭素繊維束を被覆してストランドとし、冷却後にこれを回転刃からなるカッターにて切断し、5mmのペレットを得た。
また、上記ストランドを5cm程度の長さに切断したものを10本採取し、これらを2−ブタノンにて溶解して、熱可塑性樹脂(A−1)、及び熱可塑性樹脂(B)を除去後、導電性連続繊維を取り出した。これを乾燥して重量を測定し、ストランド中における導電性連続繊維の含有量を求めた結果、14.1重量%であった。
三菱レイヨン(株)製「パイロフィルCFトウ TR30S−12L」
PAN系炭素繊維、モノフィラメント径=7μm、フィラメント数=12000本
目付=800mg/m、密度=1.79g/cm3
引張強度=4410MPa、引張弾性率=235GPa
サイズ剤:エポキシ系樹脂、サイズ剤付着量=0.8wt%
参考例6と同様にして、導電性熱可塑性樹脂ペレット(I−2)を製造した。ストランド中における導電性連続繊維の含有量を求めた結果、19.8重量%であった。
[参考例8]導電性熱可塑性樹脂ペレット(I−3)の製造
参考例6と同様にして、導電性熱可塑性樹脂ペレット(I−2)を製造した。ストランド中における導電性連続繊維の含有量を求めた結果、30.4重量%であった。
[参考例9]導電性熱可塑性樹脂ペレット(I−4)の製造
熱可塑性樹脂(A−1)を熱可塑性樹脂(A−2)とした以外は参考例6と同様にして、導電性熱可塑性樹脂ペレット(I−4)を製造した。ストランド中における導電性連続繊維の含有量を求めた結果、14.2重量%であった。
参考例6で用いたものと同様の導電性連続繊維束を55℃に制御された熱可塑性樹脂(B)のラテックス槽中を通過させて含浸処理を行った後、乾燥機を通過させて水分を完全に除去した後、これを回転刃からなるカッターにて切断し、5mmのペレットを得た。ストランド中における導電性連続繊維の含有量を求めた結果、69.6重量%であった。
[参考例11]導電性熱可塑性樹脂ペレット(II−2)の製造
参考例10と同様にして導電性熱可塑性樹脂ペレット(II−2)を得た。ストランド中における導電性連続繊維の含有量を求めた結果、55.2重量%であった。
[参考例12]導電性熱可塑性樹脂ペレット(II−3)
熱可塑性樹脂Bのラテックスを脱イオン水を加えて固形分量を20wt%としたものを使用した以外は参考例10と同様にして導電性熱可塑性樹脂ペレット(II−3)を得た。ストランド中における導電性連続繊維の含有量を求めた結果、97.1重量%であった。
80℃にて3時間乾燥させた導電性熱可塑性樹脂ペレット(I−1)80重部、および導電性熱可塑性樹脂ペレット(II−1)20重量部を、タンブラーにて30分ブレンドした。これを射出成形機(東芝機械(株)製 IS130FB)のホッパーに投入し、下記成形条件にて直径20mm、厚み1mmの円盤を射出成形した。
[成形条件]
スクリュー径:45mm
シリンダー温度:260℃
金型温度:60℃
背圧:100kgf/cm3
射出速度:30%
スクリュー回転数:100rpm
射出時間:10秒
冷却時間:10秒
ゲート形状:ピンゲート(φ=2mm)
ゲート位置:円盤中心部
m2、ISO178に準じて測定した曲げ弾性率は13300MPaであった。
また、この円盤を475℃にて電気炉にて加熱処理を施し、熱可塑性樹脂成分を燃焼させて炭素繊維を取り出し、これにクロロホルムを加えて炭素繊維を液中に充分分散させた後、スポイドにてスライドグラス上に数滴落とし、クロロホルムを乾燥させた。その後、これを10〜15倍の倍率で光学顕微鏡にて写真を撮影し、500本以上の炭素繊維から各繊維長を求めたところ、成形品中の含有量が、1.5mmを超える長さの炭素繊維は4.5wt%、0.5〜1.5mmの長さの炭素繊維は9.2wt%、0.5mm未満の長さの炭素繊維は11.5wt%であった。
表1の割合で導電性熱可塑性樹脂ペレット(I−3)、導電性熱可塑性樹脂ペレット(II−1)、および熱可塑性樹脂ペレット(A−1)を混合する以外は実施例1と同様に成形、評価を行った。表面抵抗率の平均は405Ω/□であり、標準偏差σは150であった。また、ISO179に準じて測定した該樹脂組成物の23℃におけるノッチ付きシャルピー衝撃強さは5.0kJ/m2、ISO178に準じて測定した曲げ弾性率は13200MPaであった。
また、成形品中の炭素繊維の含有量は、1.5mmを超える長さの炭素繊維は4.7wt%、0.5〜1.5mmの長さの炭素繊維は10.3wt%、0.5mm未満の長さの炭素繊維は10.0wt%であった。
[実施例2〜5、および比較例2〜5]
導電性熱可塑性樹脂ペレット(I)、導電性熱可塑性樹脂ペレット(II)、および熱可塑性樹脂ペレット(A)を表1の割合で混合する以外は実施例1と同様に成形、評価を行った。評価結果を表1に示す。
比較例1は、導電性熱可塑性樹脂ペレット(I)中の導電性繊維含有量が範囲外であるため、ペレット割れに起因する導電性繊維の毛羽立ちが発生し、成形品中の導電性繊維の分散性に劣ったものとなる。その結果、実施例1と同等の導電性繊維含有量、および繊維長分布を持っているにも拘わらず、表面抵抗率が高く、また標準偏差σが大きい信頼性の劣ったものとなっている。
比較例3は導電性熱可塑性樹脂ペレット(II)の導電性繊維含有量が範囲外であり、ペレット割れに起因する導電性繊維の毛羽立ちが発生し、成形品中の導電性繊維の分散性に劣ったものとなる。その結果、実施例1と同等の導電性繊維含有量、および繊維長分布を持っているにも拘わらず、表面抵抗率が高く、また標準偏差σが大きい信頼性に劣ったものとなっている。
比較例5は、成形品中の導電性繊維の含有量が範囲外であるため、表面抵抗率が高く、また標準偏差σが大きい信頼性に劣ったものとなっている。
Claims (6)
- 全混合物中における導電性繊維の含有量が20〜40重量%であって、下記[I]および[II]を主構成成分とすることを特徴とする導電性熱可塑性樹脂組成物の成形用混合物。
[I]熱可塑性樹脂(A)にて導電性連続繊維束を押出被覆した後、所定の長さに切断して得られたペレットであって、該熱可塑性樹脂(A)がスチレン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、及びこれらのアロイの中から選ばれた少なくとも1種であり、かつ、該導電性連続繊維束が炭素繊維、金属繊維、金属メッキを施した炭素繊維、金属メッキを施したガラス繊維の中から選ばれた導電性連続繊維束であって、導電性繊維の含有量が5〜25重量%である熱可塑性樹脂ペレット。
[II](B)熱可塑性樹脂にて上記に示した同じ導電性連続繊維束を含浸被覆した後、所定の長さに切断して得られたペレットであって、(B)熱可塑性樹脂がスチレン系樹脂であり、導電性繊維の含有量が50〜95重量%である熱可塑性樹脂ペレット。 - [I]が導電性連続繊維束をスチレン系樹脂(B)にて含浸被覆した後、さらに熱可塑性樹脂(A)にて押出被覆して、所定の長さに切断して得られたペレットであることを特徴とする請求項1に記載の導電性熱可塑性樹脂組成物の成形用混合物。
- スチレン系樹脂(B)がゴム強化スチレン系樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載の導電性熱可塑性樹脂組成物の成形用混合物。
- 導電性連続繊維束が、連続炭素繊維束であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の導電性熱可塑性樹脂組成物の成形用混合物。
- 全混合物を100重量部とした時、[I]が50〜95重量部、且つ[II]が5〜50重量部であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の導電性熱可塑性樹脂組成物の成形用混合物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の導電性熱可塑性樹脂組成物の成形用混合物を射出成形してなることを特徴とする成形品。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006344019A JP5224686B2 (ja) | 2006-12-21 | 2006-12-21 | 導電性熱可塑性樹脂組成物の成形用混合物およびこれを成形してなる成形品 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006344019A JP5224686B2 (ja) | 2006-12-21 | 2006-12-21 | 導電性熱可塑性樹脂組成物の成形用混合物およびこれを成形してなる成形品 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2008156401A JP2008156401A (ja) | 2008-07-10 |
JP5224686B2 true JP5224686B2 (ja) | 2013-07-03 |
Family
ID=39657696
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006344019A Active JP5224686B2 (ja) | 2006-12-21 | 2006-12-21 | 導電性熱可塑性樹脂組成物の成形用混合物およびこれを成形してなる成形品 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5224686B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR102076376B1 (ko) * | 2012-04-04 | 2020-02-11 | 신에츠 폴리머 가부시키가이샤 | 기판 수납 용기 |
JP6184056B2 (ja) | 2012-04-09 | 2017-08-23 | リケンテクノス株式会社 | 樹脂組成物 |
JP6379614B2 (ja) * | 2014-04-14 | 2018-08-29 | 三菱ケミカル株式会社 | 長繊維ペレットとそれを射出成型して得られる成形体 |
KR101811994B1 (ko) * | 2016-04-28 | 2017-12-27 | 재단법인 한국탄소융합기술원 | 전자파 차폐용 금속도금 유리섬유 강화 열가소성 수지 펠릿 및 그 제조방법 |
Family Cites Families (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS63297459A (ja) * | 1987-05-29 | 1988-12-05 | Furukawa Electric Co Ltd:The | 導電性樹脂混和物 |
JPH02199175A (ja) * | 1989-01-27 | 1990-08-07 | Nippon G Ii Plast Kk | 導電性の樹脂成形材料 |
JPH05177630A (ja) * | 1991-12-27 | 1993-07-20 | Ube Nitto Kasei Co Ltd | 長繊維強化熱可塑性樹脂ペレットおよびその製造方法 |
JP4160138B2 (ja) * | 1996-11-14 | 2008-10-01 | ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ | 熱可塑性樹脂成形品、および成形品用材料、成形品の製造方法 |
JP2003062829A (ja) * | 2001-08-30 | 2003-03-05 | Asahi Kasei Corp | 炭素繊維含有ペレットの製法、炭素繊維含有ペレット及び成形用樹脂組成物 |
JP2005225126A (ja) * | 2004-02-13 | 2005-08-25 | Asahi Kasei Chemicals Corp | 導電性熱可塑性樹脂の成形品製造法 |
JP2006181776A (ja) * | 2004-12-27 | 2006-07-13 | Toray Ind Inc | 成形用繊維強化難燃樹脂混合物および成形品 |
-
2006
- 2006-12-21 JP JP2006344019A patent/JP5224686B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2008156401A (ja) | 2008-07-10 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP2102284B1 (en) | Electromagnetic wave shielding thermoplastic resin composition and plastic article | |
EP1367097B1 (en) | Carbon fiber reinforced resin composition, molding material and molded article therefrom | |
EP2176335B1 (en) | Electro-conductive thermoplastic resin compositions and articles manufactured therefrom | |
US7026388B2 (en) | Conductive resin composition and process for producing the same | |
JP2002088259A (ja) | 成形材料その製造方法およびその成形品 | |
JP4588155B2 (ja) | 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物 | |
JP5224686B2 (ja) | 導電性熱可塑性樹脂組成物の成形用混合物およびこれを成形してなる成形品 | |
EP0337487A1 (en) | Electroconductive polymer composition | |
Ryu et al. | Improvements of the electrical conductivity and EMI shielding efficiency for the polycarbonate/ABS/carbon fiber composites prepared by pultrusion process | |
JP2002231051A (ja) | 導電性樹脂組成物およびその成形品 | |
JP3550255B2 (ja) | 難燃性樹脂組成物及びそれから成形されたリチウムイオンバッテリーケース | |
JP2001081318A (ja) | 難燃性ポリアミド樹脂組成物およびその成形品 | |
CN102424720A (zh) | 一种导电增强型pc/pbt复合材料及其制备方法 | |
JP4382259B2 (ja) | 熱可塑性樹脂ペレット組成物および射出成形によって得られる成形品 | |
JP2002317384A (ja) | 長繊維ペレット用導電性繊維束およびそれからなる長繊維ペレット、ならびにそれを用いた成形品 | |
JP3960096B2 (ja) | 導電性樹脂組成物及びその製造方法 | |
JP3634496B2 (ja) | 導電性樹脂組成物および成形品 | |
JP2005225126A (ja) | 導電性熱可塑性樹脂の成形品製造法 | |
JP2001129826A (ja) | 導電性繊維強化成形材料およびその製造方法 | |
JP2002338794A (ja) | 導電性樹脂組成物およびそれからなる成形材料または成形体 | |
JP2002146679A (ja) | 炭素繊維束、樹脂組成物、成形材料およびそれを用いた成形品 | |
JP2002256153A (ja) | 導電性成形体およびその製造方法 | |
JP2002179924A (ja) | 成形用材料の製造方法および成形品の製造方法 | |
JP2003128799A (ja) | 熱可塑性樹脂組成物用炭素繊維およびそれを用いた熱可塑性樹脂組成物 | |
JP2000198915A (ja) | メッキ性の良好な難燃性樹脂組成物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20091210 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20110414 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20121016 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20121114 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20121218 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20121226 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20130312 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20130312 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5224686 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160322 Year of fee payment: 3 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |